JP2020105296A - インクジェット印刷用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】定着性、混色防止性に優れたインクジェット印刷用水系インク、及びそれを用いるインクジェット印刷方法を提供する。【解決手段】[1]低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷用水系インクであって、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B、水溶性有機溶媒、及び水を含有し、該水溶性有機溶媒が、炭素数3〜4のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを含み、該ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーのTgが0〜75℃である、インクジェット印刷用水系インク、及び[2]前記インクを用いて低吸液性印刷媒体に印刷するインクジェット印刷方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット印刷用水系インク、及びそれを用いるインクジェット印刷方法に関する。
インクジェット印刷方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、印刷媒体に付着させて、文字や画像が印刷された印刷物等を得る印刷方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、印刷媒体に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。近年特に、印刷物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料を用いるものが主流となってきている。
ところで、食品等を包装するための軟包装が広く行われている。軟包装では、合成樹脂等からなる薄い柔軟性のある低吸液性印刷媒体に、包装される商品の名称等を表示するための印刷を行う。このような軟包装印刷には、主にグラビア印刷が用いられているが、油性グラビアインクは通常、顔料や樹脂を有機溶媒中で分散または溶解させているため、作業環境負荷等の問題がある。
そこで、油性グラビア印刷に代えて、エネルギー線硬化型インクを用いたインクジェット印刷方法が検討されている。しかしながら、エネルギー線硬化型インクには、臭気の懸念がある。特に、軟包装は、食品の包装に用いられることが多いため、この課題の影響が大きくなっている。
このため、作業環境への負担が少ないインクジェット印刷用水系インクの開発が進められている。
例えば、特許文献1には、難吸収性基材への印刷適性に優れ、吐出安定性、保存安定性、塗膜耐性に優れる水性インクとして、少なくとも水、顔料、水分散性樹脂微粒子、さらに水溶性有機溶媒を2種以上含む水性インクにおいて、水溶性有機溶媒のうち、少なくとも1種は沸点が100〜180℃の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類であり、少なくとも1種は沸点が180〜230℃の炭素数が4以上のアルカンジオール類であり、水性インク組成中における前記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類の含有量が5〜20重量%であり、アルカンジオール類の含有量が10〜25重量%である水性インクジェットインクが開示されている。
しかし、特許文献1のような従来の水性インクでは、軟包装等に用いる低吸液性印刷媒体に良好な画像を形成できないという問題がある。
特開2013−216864号公報
低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷では、水系インクが印刷媒体中に浸透し難いため、インク液滴を重ねて打滴すると、液滴同士が非乾燥状態で印刷媒体上に存在し、液滴間の混合現象が生じてしまい、それに伴い混色が起きるという問題がある。このような混色は、合成樹脂印刷媒体に印刷する場合に特に顕著である。
また、低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷では、水系インクが印刷媒体中に浸透し難いため、定着性が低いという問題がある。更に、合成樹脂印刷媒体は熱に弱いため、温度を上げて定着性を向上することも難しい。
本発明は、定着性、混色防止性に優れたインクジェット印刷用水系インク、及びそれを用いるインクジェット印刷方法を提供することを課題とする。
本発明者は、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aと、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bとを含有する水系インクにおいて、ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーとして、特定のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを使用し、水溶性有機溶媒として特定のアルカンジオールとグリコールエーテルを含有させることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷用水系インクであって、
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B、水溶性有機溶媒、及び水を含有し、
該水溶性有機溶媒が、炭素数3以上4以下のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを含み、
該ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上75℃以下である、インクジェット印刷用水系インク。
[2]前記[1]に記載のインクを用いて、低吸液性印刷媒体に印刷する、インクジェット印刷方法。
本発明によれば、定着性、混色防止性に優れたインクジェット印刷用水系インク、及びそれを用いるインクジェット印刷方法を提供することができる。
実施例で印刷評価する際に使用した印刷パターンを示す図である。
[水系インク]
本発明のインクジェット印刷用水系インクは、低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷用水系インク(以下、「本発明インク」ともいう)であって、
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B、水溶性有機溶媒、及び水を含有し、
該水溶性有機溶媒が、炭素数3以上4以下のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを含み、
該ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上75℃以下である。
なお、「水系」とは、媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
「低吸液性」とは、インクの低吸液性、非吸液性を含む概念である。低吸液性は、純水の吸水性で評価することができる。より具体的には、印刷媒体と純水との接触時間100m秒における該印刷媒体の表面積あたりの吸水量が0g/m以上10g/m以下であることを意味する。
「印刷」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念である。
「水不溶性」の意義については、後述するポリマーの説明部分で述べる。
本発明インクによれば、定着性、混色防止性に優れる高品質の印刷物を得ることができる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
水系インクを用いて、合成樹脂印刷媒体等の低吸液性印刷媒体に印刷する場合、通常、乾燥工程が必要である。しかし、合成樹脂印刷媒体等は一般的に熱に弱く、印刷媒体の変形に伴う搬送ずれ等の問題が起き易いため、乾燥温度は50℃程度に制限される。また、印刷速度を速めると乾燥工程は数秒間程度の短時間となる。そういう環境下で、低吸液性印刷媒体上におけるインク液滴の混色防止が求められる。
本発明においては水溶性有機溶媒として、炭素数3以上4以下のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを用いることにより、定着性が高まる。これは、該グリコールエーテルが顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーを可塑化するためと考えられる。また本発明においては、定着樹脂である顔料を含有しない水不溶性ポリマーBのガラス転移温度(Tg)として、0℃以上75℃以下のものを用いる。これにより乾燥工程において確実に顔料粒子を合成樹脂印刷媒体に定着させることができる。
また、該アルカンジオールは親水的であり、該グリコールエーテルは疎水的であるが、乾燥工程において、疎水的なグリコールエーテルが先に蒸発するため、乾燥工程の後期にアルカンジオールの含有量が多い環境となる。そのため、乾燥後期のインクの表面張力変化が小さくなり、加熱工程におけるインクの表面張力の差を縮めることができるため、インク液滴間の混合現象が抑制され、混色を防止できると考えられる。
<顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A>
(顔料)
本発明で用いられる顔料は、インクの定着性、混色防止性を向上させる観点から、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aとして含有される。本明細書において「顔料を含有するポリマー粒子A」は、ポリマー分散剤が顔料を包含する形態、ポリマー分散剤と顔料からなる粒子の表面に顔料の一部が露出している形態、ポリマー分散剤が顔料の一部に吸着している形態等の粒子を含む。
本発明において顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子は、本発明インクにおいて200nm以下の粒子径で分散状態を保つ。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
色相は特に限定されず、ホワイト、ブラック、グレー等の無彩色顔料;イエロー、レッド、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
<顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aを構成する水不溶性ポリマーa>
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aを構成する水不溶性ポリマーa(以下、「ポリマーa」ともいう)は、少なくとも顔料分散能を有するものであれば特に制限はない。
本発明においてポリマーaの「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることを意味し、ポリマーaの前記溶解量は、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。ポリマーaがアニオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。ポリマーaがカチオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのカチオン性基を塩酸で100%中和した時の溶解量である。
インク中でのポリマーaの存在形態は、顔料の分散安定性の観点から、顔料をポリマーaが含有している顔料内包状態がより好ましい。
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子は、後述するように架橋剤で架橋されてなることが好ましい。この場合、顔料分散に用いられるポリマーが水溶性ポリマーであっても、架橋剤で架橋することにより、水不溶性ポリマーとなる。
ポリマーaの分子中に含まれるイオン性基は、顔料を含有するポリマー粒子Aの分散安定性、保存安定性を向上させる観点から、イオン性モノマー(a−1)によりポリマー骨格に導入されてなるものが好ましい。すなわち、ポリマーaは、イオン性モノマー(a−1)由来の構成単位を含むものが好ましい。ポリマーaとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
これらの中では、ビニル系樹脂が好ましく、イオン性モノマー(a−1)と、疎水性モノマー(a−2)とを含む原料モノマー(a)を共重合させてなるビニル系樹脂がより好ましい。
該ビニル系樹脂は、(a−1)由来の構成単位と(a−2)由来の構成単位とを含むことが好ましい。該ビニル系樹脂は、顔料の分散安定性、定着性等を向上させる観点から、更にノニオン性モノマー(a−3)由来の構成単位を含むことができる。
〔イオン性モノマー(a−1)〕
イオン性モノマー(a−1)としては、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーが挙げられ、アニオン性モノマーが好ましく、酸基を有するモノマーがより好ましく、カルボキシ基を有するモノマーが更に好ましい。
イオン性モノマー(a−1)の具体例としては、特開2018−80255号公報の段落〔0017〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上が好ましい。
〔疎水性モノマー(a−2)〕
本発明において疎水性モノマー(a−2)の「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。疎水性モノマー(a−2)の前記溶解量は、顔料への定着性の観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
疎水性モノマー(a−2)としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー、マクロモノマーが挙げられ、アルキル(メタ)アクリレート及び芳香環含有モノマーから選ばれる1種以上が好ましく、芳香環含有モノマーがより好ましい。
疎水性モノマー(a−2)の具体例としては、 特開2018−80255号公報の段落〔0018〕〜〔0021〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましい。
〔ノニオン性モノマー(a−3)〕
ノニオン性モノマー(a−3)としては、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ノニオン性モノマー(a−3)の具体例としては、特開2018−80255号公報の段落〔0022〕〜〔0023〕に記載のものが挙げられる。
(原料モノマー(a)中又はビニル系樹脂中における各成分又は構成単位の含有量)
ビニル系樹脂製造時における、(a−1)、(a−2)及び(a−3)を含む原料モノマー(a)中の含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はビニル系樹脂中における(a−1)由来の構成単位、(a−2)由来の構成単位、及び(a−3)由来の構成単位の含有量は、顔料を含有するポリマー粒子Aの分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a−1)の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
(a−2)の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
(a−3)を含有する場合、その含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
(a−2)に対する(a−1)の質量比[(a−1)/(a−2)]は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.30以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.8以下である。
なお、本発明においてビニル系樹脂中における(a−1)、(a−2)及び(a−3)由来の構成単位の含有量は、測定において求めることができるし、ビニル系樹脂製造時における(a−1)、(a−2)及び(a−3)を含む原料モノマー(a)の仕込み比率で代用することもできる。このうち(a−1)は電位差滴定で求めるのが好適であり、(a−2)と(a−3)は原料モノマーの仕込み比率を用いるのが好適である。
(ビニル系樹脂の製造)
ビニル系樹脂は、原料モノマー(a)を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることにより製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール、炭素数3以上5以下のケトン類、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、原料モノマー(a)1モルあたり、好ましくは0.001モル以上5モル以下、より好ましくは0.01モル以上2モル以下である。
重合連鎖移動剤としては、2−メルカプトプロピオン酸等のカルボキシ基含有メルカプタン類;オクタンチオール等のアルキルメルカプタン;2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等のヒドロキシ基含有メルカプタン類等の公知の重合連鎖移動剤を用いることができる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは80℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
ビニル系樹脂の数平均分子量は、顔料への吸着性及び分散安定性を向上させる観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは18,000以下である。
数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
〔顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aの製造〕
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aは、顔料水分散体として下記の工程1及び2を有する方法により、効率的に製造することができる。
また、得られるインクの定着性、混色防止性をより向上させる観点から、更に工程3(架橋工程)を行うことが好ましい。
工程1:顔料、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子を構成するポリマーa、有機溶媒、及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散処理物を得る工程
工程2:工程1で得られた分散処理物から有機溶媒を除去して顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1の水分散体(以下、「顔料水分散体(i)」ともいう)を得る工程
工程3:工程2で得られた顔料水分散体(i)に架橋剤を添加し、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1の一部又は全部を架橋させて、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a2の水分散体(I)(以下、「顔料水分散体(I)」ともいう)を得る工程
本発明に係る顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aは、前記顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1及び顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a2を包含する。
(工程1)
工程1における顔料混合物は、ポリマーaを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散液を得る方法により得ることが好ましい。ポリマーaの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、顔料の順に加えることが好ましい。
工程1で用いる有機溶媒に制限はないが、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール等が好ましく、顔料への濡れ性、ポリマーaの溶解性及び顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。ポリマーaとしてビニル系樹脂を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
顔料混合物中のポリマーaに対する有機溶媒の質量比[有機溶媒/ポリマーa]は、顔料への濡れ性、吸着性及びポリマーaの溶解性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下である。
ポリマーaが酸基を有する場合、該酸基の少なくとも一部は、中和剤を用いて中和されていることが好ましい。これにより、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、本発明インクにおける顔料粒子の凝集を抑制し、増粘を抑制することができ、顔料の分散安定性、保存安定性を向上できると考えられる。
中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種アミン等の塩基が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム及びアンモニアである。
中和剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、ポリマーaを予め中和しておいてもよい。
中和剤の使用当量は、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、また、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、中和前のポリマーaを「ポリマーa’」とする場合、次式によって求めることができる。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{ポリマーa’の酸価(mgKOH/g)×ポリマーa’の質量(g)}/(56×1,000)]〕×100
工程1における分散処理は、剪断応力による本分散だけで顔料粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な顔料水分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(工程2)
工程2は、工程1で得られた分散処理物から有機溶媒を除去して顔料水分散体(i)を得る工程である。有機溶媒の除去は、公知の方法で行うことができる。得られた顔料水分散体(i)中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残留していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
(工程3)
工程3は、工程2で得られた顔料水分散体(i)に架橋剤を添加し、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1を架橋させて、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a2を含む顔料水分散体(I)を得る工程である。
工程3で、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1を構成するポリマーaのカルボキシ基の一部又は全部を架橋し、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子a1の一部又は全部に架橋構造を形成させる。これにより、ポリマーが顔料表面に強固に吸着又は固定化され、顔料の凝集が抑制され、結果として、得られるインクの保存安定性、混色防止性がより向上すると考えられる。
(架橋剤)
架橋剤としては、効率よく架橋反応させ、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは分子中にエポキシ基を2以上6以下、好ましくは4以下を有する化合物、より好ましくはグリシジルエーテル基を2以上有する化合物、更に好ましくは炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物である。
架橋剤の分子量は、反応容易性、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは120以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上であり、そして、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下、更に好ましくは1,000以下である。
架橋剤のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは110以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下である。
架橋剤の水溶率は、水を主体とする媒体中で効率よくポリマーaのカルボキシ基と架橋させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。ここで、水溶率とは、室温25℃にて水90質量部に架橋剤10質量部を溶解したときの溶解率(質量%)をいう。
架橋剤の具体例としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(水溶率31質量%)、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(水溶率27質量%)、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(水溶率0質量%)、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルから選ばれる1種以上であり、より好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルである。
工程3における架橋率は、保存安定性を向上させる観点から、ポリマーaのカルボキシ基のモル当量数に対する架橋剤の架橋性官能基のモル当量数の比で、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、より更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
架橋処理の温度は、前記と同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは85℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
架橋処理の時間は、架橋反応の完結と経済性の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは1.5時間以上であり、そして、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは5時間以下である。
顔料水分散体(I)の固形分濃度は、顔料水分散体(I)の分散安定性を向上させる観点及びインクの製造を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体(I)中の顔料の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
顔料水分散体(I)中のポリマーaに対する顔料の質量比[顔料/ポリマーa]は、好ましくは50/50以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、更に好ましくは80/20以下である。
顔料水分散体(I)の顔料粒子の平均粒径は、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、より更に好ましくは70nm以上、より更に好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは170nm以下、更に好ましくは150nm以下、より更に好ましくは140nm以下、より更に好ましくは120nm以下である。
平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
<顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B>
本発明インクは、定着性を向上させる観点から、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bを更に含有することが好ましい。
顔料を含有しないポリマー粒子Bは水を主成分とする媒体において分散体の形態をとることができるものが好ましい。
本発明インクの定着性を向上させる観点から、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーb(以下、「ポリマーb」ともいう)のガラス転移温度(Tg)は0℃以上75℃以下である。
ポリマーbは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましい。それらの中でもポリマーbは、(メタ)アクリル酸(b−1)由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル(b−2)由来の構成単位とを含むアクリル樹脂であることが好ましい。
水不溶性ポリマーbの「水不溶性」は、前記のポリマーaと同義である。ポリマーbの溶解量は、ポリマーのカルボキシ基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
〔(メタ)アクリル酸(b−1)〕
(メタ)アクリル酸(b−1)は、定着性を向上させる観点から、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
〔(メタ)アクリル酸エステル(b−2)〕
(メタ)アクリル酸エステル(b−2)は、定着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
〔芳香族基含有モノマー(b−3)〕
ポリマーbは、(メタ)アクリル酸(b−1)及びアクリル酸エステル(b−2)以外の他のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸以外のイオン性モノマー、芳香族基を有する疎水性モノマー、又はノニオン性モノマーが挙げられ、中でも芳香族基を有する疎水性モノマー(以下、「芳香族基含有モノマー(b−3)」ともいう)が好ましい。
芳香族基含有モノマー(b−3)としては、前述のスチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー等が挙げられる。
ポリマーb中の(メタ)アクリル酸(b−1)由来の構成単位の含有量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
ポリマーb中の(メタ)アクリル酸エステル(b−2)由来の構成単位の含有量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98.5質量%以下、更に好ましくは98質量%以下である。
(メタ)アクリル酸(b−1)と(メタ)アクリル酸エステル(b−2)との質量比〔(メタ)アクリル酸(b−1)/(メタ)アクリル酸エステル(b−2)〕は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.1以下である。
ポリマーbの重量平均分子量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、更に好ましくは10万以上であり、そして、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは120万以下である。
重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
ポリマーbのガラス転移温度(Tg)は、得られるインクの定着性、混色防止性を向上させる観点から、0℃以上であり、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、より更に好ましくは30℃以上であり、そして、75℃以下であり、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。
ガラス転移温度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの平均粒径は、定着性を向上させる観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下である。平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
〔顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの製造〕
顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよいが、水分散液の形態をとることができるものが好ましい。
顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの水分散液を得る際、顔料を含有しないポリマー粒子Bを構成するポリマーbは、中和剤で中和されてなることが好ましい。
顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの水分散液は、中和前のポリマーb’を公知の重合法により得た後、該ポリマーb’、水、及び必要に応じて中和剤を含有する混合物を加温しながら撹拌し、その後降温する方法等により製造することができる。
ポリマーb’の好ましい構成単位、その含有量、物性等は前記のポリマーbと同様である。ポリマーb’は、前記のビニル系樹脂と同様の重合方法で得ることが好ましい。
ポリマーb’の酸価は、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは100mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下、より更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
前記混合物を撹拌する際の温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは750℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下である。撹拌時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.8時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。
顔料を含有しないポリマー粒子Bの水分散液の製造に用いる中和剤は、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンである。
中和剤の使用当量は、顔料を含有しないポリマー粒子Bの分散安定性の観点から、0モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは160モル%以下、より好ましくは130モル%以下、更に好ましくは110モル%以下である。中和剤の使用当量は、前記の方法によって求めることができる。
[水系インクの製造]
本発明インクは、顔料水分散体(I)と、ポリマー粒子Bの水分散液と、後述する水溶性有機溶媒と、必要に応じて、界面活性剤と、更にその他の有機溶媒とを混合することにより、効率的に製造することができる。それらの混合方法に特に制限はない。
<水溶性有機溶媒>
本発明で用いられる水溶性有機溶媒は、25℃で液体であっても固体であってもよいが、該有機溶媒を25℃の水100mlに溶解させたときに、その溶解量は10ml以上である。
本発明で用いられる水溶性有機溶媒は、定着性、混色防止性を向上させる観点から、炭素数3以上4以下のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを含む。本発明においては選択した炭素数3以上4以下のアルカンジオールの沸点を考慮し、その沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを選択し、両者を組み合わせて使用する。
炭素数3以上4以下のアルカンジオールとしては、1,2−プロパンジオール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点210℃)、1,2−ブタンジオール(沸点192℃)、1,3−ブタンジオール(沸点207℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、ジエチレングリコール(沸点245℃)から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのアルカンジオールの沸点は、188℃以上245℃以下の範囲にある。
これらの中では、定着性、混色防止性を向上させる観点から、1,2−プロパンジオール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点210℃)、及び1,2−ブタンジオール(沸点192℃)から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明で用いられるグリコールエーテルは、得られるインクの定着性、混色防止性を向上させる観点から、前記アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有する。
かかるグリコールエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点230℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点248℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点274℃)テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点314℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点227℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点243℃)等が挙げられる。
これらの中では、定着性、混色防止性を向上させる観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)、及びジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明インクは、必要に応じて、前記のアルカンジオール及びグリコールエーテル以外の他の有機溶媒を含有することができる。その他の有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、及び含硫黄化合物等が挙げられる。
その他の有機溶媒としては、グリセリン、トリエチレングリコール、2-メチル-1,3−ブタンジオールなどが挙げられる。
本発明インクは、印刷媒体への濡れ性を向上させる観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。また、インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加することができる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましく、インクの表面張力を適正に保ち、印刷媒体への濡れ性を向上させる観点から、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる1種以上がより好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
(アセチレングリコール系界面活性剤)
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール等のアセチレン系ジオール、及びそれらのエチレンオキシド付加物が挙げられる。
前記エチレンオキシド付加物のエチレンオキシ基(EO)の平均付加モル数の和(n)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品例としては、日信化学工業株式会社製の「サーフィノール」シリーズ、「オルフィン」シリーズ、川研ファインケミカル株式会社製の「アセチレノール」シリーズ等が挙げられる。これらの中でも、サーフィノール420(n:1.3)、サーフィノール440(n:3.5)、サーフィノール465(n:10.0)、サーフィノール485(n:30.0)、オルフィンE1010、アセチレノールE100、アセチレノールE200、アセチレノールE40(n:4)、アセチレノールE60(n:6)、アセチレノールE81(n:8)、アセチレノールE100(n:10)等が好ましい。
(シリコーン系界面活性剤)
シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が挙げられるが、上記と同様の観点から、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤は、シリコーンオイルの側鎖及び/又は末端の炭化水素基を、ポリエーテル基で置換された構造を有するものである。該ポリエーテル基としては、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基(EO)とプロピレンオキシ基(PO)がブロック状又はランダムに付加したポリアルキレンオキシ基が好適であり、シリコーン主鎖にポリエーテル基がグラフトした化合物、シリコーンとポリエーテル基がブロック状に結合した化合物等を用いることができる。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤のHLB(親水性親油性バランス)値は、インクへの溶解性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上である。ここで、HLB値は、グリフィン法により求めることができる。
また、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の25℃における動粘度は、好ましくは50mm/s以上、より好ましくは80mm/s以上であり、そして、好ましくは500mm/s以下、より好ましくは300mm/s以下である。なお、動粘度はウベローデ型粘度計で求めることができる。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製のKFシリーズ;KF−353、KF−355A、KF−642等、日信化学工業株式会社製のシルフェイスSAG005、株式会社NUC製のFZ−2191、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK−348等が挙げられる。
本発明インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
(顔料の含有量)
本発明インク中の顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましく7質量%以下である。
(顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aの含有量)
本発明インク中の顔料を含有するポリマー粒子Aの含有量は、印字濃度を向上させる観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは13質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
(顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの含有量)
本発明インク中の顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子Bの含有量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性及び再分散性を向上させる観点から、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
(水溶性有機溶媒の含有量)
本発明インク中の水溶性有機溶媒の含有量は、定着性、混色防止を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましく40質量%以下である。
(水溶性有機溶媒の沸点差)
本発明インクの炭素数3以上4以下のアルカンジオールの沸点と、グリコールエーテルの沸点は同等であるか、グリコールエーテルの沸点の方が低い方が好ましい。インクの印刷媒体への濡れ性向上の観点から、グリコールエーテルの沸点は炭素数3以上4以下のアルカンジオールの沸点より20℃以上低い方が好ましく、40℃以上低い方がより好ましい。
(界面活性剤の含有量)
本発明インク中の界面活性剤の含有量は、印刷媒体への濡れ性向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
本発明インク中のアセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、上記と同様の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、そして、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
本発明インク中のシリコーン系界面活性剤の含有量は、上記と同様の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
(水の含有量)
本発明インク中の水の含有量は、保存安定性、混色防止を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
((顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A/全水溶性有機溶媒)の質量比)
全水溶性有機溶媒に対する顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aの質量比(顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A/全水溶性有機溶媒)は、定着性と混色防止性を向上させる観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.12以上であり、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.4以下である。
(本発明インクの物性)
本発明インクの32℃の粘度は、保存安定性、混色防止を向上させる観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9mPa・s以下、更に好ましくは7mPa・s以下である。
本発明インクの粘度は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明インクのpHは、保存安定性、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9.5以下である。
本発明インクは、軟包装印刷用として特に好適である。なお、軟包装印刷とは、樹脂フィルム等のような薄い柔軟性のある材料を単体で又は貼り合せたものに印刷することを意味する。本発明インクを用いて軟包装印刷された印刷物は、食品、生活用品等を包装する用途に好適である。
本発明インクは組み合わせてセットで用いることが好ましく、フルカラー印刷に好適である。
[インクジェット印刷方法]
本発明のインクジェット印刷方法は、本発明インクを用いて、低吸液性印刷媒体に印刷する方法であり、本発明インクを公知のインクジェット印刷装置に装填し、低吸液性印刷媒体にインク液滴として吐出させて画像等を印刷する。
(低吸液性印刷媒体)
低吸液性印刷媒体としては、低吸液性のコート紙及び樹脂フィルムが挙げられる。
コート紙としては、汎用光沢紙、多色フォームグロス紙等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、透明合成樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルムであってもよい。これらの中では、ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましく、コロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステルフィルム、コロナ放電処理された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等の延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましい。
(インクジェット印刷装置)
インクジェット印刷装置としては、サーマル式及びピエゾ式があるが、ピエゾ式がより好ましい。ピエゾ方式では、多数のノズルが、各々圧力室に連通しており、この圧力室の壁面をピエゾ素子で振動させることにより、ノズルからインク液滴を吐出させる。
印刷ヘッドの印加電圧は、高速印刷の効率性等の観点から、好ましくは5V以上、より好ましくは10V以上、更に好ましくは15V以上であり、そして、好ましくは40V以下、より好ましくは35V以下、更に好ましくは30V以下である。
駆動周波数は、高速印刷の効率性等の観点から、好ましくは2kHz以上、より好ましくは5kHz以上、更に好ましくは8kHz以上であり、そして、好ましくは80kHz以下、より好ましくは70kHz以下、更に好ましくは60kHz以下である。
インクの吐出液滴量は、インク液滴の着弾位置の精度維持及び画質向上の観点から、1滴あたり好ましくは0.5pL以上、より好ましくは1.0pL以上、更に好ましくは1.5pL以上、より更に好ましくは1.8pL以上であり、そして、好ましくは20pL以下、より好ましくは15pL以下、更に好ましくは13pL以下である。
印刷ヘッド解像度は、好ましくは400dpi(ドット/インチ)以上、より好ましくは500dpi以上、更に好ましくは550dpi以上である。
印刷媒体の表面温度(印刷ヘッドからインクを吐出する領域と対面する領域の表面温度)は、印刷物の熱変形抑制、及びエネルギー消費抑制の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、更に好ましくは60℃以下、より更に好ましくは55℃以下であり、混色防止の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、より更に好ましくは45℃以上である。
印刷媒体の温度は、印刷ヘッドに対向する印刷媒体の裏側に設置されるアンダーヒーターの温度を調整することにより行うことができる。印刷ヘッドが複数ある場合は、それぞれの印刷ヘッドに対向する位置にアンダーヒーターを配置することが好ましい。
印刷速度は、生産性の観点から、印刷媒体の移動方向への搬送速度換算で、好ましくは10m/min以上、より好ましくは15m/min以上、更に好ましくは20m/min以上であり、そして、操作性の観点から、好ましくは150m/min以下である。
インクジェット印刷方法においては、一種のインクを吐出して画像を印刷し、引き続いて次のインクが吐出されても各インクの液滴同士が混色しないようにするために、更にヒーター等の熱エネルギーを付与する定着・硬化手段を設けることもできる。
以下の調製例、製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
(1)ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM−H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolum Super AW−H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F−550、F−80、F−10、F−1、A−1000)、PStQuick C(F−288、F−40、F−4、A−5000、A−500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中にポリマー0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC−13HP PTFE 0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
(2)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、ポリマー粒子Bの平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS−8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、平均粒径を測定した。測定する粒子の濃度が5×10-3重量%(固形分濃度換算)になるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力し、得られたキュムラント平均粒径を、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、水不溶性ポリマー粒子Bの平均粒径とした。
(3)固形分濃度の測定
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更に室温(25℃)のデシケーター内で更に15分間放置したのちに、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(4)水不溶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(Q100、ティー・エイ・インスルメント・ジャパン社製)を用いて、試料を200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に、試料を昇温速度10℃/分で昇温し、200℃まで測定した。
観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とし、該ピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(5)エポキシ化合物の水溶率の測定
室温25℃にてイオン交換水90質量部及びエポキシ化合物10質量部(W1)をガラス管(25mmφ×250mmh)に添加し、該ガラス管を水温25℃に調整した恒温槽中で1時間静置した。次いで、該ガラス管を1分間激しく振とうした後、再び恒温槽中で12時間静置した。次いで、水から分離して沈殿又は浮遊する未溶解物を回収し、40℃、ゲージ圧−0.08MPaの環境下で6時間乾燥後、秤量(W2)した。以下の式により、水溶率(質量%)を算出した。
水溶率(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
(6)有機溶媒の沸点の測定
JIS K2254に準じて測定を行い、その初留点を沸点(bp)とした。
(7)インクの粘度の測定
インクをE型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)により、標準ローター(1°34’×R24)を用いて測定温度32℃、測定時間1分の条件で測定した。回転数は測定可能な回転数で最も大きいものを用いた。ただし、最高100rpmを用いた。
製造例1(水不溶性ポリマーa溶液の製造)
アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)61.6部、スチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製)128.8部、α−メチルスチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製)9.6部を混合しモノマー混合液を調製した。反応容器内に、メチルエチルケトン(MEK、富士フイルム和光純薬株式会社製)20部、重合連鎖移動剤(富士フイルム和光純薬株式会社製、2−メルカプトエタノール)0.3部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部、及びアゾ系ラジカル重合開始剤(2,2’‐アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、富士フイルム和光純薬株式会社製、V−65)2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、カルボキシ基を有する水不溶性ポリマーa溶液(ポリマーaの数平均分子量:10500)を得た
調製例1(黒顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A1の水分散体の調製)
(1)製造例1で得られた水不溶性ポリマーa溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー58.1部をMEK71.5部と混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム固形分16.9%、富士フイルム和光純薬株式会社製、容量滴定用)23.6部を加え、ポリマーのカルボキシ基のモル数に対する水酸化ナトリウムのモル数の割合が40モル%になるように中和した(中和度:40モル%)。更にイオン交換水695.1部を加え、その中に顔料(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボット社製「MONARCH 717」)200gを加え、ディスパー(浅田鉄工株式会社製、ウルトラディスパー:商品名)を用いて、20℃でディスパー翼を7000rpmで回転させる条件で60分間攪拌した。
得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で150MPaの圧力で9パス分散処理した。
(2)前記(1)で得られた分散処理物1000gを2Lナスフラスコに入れ、イオン交換水666.7gを加え(固形分濃度:15.0質量%)、回転式蒸留装置「ロータリーエバポレーター N−1000S」(東京理化器械株式会社製)を用いて、回転数50rpmで、32℃に調整した温浴中、0.09MPaの圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去した。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPaに下げて固形分濃度25.0質量%になるまで濃縮した。
(3)得られた濃縮物を500mlアングルローターに投入し、高速冷却遠心機「himac CR22G」(日立工機株式会社製、設定温度20℃)を用いて7000rpmで20分間遠心分離した後、液層部分を5μmのメンブランフィルター「Minisart」(Sartorius社製)で濾過した。
ろ液400g(C.I.ピグメント・ブラック7 76.0g、前記水不溶性ポリマーa 22.1g)にイオン交換水61.61gを添加し、更にプロキセルLVS(アーチケミカルズジャパン株式会社製:防黴剤、有効分20%)1.08gを添加し、更に架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、デナコールEX−321L、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、エポキシ当量:129、水溶率:27質量%)5.20gを添加し、70℃で3時間攪拌した。25℃に冷却後、前記5μmフィルターでろ過し、更に固形分濃度が18質量%になるようにイオン交換水を加えて、黒顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A1の水分散体を得た。
得られた水分散体中の顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A1の平均粒径は90nmであった。
調製例2(イエロー顔料、レッド顔料、シアン顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A2〜A4の水分散体A2〜A4の調製)
調製例1において、「C.I.ピグメント・ブラック7」をそれぞれ、「C.I.ピグメント・イエロー74」、「C.I.ピグメント・レッド122」、「C.I.ピグメント・ブルー15:3」に変更することで、イエロー顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A2、レッド顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A3、シアン顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A4のそれぞれの顔料水分散体を得た。
得られた水分散体中の、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A2〜A4の平均粒径は、それぞれ95nm、100nm、110nmであった。
製造例2〜4(顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B1〜B3の水分散体の製造)
滴下ロートを備えた反応容器内に、表1の「初期仕込みモノマー溶液」に示すモノマー、ラテムルE−118B(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、界面活性剤)、重合開始剤である過硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、イオン交換水を入れて混合し、窒素ガス置換を行い、初期仕込みモノマー溶液を得た。また、表1の「滴下モノマー溶液」に示すモノマー、界面活性剤、重合開始剤、イオン交換水を混合して、滴下モノマー溶液を得、滴下ロート内に入れて、窒素ガス置換を行った。
窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー溶液を攪拌しながら室温から80℃まで30分かけて昇温し、80℃に維持したまま、滴下ロート中のモノマーを3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器内の温度を維持したまま、1時間攪拌した。次いで200メッシュでろ過し、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B1〜B3の水分散体(固形分濃度:44.1%、平均粒径:75〜120nm)を得た。
顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B1〜B3を構成するポリマーb1〜b3の重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)を表1に示す。
ポリマーb1〜b3の酸価は10〜20mgKOH/gの範囲にあった。
実施例1(水系インク及びインクセットの製造)
調製例1で得られた黒顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A1の水分散体(固形分濃度:18質量%、顔料:13質量%、ポリマー:5質量%)44.4g、製造例2で得られた顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B1の水分散体(固形分濃度:44.1質量%)11.3g、1,2−プロパンジオール(富士フイルム和光純薬株式会社製)15.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(富士フイルム和光純薬株式会社製)15.0g、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440;サーフィノール104のエチレンオキシド(40%)付加物、エチレンオキシド平均付加モル数:3.5)1.0g、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、シルフェイスSAG005、濡れ剤、HLB:7、動粘度:170mm/s(25℃))0.2g、合計量が100gとなるようイオン交換水を添加し、黒インク1−1を得た。
また、黒顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A1に代えて、それぞれイエロー顔料、レッド顔料、シアン顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A2〜A4を用いて、イエローインク1−2、レッドインク1−3、シアンインク1−4を得た。
そして、これらの4色のインクを組み合せたインクセットを得た。
実施例2〜10、比較例1〜7(水系インク及びインクセットの製造)
実施例1において、表2及び表3に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜7のインク及びインクセットを得た。
なお、表2及び表3中の各成分量は固形分量である。
得られたインク及びインクセットを用いて、以下の方法でインクジェット印刷した後、混色評価と定着性評価を行った。
(インクジェット印刷方式)
温度25±1℃、相対湿度30±5%の環境で、インクジェットヘッド(京セラ株式会社製、「KJ4B-HD06MHG-STDV」、ピエゾ式)を装備したワンパス方式の印刷評価装置(株式会社トライテック製)にインクセットを充填した。これらのインクジェットヘッドは、印刷媒体の送り方向の上流側から、黒インク、シアンインク、レッドインク、イエローインクの順に印刷評価装置に備える。この時、黒インク、シアンインク、レッドインク、イエローインクを充填したそれぞれのインクジェットヘッドの間隔は55cmに設定した。
ヘッド印加電圧26V、駆動周波数10kHz、吐出液適量3pl、印刷ヘッド温度32℃、印刷ヘッド解像度600dpi、吐出前フラッシング回数200発、負圧−4.0kPaを設定し、印刷媒体の長手方向と搬送方向が同じになる向きに、印刷媒体を印刷評価装置に固定した。印刷媒体としては、OPPフィルム「FOR−AQ」(フタムラ株式会社製、片面コロナ放電処理)、PETフィルム「FE2001」フタムラ株式会社製、片面コロナ放電処理)を用いた。
印刷媒体の搬送台にA4サイズのフィルムヒーター(株式会社河合電器製作所製)を固定して、印刷媒体を加温できるようにした。フィルムヒーター温度は40℃とし、印刷媒体の搬送速度は25m/minとした。
前記印刷評価装置に印刷命令を転送し、黒インク、シアンインク、レッドインク、イエローインクの順にてインクを吐出させ、各色のベタ画像(100 %duty)の2色が直交して重なるように図1に示すパターンの印刷を行った。その後、60℃の温風乾燥機にて5秒間乾燥させて印刷物を得た。
得られた印刷物について、以下の方法で混色評価を行った。
(印刷物の混色評価)
印刷物の異なる色同士のベタ印刷画像が直交して混色が生じる部分において、一方の色が直交する他色のベタ画像に対して侵食した箇所の直交部分からはみ出した幅を計測した。各フィルムと各色の組み合わせ毎に得た計測値から平均値を算出し、その平均値により混色の程度を比較して、以下の基準で評価した。
(評価基準)
5:はみ出し幅の平均値が120μm未満であり、混色が殆ど確認できない。
4:はみ出し幅の平均値が120μm以上150μm未満であり、混色は目立たず実使用上問題ない。
3:はみ出し幅の平均値が150μm以上200μm未満であり、混色が若干確認されるが実使用上問題ない。
2:はみ出し幅の平均値が200μm以上300μm未満であり、明らかな混色が確認され実使用できない。
1:はみ出し幅の平均値が300μm以上であり、明らかな混色が確認され実使用できない。
得られた印刷物について、以下の方法で定着性評価を行った。
(印刷物の定着性評価)
得られた図1に示す印刷パターンの各色のベタ画像部(直交部分及びその近傍以外の混色が起こっていない部分)にテープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標)、18mm幅、CT−18S)を貼り付け、引き剥がした後の画像の表面状態を観察し、下記評価基準に基づいて密着性を評価した。各フィルムについて各色の評価の平均値をとり、小数第一位を四捨五入した数値を表2及び表3に示す。
(評価基準)
5:画像の剥離が全くない。
4:画像の剥離面積が10%未満である。
3:画像の剥離面積が10%以上30%未満である。
2:画像の剥離面積が30%以上80%未満である。
1:画像の剥離面積が80%以上である。
表2及び表3から、実施例のインク及びインクセットは、比較例のインク及びインクセットに比べて、定着性、混色防止性に優れていることが分かる。

Claims (10)

  1. 低吸液性印刷媒体へのインクジェット印刷用水系インクであって、
    顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子A、顔料を含有しない水不溶性ポリマー粒子B、水溶性有機溶媒、及び水を含有し、
    該水溶性有機溶媒が、炭素数3以上4以下のアルカンジオールと、該アルカンジオールの沸点と同一又は低い沸点を有するグリコールエーテルを含み、
    該ポリマー粒子Bを構成する水不溶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上75℃以下である、インクジェット印刷用水系インク。
  2. アルカンジオールが、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、及び1,2-ブタンジオールから選ばれる1種以上である、請求項1に記載のインクジェット印刷用水系インク。
  3. グリコールエーテルが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載のインクジェット印刷用水系インク。
  4. 顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子Aが架橋剤で架橋されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット印刷用水系インク。
  5. 更に、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる1種以上を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット印刷用水系インク。
  6. 低吸液性印刷媒体がポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンである、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット印刷用水系インク。
  7. 軟包装印刷用である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット印刷用水系インク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクを用いて、低吸液性印刷媒体に印刷する、インクジェット印刷方法。
  9. 印刷面を70℃以下の温度で加熱する、請求項8に記載のインクジェット印刷方法。
  10. 印刷速度が10m/min以上である、請求項8又は9に記載のインクジェット印刷方法。
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