JP6740792B2 - インク、インクジェット印刷方法及び印刷物 - Google Patents
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Description
このような用途においてはプラスチックフィルムなどの非多孔質記録媒体が使用され、包装コストの低さから、プラスチックフィルムの表面に直接印刷(表刷り印刷)してある包装材料が多用されており、そのためのインクが開発されてきている。
前記表刷り印刷においては、印刷層が隣接する包装物の印刷層や箱などと直接接触し、その摩擦によって印刷層が削られ、印刷内容が不鮮明になることがあるため、耐擦過性が求められる。
本発明のインクは、水、有機溶剤、界面活性剤、及び樹脂粒子を含有するインクであって、前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤を含有し、前記樹脂粒子が、ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子を含有し、更に必要に応じて、色材、及びその他の成分を含む。
その結果、ノニオン系界面活性剤では、インク中における含有量に関わらず十分な濡れ性を得ることができなかった。また、フッ素系界面活性剤では濡れ性が高くなりすぎるため、色境界ニジミが発生してしまい、インク中における含有量をごく微量にすればニジミにくくなるものの、ヘッドからの吐出が不安定になってしまった。これに対して、シリコーン系界面活性剤では、基材に対して良好な濡れ性が得られることがわかった。
そこで、本発明においては、ポリオレフィン樹脂エマルジョンをインクに添加することによりポリプロピレン(PP)フィルム等の基材に対する濡れ性を制御できることが分かった。この理由は定かではないが、インクと基材との界面張力が低下するため濡れ広がりやすくなったと考えられる。
以上のことから、本発明者らはシリコーン系界面活性剤が好適に用いられることを突き止めた。
しかし、基材に対する親和性の観点ではポリオレフィン樹脂が最も好適であるが、ポリオレフィン樹脂は構造上、塗膜硬度が低くなるため、印刷物の堅牢性が著しく劣る結果となった。
そこで、ポリエステル系ウレタン樹脂にオレフィン骨格を組み込んだ、ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂が、耐擦過性と濡れ性の促進の両立の観点から優れていることを見出し、本発明に至った。
前記樹脂粒子としては、ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子を含有し、更に必要に応じて、その他の樹脂粒子を含有する。
ここで、前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂とは、主鎖、もしくは側鎖にポリオレフィン骨格を有するポリエステル系ウレタン樹脂を意味し、前記ポリエステル系ウレタン樹脂とは、ポリエステル構造を有するポリウレタン樹脂を意味する。
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
下記反応式(1)について、ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂は、ジイソシアネートとオレフィン部位含有ポリエステルジオールとのウレタン化反応により合成することができる。即ち、主鎖にポリオレフィン骨格を有するポリエステル系ウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネート(I)とオレフィン部位含有ポリエステルジオール(II)とのウレタン化反応により合成することができる。
R2は、ジオール残基中の炭素数2以上のアルキレン部位、及びビスフェノール部位から選択されるいずれかの部位をそれぞれ表す。
R3は、ジカルボン酸中の炭素数2以上のアルキレン部位、及びアリーレン部位から選択されるいずれかの部位をそれぞれ表す。
ただし、前記R2及び前記R3のうちの少なくともいずれかは、炭素数3以上のアルキレン部位であることが好ましい。また、アリール構造含有部位としてはビスフェノールであることが好ましい。前記ビスフェノールには、−CH2−基又は−C(Me)2−基のような、隣接フェニル環の回転可能性を担保できる細長の分子構造を有し、フレキシブル構造の出現を阻害しない構造のものが好ましい。
R4は、ジオール残基中の炭素数1〜6の分枝結合手を有するアルキレン部位、及び分枝結合手を有するフェニレン基含有部位から選択されるいずれかの部位をぞれぞれ表す。
R5は、ジカルボン酸中の炭素数2以上のアルキレン部位及びアリーレン部位から選択されるいずれかの部位をそれぞれ表す。
R6は、前記R4と分枝フレキシブルペンダント部位を形成できる炭化水素基を表す。
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂の合成は、例えば、ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールと、所望により併用されるその他ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート化合物と、分子内に酸性基及び少なくとも2個の活性水素含有部位を有する化合物と、鎖伸長剤と、からなるポリウレタン樹脂の酸基を、必要ならば中和剤で中和して、水性媒体中に分散させることが好ましい。
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールとは、分子の両末端及び側鎖に水酸基を含有するポリオレフィンの少なくともいずれかを意味する。
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールの製造方法は、特に制限はなく、オレフィン基を付与する化合物と、ジカルボン酸との脱水縮重合又はエステル交換反応を行い、末端ヒドロキシル基のポリエステルを得る方法などにより得ることができる。
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールとしては、例えば、ワンショット合成法で合成することもできるが、ポリエステル化のためのファーストショット、モニタされた分子量及び酸価が所期の値近くにほぼ達した後、過剰分の(分子末端のヒドロキシ化のための)ジオールを添加するセカンドショット、からなるツーショット合成法で合成することもできる。
前記ツーショット合成法は、後述のオキシ酸の縮合によるポリエステルポリオールを得る際に有効な方法の1つである。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、又はこれらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−ジクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネーネートなどの脂環式ポリシアネート化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、長期耐候性を持つ塗膜を形成させる点から、脂肪族又は脂環式ジイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
前記分子内に酸性基及び少なくとも2個の活性水素含有部位を有する化合物としては、例えば、グリコール酸、酒石酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、α,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸、α,α−ジメチロールノナン酸、及びこれらにカプロラクトンモノマーを付加重合させて得られるカルボキシ基含有ポリカプロラクトンジオールなどのヒドロキシ酸、1,7−ジヒドロキシナフタリンスルホン酸などのヒドロキシスルホン酸、又は2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸などのアミノスルホン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、分子内に2個の水酸基と1個のカルボキシ基を有する化合物であるα,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸、及びこれらにカプロラクトンモノマーを付加重合させて得られるカルボキシ基含有ポリカプロラクトンジオールが好ましい。
前記鎖延長剤としては、ポリアミンやその他の活性水素原子含有化合物などが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミンなどのジアミン類、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン類、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジンなどのヒドラジン類、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記中和剤としては、特に制限が無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アンモニア、有機アミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中の(ポリエステルポリオール/ポリオレフィン部位含有ポリオール)の比率は、それぞれのポリオール由来の部位の分子量比で、1.5以上が好ましく、4以上がより好ましく、9以上が特に好ましい。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて前記中和剤により中和し、その後、前記鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられる。前記アニオン性基を使用すると、良好な水分散安定性を得ることができる。
前記アニオン性基を樹脂中に導入するには、前記アニオン性基を持ったモノマーを用いることができる。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記その他の樹脂粒子としては、例えば、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ブタジエン系樹脂粒子、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子、アクリルスチレン系樹脂粒子、アクリルシリコーン系樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、前記界面活性剤の酸価が、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、かつ、アニオン性基を含有することが好ましく、さらに、前記酸価が、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であると特に好ましい。
前記界面活性剤であると水分散性が良好になり、前記酸価が5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であると、耐擦過性や耐薬品性を向上させることができる。
また、前記界面活性剤全量に対する、前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂の含有量としては、質量換算で、0.6質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
前記界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤を含有し、更に必要に応じて、その他の界面活性剤を含む。
前記シリコーン系界面活性剤としては、インクの表面張力を下げ、疎水性の高い非多孔質基材上で優れた濡れ性を確保するという点から、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。
前記ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物としては、下記一般式(1)及び下記一般式(3)に示される化合物を用いることが好ましい。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性有機溶剤が好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオールなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどの多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトンなどの含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量が、20質量%以上であると、インクが乾燥しにくくなり、十分な吐出安定性が得られやすくなり、70質量%以下であると、粘度が低く抑えられるので吐出が容易となり好ましい。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インクには、必要に応じて、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などの添加剤を用いてもよい。
前記防腐防黴剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ぺンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニイウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記pH調整剤としては、インクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、第4級アンモニウム水酸化物やジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化アンモニウム、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記撹拌混合に使用できる装置は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、及び高速の分散機などが挙げられる。
ここで、本発明のインクジェット印刷方法を説明する。本発明のインクジェット印刷方法は、前記インクに、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかを印加して前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を印刷し、印刷後に、印刷物を加熱する加熱工程をさらに含む。本発明のインクジェット印刷方法は、前記インクジェット印刷装置により好適に実施することができる。
インクジェット印刷装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した給紙トレイ102と、排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104と、を有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キー及び表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。111は上カバー、112は前カバーの前面である。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット印刷用ヘッドからなる印刷ヘッド134の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ133には、印刷ヘッド134に各色のインクを供給するための各のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ201から、本発明のインクセットに係るインクが供給されて補充される。
この給紙部から給紙された基材142を印刷ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、基材142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
このインクジェット印刷装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。
そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて印刷ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を印刷し、基材142を所定量搬送後、次の行の印刷を行う。印刷終了信号又は基材142の後端が印刷領域に到達した信号を受けることにより、印刷動作を終了して、基材142を、排紙トレイ103に排紙する。
前記非多孔質基材とは、水透過性、吸収性及び吸着性の少なくともいずれかが低い表面を有する基材を意味し、内部に多数の空洞を有する材料及び外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材を指す。
前記加熱における加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インク中に含まれる水溶性有機溶媒の種類及び量、並びに添加する樹脂エマルジョンの最低造膜温度に応じて変更することができ、更に、印刷する基材の種類に応じて変更することができる。
前記加熱温度は乾燥性や造膜温度の点から、40℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上90℃以下がより好ましい。
本発明の印刷物は、記録媒体と、前記記録媒体上に印刷層と、を有する印刷物であって、前記印刷層が、色材、シリコーン系界面活性剤、及びポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂を含有する。
<ブラック顔料分散体の調製>
Cabot Corporation社製のカーボンブラック:Black Pearls(登録商標)1000(BET比表面積343m2/g、DBPA吸収量105mL/100g)100gを、2.5N(規定)の次亜塩素酸ナトリウム溶液3,000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで撹拌し、10時間反応させて酸化処理を行い、カーボンブラックの表面にカルボン酸基が付与された顔料を得た。
この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム水溶液で中和し、限外濾過を行った。
次いで、前記顔料分散体とイオン交換水を用いて透析膜による限外濾過を行い、更に、超音波分散を行って、顔料固形分を20質量%に濃縮したブラック顔料分散体を得た。
<シアン顔料分散体の調製>
調製例1において、カーボンブラックを用いる代わりにピグメントブルー15:4(SENSIENT社製、SMART Cyan 3154BA)に変更した以外は、調製例1と同様にして、顔料固形分を20質量%に濃縮したシアン顔料分散体を得た。
<マゼンタ顔料分散体の調製>
調製例1において、カーボンブラックを用いる代わりにピグメントレッド122(Sun Chemical社製、Pigment Red 122)に変更した以外は、調製例1と同様にして、顔料固形分を20質量%に濃縮したマゼンタ顔料分散体を得た。
<イエロー顔料分散体の調製>
調製例1において、カーボンブラックを用いる代わりにピグメントイエロー74(SENSIENT社製、SMART Yellow 3074BA)に変更した以外は、調製例1と同様にして、顔料固形分を20質量%に濃縮したイエロー顔料分散体を得た。
<ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製>
温度計、及び撹拌機を付けた加圧重合器に、特開平10−72562号公報の合成例1に記載の方法と同様の方法で合成したポリエステルジオール[1]を618質量部、1,4−ブタンジオールを19質量部、ジメチロールプロピオン酸を102質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を290質量部、アセトンを670質量部添加し、撹拌下、80℃で10時間反応させ、イソシアネート含有量0.20質量%のイソシアネート末端ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を得た。このアセトン溶液を30℃に冷却して、28質量%アンモニア水42質量部を加えた。次に、水1,515質量部を前記アセトン溶液に加え、減圧下50℃〜60℃でアセトンを除去し、固形分40.0質量%、粘度660cP/25℃の樹脂エマルジョンを得た。この樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下同様)は15,000であった。得られた樹脂エマルジョンをペイントコンディショナー(レッドデビル社製、50〜1,425rpmの範囲で速度調節可能)で分散処理し、固形分濃度40.0質量%、体積平均粒径32nmのポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンAを得た。
なお、得られたポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンA中の樹脂粒子の体積平均粒径は、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定した。
<ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンBの調製>
撹拌機、2本の均圧管付き滴下ロート、温度計、及び水冷式コンデンサーを装着したセパラブルフラスコに、エチレン成分の含有量が48mol%、数平均分子量(Mn)が3600g/mol、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.65であるエチレン・プロピレン共重合体166.91gを仕込み、窒素置換を行った。
その後、160℃に昇温後、160℃にて、滴下ロートに秤量していた490.60gのライトアクリレートHOB−A(共栄社化学株式会社製、2−ヒドロキシブチルアクリレート)、及び10.71gの過酸化ジ(tert−ブチル)(片山化学株式会社製)を2時間かけて滴下した。
滴下後、160℃にて、2時間の反応を行った後、170℃に昇温し、170℃、1.33kPa以下の条件で、3時間の減圧処理を行い、ポリオレフィン部位含有ポリオールAを得た。
次に、撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリライトOD−X−2420(DIC株式会社製、ポリエステルポリオール)1,500g、前記ポリオレフィン部位含有ポリオールA 200g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN−メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素雰囲気下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g、及びジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、さらにトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、調製例5と同様にして分散処理を行い、樹脂粒子の体積平均粒径121nmのポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンBを得た。
<ポリオレフィン部位含有ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
調製例6において、ポリライトOD−X−2420を使用する代わりに、ハイフレックスD2000(第一工業製薬株式会社製、ポリエーテルポリオール)に変更した以外は調製例6と同様にして、固形分濃度が30質量%、樹脂粒子の体積平均粒径58nmのポリオレフィン部位含有ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンを得た。
<ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンの調製>
調製例6において、前記ポリオレフィン部位含有ポリオールAを使用しない以外は調製例6と同様にして、固形分濃度が30質量%、樹脂粒子の体積平均粒径44nmのポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンを得た。
<ポリオレフィン樹脂エマルジョンの調製>
メタロセン触媒を重合触媒として製造したプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン:エチレン=96:4)を、バレル温度35℃の二軸押出機に供給して熱減成を行い、減成プロピレン系ランダム共重合体を得た。
前記減成プロピレン系ランダム共重合体100質量部、メタクリル酸メチル4質量部、アクリル酸エチルヘキシル4質量部、ジクミルパーオキサイド3質量部をあらかじめ十分に混合した後、二軸押出機に供給し、滞留時間5分間、回転数300rpm、バレル温度120℃(第1、及び第2バレル)、180℃(第3、及び第4バレル)、100℃(第5バレル)、130℃(第6〜第8バレル)の条件下で反応を行い、アクリル酸エステル−ポリオレフィン系共重合体を得た。
次いで、撹拌機、冷却管、温度計及び滴下ロートを取り付けた2Lの4つ口フラスコ中に、得られたアクリル酸エステル−ポリオレフィン系共重合体200g、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルアミン)35g、ステアリルグリシジルエーテル8g、トルエン36gを添加し、120℃で30分間混練した。
その後、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール8gを5分間かけて添加し、添加後5分間保持した後、90℃に熱した高純水970gを40分間かけて添加した。
減圧処理により、トルエンを留去した後、撹拌しながら室温まで徐々に冷却し、固形分濃度が40質量%となるように水分量を調整し、調製例5と同様にして分散処理を行い、樹脂粒子の体積平均粒径140nmのポリオレフィン樹脂エマルジョンを得た。
<アクリル樹脂エマルジョンの調製>
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3g、アクリルアミド20g、スチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸10gを撹拌して得た乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下し、滴下終了後、3時間の熟成を行った。
得られた水性液を常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分濃度が30質量%、pH8に調整し、調製例5と同様にして分散処理を行い、樹脂粒子の体積平均粒径100nmのアクリル樹脂エマルジョンを得た。
−インク1の製造−
下記処方の混合液を撹拌し、均一に混合した後、調製例1で調製したブラック顔料分散体20質量%を添加し、合計100質量%となるように、残量のイオン交換水を添加し、撹拌した。
その後、セルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し、インク1を得た。
〔混合液の処方〕
・ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂Aエマルジョン・・・15質量%
・BY16−201・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5質量%
・1,2−プロパンジオール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30質量%
・プロキセルLV・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%
実施例1において、組成を表1−1〜表1−3に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜16及び比較例1〜7のインクを得た。
* BY16−201: 東レ・ダウコーニング株式会社製のポリエーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤
* BYK−333:ビッグケミー・ジャパン社製のポリエーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤
* WET−250:エボニックデグサ社製のポリエーテル変性シロキサンコーポリマー、基質湿潤剤(界面活性剤)
* KF−351A:信越化学工業株式会社製のポリシロキサン系界面活性剤
* FS−300:デユポン社製のフッ素系界面活性剤、ゾニール(ZONYL)FS−300(有効成分:40質量%)
* EP−5035:株式会社日本触媒製のノニオン系界面活性剤
* プロキセルLV:アビシア社製の防腐防黴剤
作製した各実施例及び比較例のインクについて、以下の濡れ性としてニジミ性評価及びベタ埋まり性評価、並びに耐擦過性評価を実施した。結果は表2に示した。
PVCフィルム:3M社製のD−JET2
PETフィルム:東洋紡株式会社製のエスペットE5100
PPフィルム:東洋紡株式会社製のパイレンP2102
作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSIO GXe5500)に充填し、PVCフィルム、PETフィルム、PPフィルムの各種フィルムに対して背景なしで単色の文字のみの部分からなる画像サンプルを印刷した後、80℃で1時間加熱乾燥させた。
印刷した文字の大きさはMSゴシックフォントにて文字のサイズを11ポイントに設定し、目視にて確認し、以下の基準により「ニジミ性」を評価した。
なお、C評価以上が使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
A:ニジミがほとんどなく、文字が鮮明である
B:僅かにニジミが発生しているが、文字は充分に判読できる
C:明らかにニジミが発生しているが、文字は判読できる
D:明らかにニジミが発生し、文字の判読も困難である
作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSIO GXe5500)に充填し、PVCフィルム、PETフィルム、PPフィルムの各種フィルム上にインク付着量1mg/cm2にて、ベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。
次いで、印刷されたベタ画像をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−200)を用いて20倍で観察し、インク付着面積の割合(印刷部分全体の面積に対してインク付着部分が占める面積の割合)を測定し、以下の基準により評価した。
なお、C評価以上が使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
A:インク付着面積が97%より大きい
B:インク付着面積が95%より大きく97%以下
C:インク付着面積が92%以上95%以下
D:インク付着面積が92%より小さい
作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSIO GXe5500)に充填し、PPフィルム上にインク付着量1mg/cm2にて、ベタ画像を印刷した後、80℃で1時間乾燥させた。次いで、印刷されたベタ画像を乾いた木綿(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦過し、目視にて確認し、下記基準により耐擦過性を評価した。
なお、C評価以上が使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
A:50回以上擦っても画像が変化しない
B:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像品位には影響せず、実使用上問題ない
C:31〜50回擦過する間に画像品位が低下してしまう
D:11〜30回擦過する間に画像品位が低下してしまう
E:10回以下の擦過で画像品位が低下してしまう
比較例2はノニオン系界面活性剤を使用した例であり、ベタの埋まり性が悪く、目立つレベルであった。
比較例3及び4はウレタン樹脂ではあるが、ポリオレフィン部位含有ポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンを使用した比較例3と、変性のないポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンを使用した比較例4であり、どちらも実使用に耐えないほど耐擦過性が劣る結果となった。
比較例5はポリオレフィン樹脂エマルジョンを使用した例であり、耐擦過性に劣るほか、PPフィルムとの相性が良すぎてPPフィルムにおけるニジミが大幅に悪化した。
比較例6はアクリル樹脂エマルジョンを使用した例であり、耐擦過性に劣るほか、PPフィルムに対する親和性が低くく、PPフィルムにおけるベタ埋まり性が大幅に悪化した。
比較例7は樹脂粒子を含有しない例であり、基材上に顔料が載っているだけであるため、耐擦過性は全く無く、液滴が固まらないため、ニジミ性も悪化した。
なお、屋外用途への利用を考慮して、基材密着性の評価は、屋外用途も想定した一般的な方法で評価を行ったため、これらの評価結果から、本発明のインクが屋外用途に適したものであることが分かる。
<加熱乾燥における影響の評価>
実施例1のインク1において、下記表3に示すように、記録後の加熱条件(印刷後の加熱温度、及び乾燥時間)を変更した以外は、実施例1と同様にして、ニジミ性、ベタ埋まり性、及び耐擦過性を評価した。結果を表3に示した。
なお、試験例1は実施例1と同様にベタ画像の印刷を行い、印刷後の加熱なし(25℃、一晩放置)で乾燥させた。
<1> 水、有機溶剤、界面活性剤、及び樹脂粒子を含有するインクであって、
前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤を含有し、
前記樹脂粒子が、ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子を含有することを特徴とするインクである。
<2> 色材をさらに含有する前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載インクである。
<4> 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.05質量%以上5質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.1質量%以上3質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記有機溶剤が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記有機溶剤の含有量が、20質量%以上70質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子が、ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールと、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート化合物と、分子内に酸性基及び少なくとも2個の活性水素含有部位を有する化合物と、鎖伸長剤と、から合成される前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステルポリオールが、分子内にビスフェノールに由来する構造単位を含有する前記<8>に記載のインクである。
<10> 前記ポリイソシアネート化合物が、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選択される少なくとも1種である前記<8>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 前記分子内に酸性基及び少なくとも2個の活性水素含有部位を有する化合物が、α,α−ジメチロールプロピオン酸、α,α−ジメチロール酪酸、及びこれらにカプロラクトンモノマーを付加重合させて得られるカルボキシ基含有ポリカプロラクトンジオールから選択される少なくとも1種である前記<8>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の含有量が、1質量%以上9質量%以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の含有量が、5質量%以上9質量%以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の前記界面活性剤に対する含有量が、0.6質量%以上90質量%以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクである。
<15> 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> インクジェット用である前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクである。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクに、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかを印加して前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を印刷することを特徴とするインクジェット印刷方法である。
<18> 印刷後に印刷物を加熱する加熱工程をさらに含む前記<17>に記載のインクジェット印刷方法。
<19> 前記加熱工程における加熱温度が、40℃以上120℃以下である前記<18>に記載のインクジェット印刷方法である。
<20> 記録媒体と、前記記録媒体上に印刷層と、を有する印刷物であって、
前記印刷層が、色材、シリコーン系界面活性剤、及びポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂を含有することを特徴とする印刷物である。
174 ファンヒータ
Claims (9)
- 水、有機溶剤、シリコーン系界面活性剤、及びポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子を含有するインクであって、
前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.2質量%以上3質量%以下であり、
前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の含有量が、1質量%以上9質量%以下であり、
前記有機溶剤が、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種を含有する、ことを特徴とするインク。 - 色材をさらに含有する請求項1に記載のインク。
- 前記シリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
- 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、0.5質量%以上2質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載のインク。
- 前記有機溶剤が、1,2−プロパンジオールを含有する請求項1から4のいずれかに記載のインク。
- 前記ポリオレフィン部位含有ポリエステル系ウレタン樹脂粒子の含有量が、5質量%以上9質量%以下である請求項1から5のいずれかに記載のインク。
- インクジェット用である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
- 請求項1から7のいずれかに記載のインクに、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかを印加して前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を印刷することを特徴とするインクジェット印刷方法。
- 印刷後に印刷物を加熱する加熱工程をさらに含む請求項8に記載のインクジェット印刷方法。
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