JP5482525B2 - 分散体 - Google Patents
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Description
本発明の分散体に用いられるカーボンナノチューブの種類には特に限定はなく、用途に応じ、単層、2層又は多層カーボンナノチューブの全てのものが使用できる。砕けたり潰れたりしにくい点で、分散させやすさの点からは多層カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブの直径、長さにも特に限定はなく、あらゆる大きさのものに適用可能であるが、直径については10nm〜1000nmが好ましく、30nm〜400nmが特に好ましく、50nm〜200nmが更に好ましい。また、長さについては0.1μm〜500μmが好ましく、0.3μm〜100μmが特に好ましく、0.5μm〜50μmが更に好ましい。本発明における特定の樹脂を用いることによって、単層から多層に至るまで、また、あらゆる種類や大きさのカーボンナノチューブ分散体を得ることができる。
本発明で用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)は、数平均分子量が500〜30,000であることが好ましい。500未満であっても、30,000を超えても分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
本発明に用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂の前駆体として使用する水酸基を有する重合体(C)としては、片末端に水酸基を有する重合体(C1)と、側鎖に水酸基を有する重合体(C2)とに分けられる。更に、片末端に水酸基を有する重合体(C1)として、片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)が好ましい。
まず、片末端に水酸基を有する重合体(C1)について説明する。本発明に用いる片末端に水酸基を有する重合体(C1)としては、片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(C1−1)と、片末端に水酸基を有するビニル系重合体(C1−2)とが挙げられる。
片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(C1−1)としては、例えば、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、モノアルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物とを開環重合して容易に得られる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、又はオレイルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;
ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコール等の芳香環を有するモノアルコール類;あるいは、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、又はテトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、3−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ノニルアミン、イソノニルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ミリスチルアミン、セチルアミン、1−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、2−オクチルデシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、2−ヘキシルデシルアミン、ベヘニルアミン、又はオレイルアミン等の脂肪族1級モノアミン類;
3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−イソブチロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、又は3−ミリスチロキシプロピルアミン等のアルコキシアルキル1級モノアミン類;あるいは、
ベンジルアミン等の芳香族1級モノアミンが挙げられる。
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−1−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(4−メチル−2−ペンチル)アミン、ジ−1−ヘプチルアミン、ジ−1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−1−ノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−1−デシルアミン、ジ−1−ドデシルアミン、ジ−1−ミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジ−1−ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ−(2−オクチルデシル)アミン、ジ−(2−オクチルドデシル)アミン、ジ−(2−ヘキシルデシル)アミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ピペラジン、又はアルキル置換ピペラジン等の脂肪族2級モノアミン類が挙げられる。
メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール、又はオレイルチオール等の脂肪族モノチオール類;あるいは、
チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、又はメルカプトプロピオン酸トリデシル等のメルカプトプロピオン酸アルキルエステル類が挙げられる。
テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、又はベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩;
テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩;
トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又は安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩;
ナトリウムアルコラート、又はカリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラート;
三級アミン類;
有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、又は有機チタネート化合物等の有機金属化合物;あるいは、
塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
0.8≦[D]/[E]≦1.0
([D]はジカルボン酸無水物のモル数であり、[E]はエポキシドのモル数である)であることが好ましい。0.8未満であるとエポキシドが残り好ましくなく、1.0を超えると、片末端に水酸基を有する重合体が得られず、片末端にカルボキシル基を有する重合体ができるので好ましくない。
片末端に水酸基を有するビニル系重合体は、例えば1分子内に水酸基とチオール基を有する化合物と、エチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。
本発明に用いられる側鎖に水酸基を有する重合体(C2)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得ることができる。水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、
水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(若しくは3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(若しくは3若しくは4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、又はエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは、
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、又はN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、
水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは、
水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
次に、片末端に水酸基を有する重合体(C1)又は側鎖に水酸基を有する重合体(C2)とトリカルボン酸無水物(D1)及び/又はテトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させる工程について説明する。
ある。
3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)は、アミン価が50〜500mgKOH/gであることが好ましく、更には、100〜400mgKOH/gが好ましく、200〜350mgKOH/gがもっとも好ましい。アミン価が50mgKOH/g未満であっても、400mgKOH/gを超えても分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、又はN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類;あるいは、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、又はN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
本発明の分散体において、炭素繊維と、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(A)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)との配合比率は、炭素繊維100重量部に対して、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(A)が5〜200重量部、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)が1〜40重量部、であることが好ましく、更には、顔料100重量部に対して、芳香族カルボキシル基を有する分散剤が10〜100重量部、3級アミノ基を有するビニル系樹脂が2〜20重量部であることが好ましい。
分散媒に、炭素繊維を分散させる工程としては、特に限定はなく、公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、ビーズミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法等のメディアレス分散法等が挙げられる。このうち、分散安定性等の点から、好ましくは超音波分散法又はビーズミル分散法である。
芳香族カルボキシル基を有する樹脂のMn及びMwは、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
顔料担体の樹脂として用いたアクリル樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
塩基性樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER−AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
塩基性樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
〈芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の製造例1〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここに無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。酸価および数平均分子量(Mn)を測定し、固形分当たりの酸価49mgKOH/g、数平均分子量(Mn)2,500であった。プロピレングリコールモノメチエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート28部、ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が3,800であり、一分子中の酸基の平均個数3.5個である中間体を得た。該中間体を固形分で100部、トリメリット酸無水物5.1部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数が1個、固形分当たりの酸価30mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,000である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−2)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート100部、n−ブチルアクリレート100部、プロピレングリコールモノメチエーテルアセテート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物30部、メトキシプロピルアセテート190部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、固形分当たりの酸価42mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,100である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−3)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート80部、エチルアクリレート120部、メトキシプロピルアセテート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させた。90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、固形分当たりの酸価44mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5,200である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−4)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート200部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が345mgKOH/g、数平均分子量2,500(Mn)の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−1)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート180部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が315mgKOH/g、数平均分子量(Mn)3000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−2)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート170部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。ピロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が303mgKOH/g、酸価が65mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−3)を得た。
市販の分散剤であるDISPERBYK−167(アミン価を有するブロック共重合物)、DISPERBYK−2001(酸価とアミン価を有するブロック共重合物)、BYK−9076(酸価とアミン価を有する高分子重合体)、BYK−111(リン酸基を有する共重合体)(以上ビックケミー・ジャパン社製)を表1で示した配合比でPGMAcで希釈し、固形分40%の(比較)樹脂溶液(E−1〜E−4)を得た。
70ccガラス瓶に、製造例1にて合成した芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を1.50部、製造例5にて合成した3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−1)を0.38部、カーボンナノチューブ(F−1)を0.75部、溶剤(メチルエチルケトン)27.37部を配合し、2mmφジルコニアビーズ70部を加えスキャンデックスで3時間分散し、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
実施例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)、カーボンナノチューブ(F)をそれぞれ表2で示した樹脂溶液およびカーボンナノチューブに変更した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
70ccガラス瓶に、製造例1にて合成した芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を1.88部、カーボンナノチューブ(F−1)を0.75部、溶剤(メチルエチルケトン)27.37部を配合し、2mmφジルコニアビーズ70部を加えスキャンデックスで3時間分散し、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
比較例1で用いた樹脂溶液(A−1)の代わりに、表3で示した樹脂溶液に変更した以外は比較例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
実施例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)と3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)の代わりに、表4に示した酸価を有する樹脂とアミン価を有する樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
比較例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の代わりに、表5に示した酸価とアミン価を両方有する樹脂に変更した以外は比較例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
・MEK:メチルエチルケトン
本発明のカーボンナノチューブ分散組成物の分散状態の評価は、溶剤中で分散したカーボンナノチューブ分散組成物の分散状態(沈殿の有無、粘度、経時安定性)で行った。
・ 初期粘度:カーボンナノチューブ分散組成物を、分散後室温で1日静置後、25℃に調整し、E型粘度計RE−80(東機産業社製)にて測定した。
・ 沈殿の有無:目視で沈殿の有無を確認し、全く沈殿の無いものを○、僅かに沈殿が見られるものを△、沈殿の多いものを×とした。
・ 経時安定性:カーボンナノチューブ分散組成物を、40℃1ヶ月経時保存した後、上記と同様にして、沈殿の有無、経時粘度を測定した。経時粘度については、初期粘度からの変化が10%以内を◎、10〜30%以内を○、それ以上の変化または増粘して粘度が測定不能になった場合を×とした。
カーボンナノチューブ分散組成物の評価結果を、表6に示した。
Claims (7)
- 炭素繊維と、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)とを、有機溶媒に分散してなる分散体であって、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)が、水酸基を有する重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させてなる樹脂である分散体。
- 炭素繊維がカーボンナノチューブ、カップスタッキング型カーボンナノチューブである請求項1記載の分散体。
- 水酸基を有する重合体(C)が、片末端に水酸基を有する重合体(C1)である請求項1または2記載の分散体。
- 片末端に水酸基を有する重合体(C1)が、片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)である請求項3記載の分散体。
- 水酸基を有する重合体(C)が、側鎖に水酸基を有する重合体(C2)である請求項1または2記載の分散体。
- 3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)のアミン価が、50〜500mgKOH/gである請求項1〜5いずれか記載の分散体。
- 炭素繊維のアミン吸着能が、20〜700μmol/gである請求項1〜6いずれか記載の分散体。
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