JP2009227736A - インクジェット印刷用インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット印刷方式によって、金属光沢に優れた文字や画像を印字又は印刷可能なインキ組成物を提供する。
【解決手段】金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、カルボキシル基を有する有機化合物(特にコール酸などのC6−34脂環族ヒドロキシカルボン酸)及びカルボキシル基を有する高分子分散剤を含む保護コロイド(A2)及び還元剤の存在下、溶媒中で還元し、前記金属ナノ粒子(A1)が前記保護コロイド(A2)で被覆された金属コロイド粒子(A)を含む分散液で構成されたインクジェット印刷用インキ組成物を製造する。この金属ナノ粒子(A1)を構成する金属は、少なくとも貴金属を含む金属(特に、銀)であってもよく、前記金属ナノ粒子(A1)の平均粒子径が1〜100nm程度である。
【選択図】なし
【解決手段】金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、カルボキシル基を有する有機化合物(特にコール酸などのC6−34脂環族ヒドロキシカルボン酸)及びカルボキシル基を有する高分子分散剤を含む保護コロイド(A2)及び還元剤の存在下、溶媒中で還元し、前記金属ナノ粒子(A1)が前記保護コロイド(A2)で被覆された金属コロイド粒子(A)を含む分散液で構成されたインクジェット印刷用インキ組成物を製造する。この金属ナノ粒子(A1)を構成する金属は、少なくとも貴金属を含む金属(特に、銀)であってもよく、前記金属ナノ粒子(A1)の平均粒子径が1〜100nm程度である。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット印刷用インキに適した金属光沢性インキ組成物及びその製造方法に関する。
近年、インクジェット印刷方式は、簡便性などの点から、業務用から家庭用まで幅広く普及している。インクジェット印刷では、シアン、マゼンタ、イエローの三原色を利用して鮮明なカラー画像の印刷が可能であるが、装飾的な効果を発現する目的などにより、金属光沢を有する印刷も要求されている。従来から、金属光沢顔料としては、アルミニウム、金又は銀粒子などの金属粒子を含有するインキが開発されているが、金属粒子は、比重が大きいため、インキ中で安定して存在し難く、凝集や沈降を生じ易いという問題を有していた。特に、インクジェット印刷方式では、ノズルヘッドからインキの微小滴を吹き付けて画像を形成する方式であるため、ノズルの目詰まりや、分散安定性の低下が画像に影響し、インキの安定性は特に重要となる。
そこで、特開2003−306625号公報(特許文献1)には、インクジェット印刷方式に適したインキ組成物として、水又は水溶性有機溶媒中に金や銀などの金属ナノ粒子を含む金属コロイドを分散させたインキ組成物が開示されている。この文献には、金属化合物を含む溶液中に、クエン酸、界面活性剤、水溶性アクリル樹脂などの結着樹脂などを添加してもよいことが記載されている。
さらに、特開2004−207558号公報(特許文献2)には、金属コロイド溶液をインクジェット方式により基材に塗布して、導電性コーティング膜を得る方法において、前記塗布が行われる基材表面にインクジェットインク用受容層が形成されており、塗布後の乾燥が100℃以下で行われる導電性コーティング膜の形成方法が開示されている。この方法で用いられる金属コロイド溶液は、高分子顔料分散剤を用いて溶液を還元処理して調製された後、さらに限外ろ過で精製されている。
しかし、これらの金属コロイド溶液では、金属コロイドの調製において、分散剤などの添加剤の使用量が多い上に、還元により析出させた金属コロイド粒子の懸濁液中での分散安定性が低く、凝集などにより径の大きい粒子が沈殿するためか、限外ろ過などの高度なろ過処理が必要となる。さらに、画像を形成するための基材表面との親和性を向上させるために、インキ中に結着剤を添加する必要もあり、簡便性や経済性が低い。
特開2003−306625号公報(請求項、段落[0021]〜[0033]、実施例)
特開2004−207558号公報(請求項1、段落[0019]〜[0022]、[0029]〜[0036]、実施例)
従って、本発明の目的は、インクジェット印刷方式によって、金属光沢に優れた文字や画像を印字又は印刷可能なインキ組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡便に調製できるとともに、長期間の保存安定性に優れ、かつ長期間使用しても目詰まりを起こさずに安定して印字又は印刷可能なインクジェット印刷用インキ組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、実質的に結着剤を含んでいなくても、各種の基板(被印刷板)に対して、強固にインキを密着できるインクジェット印刷用インキ組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、金属ナノ粒子を被覆又は保護する保護コロイド(又は分散剤)を、カルボキシル基を有する有機化合物と、カルボキシル基を有する高分子分散剤とで構成した金属保護コロイド粒子を含有する分散液を調製することにより、インクジェット印刷方式によって、鏡面の金属光沢に優れた文字や画像を印字又は印刷可能なインキ組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のインクジェット印刷用インキ組成物は、金属ナノ粒子(A1)とこの金属ナノ粒子(A1)を被覆する保護コロイド(A2)とで構成された金属コロイド粒子(A)及び溶媒(B)を含む分散液で構成された組成物であって、前記保護コロイド(A2)がカルボキシル基を有する有機化合物(a)及び高分子分散剤(b)を含む。前記金属ナノ粒子(A1)を構成する金属は、少なくとも貴金属を含む金属(特に、銀)であってもよく、前記金属ナノ粒子(A1)の平均粒子径が1〜100nm程度である。前記有機化合物(a)はC6-34脂環族ヒドロキシカルボン酸(特に、C14-34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸)であってもよい。前記高分子分散剤(b)はカルボキシル基を有する高分子分散剤(特に酸価5mgKOH/g以上の高分子分散剤)であってもよい。前記有機化合物(a)と前記高分子分散剤(b)との割合が、前者/後者(質量比)=85/15〜10/90(特に70/30〜20/80)程度である。前記保護コロイド(A2)の割合は、金属ナノ粒子(A1)100質量部に対して1〜60質量部程度であってもよい。前記溶媒(B)は、水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類及ピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種を含む溶媒であってもよい。本発明のインキ組成物は、結着樹脂を実質的に含有しない組成物であってもよい。
本発明には、金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、保護コロイド(A2)及び還元剤の存在下、溶媒中で還元し、前記インクジェット印刷用インキ組成物を製造する方法も含まれる。この方法において、前記還元剤がアルカノールアミン類であり、還元剤の使用量が金属原子換算で金属化合物1モルに対して1〜5モルであってもよい。この方法は、さらに還元により得られる分散液に、さらに水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類及ピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種を含む溶媒を混合し、溶媒中の金属化合物の濃度を金属の質量換算で1〜10質量%に調製する製造方法であってもよい。
本発明では、金属ナノ粒子を被覆する保護コロイドとして、特定の保護コロイドを使用した金属コロイド粒子を含有するので、この粒子を含む分散液で構成されたインキ組成物は、インクジェット印刷方式によって、鏡面の金属光沢に優れた文字や画像を印字又は印刷できる。また、このインキ組成物は、分散剤の使用量が少なく、ろ過などの精製工程も不要であり、簡便に調製できるにも拘わらず、分散安定性が高く、長期間の保存安定性に優れ、かつ長期間使用しても目詰まりを起こさずに、安定して印字又は印刷できる。また、実質的に結着剤を含んでいなくても、各種の基板(被印刷板)に対して、強固にインキを密着できる。
[インクジェット印刷用インキ組成物]
本発明のインクジェット印刷用インキ組成物は、金属コロイド粒子(A)及び溶媒(B)を含む分散液で構成されている。
本発明のインクジェット印刷用インキ組成物は、金属コロイド粒子(A)及び溶媒(B)を含む分散液で構成されている。
(A)金属コロイド粒子
本発明の金属コロイド粒子は、金属ナノ粒子(A1)と、この金属ナノ粒子(A1)を被覆する保護コロイド(A2)で被覆された金属コロイド粒子であって、前記保護コロイド(A2)が、特定の化合物の組み合わせで構成されている。
本発明の金属コロイド粒子は、金属ナノ粒子(A1)と、この金属ナノ粒子(A1)を被覆する保護コロイド(A2)で被覆された金属コロイド粒子であって、前記保護コロイド(A2)が、特定の化合物の組み合わせで構成されている。
(A1)金属ナノ粒子
金属ナノ粒子(A1)を構成する金属(金属原子)としては、例えば、遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期表第4A族金属;バナジウム、ニオブなどの周期表第5A族金属;モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;マンガンなどの周期表第7A族金属;鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、イリジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金などの周期表第1B族金属など)、周期表第2B族金属(例えば、亜鉛、カドミウムなど)、周期表第3B族金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、ゲルマニウム、スズ、鉛など)、周期表第5B族金属(例えば、アンチモン、ビスマスなど)などが挙げられる。金属は、周期表第8族金属(鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金など)、周期表第1B族金属(銅、銀、金など)、周期表第3B族金属(アルミニウムなど)及び周期表第4B族金属(スズなど)などであってもよい。なお、金属(金属原子)は、保護コロイドに対する配位性の高い金属、例えば、周期表第8族金属、周期表第1B族金属などである場合が多い。
金属ナノ粒子(A1)を構成する金属(金属原子)としては、例えば、遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期表第4A族金属;バナジウム、ニオブなどの周期表第5A族金属;モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;マンガンなどの周期表第7A族金属;鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、イリジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金などの周期表第1B族金属など)、周期表第2B族金属(例えば、亜鉛、カドミウムなど)、周期表第3B族金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、ゲルマニウム、スズ、鉛など)、周期表第5B族金属(例えば、アンチモン、ビスマスなど)などが挙げられる。金属は、周期表第8族金属(鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金など)、周期表第1B族金属(銅、銀、金など)、周期表第3B族金属(アルミニウムなど)及び周期表第4B族金属(スズなど)などであってもよい。なお、金属(金属原子)は、保護コロイドに対する配位性の高い金属、例えば、周期表第8族金属、周期表第1B族金属などである場合が多い。
金属ナノ粒子(A1)は、前記金属単体、前記金属の合金、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物などであってもよい。これらの金属ナノ粒子(A1)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。金属ナノ粒子(A1)は、通常、金属単体粒子、又は金属合金粒子である場合が多い。なかでも、金属ナノ粒子(A1)を構成する金属は、少なくとも銀などの貴金属(特に周期表第1B族金属)を含む金属(金属単体および金属合金)、特に貴金属単体(例えば、銀単体など)であるのが好ましい。
金属ナノ粒子(A1)はナノメーターサイズである。例えば、本発明の金属コロイド粒子における金属ナノ粒子(A1)の平均粒子径(平均一次粒子径)は、1〜100nm、好ましくは1.5〜80nm、さらに好ましくは2〜70nm、特に3〜50nm程度であってもよく、通常1〜40nm(例えば、2〜30nm)程度であってもよい。
また、本発明の金属コロイド粒子は、粗大粒子をほとんど含んでいない。そのため、前記金属ナノ粒子(A1)の最大一次粒子径は、例えば、200nm以下、好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。さらに、金属ナノ粒子(A1)(又は金属コロイド粒子)において、一次粒子径が100nm以上の粒子の割合は、金属(又は金属成分)の質量基準で、例えば、10質量%以下(例えば、0〜8質量%程度)、好ましくは5質量%以下(例えば、0.01〜3質量%)、さらに好ましくは1質量%以下(例えば、0.02〜0.5質量%程度)であってもよい。
(A2)保護コロイド
保護コロイド(A2)は、カルボキシル基を有する有機化合物(a)と、カルボキシル基を有する高分子分散剤(b)とで構成されている。
保護コロイド(A2)は、カルボキシル基を有する有機化合物(a)と、カルボキシル基を有する高分子分散剤(b)とで構成されている。
(a)カルボキシル基を有する有機化合物
有機化合物(a)は、カルボキシル基を有している。このようなカルボキシル基の数は、有機化合物(a)1分子あたり、1以上であれば特に限定されず、例えば、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
有機化合物(a)は、カルボキシル基を有している。このようなカルボキシル基の数は、有機化合物(a)1分子あたり、1以上であれば特に限定されず、例えば、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
なお、有機化合物(a)において、一部又は全部のカルボキシル基は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよい。特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)を形成していない有機化合物(すなわち、遊離のカルボキシル基を有する有機化合物)を好適に使用できる。
また、有機化合物(a)は、カルボキシル基を有している限り、カルボキシル基以外の官能基(又は金属化合物又は金属ナノ粒子に対する配位性基など)を有していてもよい。このようなカルボキシル基以外の官能基(又は配位性基)としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基{又は官能基、例えば、窒素原子を有する基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)、窒素環基(ピリジル基などの5〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基など)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基など]、酸素原子を有する基[ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基などの5〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子を有する基[例えば、チオ基、チオール基、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基など)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO2−)など]、これらの塩を形成した基(アンモニウム塩基など)など}などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて有機化合物(a)が有していてもよい。
有機化合物(a)は、これらの官能基のうち、カルボキシル基と塩を形成可能な塩基性基(特に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アンモニウム塩基など)を有していない化合物であるのが好ましい。
代表的な有機化合物(a)には、カルボン酸が含まれる。このようなカルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸[飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸などのC1-34脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC1-30脂肪族モノカルボン酸など)、不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸などのC4-34不飽和脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC10-30不飽和脂肪族モノカルボン酸)]、芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸などのC7-12芳香族モノカルボン酸など)などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸[例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのC2-14脂肪族飽和ポリカルボン酸、好ましくはC2-10脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸などのC4-14脂肪族不飽和ポリカルボン酸、好ましくはC4-10脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)など]、芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、トリメリット酸などのC8-12芳香族ポリカルボン酸など)などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシモノカルボン酸[脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、グリココール酸、リトコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸などのC2-50脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、好ましくはC2-34脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、さらに好ましくはC2-30脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などのC7-12芳香族ヒドロキシモノカルボン酸など)など]、ヒドロキシポリカルボン酸[脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などのC2-10脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸など)など]などが挙げられる。
なお、これらのカルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。なお、カルボン酸は、前記と同様に、塩(特に、アミンとの塩などの塩基性化合物との塩)を形成していない場合が多い。
有機化合物(a)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの有機化合物(a)のうち、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸および脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)などのヒドロキシカルボン酸が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の中でも、さらに、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、コール酸などのC6-34脂環族ヒドロキシカルボン酸、好ましくはC10-34脂環族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくはC16−30脂環族ヒドロキシカルボン酸)が好ましい。
また、コール酸などの多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、好ましくはC10-34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくはC14-34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特にC18-30縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸)、デヒドロコール酸、コラン酸などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくはC10-34縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくはC14-34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特にC18-30縮合多環式脂肪族カルボン酸)などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、C10-50縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくはC12-40縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくはC14-34縮合多環式脂肪族カルボン酸、特にC18-30縮合多環式脂肪族カルボン酸)は、嵩高い構造を有しており、金属ナノ粒子の凝集を抑制する効果が大きいためか好ましい。
なお、有機化合物(a)の分子量は、例えば、1000以下(例えば、46〜900程度)、好ましくは800以下(例えば、50〜700程度)、さらに好ましくは600以下(例えば、100〜500程度)であってもよい。
また、有機化合物(a)のpKa値は、例えば、1以上(例えば、1〜10程度)、好ましくは2以上(例えば、2〜8程度)程度であってもよい。
(b)高分子分散剤
本発明では、保護コロイドを、前記有機化合物(a)と高分子分散剤(b)とで組み合わせて構成する。このような組み合わせで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない金属ナノ粒子を含む金属コロイド粒子が得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組み合わせにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、金属ナノ粒子の割合を大きくでき、金属コロイド粒子(およびその分散液)の保存安定性にも優れている。前記組み合わせによりこのような優れた金属コロイド粒子となる理由は定かではないが、以下のような理由が考えられる。
本発明では、保護コロイドを、前記有機化合物(a)と高分子分散剤(b)とで組み合わせて構成する。このような組み合わせで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない金属ナノ粒子を含む金属コロイド粒子が得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組み合わせにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、金属ナノ粒子の割合を大きくでき、金属コロイド粒子(およびその分散液)の保存安定性にも優れている。前記組み合わせによりこのような優れた金属コロイド粒子となる理由は定かではないが、以下のような理由が考えられる。
まず、高分子分散剤は、その構造から、比較的大きな粒子を分散安定化する効果に優れているが、比較的小さな粒子の安定化効果が十分ではないため、金属ナノ粒子原料の濃度を大きくすると、生成する粒子を十分に安定化できなくなる。一方、このようなナノ粒子の合成初期段階に生成する比較的小さい粒子を、前記有機化合物が分散安定化する。このような有機化合物(a)と高分子分散剤(b)との相乗的な作用により、金属ナノ粒子の原料が高濃度であっても粗大粒子の生成を抑えて金属ナノ粒子を生成できるものと考えられる。
高分子分散剤(又は高分子型分散剤)(b)としては、金属ナノ粒子(A1)を被覆可能であれば特に限定されないが、両親媒性の高分子分散剤(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。
高分子分散剤としては、通常、塗料、インキ分野などで着色剤の分散に用いられている高分子分散剤が例示できる。このような分散剤には、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリンなど)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが含まれる。
代表的な高分子分散剤(両親媒性の高分子分散剤)としては、親水性モノマーで構成された親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含む樹脂(又は水溶性樹脂、水分散性樹脂)が含まれる。
前記親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基又は酸無水物基含有単量体(アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル系単量体、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸など)、ヒドロキシル基含有単量体(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなど)などの付加重合系モノマー;アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)などの縮合系モノマーなどが例示できる。前記縮合系モノマーは、ヒドロキシル基などの活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体など)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。親水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
高分子分散剤は、少なくとも親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含んでいればよく、親水性モノマーの単独又は共重合体(例えば、ポリアクリル酸又はその塩など)であってもよく、前記例示のスチレン系樹脂やアクリル系樹脂などのように、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマーであってもよい。疎水性モノマー(非イオン性モノマー)としては、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルなど]などの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;α−C2-20オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなど)などのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。疎水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて疎水性ユニットを構成していてもよい。
高分子分散剤がコポリマー(例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマー)である場合、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー(例えば、親水性モノマーで構成された親水性ブロックと、疎水性モノマーで構成された疎水性ブロックとで構成されたコポリマー)、くし型コポリマー(又はくし型グラフトコポリマー)などであってもよい。前記ブロックコポリマーの構造は、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロックおよび疎水性ブロックで構成してもよい。
なお、前記のように、親水性ユニットは、アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)で構成された親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド)などの縮合系ブロックで構成することもできる。親水性ブロック(ポリアルキレンオキシドなど)と疎水性ブロック(ポリオレフィンブロックなど)とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合などの連結基を介して結合していてもよい。これらの結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィンなど)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミンなど]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。また、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有するモノマー(前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)から得られるポリマーと、前記縮合系の親水性モノマー(エチレンオキシドなど)とを反応(又は結合)させることにより、くし型コポリマー(主鎖が疎水性ブロックで構成されたくし型コポリマー)を形成してもよい。
さらに、共重合成分として、親水性の非イオン性モノマーを使用することにより、親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。このような成分としては、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1000程度)などのアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどを例示できる。また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
高分子分散剤(b)は、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて高分子分散剤(b)が有していてもよい。
これらの官能基のうち、高分子分散剤(b)は、酸基、特に、カルボキシル基を有しているのが好ましい。
また、高分子分散剤(b)が、酸基(カルボキシル基など)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基など)は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよいが、特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)などの酸基が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)]を形成していない高分子分散剤[すなわち、遊離の酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤]を好適に使用できる。
酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤(b)において、酸価は、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、2〜100mgKOH/g程度)、好ましくは3mgKOH/g以上(例えば、4〜90mgKOH/g程度)、さらに好ましくは5mgKOH/g以上(例えば、6〜80mgKOH/g程度)、特に7mgKOH/g以上(例えば、8〜70mgKOH/g程度)であってもよく、通常3〜50mgKOH/g(例えば、5〜30mgKOH/g)程度であってもよい。なお、酸基を有する高分子分散剤(b)において、アミン価は0(又はほぼ0)であってもよい。
なお、高分子分散剤において、上記のような官能基の位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基など)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸など)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。
高分子分散剤(b)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、高分子分散剤として、前記特許文献2の記載の高分子分散剤(高分子量顔料分散剤)を使用してもよい。
また、高分子分散剤は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。以下に、市販の高分子分散剤(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)を具体的に例示すると、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090などのソルスパースシリーズ[アビシア(株)製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2050などのディスパービックシリーズ[ビックケミー(株)製];EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル(株)製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911などのアジスパーシリーズ[味の素(株)製];フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745Wなどのフローレンシリーズ[共栄社化学(株)製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー(株)製]などが挙げられる。
これらのうち、酸基を有する高分子分散剤には、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。
高分子分散剤(b)の数平均分子量は、例えば、1500〜100000、好ましくは2000〜80000(例えば、2000〜60000)、さらに好ましくは3000〜50000(例えば、5000〜30000)、特に7000〜20000程度であってもよい。
金属コロイド粒子において、保護コロイド(A2)(有機化合物(a)および高分子分散剤(b)の総量)の割合は、金属ナノ粒子(A1)100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部(例えば、0.5〜80質量部)、好ましくは1〜60質量部(例えば、1.5〜50質量部)、さらに好ましくは2〜40質量部(例えば、3〜30質量部)、特に4〜25質量部(例えば、5〜20質量部)程度であってもよく、通常10〜50質量部程度であってもよい。本発明では、前記特定の組み合わせにより保護コロイドを構成するので、上記のような比較的少ない量の保護コロイドであっても、粗大粒子の少ない金属ナノ粒子とすることができる。
なお、金属コロイド粒子において、有機化合物(a)の割合は、例えば、金属ナノ粒子(A1)100質量部に対して、例えば、0.05〜70質量部(例えば、0.1〜50質量部)、好ましくは0.5〜40質量部(例えば、1〜30質量部)、さらに好ましくは2〜20質量部(例えば、3〜15質量部)程度であってもよい。
また、金属コロイド粒子において、高分子分散剤(b)の割合は、例えば、金属ナノ粒子(A1)100質量部に対して、例えば、0.01〜50質量部(例えば、0.05〜30質量部)、好ましくは0.1〜30質量部(例えば、0.5〜20質量部)、さらに好ましくは1〜15質量部(例えば、2〜10質量部)程度であってもよい。
さらに、金属コロイド粒子において、有機化合物(a)と高分子分散剤(b)との割合(溶媒などを含む場合は固形分)は、前者/後者(質量比)=99/1〜1/99(例えば、95/5〜5/95)、好ましくは85/15〜10/90(例えば、75/25〜15/85)、さらに好ましくは70/30〜20/80(例えば、60/40〜25/75)、特に55/45〜30/70(例えば、50/50〜35/65)程度であってもよい。
なお、本発明の金属コロイド粒子は、保護コロイドとして少なくとも前記保護コロイド(A2)を含んでいればよく、他の保護コロイドを含んでいてもよい。他の保護コロイドは、無機化合物であってもよいが、通常、有機化合物である。
他の保護コロイドとしては、例えば、酸素原子含有有機化合物{例えば、アルコール類[例えば、アルカノール類(ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールなどのC6-20アルカンモノオール)、シクロアルカノール類(シクロヘキサノールなど)、アルカンジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ポリアルキレングリコール類(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、アラルキルアルコール類、多価アルコール類など]、エーテル類(セロソルブ類、カルビトール類など)、ケトン類[例えば、アルカノン類、シクロアルカノン類、ジケトン類(アセチルアセトンなどのβ−ジケトン類)など]、エステル類(例えば、脂肪酸エステル類、グリコールエーテルエステル類など)、アルデヒド類(カプリルアルデヒド、ラウリルアルデヒド、パルミトアルデヒド、ステアリルアルデヒドなどのC6-20脂肪族アルデヒド)など}、硫黄原子含有有機化合物[例えば、スルホキシド類、スルホン酸類(例えば、アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)など]などが挙げられる。これらの他の保護コロイドは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
他の保護コロイドの割合は、前記保護コロイド(A2)100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは0.5〜50質量部、さらに好ましくは1〜30質量部程度であってもよい。
(B)溶媒
溶媒としては、前記金属コロイド粒子を分散可能な限り特に限定されず、保護コロイドの種類に応じて、極性溶媒(水溶性溶媒)であっても、疎水性溶媒(非水溶性溶媒)であってもよい。このような溶媒は、少なくとも後述の金属コロイド粒子の製造において使用する溶媒であってもよく、この溶媒に代えて又はこの溶媒に加えて、新たに添加した溶媒であってもよい。
溶媒としては、前記金属コロイド粒子を分散可能な限り特に限定されず、保護コロイドの種類に応じて、極性溶媒(水溶性溶媒)であっても、疎水性溶媒(非水溶性溶媒)であってもよい。このような溶媒は、少なくとも後述の金属コロイド粒子の製造において使用する溶媒であってもよく、この溶媒に代えて又はこの溶媒に加えて、新たに添加した溶媒であってもよい。
極性溶媒には、水の他、水溶性有機溶媒が含まれる。水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのC1-4アルカノールなど)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミドなどのアシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのモノ又はジC1-4アシルアミド類など)、ピロリドン類(2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリドンなど)、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、有機カルボン酸類(酢酸など)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのC1-4アルキルセロソルブ類など)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC1-4アルキルセロソルブアセテート類)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどのC1-4アルキルカルビトール類など)などが例示できる。これらの極性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
疎水性溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサン、トリメチルペンタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなど)などが例示できる。これらの疎水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの極性溶媒のうち、環境保全性及び簡便性などの観点から、水溶性溶媒、例えば、水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類、ピロリドン類などの極性溶媒が好ましく、少なくとも水を含む極性溶媒(水、又は水および水溶性溶媒を含む混合溶媒など、特に水)が好ましい。後述する金属コロイド粒子の製造では、通常、水が使用されるため、溶媒として、この水を使用してもよく、新たに水及び他の極性溶媒を使用してもよい。特に、インキ組成物の安定性を向上させたり、溶媒の蒸発を抑制するために、水と、アルコール類、脂肪族多価アルコール及びピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種とを組み合わせるのが好ましい。水に対してこれらの溶媒を組み合わせる場合、アルコール類の割合は、水100質量部に対して、例えば、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部(特に5〜15質量部)程度であってもよい。脂肪族多価アルコール類及びピロリドン類の割合は、それぞれ、水100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部程度である。
このような分散液で構成されたインキ組成物中において、金属コロイド粒子(A)は、溶媒に対して高い分散性を有し、長期間に亘り高い分散安定性を示す。インキ組成物を構成する分散液中の金属ナノ粒子(A1)(金属の質量換算)の濃度は、高い分散性を有するため、特に制限されず、0.1〜60質量%程度の範囲から選択できるが、例えば、0.3〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜10質量%(特に1〜5質量%)程度である。分散液は、このような高濃度で金属ナノ粒子(A1)を含んでいても、沈降などを生じることなく長期安定性に優れている。
なお、分散液中において、保護コロイドで被覆された金属ナノ粒子(A1)もナノメーターサイズであり、その平均粒子径(平均一次粒子径)などは、前記と同様の範囲から選択できる。
インキ組成物を構成する分散液には、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤、例えば、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤又は分散剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、バインダー樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子など)、増粘剤又は粘度調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、分散液を構成する固形分全体に対する金属ナノ粒子(A1)の固形分濃度(又は金属コロイド粒子における金属ナノ粒子(A1)の濃度)は、用途に応じて限定されないが、例えば、50質量%以下(例えば、5〜45質量%)、好ましくは40質量%以下(例えば、7〜35質量%)、さらに好ましくは30質量%以下(例えば、8〜25質量%)であってもよい。このような範囲でインキ組成物中の金属ナノ粒子濃度を調整すると、インキとして十分な金属光沢が得られやすい。
[インキ組成物の製造方法]
本発明のインキ組成物は、慣用の方法、例えば、前記金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、保護コロイド(A2)(および必要に応じて前記他の保護コロイド)および還元剤の存在下、溶媒中で還元することにより調製できる。
本発明のインキ組成物は、慣用の方法、例えば、前記金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、保護コロイド(A2)(および必要に応じて前記他の保護コロイド)および還元剤の存在下、溶媒中で還元することにより調製できる。
前記金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物は、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)など]などであってもよい。なお、金属塩の形態は、単塩、複塩又は錯塩のいずれであってもよく、多量体(例えば、2量体)などであってもよい。これらの金属化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属化合物のうち、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)など]などを使用する場合が多い。なお、これらの金属化合物は、溶媒に溶解又は分散させて(例えば、水溶液などの水系溶媒の溶液の形態で)用いてもよい。
還元剤としては、慣用の成分、例えば、水素化ホウ素ナトリウム類(水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウムなど)、水素化アルミニウムリチウム、次亜リン酸又はその塩(ナトリウム塩など)、ボラン類(ジボラン、ジメチルアミンボランなど)、ヒドラジン、ホルマリン、アミン類などが例示できる。
アミン類としては、脂肪族アミン類(例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンなどのアルカンアミン;トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリアルキレンポリアミンなど)、脂環式アミン類(例えば、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリンなど)、芳香族アミン類(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなど)、芳香脂肪族アミン類(例えば、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミンなどのアラルキルアミン)、アルコールアミン類[特にアルカノールアミン類、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール(2−(ジメチルアミノ)エタノール)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどのC2-10アルカノールアミン、好ましくはC2-6アルカノールアミン]が挙げることができる。
これらのうち、安全性などの点で、アミン類、特に、アルカノールアミン類などのアルコールアミン類が好ましい。アルカノールアミン類は、通常、水溶性である場合が多く、水又は水系溶媒を溶媒とする場合には、好適である。
これらの還元剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
還元剤の使用量は、金属原子換算で前記金属化合物1当量(又は1モル)に対して、1〜30モル(例えば、1.2〜20モル)、好ましくは1.5〜15モル、さらに好ましくは2〜10モル程度であってもよく、通常1〜5モル程度であってもよい。
還元反応は、慣用の方法、例えば、温度10〜75℃(例えば、15〜50℃、好ましくは20〜35℃)程度で行うことができる。反応系の雰囲気は、空気、不活性ガス(窒素ガスなど)であってもよく、還元性ガス(水素ガスなど)を含む雰囲気であってもよい。また、反応は、通常、攪拌下(又は攪拌しながら)で行ってもよい。
なお、反応溶媒は、前記と同様の溶媒(例えば、水など)を使用できる。反応溶媒は、前記分散液を構成する前記溶媒を用いてもよく、前記分散液を構成する溶媒とは異なる溶媒を用いてもよい。具体的には、反応溶媒は、保護コロイドの種類に応じて、前記極性溶媒及び疎水性溶媒の中から選択でき、通常、保護コロイドが水溶性化合物である場合には、水などの極性溶媒を用いることが多い。極性溶媒は反応系に添加される成分、例えば、還元剤などの溶媒に由来してもよい。一方、保護コロイドが非水溶性化合物である場合には、脂肪族炭化水素類(トリメチルペンタンなど)などの疎水性溶媒を用いることが多く、必要により、疎水性溶媒と極性溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ジメチルアセトアミドなどのアミド類など)との混合溶媒を用いてもよい。なお、反応溶媒中の前記金属化合物の濃度は、金属の質量換算で、前記分散液中の金属ナノ粒子(A1)の濃度と同様の濃度、例えば、5質量%以上(例えば、6〜50質量%)、好ましくは8質量%以上(例えば、9〜40質量%)、さらに好ましくは10質量%以上(例えば、12〜30質量%)、通常5〜30質量%程度の高濃度であってもよい。本発明では、このような高濃度で反応させても、粗大粒子の生成をおさえつつ効率よく金属ナノ粒子を得ることができる。
なお、反応溶媒の種類などに応じて反応系のpHを調整してもよい。
pH調整は、慣用の方法、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸)、アルカリ[水酸化ナトリウム、アンモニアなどの無機塩基、アミン類(例えば、アルキルアミン、アルカノールアミンなどの第三級アミン類などの有機塩基)などの塩基類]を用いて行うことができる。
本発明のインキ組成物は、還元反応の終了後、反応混合液を慣用の方法により濃縮や精製を行ってもよいが、このような処理をしなくても、そのまま(又は慣用的に使用される溶媒を加えるだけで)インクジェットプリンターで吐出可能なインキ組成物として調製できることが大きな特徴である。すなわち、本発明では、前記特定の組み合わせにより保護コロイドを構成するので、前記のように、比較的少ない量の保護コロイドであっても、粗大粒子の少ない金属ナノ粒子とすることができ、精製しなくても金属コロイド粒子を調製できる。
なお、必要であれば、得られた金属コロイド粒子及び溶媒を含む分散液から反応に使用した溶媒を除去し、新たな異種の溶媒(必要により他の添加剤)を加えてインキ組成物を調製してもよいが、通常、得られた分散液に、さらに新たな同種又は異種の溶媒や添加剤を加えて調製される。
本発明のインキ組成物は、インクジェットプロッター、インクジェットプリンター、インクジェットディスペンサーなどのインクジェット印刷方式のインキとして利用される。インクジェット印刷方式は、バブルジェット方式(サーマル方式)、ピエゾ(圧電素子)方式のいずれであってもよい。さらに、油性インキを用いたインクジェット印刷方式であってもよいが、本発明のインキ組成物が水性インキとして好適であるため、水性インキを用いたインクジェット印刷方式に好適である。
また、本発明のインキ組成物は、各種の基板(被印刷板)に対して、光沢を発現できるとともに、基板上に強固に固定される。基板としては、例えば、紙類(クラフト紙、シリカやアルミナなどの無機粒子を含むコーティング剤で被覆された光沢紙など)、布(織布や不織布など)、化学繊維紙、合成紙、プラスチックフィルム(又はOHPシート)(ポリプロピレンフィルムなどのオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルムなど)などが利用可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する高分子分散剤(ビッグケミー製、「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40%、酸価10mgKOH/g、アミン価0)7.2g、及びコール酸(和光純薬製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温50℃のウォーターバス中で4時間加熱撹拌した。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC製GC−90、ポアサイズ0.8マイクロメートル)でろ過し、銀を15質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。この分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀ナノ粒子の粒径を確認したところ、一次粒子の個数平均粒子径は約20nmであった。
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する高分子分散剤(ビッグケミー製、「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40%、酸価10mgKOH/g、アミン価0)7.2g、及びコール酸(和光純薬製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温50℃のウォーターバス中で4時間加熱撹拌した。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC製GC−90、ポアサイズ0.8マイクロメートル)でろ過し、銀を15質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。この分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀ナノ粒子の粒径を確認したところ、一次粒子の個数平均粒子径は約20nmであった。
得られた銀コロイド粒子を含む分散液2gに、N−メチル−2−ピロリドン1g、グリセリン1g、イソプロパノール0.4g、イオン交換水5.6gを混合して撹拌し、銀濃度3質量%のインキ組成物を調製した。
さらに、このインキ組成物を用いて、バブルジェット方式インクジェットプリンター(キヤノン(株)製「PIXUS iP2200」)及びピエゾ方式インクジェットプリンター(EPSON(株)製「PXV−630」)を用いて印字実験を行った。すなわち、インクジェットプリンターに対応する空のインクジェットカートリッジ(キヤノン(株)製「BC−70」「BC−71」、EPSON(株)製「ICBK31」「ICC42」「ICM42」「ICY42」)に、インキ組成物を注入して、プリンターにセットし、アルミナ化合物を主成分とするインク受容層を含む光沢紙(キヤノン(株)製、プロフェッショナルフォトペーパー、2L判)の上に印刷した。
印刷面を目視で確認したところ、鏡面で光沢のある膜が形成されていた。この印刷紙を室温で30分間放置して乾燥させた後、指で表面を擦って密着性を確認したところ、膜は下地である光沢紙と強固に密着しており、剥がれなかった。触針式表面粗さ計(Veeco(株)製、Dektak 6M)で膜厚を測定したところ、膜厚は50〜200nmであった。所定の面積(2.5cm×2.5cmn)の全面を印刷した部分の抵抗を四探針法で測定した結果、シート抵抗は0.8Ω/□であったため、比抵抗4〜16μΩcmの金属膜が形成されていることが確認できた。
一方、インキ組成物を充填したインクカートリッジを、インクジェットプリンターにセットし、1日後、1月後、3月後、半年後に描画し、ノズルからの吐出詰まりを確認した。その結果、半年後でも印刷面にかすれや滲みは確認できなかった。
実施例2
実施例1で得られた分散液に、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、イソプロパノール及びイオン交換水を混合して撹拌し、銀濃度3質量%、水65質量%、N−メチル−2−ピロリドン10質量%、イソプロパノール3質量%、グリセリン10質量%のインキ組成物を調製した。実施例1と同様の評価実験を行ったところ、実施例1と同様の結果であった。
実施例1で得られた分散液に、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、イソプロパノール及びイオン交換水を混合して撹拌し、銀濃度3質量%、水65質量%、N−メチル−2−ピロリドン10質量%、イソプロパノール3質量%、グリセリン10質量%のインキ組成物を調製した。実施例1と同様の評価実験を行ったところ、実施例1と同様の結果であった。
Claims (12)
- 金属ナノ粒子(A1)とこの金属ナノ粒子(A1)を被覆する保護コロイド(A2)とで構成された金属コロイド粒子(A)及び溶媒(B)を含む分散液で構成された組成物であって、前記保護コロイド(A2)がカルボキシル基を有する有機化合物(a)及び高分子分散剤(b)を含むインクジェット印刷用インキ組成物。
- 金属ナノ粒子(A1)を構成する金属が、少なくとも貴金属を含む金属である請求項1記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- 金属ナノ粒子(A1)を構成する金属が銀単体であり、金属ナノ粒子(A1)の平均粒子径が1〜100nmである請求項1又は2記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- カルボキシル基を有する有機化合物(a)がC6-34脂環族ヒドロキシカルボン酸であり、高分子分散剤(b)がカルボキシル基を有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- カルボキシル基を有する有機化合物(a)がC14-34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸であり、カルボキシル基を有する高分子分散剤(b)が酸価5mgKOH/g以上の高分子分散剤である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- カルボキシル基を有する有機化合物(a)とカルボキシル基を有する高分子分散剤(b)との割合が、前者/後者(質量比)=85/15〜10/90である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- 保護コロイド(A2)の割合が、金属ナノ粒子(A1)100質量部に対して1〜60質量部であり、カルボキシル基を有する有機化合物(a)と高分子分散剤(b)との割合が、前者/後者(質量比)=70/30〜20/80である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- 溶媒(B)が、水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類及ピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種を含む溶媒である請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- 結着樹脂を実質的に含有しない請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物。
- 金属ナノ粒子(A1)に対応する金属化合物を、保護コロイド(A2)及び還元剤の存在下、溶媒中で還元し、請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット印刷用インキ組成物を製造する方法。
- 還元剤がアルカノールアミン類であり、還元剤の使用量が金属原子換算で金属化合物1モルに対して1〜5モルである請求項10記載の製造方法。
- 還元により得られる分散液に、さらに水、アルコール類、脂肪族多価アルコール類及ピロリドン類からなる群から選択された少なくとも一種を含む溶媒を混合し、溶媒中の金属化合物の濃度を金属の質量換算で1〜10質量%に調製する請求項10又は11記載の製造方法。
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