JP6753064B2 - インク、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成物 - Google Patents

インク、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成物 Download PDF

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本発明は、商業印刷用紙へのフルカラー記録が可能なインク、並びに該インクを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成物に関する。
インクジェット記録方法は、容易にカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。しかし、この方法は、インクと記録媒体との組み合わせによっては文字滲みに代表される画像欠陥が発生し易く、画像品質が大きく低下するという問題を有する。
例えば、商業印刷用や出版印刷用コート紙のようなコート層材料として炭酸カルシウムやカオリン等のフィラーを用いたコート紙に記録すると、画像が激しく滲んだり、濃度が発現しなくなったりする。
これは、コート紙の場合、インクジェット専用紙のように短時間に多量のインクを吸収できるように設計されていないため、インクの吸収が間に合わないで滲んだり、コート層にインクが染み込んだとしても、インクの着色剤がコート層中のカオリンのような隠蔽性の高いフィラーにより隠蔽されたりすることが原因である。従って、この種の用紙はインクジェット記録に全く適さないと考えられてきた。
また、インクジェット用インクに関しては、顔料を微粒子状にして水に分散させた水性顔料インクが注目されている。顔料は一般的な商業印刷インクに用いられる着色剤と組成が近いこともあり、印刷物の風合いを商業印刷に近づけることが期待される。しかしながら、顔料インクを用いて商業印刷用又は出版印刷用コート紙に記録すると、やはりインクの吸収が間に合わずビーディングが発生するという問題や、乾燥性が悪いため搬送ローラーにインクが転写するという問題が発生する。
そこで、インクの表面張力を低下させ、記録媒体上での適度な広がりや乾燥性を持たせるため、特定のフッ素系界面活性剤を導入したインクが提案されている(特許文献1)。しかし、インクの表面張力を低下させると、インクがノズルプレートに濡れることによる吐出不良やノズル周辺に乾燥、固着することによるノズル目詰まりが発生するという問題があり、吐出安定性を確保することが難しくなる。
また、コート紙表面に凝集剤を含む前処理液を塗布した後、インクで画像形成することによりビーディング抑制と吐出信頼性を両立する方法が提案されている(特許文献2)。
更に、難浸透溶剤と高浸透溶剤の併用により、難吸収基材への印刷適性と吐出安定性を両立させたインク(特許文献3)、ある範囲の沸点を持つ水溶性有機溶剤とシリコーン系界面活性剤とを併用する方法(特許文献4)、難吸収性基材への印刷適性を上げるため、ポリオルガノシロキサン系化合物を加えたインクジェット用インキ組成物(特許文献5)などが提案されている。
また、特許文献6には、疎水性の樹脂媒体の表面に印刷した際の乾燥性や印刷の定着性に優れる上に、樹脂バインダの分散安定性にも優れた水性のインクジェットインクに係る発明が開示されている。そして、請求項1において、式(1)で表されるアミド系溶剤、水性エマルション系ポリマー、及び該ポリマーの架橋剤を含むことが規定されている。
しかし、商業印刷用紙に対する記録特性の改善を課題とする本発明とは、改善の対象となる記録媒体の種類や物性が異なり、解決すべき課題も異なる。また水性エマルション系ポリマーやその架橋剤を含む点で解決手段の基本構成も異なる。更に表1には、N,N−ジメチルプロピオンアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルを併用した実施例が示されているが、これらの化合物の割合は、アミド:エーテル=10:19であってエーテルの方が多く、本発明における要件(3)を満たさない。
本発明は、普通紙は勿論のこと、商業印刷用紙に対しても乾燥性が高く生産性に優れ、ビーディングが抑制された良好な品位の記録が可能であり、且つ、画像濃度及び吐出安定性も良好なインクの提供を目的とする。
上記課題は、次の<1>の発明によって解決される。
<1> 着色剤、有機溶剤及び水を含有し、次の要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするインク。
(1)溶解度パラメーター(SP値)が8.9〜12.0の有機溶剤(有機溶剤X)を含有する。
(2)有機溶剤として、100℃の環境下で蒸気圧が50mmHg以上を示すグリコールエーテル化合物(化合物Z)を含有する。
(3)有機溶剤Xと化合物Zの含有量の比(質量比)が、1:1〜8:1である。
本発明によれば、普通紙は勿論のこと、商業印刷用紙に対しても乾燥性が高く生産性に優れ、ビーディングが抑制された良好な品位の記録が可能であり、且つ、画像濃度及び吐出安定性も良好なインクを提供できる。
本発明の画像形成装置の一例を示す図。
以下、上記本発明<1>について詳しく説明するが、その実施の形態には次の<2>〜<10>も含まれるので、これらについても併せて説明する。
<2> 前記化合物Zが、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする<1>に記載のインク。
<3> 前記有機溶剤Xを、インク全体の20質量%以上含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のインク。
<4> 前記有機溶剤Xが、下記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のインク。
一般式(1)
(上記式中、R′は炭素数4〜6のアルキル基を表す。)

一般式(2)
(上記式中、R″は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)

<5> 更に界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン化合物を含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載のインク。
<6> 静的表面張力が20mN/m以上であり、且つ、最大泡圧法によるバブルライフタイム15msec時の動的表面張力が34mN/m以下であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のインク。
<7> 前記着色剤が顔料であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載のインク。
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載のインクを、熱、圧力、振動及び光から選ばれた少なくとも1種の刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
<9> <1>〜<7>のいずれかに記載のインクを、熱、圧力、振動及び光から選ばれた少なくとも1種の刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とする画像形成装置。
<10> 記録媒体上に、<1>〜<7>いずれかに記載のインクを用いて形成された画像を有することを特徴とする画像形成物。
<インク>
−有機溶剤−
本発明のインクは、SP値が8.9〜12.0の有機溶剤(有機溶剤X)を少なくとも1種含有する。これにより、記録媒体への濡れ性が向上し、塗工層を持つ吸インク性の悪いコート紙などの商業印刷用紙にもインク成分が浸透し、ビーディングを抑制することが可能となる。
前記有機溶剤Xとしては水溶性のものが好ましく、特に前記一般式(1)のアミド化合物又は一般式(2)のオキセタン化合物が好ましい。
SP値が8.9未満の有機溶剤は、一般に水への溶解性が非常に低く分離が発生し易いため、本発明のような水性インクには使用できない。また、SP値が12.0を超える有機溶剤は、乾燥性やビーディングが悪化するため使用できない。
上記SP値はヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、二成分系溶液の溶解度の目安となる。また、本発明におけるSP値は、Fedors法で算出した値である。正則溶液理論における凝集エネルギー密度の平方根で示され、単位は(J/cm0.5である。一般に普及している簡易ソフトで算出できる。
前記一般式(1)で示されるアミド化合物の例としては、次の式(1)〜式(3)の化合物が挙げられる。

式(1)

式(2)

式(3)
また、前記一般式(2)で示されるオキセタン化合物の例としては、次の式(4)〜式(5)の化合物が挙げられる。

式(4)

式(5)
有機溶剤Xの含有量は、インク全体の20質量%以上が好ましく、更に好ましくは20〜60質量%である。含有量が20質量%以上であれば、商業印刷用紙上でのビーディングや色間のカラーブリード抑制効果が十分得られる。また、含有量が60質量%以下であれば、インクの粘度上昇により吐出安定性が悪化するようなことはない。
更に、本発明では、有機溶剤として100℃の環境下で蒸気圧が50mmHg以上を示すグリコールエーテル化合物(化合物Z)を含有させることにより乾燥性が良好となり、商業印刷用紙上でも乾燥性を高くすることが可能となる上に、100℃の温風乾燥直後に画像部が搬送ローラーと接触しても画像が転写せず、高速生産性が確保される。
化合物Zとしては高純水に溶解するものが好ましい。その例としては、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(bp150℃,蒸気圧107mmHg)、プロピレングリコールモノエチルルエーテル(bp133℃,蒸気圧252mmHg)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(bp120℃,蒸気圧360mmHg)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(bp170℃,蒸気圧59mmHg)、3−メトキシ−1−ブタノール(bp161℃,蒸気圧76mmHg)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174℃,蒸気圧50mmHg)が挙げられる。
インク中の有機溶剤Xと化合物Zの含有量比(質量比)は、1:1〜8:1とする必要がある。好ましくは3:1〜5:1である。この比が1:1未満の場合、即ち、有機溶剤Xが化合物Zよりも少ない場合には、乾燥性が良くなりすぎてインクジェットヘッド内も乾燥してしまい吐出安定性に問題を生じることがある。また、比が8:1を超える場合には、有機溶剤Xが多すぎて、商業印刷用紙上での乾燥性が低下し生産性が低下する可能性がある。
有機溶剤X、化合物Zを含むインク中の有機溶剤の合計含有量は、インク全体の30〜60質量%とすることが好ましい。30質量%以上であれば、商業印刷用紙上でのビーディング抑制効果が減少することはない。また、60質量%以下であれば、インク粘度が著しく高くなって吐出安定性に問題が生じるようなことはない。
−着色剤−
着色剤には、界面活性剤で顔料を分散した界面活性剤分散、樹脂で顔料を分散した樹脂分散、顔料の表面を樹脂で被覆した樹脂被覆分散及び顔料表面に親水基を設けた自己分散顔料などがあるが、水分散性のものが好ましい。中でも前記樹脂被覆顔料又は自己分散顔料であって、顔料表面に少なくとも一つの親水基を有するものが好ましい。
このような親水基としては、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−CONM、−SONM、−NH−C−COOM、−NH−C−SOM、−NH−C−POHM、−NH−C−PO、−NH−C−CONM、−NH−C−SONMが挙げられる。これらの親水基は公知の方法で導入することができる。
また、カウンターイオンMは四級アンモニムイオンが好ましい。その具体例としては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン及びテトラヘキシルアンモニウムイオンが挙げられ、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン及びベンジルトリメチルアンモニウムイオンが好ましく、テトラブチルアンモニウムイオンが特に好ましい。
上記顔料を用いたインクは、特に経時保存安定性が高く、水分蒸発時の粘度上昇が抑制される。これは、水リッチなインクから水分が蒸発し、有機溶剤リッチとなった際にも、四級アンモニウムイオンを有する親水基により、顔料の分散が安定に保てるためであると推測される。
前記親水基を有する顔料以外の着色剤としては、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンが好ましい。顔料はポリマー微粒子中に封入されていても、ポリマー微粒子の表面に吸着されていてもよい。この場合、全ての顔料が封入又は吸着されている必要はなく、一部がエマルジョン中に分散していてもよい。ポリマー微粒子用のポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーなどが挙げられるが、特に好ましいのは、ビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーである。その具体例としては、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されたものが挙げられる。
また、一般的な有機顔料、又は無機顔料の粒子を有機顔料若しくはカーボンブラックで被覆した複合顔料を用いることもできる。前記複合顔料は、無機顔料の粒子の存在下で有機顔料を析出させる方法や、無機顔料と有機顔料を機械的に混合摩砕するメカノケミカル法等により作製することができる。更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成されるオルガノシラン化合物の層を、無機顔料と有機顔料の中間に設けることにより両者の接着性を向上させることもできる。
前記無機顔料粒子と、色材の有機顔料若しくはカーボンブラックの質量比は、3:1〜1:3が好ましく、3:2〜1:2がより好ましい。色材が少ないと発色性や着色力が低下することがあり、色材が多くなると透明性や色調が悪くなることがある。
上記複合顔料としては、戸田工業社製のシリカ/カーボンブラック複合材料、シリカ/フタロシアニンPB15:3複合材料、シリカ/ジスアゾイエロー複合材料、シリカ/キナクリドンPR122複合材料などが、一次平均粒径が小さいので好適である。
ここで、20nmの一次粒子径を持つ無機顔料粒子を等量の有機顔料で被覆した場合、この顔料の一次粒子径は、25nm程度になる。これに適当な分散剤を用いて一次粒子まで分散できれば、分散粒子径が25nmの非常に微細な顔料分散インクを作製することができる。前記複合顔料は、表面の有機顔料が分散に寄与するだけでなく、厚み約2.5nmの有機顔料の薄層を通して中心にある無機顔料の性質も現れてくるため、両者を同時に分散安定化できる顔料分散剤の選択も重要である。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でもカーボンブラックが特に好ましく、例えばコンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたチャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などが好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記有機顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、139、150、151、155、153、180、183、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、などが挙げられる。
使用する顔料のBET比表面積は、好ましくは約10〜約1500m/g、より好ましくは約20〜約600m/g、更に好ましくは約50〜約300m/gである。
所望の比表面積のものの利用が容易ではない場合には、顔料を比較的小さい粒径にするため、一般的なサイズ減少又は粉砕処理(例えば、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、超音波処理)を行えば良い。
前記水分散性着色剤の体積平均粒径(D50)は、インク中において10〜200nmが好ましい。
前記水分散性着色剤のインク中の含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。含有量が1質量%以上であれば、インクの発色性及び画像濃度が良くなり、15質量%以下であれば、インクが増粘して吐出性が悪くなることはなく、更に経済的にも好ましい。
なお、本発明では、色調調整の目的で染料を併用しても構わないが、耐候性を劣化させない範囲内で使用する必要がある。
−界面活性剤−
本発明では、界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン化合物を用いることが好ましい。これにより、ヘッドノズルプレート撥インク層に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。また、特に問題になりやすいノズル撥インク層面にインクが付着し難く、吐出不良が生じ難いインクとなる。
中でも、下記一般式(3)〜一般式(6)で示されるものが好ましく、特に、水分散性着色剤の種類や有機溶剤の組合せによって分散安定性を損なわず、動的表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましい。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
一般式(3)
(上記式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは0〜23の整数、nは1〜10の整数、aは1〜23の整数、bは0〜23の整数を表す。)

上記一般式(3)で示される化合物の例としては、次の式(6)〜式(13)の化合物が挙げられる。

式(6)

式(7)

式(8)

式(9)

式(10)

式(11)

式(12)

式(13)
一般式(4)

(上記式中、R及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは1〜8の整数、c及びdは1〜10の整数を表す。)

上記一般式(4)で示される化合物の例としては、次の式(14)の化合物が挙げられる。
式(14)
一般式(5)
(上記式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、eは1〜8の整数を表す。)

上記一般式(5)で示される化合物の例としては、次の式(15)の化合物が挙げられる。
式(15)
一般式(6)
〔上記式中、Rは、下記一般式(A)のポリエーテル基を表し、fは1〜8の整数を表す。〕
一般式(A)
(上記式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、gは0〜23の整数、hは0〜23の整数を表す。但し、g及びhが同時に0の場合を除く。)

上記一般式(6)で示される化合物の例としては、次の式(16)〜式(18)の化合物が挙げられる。
式(16)

式(17)

式(18)
更に、上記化合物と同等の効果を示す市販品のポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤としては、TORAY ダウ・コーニング社製の、71ADDITIVE,74ADDITIVE,57ADDITIVE,8029ADDITIVE,8054ADDITIVE,8211ADDITIVE,8019ADDITIVE,8526ADDITIVE,FZ−2123,FZ−2191、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の、TSF4440,TSF4441,TSF4445,TSF4446,TSF4450,TSF4452,TSF4460、日信化学工業社製の、シルフェイスSAG002,シルフェイスSAG003,シルフェイスSAG005,シルフェイスSAG503A,シルフェイスSAG008,シルフェイスSJM003、エボニック社製の、TEGO_Wet_KL245,TEGO_Wet_250,TEGO_Wet_260,TEGO_Wet_265,TEGO_Wet_270,TEGO_Wet_280、ビックケミー・ジャパン社製の、BYK−345,BYK−347,BYK−348,BYK−375,BYK−377等が挙げられる。
また、必要に応じて、上記ポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤と、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール又はアセチレンアルコール系界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤のインク中の含有量は、0.001〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。しかし、5質量を超えると添加効果が飽和するため増量しても意味がない。
−その他の成分−
本発明のインクには、前記成分の他に、必要に応じて、公知の種々の添加剤を加えても良い。その例としては、浸透剤、抑泡剤(消泡剤)、水分散性樹脂、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
−浸透剤−
浸透剤としては、炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種が好ましい。ここで、非湿潤剤性とは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有することを意味する。これらの浸透剤の中でも、下記一般式(7)で表される1,3−ジオール化合物が好ましく、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。

一般式(7)
(上記式中、R′はメチル基又はエチル基、R″は水素又はメチル基、R″′はエチル基又はプロピル基である。)
その他の非湿潤剤性ポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
浸透剤のインク中の含有量は、0.5〜4質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。0.5質量%以上であれば、インクの浸透性効果が得られ、画像品質が向上する。また、4質量%以下であれば、インクに十分に溶解するので、分離したりインク初期粘度が高くなる等の不具合は生じない。
−抑泡剤−
抑泡剤は、インクに微量添加することによって、その発泡を抑えるために用いられる。ここで、発泡とは液体が薄い膜になって空気を包むことである。この泡の生成にはインクの表面張力や粘度等の特性が関与する。即ち、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が働くため発泡し難い。これに対し、高粘度で高浸透性のインクは、表面張力が低いために発泡し易く、溶液の粘性により生成した泡が維持されやすく消泡し難い。
通常、抑泡剤は、泡膜の表面張力を局部的に低下させて泡を破壊するか、発泡液に不溶な抑泡剤を発泡液表面に点在させることにより泡を破壊する。インクに界面活性剤として表面張力を低下させる働きの極めて強いポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤を用いた場合には、前者の機構による抑泡剤を用いても泡膜の表面張力を局部的に低下させることができない。そこで、後者の発泡液に不溶な抑泡剤を用いるが、この場合、溶液に不溶な抑泡剤によりインクの安定性が低下する。
これに対し、下記一般式(8)の抑泡剤は、表面張力を低下させる働きがポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤ほど強くないものの、該界面活性剤に対する相溶性が高い。このため、抑泡剤が効率的に泡膜に取り込まれ、前記界面活性剤と抑泡剤との表面張力の違いにより泡膜の表面が局部的に不均衡な状態となり、泡が破壊すると考えられる。
一般式(8)
(上記式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基、R及びR10は、それぞれ独立に炭素原子1〜2個を有するアルキル基を表し、nは1〜6の整数を表す。)
前記一般式(8)で表される化合物の好ましい例としては、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールが挙げられる。抑泡効果とインクへの相溶性が高いことから、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールが特に好ましい。
抑泡剤のインク中の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。前記含有量が0.01質量%であれば、泡抑効果が得られ、10質量%以下であれば、抑泡効果が頭打ちになったり、粘度、粒径等のインク物性に悪影響が出るようなことはない。
−水分散性樹脂−
水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えたものが、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用であり、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にアクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。また、前記水分散性樹脂を2種類以上併用してもよい。
水分散性樹脂としては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基を持つ樹脂により分散性を付与したものが使用できる。これらの中でも、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。
不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、及びpH調整剤などを添加した水中で反応させて樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を替えやすく、目的の性質を作りやすい。
水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、特に水分散性着色剤との混和性の点から、6〜11がより好ましく、7〜10が更に好ましい。
水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないため平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
また、水分散性樹脂は、水分散性着色剤を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して着色剤の定着性を向上させる機能を有する。そのため、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。また、水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると、樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度は−30℃以上であることが好ましい。
水分散性樹脂のインク中の含有量は、固形分で、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
−pH調整剤−
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
その例としては、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
pHが7〜11の範囲を外れると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
−防腐防黴剤−
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
−キレート試薬−
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
−防錆剤−
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
−酸化防止剤−
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
−インクの製造−
本発明のインクは、着色剤、有機溶剤、水、及び必要に応じて添加するその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。この攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
−インク物性−
本発明のインクの物性には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
しかし、インクの静的表面張力が20mN/m以上であり、且つ、最大泡圧法によるバブルライフタイム15msec時の動的表面張力が34mN/m以下にすると、記録媒体に対し十分な濡れ性を確保することができるにも関わらず、インクジェットヘッドのノズルプレートオプツール撥水膜に濡れ難くなり、吐出安定性も確保でき、極めて安定なインクとなるので好ましい。
また、インクの25℃での粘度は5〜25mPa・sが好ましく、6〜20mPa・sがより好ましい。5mPa・s以上であれば印字濃度や文字品位の向上効果が得られる。また25mPa・s以下であれば、インク吐出性を確保することができる。
上記粘度は、例えば粘度計(RE−550L、東機産業社製)を用いて、25℃で測定することができる。
本発明のインクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
また、本発明のインクは、インクカートリッジ等の容器中に収容して使用しても良い。
<記録媒体>
本発明のインクを用いて記録を行うことが可能な記録媒体には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷用紙などが挙げられる。しかし、本発明のインクは、商業印刷用紙に対しても他の用紙と同様に良好な記録が可能である点で、非常に優れたものである。
ここでいう商業印刷用紙とは、支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有する印刷用紙のことであり、例えば、塗工層材料として炭酸カルシウムやカオリン等のフィラーを用いた印刷用紙が挙げられる。また、商業印刷用紙の一例である印刷コート紙は、塗工層がクレー(カオリン)や炭酸カルシウムなどの白色顔料と、デンプンなどの接着剤(バインダー)で作られている。
本発明のインクを用いて形成された画像を有する記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像が記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
記録媒体の中でも、画像品質(画像濃度、彩度、ビーディング、カラーブリード)に優れ、かつ光沢性が高く、更にスミア定着性にも優れた画像が記録できる点から、吸液特性が一定範囲内の記録媒体が好適である。具体的には、支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有する商業印刷用紙が挙げられ、前記塗工層を有する面の、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記印刷用紙への転移量が2〜35mL/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の前記印刷用紙への転移量が3〜40mL/mである印刷用紙が好ましい。これよりも純水の転移量が少なすぎると、ビーディング(隣り合ったドットが引き付けあったりして画像にブツブツ感が出るような現象)及びカラーブリード(色間の滲み)が発生し易くなることがあり、純水の転移量が多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりベタ画像が埋まらないことがある。
純水の転移量は、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工社製)を用いて測定することができる。接触時間100msにおける転移量は、それぞれ接触時間の近隣接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
吸液特性が前記一定範囲内にある印刷用紙の市販品としては、例えば、PODグロスコート、OKトップコート+、OK金藤+、SA金藤+(王子製紙社製)、スーパーMIダル、オーロラコート、スペースDX(日本製紙社製)、αマット、ミューコート(北越製紙社製)、雷鳥アート、雷鳥スーパーアート(中越パルプ工業社製)、パールコートN(三菱製紙社製)などが挙げられる。
<画像形成方法及び画像形成装置>
本発明の画像形成方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、インク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
−インク飛翔工程(画像形成工程の一例)−
前記インク飛翔工程は、インクに刺激(エネルギー)を印加し、記録媒体上にインクを飛翔させて画像を形成する工程である。この工程において、インクを飛翔させて記録媒体上に画像を形成する方法としては、公知のインクジェット記録方法を適用できる。その例としては、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法や、ライン化されたヘッドを用いて、ある枚葉の記録媒体に画像記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
インク飛翔手段である記録ヘッドの駆動方式には特に限定はなく、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンディマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドで記録することもできる。
本発明の画像形成方法では、必要に応じて、インク飛翔工程後に、加熱乾燥工程を設けることができ、例えば、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風などにより記録媒体を乾燥することができる。
また、画像表面を平滑化したり画像を定着する方法として、加熱手段により100℃〜150℃に加熱し、熱定着させる定着工程を設けても良い。定着工程を設けることにより、画像記録物の光沢性及び定着性が向上する。熱定着手段としては、加熱された鏡面を持つローラやドラムヒーター等が好ましく、画像表面にロールヒーター、ドラムヒーターの鏡面部(平滑部)を接触させればよい。加熱温度は、画像品質、安全性及び経済性を考えると、100〜150℃に加熱された定着ローラが好ましい。
上記画像形成装置の一例を図1に示す。
この図は画像形成工程と乾燥工程を有する場合を示しており、1は記録媒体、2はインク吐出部、3は搬送ベルト、4は温風乾燥装置、5は画像形成部、6は乾燥処理部、7は転写ロールである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」である。
<顔料分散体の調製>
(調製例1)
−表面改質ブラック顔料分散体1の調製−
Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)1000(BET比表面積343m/g、ジブチルフタレート吸収量(DBPA)105mL/100gのカーボンブラック)100g、スルファニル酸100ミリモル及びイオン交換高純水1Lを、室温でSilversonミキサー(6000rpm)により混合した。次いで、得られるスラリーに硝酸100ミリモルを添加し、更に30分後に10mLのイオン交換高純水に溶解させた亜硝酸ナトリウム(100ミリモル)をゆっくり添加した。更に撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させてカーボンブッラクにスルファニル酸が付加した改質顔料を得た。次いで、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。次いでこの分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜による限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。顔料の表面処理レベルは0.75mmol/g、粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は120nmであった。
(調製例2)
−表面改質ブラック顔料分散体2の調製−
ProcessAll 4HVミキサー(4L)に、Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)880(BET比表面積220m/g、DBPA105mL/100gのカーボンブラック)500g、イオン交換高純水1L及び4−アミノ安息香酸1モルを添加し、60℃に加温しながら10分間、300rpmで強く混合した。次いで、20%亜硝酸ナトリウム水性溶液(4−アミノ安息香酸に基づき1モル当量)を15分間掛けて添加し、60℃に加温しながら、3時間混合撹拌した。得られた反応物をイオン交換高純水750mLで希釈しながら取り出し、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つの4−アミノ安息香酸基又は4−アミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜による限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。顔料の表面処理レベルは0.5mmol/g、粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は104nmであった。
(調製例3)
−表面改質ブラック顔料分散体3の調製−
ProcessAll 4HVミキサー(4L)に、Cabot Corporation社製Black Pearls(登録商標)880(BET比表面積220m/g、DBPA105mL/100gのカーボンブラック)500g、イオン交換高純水1L及び4−アミノ安息香酸175ミリモルを添加し、60℃に加温しながら10分間、300rpmで強く混合した。次いで、20%亜硝酸ナトリウム水性溶液(4−アミノ安息香酸に基づき175ミリモル当量)を15分間掛けて添加し、60℃に加温しながら3時間混合撹拌した。得られた反応物をイオン交換高純水750mLで希釈しながら取り出し、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つの4−アミノ安息香酸基又は4−アミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って、顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。顔料の表面処理レベルは0.35mmol/g、粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は114nmであった。
(調製例4)
−表面改質ブラック顔料分散体4の調製−
自己分散型カーボンブラック顔料分散体Aqua−Black162(東海カーボン社製、顔料固形分19.2%)1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで40%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのカルボン酸基又はカルボン酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は100nmであった。
(調製例5)
−表面改質ブラック顔料分散体5の調製−
SENSIENT製顔料分散体SENSIJET Black SDP2000(SENSIENT社製、顔料固形分14.5%)1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基又はカルボン酸テトラブチルアンモニウム塩、スルホン酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は120nmであった。
(調製例6)
−表面改質マゼンタ顔料分散体1の調製−
SENSIENT社製顔料分散体SMART Magenta 3122BA(Pigment Red 122表面処理分散体、顔料固形分14.5%)1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラエチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は104nmであった。
(調製例7)
−表面改質シアン顔料分散体1の調製−
SENSIENT社製顔料分散体SMART Cyan 3154BA(Pigment Blue 15:4表面処理分散体、顔料固形分14.5%)1kgを0.1NのHCl水溶液で酸析した。次いで、40%ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpHを9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸ベンジルトリメチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は116nmであった。
(調製例8)
−表面改質イエロー顔料分散体1の調製−
SENSIENT社製顔料分散体SMART Yellow 3074BA(Pigment Yellow 74表面処理分散体、顔料固形分14.5%)1kgを、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(メタノール溶液)でpH9に調整し、30分後に改質顔料分散体を得た。少なくとも1つのアミノ安息香酸基又はアミノ安息香酸テトラブチルアンモニウム塩と結合した顔料を含む該改質顔料分散体とイオン交換高純水を用いて透析膜により限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料固形分を20%含む改質顔料分散体を得た。粒度分布測定装置(日機装社製ナノトラックUPA−EX150)で測定した体積平均粒径(D50)は145nmであった。
<カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製>
(調製例9)
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し65℃に昇温した。次いで、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し濃度が50%のポリマー溶液Aを800g得た。
−カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
ポリマー溶液Aを28g、C.I.カーボンブラック(デグサ社製FW100)を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルで混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータによりメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くため分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、顔料固形分15%、固形分濃度20%のカーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液を得た。分散体中のポリマー微粒子の体積平均粒径(D50)を粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定したところ104nmであった。
<水分散性樹脂分散体の調製>
(調製例10)
−アクリル−シリコーンポリマー微粒子分散体の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、イオン交換水350gに、8.0gのラテムルS−180(花王社製、反応性陰イオン性界面活性剤)を加えて混合し、65℃に昇温した。次いで、反応開始剤のt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸−2−エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180 8.0g、及びイオン交換水340gの混合物を、3時間かけて滴下した。次いで、80℃で2時間加熱熟成した後、常温まで冷却し、水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。次いでエバポレータによりエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40%のアクリル−シリコーンポリマー微粒子分散体730gを得た。分散体中のポリマー微粒子の体積平均粒径(D50)を、粒度分布測定装置(日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定したところ125nmであった。
<インクの作製>
実施例1
攪拌機を備えた容器に、式(1)の3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドを30部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2部、及び2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.5部を入れ、30分間混合撹拌した。次いで、防腐防黴剤(アビシア社製Proxel GXL)0.05部、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.2部、調製例1の表面改質ブラック顔料分散体1を30部、及び全体が100部となる量の高純水を加え、60分間混合撹拌した。次いで、得られた混合物を、平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例1のインクを得た。
実施例2
攪拌機を備えた容器に、式(4)の3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン25部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部、グリセリン5部、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2部、式(7)のポリエーテル変性シロキサン化合物2部及び2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール0.5部を入れ、30分間撹拌混合した。次いで、防腐防黴剤(アビシア社製Proxel GXL)0.05部、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.2部、調製例1の表面改質ブラック顔料分散体1を30部、及び高純水を加え60分間混合撹拌した。更にポリウレタンディスパージョン「三井化学社製タケラック W−6110」11.0部と全体が100部となる量の高純水を加え、30分間混合撹拌した。次いで得られた混合物を平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例2のインクを得た。
実施例3〜18、比較例1〜5
実施例1〜2と同様にして、下記表1〜表2の実施例3〜18及び比較例1〜5の各欄に示す有機溶剤、界面活性剤及び消泡剤を混合撹拌し、次いで、防腐防黴剤、pH調整剤及び水分散性着色剤(顔料分散体)を混合撹拌し、更に水分散性樹脂を混合撹拌した。得られた混合物を平均孔径1.2μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、実施例及び比較例の各インクを得た。
表1〜表2中の略号などの詳細は次のとおりである。
・タケラック W−6110:ポリウレタンディスパージョン、固形分30.9%、
Tg=−20℃、三井化学社製
・式(1)の化合物:3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド
・式(4)の化合物:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
・式(5)の化合物:3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
・*1:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
・*2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・*3:プロピレングリコールモノエチルエーテル
・*4:プロピレングリコールモノブチルエーテル
・*5:3−メトキシ−1−ブタノール
・*6:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール
・*7:ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル
・*8:グリセリン
・*9:トリエチレングリコール
・*10:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
・*11:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
・TEGO Wet270:ポリエーテル変性シロキサン化合物(エボニック社製、有効成分100%)
・シルフェイスSAG503A:ポリエーテル変性シロキサン化合物(日信化学工業社製、有効成分100%)
・ユニダイン DSN403N:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(ダイキン工業社製、有効成分100%)
・ソフタノールEP−7025:高級アルコールエトキシレート化合物(日本触媒社製、有効成分100%)
・Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防腐防黴剤(アビシア社製、成分20%、ジプロピレングリコール含有)
・*12:2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール
・*13:2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオール
・*14:2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール
実施例1〜18及び比較例1〜5の各インクについて、下記のようにして物性を測定した。結果を表3に示す。

<粘度>
粘度計(RE−85L、東機産業社製)を用いて、25℃で測定した。

<pH>
pHメータ計(HM−30R型、TOA−DKK社製)を用いて、25℃で測定した。

<動的表面張力>
最大泡圧法による表面寿命15msec時の動的表面張力をSITA_DynoTester(SITA社製)を用いて、25℃で測定した。

<静的表面張力>
自動表面張力計(DY−300、協和界面科学社製)を用いて、25℃で測定した。
実施例1〜18及び比較例1〜5の各インクを用い、下記のようにして画像を形成し、特性を評価した。結果を表4に示す。

−インク飛翔工程(画像形成工程)−
23±0.5℃、50±5%RHに調整された環境条件下、インクジェット記録装置(IPSiO GXe−5500、リコー社製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体(王子製紙社製:OKトップコート+_米坪量104.7g/m)に同じ付着量のインクが付着するように設定した。
<画像濃度>
各インクを用いて、Microsoft Word2000により作成した64pointのJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートをMyPaper(リコー社製)に打ち出し、分光濃度計(X−Rite939、X−Rite社製)により前記記号を測色し、各色の画像濃度を下記の基準で評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。なお、JIS X 0208(1997),2223は、外形が正四方形であって、記号全面がインクにより塗りつぶされている記号である。

〔評価基準〕
A:Black:1.25以上
Yellow:0.80以上
Magenta:1.00以上
Cyan:1.05以上
B:Black:1.20以上、1.25未満
Yellow:0.75以上、0.80未満
Magenta:0.95以上、1.00未満
Cyan:1.00以上、1.05未満
C:Black:1.15以上、1.20未満
Yellow:0.70以上、0.75未満
Magenta:0.90以上、0.95未満
Cyan:0.95以上、1.00未満
D:Black:1.15未満
Yellow:0.70未満
Magenta:0.90未満
Cyan:0.95未満
<ビーディング>
記録媒体を王子製紙社製:OKトップコート+_米坪量104.7g/mに変更し、印字モードはプリンタ添付のドライバで「光沢紙−きれい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用し、画像濃度の場合と同様にしてベタ画像を印字し、ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を目視観察して、下記の基準で評価した。なお、黒色ベタ画像は、そのままでは非常に見難いため、光学顕微鏡で40倍に拡大して観察した

〔評価基準〕
A:全くなし
B:僅かにあり
C:かなりあり
D:激しくあり
<乾燥性>
図1に示す画像形成装置を使用し、画像濃度の場合と同じ一般記号を記載したチャートを、王子製紙社製:OKトップコート+_米坪量104.7g/mに印字し、乾燥工程で100℃の温風を10秒間当てて乾燥させた後、転写ロールに画像部のインクが付着するかどうかについて、乾燥させた画像部を目視で観察し、次の基準で評価した。

〔評価基準〕
A:全く転写なし
B:実用上問題ない程度に僅かに転写あり
C:転写あり
D:激しく転写あり
<吐出安定性−1:間欠吐出評価>
Microsoft Word2000により作成したA4サイズ用紙の面積の5%をベタ画像で塗りつぶしたチャートを、連続200枚、MyPaper(リコー社製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れについて下記の基準で評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで、普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。

〔評価基準〕
A:吐出乱れなし
B:若干吐出乱れあり
C:吐出乱れあり、又は吐出しない部分あり
D:激しい吐出乱れあり、又は吐出しないノズルが多い
<吐出安定性−2:ノズルプレート撥インク時間>
温度23±0.5℃、湿度50±5%に調整された環境下、50mLのビーカーに各インクを50g入れ、インクジェット記録装置(IPSiO GXe−5500、リコー社製)に用いられているヘッドノズルプレートと同じものをピンセットに挟み、315mm/minの速度でインクに付け、同じ速度で取り出した場合の撥インク層からの撥インク時間(インクの引け時間)を計測し、次の基準で評価した。
なお、ノズルプレート撥インク時間が長いとノズルプレートに濡れ易いため、連続吐出評価でノズル抜けし易い。

〔評価基準〕
A:撥インク時間10秒未満
B:撥インク時間10秒以上、30秒未満
C:撥インク時間30秒以上、60秒未満
D:撥インク時間60秒以上
上記表4の結果から分かるように、実施例1〜18のインクは、商業用印刷用紙に対してもビーディングや乾燥性に優れており、画像濃度や吐出安定性も良好であった。
一方、比較例1〜5は、下記のように、それぞれ要件(1)〜(3)を満たさないためビーディング、乾燥性、吐出安定性の少なくとも一つに問題があった。
比較例1:要件(2)の化合物Zを含まない例
比較例2:要件(1)の有機溶剤X及び要件(2)の化合物Zを含まず他の有機溶剤を
含む例
比較例3:要件(2)の化合物Zとは異なるグリコールエーテル化合物を含む例
比較例4:化合物Zが有機溶剤Xよりも多く、要件(3)を満たさない例
比較例5:有機溶剤Xの量が多すぎて要件(3)を満たさない例
1 記録媒体
2 インク吐出部
3 搬送ベルト
4 温風乾燥装置
5 画像形成部
6 乾燥処理部
7 転写ロール
特開2013−107952号広報 特開2012−111845号広報 特開2013−100395号公報 特開2013−035993号公報 特開2014−043493号公報 特開2012−241135号広報

Claims (11)

  1. 着色剤、有機溶剤及び水を含有し、次の要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とするインク。
    (1)下記一般式(1)又は一般式(2)で示される有機溶剤Xを含有する。
    一般式(1)
    (上記式中、R′は炭素数4〜6のアルキル基を表す。)
    一般式(2)
    (上記式中、R″は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
    (2)有機溶剤として、100℃の環境下で蒸気圧が50mmHg以上を示すグリコールエーテル化合物(化合物Z)を含有する。
    (3)有機溶剤Xと化合物Zの含有量の比(質量比)が、1:1〜8:1である。
  2. 前記化合物Zが、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記有機溶剤Xを、インク全体の20質量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記有機溶剤Xが、下記構造式で表されるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
  5. 更に界面活性剤としてポリエーテル変性シロキサン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
  6. 静的表面張力が20mN/m以上であり、且つ、最大泡圧法によるバブルライフタイム15msec時の動的表面張力が34mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク。
  7. 前記着色剤が顔料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクを、熱、圧力、振動及び光から選ばれた少なくとも1種の刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクを、熱、圧力、振動及び光から選ばれた少なくとも1種の刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 記録媒体上に、請求項1〜7のいずれかに記載のインクを用いて形成された画像を有することを特徴とする画像形成物。
  11. 着色剤、有機溶剤及び水を含有し、次の要件(1)〜(3)を満たし、
    静的表面張力が20mN/m以上であり、且つ、最大泡圧法によるバブルライフタイム15msec時の動的表面張力が34mN/m以下であることを特徴とするインク。
    (1)溶解度パラメーター(SP値)が8.9〜12.0の有機溶剤(有機溶剤X)を含有する。
    (2)有機溶剤として、100℃の環境下で蒸気圧が50mmHg以上を示すグリコールエーテル化合物(化合物Z)を含有する。
    (3)有機溶剤Xと化合物Zの含有量の比(質量比)が、1:1〜8:1である。
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