JP2018034500A - 印刷物、印刷方法、および印刷装置 - Google Patents

印刷物、印刷方法、および印刷装置 Download PDF

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由昌 宮沢
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Abstract

【課題】本発明は、写像性に優れ、かつ金属光沢を有する印刷物を提供することを目的とする。【解決手段】多孔質を有する被印刷媒体と印刷層とを有する印刷物において、該印刷層は、銀を含み、該印刷層の印刷面は、JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値が5.0以上であり、かつ、b*値が−7.0〜+4.0である印刷面を有する印刷物。被印刷媒体の多孔質の平均孔径が100nm〜400nmであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷物、印刷方法、および印刷装置に関する。
金属光沢を有するものは人々にきらびやかな印象を与えるため日常生活のあらゆる場面で目にする機会が多い。金属そのものを用いてその意匠性を付与する場合もあるが、基材に金属光沢を有する着色組成物をコートすることにより意匠性を付与することが多い。
前記コートする方法としては、光輝性を有する顔料を含む印刷インキを用いて各種印刷方式で印刷する方法や、接着剤や熱融着により転写箔する方法が用いられてきた。
金属光沢の中でも、とりわけ金色は富の象徴であり、太古の昔から人々に好まれてきており、正月などのおめでたい行事には欠かせない色である。一方、銀色も落ち着いた風合いで人気が高く、様々な場面で見かけることが多い。また、銀色は金色と異なり、その他の色の着色組成物と混合することにより、金色を含む様々な金属光沢色を表現することができるため、金色よりも汎用性が高く、産業上利用価値が高い。
従来、銀色の金属光沢を有する着色組成物に用いられる顔料としてはアルミニウム微粒子が広く使用されている。しかし、アルミニウム微粒子は、比重が重いため着色組成物中に安定に存在し難く、経時で沈降し、場合によっては固着してしまい、ハードケーキを形成してしまうという課題がある。
また、環境負荷の低減のため、印刷インキなどの着色組成物は、有機溶剤を極力使用しない水系のものに次々と置き換わっているが、アルミニウム微粒子は、水と反応して水素ガスを発生する上に、アルミニウムからアルミナに変化してしまうため、金属光沢も失われてしまうという課題があった。
また、アルミニウム微粒子に限らず光輝性顔料は、耐擦過性が悪く、強くこすると剥がれてしまうという問題があった。
また、インクジェット印刷技術の発展により、インクジェット印刷でも金属光沢を有する印刷物を得たいという要望が高まってきており、例えば特許文献1に記載のある市販の鱗片状アルミニウム顔料や酸化チタン被覆マイカ顔料などが光輝顔料としてインクジェットインクに利用されている。
また、特許文献2には金属をスパッタまたは蒸着にて膜形成したものを剥がして得た鱗片状金属にインク中で容易に沈降しない処理を施し、これを分散媒に分散してインク原料としてインクを得ることが記載されている。
また、耐水化アルミニウム顔料を使用することにより、アルミニウム粒子と水とが反応し水素ガスの発生を抑制することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
近年、被印刷媒体の多様化が進んでいる。例えばオフィスでの印刷物から商用印刷などの大型印刷物までの広い分野で印刷物が用いられており、各色を混色したフルカラー画像を表現することが可能となっているが、高い鏡面写像性を有した印刷物を得るには至っていないのが現状である。
金属光沢、とりわけ高い鏡面写像性の高い銀色を得ることができれば、各色と混色させることでフルカラーの鏡面写像性の高い印刷物を得ることが出来るため、産業上の利用価値は非常に高い。
例えば、特許文献4には、王研式平滑度が200秒以上、またはJIS Z8741に規定した60度鏡面光沢度が20以上である多孔質の被印刷表面に金属コロイドを含むインク組成物を印刷することで、JIS Z8741に規定した20度鏡面光沢度が75以上の印刷面を得ることが記載されている。
また、特許文献5にはインク非吸収性または低吸収性の被印刷媒体にインクジェット記録方法で下地層を先に設け、その後、この下地層上に水系光輝性インクを記録して、光輝性層の膜厚を0.05〜5μmとすることが記載されている。
従来の金属光沢を有する印刷物は写像性において十分なものではなかった。
本発明は写像性に優れる金属光沢を有する印刷物を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は以下に記載する通りの印刷物に係るものである。
多孔質を有する被印刷媒体と印刷層とを有する印刷物において、
該印刷層は、銀を含み、
該印刷層の印刷面は、JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値が5.0以上であり、かつ、b*値が−7.0〜+4.0である印刷面を有する印刷物。
本発明の印刷物は写像性に優れ、かつ金属光沢を有するという効果を奏する。
本発明のインクを用いる記録装置の一例を示す図である。 本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。
本発明は下記実施形態(1)のインクに係るものであるが、下記(2)〜(13)を発明の実施形態として含むのでこれらの実施形態(2)〜(13)についても合わせて説明する。
(1)多孔質を有する被印刷媒体と印刷層とを有する印刷物において、
該印刷層は、銀を含み、
該印刷層の印刷面は、JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値が5.0以上であり、かつ、b*値が−7.0〜+4.0である印刷面を有する印刷物。
(2)前記印刷層の平均膜厚が50nm〜300nmである上記(1)に記載の印刷物。
(3)前記被印刷媒体の多孔質の平均孔径が100nm〜400nmである上記(1)または(2)に記載の印刷物。
(4)前記被印刷媒体が多孔質からなる多孔質層を有し、該多孔質層の厚さが1μm〜50μmである上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の印刷物。
(5)前記被印刷媒体の多孔質層がシリカまたはアルミナを有する上記(4)に記載の印刷物。
(6)前記印刷層の上に樹脂層を有する上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の印刷物。
(7)前記樹脂層の膜厚が5μm〜300μmの範囲にある上記(6)に記載の印刷物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の印刷物を得るための印刷方法であって、銀粒子を含むインクに熱エネルギー又は力学的エネルギーを作用させて、該インクを、多孔質を有する被印刷媒体に吐出するインクジェット方式で印刷する印刷方法。
(9)前記被印刷媒体として、多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体を用い、前記銀粒子を含むインクとして、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを用いる上記(8)に記載の印刷方法。
(10)前記銀粒子を含むインク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下である上記(8)または(9)に記載の印刷方法。
(11)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の印刷物を得るための印刷装置であって、
被印刷媒体にインクを吐出する吐出機構を有し、
前記インクとして、インク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下であり、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを有し、
前記被印刷媒体は多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体である印刷装置。
(12)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の印刷物を得るためのインクジェット印刷装置であって、
インクを収容したインク収容部若しくはインクカートリッジと、
前記インクをエネルギーの作用により滴化し吐出させるためのインクジェット記録ヘッド部若しくは当該ヘッド部を備えた記録ユニットとを備え、
前記インクとして、インク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下であり、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを有し、
前記被印刷媒体は多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体であるインクジェット印刷装置。
(13)樹脂層を設けるラミネート被覆機構を有する上記(11)または(12)に記載の印刷装置。
市販の鱗片状アルミニウム顔料や酸化チタン被覆マイカ顔料などを光輝顔料としてインクジェットインクに利用する場合、光輝顔料は粒子径が大きくインクジェットヘッドで安定して吐出させることが出来ず、すぐに吐出不良を引き起こしてしまう。
鱗片状アルミニウム顔料がインク中で容易に沈降しない処理を施した場合、インクを未使用の状態で放置すると、ノズル詰まりが生じる。
耐水化アルミニウム顔料は、水系インクとした場合に水素が発生し、安全性に問題がある。
本発明の上記実施形態によれば、画像堅牢性と耐擦過性に優れる金属光沢を有する印刷物を提供することが可能であり、本発明の実施形態において用いる銀粒子を含むインクは、吐出不良がなく、放置した場合の分散安定性や安全性に優れるインクである。
<印刷物>
本発明の印刷物は、多孔質を有する被印刷媒体と印刷層とを有する印刷物であり、該印刷層は、銀を含み、該印刷層の印刷面は、JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値が5.0以上であり、かつ、b*値が−7.0〜+4.0である。
前記印刷層が銀を含むことは、SEM−EDS装置すなわち、走査型顕微鏡とX線分析装置の機能がある装置で測定が可能である。また、印刷物を蛍光X線装置にかけて銀を検出することも可能である。
前記印刷物は、銀粒子を含むインクに熱エネルギー又は力学的エネルギーを作用させて、該インクを、多孔質を有する被印刷媒体に吐出するインクジェット方式で印刷する印刷方法により得ることができる。
<銀粒子を含むインク>
本実施形態にかかる光輝性顔料は銀である。銀は、各種金属の中でも白色度が高い金属であり、他色のインクと組み合わせることで、様々な金属色を実現することが出来るため好ましい。また、銀は水との反応性が弱いため水中でも安定である。その結果、環境負荷が低減できる水系光輝性インクへの展開が可能であり好ましい。以下、銀インクに用いる銀粒子、有機溶剤、水、樹脂、添加剤等について説明する。銀粒子を含む銀コロイドを水や保湿機能を有する溶媒でインクとして調製し、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。さらに必要に応じて樹脂を加えてもよい。
<銀粒子>
銀粒子の平均粒子径は、15nm以上100nm以下であることが好ましく、30nm以上60nm以下であることがより好ましい。15nm以上であると、インク受容層中に銀粒子が数多く入り込み、印刷物中の最下面にナノ粒子が数多く存在することで、銀のナノ粒子としての色味(黄色)が反映してしまって色味が不自然になる、というようなことがなく、良好に金属光沢が発現し好ましい。また、100nm以下であると、経時で銀粒子が沈降することなく吐出が安定して好ましい。なお、本明細書では、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、一次粒子の個数平均粒子径を指すものとする。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することが出来る。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社)を用いることが出来る。
銀粒子を含むインク(以下「銀インク」ともいう。)中における銀粒子の含有率は、高い写像性と金属光沢を好適に発現させ、銀粒子の分散安定性と良好な銀インクの保存安定性、吐出安定性を得る点から1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上12質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
<銀コロイド液>
銀粒子は、その表面に保護コロイドが付着した銀コロイドとして、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、銀粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、銀インクの保存安定性が著しく向上する。銀コロイドは、いかなる方法で調製されたものであってもよく、例えば、銀イオンを含む溶液を用意し、この銀イオンを保護コロイドの存在下で還元剤により還元することにより、得ることが出来る(例えば、特開2006−299329号公報参照)。これら方法によって金属コロイドを製造する際に、還元反応の前後の、任意の時点で水溶液に界面活性剤等を加えると、金属粒子の分散安定性はさらに向上する。
保護コロイドとしては、銀粒子表面を保護する役割を果たす有機物であれば特に限定されないが、カルボキシル基を有する有機化合物、高分子分散剤が好ましく、いずれかを単独で使用しても、併用しても構わないが、併用した方が相乗効果があるため、より好ましい。
<カルボキシル基を有する有機化合物>
カルボキシル基を有する有機化合物のカルボキシル基の数は、1分子あたり、1以上であれば特に限定されず、例えば、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
なお、カルボキシル基を有する有機化合物において、一部又は全部のカルボキシル基は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよい。特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)]を形成していない有機化合物(すなわち、遊離のカルボキシル基を有する有機化合物)を好適に使用できる。
また、カルボキシル基を有する有機化合物は、カルボキシル基を有している限り、カルボキシル基以外の官能基(又は金属化合物又は金属ナノ粒子に対する配位性基など)を有していてもよい。
このようなカルボキシル基以外の官能基(又は配位性基)としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基又は官能基{例えば、窒素原子を有する基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)、窒素環基(ピリジル基などの5〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基など)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基など]、酸素原子を有する基[ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基などの5〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子を有する基[例えば、チオ基、チオール基、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基など)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO2−)など]、これらの塩を形成した基(アンモニウム塩基など)など}などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせてカルボキシル基を有する有機化合物が有していてもよい。
カルボキシル基を有する有機化合物は、これらの官能基のうち、カルボキシル基と塩を形成可能な塩基性基(特に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アンモニウム塩基など)を有していない化合物であるのが好ましい。
代表的なカルボキシル基を有する有機化合物には、カルボン酸が含まれる。このようなカルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸[飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸などのC1−34脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC1−30脂肪族モノカルボン酸など)、不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸などのC4−34不飽和脂肪族モノカルボン酸、好ましくはC10−30不飽和脂肪族モノカルボン酸など)]、芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸などのC7−12芳香族モノカルボン酸など)などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸[例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのC2−14脂肪族飽和ポリカルボン酸、好ましくはC2−10脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸などのC4−14脂肪族不飽和ポリカルボン酸、好ましくはC4−10脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)など]、芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、トリメリット酸などのC8−12芳香族ポリカルボン酸など)などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシモノカルボン酸[脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、グリココール酸、リトコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸などのC2−50脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、好ましくはC2−34脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、さらに好ましくはC2−30脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などのC7−12芳香族ヒドロキシモノカルボン酸など)など]、ヒドロキシポリカルボン酸[脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などのC2−10脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸など)など]などが挙げられる。
なお、これらのカルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。なお、カルボン酸は、前記と同様に、塩(特に、アミンとの塩などの塩基性化合物との塩)を形成していない場合が多い。カルボキシル基を有する有機化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのカルボキシル基を有する有機化合物のうち、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸および脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)などのヒドロキシカルボン酸が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の中でも、さらに、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、コール酸などのC6−34脂環族ヒドロキシカルボン酸、好ましくはC10−34脂環族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくはC16−30脂環族ヒドロキシカルボン酸)が好ましい。
また、コール酸などの多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、好ましくはC10−34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくはC14−34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特にC18−30縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸)、デヒドロコール酸、コラン酸などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくはC10−34縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくはC14−34縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特にC18−30縮合多環式脂肪族カルボン酸)などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、C10−50縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくはC12−40縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくはC14−34縮合多環式脂肪族カルボン酸、特にC18−30縮合多環式脂肪族カルボン酸)は、嵩高い構造を有しており、銀粒子の凝集を抑制する効果が大きいため好ましい。
なお、カルボキシル基を有する有機化合物の分子量は、例えば、1000以下(例えば、46〜900程度)、好ましくは800以下(例えば、50〜700程度)、さらに好ましくは600以下(例えば、100〜500程度)であってもよい。
また、カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値は、例えば、1以上(例えば、1〜10程度)、好ましくは2以上(例えば、2〜8程度)程度であってもよい。
<高分子分散剤>
本発明では、保護コロイドを、前記カルボキシル基を有する有機化合物と高分子分散剤とで組み合わせて構成する。このような組み合わせで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組み合わせにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(およびその分散液)の保存安定性にも優れている。
高分子分散剤(又は高分子型分散剤)としては、銀粒子を被覆可能であれば特に限定されないが、両親媒性の高分子分散剤(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。
高分子分散剤としては、通常、塗料、インキ分野などで着色剤の分散に用いられている高分子分散剤が例示できる。このような分散剤には、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリンなど)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが含まれる。
代表的な高分子分散剤(両親媒性の高分子分散剤)としては、親水性モノマーで構成された親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含む樹脂(又は水溶性樹脂、水分散性樹脂)が含まれる。
前記親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基又は酸無水物基含有単量体(アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル系単量体、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸など)、ヒドロキシル基含有単量体(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなど)などの付加重合系モノマー;アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)などの縮合系モノマーなどが例示できる。
前記縮合系モノマーは、ヒドロキシル基などの活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体など)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。親水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
高分子分散剤は、少なくとも親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含んでいればよく、親水性モノマーの単独又は共重合体(例えば、ポリアクリル酸又はその塩など)であってもよく、前記例示のスチレン系樹脂やアクリル系樹脂などのように、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマーであってもよい。疎水性モノマー(非イオン性モノマー)としては、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルなど]などの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;α−C2−20オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなど)などのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。疎水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて疎水性ユニットを構成していてもよい。
高分子分散剤がコポリマー(例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマー)である場合、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー(例えば、親水性モノマーで構成された親水性ブロックと、疎水性モノマーで構成された疎水性ブロックとで構成されたコポリマー)、くし型コポリマー(又はくし型グラフトコポリマー)などであってもよい。
前記ブロックコポリマーの構造は、特に限定されず、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロックおよび疎水性ブロックで構成してもよい。
なお、前記のように、親水性ユニットは、アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)で構成された親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド)などの縮合系ブロックで構成することもできる。
親水性ブロック(ポリアルキレンオキシドなど)と疎水性ブロック(ポリオレフィンブロックなど)とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合などの連結基を介して結合していてもよい。これらの結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィンなど)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミンなど]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。また、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有するモノマー(前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)から得られるポリマーと、前記縮合系の親水性モノマー(エチレンオキシドなど)とを反応(又は結合)させることにより、くし型コポリマー(主鎖が疎水性ブロックで構成されたくし型コポリマー)を形成してもよい。
さらに、共重合成分として、親水性の非イオン性モノマーを使用することにより、親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
このような成分としては、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1000程度)などのアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどを例示できる。
また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
高分子分散剤は、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて高分子分散剤が有していてもよい。
これらの官能基のうち、高分子分散剤は、酸基、特に、カルボキシル基を有しているのが好ましい。
また、高分子分散剤が、酸基(カルボキシル基など)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基など)は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよいが、特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)などの酸基が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)]を形成していない高分子分散剤[すなわち、遊離の酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤]を好適に使用できる。
酸基(特にカルボキシル基)を有する高分子分散剤において、酸価は、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、2〜100mgKOH/g程度)、好ましくは3mgKOH/g以上(例えば、4〜90mgKOH/g程度)、さらに好ましくは5mgKOH/g以上(例えば、6〜80mgKOH/g程度)、特に7mgKOH/g以上(例えば、8〜70mgKOH/g程度)であってもよく、通常3〜50mgKOH/g(例えば、5〜30mgKOH/g)程度であってもよい。なお、酸基を有する高分子分散剤において、アミン価は0(又はほぼ0)であってもよい。
なお、高分子分散剤において、上記のような官能基の位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。
このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基など)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸など)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。
高分子分散剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、高分子分散剤として、特開2004−207558号公報の記載の高分子分散剤(高分子顔料分散剤)を使用してもよい。
また、高分子分散剤は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
以下に、市販の高分子分散剤(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)を具体的に例示すると、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090などのソルスパースシリーズ[アビシア(株)製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2050などのディスパービックシリーズ[ビックケミー(株)製];EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル(株)製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911などのアジスパーシリーズ[味の素(株)製];フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745Wなどのフローレンシリーズ[共栄社化学(株)製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー(株)製]などが挙げられる。
これらのうち、酸基を有する高分子分散剤には、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。
高分子分散剤の数平均分子量は、例えば、1500〜100000、好ましくは2000〜80000(例えば、2000〜60000)、さらに好ましくは3000〜50000(例えば、5000〜30000)、特に7000〜20000程度であってもよい。
また近年、銀コロイド液は複数のメーカーから市販されており、その市販品を用いて上記に記載した調製方法でインクに調製することができる。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
水は、水系インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが出来る。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、銀インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好ましい。銀インクにおける水の含有量は、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することが出来るが、環境負荷を軽減でき、その他の成分を含めることができる点から10質量%以上75質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
本発明において、銀インクに樹脂を含ませると、耐擦過性や、被印刷媒体との密着性向上に効果があるため好ましい。樹脂は、水に可溶な水溶性樹脂、あるいは、水に分散可能な樹脂が好ましく、単独で用いても、併用しても構わない。
<水溶性樹脂>
水溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サボニン等のグルコキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸等のイオン性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
銀インク中に含ませる水に分散可能な樹脂は次の通りである。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
上記樹脂の含有量としては、銀インク中に0.05〜10.0質量%であり、好ましくは0.3〜4.0質量%である。この範囲であると、樹脂の機能が好適に発揮され良好な耐擦過性が得られ、また、好適に金属光沢も得られることから好ましい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2018034500
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2018034500
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
n2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCm2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−Cm2m+1でmは4〜6の整数、又はCp2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<多孔質被印刷媒体への銀粒子を含む印刷層の膜厚>
銀粒子を含むインクでの印刷層の膜厚は乾燥後の膜厚であって、印刷層の平均膜厚である。該膜厚の範囲が50nm〜300nmの範囲が好ましく、この範囲において銀色で高写像性の印刷面が得られ、51nm〜295nmの範囲がより好ましい。なお、本発明では印刷層の表面を「印刷面」という。50nm以上であると金属様の写像性が得られやすい。すなわち、金属微粒子としてのプラズモン吸収に由来する茶色の色調が強くなることがなく高い写像性を有する印刷面が得られる。言い換えると色調として赤みがかった色調が強くなることがなく、写像性、色調ともに銀色で高写像性の印刷面が得られる。一方、300nm以下の膜厚では、銀粒子を含むインクのビヒクルを多孔質層が直ちに吸収、吸着できる膜厚範囲となり、銀微粒子の色、すなわち茶色が印刷表面に現れ、赤みがかった色調が強くなることがなく、写像性、色調ともに銀色で高写像性の印刷面が得られる。また、少なくとも銀粒子1つ分の膜厚は必要であり、粒子が並ぶ横方向に粒子の相互作用が増加して本来の金属様の写像性が得られる。また、縦方向に8個分の粒子径を越えない範囲では、前述の膜厚の上限値同様に銀粒子を含むインクのビヒクルを多孔質層が直ちに吸収、吸着できる膜厚範囲となり、銀微粒子の色、すなわち茶色が印刷表面に現れ、赤みがかった色調が強くなることがなく、写像性、色調ともに銀色で高写像性の印刷面が得られる。
<印刷層の膜厚の測定方法>
印刷物を切断し、その断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で断面観察することにより銀を含むインク印刷層の膜厚を測定することができる。
<JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値について>
本発明では、「写像性値」は、JIS−H8686で規定される写像性測定方法により得られる写像性値を意味する。具体的には、スリットを通して測定対象面に45度の角度で当てられた光の反射光(受光角45度)を、移動する光学くしを通して検知する光学装置と、検知した光量の波動を波形として記憶する計測装置とで構成された写像性測定装置を用い、光学くしを通して検知された光量の変動波形から、次の算式により写像性値Cが得られる。
Cl(n)=M−m/M+m×100
ここで、Cl(n)は、光学くし幅がn(mm)のときの写像性値(%)、Mは、光学くし幅がn(mm)のときの最高波高、mは、光学くし幅がn(mm)のときの最低波高を示す。
本発明では、写像性測定装置として、スガ試験機ICM−1型を使用し、光学くし幅nを2.0mmとしている。
対向物が写りこむ高い写像性を有するには写像性(2mm)の値で5.0以上が必要であって、好ましくは6以上、さらに好ましくは30以上である。写像性についての上限であるが、実像が写りこむような高い鏡面を有するものは最大値でも98であるので上限値は98となる。
<b*値について>
本発明では高写像性を有し、銀色の印刷面を確保するには、b*値が−7.0〜+4.0であることが必要である。好ましくは、b*値が−1.8〜+3.9である。b*値がマイナス側に行くほど青味が強くなり、逆にプラス側になれば行くほど黄色味が強くなる、黄色が強くなると本発明の銀粒子を含むインクは金色に近づき+4.0を越えてくると金色が強く発現し銀色とは言いがたい色調となり、逆にb*値が−7.0を下回ると青味が強くなり暗い色調で銀色とは異なる色調となる。b*値の測定方法については、分光測色計で簡便に測定することができる。
<被印刷媒体の多孔質の平均孔径>
本発明においては被印刷媒体として多孔質を有する被印刷媒体(以下では「多孔質被印刷媒体」ということがある。)を用いる。
多孔質は複数の銀粒子が孔を塞ぎ、色材以外の水などの構成成分を吸収するようなものであれば限定はないが、インクを構成するビヒクルを吸収する孔を有した被印刷媒体であればよい。
また、被印刷媒体自体が多孔質材料から形成されていても良いが、被印刷媒体の印刷面に多孔質層(インク受容層)を有するものであっても良い。
その適切な平均孔径は好ましくは100nm〜400nm、より好ましくは120nm〜300nmの範囲で銀粒子を含むインクのビヒクルを効率よく吸収して、印刷後、即座に高写像性であり銀色の印刷面が得られる。すなわち、多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの範囲にあれば、効率よくビヒクルを吸収することができ、銀色の高写像性印刷面が得られる。
多孔質の孔径の測定方法は被印刷媒体の印刷表面または切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で断面観察することにより多孔質の孔径を測定することができる。
多孔質の平均孔径:本発明において多孔質の平均孔径とは、前記多孔質の孔径の平均値のことを言う。なお、平均値を求める際、100nm以下の前記多孔質の孔径については計算に考慮しないこととする。具体的には、印刷層表層のSEM画像中の、10μm四方の領域に観測された空隙について算出する。空隙が真円でない場合は、最長径と最短径の平均値をもとに算出する。
<多孔質層の膜厚>
被印刷媒体の印刷面に多孔質層(インク受容層)を形成した場合、多孔質層の膜厚は被印刷面に設けられた多孔質層の平均膜厚のことであり、多孔質層の好ましい膜厚は1〜50μmであり、3〜30μmが更に好ましい。この範囲に多孔質層があれば銀粒子を含むインクで印刷すれば即座に銀色の高写像性印刷面が得られる。すなわち、多孔質層の膜厚が1〜50μmの範囲にあれば、効率よくビヒクルを吸収することができ、銀色の高写像性印刷面が得られる。
多孔質層の膜厚の測定方法は被印刷媒体を切断し、その断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で断面観察することにより多孔質層の膜厚を測定することができる。
<多孔質層を構成する材料>
多孔質層を有する被印刷媒体の多孔質材質は特に制限はないが紙やPET、塩ビ等の樹脂系基材への成膜性、膜均一性、密着性、安全性に優れているシリカかアルミナが好適な材料であり、シリカかアルミナを含む多孔質層が設けられた状態で市販されている被印刷媒体でもよく、非吸収(低吸収)記録媒体に別途、アルミナまたはシリカを含む塗布液を用いて塗膜して多孔質層を形成しても良い。多孔質層を形成する場合、市販のシリカやアルミナのゾルやゲル状のコーティング材を用いることが可能であり、膜形成方法としては、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などで膜形成が可能である。
<シリカまたはアルミナコート剤>
コート剤としてのシリカやアルミナの形状は球状でもよく、粒子が特殊処理により数珠状に連なったり分岐して繋がったもの(鎖状、パールネックレス状など)でもよい。
また、その表面をアンモニア、カルシウム、アルミナ等のイオンや化合物で変性したものも使用できる。
例えば、シリカのコート剤としてはスノーテックスS、スノーテックスN、スノーテックUP、ST−XS、ST−O、ST−C、ST−20(以上、日産化学社製)、カタロイドSI−350、カタロイドSI−30、SN、SA、S−20L、S−20H、S−30L、S−30H(以上、触媒化成工業製)、アエロジル200、200V、200CF、300(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。アルミナのコート剤としてはアルミナクリアゾール5S、F1000、F3000、A2(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
<銀粒子を含むインクの耐擦過性>
直接基材に銀粒子を含むインクだけを印刷した場合、基材上に銀粒子が付着した状態でこれだけでは耐擦過性が不足し、また、特にインク中の銀粒子が銀ナノ粒子の場合、色味が不自然な銀色になってしまうという課題があった。また、色材を含まない樹脂インクを印字した後に、銀粒子を含むインクを印字した場合、耐擦過性はある程度向上するがまだ不十分であり、色味も不自然な銀色になってしまうという課題があった。そのため印刷層上に透明の樹脂層を設けることで耐擦過性を向上できる。
<印刷層上の樹脂層>
樹脂は透明性が高いことが好ましく、例えばPET、PPなどがその代表例である。またナイロンでもよくいわゆるラミネート処理で印刷表面または印刷物全体を被覆する方法が好ましい。また、透明樹脂を水や溶剤に溶解して塗布するオーバーコートで被覆してもよい。この場合の膜形成方法としては、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などで膜形成が可能である。印刷層上に形成される樹脂層の膜厚は、4μm〜350μmの範囲とすることができる。擦過性や被覆膜の耐久性に優れ、傷がつきにくく、また、高い写像性が得られ、良好な銀色光沢が得られるという点から、5μm〜300μmの範囲がより好ましく、10μm〜300μmの範囲が更に好ましい。
<本発明で用いる市販の多孔質を有する被印刷媒体の例>
以下に本発明で用いることができる多孔質を有する被印刷媒体の例を挙げる。
多孔質の平均孔径が100nm〜400nmのものが好ましく、以下のようなものが挙げられる。IJ用フィルムRM−1GP01(Ricoh RM−1GP01)、NB−WF−3GF100,NB−RC−3GR120(三菱製紙社製)PT−201A420、SD−101A450、GL−101A450,GP501A450,SP−101A450,PT−101A420,PR101(Canon社製)、EJK−QTNA450,EJK−EPNA450,EJK−CPNA450,EJK−RCA450,EJK−CGNA450,EJK−GANA450,EJK−NANA450,EJK−EGNA450(ELECOM社製)、WPA455VA,WPA450PRM,G3A450A,G3A450A,WPA420HIC(富士フィルム社製)、KA420SCKR、KA450PSKR、KA450SLU(EPSON社製)、BP71GAA4(ブラザー社製)
以下は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を用いた場合について説明するが、これらに代えて、あるいは、これらに加えて、銀粒子を含むインクを用いれば良い。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
<本発明の実施形態による作用効果>
1)多孔質を有する被印刷媒体に銀粒子を含む最適な膜厚範囲で高い写像性と銀色を有する印刷面をもった印刷物が提供可能となる。
2)乾燥工程が不要で印刷後、すみやかに高い写像性を有する印刷面を有する印刷物を提供可能となる。
3)高い写像性を得るための印刷装置を提供し、特にその印刷方式がインクジェット方式である装置を提供することが可能となる。
4)安全性が高いインクを用いた印刷物ならびに印刷装置が提供可能となる。
5)一般に銀の写像面を大気中に暴露しておくと、硫化が進み写像性が経時で低下する傾向にある。それを押さえるべく樹脂被覆(ラミネート)することで経時劣化を抑えることができるので、経時変化の少ない印刷物を提供できる。
6)樹脂被覆(ラミネート)することで耐擦過性に優れた印刷物を提供できる。
7)また、その樹脂被覆(ラミネート)機能を印刷機に組み込むことで印刷直後に被覆ができ、より一層、経時変化/耐擦過性に強い印刷物が提供可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
<銀粒子の調製>
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する高分子分散剤(ビッグケミー製、「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40%、酸価10mgKOH/g、アミン価0)7.2g、及びコール酸(和光純薬製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。
この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温50℃のウォーターバス中で3時間加熱撹拌した。
得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC製GC−90、ポアサイズ0.8マイクロメートル)でろ過し、銀を20質量%含む銀粒子分散液を得た。
この銀粒子分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀粒子の粒径を確認したところ、一次粒子の個数平均粒子径は約50nmであった。
また、上記銀粒子分散液の製法において、コール酸を全く添加しない以外は同様にして、一次粒子の個数平均粒径が101nmの銀粒子分散液を得た。
更に、この一次粒子の個数平均粒径が101nmとなった銀粒子分散液を25℃の環境下に5時間放置し、デカンテーションにより上澄み液だけを採取し、一次粒子の個数平均粒径が100nmの銀粒子分散液を得た。
上記銀粒子分散液の製法において、コール酸を半分の量の0.9gで攪拌時間をそれぞれ、3時間とした、及び攪拌時間を1.5時間とした以外は同様にして、一次粒子の個数平均粒径が60nmと80nmの銀粒子分散液を得た。
更に、上記銀粒子分散液の製法において、コール酸の量を1.5倍量の2.7gとして攪拌時間を6時間とした以外は同様にして、一次粒子の個数平均粒径が30nmの銀粒子分散液を得た。
この一次粒子の個数平均粒径は30nmとなった銀粒子分散液を35℃の環境下に5時間放置し、デカンテーションにより上澄み液だけを採取し、一次粒子の個数平均粒径が15nmの銀粒子分散液を得た。
また、上記上澄み液の更に上部10%容量を占める部分を採取し、一次粒子の個数平均粒径が14nmの銀粒子分散液を得た。
上記の銀粒子分散液は、いずれも銀を20質量%含む。
<銀粒子を含むインクの調製>
上記で得た一次粒子の個数平均粒子径が約50nmの銀粒子分散液と2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、1,2−プロパンジオール、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製)、イオン交換水とを下記表1に示す割合にて混合、攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過してインク1〜インク4を得た。インクの組成及びインク全量に対する銀粒子の濃度を表1に示す。
Figure 2018034500
<被印刷媒体>
表2に本発明の実施例で用いる被印刷媒体の名称、多孔質の平均孔径、多孔質層の膜厚を示す。
M1〜M10、M15は市販の被印刷媒体であり、M11からM14は市販品ではなく多孔質層を別途設けたものである。M11〜M14の作製方法を以下に述べる。
<多孔質層を別途設けた被印刷媒体>
<アルミナ系多孔質被印刷媒体M11、M12の作製>
アルミナクリアーゾルA2(川研ファインケミカル社製)に界面活性剤FS34(デュポン社製)を1質量%添加し混合した液を調製した。この液を塩ビ(Avery3000)にワイヤーバーコートで、乾燥後の平均膜厚が表2に示したM11、M12の膜厚となるように成膜した。その後SEMでの表面観察にて平均孔径を表2に示した。
<シリカ系多孔質被印刷媒体M13、M14の作製>
スノーテックス(登録商標)UP(コロイダルシリカ、日産化学社製)に界面活性剤FS34(デュポン社製)を1質量%添加、混合した液を調製した。この液をOKトップコート紙(王子製紙社製)にワイヤーバーコートで、乾燥後の平均膜厚が表2に示したM13、M14の膜厚となるように成膜した。その後SEMでの表面観察にて平均孔径を表2に示した。
Figure 2018034500
<インクジェットプリンターによる印刷実験>
Ricoh IPSiO SG 3100に調製したインクを充填して印刷実験を行った。被印刷媒体に50mm×50mmの範囲に100%ベタで印刷を実施した。
<バーコートによる印刷実験>
ウェット膜厚が2μmとなるワイヤーバーを用い、調製したインクをコートして印刷層を得ることを行った。
<写像性の測定>
JIS H8686−2に準拠してスガ試験機製ICT−1Tにて2mmでの写像性を測定した。
<b*値の測定>
ハンディ分光測色計(R−Rite社製)を用いて測定した。
<印刷層の膜厚測定>
被印刷媒体を切断し切断面をSEM観察にて印刷層の厚みを測定した。
[実施例1〜12、比較例1〜12]
表3に示す組み合わせにて印刷サンプルを得て、そのサンプルの写像性とb*値を測定した。
Figure 2018034500
実施例1〜12と比較例3〜8との対比から、被印刷媒体の多孔質の平均孔径を100nm〜400nmとすることの効果が確認できた。
実施例1〜12と比較例9〜10との対比から、多孔質層の厚さを1μm〜50μmとすることの効果が確認できた。
実施例1〜12と比較例11〜12との対比から銀粒子の含有率を1.0質量%〜15.0質量%とすることの効果が確認できた。
実施例1〜12により被印刷媒体の多孔質層がシリカまたはアルミナを有することの効果が確認できた。
実施例1〜10により、インクジェット方式を採用することの効果を確認できた。
[実施例13]
インク1をインクジェットプリンターに充填し、被印刷媒体M15(Ricoh RM−1GP01)に50mm×50mmの範囲に100%ベタで印刷した印刷物に厚みを50μmのPETでラミネート被覆した。
[実施例14〜16]
インク1をインクジェットプリンターに充填し、被印刷媒体M15(Ricoh RM−1GP01)に50mm×50mmの範囲に100%ベタで印刷した印刷物に厚みを10μm、100μm、300μmのPPでラミネート被覆した。
[実施例17、18]
インク1をインクジェットプリンターに充填し、被印刷媒体M15(Ricoh RM−1GP01)に50mm×50mmの範囲に100%ベタで印刷した印刷物に厚みを4μm、350μmのPPでラミネート被覆した。
実施例1、2と実施例13〜18で被覆したサンプルの初期の写像性とb*値と25℃50%に温湿度調整された環境下に30日暴露した後の写像性とb*を測定した結果を表4に示す。なお、表3では実施例1、2のサンプルを暴露試験した結果を示すので表2との混同を避けるため実施例1’、2’とした。
また、暴露試験を実施する前に耐擦試験を実施した。
<耐擦試験>
乾燥後の記録物を学振型磨耗堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて50回擦り、その劣化具合を目視にて観察し、以下の基準に従い耐磨耗性評価を実施した。
S:傷の数が5本以内であり、下地も見えない。
A:傷の数が5本より多くあるが、下地は見えない。
B:傷の数が5本より多くあり、下地(被印刷物)の大部分が露出してしまっている。
耐擦試験の結果は表4に記載した。
Figure 2018034500
上記の結果より、
実施例1’〜2’と実施例13〜18との対比から印刷面に樹脂層を設けることによる効果が確認できた。
実施例13〜16と実施例17、18との対比から樹脂層膜厚を5〜300μmとすることにより、耐擦性に及ぼす樹脂層の膜厚の効果が確認できた。
[実施例19〜24、比較例19〜20]
インク1の処方において、銀粒子分散液として、一次粒子の個数平均粒子径が表5に示す銀粒子分散液を用い、表5に示す組み合わせとした以外は実施例1と同様にして印刷サンプルを得て、そのサンプルの写像性とb*値を測定した。
表5に、実施例19〜24、比較例19〜20の結果を記載した。尚、実施例19は実施例1と同じである。
Figure 2018034500
実施例19〜23により銀粒子径が15nm〜100nmとすることで写像性とb*値ともに良好な値を示すことが確認できた。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2005−036079号公報 特許第4914909号公報 特開2014−074127号公報 特許第4165860号公報 特許第5703622号公報

Claims (13)

  1. 多孔質を有する被印刷媒体と印刷層とを有する印刷物において、
    該印刷層は、銀を含み、
    該印刷層の印刷面は、JIS H8686−2に規定した写像性(2mm)の値が5.0以上であり、かつ、b*値が−7.0〜+4.0である印刷面を有する印刷物。
  2. 前記印刷層の平均膜厚が50nm〜300nmである請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記被印刷媒体の多孔質の平均孔径が100nm〜400nmである請求項1または2に記載の印刷物。
  4. 前記被印刷媒体が多孔質からなる多孔質層を有し、該多孔質層の厚さが1μm〜50μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷物。
  5. 前記被印刷媒体の多孔質層がシリカまたはアルミナを有する請求項4に記載の印刷物。
  6. 前記印刷層の上に樹脂層を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷物。
  7. 前記樹脂層の膜厚が5μm〜300μmの範囲にある請求項6に記載の印刷物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物を得るための印刷方法であって、銀粒子を含むインクに熱エネルギー又は力学的エネルギーを作用させて、該インクを、多孔質を有する被印刷媒体に吐出するインクジェット方式で印刷する印刷方法。
  9. 前記被印刷媒体として、多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体を用い、前記銀粒子を含むインクとして、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを用いる請求項8に記載の印刷方法。
  10. 前記銀粒子を含むインク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下である請求項8または9に記載の印刷方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物を得るための印刷装置であって、
    被印刷媒体にインクを吐出する吐出機構を有し、
    前記インクとして、インク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下であり、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを有し、
    前記被印刷媒体は多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体である印刷装置。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物を得るためのインクジェット印刷装置であって、
    インクを収容したインク収容部若しくはインクカートリッジと、
    前記インクをエネルギーの作用により滴化し吐出させるためのインクジェット記録ヘッド部若しくは当該ヘッド部を備えた記録ユニットとを備え、
    前記インクとして、インク中の銀粒子の含有率が1.0質量%以上15.0質量%以下であり、銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下であるインクを有し、
    前記被印刷媒体は多孔質の平均孔径が100nm〜400nmの多孔質を有する被印刷媒体であるインクジェット印刷装置。
  13. 樹脂層を設けるラミネート被覆機構を有する請求項11または12に記載の印刷装置。
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