JP3050205B2 - インクジェットインキ - Google Patents

インクジェットインキ

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JP3050205B2
JP3050205B2 JP14301698A JP14301698A JP3050205B2 JP 3050205 B2 JP3050205 B2 JP 3050205B2 JP 14301698 A JP14301698 A JP 14301698A JP 14301698 A JP14301698 A JP 14301698A JP 3050205 B2 JP3050205 B2 JP 3050205B2
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保春 飯田
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Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノズルでの吐出安
定性および耐水性の良好なインクジェットインキに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、耐水性の良好なインクジェッ
トインキとしては、油溶性染料を高沸点溶剤に分散ない
し溶解したもの、油溶性染料を揮発性の溶剤に溶解した
ものがあるが、染料は耐光性等の諸耐性で顔料に劣るた
め、着色剤として顔料を用いたインキが望まれている。
しかしながら、顔料を安定して有機溶剤に分散すること
は困難であり、安定な分散性および吐出性を確保するこ
とも難しい。また、着色剤として顔料を用いたインキは
透明性が低いため、オーバーヘッドプロジェクター等の
透明基材への画像形成において染料を用いたインキ並み
の透明性を発現することが要求されている。
【0003】塗料、インキなどでは、一般に顔料の粒子
径を小さくして分散度を上げていくと透明性が向上する
が、サンドミル、3本ロールミル、ボールミル等の通常
の分散機では一次粒子まで分散されるとそれ以上透明性
が上がらなくなる。これは通常の分散機での分散工程
は、主に二次粒子を壊して一次粒子にするだけだからで
あり、それ以上透明性を向上させるためには一次粒子を
さらに細かくする必要がある。高速のサンドミルでは、
用いる顔料によっては一次粒子をさらに細かくすること
が可能なときもあるが、非常に多大なエネルギーをかけ
ても一次粒子をさらに細かくすることは実際なかなか困
難である。
【0004】一次粒子を細かくする手段として、顔料を
濃硫酸、ポリリン酸等の強酸に溶解したものを冷水に投
入し,顔料を微細粒子として析出させる方法が知られて
いるが、この方法では顔料の強酸に対する溶解性や安定
性の点で、処理できる顔料が著しく限定される。また、
この方法で微細化した顔料は、乾燥すると強い二次凝集
を起こすため、一旦乾燥したものを一次粒子まで再分散
することは非常に困難である。また、他の方法として、
顔料と固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリー
ミキサー等で強力に練り込む方法も知られている。しか
し、顔料は一般に高温下では結晶成長するため、この方
法は機械的な破砕力と結晶成長が平衡状態になったとき
に終点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ノズルでの
吐出安定性および耐水性の良好なインクジェットインキ
の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明者らは、顔料を有機溶剤
に分散する際に、ダイマージオールを用いることによ
り、顔料の分散性が向上し、分散安定性およびノズルで
の吐出安定性が良好なインクジェットインキが得られる
こと、および該インキを用いて記録される記録物は透明
性が高く、光沢が優れていることを見出し、本発明に至
った。本発明のインキは、サンドミル等の通常の分散機
で分散することにより製造することができ、顔料を微細
化するために多大な分散時間、過剰な分散エネルギーを
必要としないため、インキ成分の分散時の変質を招き難
い。そのため、インキの組成が安定している。
【0007】すなわち、本発明は、顔料、ダイマージオ
ールおよび有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェ
ットインキに関する。また、本発明は、さらに、分散剤
を含むことを特徴とする上記インクジェットインキに関
する。また、本発明は、顔料3〜10重量%、ダイマー
ジオール0.1〜20重量%、分散剤0.1〜10重量
%および有機溶剤10〜96.8重量%を含むことを特
徴とする上記インクジェットインキに関する。
【0008】また、本発明は、顔料が、有機顔料
(A)、有機顔料(A)の3重量倍以上の水溶性の無機
塩(B)および水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの
成分からなる混合物を混練して有機顔料(A)を微小化
した後、(B)および(C)を水洗除去してなる平均粒
径10〜150nm(レーザ散乱による測定値)の処理
有機顔料であることを特徴とする上記インクジェットイ
ンキに関する。
【0009】また、本発明は、分散剤が、下記一般式で
示される顔料誘導体(D)であることを特徴とする上記
インクジェットインキに関する。 P−〔X−Y−Z−N(R1 )R2 〕n (但し、式中、Pは有機色素残基、複素環残基または芳
香族多環化合物残基である。Xは、S、C、N、O、H
から選ばれる2〜15個の原子で構成される化学的に合
理的な組合せからなる2価の結合基である。Yは直接結
合、−NR−(但し、RはHまたは炭素数1〜18のア
ルキル基)、−O−から選ばれる2価の結合基である。
Zは炭素数1〜6のアルキレン基である。R1 、R2
それぞれ独立の置換されていてもよい炭素数1〜18の
アルキル基、またはR1 とR2 とで複素環を形成しても
よく、該複素環は置換を有していてもよい。nは1〜3
の整数である。)
【0010】また、本発明は、有機顔料(A)が、キナ
クリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベン
ズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔
料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料およ
びイソインドリン系有機顔料からなる群より選ばれる少
なくとも1種であることを特徴とする上記インクジェッ
トインキに関する。さらに、本発明は、25℃での粘度
が5〜15cpsであることを特徴とする上記インクジ
ェットインキに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェットインキに
含まれるダイマージオールは、有機溶剤に容易に溶解す
るものであり、顔料の分散性を向上させ、インキの粘度
を調整する働きをし、記録物の光沢を高める。ダイマー
ジオールは、下記一般式(I)または(II)で示される
化合物であり、分子量350〜1100のものが好適に
用いられる。ダイマージオールは、1種を単独で、また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
【化1】 (式中、x、y、m、nは、それぞれ独立に2〜10の
整数を示す。)
【0013】本発明のインクジェットインキに含まれる
顔料は、無機顔料または有機顔料であり、記録物の十分
な濃度および十分な耐光性を得るため、インクジェット
インキ中に3〜10重量%の範囲で含まれることが好ま
しい。無機顔料としては、カーボンブラック、チタンブ
ラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化
鉄、コバルトブルー等が挙げられる。
【0014】また、有機顔料としては,トルイジンレッ
ド,トルイジンマルーン,ハンザエロー,ベンジジンエ
ロー,ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料,リトー
ルレッド,ヘリオボルドー,ピグメントスカーレット,
パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料,アリザリ
ン,インダントロン,チオインジゴマルーンなどの建染
染料からの誘導体,フタロシアニンブルー,フタロシア
ニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料,キナク
リドンレッド,キナクリドンマゼンタなどのキナクリド
ン系有機顔料,ペリレンレッド,ペリレンスカーレット
などのペリレン系有機顔料,イソインドリノンエロー,
イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有
機顔料,ピランスロンレッド,ピランスロンオレンジな
どのピランスロン系有機顔料,チオインジゴ系有機顔
料,縮合アゾ系有機顔料,ベンズイミダゾロン系有機顔
料,キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔
料,イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機
顔料,その他の顔料として,フラバンスロンエロー,ア
シルアミドエロー,ニッケルアゾエロー,銅アゾメチン
エロー,ペリノンオレンジ,アンスロンオレンジ,ジア
ンスラキノニルレッド,ジオキサジンバイオレット等が
挙げられる。
【0015】有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナン
バーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12,13,
14,17,20、24、74,83,86 93、1
09、110、117、125、128,129,13
7、138、147、148、150、153、15
4、155、166、168,185、C.I.ピグメント
オレンジ16,36、43、51、55、59、61、
C.I. ピグメントレッド9、48,49,52,53,
57,97、122、123、149、168、17
7、180、192、215、216、217、22
0、223、224、226、227、228,23
8、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、
29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー
15,15:1,15:3,15:4,15:6,2
2、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.
I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられ
る。
【0016】有機顔料としては,耐光性が良好なため、
キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、
ベンズイミダゾロン系有機顔料,イソインドリノン系有
機顔料,縮合アゾ系有機顔料,キノフタロン系有機顔
料,イソインドリン系有機顔料からなる群より選ばれる
少なくとも1種を用いることが好ましい。有機顔料は、
水溶性の無機塩(B)および水溶性の溶剤(C)を用い
て微小化してなる平均粒径10〜150nm(レーザ散
乱による測定値)の処理顔料であることが好ましい。処
理顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さ
くなることによる耐光性の低下が生じ、150nmを越
える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱
が生じやすくなる。
【0017】有機顔料の微小化は,下記の方法で行う。
すなわち,有機顔料(A),有機顔料(A)の3重量倍
以上の水溶性の無機塩(B)および水溶性の溶剤(C)
の少なくとも3つの成分からなる混合物を粘土状の混合
物とし,ニーダー等で強く練りこんで微小化したのち水
中に投入し,ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリ
ー状とする。次いで,スラリーの濾過と水洗を繰り返し
て,水溶性の無機塩(B)および水溶性の溶剤(C)を
除去する。
【0018】有機顔料(A)の微小化に破砕助剤として
用いられる水溶性の無機塩(B)としては、塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩
は、有機顔料(A)の3重量倍以上、好ましくは20重
量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が3重量倍よりも
少ないと,所望の大きさの処理顔料が得られない。ま
た,20重量倍よりも多いと,後の工程における洗浄処
理が多大であり,有機顔料(A)の実質的な処理量が少
なくなる。
【0019】水溶性の溶剤(C)は、有機顔料と破砕助
剤として用いられる水溶性の無機塩との適度な粘土状態
をつくり、充分な破砕を効率よく行うために用いられ,
水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが,混練時
に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため,安
全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好
ましい。水溶性溶剤としては,2−(メトキシメトキ
シ)エタノール,2−ブトキシエタノール,2−(イソ
ペンチルオキシ)エタノール,2−(ヘキシルオキシ)
エタノール,ジエチレングリコール,ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル,ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル,トリエチレングリコール,トリエチレングリコール
モノメチルエーテル,液体ポリエチレングリコール,1
−メトキシ−2−プロパノール,1−エトキシ−2−プ
ロパノール,ジプロピレングリコール,ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル,ジプロピレングリコール
モノエチルエーテル,低分子量ポリプロピレングリコー
ル等が挙げられる。
【0020】本発明のインクジェットインキに含まれる
有機溶剤は、顔料を分散する媒体である。なかでも、沸
点120℃以上の高沸点の有機溶剤は、顔料の安定した
分散媒体となり、ノズル先端でのインキの固着を防止す
る働きをするため好適に用いられる。有機溶剤として
は、室温でのインキの乾燥を抑える一方、記録紙に対す
るしみ込みスピードが速く、また、高速吐出性のヘッド
に追随する流動特性を有するものが好ましい。有機溶剤
は、インクジェットインキ中に10〜96.9重量%の
範囲で含まれることが好ましい。有機溶剤としては、脂
肪族炭化水素系溶剤、カルビトール系溶剤、セロソルブ
系溶剤、高級脂肪酸エステル系溶剤、アルコール系溶
剤、高級脂肪酸系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ケトン
系溶剤、他のエステル系溶剤等が挙げられる。なかで
も、脂肪族炭化水素系溶剤は、臭気が少ないため好適に
用いられる。
【0021】脂肪族炭化水素系溶剤としては,シェル化
学社製「Shellsol D40,「Shellso
l D70」,「Shellsol 70」,「She
llsol 71」,Exxon社製「Isopar
G」,「Isopar H」,「Isopar L」,
「Isopar M」,「Exxol D40」,「E
xxol D80」,「Exxol D100」,「E
xxol D130」(沸点279〜316℃),「E
xxol D140」(沸点280〜320℃),「E
xxol DCS100/140」等が挙げられる。ま
た、カルビトール系溶剤としてはブチルカルビトールが
挙げられ、セロソルブ系溶剤としてはエチルセロソルブ
が挙げられる。
【0022】また、高級脂肪酸エステル系溶剤として
は、ジオクチルフタレート,ジブチルコハク酸イソブチ
ルエステル,アジピン酸イソブチルエステル等が挙げら
れ、アルコール系溶剤としては、メチルヘキサノール,
オレイルアルコール,トリメチルヘキサノール,トリメ
チルブタノール,テトラメチルノナノール,2−ペンチ
ルノナノール,2−ノニールノナノール,2−ヘキシル
デカノール,メタノール,エタノール,イソプロピルア
ルコール,ブタノール等が挙げられる。また、高級脂肪
酸系溶剤としてはオレイン酸が挙げられ,芳香族炭化水
素系溶剤としてはジイソプロピルナフタレン,トルエ
ン,キシレン等が挙げられる。
【0023】また、ケトン系溶剤としては、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等が挙げられ、他のエステル系溶剤としては、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独
で用いることができるが、粘度の調整、紙への染み込み
の調整、ヘッドおよびプリンターのインキ接液系との濡
れ性の調整等を行うため,脂肪族炭化水素溶剤とセバシ
ン酸2−ジエチルヘキシルとを併用することが好まし
い。この組合せで調製したインキは,経時での安定した
分散を保持する。なお,脂肪族炭化水素溶剤とセバシン
酸2−ジエチルヘキシルとを併用するときには、さらに
他の溶剤を混合して用いることもできる。
【0024】本発明のインクジェットインキには、顔料
の充分な分散安定性を得るため、インクジェットインキ
中に0.1〜10重量%の範囲で分散剤を含有させるこ
とが好ましい。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸
エステル,長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステ
ルの塩,高分子量ポリカルボン酸の塩,長鎖ポリアミノ
アマイドと極性酸エステルの塩,高分子量不飽和酸エス
テル,高分子共重合物,変性ポリウレタン,変性ポリア
クリレート,ポリエーテルエステル型アニオン系活性
剤,ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩,芳香族
スルホン酸ホルマリン縮合物塩,ポリオキシエチレンア
ルキルリン酸エステル,ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル,ステアリルアミンアセテート、顔料誘導
体等を用いることができる。
【0025】分散剤の具体例としては,BYK Che
mie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノア
マイド燐酸塩)」,「Anti−Terra−203/
204(高分子量ポリカルボン酸塩)」,「Dispe
rbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エス
テル),107(水酸基含有カルボン酸エステル),1
10(酸基を含む共重合物),130(ポリアマイ
ド),161,162,163,164,165,16
6,170(高分子共重合物)」,「400」,「By
kumen」(高分子量不飽和酸エステル),「BYK
−P104,P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン
酸)」,「P104S,240S(高分子量不飽和酸ポ
リカルボン酸とシリコン系)」,「Lactimon
(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」
が挙げられる。
【0026】また,Efka CHEMICALS社製
「エフカ44,46,47,48,49,54,63,
64,65,66,71,701,764,766」,
「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート),1
50(脂肪族系変性ポリマー),400,401,40
2,403,450,451,452,453(変性ポ
リアクリレート),745(銅フタロシアニン系)」,
共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタン
オリゴマー),「フローノンSH−290,SP−10
00」,「ポリフローNo.50E,No.300(ア
クリル系共重合物)」,楠本化成社製「ディスパロン
KS−860,873SN,874(高分子分散剤),
#2150(脂肪族多価カルボン酸),#7004(ポ
リエーテルエステル型)」が挙げられる。
【0027】さらに,花王社製「デモールRN,N(ナ
フタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩),
MS.C,SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合
物ナトリウム塩),EP」,「ホモゲノールL−18
(ポリカルボン酸型高分子),「エマルゲン920,9
30,931,935,950,985(ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル),「アセタミン24
(ココナッツアミンアセテート),86(ステアリルア
ミンアセテート)」,ゼネカ社製「ソルスパーズ500
0(フタロシアニンアンモニウム塩系),13940
(ポリエステルアミン系),17000(脂肪酸アミン
系),24000」,日光ケミカル社製「ニッコール
T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレー
ト),MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステア
レート),Hexagline 4−0(ヘキサグリセ
リルテトラオレート)」等が挙げられる。
【0028】特に、有機溶剤中での顔料の分散性を向上
させ、安定性に優れたインクジェットインキを得るため
に、顔料をダイマージオールと共に有機溶剤中に分散し
てインクジェットインキを調製する際、または有機顔料
(A)を水溶性の無機塩(B)および水溶性の溶剤
(C)と共に混練して有機顔料を微細化する際に、下記
一般式(III) で示される顔料誘導体(D)を分散剤とし
て用いることが好ましい。顔料誘導体(D)は、一般式
(III) におけるP、すなわち有機色素残基、複素環残基
または芳香族多環化合物残基に置換基を付加し、顔料の
分散に有効な誘導体としたものである。 P−〔X−Y−Z−N(R1 )R2 〕n 一般式(III)
【0029】一般式(III) 中、Pは有機色素残基、複素
環残基または芳香族多環化合物残基であり、Pとして具
体的には、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン
系,ベンズイミダゾール系、アントラキノン系,ペリレ
ン系、ペリノン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、
イソインドリノン系、キノフタロン系、トリフェニルメ
タン系、金属錯塩系などの残基が挙げられる。なお、有
機顔料(A)と顔料誘導体(D)におけるPとは必ずし
も一致している必要はないが、通常色相の関係から同一
の系のものを組み合わせ、特に青色顔料に対してはフタ
ロシアニン系残基、赤色顔料に対してはキナクリドン系
残基、黄色顔料に対してはベンズイミダゾール系残基を
組み合わせることが好ましい。
【0030】有機色素残基、複素環残基または芳香族多
環化合物残基Pに付加される置換基は、−〔X−Y−Z
−N(R1 )R2 n であり、Xは,S,C,N,O,
Hから選ばれる2〜15個の原子で構成される化学的に
合理的な組合せからなる2価の結合基である。Xとして
は,例えば,−SO2 − ,−CO−,−CH2 −,−
CH2 S−,−CR、H2 O−,−COO−,−NH
−、−CH2 NHCOCH−,またはこれらの組合せが
挙げられるが,なかでも−SO2 −,−CO−、−CH
2 −が好ましい。Yは,直接結合,−NR−(但し,R
はHまたは炭素数1〜18のアルキル基)、または−O
−であり、Zは炭素数1〜6のアルキレン基である。R
1 ,R2 は,それぞれ独立の置換されていてもよい炭素
数1〜18のアルキル基,またはR1 とR2 とで複素環
を形成してもよく、該複素環の炭素以外の構成元素とし
てはN、O、Sが挙げられ、該複素環は置換を有してい
てもよい。nは,1〜3の整数を表す。
【0031】顔料誘導体(D)として具体的には、下記
a〜g が挙げられる。 顔料誘導体a 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントブルー15 −SO2 NH(CH2)2 N(C2 5 2 顔料誘導体b 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントエロー24 −SO2 NH(CH2)2 N(C3 7 2 顔料誘導体c 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントバイオレット19 −SO2 NH(CH2)3 N(C4 9 2
【0032】 顔料誘導体d 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントブルー15 −CH2 S−CH2 N(C3 7 2 顔料誘導体e 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントエロー83 −SO2 NH(CH2)3 N(C2 5 2
【0033】 顔料誘導体f 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントエロー108 −CH2 O−CH2 N(C2 5 2 顔料誘導体g 有機色素残基 置換基 C.I.ピグメントバイオレット19 −CH2 S−CH2 N(C4 9 2
【0034】本発明のインクジェットインキには、イン
キの被記録媒体への密着性を向上させるため、あるいは
被記録媒体でのインキのドットの広がりの調整等を目的
として、上記有機溶剤に溶解する樹脂を含有させること
ができる。樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン−
アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン
系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹
脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂,テルペンフェ
ノール系樹脂,フェノール樹脂,ウレタン樹脂,メラミ
ン樹脂,尿素樹脂,エポキシ系樹脂、セルロース系樹
脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂,アルキッド樹脂,脂
肪族炭化水素樹脂,ブチラール樹脂,マレイン酸樹脂,
フマル酸樹脂等が挙げられる。
【0035】本発明のインクジェットインキは、有機溶
剤中に、顔料をダイマージオールおよび必要に応じて分
散剤と共に、サンドミル等の通常の分散機を用いてよく
分散することにより製造される。通常の分散機による分
散では、過剰な分散エネルギーがかからず、ダイマージ
オールの働きにより多大な分散時間を必要としないた
め、インキ成分の分散時の変質を招きにくく、安定性に
優れたインキが調製される。処理有機顔料は微細な顔料
粒子であるが、インクジェットインキとするには、さら
に分散剤等と共に、有機溶剤中にサンドミル等の通常の
分散機を用いてよく分散することが好ましい。
【0036】本発明のインクジェットインキは、25℃
での粘度が5〜15cpsと高めに調整することが好ま
しい。25℃での粘度が5〜15cpsのインキは、紙
への浸透性が早いため、特に通常の4〜10KHzの周
波数を有するヘッドから、10〜50KHzの高周波数
のヘッドにおいても安定した吐出特性を示す。粘度が5
cps未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出
の追随性の低下が認められ、15cpsを越える場合
は、吐出そのものの低下を生じ、記録時の環境温度が低
いときには、全く吐出できなくなる。
【0037】また、本発明のインクジェットインキは、
高抵抗の炭化水素系溶剤、非水性の脂肪酸、脂肪酸エス
テルを有機溶剤として用いる場合には、ピエゾタイプの
インクジェットプリンタばかりでなく、静電吸引式のイ
ンクジェットプリンタにも好適に用いられる。さらに、
本発明のインクジェットインキは、0.1μS/cm以
下の電導度に調整できるため、静電吸引式のヘッドにお
いても良好なインキ柱の形成と切断が可能である。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明する。例中の部
および%は、重量部および重量%をそれぞれ示す。 [実施例1〜24]サンドミルに、表1および表2に示
す原料を入れて分散を3時間行い、インクジェット用濃
縮液を作製した。次いで、プロペラ型の羽根を有する攪
拌機で、下記組成の混合物を30分混合分散後、3μm
のメンブランフィルターで加圧濾過し、インクジェット
インキを得た。 濃縮液 20部 脂肪族炭化水素系溶剤 50部 (Exxon社製「Exxol D130 」) セバシン酸ジ2−エチルヘキシル 30部
【0039】
【表1】
【0040】
【表1】
【0041】顔料 P1 粗製銅フタロシアニン(東洋インキ製造社製「銅
フタロシアニン」):250部、塩化ナトリウム:25
00部およびポリエチレングリコール(東京化成社製
「ポリエチレングリコール300」):160部をステ
ンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込
み、3時間混練した。つぎに、この混合物を2.5リッ
トルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピ
ードミキサーで約1時間撹拌しスラリー状とした後、濾
過、水洗を5回くりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤
を除き、次いでスプレードライをして乾燥した処理顔料
を得た。
【0042】P2 粗製銅フタロシアニン「銅フタロシ
アニン」:250部、塩化ナトリウム:2500部、青
色顔料分散剤(P−〔CH2 NH(CH2)4 N(CH3)
2 3、Pは銅フタロシアニン残基):25部および
「ポリエチレングリコール300」:160部をステン
レス製1ガロンニーダーに仕込み、P1と同様にして処
理顔料を得た。 P3 キナクリドン系赤顔料(ヘキスト社製「ホスター
パーム ピンクE」):250部、塩化ナトリウム:2
500部および「ポリエチレングリコール300」:1
60部をステンレス製1ガロンニーダーに仕込み、P1
と同様にして処理顔料を得た。
【0043】P4 キナクリドン系赤顔料「ホスターパ
ーム ピンクE」:250部、塩化ナトリウム:250
0部、赤色顔料分散剤(P−〔CH2 NH(CH2)4
(CH 3)2 3 、Pはキナクリドン残基):10部およ
び「ポリエチレングリコール300」:160部をステ
ンレス製1ガロンニーダーに仕込み、P1と同様にして
処理顔料を得た。 P5 ベンズイミダゾロン系黄顔料(ヘキスト社製「ホ
スターパーム エローH3G」):250部、塩化ナト
リウム:2500部および「ポリエチレングリコール3
00」:160部をステンレス製1ガロンニーダーに仕
込み、P1と同様にして処理顔料を得た。
【0044】P6 ベンズイミダゾロン系黄顔料「ホス
ターパーム エロー H3G」:260部、塩化ナトリ
ウム:2500部、黄色顔料分散剤(P−〔CH2 NH
(CH 2)4 N(CH3)2 3 、Pはベンズダゾール残
基)15部および「ポリエチレングリコール300」:
160部をステンレス製1ガロンニーダーに仕込み、P
1と同様にして処理顔料を得た。 P7 キナクリドン系赤顔料「ホスターパーム ピンク
E」 P8 ベンズイミダゾロン系黄顔料「ホスターパーム
エロー H3G」 P9 カーボンブラック顔料(キャボット社製「Regal
Black 250R」) P10 酸化チタン顔料(石原産業社製「タイペーク CR-
50」)
【0045】ダイマージオール A nが5、mが7、xが5、yが7の一般式(I)
の化合物 B nが5、mが7 xが7、yが7の一般式(I)
の化合物 C nが7、mが7 xが7、yが7の一般式(II)
の化合物 D nが7、mが7、xが7、yが7の一般式(I)
の化合物 E nが3、mが7、xが3、yが7の一般式(I)
の化合物 F nが4、mが7、xが4、yが7の一般式(I)
の化合物 G nが7、mが5、xが7、yが5の一般式(II)
の化合物 H nが8、mが7、xが8、yが7の一般式(I)
の化合物
【0046】分散剤 D1 ポリアマイド系分散剤(BYK Chemie社製「Disper
byk-130 」) D2 変性ポリアクリレート系分散剤(Efka CHEMICALS
社製「エフカ49」) D3 ウレタンオリゴマー系分散剤(共栄社化学社製
「フローレン TG-710 」) D4 アクリル共重合物系分散剤(共栄社化学社製「ポ
リフロー 50E」) D5 脂肪酸アミン系分散剤(ゼネカ社製「ソルスパー
ス17000 」) D6 ポリエステルアミン系分散剤(ゼネカ社製「ソル
スパース13940 」)
【0047】溶剤 S1 脂肪族炭化水素系溶剤(Exxon 社製「Exxol D14
0」、沸点 280〜320 ℃) S2 脂肪族炭化水素系溶剤(Exxon 社製「Exxol D13
0」、沸点 279〜316 ℃) S3 脂肪族炭化水素系溶剤(Exxon 社製「Isopar
L」、沸点 180℃) S4 セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(沸点 248℃) S5 ジオクチルフタレート(沸点 231℃)
【0048】樹脂 R1 ロジンエステル(荒川化学社製「スーパーエステ
ル75]) R2 水添ロジン(荒川化学社製「エステルガム H
P」) R3 ロジン変性マレイン酸樹脂(荒川化学社製「マル
キッド 33」) R4 テルペンフェノール樹脂(安原ケミカル社製「Y
S ポリスター」)
【0049】実施例で得られたインキについて、下記の
評価を行った。結果を表3および表4に示す。 [粘度]インキの粘度を、B型粘度計を用いて25℃に
て測定した。 [濾過性]インキ25mlを直径25mmφ、孔径3.
0μmのメンブランフィルターで濾過できるか否かを評
価した。 ○:濾過できる。 ×:濾過できない。 [吐出性]インキを用いて4〜10KHzの周波数変化
を行うピエゾ式ヘッドを有するインクジェットプリンタ
ーで印字を行い、記録物の印字状態を目視評価した。ま
た、インキを用いて,金属ドラムとノズル先端とを約
2.5mmはなし画像信号に応じて,金属ドラムとノズ
ル先端とに1.5KVの直流電圧をかける静電吸引式の
プリンターにて記録を行い、記録物の印字状態を目視評
価した。 ○:所定位置に正確に連続印字できている。 ×:途中に欠損を生じたり、所定位置に印字されていな
い。
【0050】[再溶解性]ノズル先端部のインキをイン
キ中の分散媒体に浸漬したときの洗浄性を目視評価し
た。 ◎:ノズル先端部のインキが浸漬しただけで完全に溶解
する。 ○:ノズル先端部のインキが浸漬および振動により完全
に溶解する。 ×:ノズル先端部のインキが浸漬および振動により完全
に溶解しない。 [分散安定性]インキを50℃で1ヶ月保存後の分散状
態を目視および粘度変化により評価した。 ◎:沈殿物の発生が認められず、分散粒径および粘度の
変化なし。 ○:沈殿物の発生が認められず、粘度の変化なし。 ×:沈殿物の発生が認められる。
【0051】[耐水性]印字したものを乾燥後、1分間
水に浸漬した時のインキのにじみの有無、インキの流れ
だしを目視評価した。 ○:にじみ、流れだしなし。 ×:にじみ、流れだしあり。 [透明性]インクジェット用OHPシートに1.5ミル
のアプリケーターにてインキを展色した時の透明性を目
視評価した。 ◎:非常に良好 ○:良好 ×:不良 [平均粒径]インキ中の顔料の平均粒径をレーザー回折
方式の粒度分布計(大塚電子社製「DSL−700」)
で測定した。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】本発明のインクジェットインキは、被記
録体の種類によらず耐水性の良好な記録物を与えるた
め、オフィスにおける書類の作成、印刷校正、ポスター
の作成、ダンボールのマーキング、ナンバリング等の分
野で利用することができる。また、本発明のインキはヘ
ッドでのインキの吐出安定性および再溶解性に優れ、イ
ンキ抵抗を高く調整できるため、ピエゾタイプおよび静
電吸引式のプリンターに好適に用いらる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料、下記一般式(I)または一般式(I
    I)で示されるダイマージオールおよび有機溶剤を含む
    ことを特徴とするインクジェットインキ。 【化1】 (式中、x,y,m,nは、それぞれ独立に〜10の
    整数を示す。)
  2. 【請求項2】さらに、分散剤を含むことを特徴とする請
    求項1記載のインクジェットインキ。
  3. 【請求項3】顔料3〜10重量%、ダイマージオール
    0.1〜20重量%、分散剤0.1〜10重量%および
    有機溶剤10〜96.8重量%を含むことを特徴とする
    請求項2記載のインクジェットインキ。
  4. 【請求項4】顔料が、有機顔料(A)、有機顔料(A)
    の3重量倍以上の水溶性の無機塩(B)および水溶性の
    溶剤(C)の少なくとも3つの成分からなる混合物を混
    練して有機顔料(A)を微小化した後、(B)および
    (C)を水洗除去してなる平均粒径10〜150nm
    (レーザ散乱による測定値)の処理有機顔料であること
    を特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のインクジ
    ェットインキ。
  5. 【請求項5】分散剤が、下記一般式で示される顔料誘導
    体(D)であることを特徴とする請求項2ないし4いず
    れか記載のインクジェットインキ。 P−〔X−Y−Z−N(R1 )R2 〕n (但し、式中、Pは有機色素残基、複素環残基または芳
    香族多環化合物残基である。Xは、S、C、N、O、H
    から選ばれる2〜15個の原子で構成される化学的に合
    理的な組合せからなる2価の結合基である。Yは直接結
    合、−NR−(但し、RはHまたは炭素数1〜18のア
    ルキル基)、−O−から選ばれる2価の結合基である。
    Zは炭素数1〜6のアルキレン基である。R1 、R2
    それぞれ独立の置換されていてもよい炭素数1〜18の
    アルキル基、またはR1 とR2 とで複素環を形成しても
    よく、該複素環は置換を有していてもよい。nは1〜3
    の整数である。)
  6. 【請求項6】有機顔料(A)が、キナクリドン系有機顔
    料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系
    有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有
    機顔料、キノフタロン系有機顔料およびイソインドリン
    系有機顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のイ
    ンクジェットインキ。
  7. 【請求項7】25℃での粘度が5〜15cpsであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載のインク
    ジェットインキ。
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