JP6857319B2 - 印刷方法、印刷装置、および印刷物 - Google Patents
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Description
金属光沢の中でも、とりわけ金色は富の象徴であり、太古の昔から人々に好まれてきており、正月などのおめでたい行事には欠かせない色である。一方、銀色も落ち着いた風合いで人気が高く、様々な場面で見かけることが多い。また、銀色は金色と異なり、その他の色の着色組成物と混合することにより、金色を含む様々な金属光沢色を表現することができるため、金色よりも汎用性が高く、産業上利用価値が高い。
また、インクジェット印刷技術の発展により、インクジェット印刷でも金属光沢を有する印刷物を得たいという要望が高まってきており、例えば特許文献1のように市販の鱗片状アルミニウム顔料や酸化チタン被覆マイカ顔料などを光輝顔料としてインクジェットインクに利用されている。
本発明は、自然な銀色の金属光沢を具備することが可能な印刷方法の提供を目的とする。
(1)銀粒子を含む銀インクと、色材、および溶媒を有するカラーインクとを、被印刷物に付与する印刷方法であって、被印刷物に前記カラーインクを付与して下地層を形成する工程と、前記下地層に前記銀インクを付与する工程とを有する印刷方法。
(2)前記銀粒子の平均粒子径が15nm以上100nm以下である前記(1)に記載の印刷方法。
(3)前記カラーインク、および銀インクが水を有し、水の含有率が20質量%以上75質量%以下である前記(1)または(2)に記載の印刷方法。
(4)前記被印刷物は少なくとも片面が、細孔を有するインク受容層を有する前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の印刷方法。
(5)前記細孔の平均の直径が100nm以上400nm以下である前記(4)に記載の印刷方法。
(6)前記色材の平均粒子径が50nm以上400nm以下である前記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の印刷方法。
(7)前記カラーインク、および/または銀インクが樹脂を含む前記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の印刷方法。
(8)前記下地層の溶媒残存量が5質量%以上50質量%以下の状態で、前記銀インクを付与する工程を有する前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の印刷方法。
(9)前記カラーインク、および/または銀インクをインクジェット方式で吐出して印刷する前記(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の印刷方法。
(10)前記(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の印刷方法に用いる印刷装置であって、カラーインク及び銀インクを収納する収納部を有し、該カラーインク及び銀インクを被印刷物に付与する印刷手段を具備する印刷装置。
(11)平均の直径が100nm以上400nm以下の細孔を有するインク受容層を有する被印刷物、平均粒子径が50nm以上400nm以下の色材を含む下地層、平均粒子径が15nm以上100nm以下の銀粒子を含む層を有し、写像性(2mm)の値が5以上である印刷物。
次に、本発明にかかる印刷方法の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる印刷方法は、銀粒子を含む銀インクと、色材、および溶媒を有するカラーインクとを、被印刷物に付与する印刷方法であって、被印刷物にカラーインクを付与して下地層を形成する工程と、下地層に前記銀インクを付与する工程とを有することを特徴とする印刷方法である。
本発明の印刷方法は、インクジェット印刷方法に制限されず広く使用することが可能である。インクジェット印刷方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
下地層形成工程は、後述するカラーインクを、被印刷物に付与し下地層を形成する工程である。
ところで、従来のインクジェット記録方法においては、被印刷物に直接光輝性インクを印字するか、あるいは色材を含まない樹脂インクを印字した後に、光輝性インクを印字する方法が知られている。直接光輝性インクを印字した場合、耐擦過性が不足し、また、特に光輝性インク中の光輝性顔料が銀ナノ粒子の場合、色味が不自然な銀色になってしまうという課題があった。また、色材を含まない樹脂インクを印字した後に、光輝性インクを印字した場合、耐擦過性はある程度向上するがまだ不十分であり、色味も不自然な銀色になってしまうという課題があった。
また、金属コロイドを含むインク組成物を多孔質の被印刷物の表面に印刷する従来の印刷方法では、多孔質の被印刷物の細孔が金属粒子まで吸収してしまうため、金属光沢が発現せず、また金属光沢を発現してもそのレベルは低い。また金属コロイドのプラズモン吸収に由来する色が発現してしまい、色味も不自然であるといった課題があった。具体的には、銀コロイドの場合は、金属光沢の弱い金色、あるいは金属光沢がない黄土色となる。
紙に代表される通常の多孔質の被印刷物に、銀インクを印刷すると銀インク中の銀粒子まで被印刷物中に染み込み、銀粒子(ナノメートルオーダー)特有の黄色の発色になってしまい金属光沢も発現しない。
そこで、紙に代表される通常の多孔質の被印刷物にカラーインクを印刷した後に銀インクを印刷すると、カラーインク中の色材が被印刷物上に乗り細孔を形成する。カラーインクの上に銀インクを印刷するため、銀インク中の銀粒子が色材の上に乗っかるため、被印刷物の細孔に染み込むことなく画像を形成することが出来る。
本発明にかかる印刷方法であれば、被印刷物はどのようなものであっても、自然な銀色光沢を具備する印刷物を得ることができるが、被印刷物の少なくとも片面に細孔を有するインク受容層を有することが好ましく、前記細孔の平均の直径が100nm以上400nm以下であることがより好ましい。前記インク受容層を有する面に印刷することにより、インク受容層に、カラーインク中の色材以外の水などの構成成分が吸収されるため、被印刷物上に色材がしっかりと乗ることができ、その色材の上に銀インクを印刷することで被印刷物に染み込むことなく、銀粒子を被印刷物の上に付着させることができ、自然な銀色の金属光沢の画像を形成することができる。
インク受容層は、カラーインク中の色材を吸収することなく、色材以外の水などの構成成分を吸収するようなものであれば限定されないが、カラーインク中の色材以外の水などの構成成分を効率よく吸収し、色材のみが被印刷物上にのるという点から、細孔の平均の直径を100nm以上400nm以下とすることが好ましい。インク受容層の細孔の直径の測定方法は印刷媒体の印刷表面または切断面を光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、SEM、TEMなどの顕微鏡で断面観察することにより測定することができる。
インク受容層を構成する材料としては、適切な細孔が存在し、カラーインク中の色材以外の水などの構成成分を吸収するのであれば特に限定されないが、被印刷物である紙やPET、塩ビ等への成膜性、膜均一性、密着性、安全性に優れているシリカかアルミナが好適な材料であり、シリカかアルミナを含む多孔質層が設けられた状態で市販されている印刷媒体でもよく、被印刷物に別途、アルミナまたはシリカを含む塗布液を用いて製膜してインク受容層を形成しても良い。インク受容層を形成する場合、市販のシリカやアルミナのゾルやゲル状のコーティング材を用いることが可能であり、膜形成方法としては、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などで膜形成が可能である。
本工程では、下地層の上に、銀インクを付与して被印刷物上に銀色の金属光沢を有する画像を形成する。これにより印刷物が得られる。画像の膜厚は、好ましくは0.05〜1.0μmであり、より好ましくは0.08〜0.3μmである。この範囲内であると、耐擦過性と金属光沢、自然な色調の銀色を具備することができるため好ましい。
また下地層に銀インクを付与する際、下地層のカラーインクの溶媒残存量が5質量%以上50質量%以下であると、耐擦過性、金属光沢、自然な銀色光沢の両立の観点で好ましい。
下地層の加熱手段によって加熱すること、あるいは画像を形成する速度を調節することで、溶媒残存量は調整可能である。
本明細書では、「溶媒残存量」とは、下地層形成用カラーインクに含有される揮発成分の初期含有量から揮発した量を差し引いた値を意味する。
また、「揮発成分」とはインク組成物から固形成分を除いたその他の成分を意味する。一般的に、インク組成物における揮発成分は、溶媒(有機溶剤および水)、あるいは添加物としての有機溶剤(溶媒が水の場合は水溶性有機溶剤)等が挙げられる。一方、一般的にインク組成物における固形成分としては、顔料等の色材、分散剤としての樹脂あるいはレベリング剤として機能する添加剤としての樹脂、界面活性剤等が挙げられる。
尚、残存する揮発成分量は、印刷面に記録されたインクの質量から算出することができる。
従来、光輝性顔料はパール顔料や金属粒子が挙げられる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗薄、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられるが、これらの粒子サイズはミクロンオーダーでありインクジェットヘッドでの吐出に制限があり好ましくない。また、粒子径を小さくしていきインクジェット吐出性を高めていくと吐出性はある程度確保されるが、粒子径が小さすぎてしまうため、干渉による光沢が原理的に発現しない。一方、金属粒子としてはアルミニウム、クロム、インジウム、銅、金等の粒子を挙げることができる。これらの中で毒性が弱く顔料として使用されるものとしてアルミニウム、金を挙げることができるが、アルミニウムは水と反応し酸化物を生じて経時で白色化してしまい、金は高価でありまた色味の調整に制限があるため好ましくない。
更に鱗片状アルミニウム顔料を用いた市販の光輝顔料は粒子径が大きくインクジェットヘッドで安定して吐出させることが出来ず、すぐに吐出不良を引き起こしてしまう。
本実施形態にかかる光輝性顔料は銀粒子である。銀は、各種金属の中でも白色度が高い金属であり、他色のインクと組み合わせることで、様々な金属色を実現することが出来るため好ましい。また、銀は水との反応性が弱いため水中でも安定である。その結果、環境負荷が低減できる水系光輝性インクへの展開が可能であり好ましい。
また、本発明の印刷方法に用いる銀インクは、インクジェットヘッドで安定して吐出させることができ、吐出安定性に優れる。
以下、銀インクに用いる銀粒子、有機溶剤、水、樹脂、添加剤等について説明する。
本実施形態にかかる銀インクは、銀粒子を含むものである。銀インクが、銀粒子を含むことにより、優れた金属光沢を有する画像を形成することができる。
カルボキシル基を有する有機化合物のカルボキシル基の数は、1分子あたり、1以上であれば特に限定されず、例えば、1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
本発明では、保護コロイドを、前記カルボキシル基を有する有機化合物と高分子分散剤とで組み合わせて構成することが好ましい。このような組み合わせで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組み合わせにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(およびその分散液)の保存安定性にも優れている。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
水は、水系インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが出来る。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、銀インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好ましい。銀インクにおける水の含有量は、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することが出来るが20質量%以上75質量%以下が好ましく、20質量%以上65質量%以下がより好ましく、30質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。この範囲内であると、環境負荷が少ないインクジェットインクとなるため好ましい。
本発明において、カラーインク、および/または銀インクに樹脂を含ませると、耐擦過性や、被印刷媒体との密着性向上に効果があるため好ましい。樹脂は、水に可溶な水溶性樹脂、あるいは、水に分散可能な樹脂が好ましく、単独で用いても、併用しても構わない。
水溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サボニン等のグルコキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸等のイオン性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
銀インク中に含有する水に分散可能な樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明における「カラーインク」とは、ブラックインク、白色インク等の無彩色インク、及び、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等の有彩色インクを意味する。
カラーインクは、色材及び溶媒を含有する。前記溶媒としては、有機溶剤、水が挙げられる。
以下、カラーインクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
前記有機溶剤としては、前記銀インクで用いたものと同じものを同様に使用することができる。
水は、水系インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが出来る。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、カラーインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好ましい。カラーインクにおける水の含有量は、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することが出来るが20質量%以上75質量%以下が好ましく、20質量%以上65質量%以下がより好ましく、30質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。この範囲内であると、環境負荷が少ないインクジェットインクとなるため好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
前記色材は、顔料であることが好ましく、インク中の色材の平均粒子径は50nm以上400nm以下が好ましい。この範囲であると自然な銀色の金属光沢を得ることができる。
色材の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、色材の平均粒子径は50nm以上400nm以下が好ましい。この範囲であると自然な銀色の金属光沢を得ることができる。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
Cl(n)=M−m/M+m×100
ここで、Cl(n)は、光学くし幅がn(mm)のときの写像性値(%)、Mは、光学くし幅がn(mm)のときの最高波高、mは、光学くし幅がn(mm)のときの最低波高を示す。本発明では、写像性測定装置として、スガ試験機ICM−1型を使用し、光学くし幅nを2.0mmとしている。
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物)1500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp171℃)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)を2.6g加え90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
反応混合物を80℃まで冷却しこれにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4340gを抜き出して、強攪拌下のもと水5400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョン(ウレタン樹脂成分30%、水64%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル6%)を得た。
次いで、得られたポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョンを10000gを抜き出し、強攪拌下のもと水2000gを加え、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョンA(ウレタン樹脂成分25%、水70%、ジプロピレングリコールジメチルエーテル5%)を得た。
得られたポリカーボネート変性ウレタン樹脂エマルジョンAをスライドガラス上に膜厚10μmとなるように塗布し、100℃30分で乾燥させて樹脂フィルムを成形し、微小表面硬度計(FISCHERSCOPE HM2000、フィッシャー製)を用いて、ビッカース圧子を9.8mNの荷重をかけて押し込んだ際のマルテンス硬度は120N/mm2であった。
下記処方の材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール)で7時間循環分散して顔料分散液1を得た。
<顔料分散液1処方>
・ピグメントブルー15:3 15部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂社製) 2部
・イオン交換水 83部
ピグメントブルー15:3を下記の表1に示す顔料に置き換えた以外は、顔料分散液の製造例1と同様にして顔料分散液2〜4を得た。
下記処方の材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール)で7時間循環分散し、次いで、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径0.1mmジルコニアボール)で3時間循環分散して顔料分散液5を得た。
<顔料分散液5処方>
・ピグメントブルー15:3 15部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂社製) 2部
・イオン交換水 83部
下記処方の材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型、メディア:直径1.0mmジルコニアボール)で5時間循環分散して顔料分散液6を得た。
<顔料分散液6処方>
・ピグメントブルー15:3 15部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂社製) 2部
・イオン交換水 83部
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク1を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液1 20部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 20部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 23.4部
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク2を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液1 6部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 27部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 30.4部
顔料分散液1を下記表2に示す顔料分散液の種類に変更した以外は、カラーインクの製造例1と同様にしてカラーインク3〜5を得た。
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク6を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液1 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 25部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 38.4部
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク7を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液1 6部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 32部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 45.4部
顔料分散液1を下記表3に示す顔料分散液の種類に変更した以外は、カラーインクの製造例6と同様にしてカラーインク8〜10を得た。
下記処方の材料を混合攪拌した後、5.0μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク11を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液5 20部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 20部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 23.4部
下記処方の材料を混合攪拌した後、5.0μmポリプロピレンフィルターで濾過してカラーインク12を作製した。
<インク処方>
・顔料分散液6 20部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 20部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 23.4部
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する高分子分散剤(ビッグケミー製、「ディスパービック190」、溶媒:水、不揮発成分40%、酸価10mgKOH/g、アミン価0)7.2g、及びコール酸(和光純薬製)1.8gを、イオン交換水100gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬製)100gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温50℃のウォーターバス中で3時間加熱撹拌した。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC製GC−90、ポアサイズ0.8マイクロメートル)でろ過し、銀を15質量%、水を37.8質量%含む銀粒子分散液を得た。この分散液について、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀粒子の粒径を確認したところ、一次粒子の個数平均粒子径は約15nmであった。
下記表4の銀粒子の粒径になるようにジメチルアミノエタノールの加える速度と、水温を調節した以外は銀粒子分散液の製造例1と同様にして、銀粒子分散液2〜3を得た。
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過して銀インク1を作製した。
<インク処方>
・銀粒子分散液1 33.4部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 10.2部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 39.8部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
銀粒子分散液1を下記表5に示す銀粒子分散液の種類、イオン交換水、1.2−プロパンジオールの量に変更した以外は、銀インクの製造例1と同様にして銀インク2〜5を得た。
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過して銀インク6を作製した。
<インク処方>
・銀粒子分散液1 33.4部
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 20部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 14.9部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 15.1部
銀粒子分散液1を下記表6に示す銀粒子分散液の種類、イオン交換水、1.2−プロパンジオールの量に変更した以外は、銀インクの製造例6と同様にして銀インク7〜8を得た。
ステンレス容器内に、蒸留水41.7部と2−アミノ−2−メチルプロパノール0.8部を混合し、次に水酸基含有アクリル樹脂(関西ペイント株式会社製、メタクリル酸メチル33%、アクリル酸ブチル27%、メタクリル酸ヒドロキシエチル20%、アクリル酸ヒドロキシブチル10%、アクリル酸ヒドロキシプロピル3%、アクリル酸7%の共重合体であり、分子量=50,000、固形分55%)18.2部を投入し、高速ディスパーにて、十分混合させ、トリエチレングリコールモノnブチルエーテルを10部、サーフィノール104A(非イオン系界面活性剤、エアプロダクツ社製)を0.7部投入する。最後に、アルペースト7640NS(鱗片状アルミニウムペースト、東洋アルミニウム株式会社製、固形分70%、平均粒径16μm)28.6部を撹拌しながら投入し、均一になるまで十分混合して鱗片状アルミニウム分散液1を作製した。
ステンレス容器内に、鱗片状アルミニウム分散液1を16部、脱イオン水60.5部を混合し、高速ディスパーにて撹拌混合し、続いて、トリエチレングリコールモノnブチルエーテル8部、ジエチレングリコール5部、グリセリン10部、サーフィノール465(表面調整剤、エアプロダクツ社製)0.5部を加え均一になるまで撹拌混合した。最後に、pH=8.0となるようにpH調整剤ジメチルエタノールアミンを微量加え、十分に攪拌混合した後に200メッシュのナイロンスクリーンを用いて濾過を行ない鱗片状アルミニウムインク1を作製した。
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて、表7に示す被印刷物に対してベタ画像を25℃で、表7に示すカラーインクを印刷した。溶媒残存率が表7に示す値になった後に、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて表7に示す銀インクを印刷することにより、印刷物を得た。
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて、表7に示す被印刷物に対してベタ画像を25℃で、表7に示す銀インクを印刷することにより、印刷物を得た。
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて、表7に示す被印刷物に対してベタ画像を25℃で、下記に示す樹脂インクを印刷した。溶媒残存率が表7に示す値になった後に、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて表7に示す銀インクを印刷することにより、印刷物を得た。
[樹脂インクの製造例1(樹脂インク1)]
下記処方の材料を混合攪拌した後、0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過して樹脂インク1を作製した。
<インク処方>
・ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンA 40部
・シリコーン系界面活性剤KF−351A(信越シリコーン社製) 1部
・2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール 0.5部
・1,2−プロパンジオール(bp188℃) 20部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(bp240℃) 15部
・防腐防黴剤プロキセルLV(アビシア社製) 0.1部
・イオン交換水 23.4部
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)を用いて、表7に示す被印刷物に対してベタ画像を25℃で、上記鱗片状アルミニウムインク1を印刷することにより、印刷物を得た。
乾燥後の記録物を学振型磨耗堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)にセットし、接触部に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子(荷重;300g)にて10回擦り、その劣化具合を目視にて観察し、以下の基準に従い耐磨耗性評価を実施した。
S:傷の数が5本未満であり、下地も見えない。
A:傷の数が5本以上10本未満であり、下地も見えない。
B:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)が一部見えている。
C:傷の数が10本以上あり、下地(被印刷物)の大部分が露出してしまっている。
乾燥後の記録物の20°光沢度を光沢度計(BYK Gardener社製、マイクロトリグロス)により測定し、下記の基準で評価した。Cランクは光沢度が低すぎてしまい、金属光沢を感じられないため実用できないレベルである。
〔評価基準〕
S:20°光沢度が800以上
A:20°光沢度が500以上、800未満
B:20°光沢度が250以上、500未満
C:20°光沢度が250未満
乾燥後の記録物の写像性値Cを、スガ試験機ICM−1型を使用し、JIS−H8686で規定される写像性測定方法により光学くし幅が2.0mmの写像性を測定し、下記の基準で評価した。Cランクは写像性が低すぎてしまい、鏡面性を感じられないため実用できないレベルである。
S:写像性値Cが50以上
A:写像性値Cが30以上、50未満
B:写像性値Cが5以上、30未満
C:写像性値Cが5未満
乾燥後の、CIEL*a*b色座標を、X−Rite 938 分光測色濃度計を用いて測定し、下記の基準で評価した。Cランクは色味が自然な銀色とは言えず、不自然な色味となってしまうため実用できないレベルである。
<色彩値(a*値):評価基準>
ランクA:−1.5≦a*≦1.5
ランクB:−3.5≦a*<−1.5 又は 1.5<a*≦3.5
ランクC:a*<−3.5 又は 3.5<a*
<色彩値(b*値):評価基準>
ランクA:−1.5≦b*≦1.5
ランクB:−3.5≦b*<−1.5 又は 1.5<b*≦3.5
ランクC:b*<−3.5 又は 3.5<b*
乾燥後の記録物を確認して、ノズル抜けの発生した数を基に吐出安定性の評価を行った。ノズル抜けの数が10以上(ランク3)であると記録物にムラやスジが生じ、使用に耐えないものとなる。なお、使用したプリンタのノズル数は、192個である。
A:ノズル抜けの数が0以上5以下
B:ノズル抜けの数が5以上10以下
C:ノズル抜けの数が10以上
Claims (7)
- 銀粒子を含む銀インクと、色材、および溶媒を有するカラーインクとを、記録媒体に付与する印刷方法であって、
前記色材はブラック色、シアン色、あるいは白色の色味を有する顔料であり、
前記記録媒体の細孔の平均直径は200nm以上430nm以下であり、
前記色材の平均粒子径は50nm以上400nm以下であり、
前記銀粒子の平均粒子径は30nm以上60nm以下であり、
前記記録媒体に前記カラーインクを付与して下地層を形成する工程と、
前記下地層に前記銀インクを付与して画像層を形成する工程と、
を有する、前記記録媒体上に前記下地層及び前記画像層を有する印刷物を得る印刷方法。 - 前記カラーインク、および銀インクが水を有し、水の含有率が20質量%以上75質量%以下である請求項1に記載の印刷方法。
- 前記記録媒体は少なくとも片面が、細孔を有するインク受容層を有する請求項1又は2に記載の印刷方法。
- 前記細孔の平均の直径が200nm以上400nm以下である請求項3に記載の印刷方法。
- 前記カラーインク、および/または銀インクが樹脂を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷方法。
- 前記下地層の溶媒残存量が5質量%以上50質量%以下の状態で、前記銀インクを付与する工程を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷方法。
- 前記カラーインク、および/または銀インクをインクジェット方式で吐出して印刷する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷方法。
Priority Applications (1)
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