JP2017186534A - インクセット、イエローインク、インク収容容器、インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法 - Google Patents

インクセット、イエローインク、インク収容容器、インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法 Download PDF

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【課題】被印刷物に対する密着性、高い画像堅牢性を有し、非多孔質記録媒体に印字した際にも高光沢・高画質が得られるインクセットを提供すること。【解決手段】白色インク及びイエローインクを有するインクセットであって、前記白色インク及びイエローインクはいずれも、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤及びポリウレタン樹脂粒子を含有し、前記白色インクは更に金属酸化物を含有し、前記イエローインクは更にピグメントイエロー155で表される化合物を含み、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、前記白色インク及び前記イエローインクはいずれも、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上であるインクセット。【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、イエローインク、インク収容容器、インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法に関する。
広告、看板等の産業用途において、耐光性、耐水性、耐摩耗性等の耐久性を向上させるため、例えば、プラスチックフィルム等の非浸透性記録媒体が使用されており、前記非浸透性記録媒体に用いられるインクが種々開発されている。
このようなインクとしては、例えば、有機溶剤を溶媒として用いた溶剤系インク、重合性モノマーを主成分とする紫外線硬化型インクなどが広く用いられている。しかし、前記溶剤系インクは、有機溶剤蒸発による環境への影響が懸念される。また、前記紫外線硬化型インクは、安全性の面から使用する重合性モノマーの選択肢が限られる場合がある。
そこで、環境負荷が少なく、非浸透性記録媒体に直接記録できる水性インクを含むインクセットが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
本発明は、記録媒体などの各種被印刷物に対する密着性に優れ、印刷物が高い画像堅牢性(印刷物の耐擦過性、耐溶剤性、耐候性など)を有し、非多孔質記録媒体に印字した際にも高光沢・高画質が得られるインクセットを提供することを目的とする。
本発明は下記(1)に記載するとおりのインクセットに係るものである。
(1)白色インク及びイエローインクを有するインクセットであって、
前記白色インク及びイエローインクはいずれも、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤及びポリウレタン樹脂粒子を含有し、前記白色インクは更に金属酸化物を含有し、前記イエローインクは更に下記構造式(1)で表される化合物を含み、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、前記白色インク及び前記イエローインクはいずれも、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上であるインクセット。
Figure 2017186534
本発明によれば、保存安定性が良好であり、各種被印刷物に対する密着性に優れ、非多孔質記録媒体に印字した際にも高光沢が得られると共に、印刷物が高い画質を有するインクセットを提供できる。
図1は、シリアル型インクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図である。 図2は、図1の装置の本体内の構成を示す概略図である。 図3は、印刷装置におけるインク吐出ヘッドの一例を示す外観斜視図である。 図4は、図3のインク吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。 図5は、図3のインク吐出ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。 図6は、図3のインク吐出ヘッドのノズル板の平面説明図である。 図7Aは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図7Bは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図7Cは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図7Dは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図7Eは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図7Fは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。 図8Aは、図3のインク吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。 図8Bは、図3のインク吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。 図9は、本発明に係るインク循環システムの一例を示すブロック図である。 図10は、インク吐出ヘッド内における前記インクの循環について説明する図である。 図11は、インク吐出ヘッド内における前記インクの循環について説明する図である。
以下、上記本発明(1)について詳しく説明する。
なお、本発明(1)の実施の形態には、次の(2)〜(14)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
(2)前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が4.5〜7.0である前記(1)に記載のインクセット。
(3)前記白色インク及びイエローインクは、前記ポリシロキサン界面活性剤をインク中に1.0質量%〜2.0質量%含有する前記(1)又は(2)に記載のインクセット。
(4)前記ポリウレタン樹脂粒子のTgが0℃以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクセット。
(5)前記白色インク及びイエローインクは、前記ポリシロキサン界面活性剤のインク中の添加量をX質量%、前記ポリウレタン樹脂粒子のインク中の添加量をY質量%としたときの、Y/Xが0.5〜1.5である前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクセット。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクセットに用いるイエローインクであって、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤、ポリウレタン樹脂粒子、及び下記構造式(1)で表される化合物を含み、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上であるイエローインク。
Figure 2017186534
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクセットに含まれるインクを収容したインク収容容器。
(8)前記(7)に記載のインク収容容器を有するインク収容部と、
前記インクを吐出させる吐出ヘッドと、を有するインクジェット印刷装置。
(9)前記吐出ヘッドが、個別液室と、前記個別液室にインクを流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドである前記(8)に記載のインクジェット印刷装置。
(10)前記インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環手段をさらに有する前記(9)に記載のインクジェット印刷装置。
(11)前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクセットに含まれるインクを吐出し、被印刷物に印刷する印刷工程を含むインクジェット印刷方法。
(12)前記印刷工程が、インクを個別液室に流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドを用い、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかをインクに作用させて前記インクを吐出して印刷する印刷工程である前記(11)に記載のインクジェット印刷方法。
(13)更に、インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環工程を含む前記(12)に記載のインクジェット印刷方法。
(14)前記印刷工程の後に加熱工程を有する前記(11)〜(13)のいずれかに記載のインクジェット印刷方法。
(インク)
本発明のインクセットは白色インクとイエローインクとを有する。
白色インク及びイエローインクはいずれも、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤、ポリウレタン樹脂粒子を含有する。
また、白色インクは更に金属酸化物を含有し、イエローインクは更に下記構造式(1)で表される化合物を含む。
Figure 2017186534
そして、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、白色インク及びイエローインクはいずれも、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上である。
白色インク及びイエローインクは必要に応じてその他の成分を含有していても良い。
白色インク及びイエローインクと共にインクセットを構成する他のインクについても使用する界面活性剤はHLB値が8以下のポリシロキサン界面活性剤とすることが好ましい。
一般的に溶剤系インクは、インク中の有機溶剤により非浸透性記録媒体を膨潤させながら定着するため、非浸透性記録媒体に対する定着性に優れるが、従来の水性インクでは、最終印刷物としてはインク塗膜が記録媒体上に留まる構成となるため、インク塗膜の記録媒体への定着性が不十分であり、高速記録性に劣るという問題があった。また、屋外用途を想定した場合、印刷物の耐候性についても、屋内向けとは比較できない耐画像劣化などの性質が求められている。しかし、従来の水性インクでは溶剤系インクに匹敵する十分な前記性質が得られていない問題があった。
インクに含まれる成分の中で色材は最終的に得られる画像の濃度、色域などを決定する要素となるため重要な機能を持つ。本発明者らは本発明インクの処方において、耐候性について特に劣化の激しいイエローについて、色材として、上記構造式(1)で表されるピグメントイエロー155(P.Y.155)を選定することで劣化を抑えることができることを見出した。
また、本発明者らは、透明材質の被印刷物を使用する場合、白色インクにて下地を作った上に他色インクを用いた画像を形成する形となるが、イエローインクにP.Y.155を用いることで下地に対する色にじみを抑える効果があることを見出した。
インクに含まれる成分のうち、界面活性剤は記録する非浸透性記録媒体へのインクの定着性を左右するため、その果たす役割は非常に大きい。本発明者らは、ポリシロキサン界面活性剤のうち、HLB値が、8以下である化合物をインクに加えることでインクの定着性が著しく向上することを知見した。その理由については定かではないが、HLB値が8以下であると疎水性が高まることで、各種非浸透性記録媒体との親和性が向上するためと推察される。
本発明者らは、上記インクの非浸透性記録媒体への定着性向上により、高速記録時においても隣接するインク滴同士が着弾後に合一し収縮する現象(ビーディング)を抑制することができ、高品位の画像を得ることができることも見出した。また、定着速度の向上は、乾燥性向上も高めることができ、密着性を向上できることから、記録後の記録媒体巻き取り時に裏紙への転写を抑制できるという知見が得られた。
更にインク中に含まれる溶存酸素量について次のような知見を得た。非浸透系記録媒体上にインク滴として吐出された後、記録媒体上でドットを形成する過程において、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比(B/A)が「B/A≧0.5」という要件を満たさないインクはインクが乾燥してドットを形成する過程でインク中の溶存気体が溶出してくることでドット表面に微小な泡が付着し、画像光沢および画像濃度の低下を招く。加えて理由は定かではないが、溶剤に対する画像面の耐久性(耐溶剤性)も低下する。よって「B/A≧0.5」という要件を満足することで画質と耐溶剤性の向上を図ることができる。
また、B/A≧0.60とすることが好ましい。インクの生産効率と、良好な画像形成を両立させるという点から、0.90≧B/A≧0.60がより好ましく、0.80≧B/A≧0.60が更に好ましく、0.80≧B/A≧0.64とすることが特に好ましい。
インク中の溶存酸素量はインク中の溶剤の割合と水分の割合とを変化させることによって調整可能である。具体的には例えば、インク総量を変えずにインク中に含まれる溶剤の量を減らし、水分を増やすことでインク中の溶存酸素量を減らすことができる。また、画像品質を良好にするには20℃における溶存酸素量を3ppm以下とすることが好ましい。また20℃における溶存酸素量を3ppm以下とすることで溶存酸素量の温度変化も小さくなり、結果的に「B/A≧0.5」という要件も満たすことができる。
前記溶存酸素量は、インクを作製した直後、密封状態にあれば、値は変化しない。
しかし、界面活性剤のHLB値が8以下であると水溶性と油溶性のバランスが油溶性に偏ることがある。そのような場合、水分がインクの全成分のうち30質量%を超えるような水性インクにおいて、界面活性剤がインク中に溶け難くなり、油相と水相に分離する相分離を引き起こしやすくなる。その結果、インクの保存安定性が低下を招くことがある。
そこで、本発明者らは、ポリウレタン樹脂粒子をインク中に添加したところ、前記ポリシロキサン界面活性剤をインク中に安定化させることができることを見出した。これにより、インクジェット記録用インクとして想定される使用温度範囲内において、インクの相分離を解消することができる。本発明者らは、ポリウレタン樹脂粒子の添加により、特にイエローインクにはP.Y.155を使用した時に経時の粘度変化が小さくなる効果があることを見出した。その結果、インクの使用可能期限を延ばすことができる。
<ポリシロキサン界面活性剤>
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の側鎖に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の末端に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物などが挙げられる。なお、前記ポリシロキサン界面活性剤とは、その構造中にポリシロキサン構造を有していればよい。
前記親水性の基や前記親水性ポリマー鎖としては、例えば、ポリエーテル基(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキンドやこれらの共重合体等)、ポリグリセリン(CΗO(CHCH(OH)CHO)−H等)、ピロリドン、ベタイン(CΗ(C−CHCOO等)、硫酸塩(CO(CO)−SONa等)、リン酸塩(CΗO(CO)−P(=O)OHONa等)、4級塩(C(CClなど)などが挙げられる。ただし、前記化学式中、nは1以上の整数を表す。これらの中でも、ポリエーテル基を有することが好ましい。
また、末端に重合性ビニル基を有するポリジメチルシロキサン等と、共重合可能なその他のモノマー(前記モノマーの少なくとも一部には(メタ)アクリル酸、又はその塩などの親水性モノマーを用いることが好ましい)と、の共重合で得られる側鎖にポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系化合物鎖を有するビニル系共重合体なども好適に挙げられる。
これらの中でも、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、かつ親水性ポリマー鎖を有する化合物が好ましく、前記親水性ポリマー鎖としてポリエーテル基を含有することがより好ましく、ポリシロキサン界面活性剤が疎水基としてメチルポリシロキサンを有し、親水基としてポリオキシエチレンの構造を有する非イオン界面活性剤であることが特に好ましい。
前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値としては、8以下であり、4.5以上7.0以下が好ましい。前記HLB値が、8以下であると、各種非浸透性記録媒体に対して、インクジェット記録しても、優れたインク定着性を確保することができ、さらに、4.5以上7.0以下であるとインクの相分離を生じない温度を高めることができる。
ここで、HLB値とは界面活性剤の親水基と親油基とのバランスを意味し、前記HLB値は0〜20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。前記HLB値は、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
HLB値=20×(親水部の式量の総和/分子量)
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物などが挙げられる。
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、シルフェイスSAG005(HLB値:7.0)、シルフェイスSAG008(HLB値:7.0)、(以上、日信化学工業株式会社製)、FZ2110(HLB:1.0)、FZ2166(HLB値:5.8)、SH−3772M(HLB値:6.0)、L7001(HLB値:7.4)、SH−3773M(HLB値:8.0)、(以上、東レ・ダウ株式会社製)、KF−945(HLB値:4.0)、KF−6017(HLB値:4.5)、(以上、信越化学工業株式会社製)、FormBan MS−575(Ultra Addives Inc.社製、HLB値:5.0)などが挙げられる。
前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上4.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上4.0質量%以下であると、各種非浸透性記録媒体へのインクの定着性を向上でき、さらに光沢等の画像品質も向上できる。
ポリシロキサン界面活性剤をインク中に安定して存在させ、インクの粘度変化を抑制するという点から、前記白色インク及びイエローインク中において、ポリシロキサン界面活性剤のインク中の添加量をX質量%、前記ポリウレタン樹脂粒子のインク中の添加量をY質量%としたとき、Y/Xが0.5〜1.5であることが好ましく、更に0.5〜1.0とすることが好ましい。
<ポリウレタン樹脂粒子>
前記ポリウレタン樹脂粒子は、高い画像光沢度、及び耐擦過性を付与することができる。さらに驚くべきことに、本発明におけるインクセットにおいて、イエローインクにはP.Y.155を使用した時、経時での粘度変化を抑制し、インクの使用可能期限を延ばすことができる。前記ポリシロキサン界面活性剤及びポリウレタン樹脂粒子を併用することにより、記録後に形成される塗膜の耐擦過性だけでなく、耐溶剤性も大きく向上することができる。
前記ポリウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、50℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。前記ガラス転移温度が0℃以下であると、記録媒体などの被印刷物への定着がより強固になり密着性や定着性が改善される。また、ヘッドからインクが吐出される際のノズル詰まりを抑え、吐出不良の発生率を低減することができる。
ポリウレタン樹脂粒子の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
ポリウレタン樹脂粒子の含有量としては、定着性を高める点からインク全量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下、1質量%以上2.4質量%以下がより好ましい。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
−ポリオール−
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリエーテルポリオール−−
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
前記活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非常に優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリカーボネートポリオール−−
また、前記ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリエステルポリオール−−
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のインクは、ポスターや看板などの屋外向けの用途としても用いられるため、非常に高い長期耐候性を持つ塗膜を必要としており、前記長期耐候性の点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
更に、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することにより、目的とする塗膜強度、及び耐擦過性を得やすくなる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
[ポリウレタン樹脂粒子の製造方法]
前記ポリウレタン樹脂粒子は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、インクの保存安定性が低下しない範囲内であれば、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、及び画像の耐擦過性の点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子が好ましい。前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子である場合、屋外用途のような過酷な環境において使用される印刷物に適したインクが得られる。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX−485(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルション)、ユーコートUWS−145(ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルション)、パーマリンUA−368T(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルション)、パーマリンUA−200(ポリエーテル系ポリウレタン樹脂エマルション)(以上、三洋化成工業株式会社製)、スーパーフレックス300(ポリウレタン樹脂エマルション、第一工業製薬株式会社製)、スーパーフレックス150(ポリウレタン樹脂エマルション、第一工業製薬株式会社製)、WBR-600U(ポリウレタン樹脂エマルション、大成ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<有機溶剤>
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性有機溶剤などが挙げられる。なお、水溶性とは、例えば、25℃の水100gに5g以上溶解することを意味する。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量としては、インクの乾燥性、及び吐出信頼性の点から、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量は、インク全量に対して、15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記含有量が、15質量%以上であると、高粘度になることを防止し、吐出安定性を向上でき、60質量%以下であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が好適となり、画像品位を向上できる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、色材、ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、ヒンダードフェノールやヒンダードフェノールアミンのようなゴム及びプラスチックス用無色老化防止剤などが挙げられる。
<色材>
・白色インク
白色インクの白色度の基準としては、ISO−2469(JIS−8148)があり、一般的には白色度の値が70以上の色材が、白色インクの色材として用いられる。
白色インクに用いる金属酸化物としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化ジルコニウム、チタン酸鉄(鉄とチタンの複合酸化物)等、白色の金属酸化物を用いることができる。
・イエローインク
イエローインクの色材としては前記構造式(1)で表される化合物を用いる。
製品としては、P.Y.155 商品名:TONER YELLOW 3GP、クラリアントジャパン社製を挙げることができる。
・非白色インク
本発明のインクセットには、白色インクとイエローインクだけでなく、その他のカラーインク、黒色インク、灰色インク、クリアインク、メタリックインク、非白色インクなどを含めても良い。
非白色インクとしては、例えば、カラーインク、黒色インク、灰色インク、クリアインク、メタリックインクなどが挙げられる。なお、前記クリアインクとは、着色剤を含まず、主に樹脂粒子、有機溶剤及び水からなるインクを意味する。
前記その他のカラーインクとしては、例えば、シアンインク、マゼンタインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、レッドインク、グリーンインク、ブルーインク、オレンジインク、バイオレットインクなどが挙げられる。
前記非白色インクに用いられる色材としては、非白色を呈するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、染料、顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、顔料が好ましい。
前記顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記無機顔料として、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、中空樹脂粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。
前記顔料としては、黒色用としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、カラー用としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155;C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219;C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289;C.I.アシッドブルー9、45、249;C.I.アシッドブラック1、2、24、94;C.I.フードブラック1、2;C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173;C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227;C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202;C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195;C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249;C.I.リアクティブブラック3、4、35などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のイエローインクは、前記構造式(1)で示される色材を用いるが、前述のイエローの色材を併用しても良い。
メタリックインクに用いる色材としては、例えば、金属単体、合金、又は金属化合物を微粉砕してなる微粉末であり、より具体的には、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅、又はプラチナよりなる一群の金属単体の何れか1種類若しくは複数よりなるものであって、又はこれらの一群の金属を組み合わせて得られる合金であって良く、又はこれらの一群の金属単体若しくは合金の酸化物、窒化物、硫化物、又は炭化物の何れか1種類若しくは複数、を微粉砕して得られるものである
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
色材に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料の数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最大個数換算で最大頻度は20nm以上150nm以下が好ましい。前記数平均粒径が、20nm以上であると、分散操作、分級操作が容易になり、150nm以下であると、インクとしての顔料分散安定性が良くなるばかりでなく、吐出安定性にも優れ、画像濃度などの画像品質も高くなり好ましい。
前記数平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記色材の含有量としては、画像濃度、定着性、及び吐出安定性の点から、インク全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上15質量%以下であると、吐出信頼性が高く、また高い彩度の画像を得ることができる。
前記顔料の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上15質量%以下であると、画像濃度、定着性、及び吐出安定性を向上できる。
<ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤>
本発明のインクは、記録媒体への濡れ性を確保する点から、ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤を併用してもよい。
前記ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で併用使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散安定性、及び画像品質の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で併用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
HLB値が8以下のポリシロキサン界面活性剤以外の前記界面活性剤の含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が確保できるため、画像品質が向上でき、5質量%以下であると、インクが泡立ちにくくなるため、優れた吐出安定性が得られる。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
[インクの製造方法]
前記インクの製造方法としては、例えば、白色インクは、前記水、前記有機溶剤、前記ポリシロキサン界面活性剤、前記ポリウレタン樹脂粒子、前記金属酸化物並びに必要に応じて、前記その他の成分を、撹拌混合することにより製造することができる。前記撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクセットは、インクジェット印刷用に好適に用いることができる。
被印刷物としては、特に限定されず、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙や床材などの建材、衣料用などの布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、被印刷物を搬送する経路の構成を調整することで、セラミックスやガラス、金属を使用することもできる。次に、記録媒体について説明するが、被印刷物としては、これに限定されるものではない。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
カラー記録の際にカラーインクより前に、白色インクを塗布することによって記録媒体が着色されたもの(着色記録媒体)を用いることで、カラーインクの発色を向上させることができる。
<インク収容部>
前記インク収容部は、本発明の前記インクセットに含まれるインクを収容したインク収容容器を有してなる。
前記インク収容容器としては、前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記インク収容容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
前記インク収容容器としては、インクカートリッジ、メインタンク等が挙げられる。
本発明のインクセットを用いる印刷装置、印刷方法の例として、被印刷物として記録媒体を用いた記録装置、記録方法について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
(インクジェット印刷方法)
本発明のインクジェット印刷方法は、本発明のインクセットに含まれるインクを吐出して、被印刷物に印刷する印刷工程を有し、必要に応じて、加熱工程など、その他の工程を有しても良い。
<<印刷工程>>
前記印刷工程は、インクを吐出して、被印刷物に印刷する工程である。
本発明のインクジェット印刷方法は、インクに刺激を印加し、吐出ヘッド(記録用ヘッド)からインクを吐出させて印刷する印刷方法である。
インクに刺激を与えることで、インクを吐出させることが可能となる。
前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記吐出ヘッドとしては、例えば、インク流路内の前記インクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる、いわゆるピエゾ方式(例えば、特公平2−51734号公報参照);発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させる、いわゆるサーマル方式(例えば、特公昭61−59911号公報参照);インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、前記振動板と前記電極との間に発生させる静電力によって前記振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電方式(例えば、特開平6−71882号公報参照)などが挙げられる。
吐出させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pl以上40pl以下が好ましく、その吐出噴射の速さとしては、5m/s以上20m/s以下が好ましく、その駆動周波数としては、1kHz以上が好ましく、その解像度としては、300dpi以上が好ましい。
<<加熱工程>>
前記加熱工程は、画像を記録した前記記録媒体を加熱する工程である。
前記インクジェット記録方法としては、前記非浸透性基材に高画像品質な記録ができるが、より一層高画質で耐擦性、及び密着性の高い画像の形成、並びに高速の記録条件にも対応できるようにするために、記録後に前記非浸透性基材を加熱することが好ましい。記録後に加熱工程を有すると、インク中に含有される樹脂の造膜が促進されるため、記録物の画像硬度を向上させることができる。
前記加熱工程に用いる装置としては、多くの既知の装置を使用することができ、例えば、強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等の装置などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記加熱温度としては、インク中に含まれる水溶性有機溶媒の種類や量、及び添加する樹脂粒子の最低造膜温度に応じて変更することができ、さらに印刷する基材の種類に応じても変更することができる。
前記加熱温度としては、乾燥性、及び造膜温度の点から、高いことが好ましく、35℃以上120℃以下が好ましく、35℃以上90℃以下がより好ましく、40℃以上90℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、35℃以上120℃以下であると、印刷する非浸透性基材の熱によるダメージを防止し、インクヘッドが温まることによる不吐出が生じることを抑制することができる。
また、本発明における印刷方法の一例としては、本発明に用いるインクセットに含まれるインクとして、着色剤として白色(ホワイト)の顔料である金属酸化物を含有するインク(白色インク)を記録媒体に塗布する工程と、イエロー顔料を有するインクを含むイエローインクや、その他、非白色のインクを用いて印刷する印刷工程とを有する印刷方法とすることもできる。この際白色インクは、記録媒体の全面に塗布することも可能であり、また、記録媒体の一部に塗布しても良い。記録媒体の一部に塗布する場合は、例えば、記録を行う箇所と同一の箇所に塗布しても良いし、又は記録を行う箇所と一部共通する箇所に塗布しても良い。
前記白色インクを用いる場合、以下の印刷方法を用いることも有効である。白色インクを記録媒体に塗布し、その上に、イエローインクや、非白色のインクで印刷する。この方法によれば、例えば、透明フィルムを用いた場合であっても、本発明の白色インクを記録媒体表面に付着させるため、印刷物の視認性を確保することができる。前記白色インクは、非浸透性基材に対しても良好な乾燥性、高光沢、耐擦過性等を有するので、視認性を向上させるために透明フィルム等の非多孔質基材に白色インクを塗布することが可能である。
また、透明フィルムの上にイエローインクや、非白色のインクで印刷を行った後、白色インクを塗布することによっても、同様の視認性に優れた画像を得ることが可能となる。
本発明において、インクは、インクジェット印刷方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット印刷方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
実施態様の一例として、前記白色インクを記録媒体の全面に塗布する場合は、インクジェット印刷方法以外の塗工方法で塗工し、イエローインクや、その他、非白色のインクで印刷する場合は、インクジェット印刷方法で印刷する態様が可能である。
別の実施態様として、白色インクを用いた印刷も、イエローインクや、その他、非白色のインクを用いた印刷も、インクジェット印刷方法で印刷する態様が可能である。
ここで、前記インクを用いて印刷を行うことができるインクジェット記録装置について、図面を参照しながら説明する。なお、非浸透性基材を用いる場合について説明するが、紙などの浸透性基材に対しても同様に印刷することができる。また、前記インクジェット記録装置には、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)、ライン型ヘッドを備えたライン型などがあるが、図1は、シリアル型インクジェット記録装置の一例を示す概略図である。図2は、図1の装置の本体内の構成を示す概略図である。
図1に示すように、前記インクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した給紙トレイ102と、排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。111は上カバー、112は前カバーの前面である。
装置本体101内には、図2に示すように、左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とで、キャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータによって移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
ここでは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)を用いた場合について説明したが、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の少なくともいずれかを前記白色インクに代えて、又は、これらに白色インクを追加することで本発明の印刷方法、印刷装置とすることができる。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどが使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジ201から、前記インクが供給されて補充される。
本発明のインクジェット印刷装置における記録ヘッド134は、インクを前記個別液室に流入させるための前記流入流路、及びインクを前記個別液室から流出させるための前記流出流路を有してもよいが、詳細は後述する。
一方、給紙トレイ102の基材積載部(圧板)141上に積載した基材142を給紙するための給紙部として、基材積載部141から基材142を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、前記分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
前記給紙部から給紙された基材142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、基材142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる基材142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる基材142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は無端状ベルトであり、加熱ヒーター式搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した基材吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応して加熱ヒーター式ガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された基材142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から基材142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、基材142はファンヒータにより熱風乾燥された後、排紙ローラ172の下方の、排紙トレイ103に出力される。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される基材142を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
前記インクジェット記録装置においては、給紙部から基材142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された基材142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、基材142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。
そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している基材142にインク滴を吐出して1行分を記録し、基材142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は基材142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、基材142を、排紙トレイ103に排紙する。
本発明のインクジェット印刷装置におけるインク吐出ヘッドは下記のような特徴を持つものを使用してもよい。一例について、図3、図4、図5、図6、図7A〜図7F、図8A、及び図8Bを参照して説明する。図3は、本発明のインクジェット印刷装置におけるインク吐出ヘッドの一例を示す外観斜視図である。図4は、図3のインク吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。図5は、図3のインク吐出ヘッドのノズル配列方向と平行な方向の一部断面説明図である。図6は、図3のインク吐出ヘッドのノズル板の平面説明図である。図7A〜図7Fは、図3のインク吐出ヘッドの流路部材を構成する各部材の平面説明図である。図8A及び図8Bは、図3のインク吐出ヘッドの共通液室部材を構成する各部材の平面説明図である。
前記インク吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とが積層接合されており、振動板部材3を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材20と、カバー29とを備えている。
ノズル板1は、前記インクを吐出する複数のノズル4を有している。
流路板2は、ノズル4に通じる個別液室6と、前記流入流路としての個別液室6に通じる流体抵抗部7、及び流体抵抗部7に通じる液導入部8が形成されている。また、流路板2は、ノズル板1側から複数枚の板状部材41〜45を積層接合して形成され、これらの板状部材41〜45と振動板部材3を積層接合して流路部材40が構成されている。
振動板部材3は、液導入部8と共通液室部材20で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材3は2層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
ここで、ノズル板1には、図6に示すように、複数のノズル4が千鳥状に配置されている。
流路板2を構成する板状部材41には、図7Aに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、流体抵抗部51、前記流出流路としての循環流路52を構成する貫通溝部51a、52aが形成されている。
同じく板状部材42には、図7Bに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6bと、循環流路52を構成する貫通溝部52bが形成されている。
同じく板状部材43には、図7Cに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6cと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53aが形成されている。
同じく板状部材44には、図7Dに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6dと、流体抵抗部7である貫通溝部7aと、液導入部8を構成する貫通溝部8aと、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53bが形成されている。
同じく板状部材45には、図7Eに示すように、個別液室6を構成する貫通溝部6eと、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部8b(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53cが形成されている。
振動板部材3には、図7Fに示すように、振動領域30と、フィルタ部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部53dが形成されている。
このように、流路部材を複数の板状部材を積層接合して構成することにより、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
以上の構成により、流路板2及び振動板部材3からなる流路部材40には、各個別液室6に通じる流路板2の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材40の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室50に通じている。
一方、共通液室部材20には、前記メインタンクや前記インクカートリッジから前記インクが供給される共通液室10と循環共通液室50が形成されている。
第1共通液室部材21には、図8Aに示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25aと、下流側共通液室10Aとなる貫通溝部10aと、循環共通液室50となる底の有る溝部50aが形成されている。
第2共通液室部材22には、図8Bに示すように、圧電アクチュエータ用貫通穴25bと、上流側共通液室10Bとなる溝部10bが形成されている。また、第2共通液室部材22には、図3に示すように、共通液室10のノズル配列方向の一端部と供給ポート71を通じる供給口部となる貫通穴71aが形成されている。
第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22には、循環共通液室50のノズル配列方向の他端部(貫通穴71aと反対側の端部)と循環ポート81を通じる貫通穴81a、81bが形成されている。
なお、図8A及び図8Bにおいて、底の有る溝部については面塗りを施して示している(以下の図でも同じである)。
このように、共通液室部材20は、第1共通液室部材21及び第2共通液室部材22によって構成され、第1共通液室部材21を流路部材40の振動板部材3側に接合し、第1共通液室部材21に第2共通液室部材22を積層して接合している。
ここで、第1共通液室部材21は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室50とを形成している。また、第2共通液室部材22は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室50とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室50の寸法(大きさ)が流路部材40で形成される個別液室6、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室50と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室50は共通液室10内に投影される位置に配置されることにより、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材20は、ヘッドタンクや前記インクカートリッジから前記インクが供給される共通液室10と循環共通液室50を形成する。
一方、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
この圧電アクチュエータ11は、図5に示すように、ベース部材13上に接合した圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
ここでは、圧電部材12の圧電素子12Aは駆動波形を与えて駆動させる圧電素子とし、圧電素子12Bは駆動波形を与えないで単なる支柱として使用しているが、すべての圧電素子12A、12Bを駆動させる圧電素子として使用することもできる。
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。また、圧電素子12Bを振動板部材3の厚肉部である凸部30bに接合している。
この圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
このように構成したインク吐出ヘッドにおいては、例えば、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が下降して個別液室6の容積が膨張することにより、個別液室6内に前記インクが流入する。
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の前記インクが加圧され、ノズル4から前記インクが吐出される。
そして、圧電素子12Aに与える電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域30が初期位置に復元し、個別液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から個別液室6内に前記インクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。また、上述した実施形態では、個別液室6に圧力変動を与える手段として積層型圧電素子を用いて説明したが、これに限定されず、薄膜状の圧電素子を用いることも可能である。更に、個別液室6内に発熱抵抗体を配し、発熱抵抗体の発熱によって気泡を生成して圧力変動を与えるものや、静電気力を用いて圧力変動を生じさせるものを使用することができる。
次に、本実施形態にかかるインク吐出ヘッドを用いた前記インク循環システムの一例を、図9を用いて説明する。
図9は、本発明に係るインク循環システムの一例を示すブロック図である。
図9に示すように、前記インク循環システムは、メインタンク、インク吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、第一送液ポンプ、第二送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されている。供給側圧力センサは、供給タンクとインク吐出ヘッドとの間であって、インク吐出ヘッドの供給ポート71(図3参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、インク吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、インク吐出ヘッドの循環ポート81(図3参照)に繋がった循環流路側に接続されている。
循環タンクの一方は、第一送液ポンプを介して供給タンクと接続されており、循環タンクの他方は第二送液ポンプを介してメインタンクと接続されている。これにより、供給タンクから供給ポート71を通ってインク吐出ヘッド内に前記インクが流入し、循環ポートから排出されて循環タンクへ排出され、更に第1送液ポンプによって循環タンクから供給タンクへ前記インクが送られることによって前記インクが循環する。
また、供給タンクには、図示しないコンプレッサが接続され、供給側圧力センサで所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンクには、図示しない真空ポンプがつなげられていて、循環側圧力センサで所定の負圧が検知されるよう制御される。これにより、インク吐出ヘッド内を通って前記インクを循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
また、インク吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出すると、供給タンク及び循環タンク内の前記インク量が減少していくため、適宜メインタンクから第二送液ポンプを用いて、メインタンクから循環タンクに前記インクを補充することが望ましい。メインタンクから循環タンクへの前記インク補充のタイミングは、循環タンク内のインクの液面高さが所定高さよりも下がったら前記インク補充を行うなど、循環タンク内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
次に、インク吐出ヘッド内における前記インクの循環について説明する。図3に示すように、共通液室部材20の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室50に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介して前記インクを貯蔵する供給タンク及び循環タンク(図10及び図11参照)につなげられている。そして、供給タンクに貯留されている前記インクは、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室6へ供給される。
更に、個別液室6内の前記インクが圧電部材12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室6内に留まった前記インクの一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室50、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
なお、前記インクの循環は、インク吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内の前記インクは常にリフレッシュされると共に、前記インクに含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。
本発明のインクジェット印刷方法は、本発明のインクセットに含まれるインクを吐出し、被印刷物に印刷する印刷工程を含む。
前記印刷工程が、インクを個別液室に流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有する吐出ヘッドを用い、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかを作用させてインクを吐出して印刷する印刷工程であることが好ましく、更に、インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環工程を含むことが好ましい。印刷工程の態様として、インクを循環させながらインクを吐出して印刷する印刷工程であるインクジェット印刷方法があり、他の態様として、
インクの循環を休止する工程と、インクを吐出する前に、前記インクを循環させる工程とを有するインクジェット印刷方法があり、他の態様として、
インクを循環させる際に、インクを吐出させない強さでインクに圧力を与える工程を有するインクジェット印刷方法がある。
(インクジェット印刷装置)
本発明のインクジェット印刷装置は、本発明のインクセットに含まれるインクを有するインク収容部と、前記インクを吐出させる吐出ヘッドと、を有する。
前記吐出ヘッドが、個別液室と、前記個別液室にインクを流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドであることが好ましい。
また、前記インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環手段をさらに有することが好ましい。
(印刷物)
本発明の印刷物は、被印刷物である例えば記録媒体上に、本発明のインクセットを用いて形成された印刷層を有してなる。
例えば、インクジェット印刷装置及びインクジェット印刷方法により記録して印刷物とすることができる。
また、本発明の印刷物は、被印刷物である例えば記録媒体と、印刷層を有する印刷物であり、該印刷層は、色材、ポリシロキサン界面活性剤、及びポリウレタン樹脂を含有し、前記色材として、金属酸化物及び前記構造式(1)で表される化合物を有し、更に、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下である印刷物である。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
(顔料分散体の調製例1)
<ブラック顔料分散体の調製>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シン
マルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
・カーボンブラック顔料 15質量部
(商品名:Monarch800、キャボット社製)
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)
・イオン交換水 83質量部
(顔料分散体の調製例2)
<シアン顔料分散体の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントブルー15:3
(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、シアン顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例3)
<マゼンタ顔料分散体の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、マゼンタ顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例4)
<イエロー顔料分散体1の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー155(商品名:TONER YELLOW 3GP、クラリアントジャパン社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、イエロー顔料分散体1(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例5)
<イエロー顔料分散体2の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、イエロー顔料分散体2(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例6)
<白色顔料分散体の調製>
酸化チタン(商品名:STR−100W、堺化学工業株式会社製)25部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5部、水70部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、0.3mmΦのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、白色顔料分散体を得た。
<ポリウレタン樹脂エマルション1の調製>
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた容量2Lの反応器に、メチルエチルケトンを100質量部、ポリエステルポリオール(1)(iPA/AA=6/4(モル比)とEG/NPG=1/9(モル比)から得られたポリエステルポリオール数平均分子量=2,000、平均官能基数=2、なお、iPA:イソフタル酸、AA:アジピン酸、EG:エチレングリコール、NPG:ネオペンチルグリコール)を345質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸DMPAを9.92質量部仕込み、60℃にて均一に混合した。
その後、トリエチレングリコールジイソシアネートTEGDIを45.1質量部、ジオクチルチンジラウレートDOTDLを0.08質量部仕込み、72℃で3時間反応させて、ポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、IPAを80質量部、MEKを220質量部、TEAを3.74質量部、水を596質量部仕込んで転相させた後、ロータリーエバポレーターにてMEKとIPAを除去して、ポリウレタン樹脂エマルション1を得た。
得られた水性エマルションを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分30質量%、pH8に調整した。
このポリウレタン樹脂エマルション1を用いて、「Thermo plus EVO2」(Rigaku製)で測定したガラス転移点(=Tg)は0℃であった。
<ポリウレタン樹脂エマルション2の調製>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとジフェニルカーボネートの反応生成物)(数平均分子量Mn=1200)1500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g及びN−メチルピロリドン(NMP)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。次いで、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1445g、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149gを添加・混
合したものの中から4340gを抜き出して、強攪拌下、水5400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。次いで、氷1500gを投入し、35%の1,6−ヘキサメチレンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30%となるように溶媒を留去し、ポリウレタン樹脂エマルション2を得た。
このエマルション2を用いて、「Thermo plus EVO2」(Rigaku製)で測定したガラス転移点(=Tg)は10℃であった。
<ポリウレタン樹脂エマルション3〜5の調達>
ポリウレタン樹脂エマルション3〜5としては下記の市販品を用いた。
・ポリウレタン樹脂エマルション3:商品名:スーパーフレックス300、第一工業製薬株式会社製、固形分濃度:30質量%、Tg:−42℃
・ポリウレタン樹脂エマルション4:商品名:スーパーフレックス150、第一工業製薬株式会社製、固形分濃度:30質量%、Tg:40℃
・ポリウレタン樹脂エマルション5:商品名:WBR-600U、大成ファインケミカル株式会社製、固形分濃度:34質量%、Tg:−30℃
<アクリル−シリコーン樹脂エマルションの調達>
比較例2において、ポリウレタン樹脂エマルションに代えて用いるアクリル−シリコーン樹脂エマルションとしては以下の市販品を用いた。
・アクリル−シリコーン樹脂エマルション:商品名:AE980、株式会社イーテック製、固形分濃度:50質量%、Tg:−14℃
また、表1〜表2において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・KF−945:ポリエーテル変性シリコーン1
(ポリシロキサン界面活性剤、信越化学工業株式会社製、HLB値:4.0)
・KF−6017:ポリエーテル変性シリコーン2
(ポリシロキサン界面活性剤、信越化学工業株式会社製、HLB値:4.5)
・SH−3772M:ポリエーテル変性シリコーン3
(ポリシロキサン界面活性剤、東レ・ダウ株式会社製、HLB値:6.0)
・シルフェイスSAG005:ポリエーテル変性シリコーン4
(ポリシロキサン界面活性剤、日信化学工業株式会社製、HLB値:7.0
・L7001:ポリエーテル変性シリコーン5
(ポリシロキサン界面活性剤、東レ・ダウ株式会社製、HLB値:7.4)
・KF−353:ポリエーテル変性シリコーン6
(ポリシロキサン界面活性剤、信越化学工業株式会社製、HLB値:10.0)
・プロキセルLV:防腐剤 アビシア株式会社製
(実施例1)
ブラック顔料分散体20質量%、ポリエーテル変性シリコーン2(ポリシロキサン界面活性剤、商品名:KF−6017、信越化学工業株式会社製、HLB値:4.5)1.0質量%、ポリウレタン樹脂エマルション5(WBR−600U/大成ファインケミカル(株)製 不揮発分34%,Tg=−30℃)1.0質量%(樹脂の固形分濃度として)、1,2−プロパンジオール12質量%、1,3−プロパンジオール10質量%、1,2−ブタンジオール3質量%、2,3−ブタンジオール3質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3質量%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール3質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル4質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、及び高純水を残量となるように添加し、混合撹拌して、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:BetafineポリプロピレンプリーツフィルターPPGシリーズ、3M社製)にてろ過することにより、インク1(ブラックインク)を作製した。
上記インク1(ブラックインク)の調製において、ブラック顔料分散体に代えて、シアン顔料分散体、マゼンタ顔料分散体、イエロー顔料分散体1又は白色顔料分散体に代えた以外はインク1(ブラックインク)の調製と同様にしてインク1(シアンインク)、インク1(マゼンタインク)、インク1(イエローインク)、インク1(白色インク)を作製し、これをインクセット1とした。
(実施例2〜11、及び比較例1〜4)
実施例1において、下記表1〜表2に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜11のインクセット2〜11、及び比較例1〜4のインクセット12〜15を作製した。
尚、表1〜表2における樹脂エマルションの数値は、樹脂の固形分濃度を示す。
Figure 2017186534
Figure 2017186534
次に、以下のようにして、「保存安定性」、「経時粘度安定性」、「定着性(ビィーデング)」、「耐溶剤性」、「画像光沢度」、「密着性」、及び「画像にじみ」を評価した。結果を表3に示す。
なお、屋外用途への利用を考慮して、「定着性(ビーディング)」の評価については、一般の紙に記録する場合と比べてかなり厳しい評価基準を採用した。
<保存安定性(外観評価)>
得られた実施例1〜11、及び比較例1〜4のインクセットのイエローインクと白色インクについて、各インクを30mL容量の容器(商品名:ガラスバイヤルSV−30、日電理化硝子株式会社製)に封入し、50℃、60℃、及び70℃でそれぞれ7日間保管し、目視により観察し、下記基準に基づいて、「保存安定性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。イエロー顔料分散体を用いたイエローインク、白色顔料分散体を用いた白色インクについて個別に評価した。
[評価基準]
A:70℃保存において相分離していない
B:60℃保存において相分離していないが、70℃保存において相分離している
C:50℃保存において相分離していないが、60℃保存において相分離している
D:50℃保存において相分離している
<経時粘度安定性>
得られた実施例1〜11、及び比較例1〜4のインクセットのイエローインクと白色インクについて、各インクを50mLガラスバイヤル(日電理化硝子株式会社製)に封入し、70℃の恒温槽で14日間保管した後、インクの粘度を測定した。保管前のインクの粘度に対する保管後のインクの粘度の粘度変化率を算出して、下記評価基準に基づいて、「経時粘度安定性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。イエロー顔料分散体を用いたイエローインク、白色顔料分散体を用いた白色インクについて個別に評価した。
粘度は、回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用して測定した。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定した。
[評価基準]
A:粘度変化率が5%未満
B:粘度変化率が5%以上10%未満
C:粘度変化率が10%以上15%未満
D:粘度変化率が15%以上
[ベタ画像の形成]
白色インクを用いて下地を形成し、その上にイエローインクで印字してベタ画像を形成し、下記の評価を行った
得られた実施例1〜11、及び比較例1〜4のインクセットのうち、イエロー顔料分散体を用いて得たイエローインク、白色顔料分散体を用いて得た白色インクをインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、ポリ塩化ビニルフィルム(CPPVWP1300、桜井株式会社製、以下、「PVCフィルム」とも称することがある)に対し、インク付着量を0.6g/cm2として、白色のベタ画像を得た。白色のベタ画像上に、インク付着量を0.6g/cm2として、帯状に、イエローインクのベタ画像を形成し、イエローベタ画像のイエロー部分と白色ベタ画像の白色部分とを有するベタ画像を形成した。前記ベタ画像を80℃に設定したホットプレート(NINOS ND−1、アズワン株式会社製)上で1時間乾燥させた。
<定着性(ビーディング)>
PVCフィルムに形成された、イエロー部分のベタ画像の記録ムラを目視により観察し、下記評価基準に基づいて、「定着性(ビーディング)」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:非常に良好(ビーディングが全くなかった)
B:良好(わずかにビーディングが観察された)
C:普通(ビーディングがあった)
D:不良(著しいビーディングがあった)
<耐溶剤性>
前記のイエロー部分及び白色部分を有するベタ画像を、60質量%エタノール水溶液に常温(25℃)で24時間浸漬し、次いで、室温(25℃)で24時間自然乾燥させた後、X−Rite938(X−Rite社製)を用いて、画像濃度を測定し、浸漬前の画像の初期濃度に対する浸漬後の画像濃度における画像濃度値の減少量を算出し、下記の評価基準に基づいて、「耐溶剤性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。前記のイエロー部分及び白色部分について個別に評価した。
〔評価基準〕
AA:画像濃度値の減少が5%未満
A:画像濃度値の減少が10%未満
B:画像濃度値の減少が10%以上20%未満
C:画像濃度値の減少が20%以上
<画像光沢度>
前記のイエロー部分及び白色部分を有するベタ画像のイエロー部分の60°光沢度を、光沢度計(BYK Gardener社製、4501)により4回測定し、光沢値の平均値を求め、下記評価基準に基づいて、「画像光沢度」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
〔評価基準〕
AA:光沢値が100以上
A:光沢値が90以上100未満
B:光沢値が80以上90未満
C:光沢値が80未満
<密着性>
前記のイエロー部分及び白色部分を有するベタ画像に対し、布粘着テープ(ニチバン株式会社製、123LW−50)を用いた碁盤目剥離試験により、試験マス目100個の残存マス数をカウントし、下記評価基準に基づいて、PVCフィルムに対する「密着性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。前記のイエロー部分及び白色部分について個別に評価した。
〔評価基準〕
A:残存マス数が98個以上
B:残存マス数が90個以上98個未満
C:残存マス数が70個以上90個未満
D:残存マス数が70個未満
<画像にじみ評価>
前記のイエロー部分及び白色部分を有するベタ画像のイエロー部分について目視観察を行い、にじみを評価した。
評価は5段階の段階評価により行った。このうち評価B以上を実用上問題ない評価値とした。
<にじみ評価>
AA:にじみ 未発生
A:一部の箇所に、非常に僅かににじみが確認される
B:境界部全体に、僅かににじみが確認される
C:境界部全体に、にじみが確認される
D:帯状パターンの全体ににじみの発生が確認される
<溶存酸素量の評価>
得られた実施例1〜11、及び比較例1〜4のインクセットの白色インクとイエローインクについて個別に評価した。
インク中の溶存酸素量は、インク製造後評価するまでの間は密封容器にて保管し、密封容器を開封した直後のインクを用いて評価する。
得られた実施例1〜11、及び比較例1〜4のインクセットの白色インクとイエローインクの溶存酸素量を溶存酸素計(商品型番:TOX‐999iB、株式会社東興化学研究所製)を用いて、液温20℃での溶存酸素量A、及び液温40℃での溶存酸素量Bの測定を行った。測定結果からB/Aを求めた結果を表3に示す。
Figure 2017186534
<吐出信頼性>
インクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に、インクの吐出ヘッドとして、図3から図11で示した循環機構を有するインク吐出ヘッドを搭載して評価を行った。インク収容部にインクを充填し、温度:35℃、湿度:30%RHの環境下にて24時間放置した。放置中は、1時間に1回、2分間循環機構を動作させた。
放置後、印字前の1分間、循環機構を動作させた。温度:35℃、湿度:30%RHの環境下にて、PVCフィルム上にノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル数384に対してインクが吐出された吐出ノズル数を確認し、以下の基準で評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。評価用インクとしては、実施例2で得たイエローインクと白色インクを用いた。
−評価基準−
A:吐出ノズル数が368以上
B:吐出ノズル数が192以上368未満
C:吐出ノズル数が192未満
Figure 2017186534
実施例1、実施例2、実施例4〜6、実施例9〜11は、本発明の好ましい実施例であり、PVCフィルムに対する密着性に優れ、非浸透性記録媒体に印字した際にも高い画像光沢度が得られると共に、耐溶剤性、及び定着性を有する画像を得られることが分かる。
実施例3、実施例7、実施例8は、本発明のより好ましい実施例であり、画像光沢度が高く、好適に画像にじみを抑制することができる。また、画像の耐溶剤性を高めることができる。
これに対して、比較例1〜4は、イエローインクが、HLB値が8以下であるポリシロキサン界面活性剤、ポリウレタン樹脂粒子、P.Y.155、及び溶存酸素量B/A≧0.5のすべてを含むインクではない例であり、比較例1は、実施例1に比べて、インクの保存安定性、定着性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。比較例2は、実施例1に比べて保存安定性、定着性及び密着性が特に劣っていた。比較例3は、実施例1に比べて画像にじみが特に劣っていた。比較例4は、実施例1に比べて耐溶剤性、及び画像光沢度が特に劣っていた。
前記表3の結果から、本発明のインクが屋外用途に適したものであることが分かる。
また、吐出ヘッドに循環機構を有するインク吐出ジェットを導入した場合、更に吐出信頼性が高まる。
<加熱乾燥における影響の評価>
実施例1の白色インクを用いて、PVCフィルムに対し、インク付着量を0.6g/cm2として、白色のベタ画像を得た。白色のベタ画像上に、インク付着量を0.6g/cm2として、それぞれ帯状に、イエロー顔料分散体を用いて得たイエローインク、マゼンタ顔料分散体を用いて得たマゼンタインク、シアン顔料分散体を用いて得たシアンインク、ブラック顔料分散体を用いて得たブラックインクのベタ画像を間隔をあけて形成した。
前記のベタ画像を、下記表5に示すように印刷後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を設定し、定着性(ビーディング)、乾燥性及び画像にじみを評価した。結果を表5に示した。表5中、1−8は、加熱処理を行わない例である。
なお、前記IPSiO GXe5500改造機は、IPSiO GXe5500機を、150cmの印字幅で30m2/hrの記録速度相当の記録をA4サイズで再現できるよに改造し、また、前記ホットプレートを設置し、印刷後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を変えることができるように改造した装置を用いた。
<乾燥性>
乾燥後のベタ画像のベタ部にろ紙を押し当て、ろ紙へのインクの転写を目視で観察して、下記評価基準に基づいて、「乾燥性」を評価した。
[評価基準]
A:ろ紙への転写なし
B:部分的にろ紙への転写が見られた
なお、定着性(ビーディング)と画像にじみは、前述の<定着性(ビーディング)><画像にじみ評価>と同様の評価基準で評価した。
Figure 2017186534
本発明のインクセットを用いれば、白色インクとイエローインクに加え、その他のカラーインクを組み合わせて画像形成した場合にも、定着性、乾燥性に優れ、画像にじみを生じない画像形成を行うことができる。
(図1〜図2について)
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 基材積載部
142 基材
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
201 インクカートリッジ
(図3〜図8、図10〜図11について)
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
6a、6b、6c、6d、6e 個別液室を構成する貫通溝部
7 流体抵抗部
7a 流体抵抗部である貫通溝部
8 液導入部
8a、8b 液導入部を構成する貫通溝部
9 フィルタ部
10 共通液室
10A 下流側共通液室
10a 貫通溝部
10B 上流側共通液室
10b 溝部
11 圧電アクチュエータ
12 圧電部材
12A、12B 圧電素子
13 ベース部材
15 フレキシブル配線部材
20 共通液室部材
21 第1共通液室部材
22 第2共通液室部材
25a、25b 圧電アクチュエータ用貫通穴
29 カバー
30 振動領域
30a、30b 凸部
40 流路部材
41〜45 板状部材
50 循環共通液室
50a 溝部
51 流体抵抗部
51a 流体抵抗部を構成する貫通溝部
52、53 循環流路
52a、52b 循環流路を構成する貫通溝部
53a、53b、53c、53d 循環流路を構成する貫通溝部
71 供給ポート
71a 貫通穴
81 循環ポート
81a、81b 貫通穴
特開2011−252169号公報 特許第5772089号公報 特開2014−205767号公報

Claims (14)

  1. 白色インク及びイエローインクを有するインクセットであって、
    前記白色インク及びイエローインクはいずれも、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤及びポリウレタン樹脂粒子を含有し、前記白色インクは更に金属酸化物を含有し、前記イエローインクは更に下記構造式(1)で表される化合物を含み、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、前記白色インク及び前記イエローインクはいずれも、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上であるインクセット。
    Figure 2017186534
  2. 前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が4.5〜7.0である請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記白色インク及びイエローインクは、前記ポリシロキサン界面活性剤をインク中に1.0質量%〜2.0質量%含有する請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記ポリウレタン樹脂粒子のTgが0℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインクセット。
  5. 前記白色インク及びイエローインクは、前記ポリシロキサン界面活性剤のインク中の添加量をX質量%、前記ポリウレタン樹脂粒子のインク中の添加量をY質量%としたときの、Y/Xが0.5〜1.5である請求項1〜4のいずれかに記載のインクセット。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクセットに用いるイエローインクであって、水、有機溶剤、ポリシロキサン界面活性剤、ポリウレタン樹脂粒子、及び下記構造式(1)で表される化合物を含み、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が8以下であり、20℃での溶存酸素量A(ppm)と40℃での溶存酸素量B(ppm)の比B/Aが0.5以上であるイエローインク。
    Figure 2017186534
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクセットに含まれるインクを収容したインク収容容器。
  8. 請求項7に記載のインク収容容器を有するインク収容部と、
    前記インクを吐出させる吐出ヘッドと、を有するインクジェット印刷装置。
  9. 前記吐出ヘッドが、個別液室と、前記個別液室にインクを流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドである請求項8に記載のインクジェット印刷装置。
  10. 前記インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環手段をさらに有する請求項9に記載のインクジェット印刷装置。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクセットに含まれるインクを吐出し、被印刷物に印刷する印刷工程を含むインクジェット印刷方法。
  12. 前記印刷工程が、インクを個別液室に流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドを用い、熱エネルギー及び力学的エネルギーのいずれかをインクに作用させて前記インクを吐出して印刷する印刷工程である請求項11に記載のインクジェット印刷方法。
  13. 更に、インクを前記流入流路から前記流出流路に向かって循環させる循環工程を含む請求項12に記載のインクジェット印刷方法。
  14. 前記印刷工程の後に加熱工程を有する請求項11〜13のいずれかに記載のインクジェット印刷方法。
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