JP6866613B2 - コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体 - Google Patents

コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体 Download PDF

Info

Publication number
JP6866613B2
JP6866613B2 JP2016210619A JP2016210619A JP6866613B2 JP 6866613 B2 JP6866613 B2 JP 6866613B2 JP 2016210619 A JP2016210619 A JP 2016210619A JP 2016210619 A JP2016210619 A JP 2016210619A JP 6866613 B2 JP6866613 B2 JP 6866613B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pigment
core
layer
anionic group
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016210619A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017082212A (ja
Inventor
裕太郎 上田
裕太郎 上田
良太 日比野
良太 日比野
鳫林 秀樹
秀樹 鳫林
岡田 真一
真一 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Publication of JP2017082212A publication Critical patent/JP2017082212A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6866613B2 publication Critical patent/JP6866613B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体に関する。
インクジェット記録方式は、家庭用からオフィス用、写真用、屋外用へと用途が拡大傾向にあり、印字物の耐候(光)性・保存性が重視されるようになっている。これまでインクジェット記録用着色剤として中心的存在であった染料では、耐光性という点では課題が多く、それに伴い、耐光性に優れた顔料によるインクジェット記録用水性インクの開発が進められている。
顔料は水不溶性であり水性媒体に分散させた水性顔料分散体として使用する。このことから、顔料を安定に水性媒体に分散させる手法が従来検討されてきた。
例えば、色材と樹脂を混合し、水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、微粒子が少なくとも2層以上のコアシェル構造を有し、内核を形成するコアとその外側に形成された少なくとも1層のシェルのうち、少なくとも2つ以上がそれぞれ架橋構造を有する分散安定性の向上したコアシェル構造を有する架橋された着色微粒子分散体や(例えば特許文献1参照)、インクジェット記録用水性インクの色材として、顔料表面に、非水溶媒に可溶な重合性不飽和基を含有するポリマーと、カルボン酸基、スルホン酸基及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を分子中に有する少なくとも1種の重合性不飽和単量体とを共重合することにより得られるポリマーを有する変性顔料を使用することが知られている(例えば特許文献2参照)。
あるいは、シェルとなる非架橋性樹脂でコアとなる着色剤が内包された着色樹脂粒子を作製する方法として、(1)酸価を有する合成樹脂(a)に,少なくとも着色剤(B)を分散または溶解して固形着色コンパウンドを得る樹脂着色工程と、(2)少なくとも,水,合成樹脂(a)を溶解する有機溶媒,塩基(b),前記樹脂着色工程で得られた固形着色コンパウンドを混合し,分散によって少なくとも樹脂の一部が溶解している着色剤懸濁液を得る懸濁工程と、(3)前記懸濁工程で得られた着色剤懸濁液中の着色剤表面に溶解樹脂成分を沈着させる再沈殿工程により得られることが、文献3の段落0023に記載されている。
しかしながらいずれの文献も、シェルとなる樹脂の被覆量が印刷特性に与える影響については検討されてはいない。
特開2004−269558号公報 特開2009−235320号公報 特開平11−349870号公報
本発明が解決しようとする課題は、顔料を安定に水性媒体に分散でき、且つ印刷特性が良好な、シェル層として複数の樹脂層を有するコアシェル型変性顔料を提供することにある。
本発明者らは、コア部分である顔料にシェル部分となる樹脂の層が存在するコアシェル型変性顔料であって、顔料を内包する即ち顔料と直接接する第一層の樹脂が非反応性のアニオン性基を有するアクリル系共重合体であり、該第一の層に接し最外層となる第二層の樹脂がアニオン性基を有するウレタン樹脂である、シェル部分となる樹脂が2層となるコアシェル型変性顔料が、分散安定性に優れることを見いだし、且つ、該アニオン性基を有するウレタン樹脂の量が、印刷特性特に耐マーカー性や印刷濃度均一性に影響することを見いだした。該アニオン性基を有するウレタン樹脂の量が多いほど耐マーカー性に優れるが吐出の不安定さを示す印刷濃度均一性は劣る傾向が生じる。
これに対し本発明者らは、耐マーカー性と印刷濃度均一性とのバランスに優れる適正なウレタン樹脂の量が、コロイド滴定により特定した飽和吸着量から算出できることを見いだし、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、コア部分である顔料にシェル部分となる樹脂の層が存在するコアシェル型変性顔料であって、前記樹脂の層が、顔料に接するアニオン性基を有するアクリル系共重合体の第一層と、該第一の層に接し最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層とを含み、前記アニオン性基を有するウレタン樹脂が、飽和吸着量の20〜150%の範囲であるコアシェル型変性顔料を提供する。
また本発明は、前記記載のコアシェル型変性顔料、及び水性媒体を含有する水性顔料分散体を提供する。
本発明により、顔料を安定に水性媒体に分散でき、且つ印字特性が良好な、シェル層として複数の樹脂層を有するコアシェル型変性顔料を含む顔料組成物を提供することができる。
(顔料)
本発明で使用する顔料は、公知慣用の有機顔料あるいは無機顔料の中から選ばれる少なくとも一種の顔料である。また、本発明は未処理顔料、処理顔料のいずれでも適用することができる。具体的には、水や水溶性有機溶剤に分散可能であり、公知の無機顔料や有機顔料が使用できる。無機顔料としては例えば、酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
例えばブラックインクに使用される顔料としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.2200B、No.995、No.990、No.900、No.960、 No.980、No.33、No.40、No,45、No.45L、No.52、HCF88、MA7、MA8、MA100、等が、コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Mogul 700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400等が、デグサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同1400U、Special Black 6、同5、同4、同4A、NIPEX150、NIPEX160、NIPEX170、NIPEX180、NIPEX95、NIPEX90、NIPEX85、NIPEX80、NIPEX75等が挙げられる。
またイエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、150、168、176、184、185、202、209、213、282、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
また、シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、63、66等が挙げられる。
また顔料は、分散処理後の分散粒径が1μm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm〜250nmであることがなお好ましく、50nm〜200nmであることが最も好ましい。また顔料は固溶体であってもよく、2種類以上の顔料を混合して使用してもよい。
また自己分散型顔料を使用してもよい。前記自己分散型顔料は、分散剤なしに水性媒体中に分散可能な顔料を意味する。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散あるいは溶解」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても、その表面の親水基により、水性媒体中に安定に存在している状態を意味する。ここで、「水性媒体中に安定に存在」とは、分散剤なしに水中(25℃、固形分10重量%)で90日間安定(顔料の粒径変化幅が+/−30%以内)であることを意味する。
前記親水基は、−OM、−COOM、−SOM、−SOM、−SONH、−RSOM、−POHM、−PO、−SONHCOR、−NH、及び−NRからなる群から選択される一以上の親水基、すなわちアニオン性親水性官能基であることが好ましい。なお、これらの式中のMは互いに独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、置換基を有していてもよいフェニル基、又は有機アンモニウムを表す。また、これらの式中のRは互いに独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
自己分散型顔料は、例えば、顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、前記親水基を顔料の表面に結合(グラフト)させることにより製造される。当該物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また、当該化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
前記自己分散型顔料は、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報、特表2008−524400号公報、特表2009−515007号公報、特表2010−537006号公報、特表2012−500866号公報等に記載の方法によって顔料が処理されたものを用いることができる。前記自己分散型顔料の原料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本発明で使用する顔料は、ドライパウダー及びウェットケーキのいずれも用いることができる。また、これらの顔料は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用する顔料は、その一次粒子径が25μm以下のものからなる顔料が好ましく、1μm以下のものからなる顔料が特に好ましい。粒子径がこの範囲にあれば、顔料の沈降が発生しにくく、顔料分散性が良好となる。
粒子径の測定は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定した値を採用することができる。
(アニオン性基を有するアクリル系共重合体)
本発明で使用するアニオン性基を有するアクリル系共重合体は、具体的には、(メタ)アクリル酸等のアニオン性基を有する単量体とそれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体が挙げられる。尚、本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸との総称を意味するものとする。(メタ)アクリル酸の各種エステルの場合も前記と同様に解釈される。
同一酸価対比においてより共重合体の疎水性を高め、共重合体の顔料表面への吸着がより強固と出来る点で、前記したその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のベンゼン環を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体を用いることが好ましい。中でも、中でも、スチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン等のスチレン系単量体を用いることが特に好ましい。
本発明における共重合体は、(メタ)アクリル酸の重合単位とその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の重合単位を必須の重合単位として含有する共重合体であれば良く、それらの二元共重合体であっても更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との三元以上の多元共重合体であっても良い。
エチレン性不飽和単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、1,3−ジメチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−メチルブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、ヘプチルメタアクリレート、マレイン酸、マレイン酸無水物、ノニルメタアクリレート等のアクリル酸エステル類及びメタアクリル酸エステル類;3−エトキシプロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートのようなアクリル酸エステル誘導体及びメタクリル酸エステル誘導体;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェニルエチルメタアクリレートのようなアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類あるいはモノメタアクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
本発明で用いる共重合体は、モノエチレン性不飽和単量体の重合単位のみの線状(リニアー)共重合体であっても、各種の架橋性を有するエチレン性不飽和単量体を極少量共重合させ、一部架橋した部分を含有する共重合体であっても良い。
この様な架橋性を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートや、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明においては、用いる各単量体の反応率等は略同一と考えて、各単量体の仕込割合を、各単量体の重合単位の質量換算の含有割合と見なすものとする。本発明における共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することが出来る。この際には、公知慣用の重合開始剤、連鎖移動剤(重合度調整剤)、界面活性剤及び消泡剤を併用することも出来る。
本発明で使用するアニオン性基を有するアクリル系共重合体として特に好ましくは、前記共重合体の中でも、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体等の、スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸を原料モノマーとして含むスチレン−アクリル酸系共重合体が挙げられる。(なお、本発明において「スチレン−アクリル酸系共重合体」とは、前述の通り「スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸を原料モノマーとして含む共重合体」と定義するものとする。従って、スチレン系モノマー、及び(メタ)アクリル酸以外の汎用のモノマーを共重合させてあってもよい)
スチレン−アクリル酸系共重合体の原料であるスチレン系モノマーの使用比率は50〜98質量%であることがより好ましく、中でも70〜90質量%であることが特に好ましい。スチレン系モノマーの使用比率が50質量%以上であると、顔料へのスチレン−アクリル酸系共重合体の親和性が良好となり、水性顔料分散体の分散安定性が向上する傾向がある。また該水性顔料分散体から得られるインクジェット記録用水性インクの普通紙記録特性が向上し、画像記録濃度が高くなる傾向があり、更に耐水特性も良好となる傾向がある。スチレン系モノマーの量が90質量%以下の上記範囲であると、スチレン−アクリル酸系共重合体で被覆された顔料の水性媒体に対する分散性を良好に維持することができ、水性顔料分散体における顔料の分散性や分散安定性を向上させることができる。更に、インクジェット記録用インク組成物として使用した場合の印字安定性が良好になる。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体はスチレン系モノマー、アクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマーの少なくとも一方の共重合によって得られるが、アクリル酸とメタクリル酸を併用することが好ましい。その理由は、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性が良くなり、その結果、保存安定性が良好となり、且つより微粒子化された顔料分散液が得られる傾向があるためである。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体においてスチレン系モノマーとアクリル酸モノマーとメタクリル酸モノマーの共重合時の総和は、全モノマー成分に対して80質量%以上であることが好ましい。
前記スチレン−アクリル酸系共重合体の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
また、前記スチレン−アクリル酸系共重合体はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレン−アクリル酸系共重合体は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
本発明において、アニオン性基を有するアクリル系共重合体の重量平均分子量は2000〜40000の範囲内であることが好ましい。例えば前記スチレン−アクリル酸系共重合体を使用する場合も、その重量平均分子量は5000〜20000の範囲内であることが好ましく、5000〜18000の範囲内にあることがより好ましい。中でも、5500〜15000範囲内にあることが特に好ましい。ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
本発明で使用するアニオン性基を有するアクリル系共重合体がスチレン−アクリル酸系共重合体の場合、アクリル酸モノマー及びメタクリル酸モノマー由来のカルボキシル基を有するが、その酸価は10〜400(mgKOH/g)であることが好ましく、50〜300(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。酸価が300(mgKOH/g)以下であると顔料の凝集がより発生し難くなる傾向にある。
ここでいう酸価とは、日本工業規格「 K 0070:1992. 化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に従って測定された数値であり、樹脂1gを完全に中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)である。
酸価が低すぎる場合には顔料分散や保存安定性が低下し、また後記するインクジェット記録用水性インクを調製した場合に、印字安定性が悪くなるので好ましくない。酸価が高すぎる場合には、着色記録画像の耐水性が低下するのでやはり好ましくない。共重合体を該酸価の範囲内とするには、(メタ)アクリル酸を、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
(塩基性化合物)
本発明において塩基性化合物は、前記アニオン性基を中和する目的で使用する。塩基性化合物としては公知のものを使用でき、例えばカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの炭酸塩;水酸化アンモニウム等の無機系塩基性化合物や、トリエタノールアミン、N,N−ジメタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−N−ブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコール類、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのモルホリン類、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピペラジンヘキサハイドレートなどのピペラジン等の有機系塩基性化合物が挙げられる。
これらを使用した前記アニオン性基の中和率は特に限定はないが、一般に80〜120%となる範囲で行うことが多い。なお本発明において、中和率とは塩基性化合物の配合量が前記アニオン性基を有するアクリル系共重合体中の全てのカルボキシル基の中和に必要な量に対して何%かを示す数値であり、以下の式で計算される。
Figure 0006866613
(アニオン性基を有するアクリル系共重合体の第一層の形成方法)
コア部分である顔料にアニオン性基を有するアクリル系共重合体のシェルの第一層を形成させる方法としては、特に限定されず公知の分散方法で行うことができる。例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等のメディアを使用するメディアミル分散法や、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、アルティマイザー等を使用したメディアレス分散法、ロールミル、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、インテンシブミキサー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー等、強い剪断力を与える混練分散法等が挙げられる。このうち混練分散法は、顔料を含有する高固形分濃度の混合物に混練機で強い剪断力を与えることによって顔料粒子を微細化させる方法であり好ましい。
以後、コア部分である顔料にシェルとなる樹脂の第一層のみを形成させた変性顔料を、コアシェル一層型変性顔料と称する場合があり、樹脂としてアニオン性基を有するアクリル系共重合体を使用したコアシェル一層型変性顔料をコアシェル一層型変性顔料Aと称する場合がある。
前記混練分散法は、顔料、アニオン性基を有するアクリル系共重合体、塩基性化合物、必要に応じ水溶性有機溶剤を仕込み混練を行う。またこのときの仕込み順序には特に限定はなく全量を同時に仕込んで混練を開始してもよいし、各々を少量ずつ仕込んでもよいし、例えばアニオン性基を有するアクリル系共重合体と塩基性化合物と顔料とを仕込んだのち水溶性有機溶剤を仕込む等、原料によって仕込み順を変えてもよい。各々の原料の仕込み量は前述の範囲で行うことができる。
混練分散法のメリットである強い剪断力を混合物に与えるためには、該混合物の固形分比率が高い状態で混練するほうが好ましく、より高い剪断力を該混合物に加えることができる。固形分比率としては、20〜100質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、40〜80質量%が最も好ましい。20質量%未満では混合物の粘度が低下するため、混練が十分に行われず、顔料の解砕が不十分となるおそれがある。そして、固形分比率をこのように高めることによって混練中の混練物の粘度を適度に高く保ち、混練中の混練機から混練物にかかるシェアを大きくして、混練物中の顔料の粉砕と顔料のアニオン性基を有するアクリル系共重合体による被覆を同時に進行させることができる。
また顔料に対するアニオン性基を有するアクリル系共重合体の量は任意の樹脂量でよいが、一般には1〜100重量%が好ましく、5〜50重量%がなお好ましく、10〜30重量%がさらに好ましく、2.5〜20重量%が最も好ましい。
混練時の温度は混練物に十分な剪断力が加わるように、使用するアニオン性基を有するアクリル系共重合体のガラス転移点等の温度特性を考慮して適宜調整を行うことができる。例えばアニオン性基を有するアクリル系共重合体がスチレン−アクリル酸系共重合体の場合、ガラス転移点より低く、かつ該ガラス転移点との温度差が50℃より小さい範囲で行うことが好ましい。このような温度範囲で混練を行うことにより、混練温度の上昇による樹脂の溶融に伴う混練物の粘度低下によって剪断力が不足することがない。
混練工程に用いる混練装置としては、固形分比率の高い混合物に対して高い剪断力を発生させることのできるものであればよく、前述したような公知の混練装置の中から選択して用いることが可能であるが、二本ロール等の撹拌槽を有しない開放型の混練機を用いるよりは、撹拌槽と撹拌羽根を有し撹拌槽を密閉可能な混練装置を用いることが好ましい。撹拌槽と撹拌羽根を有し、混練装置を用いることが好ましい。このような装置としては、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、好ましくは顔料濃度と顔料と樹脂からなる固形分濃度が高い状態で混練を行うため、混練物の混練状態に依存して混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは二本ロール等と比較すると、広い範囲の粘度領域で混練処理が可能であり、更に水性媒体の添加及び減圧溜去も可能であるため、混練時の粘度及び負荷剪断力の調整が容易である。
該混練工程においては、湿潤剤として機能する高表面張力のグリコール類やジオール類等多価アルコール類等の前記水溶性有機溶剤を併用してもよい。
前記混練分散法でコアシェル一層型変性顔料Aが得られる。コアシェル一層型変性顔料Aを前述のように混練分散法で得た場合はそのまま水希釈して次のアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層を形成する工程に使用する。
水希釈する場合は、例えば撹拌槽と撹拌羽根を有し撹拌槽を密閉可能な混練装置を使用しておれば、混練分散法後そのまま水を添加することが可能である。ここで使用する水は、水単独のほか水溶性有機溶剤を併用していてもよい。
(水)
本発明で使用する水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより得られた水性顔料分散体やそれを使用したインク等を長期保存する場合にカビまたはバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
(水溶性有機溶剤)
本発明においては、水の他、必要に応じて水溶性有機溶剤を併用してもよい。水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素数が3〜6のケトン及び炭素数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。
また、粘度の高いエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシルの各エーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;あるいは、スルホラン;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;2−ピロリジノン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類;グリセリンおよびその誘導体、ポリオキシエチレンベンジルアルコールエーテルなどは、顔料分散時に使用する湿潤剤として使用することもできる。
これら水溶性有機溶剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。中でも、高沸点、低揮発性で、高表面張力のグリコール類やジオール類等多価アルコール類は、湿潤剤として特に使用が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。
このようにして得たコアシェル一層型変性顔料Aのペーストは、用途にもよるが通常顔料濃度が10〜50質量%となるように調整してあると、次のアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層を形成する工程が容易であり好ましい。
具体的には、例えば前述のように撹拌槽を有する混練機で顔料混練物を製造した後,該撹拌槽に水を添加、混合し、必要に応じて撹拌して直接希釈することにより水性顔料分散体を製造できる。また,撹拌翼を備えた別の攪拌機で固体の顔料分散体と水を混合し,必要に応じて撹拌して水性顔料分散体を調製できる。
水の混合に関しては、顔料混練物に対して必要量を一括混合してもよいが、連続的あるいは断続的に必要量を添加して混合を進めた方が、水による希釈が効率的に行われ、より短時間で水性顔料分散体を作製することができる。溶解時間・過熱温度には特に制限は無いが、混練物の十分な溶解性・得られる分散体の均一性を確保するために、アニオン性基を有するアクリル系共重合体の分解を生じたり、分散体の安定性を損ねたりすることの無い範囲で、長時間・高温であることが好ましい。
また,この様にして得られた水性顔料分散体を、更に分散機により分散処理しても良い。この時使用できる分散機としても特に限定はなく、ペイントシェーカー、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル、ジュースミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機、ニーダー、プラネタリーミキサーなどがあげられる。
(アニオン性基を有するウレタン樹脂)
次に、前記コアシェル一層型変性顔料Aにアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層を形成する。
以後、「コア部分である顔料に、シェルである顔料に接する樹脂の第一層と、該第一の層に接し最外層となる樹脂の第二層を有するもの」をコアシェル二層型変性顔料と称し、本発明の「コア部分である顔料に、顔料に接するアニオン性基を有するアクリル系共重合体の第一層と、該第一の層に接し最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層とを含むコアシェル型変性顔料」を「コアシェル二層型変性顔料A」と称する場合がある。
本発明で使用するアニオン性基を有するウレタン樹脂は、具体的には、カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性基を有するポリオールとポリイソシアネート、さらに必要に応じて汎用のアニオン性基を有さないポリオールや鎖伸長剤を反応させて得たウレタン樹脂があげられる。
本発明で使用するカルボキシ基を有するポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多塩基酸無水物との反応によって得られるエステル、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシアルカン酸等が挙げられる。好ましい化合物としては2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸が挙げられる。中でも、ジメチロールプロピオン酸、又はジメチロールブタン酸の入手が容易であり好ましい。
また、スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
本発明で使用するジイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネー卜化合物、イソホロンジイソシアネー卜、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネー卜化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネー卜等の芳香脂肪族ジイソシアネー卜化合物、トルイレンジイソシアネー卜、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー卜が挙げられる。
中でも、印字画像の耐光変色が起こり難い点では、脂肪族ジイソシアネート化合物または脂環族ジイソシアネートが好ましい。
また、汎用のアニオン性基を有さないポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミドおよびポリヒドロキシポリチオエーテルが挙げられる。中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリヒドロキシポリカーボネートが好ましい。これらのポリオールは1種のみを反応させてもよく、数種を混合して反応させてもよい。
また前記ポリオールのほか、印字物における皮膜硬度の調整等を目的として、低分子量のジオールを適宜併用しても良い。例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
本発明で使用する鎖伸長剤は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール等のジオール類、ポリアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等のジアミン類の1種または2種以上を使用することができる。
前記ウレタン樹脂は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させることでウレタン樹脂を製造する。次いで、前記塩基性化合物等を用いて中和することにより形成されたアニオン性基を有するウレタン樹脂を、水性媒体中に混合し水性化する際に、必要に応じて鎖伸長剤と混合し、反応させることによって製造することができる。
前記ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、例えば、前記ポリオールが有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
本発明において、アニオン性基を有するウレタン樹脂の重量平均分子量は5,000〜500,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜200,000のものを使用することがより好ましく、15,000〜100,000のものを使用することが特に好ましい。
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
また、前記ウレタン樹脂としては、0〜150(mgKOH/g)の範囲の酸価を有するものを使用することが好ましく、10〜100(mgKOH/g)の範囲であることが、ウレタン樹脂の良好な水分散安定性等を向上するうえで好ましい。
ここでいう酸価とは、日本工業規格「 K 0070:1992. 化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に従って測定された数値であり、樹脂1gを完全に中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)である。
酸価が低すぎる場合には顔料分散や保存安定性が低下するおそれがあり、酸価が高すぎる場合には形成画像の耐水性が低下するおそれがある。共重合体を該酸価の範囲内とするには、カルボキシ基を有するポリオールを、前記酸価の範囲内となる様に含めて共重合すれば良い。
中和に使用する塩基性化合物は、前述の前記アニオン性基を中和する目的で使用する塩基性化合物を使用することができる。
(アニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層の形成方法)
コアシェル一層型変性顔料Aにアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層を形成する方法としては、前述のコア部分である顔料にアニオン性基を有するアクリル系共重合体のシェルの第一層を形成させる方法と同様公知の分散方法で行うことができるが、あまり強い剪断力が加わる分散法は、逆に顔料を内包したアニオン性基を有するアクリル系共重合体のシェルの第一層をはがすことになりかねないため、ややマイルドな分散方法が好ましい。好ましい分散方法としては、攪拌翼を用いた攪拌や、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等のメディアを使用するメディアミル分散法や、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、アルティマイザー等を使用したメディアレス分散法等が挙げられる。
(コロイド滴定)
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂は、コアシェル二層型変性顔料に対し飽和吸着量の40%以上を有する。
本発明において、飽和吸着量はコロイド滴定法で算出される。コロイド滴定法とは、溶液中の各種ポリマーの電荷量やコロイド粒子の表面電荷量を測定する方法であり、滴定液としてカチオン性高分子:poly−DADMAC(ポリジメチルアリルアンモニウムクロライド)、MGCh(メチルグリコールキトサン)、アニオン性高分子:Pes−Na(ポリエチレンスルホン酸ナトリウム)、PVSK(ポリビニル硫酸カリウム)等の高分子電解質が一般に使用される。本発明においては、滴定する対象がアニオン性樹脂であるためカチオン性高分子であるpoly−DADMAC(ポリジメチルアリルアンモニウムクロライド)を滴定液として使用した。また滴定装置は粒子電荷計PCD−04(スペクトリス社製)を用いた。
コロイド滴定法では、滴定する対象がアニオン性樹脂の場合は滴定前の流動電位が負の値を示し、滴定する対象がカチオン性樹脂の場合は滴定前の流動電位が正の値を示す。本発明で使用する樹脂は全てアニオン性基を有する樹脂であるため、滴定前の流動電位が負の値を示す。
アニオン性基を有する樹脂のみを含む水溶液に前記滴定液である高分子電解質を滴下すると、カチオンとアニオンとが反応しイオン会合体を形成する。このようにアニオンの電荷が中和されることで電位が低下する。電位がゼロに達したときの滴定液の滴下量が該水溶液中のアニオン電荷が全て中和された量と一致すると判断できる。
電位がゼロに達したときの滴下量Vと、滴定液の濃度Nとから、アニオン性基を有する樹脂を含む水溶液1g当たりの電荷量Q[C/g]は以下の式(1)で求められる。
Figure 0006866613
上記式(1)中、記号は以下の通りである。
Q:アニオン性基を有する樹脂を含む水溶液1g当たりの電荷量[C]
V:消費した滴定液の量[L]
c:滴定液の濃度[N]
F:ファラデー係数[96485C/eq])
m:アニオン性基を有する樹脂を含む水溶液[g]
該水溶液中のアニオン性基を有する樹脂の重量から、アニオン性基を有する樹脂1gあたりの電荷量を求めることができる。また、同一構造、同一酸価を有する樹脂であれば、前記電荷量Qは樹脂の水溶液濃度に比例する。比例直線の傾きは、樹脂の酸価が低いほど緩く、酸価が高いほど急となる。これを図1に示す。図1において、符号1で表されるグラフAは後述の実施例で使用したスチレン−アクリル酸系共重合体のグラフであり、符号2で表されるグラフBは後述の実施例で使用したウレタン樹脂のグラフである。
コアシェル型変性顔料において、コアシェル一層型変性顔料の、前記コロイド滴定によるアニオン性基を有する樹脂1g当たりの電荷量Qが一定であることから、有機高分子の層の重量に対しては比例関係を示す。
一方、コアシェル二層型変性顔料Aは、前記コロイド滴定によるアニオン性基を有する樹脂1g当たりの電荷量Qが、樹脂の層の重量に対する比例関係を示さない。これを図2に示す。図2において、符号4で表されるグラフCは、前記式(1)とは異なる挙動を示し、且つ変曲点Pを有する。
理論上は、前記樹脂の層の重量に対しては比例関係を示すことから、前記アニオン性基を有するアクリル系共重合体とアニオン性基を有するウレタン樹脂との総量に対する電荷量Qが、符号3で表されるグラフA+Bとして求められるはずである。しかしながら、前記アニオン性基を有するアクリル系共重合体のシェルに接し最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層が、前記アニオン性基を有するアクリル系共重合体を覆うように形成されると推定され、このためウレタン樹脂に被覆されたアクリル系共重合体のアニオン電荷は中和されず、添加したウレタン樹脂量に応じた試料電荷量の増加が観測されないために、比例関係とはならず前記式(1)とは異なる挙動を示すグラフCとなると推定している。また変曲点Pを越えた後は、式(1)と同様のグラフBの傾きと同様のグラフとなるが、これは変曲点Pが最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層の吸着量の飽和であり、これ以後は吸着されずに水溶液にアニオン性基を有するウレタン樹脂が遊離して存在する状態になったと推定される。
即ち、変曲点Pを示す電荷量Qを前記式(1)に当てはめたときの、算出されたアニオン性基を有するウレタン樹脂量が、コアシェル二層型変性顔料Aに対する飽和吸着量と推定される。
本発明においては、前記アニオン性基を有するウレタン樹脂が、コアシェル二層型変性顔料Aに対する飽和吸着量の20%以上であれば、印字特性が良好である。また飽和吸着量である変曲点Pを超えてウレタン樹脂を添加する場合、その超える量は飽和吸着量の150%であれば、遊離して存在するウレタン樹脂の影響をあまり受けないコアシェル二層型変性顔料Aを得ることができる。またコアシェル二層型変性顔料Aは、前述のとおり第一層、第二層となる樹脂はいずれも分散方法により形成させることができ、その後は乾燥してもそのまま水分散体として使用することもできるが、水分散体として使用する場合であっても、その超える量は飽和吸着量の150%であれば、遊離して存在するウレタン樹脂の影響をあまり受けることがないので好ましい。前記ウレタン樹脂の範囲は30〜120%であるとよりに好ましく、40〜110%であることが最も好ましい。
(用途)
本発明のコアシェル二層型変性顔料Aは、水分散体として得られる。これを乾燥することにより、コアシェル二層型顔料と遊離した樹脂の組成物として使用してもよいし、水分散体をそのまま所望の顔料濃度に希釈して、自動車や建材用の塗料分野や、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ等の印刷インキ分野、あるいはインキジェット記録用インク分野等様々な用途に使用することができる。
乾燥する場合は、熱風乾燥機、減圧式乾燥機等で乾燥させることが好ましい。また完全に乾燥せずに顔料ペーストとした状態で流通させることも可能である。
本発明のコアシェル型変性顔料をインクジェット記録用インクに適用する場合は、水分散体に、所望の物性に応じて更に水溶性溶媒及び/または水、バインダー目的のアニオン性基を有するアクリル系共重合体等を加え、所望の物性に必要に応じて乾燥抑止剤、浸透剤、あるいはその他の添加剤を添加して調製する。
インクの調製時あるいは調製後に、遠心分離あるいは濾過処理工程を加えてもよい。
(乾燥抑止剤)
前記乾燥抑止剤は、インクの乾燥防止を目的として添加する。乾燥抑止剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。本発明で使用する乾燥抑止剤としては特に限定はないが、水との混和性がありインクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものが好ましい。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール モノ−n−ブチルエーテル、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、等が挙げられる。中でも、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールを含むことが安全性を有し、かつインク乾燥性、吐出性能に優れた効果が見られる。
なお、該乾燥防止剤は、水性顔料分散体で使用する前述の湿潤剤と同じ化合物を使用することができる。従って水性顔料分散体に既に湿潤剤を使用している場合、乾燥防止剤としての役割を兼ねることできる。
(浸透剤)
前記浸透剤は、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として添加する。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
(界面活性剤)
前記界面活性剤は、表面張力等のインク特性を調整するために添加する。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001〜2質量%の範囲が好ましく、0.001〜1.5質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、2質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
また、必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
(記録媒体)
インクジェット記録用水性インクの記録媒体としては特に限定はなく、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)等の吸収性の記録媒体、インクの吸収層を有する記録媒体、インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体、インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体などがありうる。
吸収性の記録媒体の例としては、例えば普通紙、布帛、ダンボール、木材等があげられる。また吸収層を有する記録媒体の例としては、インクジェット専用紙等があげられ、この具体例としては、例えば、株式会社ピクトリコのピクトリコプロ・フォトペーパー等が挙げられる。
インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体の例には、例えば食品用の包装材料に使用されているもの等を使用することができ、公知のプラスチックフィルムが使用できる。具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ乳酸フィルム等が挙げられる。特にポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミド系フィルムが好ましく、さらにポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンが好ましい。またバリア性を付与するためのポリ塩化ビニリデン等のコーティングをした上記フィルムでもよいし、必要に応じてアルミニウム等の金属、あるいはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムを併用してもよい。
前記プラスチックフィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、1軸もしくは2軸方向に延伸されたものでも良い。さらにフィルムの表面は、未処理であってもよいが、コロナ放電処理、オゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理等、接着性を向上させるための各種処理を施したものが好ましい。
前記プラスチックフィルムの膜厚は用途に応じて適宜変更されるが、例えば軟包装用途である場合は、柔軟性と耐久性、耐カール性を有しているものとして、膜厚が10μm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは10μm〜30μmである。この具体例としては、東洋紡株式会社のパイレン(登録商標)などが挙げられる。
インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体には、印刷本紙などのアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが使用できる。これら難吸収性の記録媒体は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものであり、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。
(アニオン性基を有するアクリル系共重合体(SA1))
アニオン性基を有するアクリル系共重合体としては、スチレン−アクリル酸系共重合体(SA1)を使用した。具体的には、溶液重合で作製された粉体状(直径1mm以下)の樹脂であり、モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸/ブチルアクリレート=83/7.35/9.55/0.1(質量比)、重量平均分子量11,000、酸価120mgKOH/gのスチレンアクリル酸系共重合体(SA1)を使用した。
なお、本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。なお測定は以下の装置及び条件により実施した。
送液ポンプ:LC−9A
システムコントローラー:SLC−6B
オートインジェクター:S1L−6B
検出器:RID−6A
以上島津製作所社製
データ処理ソフト:Sic480IIデータステーション(システムインスツルメンツ社製)。
カラム:GL−R400(ガードカラム)+GL−R440+GL−R450+GL−R400M(日立化成工業社製)
溶出溶媒:THF
溶出流量:2ml/min
カラム温度:35℃
(アニオン性基を有するウレタン樹脂(U1))
アニオン性基を有するウレタン樹脂としては、次の方法で合成したウレタン樹脂(U1)を使用した。即ち、温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、2,2―ジメチロールプロピオン酸103.07質量部、及びイソホロンジイソシアネート233.91質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン336.98質量部の存在下で反応させ、分子両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造した後、メチルエチルケトン178.91質量部と「PTMG2000」(三菱化学株式会社製のポリオキシテトラメチレングリコール、数平均分子量2,000、平均付加モル数(一般式(I)中のn);27.5)621.19質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が35,000〜39,000の範囲に達した時点で、メタノール6.91質量部投入することで反応を終了し、更に希釈溶剤としてメチルエチルケトン199.99質量部を追加することでウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に50質量%水酸化カリウム水溶液を83.66質量部加えることで前記ポリウレタンが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水4241.35質量部を加え十分に攪拌することにより、重量平均分子量37,000、酸価55であるウレタン樹脂の水分散体を得た。
最後に、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤し、水を加えることで不揮発分を調整することにより、不揮発分20質量%のウレタン樹脂(U1)の水溶液を得た。
(コアシェル二層型変性顔料(A)の水分散体(AD)の製造方法)
(実施例1)
(アニオン性基を有するアクリル系共重合体の第一層の形成方法)
スチレン−アクリル酸系共重合体(SA1)を10質量部、キナクリドン系顔料として「FASTOGEN Super Magenta RY(DIC社製)略称:RY」50質量部を、プラネタリーミキサー(商品名:ケミカルミキサーACM04LVTJ−B 株式会社愛工舎製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が80℃に達した後、自転回転数:80回転/分、公転回転数:25回転/分で混練を行った。5分後、トリエチレングリコールを35質量部、34質量%水酸化カリウム水溶液を3.5質量部加えた。なおこの時の水の量は、固形分に対して3.8質量%である。プラネタリーミキサーの電流値が最大電流値を示してから120分を経過した時点まで混練を継続し混合物を得た。
得られた混合物80質量部をジャケットから取出し、1cm角状に切断した後、市販のジューサーミキサーに入れた。そこにイオン交換水81質量部を加え10分間ミキサーにかけて混合、希釈しイオン交換水に分散させた。
さらにイオン交換水とトリエチレングリコールを加え、キナクリドン系顔料濃度15.5質量%の、アニオン性基を有するアクリル系共重合体(SA1)の第一層のみが形成されたコアシェル一層型変性顔料(S1)の水分散体(S1)を得た。
(アニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層の形成方法)
前記コアシェル一層型変性顔料(S1)の水分散体(S1)に、固形分濃度20%のウレタン樹脂(U1)水溶液を添加し、スターラーで攪拌した。前記有機高分子の層が、顔料に接するアニオン性基を有するアクリル系共重合体(SA1)の第一層と、該第一の層に接し最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂(U1)の第二層が形成されたコアシェル二層型変性顔料の水分散体を得た。
(コロイド滴定方法の変曲点による飽和吸着量の算出方法)
(アニオン性基を有するアクリル系共重合体(SA1)の試験液Aの調整方法)
スチレン−アクリル酸系共重合体(SA1)50gと、イオン交換水178gと、34質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液22gとを加え、加熱しながら良く撹拌し、樹脂固形分20質量%の水溶液を得た。得られた水溶液に、純水、塩化カリウム(以後KClと称す)水溶液を加え、樹脂濃度0.15質量%且つKCl濃度0.5質量%の樹脂水溶液を調整した。
KCl濃度0.5質量%であり、樹脂濃度が0.3質量%、0.6質量%、0.9質量%である樹脂水溶液も同様に調整した。
(アニオン性基を有するウレタン樹脂(U1)の試験液Bの調整方法)
前記ウレタン樹脂(U1)の水溶液に、純水、塩化カリウム(以後KClと称す)水溶液を加え、樹脂濃度0.15質量%且つKCl濃度0.5質量%の樹脂水溶液を調整した。
KCl濃度0.5質量%であり、樹脂濃度が0.3質量%、0.6質量%、0.9質量%である樹脂水溶液も同様に調整した。
(コロイド滴定方法 検量線の作成)
コロイド滴定装置は、粒子電荷計PCD−04(スペクトリス社製)を用いた。テフロン(テフロンは登録商標である)製の試料セルおよび移動ピストンを用い、試料セルの白金電極で±2500mVの範囲の流動電位を計測した。該試料をセルに入れ、電位がマイナスであることを確認した後、プラス電荷を有する滴定液(0.01N,Poly−DADMAC)で滴定した。電荷量の滴定は、試料セルと移動ピストンの動きにより生じる電位差、すなわち液体の流動電位を基に行った。
流動電位がゼロを超えた(電位が正になった)ところで滴定を終了した。
電位がゼロに達したときの滴下量Vと、滴定液の濃度cとから、試験液1g当たりの電荷量Q[C/g]を、以下の式(1)で求めた。あらかじめ濃度既知の樹脂水溶液10gを滴定し、試験液1g当たりの電荷量との相関から、図1に示す検量線グラフA(符号1に相当)、検量線グラフB(符号2に相当)((n≧4、r≧0.90)を作成した。
Figure 0006866613
Q:試験液1g当たりの電荷量[C/g]
V:消費した滴定液の量[L]
c:滴定液の濃度[N]
F:ファラデー係数[96485C/eq])
m:アニオン性基を有する樹脂を含む水溶液[g]
(コロイド滴定方法 変曲点によるウレタン樹脂第二層の飽和吸着量の算出)
実施例1で得たコアシェル二層型変性顔料の水分散体に、純水、塩化カリウム水溶液を加え、顔料濃度3質量%、KCl濃度0.5質量%の溶液を調整し、前記と同様にコロイド滴定を行った。
横軸を顔料重量に対するウレタン樹脂量比[R/P]、縦軸を試験液1g当たりの電荷量としてプロットし、最小二乗法による寄与率rが0.95以上となるように原点から少なくとも4点以上の測定点(原点を含む)を選択し、線形近似式(2)を得た。(図3符合5)
Figure 0006866613
Y:試験液1g当たりの電荷量[C/g]
(R/P):顔料重量に対するウレタン樹脂含有量比
A:最小二乗法から算出された線形近似式の傾き
B:最小二乗法から算出された線形近似式の切片
変曲点が出現し以後傾きが変化し、ウレタン樹脂の検量線Bの傾きとほぼ一致した直線になったときの2点以上の測定点を選択し、線形近似式(3)を得た。(図3符合6)
Figure 0006866613
Y:試験液1g当たりの電荷量[C/g]
(R/P):顔料重量に対するウレタン含有量比
C:最小二乗法から算出された線形近似式の傾き
D:最小二乗法から算出された線形近似式の切片
前記線形近似式(2)と線形近似式(3)の交点を変曲点P(図3符合7)とし、ウレタン樹脂による二層目のシェル形成の終点とした。(図3参照)
得られたグラフの変曲点Pから、ウレタン樹脂(U1)の飽和吸着量は、顔料1gに対し0.12gであった。これを飽和吸着量とする。
前記飽和吸着量を基に、ウレタン樹脂(U1)の含有量を顔料1gに対し0.10g(飽和吸着量に対して83%)とするコアシェル二層型変性顔料(A1)の水分散体(AD1)を得た。
(実施例2)
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層の形成方法として、スターラーで攪拌するのではなく、ジルコニアビーズ(1.25mm径)を加えてペイントシェーカーで30分間振とうした以外は実施例1と同様にして、コアシェル二層型変性顔料(A2)の水分散体(AD2)を得た。
(実施例3)
ウレタン樹脂(U1)の飽和吸着量の4%となるウレタン樹脂(U1)を使用した以外は実施例1と同様にしてコアシェル二層型変性顔料(A3)の水分散体(AD3)を得た。
(比較例1)
ウレタン樹脂(U1)の飽和吸着量の166%となるウレタン樹脂(U1)を使用した以外は実施例1と同様にしてコアシェル二層型変性顔料(H1)の水分散体(HD1)を得た。
(比較例2)
ウレタン樹脂(U1)を使用しない以外は実施例1と同様にしてコアシェル一層型変性顔料(H2)の水分散体(HD2)を得た。
(コアシェル型変性顔料のゼータ電位の測定)
実施例及び比較例で得たコアシェル二層型変性顔料が二層を有しているかどうかは、ゼータ電位により判断した。
実施例1で得たコアシェル二層型変性顔料(A1)の水分散体(AD1)を、10mM KCl水溶液で1000倍希釈し、ゼータサイザーナノZSP(マルバーン社製)を用いてpH=7±0.3の範囲でゼータ電位を測定した。ゼータ電位は3点測定した平均値を採用した。
同様に、実施例2〜3、比較例1〜2で得たコアシェル二層型変性顔料の水分散体のデータ電位を測定した。
アニオン性基を有するアクリル系共重合体(SA1)が最表層となっている場合のゼータ電位は−40mVであり、アニオン性基を有するウレタン樹脂(U1)が最表層となっている場合のゼータ電位は−50mVである。この値を元に、ゼータ電位が−40mVに近いものはアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層が形成されておらずアクリル系共重合体の第一層が最表層となっており、ゼータ電位が−50mVに近いものはアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層が形成され最表層となっていると判断した。
結果を表1に示す。
Figure 0006866613

(水性顔料インクの作製)
実施例及び比較例で得たコアシェル二層型変性顔料の水分散体を使用して、顔料濃度6質量%のインクジェット記録用水性インク(A1)〜(A3)、(H1)〜(H2)を作製した。組成は以下の通りである。
コアシェル型変性顔料の水分散体:50質量部
2−ピロリジノン:8質量部
トリエチレングリコール:4質量部
トリエチレングリコール モノ−n−ブチルエーテル:8質量部
精製グリセリン:3質量部
サーフィノール440 (エアープロダクツ社製):0.5質量部
イオン交換水:26.5質量部
(印刷濃度均一性試験)
各インクジェット記録用水性インクを、市販のインクジェットプリンターのカートリッジに充填し、インクジェット専用紙に特定のパターンをドラフトモードで印刷した。得られた印刷物の同一画像の中で最も色濃度の高い箇所および最も低い箇所を、X−Rite社製Spectoroscanで測色した。得られた測色結果からc*(彩度)をL*(明度)で除した値(c*/L*)を算出し、上記2点の測定箇所における(c*/L*)の比を下記判定基準で評価した。結果を表2に示す。
(判定基準)
◎: (c*/L*)比が、5%未満
○: (c*/L*)比が、10%未満
×: (c*/L*)比が、10%以上
(耐マーカー性試験)
インクジェットプリンターで印刷した評価用パターンの印刷部1cmを含む計2cmの直線をアルカリ性水性蛍光ペンで連続して3回重ね描きし、白紙部に描画した部分を測色系(BYK社製micro−haze plus)でマゼンタ色のODを測定した(1)。印刷部を含まない白紙部分にも同様に蛍光ペンで3回重ね描きし、マゼンタ色のODを測定した(2)。上記2点における値の差分([(1)−(2)])を評価値とした。結果を表2に示す。
(判定基準)
○: OD差が、0.1未満
×: OD差が、0.1以上
Figure 0006866613

この結果、本発明で得たコアシェル型変性顔料を使用した実施例1〜3はいずれも、耐マーカー性と印刷濃度均一性とのバランスに優れていた。
一方比較例1は、ウレタン樹脂が飽和吸着量を上回って配合された例であるが、印刷濃度均一性試験において色むらが生じた。これは配合したウレタン樹脂の一部がインク中に遊離して存在し、色むらとなったものと推定される。一方比較例2はウレタン樹脂が配合されていない例であるが、これは耐マーカー性試験に劣る結果となった。
電荷量Qとアニオン性樹脂の水溶液濃度との関係を表すグラフである。 電荷量Qとコアシェル二層型変性顔料の水分散体のとの関係を表すグラフである コロイド滴定方法の変曲点による飽和吸着量の算出方法を示したグラフである。
1:実施例で使用したスチレン−アクリル酸系共重合体のグラフA
2:実施例で使用したウレタン系樹脂のグラフB
3:前記グラフAと前記グラフBとを足したグラフA+B
4:コアシェル二層型変性顔料の水分散体のグラフC
5:線形近似式(2)のグラフ
6:線形近似式(3)のグラフ
7:変曲点P

Claims (4)

  1. コア部分である顔料にシェル部分となる樹脂の層が存在するコアシェル型変性顔料であって、
    前記樹脂の層が、顔料に接するアニオン性基を有するアクリル系共重合体の第一層と、該第一の層に接し最外層となるアニオン性基を有するウレタン樹脂の第二層とを含み、前記アニオン性基を有するウレタン樹脂が、飽和吸着量の40〜150%の範囲であることを特徴とするコアシェル型変性顔料。
  2. 前記アニオン性基を有するアクリル系共重合体が酸価10〜400の範囲のスチレン−アクリル酸系共重合体であり、前記顔料に対し1〜100重量%含む請求項1に記載のコアシェル型変性顔料。
  3. 前記アニオン性基を有するウレタン樹脂が酸価0〜150の範囲であり、前記顔料に対し1〜100重量%含む請求項1に記載のコアシェル型変性顔料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のコアシェル型変性顔料、及び水性媒体を含有することを特徴とする水性顔料分散体。
JP2016210619A 2015-10-29 2016-10-27 コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体 Active JP6866613B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015212958 2015-10-29
JP2015212958 2015-10-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017082212A JP2017082212A (ja) 2017-05-18
JP6866613B2 true JP6866613B2 (ja) 2021-04-28

Family

ID=58710813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016210619A Active JP6866613B2 (ja) 2015-10-29 2016-10-27 コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6866613B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6499150B2 (ja) * 2016-01-07 2019-04-10 三洋化成工業株式会社 インク用複合粒子、インク組成物及びその製造方法
JP6989424B2 (ja) * 2017-03-17 2022-01-05 三洋化成工業株式会社 ポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体
JP7423175B2 (ja) * 2017-06-15 2024-01-29 Dic株式会社 水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
JP7318278B2 (ja) * 2018-04-18 2023-08-01 Dic株式会社 水性顔料分散体及びその製造方法
JPWO2020004228A1 (ja) * 2018-06-26 2021-08-02 富士フイルム株式会社 インク、インクカートリッジ、インクセット、インクジェットプリンタ及びインクジェット捺染方法
CN117025024B (zh) * 2023-10-09 2024-01-02 山东概念印刷有限公司 一种柔版印刷用水性油墨组合物及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013124356A (ja) * 2011-12-16 2013-06-24 Kao Corp インクジェット記録用水系顔料分散体の製造方法
JP6136288B2 (ja) * 2013-01-18 2017-05-31 Dic株式会社 水性顔料分散液の製造方法及びインクジェット記録用水性インク
JP2016121237A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 花王株式会社 インクジェット記録用水系顔料分散体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017082212A (ja) 2017-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6866613B2 (ja) コアシェル型変性顔料及び水性顔料分散体
US11613665B2 (en) Water-based ink for inkjet and method for producing printed matter
US20110318551A1 (en) Inkjet recording ink, process for producing the inkjet recording ink, inkjet cartridge, inkjet recording apparatus, and inkjet recorded image
US11427723B2 (en) Aqueous inkjet ink and method for producing printed item
JP5757405B2 (ja) インクジェット用記録インクセット及びこれを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法及び画像形成物
TW201202357A (en) Ink composition for ink-jet recording
JP7258285B2 (ja) 印刷方法及び印刷装置
JP6769516B1 (ja) 水性インクジェットインキ、水性インクジェットインキセット、印刷物の製造方法、および印刷物
KR20140040705A (ko) 잉크젯용 안료 잉크
JP5772094B2 (ja) 水性インクジェットインク
WO2017169840A1 (ja) 顔料分散剤、水性顔料分散体及び水性顔料分散体の製造方法
JP2023507767A (ja) インクジェットインク及びプライマー流体セット
JP6797349B2 (ja) 水性顔料分散液およびインクジェット記録用水性インクの製造方法
JP6868392B2 (ja) 水性インクジェット用インク組成物
JP2015120818A (ja) 水性顔料分散体、及びインクジェット記録用水性インク
US10240054B2 (en) Method for manufacturing aqueous pigment dispersion and aqueous ink for inkjet recording
US11001722B2 (en) Aqueous pigment dispersion and method for producing the same
JP2023507768A (ja) インクジェットインクおよびプライマー流体セット
JP6435917B2 (ja) 水性顔料分散体および水性インク
JP7074923B1 (ja) 前処理液、インキセット、及び、印刷物
JP6579357B2 (ja) 水性顔料分散体および水性インク
JP2018002764A (ja) 顔料組成物及び易分散顔料
WO2023047706A1 (ja) 水性記録液セット、及び、印刷物の製造方法
JP2016130278A (ja) 水性顔料分散体、及びインクジェット記録用水性インク
CN117999323A (zh) 水性喷墨墨液用粘结剂、水性喷墨墨液以及印刷层

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20180220

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190620

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210309

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210322

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6866613

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250