JP2012216425A - 金属酸化物微粒子分散体、導電性基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均一次粒径が20〜100nmの金属酸化物微粒子、分散媒及び分散剤を含む金属酸化物微粒子分散体であって、前記分散剤が、主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する、重量平均分子量300〜50000の化合物である金属酸化物微粒子分散体である。
【選択図】なし
Description
金属微粒子分散体の開発において、より汎用で生産的に優位なインクジェット方式による印刷適性が今後重要となってくる。このインクジェット方式では、インクジェットプリンタのヘッドの吐出ノズルに詰まりが生じたり、吐出曲がりが生じるなどして、微細パターンの形成に不具合が生じるといった問題点を解決する必要がある。しかし、上記した特許文献1では、インクジェット方式による印刷適性についての詳細な説明や検討はなされてなく、必ずしもインクジェット印刷適性に優れるものではなかった。
また、本発明者らは、金属微粒子分散体を用いて、基材上にインクジェット方式でパターン状の印刷層を設け、該印刷層をマイクロ波表面波プラズマにより焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を有する導電性基板の製造方法の研究を行い、すでに特許を出願している。
このマイクロ波表面波プラズマ処理の前に、金属微粒子分散体を含む塗布液を印刷した印刷層に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、通常大気下または酸素を含む雰囲気下、50〜200℃程度の温度で10分から2時間程度焼成することが行われており、この焼成により、有機物が酸化分解除去され、マイクロ波表面波プラズマ処理において、金属微粒子の焼結が促進される。
したがって、この大気圧下又は酸素を含む雰囲気下での焼成処理工程を省くことができれば、導電性基板の生産効率が向上する。
平均一次粒径が所定の範囲にある金属酸化物微粒子、特に第二酸化銅微粒子を含み、かつ主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する重量平均分子量が特定の範囲にある化合物を分散剤として含有すると共に、前記分散剤の種類に応じて特定の分散媒を含有する金属酸化物微粒子分散体、特に第二酸化銅微粒子分散体が、前記目的に適合し得ること、そして基材上に、当該分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して焼成処理することにより、パターン状の銅微粒子焼結膜を有する導電性基板が効率よく得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
(1)平均一次粒径が20〜100nmの金属酸化物微粒子、分散媒及び分散剤を含む金属酸化物微粒子分散体であって、前記分散剤が、主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する重量平均分子量300〜50000の化合物であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散体、
(2)基材上に、上記(1)に記載の金属酸化物微粒子分散体を用いて設けられてなるパターン状の金属微粒子焼結膜を有する導電性基板、
(3)上記(2)に記載の導電性基板の製造方法であって、基材上に、上記(1)に記載の金属酸化物微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法、
を提供するものである。
[金属酸化物微粒子分散体]
本発明の金属酸化物微粒子分散体は、平均一次粒径が20〜100nmの金属酸化物微粒子、分散媒及び分散剤を含む金属酸化物微粒子分散体であって、前記分散剤が、主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する重量平均分子量300〜50000の化合物であることを特徴とする。
本発明の金属酸化物微粒子分散体に含まれる金属酸化物微粒子の平均一次粒径は20〜100nmの範囲にあることを要する。この平均一次粒径が上記範囲にあれば、金属酸化物微粒子が還元されて得られる金属微粒子の粒径が小さいため、その表面エネルギーが大きくなり、融点が低下して、金属粒子間が低温で融着して金属薄膜を形成すると考えられる。
なお、前記平均一次粒径は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用い、金属酸化物微粒子の観察を行い、得られた画像から任意の粒子100個を計測し、平均することにより求めた値である。
当該金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物は、加熱処理によって還元されるものであれば、いかなるものでも使用可能である。個々の金属酸化物粒子は単独の金属酸化物で構成されていてもよく、また複数の金属酸化物で構成されている複合金属酸化物であっても良い。金属酸化物微粒子を還元することによって得られる金属の体積抵抗値は好ましくは1×10-4Ωcm以下、さらに好ましくは1×10-5Ωcm以下である。このような金属酸化物微粒子を用いると、得られる金属薄膜の電気伝導性が高いので好ましい。この種の金属酸化物としては、例えば、酸化銀、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ニッケル、酸化鉛、酸化コバルト等を例示できる。中でも、容易に還元が可能であって、還元後の電気伝導度の高い酸化銅及び酸化銀が特に好ましい。酸化銀としては、酸化第一銀、酸化第二銀及び酸化第三銀等があり、銀の酸化状態には制限はないが、粒子の安定性から、酸化第一銀がより好ましい。酸化銅としては、酸化第一銅及び酸化第二銅等があり、銅の酸化状態に制限はないが、微粒子の安定性の観点から、酸化第二銅(第二酸化銅)が特に好ましい。
また、本発明で用いられる金属酸化物微粒子は平均一次粒径が20〜100nmであって、加熱処理時の粒子間の融着が妨げられない限りにおいて、金属酸化物粒子の一部が還元可能な金属酸化物以外の材料によって置換されていてもよい。還元可能な金属酸化物以外の材料とは、例えば、金属、500℃以下の加熱によって還元されない金属酸化物、あるいは有機化合物である。中心部分が金属でありその表面が金属酸化物によって覆われた、コア−シェル型の金属−金属酸化物複合微粒子が例として挙げられる。
本発明の金属微粒子分散体、特に第二酸化銅微粒子分散体に含まれる分散剤としては、重量平均分子量300〜50000の範囲にあって、かつ主骨格中にポリアミン骨格を有する化合物(以下、「分散剤I」と称することがある。)、又は主骨格中にポリカルボン酸骨格を有する化合物(以下、「分散剤II」と称することがある。)を用いることを要する。
前記分散剤I及びIIそれぞれの重量平均分子量が300未満では、得られる金属微粒子分散体の分散性が低下する。一方、重量平均分子量が50000を超えると、焼成時に焼成しにくく、低温焼成が困難となる。本発明においては、分散剤の重量平均分子量は、良好な分散性を確保し、かつ低温焼成を容易とする観点から、400〜30000の範囲が好ましく、450〜15000の範囲がより好ましい。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
当該分散剤Iは、重量平均分子量が上記範囲にあり、主骨格中にポリアミン骨格を有し、かつ側鎖に一つ以上の炭化水素部又はポリエーテル部を有することのできる化合物である。
当該分散剤Iの具体例としては、ビックケミー社製の「Disperbyk−9076」(共重合体の主鎖がポリアミン骨格としてアルキルアンモニウム塩を有し、側鎖にポリエーテル部を有する構造である。重量平均分子量:10000、アミン価:44mgKOH/g,酸価:38mgKOH/gの化合物)、クロダ社製「Hypermer−カチオンタイプ(「KD−1」重量平均分子量:12000,塩基当量:1350meq/kg,酸価:25mgKOH/g、「KD−2」重量平均分子量:2000,塩基当量:1725meq/kg、「KD−3」重量平均分子量:2000〜3000,塩基当量:3300meq/kg,酸価:21mgKOH/g、「KD−11」重量平均分子量:12000,塩基当量:550〜800meq/kg、「LP−5」重量平均分子量:2800,酸価:20mgKOH/g)などの主鎖にポリアミン骨格、側鎖に炭化水素部を複数有する化合物)などを挙げることができる。
当該分散剤IIは、重量平均分子量が上記範囲にあり、主骨格中にポリカルボン酸骨格を有し、かつ側鎖に複数の炭化水素部を有することのできる化合物である。
当該分散剤IIの具体例としては、クロダ社製「Hypermer−アニオンタイプ(「KD−4」重量平均分子量:1700,酸価:33mgKOH/g、「KD−8」重量平均分子量:1700,酸価:33mgKOH/g、「KD−9」重量平均分子量:760,酸価:74mgKOH/g、「KD−15」重量平均分子量:490,酸価:115mgKOH/g)などを挙げることができる。
本発明の金属酸化物微粒子分散体における分散媒としては、分散剤として、前述した主骨格中にポリアミン骨格を有する分散剤Iを用いる場合には、極性溶媒を用いることが好ましい。一方、分散剤として、前述した主骨格中にポリカルボン酸骨格を有する分散剤IIを用いる場合には、無極性溶媒を用いることが好ましい。
なお、本発明で云う極性溶媒とは、分子内部に固定的に電気双極子をもつ溶媒を指し、無極性溶媒は分子内部に上記電気双極子を固定的にもたない溶媒を指す。
本発明の金属酸化物微粒子分散体において、分散剤として前述した分散剤Iを用いる場合に使用される極性溶媒としては、特に制限はないが、例えばエステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
これらの極性溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の金属酸化物微粒子分散体において、分散剤として前述した分散剤IIを用いる場合に使用される無極性溶媒としては、特に制限はないが、例えば脂肪族炭化水素類及び芳香族炭化水素類の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
金属酸化物微粒子分散体を調製するには、前述した極性溶媒中に、前述の分散剤Iと金属酸化物微粒子を、それぞれ所定の割合で加えるか、あるいは前述した無極性溶媒中に、前述の分散剤IIと金属酸化物微粒子を、それぞれ所定の割合で加え、例えば、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、2本ロール法、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等を用いて分散処理することにより、調製することができる。
このようにして得られた金属酸化物微粒子分散体は、高濃度で分散性が高く、低粘度であるためインクジェット適性も付与し得ると共に、酸素雰囲気下での焼成をせずにプラズマ処理のみで低耐熱性基材上に高密着性、高導電性の金属膜を形成し得るものである。
[導電性基板]
本発明の導電性基板は、基材上に、前述した本発明の金属酸化物微粒子分散体を用いて設けられてなるパターン状の金属微粒子焼結膜を有することを特徴とする。
なお、ここで、パターン状の金属微粒子焼結膜は、以下「導電パターン」と記載することがある。また、ここで「導電パターン」という場合には、金属微粒子がいわゆる金属状態で導電性を有する場合をいう。
本発明の導電性基板において用いる基材としては、導電性基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料、紙などを用いることもできる。また、本発明では後に詳述するように、金属微粒子が低温で焼結されて導電性薄膜が形成されるため、基材に損傷を与えることがなく、高歪点ガラスなど耐熱性の高い特殊なガラスを使わなくてもよく、耐熱性の低い通常のソーダライムガラス等であっても使用することができる。さらには、プラスチックなどの高分子材料や紙も基材とすることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
一方、基材が無機材料である場合には、通常0.1〜10mm程度、好ましくは0.5〜5mmである。
また、本発明の導電性基板における、金属微粒子焼結膜のパターン(導電パターン)の体積抵抗率は、1.0×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。
なお、前記パターン状の金属微粒子焼結膜の形成方法については、後述する本発明の導電性基板の製造方法において詳述する。
このような、本発明の導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
[導電性基板の製造方法]
本発明の導電性基板の製造方法は、基材上に、前述した本発明の金属酸化物微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成することを特徴とし、前記焼成処理が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる焼成工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法で用いられる塗布液は、上述の本発明の金属酸化物微粒子分散体を含むことが特徴である。本発明の金属酸化物微粒子分散体は、上述のように、特定の分散剤を用いることによって、分散性が高く、安定性の高いものである。それと同時に、インクジェット方式による印刷を行う場合に、吐出安定性が高く、良好なパターニング適性が得られる。
また、当該塗布液には、上述の金属酸化物微粒子分散体に加えて、塗工適性を向上させるためにさらに分散媒を加えてもよい。ここで用いる分散媒は、金属酸化物微粒子分散体の製造過程で用いた分散媒と同じであってもよいし、異なってもよい。
これらのうち、界面活性剤は、金属酸化物微粒子の分散性をさらに高めたり、塗工性を向上させることができるため、好適に配合される。界面活性剤として、具体的には、4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤;カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤;エーテル型、エステル型、エーテルエステル型などのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、造膜性を高めること、印刷適性を付与すること、及び分散性を高めることを目的として、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂等を樹脂バインダーとして塗布液に添加してもよい。また、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
基材上に塗布液を印刷し、印刷層を形成する方法としては特に制限されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷、グラビアオフセット印刷などの方法を用いることができる。これらのうち、微細なパターニングを行うことができるという観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、及びグラビアオフセット印刷が好ましい。特に、本発明の金属酸化物微粒子分散体は、金属酸化物微粒子の粒径が小さく、かつ分散性に優れているため、インクジェットの吐出ノズルに詰まりが生じたり、吐出曲がりが生じることがなく、インクジェット印刷に適している。
また、本発明の方法によれば、基材上に塗布液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いた手法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
本発明の製造方法における焼成は、金属又は金属化合物微粒子が融着して、金属微粒子焼結膜を形成することができる方法であれば特に制限はなく、例えば、焼成炉で行ってもよいし、プラズマ、加熱触媒、紫外線、真空紫外線、電子線、赤外線ランプアニール、フラッシュランプアニール、あるいはレーザーなどを用いて行ってもよい。これらの焼成方法のなかでも、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)により行うことが好ましい。焼成にマイクロ波表面波プラズマを用いることで、基材への熱ダメージを少なくすることができる。また、基材の表面が粗化することを防ぐことができるため、透明基材を用いる場合には、導電パターンが形成された部分以外の基材の透明性が確保され、高い透明性を有する導電性基板が得られる。
また、マイクロ波表面波プラズマによる焼成処理は、大面積の処理が可能で、短時間の焼成処理が可能であるため、生産性が極めて高い。
特に、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガスの雰囲気下で発生させることが好ましく、とりわけ水素ガス雰囲気下で発生させることが好ましい。これにより、金属酸化物微粒子が還元され、導電性能の良好な金属微粒子焼結膜からなる導電パターンが形成される。
なお、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記印刷層を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な金属微粒子焼結膜を形成することができる。マイクロ波表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式と比べて、面内で部分的に粒子の焼結が進行するなど、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。
さらに、マイクロ波表面波プラズマは、電子温度が低いため、基材をエッチングする能力が小さく、プラスチック基材に対するダメージを小さくすることができると推察される。
したがって、従来のように、基材表面をあらかじめプラズマ処理等により粗化して、導電パターンとの密着性を向上させる方法に比較しても、本発明の方法は、基材と導電パターントの界面が平滑であり、かつ密着性が高い点で優れている。
また、本発明の導電性基板における、金属微粒子焼結膜のパターン(導電パターン)の体積抵抗率は前述したように、1.0×10-4Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明の導電性基板は、基材上に密着性よく設けられたパターン状の金属微粒子焼結膜を有し、信頼性、及び導電性に優れた導電性基板である。
なお、実施例で用いた第二酸化銅微粒子の平均一次粒径、実施例で得られた第二酸化銅微粒子分散体の粘度と表面張力、及び焼結膜の膜厚と焼結深度と表面抵抗を、以下に示す方法により測定した。
(株)日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」を用い、同装置に付属するSTEMによる観察像により、加速電圧30kV、エミッション電流10μAにて、第二酸化銅微粒子の観察を行い、その平均一次粒子径について、得られた画像から任意の粒子100個を抽出し、その粒径を計測し、平均することにより求めた。
(a)粘度
第二酸化銅微粒子分散体の温度25℃における粘度を、レオメーター(株式会社アントンパール・ジャパン製)を用いて、せん断速度1000(1/s)の条件で測定した。
(b)表面張力
銅微粒子分散体の温度24〜26℃における表面張力を、動的表面張力計(SITA社製)を用いて、最大泡圧法により周期0〜10Hzの範囲で測定した。
(a)膜厚及び焼結深度
(株)日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S−4800」を用い、加速電圧1kV、加速電流10μAで観察を行った。ミクロトームを用いて試料を切断し、断面観察を行い、焼結膜の膜厚を測定した。また、焼結膜が深さ方向に均一に焼成できているかどうかを、観察像を目視にて確認することで評価した。
(b)表面抵抗
表面抵抗計((株)ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」,PSPタイププローブ)を用いて、金属微粒子焼結膜に4探針を接触させ、4探針法にて表面抵抗を測定した。
金属酸化物微粒分散体のインクジェット印刷適性について、インクジェットプリンタ(「DMP−2831(型番)」,FUJIFILM Dimatix社製)を用いて、吐出量:10pLのカートリッジヘッドで印刷し、該カートリッジヘッドの吐出曲がりや詰まりを観察し、印刷適性を評価した。
(1)第二酸化銅微粒子分散体(極性溶媒型)の作製
容量140mLのマヨネーズ瓶に、分散剤Iである「BYK−9076」(ビックケミー社製)3.1gとブチルカルビトールアセテート(BCA)26.9gを計量して、撹拌した。分散剤が溶解してから平均一次粒径50nmの第二酸化銅微粒子を30g加えて撹拌した。直径0.3mmのジルコニアビーズ150gを加えて、瓶に蓋をして、ペイントシェーカーにて4時間処理することで分散体を得た。
この分散体の25℃粘度は8.9mPa・s、25℃表面張力は34.6mN/mであり、また、該分散体の上記規定のインクジェット印刷適性は、カートリッジヘッドの吐出曲がりや詰まりがなく、良好であった。
ポリイミドフィルム(「カプトン300H(商品名)」、東レ・デュポン株式会社製,厚さ:75μm)に、前記分散体をバーコートで塗布し、大気焼成230℃・0.5時間により、分散体中の金属酸化物微粒子以外の成分を除去した。次いで、水素ガスを導入圧力20Paで導入しながら、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(「MSP−1500(型番)」,ミクロ電子株式会社製)を用いて、マイクロ波出力800Wで5分間焼成し、その表面に焼結膜を有する導電性基板を得た。該基板の表面の温度を熱電対で測定したところ、表面波プラズマによる焼成前は25℃に保持されており、焼結後(プラズマ照射終了後)は270℃に到達していたが、焼結膜にクラックなどは観察されなかった。また、基板界面まで焼結が進行しており、該焼結膜の膜厚は2.0μmであり、表面抵抗は5.0×10-2Ω/□であった。該焼結膜の表面及びその断面をSEMで観察した際のSEM写真を各々図1及び図2に示す。図2より、焼結膜の膜厚が2.0μmであることが確認できる。
(1)第二酸化銅微粒子分散体(無極性溶媒型)の作製
容量140mLのマヨネーズ瓶に、分散剤IIである「hypermer KD−8(クロダ社製)3gとテトラデカン27gを計量して、撹拌した。分散剤が溶解してから、平均一次粒径50nmの第二酸化銅微粒子を30g加えて撹拌した。直径0.3mmのジルコニアビーズ150gを加えて、瓶に蓋をして、ペイントシェーカーにて4時間処理することで分散体を得た。
この分散体の25℃粘度は6.7mPa・s、25℃表面張力は30.1mN/mであり、また、該分散体の上記規定のインクジェット印刷適性は、カートリッジヘッドの吐出曲がりや詰まりがなく、良好であった。
(2)焼結膜の形成
ポリイミドフィルム(「カプトン300H(商品名)」、東レ・デュポン株式会社製,厚さ:75μm)に、前記分散体をバーコートで塗布し、大気焼成230℃・0.5時間により、分散体中の金属酸化物微粒子以外の成分を除去した。次いで、水素ガスを導入圧力20Paで導入しながら、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(「MSP−1500(型番)」,ミクロ電子株式会社製)を用いて、マイクロ波出力800Wで5分間焼成し、その表面に焼結膜を有する導電性基板を得た。該基板の表面の温度を熱電対で測定したところ、表面波プラズマによる焼成前は25℃に保持されており、焼結後(プラズマ照射終了後)は270℃に到達していたが、焼結膜にクラックなどは観察されなかった。また、基板界面まで焼結が進行しており、該焼結膜の膜厚は1.7μmであり、表面抵抗は5.8×10-2Ω/□であった。
実施例1において、大気焼成を行わなかった以外は実施例1と同様にして、その表面に焼結膜を有する導電性基板を得た。該基板の表面の温度を熱電対で測定したところ、表面波プラズマによる焼成前は25℃に保持されており、焼結後(プラズマ照射終了後)は270℃に到達していたが、焼結膜にクラックなどは観察されなかった。また、基板界面まで焼結が進行しており、該焼結膜の膜厚は2.0μmであり、表面抵抗は5.0×10-2Ω/□であった。
実施例1において、分散剤を「ワンダミンCHE−20P(商品名)」(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミン,分子量:187.268)を用いた以外は実施例1と同様にして分散体を作製したところ、金属酸化物微粒子は全く分散することなく、分散体が得られなかった。
実施例1において、分散剤を「ノニオンE−202(商品名)」(成分:POE(2)オレイルエーテル、日油株式会社製,分子量:6881)を用いた以外は実施例1と同様にして分散体を作製したところ、金属酸化物微粒子は全く分散することなく、分散体が得られなかった。
Claims (9)
- 平均一次粒径が20〜100nmの金属酸化物微粒子、分散媒及び分散剤を含む金属酸化物微粒子分散体であって、前記分散剤が、主骨格中にポリアミン骨格又はポリカルボン酸骨格を有する重量平均分子量300〜50000の化合物であることを特徴とする金属酸化物微粒子分散体。
- 前記分散剤がポリアミン骨格を有する化合物であり、かつ分散媒がエステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の中から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散体。
- 前記分散剤がポリカルボン酸骨格を有する化合物であり、かつ分散媒が脂肪族炭化水素類及び芳香族炭化水素類の中から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散体。
- 前記分散剤を1質量%以上含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。
- 前記金属酸化物微粒子が第二酸化銅微粒子であり、その含有量が5質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。
- 基材上に、請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体を用いて設けられてなるパターン状の金属微粒子焼結膜を有する導電性基板。
- 請求項6に記載の導電性基板の製造方法であって、基材上に、請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法。
- 前記焼成処理が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる焼成工程を含む請求項7に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成工程が、不活性ガス及び/又は還元性ガスの雰囲気下で発生する表面波プラズマによるものである、請求項8に記載の導電性基板の製造方法。
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