JP6880686B2 - インク、及び印刷物 - Google Patents
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Description
また、アルミニウム粒子に限らず光輝性顔料は、耐擦過性が悪く、強くこすると剥がれてしまうという問題がある。
そのため、インクジェット印刷技術の発展により、インクジェット印刷でも金属光沢を有する印刷物を得ることができるインクに対する要望が高まってきている。
また、鱗片状アルミニウム顔料がインク中で容易に沈降しない処理を施したインクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、耐水化アルミニウム顔料を使用することにより、アルミニウム粒子と水とが反応して水素ガスの発生を抑制するインクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
またさらに、金属コロイドを含むインク組成物を多孔質の被印刷物の表面に印刷することにより高い光沢性を有する印刷物を得る印刷方法(例えば、特許文献4参照)、水溶性樹脂を光輝性インク中に溶解させ耐擦性の高い印刷物を記録する記録方法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
本発明のインクは、銀粒子、樹脂粒子、及び水を含み、前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下であり、インク中に含まれる水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であり、更に必要に応じて、有機溶剤、その他の成分を含む。
本発明のインクは、従来のインクジェットインクでは、市販の光輝顔料は粒子径が大きくインクジェットヘッドで安定して吐出させることができず、すぐに吐出不良を引き起こしてしまうという問題があるという知見に基づくものである。
本発明のインクは、従来の容易に沈降しない処理を施したインクでは、十分な保存安定性は確保できていないため、しばらく使用せずに放置した場合、ノズル詰まりを生じることがあるという問題があるという知見に基づくものである。
本発明のインクは、従来の水素ガスの発生を抑制するインクでは、水素ガスの発生は完全には抑制することができないため、安全性の観点から、耐水化アルミニウム顔料を水系のインクジェットインクとして使用することは困難であるという問題があるという知見に基づくものである。
本発明のインクは、従来の印刷方法では、多孔質が金属粒子まで吸収してしまうため、金属光沢が発現せず、また金属光沢を発現してもそのレベルは低くなり、また、金属コロイドのプラズモン吸収に由来する色が発現してしまい、色味も不自然であるといった問題があるという知見に基づくものである。
本発明のインクは、従来の印刷方法及び記録方法では、水溶性樹脂の添加により吐出したインクのリガメント長が増加し、吐出不良が生じるといった不具合が生じることがあるという知見に基づくものである。
前記銀粒子は、優れた金属光沢を有する画像を形成することができる。
前記カルボキシル基を有する有機化合物におけるカルボキシル基の数としては、1分子あたり、1以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸及び脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)等のヒドロキシカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸が好ましい。
前記脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、コール酸等の炭素数6以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、炭素数10以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸がより好ましく、炭素数16以上30以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
また、カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値は、例えば、1以上(例えば、1〜10程度)、好ましくは2以上(例えば、2〜8程度)程度であってもよい。なお、前記数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明では、保護コロイドを、前記カルボキシル基を有する有機化合物と分散剤ポリマーとで組み合わせて構成する。このような組合せで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組合せにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(及びその分散液)の保存安定性にも優れている。
前記分散剤ポリマーとしては、例えば、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体等)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロース等のアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、天然ポリマー(ゼラチン、デキストリン等)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記縮合系モノマーとしては、ヒドロキシル基等の活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体等)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。
前記親水性モノマーとしては、1種単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロック及び疎水性ブロックで構成してもよい。
前記結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィン等)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸等)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミン等]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。
このような成分としては、例えば、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1,000)等のアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどが挙げられる。
また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
前記官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて分散剤ポリマーが有していてもよい。これらの官能基の中でも、酸基を有していることが好ましく、カルボキシル基を有していることがより好ましい。
このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基等)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸等)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、分散剤ポリマーとして、特開2004−207558号公報の記載の高分子分散剤(高分子顔料分散剤)を使用してもよい。
これらのうち、酸基を有する分散剤ポリマーとしては、例えば、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、10nm以上30nm以下が好ましい。前記体積平均粒径が、10nm以上30nm以下であると、塗膜の金属光沢(光沢度)と耐擦過性とが最もよく両立することが可能である。
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
インク中に存在する水不溶性樹脂の最低造膜温度の測定は、以下のようにして行うことができる。即ち、インクを超遠心分離機にかけ、上澄み液と、銀粒子を含む沈殿物に分離する。沈殿物を回収して有機溶剤中にて、0℃〜100℃で洗浄し、ろ過により銀粒子とろ液に分離する。遠心分離による上澄み液とろ液を合わせて、減圧乾燥機にて、5℃以上50℃以下、1mPa以上20,000Pa以下にて乾固させる。得られた乾固物と水を用いてスラリーを作製し、卓上分散器にて十分に分散し、ろ過する。得られたろ物を再度水と混ぜ合わせ、濃縮することにより、インク中に含まれる水不溶性樹脂の水分散液を得る。
前記超遠心分離機は、例えば、ベックマン・コールター株式会社製、Optima Max−XPを用いることができる。
前記減圧乾燥機は、例えば、装置名:デコ(株式会社カワタ製)などを用いることができる。
前記卓上分散器は、例えば、株式会社常光製、装置名:ナノジェットパル JN5などを用いることができる。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦過性、及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/mg以上50mgKOH/mg以下が好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記水は、水系インクの主な媒体である。
前記水としては、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水が好ましい。また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好ましい。
前記印刷方法は、インクジェット印刷方法に制限されず広く使用することが可能である。前記インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明の印刷物は、印刷媒体と、前記印刷媒体上に印刷層と、を有し、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記印刷媒体は、多孔質からなる多孔質層を有し、更に必要に応じてその他の層を有する。前記多孔質層とは、インク中の光輝材を吸収することなく色材以外の水などの構成成分を吸収するようなものであれば限定はないが、インクを構成する溶剤を吸収する孔が多数ある印刷面を意味する。
前記多孔質層の平均厚みは、垂直方向の切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEM等の顕微鏡などで観察することにより測定することができる。
前記多孔質材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、ポリエチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記コーティング材の表面は、アンモニア、カルシウム、アルミナ等のイオンや化合物で変性されていてもよい。
前記印刷層は、銀粒子、及び最低造膜温度が50℃以上80℃以下である水不溶性樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前記インクとしては、本発明のインクと同様のものを用いることができる。
前記インクと印刷媒体のセットは、銀粒子、樹脂粒子、及び水を含み、前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下であり、インク中に含まれる水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であるインクと、多孔質からなる多孔質層を有し、前記多孔質層の平均厚みが1μm以上50μm以下である印刷媒体と、からなる。
前記印刷媒体としては、本発明の印刷物における印刷媒体と同様のものを用いることができる。
前記銀粒子の体積平均粒径、及び前記樹脂粒子の体積平均粒径は、得られた銀粒子分散液、及び樹脂分散液を用いて、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて測定した。結果を下記表1又は表2に示す。
樹脂分散液中、又はインク中における水不溶性樹脂のMFTの測定は以下のようにして行った。即ち、樹脂分散液又はインクを超遠心分離機(ベックマン・コールター株式会社製、Optima Max−XP)にかけ、上澄み液と、銀粒子を含む沈殿物に分離した。沈殿物を回収してテトラヒドロフラン100mL中にて、25℃で洗浄し、ろ過により銀粒子とろ液に分離する。遠心分離による上澄み液とろ液を合わせて、減圧乾燥機(株式会社カワタ製、製品名:デコ)を用いて、40℃、10mPaにて乾固させた。得られた乾固物と水を用いてスラリーを作製し、卓上分散器(株式会社常光製、装置名:ナノジェットパル JN5)にて十分に分散し、ろ過する。得られたろ物に水を加え、前記卓上分散器を用いて十分に分散した後、ロータリーエバポレーターにて固形分濃度が30質量%になるように濃縮することにより、インク中に含まれる水不溶性樹脂の水分散液を得た。得られた水分散液を最低造膜温度測定用サンプルとし、造膜温度試験装置(株式会社井元製作所製、装置名:TP−801)を用いて最低造膜温度を測定した。また、前記最低造膜温度は、常圧にて測定した。前記最低造膜温度は、10回測定して、その平均値から算出した。
<銀粒子分散液1の調製>
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する分散剤ポリマー(ビッグケミージャパン株式会社製、「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40質量%、酸価:10mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)7.2g、及びコール酸(和光純薬工業株式会社製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業株式会社製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温50℃のウォーターバス中で3時間加熱撹拌して反応液を得た。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC社製、「GC−90」、平均孔径:0.8μm)にてろ過し、銀を15質量%含む銀粒子分散液を得た。この分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)にて銀粒子の粒径を確認したところ、一次粒子の体積平均粒径は15nmであった。
<銀粒子分散液2〜6の調製>
前記銀粒子分散液の調製例1において、ジメチルアミノエタノールの加える速度と、水温を調節することにより、銀粒子の体積平均粒径を下記表1のように変更した以外は、前記銀粒子分散液の調製例1と同様にして、銀を15質量%含む銀粒子分散液2〜6を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液1の調製>
温度計、窒素ガス導入管、及び撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(商品名:PTMG1000、三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)200.4g、2,2−ジメチロールプロピオン酸15.7g、イソホロンジイソシアネート48.0g、及び有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、ジブチルスズジラウレート(DMTDL、東京化成工業株式会社製)0.06gを触媒として使用して反応させた。前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。反応を合計6時間になるように行った後、メタノール1.4gを投入し、前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることにより、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え、十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液1を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液2の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1において、DMTDLの含有量0.06gを0.12gにし、全反応時間を8時間に変更した以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液2を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液3の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1において、DMTDLの含有量0.06gを0.2gにし、全反応時間を8時間にした以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液3を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液4の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1において、DMTDLの含有量0.06gを0.03gにし、全反応時間を10時間にした以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液4を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液5の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1において、DMTDLの含有量0.06gを0.2gにし、反応時間を5時間にした以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液5を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂分散液6の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1において、DMTDLの含有量0.06gを0.2gにし、反応時間を15時間にした以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%の樹脂粒子を含む、ポリエステルウレタン樹脂分散液6を得た。
<ポリカーボネートウレタン樹脂分散液1の調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN−メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g(5.5モル)、及びジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加、混合したものの中から、4,340gを抜き出して、強撹拌下にて、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂分散液1を得た。
<ポリカーボネートウレタン樹脂分散液2の調製>
樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例7において、ジブチルスズジラウリレートの含有量2.6gを2.0gにし、と反応時間を4時間にした以外は、樹脂粒子を含む樹脂分散液の調製例7と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリカーボネートウレタン樹脂粒子を含むポリカーボネートウレタン樹脂分散液2を得た。
<アクリル樹脂分散液の調製>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g、及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム2gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸10gを撹拌化に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に6時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性粒子を常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整し、アクリル樹脂粒子を含むアクリル樹脂分散液を得た。
銀粒子分散液1 33.4質量%、ポリエステルウレタン樹脂分散液1 0.3質量%、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.5質量%、1,2−プロパンジオール(沸点:188℃)26.0質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(沸点:240℃)15.0質量%、防腐防黴剤として商品名:プロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加して、混合撹拌した後、平均孔径が0.22μmポリプロピレンフィルター(商品名:PP013022、株式会社ワットマン製)にてろ過してインク1を得た。インク中の水不溶性樹脂の最低造膜温度は、74℃であった。
実施例1において、組成を下記表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1〜5のインクを得た。
得られたインクを用いて、インクジェット用プリンタ(装置名:IPSIO GXe5500、株式会社リコー製)にて、25℃、下記表4に示す印刷媒体に対して印刷し、3cm四方の印刷物(ベタ画像)を得た。
乾燥後の印刷物の煽り角度20℃での光沢度を、精密光沢度計(装置名:GM−26DS、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて、「光沢度」を評価した。なお、前記光沢度の値が、150未満(ランク4)であると、金属光沢を感じられなくなる。
−評価基準−
ランク1:700以上
ランク2:450以上700未満
ランク3:150以上450未満
ランク4:150未満
乾燥後の印字物のフロップ感を多角度測色計(装置名:BYK−mac I,ビックケミージャパン株式会社製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて、「フロップインデックス」を評価した。なお、前記フロップインデックスの値が4未満では人はフロップ感が感じられなくなる。
−評価基準−
ランク1:10以上
ランク2:8以上10未満
ランク3:4以上8未満
ランク4:4未満
乾燥後の印刷物を学振型磨耗堅牢度試験機(装置名:AB−301、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803に準拠)を取り付けた摩擦子(荷重:300g)にて10回擦り、その劣化具合を目視にて観察し、以下評価基準に基づいて、「耐擦過性」を評価した。なお、傷の数が5本以上あり、下地(被印刷物)の大部分が露出してしまっている(ランク4)は、印刷物の耐擦過性が十分でなく、使用に耐えないものとなる。
−評価基準−
ランク1:傷の数が3本未満であり、下地も見えない
ランク2:傷の数が3本以上5未満であり、下地も見えない
ランク3:傷の数が5本以上あり、下地(印刷物)が一部見える
ランク4:傷の数が5本以上あり、下地(印刷物)の大部分が露出している
乾燥後の印刷物におけるノズル抜けの発生した数を目視にて確認し、下記評価基準に基づいて、「吐出安定性」を評価した。なお、ノズル抜けの数が10以上(ランク3)であると、印刷物にムラやスジが生じ、使用に耐えないものとなる。なお、使用したプリンタのノズル数は、192個である。
−評価基準−
ランク1:ノズル抜けの数が0以上4以下
ランク2:ノズル抜けの数が5以上9以下
ランク3:ノズル抜けの数が10以上
また、実施例におけるインクを用いた印刷物は、すべて自然な金属光沢を有していた。
<1> 銀粒子、樹脂粒子、及び水を含み、
前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下であり、
インク中に含まれる水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であることを特徴とするインクである。
<2> 前記樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上30nm以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記樹脂粒子が、ポリウレタン樹脂粒子である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記ポリウレタン樹脂粒子が、ポリオールを用いて合成されたポリウレタン樹脂粒子であり、
前記ポリオールが、ポリエステルポリオールである前記<3>に記載のインクである。
<5> 前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記銀粒子の体積平均粒径が、15nm以上60nm以下である前記<5>に記載のインクである。
<7> 前記銀粒子の含有量が、1.0質量%以上15.0質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記銀粒子の含有量が、2.5質量%以上10質量%以下である前記<7>に記載のインクである。
<9> 前記インク中の水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上74℃以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 前記樹脂粒子の含有量が、0.01質量%以上5.0質量%以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 有機溶剤をさらに含有する前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 印刷媒体と、前記印刷媒体上に印刷層と、を有する印刷物において、
前記印刷媒体が、多孔質からなる多孔質層を有し、前記多孔質層の平均厚みが1μm以上50μm以下であり、
前記印刷層が、銀粒子、及び最低造膜温度が50℃以上80℃以下である水不溶性樹脂を含むことを特徴とする印刷物である。
<13> 前記多孔質層における前記多孔質の平均孔径が、100nm以上400nm以下である前記<12>に記載の印刷物である。
<14> 前記多孔質層が、シリカ、及びアルミナを含む前記<12>から<13>のいずれかに記載の印刷物である。
<15> 前記多孔質層が、シリカである前記<14>に記載の印刷物である。
<16> 前記最低造膜温度が50℃以上80℃以下である水不溶性樹脂が、ポリウレタン樹脂である前記<12>から<15>のいずれかに記載の印刷物である。
<17> 前記水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上74℃以下である前記<16>に記載の印刷物である。
<18> 銀粒子、樹脂粒子、及び水を含み、前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下であり、インク中に含まれる水不溶性樹脂の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であるインクと、多孔質からなる多孔質層を有し、前記多孔質層の平均厚みが1μm以上50μm以下である印刷媒体と、からなることを特徴とするインクと印刷媒体のセットである。
<19> 前記インク中の樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上30nm以下である前記<18>に記載のインクと印刷媒体のセットである。
<20> 前記樹脂粒子が、ポリウレタン樹脂粒子である前記<18>から<19>のいずれかに記載のインクと印刷媒体のセットである。
Claims (4)
- 銀粒子、不溶の樹脂成分を含む樹脂、及び水を含み、
前記銀粒子の体積平均粒径が、3.0nm以上100nm以下であり、
前記不溶の樹脂成分は、前記樹脂1gに水100mLを加えて2時間撹拌した場合に不溶の樹脂成分であり、
前記不溶の樹脂成分の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であり、
更に、前記不溶の樹脂成分がポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、アクリル樹脂のいずれかを有することを特徴とするインク。 - 印刷媒体と、前記印刷媒体上に印刷層と、を有する印刷物において、
前記印刷媒体が、多孔質からなる多孔質層を有し、前記多孔質層の平均厚みが1μm以上50μm以下であり、
前記印刷層が、銀粒子、及び樹脂を含み、
前記樹脂は、不溶の樹脂成分を含む樹脂であり、
前記不溶の樹脂成分は、前記樹脂1gに水100mLを加えて2時間撹拌した場合に不溶の樹脂成分であり、
前記不溶の樹脂成分の最低造膜温度が、50℃以上80℃以下であり、
更に、前記不溶の樹脂成分がポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、アクリル樹脂のいずれかを含むことを特徴とする印刷物。 - 前記多孔質層における前記多孔質の平均孔径が、100nm以上400nm以下である請求項2に記載の印刷物。
- 前記多孔質層が、シリカ、及びアルミナを含む請求項2から3のいずれかに記載の印刷物。
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