JP5928028B2 - インクジェット記録用水性インキ - Google Patents

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Description

本発明は、様々な難吸収性基材に対して画像形成可能な速乾性と定着性に優れ、インキを長期保管しても表面張力の変化が少なく優れた印刷品質を維持できるインクジェット記録用水性インキに関する。
一般家庭のPC、オンデマンド印刷の発展とともに、小ロット対応のプリンターは様々出現しているが、その中でインクジェット印刷は最も普及しており、幅広い分野で開発、商品化がされている。また、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機として利用が期待されている。
従来、インクジェットプリンターを用いて難吸収性基材上に画像形成するためには、乾燥性の良好なインキが求められていた。特に産業用途として使用されているポリ塩化ビニルシートはインキが吸収し難く、高生産性が求められることから溶剤インキやUV硬化型インキなどの速乾性を有するインキが使用されていることが多かった。しかしながら、溶剤インキは乾燥時に揮発する溶剤の臭気や有害性が環境に影響することが懸念され、UVインキは使用するモノマーによっては皮膚に対して強い刺激性を与えるものや臭気を有するものが多く、インキを扱う作業者に対しての問題があった。
近年、環境に対する影響が少なく、作業者に対して安全性の高いインキとして、水性インキの開発が進められてきている。また、水性インキは環境に対する負荷が少ないことから、屋内外全ての用途での使用が期待され、インクジェットプリンターの汎用性を広げるため、普通紙や専用紙などの一般の紙系吸収基材のみならず、産業用途で使用されているような様々な難吸収性基材に対して、直描で画像形成できる水性インキが求められてきている。
インクジェットで吐出された微小液滴は、基材上で着弾した後、浸透または揮発によって乾燥することが一般的に知られている。産業用途として使用されているポリ塩化ビニルシート等の難吸収性基材はインキが浸透し難いため、多色印刷した際に、インキが混色して鮮明な画像を形成できない、印刷速度を上げられない等の問題があった。
インクジェット用の水性インキとしては、印刷基材として、普通紙や写真用紙のようなインキが吸収しやすい専用紙を対象とした水性インキの開発が従来からなされている。(例えば、特許文献1,2,3参照)しかし、産業用途に使用されているような難吸収性の印刷基材に対しては、これらのインキを使用しても十分な印刷品質をもった印刷物を得ることはできず、実用上使用することができなかった。これは難吸収性の基材に対して水性インキは濡れ広がり難いことと、基材へのインキの浸透が起こりづらくドット同士が融着して滲んでしまうことが原因である。
ポリ塩化ビニルシートのような難吸収性の基材上に画像形成できる水性インキとして、特定構造を有する水溶性樹脂、シリコン系またはフッ素系界面活性剤を使用したインキが特許文献4に記載されている。しかしながら、水溶性樹脂は成膜性に乏しく、難吸収性基材上で画像形成できるほどインキの乾燥性が十分なものではなかった。また、使用しているシリコン系界面活性剤の安定性が悪く、経時でインキの表面張力が上昇し濡れ性が低下するという問題があった。さらに、フッ素系界面活性剤は、インクジェットノズル面に対する撥水性が悪く、実用上使用するのは困難であった。
特定構造を有する界面活性剤を使用することで長期保管した後の表面張力の経時変化や印刷品質の劣化を抑制できることが特許文献5に記載されている。しかしながら、インキの表面張力が高いため、普通紙などの紙系吸収基材に対して優れた印刷品質を維持できても、ポリ塩化ビニルシートなどの難吸収性基材に対しては、濡れ性が不十分なため、優れた印刷品質が得られなかった。
特許第3994734号 特許第4595281号 特開2008−247941号公報 特開2011−094082号公報 特許第3858793号
本発明の目的は、様々な難吸収性基材に対して画像形成可能な速乾性と定着性に優れ、インキを長期保管しても表面張力の変化が少なく優れた印刷品質を維持できるインクジェット記録用水性インキを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
即ち、本発明は、少なくとも水、顔料、バインダー樹脂として水分散性樹脂微粒子、水溶性有機溶剤及び一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を含むインクジェット記録用水性インキにおいて、前記水溶性有機溶剤として沸点が180℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を1種以上含み、前記水性インキ組成中における前記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類の含有量が15重量%以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インキに関する。
一般式(1)
(式中R1、R2は炭素数1〜6のアルキレン基であり、X1、X2は一般式(2)で表されるポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基である。)
一般式(2)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または(メタ)アクリル基であり、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、bが1以上の整数であり、cが0以上の整数であり、さらにb+cが1以上の整数である。EO、POの順序についてはランダムであってよい。式中aは10以上80以下の整数を表す。)
また、前記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類がプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル)エーテル、(ジ)プロピレングリコールジ(炭素数が1のアルキル)エーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記インクジェット記録用水性インキに関する。
また、上記インクジェット記録用水性インキからなるインキセットであって、
かつ、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、ブラックインキを含む4色以上のインキセットに関する。
さらに、インキの液滴を吐出させて印刷基材上に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、前記インキとして上記水性インキを用いることを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
本発明によれば、様々な難吸収性基材に対して画像形成可能な速乾性と定着性に優れ、インキを長期保管しても表面張力の変化が少なく優れた印刷品質を維持できるインクジェット記録用水性インキを提供することが可能となる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット記録用水性インキについて説明する。
(難吸収性基材)
本発明で用いられる前記難吸収性基材とは、水を吸収し難い、もしくは吸収速度が遅い記録媒体のことである。たとえば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなどのプラスチック基材やアート紙、コート紙等の印刷本紙のような吸収速度が遅く画像形成できる程の乾燥性が得られ難い基材が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用水性インキは、上記したような難吸収性基材に対して画像形成可能なものであり、少なくとも水、顔料、バインダー樹脂、水溶性有機溶剤、シリコン系界面活性剤を含むことを特徴とする。
先ず、本発明を特徴づけるシリコン系界面活性剤について説明する。
(シリコン系界面活性剤)
一般的に、上記したような難吸収性基材に対して印刷を行う場合には、インキが基材上で十分な濡れ性を有することが重要である。これは、インキが基材上に着弾した後、十分に濡れ広がることで、ドットの表面積が大きくなり、浸透及び蒸発による乾燥を促進させ、基材上でドットを定着させることが可能となるためである。
印刷基材上におけるインキの濡れ性が不十分な場合、印字部におけるインキ埋まりが悪く、白抜け等の問題が発生する。このような問題を解決するには、印刷基材上におけるインキの濡れ性を向上させることが必要不可欠である。
一般的に、印刷基材上におけるインキの濡れ性は、インキの表面張力と印刷基材の表面張力に依存する。インキの表面張力が印刷基材の表面張力よりも高い場合には、濡れ不良が起こり、印字部におけるインキ埋まりが悪く、白抜け等の問題が生じてしまう。即ち、印刷基材上で十分な濡れ性を確保するためには、インキの表面張力が印刷基材の表面張力よりも十分に低いことが必要である。また、上記したような難吸収性基材は基材自体の表面張力が低く、基材表面を濡らすことは容易ではないため、インキの表面張力を十分低く保つことが重要となる。
特に、水は水素結合により水分子同士が強く結びついているため、溶媒の中でも極めて表面張力が高いことから、上記したような難吸収性基材上で水性インキの濡れ性を十分確保するのは非常に難しい。
インキの表面張力を調整するには、界面活性剤を用いることが一般的であり、シリコン系、フッ素系、アセチレン系など用途に合わせて様々な界面活性剤が広く知られている。
中でもシリコン系界面活性剤は、インキの表面張力を十分に下げる目的で使用されることが多く、表面張力を調整するために有効な界面活性剤である。
シリコン系界面活性剤はポリシロキサン骨格を有する界面活性剤であり、その特性はポリシロキサンの構造に由来する。一般的にシロキサンユニット(−Si−O−)で形成される主鎖の長さにより、表面張力の低下能を制御することが知られている。シロキサン主鎖が短くなる程、インキ中の相溶性が向上し、表面張力を低下させることが可能となる。また、シロキサン主鎖が長くなり、分子量が増えていくと、インキ中の相溶性が悪くなり、それほど表面張力を下げなくなる。
また、用途に合わせてシリコンの相溶性を制御する際に、シロキサンユニット(−Si−O−)に対し、側鎖または末端に相当する部位を有機変性させることが可能である。これらを有機変性することにより、溶媒やインキの使用原料に親和性のあるシリコン系化合物を得ることができる。有機変性にはポリエーテル、ポリエステル、ベンゼン環を有するアラルキルなど各種可能である。またエポキシ、アクリル基などの反応性基を導入することも可能である。
水性のインキに使用する場合には、シリコン系界面活性剤自体を高極性にする必要がある。一般的には、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドを用いたポリエーテル変性が用いられる。シリコン部分は疎水性なのでポリエーテル部分が水に配向することになる。
しかしながら、水性のインキに使用する場合、上記したシリコン系界面活性剤の構造によっては、インキを長期保管した後に表面張力が上昇し、基材上の濡れ性が経時で低下してしまう問題がしばしば起こる。特に、溶媒やインキの使用原料に対し高い相溶性を有するシリコン系界面活性剤を使用した場合、インキの表面張力を十分に低くすることは可能であるが、インキを長期間保管した後に表面張力が著しく上昇し、濡れ性が経時で低下してしまう問題が起こる。この原因については定かではないが、相溶性の高いもの程、インキを長期保管している間に、界面活性剤自身が水中で分散している顔料や樹脂微粒子などの不溶性物質の界面に吸着し、インキと接する気液界面や印刷基材との界面に配向していた界面活性剤の量が減少することで起きているものと考えられる。
長期保管における水性インキの表面張力の安定性向上のため、本発明者らはシリコン系界面活性剤の構造と表面張力の経時変化の関係性について検討を行い、一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を用いることで、水性インキの表面張力の経時変化を抑制し、基材上での濡れ性も経時で低下しないことを見出した。
一般式(1)
(式中R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、X、Xは一般式(2)で表されるポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基である。)
一般式(2)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または(メタ)アクリル基であり、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、bが1以上の整数であり、cが0以上の整数であり、さらにb+cが1以上の整数である。EO、POの順序についてはランダムであってよい。式中aは10以上80以下の整数を表す。)
表面張力や濡れ性の経時変化を抑制できる理由については定かではないが、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を用いることで溶媒や他の使用原料に対する相溶性が制御され、水中で分散している顔料や樹脂微粒子等の界面に対する界面活性剤の吸着が抑えられているものと推察される。
さらに、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を使用することで、難吸収性基材上で優れた濡れ性を示すことが本発明者らの検討により明らかとなった。
上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤は、水系溶媒に対する相溶性を低下させ、表面張力や濡れ性の経時変化を小さくするという観点から、a=10以上80以下の整数であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤の市販品の具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のBY16−201、SF8427、ビックケミー社製のBYK−333、BYK−UV3500、エボニック デグサ社製のTEGO GLIDE 410、TEGO GLIDE 432、TEGO GLIDE 435、TEGO GLIDE 440、TEGO GLIDE 450等が挙げられ、単独もしくは複数使用することができる。また上記市販品に限定されるものではない。
本発明で用いられるシリコン系界面活性剤の含有量は、難吸収性基材上で優れた濡れ性を有し、長期間保管した後の表面張力の変化を少なくするという観点から0.1〜2重量%であることが好ましく、0.5〜2重量%であることがより好ましい。含有量が2重量%を超えてしまうとインキの粘度安定性を損なう可能性がある。
本発明で用いられる上記のシリコン系界面活性剤を使用することにより、疎水性の高い難吸収性基材上において優れた濡れ性を有するだけではなく、インキの表面張力の安定性を十分に確保できる。
長期保管後に表面張力が上昇してしまうと、印刷基材に対する濡れ性が低下し、印字部における白抜け等の問題に繋がる。また、長期保管前後でインキの表面張力が異なると、表面張力の高低差によりインキが流れてしまい、色間において混色・滲み等の問題が発生してしまう。プリンターに搭載されたインキの交換時期は、各色の使用頻度によっても異なるため、新旧異なるインキにおいて各色間の表面張力は常に安定で高低差がないことが好ましい。
インキの長期保管にける実使用上必要な表面張力の安定性としては、50℃6週間の経時促進試験にて下記一般式(3)で示されるインキの表面張力変化率が5%未満であることが好ましい。
一般式(3)
表面張力変化率(%)=(経時試験前後の表面張力差)/(経時試験前の表面張力)
上記したインキの表面張力変化率が5%以上である場合、長期保管後において印字部の白抜けや色間の滲みが発生し、優れた印刷品質が得られないため好ましくない。
上述したとおり、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を使用することで、インキを長期間保管した後も難吸収性基材上で優れた濡れ性を維持できることが本発明者らの検討により確認された。しかしながら、インキが優れた濡れ性を有していても、使用する水溶性有機溶剤の乾燥性が乏しいと、難吸収性基材上においてドットが十分乾燥せず、ドット同士がつながり、滲みや白抜けが生じるという新たな課題が判明した。
(水溶性有機溶剤)
難吸収性基材上における濡れ性を維持したままインキの乾燥性を向上させるため、本発明者らは種々の水溶性有機溶剤が難吸収性基材上における画像形成に与える影響について鋭意検討を行った。その結果、水溶性有機溶剤として、沸点が180℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を少なくとも1種以上使用することでインキの乾燥性、定着性が向上され、優れた印刷適性が得られることを見出した。さらに、本発明のシリコン系界面活性剤と併用することで、長期間保管した後も優れた印刷品質を維持できることを見出し、本発明に至った次第である。
優れた印刷適性が得られる理由については定かではないが、次のようなことが推察される。(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類は、溶剤自体が溶解性に優れ、難吸収性基材に対して良好な浸透性を示す。また、乾燥過程において樹脂微粒子の成膜を促進させ、難吸収性基材上でドットの定着性を高めるには好適である。また、(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類は、本発明で用いられるシリコン系界面活性剤との相溶性が良好であり、難吸収性基材上で優れた濡れ性を有することが本発明者らの検討により確認された。さらに、好適な範囲の沸点を有することにより、溶剤自体の揮発性を高めることでインキの乾燥性の向上に寄与しているものと考えられる。上記した理由により、難吸収性基材上においてインキが十分な濡れ性と乾燥性を有し、印字部の白抜けやドット間の滲みが少ない優れた印刷適性が得られるものと考えられる。
即ち、本発明は、上記したシリコン系界面活性剤以外に水溶性有機溶剤として沸点が180℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を少なくとも1種以上含むことを特徴とする。
本発明で用いられる (ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類は、速乾性を有し、難吸収性基材上で優れた印刷品質を得るという観点から、沸点が180℃以下であることが好ましい。より好ましくは160℃以下であり、特に好ましくは140℃以下である。
沸点が180℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられ、単独もしくは複数使用することができる。
沸点が160℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
沸点が140℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
上記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類の沸点が180℃を超えると、難吸収性基材上における乾燥性が不十分となり、ドット同士が融着しやすく、混色滲みや白抜け等が発生しやすくなるため、好ましくない。
本発明で使用される(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類のインキ組成中における含有量としては、15重量%以下であることを特徴とする。好ましくは1重量%以上15重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上15重量%以下である。含有量が15重量%を超えると、乾燥過程において樹脂微粒子の成膜が促進され、基材上でドットが十分濡れ広がる前に乾燥してしまい印字部において白抜けが発生する可能性がある。また、インキの粘度安定性を損なう可能性がある。
また、本発明の効果が小さくならない好適な含有量の範囲であれば、上記以外の水溶性有機溶剤を単独もしくは複数使用することができる。
上記以外の水溶性有機溶剤として例えば、アルカンジオール類を含有することができる。アルカンジオール類は、保湿性に優れ、インクジェットノズル上での安定した吐出性を確保することができる。
アルカンジオール類としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられ、単独もしくは複数使用することができる。
インクジェットノズル上での安定した吐出性を確保し、難吸収性基材上で画像形成するための乾燥性を得るという観点から、上記アルカンジオール類のインキ組成中における含有量は、11重量%以上25重量%未満であることが好ましく、11重量%以上20重量%未満であることがより好ましい。含有量が25重量%以上の場合、乾燥性が低下し画像品質が損なわれる可能性がある。
さらに、難吸収性基材に対する浸透性を向上させる目的で、水溶性の含窒素系溶剤を添加することもできる。
含窒素系溶剤としては、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−エトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−2−エチルヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−オクトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−オクトキシプロピオンアミドなどが挙げられる。
(バインダー樹脂)
本発明の水性インクジェットインキは、難吸収性基材上におけるドットの定着性や、印字物の塗膜耐性を高めるためにバインダー樹脂を用いることができる。本発明においては、バインダー樹脂として水分散性樹脂微粒子を使用することが好ましい。水性インキのバインダー樹脂としては大別して水溶性樹脂と水分散性樹脂微粒子が知られているが、一般に水分散性樹脂微粒子は水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現することができる。また、水分散性樹脂微粒子はインキの粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をインキ中に配合することができることから、インクジェットインキの耐性を高めるのに適していると言える。樹脂微粒子の種類としてはアクリル系、ウレタン系、スチレンブタジエン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系等が挙げられる。
水分散性樹脂微粒子のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで耐擦性、耐薬品性等の耐性を向上させることが可能であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは75℃〜90℃の範囲である。50℃よりも低い場合には十分な耐性が得られず、実用にて印刷物から印刷が剥がれる場合がある。また、100℃よりも高い場合には塗膜が非常に硬くなり、印刷物を折り曲げた際に印刷面にワレ、ヒビが生じる場合がある。
また、水分散性樹脂微粒子は印字物の塗膜耐性を高めるだけでなく、液滴が着弾した後に速やかに成膜することで、ドット同士の滲みを抑制し、色間の滲みのない優れた印刷品質を得ることができる。
上記したような水分散性樹脂微粒子のインキ組成中における含有量は、不揮発分でインキの全重量の3〜20重量%の範囲であることが好ましい。
(水)
本発明の水性インクジェットインキに含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水の含有量としては、インキの全重量の20〜80重量%、の範囲である。
(顔料)
本発明の水性顔料インキに含まれる顔料としては、従来既知のものが使用できる。
本発明で使用することができるシアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
本発明で使用することができるマゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red5、7、12、22、23、31、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、112、122;キナクリドン固溶体、146、147、150、238、269、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
本発明で使用することができるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、213等が挙げられる。
本発明で使用することができるブラックの顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)が挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m/g、揮発分が0.5〜10重量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、
No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、デグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
本発明では上述した顔料に限定されるものではなく、その他の顔料を使用してオレンジ、グリーン、ホワイト等の特色や顔料を含まないクリアを組み合わせたインキセットとして使用することができる。
本発明で使用することができる顔料の含有量としては、インキ組成中で0.1〜10重量%の範囲である。
(顔料分散樹脂)
本発明の水性顔料インキに含まれる顔料分散樹脂としては、従来既知のものが使用できるが、一般に、(メタ)アクリル酸共重合物が使用される。これは、顔料表面に吸着した(メタ)アクリル酸共重合物がイオン化した際の電荷反発により、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、安定した顔料分散状態を保つことができるためと考えられる。
本発明では単色のインキだけではなく、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインキを組み合わせた4色以上のインキセットとしても利用することができる。各色のインキについては特に組成を限定するものではないが、顔料以外の成分は全て同様の組成とすることが好ましい。同様の組成にすることで印刷時の乾燥速度や基材上での濡れ広がりを全色均一にし、印刷品質を向上させることができる。
(その他の成分)
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%が好適である。
(インキの調製方法)
上記したような成分からなる本発明のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性有機溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインキとする。
本発明のインキの調製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、少なくとも顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性有機溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。
本発明のインキは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
(記録方法)
本発明で用いられる記録方法は、印刷基材上に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、上記の水性インクジェットインキを使用したインクジェット記録方法が提供される。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は、「重量部」を、「%」は、「重量%」を、それぞれ表す。
(顔料分散樹脂の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレングリコールモノメチルエーテル93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、顔料分散樹脂1の溶液を得た。顔料分散樹脂1の重量平均分子量は約16000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、顔料分散樹脂1の不揮発分20%の水性化溶液を得た。
(水分散性樹脂微粒子の製造例)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート10部、メチルメタクリレート57部、スチレン30部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で不揮発分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。得られた樹脂微粒子水分散体を水分散性樹脂微粒子1とした。水分散性樹脂微粒子1の計算上のガラス転移点温度は80℃である。
(顔料分散液の製造)
下記顔料を20部、顔料分散樹脂1の水溶液を42.9部、水37.1部をマヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーで予備分散した後、分散メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散液を得た。このとき、顔料と顔料分散樹脂1の不揮発分の比率は、顔料/分散樹脂(不揮発分)=7/3となっている。下記に顔料分散液の調製に使用した顔料種について示す。
・C.I.Pigment Blue 15:3(シアン顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Red 122(マゼンタ顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Yellow 120(イエロー顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Black 7(ブラック顔料分散液の調製に使用)
実施例、比較例で使用する水溶性有機溶剤について以下に示す。
<(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類>
・PGDME:プロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:96℃)
・PGMME:プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:120℃)
・PGMPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点:150℃)
・DPGDME:ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)
・DPGMME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:189.6℃)
<上記以外の水溶性有機溶剤>
・1,2−BD:1,2−ブタンジオール
・2−PY:2−ピロリドン
・DEGDME:ジエチレングリコールジメチルエーテル
・DEGMBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
実施例として使用するシリコン系界面活性剤について以下に示す。
<一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤>
・BYK−333(ビックケミー社製)
・TEGO GLIDE 432(エボニック デグサ社製)
比較例として使用する界面活性剤について以下に示す。
<一般式(1)の構造を有さないシリコン系界面活性剤>
・BYK−347(ビックケミー社製)
・KF−351A(信越化学工業社製)
<非シリコン系界面活性剤(アセチレン系界面活性剤)>
・サーフィノール465 (エアー プロダクツ ジャパン社製)
(実施例1〜16及び比較例1〜9)
表1及び2に記載した組成に従い、インクジェットインキを調製した。具体的には、上記の方法で調製した顔料分散液、その他の原料を表1及び2に記載した組成に従いマヨネーズ瓶に仕込み、ハイスピードミキサーにて攪拌混合した。そして、1μmおよび0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し、インクジェットインキを得た。調製したシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインキを1組のインキセットとし、組成の異なる実施例1〜16、比較例1〜9のインキセットを得た。これらのインキセットを用いて以下の評価を行った。
調製したインキの評価方法について下記に示す。
(評価1:粘度の安定性評価)
実施例1〜16、比較例1〜9で得られたインキの粘度をE型粘度計(東機産業社製TVE−20L)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。このインキを50℃の恒温機に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化を評価した。評価基準は下記のとおりであり、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
A:10週間保存後の粘度変化率が±5%未満
B:6週間保存後の粘度変化率が±5%未満
C:6週間保存後の粘度変化率が±5%以上
(評価2:表面張力の安定性評価)
実施例1〜16、比較例1〜9で得られたインキの表面張力値をCBVP−Z(協和界面科学製)を用いて測定した。このインキを50℃の恒温機に保存し、経時促進させ、経時試験前後でのインキの表面張力の変化を評価した。評価基準は下記のとおりである。
A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
A:10週間保存後の表面張力変化率が±5%未満
B:6週間保存後の表面張力変化率が±5%未満
C:6週間保存後の表面張力変化率が±5%以上
(評価3:インキの濡れ性評価)
実施例1〜16、比較例1〜9で得られたインキについて、25℃の環境下でピエゾ素子を有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターに充填し、下記の印刷基材を50℃に加温しながら印字率100%のベタ印刷を行い、印刷物の白抜け度合を目視で確認した。また、このインキを50℃の恒温機に保存し、6週間経時促進させ、経時前後で白抜け度合を評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:インキが十分に広がり、目視で白抜けがない上に、濃度ムラがなく均一な画像が得られているもの
A:インキが程良く広がり、目視で白抜けがない上に、濃度ムラがなく良好な画像が得られているもの
B:インキが程良く広がり、目視で白抜けがないもの
C:インキの広がりが不十分であり、目視で僅かに白抜けが発生しているもの
D:インキの広がりが不十分であり、目視で明らかに白抜けが発生しているもの
<評価基材>
・ポリ塩化ビニルシート(PVC):メタマーク社製MD−5
・PET:三菱樹脂社製ダイアホイル
(評価4:インキの乾燥性評価)
実施例1〜16、比較例1〜9で得られたインキについて、評価3と同様の基材及び印刷条件で印刷を行った。但し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを隣り合うように(色の順序はランダムでよい)印刷し、色間の混色度合を評価した。
1.経時試験前のインキの混色評価
経時試験前のインキを上記の通り印刷し、色間の混色度合を評価した。
2.経時試験前後のインキの混色評価
上記のインキを50℃の恒温機に保存し6週間経時促進させ、経時試験前後のインキを上記の通り印刷し、色間の混色度合を目視で観察した。但し、経時試験前のインキと経時促進させた後のイインキが交互に隣り合うように印刷した。混色度合は目視により観察し、ドットのつながりはルーペで観察し評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:ドットの融着、色間の色混じりや滲みが全くなく、各色の境界が鮮明であるもの
A:ドットの融着が僅かにあるが、目視で色間の色混じりや滲みが全くなく、各色の境界が鮮明であるもの
B:ドットの融着が僅かにあるが、目視で色間の色混じりや滲みが全くないもの
C:目視で色間の色混じりや滲みが僅かに見られるもの
D:目視で色間の色混じりや滲みが明らかに見られるもの
(評価5:吐出安定性の評価)
評価3と同様の条件でPVC上に1m×1mのベタ印字を行いのベタ印字を行い、ノズルチェックパターンを印字してノズル抜け本数をカウントし、その本数で評価を行った。また、抜けが見られたインキについては、ヘッドのノズル面をワイピング(ゴム製のブレードで拭き取る)した後のノズル抜け本数をカウントし、ノズルの復帰性についても評価を行った。
<評価基準>
〇:ノズル抜け無し
△:ノズル抜けが5本未満であるが、ワイピングした後にノズルの抜けが回復する
×:ノズル抜けが5本以上であり、ワイピングしてもノズルの抜けが回復しない
上記の評価結果は、実施例1〜16については表3に示す。また、比較例1〜9については表4に示す。
実施例1〜16では請求項の範囲内のシリコン系界面活性剤、水溶性有機溶剤を使用することにより、表面張力の経時変化が小さく、経時試験前後で難吸収性基材上において優れた印刷品質が得られている。
一方、本発明の範囲外である比較例では全ての評価項目を満足し、実用可能な品質のインキとすることができないことが示されている。一般式(1)の構造を有さないシリコン系界面活性剤を使用した比較例1、2はインキの表面張力が経時で変化してしまい、印刷品質も経時で悪化している。非シリコン系界面活性剤を使用した比較例3においては、難吸収性基材上における濡れ性が悪く、優れた印刷適性が得られていない。(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例4においては、印字部において白抜けが発生し、優れた印刷品質が得られていない。また、沸点が本発明の範囲外である(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を使用した比較例5は、乾燥性が乏しく、難吸収性基材上において色間の混色滲み等の印刷品質が悪かった。(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を1種も含まない比較例6,7においては基材上の濡れ性及び乾燥性が不十分なため、優れた印刷品質が得られていない。
また、バインダー樹脂として水溶性樹脂を使用した比較例8においては、難吸収性基材上において濡れ性は良好であるが、樹脂の成膜性が乏しく、ドットが融着し、色間の混色滲みが発生していた。さらに、界面活性剤を含まない比較例9においては、難吸収性基材上での濡れ性が乏しく白抜けや混色滲み等が発生し、優れた印刷適性が得られなかった。

Claims (4)

  1. 少なくとも水、顔料、バインダー樹脂として水分散性樹脂微粒子、水溶性有機溶剤及び一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を含むインクジェット記録用水性インキにおいて、前記水溶性有機溶剤として沸点が180℃以下の(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類を1種以上含み、前記水性インキ組成中における前記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類の含有量が15重量%以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インキ。
    一般式(1)

    (式中R1、R2は炭素数1〜6のアルキレン基であり、X1、X2は一般式(2)で表されるポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基である。)
    一般式(2)

    (式中、R3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または(メタ)アクリル基であり、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、bが1以上の整数であり、cが0以上の整数であり、さらにb+cが1以上の整数である。EO、POの順序についてはランダムであってよい。式中aは10以上80以下の整数を表す。)
  2. 前記(ポリ)プロピレングリコールアルキルエーテル類がプロピレングリコールモノ(炭素数1〜4のアルキル)エーテル、(ジ)プロピレングリコールジ(炭素数が1のアルキル)エーテルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インキ。
  3. 請求項1または2記載のインクジェット記録用水性インキからなるインキセットであって、
    かつ、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、ブラックインキを含む4色以上のインキセット。
  4. インキの液滴を吐出させて印刷基材上に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、前記インキとして請求項1または2記載の水性インキを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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