JP6596999B2 - インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明は、カラーブリードを抑制でき、密着性に優れる画像が得られるインクセットを提供することを目的とする。
本発明のインクセットは、白色インク、及びカラーインクを含有する。
前記白色インクは、有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含有し、更に必要に応じて、色材、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記有機溶剤中の溶解度パラメーター(以下、「SP値」と称することがある)が最も低い有機溶剤のSP値としては、10.5(cal/cm3)1/2以下であり、7(cal/cm3)1/2以上10.5(cal/cm3)1/2以下が好ましく、7(cal/cm3)1/2以上10.0(cal/cm3)1/2以下がより好ましい。前記SP値が、10.5(cal/cm3)1/2以下であると、ウレタン樹脂粒子を含有するインクを急速に高粘度化することができ、また、非浸透性記録媒体を膨潤させて前記非浸透性記録媒体により強く吸着させることができ、カラーブリードを抑制することができる。また、前記溶解度パラメーター(SP値)の最も低い有機溶剤のSP値としては、白色インク中及びカラーインク中のウレタン樹脂粒子のSP値より低いことが好ましい。
前記その他の有機溶剤としては、例えば、200℃未満の沸点を有する有機溶剤、200℃以上の沸点を有する有機溶剤などが挙げられる。
前記180℃以上200℃未満の沸点を有するジオールとしては、良好な光沢が得られる点から、例えば、1,2−プロパンジオール(沸点:187℃)、1,2−ブタンジオール(沸点:193℃)、2,3−ブタンジオール(沸点:77℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、蒸発速度を促進する点から、250℃を超える沸点を有する有機溶剤の含有量としては、有機溶剤全量に対して、10質量%未満が好ましい。
前記ウレタン樹脂粒子は、ウレタン樹脂から構成されるポリマー粒子である。
前記アニオン性基としては、水分散安定性の点から、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。
前記アニオン性基をウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば、アニオン性基を持ったモノマーと、ウレタン樹脂とを反応させることなどが挙げられる。
なお、前記体積平均粒径としては、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
なお、前記重量平均分子量としては、展開溶媒として、N−メチル−2−ピロリドンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定することができ、ポリスチレン換算により求めることができる。
前記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得ることができる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、画像堅牢性の点から、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のジオールとホスゲンと、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートとの反応から得られる生成物などの公知のものが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物;トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらのジイソシアネートの変性物(カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変成物等)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、長期耐候性の点から、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物が好ましい。
前記色材としては、白色用として用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白色無機顔料、中空樹脂粒子が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記白色無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、表面処理された酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、硫酸鉛、リポトン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化鉛と酸化亜鉛との合金、塩基性硫酸塩、珪酸鉛、酸化ジルコン、メタホウ酸バリウム、パッチンソン白、マンガン白、酸化錫、タングステン白、鉛酸カルシウム、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。インクジェット記録においては、塗膜を厚くすることが困難であるため、少量の液量で形成された薄い塗膜で充分な白色性を出す必要がある。そのため、白色度が上がり易い点から、二酸化チタンが好ましい。
前記二酸化チタンとしては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、石原産業株式会社製、堺化学工業株式会社製、テイカ株式会社製、チタン工業株式会社製、富士チタン工業株式会社製、古河ケミカルズ株式会社製、デュポン株式会社製、トロノックス社製、クロノス株式会社製、ミレニアム・インオーガニック・ケミカルズ社製のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記中空樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記中空樹脂粒子としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、架橋型スチレン−アクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記中空樹脂粒子としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂として、MH5055(日本ゼオン株式会社製)、ローペイクOP−62、ローペイクOP−84J、ローペイクOP−91、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクULTRA(以上、ロームアンドハース社製)、架橋型スチレン−アクリル樹脂として、SX−863(A)、SX−864(B)、SX−866(A)、SX−866(B)、SX−868(以上、JSR株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤は、記録媒体への濡れ性の確保の点から含有することが好ましい。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を使用してもよく、前記市販品としては、例えば、エアープロダクツ株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記両性界面活性剤としては、市販品を使用してもよく、前記市販品として、例えば、日光ケミカルズ株式会社製、日本エマルジョン株式会社製、株式会社日本触媒製、東邦化学工業株式会社製、花王株式会社製、株式会社ADEKA製、ライオン株式会社製、青木油脂工業株式会社製、三洋化成工業株式会社製のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、商品名:プロキセルLV(アビシア株式会社製)などが挙げられる。
前記カラーインクは、有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含有し、更に必要に応じて、色材、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記カラーインクとしては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、ブルーインク、グリーンインク、グレーインク、金色インク、銀色インク、クリアインクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、2種以上のカラーインクを併用する場合は、すべてのカラーインクにおいて、前記有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含有する必要がある。
前記有機溶剤としては、前記白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、前記カラーインク中の有機溶剤における溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターより低ければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記白色インクと同様のものを用いることもできる。
前記ウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記白色インクと同様のものを用いることができる。
前記色材としては、カラー用として用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記黒色用の有機顔料である前記カーボンブラックとしては、体積平均一次粒径として15nm以上40nm以下が好ましく、BET法による比表面積として50m2/g以上300m2/g以下が好ましく、DBP吸油量として40mL/100g以上150mL/100g以下が好ましく、揮発分として0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、pHとして2以上9以下が好ましい。
前記界面活性剤としては、前記白色インクと同様のものを用いることができる。
前記その他の成分としては、前記白色インクと同様のものを用いることができる。
前記白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターとしては、カラーインク中の有機溶剤の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターより低い。前記白色インク中の有機溶剤のSP値がカラーインク中の有機溶剤のSP値より低いことで、従来の技術よりもカラーブリードをより強く抑制できる。
前記白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における含有量としては、前記カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における含有量より多いことが好ましい。前記前記白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における含有量が前記カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における含有量より多いと、カラーインクの着弾時に下地となる白インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下のSP値を有する有機溶剤が蒸発せず多く残っている状態にすることができ、白色インク中の有機溶剤とカラーインク中のウレタン樹脂粒子とが混合されることにより、カラーブリードをより抑制できる。
前記白色インク中の有機溶剤の含有量としては、前記カラーインク中の有機溶剤の含有量より多いことが好ましい。前記白色インク中の有機溶剤の含有量がカラーインク中の有機溶剤の含有量より多いと、白色インクの乾燥を遅くでき、カラーインクを白色インク上への着弾させた際に、よく白色インク中に含まれる有機溶剤と混ざり合うことができる。これにより、カラーインク中のウレタン樹脂粒子が、白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターであり、かつ200℃以上の沸点を有する有機溶剤と接することによりカラーインクの粘度が上がり、カラーブリードを抑制することができる。
前記白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点としては、前記カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点以上が好ましい。前記白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点が前記カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点以上であると、白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下のSP値を有する有機溶剤がより乾燥しにくい状態にできる。
前記白色インク中の固形分濃度(質量%)としては、カラーインク中の固形分濃度(質量%)より多いことが好ましい。
前記白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、カラーインク中のウレタン樹脂粒子の溶解度パラメーターより低いことが好ましい。
本発明のインクセットに用いるインクの粘度としては、25℃での吐出時が2mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、2mPa・s以上であると、インクの吐出時の残留振動が起こりにくくなり、駆動波形による吐出後の振動を抑制しやすく、短時間で次の吐出ができ、高速印字に好適に利用することができる。また、20mPa・s以下であると、吐出性を向上することができる。なお、使用環境温度に応じて粘度は変化するため、使用環境温度において前記粘度が上記範囲を満たすことが好ましい。粘度は、例えば、粘度計(商品名:RE−550L、東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明のインクセットに用いられるインクの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクの構成成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて撹拌混合するなどが挙げられる。
前記撹拌混合としては、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などが挙げられる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的な印刷用紙、普通紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。
本発明のインクセットに用いられるインクは、非浸透性基材に適用したときに、良好な光沢性、及び画像堅牢性を備えた画像を得ることができる。これらの中でも、プラスチックフィルムが好ましい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、PETフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性及び吸着性の少なくともいずれかが低い表面を有する基材を意味しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を意味する。
また、その他の非浸透性基材、普通紙、無機物コート浸透性媒体などの従来用いられてきた浸透性媒体に対しても使用できる。
前記インクカートリッジは、インクセットに用いられるインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、加熱工程、その他の工程を含む。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて、加熱手段、その他の手段を有する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は、前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記加熱工程は、加熱手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、本発明のインクセットに用いられるインクに、刺激(エネルギー)を印加し、インク吐出用の各種のノズルからインクを飛翔させて、記録媒体に画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクセットに用いられるインクに、刺激(エネルギー)を印加し、インク吐出用の各種のノズルからインクを飛翔させて、記録媒体にインクを飛翔する手段である。
前記加熱工程は、画像を記録した前記記録媒体を加熱する工程である。
前記加熱手段は、画像を記録した前記記録媒体を加熱する手段である。
前記インクジェット記録方法及び前記インクジェット記録装置としては、前記非浸透性基材に高画像品質な記録ができるが、より一層高画質で耐擦性、及び密着性の高い画像の形成、並びに高速の記録条件にも対応できるようにするために、記録後に前記非浸透性基材を加熱することが好ましい。記録後に加熱工程を有すると、インク中に含有される樹脂の造膜が促進されるため、記録物の画像硬度を向上させることができる。
前記加熱温度としては、インク中に含まれる有機溶媒の種類や量、及び添加する樹脂エマルジョンの最低造膜温度に応じて変更することができ、さらに印刷する基材の種類に応じても変更することができる。
前記加熱温度としては、乾燥性、及び造膜温度の点から、高いことが好ましく、40℃以上120℃以下がより好ましく、40℃以上100℃以下がさらに好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、40℃以上120℃以下であると、印刷する非浸透性基材の熱によるダメージを防止し、インクヘッドが温まることによる不吐出が生じることを抑制することができる。
また、別の実施態様として、白色インクをインクジェット記録方法以外の方法で飛翔し、カラーインクをインクジェット記録方法で飛翔することもできる。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135)を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ201から、前記インクが供給されて補充される。
前記給紙部から給紙された基材142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、基材142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
前記インクジェット記録装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。
そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を記録し、基材142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は基材142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、基材142を、排紙トレイ103に排紙する。
<<ブラック顔料分散体の作製>>
カーボンブラック(商品名:Black Pearls(登録商標)1000、Cabot Corporation社製、BET比表面積343m2/g、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)105mL/100g)100gを、2.5N(規定)の次亜塩素酸ナトリウム溶液3,000mLに添加し、温度が60℃で、速度が300rpmで撹拌し、10時間反応させて酸化処理して、カーボンブラックの表面にカルボン酸基が付与されたブラック顔料を含む反応液を得た。得られた反応液を濾過し、濾別したブラック顔料を水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過して分散体を得た。次いで、前記分散体とイオン交換水とを用いて透析膜による限外濾過を行い、更に、超音波分散を行って、顔料固形分濃度が20質量%である濃縮したブラック顔料分散体(自己分散型)を得た。
前記ブラック顔料分散体の作製において、カーボンブラックをピグメントブルー15:4(商品名:SMART Cyan 3154BA、SENSIENT社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散体の作製と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である濃縮したシアン顔料分散体(自己分散型)を得た。
前記ブラック顔料分散体の作製において、カーボンブラックをピグメントレッド122(商品名:Pigment Red 122、サンケミカル株式会社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散体の作製と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である濃縮したマゼンタ顔料分散体(自己分散型)を得た。
前記ブラック顔料分散体の作製において、カーボンブラックをピグメントイエロー74(SMART Yellow 3074BA、サンケミカル株式会社製)に変更した以外は、ブラック顔料分散体の作製と同様にして、顔料固形分濃度が20質量%である濃縮したイエロー顔料分散体(自己分散型)を得た。
前記ブラック顔料分散体の作製において、カーボンブラックを二酸化チタンに変更した以外は、ブラック顔料分散体の作製と同様にして、顔料固形分濃度が45質量%である濃縮した白色顔料分散体(自己分散型)を得た。
<<カラーインクAの作製>>
ブラック顔料分散体(固形分濃度20質量%、溶媒:水)2質量%(固形分濃度)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子(商品名:ユーコートUX−485、三洋化成工業株式会社製)6質量%(固形分濃度)、アニオン性界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)1質量%、3−メトキシー3−メチルブタノール4.5質量%、2−ピロリドン5質量%、1,3−プロパンジオール18質量%、1、3−ブタンジオール6質量%、防腐防黴剤(商品名:プロキセルLV、アビシア株式会社製)0.1質量%、水残量を混合撹拌した後、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルターで濾過し、カラーインクAを作製した。
前記カラーインクAの作製において、カラーインクAの組成を表1〜2に記載の組成に変更した以外は、カラーインクAの作製と同様にして、カラーインクB〜Jを作製した。表1〜2にカラーインクA〜Jの組成を示す。
・ポリエーテル系ウレタン樹脂粒子:第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス130
・ポリエステル系ウレタン樹脂粒子:三洋化成工業株式会社製、商品名:ユーコートUWS−145
<<白色インクAの作製>>
白色顔料分散体(固形分濃度45質量%、溶媒:水)6質量%(固形分濃度)、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子(商品名:ユーコートUX−485、三洋化成工業株式会社製)6質量%(固形分濃度)、アニオン性界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)1質量%、トリエチレングリコールジメチルエーテル3質量%、3−メトキシー3−メチルブタノール3.5質量%、2−ピロリドン5質量%、1,3−プロパンジオール18質量%、1,3−ブタンジオール6質量%、防腐防黴剤(商品名:プロキセルLV、アビシア株式会社製)0.1質量%、水残量を混合撹拌した後、平均孔径0.2μmポリプロピレンフィルターで濾過し、白色インクAを作製した。
前記白色インクAの作製において、白色インクAの組成を表3〜6に記載の組成に変更した以外は、白色インクAの作製と同様にして、白色インクB〜Qを作製した。
表3〜6に白色インクA〜Qの組成を示す。
・ポリエーテル系ウレタン樹脂粒子:第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス130
・ポリエステル系ウレタン樹脂粒子:三洋化成工業株式会社製、商品名:ユーコートUWS−145
前記カラーインクA、及び前記白色インクAを有するインクセット1を作製した。
実施例1において、カラーインクA、及び前記白色インクAを表7〜表12に記載のカラーインク、及び白色インクに変更した以外は、実施例1と同様にして、インクセット2〜26を作製した。
表7〜表12に実施例1〜20、及び比較例1〜6のインクセット1〜26を示す。
インクセット1〜26に用いられる白色インク、及びカラーインクをインクジェットプリンター(商品名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、非浸透性基材の透明PETシート(商品名:LLPET1223、桜井株式会社製)に、白色インクを吐出しベタ画像を形成した。次に、白色インクの吐出後にカラーインクを用いて、白色インクにより形成されたベタ画像上に文字:「轟」(ゴウ)(フォント:MS明朝)を記録して、80℃で1時間乾燥させた。乾燥後、白色インクとカラーインクとの境界部分の混色を目視で観察し、以下評価基準に基づいて、「カラーブリード」を評価した。なお、インクジェットプリンターの設定は、ベタ画像及び文字のテストパターンを標準モードとした。また、ベタ画像形成の際には、加熱ヒーター式ガイド部材を透明PETシートが55℃になるように温度調整し、さらに、ファンヒータにより80℃に設定した温風を吹き付けてインクを乾燥させた。
−評価基準−
6 : 3ポイントの文字が潰れず、はっきりと分かる
5 : 3ポイントの文字は潰れるが、4ポイントの文字は潰れず、はっきりと分かる
4 : 4ポイントの文字は潰れるが、6ポイントの文字は潰れず、はっきりと分かる
3 : 6ポイントの文字は潰れるが、9ポイントの文字は潰れず、はっきりと分かる
2 : 9ポイントの文字は潰れるが、10ポイントの文字は潰れず、はっきりと分かる
1 : 10ポイントの文字は潰れるが、12ポイントの文字は潰れず、はっきりと分かる
前記カラーブリードの評価において、白色インクにより形成されたベタ画像上にカラーインクで文字を記録したことに代えて、白色インクにより形成されたベタ画像上にカラーインクでベタ画像を形成したこと以外は、カラーブリードの評価と同様にして、ベタ画像を得た。得られたベタ画像を用いて、JIS−K5600−5−6に準拠してクロスカット試験(1.5mm間隔、100マス試験)を行った。マスが剥がれた度合いを下記の評価基準に基づいて、「密着性」を評価した。
−評価基準−
0:剥がれなかったマスが、100マス中100マス
1:剥がれなかったマスが、100マス中80マス以上99マス以下
2:剥がれなかったマスが、100マス中40マス以上79マス以下
3:剥がれなかったマスが、100マス中39マス以下
<1> 有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含む白色インクと、
有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含むカラーインクと、を含有し、
前記白色インク中の前記有機溶剤における溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤が、10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターであり、かつ200℃以上の沸点を有し、
前記白色インク中の前記溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、前記カラーインク中の有機溶剤における溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターより低いことを特徴とするインクセットである。
<2> 白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、7(cal/cm3)1/2以上10.5(cal/cm3)1/2以下である前記<1>に記載のインクセットである。
<3> カラーインク中の有機溶剤が、10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤を含有し、
白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤の含有量が、前記カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤の含有量より多い前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクセットである。
<4> 白色インク中の有機溶剤の含有量が、カラーインク中の有機溶剤の含有量より多い前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクセットである。
<5> 白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点が、カラーインク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクセットである。
<6> 白色インク中の固形分濃度(質量%)が、カラーインク中の固形分濃度(質量%)より多い前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクセットである。
<7> 白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、カラーインク中のウレタン樹脂粒子の溶解度パラメーターより低い前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクセットである。
<8> 白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤の含有量が、白色インク全量に対して、0.5質量%以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクセットである。
<9> 白色インク中の10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターであり、かつ200℃以上の沸点を有する有機溶剤の含有量が、白色インク全量に対して、15質量%以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクセットである。
<10> 白色インク中の有機溶剤の含有量が、白色インク全量に対して、20質量%以上70質量%以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクセットである。
<11> 白色インク中のウレタン樹脂粒子の酸価が、5mgKOH/g以上100mgKOH/gである前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクセットである。
<12> 白色インク中のウレタン樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクセットである。
<13> 白色インク中のウレタン樹脂粒子の含有量が、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクセットである。
<14> 白色インクが、色材を含有する前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクセットである。
<15> 白色インク中の色材が、白色無機顔料である前記<14>に記載のインクセットである。
<16> 白色無機顔料が、二酸化チタンである前記<15>に記載のインクセットである。
<17> 白色インク中の色材の含有量が、白色インク全量に対して、1質量%以上10質量%以下である前記<14>から<16>のいずれかに記載のインクセットである。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<19> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクに、刺激を印加し、記録媒体に飛翔するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<20> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法である。
前記<18>に記載のインクカートリッジは、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記インクカートリッジは、カラーブリードを抑制でき、密着性に優れる画像が得られるインクセットに用いられるインクを収容してなるインクカートリッジを提供することを目的とする。
101 インクジェット記録装置
Claims (11)
- 有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含む白色インクと、
有機溶剤、及びウレタン樹脂粒子を含むカラーインクと、を含有し、
前記白色インク中の前記有機溶剤における溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤が、10.5(cal/cm3)1/2以下の溶解度パラメーターであり、かつ200℃以上の沸点を有し、
前記白色インク中の前記溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、前記カラーインク中の有機溶剤における溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターより低く、
前記白色インク中の10.5(cal/cm 3 ) 1/2 以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤の含有量が、前記カラーインク中の10.5(cal/cm 3 ) 1/2 以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤の含有量より多いことを特徴とするインクセット。 - 白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、7(cal/cm3)1/2以上10.5(cal/cm3)1/2以下である請求項1に記載のインクセット。
- 白色インクが白色用色材を含む請求項1から2のいずれかに記載のインクセット。
- 白色用色材が二酸化チタンである請求項3に記載のインクセット。
- 白色インク中の有機溶剤の含有量が、カラーインク中の有機溶剤の含有量より多い請求項1から4のいずれかに記載のインクセット。
- 白色インク中の10.5(cal/cm 3 ) 1/2 以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点が、カラーインク中の10.5(cal/cm 3 ) 1/2 以下の溶解度パラメーターを有する有機溶剤における最も含有量が多い有機溶剤の沸点以上である請求項1から5のいずれかに記載のインクセット。
- 白色インク中の固形分濃度(質量%)が、カラーインク中の固形分濃度(質量%)より多い請求項1から6のいずれかに記載のインクセット。
- 白色インク中の溶解度パラメーターの最も低い有機溶剤の溶解度パラメーターが、カラーインク中のウレタン樹脂粒子の溶解度パラメーターより低い請求項1から7のいずれかに記載のインクセット。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクに、刺激を印加し、記録媒体に飛翔するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットに用いられるインクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
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