JP5194544B2 - 印刷用着色組成物、及びカラーフィルタ基板 - Google Patents

印刷用着色組成物、及びカラーフィルタ基板 Download PDF

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Description

本発明は、種々の微細な着色パターンの形成に用いられる着色組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、印刷による種々の微細な着色パターンの形成に用いられる着色組成物に関する。
着色組成物を用い、種々の方法で形成された微細な着色パターンは、エレクトロニクス等の様々な分野で広く利用されている。例えば、液晶カラーディスプレイに利用される着色パターンは、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、および着色剤を含む活性エネルギー線硬化性着色組成物をスピンコーター等で塗工し、露光とアルカリ現像を行うフォトリソ法により形成されている。
しかし、フォトリソ法によるパターニングは、黒、赤、緑、青等のそれぞれパターンにおいて、洗浄・塗布・露光・現像・熱処理を繰り返すため工程が多く、液晶カラーディスプレイの大型化に伴い、より安価かつ精密なパターニングを行うことが困難であるという問題があった。
最近、従来の印刷技術を発展させた様々な方法で、低コスト、大型化、高精密化に向けた革新的な方法によりパターニングが行われている。例えば、黒、赤、緑、青等のパターンを形成するには、凸版を用いて基板にパターンを形成する方法、あるいは凹版によりパターンを形成した後、ブランケットを介して、同一基板に複数のパターンを重ねて転写する方法が効率的である。これらの方法は、フォトリソ法と異なり、工程が短いが、刷版から基板へのインキの転写工程、または刷版からブランケット、あるいはブランケットから基板へのインキの転写工程において糸引きが発生し、パターンの直線性が低下するなど、パターン形状が低下することが問題となっていた。また、複数のインキを同一基板に重ねて転写する場合には、ブランケット上で、転写工程までの待ち時間が発生するが、インキはこの待ち時間の間に完全に乾燥し、転写性を失ってしまうことがあった。
特開平6−238877号公報 特開平4−45175号公報
そこで、本発明は、インキ塗膜の乾燥状態を制御し、転写性持続時間が長く精密なパターンを形成し得る着色組成物を提供することを目的とする。
前記の課題は、本発明の印刷用着色組成物によって解決することができる。
本発明の印刷用着色組成物は、ビニル系重合体を含んでなるビニル系分散剤、顔料、及びレベリング剤を含んでなる印刷用着色組成物であって、
前記ビニル系重合体主鎖(A)内が、下記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含んでなることを特徴とする、印刷用着色組成物である。
一般式(1)
2は、一般式:−(−Ra1−O−)m1− で表される基であり、
(式中、Ra1は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm1は1〜50の整数である。)
3は、一般式:−(−C(=O)−Rb1−O−)m2− で表される基であり、
(Rb1は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm2は0〜20の整数である。)
1は、下記一般式(2)で表される基であるか、あるいは下記一般式(3)で表される基である。

一般式(2)

〔一般式(2)中、
(i)A1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであるか
iii)A1〜A3のうちの1つが下記一般式(2a)で表される基であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、
(iv)A1〜A3の3つが−C(=O)OHであり、kは1である。〕
一般式(2a)
〔一般式(2a)中、
21は、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−O−、−OC(=O)−若しくは−CH2O−であり、
22は、一般式:−(−Ra21−O−)m21− で表される基であり、
(式中、Ra21は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm21は1〜50の整数である。)
23は、一般式:−(−C(=O)−Rb21−O−)m22− で表される基であり、
(Rb21は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm22は0〜20の整数である。)
21は、下記一般式(21)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(B)であって、ビニル系重合体主鎖(A)とビニル系重合体主鎖(B)とは同一の主鎖であるか、あるいは、それぞれ別の主鎖であることができる。〕
一般式(21)
(一般式(21)中、R21は水素原子又はメチル基である。)

一般式(3)

〔一般式(3)中
vi)A5〜A7のうち1つは−C(=O)ORd(但し、Rdは、炭素原子数1〜のアルキル基である)であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであり
2、−C(=O)OCH2CH2OC(=O)−である。〕}
発明による着色組成物の好ましい態様においては、一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、A1〜A3が組合せ(i)である一般式(2)で表される基である、ビニル系分散剤を含む。
本発明による着色組成物の別の好ましい態様においては、一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、A1〜A3が組合せ(iii)である一般式(2)で表される基である、ビニル系分散剤を含む。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が一般式(2)で表される基であるビニル系分散剤を含む。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、一般式(2)で表される基である。
一般式(4):
〔一般式(4)中、
Gは、上記一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を示し、
4は、水素原子又はメチル基を示し、
5は、水素原子又はメチル基を示し、
6は、芳香族基、又は−C(=O)−X7−R7であり(但し、X7は、−O−若しくは−NH−であり、R7は、水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、R7は、置換基として芳香族基を有していることができる。)、
4は、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−O−、−OC(=O)−若しくは−CH2O−であり、
5は、式:−(−Ra2−O−)m3− で表される基であり、
(式中、Ra2は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm3は1〜50の整数である。)
6は、式:−(−C(=O)−Rb2−O−)m4− で表される基であり、
(式中、Rb2は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、そしてm4は0〜20の整数である。)
Iは、下記一般式(51)、下記一般式(52)、下記一般式(53)、下記一般式(54)、又は、下記一般式(55)で表される基で表される架橋性官能基含有単位(I)を示し、
p1、p2、p3、及びp4はビニル系分散剤一分子あたりの各構成単位の平均個数を示し、
p1は0.3以上3.0以下であり、
p2は0以上180以下であり、
p3は6以上250以下であり、
p4は0以上180以下である。
一般式(4)中のカルボキシル基含有単位(G)、−X4−X5−X6−Hを含む水酸基含有単位(J)、−C(R5)(R6)−を含む主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)の配置は、ランダム型又はブロック型で含まれていることができ、
一般式(4)中に含まれているカルボキシル基含有単位(G)、水酸基含有単位(J)、主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)は、一般式(4)で表されるビニル系重合体主鎖において、任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらが複数個で存在する場合は、相互に同一又は異なっていることができる。


一般式(51):

〔式中、R51は水素原子又はメチル基であり、
1は、下記式(84)で表される基であり、
式(84)


(R a51 は、−CH −CH −である。)
2は、下記式(86)で表される基である。
式(86)

(R c51 はエチル基であり、そしてR d51 はメチル基である。)〕
一般式(52):

〔式中、R52は水素原子又はメチル基であり、
a52は、メチレン基であり、
b52は、エチル基である。〕
一般式(53):
〔式中、R53は水素原子又はメチル基である。〕
一般式(54):

〔式中、R54及びRc54は、それぞれ、水素原子又はメチル基であり、
a54及びRb54は、それぞれ、メチレン基である。〕
一般式(55):

〔式中、R55及びRd55は、それぞれ、水素原子又はメチル基であり、
a55は、−C(=O)O−であり、
b55は、−CH −CH −O−であり
c55は、直接結合である。)
5は、下記式(90)で表される基である。
式(90)

e55 は、−CH −CH である。)〕
発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、ビニル系分散剤の数平均
分子量が500以上40000以下である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(A)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(B)工程(A)で得られるエチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(C)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と他のエチレン性不飽和単量体と共重合させる工程、
(D)工程(C)で得られる共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(E)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合させながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(F)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
(G)工程(F)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(H)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
(I)工程(H)で得られる共重合物のエポキシ基に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程、
(J)工程(I)で得られる共重合物の水酸基に、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(K)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を共重合させる工程、
(L)工程(K)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(M)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(N)工程(M)で得られるエチレン性不飽和単量体(但し、未反応の水酸基が残っているものとする。)を共重合させる工程、
(O)工程(N)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、
ビニル系重合体が、
(P)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(Q)工程(P)で得られるエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
(R)工程(Q)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程
を含む製造方法によって製造されてなるものである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)が、トリメリット酸無水物又はピロメリット酸無水物である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上である熱反応性化合物を更に含
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、バインダー樹脂を更に含み、特には、バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、顔料誘導体を更に含み、特には、顔料誘導体が、一般式(5)で表される化合物である。
一般式(5)
1−(E)q (5)
(式中、G1は、色素原型化合物残基であり、
Eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
qは、1〜4の整数である。)
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、顔料誘導体が、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、有機溶剤を更に含む。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、固形分含有量が、インク組成物全重量に対して、3〜60重量%である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、顔料の含有量が、インク組成物全重量に対して、1〜30重量%である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、顔料とビニル系分散剤との重量比が、100:3〜100:150である。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、25℃における粘度が、2〜40mPa・sである。
本発明による着色組成物の更に別の好ましい態様においては、カラーフィルタ基板用である。
また、本発明は、上記着色組成物を含んでなる印刷層を担持するカラーフィルタ基板にも関する。
本発明の着色組成物は、ビニル系分散剤(A)〔特には、ビニル系分散剤(a)〕を含有しているので印刷工程中のインキの流動性が保たれるため、効率よく塗工、パターニング、転写のそれぞれの工程において最適な性状に制御でき、転写性持続時間が長く、基板上に精密な黒、赤、緑、青等のパターンを形成することができる。
[ビニル系分散剤について]
本発明の印刷用着色組成物は、ビニル系分散剤を含有している。
本発明で用いることのできるビニル系分散剤(a)は、ビニル系重合体主鎖内に、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含む構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般に、顔料分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)において、一般式(2)又は一般式(3)で表されるY1は、芳香族環の環構成炭素原子に直接に結合するカルボキシル基2個又は3個を有しており、この芳香族環の環構成炭素原子に直接に結合する複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位となる。しかしながら、Y1がカルボキシル基1個をのみ有する場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、1分子中に一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)〔特には、一般式(1)における基Y1〕を平均0.3個以上3.0個以下含むことが重要である。更に好ましくは0.35個以上2.0個以下、最も好ましくは0.4個以上1.5個以下である。0.3個より少ない場合、顔料に吸着する部位が少なく、結果として分散能力が低下する。また、3.0個より多い場合、顔料に吸着する部位が多くなりすぎて、逆に分散性の低下を招く場合がある。
一般式(1)において、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から、一般式(1)は、X1が−C(=O)O−である一般式(1’):
であることが好ましく、更に、Ra1は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状プロピレン基、又は直鎖状若しくは分岐状ブチレン基)であることが好ましく、m1は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb1は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m2は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。
特に、Y1は、一般式(2)中のA1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つが−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、一般式(3)中のA5〜A7のうちの1つが水素原子であって、他の2つが−C(=O)OHである組合せであることが好ましい。
また、別の態様としては、一般式(2)中のA1〜A3のうちの1つが一般式(2a)で表される基であって、他の2つが−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、一般式(3)中のA5〜A7のうちの1つが一般式(3a)で表される基であって、他の2つが−C(=O)OHである組合せであることが好ましい。このような組合せを含む、本発明のビニル系分散剤の一態様は、例えば、一般式(4A)で表すことができる。
一般式(4A):
〔一般式(4A)中、曲線部分はビニル系重合体主鎖を描写したものであり、
1及びX1〜X3は、一般式(1)における各基と同じ意味であり、
11及びX11〜X13は、それぞれ、一般式(1)におけるR1及びX1〜X3と同じ意味であり(但し、R11とR1、X11とX1、X12とX2、X13とX3は、それぞれ、互いに独立しているものとする)、
2は、一般式(2’):
〔一般式(2’)中、k’は1又は2である〕
又は、一般式(3’):
〔一般式(3’)中、R2'は、前記一般式(3)における基R2と同じ意味である〕
で表される4価の有機残基である。
1〜E4は、ビニル系重合体主鎖の末端を示す。ここで、E1末端若しくはE2末端は、E3末端又はE4末端と結合していてもよい。但し、E1末端とE2末端とが同時に同じ末端に結合することはない。〕
一般式(4A)において、E1末端若しくはE2末端が、E3末端又はE4末端と結合している場合〔例えば、一般式(2a)において、ビニル系重合体主鎖(B)がビニル系重合体主鎖(A)と同一主鎖であるか、あるいは、一般式(3a)において、ビニル系重合体主鎖(C)がビニル系重合体主鎖(A)と同一主鎖である場合〕、そのビニル系重合体主鎖内に、
一般式(4B):
〔式中、R1及びX1〜X3、R11及びX11〜X13、並びにY2は、一般式(4A)における各基と同じ意味であり、
一般式(4b):
で表される主鎖構成単位(B)は、ビニル系重合体主鎖を構成可能な構成単位〔例えば、後述の一般式(4j)で表される水酸基含有単位(J)若しくは一般式(4k)で表される主鎖構成単位(K)、一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)(但し、一般式(1)において、一般式(2)中のA1〜A3がいずれも一般式(2A)で表される基ではなく、一般式(3)中のA5〜A7がいずれも一般式(3A)で表される基でないものとする)、又は一般式(51)〜(55)で表される架橋性官能基含有単位(I)〕であり、
m41は、0以上430以下である〕
で表される主鎖構成単位を含む。
一般式(4A)において、E1末端若しくはE2末端が、いずれも、E3末端又はE4末端と結合していない場合〔例えば、一般式(2a)において、ビニル系重合体主鎖(B)がビニル系重合体主鎖(A)と異なる主鎖であるか、あるいは、一般式(3a)において、ビニル系重合体主鎖(C)がビニル系重合体主鎖(A)と異なる主鎖である場合〕、ビニル系重合体主鎖(A)に関する本明細書の記載は、Z21〔すなわち、一般式(21)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(B)〕又はZ31〔すなわち、一般式(31)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(C)〕についても、当業者の技術常識に従って、そのまま適用することができる。
更に、一般式(1)においては、Y1は一般式(2)で表される基であることが好ましく、更に好ましくはkが1である場合である。また、Y1が一般式(3)で表される場合、R2は、直接結合、−C(=O)OCH2CH2OC(=O)−、又は式(81)で表される基であることが好ましい。
式(81)
本発明で用いるビニル系分散剤(a)としては、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)と、一般式(4k):
〔一般式(4k)中、R5及びR6は、前記と同じ意味である〕
で表される主鎖構成単位(K)と、更に所望により含有することのできる、一般式(4j):
〔一般式(4j)中、R4、X4、X5、及びX6は、前記と同じ意味である〕
で表される水酸基含有単位(J)と、一般式(51)〜(55)のいずれかで表される架橋性官能基含有単位(I)との各構成単位からなるブロック共重合体又はランダム共重合体を挙げることができる。
従って、本発明による好ましいビニル系分散剤(a)は、一般式(4)又は一般式(4a):
−〔G〕p1−〔J〕p2−〔K〕p3−〔I〕p4− (4a)
で表される共重合体である。
ここで、Gは、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位であり、Jは、一般式(4j)で表される水酸基含有単位であり、Kは、一般式(4k)で表される主鎖構成単位であり、Iは一般式(51)〜(55)のいずれかで表される架橋性官能基含有単位であり、p1は0.3以上3.0以下(好ましくは0.35以上2.0以下、更に好ましくは0.4以上1.5以下)、p2は0以上180以下(好ましくは0.05以上50以下)、p3は6以上250以下(好ましくは10以上100以下)、p4は0以上180以下(好ましくは0.1以上180以下、より好ましくは0.5以上100以下、更に好ましくは2以上50以下)である。
また、一般式(4a)において、カルボキシル基含有単位(G)と水酸基含有単位(J)と主鎖構成単位(K)と架橋性官能基含有単位(I)とは、それぞれ、ブロック共重合形式又はランダム共重合形式で存在することができる。更に、カルボキシル基含有単位(G)、水酸基含有単位(J)、主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)は、一般式(4a)中に、それぞれ複数個で存在することができる。この場合は、それぞれの単位が相互に同一又は異なっていることができる。例えば、主鎖構成単位(K)が2種又はそれ以上の構造の構成単位を含んでいることができる。なお、一般式(4a)におけるカルボキシル基含有単位(G)、水酸基含有単位(J)、主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)の配置は、〔G〕p1、〔J〕p2、〔K〕p3、及び〔I〕p4をこの順序で含むことを意味するものではなく、各単位G、J、K、及びIを、それぞれ、任意の順序で含むことができることを意味するものである。
一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いるビニル系分散剤(a)に含まれる水酸基含有単位(J)において、X4は−C(=O)O−であることが好ましく、Ra2は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基又は直鎖状若しくは分岐状のブチレン基)であることが好ましく、m3は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb4は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m4は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。
一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、主鎖構成単位(K)として、R5がメチル基であり、R6が−C(=O)−O−CH2−Ar(但し、Arは芳香族基、特にはフェニル基である)である主鎖構成単位(K1)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K1)は、ビニル重合体一分子あたり平均で1以上100以下の量で有していることが好ましく、この態様のビニル系分散剤(a)は、分散能力に優れる。
更に、一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、主鎖構成単位(K)として、R5がメチル基であり、R6が−C(=O)−O−R7(但し、R7は炭素原子数2〜12の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である)である主鎖構成単位(K2)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K2)は、ビニル系分散剤(a)内において、主鎖構成単位(K1)と共存するのが、より好ましい。
更にまた、一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、主鎖構成単位(K)として、R5が水素原子であり、R6が芳香族基(特に、フェニル基)である主鎖構成単位(K3)を、それ単独で、あるいは主鎖構成単位(K1)及び/又は主鎖構成単位(K2)と併存させて含むことが好ましい。更に、主鎖構成単位(K)として、R5が水素原子又はメチル基であり、R6がカルボキシル基である主鎖構成単位(K4)を、主鎖構成単位(K1)、主鎖構成単位(K2)、及び/又は主鎖構成単位(K3)と併存させて含むこともできる。
主鎖構成単位(K1)と主鎖構成単位(K2)とを併存させる場合、それらの比率(K1/K2)は、例えば、0.01〜100、好ましくは0.1〜10であることができる。また、主鎖構成単位(K3)を主鎖構成単位(K1)及び/又は主鎖構成単位(K2)と併存させる場合、その比率〔K3/(K1+K2)〕は、例えば、0.01〜10、好ましくは0.05〜2であることができる。更に、主鎖構成単位(K4)を、それ以外の主鎖構成単位(K)と併存させる場合、その比率〔K4/K〕は、例えば、0〜0.2、好ましくは0〜0.1であることができる。
一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、架橋性官能基含有単位(I)として、一般式(51)〜(55)のいずれかで表される架橋性官能基含有単位が挙げられるが、好ましくは、以下のとおりである。
一般式(51)のT1は、下記式(84)、又は式(85)で表される基である。
式(84)
又は式(85)
であることが好ましく、より好ましくは、Ra51が、−CH2−CH2−であるか、
b51が、−(CH3)C(CH3)−である。
一般式(51)のT2は、
c51がエチル基であって、かつ、Rd51がメチル基であるか、
f51が水素原子であって、かつ、Re51およびRg51がメチル基であるか、
n51が5であるものが好ましい。
一般式(52)は、
a52がメチレン基であって、Rb52がエチル基であるものが好ましい。
一般式(54)は、
a54およびRb54が、メチレン基であるものが好ましい。
一般式(55)のXa55は、−C(=O)O−が好ましく、
一般式(55)のXb55は、Rb55が−CH2−CH2−であり、m55が1であるのが好ましい。
一般式(55)のXc55が、n55が0であるものが好ましい。
一般式(55)のT5は、Re55が−CH2−CH2−であるか、Rf55が−(CH3)C(CH3)−であるのが好ましい。
一般式(4)で示されるビニル系分散剤(a)の主鎖の末端は、公知のエチレン性不飽和単量体の重合方法、又は重合過程で考えられる構造、例えば、重合開始剤由来、連鎖移動剤由来、溶剤由来、又はエチレン性不飽和単量体由来の化学構造などを有してよい。
本発明で用いるビニル系分散剤(a)の数平均分子量は、500以上40000以下であることが好ましく、更に好ましくは1000以上20000以下、最も好ましくは1500以上16000以下である。数平均分子量が500未満であっても、40000を超えても分散性、又は流動性の低下を招く場合がある。
本発明で用いるビニル系分散剤(a)は、本発明で用いる製造方法によって調製することができる。後述する本発明で用いる製造方法によれば、ビニル系分散剤(a)だけでなく、ビニル系分散剤(a)を包含する広範な構造を有するビニル系分散剤(A)を製造することができる。すなわち、後述する本発明で用いる製造方法において、特定の出発材料を選択することによって、本発明で用いるビニル系分散剤(a)を調製することができる。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)の製造方法としては、以下の製造方法1〜8を挙げることができる。
製造方法1:
(A)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(B)該エチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体〔一般式(51)〜(53)中に示されるいずれかの架橋性官能基(すなわち、一般式(51)〜(53)で表される架橋性官能基含有単位から主鎖構成部分を除いた部分)を有するエチレン性不飽和単量体を含んでもよい〕とを共重合させる工程
からなる。
製造方法2:
(C)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体〔一般式(51)〜(53)中に示されるいずれかの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含んでもよい〕と共重合させる工程、
(D)該共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
からなる。
製造方法3:
(E)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体〔一般式(51)〜(53)中に示されるいずれかの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含んでもよい〕と共重合させながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を同時に反応させる。
更に、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(54)又は(55)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基のいずれかを含む場合には以下の製造方法4〜8を例示することができる。
製造方法4:
(F)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを(好ましくは他のエチレン性不飽和単量体と共に)共重合させる工程、
(G)工程(F)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
を含む。
工程(G)において、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物は、工程(F)で得られる共重合物のカルボキシル基と反応し、一般式(54)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基を生じさせる。一方、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)は、共重合物の水酸基と反応する。
また、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(51)〜(53)に示されるいずれかの架橋性官能基をも含む場合は、工程(F)でこれらの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させる。
製造方法5:
(H)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを(好ましくは他のエチレン性不飽和単量体と共に)共重合させる工程、
(I)工程(H)で得られる共重合物のエポキシ基に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程、
(J)工程(I)で得られる共重合物の水酸基に、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
を含む。
工程(I)において、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、工程(H)で得られる共重合物のエポキシ基と反応し、一般式(54)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基を生じさせる。
また、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(51)〜(53)に示されるいずれかの架橋性官能基をも含む場合は、工程(H)でこれらの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させる。
製造方法6:
(K)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を(好ましくは他のエチレン性不飽和単量体と共に)共重合させる工程、
(L)工程(K)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
を含む。
工程(L)において、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物は、工程(K)で得られる共重合物の水酸基と反応し、一般式(55)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基を生じさせる。一方、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)も、共重合物の水酸基と反応する。
また、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(51)〜(53)に示されるいずれかの架橋性官能基をも含む場合は、工程(K)でこれらの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させる。
製造方法7:
(M)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(N)工程(M)で得られるエチレン性不飽和単量体(但し、未反応の水酸基が残っているものとする)を(好ましくは他のエチレン性不飽和単量体と共に)共重合させる工程、
(O)工程(N)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程
を含む。
製造方法7では、工程(O)において、一般式(55)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基が形成される。また、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(51)〜(53)に示されるいずれかの架橋性官能基をも含む場合は、工程(N)でこれらの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させる。
製造方法8:
(P)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(Q)工程(P)で得られるエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを(好ましくは他のエチレン性不飽和単量体と共に)共重合させる工程、
(R)工程(Q)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程
を含む。
製造方法8では、工程(R)において、一般式(54)に示される、不飽和結合を有する架橋性官能基が形成される。また、本発明のビニル系分散剤(A)が架橋性官能基として、一般式(51)〜(53)に示されるいずれかの架橋性官能基をも含む場合は、工程(Q)でこれらの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させる。
前記の製造方法で使用される水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明で用いる製造方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
トリカルボン酸無水物(M3)としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族トリカルボン酸無水物、又は多環式トリカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、本発明で用いる製造方法では、後述するテトラカルボン酸二無水物(M4)において1分子のうちの1個の酸無水物を水、炭素原子数1〜18のアルコールあるいは炭素原子数5〜18のシクロアルコール(例えばメタノール、エタノール、直鎖状若しくは分岐状のプロパノール、直鎖状若しくは分岐状のブタノール、直鎖状若しくは分岐状のペンタノール若しくはシクロペンタノール、直鎖状若しくは分岐状のヘキサノール若しくはシクロヘキサノール、直鎖状若しくは分岐状のヘプタノール若しくはシクロヘプタノール、直鎖状若しくは分岐状のオクタノール若しくはシクロオクタノール、直鎖状若しくは分岐状のノナノール若しくはシクロノナノール、直鎖状若しくは分岐状のデカノール若しくはシクロデカノール、直鎖状若しくは分岐状のドデカノール若しくはシクロドデカノール、直鎖状若しくは分岐状のミリスチルアルコール若しくはシクロミリスチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のセチルアルコール若しくはシクロセチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のステアリルアルコール若しくはシクロステアリルアルコールなどが挙げられる)で開環したテトラカルボン酸モノ無水物、及びテトラカルボン酸モノエステルモノ無水物も、本発明で用いる製造方法において、トリカルボン酸無水物(M3)として用いることができる。本明細書では、脂肪族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、芳香族トリカルボン酸無水物、多環式テトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物は、多環式トリカルボン酸無水物として説明する。これらテトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物の具体例は、後述するテトラカルボン酸二無水物から当業者には自明である。
テトラカルボン酸二無水物(M4)としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は多環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物などを挙げることができる。
本発明で用いる製造方法1について更に詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法1では、まず水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを反応させる工程(A)を行う。この工程(A)は、単量体が熱重合してしまわないように、乾燥空気を反応装置内に流しながら、重合禁止剤を添加して、80℃〜150℃で行うのが好ましい。より好ましくは90℃〜130℃である。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
工程(A)で水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/トリカルボン酸無水物(M3)のモル数」が0.8以上10以下であることが好ましい。より好ましくは0.9以上5以下、更に好ましくは0.95以上2以下である。0.8未満であると、トリカルボン酸無水物(M3)が残存するため好ましくない。10を超えると、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が大量に残り、後の工程(B)で共重合できる他のエチレン性不飽和単量体の量が減り好ましくない。
工程(A)で水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸二無水物(M4)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/テトラカルボン酸二無水物(M4)のモル数」が0.5以上10.0以下であることが好ましい。より好ましくは1.0以上5.0以下である。0.5未満であると、テトラカルボン酸二無水物(M4)が多く残存するため好ましくない。10を超えると、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が大量に残り、後の工程(B)で共重合できる他のエチレン性不飽和単量体の量が減り好ましくない。
工程(A)では触媒を用いてもかまわない。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
更に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸二無水物(M4)を「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/テトラカルボン酸二無水物(M4)のモル数」が2.0未満で反応させた場合、この時点で残存する酸無水物基を水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させ〔工程(Aa)〕、不要な酸無水物基の除去を容易にすることができる。
続いて、製造方法1では、工程(A)で合成したエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体〔一般式(51)〜(53)のいずれかの架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含んでもよい〕とを共重合させる工程(B)を行う。
工程(A)で用いる他のエチレン性不飽和単量体としては、芳香族基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)(工程(A)で残存したものを含む)、及び一般式(51)〜(53)で表される架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体から選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
非置換のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のブチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘプチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のノニル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のデシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のドデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のミリスチル(メタ)アクリレート、シクロミリスチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のセチル(メタ)アクリレート、シクロセチル(メタ)アクリレート、及び直鎖状若しくは分岐状のステアリル(メタ)アクリレート、又はシクロステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
非置換のN−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−プロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ブチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロペンチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘプチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ノニル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−デシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロドデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロミリスチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−セチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロセチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ステアリル(メタ)アクリルアミド、又はN−シクロステアリル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、N−ベンジル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミド又はアクリルアミドを示す。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸二量体、アクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)、及びメタクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)などが挙げられる。
また、一般式(51)で表される架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、カレンズMOI−BM、カレンズMOI−BP(昭和電工製)などが挙げられる。
一般式(52)で表される架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、ETERNACOLL OXMA(宇部興産製)などが挙げられる。
一般式(53)で表される架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレートなどが挙げられる。
工程(B)では、反応容器を窒素置換しながら重合開始剤を用い、50℃〜150℃で重合するのが好ましい。重合開始剤としては、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらのうちアゾ化合物が使用されるのが好ましい。重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部使用される。
工程(B)では連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、α−メチルスチレン二量体が挙げられる。
工程(B)では、溶剤を使用することが好ましい。溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、キシレン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類などを用いることができる。
工程(A)の後で、工程(Aa)を行っていない場合、工程(B)の後に残存する酸無水物を水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる〔工程(Bb)〕。工程(Aa)、若しくは工程(Bb)では、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水又は炭素原子数1〜18のアルコールのモル数は、0.9倍以上5倍以下(好ましくは1倍以上2倍以下)であることが好ましい。0.9倍未満では反応性の高い酸無水物基が多く残り、5倍を超えると水又は炭素原子数1〜18のアルコールが多く残存し、どちらにしても、インキや塗料へ用途展開した場合、問題となる場合がある。但し、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水又は炭素原子数1〜18のアルコールを1倍を超えて反応させた場合は、反応後残存する水又は炭素原子数1〜18のアルコールを加熱、又は減圧して取り除くことができる。反応工程(Aa)、若しくは工程(Bb)は80〜150℃で行うことが好ましい。
次に、本発明で用いる製造方法2について詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法2では、まず、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合させる工程(C)を行う。他のエチレン性不飽和単量体としては、製造方法1の工程(B)で例示した芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、及びカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体から選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と他のエチレン性不飽和単量体との共重合比は、重合後の一分子に平均で少なくとも0.3個以上177個以下の水酸基が入るように決められる。
工程(C)での、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程(B)と同様であることが好ましい。
続いて、製造方法2では、工程(C)で得られた共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程(D)を行う。工程(D)では、窒素又は乾燥空気を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましい。ここで、製造方法1の工程(A)で例示した触媒を用いることもできる。
製造方法2の工程(D)でテトラカルボン酸二無水物(M4)を使用した場合で、酸無水物基が残存する場合は製造方法1の工程(Bb)と同じ方法により、水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる〔工程(Dd)〕。
次に、本発明で用いる製造方法3について詳細に説明する。
本発明で用いる製造方法3では、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合しながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を同時に反応させる。反応は、窒素を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましく、水酸基と酸無水物の反応の触媒としては製造方法1の工程(A)に示したもの、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程(B)で示したものが好ましい。
製造方法3で用いる他のエチレン性不飽和単量体とは、製造方法2の工程(C)で用いる化合物と同じものを示す。製造方法3でも、酸無水物基が残存する場合は製造方法1の工程(Bb)と同じ方法により、水又は炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる〔工程(Ee)〕。
これら製造方法1〜3により、本発明で用いるビニル系分散剤(A)を製造することができる。このうち、製造方法2が分散剤一分子中のカルボキシル基含有単位(G)の個数を制御するのが容易である点で好ましい。製造方法2の工程(C)で得られた共重合物の数平均分子量を予め測ることができ、その値に合わせてトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる量を決定できるからである。例えば、製造方法2でビニル系分散剤(A)を製造するには、工程(C)で得られた共重合物の数平均分子量を測定し、その測定値が[X]であった場合、トリカルボン酸無水物(M3)を使用する場合は樹脂[X]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)を反応させれば良い。一方、テトラカルボン酸二無水物(M4)を使用する場合は樹脂[X]gに対して0.15モル以上1.5モル以下のテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させれば良い。これは、テトラカルボン酸二無水物(M4)は酸無水物基を2つ有するため、工程(C)で得られた共重合物二分子を橋掛けするためトリカルボン酸無水物(M3)を使用する場合の半分の量で良いためである。
また、工程(D)でテトラカルボン酸二無水物(M4)を使用する場合で、工程(C)で得られた共重合物一分子に含まれる水酸基の個数が1.1個以上の場合、共重合体に含まれる水酸基の全量〈OH〉と、テトラカルボン酸二無水物(M4)に含まれる酸無水物基の全量〈AH〉との比:〈OH〉/〈AH〉の値が0.9未満であるか、又は1.1以上であることが好ましい。〈OH〉/〈AH〉の値が0.9以上1.1未満の範囲であると、ビニル系分散剤(A)が本発明の好適な数平均分子量の上限40000を超える場合がある。
製造方法1又は3により、本発明で用いるビニル系分散剤(A)を製造する場合は、最終的に得られるビニル系分散剤(A)の数平均分子量[Y]と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)の仕込みモル数とから逆算して、結果としてビニル系分散剤(A)が[Y]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)が反応させられていればよい。
本発明の製造方法でビニル系分散剤(A)を製造する場合、トリカルボン酸無水物(M3)を使用する場合は、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、更にはトリメリット酸無水物が好ましい。また、上記のうちテトラカルボン酸二無水物(M4)を使用する場合は、芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いるのが好ましく、更に好ましくはピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
製造方法1〜3のどの方法においてもビニル系分散剤(A)を製造する場合、他のエチレン性不飽和単量体として、分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートと、ベンジル(メタ)アクリレートと、必要に応じ水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)、必要に応じスチレンと、必要に応じカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とが共重合されるのが好ましい。更に、ビニル系分散剤(A)の一分子中に分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートが1〜50個、ベンジル(メタ)アクリレートが1〜50個共重合されるのが好ましい。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)には、これまで例示した以外の種々のエチレン性不飽和単量体も分散性を妨げない範囲で共重合させることが可能であり、例えば、イソシアナト基、ブロックイソシアナト基、アルコキシシリル基、3〜5員環の環状エーテル基などの熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合させることができる。
列挙した出発材料から適宜選択した出発材料を用いることによって、本発明で用いる製造方法により、ビニル系分散剤(a)を調製することができる。
ビニル系分散剤(A)〔又は、特にビニル系分散剤(a)〕と顔料(P)を用いて、本発明の顔料組成物が得られる。ここで、ビニル系分散剤(A)〔又は、特にビニル系分散剤(a)〕を使用することにより分散性、流動性、及び保存安定性に優れた顔料組成物となる。
また、本発明の印刷用着色組成物では、ビニル系分散剤と一緒に公知の分散樹脂を併用して用いることが出来る。分散樹脂を併用する事により、顔料の分散性が更に向上し、インキの低粘度化、インキの経時粘度安定性の向上に繋がる。
ビニル系分散剤と併用することの出来る分散樹脂としては特に限定される事はない。市販の分散樹脂としては具体的に以下のものが挙げられる。
BYK Chemie社製 Anti−Terra−U、U100、203、204、205、Disperbyk−101、102、106、107、110、111、130、140、142、170、171、174、180、2001、BYK−P104、P105、9076。
アビシア社製 ソルスパーズ3000、13940、17000、21000、24000、26000、366000、41000、41090、53095
Efka CHEMICALS社製 エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766、エフカポリマー100、150、400、401、402、403、450、451、452、453。
共栄社化学社製 フローレン TG−710、フローノンSH−290、SP−1000、ポリフローNo.50E、No.300、楠本化成社製 ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150、#7004、日光ケミカル社製 ニッコールT106、MYS−IEX、Hexagline 4−0。
公知の分散樹脂としてはポリエステル系分散樹脂が挙げられる。ポリエステル系分散樹脂は、一般式(70)で表される構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。その製造方法は、例えば、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合して片末端に水酸基を有するポリエステルを製造する第一の工程と、該片末端に水酸基を有するポリエステルと、テトラカルボン酸二無水物を反応させる第二の工程とからなる方法が挙げられる。
一般式(70):
(HOOC―)e70―Ra71―(―COO―[―Ra73―COO―]f70―Ra72g70
(一般式(10)中、Ra71は4価のテトラカルボン酸化合物残基、
a72はモノアルコール残基、
a73はラクトン残基、
e70は2または3の整数、f70は1〜50の整数、g70は(4−e)を表す。)
[顔料について]
本発明の印刷用着色組成物は、顔料を含有している。
顔料としては、有機顔料、無機顔料、又はアセチレンブラック、チャンネルブラック、若しくはファーネスブラック等のカーボンブラックを用いることができる。
有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、若しくは無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、若しくはビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等を挙げることができる。
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、又はコバルトバイオレット等を挙げることができる。
また、以下に、本発明による着色組成物に使用可能な顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示す。
赤色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、及び/又はオレンジ顔料を併用することができる。
イエロー色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
オレンジ色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
緑色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
本発明の印刷用着色組成物は、前記顔料を、1種単独で含有するか、あるいは2種以上を混合して含有することができる。
顔料の粒子径は、可視光の吸収係数(スペクトルの適正さ)及び透明性の点から、可視光の波長に対して充分小さいことが好ましい。すなわち、顔料は、平均一次粒子径が0.01μm以上0.3μm以下、特に0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。なお、一次粒子径とは、最小単位の顔料粒子の直径をいい、電子顕微鏡で測定される。顔料の一次粒子径は、サンドミル、ニーダー、又は2本ロール等の既知の分散装置を用いて適正な範囲内に制御することができる。
本発明の印刷用着色組成物において、顔料は、組成物全体の重量に対して、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜25重量%の量で含有されていることが好ましい。顔料の含有量が1重量%未満になるとインク皮膜の濃度が不足し、30重量%を超えると、粘度が上昇したり、経時安定性が低下することがある。また、顔料とビニル系分散剤との重量比は、好ましくは100:3〜100:150、より好ましくは100:5〜100:100である。重量比が100:3未満になると、着色組成物の粘度が十分に低くならないことがあり、100:150を超えると、着色組成物の造膜性が低下することがある。
[レベリング剤について]
本発明の印刷用着色組成物は、レベリング剤を含有している。
レベリング剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等を挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、又はジメチルポリシロキサン−ポリアルキレンオキサイド共重合体等を挙げることができる。
カオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、又はアルキルイミダゾリン等を挙げることができる。
本発明の印刷用着色組成物は、前記レベリング剤を、1種単独で含有するか、あるいは2種以上を混合して含有することができる。
本発明の印刷用着色組成物において、レベリング剤は、組成物全体の重量に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.02〜5.0重量%の量で含有されていることが好ましい。レベリング剤の含有量が0.01重量%未満になると、インキ塗工時にブランケット上にハジキを発生し、均一なインキ皮膜を形成できず、10重量%を超えると、インキ皮膜の物性が悪化することがある。
[熱反応性化合物について]
本発明の着色組成物は、硬化後の塗膜強度を確保するために、熱反応性化合物を含有することができる。本発明の着色組成物に用いることのできる熱反応性化合物は、常温下では非反応性であるが、例えば、100℃以上(好ましくは150℃以上)の温度で、架橋反応、重合反応、重縮合反応、又は重付加反応を示す化合物である。本発明の着色組成物に用いることのできる熱反応性化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜2000、より好ましくは100〜1000である。
熱反応性化合物としては、例えば、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、アクリレート系モノマー、又はシランカップリング剤を用いることができる。
メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基を有するものが挙げられる。その中でも、アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物が好ましい。アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物を用いた場合、本発明の着色組成物を含有する塗料又はインキの保存安定性が著しく向上する。
アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン、テトラメトキシメチロールベンゾグアナミン、テトラブトキシメチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
メラミン化合物の市販品の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
日本カーバイド社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MS−001、MX−002、MX−730、MX750、MX−708、MX−706、MX−042、MX−035、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−417、MX−410、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、207、マイコート506、508、212、715などが挙げられる。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のメラミン化合物である、日本カーバイド社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、238、マイコート506、508である。
ベンゾグアナミン化合物の市販品の具体例としては、例えば、日本カーバイド社製ニカラックBX−4000、SB−401、BX−37、SB−355、SB−303、SB301、BL−60、SB−255、SB−203、SB−201、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123、マイコート105、106、1128などが挙げられる。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のベンゾグアナミン化合物である、社製ニカラックBX−4000、SB−401、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123である。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルo−フタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオールのグリシジルエーテル、ポリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ベンゼン、ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ビフェニル、1−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)メチル〕エステル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させたノボラック型フェノール化合物、塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール化合物どちらも用いることができる。フェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等を挙げることができる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを挙げることができる。フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
ベンゾオキサジン化合物の市販品の具体例としては、例えば、四国化成工業社製ベンゾオキサジンP−d型、ベンゾオキサジンF−a型等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ブロック化カルボン酸化合物としては、カルボン酸化合物として例えば、1,2−フタル酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸、1,2,4−トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、C1−CIC酸、CIC酸、C3−CIC酸、Bis−CIC酸等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ブロック剤としては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
ブロック化イソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物として例えば、ヘキサメチレジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト型、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)及びイソシアネート残基を有するウレトジオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
ブロック剤としては、例えば、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、又は活性メチレン(100〜120℃)等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
カルボジイミド化合物の市販品の具体例としては、例えば、日清紡社製カルボジライトV−01、V−03、V−05等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
アクリレートモノマーを用いる場合には、更に硬化性を向上させる目的で、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、加熱時に硬化性を向上させる目的で熱重合開始剤を用いてもよい。熱重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等を挙げることができる。
これらの熱反応性化合物のうち、メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、又はアクリレートモノマー類などについては本発明の着色組成物中に1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。また、シランカップリング剤は本発明の着色組成物中に0.1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。含有量が不足すると、耐熱性、又は耐薬品性に劣る場合がある。また、含有量が40重量%より多くなると、粘度の増加、又は保存安定性の低下が生じる場合がある。
[バインダー樹脂について]
本発明の印刷用着色組成物は、更にバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂は、熱反応性化合物の反応温度においても、非反応性の樹脂であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂の例としては、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂などを用いることができる。
バインダー樹脂として、架橋可能な官能基を有するものを用いることもできる。架橋可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、又はアルコキシル基等を挙げることができる。
架橋可能な官能基を有する樹脂としては、エステル化反応により樹脂が緩やかに架橋するため、水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂が好ましい。
水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂は、水酸基を有するモノマー又はカルボキシル基を有するモノマーと、水酸基及びカルボキシル基を有しないアクリルモノマーとを共重合することにより得られる樹脂である。
水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(n=2〜50)、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(カプロラクトンの繰り返し数=1〜6)、エポキシ(メタ)アクリレート、水酸基末端ウレタン(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノメタクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコールモノアクリレートなどを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては,アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、2−カルボキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸などを挙げることができる。
水酸基及びカルボキシル基を有しないアクリルモノマーとしては、一般式(20)で示されるモノマーを用いてもよい。
一般式(20):
43:炭素数1〜30のアルキル基、−CH2−CH=CH2、置換されていてもよいフェニル基又はC=0−C(R51)=CH2を表す。
41及びR51:水素原子又はメチル基を表す。
42:炭素数1〜4アルキレン基を表す。
s:1〜100の整数を表す。
一般式(20)で示されるモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノアクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート等を挙げることができる。これらは、例えば日本油脂株式会社よりブレンマーシリーズや東亜合成株式会社よりアロニックスシリーズとして市販されている。
一般式(20)で示されるモノマー以外の、水酸基及びカルボキシル基を有しないアクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類や、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等を挙げることができる。また、アルキル基の水素原子の一部又は全部が芳香環,複素環,ハロゲン原子などで置換されているアルキル(メタ)アクリレートなど、一般にアクリル樹脂の合成に用いられるモノマーを用いることができる。
また、架橋可能な官能基を有する樹脂としては、顔料の分散性及び経時での安定性が向上し、更に着色組成物が低粘度となるため、リン酸基又はスルホン酸基を有する樹脂が好ましい。
リン酸基及びスルホン酸基は、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等の多価金属、アンモニア、又はエチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジステアリルアミン等の有機アミンと塩を形成していてもよい。
リン酸基を有する樹脂に含まれるリン酸基は、式(22)で示される1価のリン酸基であっても式(23)で示される2価のリン酸基であってもよい。
式(22):
式(23):
リン酸基を有する樹脂としては、例えば、エチレングリコールメタクリレートフォスフェート、プロピレングリコールメタクリレートフォスフェート、エチレングリコールアクリレートフォスフェート、プロピレングリコールアクリレートフォスフェートに代表されるような一般式(24)で示されるモノマーを重合成分として含有するビニル系重合体を挙げることができる。
一般式(24):
44:水素又はメチル基を表す。
45:アルキレン基を表す。
u:1〜20の整数を表す。
リン酸基を有するモノマーの具体例を以下に示すが、これに限るものではない。
これらのリン酸基を有するモノマーは、特公昭50−22536、特開昭58−128393に記載の方法で製造することができる。市販品としては、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(以上ユニケミカル社製)、ライトエステルP−1M(以上共栄社化学社製)、JAMP−514(以上城北化学工業社製)、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21(以上日本化薬社製)等がある。
これらのリン酸基を有するモノマーは、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体におけるリン酸基を有するモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜30重量部以下であることが好ましく、0.1〜5重量部以下であることが更に好ましい。
スルホン酸基を有する樹脂としては、例えば、スルホン酸基を有するモノマーを重合成分として含有するビニル系重合体を挙げることができる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、4−スルホブチルメタクリレート等を挙げることができる。
これらのスルホン酸基を有するモノマーは、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体におけるスルホン酸基を有するモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることが更に好ましい。
リン酸基又はスルホン酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜50000であり、更に好ましくは2000〜30000である。
リン酸基を有する樹脂は、リン酸基を有するモノマーとリン酸基を有しないモノマーとをラジカル重合することにより得ることができる。また、スルホン酸基を有する樹脂は、スルホン酸基を有するモノマーとスルホン酸基を有しないモノマーとをラジカル重合することにより得ることができる。リン酸基を有しないモノマー及びスルホン酸基を有しないモノマーとしては、先に例示した水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基及びカルボキシル基を有しないモノマーを用いることができる。
水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂、リン酸基又はスルホン酸基を有する樹脂の合成は、開始剤の存在下、不活性ガス気流下、50〜150℃で2〜10時間かけて行われる。必要に応じて溶剤の存在下で行っても差し支えない。開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を挙げることができる。開始剤は、モノマー100重量部に対して好ましくは1〜20重量部使用される。
スルホン酸基を有する樹脂の合成時に用いられる溶剤としては、水及び/又は水混和性有機溶剤を用いることが好ましい。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコール又はジエチレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル等を挙げることができる。
また、スルホン酸基以外の官能基を有する樹脂の合成時に用いられる溶剤としては、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル系溶剤や、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。
また、樹脂としては、一般式(25)又は一般式(26)で示されるモノマーを重合成分として含有する樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いることにより、顔料の分散性及び経時での安定性が向上し、更に着色組成物が低粘度となるためである。
式(25)
式(26)
一般式(25)及び一般式(26)中、R46及びR48は水素原子又はメチル基を表し、R47及びR49は炭素原子数1〜4アルキレン基を表し、v及びwは1〜100の整数を表す。
一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーとしては、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドエチレンオキサイド(ブロックタイプ)変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート等を挙げることができる。これらは、例えば日本油脂株式会社よりブレンマーシリーズや東亜合成株式会社よりアロニックスシリーズとして市販されている。
一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーは、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体における一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましい。
一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーを重合成分として含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は好ましくは5000〜100000であり、更に好ましくは10000〜50000である。
一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーを重合成分として含有する樹脂は、一般式(25)及び一般式(26)で示されるモノマーと他のモノマーとを、水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂と同様にして、ラジカル重合することにより得ることができる。他のモノマーとしては、先に例示した水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、水酸基及びカルボキシル基を有しないモノマー、リン酸基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマーを用いることができる。
[顔料誘導体について]
本発明の印刷用着色組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。
顔料誘導体としては、例えば、一般式(6):
6−(E6)q6 (6)
(式中、G6は、色素原型化合物残基であり、E6は、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、q6は、1〜4の整数である)
で表される化合物を用いることができる。
基Eの塩基性置換基としては、例えば、一般式(61)、一般式(62)、一般式(63)、及び一般式(64)で示される置換基を挙げることができる。
一般式(61):
式中、X61:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合を表す。
61:1〜10の整数を表す。
a61、Rb61:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRa61とRb61とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
一般式(62):
a62、Rb62:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRa62とRb62とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
一般式(63):
63:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合を表す。
a63:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
b63、Rc63、Rd63、Re63:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
一般式(64):
64:−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合を表す。
64:−NRa64−Z64−NRb64−又は直接結合を表す。
a64、Rb64:それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
64:置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基を表す。アルキレン基及びアルケニレン基の炭素数は1〜8が好ましい。
64:一般式(65)で示される置換基又は一般式(66)で示される置換基を表す。
64:水酸基、アルコキシル基、一般式(62)で示される置換基又は一般式(63)で示される置換基を表す。
一般式(65):
65:1〜10の整数を表す。
a65、Rb65:それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRa65とRb65とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
一般式(66):
a66:置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。
b66、Rc66、Rd66、Re66:それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基を表す。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。
基Eの酸性置換基又は中性置換基としては、例えば、一般式(67)、一般式(68)及び一般式(69)で示される置換基を挙げることができる。
一般式(67):
−SO367/l67 (67)
67:水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子を表す。
67:M67の価数
一般式(68):
a68、Rb68、Rc68、Rd68:水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を表す(但し全てが水素原子である場合は除く)。
一般式(69):
69:水素原子、ハロゲン原子、−NO2、−NH2又はSO3Hを表す。
69:1〜4の整数を表す。
色素原型化合物残基G6としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素、あるいはアントラキノン残基、又はトリアジン残基などを挙げることができる。
また、アントラキノン誘導体としては、塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基を有するアントラキノンを用いることができる。また、トリアジン誘導体としては、メチル基、若しくはエチル基等のアルキル基、又はアミノ基又はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、若しくはジブチルアミノ基等のアルキルアミノ基、又はニトロ基又は水酸基又はメトキシ基、エトキシ基、若しくはブトキシ基等のアルコキシ基又は塩素等のハロゲン又はメチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニル基、又はメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、若しくは水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基を導入した誘導体を用いることができる。
中でもトリアジン環、アントラキノン基を含有する顔料誘導体がより好ましい。トリアジン環、アントラキノン基構造を有する顔料誘導体は、顔料に対しより高い吸着性を示し、高い分散性が得られると同時に、熱反応性化合物の硬化反応をより効果的に引き起こし、耐性の更なる向上を期待することができる。
[有機溶剤について]
本発明の着色組成物は、更に有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチルイソブチルケトン、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートN,N−ジメチルホルムアミド、1,2,3−トリクロロプロパン、o−クロロトルエン、o−キシレン、m−キシレン、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジイソブチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、p−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上混合して用いられる。有機溶剤は、本発明の着色組成物中に60重量%〜95重量%の量で含有されていることが好ましい。
[顔料の被覆処理について]
顔料の被覆処理は、顔料、一般式(1)で表されるビニル系分散剤、有機溶剤、顔料誘導体、及びバインダー樹脂等が均一になるように予め混合してから、分散機を用いて混練することにより行うことができる。溶剤の配合量は、混合物の機械特性に応じて調節することが好ましい。顔料の被覆処理に用いる分散機としては、ニーダー、ロールミル、ボールミル、バンバリーミキサー、ローラーミル、石臼式ミル等が挙げられるが、2本ロールミルは一つの装置で混合及び混練ができるので好ましい。
顔料を被覆処理する際の原料の配合量は、顔料100重量部に対して、顔料誘導体1〜30重量部、ビニル系分散剤及びバインダー樹脂(以下、樹脂成分)20〜200重量部、及び溶剤4〜200重量部の範囲であることが好ましい。顔料誘導体の配合量が1重量部未満の場合は、アンカー効果が少ないため着色組成物を低粘度化させる効果が小さく、30重量部を越える場合は、顔料誘導体が過剰となり未吸着の顔料誘導体同士が凝集するため着色組成物が増粘する。また、樹脂成分の配合量が20重量部未満の場合は、充分に顔料表面を被覆できず、顔料の分散安定性が低くなり、200重量部を越える場合は、顔料に吸着しない遊離の樹脂成分により着色組成物の粘度が上昇する。また、溶剤の配合量が4重量部未満の場合は、顔料誘導体及び樹脂成分の顔料に対する初期の塗れが不充分で充分に顔料を被覆しないため、着色組成物の粘度が安定しないことがあり、200重量部を越える場合は、顔料の被覆処理が困難となる。
顔料の被覆処理は、具体的には、下記の2段階の工程により行われる。
第1工程は、顔料、樹脂成分、及び溶剤等を含む組成物を20回程度2本ロールに通すことにより顔料への樹脂成分の濡れと吸着を進行させるチップ化工程である。この工程で、配合した溶剤のうち約80重量%程度が揮発する。
第2工程は、チップ化により前記樹脂成分が顔料に吸着した混練物の加熱、混練を続けて顔料粒子表面に被覆層を形成する被覆処理工程である。混練物の粘度が高く、機械上、混練できない場合は、適量の溶剤を追加し、混練を助ける。
樹脂成分が架橋可能な官能基を有する場合には、被覆処理工程で樹脂成分の架橋が生じ、一部に樹脂切断も見られる。この反応は、過度な機械的な加圧と磨砕、更には加熱の結果によるものでメカノケミカルな反応であり、顔料と樹脂成分のみでは樹脂成分の架橋反応は生じにくい。顔料と樹脂成分とを混練する際に顔料誘導体を用いることにより、顔料誘導体と樹脂成分とが顔料表面に強固に吸着し、更に加熱と加圧混練を行うことにより樹脂成分の架橋が生じると推定される。加熱温度は80℃〜120℃の範囲であることが好ましい。80℃未満の温度では樹脂成分が十分に架橋しない場合があり、120℃を越える温度では、樹脂成分の劣化が生じる場合がある。
顔料表面に吸着しなかった余剰の樹脂成分は、着色組成物の粘度等の物性に影響を及ぼす場合には、洗浄やろ過等により除去することが好ましい。また、被覆処理顔料は、乾燥しても凝集しない場合には、洗浄後に乾燥しても良いが、被覆処理時に用いた溶剤が着色組成物の液状媒体として使用可能な溶剤であればあえて乾燥する必要がない。
[着色組成物の製造について]
本発明の着色組成物の製造は、一般式(1)で表されるビニル系分散剤、顔料、及びレベリング剤、並びに必要に応じて熱反応性化合物、バインダー樹脂、顔料誘導体、有機溶剤を通常の分散機に投入し、所望の平均粒子径・粒度分布になるまで分散することにより行うことができる。着色組成物の原料は、一括して混合・分散してもよいし、それぞれの原料の特性や経済性を考慮して別々に混合・分散してもよい。着色組成物の粘度が高過ぎ、希釈が必要な場合には、着色組成物原液に希釈用の液状媒体を加えて均一に攪拌し、着色組成物を調製することもできる。
分散機としては、サンドミル、ビーズミル、アジテータミル、ダイノミル、又はコボルミルなどが好適である。それぞれの分散機において、顔料分散に適切な粘度領域がある場合には、各種樹脂成分と顔料との比率を変えて粘度を調整することができる。着色組成物は、分散機で分散後に、粗大粒子や異物除去を目的にフィルタや遠心法により濾過することが好ましい。
着色組成物を製造する際には、更に、界面活性剤型分散剤や、アントラキノン誘導体、及び/又はトリアジン誘導体を用いることができる。界面活性剤型顔料分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、又はステアリルアミンアセテート等を挙げることができる。
[印刷について]
本発明の着色組成物は、印刷用に好適に用いられる。本発明の着色組成物が適用できる印刷方式としては、グラビアオフセット印刷、水無しオフセット印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。
[カラーフィルタ基板]
本発明の着色組成物を用いて、印刷法により、カラーフィルタ基板を製造することができる。カラーフィルタ基板は、例えば、薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルに利用することができる。
カラーフィルタ基板は所望の色相のフィルタセグメントを具備するものであり、フィルタセグメントは、凸版を用いて基板にパターンを形成する方法、あるいは凹版によりパターンを形成した後、ブランケットを介して、同一基板に複数のパターンを重ねて転写する方法などにより、着色組成物を基板に印刷することにより形成される。
基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板を用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%を表す。また、樹脂の重量平均分子量は、GPCを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた。
[顔料]
1)レッド顔料(A):C.I.Pigment Red 254
2)レッド顔料(B):C.I.Pigment Red 57:1
3)マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122
4)グリーン顔料:C.I.Pigment Green 36
5)イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 138
6)ブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
7)シアン顔料:C.I.Pigment Blue 15:3
8)バイオレット顔料:C.I.Pigment Violet 23
9)ブラック顔料:C.I.Pigment Black 7
[顔料誘導体]
顔料誘導体〔RD−1〕
顔料誘導体〔RD−2〕
顔料誘導体〔MD−1〕
顔料誘導体〔YD−1〕
顔料誘導体〔BD−1〕
顔料誘導体〔VD−1〕
顔料誘導体〔BLD−1〕
[ビニル系分散剤]
ビニル系分散剤の製造例を以下に示す。
《製造例1(ビニル系分散剤A1)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例1の工程(C))。このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が3.5個であるビニル系樹脂中間体(C1)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C1)を固形分で100部、無水トリメリット酸5.1部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例1の工程(D))。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A1)を得た。ビニル系分散剤(A1)中の固形分比率は50%であった。
《製造例2(ビニル系分散剤A2)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、2−エチルヘキシルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート68.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.7部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例2の工程(C))。このようにして、数平均分子量が4800であり、一分子中の水酸基の平均個数が0.5個であるビニル系樹脂中間体(C2)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを100部、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル4.3部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃に昇温した。滴下槽からビニル系樹脂中間体(C2)を固形分で100部2時間かけて反応槽に滴下し、適下終了後、100℃で4時間反応させた(製造例2の工程(D))。その後、2−エチルヘキシルアルコール10部を加え90℃で5時間反応させ、残存する無水環をアルコール分解し(製造例(分散剤A2)の工程(Dd))、エチレングリコールジトリメリット酸骨格の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散剤(A2)を得た。ビニル系分散剤(A2)中の固形分比率は50%であった。
《製造例3(ビニル系分散剤A3)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート22部、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート30部、スチレン10部、ブレンマーAE−200(2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルに、エチレンオキサイドを平均3.5モル付加させた水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、日本油脂社製)8部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例3の工程(C))。このようにして、数平均分子量が4400であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.3個であるビニル系樹脂中間体(C3)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C3)を固形分で100部、無水トリメリット酸4.4部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例3の工程(D))。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A3)を得た。ビニル系分散剤(A3)中の固形分比率は50%であった。
《製造例4(ビニル系分散剤A4)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート37.6、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート10部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)2.4部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例4の工程(C))。このようにして、数平均分子量が4900であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C4)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C4)を固形分で100部、無水トリメリット酸3.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例4の工程(D))。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A4)を得た。ビニル系分散剤(A4)中の固形分比率は50%であった。
《製造例5(ビニル系分散剤A5)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート30部、メチルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した(製造例5の工程(C))。このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.5個であるビニル系樹脂中間体(C5)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C5)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例5の工程(D))。
このようにして、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A5)を得た。
《製造例6(ビニル系分散剤A6)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23.5部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C6)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C6)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例6の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A6)を得た。
《製造例7(ビニル系分散剤A7)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.5部、メタクリル酸10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C7)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C7)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例7の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A7)を得た。
《製造例8(ビニル系分散剤A8)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.5部、t−ブチルメタクリレート10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C8)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C8)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例8の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A8)を得た。
《製造例9(ビニル系分散剤A9)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート(ETERNACOLL OXMA、宇部興産社製)20部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C9)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C9)を固形分で100部、トリメリット酸無水物5.1部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。
このようにして、数平均分子量が4000であり、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A9)を得た。
《製造例10(ビニル系分散剤A10)》
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C9)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A10)を得た。
《製造例11(ビニル系分散剤A11)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート(ETERNACOLL OXMA、宇部興産社製)10部、メタクリル酸10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C10)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C10)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例11の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A11)を得た。
《製造例12(ビニル系分散剤A12)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート(ETERNACOLL OXMA、宇部興産社製)10部、t−ブチルメタクリレート10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C11)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C11)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例12の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A12)を得た。
《製造例13(ビニル系分散剤A13)》
(1)工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.5部、メタクリル酸2−(O−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM、昭和電工社製)10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(C12)を得た。
(2)工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(C12)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた(製造例13の工程(D))。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A13)を得た。
《製造例14(ビニル系分散剤A14)》
(1)工程(A)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にピロメリット酸二無水物218部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で5時間反応させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートにピロメリット酸が付加したエチレン性不飽和単量体(a14’)を得た。
(2)工程(Aa)
前項(1)で得られたエチレン性不飽和単量体(a14’)に水36部を加え、90℃で5時間反応させることにより、エチレン性不飽和単量体(a14’)に残存する酸無水物基を加水分解した。続いて、残存する水を減圧して取り除き、エチレン性不飽和単量体(a14)を得た。
(3)工程(B)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート23.3部、ベンジルメタクリレート48部、エチレン性不飽和単量体(a14)8.7部、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート(ETERNACOLL OXMA、宇部興産社製)20部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして数平均分子量が4000であり、一分子あたりのエチレン性不飽和単量体(a14)の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散樹脂(A14)を得た。
《製造例15(ビニル系分散剤A15)》
(1)工程(F)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート32.6部、ベンジルメタクリレート54.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部、メタクリル酸8.6部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(F1)を得た。
(2)工程(G)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(F1)を固形分で100部、グリシジルメタクリレート14.2部、及びジメチルベンジルアミン0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で8時間反応させた。
酸価が5以下になることを確認し、ビニル系樹脂中間体(G1)を得た。このとき、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートを反応させた部位は、全体の20部となっており、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部となっている。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(G1)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で6時間反応させた。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A15)を得た。
《製造例16(ビニル系分散剤A16)》
(1)工程(H)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート30.8部、ベンジルメタクリレート51.9部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.8部、グリシジルメタクリレート13.5部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(H1)を得た。
(2)工程(I)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(H1)を固形分で100部、メタクリル酸8.2部、及びジメチルベンジルアミン0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で8時間反応させた。
酸価が5以下になることを確認し、ビニル系樹脂中間体(I1)を得た。このとき、グリシジルメタクリレートにメタクリル酸を反応させた部位は、全体の20部となっており、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部となっている。
(3)工程(J)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(I1)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で6時間反応させた。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるビニル系分散剤(A16)を得た。
《製造例17(ビニル系分散剤A17)》
(1)工程(K)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート32.0部、ベンジルメタクリレート53.9部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.2部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数が1.0個であるビニル系樹脂中間体(K1)を得た。
(2)工程(L)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(K1)を固形分で100部、2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI、昭和電工製)12.2部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で8時間反応させた。
酸価が5以下になることを確認し、ビニル系樹脂中間体(L1)を得た。このとき、2−ヒドロキシエチルメタクリレートに2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI、昭和電工製)を反応させた部位は全体の20部となっており、n−ブチルメタクリレート28.5部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.5部となっている。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(L1)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で6時間反応させた。
このようにして、数平均分子量が6000であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.8個であるであるビニル系分散剤(A17)を得た。
《製造例18(ビニル系分散剤A18)》
(1)工程(M)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にピロメリット酸二無水物218部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で5時間反応させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートにピロメリット酸が付加したエチレン性不飽和単量体(M1’)を得た。
(2)工程(Ma)
前項(1)で得られたエチレン性不飽和単量体(M1’)に水36部を加え、90℃で5時間反応させることにより、エチレン性不飽和単量体(M1’)に残存する酸無水物基を加水分解した。続いて、残存する水を減圧して取り除き、エチレン性不飽和単量体(M1)を得た。
(3)工程(N)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート33.3部、ベンジルメタクリレート48部、エチレン性不飽和単量体(M1)8.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が4000であり、一分子あたりのエチレン性不飽和単量体(M1)の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散樹脂(N1)を得た。
(3)工程(O)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(N1)を固形分で100部、2−イソシアナトエチルメタクリレート(カレンズMOI、昭和電工製)11.9部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で8時間反応させた。
酸価が5以下になることを確認し、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が4500であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A18)を得た。
《製造例19(ビニル系分散剤A19)》
(1)工程(P)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にピロメリット酸二無水物218部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で5時間反応させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートにピロメリット酸が付加したエチレン性不飽和単量体(P1’)を得た。
(2)工程(Pa)
前項(1)で得られたエチレン性不飽和単量体(P1’)に水36部を加え、90℃で5時間反応させることにより、エチレン性不飽和単量体(P1’)に残存する酸無水物基を加水分解した。続いて、残存する水を減圧して取り除き、エチレン性不飽和単量体(P1)を得た。
(3)工程(Q)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート35.3部、ベンジルメタクリレート48部、エチレン性不飽和単量体(P1)8.7部、メタクリル酸8部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が4000であり、一分子あたりのエチレン性不飽和単量体(P1)の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散樹脂(Q1)を得た。
(3)工程(R)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(Q1)を固形分で100部、グリシジルメタクリレート13.2部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で8時間反応させた。
酸価が5以下になることを確認し、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が4500であり、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤(A19)を得た。
《比較製造例1(ビニル系分散剤B1)》
製造例1の工程(D)での無水トリメリット酸の仕込み量を0.5部とすること以外は製造例1と全く同じ方法で、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.1個のビニル系分散剤(B1)を得た。ビニル系分散剤(B1)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例2(ビニル系分散剤B2)》
製造例1の工程(D)での無水トリメリット酸の仕込み量を17.7部とすること以外は製造例1と全く同じ方法で、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が3.5個のビニル系分散剤(B2)を得た。ビニル系分散剤(B2)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例3(ビニル系分散剤B3)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に製造例1で得られたビニル系樹脂中間体(C1)を固形分で100部、無水コハク酸2.7部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのコハク酸の平均個数が1.0個のビニル系分散剤(B3)を得た。ビニル系分散剤(B3)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例4(ビニル系分散剤B4)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、メタクリル酸5部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4000のビニル系分散剤(B4)を得た。ビニル系分散剤(B4)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例5(ビニル系分散剤B5)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート65部、イソブチルメタクリレート10部、ドデシルメタクリレート18部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部、メタクリル酸1部、メタクリルスルフォエチル4部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4400のビニル系分散剤(B5)を得た。ビニル系分散剤(B5)中の固形分比率は50%であった。ビニル系分散剤(B5)溶液のみ濁りを生じていた。
《比較製造例6(ビニル系分散剤B6)》
製造例5の工程(D)でのピロメリット酸二無水物の仕込み量を0.2部とすること以外は製造例5と全く同じ方法で、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.1個のビニル系分散剤(B6)を得た。ビニル系分散剤(B6)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例7(ビニル系分散剤B7)》
製造例5の工程(D)でのピロメリット酸二無水物の仕込み量を17.7部とすること以外は製造例5と全く同じ方法で、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が4.1個のビニル系分散剤(B7)を得た。ビニル系分散剤(B7)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例8(ビニル系分散剤B8)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に製造例8で得られたビニル系樹脂中間体(C8)を固形分で100部、無水コハク酸2.7部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのコハク酸の平均個数が1.0個のビニル系分散剤(B8)を得た。ビニル系分散剤(B8)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例9(ビニル系分散剤B9)》
製造例9の工程(C)と全く同じ方法でビニル系分散剤(B9)を得た。ビニル系分散剤(B9)中の固形分比率は50%であった。
《比較製造例10(ビニル系分散剤B10)》
製造例15の工程(G)でのピロメリット酸二無水物2.9部を無水フタル酸3.8部に変更すること以外は製造例15と全く同じ方法で、一分子あたりのフタル酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個のビニル系分散剤(B10)を得た。ビニル系分散剤(B10)中の固形分比率は50%であった。
[ポリエステル系分散樹脂]
《ポリエステル系分散樹脂(S1)の製造例》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させポリエステル系分散樹脂(S1)を得た。得られたポリエステル系分散樹脂(S1)は、常温で白色ワックス状固体であった。
[熱反応性化合物]
日本カーバイド社製アルコキシアルキル基含有メラミン化合物 ニカラックMX−43
日本カーバイド社製イミノ基・メチロール基含有メラミン化合物 ニカラックMX−417
日本カーバイド社製アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックSB−401
日本カーバイド社製イミノ基・メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックBL−60
日本化薬社製エポキシ化合物 EPPN―201
宇部興産社製オキセタン化合物 ETERNACOLL−OXBP
住化バイエルウレタン社製イソシアネート化合物 デスモジュールBL−4265
日本化薬社製アクリルモノマー カヤラッドTPA−330
[レベリング剤]
東レ・ダウコーニング社製 FZ2104
東レ・ダウコーニング社製 FZ2203
ビックケミー社製 BYK302
[有機溶剤]
メトキシプロピルアセテート(PGMAc)
シクロヘキサノン
《実施例1》
レッド顔料(A)90部、顔料誘導体〔RD−1〕10部、ビニル系分散剤(A1)134部、及び有機溶剤(PGMAc)323部をサンドミルに入れて4時間分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部をミキサーに入れて混合し、メンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例1》
実施例1において、ビニル系分散剤(A1)134部をビニル系分散剤(B1)134部に代えること以外は実施例1と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例2》
レッド顔料(A)90部、顔料誘導体〔RD−1〕10部、ビニル系分散剤(A1)94部、及びポリエステル系分散樹脂(S1)20部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例3》
レッド顔料(A)90部、顔料誘導体〔RD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A1)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、エポキシ化合物(EPPN−201)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例2》
実施例3において、ビニル系分散剤(A1)134部をビニル系分散剤(B2)134部に代えること以外は実施例3と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例4》
レッド顔料(B)90部、顔料誘導体〔RD−2〕10部、及びビニル系分散剤(A1)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、オキセタン化合物(ETERNACOLL−OXBP)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例3》
実施例4において、ビニル系分散剤(A1)134部をビニル系分散剤(B3)134部に代えること以外は実施例4と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例5》
レッド顔料(B)90部、顔料誘導体〔RD−2〕10部、ビニル系分散剤(A2)134部、及び有機溶剤(PGMAc)323部をサンドミルに入れて4時間分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、イソシアネート化合物(デスモジュールBL−4265)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部をミキサーに入れて混合し、メンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例6》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体〔MD−1〕10部、ビニル系分散剤(A3)134部、及び有機溶剤(PGMAc)323部をサンドミルに入れて4時間分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、アクリルモノマー(カヤラッドTPA330)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部をミキサーに入れて混合し、メンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例4》
実施例6において、ビニル系分散剤(A3)134部をビニル系分散剤(B4)134部に代えること以外は実施例6と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例7》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体〔MD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A4)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−417)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例8》
グリーン顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A5)100部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、及び有機溶剤(PGMAc)350部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックSB−401)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)418部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例5》
実施例8において、ビニル系分散剤(A5)100部をビニル系分散剤(B5)100部に代えること以外は実施例8と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例9》
グリーン顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A6)100部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、及び有機溶剤(PGMAc)350部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックSB−401)40部、エポキシ化合物(EPPN−201)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)498部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例10》
グリーン顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A7)100部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、及び有機溶剤(PGMAc)350部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックSB−401)40部、オキセタン化合物(ETERNACOLL−OXBP)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)498部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例11》
イエロー顔料90部、顔料誘導体〔YD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A8)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックSB−401)40部、イソシアネート化合物(デスモジュールBL−4265)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例6》
実施例11において、ビニル系分散剤(A8)134部をビニル系分散剤(B6)134部に代えること以外は実施例11と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例12》
イエロー顔料90部、顔料誘導体〔YD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A9)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックSB−401)40部、アクリルモノマー(カヤラッドTPA−330)20部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)526部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例13》
ブルー顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A10)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(ニカラックBL−60)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例7》
実施例13において、ビニル系分散剤(A10)134部をビニル系分散剤(B7)134部に代えること以外は実施例1と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例14》
ブルー顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A11)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にエポキシ化合物(EPPN−201)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例8》
実施例14において、ビニル系分散剤(A11)134部をビニル系分散剤(B8)134部に代えること以外は実施例14と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例15》
ブルー顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A12)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にオキセタン化合物(ETERNACOLL−OXBP)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例16》
シアン顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A13)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にイソシアネート化合物(デスモジュールBL−4265)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例17》
シアン顔料90部、顔料誘導体〔BD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A14)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にアクリルモノマー(カヤラッドTPA−330)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例9》
実施例17において、ビニル系分散剤(A14)134部をビニル系分散剤(B9)134部に代えること以外は実施例17と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例18》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体〔VD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A15)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、レベリング剤(FZ2104)2部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例19》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体〔VD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A16)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(PGMAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、レベリング剤(FZ2208)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例10》
実施例19において、ビニル系分散剤(A16)134部をビニル系分散剤(B10)134部に代えること以外は実施例19と同様にして、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例20》
ブラック顔料90部、顔料誘導体〔BLD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A17)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、レベリング剤(FZ2208)2部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例21》
ブラック顔料90部、顔料誘導体〔BLD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A18)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、レベリング剤(BYK302)2部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)446部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《実施例22》
ブラック顔料90部、顔料誘導体〔BLD−1〕10部、ビニル系分散剤(A19)94部、ポリエステル系分散樹脂(S1)20部、及び有機溶剤(PGMAc)343部をサンドミルに入れて4時間分散を行い、更にメラミン化合物(ニカラックMX−43)40部、レベリング剤(BYK302)2部、及び有機溶剤(PGMAc)446部をミキサーに入れて混合し、メンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
《比較例11》
ブラック顔料90部、顔料誘導体〔BLD−1〕10部、及びビニル系分散剤(A1)134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、有機溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料167部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、及び有機溶剤(シクロヘキサノン)438部を加え混合した。最後にメンブランフィルターで加圧濾過し、固形分20%の印刷用着色組成物を得た。
[物性評価]
実施例1〜22、及び比較例1〜11で得られた着色組成物の粘度、及び保存安定性を下記の方法で評価した。また、実施例1〜22、及び比較例1〜11で得られた着色組成物を図1に示す薄膜印刷装置を用いて、ガラス基板上に、乾燥塗膜厚が1〜2μmとなるように適宜アニロックスロールを交換して印刷を行い、転写性持続時間、及び精密パターン形成性を下記の方法で評価した。結果を表1〜表3に示す。なお、表1〜表3において、「ビニル系分散剤」欄の数値は固形分を示し、「有機溶剤」欄の数値は、生成された着色組成物中での含有量を示す。
(1)粘度
動的粘弾性測定装置により、ずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)を測定した。
<評価基準>
○:η<30
×:30≦η
(2)保存安定性
45℃のオーブンで、7日間加熱後粘度を測定した。
<評価基準>
○:加熱前の粘度と比して増粘率10%未満
×:加熱前の粘度と比して増粘率10%以上
(3)転写性持続時間
ブランケット胴から基板への転写は、同一基板へ重ねて転写する場合、ブランケット胴上で待ち時間が発生する。このため、着色組成物がブランケット胴へ転移されてからの転写性持続時間を測定した。
<評価基準>
○:3分以上、基板へ界面剥離転写できる。
△:1分以上3分未満、基板へ界面剥離転写できる。
×:1分未満しか、基板へ界面剥離転写できない。
(4)精密パターン形成性
線幅50μmの直線の連続印刷を行い、直線形状の観察を行った。
<評価基準>
○:良好な直線パターンが連続して印刷できる。
△:連続印刷30版程度で直線パターンにゆがみが生じる。
×:連続印刷10版程度で直線パターンにゆがみが生じる。
本発明のビニル系分散剤を用いていない比較例1〜11では、着色組成物は高粘度かつ保存安定性が悪く、印刷インキとして用いた場合、転写性持続時間が短く、精密なパターンを形成することが困難であった。また、レベリング剤を用いていない比較例11では、着色組成物をシリコーンブランケットに均一に塗布することができず、転写性持続時間評価、及び精密パターン形成性評価を行うことができなかった。
本発明の着色組成物は、低粘度かつ保存安定性が良好であり、印刷用インキとして使用した場合に、転写性持続時間が長く、精密なパターンを形成することができる。また、本発明の着色組成物を用いることにより、従来法と比較して、はるかに効率よく、高性能なカラーフィルタ基板、パッケージ、又は屋外看板などを生産することができる。
実施例で用いた薄膜印刷装置を示した説明図である。
符号の説明
1 ディスペンサ
2 ドクター
3 アニロックスロール
4 版胴
5 凸版
6 シリコーンゴムブランケット胴
7 基板
8 印刷テーブル
9 着色組成物

Claims (27)

  1. ビニル系重合体を含んでなるビニル系分散剤、顔料、及びレベリング剤を含んでなる印刷用着色組成物であって、
    前記ビニル系重合体主鎖(A)内が、下記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含んでなることを特徴とする、印刷用着色組成物。

    一般式(1)

    {一般式(1)中、
    1は、水素原子又はメチル基であり、
    1は、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−O−、−OC(=O)−若しくは−CH2O−であり、
    2は、一般式:−(−Ra1−O−)m1− で表される基であり、
    (式中、Ra1は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm1は1〜50の整数である。)
    3は、一般式:−(−C(=O)−Rb1−O−)m2− で表される基であり、
    (Rb1は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm2は0〜20の整数である。)
    1は、下記一般式(2)で表される基であるか、あるいは下記一般式(3)で表される基である。

    一般式(2)

    〔一般式(2)中、
    (i)A1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであるか
    iii)A1〜A3のうちの1つが下記一般式(2a)で表される基であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、
    (iv)A1〜A3の3つが−C(=O)OHであり、kは1である。〕
    一般式(2a)

    〔一般式(2a)中、
    21は、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−O−、−OC(=O)−若しくは−CH2O−であり、
    22は、一般式:−(−Ra21−O−)m21− で表される基であり、
    (式中、Ra21は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm21は1〜50の整数である。)
    23は、一般式:−(−C(=O)−Rb21−O−)m22− で表される基であり、
    (Rb21は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm22は0〜20の整数である。)
    21は、下記一般式(21)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(B)であって、ビニル系重合体主鎖(A)とビニル系重合体主鎖(B)とは同一の主鎖であるか、あるいは、それぞれ別の主鎖であることができる。〕
    一般式(21)

    (一般式(21)中、R21は水素原子又はメチル基である。)

    一般式(3)

    〔一般式(3)中
    vi)A5〜A7のうち1つは−C(=O)ORd(但し、Rdは、炭素原子数1〜のアルキル基である)であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであり
    2、−C(=O)OCH2CH2OC(=O)−である。〕}
  2. 一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、
    1〜A3が組合せ(i)である一般式(2)で表される基である、請求項1に記載の着色組成物。
  3. 一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、
    1〜A3が組合せ(iii)である一般式(2)で表される基である、請求項1に記載の着色組成物。
  4. 一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、一般式(2)で表される基である、請求項1に記載の着色組成物。
  5. ビニル系重合体が、下記一般式(4)で示されるビニル系分散剤を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色組成物。

    一般式(4)

    〔一般式(4)中、
    Gは、請求項1に記載の一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を示し、R4は、水素原子又はメチル基を示し、
    5は、水素原子又はメチル基を示し、
    6は、芳香族基、又は−C(=O)−X7−R7であり(但し、X7は、−O−若しくは−NH−であり、R7は、水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、R7は、置換基として芳香族基を有していることができる。)、
    4は、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−O−、−OC(=O)−若しくは−CH2O−であり、
    5は、式:−(−Ra2−O−)m3− で表される基であり、
    (式中、Ra2は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm3は1〜50の整数である。)
    6は、式:−(−C(=O)−Rb2−O−)m4− で表される基であり、
    (式中、Rb2は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、そしてm4は0〜20の整数である。)
    Iは、下記一般式(51)、下記一般式(52)、下記一般式(53)、下記一般式(54)、又は、下記一般式(55)で表される基で表される架橋性官能基含有単位(I)を示し、
    p1、p2、p3、及びp4はビニル系分散剤一分子あたりの各構成単位の平均個数を示し、
    p1は0.3以上3.0以下であり、
    p2は0以上180以下であり、
    p3は6以上250以下であり、
    p4は0以上180以下である。
    一般式(4)中のカルボキシル基含有単位(G)、−X4−X5−X6−Hを含む水酸基含有単位(J)、−C(R5)(R6)−を含む主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)の配置は、ランダム型又はブロック型で含まれていることができ、
    一般式(4)中に含まれているカルボキシル基含有単位(G)、水酸基含有単位(J)、主鎖構成単位(K)、及び架橋性官能基含有単位(I)は、一般式(4)で表されるビニル系重合体主鎖において、任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらが複数個で存在する場合は、相互に同一又は異なっていることができる。


    一般式(51):

    〔式中、R51は水素原子又はメチル基であり、
    1は、下記式(84)で表される基であり、

    式(84)


    (R a51 は、−CH −CH −である。)
    2は、下記式(86)で表される基である。
    式(86)

    (R c51 はエチル基であり、そしてR d51 はメチル基である。)〕
    一般式(52):

    〔式中、R52は水素原子又はメチル基であり、
    a52は、メチレン基であり、
    b52は、エチル基である。〕
    一般式(53):

    〔式中、R53は水素原子又はメチル基である。〕
    一般式(54):

    〔式中、R54及びRc54は、それぞれ、水素原子又はメチル基であり、
    a54及びRb54は、それぞれ、メチレン基である。〕
    一般式(55):

    〔式中、R55及びRd55は、それぞれ、水素原子又はメチル基であり、
    a55は、−C(=O)O−であり、
    b55は、−CH −CH −O−であり
    c55は、直接結合である。)
    5は、下記式(90)で表される基である。

    式(90)


    e55 は、−CH −CH である。)〕
  6. ビニル系重合体の数平均分子量が、500以上40000以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色組成物。
  7. ビニル系重合体が、
    (A)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
    (B)工程(A)で得られるエチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
  8. ビニル系重合体が、
    (C)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と他のエチレン性不飽和単量体と共重合させる工程、
    (D)工程(C)で得られる共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
  9. ビニル系重合体が、
    (E)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合させながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる製造方法によって製造されてなるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
  10. ビニル系重合体が、
    (F)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
    (G)工程(F)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項5に記載の着色組成物。
  11. ビニル系重合体が、
    (H)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
    (I)工程(H)で得られる共重合物のエポキシ基に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程、
    (J)工程(I)で得られる共重合物の水酸基に、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)を反応させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項5に記載の着色組成物。
  12. ビニル系重合体が、
    (K)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を共重合させる工程、
    (L)工程(K)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物と、トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを、同時に、あるいは、任意の順序で反応させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項5に記載の着色組成物。
  13. ビニル系重合体が、
    (M)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
    (N)工程(M)で得られるエチレン性不飽和単量体(但し、未反応の水酸基が残っているものとする。)を共重合させる工程、
    (O)工程(N)で得られる共重合物の水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項5に記載の着色組成物。
  14. ビニル系重合体が、
    (P)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
    (Q)工程(P)で得られるエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とを共重合させる工程、
    (R)工程(Q)で得られる共重合物に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させる工程
    を含む製造方法によって製造されてなるものである、請求項5に記載の着色組成物。
  15. トリカルボン酸無水物(M3)又はテトラカルボン酸二無水物(M4)が、トリメリット酸無水物又はピロメリット酸無水物である、請求項7〜14のいずれか一項に記載の着色組成物。
  16. メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上である熱反応性化合物を更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の着色組成物。
  17. バインダー樹脂を更に含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載の着色組成物。
  18. バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の着色組成物。
  19. 顔料誘導体を更に含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載の着色組成物。
  20. 顔料誘導体が、一般式(5)で表される化合物である、請求項19に記載の着色組成物。
    一般式(5)
    1−(E)q (5)
    (式中、G1は、色素原型化合物残基であり、
    Eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
    qは、1〜4の整数である。)
  21. 顔料誘導体が、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種である、請求項2に記載の着色組成物。
  22. 有機溶剤を更に含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物。
  23. 顔料の含有量が、着色組成物全重量に対して、1〜30重量%である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物。
  24. 顔料とビニル系分散剤との重量比が、100:3〜100:150である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物。
  25. 25℃における粘度が、2〜40mPa・sである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物。
  26. カラーフィルタ基板用である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物。
  27. 基板上に、請求項1〜2のいずれか一項に記載の着色組成物を含んでなる印刷層を担持するカラーフィルタ基板。
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