JP6289088B2 - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インク記録物 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方式は、熱により発生する泡や、ピエゾや静電等を利用して発生させた圧力で少量のインクを飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて素早く乾燥させることにより(あるいは記録媒体に浸透させることにより)画像を形成する方式であり、パーソナル及び産業用のプリンターや印刷まで用途が拡大してきている。
インクジェット記録装置には、色材として水溶性染料を使用した水系インクが主に用いられているが、染料インクは耐候性及び耐水性に劣るという欠点がある。このため近年、水溶性染料に代えて顔料を使用する顔料インクの研究が進められている。
また、近年、特に産業用途としての需要が高まり、高速化印字化が望まれている。高速印字化に伴いラインヘッドを搭載したインクジェットプリンターも提案されてきている。高速印字化のため記録媒体に付着したインクの乾燥速度を早める目的で、インクに浸透剤を添加し水を記録媒体中に浸透させる手段がとられるが、水だけでなく顔料の記録媒体への浸透性も高くなってしまい、更に画像濃度が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2には、白色顔料と、末端に酸又はその塩からなる置換基を有し分子内にスルホニル基やホスホニル基を有するビニル重合体からなる高分子分散剤を含む紫外線硬化型インクジェット用白色インク組成物が記載されている。前記高分子分散剤の例として、ポリメタクリル酸誘導体の末端リン酸アンモニウム塩が挙げられているが、本発明の(式4)のモノマーを使用した共重合体の例示はなく、前記高分子分散剤を使用した場合の画像濃度向上に対する効果は記載されていない。
また、特許文献3には、多価水溶性金属塩を含有する印字紙と顔料と界面活性剤能をもたない特定のリン酸基をもつ化合物を含むインクを併用することにより、定着性及び画像濃度を向上させることが記載されている。しかし、このインクの分散性や画像濃度向上に対する効果は記載されていない。
1) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及びリン酸基を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記共重合体が、下記(式1)で表される構造単位と、下記(式2)で表される構造単位を少なくとも有し、(式1)の構造単位の含有率が10〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
2) 前記共重合体の質量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする1)記載のインクジェット記録用インク。
3) 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及びリン酸基を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記共重合体が、少なくとも下記(式3)で表されるモノマーと、下記(式4)で表されるモノマーを共重合させた後、アルカリ金属塩又は有機アミン塩基で中和することにより合成したものであることを特徴とするインクジェット記録用インク。
4) 1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
5) 4)記載のインクカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
6) 1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
7) 記録媒体上に、1)〜3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を有することを特徴とするインク記録物。
前記(式1)で表される構造単位中のリン酸基又はリン酸基の塩は多価金属イオンとの親和性が高く、記録媒体から溶出してくる多価金属イオンに速やかに配位する。
本発明のリン酸基の塩を含む共重合体を分散剤として用いた場合、該共重合体は、大部分がインク中で顔料に吸着している。ここで、前記(式1)で表される構造単位中のリン酸基又はリン酸基の塩が記録媒体から溶出してくる多価金属イオンと配位すると、以下の(1)〜(3)の少なくとも一つの要因によりインク中の顔料の分散安定性が低下し、顔料の凝集が起こる。
(1)対イオンの価数が増加するため、顔料同士の静電的な反発力が減少する。
(2)本発明のリン酸基の塩を含む共重合体のインク中での溶解度が低下するため、高分子吸着層が減少し、顔料同士の立体的な反発力が低下する。
(3)本発明のリン酸基の塩を含む共重合体のインク中での溶解度が低下するため、本発明のリン酸基の塩を含む共重合体を含めた顔料の水和安定性が低下する。
また、本発明のリン酸基の塩を含む共重合体を添加剤として用いる場合、それ自身が記録媒体から溶出してくる多価金属イオンに配位して不溶体を形成し、それが凝集の核となり顔料凝集を発生させる。
本発明のインクジェット記録用インク(以下、インクということもある)は、共重合体として、(式1)で表されるリン酸基を有する構造単位と、(式2)で表される構造単位を含む点に特徴がある。
(式1)の構造単位は親水性を示すが、多価金属イオン(特にカルシウムイオン)と結合することにより疎水性を示す特徴がある。従って、(式1)の構造単位を有する共重合体を含有するインクを使用し、多価水溶性金属塩を含有する印字紙に画像を形成した場合には、紙からインクへ溶出する多価金属イオンにより(式1)の構造単位が疎水化し、顔料を巻き込んで凝集するので、紙の表面上に顔料が留まり、画像濃度が向上する。
しかし、普通紙の場合には、含まれる多価金属塩は一般的に難水溶性の炭酸カルシウムであり、インクへ溶出するカルシウムイオン量は少ない。そのため(式1)の構造単位を有するだけでは、充分な画像濃度を得ることは出来ない。
これに対し本発明では、(式1)の構造単位の他に(式2)の構造単位を組み合わせたので、下記のような効果が得られ、水溶性多価金属イオンが少ない普通紙においても高い画像濃度を得ることが可能となった。
・顔料への親和性が向上し、顔料を巻き込んだ凝集効果が向上した。
・(式2)の導入により、共重合体のゲル化が発生しにくくなった。
・(式1)の構造単位の比率を高くすることができ、更に多価金属イオン(特にカルシウムイオン)との反応性を向上させることができた。
<リン酸基を有する共重合体>
本発明で用いるリン酸基を有する共重合体は、(式1)で表される構造単位と(式2)で表わされる構造単位を少なくとも有する。この共重合体は、少なくとも(式3)のモノマーと(式4)のモノマーを共重合させることにより得られる。
共重合方法は従来の一般的な方法が使用できる。例えば撹拌機、温度計、窒素導入管を備えたフラスコ内の溶媒中に、(式3)のモノマーと(式4)のモノマーを入れ、重合開始剤を用いて、窒素ガス還流下、60〜150℃程度の温度で反応させればよい。
共重合体の分子量は、重合時のモノマー濃度及び/又は重合開始剤量を調整することによりコントロールできる。また、共重合体の共重合の態様は特に限定されず、例えばブロック共重合でもランダム共重合でもよい。
リン酸基を有する共重合体の質量平均分子量は3000〜60000が好ましく、より好ましくは5000〜50000、更に好ましくは6000〜30000である。
リン酸基を有する共重合体の含有量は、インク総質量に対し、固形分として0.05〜10.0質量%、好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
0.05質量%から画像濃度向上の効果が発現し始め、10.0質量%以下にすることにより、インクをヘッドから吐出する際に適した粘度の範囲に抑えることが可能である。
分散剤として使用する場合の含有量は、顔料100質量%に対して1〜100質量%、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。この範囲内で最も適した顔料粒径が得られ、画像濃度と分散性と保存安定性が良好となる。
また、リン酸基を含む共重合体を構成する(式1)のMについて、共重合体中のMの総数に対する水素原子の割合が40%以下であることが好ましい。前記割合が40%以下であると顔料分散体及びインクの保存安定性が向上する。分散体中及びインク中で顔料は、リン酸基のマイナス電荷同士の斥力で分散状態を保っている。従って、Mが金属原子又は有機アミンである方が、顔料同士の反発が強くなり分散が安定化すると推察される。
なお、前記共重合体中のMの総数に対する水素原子の割合は、以下で定義される中和率(%)を用い、100%−中和率(%)で求めることができる。
式(3)で表される化合物をモノマー1とすると、
中和率X(%)=(添加した塩基のモル数×塩基の陽イオンの価数)
÷(ポリマーに含有するモノマー1のモル数×2)×100
添加した塩基のモル数=塩基の添加量Yg÷塩基の分子量
ポリマーに含有するモノマー1のモル数
=モノマー1の仕込み量Zg÷モノマー1の分子量
したがって、中和率X%を得るために必要な塩基の添加量は、次式のようになる。
塩基の添加量Yg=中和率X(%)×(モノマー1の仕込み量Zg×2)
×塩基の分子量÷(塩基の陽イオン価数×100×モノマー1の分子量)
本発明のインクは液媒体として水を用いる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水などを用いることができる。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、インクの乾燥を防止するための湿潤剤として、また、分散安定性の向上や、普通紙におけるカール防止の目的で水溶性有機溶剤を使用する。これらの水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、イソプロピリデングリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン
また、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール及び/又はグリセリン等は、水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れている。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
水溶性有機溶剤の配合量は、インク全体の10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。この範囲にあるインクは、乾燥性や吐出信頼性が非常に良好となる。
本発明で用いる顔料のインク中の含有量は、0.1〜20.0質量%が好ましい。
0.01質量%以上であれば画像濃度が低くて印字の鮮明さに欠けるようなことはなく、20質量%以下であれば、インクの粘度が高くなりすぎたり、ノズルの目詰まりが発生したりすることはない。
顔料の50%体積平均粒径(D50)は、150nm以下が好ましい。ここで、顔料の50%体積平均粒径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したD50の値を示す。
顔料の種類は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料及び有機顔料のいずれでもよい。また、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えばフタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒子径が15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150mL/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9のものが好ましい。
また、本発明のインクに用いる顔料は、本発明用に新たに製造されたものでもよい。
なお、イエロー顔料としてピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてピグメントブルー15:3を用いると、色調、耐光性に優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
その他の成分としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば分散剤、浸透剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
分散剤としては、前記リン酸基を有する共重合体を用いることが好ましいが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤や高分子型の分散剤を用いてもよく、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤
浸透剤には、前記湿潤剤として用いる水溶性有機溶剤とは異なり、湿潤性が比較的小さい非湿潤剤性のものを用いる。即ち、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。
具体的には、炭素数8〜11のポリオール化合物及び炭素数8〜11のグリコールエーテル化合物のいずれかを含有することが好ましい。中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2質量%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0質量%(25℃)]が特に好ましい。
上記以外の脂肪族ジオールの例としては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
浸透剤のインク中の含有量は、0.1〜4.0質量%が好ましい。0.1質量%未満では、速乾性が得られず滲んだ画像となることがある。また4.0質量%を超えると、顔料の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
pH調整剤としては、インクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11、好ましくは9〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。pHが8.5未満又は11を超えると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きくなり、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。8.5未満の場合には、インク保管中にインクのpHが低下し、高分子微粒子の粒子径が増大して凝集することがある。pHは、例えばpHメータ:HM−30R(TOA−DKK社製)により測定することができる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を有するので、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用であり、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
また、水分散性樹脂は、水分散顔料を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して顔料の定着性を向上させるものであることが好ましい。そのため、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。
また水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上であることが好ましい。
水分散性樹脂のインク中の含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
(キレート試薬)
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
本発明のインクは、水、水溶性有機溶剤、顔料、リン酸基を有する共重合体及び必要に応じて他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に適宜攪拌混合して製造する。
上記顔料は、予め水、顔料、必要に応じて分散剤や他の材料を混合し、公知の分散機で分散して粒径を調整した顔料分散体として、インクに含有させることが望ましい。
分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
顔料分散体を作成する際の顔料濃度は、0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%が特に好ましい。
顔料分散体及びインクは必要に応じてフィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
例えば、インクの25℃での粘度は3〜20mPa・sが好ましい。粘度が3mPa・s以上であれば、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることにより、吐出性を確保することができる。
粘度は、例えば、粘度計(RL−550、東機産業社製)を使用して、25℃で測定することができる。
また、インクの表面張力は、25℃で40mN/m以下が好ましい。40mN/m以下であれば、記録媒体上のインクのレベリングが起こることはなく、乾燥時間の長時間化を招くこともない。
本発明のインクカートリッジは、本発明のインクを容器中に収容するものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有することもできる。
容器の形状、構造、大きさ、材質などは特に制限は無く目的に応じて適宜選択できる。例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルムなどで形成されたインク袋を有するものなどが挙げられる。
本発明のインクカートリッジの一例について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジ200のケース(外装)も含めた図である。インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば刺激発生手段、制御手段等を有する。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、インクに刺激を印加し飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、インクに刺激を印加し飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズルなどが挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、過熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。具体的には、圧電素子などの圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔からインクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
図3は、本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す概略図である。このインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104を有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を、複数のインク吐出口が主走査方向と交又する方向となるように配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどが使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填されたインクカートリッジ200からインクが供給され補充される。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられている。
なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
このインクジェット記録装置では、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。
記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ200から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ200の交換を容易に行うことができる。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明のインクにより記録された画像を有し、高画質で経時安定性に優れ、印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
上記記録媒体としては、本発明のインクが着弾し画像が形成され得るものであれば特に制限はないが、下記のように定義される普通紙が好ましい。
即ち、本発明のインクは、紙から溶出してくるCaイオン量が1.0×10−4〜5.0×10−4[g/g]の紙に対して使用されるのが好ましい。該Caイオン量が1.0×10−4[g/g]以上の場合、顔料分散剤との反応凝集による画像濃度向上の効果が向上する。また該Caイオン量が5.0×10−4[g/g]以下の場合、紙へのインクの浸透が阻害されないのでインクの乾燥性が向上し、耐擦過性及び耐マーカー性も向上する。
即ち、紙を2.5cm(±0.5cm)×3.5cm(±0.5cm)四方の紙片に裁断し、高純水を用いて0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)でろ過して紙粉等の異物を除去する。次いで、前記紙片を高純水に浸漬し、浸漬液に含まれるCaイオンをICP発光分光分析装置によって定量する。ここで得られたCaイオン濃度[ppm]に、高純水の重量である200gを掛け、更に浸漬させた紙の重量である16gで除して、紙から溶出してくるCaイオン量[g/g]を算出することができる。
上記普通紙としては例えば、MyPaper(リコー社製、Caイオン量は4.3×10−4[g/g])、Xerox4024(富士ゼロックス社製、Caイオン量は1.7×10−4[g/g])等が挙げられる。
普通紙に含まれる填料、サイズ剤、定着剤等の多くは難水溶性の金属塩である。また、水溶性の金属塩が含まれていても含有量が少ない。よって、水溶性の多価金属塩等を紙面上に加工した紙と比べると多価金属イオンの溶出が少なく、従来技術では画像濃度向上効果が得られなかった。
これに対し、本発明では、上記加工した紙はもちろん、普通紙のように多価金属イオンの溶出が少ない紙でも高画像濃度を実現することができる。
表1の合成例1〜25の各欄に示す材料及び配合割合で、以下のようにして、共重合体1〜25を合成した。表1中の含有率欄の数値は「質量部」である。なお、合成例23〜25における(式3)(式4)の欄のスチレン、メタクリル酸は(式3)(式4)のモノマーではない。更に(式3)の含有率欄の( )内の数値は、スチレンの配合量を示す。
また、各材料の略号の意味は次のとおりである。
・ホスマーM:アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(ユニケミカル社製)
=(式3−1)の化合物
・DAAM:ジアセトンアクリルアミド=(式4−1)の化合物
・P−1A:アシッドホスホオキシエチルアクリレート(共栄社化学社製)
・ホスマーPE:アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル社製)
・ホスマーPP:アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル社製)
・DMEA:ジメチルエタノールアミン
カラム恒温槽には島津製作所製CTO−20A、検出器には島津製作所製RID−10A、溶離液流路ポンプには島津製作所製LC−20AD、デガッサには島津製作所製DGU−20A、オートサンプラーには島津製作所製SIL−20Aを用いてGPC法によって測定した。カラムは、東ソー社製の水系SECカラムTSKgelG3000PWXL(排除限界分子量2×105)と、TSKgelG5000PWXL(排除限界分子量2.5×106)と、TSKgelG6000PWXL(排除限界分子量5×107)を接続したものを用いた。測定サンプルは溶離液で2g/100mLの濃度に調整した。溶離液には酢酸、酢酸ナトリウム各々0.5モル/Lに調整した水溶液を使用した。カラム温度は40℃、流速は1.0mL/分で実施した。標準サンプルとして、分子量1065、5050、24000、50000、107000、140000、250000、540000、920000の9種のポリエチレングリコールを用い、得られた較正曲線に基づいて質量平均分子量を求めた。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;15部、DAAM;85部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体1を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いでホスマーM;5部、DAAM;95部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体2を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体3を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;55部、DAAM;45部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体4を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール250部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;65部、DAAM;35部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体5を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;55部、DAAM;45部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体6を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;55部、DAAM;45部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体7を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;65部、DAAM;35部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1.5部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体8を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;55部、DAAM;45部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1.5部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体9を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;15部、DAAM;85部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体10を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;5部、DAAM;95部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1.5部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体11を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;15部、DAAM;85部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1.5部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体12を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール20部を仕込んだ。次いでホスマーM;15部、DAAM;85部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化ナトリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体13を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;15部、DAAM;85部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化リチウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体14を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いでホスマーM;5部、DAAM;95部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に3時間、70℃を保持し反応を行った。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体15を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;65部、DAAM;35部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤1部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体16を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにP−1A;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に、70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体17を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーPE;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体18を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーPP;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体19を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコに(式3−5)のモノマー;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体20を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにホスマーM;30部、DAAM;70部及びエタノール200部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤2部を加え、更に、70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が50%となるように中和し、共重合体21を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いで、ホスマーM;15部、DAAM;85部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物をジメチルエタノールアミンで中和率が100%となるように中和し、共重合体22を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、スチレン15部、DAAM;85部及びエタノール100部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体23を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機を取り付けた1リットル五つ口フラスコにエタノール200部を仕込んだ。次いでホスマーM;15部及びメタクリル酸;85部をエタノール50部に均一に溶解混合した混合液を滴下漏斗に仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.5部を加え、滴下漏斗に仕込んだ混合物を2時間かけて滴下し、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体24を得た。
還流冷却器、温度計、窒素置換用管及び撹拌機を取り付けた1リットル四つ口フラスコにスチレン;15部、メタクリル酸;85部及びエタノール100部を仕込んだ。窒素気流下で昇温し、70℃でラジカル重合開始剤0.2部を加え、更に70℃に保持して6時間反応させた。反応終了後、反応物を水酸化カリウムで中和率が100%となるように中和し、共重合体25を得た。
下記表2〜表3の顔料分散体1〜30の各欄に示す材料を用い、まず各共重合体、顔料及び純水の混合物をプレミックスして混合スラリーを作製した。次いで、これをディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック社製、DMR型)で充填率55%の0.05mmジルコニアビーズを用いて、周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離して各顔料分散体を得た。表2〜表3中の数値は配合割合(重量部)である。
なお、共重合体1〜25は、乾燥して溶剤を除去した後、固形物を水に溶解して20%水溶液として用いた。共重合体以外の各材料の詳細は次のとおりである。
・カーボンブラック(NIPEX160、degussa社製、BET比表面積150m2/g、平均一次粒径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100g)
・ピグメントブルー15:3(大日精化社製クロモファインブルー−A−220JC)
・ピグメントレッド122(クラリアント社製、トナーマゼンタEO02)
・ピグメントイエロー74(大日精化社製、ファーストイエロー531)
<インクの作製>
下記表4、表5の実施例、参考例及び比較例の各欄に示す材料を混合し、1時間撹拌して均一な分散体とした。この分散体を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブレンフィルターで加圧ろ過し、粗大粒子やゴミを除去して各インクを得た。
なお、表中の数値は質量%である。
<保存安定性>
各顔料分散体及び各インクの粘度を測定し、これを指標として保存安定性を評価した。
粘度の測定には東機産業社製の粘度計RE500Lを使用し、サンプルに合わせてローターの回転数を調整し、25℃における粘度を測定した。結果を表6に示す。
また、各顔料分散体及びインクの作製後の初期粘度を測定し、下記の基準で評価した。次いで、各顔料分散体及びインクをポリエチレン容器に入れて密封し、70℃で1週間保存した後の粘度を測定し、初期粘度を基準とした保存後の粘度の変化率により下記の基準で保存安定性を評価した。評価結果を表6に示す。
・初期粘度
◎:初期粘度が、7mPa・s未満
○:初期粘度が、7mPa・s以上、20mPa・s未満
×:初期粘度が、20mPa・s以上
・保存安定性
◎:保存後の粘度の変化率が、 2%未満
○:保存後の粘度の変化率が、 2%以上、 5%未満
○△:保存後の粘度の変化率が、 5%以上、10%未満
△:保存後の粘度の変化率が、10%以上、50%未満
×:保存後の粘度の変化率が、50%以上
・初期粘度
◎:初期粘度が、9mPa・s未満
○:初期粘度が、9mPa・s以上、20mPa・s未満
×:初期粘度が、20mPa・s以上
・保存安定性
◎:保存後粘度の変化率が、 2%未満
○:保存後粘度の変化率が、 2%以上、 5%未満
○△:保存後粘度の変化率が、 5%以上、10%未満
△:保存後粘度の変化率が、10%以上、50%未満
×:保存後粘度の変化率が、50%以上
インクジェットプリンター(IPSiO GX3000、リコー社製)を用い、各インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体上に同じ付着量のインクが付くように設定して印字を行った。
Microsoft Word2003を用いて作成したブラック及び各色の64pointのJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートを、坪量69.6g/m2、サイズ度23.2秒、透気度21.0秒の上質紙:マイペーパー(リコー社製)に印字した。
次いで、X−Rite938(X−Rite社製)によりJIS X 0208(1997),2223の一般記号部を測色し、下記の基準で画像濃度を評価した。このとき、印字モードは、プリンタ添付のドライバで「普通紙−はやい」モードとした。なお、上記JIS X 0208(1997),2223の一般記号は、外形が正四方形であって、記号全面がインクにより塗りつぶされている記号である。評価結果を表6に示す。
◎:OD値 ブラック 1.30以上
イエロー 0.75以上
マゼンタ 0.90以上
シアン 1.00以上
○:OD値 ブラック 1.20以上、1.30未満
イエロー 0.70以上、0.75未満
マゼンタ 0.85以上、0.90未満
シアン 0.90以上、1.00未満
○△:OD値 ブラック 1.10以上、1.20未満
イエロー 0.65以上、0.70未満
マゼンタ 0.70以上、0.85未満
シアン 0.80以上、0.90未満
△:OD値 ブラック 1.00以上、1.10未満
イエロー 0.60以上、0.65未満
マゼンタ 0.65以上、0.70未満
シアン 0.70以上、0.80未満
×:OD値 ブラック 1.00未満
イエロー 0.60未満
マゼンタ 0.65未満
シアン 0.70未満
また、(式1)で表される構造単位の含有率が10〜60質量%の実施例は、該含有率が前記範囲を外れる参考例に比べて、画像濃度及び保存性が共に優れていることが判る。
また、共重合体の分子量が5000〜50000の実施例は、他の実施例に比べて画像濃度及び保存性が共に優れることが判る。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙積載部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (7)
- 少なくとも水、水溶性有機溶剤、顔料及びリン酸基を有する共重合体を含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記共重合体が、下記(式1)で表される構造単位と、下記(式2)で表される構造単位を少なくとも有し、(式1)の構造単位の含有率が10〜60質量%であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
- 前記共重合体の質量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項4記載のインクカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を有することを特徴とするインク記録物。
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