JP5194444B2 - インクジェットインク、及びカラーフィルタ基板 - Google Patents

インクジェットインク、及びカラーフィルタ基板 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットインク、及びカラーフィルタ基板に関する。本発明のインクジェットインクは、例えば、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ基板の製造に好適に用いることができる。
薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルには、主要な構成要素として、カラーフィルタ基板と、液晶セル基板と、バックライトユニットとが含まれている。バックライトユニットは、液晶セル基板の裏面に設けた光源である。液晶セル基板の液晶は、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基板とカラーフィルタ基板との間に充填されている。カラーフィルタ基板には、3原色(赤・緑・青;RGB)の繰り返しパターンが、TFTアレイ基板の各画素に対向する位置に形成されている。カラーフィルタ基板の全面には透明電極が設けられており、TFTアレイ基板の画素電極との電圧によって液晶の方向が制御され、透過する光量がコントロールされる。
前記カラーフィルタ基板は、具体的には、ガラス等の透明な基板の表面に3種以上の異なる色相の微細なストライプ状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なモザイク状のフィルタセグメントを縦横一定の配列に配置したものからなっている。そして、フィルタセグメント間には、カラーフィルタ基板の表示コントラストを高めるために、一定の幅を持つ遮光領域(ブラックマトリックス)が設けられる。カラーフィルタ基板を構成するストライプの幅及びモザイクの一辺の長さは、約70μmと微細であり、しかも色相毎に所定の順序で整然と配列されている。また、通常のカラーフィルタ基板の膜厚は0.8〜1.5μmであり、顔料がフィルタセグメント中の25〜45重量%を占めている。
従来、カラーフィルタ基板の製造は、顔料が分散されたフォトレジスト液を透明基板上に塗布してから、乾燥、露光、現像、及び硬化などの工程を繰り返すことによって行われていた。そのため、生産性が低く、コスト低減の要求が高くなっている。特に、液晶ディスプレイパネルの大型化に伴って、フォトレジストに替わる技術が求められてきた。こうした要求に従い、製造方法や製造設備の見直しが行われ、インクジェット法によるカラーフィルタ基板の製造が注目されている。インクジェット法は、特に製造装置の小型化が容易で、生産性の高い点で有利である。更に、近年は、プリンタヘッドやインクに関する技術の進歩により、インクジェット法にも顔料系インクが使用され始め、その結果、耐光性や堅牢性も改良されている。この点からも、カラーフィルタ基板用途にインクジェット法を適用することが有利である、種々の提案が行われている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平1−217302号公報 特開平7−174915号公報 特開平8−75916号公報
インクジェット法によるフィルタセグメントの形成は、予め透明基板上にブラックマトリックスを設け、ブラックマトリックスで区分けされた領域内にインクジェット法によりインクを充填することによって実施する。この際、インクの固形分が低い、および/または顔料濃度が低いと、所望の色濃度を有するカラーフィルタを作成する過程で、ブラックマトリックスを越えてインクが溢れて、隣接する領域にインクが混入し、フィルタセグメントの色相を損なうことがある。そのため、カラーフィルタに使用されるインクには高固形分化・高顔料濃度化が求められる。
しかしながら、高固形分化・高顔料濃度化する事は、インク中の溶剤分が少なくなり乾燥しやすくなる事から、インクジェットヘッドのノズル部でインク粘度が上昇し吐出が不安定になったり、ノズル付近に固形物が付着し液滴の飛翔方向が曲がったり、場合によっては、ノズル内部に固形物が析出し不吐出が生じたりし、吐出に悪影響を及ぼす。
したがって、本発明の課題は、インクジェット法により安定吐出が可能なインクジェットインクを提供する事にある。また、本発明の課題は、上記インクを用いてインクジェット法により形成されるカラーフィルタ基板を提供することにある。
前記の課題は、本発明により、少なくとも、3価以上の多価アルコールのエステル誘導体、顔料、顔料誘導体、分散樹脂、熱反応性化合物を含むインクジェットインクにより解決することができる。
本発明によるインクジェットインクの更に好ましい様態においては、前記3価以上の多価アルコールのエステル誘導体がトリアセチンである。
本発明によるインクジェットインクの更に別の好ましい様態においては、前記3価以上の多価アルコールのエステル誘導体と併用する溶剤が、沸点200℃以上であり、かつ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物、または、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、前記3価以上の多価アルコールのエステル誘導体の割合が溶剤全量に対し、3〜50重量%である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい形態としては、前記顔料誘導体が、一般式(1):
一般式(1)
1−eq
(式中、G1は、q価の色素原型化合物残基であり、eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、qは、1〜4の整数である)
で表される化合物である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい形態としては、前記顔料誘導体が、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種を含む。
本発明によるインクジェットインクの好ましい形態としては、前記分散樹脂が、下記(a)〜(e)のうち1種もしくは2種以上である。
(a) 1種又は2種以上のリン酸基を含有する分散樹脂又は一般式(2)で示されるモノマー を重合成分として含有する分散樹脂、
(b) 一般式(3)で表されるポリエステル系分散樹脂、
(c) 一般式(4)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含むビニル系分散樹脂、
(d) イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(d−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させてなる末端イソシアネート化合物に対して、
1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)と、
1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)とを含むポリオール化合物を、水酸基過剰となる条件で重合させてなる分散樹脂であって、
不揮発成分中におけるポリイソシアネート(d−a)由来の割合が、25重量%〜60重量%である分岐ウレタン系分散樹脂(A)、
(e) イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(e−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させてなる末端イソシアネート化合物に対して、
1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)を含むポリオール化合物を、水酸基過剰となる条件で重合させてなる末端水酸基化合物中の水酸基と、
酸無水物基を有する化合物(e−g)中の酸無水物基
とを反応させてなる分散樹脂であって、
不揮発成分中におけるポリイソシアネート(e−a)由来の割合が、25重量%〜60重量%である分岐ウレタン系分散樹脂(B)。
一般式(2):
Figure 0005194444
(一般式(2)中、R1:水素又はメチル基を表す。
2:アルキレン基を表す。
m:1〜20の整数を表す。)
一般式(3):
(HOOC―)e―Ra1―(―COO―[―Ra3―COO―]f―Ra2g
(一般式(3)中、Ra1は4価のテトラカルボン酸化合物残基、
a2はモノアルコール残基、
a3はラクトン残基、
eは2または3の整数、fは1〜50の整数、gは(4−e)を表す。)
一般式(4):
Figure 0005194444
(一般式(4)中、
b1は水素原子又はメチル基であり、
1は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−若しくは−CH2O−であり、
2は、下記一般式(23)で表される基であり、
3は、下記一般式(24)で表される基であり、
1は、一般式(5)で表される基であるか、あるいは一般式(6)で表される基である。)
一般式(23)
−(−Rb2−O−)m1
(一般式(23)中、Rb2は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、m1は1〜50の整数である。)
一般式(24)
−(−CO−Rb3−O−)m2
(一般式(24)中、Rb3は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、m2は0〜20の整数である。)
一般式(5)
Figure 0005194444
(一般式(5)中、
1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
1〜A3のうちの1つが−COORc1であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は
1〜A3の3つが−COOHであり、kは1又は2である。
但し、Rc1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)
一般式(6)
Figure 0005194444
(一般式(6)中、
5〜A7のうち1つは水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
5〜A7のうち1つは−COORd2であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は
5〜A7の3つが−COOHである。
但し、Rd2は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
d1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、式(25)、で表される基、又は式(26)で表される基である。)
Figure 0005194444
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、前記熱反応性化合物が、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、バインダー樹脂を更に含む。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、固形分含有量が、インク組成物全重量に対して、3〜60重量%である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、前記顔料の含有量が、インク組成物全重量に対して、1〜30重量%である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、前記顔料と前記分散樹脂との重量比が、100:3〜100:150である。
本発明によるインクジェットインクの好ましい様態においては、25℃における粘度が、2〜40mPa・sである。
本発明は、インクジェットインクによる印刷層を担持するカラーフィルタ基板にも関する。
本発明のインクジェットインクは、顔料、顔料誘導体、分散樹脂、熱反応性化合物、および溶剤として3価以上の多価アルコールのエステル誘導体を含むことで、高固形分・高顔料濃度であるにもかかわらず、優れた安定性・吐出性を有する。従って、本発明の本発明のインクジェット記録用インク組成物を用いカラーフィルタを製造すると、不吐出や飛翔曲がりが生じにくく、歩留まりを向上させることができる。
[溶剤について]
本発明のインクジェットインクは、溶剤として3価以上の多価アルコールのエステル誘導体を含有することを特徴としている。
一般に吐出安定性を向上させる方法としてインクの蒸発を抑制することが知られており、水酸基を有する溶剤など高沸点、低蒸気圧の溶剤を用いる。しかし分子内の水酸基割合の大きな溶剤を用いた場合、溶剤の極性が上がり、顔料分散安定性が低下するために、経時でのインク粘度増加を引き起こす。従って、改善策として、水酸基のアセチル化など、溶剤分子内の水酸基の割合を低減させ分散安定性を向上させることが考えられ、本発明のインクジェットインキに用いる溶剤としては、3価以上の多価アルコールのエステル誘導体が適当である。
本発明に用いることのできる3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価の多価アルコール、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどの4価の多価アルコール、ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどの4価以上の多価アルコールが挙げられる。中でも、適切な沸点を与えるため3価の多価アルコールが好ましく、更にその中でもグリセリンが特に好ましい。
本発明に用いることのできる3価以上の多価アルコールのエステル誘導体としては、トリアセチンなどを挙げることができる。
本発明では、インクジェットインクにおいて通常使用されている有機溶剤を、3価以上の多価アルコールのエステル誘導体と併用して使用する溶剤として用いることができる。
3価以上の多価アルコールのエステル誘導体と併用して使用する溶剤としては、沸点が200℃以上の(ジ/トリ)アルキレングリコールモノアルキレンエーテル化合物が特に好ましい。
具体的には、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのジアルキレングリコールモノアルキレンエーテル化合物、
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのトリアルキレングリコールモノアルキレンエーテル化合物が挙げられる。
中でも、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが特に好適に用いることができる。
本発明のインクジェットインクにおいて、前記3価以上の多価アルコールのエステル誘導体は、溶剤全体の重量に対して、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の量で配合されている。配合量が3重量%未満であるとインクジェットヘッド部でのインク乾燥のため吐出性が著しく悪くなることがあり、配合量が50重量%より多いと、インクの基材着弾後の乾燥工程が長くなり、生産効率が落ちることがある。
[顔料について]
本発明のインクジェットインクを構成する顔料は、所望の色相に着色するものであり、耐熱性、耐薬品性、耐液晶性、耐光性に優れることが好ましい。
顔料としては、例えば、有機顔料、無機顔料、又はカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等)を用いることができ、顔料は2種以上を混合して用いることができる。
有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料(例えば、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等)、フタロシアニン系顔料(例えば、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等)、アントラキノン系顔料(例えば、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等)、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、又はコバルトバイオレット等が挙げられる。
また、以下に、本発明のインクジェットインクに使用可能な顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示す。
赤色インクジェットインクには、例えば、C.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色インクジェットインクには、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
黄色インクジェットインクには、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
オレンジ色インクジェットインクには、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
緑色インクジェットインクには、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色インクジェットインクには黄色顔料を併用することができる。
青色インクジェットインクには、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色インクジェットインクには、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
これらの顔料は、2種以上を混合して用いることができる。
顔料の粒子径は、可視光の吸収係数(スペクトルの適正さ)及び透明性の点から、可視光の波長に対して充分小さいことが好ましい。すなわち、顔料は、平均一次粒子径が10nm以上300nm以下、特に10nm以上100nm以下であることが好ましい。なお、一次粒子径とは、最小単位の顔料粒子の直径をいい、電子顕微鏡で測定される。
顔料の一次粒子径は、既知の分散装置、例えば、サンドミル、ニーダー、2本ロール等を用いて適正な範囲内に制御することができる。
[顔料誘導体について]
本発明に用いられる顔料誘導体としては、例えば、下記一般式(1)で示されるものを用いることができる。
一般式(1)
1−eq
(式中、G1は、q価の色素原型化合物残基であり、
eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
qは、1〜4の整数である。)
塩基性置換基としては、例えば、下記一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)、又は一般式(11)で示される置換基が挙げられる。
一般式(8):
Figure 0005194444
(一般式(8)中、
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表す。
n:1〜10の整数を表す。
3、R4:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR3とR4とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(9):
Figure 0005194444
(一般式(9)中、
5、R6:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR5とR6とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(10):
Figure 0005194444
(一般式(10)中、
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表す。
7:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
8、R9、R10、R11:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。)
一般式(11):
Figure 0005194444
(一般式(11)中、
X:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表す。
Y:−NR12−Z−NR13−又は直接結合を表す。
12、R13:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
Z:置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜8が好ましい。
P:下記一般式(12)で示される置換基、又は下記一般式(13)で示される置換基を表す。
Q:水酸基、アルコキシル基、前記一般式(9)で示される置換基、又は前記一般式(10)で示される置換基を表す。)
一般式(12):
Figure 0005194444
(一般式(12)中、
n2:1〜10の整数を表す。
14、R15:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR14、R15とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(13):
Figure 0005194444
(一般式(13)中、
16:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
17、R18、R19、R20:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。)
酸性又は中性の置換基としては、例えば、下記一般式(14)、一般式(15)、又は一般式(16)で示される置換基が挙げられる。
一般式(14)
Figure 0005194444
(一般式(14)中、
M:水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子を表す。
l:Mの価数を表す。)
一般式(15)
Figure 0005194444
(一般式(15)中、
21、R22、R23、R24:水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表す(但し、全てが水素原子である場合は除く)。)
一般式(16)
Figure 0005194444
(一般式(16)中、
A:水素原子、ハロゲン原子、−NO2、−NH2、又はSO3Hを表す。
1:1〜4の整数を表す。)
色素原型化合物とは、一般に知られている色素骨格を有する化合物、および可視光領域にほとんど吸収を有さない、色素骨格に類似の骨格を有する化合物を指す。
色素原型化合物残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素残基、アゾ系色素残基(例えば、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等)、フタロシアニン系色素残基、アントラキノン系色素残基(例えば、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等)、キナクリドン系色素残基、ジオキサジン系色素残基、ペリノン系色素残基、ペリレン系色素残基、チオインジゴ系色素残基、イソインドリン系色素残基、イソインドリノン系色素残基、キノフタロン系色素残基、スレン系色素残基、金属錯体系色素残基、アントラキノン残基、又はトリアジン残基などが挙げられる。
また、アントラキノン誘導体としては、上記塩基性、酸性、又は中性置換基を有するアントラキノンを用いることができる。また、トリアジン誘導体としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、若しくはハロゲン(例えば、塩素等);メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、若しくは水酸基等で置換されていてもよいフェニル基;又はメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、若しくは水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンに、上記塩基性、酸性、又は中性置換基を導入した誘導体を用いることができる。
前記顔料誘導体のうち特に好ましくは、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種を含むことである。塩基性を有する顔料誘導体を用いることにより、特に酸性基を有する分散樹脂との吸着性が著しく向上し、本発明のインクジェットインクが低粘度化するばかりでなく、吐出性の向上に繋がる。
[分散樹脂について]
本発明のインクジェットインクでは公知の分散樹脂を用いることが出来るが、好ましくは、以下に挙げられる分散樹脂を1種もしくは2種以上用いることである。
(a) リン酸基を含有する分散樹脂
(b) 一般式(3)で表されるポリエステル系分散樹脂
(c) 一般式(4)で表されるビニル系分散樹脂
(d) 分岐ウレタン系分散樹脂A
(e) 分岐ウレタン系分散樹脂B
(a) リン酸基を含有する分散樹脂
本発明のリン酸基を含有する分散樹脂は、分散樹脂中にリン酸基を1種もしくは2種以上有するものである限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
特に限定リン酸基は、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)、多価金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等)、アンモニア、又は有機アミン(例えば、エチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジステアリルアミン等)と塩を形成していてもよい。
リン酸基を有する樹脂に含まれるリン酸基は、例えば、式(17)で示される1価のリン酸基であることもできるし、式(18)で示される2価のリン酸基であることもできる。
Figure 0005194444
リン酸基を有する樹脂としては、下記一般式(2)で示されるモノマー(例えば、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、又はプロピレングリコールアクリレートホスフェート)を重合成分として含有するビニル系重合体が挙げられる。
一般式(2):
Figure 0005194444
(一般式(2)中、R1:水素又はメチル基を表す。
2:アルキレン基を表す。
m:1〜20の整数を表す。)
リン酸基を有するモノマーの具体例を以下に示すが、これに限るものではない。
これらのリン酸基を有するモノマーは、例えば、特公昭50−22536号公報、特開昭58−128393号公報に記載の方法で製造することができる。市販品としては、例えば、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(以上、ユニケミカル社製)、ライトエステルP−1M(共栄社化学社製)、JAMP−514(城北化学工業社製)、KAYAMER PM−2、KAYAMERPM−21(以上、日本化薬社製)等が挙げられる。
これらのリン酸基を有するモノマーは、単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体におけるリン酸基を有するモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜30重量部以下であることが好ましく、0.1〜5重量部以下であることが更に好ましい。
前記樹脂中には、更に水酸基及びカルボキシル基を含むことが好ましい。水酸基及びカルボキシル基がエステル化反応により緩やかに架橋するばかりでなく、メラミン化合物との架橋反応を引き起こすので、耐性が著しく向上する。水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂を得る方法としては、例えば水酸基を有するモノマー又はカルボキシル基を有するモノマーと、それ以外のアクリルモノマーとを共重合することにより得る方法が挙げられるが、その限りでない。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=2〜50)、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(カプロラクトンの繰り返し数=1〜6)、エポキシ(メタ)アクリレート、水酸基末端ウレタン(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、又はプロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレートなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、グルタコン酸、又はテトラヒドロフタル酸などが挙げられる。
また、顔料や顔料誘導体との吸着をより強固にするために、前記樹脂中に更に芳香環を含むことが好ましい。
芳香環を有するモノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノアクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、又はノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートなどが挙げられる。
また、下記一般式(19)又は一般式(20)で示されるモノマーも挙げられる。
Figure 0005194444
[一般式(19)及び一般式(20)中、R25及びR27は水素原子又はメチル基を表し、R26及びR28は炭素数1〜4のアルキレン基を表し、n3は1〜100の整数を表す]
前記一般式(19)又は一般式(20)で示されるモノマーとしては、例えば、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドエチレンオキサイド(ブロックタイプ)変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、又はプロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート等を挙げることができる。
前記の水酸基、カルボキシル基、及び/又は芳香環を含むモノマー以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類[例えば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等]、アミノ基含有アクリルモノマー[例えば、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、又は酢酸ビニル等が挙げられるが、その限りではない。また、アルキル基の水素原子の一部又は全部が複素環又はハロゲン原子などで置換されているアルキル(メタ)アクリレートなど、一般にアクリル樹脂の合成に用いられるモノマーを用いることもできる。
リン酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜50000であり、更に好ましくは2000〜30000である。
リン酸基を有する樹脂の合成は、重合開始剤の存在下、不活性ガス気流下、50〜150℃で2〜10時間かけて行われる。必要に応じて溶剤の存在下で行っても差し支えない。重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等)、又はアゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等)等が挙げられる。重合開始剤は、モノマー100重量部に対して好ましくは1〜20重量部使用される。
また、樹脂の合成時に用いられる溶剤としては、例えば、酢酸エステル系溶剤(例えば、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、ケトン系溶剤(例えば、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなど)、キシレン、又はエチルベンゼン等が挙げられる。
リン酸基を有する樹脂としては、市販の樹脂を用いることもできる。市販の樹脂としては、ビックケミー社製ディスパーBYK110、111、180、アビシア社製SOLSPERSE 26000、36600などが挙げられる。
(b) ポリエステル系分散樹脂
本発明で用いることのできる(b)ポリエステル系分散樹脂は、下記一般式(3)で表される構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。その製造方法は、例えば、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合して片末端に水酸基を有するポリエステルを製造する第一の工程と、該片末端に水酸基を有するポリエステルと、テトラカルボン酸二無水物を反応させる第二の工程とからなる方法であることが好ましい。
一般式(3):
(HOOC―)e―Ra1―(―COO―[―Ra3―COO―]f―Ra2g
(一般式(3)中、Ra1は4価のテトラカルボン酸化合物残基、
a2はモノアルコール残基、
a3はラクトン残基、
eは2または3の整数、fは1〜50の整数、gは(4−e)を表す。)
前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることのできるモノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であれば、特に限定されない。脂肪族モノアルコールとしては、例えば、好ましくは炭素原子数1〜30(より好ましくは炭素原子数1〜25)の直鎖状若しくは分岐状の置換若しくは非置換の飽和脂肪族モノアルコール、あるいは炭素原子数1〜30(より好ましくは炭素原子数1〜25)の置換若しくは非置換の飽和脂環式モノアルコールを挙げることができる。飽和脂肪族モノアルコール又は飽和脂環式モノアルコールの置換基としては、例えば、カルボキシル基を挙げることができる。
脂肪族モノアルコールを例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、又はオレイルアルコールなどを挙げることができる。脂環式モノアルコールとしては、例えば、シクロヘキサノールなどを挙げることができる。
脂肪族モノアルコールとしては、分岐脂肪族モノアルコールが好ましく、例えば、2−エチルヘキサノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、又は2−ヘキシルデカノールなどの炭素原子数8〜20のものが好ましい。
前記モノアルコールとしては、炭素原子数6〜30(より好ましくは炭素原子数6〜25)の置換若しくは非置換の芳香族モノアルコール、例えば、フェノール又はクミルフェノールを用いることもできる。また、炭素原子数1〜6の脂肪族基部分を有し、炭素原子数6〜10の芳香族基で置換された飽和脂肪族モノアルコール、例えば、ベンジルアルコールを用いることもできる。
更に、前記モノアルコールとして、片末端に水酸基を有するモノアルキレングリコールモノエーテル又は片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールモノエーテルを用いることもできる。これらのモノアルキレングリコールモノエーテル又はポリアルキレングリコールモノエーテルとしては、好ましくは、モノ若しくはポリエチレングリコール又はモノ若しくはポリプロピレングリコールの炭素原子数1〜8のアルキルモノエーテルを挙げることができ、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができる。
更に、前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることのできるモノアルコールとしては、エチレン性不飽和二重結合1つ又はそれ以上を有するモノアルコールを挙げることができる。前記エチレン性不飽和二重結合の例としては、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。これらは、1つの化合物中に異なる種類の二重結合を有する化合物であることができる。
前記のエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合1つ、2つ、又は3つ以上を有する不飽和モノアルコール化合物を用いることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が1つのモノアルコールとしては、(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜8のヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
エチレン性不飽和二重結合の数が2つのモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、又はグリセリンジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が3つのモノアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合の数が5つのモノアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを挙げることができる。
前記で例示した脂肪族モノアルコール、芳香族モノアルコール、及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールの水酸基を開始基として、アルキレンオキサイドを付加重合して得られるアルコール、すなわち、片末端をエーテル化又はエステル化したポリアルキレングリコールも、(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることができる。付加重合に用いるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、又は1,2−、1,4−、2,3−若しくは1,3−ブチレンオキサイド、あるいはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。アルキレンオキサイドの付加数は、一分子中、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは5〜100である。
アルキレンオキサイドの付加は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行うことができる。こうして得られる付加重合生成物の市販品としては、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、又は日本油脂社製ブレンマーシリーズなどがある。
具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、又は10APB−500Bなどがある。
前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることができるモノアルコールは、上記例示に限定されることなく、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用することもできる。
上記のモノアルコールのうち、例えば4−メチル−2−ペンタノール、イソペンタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、又は2−ヘキシルデカノールなどの分岐脂肪族モノアルコール、又は片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることで、結晶性が低下し、室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
前記モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合することによって、片末端に水酸基を有し、前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることができるポリエステルを得ることができる。前記開環重合に用いることができるラクトンは、好ましくは4員環〜10員環、より好ましくは5員環〜7員環のラクトンであり、環構成炭素原子は、置換されているかあるいは非置換であることができる。環構成炭素原子の置換基としては、炭素原子数1〜4のアルキル基を挙げることができる。また、環内にエチレン結合1つ又はそれ以上を含む不飽和ラクトン、又は芳香族化合物(例えば、ベンゼン)との縮合ラクトンも用いることができる。
好適なラクトンとして、具体的には、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを挙げることができ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。アルキル置換基としては、例えば、炭素原子数1〜4のアルキル基、特には、メチル基又はエチル基を挙げることができ、これらのアルキル置換基1つ又はそれ以上で置換されていることができる。
前記ラクトンは、上記例示に限定されることなく用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用することもできる。2種類以上を併用することで結晶性が低下し、室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
前記モノアルコールと前記ラクトンとの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管及びコンデンサを接続した反応器に、前記モノアルコール、前記ラクトン、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。前記モノアルコールとして低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。また、前記モノアルコールとしてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
前記モノアルコール1モルに対する前記ラクトンの付加モル数は、1〜50モル、好ましくは、3〜20モル、最も好ましくは4〜16モルである。付加モル数が、1モルより少ないと、分散剤としての効果を得ることができず、50モルより大きいと分散剤の分子量が大きくなりすぎ、分散性や流動性の低下を招く。
前記開環重合用の重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、又はベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又は安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、又はカリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、又は塩化亜鉛などの亜鉛化合物等を挙げることができる。触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppm以上となると、前記(b)ポリエステル系分散樹脂の着色が激しくなり、製品の安定性に悪影響を与える。逆に、触媒の使用量が0.1ppm以下では環状エステルの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
前記開環重合反応は、無溶剤で実施するか、又は適当な脱水有機溶媒を使用することもできる。前記開環重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのままインクジェット記録用インク組成物の一部として使用することもできる。
前記開環重合反応は、好ましくは100℃から220℃、より好ましくは110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、210℃を超えるとラクトンの付加反応以外の副反応、例えばラクトン付加体のラクトンモノマーへの分解、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールを使用する場合に使用される重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、又はフェノチアジン等が好ましく、これらを単独で用いるかあるいは併用することができ、使用量は、好ましくは0.01%〜6%、より好ましくは0.05%〜1.0%の範囲である。
本発明で用いる前記(b)ポリエステル系分散樹脂は、前記の第一の工程で得られた片末端に水酸基を有するポリエステルの水酸基と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる(第二の工程)ことにより得ることが好ましい。
第二の工程で使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、複素環式テトラカルボン酸二無水物、又は多環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
具体的には、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、あるいは、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、又はビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂環式テトラカルボン酸二無水物、あるいは2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、又は5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物などの複素環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
更に、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二酸無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、あるいは3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物などの多環式テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に、芳香族環2つ以上を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、特には、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、又は9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物が好ましい。
前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に用いることができるテトラカルボン酸二無水物は、上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物を二つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。更に、前記(b)ポリエステル系分散樹脂の製造に好適に用いることができるテトラカルボン酸二無水物は、顔料分散体の低粘度化の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、更に好ましくは芳香族環2つ以上(特には2〜4)を有するテトラカルボン酸二無水物である。
第二の工程での反応比率は、片末端に水酸基を有するポリエステルの水酸基のモル数〈H〉に対する、テトラカルボン酸無水物の無水環のモル数〈N〉の比率〔〈H〉/〈N〉〕が、好ましくは0.5<〈H〉/〈N〉<1.2、更に好ましくは0.7<〈H〉/〈N〉<1.1、最も好ましくは〈H〉/〈N〉=1である。〈H〉/〈N〉<1で反応させる場合は、残存する酸無水物を必要量の水で加水分解して使用してもよい。
第二の工程には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、3級アミン系化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等を挙げることができる。
第一の工程、第二の工程ともに無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
反応温度は80℃〜180℃、好ましくは、90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではハーフエステル化したものが、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。
前記一般式(3)において、fは好ましくは1〜30の整数、より好ましくは2〜20の整数である。前記一般式(3)において、eとfとの少なくとも一方が2以上である場合には、前記一般式(3)に存在する複数のRa3は、全てが同じ基であるか、複数種の基を含むことができる。
好ましくは、前記一般式(3)のRa1が下記式(27)〜(29)で示されるものである。
Figure 0005194444
(式中、Aは、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CH32−、−C(CF32−、式(30)または式(31)である。)
Figure 0005194444
また、好ましくは、前記一般式(3)のRa2が炭素原子数8〜20の脂肪族アルキル基、又は分子量200〜1500の末端エーテル若しくはエステルポリオキシアルキレン(アルキレン部分の炭素原子数が2〜4)基であり、R3がヘキサメチレン基、ペンタメチレン基、又はアルキル置換されたヘキサメチレン基であり、eは2又は3であり、fが3〜20の整数であり、そしてgが(4−e)である一般式(3)で表される樹脂型分散剤である。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、前記一般式(3)で表される(b)ポリエステル系分散樹脂1種又はそれ以上を含有していることができる。本発明のインクジェット記録用インク組成物において、前記一般式(3)で表される(b)ポリエステル系分散樹脂は、組成物全体の重量に対して、好ましくは0.02〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の量で含有されていることが好ましい。前記樹脂型分散剤の含有量が0.02重量%未満になるとインク組成物の粘度が低くならず、20重量%を超えると、インクの造膜性が低下することがある。
(c)ビニル系分散樹脂
本発明で用いることのできる前記(c)ビニル系分散樹脂は、ビニル重合体主鎖内に、一般式(4)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含む構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般に、顔料分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。前記一般式(4)で表されるカルボキシル基含有単位(G)において、一般式(4)で表されるY1は、芳香族環の環構成炭素原子に直接に結合するカルボキシル基2個又は3個を有しており、この芳香族環の環構成炭素原子に直接に結合する複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位となる。しかしながら、Y1がカルボキシル基1個をのみ有する場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂は、ビニル系重合体の1分子に対して一般式(4)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を平均0.3個以上3.0個以下含むことが重要である。更に好ましくは0.35個以上2.0個以下、最も好ましくは0.4個以上1.5個以下である。0.3個より少ない場合、顔料に吸着する部位が少なく、結果として分散能力が低下する。また、3.0個より多い場合、顔料に吸着する部位が多くなりすぎて、逆に分散性の低下を招く場合がある。
一般式(4)中で、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から、X1は、−COO−であることが好ましく、Rb2は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状プロピレン基、又は直鎖状若しくは分岐状ブチレン基)であることが好ましく、m1は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb3は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m2は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。特に、Y1は、一般式(5)で表される基であることが好ましく、更に好ましくは、一般式(5)中、A1〜A3の全てが−COOHであり、kが1であるか、A1〜A3のうちの1つが水素原子であり、他の2つが−COOHである組合せであり、kが1である場合である。また、Y1は、一般式(6)で表される基であることもでき、この場合、Rd1は、−COOCH2CH2OCO−、又は式(25)、式(26)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005194444
また、A5〜A7のうち1つは−COORd2(但し、Rdは、炭素原子数6〜10の直鎖又は分岐アルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであることが好ましい。
本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂としては、一般式(21):
Figure 0005194444
〔一般式(21)中、
Gは、請求項1に記載の一般式(4)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を示し、
29は、水素原子又はメチル基を示し、
30は、水素原子又はメチル基を示し、
31は、芳香族基、又は−CO−X7−R33(但し、X7は、−O−若しくは−NH−であり、R32は、水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、前記R32は、置換基として芳香族基を有していることができる)であり、
4は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−若しくは−CH2O−であり、
5は、式:
−(−Rb4−O−)m3−、
(式中、Rb4は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm3は1〜50の整数である)
で表される基であり、
6は、式:
−(−CO−Rb5−O−)m4
(式中、Rb5は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、そしてm4は0〜20の整数である)
で表される基であり、
一般式(21)中の前記カルボキシル基含有単位(G)、−X4−X5−X6−Hを含む水酸基含有単位(J)、及び−C(R5)(R6)−を含む主鎖構成単位(K)は、ランダム型又はブロック型で含まれていることができ、
一般式(21)中に含まれている前記カルボキシル基含有単位(G)、前記水酸基含有単位(J)、及び主鎖構成単位(K)は、それらが複数個で存在する場合は、相互に同一又は異なっていることができ、そして
p1、p2、及びp3は(c)ビニル系分散樹脂一分子あたりの各構成単位の平均個数を示し、p1は0.3以上3.0以下であり、p2は0以上180以下であり、p3は6以上250以下である〕
で表されるカルボキシル基含有単位(G)と、一般式(21j)
Figure 0005194444
〔一般式(21j)中、R4、X4、X5、及びX6は、前記と同じ意味である〕
で表される水酸基含有単位(J)と、一般式(21k):
Figure 0005194444
〔一般式(21k)中、R30及びR31は、前記と同じ意味である〕
で表される主鎖構成単位(K)との各構成単位からなるブロック共重合体又はランダム共重合体を挙げることができる。
従って、本発明で用いる好ましい前記(c)ビニル系分散樹脂は、前記一般式(21)又は一般式(21a):
−〔G〕p1−〔J〕p2−〔K〕p3− (21a)
で表される共重合体である。ここで、Gは、前記一般式(4)で表されるカルボキシル基含有単位であり、Jは、前記一般式(21j)で表される水酸基含有単位であり、Kは、前記一般式(21k)で表される主鎖構成単位であり、p1は0.3以上3.0以下(好ましくは0.35以上2.0以下、更に好ましくは0.4以上1.5以下)、p2は0以上180以下(好ましくは0.05以上50以下)、p3は6以上250以下(好ましくは10個以上100個以下)である。また、前記一般式(21a)において、カルボキシル基含有単位(G)と水酸基含有単位(J)と主鎖構成単位(K)とは、それぞれ、ブロック共重合形式又はランダム共重合形式で存在することができる。更に、前記カルボキシル基含有単位(G)、前記水酸基含有単位(J)、及び主鎖構成単位(K)は、前記一般式(4a)中に、それぞれ複数個で存在することができる。この場合は、それぞれの単位が相互に同一又は異なっていることができる。例えば、主鎖構成単位(K)が2種又はそれ以上の構造の構成単位を含んでいることができる。
前記一般式(21)又は一般式(21a)で表される本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂に含まれる水酸基含有単位(J)おいて、X4は−COO−であることが好ましく、Rb4は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基又は直鎖状若しくは分岐状のブチレン基)であることが好ましく、m3は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb5は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m4は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。
前記一般式(21)又は一般式(21a)で表される本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂は、前記主鎖構成単位(K)として、R30がメチル基であり、R31が−CO−O−CH2−Ar(但し、Arは芳香族基、特にはフェニル基である)である主鎖構成単位(K1)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K1)は、ビニル重合体一分子あたり平均で1以上100以下の量で有していることが好ましく、この態様の前記(c)ビニル系分散樹脂は、分散能力に優れる。
更に、前記一般式(21)又は一般式(21a)で表される本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂は、前記主鎖構成単位(K)として、R30がメチル基であり、R31が−CO−O−R32(但し、R32は炭素原子数2〜10の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である)である主鎖構成単位(K2)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K2)は、前記(c)ビニル系分散樹脂内において、前記主鎖構成単位(K1)と共存するのが、より好ましい。
更にまた、前記一般式(21)又は一般式(21a)で表される本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂は、前記主鎖構成単位(K)として、R5がメチル基であり、R6が芳香族基(特に、フェニル基)である主鎖構成単位(K3)を、それ単独で、あるいは前記主鎖構成単位(K1)及び/又は前記主鎖構成単位(K2)と併存させて含むことが好ましい。更に、前記主鎖構成単位(K)として、R5が水素原子であり、R6がカルボキシル基である主鎖構成単位(K4)を、前記主鎖構成単位(K1)、主鎖構成単位(K2)、及び/又は主鎖構成単位(K3)と併存させて含むこともできる。
前記主鎖構成単位(K1)と前記主鎖構成単位(K2)とを併存させる場合、それらの比率(K1/K2)は、例えば、0.01〜100、好ましくは0.1〜10であることができる。また、前記主鎖構成単位(K3)を前記主鎖構成単位(K1)及び/又は前記主鎖構成単位(K2)と併存させる場合、その比率〔K3/(K1+K2)〕は、例えば、0.01〜10、好ましくは0.05〜2であることができる。更に、前記主鎖構成単位(K4)を、それ以外の前記主鎖構成単位(K)と併存させる場合、その比率〔K4/K〕は、例えば、0〜0.1、好ましくは0〜0.01であることができる。
前記一般式(21)で示される(c)ビニル系分散樹脂の主鎖の末端は、公知のエチレン性不飽和単量体の重合方法、又は重合過程で考えられる構造、例えば、重合開始剤由来、連鎖移動剤由来、溶剤由来、又はエチレン性不飽和単量体由来の化学構造などを有してよい。
本発明で用いる(c)ビニル系分散樹脂では、一般式(21)においてR6がカルボキシル基(−COOH)である主鎖構成単位(K)を、主鎖構成単位(K)の少なくとも1部分として含むことができる。但し、カルボキシル基を有する主鎖構成単位(K)の含有量が多すぎると分散性能が低下することから、カルボキシル基含有主鎖構成単位(K)の量は、カルボキシル基含有単位(G)の個数の0倍〜4倍、更には0倍〜2倍の範囲であることが好ましい。
本発明で用いる(c)ビニル系分散樹脂の数平均分子量は、500以上20000以下であることが好ましく、更に好ましくは1000以上10000以下、最も好ましくは1500以上8000以下である。数平均分子量が500未満であっても、20000を超えても分散性、又は流動性の低下を招く場合がある。
本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂は、本発明で用いる製造方法によって調製することができる。後述する本発明で用いる製造方法によれば、前記(c)ビニル系分散樹脂だけでなく、前記(c)ビニル系分散樹脂を包含する広範な構造を有する(c)ビニル系分散樹脂を製造することができる。すなわち、後述する本発明で用いる製造方法において、特定の出発材料を選択することによって、本発明で用いる前記(c)ビニル系分散樹脂を調製することができる。
本発明で用いる(c)ビニル系分散樹脂の製造方法としては、以下の製造方法1〜3を挙げることができる。
製造方法1:
(A)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(B)該エチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合せしめる工程からなる。
製造方法2:
(C)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合する工程、
該共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を反応せしめる工程
からなる。
製造方法3:
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合しながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を同時に反応せしめる。
前記の製造方法で使用される水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明で用いる製造方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
トリカルボン酸無水物(M3)としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族トリカルボン酸無水物、又は多環式トリカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、本発明で用いる製造方法では、後述するテトラカルボン酸無水物(M4)において1分子あたりに酸無水物が2つ存在するテトラカルボン酸二無水物に対し、1分子のうちの1個の酸無水物を炭素原子数1〜18のアルコールあるいは炭素原子数5〜18のシクロアルコール(例えばメタノール、エタノール、直鎖状若しくは分岐状のプロパノール、直鎖状若しくは分岐状のブタノール、直鎖状若しくは分岐状のペンタノール若しくはシクロペンタノール、直鎖状若しくは分岐状のヘキサノール若しくはシクロヘキサノール、直鎖状若しくは分岐状のヘプタノール若しくはシクロヘプタノール、直鎖状若しくは分岐状のオクタノール若しくはシクロオクタノール、直鎖状若しくは分岐状のノナノール若しくはシクロノナノール、直鎖状若しくは分岐状のデカノール若しくはシクロデカノール、直鎖状若しくは分岐状のドデカノール若しくはシクロドデカノール、直鎖状若しくは分岐状のミリスチルアルコール若しくはシクロミリスチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のセチルアルコール若しくはシクロセチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のステアリルアルコール若しくはシクロステアリルアルコールなどが挙げられる)で開環したテトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物も、本発明で用いる製造方法において、トリカルボン酸無水物(M3)として用いることができる。本明細書では、脂肪族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、芳香族トリカルボン酸無水物、多環式テトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物は、多環式トリカルボン酸無水物として説明する。これらテトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物の具体例は、後述するテトラカルボン酸無水物から当業者には自明である。
テトラカルボン酸無水物(M4)としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸無水物、又は多環式テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物などを挙げることができる。
なおテトラカルボン酸無水物は、一無水物でも二無水物でもどちらでもよい。
上記のうち、芳香族トリカルボン酸無水物、又は芳香族テトラカルボン酸無水物を用いるのが好ましく、更に好ましくはトリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物が好ましく、更に好ましくはトリメリット酸無水物である。
本発明で用いる製造方法1について更に詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法1では、まず水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)とを反応せしめる工程(c)−Aを行う。この工程(c)−Aは、単量体が熱重合してしまわないように、乾燥空気を反応装置内に流しながら、重合禁止剤を添加して、80℃〜150℃で行うのが好ましい。より好ましくは90℃〜130℃である。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
工程(c)−Aで水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/トリカルボン酸無水物(M3)のモル数」が0.8以上10以下であることが好ましい。より好ましくは0.9以上5以下、更に好ましくは0.95以上2以下である。0.8未満であると、トリカルボン酸無水物(M3)が残存するため好ましくない。10を超えると、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が大量に残り、後の工程(c)−Bで共重合できる他のエチレン性不飽和単量体の量が減り好ましくない。
工程(c)−Aで水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸無水物(M4)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/テトラカルボン酸無水物(M4)のモル数」が0.9以上1.1以下であることが好ましい。より好ましくは1である。0.9未満であると、テトラカルボン酸無水物(M4)が多く残存するため好ましくない。1.1を超えると1つのテトラカルボン酸無水物(M4)に2つ水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が付加した化合物が多くでき、工程(c)−Bでゲル化する場合があり好ましくない。
工程(c)−Aでは触媒を用いてもかまわない。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
更に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸無水物(M4)を上記比率で反応させた後、この時点で残存する酸無水物を水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させ(工程(c)−Aa)、不要なテトラカルボン酸無水物(M4)の除去を容易にすることができる。
続いて、製造方法1では、工程(c)−Aで合成したエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合せしめる工程(c)−Bを行う。
工程Aで用いる他のエチレン性不飽和単量体としては、芳香族基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)(工程(c)−Aで残存したものを含む)から選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
非置換のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のブチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘプチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のノニル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のデシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のドデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のミリスチル(メタ)アクリレート、シクロミリスチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のセチル(メタ)アクリレート、シクロセチル(メタ)アクリレート、及び直鎖状若しくは分岐状のステアリル(メタ)アクリレート、又はシクロステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
非置換のN−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−プロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ブチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロペンチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘプチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ノニル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−デシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロドデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロミリスチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−セチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロセチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ステアリル(メタ)アクリルアミド、又はN−シクロステアリル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、N−ベンジル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
工程(c)−Bでは、反応容器を窒素置換しながら重合開始剤を用い、50℃〜150℃で重合するのが好ましい。重合開始剤としては、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらのうちアゾ化合物が使用されるのが好ましい。重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部使用される。
工程(c)−Bでは連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、α−メチルスチレン二量体が挙げられる。
工程(c)−Bでは、溶剤を使用することが好ましい。溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;キシレン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類などを用いることができる。
工程(c)−Aの後で、工程(c)−Aaを行っていない場合、工程(c)−Bの後に残存する酸無水物を水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程(c)−Bb)。工程(c)−Aa、若しくは工程(c)−Bbでは、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水又は炭素原子数1〜18のアルコールのモル数は、0.9倍以上5倍以下(好ましくは1倍以上2倍以下)であることが好ましい。0.9倍未満では反応性の高い無水環が多く残り、5倍を超えると水又は炭素原子数1〜18のアルコールが多く残存し、どちらにしても、インクや塗料へ用途展開した場合、問題となる場合がある。但し、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水又は炭素原子数1〜18のアルコールを1倍を超えて反応させた場合は、反応後残存する水又は炭素原子数1〜18のアルコールを加熱、又は減圧して取り除くことができる。反応工程(c)−Aa、若しくは工程(c)−Bbは80〜150℃で行うことが好ましい。
次に、本発明で用いる製造方法2について詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法2では、まず、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合する工程(c)−Cを行う。他のエチレン性不飽和単量体としては、製造方法1の工程(c)−Bで例示した芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、及びスチレンから選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と他のエチレン性不飽和単量体との共重合比は、重合後の一分子に平均で少なくとも0.3個以上177個以下の水酸基が入るように決められる。
工程(c)−Cでの、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程(c)−Bと同様であることが好ましい。
続いて、製造方法2では、工程(c)−Cで得られた共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させる工程(c)−Dを行う。工程(c)−Dでは、窒素又は乾燥空気を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましい。ここで、製造方法1の工程(c)−Aで例示した触媒を用いることもできる。
製造方法2の工程(c)−Dでは、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)のうち、トリカルボン酸無水物(M3)が使用されるのが好ましい。テトラカルボン酸無水物(M4)を使用するとゲル化する場合がある。テトラカルボン酸無水物(M4)を使用した場合で、無水環が残存する場合は製造方法1の工程(c)−Bbと同じ方法により、水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程(c)−Dd)。
次に、本発明で用いる製造方法3について詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法3では、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合しながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を同時に反応せしめる。反応は、窒素を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましく、水酸基と酸無水物の反応の触媒としては製造方法1の工程(c)−Aに示したもの、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程(c)−Bで示したものが好ましい。
製造方法3で用いる他のエチレン性不飽和単量体とは、製造方法2の工程(c)−Cで用いる化合物と同じものを示す。製造方法3の場合、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)のうちトリカルボン酸無水物(M3)が使用されるのが好ましい。特に、テトラカルボン酸ジ無水物を使用するとゲル化する場合がある。テトラカルボン酸ジ無水物を使用した場合で、無水環が残存する場合は製造方法1の工程(c)−Bbと同じ方法により、水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程(c)−Ee)。
これら製造方法1〜3により、本発明で用いるビニル系分散剤を製造することができる。このうち、製造方法2が分散剤一分子中のカルボキシル基含有単位(G)の個数を制御するのが容易である点で好ましい。製造方法2の工程(c)−Cで得られた共重合物の数平均分子量を予め測ることができ、その値に合わせてトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させる量を決定できる。例えば、製造方法2で(c)ビニル系分散樹脂を製造するには、工程(c)−Cで得られた共重合物の数平均分子量を測定し、その測定値が[X]であった場合、樹脂[X]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させればよい。
製造方法1又は3により、本発明で用いる(c)ビニル系分散樹脂を製造する場合は、最終的に得られるビニル系分散剤の数平均分子量[Y]と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)の仕込みモル数とから逆算して、結果としてビニル系分散剤が[Y]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)が反応させられていればよい。
本発明で用いる製造方法で(c)ビニル系分散樹脂を製造する場合、使用されるトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)として選択されるのは、芳香族トリカルボン酸無水物又は芳香族テトラカルボン酸無水物である。このうち、好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物であり、更にはトリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物が好ましく、最も好ましくはトリメリット酸無水物である。
製造方法1〜3のどの方法においても(c)ビニル系分散樹脂を製造する場合、他のエチレン性不飽和単量体として、分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートと、ベンジル(メタ)アクリレートと、必要に応じ水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とが共重合されるのが好ましい。更に、ビニル系分散剤の一分子中に分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートが1〜50個、ベンジル(メタ)アクリレートが1〜50個共重合されるのが好ましい。
また、本発明で用いる(c)ビニル系分散樹脂には、これまで例示した以外の種々のエチレン性不飽和単量体も分散性を妨げない範囲で共重合させることが可能であり、例えば、イソシアナト基、ブロックイソシアナト基、アルコキシシリル基、3〜5員環の環状エーテル基などの熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体や、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。但し、カルボキシル基を有する単量体、例えばメタクリル酸やアクリル酸は、製造方法1〜3のどの方法においてもビニル系分散剤に存在するトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸無水物(M4)のモル数の0〜4倍、更には0〜2倍の使用範囲であることが分散性の観点(低粘度化、保存安定性)から好ましい。
列挙した前記出発材料から適宜選択した出発材料を用いることによって、本発明で用いる前記製造方法により、前記(c)ビニル系分散樹脂を調製することができる。
前記ビニル系分散剤と顔料を用いて、本発明の顔料組成物が得られる。ここで、(c)ビニル系分散樹脂を使用することにより分散性、流動性、及び保存安定性に優れた顔料組成物となる。
(d)分岐ウレタン系分散樹脂A(櫛形ウレタン系分散剤)
まず、本発明の(d)分岐ウレタン系分散樹脂Aの原料となるイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)について説明する。
ポリイソシアネート(d−a)としては、分子中に3つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されることなく、例えば、芳香族ポリイソシアネ−ト、脂肪族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(d−a)は、下記に示すジイソシアネートのトリメチロ−ルプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレ−ト環を有する3量体であることが好ましい。
ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネ−ト、脂肪族ジイソシアネ−ト、芳香脂肪族ジイソシアネ−ト、脂環族ジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネ−トとしては、例えば1,3−フェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、1,4−フェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−トルイジンジイソシアネ−ト、2,4,6−トリイソシアネ−トトルエン、1,3,5−トリイソシアネ−トベンゼン、ジアニシジンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネ−トの等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネ−トとしては、例えばトリメチレンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネ−ト、2,3−ブチレンジイソシアネ−ト、1,3−ブチレンジイソシアネ−ト、ドデカメチレンジイソシアネ−ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネ−トとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネ−ト−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネ−ト−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネ−ト−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネ−トとしては、例えば3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネート)、1,3−シクロペンタンジイソシアネ−ト、1,3−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
上記のうち顔料分散後の粘度を考慮すると、脂肪族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−トが好ましく、さらには脂環族ポリイソシアネ−ト、特にイソホロンジイソシアネートの3量体が好ましい。
本発明では、(d)分岐ウレタン系分散樹脂Aの不揮発成分中における、ポリイソシアネート(d−a)由来の割合が、25重量%〜60重量%であることを特徴としている。25重量%未満では充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪く、60重量%を越えると、顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する。
次に、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aの原料となるモノアルコール化合物(d−b)について説明する。
モノアルコール化合物(d−b)としては、分子中に1つの水酸基を有する化合物であれば、特に限定されることなく、例えば、脂肪族モノアルコール、芳香脂肪族モノアルコール、脂環族モノアルコール等が挙げられる。
本発明で用いられる脂肪族モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、ノナノール、デカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の直鎖または分岐脂肪族アルコール、が挙げられる。芳香脂肪族モノアルコールとしては、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、フェネチルアルコール、が挙げられる。脂環族モノアルコールとしては、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、トリシクロデカンメタノール、が挙げられる。
さらに、本発明で用いられるモノアルコール化合物(d−b)としては、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)であるのが好ましい。
水酸基を1つ有するラクトン樹脂(d−b1)としては、開始モノアルコール(d−b5)に、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、およびエナントラクトンから選ばれる1つのモノマーを重合した単独重合体、または、これらから選ばれる2種以上のモノマーを共重合した共重合体、または、これら単独重合体と共重合体とから選ばれる2種以上の重合体の混合物、が挙げられる。
開始モノアルコール(d−b5)としては、ラクトン樹脂(d−b1)の末端となり、ラクトン樹脂の開始剤的な作用をする、分子中に1つの水酸基を有する化合物であれば、特に限定されることなく、例えば、脂肪族モノアルコール、芳香脂肪族モノアルコール、脂環族モノアルコール等が挙げられる。
脂肪族モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、ノナノール、デカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の直鎖または分岐脂肪族アルコール、が挙げられる。芳香脂肪族モノアルコールとしては、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、フェネチルアルコール、が挙げられる。脂環族モノアルコールとしては、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、トリシクロデカンメタノール、が挙げられる。
さらに、開始モノアルコール(d−b5)としては、水酸基を1つ有する、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)であってもよい。
水酸基を1つ有するオキシアルキレン樹脂(d−b2)としては、分子内に水酸基を1つ有し、かつ下記一般式(22)で表される繰り返し単位を2個以上有するセグメントを有するものであれば、特に限定されない。
Figure 0005194444
式(22)中、n4は1以上の整数を表し、R1n、R2nはn番目の置換基であって、水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基からなる群より選択される1種以上を組み合わせて得られる置換基を表す。
水酸基を1つ有するアクリル樹脂(d−b3)としては、分子内に1つの水酸基を有するアクリル樹脂であれば、特に限定されない。例えば、分子中に1つ以上のチオール基と1つの水酸基を有する化合物を重合開始剤として、エチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるものや、リビング重合法により合成される分子内に水酸基を1つ導入したアクリル樹脂が挙げられる。エチレン性不飽和モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物が使用される。アクリル樹脂(d−b3)の市販品としては、UMM−1001、UME−1001、UMB−1001(綜研化学株式会社製)が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーとしては、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸エステルであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
又、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。アミド基含有単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
又、架橋性基を有するエチレン性不飽和モノマーも用いることができ、架橋性基としてはエポキシ基、アルコキシシリル基、アセトアセチル基等が挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有モノマーとしては、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリピロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上に例示したエチレン性不飽和モノマーは、併用することができ、使用する目的に応じて種類、併用する割合の制限はない。
本発明においては、アクリル樹脂(d−b3)が、ベンジル(メタ)アクリレートを20重量%〜70重量%含むモノマーを重合して得られるものが好ましい。20重量%未満では充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪くなる場合があり、70重量%を越えると、顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する場合がある。
水酸基を1つ有するシロキサン樹脂(d−b4)としては、分子内に水酸基を1つ有するシロキサン樹脂であれば、特に限定されない。例えば、市販品としては、FM−0411、FM−0421、FM−0425(チッソ株式会社製)などが挙げられる。
次に、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aの原料となる、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)について説明する。化合物(d−c)を用いることで、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aに酸性基を導入することができる。
1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)としては、特に限定されることなく、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸[ジメチロールブタン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸[ジメチロールプロピオン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、酒石酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、ホモゲンチジン酸等が挙げられる。好適には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸[ジメチロールブタン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸[ジメチロールプロピオン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸が用いられる。中でも、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
また、有機合成により得られる酸性基含有ポリオールを用いてもよい。例えば、酸無水物と多官能アルコールの反応から得られる酸性基含有ポリオールである。
酸無水物としては、分子内に1個の酸無水物基を有する化合物と分子内に2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いることができる。これらは単独でも併用でもよい。
分子内に1個の酸無水物基を有する化合物としては、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族環状酸無水物、無水フタル酸、イサト酸無水物、ジフェン酸無水物などの芳香族環状酸無水物、これらに飽和または不飽和脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、ヘテロ環基などを結合せしめた誘導体などを使用することができる。
分子内に2個以上の酸無水物基を有する化合物としては、テトラカルボン酸二無水物、ヘキサカルボン酸三無水物、ヘキサカルボン酸二無水物、無水マレイン酸共重合樹脂などの多価カルボン酸無水物類を使用することができる。
さらに詳しく例示すると、テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸無水物、又は多環式テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物などを挙げることができる。
多官能アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール類、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族基を含むグリコール類、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類を使用できる。
さらに、多官能アルコールとしては、3個以上のヒドロキシ基を有する多官能アルコー
ルから導かれる単位を含有していてもよく、たとえばグリセリン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどを使用できる。
また、これらの多官能アルコールを2種以上併用することもできる。
本発明では、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基を有する化合物(d−c)を単独、または併用で使用できる。
次に、本発明の分岐系分散樹脂Aの原料となる、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)について説明する。
1〜30個以下の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)としては、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂であれば、特に限定されない。例えば、分子中に1つ以上のチオール基と1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基とを有する化合物を重合開始剤として、エチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるものや、リビング重合法により合成される分子内に水酸基を2つ導入したアクリル樹脂が挙げられる。エチレン性不飽和モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するものが使用される。アクリル樹脂(d−d)の市販品としては、UT−1001(綜研化学株式会社製)が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーとしては、前述したアクリル樹脂(d−b3)で例示したモノマーを使用することができる。これらは、併用することができ、使用する目的に応じて種類、併用する割合の制限はない。
本発明では、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)を使用することを特徴としている。水酸基の間に挟まれる原子が30個より大きくなると、分散安定化に寄与するアクリル樹脂(d−d)およびシロキサン樹脂(d−e)が、ウレタン樹脂の主鎖中にも多く導入されることになり、充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性が低下する。ただし、モノアルコール(d−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を使用した場合はこの限りではなく、アクリル樹脂(d−d)およびシロキサン樹脂(d−e)を使用しなくてもよい。
上述した、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)や、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)は、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート化合物(d−a)とモノアルコール(d−b)との反応生成物に反応させるが、この反応の際、以下に示すポリオール化合物と併用してもかまわない。
上記ポリオール化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトンジオール、トリメチロールエタン、ポリトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール類;
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリエーテルポリオール類;
該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール類;
カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等のポリオールが挙げられる。
また、イソシアネート基と反応しうる官能基を2つ以上有する化合物、例えば少なくとも2個の一級または二級アミノ基を有するポリアミンを併用することもできる。
さらに本発明は、モノアルコール(d−b)が、1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(d−b6)を含むことを特徴とする。1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(d−b6)を使用することで、エチレン性不飽和基を導入した分岐ウレタン系分散樹脂Aを得ることができる。
1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(d−b6)としては、分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物であれば、特に限定されることなく、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに本発明は、モノアルコール(d−b)が、熱硬化性部位を含有するモノアルコール(d−b7)を含むことを特徴とする。熱硬化性部位を含有するモノアルコール(d−b7)を使用することで、熱硬化性部位を導入した分岐ウレタン系分散樹脂Aを得ることができる。
熱硬化性官能基を有するモノアルコール(d−b7)としては、1つ以上の熱硬化性官能基と1つの水酸基を有する化合物であれば、特に限定されることはない。熱硬化性官能基としては、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、シクロカーボネート基、ブロックイソシアネート基、ベンゾオキサジン基、酸無水物基、α、β−不飽和カルボニル基などのマイケル付加反応が利用できる官能基、環状三量化が可能なアセチレン化合物、1,3−ブタジエンやエチレンなどのディールスアルダー反応が利用できる官能基、アルコキシシリル基、メラミン化合物が有するアミノ基やメチロール基などが挙げられる。中でも、オキセタン基やシクロカーボネート基が好ましい。特に、オキセタンアルコール、グリセリンシクロカーボネートが好適である。
本発明の分岐系分散樹脂Aの製造に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としては、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテ−ト、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテ−ト、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネ−ト、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネ−トなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらは単独使用、もしくは併用することもできる。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aはこれまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題から溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル等が挙げられる。
本発明の分岐ウレタン系樹脂分散剤Aを得る反応の温度は40〜140℃が好ましい。更に好ましくは50〜120℃である。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aの製造方法を下記に示す。
1つ目の方法としては、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(d−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基を有する化合物(d−c)と、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)とを、水酸基過剰となる条件で重合することで得ることができる。
2つ目の方法としては、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(d−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基を有する化合物(d−c)と、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)とを、水酸基過剰となる条件で重合し、さらにモノアルコール(d−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を使用することで得ることができる。
3つ目の方法としては、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)を含むポリオール化合物を、水酸基過剰となる条件で重合することで得ることができるが、モノアルコール(d−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂である必要がある。
(d−a)と(d−b)との反応させる第1工程、第1工程の反応物とポリオール化合物とを反応させる第2工程は、ともにイソシアネート基と水酸基との反応であり、公知のウレタン化技術が使用できる。イソシアネート(NCO)基と水酸(OH)基とのモル比を調整することにより、末端イソシアネート化合物を得ることができる(第1工程)。この末端イソシアネート化合物と、ポリオール化合物との反応(第2工程)により本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aが製造される。
上記製造方法の第1工程で、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(d−b)とを、NCO/OH=3/2のモル比より低い比率で反応させた場合、次の反応で利用するイソシアネート基が少なくなり、目的とする分岐ウレタン系分散樹脂Aを得ることができない。また、NCO/OH=3/0.5のモル比より高い比率で反応させた場合、次の反応でゲル化を起こしたり、分子量の高い樹脂が生成したりする。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aの酸価は、10〜100であることが好ましく、20〜90であることがさらに好ましく、30〜80であることが特に好ましい。酸価が10より小さい場合は、充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪くなる場合があり、また100を超える場合は顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する場合がある。
また、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Aの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算値)は、1000〜100000であることが好ましく、1000〜50000であることがさらに好ましく、1000〜30000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1000より小さい場合は、充分な立体反発効果が保てないため顔料分散性が悪くなる場合があり、また100000を超える場合は顔料の粒子間架橋などにより顔料分散性は低下する場合がある。
前記分岐ウレタン系分散樹脂Aと顔料とを用いて、本発明の顔料組成物が得られる。ここで、分岐ウレタン系分散樹脂Aを使用することにより分散性、流動性、及び保存安定性に優れた顔料組成物となる。
(e)分岐ウレタン系分散樹脂B(櫛形ウレタン系分散剤)
まず、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの原料となるイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)についてであるが、分岐ウレタン系分散樹脂Aで用いられるポリイソシアネート(d−a)と同様のものを用いることが出来る。
本発明では、分岐ウレタン系分散樹脂Bの不揮発成分中における、ポリイソシアネート(e−a)由来の割合が、25重量%〜60重量%であることを特徴としている。25重量%未満では充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪く、60重量%を越えると、顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する。
次に、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの原料となるモノアルコール化合物(e−b)および1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(e−d)についてであるが、分岐ウレタン系分散樹脂Aで用いられるポリイソシアネート(d−b)およびアクリル樹脂(d−d)と同様のものを用いることが出来る。
次に、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの原料となる、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するシロキサン樹脂(e−e)について説明する。
1〜30個以下の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するシロキサン樹脂(e−e)としては、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するシロキサン樹脂であれば、特に限定されない。例えば、市販品としては、FM−DA11、FM−DA21、FM−DA26(チッソ株式会社)が挙げられる。
本発明では、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)を使用することを特徴としている。水酸基の間に挟まれる原子が30個より大きくなると、分散安定化に寄与するアクリル樹脂(e−d)およびシロキサン樹脂(e−e)が、ウレタン樹脂の主鎖中にも多く導入されることになり、充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性が低下する。ただし、モノアルコール(e−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を使用した場合はこの限りではなく、アクリル樹脂(e−d)およびシロキサン樹脂(e−e)を使用しなくてもよい。この場合、アクリル樹脂(e−d)およびシロキサン樹脂(e−e)の換わりにポリオール化合物(d−f)を使用することになる。
上述した、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)は、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート化合物(a)とモノアルコール(b)との反応生成物に反応させるが、この反応の際、ポリオール化合物と併用してもかまわない。このポリオール化合物としては、上記ポリオール化合物(d−f)を使用することができる。
上記ポリオール化合物(e−f)としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトンジオール、トリメチロールエタン、ポリトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール類;
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸[ジメチロールブタン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸[ジメチロールプロピオン酸]、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、酒石酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、ホモゲンチジン酸等の酸性基含有低分子多価アルコール類;
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリエーテルポリオール類;
該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール類;
カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール等のポリオールが挙げられる。
また、イソシアネート基と反応しうる官能基を2つ以上有する化合物、例えば少なくとも2個の一級または二級アミノ基を有するポリアミンを併用することもできる。
次に、酸無水物基を有する化合物(e−g)としては、分子内に1個の酸無水物基を有する化合物と分子内に2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いることができる。これらは単独でも併用でもよい。
分子内に1個の酸無水物基を有する化合物としては、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族環状酸無水物、無水フタル酸、イサト酸無水物、ジフェン酸無水物、無水トリメリット酸などの芳香族環状酸無水物、これらに飽和または不飽和脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン基、ヘテロ環基などを結合せしめた誘導体などを使用することができる。
分子内に2個以上の酸無水物基を有する化合物としては、テトラカルボン酸二無水物、ヘキサカルボン酸三無水物、ヘキサカルボン酸二無水物、無水マレイン酸共重合樹脂などの多価カルボン酸無水物類を使用することができる。
さらに詳しく例示すると、テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸無水物、又は多環式テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物などを挙げることができる。
これらは、併用することができ、使用する目的に応じて種類、併用する割合の制限はない。本発明では、芳香族系酸無水物が好ましく、さらに無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸がより好ましい。
さらに本発明は、モノアルコール(e−b)が、1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(e−b6)を含むことを特徴とする。1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(e−b6)を使用することで、エチレン性不飽和基を導入した分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができる。
1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート(e−b6)の具体例としては、分岐ウレタン系分散樹脂Aで用いることの出来る(メタ)アクリレート(d−b6)と同様のものが挙げられるが、これらに限定されることはない。
さらに本発明は、モノアルコール(e−b)が、熱硬化性部位を含有するモノアルコール(e−b7)を含むことを特徴とする。熱硬化性部位を含有するモノアルコール(e−b7)を使用することで、熱硬化性部位を導入した分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができる。
熱硬化性官能基を有するモノアルコール(e−b7)としては、分岐ウレタン系分散樹脂Aで用いた熱硬化性官能基を有するモノアルコール(e−b7)と同様のものを用いることが出来る。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの製造に用いられる触媒としては、分岐ウレタン系分散樹脂Aの製造と同様、公知の触媒を使用することができる。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bはこれまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題から溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、分岐ウレタン系分散樹脂Aの製造と同様、公知のものを使用できる。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bを得る反応の温度は40〜140℃が好ましい。更に好ましくは50〜120℃である。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの製造方法を下記に示す。
1つ目の方法としては、まず、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(e−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)を、水酸基過剰となる条件で重合させて末端水酸基化合物を得る。
次に、上記末端水酸基化合物中の水酸基に対して、酸無水物基を有する化合物(e−g)中の酸無水物基を反応させることで分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができる。
2つ目の方法としては、まず、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(e−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有するアクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)を、水酸基過剰となる条件で重合し、さらにモノアルコール(e−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を使用することで末端水酸基化合物を得る。
次に、上記末端水酸基化合物中の水酸基に対して、酸無水物基を有する化合物(e−g)中の酸無水物基を反応させることで分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができる。
3つ目の方法としては、まず、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(e−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させて末端イソシアネート化合物とした後、
前記末端イソシアネート化合物に対して、ポリオール化合物(e−f)を、水酸基過剰となる条件で重合させて末端水酸基化合物を得る。
次に、上記末端水酸基化合物中の水酸基に対して、酸無水物基を有する化合物(e−g)中の酸無水物基を反応させることで分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができるが、モノアルコール(e−b)として、水酸基を1つ有する、ラクトン樹脂(d−b1)、オキシアルキレン樹脂(d−b2)、アクリル樹脂(d−b3)、およびシロキサン樹脂(d−b4)の群から選ばれる少なくとも1つの樹脂である必要がある。
(e−a)と(e−b)との反応させる第1工程、第1工程の反応物とポリオール化合物とを反応させる第2工程は、ともにイソシアネート基と水酸基との反応であり、公知のウレタン化技術が使用できる。イソシアネート(NCO)基と水酸(OH)基とのモル比を調整することにより、末端イソシアネート化合物を得ることができる(第1工程)。この末端イソシアネート化合物と、ポリオール化合物との反応により、末端水酸基化合物を得ることができる(第2工程)。さらに第3工程は、水酸基と酸無水物基との反応であり、公知のエステル化技術が使用できる。水酸基と酸無水物基とのモル比を調整することにより、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bが製造される。
上記製造方法の第1工程で、イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(b)とを、NCO/OH=3/2のモル比より低い比率で反応させた場合、次の反応で利用するイソシアネート基が少なくなり、目的とする分岐ウレタン系分散樹脂Bを得ることができない。また、NCO/OH=3/0.5のモル比より高い比率で反応させた場合、次の反応でゲル化を起こしたり、分子量の高い樹脂が生成したりする。
本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの酸価は、10〜100であることが好ましく、20〜90であることがさらに好ましく、30〜80であることが特に好ましい。酸価が10より小さい場合は、充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪くなる場合があり、また100を超える場合は顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する場合がある。
また、本発明の分岐ウレタン系分散樹脂Bの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算値)は、1000〜100000であることが好ましく、1000〜50000であることがさらに好ましく、1000〜50000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1000より小さい場合は、充分な立体反発効果が保てないため顔料分散性が悪くなる場合があり、また100000を超える場合は顔料の粒子間架橋などにより顔料分散性は低下する場合がある。
前記分岐ウレタン系分散樹脂Bと顔料とを用いて、本発明の顔料組成物が得られる。ここで、分岐ウレタン系分散樹脂Bを使用することにより分散性、流動性、及び保存安定性に優れた顔料組成物となる。
本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルタを製造する場合には、カラーフィルタに透明性が要求されるため、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、本発明のインクジェットインクを構成する分散樹脂の透過率が80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
[D]熱反応性化合物
本発明のインクジェットインクは、熱反応性化合物を含有している。本発明のインクジェットインクに用いることのできる前記熱反応性化合物は、常温下では非反応性であるが、例えば、100℃以上(好ましくは150℃以上)の温度で、架橋反応、重合反応、重縮合反応、又は重付加反応を示す化合物である。本発明のインク組成物に用いることのできる前記熱反応性化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜2000、より好ましくは100〜1000である。
前記熱反応性化合物としては、例えば、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、又はシランカップリング剤を用いることができる。
メラミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、及び/又はアルコキシメチル基を有するものが挙げられ、特にアルコキシメチル基のみを含有するメラミン化合物が好ましい。アルコキシメチル基含有メラミン化合物の具体例としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、又はヘキサブトキシメチロールメラミン等を挙げることができるが必ずしもこれらに限定されるものではない。
メラミン化合物の市販品の具体例としては、以下のものを挙げることができる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、238、マイコート506、508。
ベンゾグアナミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基を有するものが挙げられ、特にアルコキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物が好ましい。ベンゾグアナミン化合物の市販品の具体例としては、三和ケミカル社製ニカラックBX−4000、SB−401、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123などを挙げることができる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルo−フタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオールのグリシジルエーテル、ポリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させたノボラック型フェノール化合物、塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール化合物どちらも用いることができる。フェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等を挙げることができる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを挙げることができる。フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
ブロック化イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト型、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)及びイソシアネート残基を有するウレトジオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
ブロック剤としては、例えば、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、又は活性メチレン(100〜120℃)等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
アクリレートモノマーを用いる場合には、更に硬化性を向上させる目的で、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、加熱時に硬化性を向上させる目的で熱重合開始剤を用いてもよい。熱重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等を挙げることができる。
これらの熱反応性化合物のうち、メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物、本発明のインク組成物中に1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。また、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、又はアクリレートモノマー類などについては本発明のインク組成物中に1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。また、シランカップリング剤は本発明のインク組成物中に0.1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。含有量が不足すると、耐熱性、又は耐薬品性に劣る場合がある。また、含有量が40%より多くなると、粘度の増加、又は保存安定性の低下が生じる場合がある。
[F]顔料の被覆処理
顔料の被覆処理は、前記顔料、前記一般式(1)で表される樹脂型分散剤、前記有機溶剤、前記顔料誘導体、及び前記バインダー樹脂等が均一になるように予め混合してから、分散機を用いて混練することにより行うことができる。溶剤の配合量は、混合物の機械特性に応じて調節することが好ましい。顔料の被覆処理に用いる分散機としては、ニーダー、ロールミル、ボールミル、バンバリーミキサー、ローラーミル、石臼式ミル等が挙げられるが、2本ロールミルは一つの装置で混合及び混練ができるので好ましい。
顔料を被覆処理する際の原料の配合量は、顔料100重量部に対して、顔料誘導体1〜30重量部、前記樹脂型分散剤及び前記バインダー樹脂(以下、樹脂成分)20〜200重量部、及び溶剤4〜200重量部の範囲であることが好ましい。顔料誘導体の配合量が1重量部未満の場合は、アンカー効果が少ないためインクを低粘度化させる効果が小さく、30重量部を越える場合は、顔料誘導体が過剰となり未吸着の顔料誘導体同士が凝集するためインクが増粘する。また、樹脂成分の配合量が20重量部未満の場合は、充分に顔料表面を被覆できず、顔料の分散安定性が低くなり、200重量部を越える場合は、顔料に吸着しない遊離の樹脂成分によりインクの粘度が上昇する。また、溶剤の配合量が4重量部未満の場合は、顔料誘導体及び樹脂成分の顔料に対する初期の塗れが不充分で充分に顔料を被覆しないため、インクの粘度が安定しないことがあり、200重量部を越える場合は、顔料の被覆処理が困難となる。
顔料の被覆処理は、具体的には、下記の2段階の工程により行われる。
第1工程は、顔料、樹脂成分、及び溶剤等を含む組成物を20回程度2本ロールに通すことにより顔料への樹脂成分の濡れと吸着を進行させるチップ化工程である。この工程で、配合した溶剤のうち約80重量%程度が揮発する。
第2工程は、チップ化により前記樹脂成分が顔料に吸着した混練物の加熱、混練を続けて顔料粒子表面に被覆層を形成する被覆処理工程である。混練物の粘度が高く、機械上、混練できない場合は、適量の溶剤を追加し、混練を助ける。
樹脂成分が架橋可能な官能基を有する場合には、被覆処理工程で樹脂成分の架橋が生じ、一部に樹脂切断も見られる。この反応は、過度な機械的な加圧と磨砕、更には加熱の結果によるものでメカノケミカルな反応であり、顔料と樹脂成分のみでは樹脂成分の架橋反応は生じにくい。顔料と樹脂成分とを混練する際に顔料誘導体を用いることにより、顔料誘導体と樹脂成分とが顔料表面に強固に吸着し、更に加熱と加圧混練を行うことにより樹脂成分の架橋が生じると推定される。加熱温度は80℃〜120℃の範囲であることが好ましい。80℃未満の温度では樹脂成分が十分に架橋しない場合があり、120℃を越える温度では、樹脂成分の劣化が生じる場合がある。
顔料表面に吸着しなかった余剰の樹脂成分は、インクの粘度等の物性に影響を及ぼす場合には、洗浄やろ過等により除去することが好ましい。また、被覆処理顔料は、乾燥しても凝集しない場合には、洗浄後に乾燥しても良いが、被覆処理時に用いた溶剤がインクジェットインクの液状媒体として使用可能な溶剤であればあえて乾燥する必要がない。
(8)物性など
本発明のインクジェットインクにおいて、固形分含有量は、インク組成物全重量に対して、好ましくは3〜60重量%、より好ましくは4〜40重量%である。固形分含有量が、3重量%未満になるとインク皮膜の濃度や耐性が不足し、60重量%を超えるとインクの粘度が上昇し、経時安定性が低下することがある。
本発明のインクジェットインクの粘度としては、2mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下、更には4mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。粘度が大きすぎると、連続して吐出する場合に、安定した吐出ができない。
本発明のインクジェットインクの平均分散粒子径としては、5nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましい。平均分散粒子径が大きすぎるとヘッドが目詰まりを起こしやすく、安定した吐出ができない。また平均分散粒子径が小さすぎると、再凝集を引き起こし易くなり、経時安定性が悪化する。
本発明のインクジェットインクの表面張力としては、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、24mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。表面張力が高すぎるとヘッドからインクが安定して吐出することができず、逆に表面張力が低すぎるとヘッドから吐出後インクが液滴を形成することができなくなる。
本発明のインクジェットインクの製造は、前記一般式(1)で表される樹脂型分散剤、前記顔料、前記熱反応性化合物、及び前記有機溶剤、並びに必要に応じて前記バインダー樹脂及び/又は顔料誘導体を通常の分散機に投入し、所望の平均粒子径・粒度分布になるまで分散することにより行うことができる。インクジェットインクの原料は、一括して混合・分散してもよいし、それぞれの原料の特性や経済性を考慮して別々に混合・分散してもよい。インクジェットインクの粘度が高過ぎ、希釈が必要な場合には、インク原液に希釈用の液状媒体を加えて均一に攪拌し、インクジェットインクを調製することもできる。
分散機としては、サンドミル、ビーズミル、アジテータミル、ダイノミル、又はコボルミルなどが好適である。それぞれの分散機において、顔料分散に適切な粘度領域がある場合には、各種樹脂成分と顔料との比率を変えて粘度を調整することができる。インクジェットインクは、分散機で分散後に、粗大粒子や異物除去を目的にフィルタや遠心法により濾過することが好ましい。
インクジェット記録用インク組成物を製造する際には、更に、界面活性剤型分散剤や、アントラキノン誘導体、及び/又はトリアジン誘導体を用いることができる。界面活性剤型顔料分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、又はステアリルアミンアセテート等を挙げることができる。
インクジェットインクには、インク組成物の粘度が25℃で3〜50mPa・sとなる範囲で、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、インクの基板への濡れ性を制御するために、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤を選択する際には、その他のインク構成成分との相溶性を考慮する必要がある。界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性のものがあり、好適なものを選択すればよい。
本発明のインクジェットインクは、高い顔料濃度でありながら低粘度であるため吐出安定性に優れ、顔料含有量が通常のインクジェットインクに比べ多いために吐出量を少なくすることができることから、カラーフィルタ基板用をはじめ、高い印字濃度が望まれている印刷物の生産性及び品位を向上させることができる。特に、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、高い生産性及び品位が求められるカラーフィルタ基板の製造に好適である。
また、本発明のインクジェットインクは、顔料が高濃度に分散されているので、インク組成物が深さ方向に浸透する紙や横方向への濡れ広がるプラスティック、ガラス及び金属であっても、印字濃度を高くできる。更に、吐出量を抑えることができるので、受容層のインク受容量を越えるためインクが流出して混色したり、ドット形状が真円とならなかったことも回避することができるので、従来のインクジェット印刷では制限された用途にも用いることができる。
(9)カラーフィルタ基板
本発明のインクジェットインクを用いて、インクジェット法により、カラーフィルタ基板を製造することができる。カラーフィルタ基板は、例えば、薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルに利用することができる。
カラーフィルタ基板は所望の色相のフィルタセグメントを具備するものであり、フィルタセグメントは、ブラックマトリックスが形成された基板のブラックマトリックスで区分けされた領域内に、インクジェット法によりカラーフィルタ用インクジェットインクを吐出することに形成される。
基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板を用いることができる。ブラックマトリックスは、例えば、ラジカル重合型のブラックレジストを塗布し、露光、そして現像してパターニングするフォトリソグラフィー法、黒色インクを印刷する印刷法、又は金属を蒸着したのちエッチングする蒸着法等により基板上に形成することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%を表す。また、樹脂の重量平均分子量は、GPCを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた。 実施例及び比較例で用いた顔料、顔料誘導体、溶剤及び樹脂溶液を以下に示す。また、実施例及び比較例における最終的なインク組成を表1に示す。
[A]溶剤
(1)CBAc:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
(2)BuCBAc:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
(3)TA:トリアセチン
(4)EDG:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
(5)PNB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
(6)PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(7)1,3−BDGA:1,3―ブチレングリコールジアセテート
(8)Gly:グリセリン
[B]顔料
(1)レッド顔料A:C.I.Pigment Red 254
(2)レッド顔料B:C.I.Pigment Red 57:1
(3)マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122
(4)グリーン顔料:C.I.Pigment Green 36
(5)イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 138
(6)ブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(7)シアン顔料:C.I.Pigment Blue 15:3
(8)バイオレット顔料:C.I.Pigment Violet 23
[C]顔料誘導体:
顔料誘導体〔RD−1〕
Figure 0005194444
顔料誘導体〔RD−2〕
Figure 0005194444
顔料誘導体〔MD−1〕
Figure 0005194444
顔料誘導体〔YD−1〕
Figure 0005194444
顔料誘導体〔BD−1〕
Figure 0005194444
顔料誘導体〔VD−1〕
Figure 0005194444
[D]分散樹脂
《製造例1(リン酸基含有分散樹脂P−1)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、及び撹拌装置を取り付けて、溶剤(CBAc)100部を仕込み、100℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より下記の原料を添加し、5時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)20,000のアクリル樹脂の溶液(固形分50%)を得た。なお、アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPCを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた。こうして得られた樹脂溶液を、リン酸基含有分散樹脂(P−1)として用いた。
メタクリル酸 20部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
n−ブチルメタクリレート 27部
ベンジルメタクリレート 30部
ホスマーM 3部
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル 4部
《製造例2(ポリエステル系分散剤S−1)》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させ樹脂型分散剤(S−1)を得た。得られた樹脂型分散剤(S−1)は、常温で白色ワックス状固体であった。
《製造例3(ポリエステル系分散剤S−2)》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、メトキシPEG400(片末端メトキシ化ポリエチレングリコール)169.0部、ε−カプロラクトン96.4部、δ−バレロラクトン84.6部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物62.2部を加え、120℃で2時間反応させ樹脂型分散剤(S−2)を得た。得られた樹脂型分散剤(S−2)は、常温で淡黄色透明液体であった。
《製造例4(ビニル系分散剤B−1)》
(1)工程((c)−C)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート37.6、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート10部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)2.4部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例4の工程(c)−C)。このようにして、数平均分子量4900、一分子中の水酸基の平均個数1.0個のビニル系樹脂中間体(C1)を得た。
(2)工程((c)−D)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C1)を固形分で100部、無水トリメリット酸を3.9部、ジメチルベンジルアミンを0.1部仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例4の工程(c)−D)。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個である樹脂型分散剤(B−1)を得た。樹脂型分散剤(B−1)中の固形分比率は50%であった。
《製造例5(ビニル系分散剤B−2)》
(1)工程((c)−C)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、2−エチルヘキシルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート68.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.7部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例5の工程(c)−C)。このようにして、数平均分子量4800、一分子中の水酸基の平均個数0.5個のビニル系樹脂中間体(C2)を得た。
(2)工程((c)−D)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを100部、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステルを4.3部、及びジメチルベンジルアミンを0.1部仕込み100℃に昇温した。滴下槽からビニル系樹脂中間体(C2)を固形分で100部2時間かけて反応槽に滴下し、適下終了後、100℃で4時間反応させた(製造例5の工程(c)−D)。その後、2−エチルヘキシルアルコール10部を加え90℃で5時間反応させ、残存する無水環をアルコール分解し(製造例5の工程(c)−Dd)、エチレングリコールジトリメリット酸骨格の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散剤(B−2)を得た。ビニル系分散剤(B−2)中の固形分比率は50%であった。
《製造例6(分岐ウレタン系分散樹脂A (U−1))》
(1)工程(d−A)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に1−デカノール67部、ε−カプロラクトン433部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、120℃で2時間反応させた。反応終了後、メトキシプロピルアセテート214部にて希釈することによりポリカプロラクトン溶液(MC1)を得た。
(2)工程(d−B)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にブチルメタクリレート250部、ベンジルメタクリレート250部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、チオグリセロール(旭化学工業株式会社)38部を10分かけて滴下し、7時間反応させた。反応終了後、メトキシプロピルアセテート214部にて希釈することによりアクリル樹脂溶液(DA1)を得た。
(3)工程(d−D)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ポリカプロラクトン溶液(MC1)53部、VESTANAT T 1890/100(デグサジャパン株式会社)67部、アクリル樹脂溶液(DA1)55部、メトキシプロピルアセテート103部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、1時間反応させた。その後、ジメチロールブタン酸(DMBA、日本化成株式会社製)27部、メトキシプロピルアセテート27部を仕込み、90℃にて反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認し、40℃まで冷却し、分岐ウレタン系分散樹脂A溶液(U1)を得た。
《製造例7(分岐ウレタン系分散樹脂B (U−2))》
(1)工程(e−A)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に1−デカノール67部、ε−カプロラクトン433部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、120℃で2時間反応させた。反応終了後、メトキシプロピルアセテート214部にて希釈することによりポリカプロラクトン溶液(MC2)を得た。
(2)工程(e−D)
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ポリカプロラクトン溶液(MC2)84部、VESTANAT T 1890/100(デグサジャパン株式会社)66部、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、1時間反応させた。その後、ジメチロールブタン酸(DMBA、日本化成株式会社製)40部、メトキシプロピルアセテート40部を仕込み、90℃にて反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認し、さらにピロメリット酸二無水物6部、メトキシプロピルアセテート6部を仕込み、100℃にて反応させ、IRにて酸無水物基に基づく1855cm-1と1785cm-1のピークの消失を確認した後、40℃まで冷却し、分岐ウレタン系分散樹脂B[U−2]溶液を得た。
《リン酸基含有分散樹脂(P−2)》 : ビックケミー社製Dysper BYK−111
[E]熱反応性化合物
(1)三和ケミカル社製アルコキシアルキル基含有メラミン化合物 ニカラックMX−43
(2)三和ケミカル社製イミノ基・メチロール基含有メラミン化合物 ニカラックMX−417
(3)三和ケミカル社製アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックSB−401
(4)三和ケミカル社製イミノ基・メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックBL−60
(5)東亞合成社製アクリルモノマー アロニックスM−400
(6)バイエル社製イソシアネート化合物 デスモジュールBL−4265
(7)日本化薬社製 エポキシ化合物EPPN―201
《実施例1》
レッド顔料(1)90部、顔料誘導体(RD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(P−1)溶液104部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)20部、アクリルモノマー(M400)20部、溶剤(TA)122部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例2》
レッド顔料(1)90部、顔料誘導体(RD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)15部、ビニル系分散剤(B−1)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)18部、溶剤(TA)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例3》
レッド顔料(2)90部、顔料誘導体(RD−2)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)15部、ビニル系分散剤(B−1)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)18部、溶剤(TA)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例4》
レッド顔料(2)90部、顔料誘導体(RD−2)10部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部、分岐ウレタン系分散樹脂A(U−1)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(BuCBAc)42部、溶剤(TA)60部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例5》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体(MD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部、分岐ウレタン系分散樹脂B(U−2)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)20部、イソシアネート化合物(BL−4265)20部、溶剤(CBAc)81部、溶剤(TA)69部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度15%のインクジェットインクを得た。
《実施例6》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(P−1)溶液60部、ポリエステル系分散剤(S−1)20部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(TA)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例7》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)20部、ビニル系分散剤(B−2)溶液60部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(TA)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例8》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)20部、ビニル系分散剤(B−2)溶液94部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)251部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)117部、溶剤(TA)92部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例9》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−2)20部、ビニル系分散剤(U−1)溶液94部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)251部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)140部、溶剤(TA)69部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例10》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(P−1)溶液110部、リン酸基含有分散樹脂(P−2)12部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にベンゾグアナミン化合物(SB−401)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(TA)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例11》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)12部、ビニル系分散剤(B−1)溶液110部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にベンゾグアナミン化合物(SB−401)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(TA)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例12》
シアン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、分岐ウレタン系分散樹脂B(U−2)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)20部、エポキシ化合物(EPPN―201)20部、溶剤(CBAc)222部、溶剤(BuCBAc)47部、溶剤(TA)47部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度12%のインクジェットインクを得た。
《実施例13》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体(VD−1)10部、ビニル系分散剤(B−1)溶液104部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)20部、溶剤(CBAc)41部、溶剤(TA)76部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度14%のインクジェットインクを得た。
《比較例1》
レッド顔料(1)100部、リン酸基含有分散樹脂(P−1)溶液104部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤揮発後きれいなシート状にはならなかった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行ったが、きれいなシートを形成することは出来なかった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(TA)122部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例2》
レッド顔料(1)90部、顔料誘導体(RD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)15部、ビニル系分散剤(B−1)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に溶剤(CBAc)52部、溶剤(TA)90部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例3》
レッド顔料(2)90部、顔料誘導体(RD−2)10部を均一に撹拌し、更に溶剤(PGMAc)52部を加え2本ロールを80℃に加熱して混練を行ったが、溶剤揮発後シートが形成されることはなく粉末状のままであった。
得られた粉末状固形物100部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)57部、溶剤(TA)94部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例4》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体(MD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部、分岐ウレタン系分散樹脂B(U−2)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)20部、イソシアネート化合物(BL−4265)20部、溶剤(CBAc)150部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度15%のインクジェットインクを得た。
《比較例5》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)20部、ビニル系分散剤(B−2)溶液60部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(EDG)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《比較例6》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、ポリエステル系分散剤(S−1)20部、ビニル系分散剤(B−2)溶液94部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)251部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)140部、溶剤(PNB)69を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《比較例7》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(P−1)溶液110部、リン酸基含有分散樹脂(P−2)12部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にベンゾグアナミン化合物(SB−401)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(PGMAc)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《比較例8》
シアン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、分岐ウレタン系分散樹脂B(U−2)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)20部、エポキシ化合物(EPPN―201)20部、溶剤(CBAc)222部、溶剤(1,3−BDGA)94部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度12%のインクジェットインクを得た。
《比較例9》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体(VD−1)10部、ビニル系分散剤(B−1)溶液104部、ポリエステル系分散剤(S−2)15部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)20部、溶剤(CBAc)41部、溶剤(Gly)76部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度14%のインクジェットインクを得た。
実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたインクの粘度及び流動性を下記の方法で評価した。また、実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたインクを、4〜10KHzの周波数変化が可能なピエゾヘッドを有するインクジェットプリンターで吐出し、下記の方法で吐出安定性を評価した。
ガラス基板の所定の位置に、前記インクジェットプリンターを用いて実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたインクを吐出して乾燥し、230℃で20分間の熱硬化を行って塗膜を形成し、塗膜信頼性を下記の方法で評価した。結果を表1〜表3に示す。また、段ボールに、前記インクジェットプリンターを用いて実施例1〜13及び比較例1〜9で得られたインクを吐出して乾燥し、室温乾燥を行って塗膜形成し、印字濃度を下記の方法で評価した。結果を表1〜表3に示す。
[粘度]
動的粘弾性測定装置により、ずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)を測定した。
[流動性]
動的粘弾性測定装置により、ずり速度10(1/s)の粘度(ηa:mPa・s)を測定し、先に測定したずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)との比ηa/ηを求め、下記の基準で流動性を評価した。
○:0.9≦ηa/η<1.5
×:1.5≦ηa/η
[保存安定性]
45℃のオーブンで、7日間加熱後粘度を測定した。
○:加熱前の粘度と比して増粘率10%以内
×:加熱前の粘度と比して増粘率30%以上
[耐薬品性]
塗膜を形成したガラス基板をN−メチルピロリドンに浸漬し、浸漬前後の塗膜の色変化△Eを測定した。
○:△E≦2
△:2<△E≦4
×:△E>4
[吐出安定性]
印字状態を目視で観察し、下記の基準で吐出安定性を評価した。
○:間欠15分後ノズル抜けが5%以下である。
△:間欠15分後ノズル抜けが10%以下である。
×:間欠15分後ノズル抜けが50%以上である。
[印字濃度]
段ボールにベタ印刷を行い、乾燥後OD値を測定した。
○:OD値1.2以上
×:OD値1.2未満
Figure 0005194444
Figure 0005194444
Figure 0005194444
Figure 0005194444
Figure 0005194444
Figure 0005194444
本発明のインクジェットインクは、耐薬品性が良好で、更に顔料濃度が高いにもかかわらず、塗料やインクとして使用した場合に、低粘度かつ経時粘度安定性が良好である。また、インクジェットインクとして用いた場合に、耐性を維持しつつ低粘度かつ吐出安定性が良好なインクとすることができる。また、本発明のインク組成物をインクジェットインクとして用いることにより、従来の方法と比較して、はるかに効率よく高性能なカラーフィルタ、パッケージ、又は屋外看板などを生産することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (14)

  1. 3価以上の多価アルコールのエステル誘導体を含む溶剤、顔料、顔料誘導体、分散樹脂、および熱反応性化合物を含んでなるインクジェットインクであって、
    3価以上の多価アルコールのエステル誘導体が、トリアセチンであり、
    熱反応性化合物が、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上であるインクジェットインク。
  2. 溶剤が、さらに、沸点200℃以上の、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物、または、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物を含む請求項1記載のインクジェットインク。
  3. 3価以上の多価アルコールのエステル誘導体が、溶剤全量に対し、3〜50重量%である請求項1または2記載のインクジェットインク。
  4. 顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1〜いずれか1項記載のインクジェットインク。
    一般式(1)
    1−eq
    (一般式(1)中、G1は、q価の色素原型化合物残基であり、
    eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
    qは、1〜4の整数である。)
  5. 顔料誘導体が、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種を含む、請求項1〜いずれか1項記載のインクジェットインク。
  6. 分散樹脂が、下記(a)〜(e)からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上である請求項1〜いずれか1項記載のインクジェットインク。

    (a) 1種又は2種以上のリン酸基を含有する分散樹脂又は下記一般式(2)で示されるモノマーを重合成分として含有する分散樹脂、
    (b) 下記一般式(3)で表されるポリエステル系分散樹脂、
    (c) 下記一般式(4)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含むビニル系分散樹脂、
    (d) イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(d−a)と、モノアルコール(d−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させてなる末端イソシアネート化合物に対して、
    1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(d−c)と、
    1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(d−d)および/またはシロキサン樹脂(d−e)とを含むポリオール化合物を、水酸基過剰となる条件で重合させてなる分散樹脂であって、
    不揮発成分中におけるポリイソシアネート(d−a)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である分岐ウレタン系分散樹脂、
    (e) イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(e−a)と、モノアルコール(e−b)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させてなる末端イソシアネート化合物に対して、
    1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(e−d)および/またはシロキサン樹脂(e−e)を含むポリオール化合物を、水酸基過剰となる条件で重合させてなる末端水酸基化合物中の水酸基と、
    酸無水物基を有する化合物(e−g)中の酸無水物基
    とを反応させてなる分散樹脂であって、
    不揮発成分中におけるポリイソシアネート(e−a)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である分岐ウレタン系分散樹脂。
    一般式(2):
    Figure 0005194444
    (一般式(2)中、R1:水素又はメチル基を表す。
    2:アルキレン基を表す。
    m:1〜20の整数を表す。)
    一般式(3):
    (HOOC―)e―Ra1―(―COO―[―Ra3―COO―]f―Ra2g
    (一般式(3)中、Ra1は4価のテトラカルボン酸化合物残基、
    a2はモノアルコール残基、
    a3はラクトン残基、
    eは2または3の整数、fは1〜50の整数、gは(4−e)を表す。)
    一般式(4):
    Figure 0005194444
    (一般式(4)中、
    b1は水素原子又はメチル基であり、
    1は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−若しくは−CH2O−であり、
    2は、下記一般式(23)で表される基であり、
    3は、下記一般式(24)で表される基であり、
    1は、一般式(5)で表される基であるか、あるいは一般式(6)で表される基である。)

    一般式(23)
    −(−Rb2−O−)m1
    (一般式(23)中、Rb2は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、m1は1〜50の整数である。)
    一般式(24)
    −(−CO−Rb3−O−)m2
    (一般式(24)中、Rb3は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、m2は0〜20の整数である。)
    一般式(5)
    Figure 0005194444
    (一般式(5)中、
    1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
    1〜A3のうちの1つが−COORc1であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は
    1〜A3の3つが−COOHであり、kは1又は2である。
    但し、Rc1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)
    一般式(6)
    Figure 0005194444

    (一般式(6)中、
    5〜A7のうち1つは水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
    5〜A7のうち1つは−COORd2であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は
    5〜A7の3つが−COOHである。
    但し、Rd2は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
    d1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、式(25)、で表される基、又は式(26)で表される基である。)
    式(25)
    式(26)
    Figure 0005194444
  7. バインダー樹脂を更に含む、請求項1〜いずれか一項に記載のインクジェットインク。
  8. バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂である、請求項記載のインクジェットインク。
  9. 固形分含有量が、インク組成物全重量に対して、3〜60重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  10. 顔料の含有量が、インク組成物全重量に対して、1〜30重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  11. 顔料と分散樹脂との重量比が、100:3〜100:150である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  12. 25℃における粘度が、2〜40mPa・sである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  13. カラーフィルタ基板用である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物による印刷層を担持するカラーフィルタ基板。


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