JP6769516B1 - 水性インクジェットインキ、水性インクジェットインキセット、印刷物の製造方法、および印刷物 - Google Patents

水性インクジェットインキ、水性インクジェットインキセット、印刷物の製造方法、および印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、非吸収性基材への印刷においても高い乾燥性を有し、またインクジェットノズルからの吐出安定性にも優れ、更に耐ブロッキング性やラミネート適性にも優れる印刷物を得ることができる、水性インクジェットインキを提供することにある。【解決手段】顔料、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及び、水を含有する水性インクジェットインキであって、バインダー樹脂が、特定の構造の水性化された樹脂(A)を含み、樹脂(A)は、重量平均分子量5,000〜45,000、かつ、ガラス転移温度35〜110℃であり、水溶性有機溶剤が、SP値が8.5〜13(cal/cm3)1/2である水溶性有機溶剤(B)を含み、1気圧における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量が、水性インクジェットインキ全量に対して0〜5質量%である、水性インクジェットインキ。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクジェットインキ(以下、単に「水性インキ」、または「インキ」ともいう)、水性インクジェットインキセット、印刷物の製造方法、および印刷物に関する。
印刷の小ロット化やニーズの多様化に伴い、デジタル印刷方式の普及が急速に進んでいる。デジタル印刷方式では、版を必要としないことから、小ロット対応、コストの削減、印刷装置の小型化が実現可能である。
デジタル印刷方式の一種であるインクジェット印刷方式とは、記録媒体に対してインクジェットヘッドからインキの微小液滴を飛翔及び着弾させて、前記記録媒体上に画像や文字(以下総称して「印刷物」ともいう)を形成する方式である。他のデジタル印刷方式と比べて、印刷装置のサイズ及びコスト、印刷時のランニングコスト、フルカラー化の容易性などの面で優れており、近年では産業印刷用途においても利用が進んでいる。
インクジェット印刷方式に使用されるインキとしては、油系、溶剤系、活性エネルギー線硬化系、水系など多岐に渡る。これまで、産業印刷用途では、溶剤系や活性エネルギー線硬化系のインキが使用されてきた。しかし近年の、環境や人に対する有害性への配慮・対応といった点から、水系インキの需要が高まっている。
また近年では、インクジェット印刷方式の用途拡大の要望の中で、産業印刷用途に加えて、紙器、ラベル、包装フィルムといったパッケージ用途への展開が求められている。その場合、コート紙やアート紙のような低吸収性の基材、及び、ポリプロピレンフィルム(例えばOPPフィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやナイロンフィルムのような非吸収性の基材に対して、色再現性や画像品質が高く、実使用に耐えられる特性を有する印刷物の形成が要求されることになる。
これまでに存在する、インクジェット印刷方式で用いる水性インキ(本明細書では、単に「水性インクジェットインキ」という)は、普通紙や専用紙のような吸収性の高い基材に対して画像形成するためのものがほとんどである。そのようなインキを、非吸収性の基材に用いた場合、着弾した後のインキ液滴が、浸透吸収によって乾燥せず、印刷画質が損なわれる、十分な密着性が得られない、といった問題が発生する。
特に、非吸収性基材に対する密着性が不足すると、インキ膜が擦れなどにより剥がれてしまうことや、印刷物を巻き取り状態あるいは積み重ねた状態で保管した際に、印字面に圧力がかかり、ブロッキングが発生することなどの問題が生じてしまう。また、乾燥が不十分である印刷物を、接着剤(ラミネート接着剤)を介して別のフィルムと貼り合わせた(ラミネート加工)際、ラミネート強度不足に起因して、層間での剥離現象(デラミネーション)を起こしてしまう恐れもある。
例えば特許文献1には、特定の特性を有する樹脂と、特定の構造を有する有機溶剤とが併用された水性インクジェットインキが開示されており、ポリ塩化ビニルシート等の非吸収性基材に対するインクジェット印刷に好適に利用できるとの記載がある。しかしながら後述するように、本発明者らが、前記特許文献1の実施例に具体的に記載された樹脂を用いたインキを評価したところ、吐出安定性が劣ることが判明した。近年では、上述した用途展開に対する市場の要求に応えるため、インクジェットヘッドから吐出されるインキ液滴の微小化や、前記インクジェットヘッドの駆動周波数の増加によって、印刷物を高解像度化する検討も進められており、吐出安定性の向上は必須の課題といえる。
また特許文献2には、特定の工程を経て製造されたウレタン水溶性樹脂を一定量含む水性インクジェットインキによって、ラミネート適性に優れた印刷物が得られることが開示されている。しかしながら特許文献2には、前記ウレタン水溶性樹脂のガラス転移温度が高くないことが好適であるとの記載があり、実施例で具体的に製造されているウレタン水溶性樹脂のガラス転移温度は−50〜−15℃である。このようなガラス転移温度を有する樹脂を含むインキでは、印刷物においてブロッキングが発生する恐れが高い。
なお本出願人は以前、吐出安定性や、非吸収性基材に対する画像品質に優れた、特定の構成を有する(スチレン)(メタ)アクリル樹脂を含む水性インクジェットインキを提案した(特許文献3参照)。しかしながら前記インキでは、印刷物のラミネート強度が不十分になってしまう恐れがあり、パッケージ用途への展開を考えると、改善が必要な状況であった。
以上のように、非吸収性基材への印刷においても高い乾燥性を有し、吐出安定性にも優れ、更に耐ブロッキング性やラミネート適性にも優れる印刷物が得られる、水性インクジェットインキは、これまでに存在しない状況であった。
特開2013−159619号公報 特開2013−1755号公報 特開2018−203802号公報
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルムなどの非吸収性基材への印刷においても高い乾燥性を有し、またインクジェットノズルからの吐出安定性にも優れ、更に耐ブロッキング性やラミネート適性にも優れる印刷物を得ることができる、水性インクジェットインキを提供することにある。
そこで本発明者らが鋭意検討を行った結果、下記構成を有する水性インクジェットインキによって、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち本発明は、顔料、顔料分散樹脂、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及び、水を含有する水性インクジェットインキであって、
前記バインダー樹脂が、構成単位として、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造、及び、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造を含む、水性化された樹脂(A)を含有し、
前記樹脂(A)重量平均分子量が5,000〜45,000であり、
前記樹脂(A)のガラス転移温度が35〜110℃であり、
前記樹脂(A)の酸価が、10〜60mgKOH/gであり、
前記水溶性有機溶剤が、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を含み、
1気圧における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量が、前記水性インクジェットインキ全量に対して0〜5質量%であり、
前記界面活性剤が、アセチレン系界面活性剤を含む、水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、前記水溶性有機溶剤(B)が、1,2−プロパンジオール、及び、1,2−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を、前記水性インクジェットインキ全量に対して5〜30質量%含む、上記水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、前記水溶性有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のプロピレングリコールエーテル系溶剤を、前記水性インクジェットインキ全量に対して1〜10質量%含む、上記水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、前記樹脂(A)の水酸基価が1〜50mgKOH/gである、上記水性インクジェットインキに関する。
また本発明は、互いに色相の異なる、2種類以上の水性インクジェットインキを備える水性インクジェットインキセットであって、
前記2種類以上の水性インクジェットインキのそれぞれが、上記水性インクジェットインキである、水性インクジェットインキセットに関する。
また本発明は、上記水性インクジェットインキ、あるいは、上記水性インクジェットインキセットを、インクジェットヘッドから吐出して基材に付着させる工程と、前記水性インクジェットインキが付着した基材を乾燥させる工程とを有する、水性インクジェットインキ印刷物の製造方法に関する。
また本発明は、上記水性インクジェットインキ、または、上記水性インクジェットインキセットを、基材に印刷してなる印刷物に関する。
本発明により、OPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルムなどの非吸収性基材への印刷においても高い乾燥性を有し、またインクジェットノズルからの吐出安定性にも優れ、更に耐ブロッキング性やラミネート適性にも優れる印刷物を得ることができる、水性インクジェットインキの提供が可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を上げて、本発明の水性インクジェットインキについて説明する。
背景技術でも説明したように、一般に、OPPフィルムやPETフィルム、ナイロンフィルムなどの非吸収性基材では、前記基材上に付与されたインキ中の水系媒体(少なくとも水を含む液体からなる媒体)の浸透が起こらず、吸収性基材と比較すると乾燥性が大きく劣る。更に、ブロッキングや、ラミネート加工時にはデラミネーションを起こす恐れもある。
上記特許文献1〜2でも行われているように、印刷物のブロッキングを防止しラミネート強度を高めるための方策として、インキ中にバインダー樹脂を添加することが一般的である。一般的にガラス転移温度(Tg)が高いバインダー樹脂を使用することで、印刷物の耐ブロッキング性は良好となる。しかしながら、Tgの高いバインダー樹脂を含む印刷物は柔軟性に劣るため、ラミネート強度を十分に高めることが難しい。逆に、ラミネート強度を高めるために、バインダー樹脂のTgを下げ印刷物に柔軟性を持たせると、耐ブロッキング性が悪化する恐れがある。
一方、重量平均分子量の大きな樹脂をバインダー樹脂として使用することで、耐ブロッキング性とラミネート強度の両立が可能となる可能性がある。しかしながら重量平均分子量の大きな樹脂は、インキの吐出安定性を著しく悪化させる恐れがある。特に、非吸収性基材での乾燥性を高めるべく、低沸点の水溶性有機溶剤と一緒に使用した場合、ノズルの気液界面におけるインキ粘度の急激な上昇や、バインダー樹脂の析出によるノズル閉塞を引き起こし、吐出安定性を悪化させる可能性が高い。また逆に、バインダー樹脂として、重量平均分子量の小さい樹脂を使用した場合、前記バインダー樹脂の凝集力の小ささゆえに、耐ブロッキング性やラミネート強度の向上が困難となる。
そこで本発明者らが、上記トレードオフを解決すべく鋭意検討した結果、酸基及び水酸基を有すると共に、特定範囲の分子量、及びガラス転移点を有する水溶性のバインダー樹脂を用いることで、上記品質を満たすインクジェットインキが得られることを見出し本発明に至った。その詳細なメカニズムは定かではないものの、例えば以下が考えられる。
まず、本発明のインキに含まれるバインダー樹脂は、特定の構造を有する構成単位を含むとともに、重量平均分子量(Mw)が5,000〜45,000、かつ、ガラス転移温度(Tg)が35〜110℃である、水性化された樹脂(A)を含む。重量平均分子量を上記範囲にするとともに、樹脂を水性化することで、吐出安定性を確保している。また、ガラス転移温度を上記範囲にすることで、印刷物の耐ブロッキング性を高めている。なお樹脂を水性化させるため、樹脂(A)は、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造を必須構成単位として含んでいる。なお一般に、樹脂を水性化させる方法としてエチレンオキサイド基の導入も知られているが、本発明では、酸基を用いることで、印刷物の耐ブロッキング性やラミネート強度もまた向上できるという効果を得られたものである。
一方上記の通り、上記の重量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)を有する樹脂、というだけでは、ラミネート強度に劣った印刷物となる恐れがある。そこで樹脂(A)では、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造だけではなく、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造を構成単位として含めることで、その解決を図っている。詳細な理由は不明であるが、例えばカルボン酸(カルボキシル)基に存在するカルボニル基構造や、スルホン酸基に存在するスルホニル基構造に相当する部分構造が、水酸基には存在しない。その結果、前記部分構造の影響を受けることなく、非吸収性基材上の極性基や、ラミネート接着剤と化学結合を形成することができ、結果として、ラミネート強度を急激に高めることができる、と考えられる。
しかしながら、酸基や水酸基は、インキ中の水系媒体との間に水素結合を形成するため、前記水系媒体の乾燥不良を招く恐れがある。そこで本発明のインキでは、1気圧下における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量を制限するとともに、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を必須成分としている。
SP値(溶解度パラメータ)とは、物質の溶解性や相溶性を判断するために利用される物性値であり、例えば水のSP値は約21(cal/cm31/2である。一般に、SP値が近い物質ほど互いに相溶しやすいとされているが、上記の通り、本発明における必須成分である水溶性有機溶剤(B)は、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である。このようなSP値を有する水溶性有機溶剤(B)を、水性化された樹脂(A)と併用することで、インキ中では、両者が過度になじむことも反発しあうこともなく存在でき、また印刷後には溶剤離れ及び樹脂離れが促進され、結果として、乾燥性、耐ブロッキング性、ラミネート適性が良化すると考えられる。
以上のように、本発明の効果を奏するインキを得るには、上記に示した構成が必須不可欠である。
続いて以下に、本発明のインキを構成する各成分について述べる。
<バインダー樹脂>
上記の通り、本発明のインキに含まれるバインダー樹脂は、構成単位として、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造と、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造とを有し、重量平均分子量(Mw)が5,000〜45,000、かつ、ガラス転移温度(Tg)が35〜110℃である、水性化された樹脂(A)を含む。
本明細書における「バインダー樹脂」とは、主として印刷物の層(印刷層、インキ層)を基材上に定着させるために使用される樹脂である。後述するように、本発明のインキは顔料分散樹脂を含んでもよいが、前記顔料分散樹脂とバインダー樹脂とは、顔料に対する吸着率によって区別される。すなわち、顔料と、樹脂と、水系媒体とを含む顔料分散液であって、顔料濃度を5質量%とし、水の量を前記水系媒体全量中98質量%以上とした顔料分散液において、前記顔料に対する前記樹脂の吸着率が35質量%以上である樹脂を顔料分散樹脂、35質量%未満である樹脂をバインダー樹脂と判断する。
なお、上記吸着率の測定に使用する顔料分散液は、例えば、後述する実施例に記載した方法により、顔料濃度20質量%の高濃度顔料分散液を製造したのち、前記顔料濃度が5質量%になるまで、水で希釈することで作製できる。また上記吸着率は、例えば、前記顔料分散液に対して超遠心分離処理(例えば、30,000rpmで4時間)を行ったのち、上澄み液中に含まれる樹脂量を測定し、下記式(1)を用いて算出することができる。
式(1):

吸着率(%)=(WR1−WR2)×100/WR1
ただし上式(1)において、WR1は、超遠心処理前の顔料分散液中に含まれる樹脂量を表し、WR2は、上澄み液中に含まれる樹脂量を表す。
また一般に、樹脂の形態として、水溶性樹脂、並びに、非水溶性樹脂であるハイドロゾル、及び、エマルジョンが知られている。ここで「水溶性樹脂」とは、対象となる顔料分散樹脂の、25℃・1質量%水混合液が、肉眼で見て透明であるものを指す。また「ハイドロゾル」とは、樹脂中に存在する酸性及び/または塩基性の官能基を中和し、分散媒中に分散させた形態を指し、「エマルジョン」とは、乳化剤を樹脂微粒子表面に吸着させ、分散媒中に分散させた形態を指す。本発明では、樹脂(A)として、水性化された樹脂、すなわち、水溶性樹脂またはハイドロゾルを使用することを特徴とする。これらの樹脂は、その少なくとも一部がインキ中の水系媒体に対して膨潤及び/または溶解しており、ノズルの気液界面における析出を抑制し、吐出安定性を向上させる観点から好適に選択される。
また、共重合体を構成するモノマーの配列として、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合等が知られているが、本発明の樹脂(A)は、上記のいずれの形態であっても使用することができる。
本発明で用いられる樹脂(A)は、構成単位として、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造を含む。なお前記「酸基」として、カルボン酸(カルボキシル)基、スルホン酸基、ホスホン酸基等があり、本発明ではいずれを選択してもよい。中でも、吐出安定性向上の観点から、カルボキシル基を選択することが好ましい。
酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)としては、公知の物を使用することが出来る。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリロイルオキシイソ酪酸、メタクリロイルオキシイソ酪酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルオキシエチルホスホン酸、メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−(ホスホノオキシ)エチル(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンカルボン酸、スチレンスルホン酸、スチレンホスホン酸等が挙げられる。これらの酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)は、単独、あるいは複数使用可能である。なお本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を表す。
本発明で用いられる樹脂(A)の酸価は、吐出安定性や乾燥性を向上させるという観点から、10〜60mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは25〜45mgKOH/gである。
なお本明細書において「酸価」とは、1gの試料中に含まれる酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH/g)を意味する。樹脂の酸価は、前記樹脂を構成する各構成単位(単量体)から算出してもよいし、実験的に測定してもよい。実験的に測定する方法を例示すると、京都電子工業社製の電位差自動滴定装置AT−710Sを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.1mol/L)で試料溶液を滴定する。滴定終了後、終点到達までに添加した前記エタノール溶液の量から、酸価を算出する。
また、本発明で用いられる樹脂(A)は、吐出安定性やラミネート強度を向上させるため、構成成分として水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造を含む。上記の通り、前記単量体(a2)中の水酸基は、非吸収性基材上の極性基や、ラミネート接着剤と化学結合を形成でき、結果として、ラミネート強度を急激に高めることができる、と考えられる。また、使用するラミネート接着剤等によっては、前記水酸基との間に架橋構造が形成され、非常に強固な積層体を得ることが可能となる。
水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)として、公知の物を使用することが出来る。具体的にはヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。これらの水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)は、単独、あるいは複数使用可能である。
本発明で用いられる樹脂(A)の水酸基価は、吐出安定性(初期吐出性及び待機吐出性)、乾燥性、ラミネート強度を向上させるという観点から、1〜50mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは15〜45mgKOH/gである。
なお本明細書において「水酸基価」とは、1gの試料をアセチル化するのに必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH/g)を意味する。上記水酸基価は、酸価と同様、前記樹脂を構成する各構成単位(単量体)から算出してもよいし、実験的に測定してもよい。実験的に測定する方法を例示すると、試料にアセチル化試薬(無水酢酸の25質量%ピリジン溶液)を加え、加熱してアセチル化したのち、放冷し、水を加えて前記無水酢酸を加水分解する。その後、溶剤としてエタノールを加え、酸価と同様の電位差自動滴定装置を用いて、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.5mol/L)で試料溶液を滴定する。滴定終了後、終点到達までに添加した前記エタノール溶液の量から、水酸基価を算出する。
本発明で用いられる樹脂(A)は、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造以外の構成単位(以下、「その他の構成単位」ともいう)を、1種あるいは複数種含むことができる。樹脂(A)が(メタ)アクリル系、または、スチレン(メタ)アクリル系である場合、その他の構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体として、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アラキル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロトイル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、メリッシル(メタ)アクリレート、ドトリアコンタノイル(メタ)アクリレート、テトラトリアコンタノイル(メタ)アクリレート、ヘキサトリアコンタノイル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;
(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノブチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノフェニルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノドデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノヘキサデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクタデシルエーテル等のアルキレンオキサイド鎖含有(メタ)アクリル系単量体;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリル系単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリル系単量体;等が挙げられる。なお「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を表す。
上記に例示したその他の構成単位を形成するエチレン性不飽和単量体の中でも、吐出安定性に優れるインキが得られる観点から、芳香環構造を有する単量体が好適に選択される。また、重量平均分子量及びガラス転移温度を、上記範囲内に収めやすく、本発明の効果が好適に奏される点から、スチレン系単量体が特に好ましく選択される。
上記の通り、樹脂(A)は構成単位として、エチレン性不飽和単量体を含む。従って、前記樹脂(A)として、(メタ)アクリル系、スチレン(メタ)アクリル系の樹脂が好適に使用される。特に、インクジェットノズルからの吐出安定性を確保するという観点から、スチレン(メタ)アクリル系の樹脂を用いることが好適である。
本発明のインキは、樹脂(A)のみを含んでいてもよいし、前記樹脂(A)に相当しない樹脂を併用してもよい。その場合、前記樹脂(A)に相当しない樹脂として、ウレタン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系の樹脂等が使用できる。また、本発明の効果を阻害しない限り、前記樹脂(A)に相当しない樹脂が、エマルジョンであってもよい。
本発明で用いられる樹脂(A)は、SP値が8.5〜13である水溶性有機溶剤(B)と組み合わせた際に、ノズルでの析出や固着を抑制することで吐出安定性を向上させ、更に耐ブロッキング性やラミネート強度も高めることができるという観点から、重量平均分子量(Mw)が5,000〜45,000であり、より好ましくは10,000〜30,000の範囲である。5,000以上であれば、耐ブロッキング性やラミネート強度が十分に確保でき、45,000以下であれば、吐出安定性の悪化を抑制できる。更に、上記の重量平均分子量を有する樹脂(A)は、ラミネート加工等の際に、印刷層中の前記樹脂(A)が分子運動を起こし、ラミネート接着剤等と相互作用を形成することで、ラミネート強度の一層の向上が可能となると考えられる。
本発明における樹脂(A)の重量平均分子量は常法によって測定することができる。本発明においては、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として測定される値である。
本発明で用いられる樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)としては、耐ブロッキング性とラミネート強度との両立の観点から、35〜110℃であり、より好ましくは50〜100℃である。35℃以上であれば、印刷物の保存環境によらず、耐ブロッキング性に優れ、110℃以下であれば、乾燥性やラミネート強度の悪化を引き起こすことがない。
なお、本発明の樹脂(A)のガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。具体的には、樹脂を乾固したサンプル約2mgをアルミニウムパン上で秤量したのち、DSC測定ホルダーにセットし、5℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピーク温度を、本発明におけるガラス転移温度とする。
本発明の樹脂(A)のインキ組成中における含有量は、不揮発分換算で、インキ全質量中の0.5質量%以上15質量%以下の範囲であることが好ましく、3質量%以上12質量%以下であることがより好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本発明では、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を必須成分とするとともに、1気圧下における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。なお、本明細書において「水溶性有機溶剤」とは、25℃下における、水に対する溶解度が1質量%以上であり、かつ、25℃において液体であるものを指す。
SP値を算出または実測する方法は、これまで種々知られているが、本明細書においては、「Plastics Materials 6th Edition」(J.A.Brydson著、Butterworth−Heinemann社、1995年)の85〜86ページに記載の方法により算出される、25℃における値を用いるものとする。
具体的な算出方法を、1,2−プロパンジオールを例にとって説明すると、沸点(188℃)から算出される、前記1,2−プロパンジオールの蒸発潜熱(ΔH)は、23.7×(188+273)+0.02×(188+273)2−2950≒12232.4(cal/mol)となる。そして、この値と、1,2−プロパンジオールの分子量[76.1(g/mol)]と、前記1,2−プロパンジオールの密度[1.04(g/cm3)]とを用い、下記式(2)から、12.6(cal/cm31/2と算出される。
式(2):

SP値(cal/cm31/2)={(ΔH−RT)÷(M÷D)}1/2
ただし上記一般式(2)において、ΔHは溶剤の蒸発潜熱(cal/mol)を、Rは気体定数(1.99cal/K・mol)を、Tは温度(25℃=298K)を、Mは前記溶剤の分子量(g/mol)を、Dは前記溶剤の密度(g・cm3)を、それぞれ表す。
本発明で好適に使用できる、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)としては、炭素数1〜4の1価アルコール類;
1,2−プロパンジオール(SP値:12.6)及び炭素数4〜6のアルカンジオール類;
ジエチレングリコール(SP値:12.2)、トリエチレングリコール(SP値:11.0)、テトラエチレングリコール(SP値:10.2)、ジプロピレングリコール(SP値:10.2)、トリプロピレングリコール(SP値:9.0)等のポリアルキレングリコール類;
下記一般式(3)で表されるエチレングリコールエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:9.5)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(SP値:9.0)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値:8.7)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(SP値:8.5)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:8.7)等のプロピレングリコールエーテル類;
3−メトキシ−1−ブタノール(SP値:9.6)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(SP値:9.3)等のメトキシブタノール類;
N−メチルピロリドン(SP値:11.3)、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(SP値:9.8)、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(SP値:8.8)等の含窒素溶剤;
γ−ブチロラクトン(SP値:12.7)、ε−カプロラクトン(SP値:11.2)等のラクトン系溶剤;等が挙げられる。
一般式(3):

2−O−(EO)m−H
ただし上記一般式(3)において、R2は炭素数1〜4の分岐があってもよいアルキル基を表し、EOはエチレンオキサイド基を表し、mは1〜3の整数である。
本発明では、ノズル上でのインキ固着を抑制することで吐出安定性を向上させ、更には非吸収性基材上での乾燥性が良化する観点から、上記に示した水溶性有機溶剤(B)の中でも、1,2−プロパンジオール、及び、1,2−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、水酸基を多く含むため親水性が高く、水系媒体中に均一に存在することができる。その一方でこれらの溶剤は、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2であるため、樹脂(A)と過度になじむことなく、また印刷後は速やかに揮発するため、乾燥性、耐ブロッキング性やラミネート適性に優れたインキとなる。加えてこれらの溶剤は、後述する顔料の分散状態を破壊しにくいという性質も有しており、インキの保存安定性の悪化もまた防止できる。
水溶性有機溶剤(B)として1,2−プロパンジオール、及び、1,2−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合、その含有量はインキ全量中5〜30質量%が好ましく、更に好ましくは10〜25質量%である。30%質量以下とすることで、非吸収性基材上での乾燥性を好適なものとし、更には耐ブロッキング性やラミネート強度に優れた印刷物を得ることができる。なお上記のように1,2−プロパンジオール及び1,2−ブタンジオールは、どちらかを単独で用いてもよいし、両方を併用してもよい。また、下記に例示するその他の水溶性有機溶剤とともに用いてもよい。
一方で本発明では、乾燥性に特段に優れたインキが得られる観点、及び、樹脂(A)の造膜助剤として機能することで、耐ブロッキング性に優れた印刷物が得られる観点から、水溶性有機溶剤(B)として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のプロピレングリコールエーテル類を使用することも好適である。
上記例示したプロピレングリコールエーテル類は、非吸収性基材上での乾燥性向上と、ノズル界面での固着抑制による吐出安定性良化とを両立する観点から、インクジェットインキ全量中1〜15質量%が好ましく、より好ましくは3〜12質量%である。なお、上記プロピレングリコールエーテル類は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、1,2−プロパンジオール及び/または1,2−ブタンジオールや、下記に例示するその他の水溶性有機溶剤とともに使用してもよい。
本発明では、非吸収性基材上においても優れた乾燥性を有し、更には吐出安定性にも優れたインキが得られる点から、インキ中に含まれる、沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の量は0〜5質量%であり、より好ましくは0〜2質量%である。沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の量が0〜5質量%であれば、非吸収性基材上であっても乾燥性を損なうことなく、また、ノズル上でのインキの固着を抑制し、吐出安定性にも優れたインキとすることが出来る。
なお、沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の量には、上記SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)のうち、沸点が235℃以上であるものの量も含めるものとする。また、本発明において「沸点」とは、1気圧下における沸点を表すものであり、例えば熱分析装置を用い測定することができる。
SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)のうち、沸点が235℃以上であるものを例示すると、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、ε−カプロラクトン、等が挙げられる。また、水溶性有機溶剤(B)ではないもののうち、沸点が235℃以上であるものを例示すると、グリセリン、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテル、2−ピロリドン、等が挙げられる。
本発明では、上記のように沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の配合量に制限がある一方で、その他の水溶性有機溶剤については特に限定されず、従来既知のものを使用することが出来る。水溶性有機溶剤(B)ではないもののうち、沸点が235℃未満である水溶性有機溶剤の例としては、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられるがこれらに限定されない。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる水溶性有機溶剤の配合量の合計は、インキ全量に対し5〜40質量%であることが好ましい。中でも、非吸収性基材上であっても十分な乾燥性を確保する観点から、配合量の合計が10〜35質量%であることがより好ましい。
<顔料>
本発明のインキには、無機顔料、有機顔料のいずれも使用できる。これらの顔料は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。顔料の含有量はインキの全質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜7質量%である。
顔料として無機顔料を使用する場合、具体例として、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等が挙げられる。
また有機顔料の例として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
具体的にカラーインデックスで例示すると、シアン顔料としてはC.I.Pigment Blue 1、2、3、15:1、15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64等が挙げられる。
またマゼンタ顔料としてはC.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、120、122、146、147、149、150、168、170、177、178、179、184、188、202、206、207、209、238、242、254、255、264、269、282、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、32、36、37、38、40、50等が挙げられる。
またイエロー顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
またブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。中でも、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40nm、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品として、例えばNo.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(三菱化学社製)、RAVEN1255(ビルラカーボン社製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(キャボット社製)、NIPex90、NIPex150T、NIPex160IQ、NIPex170IQ、NIPex75、PrinteX35、PrinteX85、PrinteX90、PrinteX95、PrinteXU(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)等があり、いずれも好ましく使用することができる。
また上記以外の顔料としてはC.I.Pigment Green 7、10、36、C.I.Pigment Brown 3、5、25、26、C.I.Pigment Orange 2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、62、63、64、71等が挙げられる。
<顔料分散樹脂>
長期間のインキの安定性を維持するため、上記の顔料はインキ中に分散して使用される。顔料をインキ中で安定的に分散保持する方法として、(1)顔料表面の少なくとも一部を顔料分散樹脂によって被覆する方法、(2)水溶性及び/または水分散性の界面活性剤を顔料表面に吸着させる方法、(3)顔料表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、分散樹脂や界面活性剤なしでインキ中に分散する方法(自己分散顔料)などを挙げることができる。
本発明のインキは、上記のうち(1)の方法、すなわち、顔料分散樹脂を用いる方法が好適に選択される。これは、樹脂を構成する重合性単量体組成や分子量を選定・検討することにより、顔料に対する顔料分散樹脂の被覆能や前記顔料分散樹脂の電荷を容易に調整できるため、微細な顔料に対しても分散安定性を付与することが可能となり、更には吐出安定性、発色性、及び色再現性に優れた印刷物が得られるためである。
上記顔料分散樹脂としては(メタ)アクリル系、スチレン(メタ)アクリル系、(無水)マレイン酸系、スチレン(無水)マレイン酸系、αオレフィン(無水)マレイン酸系、ウレタン系、エステル系の樹脂等が挙げられる。中でも、顔料の吸着を強固にし、顔料分散体を安定化させるという観点から、αオレフィン(無水)マレイン酸系、(メタ)アクリル系、スチレン(メタ)アクリル系から選択される1種以上の樹脂を使用することが好ましい。なお本明細書において「(無水)マレイン酸」とは、マレイン酸または無水マレイン酸を表す。
顔料分散樹脂として水溶性樹脂を用いる場合、その酸価は60〜400mgKOH/gであることが好ましい。酸価を前述の範囲内とすることで顔料の分散安定性、及び、インキの保存安定性を好適なものとすることができる。また前記酸価として、より好ましくは120〜350mgKOH/gであり、更に好ましくは150〜300mgKOH/gである。一方、顔料分散樹脂として非水溶性樹脂を用いる場合、その酸価は0〜100mgKOH/gであることが好ましく、5〜90mgKOH/gであることがより好ましく、10〜80mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が前記範囲内であれば、乾燥性や耐ブロッキング性に優れた印刷物が得られる。なお、顔料分散樹脂の酸価は、上記のバインダー樹脂の場合と同様に測定することができる。
顔料分散樹脂の重量平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量5,000以上とすることで顔料の分散安定性、及び、インキの保存安定性を好適なものとすることができ、また100,000以下とすることで吐出安定性を良好なものとすることができる。より好ましくは重量平均分子量10,000〜50,000であり、更に好ましくは15,000〜30,000である。なお、顔料分散樹脂の重量平均分子量は、上記のバインダー樹脂の場合と同様に測定することができる。
顔料の配合量に対する顔料分散樹脂の配合量は、1〜100質量%とすることが好ましい。顔料分散樹脂の比率を、顔料の配合量に対して1質量%以上にすることで、インキの粘度をインクジェットインキとして好適なものに抑えることができ、100質量%以下にすることで、顔料の分散安定性、及び、インキの保存安定性を良好なものにできる。顔料の配合量に対する顔料分散樹脂の配合量として、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは5〜35質量%である。
<界面活性剤>
本発明のインキは、表面張力を調整し、基材、特に非吸収性基材上の濡れ性を確保する目的で、界面活性剤(以下、単に「活性剤」と記載することもある)を使用できる。界面活性剤としては、アセチレン系、シロキサン系、アクリル系、フッ素系等、用途に合わせて様々なものが知られているが、インキの表面張力を十分に下げ優れた濡れ性を確保するという観点から、少なくともアセチレン系、及び/またはシロキサン系の界面活性剤を使用することが好ましく、詳細は不明ながら、吐出安定性に特段に優れたインキが得られるという観点から、アセチレン系界面活性剤と、シロキサン系界面活性剤とを併用することが好適である。また本発明で使用される界面活性剤は、分子中で疎水性基と親水性基とに分かれて存在していることが好適であり、従って、親水性であるエチレンオキサイド基を有している界面活性剤(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド基をポリジメチルシロキサン鎖の側鎖及び/または両末端に有するシロキサン系界面活性剤等)が特に好適に選択される。
界面活性剤の添加量の例としては、インキ全量に対して、0.1〜5質量%が好適であり、0.2〜4質量%がより好ましい。
<水>
本発明のインキに含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水の含有量としては、インキ全量に対して20〜90質量%の範囲であることが好ましい。
<その他の成分>
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量は、インキの全重量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好適である。
<インキの調製方法>
上記したような成分からなる本発明のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明のインキの調製方法は、これらに限定されるものではない。
まず、少なくとも顔料分散剤(例えば顔料分散樹脂)と、水とが混合された水性媒体(以下、「水性化溶液」と記載することもある)に顔料と、必要に応じて水溶性有機溶剤とを添加し、混合撹拌(プレミキシング)した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って顔料分散液を得る。次に、必要に応じて前記顔料分散液に、樹脂(A)、水溶性有機溶剤(B)、及び必要に応じて、上記で挙げたような成分を適宜加え、よく撹拌・混合した後で濾過し、本発明のインキとすることができる。
上記のインキの調製方法において、分散処理を行う前に、プレミキシングを行うのが効果的である。プレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への顔料分散剤の吸着を促進できるため、好ましい。
また顔料の分散処理に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられ、中でもビーズミルが好ましく使用される。ビーズミルとしては、例えばスーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
本発明のインキはインクジェット用であるので、ノズルの耐目詰り性等の観点から、顔料として、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくする方法、粉砕メディアの充填率を大きくする方法、処理時間を長くする方法、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級する方法、及びこれらの方法の組み合わせ等が挙げられる。なおインキの粒度分布は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAEX150を用いて測定することができる。
<インキセット>
本発明のインキは単色で使用してもよいが、用途に合わせて複数の色を組み合わせたインキセットとして使用することもできる。組み合わせは特に限定されないが、シアン、イエロー、マゼンタの3色を使用することでフルカラーの画像を得ることができる。また、ブラックインキを追加することで黒色感を向上させ、文字等の視認性を上げることができる。更にオレンジ、グリーン等の色を追加することで色再現性を向上させることも可能である。白色以外の印刷媒体へ印刷を行う際にはホワイトインキを併用することで鮮明な画像を得ることができる。また、本発明のインキから顔料を除外した、実質的に着色剤成分を含まないインキ(クリアインキ)を構成要素として含むインキセットであってもよい。
なお、耐ブロッキング性や、ラミネート適性に優れた印刷物が得られる観点から、インキセットを構成する全てのインキが、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、及び、水を含有し、前記バインダー樹脂が、構成単位として酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造と、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造とを含み、重量平均分子量が5,000〜45,000であり、かつ、ガラス転移温度が35〜110℃である、水性化された樹脂(A)を含み、前記水溶性有機溶剤が、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を含み、1気圧における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量が、前記水性インクジェットインキ全量に対して0〜5質量%であることが好適である。
<インキ−前処理液セット>
本発明の水性インクジェットインキは、凝集剤を含む前処理液と組み合わせ、インキ−前処理液セットの形態で使用することもできる。凝集剤を含む前処理液を記録媒体上に付与することで、インキ中に含まれる固体成分を意図的に凝集させる層(インキ凝集層)を形成することができる。そして、前記インキ凝集層上に本発明のインキを着弾させることで、インキ液滴間のにじみや色ムラを防止し、印刷物の画像品質を著しく向上させることができる。更に、前処理液に使用する材料によっては、印刷物の密着性、耐ブロッキング性、ラミネート適性もまた向上できる。
本明細書における「凝集剤」とは、水性インクジェットインキに含まれる、顔料の分散状態を破壊し凝集させる、及び/または、樹脂(A)を不溶化し前記水性インクジェットインキを増粘させることができる成分を意味する。本発明のインキと組み合わせる前処理液に使用する凝集剤としては、画像品質を著しく向上できる観点から、金属塩及びカチオン性高分子化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。中でも、優れた画像品質を得るという観点から、前記凝集剤として金属塩を使用することが好ましく、Ca2+、Mg2+、Zn2+、および、Al3+からなる群から選択される1種以上の多価金属イオンの塩を含むことが特に好ましい。なお、凝集剤として金属塩を使用する場合、その含有量は、前処理液全量に対し、2〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることが特に好ましい。
その他前処理液には、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤などを適宜に添加することができる。なお、前処理液に使用できる水溶性有機溶剤や界面活性剤は、上記インキの場合と同様であり、前処理液が水溶性有機溶剤を含む場合、乾燥性、耐ブロッキング性、ラミネート適性に優れた印刷物を得る観点から、前記前処理液が、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を含むことが好適である。また、前処理液が界面活性剤を含む場合、インキ凝集層と印刷層との親和性を高め、ラミネート適性に優れた印刷物を得る観点から、前記前処理液に含まれる前記界面活性剤の種類と、前記インキに含まれる界面活性剤の種類とが同一であることが好ましい。
<記録媒体>
上記の通り、本発明のインキは、フィルムなど非吸収性基材に特に好適に用いることができる。具体的にはポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂;ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの含塩素系樹脂;セロハン;もしくは、これらの複合材料からなるフィルム状またはシート状のものが利用できる。なおこれらの基材は、コロナ処理やプラズマ処理などの表面処理が施されていても良く、画質向上のために、ウレタン樹脂系、アクリル系、オレフィン系、ビニル系の樹脂などによりコート処理が施されていても良い。
<印刷物の製造方法>
本発明のインキは、インクジェットヘッドのノズルから吐出させ、基材上にインキ液滴を付着させる印刷方法で用いられる。
また、本発明のインキを基材上に付与した後、乾燥機構によって前記基材上のインキを乾燥させることが好ましい。前記乾燥機構で用いられる乾燥方法として、加熱乾燥法、熱風乾燥法、赤外線(例えば波長700〜2500nmの赤外線)乾燥法、マイクロ波乾燥法、ドラム乾燥法などが挙げられる。また上記乾燥方法は、単独で用いてもよいし、複数を続けて使用してもよいし、同時に併用してもよい。例えば加熱乾燥法と熱風乾燥法を併用することで、それぞれを単独で使用したときよりも素早く、インキを乾燥させることができる。
本発明の場合、印刷物の耐ブロッキング性及びラミネート適性を向上させるとともに、基材へのダメージを防ぐ観点から、インキ中の樹脂(A)のガラス転移温度をTgAとしたとき、乾燥時の基材温度を(TgA−25)〜(TgA+25)℃の範囲内とすることが好適である。なお、樹脂(A)を2種類以上使用している場合、前記TgAとして、各樹脂(A)のガラス転移温度の加重平均値を使用することとする。
<コーティング処理>
本発明のインキを用いて作製した印刷物は、必要に応じて、印刷面をコーティング処理することができる。前記コーティング処理の具体例として、コーティング用組成物の塗工・印刷や、ドライラミネート法、無溶剤ラミネート法、押出しラミネート法などによるラミネート加工などが挙げられ、いずれを選択してもよいし、複数を組み合わせても良い。
なお、コーティング用組成物を塗工・印刷することによって印刷物にコーティング処理を施す場合、その塗工・印刷方法として、インクジェット印刷のように基材に対して非接触で印刷する方式と、基材に対し前記コーティング用組成物を当接させて印刷する方式のどちらを採用してもよい。また、コーティング用組成物を基材に対して非接触で印刷する方式を選択する場合、前記コーティング用組成物として、本発明のインキから顔料を除外した、実質的に着色剤成分を含まないインキ(クリアインキ)を使用することが好適である。
また印刷物にラミネート加工を施す場合、シーラント基材をラミネートするために使用する接着剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の混合物により構成されることが好ましい。
前記ポリオール成分とは、水酸基を有する樹脂成分であり、塗工性や印刷物界面への濡れ性及び浸透性、エージング後に発現するラミネート強度を鑑み、ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂が好ましく用いられる。中でも、本発明の記録液セットによって得られる印刷物の界面、例えば印刷層(印字部)や前処理液層(非印字部)に対する濡れ性が良好であり、更にラミネート加工された印刷物(積層体)のラミネート強度にも優れる点から、ポリオール成分がポリエステルポリオールを含有することが好ましい。なお、前記ポリオール成分は単一成分でも構わないし、複数成分を併用してもよい。
またポリイソシアネート成分は、前記ポリオール成分と反応しウレタン結合を形成することで、接着剤層を高分子量化させ、ラミネート強度を向上させる。中でも、ポリオール成分との相溶性、本発明の記録液セットによって得られる印刷物の界面に対する濡れ性、及び、ラミネート加工された印刷物(積層体)のラミネート強度の観点から、前記ポリイソシアネート成分が、イソシアネート基末端のポリエーテル系ウレタン樹脂を含有することが好ましい。また上記と同様の観点から、前記ポリイソシアネート成分の配合量は、ポリオール成分に対して50〜80質量%であることが好ましい。なお、前記ポリイソシアネート成分は単一成分でも構わないし、複数成分を併用してもよい
なお、上記ラミネート加工に使用するシーラント基材として、CPPフィルムや直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)フィルム等の、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムが例示できる。また酸化アルミニウム等の金属(酸化物)蒸着層を形成したフィルムを使用してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限りそれぞれ「質量部」、質量%」を表す。
<バインダー樹脂1の製造例>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、2−ブタノン72.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱し、酸基を有するエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸4.5部、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.0部、その他のエチレン性不飽和単量体としてメチルメタクリレート90.5部、および重合開始剤であるV−601(和光純薬社製)12部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬社製)0.6部を添加し、さらに80℃で2時間反応を続けて、バインダー樹脂1の溶液を得た。TSKgelカラム(東ソー社製)及びRI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)を用い、展開溶媒にTHFを用いて測定した上記バインダー樹脂1の重量平均分子量は約7,000であった。
上記バインダー樹脂1の溶液を50℃まで冷却した後、ジメチルアミノエタノールを4.7部添加し中和したのち、水を140部添加した。その後、78℃以上に加熱し、2−ブタノンを水と共沸させて留去したのち、固形分が30%になるように調整することで、バインダー樹脂1の固形分30%の水性化溶液を得た。得られたバインダー樹脂1の酸価、水酸基価はバインダー樹脂の構成単位から算出し、それぞれ29.3(mgKOH/g)、21.6(mgKOH/g)であった。また、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(PerkinElmer社製、DSC6000)を用いて測定し、103℃であった。
<バインダー樹脂2、3、34の製造例>
重量平均分子量を調整するために、滴下した重合開始剤V−601の量をそれぞれ、4部、2部、1.1部とした以外は、バインダー樹脂1と同様の操作にて、バインダー樹脂2、3、34の固形分30%の水性化溶液を得た。
<バインダー樹脂4〜31、35〜41の製造例>
重合性単量体として表1記載の単量体を使用した以外は、バインダー樹脂2と同様の操作にて、バインダー樹脂4〜31、34〜41の固形分30%の水性化溶液を得た。なお、中和に際しては、バインダー樹脂中のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体のカルボキシル基のモル数に対し、ジメチルアミノエタノールのアミノ基のモル数が当モル量になるように添加した。また、酸基、エチレンオキサイド基を有するエチレン性不飽和単量体を使用していないバインダー樹脂37は水性化出来なかったため、以降の評価は行わなかった
<バインダー樹脂33の製造例>
重量平均分子量を調整するために、反応溶剤を2−ブタノンからブタノールへ変更し、反応温度を110℃とした。更に滴下した重合開始剤V−601の量を12部とした以外はバインダー樹脂1と同様の操作にて、バインダー樹脂33の固形分30%の水性化溶液を得た。
<バインダー樹脂32(A−Bブロック重合体)の製造例>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌器を備えた反応容器に、トルエンを20部、重合性モノマーとして、酸基を有するエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸を5.0部とその他のエチレン性不飽和単量体としてメチルメタクリレートを5.0部、重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.9部、2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−イソ酪酸を3.6部、それぞれ投入した。反応容器内を窒素ガスで置換したのち、75℃に昇温し、3時間にわたって重合反応を行うことで、メタクリル酸とメチルメタクリレートとからなる共重合体(Aブロック)を得た。
上記重合反応の終了後、反応系を常温まで冷却したのち、反応容器に、トルエンを60部、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.0部、その他の重合性単量体として、メチルメタクリレート60部、ステアリルメタクリレート15部、スチレン10部をそれぞれ投入した。反応容器内を窒素ガスで置換したのち、75℃に昇温し、3時間にわたって重合反応を行うことで、前記Aブロックに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、スチレンからなる共重合体(ブロックB)が付加したA−Bブロック構造を有する、バインダー樹脂32を得た。
その後、反応系を常温まで冷却したのち、反応容器に、ジメチルアミノエタノールを6.2部添加して中和した後、水を200部添加した。次いで、得られた溶液を加熱し、トルエンを水と共沸させてトルエンを留去したのち、固形分が30%になるように水で調整することで、バインダー樹脂32の水性化溶液を得た。
<バインダー樹脂42の製造例>
重合性単量体として表2記載の単量体を使用した以外は、バインダー樹脂32と同様にして、バインダー樹脂42の水性化溶液(固形分30%)を得た。
<バインダー樹脂43の製造例>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬社製)0.2部とを仕込んだ。一方、ブチルアクリレート70.5部、スチレン20部、交換水53部および乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬社製)1.8部を、別途ホモミキサーで攪拌混合し、乳化液とした。
前記乳化液を5部分取し、上記の反応容器に加えた。添加後、内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液3部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液4部を添加し重合を開始した。反応開始後、内温を60℃に保ちながら上記の乳化液の残りと過硫酸カリウムの5%水溶液2部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の6部を1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。反応終了後、温度を30℃まで冷却し、ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とした。さらにイオン交換水で固形分を30%に調整することで、バインダー樹脂42の水分散液(固形分30%)を得た。
<バインダー樹脂44の製造例>
重合性単量体として表3記載の単量体を使用した以外はバインダー樹脂43と同様の操作にて、バインダー樹脂44の固形分30%の水分散液を得た。
なお、表1〜3に記載された略語は、以下の通りである。
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
MOEPh:メタクリロイルオキシエチルホスホン酸
VSA:ビニルスルホン酸
2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
StMA:ステアリルメタクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
St:スチレン
α‐MeSt:α‐メチルスチレン
PME−400:メトキシポリエチレングリコールアクリレート(EO≒9mol)
BA:ブチルアクリレート
<顔料分散液:シアン1の製造例>
顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3(トーヨーカラー社製Lionol Blue 7358G)を15部、顔料分散樹脂としてスチレンアクリル樹脂(分子量:25000、酸価:200)の固形分50%水性化溶液を10部、水70部を混合し、ディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1,800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて本分散を行い、顔料分散液(シアン1)を得た。
<顔料分散液:マゼンタ1の製造例>
顔料としてC.I.Pigment Red 122(DIC社製FASTGEN SUPER MAGENTA RGT)を使用した以外は、上記シアン1と同様の方法により、顔料分散液(マゼンタ1)を得た。
<実施例1のインキの製造例>
顔料分散液としてシアン1を30部、バインダー樹脂1の水性化溶液を23.3部(固形分換算では7部)、1,2−プロパンジオールを25部、TEGO WET 280(エボニック社製ポリエーテル変性シロキサンコポリマー系界面活性剤)を1.5部、及び、サーフィノール465(信越化学工業社製アセチレンジオール系界面活性剤)1部を混合容器に順次投入したのち、インキ全体で100部になるように水を加えて調整し、ディスパーで十分に均一になるまで攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、ヘッドつまりの原因となる粗大粒子を除去し、実施例1のインキ(インキ1)を作製した。
<実施例2〜49、比較例1〜16のインキの製造例>
表4〜6記載の原料を用い、実施例1のインキの製造例と同様にして、実施例2〜49、比較例1〜16のインキ(インキ2〜65)の作製を行った。
なお、表4〜6に記載された略語は、以下の通りである。
1,2PD:1,2−プロパンジオール
(沸点:188℃、SP値:12.6(cal/cm31/2
1,2BD:1,2−ブタンジオール
(沸点:194℃、SP値:11.5(cal/cm31/2
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(沸点:121℃、SP値:9.5(cal/cm31/2
EFG:プロピレングリコールモノエチルエーテル
(沸点:130℃、SP値:9.0(cal/cm31/2
PFG:プロピレングリコールモノプリピルエーテル
(沸点150℃、SP値:8.5(cal/cm31/2
MDFG:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
(沸点:188℃、SP値:8.7(cal/cm31/2
MB:3−メトキシブタノール
(沸点:161℃、SP値:9.6(cal/cm31/2
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(沸点:231℃、SP値:8.9(cal/cm31/2
DEG:ジエチレングリコール
(沸点:245℃、SP値:12.2(cal/cm31/2
グリセリン
(沸点:290℃、SP値:14.9(cal/cm31/2
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル
(沸点:188℃、SP値:8.1(cal/cm31/2
1,3PD:1,3−プロパンジオール
(沸点:214℃、SP値:13.3(cal/cm31/2
<実施例1〜50、比較例1〜17:インキの評価>
作成したインキについて下記の評価を行った。得られた評価結果は表4〜6に示した。
<評価1:初期吐出性>
京セラ社製ヘッド(KJ4B−1200)を搭載したインクジェット吐出装置に、各インキを充填した。ノズルチェックパターンを印刷し、全てのノズルから正常にインキが吐出されていることを確認してから25℃の環境下で1分間放置した後、周波数40kHz、1200×1200dpiの印字条件で印字率100%のベタ印刷を行った。その際、100%ベタの打ち始めの部分が印刷されているか目視及びルーペで確認を行うことで、初期吐出性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
なお、非吸収性基材としてフタムラ化学社製のPETフィルム(FE2001、厚さ12μm)を用いた。
AA:目視及びルーペで確認しても、打ち始めの部分に、全く欠けが見られず初発が 出ていた
A:目視では欠けが見られないが、ルーペで確認すると1mm未満の欠けが見られた
B:目視で打ち始めに1mm〜5mm未満の欠けが見られた
C:目視で打ち始めに5mm以上に欠けが見られ、初発が出ていなかった
<評価2:待機吐出性>
上記評価1と同様の印刷条件、同様の基材を用いて印字率100%のベタ印刷を行った。印刷後に25℃の環境下で一定時間インクジェット吐出装置を待機させ、その後にノズルチェックパターンの印刷を行い、ノズル抜けが起こっているのか目視確認することで、間欠吐出性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
AA:3時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかった
A:2時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかったが、3時間待機させ た後に印刷するとノズル抜けが発生した
B:1時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかったが、2時間待機させ た後に印刷するとノズル抜けが発生した
C:1時間待機させた後に印刷するとノズル抜けが1〜9本発生していた
D:1時間待機させた後に印刷するとノズル抜けが10本以上発生していた
<評価3:耐ブロッキング性>
上記評価1と同様の印刷条件、同様の基材を用いて印字率100%のベタ印刷を行い、85℃エアオーブンを用いて印刷物を1分間乾燥させた。前記画像印刷物を、4cm×4cm角にカットし、印刷に使用したPETフィルムの非印字面であるフィルム裏面とを重ね合わせ、永久歪試験機を用いてブロッキング試験を実施した。ブロッキング試験の環境条件は、荷重10kg/cm2、温度40℃、80%RH、試験期間24時間とした。24時間経過後、90度の角度を保ちながら、重ねたPETフィルムを瞬間的に引張り剥がし、剥がした後の印刷面を目視で確認することで、耐ブロッキング性を評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。なお、実施例50及び比較例17はシアンインキを印字率100%で印字したのち、乾燥工程を経ることなく、次いでマゼンタインキを印字率100%で印字した重ね刷りの結果である。
なお、印刷物への荷重は、テスター産業株式会社性製の定荷重式永久歪試験機を用いた。
AA:印刷面の取られは全くなく、剥離抵抗もなかった
A:印刷面の取られは全くないが、剥離時に僅かな抵抗があった
B:印刷面の取られが、全面積中10%以内であった
C:印刷面の取られが、全面積中30%以内であった
D:印刷面の取られが、全面積中30%を超えていた
<評価4:ラミネート強度(接着力)の評価>
上記評価1と同様の印刷条件、下記に記載した非吸収性基材を用いて印字率100%のベタ印刷を行い、印刷後に85℃エアオーブンを用いて印刷物を1分間乾燥させた。無溶剤テストコーターを用い、作製した印刷物の印刷面に無溶剤型ラミネート接着剤(東洋モートン製:EA−N373A/B)を、温度60℃、塗工速度50m/分の条件にて塗布した(塗布量:2g/m2)。更にラミネート接着剤の塗工面に、CPP(フタムラ化学製無延伸ポリプロピレンフィルム「FHK2、厚さ25μm」)のコロナ処理面を重ね合わせたのち、40℃、80%RHの環境下にて、1日間エージングすることで、前記無溶剤型ラミネート接着剤組成物を硬化させ、ラミネート加工物を作製した。得られたラミネート加工物を、長さ300mm、幅15mmに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、300mm/分の剥離速度で引張り、T型剥離強度(N)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求めることで、接着力の評価を行った。
なお、非吸収性基材として、フタムラ化学社製のPETフィルム(FE2001、厚さ12μm)及びフタムラ化学社製のOPPフィルム(FOR−AQ、厚さ20μm)を使用した。表4〜6に示されるPET/CPP,OPP/CPPは、ラミネート加工物のフィルム構成を表し、「印刷基材/ラミネート接着剤により張り合わせたフィルム」を表す。評価基準は以下の通りとし、AA、A、B評価が実使用上可能領域である。なお、実施例50及び比較例17はシアンインキを印字率100%で印字したのち、乾燥工程を経ることなく、次いでマゼンタインキを印字率100%で印字した重ね刷りの結果である。
AA:接着力1.5N以上
A:接着力1.0N以上、1.5N未満
B:接着力0.6N以上、1.0N未満
C:接着力0.3N以上、0.6N未満
D:接着力0.3N未満
<評価5:乾燥性の評価>
上記評価1と同様の印刷条件、同様の基材を用いて印字率100%のベタ印刷を行った。印刷後に85℃エアオーブン内に静置し、一定時間ごとに取り出して印刷物を指触することで、乾燥性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
AA:乾燥時間10秒で指触してもタック感がなく、塗膜が乾燥していた
A:乾燥時間20秒で指触してもタック感がなく、塗膜が乾燥していたが、10秒時 点では乾燥していなかった
B:乾燥時間30秒で指触してもタック感がなく、塗膜が乾燥していたが、20秒時 点では乾燥していなかった
C:乾燥時間40秒で指触してもタック感がなく、塗膜が乾燥していたが、30秒時 点では乾燥していなかった
D:乾燥時間40秒で指触してもタック感があり、塗膜が乾燥していなかった
実施例1〜50は好適なバインダー樹脂、水溶性有機溶剤の組み合わせからなり、いずれの評価も良好な結果となった。
比較例1は、水性インキに含まれるバインダー樹脂の重量平均分子量が4,200であり、印刷塗膜の凝集力不足のため耐ブロッキング性、ラミネート強度が悪い結果となった。比較例2はバインダー樹脂の重量平均分子量が57,000であり、インクジェットノズル上で固着、析出が起こり、吐出性が悪い結果となった。また、乾燥時に溶剤離れが悪く、乾燥性も悪い結果となった。比較例3はバインダー樹脂のTgが117℃であり、インキ塗膜の柔軟性が劣りラミネート強度が悪い結果となった。更に、乾燥時にインキ塗膜からの水溶性有機溶剤の揮発が遅く、乾燥性が劣る結果となった。比較例4はバインダー樹脂のTgが低く、耐ブロッキング性が劣る結果となった。また、柔軟性が過多になりラミネート強度も劣る結果となった。比較例5はバインダー樹脂に酸基がないため、インキ塗膜の凝集力が劣り耐ブロッキング性、ラミネート強度が悪い結果となった。比較例6、7、9、12、13はバインダー樹脂に水酸基がないため、本発明で使用する水溶性有機溶剤と組み合わせた際にインクジェットノズル上での固着が起こりやすく待機吐出が悪い結果となった。また、ラミネート接着剤との架橋や、水素結合力が劣るためラミネート強度が悪い結果となった。比較例8は前記特許文献1の参考例4を参考に製造したバインダー樹脂を使用したものであるが、重量平均分子量が47,000、Tgが12℃であり、上記と同様の理由から、乾燥性、耐ブロッキング性、ラミネート強度いずれも悪い結果となった。比較例10、11で使用したバインダー樹脂は、構成単位として、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造を含まず、また前記バインダー樹脂を含む溶液は水分散液であるため、本発明における水性化された樹脂に属さない。また両比較例共に、重量平均分子量が高く、インクジェットノズル上での固着が起きたため待機吐出性が悪い結果となった。更に、溶剤分子がインキ塗膜から揮発し難いため、乾燥性が悪い結果となった。加えて比較例10ではTgも低いため、インキ塗膜の柔軟性が過剰となり、耐ブロッキング性が悪い結果となった。一方比較例11は、インキ塗膜中の柔軟性が劣りバインダー樹脂鎖の運動が制限されるため、ラミネート加工時にバインダー樹脂の水酸基とラミネート接着剤の相互作用が劣り、ラミネート強度も悪い結果となった。
比較例14、15は水溶性有機溶剤のSPがそれぞれ8.1、13.3(cal/cm31/2であり、本発明におけるバインダー樹脂との組み合わせにおいては吐出安定性が悪い結果となった。比較例16は沸点235℃以上の水溶性有機溶剤が7.0%含まれており、乾燥性、耐ブロッキング性、ラミネート強度が悪い結果となった。比較例17は水酸基を含まないバインダー樹脂を使用したインキ61、62の重ね刷りであったが、水酸基を含まないため、ラミネート接着剤との相互作用が劣り、ラミネート強度が悪い結果となった。

Claims (7)

  1. 顔料、顔料分散樹脂、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及び、水を含有する水性インクジェットインキであって、
    前記バインダー樹脂が、構成単位として、酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a1)由来の構造、及び、水酸基を含むエチレン性不飽和単量体(a2)由来の構造を含む、水性化された樹脂(A)を含有し、
    前記樹脂(A)重量平均分子量が5,000〜45,000であり、
    前記樹脂(A)のガラス転移温度が35〜110℃であり、
    前記樹脂(A)の酸価が、10〜60mgKOH/gであり、
    前記水溶性有機溶剤が、SP値が8.5〜13(cal/cm31/2である水溶性有機溶剤(B)を含み、
    1気圧における沸点が235℃以上である水溶性有機溶剤の含有量が、前記水性インクジェットインキ全量に対して0〜5質量%であり、
    前記界面活性剤が、アセチレン系界面活性剤を含む、水性インクジェットインキ。
  2. 前記水溶性有機溶剤(B)が、1,2−プロパンジオール、及び、1,2−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を、前記水性インクジェットインキ全量に対して5〜30質量%含む、請求項1記載の水性インクジェットインキ。
  3. 前記水溶性有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上のプロピレングリコールエーテル系溶剤を、前記水性インクジェットインキ全量に対して1〜10質量%含む、請求項1または2に記載の水性インクジェットインキ。
  4. 前記樹脂(A)の水酸基価が1〜50mgKOH/gである、請求項1〜いずれかに記載の水性インクジェットインキ。
  5. 互いに色相の異なる、2種類以上の水性インクジェットインキを備える水性インクジェットインキセットであって、
    前記2種類以上の水性インクジェットインキのそれぞれが、請求項1〜いずれかに記載の水性インクジェットインキである、水性インクジェットインキセット。
  6. 請求項1〜いずれかに記載の水性インクジェットインキ、あるいは、請求項に記載の水性インクジェットインキセットを、インクジェットヘッドから吐出して基材に付着させる工程と、前記水性インクジェットインキが付着した基材を乾燥させる工程とを有する、水性インクジェットインキ印刷物の製造方法。
  7. 請求項1〜いずれかに記載の水性インクジェットインキ、または、請求項に記載の水性インクジェットインキセットを、基材に印刷してなる印刷物。
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