JP6992497B2 - インク、記録方法、及び記録装置 - Google Patents

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本発明は、インク、記録方法、及び記録装置に関する。
近年、印刷された記録媒体(以下、記録物とも称する)の用途の多様化が進んでおり、例えば、オフィス用、商用など、幅広い用途で記録物が用いられている。そして、用途の多様化に伴い、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックなどの従来の色の色材で表現される記録物に加え、金属光沢などの従来にない視覚効果を有する色材で表現される記録物が求められている。
金属光沢を有する色材としては、高い写像性を発揮することができる点で銀色の色材を用いることが好ましい。銀色の色材は、従来の色材と混色させることにより、写像性の高いフルカラー画像を有する記録物を得ることができるため、様々な用途に供することができる。
特許文献1、及び特許文献2には、銀粒子などの光輝性顔料が分散した光輝性インクをインクジェット方式により記録媒体上に付与することが開示されている。
特許文献3には、銀粒子および水を含み、銀粒子の粒径加積曲線における粒径d90が50nm以上1μm以下であり、銀粒子が水に分散された構造を含むことを特徴とするインク組成物が開示されている。
しかしながら、銀粒子を含むインクを用いて作製した記録物は、高温環境下において色度を長期間維持することが困難である課題がある。
請求項1に係る発明は、粒子径Dav90が25nm以上45nm以下である銀粒子、ポリオール、シリコーン系界面活性剤、樹脂を含むインクであって、前記ポリオールは、炭素数が5以下であり、前記ポリオールは、前記インクに対して10.0質量%以上45.0質量%以下含まれ、前記樹脂は、体積平均粒径が10nm以上30nm以下の樹脂粒子であり、前記樹脂は、前記インクに対して0.01質量%以上2.0質量%以下含まれることを特徴とするインクである。
本発明のインクは、記録物の色度を長期間維持することができる優れた効果を奏する。
図1は、記録装置の一例を示す斜視説明図である。 図2は、メインタンクの一例を示す斜視説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<<インク>>
本発明のインクは、銀粒子、ポリオール、及びシリコーン系界面活性剤を含み、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。以降、本発明のインクを、銀インク、又はシルバーインクとも称する。
<銀粒子>
本発明のインクは、銀粒子を含む。銀は、各種金属の中でも白色度が高い金属であり、他色の色材または他色の色材を含むインクと組み合わせることで、様々な金属色を実現することができるため好ましい。また、銀は、水との反応性が弱いため水中でも安定である。その結果、環境負荷が低減できる水系光輝性インクへの展開が可能であり好ましい。
銀粒子の粒子径Dav90は、45nm以下である。また、25nm以上45nm以下であることが好ましい。本願で、粒子径Dav90は、銀粒子の粒子径分布において、全銀粒子の粒子径を累積した累積値に対し、小粒径側から粒子径を累積した累積値が90%となる値である90%累積値を、90%累積値となるまでに累積した粒子径の数である90%個数で除算した値である。粒子径Dav90が45nmより大きいと、銀粒子を含むインクを高温で長期間保管した際に銀粒子が沈降するため、このインクをインクジェット方式で吐出する場合における吐出安定性が劣る。また、粒子径Dav90が45nm以下のインクを用いて記録媒体上に形成された印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められる構造を安定して維持することができ、また仮に銀粒子が凝集しても凝集する領域を少なくすることができるため、記録物を高温で長期間保管した場合に、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。なお、b*値は、CIE(Commission International del'Eclairage)により規格化されているL*a*b*表色系による色差表示法に基づく。
また、銀粒子の個数平均粒径Dav50は、45nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがより好ましい。本願で、粒子径Dav50は、銀粒子の粒子径分布において、全銀粒子の粒子径を累積した累積値に対し、小粒径側から粒子径を累積した累積値が50%となる値である50%累積値を、50%累積値となるまでに累積した粒子径の数である50%個数で除算した値である。個数平均粒径Dav50が45nm以下であると、銀粒子を含むインクを高温で長期間保管した際に銀粒子が沈降しにくくなり、このインクをインクジェット方式で吐出する場合における吐出安定性が優れる。
なお、銀粒子の粒子径Dav90は、レーザー回折式粒度分布測定装置または透過型顕微鏡(TEM)により測定して得られる90%累積値及び90%個数から計算して求めることができる。また、銀粒子の粒子径Dav50は、レーザー回折式粒度分布測定装置または透過型顕微鏡(TEM)により測定して得られる50%累積値及び50%個数から計算して求めることができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」、日機装株式会社)を用いることができる。
インク中における銀粒子の含有量は、インク全量に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。含有量が、1.0質量%以上であると、インクを用いて記録媒体上に形成された印刷層の写像性が向上するため好ましい。また、含有量が、15.0質量%以下であると、インク中における銀粒子の分散安定性、保存安定性が向上し、このインクをインクジェット方式で吐出する場合における吐出安定性が優れるため好ましい。
-銀粒子の分散形態-
銀粒子は、表面に保護コロイドが付着した銀コロイドとして、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、銀粒子の水系分散媒への分散性が優れたものとなり、インクの保存安定性が向上する。銀コロイドは、いかなる方法で調製されたものであってもよく、例えば、銀イオンを含む溶液を用意し、この銀イオンを保護コロイドの存在下で還元剤により還元することにより、得ることが出来る(例えば、特開2006-299329号公報参照)。これら方法によって銀コロイドを製造する際に、還元反応の前後の、任意の時点で水溶液に界面活性剤等を加えると、金属粒子の分散安定性はさらに向上する。保護コロイドとしては、銀粒子表面を保護する役割を果たす有機物であれば特に限定されないが、カルボキシル基を有する有機化合物、高分子分散剤が好ましく、いずれかを単独で使用しても、併用しても構わないが、併用した場合、相乗効果があるため、より好ましい。
--カルボキシル基を有する有機化合物--
カルボキシル基を有する有機化合物には、カルボン酸が含まれる。カルボン酸としては、銀粒子を被覆可能であれば特に限定されないが、例えば、脂肪族モノカルボン酸および芳香族モノカルボン酸などのモノカルボン酸、脂肪族ポリカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸などのポリカルボン酸、ヒドロキシモノカルボン酸およびヒドロキシポリカルボン酸などのヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)等が挙げられる。
これらのカルボキシル基を有する有機化合物の中でも、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸および脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)などのヒドロキシカルボン酸が好ましく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の中でも、さらに、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、コール酸などのC6-34脂環族ヒドロキシカルボン酸、好ましくはC10-34脂環族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくはC16-30脂環族ヒドロキシカルボン酸)が好ましい。
特に、コール酸などの多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、嵩高い構造を有しており、銀粒子の凝集を抑制する効果が大きいため好ましい。
なお、これらのカルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。なお、カルボン酸は、塩(特に、アミンとの塩などの塩基性化合物との塩)を形成していない有機化合物であることが好ましい。カルボキシル基を有する有機化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、カルボキシル基を有する有機化合物の分子量は、例えば、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、600以下であることが更に好ましい。また、カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値は、例えば、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
--高分子分散剤--
高分子分散剤としては、銀粒子を被覆可能であれば特に限定されないが、両親媒性の高分子分散剤(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。高分子分散剤としては、通常、塗料、インキ分野などで着色剤の分散に用いられている高分子分散剤が例示できる。このような分散剤には、スチレン系樹脂(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル-ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース等)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリンなど)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが含まれる。代表的な高分子分散剤(両親媒性の高分子分散剤)としては、親水性モノマーで構成された親水性ユニットを含む樹脂(水溶性樹脂、又は水分散性樹脂)が含まれる。
高分子分散剤は、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて高分子分散剤が有していてもよい。これらの官能基のうち、高分子分散剤は、酸基、特に、カルボキシル基を有していることが好ましい。
また、高分子分散剤は、酸基(カルボキシル基など)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基など)が、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよい。ただし、本発明では、カルボキシル基などの酸基が、塩(特に、塩基性化合物との塩)を形成していない高分子分散剤を好適に使用できる。
高分子分散剤の数平均分子量は、1500以上100000以下が好ましく、2000以上80000以下がより好ましく、3000以上50000以下が更に好ましく、7000以上20000以下が特に好ましい。
以下に、市販の高分子分散剤(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)を具体的に例示すると、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090などのソルスパースシリーズ[アビシア(株)製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2050などのディスパービックシリーズ[ビックケミー(株)製];EFKA-46、EFKA-47、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-1501、EFKA-1502、EFKA-4540、EFKA-4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル(株)製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911などのアジスパーシリーズ[味の素(株)製];フローレンDOPA-158、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-17、フローレンTG-700、フローレンTG-720W、フローレン-730W、フローレン-740W、フローレン-745Wなどのフローレンシリーズ[共栄社化学(株)製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー(株)製]などが挙げられる。
これらのうち、酸基を有する高分子分散剤であるディスパービック190、ディスパービック194が好ましい。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体に対するインクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、5質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましい。
また、本発明のインクはポリオールを含む。ポリオールおよび後述するシリコーン系界面活性剤を含むことで、銀粒子をインク中に安定して分散させることができ、インク中で銀粒子が沈殿したとしても容易に再分散させることができ、且つインクのゲル化を抑制することでインクの保存安定性を向上させることができる。なお、ポリオールおよび後述するシリコーン系界面活性剤の組み合わせでなければ、これらの効果全てを得ることはできない。特に、ポリオールを使用しなかった場合、インク中で銀粒子が沈殿したとしても容易に再分散させることができないか、インクのゲル化を抑制することができずにインクの保存安定性が低下する。また、ポリオールを含むインクを用いて記録媒体上に形成された印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められる構造を安定して維持することができ、また仮に銀粒子が凝集しても凝集する領域を少なくすることができるため、記録物を高温で長期間保管した場合に、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。
ポリオールとしては、例えば、上記の多価アルコール類、炭素数8以上のポリオール化合物として例示した化合物などが挙げられる。また、これらのポリオールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングルコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、グリセリンなどの炭素数5以下のポリオールは、インクのゲル化を抑制することに加えて、記録媒体に付与した後におけるインクの優れた乾燥性を得られるため好ましい。
インク中のポリオールのインクに対する含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの経時安定性から7.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、15.0質量%以上が更に好ましく、18.0質量%以上が特に好ましい。また、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましく、45.0質量%以下が更に好ましく、30.0質量%以下が特に好ましい。
なお、インク中の銀粒子の含有量に対するインク中のポリオールの含有量の質量比(ポリオール/銀粒子)は、0.7以上5.0以下が好ましく、1.0以上4.5以下がより好ましく、1.5以上3.0以下が更に好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
本発明のインクは樹脂を含む。樹脂を含むインクを用いて記録媒体上に形成された印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められる構造を安定して維持することができ、また仮に銀粒子が凝集しても凝集する領域を少なくすることができるため、記録物を高温で長期間保管した場合に、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。
樹脂は、水に可溶な水溶性樹脂、又は水に分散可能な水分散性樹脂が好ましく、単独で用いても、併用してもよい。
-水溶性樹脂-
水溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サボニン等のグルコキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、スチレン-アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合物塩、スチレン-マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合物塩、β-ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸等のイオン性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン等が挙げられる。水溶性樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の水溶性樹脂を組み合わせて用いてもよい。
-水分散性樹脂-
水分散性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、銀粒子や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることができる。水分散性樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の水分散性樹脂を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な写像性、光沢度を得る点から、10nm以上30nm以下が好ましい。体積平均粒径が10nm以上30nm以下の樹脂粒子を含むインクを用いて記録媒体上に形成された印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められる構造を安定して維持することができ、また仮に銀粒子が凝集しても凝集する領域を少なくすることができるため、記録物を高温で長期間保管した場合に、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な耐擦過性、写像性、金属光沢の点から、インク全量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。また、10.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下が更に好ましく、2.0質量%以下が更に好ましい。
なお、インク中の銀粒子の含有量に対するインク中の樹脂の含有量の質量比(樹脂/銀粒子)は、0.001以上0.2以下が好ましく、0.01以上0.1以下がより好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインクはシリコーン系界面活性剤を含む。シリコーン系界面活性剤および上記のポリオールを含むことで、銀粒子をインク中に安定して分散させることができ、インク中で銀粒子が沈殿したとしても容易に再分散させることができ、且つインクのゲル化を抑制することでインクの保存安定性を向上させることができる。なお、シリコーン系界面活性剤および上記のポリオールの組み合わせでなければ、これらの効果全てを得ることはできない。特に、シリコーン系界面活性剤を使用せずに他の種類の界面活性剤を使用した場合、銀粒子をインク中に安定して分散させることができない。また、シリコーン系界面活性剤を含むインクを用いて記録媒体上に形成された印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められる構造を安定して維持することができ、また仮に銀粒子が凝集しても凝集する領域を少なくすることができるため、記録物を高温で長期間保管した場合に、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 0006992497000001
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
インク中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下が更に好ましい。
なお、インク中の銀粒子の含有量に対するインク中のシリコーン系界面活性剤の含有量の質量比(シリコーン系界面活性剤/銀粒子)は、0.05以上0.1以下が好ましい。
本発明のインクは、シリコーン系界面活性剤以外の種類の界面活性剤を併用してもよい。例えば、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を併用できる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<インクの物性>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<<記録媒体>>
本発明のインクを付与する記録媒体としては、表面に受容層を有する光沢紙などが好ましいが、非浸透性基材を用いてもよい。記録媒体表面に、あらかじめ受容層(多孔質等)が形成されていても、形成されていなくてもよい。また、記録媒体としては、一般的に記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
あらかじめ受容層(多孔質)を有している受容層を有する記録媒体としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、IJ用フィルムRM-1GP01(株式会社リコー製、多孔質の平均孔径:230nm)、NB-WF-3GF100(多孔質の平均孔径:210nm)、NB-RC-3GR120(多孔質の平均孔径:250nm)(三菱製紙株式会社製)PT-201A420(多孔質の平均孔径:270nm)、SD-101A450(多孔質の平均孔径:250nm)、GL-101A450(多孔質の平均孔径:240nm)、GP501A450(多孔質の平均孔径:250nm)、SP-101A450(多孔質の平均孔径:210nm)、PT-101A420(多孔質の平均孔径:240nm)、PR101(多孔質の平均孔径:270nm)(キヤノン株式会社製)、EJK-QTNA450(多孔質の平均孔径:200nm)、EJK-EPNA450(多孔質の平均孔径:210nm)、EJK-CPNA450(多孔質の平均孔径:220nm)、EJK-RCA450(多孔質の平均孔径:240nm)、EJK-CGNA450(多孔質の平均孔径:190nm)、EJK-GANA450(多孔質の平均孔径:180nm)、EJK-NANA450(多孔質の平均孔径:170nm)、EJK-EGNA450(多孔質の平均孔径:200nm)(エレコム株式会社製)、WPA455VA(多孔質の平均孔径:200nm)、WPA450PRM(多孔質の平均孔径:210nm)、G3A450A(多孔質の平均孔径:220nm)、G3A450A(多孔質の平均孔径:210nm)、WPA420HIC(多孔質の平均孔径:280nm)(富士フイルム株式会社製)、KA420SCKR(多孔質の平均孔径:240nm)、KA450PSKR(多孔質の平均孔径:230nm)、KA450SLU(多孔質の平均孔径:210nm)(セイコーエプソン株式会社製)、BP71GAA4(多孔質の平均孔径:220nm)(ブラザー工業株式会社製)などが挙げられる。
<<記録装置、記録方法>>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。シルバー(S)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410s、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容容器411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
なお、上記のシルバー(S)のインクは本発明のインクである。また、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のカラーインクは、特に制限はなく、目的に応じて公知のインクを適宜選択することができる。また、上記のシルバー(S)以外の3色に加えて、ブラック(K)、ホワイト(W)等のインクを追加で使用してもよい。追加のインクを使用する場合は、追加のインクを有する液体収容部と液体吐出ヘッドを記録装置に追加する。本発明のシルバーインクを付与した記録媒体上の位置に、これらのシルバー以外の色材を含むインクを付与することで、銀色以外の様々な金属光沢を有する色を再現することができる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、シルバー(S)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
<<記録物>>
本発明の記録物は、上記の記録媒体と、記録媒体上に付与された本発明のインクにより形成される印刷層と、を有する。また、記録物は、必要に応じて、印刷層の上に、カラーインク印刷層、樹脂層を有する。
<印刷層>
印刷層は、本発明の銀粒子を含むインクが記録媒体上に付与されることにより形成され、印刷層中に銀粒子を含む。また、印刷層中に、本発明のインクに含まれるポリオール等の有機溶剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤、及び樹脂などが含まれていてもよい。
また、印刷層は、表面において、投影面積と同等面積の円の直径が45nm以下である銀粒子を含む。また、所定の投影面積の範囲内において、これら銀粒子の投影面積の合計は、所定の投影面積と同値である印刷層の表面の投影面積に対し30%以上であり、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。この投影面積比率が30%以上である場合、印刷層の写像性が優れる。また、この投影面積比率が30%以上である印刷層は、銀粒子が凝集せずに敷き詰められている構造の占める割合が大きいので、仮に銀粒子が凝集しても、凝集する領域の占める割合が少なくなり、記録物を高温で長期間保管した場合においても、画像の色度(色彩値)であるb*値が大きく変化しない点で優れる。
なお、投影面積とは、平面上に形成される投影像の面積をいい、具体的には印刷層のSEM画像から算出される面積をいう。投影面積比率は、投影面積と同等面積の円の直径が45nm以下である銀粒子が占める領域を画像処理でマーキングすることで算出する。また、「所定の投影面積」としては、印刷層のSEM画像上における、10μm×10μm四方の大きさ以上1mm×1mm四方の大きさ以下の面積をいう。
また、投影面積比率が30%以上である印刷層は、本発明のインクを記録媒体に付与することで形成することができる。本発明のインクは、インク中における銀粒子の分散安定性が優れ、凝集しにくいため、記録媒体にインクが付与された後においても銀粒子が凝集しにくい状態を維持することができ、投影面積比率が30%以上である印刷層を形成することができる。
また、印刷層は、樹脂を含むことが好ましい。印刷層が樹脂を含むことにより、印刷層の写像性、耐擦過性をより向上させることができる。印刷層中の樹脂の含有量としては、印刷層全量に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。含有量が0.01質量%以上5.0質量%以下である場合、印刷層の写像性、金属光沢、耐擦過性が向上する。
-印刷層の層厚-
印刷層の層厚は、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上250nm以下であることがより好ましく、50nm以上200nm以下であることが更に好ましく、50nm以上180nm以下であることが特に好ましい。印刷層の層厚がこの範囲内であることにより、銀粒子のプラズモン吸収に由来する茶色の色調が低くなり、金属光沢および写像性に優れた印刷層を形成することができる。また、印刷層の層厚がこの範囲内となるインク付与量であれば、記録媒体が多孔質構造を有する場合にインクのビヒクルを直ちに吸収することができ、金属光沢および写像性に優れた印刷層を形成することができる。また、印刷層の層厚としては、少なくとも銀粒子1つ分以上の層厚が必要である。銀粒子が記録媒体上に1層分以上横方向に並ぶことで、銀粒子間の相互作用が増加し、金属様の写像性に優れた印刷層を形成することができる。なお、層厚を測定する印刷層は、記録媒体に付与されたインクが十分に乾燥した後の層である。また、印刷層の層厚は、印刷層の任意の点を10点測定した層厚の平均値である。印刷層の層厚を測定する方法としては、例えば、記録物を切断し、切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で観察する方法が挙げられる。
-印刷層の写像性-
印刷層の写像性を表す「写像性値」は、JIS-H8686で規定される写像性測定方法により得られる写像性値を意味する。具体的には、スリットを通して測定対象面に45度の角度で当てられた光の反射光(受光角45度)を、移動する光学くしを通して検知する光学装置と、検知した光量の波動を波形として記憶する計測装置とで構成された写像性測定装置を用い、光学くしを通して検知された光量の変動波形から、次の算式により写像性値Cが得られる。
Cl(n)=M-m/M+m×100
ここで、Cl(n)は、光学くし幅がn(mm)のときの写像性値(%)、Mは、光学くし幅がn(mm)のときの最高波高、mは、光学くし幅がn(mm)のときの最低波高を示す。
本発明では、写像性測定装置として、スガ試験機ICM-1型を使用し、光学くし幅nを2.0mmとしている。
対向物が写りこむ高い写像性を有するには写像性(2mm)の値で5以上が必要であって、さらに好ましくは30以上である。写像性についての上限であるが、実像が写りこむような高い鏡面を有するものは最大値でも98であるので上限値は98となる。
-印刷層のb*値-
印刷層のb*値は、上記の通り、CIE(Commission International del'Eclairage)により規格化されているL*a*b*表色系による色差表示法に基づく。印刷層が高い写像性を有し、銀色であるためには、b*値が-7~+4であることが好ましい。b*値は、マイナス側に行くほど青味が強くなり、逆にプラス側行くほど黄色味が強くなる。黄色が強くなると印刷層は金色に近づき、b*値が+4を越えてくると金色が強く発現して銀色とは言いがたい色調となる。また、逆にb*値が-7を下回ると青味が強くなり暗い色調で銀色とは異なる色調となる。b*値の測定方法については、分光測色計で簡便に測定することができる。
<カラーインク印刷層>
記録物は、記録媒体上に形成された印刷層の上に、更にカラーインク印刷層を形成してもよい。カラーインク印刷層は、銀粒子以外の色材を含むインクを付与することにより形成され、銀粒子以外の色材を含む層である。
カラーインク印刷層の平均厚みは、1nm以上300nm以下が好ましく、2nm以上250nm以下がより好ましい。印刷層の呈する銀色を調色する場合、銀色を隠蔽しないことが必要であり、その際の平均厚みとしては3nm以上100nm以下であることが好ましい。カラーインク印刷層の平均厚みを上記範囲で調色した場合、有色メタリック画像が得られ、写像性、及び色調ともに風合いの良い記録物を得ることができる。調色の順序としては、本発明のインクで印刷層を形成した後、印刷層上にカラーインク印刷層を形成することが好ましい。カラーインク印刷層の層厚を測定する方法としては、例えば、記録物を切断し、切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で観察する方法が挙げられる。
<樹脂層>
記録物は、記録媒体上に形成された印刷層の上に、更に樹脂層を形成してもよい。なお、印刷層の上にカラーインク印刷層が形成されているとき、「樹脂層の上」には、樹脂層がカラーインク印刷層の上に形成される場合を含む。樹脂層は、透明な樹脂の層であり、記録物の耐擦過性を向上させる。
樹脂層に用いられる樹脂は透明性が高いことが好ましく、例えばPET、PPなどを用いることができる。また、樹脂はナイロンでもよく、ラミネート処理で印刷層とカラーインク印刷層の一部または全面を被覆することが好ましい。また、樹脂を水や有機溶剤に溶解または分散させて印刷層とカラーインク印刷層の一部または全面に付与することも好ましい。樹脂を水や有機溶剤に溶解または分散させて付与する場合、付与方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法、インクジェット法などが挙げられる。
樹脂層の平均厚みは、5nm以上300nm以下が好ましい。樹脂層の平均厚みが5μm以上である場合、樹脂層の耐擦過性、耐久性が向上する。樹脂層の平均厚みが300μm以下である場合、印刷層の写像性が低下せず、またb*値が4を超えず黄色味または赤が強い色味になることを抑制することができる。
<<用途>>
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<樹脂分散液の調製>
(樹脂分散液1の調製例)
温度計、窒素ガス導入管、及び撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(商品名:PTMG1000、三菱化学株式会社製、平均分子量:1,000)200.4g、2,2-ジメチロールプロピオン酸15.7g、イソホロンジイソシアネート48.0g、及び有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1gを、ジブチルスズジラウレート(DMTDL、東京化成工業株式会社製)0.06gを触媒として使用して反応させた。反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7gを供給し、更に反応を継続した。反応を合計6時間になるように行った後、メタノール1.4gを投入し、反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4g加えることにより、ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和し、次いで、水715.3gを加え、十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエステルウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液1を得た。
(樹脂分散液2の調製例)
樹脂分散液1の調製例において、DMTDLの含有量0.06gを0.12gにし、反応時間を15時間に変更した以外は、樹脂分散液1の調製例と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリエステルウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液2を得た。
(樹脂分散液3の調製例)
樹脂分散液1の調製例において、DMTDLの含有量0.06gを0.2gにし、反応時間を8時間にした以外は、樹脂分散液1の調製例と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリエステルウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液3を得た。
(樹脂分散液4の調製例)
樹脂分散液1の調製例において、DMTDLの含有量0.06gを0.2gにし、反応時間を5時間にした以外は、樹脂分散液1の調製例と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリエステルウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液4を得た。
(樹脂分散液5の調製例)
樹脂分散液1の調製例において、DMTDLの含有量0.06gを0.12gにし、反応時間を10時間にした以外は、樹脂分散液1の調製例と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリエステルウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液5を得た。
(樹脂分散液6の調製例)
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6-ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200))1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g(5.5モル)、及びジブチルスズジラウリレート(触媒)1.8gを加えて90℃まで加熱し、3時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加、混合したものの中から、4,340gを抜き出して、強撹拌下にて、水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、脂環式ジイソシアネートに由来する構造を有するポリカーボネートウレタン樹脂粒子を含む、樹脂分散液6を得た。
以下、樹脂分散液1~6中の樹脂粒子の体積平均粒子径を表1に示す。
Figure 0006992497000002
<銀分散液の調製>
(銀分散液1の調製例)
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する分散剤ポリマー(商品名:ディスパービック190、ビックケミー・ジャパン株式会社製、溶媒:水、不揮発成分40質量%、酸価:10mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)7.2g、及びコール酸(和光純薬工業株式会社製)2.2gを、イオン交換水100gに添加し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業株式会社製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えた後、水温50℃のウォーターバス中で3時間加熱撹拌し、反応液を得た。得られた反応液を、ガラスフィルタ(商品名:GC-90、ADVANTEC社製、平均孔径:0.8μm)でろ過し、銀粒子を20質量%含む銀分散液1を得た。
得られた銀分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)にて銀粒子の粒径を確認したところ、粒子径Dav90は45nmであった。
(銀分散液2~7の調製例)
銀分散液1の調製例において、ジメチルアミノエタノールを加える速度と、水温を調節することにより、銀粒子の個数平均粒径を下記表2のように変更した以外は、銀分散液1の調製例と同様にして、銀粒子を20質量%含む銀粒子分散液2~7を得た
Figure 0006992497000003
<実施例1-1>
銀分散液1を50.0質量%、ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業株式会社製)0.01質量%、1,2-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)18.0質量%、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成 工業株式会社製)7.0質量%、BYK-33(ビックケミー社製)1.0質量%、防腐防黴剤としてプロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、ポリエステルウレタン樹脂粒子の樹脂分散液1を1.7質量%(固形分量:0.5質量%)、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加して混合、攪拌した後、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:シリンジフィルター、ザルトリウス社製)で濾過して実施例1-1の銀インク1を得た。なお、銀インクにおける銀粒子の粒子径Dav90は、上記の銀分散液における銀粒子の粒子径Dav90と同様である。
<実施例1-2~1-26、比較例1-1~1-8>
実施例1-1の銀インク1の調整において、組成を下記表3、表4に示すように変更した以外は、実施例1-1の銀インク1の調整と同様にして、実施例1-2~1-26の銀インク2~26、比較例1-1~1-8の銀インク27~34を得た。
Figure 0006992497000004
Figure 0006992497000005
なお、上記表3において、インク組成物の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・シリコーン系界面活性剤(BYK-33、ビックケミー社製)
・ノニオン系界面活性剤(LS106、花王株式会社製)
・シリコーン系界面活性剤(KF-618、信越化学工業社製)
・シリコーン系界面活性剤(FZ-2164、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)
・フッ素系界面活性剤(FT-110、株式会社ネオス社製)
・フッ素系界面活性剤(FS3100、DuPont社製)
・アニオン系界面活性剤(ハイテノールNF-08、第一工業製薬株式会社製)
次に、銀インク1~34をそれぞれガラス瓶容器に入れて60℃で14日間保存し、その後のインクの再分散性、ろ過性、粘度変化率のそれぞれの評価を下記評価基準に従って行った。結果を表5に示す。なお、いずれの評価も結果がB以上であることが好ましい。
[再分散性評価]
保存後の各インクを振とうさせ、下記の基準で評価した。
S:軽い振とうで再分散する
A:振とうで再分散する
B:強く振とうすれば再分散する
C:振とうしても固形分が再分散しない
[ろ過性評価]
5μmのセルロースフィルター(ザルトリウス社製)を用いた通液テストを実施し、下記の基準で評価した。
S:問題なくろ過
A:通常の1.5倍の圧力をかければろ過可能
B:フィルター交換頻度が2~5倍増
C:フィルター詰まりによりろ過できず
[粘度変化率評価]
保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を求め、下記の基準で評価した。粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業株式会社製)を使用し、25℃における粘度を、50回転で測定した。
S:±5%以内
A:±5%を超え、±8%以内
B:±8%を超え、±10%以内
C:±10%を超える
次に、40℃で14日間保存した銀インク1~34の各インクを充填したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用い、記録媒体であるプラチナフォトペーパーEJK-QTNA450(ELECOM社製)に対し25℃の環境下で、印刷層の層厚が表5に示す厚さになるように調整してベタ画像を形成した。その後、ベタ画像において、投影面積と同等面積の円の直径が45nm以下である銀粒子が占める割合の評価、光沢度の評価、及び写像性の評価を下記評価基準に従って行った。これらの結果はB以上であることが好ましい。また、ベタ画像を60℃で5日間保存し、保存前後の色度(b*値)変化を比較する評価を下記評価基準に従って行った。この結果はB以上であった場合を実用可能であるとした。結果を表5に示す。なお、表5中の「※」は、印刷できなかったことを表す。
[投影面積と同等面積の円の直径が45nm以下である銀粒子が占める割合の評価]
ベタ画像の0.03mm×0.03mmの範囲をSEM観察し、観察領域内において、投影面積と同等面積の円の直径が45nm以下である銀粒子が占める領域を画像処理でマーキングした。次に、観察領域全体の投影面積に対する、マーキングされた領域の投影面積が占める占有率を算出し、下記の基準で評価した。
S:占有率50%以上
A:占有率40%以上50%未満
B:占有率30%以上40%未満
C:占有率30%未満
[光沢度の評価]
ベタ画像の20°光沢度を光沢度計(BYK Gardener社製、マイクロトリグロス)により測定し、下記の基準で評価した。
S:20°光沢度が800以上
A:20°光沢度が500以上、800未満
B:20°光沢度が250以上、500未満
C:20°光沢度が250未満
[写像性の評価]
乾燥後の記録物の写像性値Cを、スガ試験機ICM-1型を使用し、JIS-H8686で規定される写像性測定方法に基づき光学くし幅が2.0mmの写像性を測定し、下記の基準で評価した。
S:写像性値Cが50以上
A:写像性値Cが30以上、50未満
B:写像性値Cが5以上、30未満
C:写像性値Cが5未満
[色度(b*値)変化の評価]
CIE L*a*b色座標の「色度(色彩値(b値))」を、X-Rite938 分光測色濃度計(X-Rite社製)を用いて測定し、保存前後の変化量を求め、下記の基準で評価した。
A:保存前後の差異が±1以内
B:保存前後の差異が±1を超え、±3以内
C:保存前後の差異が±3を超える
次に、銀インク1~26の各インクを充填したインクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用い、記録媒体であるRM-1GP01(株式会社リコー製)に対し25℃の環境下で、印刷層の層厚が表5に示す厚さになるように調整してベタ画像を形成した。なお、銀インク1を用いたベタ画像を有する記録物を複数作製し、その一部の記録物に対して更にラミネート処理を施し、表5に示す層厚の樹脂層を形成した。その後、ベタ画像および樹脂層を有するベタ画像に対し、耐擦過性の評価、色度(b*値)の評価を下記評価基準に従って行った。これらの結果はB以上であることが好ましい。結果を表5に示す。
[耐擦過性の評価]
乾燥後の記録物を学振型磨耗堅牢度試験機AB-301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて10回擦り、その劣化具合を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
S:傷の数が5本未満であり、下地も見えない。
A:傷の数が5本以上10本未満であり、下地も見えない。
B:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)の露出が5%未満
C:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)の露出が5%以上
[色度b値評価]
CIE L*a*b色座標の「色度(色彩値(b値))」を、X-Rite938 分光測色濃度計(X-Rite社製)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
ランクA:-1.5≦b*≦1.5
ランクB:-7.0≦b*<-1.5、又は1.5<b*≦4.0
ランクC:b*<-7.0、又は4.0<b*
Figure 0006992497000006
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410s、410c、410m、410y シルバー(S)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容容器
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2012-200873号公報 特開2012-206358号公報 特開2011-241240号公報

Claims (3)

  1. 粒子径Dav90が25nm以上45nm以下である銀粒子、ポリオール、シリコーン系界面活性剤、樹脂を含むインクであって、
    前記ポリオールは、炭素数が5以下であり、
    前記ポリオールは、前記インクに対して10.0質量%以上45.0質量%以下含まれ、
    前記樹脂は、体積平均粒径が10nm以上30nm以下の樹脂粒子であり、
    前記樹脂は、前記インクに対して0.01質量%以上2.0質量%以下含まれることを特徴とするインク
  2. 請求項1に記載のインクを記録媒体に対して付与する付与工程を有する記録方法。
  3. 請求項1に記載のインクを収容するインク収容容器と、収容された前記インクを記録媒体に対して付与する付与手段と、を有する記録装置。
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