JP2010111802A - インクジェットインキ、及びカラーフィルタ基板 - Google Patents

インクジェットインキ、及びカラーフィルタ基板 Download PDF

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Takayuki Nogami
孝幸 野上
Yoshio Sumi
善男 角
Tomonori Ikegami
智紀 池上
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Abstract

【課題】高固形分かつ高顔料濃度において、低粘度、経時安定性良好かつ顔料が微細な分散状態であり、更に感光性とアルカリ現像性を有するインクジェットインキの提供。上記インキを用いてインクジェット法により形成されるカラーフィルタ基板の提供。
【解決手段】顔料(A)、分散樹脂(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)、及び有機溶剤(E)を含んでなるインクジェットインキであり、分散樹脂(B)の酸価が、50〜200(mgKOH/g)であり、有機溶剤(E)が、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことを特徴とするインクジェットインキ。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインキ、及びカラーフィルタ基板に関する。本発明のインクジェットインキは、例えば、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルタ基板の製造に好適に用いることができる。
インクジェット印刷手法は、産業用途のオンデマンド印刷だけでなく、パーソナルユースの印刷機としても定着するほど普及しており、特に近年ではインキジェット印刷を用いて、画像等の描写ではなく、パターン描写を行う用途への展開が求められている。その中でも、インクジェット印刷手法によるカラーフィルタの製造が注目されている。インクジェット法は、特に製造装置の小型化が容易で、生産性の高い点で有利である。更に近年は、プリンタヘッドやインキに関する技術の進歩により、インクジェット法にも顔料系インキが使用され始め、その結果、耐光性や堅牢性も改良されている。この点からも、カラーフィルタ基板用途にインクジェット法を適用することが有利であり、種々の提案が行われている(例えば、特許文献1〜3)。
カラーフィルタ基板用途等のパターン描写を目的としてインクジェット印刷手法を用いる場合には、生産性等の観点より、使用されるインキには高固形分化・高顔料濃度化が求められる。しかしながら、高固形分化・高顔料濃度化によりインキ中の溶剤分が少なくなり乾燥しやすくなることから、インクジェットヘッドのノズル部でインキ粘度が上昇し吐出が不安定になったり、ノズル付近に固形物が付着し液滴の飛翔方向が曲がったりする等、吐出量や着弾位置を完全に制御することは難しく、パターニング精度に限界がある。また、被印字物がインキの浸透性を持たない場合、着弾後のインキの濡れ広がりによりパターニング精度が低下する。
以上の課題に対し、インクジェット法によりパターン描写を行った後、塗工物を露光し、非露光部をアルカリ現像により除去する事が出来れば、より微細なパターニングが可能となる。ただし、例えば従来カラーフィルタ基板の製造に使用されているフォトレジスト液をインクジェット法でパターン描画しても、乾燥性が高すぎる為吐出性を維持する事が出来ない。また高固形分化・高顔料濃度のインクジェットインキに感光性、アルカリ現像性を付与すると、溶剤に対して光重合開始剤の溶解性が低い事や、分散樹脂に酸価を持たせる事により顔料分散安定性が悪化する事により、高粘度化や経時粘度安定性低下が起こる。
特開平1−217302号公報 特開平7−174915号公報 特開平8−75916号公報
本発明の課題は、高固形分かつ高顔料濃度において、低粘度、経時安定性良好かつ顔料が微細な分散状態であり、更に感光性とアルカリ現像性を有するインクジェットインキを提供することにある。又、本発明の課題は、上記インキを用いてインクジェット法により形成されるカラーフィルタ基板を提供することにある。
前記課題は、顔料(A)、分散樹脂(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)、及び有機溶剤(E)を含んでなるインクジェットインキであり、
分散樹脂(B)が、下記一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を含み、
且つ、分散樹脂(B)の平均酸価が、50〜200(mgKOH/g)であり、
且つ、有機溶剤(E)が、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことを特徴とするインクジェットインキにより解決することができる。
一般式(1):
Figure 2010111802
〔一般式(1)中、
11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR1(但し、R1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
1は、1又は2の整数である。〕
一般式(2):
Figure 2010111802
〔一般式(2)中、
21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR22(但し、R52は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
21は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(21)で表される基、又は一般式(22)で表される基である。]
一般式(21):
Figure 2010111802
一般式(22):
Figure 2010111802
一般式(3):
Figure 2010111802
〔一般式(3)中、A31及びA32は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
一般式(4):
Figure 2010111802
〔一般式(4)中、A41は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
一般式(5):
Figure 2010111802
〔一般式(5)中、A51は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基であり、R51は、水素原子又はメチル基である。〕
又、本発明によるインキジェットインキの好ましい様態においては、 分散樹脂(B)が、分散樹脂(B)を基準として、樹脂型分散剤(B‘)を60〜100重量%含むことを特徴とするインクジェットインキである。
又、本発明によるインキジェットインキの好ましい様態においては、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)が、下記一般式(6)で示される化合物、及び下記一般式(7)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とするインクジェットインキである。
一般式(6):
Figure 2010111802
[一般式(5)中、Cn62n6は、直鎖又は分岐アルキレン鎖であり、1≦m6≦3であり、2≦n6≦6である。]
一般式(7):
Figure 2010111802
[一般式(7)中、R71は、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R71はそれぞれ水素原子又はメチル基、W7はメチル基又は −C(=O)−CH3 、2≦m7≦4である。]
又、本発明によるインキジェットインの好ましい様態においては、光重合開始剤(C)が、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシム系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤、及びボレート系光重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上の光重合開始剤であることを特徴とするインクジェットインキである。
又、本発明によるインクジェットインキの更に別の好ましい様態においては、更に、多官能チオール(F)を含んでなるインクジェットインキである。
又、本発明によるインクジェットインキの更に別の好ましい様態においては、更に、下記一般式(8)で表される色素誘導体(G)を含んでなるインクジェットインキである。
一般式(8):
8−Z88
(一般式(8)中、
8は、q8価の色素原型化合物残基であり、
8は、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
8は、1〜4の整数である。)
又、本発明によるインクジェットインキの更に別の好ましい様態においては、更に、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる熱反応性化合物(H)を、1種若しくは2種以上含んでなるインクジェットインキである。
又、本発明によるインクジェットインキの好ましい様態においては、顔料(A)と分散樹脂(B)との重量比が、100:5〜100:150であることを特徴とするインクジェットインキである。
又、本発明は、カラーフィルタ基板用の前記インクジェットインキ、及び前記インクジェットによる印刷層を担持するカラーフィルタ基板にも関する。
本発明のインクジェットインキは、顔料(A)、分散樹脂(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)、及び有機溶剤(E)を含んでなるインクジェットインキであり、分散樹脂(B)が、前記一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を含み、且つ、分散樹脂(B)の平均酸価が、50〜200であり、且つ、有機溶剤(E)が、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことで、高固形分かつ高顔料濃度において低粘度、経時安定性良好かつ顔料が微細な分散状態であり、優れた安定性・吐出性を有すると共に、更に感光性とアルカリ現像性を有するインクジェットインキとなる。従って、カラーフィルタ基板用途等のパターン描写を目的として本インクジェットインキを使用した場合に、これまで以上に微細なパターニングを安定して実施することが可能となる。
[顔料(A)について]
本発明のインクジェットインキを構成する顔料(A)は、所望の色相に着色するものであり、耐熱性、耐薬品性、耐液晶性、耐光性に優れることが好ましい。
顔料(A)としては、例えば、有機顔料、無機顔料、及びカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、及びファーネスブラック等)を用いることができ、顔料は2種以上を混合して用いることができる。
有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料(例えば、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等)、フタロシアニン系顔料(例えば、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等)、アントラキノン系顔料(例えば、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等)、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、及び金属錯体系顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、及びコバルトバイオレット等が挙げられる。
以下に、本発明のインクジェットインキに使用可能な顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示す。
赤色インクジェットインキには、例えば、C.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、又は272等の赤色顔料を用いることができる。赤色インクジェットインキには、黄色顔料、及び/又はオレンジ顔料を併用することができる。
黄色インクジェットインキには、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、又は199等の黄色顔料を用いることができる。
オレンジ色インクジェットインキには、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、又は61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
緑色インクジェットインキには、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、又は58等の緑色顔料を用いることができる。緑色インクジェットインキには黄色顔料を併用することができる。
青色インクジェットインキには、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、又は64等の青色顔料を用いることができる。青色インクジェットインキには、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、又は50等の紫色顔料を併用することができる。
これらの顔料は、2種以上を混合して用いることができる。
顔料の粒子径は、可視光の吸収係数(スペクトルの適正さ)及び透明性の点から、可視光の波長に対して充分小さいことが好ましい。すなわち、顔料は、平均一次粒子径が10nm以上300nm以下、特に10nm以上100nm以下であることが好ましい。なお、一次粒子径とは、最小単位の顔料粒子の直径をいい、電子顕微鏡で測定される。
顔料の一次粒子径は、既知の分散装置、例えば、サンドミル、ニーダー、2本ロール等を用いて適正な範囲内に制御することができる。
[分散樹脂(B)について]
本発明のインクジェットインキで用いられる分散樹脂(B)としては、分散樹脂(B)中に下記一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を含み、且つ、分散樹脂(B)の平均酸価が、50〜200(mgKOH/g)である事が必須である。
一般式(1):
Figure 2010111802
〔一般式(1)中、
11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR1(但し、R1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
1は、1又は2の整数である。〕
一般式(2):
Figure 2010111802
〔一般式(2)中、
21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR22(但し、R52は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
21は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(21)で表される基、又は一般式(22)で表される基である。]
一般式(21):
Figure 2010111802
一般式(22):
Figure 2010111802
一般式(3):
Figure 2010111802
〔一般式(3)中、A31及びA32は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
一般式(4):
Figure 2010111802
〔一般式(3)中、A41は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
一般式(5):
Figure 2010111802
〔一般式(5)中、A51は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
なお、本願では、一般式(1)〜(5)中、ビニル結合を有する重合体残基とは、ビニル結合(炭素−炭素二重結合)を有する単量体を重合して得られる炭素−炭素一重結合を有する重合体の残基のことであり、例えば、下記一般式(9)及び/又は(10)に示す構造を有する重合体である。
一般式(9):
Figure 2010111802
〔一般式(9)中、R91は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐状、単環状、多環状、若しくは複素環状アルキル基、置換基を有していてもよい単環状、若しくは多環状アリール基、又は置換基を有していても良いポリアルキレンオキサイド基である。〕
一般式(10):
Figure 2010111802
〔一般式(10)中、R101は、水素原子、又はメチル基であり、X101は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、又は−CH2−であり、R102は、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐状、単環状、多環状、若しくは複素環状アルキル基、置換基を有していてもよい単環状、若しくは多環状アリール基、又は置換基を有していても良いポリアルキレンオキサイド基であり、R103は、水素原子、カルボキシル基、又は前記−X101−R102である。〕
一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を用いる事により、顔料分散安定化が著しく向上し、高固形分・高顔料濃度のインキに光重合開始剤を更に添加しても、またアルカリ現像性を付与する為に分散樹脂に酸価を付与しても、低粘度化、経時粘度安定性、吐出安定性を維持する事が出来る。
樹脂型分散剤(B‘)を含む分散樹脂(B)の平均酸価は50〜200である事が好ましい。平均酸価が50未満だと現像液への塗膜の溶解性が十分に得られず、現像速度の低下や現像時の塗膜の剥離を引き起こすなど、アルカリ現像性が十分に得られない。平均酸価が200より大きいと、分散樹脂(B)の有する酸性官能基が多すぎて、インクジェットインキ中の顔料分散安定化を阻害し、低粘度化、経時粘度安定性を維持できなくなる。また、現像速度が速すぎて精密なパターン描写が出来なくなる。
一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではなく、一般式(1)〜(5)で示される構造を有するものであれば本発明のインクジェットインキに用いる事出来る。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、及び「アクリロイルオキシ及び/又はメタクリロイルオキシ」を表すものとする。
《樹脂型分散剤(B‘a)》
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(B‘a)は、ビニル重合主鎖(B‘a−1)内に、一般式(11)で表されるカルボキシル基含有単位(G11)を、ビニル重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含む構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般式(11):
Figure 2010111802
〔一般式(11)中、
111は、水素原子又はメチル基であり、
111は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−又は−CH2O−であり、
112は、下記一般式(11a)で表される基であり、
113は、下記一般式(11b)で表される基であり、
111は、一般式(11c)で表される基、又は一般式(11d)で表される基である。
一般式(11a):
−(−Ra111−O−)m111− (11a)
(一般式(11a)中、
a111は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
m111は、1〜50の整数である。)
一般式(11b):
−(−CO−Rb111−O−)m112− (11b)
(一般式(11b)中、
b111は、炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
m112は、0〜20の整数である。)
一般式(11c):
Figure 2010111802
[一般式(11c)中、
(i)Ac111〜Ac113のうちの1つは、水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
(ii)Ac111〜Ac113のうちの1つは、−COORc111(ただしRc111は炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
(iii)Ac111〜Ac113のうちの1つは、一般式(11e):
Figure 2010111802
{一般式(11e)中、
e111は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、又は−CH2O−であり、
e112は、下記一般式(11f)で表される基であり、
e113は、下記一般式(11g)で表される基であり、
e111は、下記一般式(11h)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(B‘a−2)であって、前記ビニル系重合体主鎖(B‘a−1)と前記ビニル系重合体主鎖(B‘a−2)とは同一の主鎖であるか、あるいはそれぞれ別の主鎖であることができる。
一般式(11f):
−(−Rf111−O−)m113− (11f)
(一般式(11f)中、
f111は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
m113は、1〜50の整数である。)
一般式(11g):
−(−CO−Rg111−O−)m114− (11g)
(一般式(11g)中、
g111は、炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
m114は、0〜20の整数である。)
一般式(11h):
Figure 2010111802
(一般式(11h)中、Rh111は水素原子又はメチル基である。)}
で表される基であって、他の2つは、−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、
(iv)Ac111〜Ac113の3つは、−COOHであり、
c111は、1又は2である。]
一般式(11d):
Figure 2010111802
[一般式(11d)中、
(i)Ad111〜Ad113のうち1つは、水素原子であって、他の2つは、−COOHである組合せであるか、
(ii)Ad111〜Ad113のうち1つは−COORd112(ただしRd112は炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
(iii)Ad111〜Ad113のうち1つは、一般式(11i):
Figure 2010111802
{一般式(11i)中、
i111は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、又は−CH2O−であり、
i112は、下記一般式(11j)で表される基であり、
i113は、下記一般式(11k)で表される基であり、
i111は、下記一般式(11p)で表される基を含むビニル系重合体主鎖(B‘a−3)であって、前記ビニル系重合体主鎖(B‘a−1)と前記ビニル系重合体主鎖(B‘a−3)とは同一の主鎖であるか、あるいは、それぞれ別の主鎖であることができる。
一般式(11j):
−(−Rj111−O−)m115− (11j)
(一般式(11j)中、
j111は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、
m115は、1〜50の整数である。)
一般式(11k):
−(−CO−Rk111−O−)m116− (11k)
(一般式(11k)中、
k111は、炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、
m116は、0〜20の整数である。)
一般式(11p):
Figure 2010111802
(一般式(11p)中、Rp111は水素原子又はメチル基である)}
で表される基であって、他の2つは−C(=O)OHである組合せであるか、あるいは、
(iv)Ad111〜Ad113の3つは、−COOHであり、
d111は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(11r)、で表される基、又は一般式(11s)で表される基である。
一般式(11r):
Figure 2010111802
一般式(11s):
Figure 2010111802
] 〕
《樹脂型分散剤(B‘b)》
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(B‘b)は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物の存在下に、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(B‘b−1)中の水酸基と、下記一般式(12a)若しくは(12b)で示されるテトラカルボン酸無水物(B‘b−2)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤であり、それ以外の化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般式(12a):
Figure 2010111802
〔一般式(12a)中、k121は、1又は2である。〕
一般式(12b):
Figure 2010111802
〔一般式(12b)中、Q12は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(12c)で表される基、又は一般式(12d)で表される基である。〕
一般式(12c):
Figure 2010111802
一般式(12d):
Figure 2010111802
《樹脂型分散剤(B‘c)》
樹脂型分散剤(B‘c)は、一般式(13)で表される構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般式(13):
(HOOC―)e13―R131―(―COO―[―R132―COO―]f13―R133g13
〔一般式(13)中、
131は、下記一般式(13a)若しくは(13b)で示される構造、
一般式(13a):
Figure 2010111802
(一般式(13a)中、ka13は1又は2である。)
一般式(13b):
Figure 2010111802
(一般式(13b)中、Rb131は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(13c)で表される基、又は一般式(13d)で表される基を示す。
一般式(13c):
Figure 2010111802
一般式(13d):
Figure 2010111802
)、
132は、モノアルコール残基であり、
133は、ヒドロキシカルボン酸残基若しくはラクトン残基であり、
e13は、2又は3であり、
f13は、1〜50の整数であり、
そしてg13は、(4−[e13])である。〕
《樹脂型分散剤(B‘d)》
樹脂型分散剤(B‘d)は、下記一般式(14)で示されるモノマー(例えば、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、又はプロピレングリコールアクリレートホスフェート)と一般にアクリル樹脂の合成に用いられるアクリルモノマーを重合成分として含有するビニル系重合体が挙げられる。
一般式(14):
Figure 2010111802
〔R141は、水素又はメチル基であり、R142は、炭素数2〜6のアルキレン基であり、R143は、炭素数3〜20のアルキレン基であり、1≦m141≦20であり、0≦m142≦2であり、1≦m143≦2である。〕
一般式(14)で示されるモノマーは、例えば、特公昭50−22536号公報、特開昭58−128393号公報に記載の方法で製造することができる。市販品としては、例えば、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(以上、ユニケミカル社製)、ライトエステルP−1M(共栄社化学社製)、JAMP−514(城北化学工業社製)、KAYAMER PM−2、KAYAMERPM−21(以上、日本化薬社製)等が挙げられ、これらのモノマーは、単独で、あるいは、2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体における一般式(14)で示されるモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜30重量部以下であることが好ましく、0.1〜5重量部以下であることが更に好ましい。
《樹脂型分散剤(B‘e)》
樹脂型分散剤(B‘e)は、一般式(51)で示されるモノマーと一般にアクリル樹脂の合成に用いられるアクリルモノマーを重合成分として含有するビニル系重合体である。
一般式(51):
Figure 2010111802
〔一般式(51)中、R51は、水素原子、又はメチル基であり、R52は、直接結合、又はエチレン基である〕
分散樹脂(B)中に含まれる樹脂型分散剤(B‘)の割合としては、分散樹脂(B)を基準として、樹脂型分散剤(B‘)を50〜100重量%であることが好ましい。50重量%未満だと、顔料分散安定性が十分に得られず、低粘度化、経時粘度安定性の確保が難しくなるおそれがある。
本発明のインクジェットインキでは、樹脂型分散剤(B‘)と併用する分散樹脂としては特に限定されず、公知の樹脂型分散剤を用いることも出来る。市販の樹脂型分散剤としては具体的に以下のものが挙げられる。
BYK Chemie社製樹脂型分散剤としては、Anti−Terra−U、U100、203、204、205、Disperbyk−101、102、103、106、107、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、BYK−P104、104S、P105、9076、9077、又は220S等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製樹脂型分散剤としては、ソルスパーズ3000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、41000、41090、43000、44000、46000、53095、54000、55000、又は56000等が挙げられる。
チバ・ジャパン社製樹脂型分散剤としては、EFKA−1101、1120、1125、1500、1501、1502、1503、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4403、4406、4408、4409、4500、4510、4520、4550、4560、4580、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5071、5207、又は5244等が挙げられる。
共栄社化学社製樹脂型分散剤としては、フローレンDOPA−158、22、17、フローレンTG−700、720W、730W、740W、745W、710、フローノンSH−290、SP−1000、ポリフローNo.50E、又はNo.300等が、楠本化成社製樹脂型分散剤としては、ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150、又は#7004等が、味の素ファインテクノ社製としては、アジスパーPB711,PB811、PB821、又はアジスパーPA111等が、あるいは、日光ケミカル社製樹脂型分散剤としては、 ニッコールT106、MYS−IEX、又はHexagline 4−0等が挙げられる。
本発明のインクジェットインキを用いてカラーフィルタを製造する場合には、カラーフィルタに透明性が要求されるため、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、本発明のインクジェットインキを構成する分散樹脂の透過率が80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
[光重合開始剤(C)について]
本発明のインクジェットインキで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤、オキシム系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、ホスフィン系光重合開始剤、キノン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等を用いることができる。なかでも、光硬化性の観点より、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシム系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤、及びボレート系光重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の光重合開始剤が好ましく、オキシム系光重合開始剤が特に好ましい。
オキシム系光重合開始剤としては、下記一般式(151)で示されるエタノン, 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)や、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4'−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等が挙げられる。
一般式(151):
Figure 2010111802
イミダゾール系光重合開始剤としては、2,2'ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'− テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールが挙げられる。
ボレート系光重合開始剤としては、下記一般式(82)〜(85)で示される化合物が挙げられる。
一般式(152):
Figure 2010111802
一般式(153):
Figure 2010111802
一般式(154):
Figure 2010111802
一般式(155):
Figure 2010111802
アセトフェノン系光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2 −ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、又は2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4 − フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、又は4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
チオキサンソン系光重合開始剤としては、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2 −メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、又は2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。
トリアジン系光重合開始剤としては、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル− 4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等が挙げられる。
ホスフィン系光重合開始剤としては、ビス( 2 , 4 , 6 − トリメチルベンゾイル) フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
キノン系光重合開始剤としては、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等が挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いられる。光重合開始剤(C)は、インクジェットインキの全固形分重量を基準(100重量%)として、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは2〜20重量%の量で用いることができる。
[エチレン性不飽和化合物(D)について]
本発明のインクジェットインキに含有されるエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和二重結合を1個または2個以上有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、感光性樹脂を用いることができる。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロプレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロプレングリコールポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート類;あるいは、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、グリセロールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールF型エポキシの(メタ)アクリル酸付加物、又はノボラック型エポキシの(メタ)アクリル酸付加物等のエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
又、以上挙げた(メタ)アクリレートを、更に(ポリ)アルキレンオキシドや(ポリ)カプロラクトン等で変性したものも使用することができる。
又、他に、トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)]イソシアヌレート、又はジイソシアネート類のイソシアヌレートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物等も挙げることができる。
又、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、又はペンタエリスリトールトリビニルエーテル等のビニルエーテル類;
(メタ)アクリル酸、スチレン、又は酢酸ビニル等の単価能モノマー類;あるいは、
(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、又はアクリロニトリル等の窒素元素を有する単官能モノマー等も使用できる。
更に、ポリウレタン、ポリエステル、メチロールメラミン樹脂、ポリジメチルシロキサン、又はロジン等のオリゴマーを(メタ)アクリロイル基で変性したものも使用できる。
その他、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、又はアクリロニトリル等も挙げることができる。
感光性樹脂としては、一般式(1)〜(5)で示される樹脂型分散剤(B‘)または本発明のインクジェットインキに使用可能な後述のバインダー樹脂以外の樹脂に、公知の方法でエチレン性不飽和二重結合を導入した感光性樹脂を用いることができる。例えば、樹脂中に存在する水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、又はエポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、又はスチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものを用いることができる。
以上挙げたエチレン性不飽和化合物(D)は、必ずしもこれらに限定されるものではない。単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
エチレン性不飽和化合物(D)は、インクジェットインキの全固形分重量を基準(100重量%)として、好ましくは5〜30重量%の量で用いることができる。エチレン性不飽和化合物(D)の含有量が30重量%より多い場合は、露光表面付近で硬化が進行し内部硬化が進行しない為に、十分な塗膜強度を持つパターン形成が出来ない傾向があり、5重量%より少ない場合は、低感度となって光硬化性が不充分となる傾向がある。
[有機溶剤(E)について]
本発明のインクジェットインキで用いられる有機溶剤(E)としては、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことを必須としている。
本発明のインクジェットインキは、カラーフィルタをはじめとするパターン描画に使用する事を目的としており、生産性等の観点より、高固形分化・高顔料濃度化が求められている。更に感光性を付与する為に固形の光重合開始剤も添加される。よって、吐出安定性を確保する為には、通常のインクジェットインキ以上に乾燥性を制御する必要がある。
以上の観点より、本発明のインクジェットインキで用いられる有機溶剤(E)中、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことが求められる。沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)が80重量%未満であると、ヘッド上のノズル近傍にて発生する乾燥により、インクジェットヘッドのノズル部でインキ粘度が上昇し吐出が不安定になったり、ノズル付近に固形物が付着し液滴の飛翔方向が曲がったりする。
本発明で用いられる有機溶剤としては、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むという条件を満たす事以外は特に制約はなく、インクジェットインキにおいて通常使用されている有機溶剤を用いることができる。一般に、インクジェットインキに用いられる有機溶剤は、樹脂に対して高い溶解性を有するとともに、インクジェットプリンターからインクを吐出する際に、インクと接するプリンタ部材に対して膨潤作用が少なく、溶剤の粘度がなるべく低いものが好ましい。有機溶剤は、樹脂に対する溶解性、及びプリンタ部材に対する膨潤作用、粘度、及びノズルにおけるインクの乾燥性の点から選択され、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、エステル系溶剤、及び/又はケトン系溶剤等の1種類を単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、又はアミルアルコール等を挙げることができる。
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリアセチン、1−ブトキシエトキシプロパノール、又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、乳酸エチル、乳酸プロパン、又は乳酸ブチル等を挙げることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、又はアセトフェノン等を挙げることができる。
本発明のインクジェットインキで用いられる有機溶剤(E)中に含まれる、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)としては、下記一般式(6)で示される化合物、及び下記一般式(7)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
一般式(6):
Figure 2010111802
[一般式(5)中、Cn62n6は、炭素数2〜6の直鎖又は分岐アルキレン鎖であり、1≦m6≦3であり、2≦n6≦6である。]
一般式(7):
Figure 2010111802
[一般式(7)中、R71は、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R72は、水素原子、又はメチル基であり、W8は、メチル基、又は −C(=O)−CH3であり、2≦m8≦4である。]
本発明のインクジェットインキは、高固形分化・高顔料濃度化が求められており、感光性を付与する為に添加する光重合開始剤の濃度も必然的に高くなる。よって吐出安定性を確保する為に溶剤の乾燥性(沸点)を制御すると共に、光重合開始剤の溶解性を制御する必要がある。
以上の観点より、本発明のインクジェットインキで用いられる有機溶剤(E)中に含まれる、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)としては、前記一般式(6)で示される化合物、及び一般式(7)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが求められる。沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)として前記一般式(6)、一般式(7)で示される化合物以外の溶剤を使用した場合には、光重合開始剤の溶解性を十分に確保できない為、光重合開始剤が析出したり、塗工物を作製した場合に塗膜表面に凝集物が発生するおそれがある。
前記一般式(6)で示される有機溶剤としては、具体的には、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、1,4−ブチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,5−ペンタンジオールジアセテート、又は1,6−ヘキサンジオールジアセテート等が挙げられる。
前記一般式(7)で示される有機溶剤としては、具体的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、又はテトラプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
[多官能チオール(F)について]
本発明のインクジェットインキには、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオール(F)を含有させることができる。
多官能チオール(F)は、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン,又はトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
これらの多官能チオール(F)のうち、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、又はトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)を好ましく用いることができる。
多官能チオールは、インクジェットインキの全固形分重量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1〜30重量% 、より好ましくは1〜20重量%の量で用いることができる。0.1 重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて解像度が低下したり、インクジェットインキの安定性が低下したりする。
[顔料誘導体(G)について]
本発明において、必要に応じて顔料誘導体(G)を用いる事が出来る。本発明に用いる事の出来る顔料誘導体としては、例えば、下記一般式(8)で示されるものを用いることができる。
一般式(8):
8−Z88
(一般式(8)中、
8は、q8価の色素原型化合物残基であり、
8は、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
8は、1〜4の整数である。)
塩基性置換基としては、例えば、下記一般式(81)、一般式(82)、一般式(83)、又は一般式(84)で示される置換基が挙げられる。
一般式(81):
Figure 2010111802
(一般式(81)中、
81は、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合であり、
n81は、1〜10の整数であり、
a81、及びRb81は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRa81、Rb81とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましい。)
一般式(82):
Figure 2010111802
(一般式(82)中、
a82、及びRb82は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRa82、Rb82とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましい。)
一般式(83):
Figure 2010111802
(一般式(83)中、
83は、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表す。
a83は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、前記アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、
b83、Rc83、Rd83、及びRe83は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、前記アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜5が好ましい。)
一般式(84):
Figure 2010111802
(一般式(84)中、
84は、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合であり、
84は、−NRa84−Z84−NRb84−、又は直接結合であり、
a84、及びRb84は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜5が好ましく、
84は、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜8が好ましく、
84は、下記一般式(84a)で示される置換基、又は下記一般式(84b)で示される置換基であり、
84は、水酸基、アルコキシル基、前記一般式(82)で示される置換基、又は前記一般式(83)で示される置換基である。)
一般式(84a):
Figure 2010111802
(一般式(84a)中、
n84は、1〜10の整数であり、
c84、及びRd84は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はRc84、Rd84とで一体となって更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環であり、前記アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(84b):
Figure 2010111802
(一般式(84b)中、
e84は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、前記アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、
f84、Rg84、Rh84、及びRi84は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基であり、前記アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜5が好ましい。)
酸性又は中性の置換基としては、例えば、下記一般式(85)、一般式(86)、又は一般式(87)で示される置換基が挙げられる。
一般式(85):
Figure 2010111802
(一般式(85)中、
85は、水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子であり、
875は、M85の価数である。)
一般式(86):
Figure 2010111802
(一般式(86)中、
a86、Rb86、Rc86、及びRd86は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基である〔但し、全てが水素原子である場合は除く。〕)。
一般式(87):
Figure 2010111802
(一般式(87)中、
87は、水素原子、ハロゲン原子、−NO2、−NH2、又はSO3Hであり、
87は、1〜4の整数である。)
色素原型化合物とは、一般に知られている色素骨格を有する化合物、及び可視光領域にほとんど吸収を有さない、色素骨格に類似の骨格を有する化合物を指す。
色素原型化合物残基としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素残基、アゾ、ジスアゾ、又はポリアゾ等のアゾ系色素残基、フタロシアニン系色素残基、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、又はビオラントロン等のアントラキノン系色素残基、キナクリドン系色素残基、ジオキサジン系色素残基、ペリノン系色素残基、ペリレン系色素残基、チオインジゴ系色素残基、イソインドリン系色素残基、イソインドリノン系色素残基、キノフタロン系色素残基、スレン系色素残基、金属錯体系色素残基、アントラキノン残基、あるいは、トリアジン残基等が挙げられる。
又、アントラキノン誘導体としては、上記塩基性、酸性、又は中性置換基を有するアントラキノンを用いることができる。
又、トリアジン誘導体としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、若しくはエチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、若しくはジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、若しくはブトキシ基等),ハロゲン(例えば、塩素、若しくは臭素等)、メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、若しくは水酸基等の置換基で置換されていてもよいフェニル基、又は、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、若しくは水酸基等の置換基で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンに、上記塩基性、酸性、又は中性置換基を導入した誘導体を用いることができる。
[熱反応性化合物(H)について]
本発明において、必要に応じて熱反応性化合物(H)を用いる事が出来る。本発明のインクジェットインキに用いることのできる前記熱反応性化合物は、常温下では非反応性であるが、例えば、100℃以上(好ましくは150℃以上)の温度で、架橋反応、重合反応、重縮合反応、又は重付加反応を示す化合物である。本発明のインクジェットインキに用いることのできる前記熱反応性化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜2000、より好ましくは100〜1000である。
前記熱反応性化合物としては、例えば、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、又はシランカップリング剤を用いることができる。更に好ましくは、少なくともメラミン化合物及び/又はベンゾグアナミン化合物を含む事である。メラミン化合物及び/又はベンゾグアナミン化合物は少ない添加量で高い耐性を付与出来る為に、熱反応性化合物の添加量を低減する事が可能となり、インクジェットインキの高顔料濃度化や経時安定性の向上に繋がる。
メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、又はアルコキシメチル基を有するものが挙げられる。その中でも、アルコキシアルキル基を有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物が特に好ましい。アルコキシアルキル基を有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物を用いた場合、本発明のインクジェットインキを含有する塗料又はインキの保存安定性が著しく向上する。
アルコキシアルキル基を有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン、テトラメトキシメチロールベンゾグアナミン、又はテトラブトキシメチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
メラミン化合物の市販品の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
日本カーバイド社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MS−001、MX−002、MX−730、MX750、MX−708、MX−706、MX−042、MX−035、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−417、MX−410、又はMX−302;
日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、又は207;あるいは、
日本サイテックスインダストリー社製マイコート506、508、212、又は715等が挙げられる。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基を有するメラミン化合物であり、
日本カーバイド社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、又はMX−302;
日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、又は238;あるいは、
日本サイテックスインダストリー社製マイコート506である。
ベンゾグアナミン化合物の市販品の具体例としては、例えば、
日本カーバイド社製ニカラックBX−4000、SB−401、BX−37、SB−355、SB−303、SB301、BL−60、SB−255、SB−203、又はSB−201;
日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123;あるいは、
日本サイテックスインダストリー社製マイコート105、106、又は1128等が挙げられる。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基を有するベンゾグアナミン化合物であり、
日本カーバイド社製ニカラックBX−4000、又はSB−401;あるいは、
日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123である。
エポキシ化合物としては、例えば、
ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルo−フタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、又はポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオールのグリシジルエーテル;あるいは、
ポリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ベンゼン、ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ビフェニル、1−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート、又はベンゼン−1,4−ジカルボン酸ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)メチル〕エステル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させたノボラック型フェノール化合物、又は塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール化合物のどちらも用いることができる。
フェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、又はビスフェノールS等を挙げることができる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、又はアセトアルデヒドを挙げることができる。
フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
ベンゾオキサジン化合物の市販品の具体例としては、例えば、四国化成工業社製ベンゾオキサジンP−d型、又はベンゾオキサジンF−a型等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ブロック化カルボン酸化合物のカルボン酸化合物として例えば、1,2−フタル酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸、1,2,4−トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、C1−CIC酸、CIC酸、C3−CIC酸、又はBis−CIC酸等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ブロックカルボン酸化合物のブロック剤としては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、又は2−エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。又、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
ブロック化イソシアネート化合物のイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、若しくはテトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト型、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、又はイソシアネート残基を有するウレトジオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
ブロック化イソシアネート化合物のブロック剤としては、例えば、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、又は活性メチレン(100〜120℃)等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。又、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
カルボジイミド化合物の市販品の具体例としては、例えば、日清紡社製カルボジライトV−01、V−03、又はV−05等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
シランカップリング剤としては、例えば、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、又はビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、又はγ−(メタ)アクリロキシプロピルトエトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又はγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、又はN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;あるいは、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、又はγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等を挙げることができる。
これらの熱反応性化合物のうち、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物は本発明のインクジェットインキの全固形分重量を基準(100重量%)として、1重量%〜10重量%の量で含有されていることが好ましい。
又、シランカップリング剤は、本発明のインクジェットインキ中に0.1重量%〜10重量%の量で含有されていることが好ましい。
含有量が不足すると、耐熱性、又は耐薬品性が若干低下し、含有量が10%より多くなると、アルカリ現像性の低下を引き起こす。
[バインダー樹脂について]
本発明のインクジェットインキは、更にバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂は、前記熱反応性化合物の反応温度においても、非反応性の樹脂であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
バインダー樹脂の例としては、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂等を用いることができる。
[顔料の被覆処理について]
顔料の被覆処理は、前記顔料、前記分散樹脂、前記有機溶剤、前記顔料誘導体、及び前記バインダー樹脂等が均一になるように予め混合してから、分散機を用いて混練することにより行うことができる。溶剤の配合量は、混合物の機械特性に応じて調節することが好ましい。顔料の被覆処理に用いる分散機としては、ニーダー、ロールミル、ボールミル、バンバリーミキサー、ローラーミル、石臼式ミル等が挙げられるが、2本ロールミルは一つの装置で混合及び混練ができるので好ましい。
顔料を被覆処理する際の原料の配合量は、顔料100重量部に対して、前記分散樹脂及び前記バインダー樹脂(以下、樹脂成分)20〜200重量部、及び溶剤4〜200重量部、顔料誘導体0〜30重量部の範囲であることが好ましい。又、樹脂成分の配合量が20重量部未満の場合は、充分に顔料表面を被覆できず、顔料の分散安定性が低くなり、200重量部を越える場合は、顔料に吸着しない遊離の樹脂成分によりインクジェットインキの粘度が上昇する。又、溶剤の配合量が4重量部未満の場合は、顔料誘導体及び樹脂成分の顔料に対する初期の塗れが不充分で充分に顔料を被覆しないため、インクジェットインキの粘度が安定しないことがあり、200重量部を越える場合は、顔料の被覆処理が困難となる。顔料誘導体の配合量が30重量部を越える場合は、顔料誘導体が過剰となり未吸着の顔料誘導体同士が凝集するためインクジェットインキが増粘する。
顔料の被覆処理は、具体的には、下記の2段階の工程により行われる。
第1工程は、顔料、樹脂成分、及び溶剤等を含む組成物を20回程度2本ロールに通すことにより顔料への樹脂成分の濡れと吸着を進行させるチップ化工程である。この工程で、配合した溶剤のうち約80重量%程度が揮発する。
第2工程は、チップ化により前記樹脂成分が顔料に吸着した混練物の加熱、混練を続けて顔料粒子表面に被覆層を形成する被覆処理工程である。混練物の粘度が高く、機械上、混練できない場合は、適量の溶剤を追加し、混練を助ける。
樹脂成分が架橋可能な官能基を有する場合には、被覆処理工程で樹脂成分の架橋が生じ、一部に樹脂切断も見られる。この反応は、過度な機械的な加圧と磨砕、更には加熱の結果によるものでメカノケミカルな反応である。顔料と樹脂成分とを混練する際に顔料誘導体を用いることにより、顔料誘導体と樹脂成分とが顔料表面により強固に吸着し、更に加熱と加圧混練を行うことにより樹脂成分の架橋が促進される。加熱温度は80℃〜120℃の範囲であることが好ましい。80℃未満の温度では樹脂成分が十分に架橋しない場合があり、120℃を越える温度では、樹脂成分の劣化が生じる場合がある。
顔料表面に吸着しなかった余剰の樹脂成分は、インクジェットインキの粘度等の物性に影響を及ぼす場合には、洗浄やろ過等により除去することが好ましい。又、被覆処理顔料は、乾燥しても凝集しない場合には、洗浄後に乾燥しても良いが、被覆処理時に用いた溶剤がインクジェットインキの液状媒体として使用可能な溶剤であればあえて乾燥する必要がない。
[物性等について]
本発明のインクジェットインキにおいて、固形分含有量は、インクジェットインキ全重量に対して、好ましくは3〜60重量%、より好ましくは4〜40重量%である。固形分含有量が、3重量%未満になるとインクジェットインキ皮膜の濃度や耐性が不足し、60重量%を超えるとインクジェットインキの粘度が上昇し、経時安定性が低下することがある。
本発明のインクジェットインキの粘度としては、2mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下、更には4mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。粘度が、40mPa・sを超えると、連続して吐出する場合に、安定した吐出ができない。粘度が、2mPa・sより低いと、ヘッドから吐出後インキが液滴を形成することができなくなる。
本発明のインクジェットインキの平均分散粒子径としては、5nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましい。平均分散粒子径が、200nmを超えると、ヘッドが目詰まりを起こしやすく、安定した吐出ができない。又平均分散粒子径が、5nmより小さいと、再凝集を引き起こし易くなり、経時安定性が悪化する。
本発明のインクジェットインキの表面張力としては、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、24mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。表面張力が、40mN/mを超えると、ヘッドからインキが安定して吐出することができず、逆に表面張力が、20nmより低いとヘッドから吐出後インキが液滴を形成することができなくなる。
本発明のインクジェットインキの製造は、前記分散樹脂、前記顔料、前記熱反応性化合物、及び前記有機溶剤、並びに必要に応じて前記バインダー樹脂及び/又は顔料誘導体を通常の分散機に投入し、所望の平均粒子径・粒度分布になるまで分散することにより行うことができる。インクジェットインキの原料は、一括して混合・分散してもよいし、それぞれの原料の特性や経済性を考慮して別々に混合・分散してもよい。インクジェットインキの粘度が高過ぎ、希釈が必要な場合には、インキ原液に希釈用の液状媒体を加えて均一に攪拌し、インクジェットインキを調製することもできる。
分散機としては、サンドミル、ビーズミル、アジテータミル、ダイノミル、又はコボルミル等が好適である。それぞれの分散機において、顔料分散に適切な粘度領域がある場合には、各種樹脂成分と顔料との比率を変えて粘度を調整することができる。インクジェットインキは、分散機で分散後に、粗大粒子や異物除去を目的にフィルタや遠心法により濾過することが好ましい。
インクジェットインキを製造する際には、更に、界面活性剤型分散剤や、アントラキノン誘導体、及び/又はトリアジン誘導体を用いることができる。界面活性剤型顔料分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、又はステアリルアミンアセテート等を挙げることができる。
インクジェットインキには、インクジェットインキの粘度が25℃で3〜50mPa・sとなる範囲で、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、インクジェットインキの基板への濡れ性を制御するために、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤を選択する際には、その他のインクジェットインキ構成成分との相溶性を考慮する必要がある。界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性のものがあり、好適なものを選択すればよい。
本発明のインクジェットインキは、高い顔料濃度でありながら低粘度であるため吐出安定性に優れ、顔料含有量が通常のインクジェットインキに比べ多いために吐出量を少なくすることができることから、カラーフィルタ基板用をはじめ、高い印字濃度が望まれている印刷物の生産性及び品位を向上させることができる。特に、本発明のインクジェットインキは、高い生産性及び品位が求められるカラーフィルタ基板の製造に好適である。
又、本発明のインクジェットインキは、顔料が高濃度に分散されているので、インキ組成物が深さ方向に浸透する紙や横方向への濡れ広がるプラスティック、ガラス及び金属であっても、印字濃度を高くできる。更に、吐出量を抑えることができるので、受容層のインキ受容量を越えるためインクジェットインキが流出して混色したり、ドット形状が真円とならなかったことも回避することができるので、従来のインクジェット印刷では制限された用途にも用いることができる。
[カラーフィルタ基板について]
本発明のインクジェットインキを用いて、インクジェット法により、カラーフィルタ基板を製造することができる。カラーフィルタ基板は、例えば、薄型テレビジョン等に利用されている液晶ディスプレイパネルに利用することができる。
カラーフィルタ基板は所望の色相のフィルタセグメントを具備するものであり、フィルタセグメントは、ブラックマトリックスが形成された基板のブラックマトリックスで区分けされた領域内に、インクジェット法によりカラーフィルタ用インクジェットインキを吐出することに形成される。
基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板を用いることができる。ブラックマトリックスは、例えば、ラジカル重合型のブラックレジストを塗布し、露光、そして現像してパターニングするフォトリソグラフィー法、黒色インキを印刷する印刷法、又は金属を蒸着したのちエッチングする蒸着法等により基板上に形成することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%を表す。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算で求めた。
樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。以下、単位(mgKOH/g)を省略する場合がある。
実施例及び比較例で用いた顔料、顔料誘導体、溶剤及び樹脂溶液を以下に示す。比較例で使用した樹脂溶液については、インクジェットインキの溶剤組成に合わせ、合成時の溶剤を適宜変更して用いた。又、実施例及び比較例における最終的なインキ組成を表1〜9に示す。
[A]顔料
(PR254) レッド顔料A:C.I.Pigment Red 254
(PR177) レッド顔料B:C.I.Pigment Red 177
(PR122) マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122
(PY138) エロー顔料:C.I.Pigment Yellow 138
(PY150) エロー顔料:C.I.Pigment Yellow 150
(PG36) グリーン顔料A:C.I.Pigment Green 36
(PB15:3) シアン顔料:C.I.Pigment Blue 15:3
(PB15:6) ブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(PV23) バイオレット顔料:C.I.Pigment Violet 23
[B]分散樹脂
《製造例1(樹脂型分散剤B−1)》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させ最後に溶剤(PGMAc)214部を加え樹脂型分散剤Ceを得た。得られた樹脂型分散剤Ce中の固形分比率は100%、重量平均分子量(Mw)は5,000、酸価は46、常温で白色ワックス状固体であった。
《製造例2(樹脂型分散剤B−2)》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、溶剤(PGMAc)242部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤Cdを得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤Cd溶液を得た。樹脂型分散剤Cdの重量平均分子量(Mw)は8,500、酸価は40であった。
《製造例3(樹脂型分散剤B−3)》
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に溶剤(PGMAc)を60部仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メタクリル酸20部、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート17.6部、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート10部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)2.4部、溶剤(PGMAc)40部、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4600、一分子中の水酸基の平均個数1.0個のビニル系樹脂中間体(MB3)を得た。
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(MB3)を固形分で100部、無水トリメリット酸を3.9部、ジメチルベンジルアミンを0.1部仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G11)の平均個数)が1.0個である樹脂型分散剤B−3を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤Cc−1溶液を得た。樹脂型分散剤B−3の重量平均分子量(Mw)は7,800、酸価は72であった。
《製造例4(樹脂型分散剤B−4)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、溶剤(PGMAc)60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メタクリル酸30部、n−ブチルメタクリレート20部、メチルメタクリレート15部、ベンジルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、溶剤(PGMAc)40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が4,000であり、一分子中の水酸基の平均個数1.5個であるビニル系樹脂中間体(MB4)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ビニル系樹脂中間体(MB4)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G11)の平均個数)が0.8個である樹脂型分散剤B−4を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤B−4溶液を得た。樹脂型分散剤B−4の重量平均分子量(Mw)は17,000、酸価は78であった。
《製造例5(樹脂型分散剤B−5)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、樹脂型分散剤Cc−2を製造する際に用いたビニル系樹脂中間体(MB4)を固形分で100部、 3,3‘,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸無水物5.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G11)の平均個数)が0.8個である樹脂型分散剤B−5を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤B−5溶液を得た。樹脂型分散剤B−5の重量平均分子量(Mw)は14,000、酸価は70であった。
《製造例6(樹脂型分散剤B−6)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、溶剤(PGMAc)60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート25部、ジシクロペンタニルメタクリレート15部、ベンジルメタクリレート40部、メタクリル酸20部、溶剤(PGMAc)40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、樹脂型分散剤B−5を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤B−5溶液を得た。樹脂型分散剤B−6の重量平均分子量(Mw)は8,200、酸価は100であった。
《製造例7(樹脂型分散剤B−7)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(PGMAc)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート27部、ベンジルメタクリレート30部、ホスマーM 3部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部を添加し、5時間反応を継続し、樹脂型分散剤B−7溶液(固形分50%)を得た。樹脂型分散剤B−7の重量平均分子量(Mw)は18,000、酸価は110であった。
《製造例8(樹脂型分散剤B−8)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(PGMAc)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート27部、ベンジルメタクリレート30部、カヤマーPM−2(日本化薬社製)3部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部を添加し、5時間反応を継続し、樹脂型分散剤B−8溶液(固形分50%)を得た。樹脂型分散剤B−8の重量平均分子量(Mw)は19,000、酸価は108であった。
《製造例9(樹脂型分散剤B−9)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、溶剤(PGMAc)60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート30部、メチルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、溶剤(PGMAc)40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が3800であり、一分子中の水酸基の平均個数1.5個であるビニル系樹脂中間体(MB9)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ビニル系樹脂中間体(MB9)を固形分で100部、ピロメリット酸二無水物2.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのピロメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G11)の平均個数)が0.8個である樹脂型分散剤B−9を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤B−9溶液を得た。樹脂型分散剤B−4の重量平均分子量(Mw)は15,000、酸価は18であった。
《製造例10(樹脂型分散剤B−10)》
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、溶剤(PGMAc)60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート30部、ジシクロペンタニルメタクリレート15部、ベンジルメタクリレート50部、メタクリル酸5部、溶剤(PGMAc)40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、樹脂型分散剤B−8を得た。室温まで冷却後、固形分濃度を50%に調節し、樹脂型分散剤B−10溶液を得た。樹脂型分散剤B−10の重量平均分子量(Mw)は8,000、酸価は27であった。
《製造例11(樹脂型分散剤B−11)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(PGMAc)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管より2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、n−ブチルメタクリレート37部、ベンジルメタクリレート40部、ホスマーM 3部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部を添加し、5時間反応を継続し、樹脂型分散剤B−11溶液(固形分50%)を得た。樹脂型分散剤B−11の重量平均分子量(Mw)は17,000、酸価は0であった。
《製造例12(分散樹脂B−12)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(PGMAc)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸 20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部、n−ブチルメタクリレート 30部、ベンジルメタクリレート 30部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4部を添加し、5時間反応を継続し、分散樹脂B−12溶液(固形分50%)を得た。分散樹脂B−12の重量平均分子量(Mw)は22,000、酸価は112であった。
《製造例13(分散樹脂B−13)》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて、溶剤(PGMAc)100部を仕込み、100℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸 2部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部、n−ブチルメタクリレート 38部、ベンジルメタクリレート 40部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4部を添加し、5時間反応を継続し、分散樹脂B−13溶液(固形分50%)を得た。分散樹脂B−13の重量平均分子量(Mw)は24,000、酸価は10であった。
[C]光重合開始剤
(C−1)オキシム系光重合開始剤:(エタノン, 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−)
(C−2)アセトフェノン系光重合開始剤A:(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)
(C−3)アセトフェノン系光重合開始剤B:(2−メチルー1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1オン)
(C−4)ホスフィン系光重合開始剤:(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
[D]エチレン性不飽和化合物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
[E]有機溶剤
(CBAc):ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点217℃)
(DPMA):ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点213℃)
(13BGDA):1,3−ブチルジグリコールジアセテート(沸点232℃)
(BuCBAc):ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)
(DMTeG):ジメチルテトラグリコール(沸点275℃)
(MMGAc):エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃)
(PGMAc):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)
(BGD):ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃)
(TPNB):トリプロピレングリコールモノブチルエーテル:(沸点274℃)
(TAT):トリアセチン (沸点260℃)
[F]多官能チオール
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)(TPMB)
[G]顔料誘導体:
顔料誘導体〔G−1〕
一般式(801):
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−2〕
一般式(802):
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−3〕
一般式(803):
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−4〕
一般式(804):
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−5〕
一般式(805):
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−6〕
一般式(806)
Figure 2010111802
顔料誘導体〔G−7〕
一般式(807)
Figure 2010111802
[H]熱反応性化合物
アルコキシアルキル基含有メラミン化合物(日本カーバイド社製ニカラックMX43)
〔実施例1〕
レッド顔料A(PR254)90部、顔料誘導体(G−1)10部、樹脂型分散剤(B−1)10部、樹脂型分散剤(B−3)溶液80部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)50部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)450部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に光重合開始剤(C−1)10部、多官能チオール化合物(TPMB)5部、エチレン性不飽和化合物(DPHA)50部、溶剤(CBAc)195部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、固形分濃度25.0%、顔料濃度11.6%のインクジェットインクを得た。
〔実施例2〜28、比較例1〜16〕
実施例1と同様にして、表1〜9の組成表内の実施例2〜28、比較例1〜16の組成になるように分散、調液を行いインクジェットインキを得た。
〔インクジェットインキの評価〕
実施例1〜28及び比較例1〜16で得られたインクジェットインキを下記の方法で評価した。結果を表1〜9に示す。
[粘度]
動的粘弾性測定装置により、ずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)を測定した。
[保存安定性]
45℃のオーブンで、7日間加熱後粘度を測定した。
○:加熱前の粘度と比して増粘率10%以内
×:加熱前の粘度と比して増粘率10%以上
[吐出安定性A]
4〜10KHzの周波数変化が可能なピエゾヘッドを有するインクジェットプリンターを用い、印字状態を目視で観察し、下記の基準で吐出安定性を評価した。
○:連続30分後ノズル抜けが5%以下である。
△:連続30分後ノズル抜けが10%以下である。
×:連続30分後ノズル抜けが50%以上である。
[吐出安定性B]
前記インクジェットプリンターを用い、印字状態を目視で観察し、下記の基準で吐出安定性を評価した。
○:間欠30分後ノズル抜けが5%以下である。
△:間欠30分後ノズル抜けが20%以下である。
×:間欠30分後ノズル抜けが50%以上である。
[現像速度]
前記インクジェットプリンターを用いて10cm×10cm四方、乾燥後の膜厚1μmになるようにガラス基板に吐出後、70℃で15分乾燥し評価塗膜を作製した。評価塗膜を炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像し、塗膜が消失する時間を測定、単位膜厚当たりの時間(秒/μm)を現像速度とした。
○:現像速度が30秒/μm未満である。
△:現像速度が30秒/μm以上50秒/μm以下である。
×:現像速度が50秒/μmより大きい。
[UV感度]
前記インクジェットプリンターを用いて10cm×10cm四方、乾燥後の膜厚3μmになるようにガラス基板に吐出後、70℃で15分乾燥し、ガラス基板裏面より超高圧水銀ランプを超高圧水銀ランプを用い、それぞれ30、50、100、200、500、1000(mJ/cm2)の露光量の紫外線を露光した。炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像した後、イオン交換水で洗浄することで未硬化部分を取り除いた。現像後の膜厚を測定し、2μm以上の膜厚が得られる露光量をUV感度とした。
○:UV感度が200mJ/cm2未満である。
△:UV感度が200mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下である。
×:現像速度が1000mJ/cm2より大きい。
[異物]
前記インクジェットプリンターを用いて10cm×10cm四方、乾燥後の膜厚1μmになるようにガラス基板に吐出後、70℃で15分乾燥し評価塗膜を作製した。塗膜表面を観察し、異物発生状態を観察した。
○:15コ未満。
×:15コ以上。
[印字濃度]
前記インクジェットプリンターを用いて段ボールにベタ印刷を行い、室温乾燥を行って塗膜形成し、OD値を測定した。
○:OD値1.2以上
×:OD値1.2未満
[耐薬品性]
前記インクジェットプリンターを用いて10cm×10cm四方、乾燥後の膜厚2μmになるようにガラス基板に吐出後、70℃で15分乾燥し、ガラス基板裏面より超高圧水銀ランプを用い、500(mJ/cm2)の露光量の紫外線を露光し、230℃で20分間の熱硬化を行い評価塗膜を作製した。塗膜を形成したガラス基板をN−メチルピロリドンに浸漬し、浸漬前後の塗膜の色変化△Eを測定した。
○:△E≦2.5
△:2.5<△E≦5
×:△E>5
Figure 2010111802
Figure 2010111802
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Figure 2010111802
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Figure 2010111802
Figure 2010111802
Figure 2010111802
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以上の結果から明らかなように、実施例1〜28のインクジェットインキは、顔料濃度が高いもかかわらず、低粘度、且つ良好な粘度安定性を示し、流動性も優れ、吐出安定性が良好であり、更に感光性及びアルカリ現像性を有する為、微細パターン描写を行うインクジェットインキとして有用である。
本発明のインクジェットインキは、耐薬品性が良好で、更に顔料濃度が高いにもかかわらず、低粘度かつ低粘度かつ経時粘度安定性に優れ、吐出安定性が良好であり、更に感光性及びアルカリ現像性を有する。よって従来の方法と比較して、はるかに効率よく高精細なカラーフィルタ、パッケージ、又は屋外看板等を生産することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (10)

  1. 顔料(A)、分散樹脂(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)、及び有機溶剤(E)を含んでなるインクジェットインキであり、
    分散樹脂(B)が、下記一般式(1)〜(5)で示される構造を少なくとも一つを有する樹脂型分散剤(B‘)を含み、
    且つ、分散樹脂(B)の平均酸価が、50〜200(mgKOH/g)であり、
    且つ、有機溶剤(E)が、有機溶剤(E)を基準として、沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)を80〜100重量%含むことを特徴とするインクジェットインキ。
    一般式(1):
    Figure 2010111802
    〔一般式(1)中、
    11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A11〜A14のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR1(但し、R1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
    1は、1又は2の整数である。〕
    一般式(2):
    Figure 2010111802
    〔一般式(2)中、
    21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の2つが、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであるか、又は、A21〜A24のうちの2つが、−COOHであり、他の1つが、水素原子若しくは−COOR22(但し、R52は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)であり、他の1つがビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である組合せであり、
    21は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(21)で表される基、又は一般式(22)で表される基である。]
    一般式(21):
    Figure 2010111802
    一般式(22):
    Figure 2010111802
    一般式(3):
    Figure 2010111802
    〔一般式(3)中、A31及びA32は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
    一般式(4):
    Figure 2010111802
    〔一般式(4)中、A41は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
    一般式(5):
    Figure 2010111802
    〔一般式(5)中、A51は、ビニル結合、エステル結合、エーテル結合、及びウレタン結合から選ばれる結合を有する重合体残基である。〕
  2. 分散樹脂(B)が、分散樹脂(B)を基準として、樹脂型分散剤(B‘)を60〜100重量%含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェットインキ。
  3. 沸点210℃以上の有機溶剤(E‘)が、下記一般式(6)で示される化合物、及び下記一般式(7)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットインキ。
    一般式(6):
    Figure 2010111802
    [一般式(6)中、Cn62n6は、直鎖又は分岐アルキレン鎖であり、1≦m6≦3であり、2≦n6≦6である。]
    一般式(7):
    Figure 2010111802
    [一般式(7)中、R71は、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R72はそれぞれ水素原子又はメチル基、W7はメチル基又は −C(=O)−CH3 、2≦m7≦4である。]
  4. 光重合開始剤(C)が、アセトフェノン系光重合開始剤、オキシム系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤、及びボレート系光重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のインクジェットインキ。
  5. 更に、多官能チオール(F)を含んでなる請求項1〜4いずれか記載のインクジェットインキ。
  6. 更に、下記一般式(8)で表される色素誘導体(G)を含んでなる請求項1〜5いずれか記載のインクジェットインキ。
    一般式(8):
    8−Z88
    (一般式(8)中、
    8は、q8価の色素原型化合物残基であり、
    8は、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、
    8は、1〜4の整数である。)
  7. 更に、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる熱反応性化合物(H)を、1種若しくは2種以上含んでなる請求項1〜6いずれか記載のインクジェットインキ。
  8. 顔料(A)と分散樹脂(B)との重量比が、100:5〜100:150であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のインクジェットインキ。
  9. カラーフィルタ基板用である、請求項1〜8いずれか記載のインクジェットインキ。
  10. 請求項1〜9いずれか記載のインクジェットインキにより形成された印刷層を担持してなるカラーフィルタ基板。
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