JP6874550B2 - インク、インク容器、画像形成方法、画像形成装置、画像形成物、及び液体吐出装置 - Google Patents

インク、インク容器、画像形成方法、画像形成装置、画像形成物、及び液体吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、インク、インク容器、画像形成方法、画像形成装置、画像形成物、及び液体吐出装置に関する。
近年、インクジェット方式による画像形成方法は、容易にカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、急速に普及してきている。
前記画像形成方法で用いられるインクについては、顔料を微粒子状にして水に分散させた水性顔料インクが注目されている。前記顔料は一般的な商業印刷インクに用いられる色材と組成が近いこともあり、印刷物の風合いを商業印刷に近づけられることが期待されている。しかし、前記水性顔料インクを用いて商業印刷用又は出版印刷用コート紙に記録すると、インクの吸収が間に合わずビーディングが発生するという問題がある。
更に、印刷用コート紙に記録された画像が印刷工程後、巻き取り工程のロール状態で画像部が合紙側に転写する等の問題もある。
そこで、本願出願人は、先に、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及び色材を含有するインクジェット記録用インクについて提案している(例えば、特許文献1及び2参照)。
本発明は、普通紙は勿論のこと汎用印刷用紙に対しても、ビーディングが抑制された高品位の画像形成が可能であり、かつ画像定着性、及び吐出安定性が良好なインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、色材、有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有するインクであって、
前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子であり、
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつ前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たす。
本発明によると、普通紙は勿論のこと汎用印刷用紙に対しても、ビーディングが抑制された高品位の画像形成が可能であり、かつ画像定着性、及び吐出安定性が良好なインクを提供することができる。
図1は、本発明のインクを用いる記録装置の一例を示す図である。 図2は、本発明のインクを収容するメインタンクの斜視図である。 図3は、本発明の液体吐出装置の一例を示す概略図である。 図4は、本発明のインク吐出装置におけるインク吐出ヘッドの一例を示す外観斜視説明図である。 図5は、本発明のインク吐出装置におけるインク吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
(インク)
本発明のインクは、色材、有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有し、界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記樹脂粒子は、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子である。
前記有機溶剤として溶解度パラメーターは、8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつ前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たす。
本発明のインクは、従来のインクでは、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力と、前記インクの静的表面張力との関係が最適化されていないため、前記インクがインクヘッドのノズルプレートの撥インク膜に濡れ易くなり、前記インクのノズルへの付着によって吐出安定性が低下してしまうという問題があるという知見に基づくものである。
本発明のインクは、前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子であり、
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつ前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことにより、記録媒体への十分なインクの濡れ性を確保することができ、更に汎用印刷用紙等の塗工層を有する吸インク性の悪いコート紙にもインクが素早く浸透し、紙面へのインク着弾後の乾燥過程で急激に顔料凝集が生じて増粘させることが可能となり、ビーディングを抑制することが可能となる。
一般的なポリウレタン樹脂粒子やアクリル系樹脂粒子は、溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤と接触した場合には不安定となり、インクの保存安定性及び吐出安定性が確保できない。この点について本発明者が鋭意検討を重ねた結果、前記樹脂粒子がカルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含むことにより、前記樹脂粒子の前記有機溶剤に対する安定性が増して、インクの保存安定性が良好となり、吐出安定性も向上する。更に、定着性の一つである耐ブロッキング性も良好となることを知見した。
前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aは34.0mN/m以下であり、30.1mN/m以下がより好ましく、30.0mN/m以下が好ましく、25.0mN/m以上30.0mN/m以下がより好ましい、27.5mN/m以上30.0mN/m以下が特に好ましい。
前記動的表面張力Aを34.0mN/m以下にすることにより、汎用印刷用紙での濡れ性及び浸透性が良好となり、ビーディング及びカラーブリードの低減にも効果が高くなる。また、普通紙での発色性及び白ポチの発生も改善できる。
前記インクの最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力は、例えば、SITA DynoTester(SITA社製)を用いて、25℃で測定することができる。
前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たし、次式、10.7%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦17.3%を満たすことが好ましく、12.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦17.0%を満たすことが更に好ましい。
前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことにより、前記インクにおける前記動的表面張力Aと前記静的表面張力Bとのバランスの最適化が図れ、インクジェットヘッドのノズルプレートの撥インク膜に濡れ難くなり、吐出安定性が確保でき、連続吐出においてノズル抜けが生じない極めて安定なインクが得られる。
インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすためには、インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜調整することにより達成することができる。
前記界面活性剤の種類の中でも、後述するポリエーテル変性シロキサン化合物が好ましい。また、前記界面活性剤の含有量としては、後述する範囲が好ましい。
前記インクの25℃での静的表面張力Bは、20.0mN/m以上30.0mN/m以下が好ましい、20.8mN/m以上26.8mN/m以下が更に好ましい。
前記静的表面張力が20.0mN/m以上30.0mN/m以下であると、インクの浸透性を高めることができ、コックリング及びカールの低減効果が高くなり、普通紙印字での浸透乾燥が良好となる。
前記インクの静的表面張力は、例えば、全自動表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
<有機溶剤>
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有する。前記溶解パラメーターは9以上11.8未満が好ましく、9.03以上11.3以下がより好ましい。
前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を含有することにより、汎用印刷用紙上でもビーディングの発生を抑制することが可能となる。
なお、本発明における有機溶剤とは、溶剤として分類される有機化合物の総称であり、湿潤剤や浸透剤などの機能表現で表される物質であっても、溶剤として分類される有機化合物である限り包含するものである。
ここで、前記溶解度パラメーター(SP値)とは、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものをいう。前記SP値は、互いの分子間の引き合う力、即ち、凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、前記CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
前記溶解度パラメーター(SP値)は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液理論により定義され、二成分系溶液の溶解度の目安となる。
前記SP値の計算方法については諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いる。
前記Fedors法により、下記数式(B)を用いてSP値を計算することができる。
[数式(B)]
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2
ただし、前記式(B)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとした場合、下記数式(C)、及び下記数式(D)で示される。
[数式(C)]
E=ΣΔei
[数式(D)]
V=ΣΔvi
なお、前記計算方法、各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviの諸データとしては、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)に記載のデータを用いることができる。
また、−CF基などが示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照することができる。
前記溶解度パラメーター(SP値)が8.96以上11.8未満の有機溶剤としては、下記一般式(I)で示されるアミド化合物、及び下記一般式(II)で示されるオキセタン化合物から選択される少なくとも1種がより好ましい。
[一般式(I)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(I)中、R’は、炭素数4〜6のアルキル基を示す。
[一般式(II)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(II)中、R”は、炭素数1〜2のアルキル基を示す。
前記一般式(I)で示されるアミド化合物、又は前記一般式(II)で示されるオキセタン化合物の具体的な例示化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
[構造式(1)、SP値:9.03]
Figure 0006874550
[構造式(2)、SP値:9.00]
Figure 0006874550
[構造式(3)、SP値:8.96]
Figure 0006874550
[構造式(4)、SP値:11.3]
Figure 0006874550
[構造式(5)、SP値:11.79]
Figure 0006874550
前記溶解度パラメーター(SP値)が8.96以上11.8未満の有機溶剤としては、前記一般式(I)で示されるアミド化合物及び前記一般式(II)で示されるオキセタン化合物以外にも、例えば、3−エチル−オキセタンメタノール(SP値:11.31)、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(SP値:9.19)、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(SP値:9.03)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値:10.14)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値:9.84)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値:9.44)、メチルポリグリコール(SP値:9.77)、ポリプロピレングリコール 250(SP値:10.46)、ポリプロピレングリコール 400(SP値:9.77)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(SP値:9.77)、ポリプロピレングリコール・グリセリルエーテル(SP値:10.29)、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:9.05)、ポリブチレングリコール 500(SP値:9.51)、メチルプロピレントリグリコール(SP値:9.43)、(2EO)(2PO)ブチルエーテル(SP値:9.11)、(5EO)(5PO)ブチルエーテル(SP値:9.04)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(SP値:9.86)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(SP値:10.90)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.34)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:9.77)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.12)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値:9.31)、N−メチルジイソプロパノールアミン(SP値:11.29)、γ−ブチロラクトンメタアクリレート(SP値:11.15)、メチルアセテート(SP値:9.39)、エチルアセテート(SP値:9.26)、n−プロピルアセテート(SP値:9.17)、n−プロピルアルコール(SP値:10.52)、ブチルアセテート(SP値:9.09)、メチルプロピレングリコール(SP値:9.73)、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル(SP値:9.82)、1−メトキシ−2−プロピルアセテート(SP値:9.11)、メチルプロピレングリコールアセテート(SP値:9.11)、プロピルプロピレングリコール(SP値:9.82)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:9.39)、シクロヘキサノールアセテート(SP値:10.01)、ブチルプロピレングリコール(SP値:9.69)、3−メトキシブチルアセテート(SP値:9.05)、3−メトキシブタノール(SP値:9.98)、3−メトキシ−1−プロパノール(SP値:10.41)、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン(SP値:10.21)、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート(SP値:9.15)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(SP値:9.69)、1,6−ヘキサンジオールジアセテート(SP値:9.99)、ブチルプロピレンジグリコール(SP値:9.43)、1,4−ブタンジオールジアセテート(SP値:10.25)、プロピルプロピレンジグリコール(SP値:9.50)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(SP値:10.11)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値:9.19)、プロピレングリコールジアセテート(SP値:10.27)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(SP値:8.99)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤としては、前記一般式(I)で示されるアミド化合物及び前記一般式(II)で示されるオキセタン化合物以外にも、溶解度パラメーター(SP値)が11.8以上14.0以下の多価アルコール、浸透剤を用いることが好ましい。
前記溶解度パラメーター(SP値)が11.8以上14.0以下の多価アルコールとしては、例えば、3−メチル−1,3−ブタンジオール(SP値:12.05)、1,2−ブタンジオール(SP値:12.8)、1,3−ブタンジオール(SP値:12.75)、1,4−ブタンジオール(SP値:12.95)、2,3−ブタンジオール(SP値:12.55)、1,2−プロパンジオール(SP値:13.5)、1,3−プロパンジオール(SP値:13.72)、1,2−ヘキサンジオール(SP値:11.8)、1,6−ヘキサンジオール(SP値:11.95)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(SP値:11.8)、トリエチレングリコール(SP値:12.12)、ジエチレングリコール(SP値:13.02)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、3−メチル−1,3−ブタンジオール(SP値:12.05)、1,2−ブタンジオール(SP値:12.8)、1,3−ブタンジオール(SP値:12.75)、1,4−ブタンジオール(SP値:12.95)、2,3−ブタンジオール(SP値:12.55)、1,2−プロパンジオール(SP値:13.5)、1,3−プロパンジオール(SP値:13.72)が好ましく、1,2−ブタンジオール(SP値:12.8)、1,2−プロパンジオール(SP値:13.5)がより好ましい。
前記溶解度パラメーター(SP値)が11.8以上14.0以下の多価アルコールと前記一般式(I)で示されるアミド化合物及び一般式(II)で示されるオキセタン化合物の合計含有量は、インク全量に対して30質量%以上60質量%以下が好ましい。
前記含有量が30質量%以上であると、汎用印刷用紙上でのビーディングや色間のカラーブリードが抑制できることがあり、60質量%以下であると、画像品質が良好であり、インク粘度が適正となり吐出安定性が良好となる。
前記浸透剤としては、前記溶解度パラメーター(SP値)が8.96以上11.8未満であり、炭素数8〜11のポリオール化合物及びグリコールエーテル化合物などが挙げられる。
これらの中でも、下記一般式(VII)で表される1,3−ジオール化合物が好ましく、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(SP値:10.6)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(SP値:10.8)が特に好ましい。
[一般式(VII)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(VII)中、R’はメチル基及びエチル基のいずれかであり、R’’は水素原子及びメチル基のいずれかであり、R’’’はエチル基及びプロピル基のいずれかである。
その他のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
前記浸透剤の含有量は、インク全量に対して、0.5質量%以上4質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましく、1質量%以上2質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%以上であると、インクの浸透性効果が得られ、画像品質に効果が得られる。一方、前記含有量が、4質量%以下であると、インクの初期粘度が適正となる。
前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤の含有量は、インク全量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、10質量%以上であると、汎用印刷用紙上でのビーディングの発生が抑えられ、色間のカラーブリード抑制効果が向上する。一方、前記含有量が、60質量%以下であると、画像品質が向上し、インク粘度が適正となり吐出安定性が向上する。
前記有機溶剤として、「温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコール」を含有しないことが好ましい。
前記平衡水分量は、塩化カリウム/塩化ナトリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度として、温度23℃±1℃、相対湿度80%±3%に保ち、このデシケーター内に各有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを保管し、下記数式Aから、平衡する水分量を求めたものである。
[数式A]
平衡水分量(%)=[有機溶剤に吸収した水分量/(有機溶剤+有機溶剤に吸収した水分量)]×100
前記有機溶剤として、「温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコール」を含有すると、汎用印刷用紙等の塗工層を有する吸インク性の悪いコート紙に対して、インクの浸透が遅延し、紙面へのインク着弾後の乾燥が遅くなり、ビーディングが発生することがある。
前記「温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコール」は、特開2012−207202号公報(特許文献1)及び特開2014−94998号公報(特許文献2)などで用いられている。
前記「温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコール」としては、例えば、1,2,3−ブタントリオール(平衡水分量:38%)、1,2,4−ブタントリオール(平衡水分量:41%)、グリセリン(平衡水分量:49%、SP値16.38)、ジグリセリン(平衡水分量:38%)、トリエチレングリコール(平衡水分量:39%、SP値15.4)、テトラエチレングリコール(平衡水分量:37%)、ジエチレングリコール(平衡水分量:43%)、1,3−ブタンジオール(平衡水分量:35%)などが挙げられる。
<色材>
前記色材としては、特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。これらの中でも、耐候性の点から、顔料を用いることが好ましい。
前記顔料としては、有機顔料と無機顔料とがある。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが好ましい。
前記カーボンブラック(Pigment Black 7)は、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものがあり、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
前記カーボンブラックの市販品としては、例えば、Regal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Regal(登録商標)、Mogul(登録商標)及びVulcan(登録商標)の商標でCabot Corporationから入手し得るカーボンブラック(例えば、Black Pearls 2000、同1400、同1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、同570、Black Pearls L、Elftex 8、Monarch 1400、同1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、Mogul L、Regal 330、同400、同660、Vulcan P);SENSIJET Black SDP100(SENSIENT社製)、SENSIJET Black SDP1000(SENSIENT社製)、SENSIJET Black SDP2000(SENSIENT社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料が好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、139、150、151、155、153、180、183、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料の比表面積は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10m/g以上1,500m/g以下が好ましく、20m/g以上600m/g以下がより好ましく、50m/g以上300m/g以下が更に好ましい。
所望の表面積と合わない場合には、顔料を比較的小さい粒径にするために、サイズ減少又は粉砕処理(例えば、ボールミル粉砕、又はジェットミル粉砕、又は超音波処理)をして調整することができる。
前記顔料の累積50%粒径(D50)は、インク中において、10nm以上200nm以下が好ましい。
前記顔料としては、水分散性顔料が好ましく、前記水分散性顔料としては、例えば、(1)界面活性剤で顔料を分散した界面活性剤分散、(2)樹脂で顔料を分散した樹脂分散、(3)顔料の表面を樹脂で被覆した樹脂被覆分散、(4)顔料表面に親水基を設けた自己分散性顔料などが挙げられる。
これらの中でも、経時保存安定性が高く、水分蒸発時の粘度上昇が抑制できる点から、前記(3)の顔料の表面を樹脂で被覆した樹脂被覆顔料、及び前記(4)の顔料表面に親水基を設けた自己分散性顔料が好ましい。
前記(4)の親水性官能基を有する自己分散性顔料としては、アニオン性に帯電したものが好適である。前記アニオン性官能基としては、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−CONM、−SONM、−NH−C−COOM、−NH−C−SOM、−NH−C−POHM、−NH−C−PO、−NH−C−CONM、−NH−C−SONMなどが挙げられ、カウンターイオンMとしては、アルカリ金属イオン、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、四級アンモニウムイオンが好ましい。
前記四級アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの中でも、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン及びベンジルトリメチルアンモニウムイオンが好ましく、テトラブチルアンモニウムイオンがより好ましい。
前記親水性官能基及び四級アンモニウムイオンを有する自己分散性顔料を使用すると、水リッチなインク中でも水分が蒸発した有機溶剤リッチなインク中でも親和性を発揮し、顔料の分散が安定に保てると推測される。
前記自己分散性顔料の中でも、ジェミナルビスホスホン酸基及びジェミナルビスホスホン酸塩基の少なくとも一方で改質された顔料を用いたインクは、乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインクの水分が蒸発した場合でも目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行える。更に、経時保存安定性が高く、水分蒸発時の粘度上昇も抑制されるので、ヘッド維持装置でのインク固着性及び吐出信頼性も非常に優れている。
前記ホスホン酸基又はホスホン酸塩基の具体例としては、下記構造式(i)から(iv)のいずれかが挙げられる。
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
ただし、前記構造式(iii)中、Xは、Li、K、Na、NH 、N(CH 、N(C 、N(C 及びN(C のいずれかを示す。
Figure 0006874550
ただし、前記構造式(iv)中、Xは、Li、K、Na、NH 、N(CH 、N(C 、N(C 及びN(C のいずれかを示す。
−顔料表面の改質処理−
ここで、ジェミナルビスホスホン酸基の場合を例として、顔料表面の改質処理について説明する。改質方法としては、例えば、以下の方法A、方法Bが挙げられる。
〔方法A〕
カーボンブラック20g、下記構造式(v)又は構造式(vi)の化合物20ミリモル、及びイオン交換高純水200mLを、室温環境下、Silversonミキサー(6000rpm)で混合する。得られるスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20ミリモルを添加する。30分間後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加する。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させると、カーボンブラックに下記構造式(v)又は構造式(vi)の化合物を付加した改質顔料が生成する。次いで、NaOH水溶液によりpHを10に調整すると、30分間後に改質顔料分散体が得られる。次いで、該分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜による限外濾過を行い、更に、超音波分散を行って固形分を濃縮した改質顔料分散体を得る。
〔方法B〕
ProcessAll 4HV ミキサー(4L)に、乾燥カーボンブラック500g、イオン交換高純水1L及び下記構造式(v)又は構造式(vi)の化合物1モルを充填する。次いで、混合物を10分間、60℃に加温しながら300rpmで強く混合する。これに20%亜硝酸ナトリウム水性溶液[構造式(v)の化合物又は構造式(vi)の化合物に基づき1モル当量]を15分間かけて添加し、60℃に加温しながら、3時間混合撹拌する。
前記反応物をイオン交換高純水750mLで希釈しながら取り出し、得られた改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に、超音波分散を行って固形分を濃縮した改質顔料分散体を得る。更に、粗大粒子が多い場合は、遠心分離機等を用いて除去することが好ましい。
[構造式(v)]
Figure 0006874550
[構造式(vi)]
Figure 0006874550
得られた改質顔料分散体には、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては後述するインクのpH調整剤と同じものを用いることができる。これらの中でも、Na、N(CH 、N(C 、N(C 、N(C が好ましい。
そして、pH調整剤による処理を行うと、前記構造式(v)又は構造式(vi)の化合物の少なくとも一部はそれらの塩(前記構造式(iii)又は構造式(iv)に相当する化合物)に変わる。
前記(3)の顔料の表面を樹脂で被覆した樹脂被覆顔料としては、樹脂に顔料を含有させた樹脂エマルションが好ましい。
前記樹脂に顔料を含有させた樹脂エマルションとは、前記樹脂中に顔料を封入したもの、又は樹脂の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルション中に分散にしていてもよい。
前記樹脂エマルションを形成する樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられるが、特に好ましく用いられる樹脂は、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂であり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されている樹脂を引用することができる。
この場合、一般的な有機顔料、若しくは無機顔料粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した複合顔料を好適に用いることができる。前記複合顔料は、無機顔料粒子の存在下で有機顔料を析出する方法や、無機顔料と有機顔料を機械的に混摩砕するメカノケミカル法等により作製することができる。
更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成するオルガノシラン化合物の層を、無機顔料と有機顔料の中間に設けることで両者の接着性を向上させることが可能である。
前記有機顔料及び前記無機顔料としては、特に制限はなく、上述したものの中から適宜選択して用いることができる。
前記無機顔料粒子と前記色材である有機顔料又はカーボンブラックとの質量比は、3:1〜1:3が好ましく、3:2〜1:2がより好ましい。
前記色材が少ないと発色性や着色力が低下することがあり、色材が多くなると透明性や色調が悪くなることがある。
このような無機顔料粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した色材粒子としては、戸田工業株式会社製のシリカ/カーボンブラック複合材料、シリカ/フタロシアニンPB15:3複合材料、シリカ/ジスアゾイエロー複合材料、シリカ/キナクリドンPR122複合材料などが、一次平均粒径が小さい点から、好適に用いることができる。
ここで、20nmの一次粒子径を持つ無機顔料粒子を等量の有機顔料で被覆した場合、この顔料の一次粒子径は、25nm程度になる。これに適当な分散剤を用いて一次粒子まで分散できれば、分散粒子径が25nmの非常に微細な顔料分散インクを作製することができる。
前記複合顔料は、表面の有機顔料のみが分散に寄与するだけでなく、厚み2.5nmの有機顔料の薄層を通して中心にある無機顔料の性質も現れてくるため、両者を同時に分散安定化できる顔料分散剤の選択も重要である。
前記色材の含有量は、インク全量に対して、1質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であれば、十分なインクの発色性及び画像濃度が得られる。また、前記含有量が、15質量%以下であれば、インクが増粘したり、吐出性が悪くなることはなく、経済的にも好ましい。
<樹脂粒子>
前記樹脂粒子は、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む。
前記樹脂粒子は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高溶剤性、高耐水性、高耐候性を備えて、高溶剤性ではインク中に添加される溶剤に対して膨潤し難いことで定着性が良好となり、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像形成に有用である。
本発明のインクには、前記色材としての顔料と同一極性の電荷を有し、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子が、樹脂エマルションの形態で添加されることが好ましい
前記樹脂エマルションにおける樹脂のガラス転移温度(Tg)は、15℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましく、上限として100℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましい。
前記樹脂のガラス転移温度(Tg)は、下記の数式(I)により理論的に導かれる。なお、前記ガラス転移温度(Tg)の計算には、アルコキシシリル基を有する構造単位を含めないものとする。
[数式(I)]
1/Tg=[(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・・(Wn/Tgn)]/100
ただし、前記数式(I)中、W1は、単量体1の質量%、Tg1は、モノマー1のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、W2は、モノマー2の質量%、Tg2は、モノマー2のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、Wnは、モノマーnの質量%、Tgnはモノマーnのみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)である。ここで、W1+W2+・・・・+Wn=100である。
なお、ラジカル重合性不飽和モノマーを水性媒体中で重合する際に乳化剤として、ラジカル重合性不飽和基を有するものを使用する場合には、ラジカル重合性不飽和モノマーの構成の特定及び共重合体のガラス転移温度(Tg)の計算に際して、ラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤はモノマーには含めないものとする。
(1)前記カルボキシル基を有する構造単位(カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー)(a1)の含有量は、樹脂中に、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
前記カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
(2)前記アルコキシシリル基を有する構造単位(アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位)(a2)の含有量は、樹脂中に、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上であると、動的光散乱法及び個数カウント法による、形成された樹脂粒子の粒度分布状況が上記の条件を満たし、OD値が適正となり、画像形成物の耐摩耗性、定着性、及び耐溶剤性が良好となる。前記アルコキシシリル基の多くは、樹脂エマルション形成時に加水分解し、樹脂粒子の内部架橋形成に寄与するものと考えられる。また、前記アルコキシシリル基の一部は、樹脂粒子同士の粒子間架橋形成や樹脂と顔料との粒子間架橋形成にも寄与するものと考えられる。したがって、前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位(a2)の含有量が、0.1質量%以上であると、前記アルコキシシリル基による粒子内架橋も粒子間架橋も適正とする。その結果、OD値が低いばかりでなく、画像形成物の耐摩耗性、定着性、及び耐溶剤性が良好となる。
前記樹脂中にアルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位(a2)を0.1質量%以上含有すると、粒子内架橋も粒子間架橋も向上する。その結果、OD値も向上し、画像形成物の耐摩耗性、定着性、及び耐溶剤性も向上する。
一方、前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位(a2)の含有量を20質量%よりも過量に含む樹脂を用いて樹脂エマルションを形成しようとしても、前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位は疎水性に富むので、重合が困難となる。更に、前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー由来の構造単位は架橋成分であるため、重合安定性を低下する成分でもあり、通常の乳化重合では、架橋成分を20質量%以上含む場合、重合中に粒子同士が凝集してしまい、安定な樹脂エマルションは得られない。
前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
その他の樹脂のガラス転移温度(Tg)をコントロールするモノマー(a3)としては、例えば、アクリル酸(ホモポリマーのTg:106℃以下)、アクリル酸メチル(ホモポリマーのTg:−8℃)、アクリル酸エチル(ホモポリマーのTg:−20℃)、アクリル酸ブチル(ホモポリマーのTg:−45℃)、アクリル酸−2−エチルヘキシル(ホモポリマーのTg:−55℃)等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸(ホモポリマーのTg:228℃)、メタクリル酸メチル(ホモポリマーのTg:100℃)、メタクリル酸エチル(ホモポリマーのTg:65℃)、メタクリル酸ブチル(ホモポリマーのTg:20℃)、メタクリル酸−2−エチルヘキシル(ホモポリマーのTg:−10℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(ホモポリマーのTg:66℃)等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル(ホモポリマーのTg:30℃)、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;ブタジエン等のジエン類;グリシジルメタクリレート(ホモポリマーのTg:41℃),アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:18℃)等のアミノ基含有モノマー;アクリルアミド(ホモポリマーのTg:150℃)等のカルボン酸アミド基含有モノマー;アクリロニトリル(ホモポリマーのTg:96℃)等のシアノ基含有単量体;スチレン(ホモポリマーのTg:100℃)、ジビニルベンゼン(ホモポリマーのTg:116℃)等のビニル単量体;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂エマルションを得るには、前記モノマー(a1)〜(a3)と、前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部未満の乳化剤と、水とから、個数カウント法によるモノマー液滴の体積平均粒径が0.5μm以上10μm以下のモノマープレエマルションを得ることが重要である。
前記乳化重合は、重合に供されたモノマーがモノマー液滴から水中にごく微量ずつ溶解し、水中で重合が進行する。つまり、前記乳化重合の重合場は、モノマー液滴中ではなく、水相で発生した乳化剤からなるミセルである。従って、均一な組成、粒度分布の樹脂エマルションを得るためには、重合に供されたモノマーの水への溶解を円滑、かつ一定にすることが肝要である。
前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)は、疎水性に富む難水溶性のモノマーである。このような疎水性に富む難水溶性のモノマー(a2)を均一にかつ確実に重合させるためには、モノマー液滴から難水溶性のモノマー(a2)を速やかに水に溶解させることが必要である。
そのためには、モノマー液滴の体積平均粒子径が0.5μm以上10μm以下のモノマープレエマルションを用いることが効果的であり、モノマー液滴の体積平均粒子径が0.5μm以上5μm以下のモノマープレエマルションを用いることが極めて効果的である。モノマープレエマルション中のモノマー液滴の体積平均粒子径が10μmより大きいと、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性不飽和モノマー(a2)が、モノマー液滴から水中へ溶解しにくくなる。その結果、前記モノマー(a2)が樹脂粒子の形成に確実に利用されず、取り残され、個数カウント法による1.5μm以上の超粗大粒子や凝集物を生成させてしまう。
このような粒度状態のモノマープレエマルションは、例えば、バッチ式ホモミキサー、超音波式乳化機、高圧式ホモジナイザー等を用い、撹拌スピード、周波数、圧力等を適宜調整することにより形成することができる。
なお、前記モノマープレエマルションの粒子径が小さいほど、モノマー液滴から水へのモノマーの溶解速度は大きくなるので好ましい。しかし、体積平均粒子径が0.5μmよりも小さなモノマープレエマルションを得ることは、前記装置を使っても一般に困難である。
前記モノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
前記モノマープレエマルションの体積平均粒子径は、樹脂エマルションの粗大粒子確認の場合と同様に、モノマー濃度が0.001質量%〜0.05質量%程度になるように蒸留水で希釈し、「Accusizer」(米国 PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)により、求めることができる。
前記乳化剤は、前記モノマー(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部未満であり、1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。前記乳化剤量が5質量部以上であると、画像形成物の耐水性が低下する。一方、前記乳化剤量が0.1質量部未満であると、モノマープレエマルションの分散状態を安定に保つことができない。
前記乳化剤として、アニオン乳化剤を単独で使用することもできるし、アニオン乳化剤とノニオン乳化剤とを併用することもできる。
また、前記乳化剤は、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよいし、あるいは両者を併用することもできる。画像形成物の耐水性を向上するという点で、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤を使用することが好ましい。
前記反応性乳化剤としては、分子内にラジカル重合可能な不飽和2重結合を1個以上有するアニオン性又はノニオン性の乳化剤であり、例えば、スルホコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2等)、アルキルフェノールエーテル系(市販品としては、第一工業製薬株式会社製のアクアロンKH−20、RN−20等)がある。
前記非反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン系非反応性乳化剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシ多環フェニルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系非反応性乳化剤などが挙げられる。
具体的には、アニオン系非反応性乳化剤としては、例えば、ハイテノールNF−08〔エチレンオキサイド単位の繰り返し数(以下、「EOユニット数」という):8〕、NF−17(EOユニット数:17)〔以上、第一工業製薬株式会社製〕、エレミノールES−12(EOユニット数:6)、ES−30(EOユニット数:15)、ES−70(EOユニット数:35)〔以上、三洋化成工業株式会社製〕などが挙げられる。
ノニオン系非反応性乳化剤としては、例えば、エマルゲン1108(EOユニット数:8)、1118S−70(EOユニット数:18)、1135S−70(EOユニット数:35)、1150S−70(EOユニット数:50)〔以上、花王株式会社製〕などが挙げられる。
前記非反応性乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂エマルションは、水、乳化剤、及び水性重合性開始剤を含有し、前記モノマープレエマルションを含有しない重合場に、前記モノマープレエマルションを滴下し、ラジカル重合することも重要である。
多量の水及び滴下用のモノマープレエマルションの一部を反応容器に入れ、ここに残りの滴下用のモノマープレエマルション及び重合開始剤を加えたり、多量の水、重合開始剤及び滴下用のモノマープレエマルションの一部を反応容器に入れ、ここに残りの滴下用のモノマープレエマルションを加えたりする手法は、樹脂エマルションの製造に当たって、日常的には選択される方法ではある。
しかし、本発明のように難水溶性のアルコキシシリル基を有するラジカル重合性モノマー(a2)を用いる場合、モノマー液滴から水に溶解したモノマー(a2)は、重合場に供給された後、重合場にできるだけ滞留することなく速やかに重合し、モノマー(a2)としては存在しなくなることが重要である。つまり、モノマー(a2)の溶解、モノマー(a2)の速やかな重合による消滅が、モノマー(a2)のさらなる溶解を促し、重合反応を円滑に進行させる。
従って、本発明の場合、モノマープレエマルションの一部を反応容器に入れておかないことが肝要である。モノマープレエマルションの一部を反応容器に入れておくと、モノマープレエマルションの残りを滴下槽から滴下しても、最初に存在していたモノマー中の難水溶性モノマー(a2)が重合により消費されるまで、滴下により供給されたモノマー中の難水溶性モノマー(a2)が重合場に滞留し、超粗大粒子や凝集物の発生原因となる。
なお、本発明でいう、水と乳化剤と水性重合性開始剤とを含有する重合場とは、モノマープレエマルション中のモノマーが重合する際に、前記三者が存在することを意味する。つまり、加熱手段と冷却手段とを具備する反応容器に水と乳化剤と水性重合性開始剤とを入れ、モノマープレエマルションをここに滴下する方法の他、前記と同様の反応容器に水と乳化剤とを入れ、この反応容器にモノマープレエマルションと水性重合性開始剤とを別個の滴下槽からそれぞれ滴下する方法でもよいし、前記と同様の反応容器に水と乳化剤とを入れ、この反応容器に水性重合性開始剤を含むモノマープレエマルションを滴下する方法でもよい。
反応容器に入れる乳化剤としては、モノマープレエマルションを得る際に例示したものと同様のものを例示できる。
モノマープレエマルションを構成する乳化剤と反応容器に入れる乳化剤の合計量は、モノマー(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.1質量部よりも多く5質量部以下であることが重要である。合計の乳化剤量が5質量部よりも多いと、画像形成物の耐水性が低下する。一方、合計の乳化剤量が0.1質量部以下であると樹脂エマルションの分散状態を安定に保つことができない。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類などが挙げられる。
前記重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用するモノマーの合計100質量部に対して、0.1質量部以上1質量部以下が好ましく、0.2質量部以上0.8質量部以下がより好ましい。前記使用量が、0.1質量部以上1質量部以下であると、耐水性及び重合安定性が良好となる。
レドックス開始剤としては、過酸化物系開始剤と還元剤の組み合わせが有効である。過酸化物系開始剤としては、例えば、パーブチルH(ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド)、パーブチルO(ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。前記還元剤としては、例えば、エルビットN(イソアスコルビン酸ナトリウム)、L−アスコルビン酸(ビタミンC)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(SMBS)、次亜硫酸ナトリウム(ハイドロサルファイト)などが挙げられる。
前記樹脂エマルションは、前記した方法とは異なる方法で得ることもできる。例えば、モノマープレエマルションの一部を反応容器に入れておいた状態で、水性重合性開始剤の一部を反応容器に滴下し重合反応を開始し、反応容器中に入れておいた難水溶性モノマー(a2)を含むモノマーが重合により十分消費された後、モノマープレエマルション及び水性重合性開始剤の残りを反応容器中に滴下する方法がある。この方法は、重合を始める時点ではモノマープレエマルションは存在するが、重合中にモノマープレエマルションは消滅するため、超粗大粒子や凝集物の発生を抑制できる。重合開始時における反応容器中のモノマー濃度は20質量%以下が好ましい。前記モノマー濃度が、20質量%以下であると、重合時の反応熱が適正であり、重合安定性が良好となる。
前記種々の方法で得られる樹脂エマルションは、いずれも1.5μm以上の超粗大粒子の含有量が極めて少ないものである。
前記樹脂エマルションは、揮発性塩基化合物で中和して使用することが好ましい。
前記揮発性塩基化合物としては、例えば、アンモニア;アミン類として、モノエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂エマルションには、本発明の目的、効果を損なわない範囲で親水性の有機溶剤も必要に応じて使用することができる。
前記樹脂エマルション中の樹脂の動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)は、50nm以上200nm以下が好ましく、前記樹脂エマルションには動的光散乱法による0.5μm(=500nm)以上の粗大粒子が観察されないことが好ましい。
前記累積50%粒子径(D50)は、動的光散乱法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒子径である。具体的には、樹脂エマルションを固形分0.01質量%以上0.1質量%以下に希釈し、「マイクロトラックUPA」(Leeds & Northrup社製)を用い、累積50%粒子径(D50)を求めることができる。
前記樹脂粒子の含有量は、インク全量に対して、固形分で、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上8質量%以下がより好ましい。
前記インク中にアルコキシシリル基及びカルボキシ基を構成単位として含む樹脂粒子が含まれていることは、以下のようにして分析することができる。
<樹脂分取>
(1)まず、インクを酸析するため、インクをマグネチックスターラーで撹拌しながら、0.1N塩酸水溶液を添加し、インクがpH4程度になるまで酸析する。凝集析出した固体をブフナロート型ガラスフィルター(目の粗さ1.0μm以下)でろ過する。更に、数回高純水で洗浄する。
(2)洗浄した凝集析出物を減圧乾燥機で40℃以下に保ちながら、3時間減圧乾燥させる。
(3)乾燥した凝集析出物を筒型ろ紙に入れ、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソックスレー抽出を5時間実施する。
(4)ソックスレー抽出で得られた抽出液をロータリーエバポレーターで溶媒のTHFを除去する。
(5)更に、得られた残渣を、減圧乾燥機を用いて30℃以下に保ちながら、3時間減圧乾燥させる。
<分析>
乾燥させた残渣について、GC−MS、H−NMR、及びIRスペクトル分析を行い、インク中にアルコキシシリル基及びカルボキシ基を構成単位として含む樹脂粒子が含まれているか否かを解析することができる。
<水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水のインク中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン化合物を含むことが好ましい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物を界面活性剤として用いることにより、インクヘッドのノズルプレートの撥インク層に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、色材の種類や前記有機溶剤の組合せによって分散安定性を損なわず、動的表面張力が低く、浸透性、及びレベリング性の点から、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[一般式(III)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(IV)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(V)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(VI)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。Rは、下記一般式(a)で表されるポリエーテル基を示す。
[一般式(a)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(a)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
前記一般式(III)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(VI)]
Figure 0006874550
[構造式(VII)]
Figure 0006874550
[構造式(VIII)]
Figure 0006874550
[構造式(IX)]
Figure 0006874550
[構造式(X)]
Figure 0006874550
[構造式(XI)]
Figure 0006874550
[構造式(XII)]
Figure 0006874550
[構造式(XIII)]
Figure 0006874550
前記一般式(IV)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XIV)]
Figure 0006874550
前記一般式(V)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XV)]
Figure 0006874550
前記一般式(VI)で示されるポリエーテル変性シロキサン化合物としては、例えば、下記構造式で表される化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[構造式(XVI)]
Figure 0006874550
[構造式(XVII)]
Figure 0006874550
[構造式(XVIII)]
Figure 0006874550
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第5101598号公報、特許第5032325号公報、特許第5661229号公報などの記載を参照することができる。
具体的には、(A)ポリエーテルと、(B)オルガノハイドロジェンシロキサンとをヒドロシリル化反応させることにより合成することができる。
前記(A)成分のポリエーテルは、−(C2nO)−(ただし、式中、nは2〜4である。)によって表されるポリオキシアルキレンコポリマーを示す。
前記ポリオキシアルキレンコポリマー単位は、好ましくは、オキシエチレン単位−(CO)−、オキシプロピレン単位−(CO)−、オキシブチレン単位−(CO)−、又はそれらの混合単位を含むことができる。前記オキシアルキレン単位は、どのようなやり方で配置されていてもよく、ブロック及びランダムコポリマー構造のいずれかを形成できるが、好ましくはランダムコポリマー基を形成する。より好ましくは、前記ポリオキシアルキレンは、オキシエチレン単位(CO)及びオキシプロピレン単位(CO)の両方をランダムコポリマー中に含む。
前記(B)成分のオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つの、ケイ素に結合した水素(SiH)を含むオルガノポリシロキサンである。前記オルガノポリシロキサンとしては、例えば、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、(SiO)(ただし、式中、Rは独立して有機基又は炭化水素基である)のシロキシ単位の任意の数あるいは組み合わせなどが挙げられる。
前記オルガノポリシロキサンの(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)のRがメチル基である場合は、前記シロキシ単位は、それぞれM、D、及びT単位として示され、一方、(SiO)シロキシ単位はQ単位として示される。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは類似した構造をもっているが、シロキシ単位上に存在する少なくとも1つのSiHを有する。
前記オルガノハイドロジェンシロキサン中のメチル系シロキシ単位は、「M」シロキシ単位(RHSiO0.5)、「D」シロキシ単位(RHSiO)、「T」シロキシ単位(HSiO1.5)を含むものとして示すことができる。
前記オルガノハイドロジェンシロキサンは、少なくとも1つのシロキシ単位がSiHを含むことを条件として、任意の数のM、M、D、D、T、T、又はQシロキシ単位を含むことができる。
前記(A)成分及び前記(B)成分は、ヒドロシリル化反応によって反応させる。前記ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒドロシリル化触媒を添加して行うことが好ましい。
前記ヒドロシリル化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属、又はそれらの有機金属化合物、あるいはそれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記ヒドロシリル化触媒の含有量は、前記(A)成分及び前記(B)成分の質量を基準にして、0.1ppm以上1,000ppm以下が好ましく、1ppm以上100ppm以下がより好ましい。
前記ヒドロシリル化反応は、希釈なし、あるいは溶媒の存在下で行うことができるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn−プロパノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン);脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン);グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、又はエチレングリコールn−ブチルエーテル)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、又はメチレンクロライド、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、ミネラルスピリット、又はナフサなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロシリル化反応に用いられる前記(A)成分及び前記(B)成分の量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することができ、前記(A)成分中の全不飽和基と、前記(B)成分のSiH含有量とのモル比で表される。前記オルガノハイドロジェンシロキサンのSiHモル量に対して、20モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことが好ましく、10モル%以下のポリエーテル不飽和基量を用いて行うことがより好ましい。
前記ヒドロシリル化反応は、特に制限はなく、公知の任意のバッチ法、半連続法、又は連続法において行うことができ、例えば、プラグフロー反応器を用いた連続法で行うことができる。
前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、71ADDITIVE、74ADDITIVE、57ADDITIVE、8029ADDITIVE、8054ADDITIVE、8211ADDITIVE、8019ADDITIVE、8526ADDITIVE、FZ−2123、FZ−2191(いずれもTORAY ダウ・コーニング株式会社製);TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4460(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSJM003(いずれも日信化学工業株式会社製);TEGO Wet KL245、TEGO Wet 250、TEGO Wet 260、TEGO Wet 265、TEGO Wet 270、TEGO Wet 280(いずれもエボニック社製);BYK−345,BYK−347,BYK−348,BYK−375,BYK−377(いずれもビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、TEGO Wet 270(エボニック社製)、シルフェイスSAG503A(日信化学工業株式会社製)が好ましい。
前記界面活性剤としては、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物以外にも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール又はアセチレンアルコール系界面活性剤などを併用してもよい。
前記界面活性剤の含有量は、インク全量に対して、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.001質量%以上5質量%以下であると、インクヘッドのノズルプレートの撥インク層に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上するという効果が得られる。
本発明のインクは、別の態様として、色材、下記構造式(1)から(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種の有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
[構造式(1)]
Figure 0006874550
[構造式(2)]
Figure 0006874550
[構造式(3)]
Figure 0006874550
[構造式(4)]
Figure 0006874550
[構造式(5)]
Figure 0006874550
前記色材、前記樹脂粒子、前記構造式(1)から(5)で表される化合物以外の有機溶剤、及び水としては、上述した本発明のインクと同様である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、抑泡剤(消泡剤)、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
−抑泡剤(消泡剤)−
前記抑泡剤(消泡剤)は、インク中に微量添加することによって、その発泡を抑えるために用いられる。ここで、前記発泡とはインクが薄い膜になって空気を包むことである。この泡の生成にはインクの表面張力や粘度等の特性が関与する。即ち、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が働くために、発泡し難い。これに対し、高粘度で高浸透性のインクは、表面張力が低いために発泡し易く、溶液の粘性により生成した泡が維持されやすく消泡し難い。
通常、前記抑泡剤は、泡膜の表面張力を局部的に低下させて泡を破壊するか、発泡液に不溶な抑泡剤を発泡液表面に点在させることで泡を破壊する。前記インクに界面活性剤として表面張力を低下させる働きの極めて強いポリエーテル変性シロキサン化合物を用いた場合には、前者の機構による抑泡剤を用いても泡膜の表面張力を局部的に低下させることができないため、通常は用いられない。そのため、後者の発泡液に不溶な抑泡剤が用いられるが、この場合、溶液に不溶な抑泡剤によりインクの安定性が低下する。
これに対して、下記一般式(A)で表される抑泡剤は、表面張力を低下させる働きがポリエーテル変性シロキサン化合物ほど強くないものの、前記ポリエーテル変性シロキサン化合物に対する相溶性が高い。このため、抑泡剤が効率的に泡膜に取り込まれ、ポリエーテル変性シロキサン化合物と抑泡剤との表面張力の違いにより泡膜の表面が局部的に不均衡な状態となり、泡が破壊すると考えられる。
したがって、前記抑泡剤としては、下記一般式(A)で表される化合物が用いられる。
<一般式(A)>
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(A)中、R及びRは、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基であり、R及びRは、独立に炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、nは1〜6の整数である。
前記一般式(A)で表される化合物としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールなどが挙げられる。これらの中でも、抑泡性効果とインクへの相溶性が高い点から、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールが好ましい。
前記抑泡剤の含有量は、インク全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記抑泡剤の含有量が、0.01質量%以上であると、泡を抑える効果が得られる。一方、前記抑泡剤の含有量が、10質量%以下であると、良好な抑泡性が得られ、粘度、粒径等のインク物性が適正となる。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。前記pHが7未満及び11を超えると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きくなり、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
−防腐防黴剤−
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
−キレート試薬−
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
−防錆剤−
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
<インクの製造方法>
本発明のインクは、前記色材、前記有機溶剤、前記樹脂粒子、及び前記界面活性剤、更に必要に応じて前記その他の成分を水中に分散又は溶解し、攪拌混合して製造する。前記攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
−インク物性−
前記インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクの25℃での粘度は、5mPa・s〜25mPa・sが好ましく、6mPa・s〜20mPa・sがより好ましい。前記インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、前記インク粘度を25mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。
ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
本発明のインクは、インクジェット記録用及びスプレー塗装用のいずれかに好適に用いられる。
前記インクジェット記録用としてのインクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、又は、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
(インク容器)
本発明のインク容器は、本発明の前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、インク飛翔工程を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、インク飛翔手段を有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<インク飛翔工程及びインク飛翔手段>
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクに、刺激(エネルギー)を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクに、刺激(エネルギー)を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体に画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズルなどが挙げられる。
前記刺激(エネルギー)は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば、記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から前記インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥手段、制御手段などが挙げられる。
−乾燥工程及び乾燥手段−
前記乾燥工程は、前記インクで画像が記録された記録媒体を加熱乾燥する工程であり、乾燥手段により行われる。
前記乾燥は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、ロールヒーター、ドラムヒーターや温風により行うことができる。なお、画像形成表面を平滑化及び画像定着するため、加熱手段により100℃以上150℃以下に加熱して熱定着させる定着工程を設けてもよい。
前記定着工程を設けることにより、記録物の光沢性及び定着性が向上する。ここで熱定着手段としては、加熱された鏡面を持つローラやドラムヒーター等が好適に用いられ、画像形成表面にロールヒーター、ドラムヒーターの鏡面部(平滑部)を接触させることができる。加熱温度については、画像品質、安全性、及び経済性を考えると100℃以上150℃以下に加熱された定着ローラが好ましい。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により行われる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。更に、インクとして用いて二次元の文字や画像を形成するだけでなく、三次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
(液体吐出装置)
本発明の液体吐出装置は、本発明のインクと、前記インクを吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備えた液体吐出装置であって、
前記液体吐出部が、前記ノズルと連通する液室、並びに前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口を有し、
前記液体吐出装置が、前記第一の供給口及び前記第二の供給口の一方の供給口から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明のインクを従来ヘッドで吐出させた場合、デキャップ時にメニスカス近傍のインクが造膜しやすく、再吐出した際に曲がりや揺れといった異常吐出を発生させてしまうことがあるが、前記循環手段を有するヘッドによりメニスカス近傍のインクが循環される効果が得られるためでキャップ時の造膜化を防ぐことができ、長期に渡り吐出安定性が向上し、高品位の記録を安定して提供することが可能となる。
前記循環手段を有するヘッドは、インクを循環させるため従来ヘッドに比べてメニスカスが維持され難く、メニスカスの溢れや気泡の巻き込みが発生しやすくなってしまうという課題がある。しかしながら、本発明インクを上記循環手段を有するヘッドと組合せることで、インクにおける動的表面張力Aと静的表面張力Bとのバランスの最適化が図れ、ノズルプレートの撥水膜に濡れ難いインクとなることでメニスカスを維持することが可能となり、メニスカスの溢れや気泡の巻き込みを防いで長期に渡り安定して高品位な画像を提供することが可能となる。
ここで、図3は、本発明の液体吐出装置(インクジェット装置、画像形成装置)の一例としての構成を示す概略図である。
液体吐出装置1は、インク等の液滴を吐出するノズル3、及び吐出機構を有するヘッド(液体吐出部、液体吐出ヘッド)2と、ヘッド2に液体(第1の液体、第2の液体)を供給するための第1のインク供給経路(第1の経路)100と、ヘッド2に液体(第1の液体、第2の液体)を供給するための第2のインク供給経路(第2の経路)110と、第1のインク供給経路100を介してヘッド2にインク(第1の液体)22を供給するインクタンク(第1の液体貯留部)21を備えた第1の液体供給部20と、第1のインク供給経路100、及び第2のインク供給経路110に対してバルブA(第1の切り替え弁101)及びバルブB(第2の切り替え弁111)を介してそれぞれつながり、かつヘッド2を迂回する循環経路(第3の経路)120と、循環経路120上に配置された脱気装置121(脱気装置121a+真空発生装置(ポンプ)121b)、及び液体循環手段(ポンプ)122と、第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110に対してバルブC(第3の切り替え弁102)を介してつながる洗浄液供給経路(第4の経路)130と、洗浄液供給経路130を介してヘッドに洗浄液42(第2の液体)を供給する洗浄液タンク41を備えた第2の液体供給部40と、第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110中の液体をヘッドへ流すために第1のインク供給経路100、若しくは第2のインク供給経路110上に設置されたバルブD(経路開閉手段112)と、を備える。
ヘッド(液体吐出部)2は、先端面にインク(第1の液体)22を吐出する微細なノズル3を複数備え、その内部にはノズルと連通し、かつインクを保持する図示しない液室を備えている。また、ヘッド2の異なった部位には、液室にインクや洗浄液を流入又は流出させるための第1の供給口5と第2の供給口6がそれぞれ配置されている。第1の供給口5は第1のインク供給経路100の一端と連通接続され、第2の供給口6は第2のインク供給経路110の一端と連通接続されている。
ノズル3からインクを液滴として吐出する方式(液体吐出機構)として、インクを加熱して押し出す方式や、ヘッド内部に配置したピエゾ素子に電圧を加えて変形させることでインクを押し出す方式などが挙げられる。
図示しない印刷対象に対してインクを吐出することで印刷することができる。印刷対象として、紙などシート状のものが挙げられる。
第1のインク供給経路(第1の経路)100は、一端がヘッドの第1の供給口5につながり、他端がインクタンク21内のインク22に通じており、3つの流路r1、r2、r3から構成されている。
洗浄液供給経路(第4の経路)130は、一端がバルブCにつながり、他端が洗浄液タンク41内の洗浄液42に通じている流路r4から構成されている。
バルブA(第1の切り替え弁101)、バルブB(第2の切り替え弁111)、バルブC(第3の切り替え弁102)は、それぞれ3方の経路に連通接続され、3方の経路のうちのいずれか2方を同時に導通(連通)させる機能を有する。即ち、バルブAは第1のインク供給経路100の途中に配置されると共に、循環経路120の一端と接続されている。バルブBは第2のインク供給経路110の途中に配置されると共に、循環経路120の他端と接続されている。バルブCは、バルブAよりもインクタンク21寄りの第1のインク供給経路100の途中に配置されると共に、洗浄液供給経路130の一端(下流側端部)と接続されている。
バルブD(経路開閉手段112)は、バルブBよりも廃液タンク50寄りの第2のインク供給経路110の途中に配置されており、第2のインク供給経路110を開閉させて大気との連通状態を断接(遮断、接続)する機能を有する。
バルブA、バルブB、バルブC、バルブDによる経路間の接続パターン(開閉パターン)を切り替える方式として、手動式、空圧式、電磁式が挙げられる。ただし、図示しない制御回路でこれらを制御する場合には電磁式が好ましい。
次に、インクタンク21とその周辺部(第1の液体供給部20)について説明する。
インクタンク21は、ヘッド2のノズルから吐出するインクを蓄える容器である。
第1の加圧装置(第1の加圧手段)23、及び減圧装置(減圧手段)24が、インクタンク内の上部にある気相と通じている。
また、第1のインク供給経路100の一端部(開口部)がインクタンク内に入り込んでその下部まで達しており、インクタンク内部のインク22と連通するように配置されている。
第1のインク供給経路100は、インクタンク21内から、バルブC、バルブAを通じて第1の供給口5へつながっている。
第1の加圧装置23は、圧縮空気を送り出す空圧式の加圧装置であり、図示しない制御回路からの制御信号を受けて任意に駆動、停止を制御される。
第1の加圧装置23としては、コンプレッサーと、コンプレッサーで発生させた圧縮空気を送り出す経路を開閉する電磁弁と、を組み合わせた構成を一例として挙げることができる。
第1の加圧装置23を駆動すると、密閉されたインクタンク内の気相が加圧され、インクが第1のインク供給経路100の方向に押し出される。
減圧装置24は、空気を減圧する装置であり、図示しない制御回路により駆動、停止、及び減圧量の大小を制御される。減圧装置24は、第1の液体供給部と第2のインク供給経路110との間に圧力差を発生させてヘッドから第1の液体供給部20へインク(第1の液体)を回収する第1の液体回収機構を構成している。
減圧装置24としては、真空ポンプと、真空ポンプにつながった経路に流れる空気の流量を制限することで減圧量の大小を調節する調節装置と、を組み合わせた構成が考えられる。
減圧装置24を駆動してインクタンク内の気相を減圧すると、第1のインク供給経路100内のインクがインクタンク21側へ引き戻される。
液体吐出装置1では、ヘッド2内のインク圧力が大気圧より大きい場合、ノズル3から意図せずにインクが漏れ出すことが起こる。これを防ぐためには減圧装置24を駆動することが有効である。密閉されたインクタンク内の気相を減圧することにより、インクタンク内のインクを減圧する。それにより、第1のインク供給経路100を通じて負圧がヘッドの液室内に供給され、ヘッド内のインクを減圧することができる。このため、ヘッド内のインクの圧力を適正な負圧に維持できる。
また、減圧装置で発生させる減圧量を大きくすることにより、ヘッド内のインクを、第1のインク供給経路100を通じてインクタンクに回収することができる。
次に、洗浄液タンク41とその周辺部(第2の液体供給部40)の構成について説明する。
洗浄液タンク41は、ヘッド2、及びその周辺経路100、110を洗浄するための洗浄液42を蓄える密閉された容器である。第2の加圧装置(第2の加圧手段)43が、洗浄液タンク41内の上部にある気相と通じている。
また、洗浄液供給経路130の端部(開口部)が洗浄液タンク内に入り込んでその下部まで延在しており、洗浄液タンク内部の洗浄液に連通するように配置されている。
洗浄液供給経路130は、洗浄液タンク41からバルブCにつながっている。
第2の加圧装置43の内部構成は第1の加圧装置23と同様である。
第2の加圧装置43を駆動すると、洗浄液タンク内の気相が加圧され、洗浄液が洗浄液供給経路130の方向に押し出される。
次に、廃液タンク50、及びその周辺の構成について説明する。
廃液タンク50は、ヘッドの液室内を洗浄した洗浄液42の一部を排出するための容器である。ヘッドから第2のインク供給経路110へ排出された液を、廃液タンク50で受け取る構造になっている。
廃液タンク中の廃液と第2のインク供給経路110の端部とは接しておらず、第2のインク供給経路110の廃液タンク側の端部は大気と接している。
これにより、インクタンク側の減圧装置24を駆動したときに、第2のインク供給経路110からヘッド2へ大気を吸入することができる構成になっている。
廃液タンク50は、後述する洗浄工程において、ヘッド周辺経路を洗浄するために用いられる。
次に、液体を、ヘッドを回避した経路を経て循環させる循環経路120について説明する。
循環経路120は一端がバルブAにつながり、他端がバルブBにつながっている。循環流路上には脱気装置121aとポンプ122、フィルタ123が配置されている。
脱気装置121aはインク中の溶存気体を除去する装置である。脱気装置の内部は、インク室121a−1と気体室121a−2とに分かれた構造になっている。インク室と気体室の間は、液体を通さず気体を透過させる部材121a−3で仕切られている。インク室121a−1にインクを流し、気体室121a−2を減圧すると、インク室内のインクに溶け込んだ気体が、気体を透過する部材121a−3を経由して気体室に移動し、インク内を脱気できる。液体を通さず気体を透過する部材として、中空糸膜が挙げられる。
また、脱気装置としては、インクを通過させる性質を有した材質、例えば、テフロン(登録商標)チューブやシリコーンチューブからなる中空繊維束を脱気室内に配置し、その周囲を真空ポンプにより減圧脱気処理することでインク内に溶存している気体を分離させて除去するものを利用することもできる。更に、脱気装置におけるインクの脱気方式としては、超音波振動方式や遠心分離方式などの様々な他の手法を採用することができる。
フィルタ123は、循環経路120中を流れるインクを通過させ、インク中に混ざっているゴミ、異物、固形物等を取り除くことができる。フィルタの素材として、グラスファイバーなど、繊維状のものが挙げられる。
ポンプ122は、循環経路120とヘッド2内のインクを一定流量で循環させる手段である。図示しない制御回路を用いて、ポンプの駆動と停止を任意に制御できる。
脱気装置の気体室121a−2は、チューブ121cを介して真空発生装置121bと連通接続されている。
真空発生装置121bを駆動して脱気装置121a内の気体室121a−2を減圧することによりインクからの脱気を実施できる。
真空発生装置121bとして、真空ポンプなどが挙げられる。
真空発生装置は、制御回路により任意に駆動と停止を制御できる。それにより、脱気装置による脱気と停止を任意に制御できる。
ポンプ122と脱気装置121a、フィルタ123を循環経路途中に配置する順序は、順不同で差し支えない。
次に、循環経路120内にインクを充填する手順について説明する。
まず、バルブAを操作し、インクタンク21から脱気装置121aへの流路(r1、r2、r8)が通じるようにセットする。一方、バルブAにより流路r3を遮断し、バルブCにより流路r4も遮断する。また、バルブBを操作し、循環経路内のポンプ122から廃液タンク50(大気)までが通じるようにセットする。ポンプ122を駆動し、インクタンク21から廃液タンク50の方向にインクを移動させる。つまり、バルブBにより流路r5を遮断して流路r11(流路r10、r9、r8)と流路r6とを連通させ、バルブDを開放して流路r6とr7とを連通させる。バルブAから脱気装置121a、ポンプ122、バルブBまでの循環経路120(r8、r9、r10、r11)がインクで満たされるまでポンプを駆動する。循環経路がインクで満たされた時に、ポンプを停止させる。これにより、バルブA〜脱気装置121〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブBの循環経路にインクが充填される。
次に、ヘッドにインクを充填する方法について説明する。
バルブA、及びバルブCを操作して、インクタンク21から第1の供給口5への流路(r1、r2、r3)を連通状態にセットする。バルブAを操作して流路r8は開放しておく。また、バルブCを操作して流路r4を遮断する。更に、バルブBを操作して、流路r5、r6、r11を連通させ、第2の供給口6から廃液タンクへ流路が通じるようにセットする。この際、バルブDを操作して流路r7を開放させる。
これにより、流路r1、r2、r3、ヘッド内の液室、流路r5、r6、r7が連通した状態となる。循環経路120も第1のインク供給経路100、バルブBと連通した状態となる。
次に、第1の加圧装置23を用いてインクタンク21内を加圧し、第1のインク供給経路100を経てインク22をヘッド2内へ移動させる。第1のインク供給経路100、ヘッド内の液室、及び第2の供給口6からバルブDまでの流路r1〜r3、r5、r6がインクで満たされた時点でインクタンクの加圧を停止する。次にバルブDを閉じる。
これにより、インクタンク21〜脱気装置121a〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブBの循環経路と、ヘッド内にインクが充填される。
この状態でヘッドを駆動することにより、ノズルからインク液滴を吐出することが可能となる。
また、ポンプ122により循環経路内のインクを循環させながら、真空発生装置121bを駆動することにより、脱気装置121aを用いたインクからの脱気を実施することができる。
このようにポンプを用いてインクを循環経路内に循環、及び脱気させる構成を採るため、インクを脱気することができる。また、後述するように、洗浄液を空圧で加圧してノズルから押し出すことによりヘッド内を洗浄することが可能となり、従来両立させることが困難であった2つの要請を同時に満たすことが可能となる。
次に、循環型吐出ヘッド内におけるインクの循環について説明する。図4及び図5に示すように、共通液室部材220の端部に、共通液室に連通する供給ポート71と、循環共通液室150に連通する循環ポート81が形成されている。供給ポート71及び循環ポート81は夫々チューブを介してインクを貯蔵する供給タンク・循環タンクにつなげられている。そして、供給タンクに貯留されているインクは、供給ポート71、共通液室10、液導入部8、流体抵抗部7を経て、個別液室16へ供給される。
更に、個別液室16内のインクが圧電部材12の駆動によりノズル4から吐出される一方で、吐出されずに個別液室16内に留まったインクの一部もしくは全ては流体抵抗部51、循環流路52、53、循環共通液室150、循環ポート81を経て、循環タンクへと循環される。
なお、インクの循環は循環型吐出ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内のインクは常にリフレッシュされると共に、インクに含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板201と、流路板202と、壁面部材としての振動板部材203とを積層接合している。そして、振動板部材203を変位させる圧電アクチュエータ11と、共通液室部材220と、カバーを備えている。
ノズル板201は、インクを吐出する複数のノズル4を有している。
流路板202は、ノズル4に通じる個別液室16、個別液室16に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。また、流路板202は、ノズル板201側から複数枚の板状部材141〜145を積層接合して形成され、これらの板状部材141〜145と振動板部材203を積層接合して流路部材140が構成されている。
振動板部材203は、液導入部8と共通液室部材220で形成される共通液室10とを通じる開口としてのフィルタ部9を有している。
振動板部材203は、流路板202の個別液室16の壁面を形成する壁面部材である。この振動板部材203は2層構造(限定されない)とし、流路板202側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層で形成され、第1層で個別液室16に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
流路板2を構成する板状部材141には、個別液室16を構成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)と、流体抵抗部51、循環流路52を構成する貫通溝部が形成されている。
同じく板状部材142には、個別液室16を構成する貫通溝部と、循環流路52を構成する貫通溝部が形成されている。
同じく板状部材143には、個別液室16を構成する貫通溝部と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部が形成されている。
同じく板状部材144には、個別液室16を構成する貫通溝部と、流体抵抗部7なる貫通溝部と、液導入部8を構成する貫通溝部と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部が形成されている。
同じく板状部材145には、個別液室16を構成する貫通溝部と、液導入部8を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部(フィルタ下流側液室となる)と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部が形成されている。
振動板部材203には、振動領域30と、フィルタ部9と、循環流路53を構成するノズル配列方向を長手方向とする貫通溝部が形成されている。
このように、流路部材140を複数の板状部材を積層接合して構成することで、簡単な構成で複雑な流路を形成することができる。
以上の構成により、流路板202及び振動板部材203からなる流路部材140には、各個別液室16に通じる流路板202の面方向に沿う流体抵抗部51、循環流路52及び循環流路52に通じる流路部材140の厚み方向の循環流路53が形成される。なお、循環流路53は後述する循環共通液室150に通じている。
一方、共通液室部材220には、供給・循環機構からインクが供給される共通液室10と循環共通液室150が形成されている。
このように、共通液室部材220は、第1共通液室部材221及び第2共通液室部材222によって構成され、第1共通液室部材221を流路部材140の振動板部材203側に接合し、第1共通液室部材221に第2共通液室部材222を積層して接合している。
ここで、第1共通液室部材221は、液導入部8に通じる共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと、循環流路53に通じる循環共通液室150とを形成している。また、第2共通液室部材222は、共通液室10の残部である上流側共通液室10Bを形成している。
このとき、共通液室10の一部である下流側共通液室10Aと循環共通液室150とはノズル配列方向と直交する方向に並べて配置されるとともに、循環共通液室150は共通液室10内に投影される位置に配置される。
これにより、循環共通液室150の寸法が流路部材140で形成される個別液室16、流体抵抗部7及び液導入部8を含む流路に必要な寸法による制約を受けることがなくなる。
そして、循環共通液室150と共通液室10の一部が並んで配置され、循環共通液室150は共通液室10内に投影される位置に配置されることで、ノズル配列方向と直交する方向のヘッドの幅を抑制することができ、ヘッドの大型化を抑制できる。共通液室部材220は、ヘッドタンクやインクカートリッジからインクが供給される共通液室10と循環共通液室150を形成する。
一方、振動板部材203の個別液室16とは反対側に、振動板部材203の振動領域30を変形させる駆動手段としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
次に、ヘッドのノズルからインク(液滴)を吐出する方法について説明する。
バルブA、及びバルブCを操作して、インクタンク21から第1の供給口5への第1のインク供給経路100が通じるようにセットする。バルブBを操作して流路r5、r6を連通させ、第2の供給口6から廃液タンク(大気)へ流路が通じるようにセットし、バルブDを操作して流路r7が開くようにセットする。
このとき、ヘッド内の液室がインクで満たされ、かつインクタンクからヘッドへの第1のインク供給経路100が開通している。
次に、図示しないヘッド駆動回路を用いてヘッドを駆動し、ノズルからインクを吐出する。
インクを吐出してヘッド内の液室中のインクを消費すると、浸透圧によりインクタンクからヘッドへインクが供給される。
また、減圧装置24を駆動してインクタンク内の減圧量を調節することにより、インクタンク内の気相と第1のインク供給経路100を通じ、ヘッド内のインク圧力を適正な負圧に維持する。
ここで、ヘッド内のインク圧力を適正に維持するための負圧量について説明する。
インクタンクがヘッドよりも相対的に高い位置に設置され、ヘッドにインクが充填されているとき、ベルヌーイの定理に従いヘッド内のインクに圧力が加わる。
ここで、インクタンク内の気相の圧力をP1とする。また、ヘッド内のノズル部のインク圧力をP2とする。また、ノズル部から見たインクタンク底面の高さをh0とする。
このとき、ノズル部のインク圧力P2は以下の式で与えられる。
P2=P1+ρ*h0*g ・・・(式1)
ここで、前記(式1)中、ρはインクの密度、gは重力加速度である。
仮に、インクタンク内の気相の圧力P1が大気圧と等しい場合、前記式1に従い、ノズル部のインク圧力P2は大気圧より大きい圧力になる。このとき、ノズル外部の空気の圧力は大気圧であるため、ノズル部内の圧力P2の方がノズル外部の空気より圧力が高くなり、ノズル部から外部へインクが垂れ出す現象が起こる。
ノズル部から外部へインクが垂れ出さないようにするためには、ノズル部のインク圧力P2が大気圧と同程度である必要がある。
ノズル部から外部へインクが垂れ出さないようにするためには、前記式1の関係より、インクタンク内の気相の圧力P1を大気圧より小さくすることが有効である。
ノズル部のインク圧力P2が大気圧と等しいときの、インクタンク内の気相の気体の圧力をP1’とすると、P1’は前記式1より、以下の式で与えられる。
P1’=P0−ρ*h0*g ・・・(式2)
ここで、前記(式2)中、P0は大気圧である。
インクをヘッドから吐出する際は、インクタンクの気相の圧力が式2で与えられるP1’と同程度になるように、減圧装置を駆動する。
ヘッドからインクを吐出しつつ、印刷対象とヘッドを相対的に移動させることにより、印刷を行うことができる。
次に、循環経路120内のインクを循環、及び脱気する方法(循環、及び脱気のタイミング、インクを流す方向と流れる流路)について説明する。
一例として、液体吐出装置1において、循環経路120(第3の経路)内にインク(第2の液体)を循環させつつ脱気する脱気方法を提供する。
この循環させつつ脱気する脱気方法では、バルブA(第1の切り替え弁101)と循環経路120とバルブB(第2の切り替え弁111)とヘッド2(液体吐出部)とを通る閉鎖された経路(流路r3、r8、r9、r10、r11、r5、ヘッド)中にインクを充填させた状態で、ポンプ122(液体循環手段)によってインクを循環させると共に、脱気装置121a(脱気手段)を用いてインク中から脱気を行うようにした構成が特徴的である。
即ち、本例では、バルブA〜第1の供給口5〜ヘッド2〜第2の供給口6〜バルブB、及び循環経路120内にインクが充填されている状態で循環、及び脱気を行う。
まず、バルブA〜脱気装置121a〜ポンプ122〜フィルタ123〜バルブB〜第2の供給口6〜ヘッド2〜第1の供給口5〜バルブAの閉鎖された経路中のインクをポンプで循環する。
このとき、バルブAを第1の供給口5から脱気装置へ至る流路r3、r8が連通するようにセットする(流路r2は遮断)。バルブBはポンプから第2の供給口6へ至る流路r10、r11、r5が連通するようにセットする(流路r6は遮断)。
次に、ポンプ122を駆動して上記経路内にインクを循環させている間に、脱気装置を用いてインクを脱気する。即ち、真空発生装置121bを駆動し、脱気装置内部の気体室121a−2を減圧する。これにより、脱気装置の液体室121a−1内部を流れるインク中の溶存空気を、脱気装置を通して真空発生装置側へ吸引しインクを脱気する。
このとき、循環経路中のフィルタ123の中をインクが通過するため、インク中に混ざったゴミなどの微粒子を取り除くことができる。
インクの循環、及び脱気は所定時間実施する。循環、及び脱気を始めてから所定時間経過後に、真空発生装置121bを停止して脱気操作を停止する。次に、ポンプを停止してインク循環を停止する。
ポンプ122により上記閉鎖経路内でインクを循環させる方向は、図3における時計まわり、及び反時計まわりのいずれによっても、循環及び脱気をすることができる。
本発明において、「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。
吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の色材、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、三次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、供給・循環機構、キャリッジ、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドと供給・循環機構が一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットの供給・循環機構と液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、供給・循環機構若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留部の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
本発明において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の色材、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、三次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
(画像形成物)
本発明の画像形成物は、記録媒体と、前記記録媒体上に、画像層とを有する画像形成物であって、
前記画像層が、色材、有機溶剤、及び樹脂を含有し、
前記樹脂が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を有する樹脂からなり、
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつインクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たす。
前記画像形成物は、普通紙は勿論のこと汎用印刷用紙に対しても、ビーディングが抑制された高品位の画像形成が可能であり、かつ画像定着性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
<記録媒体>
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷用紙などが挙げられる。
これらの中でも、画像品質(画像濃度、彩度、ビーディング、カラーブリード)に優れ、かつ光沢性が高く、更にスミア定着性にも優れた画像が記録できる点から、吸液特性が一定範囲内の汎用印刷用紙が好適であり、具体的には、支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有する記録媒体であり、前記塗工層を有する面が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量は2mL/m以上35mL/m以下が好ましく、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量は3mL/m以上40mL/m以下である記録媒体が好ましい。
前記インクでも純水の転移量が少なすぎる記録媒体だと、ビーディング(隣り合ったドットが引き付けあったりして画像にブツブツ感が出るような現象)及びカラーブリード(色間の滲み)が発生し易くなることがあり、純水の転移量が多すぎる記録媒体だと、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなり、ベタ画像が埋まらないことがある。
ここで、前記動的走査吸液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。この動的走査吸液計は、(i)吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、(ii)試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100msにおける転移量は、それぞれ接触時間の近隣接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
前記吸液特性が一定範囲内の汎用印刷用紙としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、PODグロスコート、OKトップコート+、OK金藤+、SA金藤+(王子製紙株式会社製)、スーパーMIダル、オーロラコート、スペースDX(日本製紙株式会社製)、αマット、ミューコート(北越製紙株式会社製)、雷鳥アート、雷鳥スーパーアート(中越パルプ工業株式会社製)、パールコートN(三菱製紙株式会社製)などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−表面改質ブラック顔料分散体(1)の調製−
Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)1000(BET比表面積343m/g、及びDBPA105mL/100gを有するカーボンブラック)100gと、スルファニル酸100ミリモル、及びイオン交換高純水1Lを室温環境下、Silversonミキサー(6,000rpm)で混合した。
得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸100ミリモルを添加した。30分間後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(100ミリモル)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。
次に、10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのスルファニル酸基又はスルファニル酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのスルファニル酸基又はスルファニル酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体の表面処理レベルは0.75mmol/gであり、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、体積平均粒径は120nmであった。
(調製例2)
−表面改質ブラック顔料分散体(2)の調製−
ProcessAll 4HV ミキサー(4L)に、Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)880(BET比表面積220m/g、及びDBPA 105mL/100gを有するカーボンブラック)500gにイオン交換高純水1L、及び4−アミノ安息香酸1モルを添加した。次いで、混合物を10分間、60℃に加温しながら300rpmで強く混合した。これに20質量%亜硝酸ナトリウム水性溶液[4−アミノ安息香酸に基づき1モル当量]を15分間かけて添加した。60℃に加温しながら、3時間混合撹拌した。前記反応物をイオン交換高純水750mLで希釈しながら取り出した。
次に、10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体の表面処理レベルは0.5mmol/gであり、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、体積平均粒径は104nmであった。
(調製例3)
−表面改質ブラック顔料分散体(3)の調製−
ProcessAll 4HV ミキサー(4L)に、Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)880(BET比表面積220m/g及びDBPA 105mL/100gを有するカーボンブラック)500gにイオン交換高純水1L、及び4−アミノ安息香酸175ミリモルを添加した。次いで、混合物を10分間、60℃に加温しながら300rpmで強く混合した。これに20質量%亜硝酸ナトリウム水性溶液[4−アミノ安息香酸に基づき175ミリモル当量]を15分間かけて添加した。60℃に加温しながら、3時間混合撹拌した。前記反応物をイオン交換高純水750mLで希釈しながら取り出した。
次に、10質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体の表面処理レベルは0.35mmol/gであり、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、体積平均粒径は114nmであった。
(調製例4)
−表面改質ブラック顔料分散体(4)の調製−
自己分散型カーボンブラックAqua−Black162(東海カーボン株式会社製、顔料固形分19.2質量%)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、40質量%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのカルボン酸基又はカルボン酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのカルボン酸基又はカルボン酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、100nmであった。
(調製例5)
−表面改質ブラック顔料分散体(5)の調製−
SENSIJET Black SDP2000(SENSIENT社製、顔料固形分14.5質量%)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのカルボン酸基又はカルボン酸テトラブチルアンモニウム塩、及びスルホン酸基又はスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのカルボン酸基又はカルボン酸テトラブチルアンモニウム塩、及びスルホン酸基又はスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、120nmであった。
(調製例6)
−表面改質マゼンタ顔料分散体(1)の調製−
SENSIJET SMART Magenta 3122BA(Pigment Red 122表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、10質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、104nmであった。
(調製例7)
−表面改質シアン顔料分散体(1)の調製−
SENSIJET SMART Cyan 3154BA(Pigment Blue 15:4表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)顔料分散体1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、40質量%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行った。更に、超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた分改質顔料散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、116nmであった。
(調製例8)
−表面改質イエロー顔料分散体(1)の調製−
SENSIJET SMART Yellow 3074BA(Pigment Yellow 74表面処理分散体、顔料固形分14.5質量%、SENSIENT社製)10質量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整することにより、30分間後に少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体が得られた。
次に、得られた少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む改質顔料分散体とイオン交換高純水とを用いて透析膜を用いた限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20質量%に濃縮した改質顔料分散体を得た。
得られた改質顔料分散体について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、145nmであった。
(調製例9)
<カーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散体の調製>
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に、1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
−カーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散体の調製−
前記ポリマー溶液Aを28gと、C.I.カーボンブラック(デグサ社製、FW100)を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料固形分15質量%、固形分濃度20質量%のカーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散液が得られた。
得られたカーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散液におけるポリマー粒子について、体積平均粒径を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)により測定したところ、104nmであった。
(製造例1)
<樹脂エマルション1の作製>
モノマー(a1)としてアクリル酸1.2質量部、モノマー(a2)としてサイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製)6質量部、モノマー(a3)としてメタクリル酸メチル35.5質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル60.3質量部、アクリルアミド1.0質量部、乳化剤としてアクアロンKH−20(第一工業製薬株式会社製の反応性乳化剤)1.5質量部、及びイオン交換水53.1質量部の混合物をバッチ式ホモミキサーで乳化し、モノマープレエマルションを作製し、滴下槽に入れた。
なお、0.5μm以上の粒子数が5,000個/cm以上であると、測定精度が低下するので、0.5μm以上の粒子数が5,000個/cm程度になるように、モノマー濃度60%程度のモノマープレエマルションを、蒸留水を用いて希釈し、モノマー濃度が0.002質量%程度の希釈液について、米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製Accusizerを用い、モノマープレエマルションの個数カウント法による体積平均粒子径を求めたところ、3.0μmであった。
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、及び原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコを反応容器とし、該反応容器にイオン交換水89.4質量部を入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、液温を60℃に温めた。次いで、反応容器中に、アルキルフェノールエーテル系の反応性乳化剤としてアクアロンKH−20(第一工業製薬株式会社製)を0.5質量部添加し、同時に5質量%過硫酸アンモニウム(以後、「APS」と略す)水溶液6質量部(過硫酸アンモニウムとしては、0.3質量部)を添加した。
反応容器に5質量%APS水溶液を添加してから10分間後に、滴下槽から上記モノマープレエマルションは5時間かけて連続的に滴下し、別の滴下槽から5質量%APS水溶液6質量部(過硫酸アンモニウムとしては、0.3質量部)を5時間かけて断続的に滴下した。この間反応容器内は70℃に保った。
滴下終了後、3時間、70℃に保ち、熟成を行った。その後冷却を開始し、50℃まで冷却し、アンモニア水を添加し、180メッシュのポリエステル製の濾布で濾過した。濾布に残った凝集物を150℃で20分間乾燥し、モノマー、乳化剤及び重合開始剤の量を基準に凝集量(質量%)を求めたところ、0.1質量%であった。
濾過後の樹脂エマルションの一部を測り取り、150℃で20分間乾燥し、固形分濃度を求めたところ、39.5質量%であった。また、前記樹脂エマルションは、pH8、粘度50mPa・sであった。
0.5μm以上の粒子数が5,000個/cm程度以下が装置上の測定限界なので、そのような範囲になるように、濾過後の樹脂エマルションを固形分濃度0.002質量%に希釈し、マイクロトラックUPA(Leeds & Northrup社製)を用い、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、130nmであった。
別途、濾過後の樹脂エマルションを固形分濃度0.002質量%に希釈し、該希釈液について、米国PARTICLE SIZING SYSTEMS社製Accusizerを用い、個数カウント法による1.5μm以上の超粗大粒子数を測定した。固形分濃度0.1質量%に換算すると、樹脂エマルション中における1.5μm以上の超粗大粒子数は1.0×10個/cmであった。
なお、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められるガラス転移温度(以下、「理論Tg」という)は5℃であった。
(製造例2)
<樹脂エマルション2の作製>
製造例1において、下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂エマルション2を作製した。
[組成]
・アクリル酸:3.0質量部
・アクリル酸ブチル:12.5質量部
・アクリル酸−2−エチルヘキシル:20.0質量部
・スチレン:22.0質量部
・サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製):6質量部
次に、得られた樹脂エマルション2について、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、100nmであった。また、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められる理論Tgは15℃であった。また、固形分濃度は、39.6質量%であった。
(製造例3)
<樹脂エマルション3の作製>
製造例1において、下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂エマルション3を作製した。
[組成]
・アクリル酸:5.0質量部
・アクリル酸−2−エチルヘキシル:22.0質量部
・メタクリル酸−2−エチルヘキシル:6.0質量部
・メタクリル酸シクロヘキシル:5.0質量部
・スチレン:22.0質量部
・サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製):6質量部
次に、得られた樹脂エマルション3について、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、80nmであった。また、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められる理論Tgは30℃であった。また、固形分濃度は、39.4質量%であった。
(製造例4)
<樹脂エマルション4の作製>
製造例1において、下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂エマルション4を作製した。
[組成]
・メタクリル酸:3.0質量部
・アクリル酸ブチル:25.0質量部
・アクリルアミド:1.0質量部
・スチレン:29.0質量部
・サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製):6質量部
次に、得られた樹脂エマルション4について、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、80nmであった。また、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められる理論Tgは45℃であった。また、固形分濃度は、39.5質量%であった。
(製造例5)
<樹脂エマルション5の作製>
製造例1において、下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして、樹脂エマルション5を作製した。
[組成]
・メタクリル酸:6.0質量部
・アクリル酸エチル:20.0質量部
・メタクリル酸メチル:16.0質量部
・アクリルアミド:1.0質量部
・スチレン:20.0質量部
・サイラエース210(ビニルトリメトキシシラン、チッソ株式会社製):6質量部
次に、得られた樹脂エマルション5について、動的光散乱法による累積50%粒子径(D50)を測定したところ、90nmであった。また、ビニルトリメトキシシランを除くモノマーから求められる理論Tgは70℃であった。また、固形分濃度は、39.7質量%であった。
(実施例1)
<インクの調製>
攪拌機を備えた容器に、構造式(1)の3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド20.00質量部、1,2−プロパンジオール25.00質量部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00質量部、構造式(VII)のポリエーテル変性シロキサン化合物1.00質量部、及び2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.50質量部を入れ、30分間撹拌して均一にした。
次に、防カビ剤(Proxel GXL、アビシア社製)0.05質量部、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.20質量部、調製例1の表面改質ブラック顔料分散体1を37.50質量部、及び純水を加え、60分間撹拌してインクを均一にした。更に、製造例1の樹脂エマルション1を6.25質量部加え、全体を100質量部とし、30分間撹拌してインクを得た。
得られたインクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例1のインクを作製した。
(実施例2)
攪拌機を備えた容器に、構造式(4)の3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン40.00質量部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2.00質量部、構造式(IX)のポリエーテル変性シロキサン化合物2.00質量部、及び2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.50質量部を入れ、30分間撹拌して均一にした。
次に、防カビ剤(Proxel GXL、アビシア社製)0.05質量部、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.20質量部、調製例1の表面改質ブラック顔料分散体1を37.50質量部、及び純水を加え、60分間撹拌して均一にした。
更に、製造例2の樹脂エマルション2を6.25質量部加え、全体を100質量部とし、30分間撹拌してインクを得た。
得られたインクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例2のインクを作製した。
(実施例3〜15及び比較例1〜8)
実施例1又は実施例2と同様にして、下記表1〜5に示した有機溶剤、界面活性剤、及び消泡剤を混合撹拌した。次いで、防カビ剤、pH調整剤、色材(顔料分散体)、及び樹脂エマルションを混合撹拌してインクを均一化した。
得られたインクを平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例3〜15及び比較例1〜8の各インクを作製した。
なお、実施例1〜15及び比較例1〜8で用いた有機溶剤について、下記表Aにまとめて示した。
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
表1〜表5中の略号などは下記の意味を表す。
*SENSIJET SMART Magenta 3122BA:SENSIENT社製(表面処理顔料分散体、アミノ安息香酸Na塩)
*SENSIJET SMART Cyan 3154BA:SENSIENT社製(表面処理顔料分散体、アミノ安息香酸Na塩)
*SENSIJET SMART Yellow 3074BA:SENSIENT社製(表面処理顔料分散体、アミノ安息香酸Na塩)
*SENSIJET Black SDP2000:SENSIENT社製(表面処理顔料分散体、カルボン酸Na塩、スルホン酸Na塩)
*タケラックW−6110:ポリカーボネートポリウレタン樹脂エマルション
(三井化学株式会社製、有効固形分33.9質量%、25℃での粘度455mPa・s)
*ビニブラン700:塩化ビニル系アクリル樹脂エマルション
(日信化学工業株式会社製、有効固形分30.0質量%、25℃での粘度100mPa・s、ガラス転移温度(Tg)70℃)
*下記構造式(1)で表される有機溶剤(3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド)
[構造式(1)、SP値:9.03]
Figure 0006874550
*下記構造式(4)で表される有機溶剤(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)
[構造式(4)、SP値:11.3]
Figure 0006874550
*下記構造式(VII)で表されるポリエーテル変性シロキサン化合物
[構造式(VII)]
Figure 0006874550
*下記構造式(IX)で表されるポリエーテル変性シロキサン化合物
[構造式(IX)]
Figure 0006874550
*下記構造式(X)で表されるポリエーテル変性シロキサン化合物
[構造式(X)]
Figure 0006874550
*TEGO Wet270:ポリエーテル変性シロキサン化合物(エボニック社製、有効成分100質量%)
前記「TEGO Wet270」は、前記一般式(III)で表される構造を有するポリエーテル変性シロキサン化合物である。
*シルフェイスSAG503A:ポリエーテル変性シロキサン化合物(日信化学工業株式会社製、有効成分100質量%)
前記「シルフェイスSAG503A」は、前記一般式(V)で表される構造を有するポリエーテル変性シロキサン化合物である。
*ユニダイン DSN403N:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(ダイキン工業株式会社製、有効成分100質量%)
*ゾニールFS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(デュポン社製、有効成分40質量%)
*サーフィノール104E:アセチレングリコール化合物(日信化学工業株式会社製、有効成分100質量%)
*ソフタノールEP−7025:高級アルコールエトキシレート化合物(株式会社日本触媒製、有効成分100質量%)
*Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、有効成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
次に、実施例1〜15及び比較例1〜8の各インクのインク物性を以下のようにして測定した。結果を表6に示す。
<粘度測定>
各インクの粘度は、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定した。
<pH測定>
各インクのpHは、pHメーター計(HM−30R型、TOA−DKK株式会社製)を用いて、25℃で測定した。
<動的表面張力測定>
各インクの動的表面張力は、最大泡圧法による表面寿命15msec時の動的表面張力を、SITA_DynoTester(SITA社製)を用いて、25℃で測定した。
<静的表面張力>
各インクの静的表面張力は、自動表面張力計(DY−300、協和界面科学株式会社製)を用いて、25℃で測定した。
Figure 0006874550
−画像形成−
23℃±0.5℃、50±5%RHに調整した環境条件下、画像形成装置(IPSiO GXe−5500、株式会社リコー製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体として王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m)に同じ付着量のインクが付着するように設定した。
次に、実施例1〜15及び比較例1〜8について、以下のようにして、画像濃度、耐ビーディング性、吐出安定性−1、吐出安定性−2、定着性−I、及び定着性−IIを評価した。結果を表7及び表8に示した。
また、実施例1〜15について、以下のようにして、吐出安定性−3、及び吐出安定性−4を評価した。結果を表9に示した。
<画像濃度>
Word2000(Microsoft社製)にて作成した64point文字「黒四角:■」の記載のあるチャートを、記録媒体としてのMyPaper(株式会社リコー製)に打ち出し、印字面の「黒四角」部を分光濃度計(X−Rite939、エックスライト株式会社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。なお、評価C以上が実用上問題のない範囲である。
〔評価基準〕
A:Black:1.25以上、Yellow:0.8以上、Magenta:1.00以上、Cyan:1.05以上
B:Black:1.20以上1.25未満、Yellow:0.75以上0.8未満、Magenta:0.95以上1.00未満、Cyan:1.00以上1.05未満
C:Black:1.15以上1.20未満、Yellow:0.70以上0.75未満、Magenta:0.90以上0.95未満、Cyan:0.95以上1.00未満
D:Black:1.15未満、Yellow:0.70未満、Magenta:0.90未満、Cyan0.95未満
<耐ビーディング性>
記録媒体を王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m)に変更し、印字モードをプリンタ添付のドライバで「光沢紙−きれい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、画像濃度と同様にベタ画像を印字し、ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を目視観察し、下記評価基準により判定した。なお、評価C以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:全くなし
B:僅かにあり
C:かなりあり
D:激しくあり
*黒色ベタ画像は目視では非常に見難いので、光学顕微鏡で40倍に拡大して観察した。
<吐出安定性−1:間欠吐出評価>
Word2000(Microsoft社製)にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを連続200枚、MyPaper(株式会社リコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから、下記基準で評価した。なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。なお、評価B以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:吐出乱れなし
B:若干吐出乱れあり
C:吐出乱れあり、又は吐出しない部分あり
<吐出安定性−2:ノズルプレート撥インク時間>
温度23℃±0.5℃、相対湿度50%±5%に調整された環境下、50mLのビーカーに各インクを50g入れ、画像形成装置(IPSiO GXe−5500、株式会社リコー製)で使用されているヘッドのノズルプレートを取り出してピンセットで挟み、315mm/分間の速度でインクに漬け、同じ速度で取り出した場合のノズルプレートの撥インク層からの撥インク時間(インクの引け時間)を計測し、下記基準で評価した。なお、前記ノズルプレートの撥インク層は、ダイキン工業株式会社製、オプツールDSXである。なお、評価C以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:撥インク時間が10秒間未満
B:撥インク時間が10秒間以上30秒間未満
C:撥インク時間が30秒間以上60秒間未満
D:撥インク時間が60秒間以上
前記撥インク時間が長いとノズルプレートがインクで濡れ易いため、連続吐出評価でノズル抜けし易い。
<吐出安定性−3:循環型ヘッドを用いた吐出安定性>
23±0.5℃、50±5%RHに調整された環境条件下、図3〜図5で示した循環型の液体吐出機構を組み込んだ液体吐出装置(株式会社リコー製、IPSiO GXe−5500改造機)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録用メディアに同じ付着量のインクが付くように設定した。
次に、印字面積が5%の印刷チャートを1,000枚印刷した。1,000枚印刷直後及び印刷終了から24時間休止した後にベタ画像、ハーフトーン画像、ノズルチェックパターンを産業用インクジェット用紙(三菱製紙株式会社製、SWORD iJET 4.3 グロス)に5枚ずつ印刷し、画像の均一性やノズル抜けの有無を目視で観察することで吐出の乱れやノズル詰まりについて評価を行った。印字条件は100%duty、600×300dpiの記録密度でワンパス印字とした。評価基準は以下に示す。なお、本評価中、インクの循環は循環型吐出ヘッドの動作・休止に関わらず、常に循環を行った。なお、評価B以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:吐出の乱れがなく、ノズル詰まりもない
B:吐出が若干乱れるが、ノズル詰まりはない
C:吐出が大きく乱れ、ノズルも詰まる
<吐出安定性−4:通常ヘッドを用いた吐出安定性>
23±0.5℃、50±5%RHに調整された環境条件下、液体吐出装置(株式会社リコー製、IPSiO GXe−5500)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録用メディアに同じ付着量のインクが付くように設定した。
次に、印字面積が5%の印刷チャートを1,000枚印刷した。1,000枚印刷直後及び印刷終了から24時間休止した後にベタ画像、ハーフトーン画像、ノズルチェックパターンを産業用インクジェット用紙(三菱製紙株式会社製、SWORD iJET 4.3 グロス)に5枚ずつ印刷し、画像の均一性やノズル抜けの有無を目視で観察することで吐出の乱れやノズル詰まりについて評価を行った。印字条件は100%duty、600×300dpiの記録密度でワンパス印字とした。評価基準は以下に示す。なお、本評価中、インクの循環は循環型吐出ヘッドの動作・休止に関わらず、常に循環を行った。なお、評価B以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:吐出の乱れがなく、ノズル詰まりもない
B:吐出が若干乱れるが、ノズル詰まりはない
C:吐出が大きく乱れ、ノズルも詰まる
<定着性−I>
記録媒体を王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m)に変更し、印字モードをプリンタ添付のドライバで「光沢紙−はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、画像濃度と同様にベタ画像を印字し、内部温度が100℃に設定した自然対流型乾燥機で30秒間乾燥し、ベタ画像を摩擦試験機(商品名:クロックメーター、株式会社東洋精機製作所製)にセッティングした白紙OKトップコート+で20往復擦り、擦った白紙側の汚れ濃度を分光濃度計(X−Rite939、エックスライト株式会社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。なお、前記汚れ濃度は、記録媒体の地肌濃度を除いた値とした。なお、評価C以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:0.1未満
B:0.1以上0.3未満
C:0.3以上0.5未満
D:0.5以上
<定着性−II>
記録媒体を王子製紙株式会社製OKトップコート+(坪量104.7g/m)に変更し、印字モードをプリンタ添付のドライバで「光沢紙−はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、画像濃度と同様にベタ画像を印字し、内部温度が100℃に設定した自然対流型乾燥機で10秒間乾燥し、ベタ画像と白紙OKトップコート+を重ね合わせ、5kg/cmの荷重を掛けて25℃で50%RH環境に2時間放置した。放置後、重ね合わせたベタ画像と白紙を剥がして、白紙側に転写した面積を目視で観察し、下記基準で判定した。なお、評価C以上が実用上問題のない範囲である。
[評価基準]
A:転写なし
B:微小点の画像が転写
C:僅かに画像が転写
D:画像が転写
Figure 0006874550
Figure 0006874550
Figure 0006874550
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 色材、有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有するインクであって、
前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子であり、
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつ前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことを特徴とするインクである。
<2> 前記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、15℃以上である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが30.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、12.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦17.0%を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記インクの25℃での静的表面張力Bが、20.0mN/m以上30.0mN/m以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤が、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
[一般式(I)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(I)中、R’は、炭素数4〜6のアルキル基を示す。
[一般式(II)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(II)中、R”は、炭素数1〜2のアルキル基を示す。
<6> 前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤の含有量が、インク全量に対して、10質量%以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤の含有量が、インク全量に対して、20質量%以上60質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記有機溶剤が、温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコールを含有しない前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 更に、界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種である前記<9>に記載のインクである。
[一般式(III)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(IV)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(V)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
[一般式(VI)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。Rは、下記一般式(a)で表されるポリエーテル基を示す。
[一般式(a)]
Figure 0006874550
ただし、前記一般式(a)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。Rは、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。
<11> 前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の含有量が、0.001質量%以上5質量%以下である前記<9>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記色材が、水分散性顔料である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 前記水分散性顔料が、表面に親水性官能基を有し、前記親水性官能基が四級アンモニウム塩である前記<12>に記載のインクである。
<14> 前記水分散性顔料が、ジェミナルビスホスホン酸基及びジェミナルビスホスホン酸塩基の少なくともいずれかで改質された改質顔料である前記<13>に記載のインクである。
<15> 前記水分散性顔料が、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料から選択される少なくとも1種である前記<12>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> インクジェット記録用及びスプレー塗装用のいずれかである前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクである。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインク容器である。
<18> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクを熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種の刺激で印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とする画像形成方法である。
<19> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクを熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種の刺激で印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とする画像形成装置である。
<20> 記録媒体と、前記記録媒体上に、画像層とを有する画像形成物であって、
前記画像層が、色材、有機溶剤、及び樹脂を含有し、
前記樹脂が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を有する樹脂からなり、
前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつインクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことを特徴とする画像形成物である。
<21> 前記<1>から<16>のいずれかに記載のインクと、前記インクを吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備えた液体吐出装置であって、
前記液体吐出部が、前記ノズルと連通する液室、並びに前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口を有し、
前記液体吐出装置が、前記第一の供給口及び前記第二の供給口の一方の供給口から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有することを特徴とする液体吐出装置である。
<22> 色材、有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有するインクであって、
前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構成単位及びアルコキシシリル基を有する構成単位を含む樹脂粒子であり、
前記有機溶剤として、下記構造式(1)から(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするインクである。
[構造式(1)]
Figure 0006874550
[構造式(2)]
Figure 0006874550
[構造式(3)]
Figure 0006874550
[構造式(4)]
Figure 0006874550
[構造式(5)]
Figure 0006874550
前記<1>から<16>、及び<22>のいずれかに記載のインク、前記<17>に記載のインク容器、前記<18>に記載の画像形成方法、前記<19>に記載の画像形成装置、前記<20>に記載の画像形成物、及び前記<21>に記載の液体吐出装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2012−207202号公報 特開2014−94998号公報

Claims (19)

  1. 色材、有機溶剤、樹脂粒子、ポリエーテル変性シロキサン化合物、及び水を含有するインクであって、
    前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を含む樹脂粒子であり、
    前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種であり、
    前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつ前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことを特徴とするインク。
    [一般式(III)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(IV)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R 及びR は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(V)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、R は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(VI)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。R は、下記一般式(a)で表されるポリエーテル基を示す。
    [一般式(a)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(a)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。R は、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。
  2. 前記樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)が、15℃以上である請求項1に記載のインク。
  3. 前記インクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが30.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、12.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦17.0%を満たす請求項1から2のいずれかに記載のインク。
  4. 前記インクの25℃での静的表面張力Bが、20.0mN/m以上30.0mN/m以下である請求項1から3のいずれかに記載のインク。
  5. 前記溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤が、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
    [一般式(I)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(I)中、R’は、炭素数4〜6のアルキル基を示す。
    [一般式(II)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(II)中、R”は、炭素数1〜2のアルキル基を示す。
  6. 前記有機溶剤が、温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30%以上の多価アルコールを含有しない請求項1から5のいずれかに記載のインク。
  7. 前記ポリエーテル変性シロキサン化合物の含有量が、0.001質量%以上5質量%以下である請求項1から6のいずれかに記載のインク。
  8. 前記色材が、水分散性顔料である請求項1から7のいずれかに記載のインク。
  9. 前記水分散性顔料が、表面に親水性官能基を有し、前記親水性官能基が四級アンモニウム塩である請求項8に記載のインク。
  10. 前記水分散性顔料が、ジェミナルビスホスホン酸基及びジェミナルビスホスホン酸塩基の少なくともいずれかで改質された改質顔料である請求項9に記載のインク。
  11. 前記水分散性顔料が、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料から選択される少なくとも1種である請求項8から10のいずれかに記載のインク。
  12. インクジェット記録用及びスプレー塗装用のいずれかである請求項1から11のいずれかに記載のインク。
  13. 色材、有機溶剤、樹脂粒子、及び水を含有するインクであって、
    前記樹脂粒子が、カルボキシル基を有する構成単位及びアルコキシシリル基を有する構成単位を含む樹脂粒子であり、
    前記有機溶剤として、下記構造式(1)から(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするインク。
    [構造式(1)]
    Figure 0006874550
    [構造式(2)]
    Figure 0006874550
    [構造式(3)]
    Figure 0006874550
    [構造式(4)]
    Figure 0006874550
    [構造式(5)]
    Figure 0006874550
  14. 更に、界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン化合物を含有する請求項13に記載のインク。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインク容器。
  16. 請求項1から14のいずれかに記載のインクを熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種の刺激で印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
  17. 請求項1から14のいずれかに記載のインクを熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種の刺激で印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  18. 記録媒体と、前記記録媒体上に、画像層とを有する画像形成物であって、
    前記画像層が、色材、有機溶剤、ポリエーテル変性シロキサン化合物、及び樹脂を含有し、
    前記樹脂が、カルボキシル基を有する構造単位及びアルコキシシリル基を有する構造単位を有する樹脂からなり、
    前記ポリエーテル変性シロキサン化合物が、下記一般式(III)から(VI)で表される化合物から選択される少なくとも1種であり、
    前記有機溶剤として溶解度パラメーターが8.96以上11.8未満の有機溶剤を少なくとも1種含有し、かつインクの25℃、最大泡圧法による表面寿命15msecでの動的表面張力Aが34.0mN/m以下であり、かつ前記動的表面張力Aと、前記インクの25℃での静的表面張力Bとが、次式、10.0%≦[(A−B)/(A+B)]×100≦19.0%を満たすことを特徴とする画像形成物。
    [一般式(III)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(III)中、mは、0〜23の整数を示し、nは、1〜10の整数を示す。aは、1〜23の整数を示し、bは、0〜23の整数を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(IV)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(IV)中、mは、1〜8の整数を示し、c及びdは、1〜10の整数を示す。R 及びR は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(V)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(V)中、eは、1〜8の整数を示し、R は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
    [一般式(VI)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(VI)中、fは、1〜8の整数を示す。R は、下記一般式(a)で表されるポリエーテル基を示す。
    [一般式(a)]
    Figure 0006874550
    ただし、前記一般式(a)中、gは、0〜23の整数を示し、hは、0〜23の整数を示し、g及びhが同時に0となることはない。R は、水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを示す。
  19. 請求項1から14のいずれかに記載のインクと、前記インクを吐出するノズルを有する液体吐出部と、を備えた液体吐出装置であって、
    前記液体吐出部が、前記ノズルと連通する液室、並びに前記インクを前記液室に流入又は流出させるための第一の供給口及び第二の供給口を有し、
    前記液体吐出装置が、前記第一の供給口及び前記第二の供給口の一方の供給口から流出する前記インクを、循環経路を介して他方の供給口に流入させる循環手段を有することを特徴とする液体吐出装置。
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