JP2018150427A - インク、インクジェット印刷装置、及び印刷物 - Google Patents

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一郎 藤井
由昌 宮沢
Yoshimasa Miyazawa
由昌 宮沢
戸村 辰也
Tatsuya Tomura
辰也 戸村
卓也 藤田
Takuya Fujita
卓也 藤田
翔介 青合
Shosuke Aoai
翔介 青合
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Abstract

【課題】再分散性が良好であり、難吸水性媒体であっても得られる印刷物の金属光沢性、写像性、及び彩度に優れるインクの提供。【解決手段】銀粒子、層状珪酸塩鉱物、及び水を含み、前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であるインクである。前記層状珪酸塩鉱物が、合成スメクタイトである態様、前記層状珪酸塩鉱物の含有量が、0.5質量%以上2.0質量%以下である態様などが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクジェット印刷装置、及び印刷物に関する。
近年、インクジェット印刷でも金属光沢を有する印刷物を得たいという要望が高まってきている。
そこで、市販の鱗片状アルミニウム顔料や酸化チタン被覆マイカ顔料などを光輝顔料として使用するインクジェットプリンター用光輝性インク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、銀色の金属光沢を有する着色の顔料としては、アルミニウム粒子が広く使用されている。しかし、前記アルミニウム粒子は、比重が重いため、着色中に安定に存在しにくく、経時で沈降し、場合によっては固着してハードケーキを形成するという問題がある。
そこで、鱗片状薄膜微粉末がインク中で容易に沈降しない処理を施すことにより鱗片状薄膜微粉末がインク中に分散された鱗片状薄膜微粉末分散液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、環境負荷の低減のため、印刷インキなどの着色は、有機溶剤を極力使用しない水系のものに次々と置き換わっている。しかし、アルミニウム粒子は、水と反応して水素ガスを発生する上に、アルミニウムからアルミナに変化してしまうため、金属光沢も失われてしまうという問題がある。
そこで、アルミニウム粒子と水が反応し水素ガスの発生を抑制する耐水化アルミニウム顔料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
またさらに、水と、銀粒子と、保湿剤とを含有する水系インク組成物であって、前記銀粒子の平均一次粒径が10nm以上100nm以下であり、画像部にて銀粒子同士を融着させることにより金属被膜を形成させて金属光沢度に優れる画像を得ることができる水系インク組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明は、再分散性が良好であり、難吸水性媒体であっても得られる印刷物の金属光沢性、写像性、及び彩度に優れるインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、銀粒子、層状珪酸塩鉱物、及び水を含み、前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下である。
本発明によると、再分散性が良好であり、難吸水性媒体であっても得られる印刷物の金属光沢性、写像性、及び彩度に優れるインクを提供することができる。
図1は本発明のインクを用いる印刷装置の一例を示す図である。 図2は本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。
(インク)
前記インクは、銀粒子、層状珪酸塩鉱物、及び水を含み、前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であり、更に必要に応じて、水溶性有機溶剤、浸透剤、樹脂、添加剤、その他の成分を含む。
本発明のインクは、従来のインクジェットプリンター用光輝性インク組成物では、市販の光輝顔料は粒子径が大きいため、インクジェットヘッドで安定して吐出させることができず、すぐに吐出不良を引き起こしてしまうという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明のインクは、従来の鱗片状薄膜微粉末分散液では、十分な保存安定性は確保できていないため、しばらく使用せずに放置した場合、ノズル詰まりを生じる場合があるという問題があるという知見に基づくものである。
さらに、本発明のインクは、従来の耐水化アルミニウム顔料では、水素ガスの発生は完全には抑制することができないため、安全性の観点から耐水化アルミニウム顔料を水系のインクジェットインクとして使用することは困難であるという問題があるという知見に基づくものである。
またさらに、本発明のインクは、従来の水系インク組成物では、粒径が100nm未満の金属粒子はプラズモンによる発色があり、このような金属粒子が完全に融着できないとプラズモン発色し、銀粒子においては茶色の呈色が残ってしまうという問題があるという知見に基づくものである。そのため、従来の水系インク組成物では、紙のような目の粗い吸収性のある印刷媒体において、インクが印刷媒体中に吸収されて広がり、金属粒子同士の隣接が起こりにくく、金属光沢を示すのに充分な融着が生じず、また、フィルムやコート紙のような難吸水性印刷媒体では銀粒子の分散剤を銀粒子表面から脱離させて銀粒子同士の融着を促進させることができず、金属光沢を得ることが困難であり、印刷媒体が限定されるという問題があるという知見に基づくものである。
<銀粒子>
前記銀粒子は、金属発色を示す粉体であり、銀色を呈色するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜、形状等を選択することができる。
前記銀粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鱗片状、球形状、フレーク状、不定形状、又はこれらを混合したものでもよい。
前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径(D10)としては、金属光沢の発現性の点から、100nm以上であり、300nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましい。前記10%累積体積粒径(D10)が、100nm以上であると、銀粒子表面での表面プラズモン共鳴による発色を呈しないようになり、プラズモン起因の着色が起こらないようになる。その結果、前記10%累積体積粒径(D10)が、100nm以上であると、吸収波長域が可視領域全体に広がり極大吸収も小さくなるため、銀粒子からなる乾燥膜がプラズモンによる着色が無く、一般的な銀色の金属銀となることができる。さらに、前記10%累積体積粒径(D10)が、300nm以上であると、銀粒子の多くが可視波長を吸収することができるようになり、より強く金属光沢を発現することができるため好ましい。また、前記10%累積体積粒径(D10)が、500nm以上であると、さらに効果的である。
前記銀粒子の動的光散乱法による90%累積体積粒径(D90)としては、5,000nm以下であり、2,000nm以下が好ましい。前記90%累積体積粒径(D90)が、5,000nm以下であると、前記銀粒子がインクジェットヘッドのノズルに対して充分に小さく、安定して吐出することができるため好ましい。さらに、前記銀粒子の90%累積体積粒径(D90)が、2,000nm以下であると、銀粒子の一次的な凝集が起こってもインク吐出に影響を及ぼしにくく、連続吐出安定性の面から好ましい。
前記銀粒子の前記10%累積体積粒径(D10)、及び前記90%累積体積粒径(D90)は、銀粒子の直径、存在数を求める測定を行い、結果を統計的に処理して得られる粒径加積曲線から、総質量の10%となるときの粒子の直径を10%累積体積粒径(D10)、総質量の90%となるときの粒子の直径を90%累積体積粒径(D90)とした値である。前記銀粒子の直径は、銀粒子自身の直径であってもよいし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、前記粒子コロイドの直径であってもよい。
前記銀粒子の直径としては、水中分散状態の場合は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。前記動的光散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラック Wave−UT151(マイクロトラック・ベル株式会社製)、ナノトラック Wave−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
なお、これら以外でも電子顕微鏡法によって測定することができる。前記電子顕微鏡により銀粒子の写真を得て、この写真を画像処理して計測することにより、銀粒子の直径を求めることができる。一例として、写真よりランダムに写真中の50個以上の銀粒子の面積を求め、同等となる円の直径を計算し粒子径として求める。そして、得られた粒径から粒径加積曲線を求めることができる。
前記銀粒子の含有量としては、インク全量に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1.0質量%以上15.0質量%以下であると、インクの保存安定性、吐出安定性、及び銀色光沢の観点から好ましい。
[銀粒子の製造方法]
前記銀粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インゴット等を粉砕することにより得られた粗大粉末を所望の粒径まで粉砕する粉砕法、蒸着等の気相成膜法等によりフィルム上に形成した金属膜を前記フィルムから剥離し粉砕させる方法(特に、液体中において剥離し粉砕を行い、液体中に分散させる方法)、湿式還元法のような化学的な造粒法等の方法、各種アトマイズ法などが挙げられる。
前記湿式還元法としては、例えば、硝酸銀の水溶液にアンモニア水を加えて銀アンミン錯体を形成した後、ホルマリン、ヒドラジンなどの還元剤を添加して銀に還元させて銀粉を得る方法や硝酸銀の水溶液に水酸化ナトリウムを加えて酸化銀粒子を生成させた後、ホルマリン、ヒドラジンなどの還元剤を添加して銀に還元させて銀粉を得る方法などが挙げられる。その後、必要に応じて、銀粒子を含有する溶液を固液分離して固形分としての銀粒子と溶液に分離し、その銀粉を適当な洗浄剤で洗浄して銀粉に付着した液体を除去し、更に銀粉を乾燥して水分を除去し、解砕や分級などの処理を行うことで求める粒度の銀粒子を得ることができる。
前記アトマイズ法としては、例えば、溶融金属(溶湯)を水やガス等の冷却剤に衝突させ、微粉化して製造する方法などが挙げられる。前記アトマイズ法によると、粒径の揃った金属粒子を得ることができる。
[銀粒子分散液の製造方法]
前記銀粒子を水中に分散させて銀粒子分散液を得るには、銀粒子表面に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、銀粒子の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法などが挙げられる。
前記銀粒子の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、例えば、銀粒子をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。この場合、インクに配合される銀粒子はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない銀粒子や、部分的に被覆された銀粒子が水中に分散していてもよい。
前記分散剤を用いて分散させる方法としては、例えば、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法などが挙げられる。
前記分散剤としては、銀粒子や使用するインクの系に応じて、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
これらの中でも、分散剤としては、アニオン系界面活性剤及びHLB値10〜20のノニオン系界面活性剤のいずれかが好適である。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、NH、Na、Ca等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、NH、Na、Ca等)、ジアルキルサクシネートスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、NH、Na等)、ラウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジオクチルスルホコハク酸Na塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸NH塩が特に好ましい。
前記HLB値10〜20のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、アセチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが好ましい。
前記高分子型の分散剤としては、例えば、下記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(A)において、Rは炭素数6〜30、好ましくは12〜22、更に好ましくは18〜22のアルキル基を表す。nは1以上の整数を表し、20〜100の整数が好ましい。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体は、原料として、炭素数が異なるオレフィンを含む、オレフィンの混合物を用いて合成することも可能である。
その場合は、前記Rとして、炭素数が異なるアルキル基がランダムに高分子鎖に導入された共重合体となる。
本発明においては、前記Rの炭素数が均一であるアルキル基が高分子鎖中に導入されたα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体だけでなく、前述のように、Rの炭素数が異なるアルキル基がランダムに高分子鎖中に導入されたα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を、前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体として用いることも可能である。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体の重量平均分子量は、5,000以上20,000以下が好ましい。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂及び水溶性ポリエステル樹脂は、常温においては固体であり、冷水には殆ど溶けないものである。しかし、前記共重合体及び前記樹脂の酸価と当量以上(好ましくは、酸価の1.0倍〜1.5倍)のアルカリ溶液又はアルカリ水溶液に溶解して用いた場合に分散剤としての効果が発現する。また、前記共重合体及び前記樹脂をアルカリ溶液又はアルカリ水溶液で溶解するには、加熱撹拌すると容易に溶解できる。前記α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体におけるオレフィン鎖が長い場合は比較的溶け難く、不溶物が残る場合があるが、適当なフィルター等で不溶物を除いて用いれば、分散安定化剤としての効果は損なわれない。
前記アルカリ溶液又はアルカリ水溶液における塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基性物質;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、コリン等のアルコールアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(A)で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、T−YP112、T−YP115、T−YP114、T−YP116(いずれも、星光PMC株式会社製)などが挙げられる。
前記スチレン−(メタ)アクリル共重合体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、JC−05(星光PMC株式会社製)、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920(いずれも、東亞合成株式会社製)などが挙げられる。
前記水溶性ポリウレタン樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、タケラックW−5025、タケラックW−6010、タケラックW−5661(いずれも、三井武田ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
前記水溶性ポリエステル樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ニチゴポリエスターW−0030、ニチゴポリエスターW−0005S30WO、ニチゴポリエスターWR−961(いずれも、日本合成化学工業株式会社製)、ペスレジンA−210、ペスレジンA−520(いずれも、高松油脂株式会社製)などが挙げられる。
前記高分子型の分散剤の酸価は、40mgKOH/g以上400mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以上350mgKOH/g以下がより好ましい。
前記酸価が、40mgKOH/g以上であると、アルカリ溶液の溶解性が高くなり、400mgKOH/gを以下であると、分散体の粘度を抑えることができ、インク粘度の上昇を抑制できるため吐出を良好に保つことができ、また、分散体の分散安定性を高い状態で保つことができる。
前記高分子型の分散剤の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000以下が好ましく、5,000以上20,000以下がより好ましい。前記重量平均分子量が、5,000以上であると、顔料分散体の分散安定性が向上しやすく、20,000以下であると、アルカリ溶液の溶解性が高く、粘度が低いため分散体粘度を低下させることができる。
前記分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよく、分散剤ポリマー、低分子分散剤を複数種組み合わせて使用してもよい。複数種の分散剤を組み合わせて使用することで分散剤の特長を生かした分散体を作り上げることができ、銀粒子の分散性と経時安定性を高めることが可能となる。
前記分散剤の含有量は、前記銀粒子100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。前記分散剤の含有量が1質量部以上であると、銀粒子を分散することができ、分散条件によっては一次粒子まで分散が可能となる。また、前記含有量が、100質量部以下であると、銀粒子に吸着していない過剰成分が余らず、インク物性に影響を与えない。そのため画像滲みや、耐水性の劣化、耐擦性の劣化、ノズルからの吐出性の悪化、及び経済性の劣化を抑制することができる。
前記銀粒子分散体は、水、銀粒子、分散剤、及び必要に応じてその他の成分を合わせて分散する。前記分散は分散機を用いることが好ましく、水中に前記分散剤を溶解させ、次に、前記銀粒子を加えて充分に湿潤させた後、ホモジナイザーによる高速撹拌、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機等を用いる方法で分散することで、銀粒子分散液を作製することができる。
このような銀粒子の状態を観察するには、透過型電子顕微鏡、反射型電子顕微鏡による観察が有効である。また、銀粒子を確認するには銀粒子を樹脂に包埋して切断することで断面を出し観察することが有効である。銀粒子分散液の分散状態を把握するには、個々の粒子を観察するには観察試料作製時に凍結レプリカ法を用いて分散液を凍結し、割面を蒸着などで固定化することで、銀粒子の分散状態について状態を確認することが可能となる。
前記銀粒子の組成は、蛍光X線分析にてマクロな組成分析が可能であり、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって微小な部位に関しても組成分析を行うことができる。更に反射型電子顕微鏡(SEM)と組み合わせてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いることで、銀粒子ごとの組成を把握することができる。
これら以外にも、X線光電子分光法(XPS)にて組成の最表層の元素分析や元素の化学状態を把握可能であり、詳細な膜状態を把握することができる。更にスパッタ法による表面エッチングを行うことで、三次元的な組成分布を把握することができる。
前記銀粒子分散液における銀粒子の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な分散性が得られ、また、インク処方の自由度を高める点から、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、インクの処方として銀粒子濃度を調整することができる。また、前記含有量が50質量%以下であると、分散液の粘度を低くすることができるため、インクを作製するときの取り扱いが容易になる。また、前記銀粒子の含有量が、30質量%以下であると、分散液製造時に撹拌しやすく分散効率を上げることができる。
前記銀粒子分散液は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子を除去することが好ましい。
[銀コロイドとして分散された銀粒子分散液の製造方法]
前記銀粒子は、その表面に保護コロイドが付着した銀コロイドとして、水系分散媒中に分散していることが好ましい。これにより、前記銀粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、インクの保存安定性が顕著に向上する。前記銀コロイドは、いかなる方法で調整されたものであってもよく、例えば、銀粒子を含有するイオンを含む溶液を用意し、この銀イオンを保護コロイドの存在下で還元剤により還元することにより得ることができる(例えば、特開2006−299329号参照)。これらの方法によって銀コロイドを製造する際に、還元反応の前後の、任意の時点で水溶液に界面活性剤等を加えると、銀粒子の分散安定性はさらに向上する。また、銀粒子の粒子径は、前記還元剤による還元反応の制御によって制御をすることができる。すなわち、還元剤の添加速度や反応温度を調整することにより制御可能であり、例えば、還元剤の添加速度を遅めたり、液温を低めることにより、より小さい粒子径に調整することが可能である。
前記保護コロイドとしては、銀粒子表面を保護する役割を果たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機物などが挙げられる。
前記有機物としては、カルボキシル基を有する有機化合物、分散剤ポリマーが好ましく、いずれかを単独で使用しても、併用しても構わないが、併用した方が相乗効果があるため、より好ましい。
<<カルボキシル基を有する有機化合物>>
前記カルボキシル基を有する有機化合物のカルボキシル基の数としては、1分子あたり、1以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
なお、前記カルボキシル基を有する有機化合物において、一部又は全部のカルボキシル基としては、塩(アミンとの塩、金属塩等)を形成していてもよい。特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩等)を形成していない有機化合物(すなわち、遊離のカルボキシル基を有する有機化合物)を好適に使用できる。
また、前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、カルボキシル基を有している限り、カルボキシル基以外の官能基(又は金属化合物又は金属ナノ粒子に対する配位性基等)を有していてもよい。このようなカルボキシル基以外の官能基(又は配位性基)としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基{又は官能基、例えば、窒素原子を有する基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)、窒素環基(ピリジル基等の5員〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基等)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基など]、酸素原子を有する基[ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基等の5員〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子を有する基[例えば、チオ基、チオール基、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基等)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO2−)など]、これらの塩を形成した基(アンモニウム塩基等)など}などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせてカルボキシル基を有する有機化合物が有していてもよい。これらの官能基のうち、カルボキシル基と塩を形成可能な塩基性基(特に、アミノ基、置換アミノ基、イミノ基、アンモニウム塩基など)を有していない化合物であることが好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、代表的なものには、カルボン酸が含まれる。このようなカルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸)などが挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸[飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デヒドロコール酸、コラン酸などの炭素数1〜34の脂肪族モノカルボン酸、好ましくは炭素数1〜30の脂肪族モノカルボン酸など)、不飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、アビエチン酸などの炭素数4〜34の不飽和脂肪族モノカルボン酸、好ましくは炭素数10〜30の不飽和脂肪族モノカルボン酸)]、芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ナフトエ酸などの炭素数7〜12の芳香族モノカルボン酸など)などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸[例えば、脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの炭素数2〜14の脂肪族飽和ポリカルボン酸、好ましくは炭素数2〜10の脂肪族飽和ポリカルボン酸など)、脂肪族不飽和ポリカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、テトラヒドロフタル酸などの炭素数4〜14の脂肪族不飽和ポリカルボン酸、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族不飽和ポリカルボン酸など)など]、芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、トリメリット酸などの炭素数8〜12の芳香族ポリカルボン酸など)などが挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシモノカルボン酸[脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、12−オキソケノデオキシコール酸、グリココール酸、リトコール酸、ヒオデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、アポコール酸、タウロコール酸などの炭素数2〜50の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、好ましくは炭素数2〜34の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸、さらに好ましくは炭素数2〜30の脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシモノカルボン酸(サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸などの炭素数7〜12の芳香族ヒドロキシモノカルボン酸など)など]、ヒドロキシポリカルボン酸[脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、タルトロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などの炭素数2〜10の脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸など)など]などが挙げられる。
なお、これらのカルボン酸は、塩を形成していてもよく、無水物、水和物などであってもよい。なお、前記カルボン酸は、上記と同様に、塩(特に、アミンとの塩等の塩基性化合物との塩)を形成していない場合が多い。
前記カルボキシル基を有する有機化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸(脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸及び脂肪族ヒドロキシポリカルボン酸)などのヒドロキシカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、脂環族ヒドロキシカルボン酸(又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、コール酸などの炭素数6〜34の脂環族ヒドロキシカルボン酸、好ましくは炭素数10〜34の脂環族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくは炭素数16〜30の脂環族ヒドロキシカルボン酸)が好ましい。
前記コール酸等の多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、好ましくは炭素数10〜34の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、さらに好ましくは炭素数14〜34の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特に炭素数18〜30の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸)、デヒドロコール酸、コラン酸などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数10〜34の縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくは炭素数14〜34の縮合多環式脂肪族ヒドロキシカルボン酸、特に炭素数18〜30の縮合多環式脂肪族カルボン酸)などの多環式脂肪族カルボン酸(例えば、炭素数10〜50の縮合多環式脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数12〜40の縮合多環式脂肪族カルボン酸、さらに好ましくは炭素数14〜34の縮合多環式脂肪族カルボン酸、特に炭素数18〜30の縮合多環式脂肪族カルボン酸)は、嵩高い構造を有しており、銀粒子の凝集を抑制する効果が大きいため好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物の分子量としては、例えば、1,000以下(例えば、46〜900程度)が好ましく、800以下(例えば、50〜700程度)がより好ましく、600以下(例えば、100〜500程度)が特に好ましい。
前記カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値としては、例えば、1以上(例えば、1〜10程度)が好ましく、2以上(例えば、2〜8程度)がより好ましい。
<<分散剤ポリマー>>
本発明では、保護コロイドとして前記カルボキシル基を有する有機化合物と分散剤ポリマーとで組み合わせて構成することが好ましい。このような組み合わせによって、保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組合せにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(およびその分散液)の保存安定性にも優れている。
前記分散剤ポリマー(又は高分子型分散剤)としては、銀粒子を被覆可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、両親媒性の分散剤ポリマー(又はオリゴマー型分散剤)を好適に使用できる。
前記分散剤ポリマーとしては、通常、塗料、インキ分野などで着色剤の分散に用いられている分散剤ポリマーが例示できる。このような分散剤ポリマーには、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリンなど)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが挙げられる。
前記分散剤ポリマー(両親媒性の分散剤ポリマー)としては、例えば、親水性モノマーで構成された親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含む樹脂(又は水溶性樹脂、水分散性樹脂)などが挙げられる。
前記親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基又は酸無水物基含有単量体(アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル系単量体、マレイン酸などの不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸など)、ヒドロキシル基含有単量体(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなど)などの付加重合系モノマー;アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)などの縮合系モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記縮合系モノマーとしては、ヒドロキシル基などの活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体など)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。
前記親水性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、少なくとも親水性ユニット(又は親水性ブロック)を含んでいればよく、親水性モノマーの単独又は共重合体(例えば、ポリアクリル酸又はその塩など)であってもよく、前記例示のスチレン系樹脂やアクリル系樹脂などのように、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマーであってもよい。
前記疎水性モノマー(非イオン性モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数1〜20のアルキル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルなど]などの(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;α−炭素数2〜20のオレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセンなど)などのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。前記疎水性モノマーとしては、単独で又は2種以上組み合わせて疎水性ユニットを構成していてもよい。
前記分散剤ポリマーがコポリマー(例えば、親水性モノマーと疎水性モノマーとのコポリマー)である場合、前記コポリマーとしては、ランダムコポリマー、交互共重合体、ブロックコポリマー(例えば、親水性モノマーで構成された親水性ブロックと、疎水性モノマーで構成された疎水性ブロックとにより構成されたコポリマー)、くし型コポリマー(又はくし型グラフトコポリマー)などであってもよい。前記ブロックコポリマーの構造は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ジブロック構造、トリブロック構造(ABA型、BAB型)などであってもよい。
また、前記くし型コポリマーとしては、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロックおよび疎水性ブロックで構成してもよい。
なお、前記親水性ユニットは、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)で構成された親水性ブロック(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド)などの縮合系ブロックで構成することもできる。前記親水性ブロック(ポリアルキレンオキシドなど)と前記疎水性ブロック(ポリオレフィンブロック等)とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等の連結基を介して結合していてもよい。
これらの結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィンなど)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミンなど]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。また、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性基を有するモノマー(前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)から得られるポリマーと、前記縮合系の親水性モノマー(エチレンオキシドなど)とを反応(又は結合)させることにより、くし型コポリマー(主鎖が疎水性ブロックで構成されたくし型コポリマー)を形成してもよい。
さらに、共重合成分として、親水性の非イオン性モノマーを使用することにより、親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
前記共重合成分としては、例えば、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、数平均分子量200〜1,000程度)などのアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどが挙げられる。また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて分散剤ポリマーが有していてもよい。
これらの官能基のうち、前記分散剤ポリマーは、酸基、特に、カルボキシル基を有していることが好ましい。
また、前記分散剤ポリマーが、酸基(カルボキシル基など)を有している場合、少なくとも一部又は全部の酸基(カルボキシル基など)は、塩(アミンとの塩、金属塩など)を形成していてもよいが、特に、本発明では、カルボキシル基(特に、すべてのカルボキシル基)などの酸基が、塩[特に、塩基性化合物との塩(アミンとの塩又はアミン塩など)]を形成していない分散剤ポリマー[すなわち、遊離の酸基(特にカルボキシル基)を有する分散剤ポリマー]を好適に使用できる。
前記酸基(特にカルボキシル基)を有する分散剤ポリマーの酸価としては、例えば、1mgKOH/g以上(例えば、2mgKOH/g〜100mgKOH/g程度)、好ましくは3mgKOH/g以上(例えば、4mgKOH/g〜90mgKOH/g程度)、さらに好ましくは5mgKOH/g以上(例えば、6mgKOH/g〜80mgKOH/g程度)、特に7mgKOH/g以上(例えば、8mgKOH/g〜70mgKOH/g程度)であってもよく、通常3mgKOH/g〜50mgKOH/g(例えば、5mgKOH/g〜30mgKOH/g)程度であってもよい。なお、前記酸基を有する分散剤ポリマーにおいて、アミン価は0mgKOH/g(又はほぼ0mgKOH/g)であってもよい。
なお、前記分散剤ポリマーにおいて、上記のような官能基の位置は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖及び側鎖に位置していてもよい。このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基など)であってもよく、前記官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸など)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。
前記分散剤ポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散剤ポリマーとしては、特開2004−207558号公報の記載の分散剤ポリマー(高分子量顔料分散剤)を使用してもよい。
また、前記分散剤ポリマーとしては、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
前記市販品の分散剤ポリマー(又は少なくとも両親媒性の分散剤で構成された分散剤)としては、例えば、ソルスパース13240、ソルスパース13940、ソルスパース32550、ソルスパース31845、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090などのソルスパースシリーズ[アビシア社製];ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193、ディスパービック194、ディスパービック2001、ディスパービック2050などのディスパービックシリーズ[ビックケミー株式会社製];EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453[EFKAケミカル株式会社製];アジスパーPB711、アジスパーPAl11、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911などのアジスパーシリーズ[味の素株式会社製];フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745Wなどのフローレンシリーズ[共栄社化学株式会社製];ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62などのジョンクリルシリーズ[ジョンソンポリマー株式会社製]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ディスパービック190、ディスパービック194が好ましい。
前記分散剤ポリマーの数平均分子量としては、1,500以上100,000以下が好ましく、2,000以上80,000以下(例えば、2,000以上60,000以下)がより好ましく、3,000以上50,000以下(例えば、5,000以上30,000以下)がさらに好ましく、7,000以上20,000以下が特に好ましい。
前記銀粒子の含有量としては、インク全量に対して、1.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、2.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1.0質量%以上15.0質量%以下であると、インクの保存安定性、吐出安定性、及び銀色光沢の観点で好ましい。
<層状珪酸塩鉱物>
前記層状珪酸塩鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ペイデライト、ノントロナイト、サウコライト、ステペンサイト、ペントナイト、合成スメクタイト、ヘクトライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、合成スメクタイトが好ましい。
前記層状珪酸塩鉱物としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、合成スメクタイトであるスメクトンSA(平均粒径:20nm、水に対する膨潤度:15、アスペクト比:20、クニミネ工業株式会社製)、ルーセンタイトSWN(平均粒径:20nm、水に対する膨潤度:15、アスペクト比:250、コープケミカル社製)、ルーセンタイトSWF(平均粒径:20nm、水に対する膨潤度:15、アスペクト比:250、コープケミカル株式会社製);合成ヘクトライトであるラポナイトRDS(ロックウッド・アディティブズ社製)などが好適に用いられる。
前記層状珪酸塩鉱物の含有量としては、インク全量に対して、0.01質量%以上4.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.25質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%以上であると、再分散性に優れたインクを得ることができ、4.0質量%以下であると、より長期保存した場合であっても再分散性に優れたインクを得ることができる。
<水>
前記水は、水系インクの主な媒体であり、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるため好ましい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、25質量%以上75重量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。前記含有量が、25質量%以上75重量%以下であると、環境負荷が少ないインクジェットインクとなるため好ましい。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
また、前記水溶性有機溶剤としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを好適に用いることができる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質;アラビアゴム等の天然ゴム;サボニン等のグルコキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子化合物;ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸等のイオン性高分子化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上4.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上10質量%以下であると、金属光沢性及び耐擦過性を向上できる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
一般式(S−1)
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−1)
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
前記消泡剤としては、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオールを好適に用いることができる。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
防錆剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、プロキセルLV(アビシア社製)などが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
(インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置)
前記インクジェット記録装置は、本発明のインクを有し、更に必要に応じて、被印刷物、その他の手段を有する。
前記インクジェット記録方法は、前記インクジェット記録装置により好適に実施することができる。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
本発明のインクは、前述のブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の何れかのインクに加えて5色からなるメインタンク410(410k、410c、410m、410y、410s)とするか、これらの何れかの色の代わりに本発明のインクを用いることで、記録することができるが、これに限定されるものではない。メインタンク410(410s)単色で用いることも可能である。
本発明のインクは、前記非浸透性基材などの前記難吸水性媒体に高画像品質な印字ができるが、より一層高画質で耐擦性や接着性の高い画像を形成するため、及び高速の印字条件にも対応できるようにするために、印字後に記録媒体(印刷媒体)を加熱することが好ましい。
<被印刷物>
前記被印刷物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、少なくとも一方の面が細孔を有するインク受容層を有することが好ましい。
<<インク受容層>>
前記インク受容層としては、銀粒子を吸収することなく、銀粒子以外の水などの構成成分を吸収するようなものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、多孔質層であることが好ましい。
前記多孔質層としては、銀粒子以外の水などの構成成分を効率よく吸収し、銀粒子のみが被印刷物上にのるという点から、平均孔径を100nm以上400nm以下とすることが好ましい。
前記多孔質層の平均孔径の測定方法は、印刷媒体の印刷表面又は切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で断面観察することにより多孔質層の平均孔径を測定することができる。
<<<インク受容層を構成する材料>>>
前記インク受容層を構成する材料としては、適切な空孔が存在し、銀粒子以外の水などの構成成分を吸収する材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被印刷物である紙やPET、塩ビ等への成膜性、膜均一性、密着性、安全性に優れているシリカやアルミナなどが好ましく、シリカかアルミナを含む多孔質層が設けられた状態で市販されている印刷媒体でもよく、被印刷物に別途、アルミナまたはシリカを含む塗布液を用いて製膜してインク受容層を形成してもよい。前記インク受容層を形成する場合、市販のシリカやアルミナのゾルやゲル状のコーティング材を用いることが可能であり、膜形成方法としては、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などで膜形成が可能である。
前記インク受容層を構成する材料としては、シリカ、アルミナが好ましく、粒子が特殊処理により数珠状に連なったり分岐したりして繋がったもの(鎖状、パールネックレス状など)でもよい。
また、その表面をアンモニア、カルシウム、アルミナ等のイオンや化合物で変性したものも使用でき、例えば、シリカのコート剤としてはスノーテックスS、スノーテックスN、スノーテックスUP、ST−XS、ST−O、ST−C、ST−20(以上、日産化学工業株式会社製)、カタロイドSI−350、カタロイドSI−30、SN、SA、S−20L、S−20H、S−30L、S−30H(以上、日揮触媒化成株式会社製)、アエロジル200、200V、200CF、300(以上、日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
前記アルミナのコート剤としては、例えば、アルミナクリアゾール5S、F1000、F3000、A2(以上、川研ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。
(印刷物)
前記印刷物は、被印刷物と、印刷層と、からなり、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記被印刷物としては、前記インクジェット記録装置における被印刷物と同様のものを用いることができ、記録媒体を用いることができる。
前記印刷層としては、銀粒子、及び層状珪酸塩鉱物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記銀粒子としては、前記インクにおける銀粒子と同様のものを用いることができる。
前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径としては、100nm以上である。
前記銀粒子の動的光散乱法による90%累積体積粒径が5,000nm以下である。
前記層状珪酸塩鉱物としては、前記インクにおける層状珪酸塩鉱物と同様のものを用いることができる。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(銀粒子分散液の調製例1)
<銀粒子分散液1の調製>
反応容器中で純水700gに硝酸銀(関東化学株式会社製)340gを添加し、完全に溶解させ硝酸銀水溶液を調製した。これにアンモニア水(関東化学株式会社製、特級)をアンモニア濃度25質量%となるように調整したアンモニア水700gを添加し、撹拌してアンミン銀錯体水溶液を調製し、23℃に温調した。
異なる容器に純水1,260gにヒドロキノン(関東化学株式会社製)111g、及び無水亜硫酸カリウム(関東化学株式会社製)50gを溶解させて還元剤水溶液を調製し、23℃に温調した後、この還元剤水溶液に、同じく23℃に温調した上記のアンミン銀錯体水溶液を一気に添加し、10分間撹拌することにより銀粒子の還元析出を完了させた。
その後、銀粒子をブフナー漏斗で濾過して回収し、水1Lを用いた水洗を3度繰り返し、乾燥させて銀粒子を得た。得られた銀粒子15質量部、レオドールTW−O120V(花王株式会社製)3質量部、及び純水82質量部をビーカーに加え、スターラーで充分に撹拌した後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US−300T(チップ直径26mm))にて200μAで1時間処理し分散処理を行い、銀粒子分散液1を得た。
得られた銀粒子分散液1の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、10%累積体積粒径(D10)が950nm、及び90%累積体積粒径(D90)が3,020nmであった。
(銀粒子分散液の調製例2)
<銀粒子分散液2の調製>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E−5100、平均厚み100μm)にコロナ処理を行い、その表面にポリビニルピロリドンK15(関東化学株式会社製)5質量%、フッ素系界面活性剤(Capstone FS−3100、DuPont社製)0.1質量%、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル(関東化学株式会社製)10質量%、及びイオン交換水84.9質量%を混合溶解した塗工液をバーコーターで塗布し、70℃で15分間乾燥することにより、PETフィルム上に剥離樹脂層を塗布したPETフィルムを作製した。
真空蒸着装置を用いて、前記PETフィルム上に、平均厚み100nmの銀蒸着層を形成し、薄層膜PETフィルムを作製した。
得られた薄層膜PETフィルムを高純水に浸漬し、超音波洗浄機(アズワン社製、VS−150)にて剥離処理を行った。2時間の処理にてPETフィルムから剥離樹脂層ごと銀薄層膜を剥離した後、PETフィルムを取り除いて遠心分離器にて1,000Gを1時間かけることにより銀薄層膜を沈殿成分として分離した。上澄みを廃棄して純水を追加して再度分散させ、遠心分離にて沈殿分離する作業を3度行い銀薄層膜の洗浄を行った。
沈殿成分の固形分を熱分析の熱重量測定から求め、銀固形分100質量部に対して10質量部のレオドールTW−O120V(花王株式会社製)を加え、銀固形分が15質量%となるように純水を加え、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所製、チップ直径26mm)にて200μAで1時間処理し分散処理を行った。
得られた銀薄層膜分散液を、平均孔径18μmのSUSメッシュフィルター(ポール社製、LCF−241)にて加圧濾過を行い、続いて、平均孔径5μmのセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過して粗大粒子を除去し、銀粒子分散液2を得た。
得られた銀粒子分散液2の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、10%累積体積粒径(D10)が1,370nm、及び90%累積体積粒径(D90)が1,990nmであった。
(銀粒子分散液の調製例3)
<銀粒子分散液3の調製>
下記処方の材料をプレミックスした後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所製、チップ直径26mm)にて200μAで1時間処理し分散して銀粒子分散液3を得た。得られた銀粒子分散液3の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、10%累積体積粒径(D10)が500nm、及び90%累積体積粒径(D90)が4,950nmであった。
[銀粒子分散液3処方]
・銀粒子(AGC−2011、福田金属箔粉工業社製) 15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製) 2質量部
・イオン交換水 83質量部
(銀粒子分散液の調製例4)
<銀粒子分散液4の調製>
下記処方の材料をプレミックスした後、水冷しながら超音波ホモジナイザー(US−300T、日本精機製作所製、チップ直径26mm)にて200μAで1時間処理し分散して銀粒子分散液4を得た。得られた銀粒子分散液4の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、10%累積体積粒径(D10)が750nm、及び90%累積体積粒径(D90)が8,560nmであった。
[銀粒子分散液4処方]
・銀粒子(AGC−156I、福田金属箔粉工業社製) 15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製) 2質量部
・イオン交換水 83質量部
(銀粒子分散液の調製例5)
<銀粒子分散液5の調製>
ポリビニルピロリドンK15(関東化学株式会社製)1,000gをプロピレングリコール(関東化学株式会社製、PVP)500gに溶解してPVP溶液を得た。また、硝酸銀(関東化学株式会社製)128gを、プロピレングリコール(関東化学株式会社製)500mLに溶解して硝酸銀溶液を得た。PVP溶液と硝酸銀溶液とを120℃で90分間、混合撹拌し、硝酸銀が熱還元して銀粒子を生成させた。得られた銀粒子を遠心分離器にて1,000Gを1時間かけることで銀粒子を沈殿成分とし分離した。上澄みを廃棄して純水を追加して再度分散させ、遠心分離にて沈殿分離する作業を3度行い銀粒子の洗浄を行った。沈殿成分の固形分を熱分析の熱重量測定から求め、銀固形分100質量部に対して10質量部のレオドールTW−O120V(花王株式会社製)を加え、銀固形分が15質量%となるように純水を加え、水冷しながら日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T(チップ直径26mm)にて200μAで1時間処理し分散処理を行った。得られた銀粒子分散液5の粒度分布を、粒度分析装置(Nanotrac Wave−EX150、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、10%累積体積粒径(D10)が6nm、及び90%累積体積粒径(D90)が15nmであった。
(樹脂エマルジョンの調製例A)
<樹脂エマルジョンAの調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1,500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN−メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’―ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1,445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。次いで、反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加し、混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌しつつ水5,400g、及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去して、樹脂エマルジョンAを得た。
この樹脂エマルジョンAをスライドガラス上に膜厚10μmとなるように塗布し、100℃、30分間にて、乾燥して樹脂フィルムを成形した。そして、微小表面硬度計(FISCHERSCOPE HM2000、フィッシャー社製)を用い、ビッカース圧子を9.8mNの荷重をかけて押し込んだ際のマルテンス硬度を測定した結果、120N/mmであった。
(実施例1)
銀粒子分散液1 33.4質量%、層状珪酸塩鉱物として合成スメクタイト1(商品名:ルーセンタイトSWN、コープケミカル株式会社製)1.0質量%、1,2−プロパンジオール21.7質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン15.0質量%、樹脂エマルジョンA 20.0質量%、シリコーン系界面活性剤(商品名:KF−351A、信越化学工業株式会社製)1.0質量%、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.5質量%、防錆剤としてプロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加して、混合撹拌した後、フィルター(LCF−24110、日本ポール株式会社製、SUS304Lリジメッシュ、ろ過精度:18μm)を用いて濾過してインクを得た。
(実施例2〜9及び比較例1〜4)
実施例1において、下記表2〜4に示すように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
なお、前記表2〜4において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・合成スメクタイト1:コープケミカル株式会社製、商品名:ルーセンタイトSWN
・合成スメクタイト2:コープケミカル株式会社製、商品名:ルーセンタイトSWF
・合成ヘクトライト:ロックウッド・アディティブズ社製、商品名:ラポナイトRDS
・シリコーン系界面活性剤:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−351A
・プロキセルLV(アビシア社製)
次に、得られたインクを用いて、以下のようにして、「再分散性」、「金属光沢性」、「写像性」、及び「彩度」を評価した。結果を下記表5に示す。
(再分散性)
得られたインクを、100mLスクリュー管ビン(アズワン社製)に各75mLずつ入れて密閉し、室温25℃の環境に2週間静置した。その後、スクリュー管ビンを上下に20cmの幅で10往復振ったあと、15秒間後に、スクリュー管ビン内のインクをビンの液面付近から静かに2mL採取し、採取サンプル1を得た。得られた採取サンプル1gに、イオン交換水を加えて2,000倍に希釈し、1日静置した。その後、この希釈液を、分光光度計で波長420nmにおける吸光度(Abs.値)を測定した。得られた各採取サンプルの吸光度と、インクの調製直後の吸光度とを比較し、下記式(1)を用いて吸光度の回復率を求めた。得られた回復率から、以下評価基準に基づいて、「再分散性」を評価した。Cランクは、再分散性が悪く、実用できないレベルである。
吸光度の回復率(%)=100×[(静置後の吸光度)/(調製直後の吸光度)]
[評価基準]
S:回復率が、95%以上
A:回復率が、85%以上95%未満
B:回復率が、70%以上85%未満
C:回復率が、70%未満
[印刷物の形成]
インクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E5100)に実施例1〜9及び比較例1〜4のインクにて、25℃でベタ画像をそれぞれ印刷し、40℃で、5分間乾燥させて、印刷物を得た。
(金属光沢性)
得られた印刷物の20°光沢度を光沢度計(装置名:マイクロトリグロス、BYK Gardener社製)により測定し、下記評価基準を用いて、「金属光沢性」を評価した。Cランクは光沢度が低すぎてしまい、金属光沢を感じられないため実用できないレベルである。
[評価基準]
S:20°光沢度が、800以上
A:20°光沢度が、500以上800未満
B:20°光沢度が、250以上500未満
C:20°光沢度が、250未満
(写像性)
得られた印刷物の写像性値Cを、スガ試験機ICM−1型(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS H8686で規定される写像性測定方法に準拠して光学くし幅が2.0mmの写像性を測定し、下記評価基準に基づいて、「写像性」を評価した。Cランクは写像性が低すぎてしまい、鏡面性(写像性)を感じられないため実用できないレベルである。
[評価基準]
S:写像性値Cが、50以上
A:写像性値Cが、30以上50未満
B:写像性値Cが、5以上30未満
C:写像性値Cが、5未満
(彩度)
得られた印刷物をX−Rite938分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて彩度C*を測定し、下記評価基準に基づいて、「彩度」を評価した。Cランクは色味が自然な銀色とは言えず、不自然な色味(彩度)となってしまうため実用できないレベルである。
[評価基準]
S:彩度C*が、5未満
A:彩度C*が、5以上10未満
B:彩度C*が、10以上20未満
C:彩度C*が、20以上
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 銀粒子、層状珪酸塩鉱物、及び水を含み、
前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であることを特徴とするインクである。
<2> 前記層状珪酸塩鉱物が、合成スメクタイトである前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記層状珪酸塩鉱物の含有量が、0.5質量%以上2.0質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が、500nm以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記銀粒子の動的光散乱法による90%累積体積粒径が、2,000nm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記銀粒子の含有量が、1.0質量%以上15.0質量%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記銀粒子の含有量が、2.5質量%以上10質量%以下である前記<6>に記載のインクである。
<8> 有機溶剤をさらに含む前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記有機溶剤が、水溶性有機溶剤である前記<8>に記載のインクである。
<10> 前記水溶性有機溶剤が、1,2−プロパンジオール、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの少なくともいずれかである前記<9>に記載のインクである。
<11> 樹脂をさらに含む前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記樹脂が、天然ゴム、セルロース誘導体、天然高分子化合物、イオン性高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも1種である前記<11>に記載のインクである。
<13> 界面活性剤をさらに含む前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載のインクである。
<15> 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤である前記<13>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> 25℃での粘度が、5mPa・s以上30mPa・s以下である前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクである。
<17> 25℃での表面張力が、35mN/m以下である前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクである。
<18> pHが、7〜12である前記<1>から<17>のいずれかに記載のインクである。
<19> 前記<1>から<18>のいずれかに記載のインクを有することを特徴とするインクジェット印刷装置である。
<20> 被印刷物と、銀粒子、及び層状珪酸塩鉱物を含む印刷層と、からなり、
前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であることを特徴とする印刷物である。
前記<1>から<18>のいずれかに記載のインク、前記<19>に記載のインクジェット印刷装置、及び前記<20>に印刷物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2005−036079号公報 特開2011−52041号公報 特開2014−074127号公報 特開2015−134935号公報
400 画像形成装置(インクジェット印刷装置)

Claims (5)

  1. 銀粒子、層状珪酸塩鉱物、及び水を含み、
    前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であることを特徴とするインク。
  2. 前記層状珪酸塩鉱物が、合成スメクタイトである請求項1に記載のインク。
  3. 前記層状珪酸塩鉱物の含有量が、0.5質量%以上2.0質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のインクを有することを特徴とするインクジェット印刷装置。
  5. 被印刷物と、銀粒子、及び層状珪酸塩鉱物を含む印刷層と、からなり、
    前記銀粒子の動的光散乱法による10%累積体積粒径が100nm以上であり、90%累積体積粒径が5,000nm以下であることを特徴とする印刷物。
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