JP7328617B2 - インク、画像形成方法、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
金属光沢、とりわけ高い鏡面写像性の高い銀色色材を含む画像を有する印刷物は、前記銀色色材を他の色と混色させることによりフルカラーで、かつ写像性を高い画像を得ることができるため、産業上の利用価値は非常に高い。
銀インクの銀粒径をd90が50nm以上1μm以下、d10が2nm以上20nm以下、d50が10nm以上100nm以下にすることで分散性が良好であり、かつ、記録媒体に付着されたときに良好な金属光沢および耐擦過性を発現する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献4には、耐候性および光輝性に優れた画像を記録できるインクジェット記録用光輝性インクとして、平均粒子径が20nmの銀粒子と、特定のポリビニルピロリドンと、トリエタノールアミンとを含むインクが開示されている。防さび剤は含有することができると記載されているが、トリエタノールアミンと防さび剤の関係については記載がない。
[1]個数基準の個数平均径が50nm以下の光輝性顔料をA質量%と、
腐食溶出防止剤をB質量%と、
アミノアルコール類をC質量%とを含むインクであって、
前記腐食溶出防止剤の含有量B質量%と前記アミノアルコール類の含有量C質量%の比が下記式(1)を満たし、かつ、前記腐食溶出防止剤の含有量B質量%が下記式(2)を満たすインク。
0.02≦B/C≦0.13 ……(1)
B≧0.03 ……(2)
[1]個数基準の個数平均径が50nm以下の光輝性顔料をA質量%と、
腐食溶出防止剤をB質量%と、
アミノアルコール類をC質量%とを含むインクであって、
前記腐食溶出防止剤の含有量B質量%と前記アミノアルコール類の含有量C質量%の比が下記式(1)を満たし、かつ、前記腐食溶出防止剤の含有量B質量%が下記式(2)を満たすインク。
0.02≦B/C≦0.13 ……(1)
B≧0.03 ……(2)
[2]前記腐食溶出防止剤の含有量B質量%と前記光輝性顔料の含有量A質量%の比が下記式(3)を満たす前記[1]に記載のインク。
0.006≦B/A≦0.014 ……(3)
[3]前記インクのpH値Pは
8.5≦P≦9.8 ……(4)
である前記[1]または[2]に記載のインク。
[4]前記腐食溶出防止剤は防さび剤である前記[1]~[3]のいずれか一項に記載のインク。
[5]前記防さび剤はベンゾトリアゾール、またはベンゾトリアゾール誘導体である前記[4]に記載のインク。
[6]前記アミノアルコール類はAEPD(2-アミノ-2-エチル-1、3-プロパンジオール)である前記[1]~[5]のいずれか一項に記載のインク。
[7]前記光輝性顔料は銀顔料である前記[1]~[6]のいずれか一項に記載のインク。
[8]さらに、水溶性樹脂をD質量%含有し、前記光輝性顔料の含有量A質量%と前記水溶性樹脂の含有量D質量%の比が下記式(5)を満たす前記[1]~[7]のいずれか一項に記載のインク。
3≦A/D≦8 ……(5)
[9]前記[1]~[8]のいずれか一項に記載のインクを吐出して画像を記録するインク吐出工程を有する画像形成方法。
[10]前記[1]~[8]のいずれか一項に記載のインクと、前記インクを吐出して画像を記録するインク吐出手段とを有する画像形成装置。
[11]個数基準の個数平均径が50nm以下の銀顔料と、
ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体をb質量%と、
2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールをc質量%とを含むインクであって、
前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%と前記2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールの含有量c質量%の比が下記式(6)を満たし、かつ、前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%が下記式(7)を満たすインク。
0.02≦b/c≦0.13 ……(6)
b≧0.03 ……(7)
金属顔料を使った光輝性インクは、分散剤として含有する水溶性樹脂の量を減らすほど得られる光輝性は高くなるものの、保存安定性が悪くなる背反関係がある。
個数基準の個数平均径が50nm以下の光輝性顔料、例えばナノ銀を含有するインクはインク層を形成したとき、表層が平滑になり、高い光輝性を得ることができる。
一方でナノ銀は含有する顔料質量に比して粒子径の大きな顔料と比べて表面積が大きい。このため分散剤が少ないと溶出により凝集しやすい側面がある。前記背反関係の振り幅が大きい。
加えて銀は液中に溶出するときは1価の陽イオンとして溶出する。不導体を作り、3価の陽イオンになるアルミなどと比較すれば、イオン化傾向は高く溶出しやすい金属顔料である。
まず、銀顔料表面では酸化による水酸基と分散剤の水酸基が水素結合を作り、分散剤が顔料表面に吸着していることで分散状態が保たれている。
次に銀が顔料から溶出する、すなわち表面ごと顔料から遊離するので一緒に分散剤も顔料表面から離れてしまう。
すると、顔料表面に分散剤がない場所ができ、顔料の分散剤がない場所同士で吸着が起こり、顔料は凝集する。
これを防止するには
1)分散剤が過剰にあり、分散剤が遊離してもすぐに再吸着できる状況にある。
2)pHが最適な状況にあり、そもそも銀が溶出しにくい状況に保たれている。
3)防さび剤が十分にあり、顔料に吸着して銀が溶出しにくい状態に保っている。
4)酸化防止剤が十分にあり、自己酸化する効果により銀が溶出しにくい状態に保っている。あるいは遊離した銀イオンと分散剤のペアから銀イオンを剥ぎ取り、遊離した分散剤の再付着が起こりやすい状況に保っている。
といった方法が考えられる。
しかし、2)と3)と4)の効果でこれを補うことで光輝性と保存安定性の両立が可能であると本発明者らは見出した。
2)の効果を持つものとしてアミノアルコール類がある。3)の効果を持つものとして防さび剤がある。4)の効果を持つものとして酸化防止剤がある。防さび剤と酸化防止剤を合わせて本発明では腐食溶出防止剤としている。
ナノ銀を含有することで、顔料の表面積が大きいためAgの溶出はしやすい傾向にあり、アミノアルコール類と腐食溶出防止剤はどれか一つだけでは凝集を防げない。両方必要である。
腐食溶出防止剤もアミノアルコール類もいずれも非揮発性・絶縁性なので多すぎれば画像・光沢性を悪化させる。逆にいずれも少なすぎれば、保存安定性は得られない。
腐食溶出防止剤ばかりが過剰でもアミノアルコール類が少ないとpHが低くなり、溶出量が大きくなりすぎて腐食溶出防止剤の効果が追い付かなくなる。保存安定性が確保できない。
逆に腐食溶出防止剤が少なく、アミノアルコール類ばかりが過剰である場合、一定量以上はアミノアルコール類があっても銀の溶出量の削減にはつながらないため、保存安定性を確保できない。
腐食溶出防止剤の含有量B質量%と、アミノアルコール類の含有量C質量%との比が下記式(1)を、かつ、腐食溶出防止剤の含有量B質量%が下記式(2)の条件を満たす事で保存安定性を確保しつつ、高い光輝性を得ることができるインクとなることを見出した。
0.02≦B/C≦0.13 ……(1)
B≧0.03 ……(2)
B/Cが0.02未満、すなわち腐食溶出防止剤過小では光輝性顔料の凝集が生じ、アミノアルコール類過剰では光沢が損なわれる。0.13より大きい、すなわち腐食溶出防止剤過剰では光沢が損なわれ、また保存安定性も損なわれる。アミノアルコール類が過小ではpHが低くなり溶出が多いため、やはり光輝性顔料が凝集する。
B/Cは0.08以上0.11以下であることが好ましい。
また、腐食溶出防止剤は、保存安定性の確保のため、0.03質量%以上含有することが必要である。
前記の範囲とすることで顔料以外の固形分の総量を少なく抑えることができ、より光沢が高いバランスで保存安定性の確保が可能になる。
本発明者らは個数基準の個数平均径50nm以下の光輝性顔料においては以下の比率
0.006≦B/A≦0.014 ……(3)
の条件を満たすことで、さらに保存安定性を確保しつつ、高い光輝性を得ることを見出した。
腐食溶出防止剤は個数基準の個数平均径50nm以下の光輝性顔料濃度に対して少なければ十分な保存安定性を得られにくく、光輝性顔料の量に対して多すぎても高い光輝性を得られにくい。
光輝性顔料に対する腐食溶出防止剤の量が0.006以上であると、光輝性顔料が凝集することがなく、0.014以下であると、高光沢が得られる。また、増粘することもない。
すなわち顔料量に対して上記の比の範囲で腐食溶出防止剤を含有することで、さらに腐食安定性と高い光沢の両立ができる。
光輝性顔料の含有量A質量%は、個数基準の個数平均径が50nm以下の光輝性顔料では2質量%~10質量%程度が望ましい。より望ましくは3質量%~6質量%程度である。
本発明者らは光輝性インクのpH値Pは
8.5≦P≦9.8 ……(4)
とすることが望ましいことを見出した。
式(4)を満たすアミノアルコール類種を選択し、かつ、pH緩衝剤としてインクに緩衝効果を持たせる量を含有することで、光輝性顔料の溶出が抑えられ、保存安定性がよいインクにできる。
アミノアルコール類の含有量C質量%としては0.1質量%~5質量%ほどが望ましい。
本発明において含有できるアミノアルコール類としては、アミノ基と水酸基が共に1つ以上含まれており、単独でアルカリ性を示し、pH調整剤として用いる。
以下に化合物例を例示するが、これに限定されるものではない。例示化合物としては、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、2-アミノエタノール、N-メチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
特に腐食防止という点ではpHは重要であり、pH調整剤としてアミノプロパンジオール誘導体を用いた場合に腐食溶出防止効果が非常に高くなる。
アミノプロパンジオール誘導体は、水溶性の有機塩基性化合物であり、たとえば、1-アミノ-2,3-プロパンジオール、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられ、特に2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(AEPD)が好ましい例として挙げられる。
AEPDは、pH調整剤として、pH9前後の銀顔料に最適な所望のpHにすることができる。したがって高いインク保存性のインクを処方できる。
さらに、インク中に、アミノプロパンジオール誘導体及び保湿剤を含有させるとより腐食耐久性が向上するので好ましく、pH調整剤としてのアミノプロパンジオール誘導体を用いる場合には、好適な添加量は、0.1~5質量%である。
本発明による腐食溶出防止剤としては、金属の酸化によって腐食、金属の溶出が生じることを抑制するものであればよく、例えば、防さび剤や酸化防止剤などが挙げられ、用いる金属顔料、および液体流路部材によって、腐食防止効果、副作用を考慮して適宜選択することになる。インク中の腐食溶出防止剤の含有量は、0.03質量%以上であることが必要であり、0.03~5.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.03~1.0質量%である。0.03質量%以上であると、腐食溶出防止効果が得られ、5.0質量%以下であると光沢性に悪影響を与えることがない。
ここでベンゾトリアゾール誘導体とは、構造中にベンゾトリアゾール骨格を有し、種々の置換基を有したり、高分子鎖をグラフト化した化合物およびその塩などを意味する。これらは水溶性を改善するため、さらに防錆機能を向上するために種々のものが用いられる。具体例としては、1,2,3-ベンゾトリアゾールナトリウム塩、4-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、トリルトリアゾールアミン、2-(2‘-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
尚、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体を用いる場合、インクの濾過性が悪化することがあるが、本発明のインクは、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体を含有しても、濾過性が悪化することがない。
式(1)を満たす比率で腐食溶出防止剤とアミノアルコールを必要量含有する場合、比較的少量の水溶性樹脂量で保存安定性が得られる。
本発明者らは式(1)を満たす比率で腐食溶出防止剤とアミノアルコールを必要量含有する場合、顔料含有量A質量%と水溶性樹脂含有量D質量%が以下の比率
3≦A/D≦8 ……(5)
であることで、さらに保存安定性と高い光輝性を得られることを見出した。
上記の範囲であることにより、分散剤としての水溶性樹脂を過不足をなくし、インク保存性と光沢を両立して高いものとすることができる。
顔料含有量A質量%は表面平滑性などから最適値を決定することが好ましい定数である。
A/Dが3以上であると、すなわち分散剤量比が顔料含有量に対して多すぎることがないと、高い光輝性が得られる。
A/Dが8以下であると、すなわち分散剤量比が顔料含有量に対して少なすぎることがないと保存安定性が得られる。
(1)インクを遠心分離機で、顔料・分散樹脂といった“分散”固形分と、上澄みの液成分に分離する。各々の質量比を求める。
(2)水溶性樹脂は上澄み液中に溶解している。上澄み液をTG-DTAを使って、溶媒と固形分の質量比を算出する。水と溶剤を揮発させると、残りは水溶性樹脂と酸化防止剤・pH調整剤などの溶解性の固形分となる。
(3)溶解性固形分の含有比を求める。上澄み液を液体クロマトグラフィーにかけると、溶解性固形分の量比が出せる。水溶性樹脂は酸化防止剤やpH調整剤と比べて大幅に分子量が大きいので区別可能である。
尚、水溶性樹脂としては、後述するように、顔料分散液を作製する際に用いることもできる。顔料分散液に水溶性樹脂を用いた場合は、インク中の水溶性樹脂の量は、顔料に吸着している分を除いた量となる。インクの組成が分かっている場合は、顔料分散液に溶解している水溶性樹脂の含有量を求め、後で水溶性樹脂を添加した場合は、添加した水溶性樹脂の量との合計を求めることによりインクにおける水溶性樹脂含有量を求めることができる。
顔料分散液に溶解している水溶性樹脂の含有量は、遠心分離で液体と分散固形物に分離し、液体部分をTG-DTAにかけ、溶媒を揮発した時点での重量から水溶性“固形物”の含有量を測定することにより求めることができる。
インクから求める方法としては、IRで腐食溶出防止剤、アミノアルコール類を確認することができる。腐食溶出防止剤の含有量は、上記の溶解性固形分に含まれ、上澄み液の液体クロマトグラフィーの計測から求めることができる。アミノアルコール類の含有量は。上記の上澄み液の溶剤分に含まれ、TG-DTAから求めることができる。
個数基準の個数平均径が50nm以下の銀顔料と、
ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体をb質量%と、
2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールをc質量%とを含むインクであって、
前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%と前記2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールの含有量c質量%の比が下記式(6)を満たし、かつ、前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%が下記式(7)を満たすインクであることが好ましい。
0.02≦b/c≦0.13 ……(6)
b≧0.03 ……(7)
本実施形態にかかるインクは、光輝性顔料を含有する。インクに含有される光輝性顔料としては、インクジェット記録方法によって当該インクの液滴を吐出できる範囲内で、任意のものを用いることができる。光輝性顔料は、インクが樹脂インクの層の上に付着したときに、光輝性を付与する機能を有し、また、付着物に光輝性を付与することもできる。このような光輝性顔料としては、パール顔料や金属粒子があげられる。パール顔料の代表例としては、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。一方、金属粒子としてはアルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等の粒子を挙げることができ、これらの単体またはこれらの合金およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。本実施形態で使用される光輝性顔料は、いずれのパール顔料や金属粒子であっても実施効果が現れるが、光沢度(光輝性)の高さの観点から、銀粒子を用いることが好ましい。
前記個数平均径50nm以下の光輝性顔料は、優れた金属光沢を有する画像を形成することができる。
前記光輝性顔料のインク中の含有濃度としては、1~10質量%であることが好ましい。前記含有濃度が1質量%以上であると、十分な光沢感が得られる。また、10質量%以下であると、インクの吐出安定性が良くなる。
また、前記銀粒子としては、その表面に保護コロイドが付着した銀コロイドとして、水系分散媒中に分散している粒子であっても良い。これにより、銀粒子の水系分散媒への分散性が特に優れたものとなり、インクの保存安定性を著しく向上できる。
また、銀粒子の個数平均径は、還元反応の制御によって制御をすることができる。すなわち、還元剤の添加速度や反応温度を調整することにより制御可能であり、例えば、還元剤の添加速度を遅めたり、液温を低めることにより、より小さい粒径に調整することが可能である。
前記カルボキシル基を有する有機化合物におけるカルボキシル基の数としては、1分子あたり、1以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が特に好ましい。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、脂環族ヒドロキシカルボン酸又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸が好ましい。前記脂環族ヒドロキシカルボン酸又は脂環族骨格を有するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、コール酸等の炭素数6以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、炭素数10以上34以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸がより好ましく、炭素数16以上30以下の脂環族ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。
また、カルボキシル基を有する有機化合物のpKa値は、例えば、1以上(例えば、1~10程度)、好ましくは2以上(例えば、2~8程度)であってもよい。なお、前記体積平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明では、保護コロイドを、前記カルボキシル基を有する有機化合物と分散剤ポリマーとで組み合わせて構成することが好ましい。このような組合せで保護コロイドを構成することにより、粗大粒子が著しく少ない銀粒子を含む銀コロイドが得られる。特に、本発明では、前記特定の保護コロイドの組合せにより、粗大粒子が少ないにもかかわらず、銀粒子の割合を大きくでき、銀コロイド(及びその分散液)の保存安定性にも優れている。
前記分散剤ポリマーとしては、例えば、スチレン系樹脂(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体等)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体等)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース;エチルセルロース等のアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のアルキル-ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、天然ポリマー(ゼラチン、デキストリン等)、ポリエチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記縮合系モノマーとしては、ヒドロキシル基等の活性基(例えば、前記ヒドロキシル基含有単量体等)との反応により、親水性ユニットを形成していてもよい。前記親水性モノマーとしては、1種単独で又は2種以上組み合わせて親水性ユニットを形成していてもよい。
また、前記くし型コポリマーにおいて、主鎖は、前記親水性ブロックで構成してもよく、前記疎水性ブロックで構成してもよく、親水性ブロック及び疎水性ブロックで構成してもよい。
前記結合は、例えば、疎水性ブロック(ポリオレフィン等)を変性剤[不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸等)、ラクタム又はアミノカルボン酸、ヒドロキシルアミン、ジアミン等]で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成してもよい。
このような成分としては、例えば、2-(2-メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、体積平均分子量200~1,000)等のアルキレンオキシ(特にエチレンオキシ)ユニットを有するモノマー又はオリゴマーなどが挙げられる。
また、親水性基(カルボキシル基など)を変性(例えば、エステル化)することにより親水性と疎水性とのバランスを調整してもよい。
前記官能基としては、例えば、酸基(又は酸性基、例えば、カルボキシル基(又は酸無水物基)、スルホ基(スルホン酸基)など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて分散剤ポリマーが有していてもよい。これらの官能基の中でも、酸基を有していることが好ましく、カルボキシル基を有していることがより好ましい。
このような官能基は、例えば、親水性モノマー又は親水性ユニット由来の官能基(例えば、ヒドロキシル基等)であってもよく、官能基を有する共重合性モノマー(例えば、無水マレイン酸等)の共重合によりポリマー中に導入することもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、分散剤ポリマーとして、特開2004-207558号公報の記載の高分子分散剤(高分子顔料分散剤)を使用してもよい。
これらのうち、酸基を有する分散剤ポリマーとしては、例えば、ディスパービック190、ディスパービック194などが挙げられる。
本発明のインクは、個数基準の個数平均径が50nm以下の光輝性顔料を含有する。
粒子径が小さい顔料を含有することで印刷物の印刷層表面を非常に平滑にすることができ、このため高い光輝性を得ることができる。
まずインク数μlを採取し、高圧凍結法により凍結体を作製する。凍結体を割断後、断面のカーボンレプリカ膜を作製する。レプリカ膜をTEM用グリッドに設置し、TEMで観察し、5μm×5μmの範囲のTEM画像中の、顔料粒子の長径を測定し、その平均を求めたものを顔料粒子の個数基準の個数平均径とする。
インクにおける好ましい光輝性顔料の濃度は1質量%~10質量%であり、より好ましくは2質量%~7質量%である。1質量%以上であると、十分な光沢性・写像性が得られる。10質量%以下であると、耐擦過性と光沢の両立が確保できる。光輝性を確保しようとするならば樹脂は顔料に比して多くは入れられない。このため十分な光沢性を確保しようとするならば、顔料濃度が高すぎると、顔料は樹脂で記録媒体上に十分に固定されず、耐擦過性が確保できない。顔料が記録媒体と直接触れる被覆率100%前後にちょうど程の濃度が適正であり、顔料材料種、顔料粒子径、顔料形状、平板形状の顔料であれば厚みと平板広さの比、記録媒体種にもよるが、おおむね2質量%~7質量%くらいの範囲の中に適正値がある。顔料濃度はある程度の濃度までは高濃度ほど被覆率が大きくなるため光沢性が高くなるが、記録媒体の被覆率を100%前後にできる顔料濃度を境にそれ以上増やしても光沢性・写像性はあまり大きくならなくなる。記録媒体によっては平滑性が損なわれてむしろ光沢性・写像性が下がる場合もある。
尚、インクの粘度はインクジェット記録方法において吐出安定性を得る為、20℃でのE型粘度計において40mPa・s以下であり、1~40mPa・sであることが好ましい。
適宜、インクに含有する水、有機溶剤、樹脂量、界面活性剤のバランスを取り前記の粘度範囲に収めることが望ましい。溶剤量は少ないほうが色相が白銀に近づき良くなる傾向がある。
本発明のインクは水可溶性の樹脂を含むことができる。
水溶性樹脂としては、前述の顔料に吸着させて顔料を自己分散するように改質する意図で加えられる水溶性樹脂と、インク中に添加し溶解させて顔料の分散を補助する水溶性樹脂が挙げられ、どちらも好ましく用いることができ、本発明において水溶性樹脂は両者を含める。従って、インクに含まれる水溶性樹脂の含有量としては、顔料を自己分散するように改質する意図で加えられた水溶性樹脂であって、顔料に吸着しきれずインク中に溶解した水溶性樹脂(分散液配合分)と、インク中に添加し溶解させた水溶性樹脂(後添加分)が含まれる。
インク中に添加し、溶解させて顔料の分散を補助する水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、カルボキシルメチルセルロース(CMC)等が広く使われている。
またカルボジイミド、アジリジン、イソシアネート等の架橋性のあるモノマーを含んでも良い。共に含ませた樹脂を架橋してより強い印刷層を形成できる。ポリカルボジイミド樹脂に親水性セグメントを付与させた水性架橋剤としてカルボジイミドのV-10,V-12G(日清紡ケミカル製)等が有る。
インクとして水性のインクは比較的安全性が高く市場で好まれる傾向がある。これに合わせ、ビヒクル溶解性樹脂として特に水性の樹脂が好ましい。
詳しくは、カルボキシメチルセルロース塩、ビスコースなどのセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類、カチオンでんぷん、リン酸でんぷん、カルボキシメチルでんぷん塩などのでんぷん誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4-ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン-アクリル酸塩共重合物、スチレン-メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル-アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル-メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル-アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル-メタクリル酸塩共重合物、スチレン-イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル-イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン-アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン-メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン-イタコン酸塩共重合物などの合成高分子類などがある。中でも、スチレン-アクリル酸共重合体のアンモニウム塩を好適に用いることができる。
樹脂粒子の個数基準の個数平均径としては、10nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。前記個数平均径が、10nm以上30nm以下であると、塗膜の金属光沢(光沢度)と耐擦過性が、最もよく両立することが可能である。粒径が10nm以上であると、耐擦過性が良くなり、また100nm以下であると吐出安定性が良くなる。
樹脂粒子の個数平均径は、顔料の個数平均径より小さいことが好ましい。
粒子径の最適化は10nmから100nmの範囲で樹脂の定着性と光沢性・写像性からバランスをとって決定することが好ましい。
インク中における樹脂粒子の個数平均径は、例えば、以下のように測定することができる。
まずインク数μlを採取し、高圧凍結法により凍結体を作製する。凍結体を割断後、断面のカーボンレプリカ膜を作製する。レプリカ膜をTEM用グリッドに設置し、TEMで観察し、5μm×5μmの範囲のTEM画像中の、樹脂粒子の長径を測定し、その平均を求めたものを樹脂粒子の個数平均径とする。
ポリエステルウレタン樹脂粒子は、インク中の含有量が多くなっても、印刷画像の光沢度への影響が比較的小さいためである。
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦過性、及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/mg以上50mgKOH/mg以下が好ましい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
顔料100質量部に対して4質量部~20質量部ほどのバランスが好ましい。
本発明のインクはウレタン樹脂粒子を含有しても良い。
インクにウレタン樹脂粒子を配合すると塗膜に光沢性・定着性を付与することができる。
ウレタン樹脂粒子は、インクを製造する際に、連続相としての水中に分散した樹脂エマルジョンとして添加することが好ましい。
前記ポリオールに使用可能なポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリエステルポリオール等を使用することができる。
特に優れた画像堅牢性が得られる観点から、前記ポリオールにポリカーボネートポリオールを用いた、ポリカーボネート系ウレタン樹脂がとりわけ好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、非常に優れた耐擦過性を付与可能なインクジェットインク用バインダーを得る観点から、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリオキシプロピレングリコールを使用することが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、4,4’-ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるものや、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等を使用することができる。
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
前記ウレタン樹脂を製造する際に使用するポリイソシアネートとしては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート等を、単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。
また、本発明のインクは、ポスターや看板などの屋外向けの用途を視野に入れているので、非常に高い長期耐候性を持つ塗膜を必要としており、この観点から脂肪族又は脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂粒子は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX-485(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子)、ユーコートUWS-145(ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA-368T(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA-200(ポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインクには、記録媒体への濡れ性を確保するため界面活性剤を加えても良い。
インク中の界面活性剤の添加量は、0.1~5質量%が好ましい。0.1質量%以上であると、非多孔質基材への濡れ性が確保できるため、画像品質が向上し、5質量%以下であると、インクが泡立ちにくくなるため、優れた吐出安定性が得られる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の側鎖に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の末端に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物などが挙げられる。なお、前記シリコーン系界面活性剤とは、その構造中にポリシロキサン構造を有していればよい
前記有機溶剤の含有量としては、インクの乾燥性、及び吐出信頼性の点から、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、3-メトキシブタノール等のグリコールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を主に用いることが好ましい。
水は、水系インクの主な媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが出来る。また、紫外線照射、または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、銀インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好ましい。インクにおける水の含有量は、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することが出来るが、環境負荷を軽減でき、その他の成分を含めることができる点から10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記その他の成分としては、消泡剤、防腐防黴剤、pH調整剤、などが挙げられる。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、インクのpHを7以上に調整することが望ましく、より好ましくはpH値Pは
8.5≦P≦9.8 ……(4)
とするのが好ましい。
本発明においては、pH調整剤として、前記アミノアルコール類を用いる。
pH調整剤としては、上記のpHに調整する安定化の点で、アミノアルコール類と、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物等を併用することもできる。
本発明の画像形成方法は、少なくとも、記録媒体(基材とも称す)上に本発明のインクを吐出する工程を有することが好ましく、インクジェット記録方法が挙げられる。
本発明の画像形成装置は、本発明のインクと、前記インクを吐出して画像を記録するインク吐出手段とを有することが好ましく、インクジェット記録装置が挙げられる。
インク吐出工程は、インクに刺激を印加し飛翔させて印字する工程である。該インクを飛翔する手段としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の記録ヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられる。特に複数のノズル列を有するヘッドと、インクカートリッジから供給されるインクを収容して前記ヘッドにインクを供給するサブタンクとを有するものが好ましい。前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
加熱手段としては、多くの既知の加熱装置の中から適宜選択して1つ又は複数を使用することができる。加熱装置としては、強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥用の装置などが挙げられる。このような加熱装置は、既存のインクジェットプリンターに組込んだものであっても、また、既存のインクジェットプリンターに外付けされたものであってもよい。
図1の装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した基材を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され印字された基材をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。111は上カバー、112は前カバーの前面である。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)、シルバー(S)の各色のインク滴を吐出する5個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134の複数のインク吐出口が、主走査方向と交叉する方向に配列した状態で、インク滴吐出方向が下方となるように装着されている。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するための刺激発生手段として備えたものなどが使用できる。また記録用ヘッド内でインクを加熱するためのヒーター機構を有してもよい。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135が搭載されている。サブタンク135には、インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジ200からインクが供給されて補充される。
この給紙部から給紙された基材142を記録ヘッド134の下方側へ搬送するための搬送部として、基材142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
また、記録ヘッド134で記録された基材142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から基材142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とを備えており、基材142は増設したファンヒータ174により熱風乾燥された後、排紙ローラ172の下方の排紙トレイ103に出力される。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を記録し、基材142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は基材142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、基材142を排紙トレイ103に排紙する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
硝酸銀66.8g、カルボキシル基を有する分散剤ポリマー(ビッグケミージャパン株式会社製、商品名:「ディスパービック190(BYK-190)」、溶媒:水、不揮発成分40質量%、酸価:10mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)5.2g、及びコール酸(和光純薬工業株式会社製)1.8gを、イオン交換水35gに投入し、激しく撹拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に対して、ジメチルアミノエタノール(和光純薬工業株式会社製)1.1gを水7.0gと混合したアミン水溶液(ジメチルアミノエタノール23.3%水溶液)9.1gを水温が50℃を超えないように徐々に加えたのち、水温60℃のウォーターバス中で2.5時間加熱撹拌した。得られた反応液を、ガラスフィルタ(ADVANTEC社製、GC-90、平均孔径:0.8μm)にてろ過し、銀を40%、溶解しているBYK-190不揮発性分含有量は2%、ジメチルアミノエタノール1%含む銀顔料分散液1を得た。得られた銀顔料分散液1における銀粒子の個数平均径を測定したところ、個数基準の個数平均径が20nmであった。
前記銀顔料分散液1の調製において、コール酸をプロピオン酸(和光純薬工業株式会社製)に換えた以外は銀顔料分散液1の調製とまったく同様の操作にて銀顔料分散液2を得た。銀を40%、溶解しているBYK-190不揮発性分含有量は2%、ジメチルアミノエタノール1%含む銀顔料分散液2を得た。
得られた銀顔料分散液2における銀粒子の個数平均径を測定したところ、個数基準の個数平均径が55nmであった。
前記銀顔料分散液2の調製において、水温60℃のウォーターバス中で2時間加熱撹拌した以外は銀顔料分散液2の調製とまったく同様の操作にて銀顔料分散液3を得た。銀を40%、溶解しているBYK-190不揮発性分含有量は2%、ジメチルアミノエタノール1%含む銀顔料分散液3を得た。
得られた銀顔料分散液3における銀粒子の個数平均径を測定したところ、個数基準の個数平均径が50nmであった。
<銀インク1の調製>
銀顔料分散液1を11.25部、2-アミノ-2-エチル-1、3-プロパンジオール(和光純薬工業株式会社製)0.25部、ジメチルアミノエタノール0.113部、ベンゾトリアゾール0.02部、1,2-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)22.0部、3-メトキシ-3-メチルブタノール(東京化成 工業株式会社製)22.0部、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール3.3部、BYK-345(ビックケミー社製)1.0部、スーパーフレックス420NS(ウレタン樹脂、第一工業製薬製、固形分30%、平均粒子径10nm)を1.0部、BYK-190を0.600部及び合計が100部となるようにイオン交換水を残量添加して混合、攪拌した後、平均孔径が0.5μmのポリプロピレンフィルター(商品名:シリンジフィルター、ザルトリウス社製、φ=20mm)で濾過して銀インク1を得た。
<銀インク2~24の調製>
銀インク1の調製において、組成を下記表1に示すように変更した以外は、銀インク1の調製と同様にして、銀インク2~24を得た。
まず、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)改造機を用いて、光沢紙(フォトペーパー絹目タイプ MPGSA420インクジェット用光沢紙 絹目 三菱化学製)に対し、光沢紙モード1200dpi×1200dpiで得られた銀インク液のベタ画像(100%duty)をプラテン温度40℃、ファンヒーター温度50℃で出力した。出力直後、85℃に加熱したオーブンに2分間投入して乾燥を行い、取り出した。光沢紙のRaは11nmである。
<光沢度評価>
乾燥後の記録物の20°光沢度を、光沢度計(BYK Gardener社製、マイクロトリグロス)により測定した。
20°光沢度の値は、好ましくは350以上である。より好ましくは600以上である。350以上では写像性が表れる。600以上では銀箔に迫る光沢性と言える。本発明では許容範囲を350以上とする。
◎:20度光沢 600以上
〇:20度光沢 350以上600未満
△:20度光沢 200以上350未満
▲:20度光沢 100以上200未満
×:20度光沢 100未満
調合後の銀インクを平均孔径が0.5μmのポリプロピレンフィルター(商品名:シリンジフィルター、ザルトリウス社製 φ=20mm)でろ過を行った。
100mlのインクの濾過に必要なフィルター数を以下のように示す。
◎:1個
〇:2個
△:3個~5個
×:6個以上
9mlバイアル瓶に9gのインクを取ったものを二つ用意し、一方に対して60℃で2週間の加熱保管を行う。もう一方を25℃で2週間の恒温室に保管する。25℃と60℃にそれぞれ保管したサンプルを比較し、60℃保管サンプルの凝集物の有無・25℃保管サンプルを基準とした60℃加熱サンプルの粘度差比率で判定する。
〇:凝集物無し。粘度差比率±5%未満
△:凝集物無し。粘度差比率±5%以上±10%未満
▲:凝集物無し。粘度差比率±10%以上
▼:凝集物あり。粘度差比率によらない。
×:インク調合後直ちに凝集物が生じる。
本発明では許容範囲を凝集物無し、かつ、粘度差比率±10%未満とする。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 基材積載部
142 基材
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
161 改造ガイド部材(フィルムヒーター付き)
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
174 ファンヒータ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
Claims (3)
- 個数基準の個数平均径が50nm以下の銀顔料と、
ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体をb質量%と、
2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールをc質量%とを含むインクであって、
前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%と前記2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールの含有量c質量%の比が下記式(6)を満たし、かつ、前記ベンゾトリアゾールまたはベンゾトリアゾール誘導体の含有量b質量%が下記式(7)を満たすインク。
0.02≦b/c≦0.13 ……(6)
b≧0.03 ……(7) - 請求項1に記載のインクを吐出して画像を記録するインク吐出工程を有する画像形成方法。
- 請求項1に記載のインクと、前記インクを吐出して画像を記録するインク吐出手段とを有する画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019161541A JP7328617B2 (ja) | 2019-09-04 | 2019-09-04 | インク、画像形成方法、および画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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