JP5482525B2 - 分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、分散媒に炭素繊維を分散させてなる分散体に関する。
炭素繊維は、電気伝導性、熱伝導性、耐食性、耐熱性、黒色着色性および薬品安定性など多くの面ですぐれた性能を有するため、様々な用途に使用されており、特に耐食性を要する帯電防止材や電磁波シールド材や、電気伝導性および耐食性を有することが必要とされる燃料電池セパレータあるいはリチウム二次電池の負極には、金属材料の使用が難しいため、カーボンファイバーなどの炭素繊維が使用されている。
炭素繊維、特にカーボンナノチューブに代表される筒状の形状を持った炭素繊維は、その直径は数nmから100nmで、長さは数nmから1mmであり、アスペクト比が大きく、高い導電性、機械的強度を有することから、燃料電池、電極、電磁波シールド材、導電性樹脂、電界放出ディスプレー(FED)用部材、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料などの機能性材料として、エレクトロニクス、エネルギー分野等の幅広い分野への利用が期待されている。
通常、カーボンナノチューブは隣接するカーボンナノチューブ同士が絡まり合った凝集物として得られる。一般に、カーボンナノチューブを使用する場合には、溶液中に微分散していることが好ましい。しかし、カーボンナノチューブそのものは、親水性液体にも疎水性液体にも分散しない。
現在まで、様々な方法で分散やインキ化を試みた文献がある。(例えば、特許文献1、特許文献2)多くの文献では、カーボンナノチューブを分散させるための分散剤の検討や、カーボンナノチューブ自体を化学修飾して易分散化(特許文献3)等が検討されているが、未だ十分な分散性、分散安定性に優れた分散体は得られていなかった。
また、カーボンナノチューブの合成に使用した触媒を、除去等の為の酸性処理を行わずに、塩基性を示すカーボンナノチューブを用いて、分散性、分散安定性を改善する検討(特許文献4)もなされているが、残存する触媒金属等による特性の低下が懸念され、満足できるものではなかった。
特開2003−238126号公報 特開2004−276232号公報 特表2008−517863号公報 特開2007−297255号公報
本発明は、凝集しやすい、特にカーボンナノチューブに代表される筒状の形状を持った炭素繊維を、有機溶媒に均一に分散させ、分散後の保存安定性が良好な分散体を提供することにある。
すなわち、本発明は、炭素繊維と、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)とを、有機溶媒に分散させてなるであって、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)が、水酸基を有する重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させてなる樹脂である分散体に関する。
また、本発明は、炭素繊維が、カーボンナノチュープ、カップスタッキング型カーボンナノチューブである上記分散体に関する。
また、本発明は、水酸基を有する重合体(C)が、片末端に水酸基を有する重合体(C1)である上記分散体に関する。
また、本発明は、片末端に水酸基を有する重合体(C1)が、片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)である上記分散体に関する。
また、本発明は、水酸基を有する重合体(C)が、側鎖に水酸基を有する重合体(C2)である上記分散体に関する。
また、本発明は、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)のアミン価が、50〜500mgKOH/gである上記分散体に関する。
また、本発明は、炭素繊維のアミン吸着能が、20〜700μmol/gである上記分散体に関する。
本発明によって得られる炭素繊維の分散体は、極めて良好な分散性、保存安定性を示した。
本発明の分散体の各構成要素について説明する。
本発明で言う炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維あるいはピッチ繊維由来の炭素繊維のほか、カーボンナノチューブが用いられる。
本発明の分散体に用いられるカーボンナノチューブの種類には特に限定はなく、用途に応じ、単層、2層又は多層カーボンナノチューブの全てのものが使用できる。砕けたり潰れたりしにくい点で、分散させやすさの点からは多層カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブの直径、長さにも特に限定はなく、あらゆる大きさのものに適用可能であるが、直径については10nm〜1000nmが好ましく、30nm〜400nmが特に好ましく、50nm〜200nmが更に好ましい。また、長さについては0.1μm〜500μmが好ましく、0.3μm〜100μmが特に好ましく、0.5μm〜50μmが更に好ましい。本発明における特定の樹脂を用いることによって、単層から多層に至るまで、また、あらゆる種類や大きさのカーボンナノチューブ分散体を得ることができる。
一般的に、カーボンナノチューブの製造には金属化合物が触媒として使用され、カーボンナノチューブを生成後、硝酸や硫酸などの強酸で洗浄し、カーボンナノチューブから触媒として用いた金属化合物を取り除いている。そのため、カーボンナノチューブの表面は酸化されて酸性を呈する官能基がある程度存在することが知られている。
カーボンナノチューブ等の炭素繊維表面の酸性を呈する官能基量を推量する時に、炭素繊維のアミン吸着量で推量することができることが一般に知られている。
アミン吸着量は次のようにして測定した。密閉できるガラス容器に、測定する試料1g測り取り、0.02mol/lのn−ヘキシルアミン(吸着物質)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を30ml加えた。容器に栓をして超音波洗浄機に1時間かけ、炭素繊維の表面に吸着物質を吸着させた。遠心分離機にかけて炭素繊維を沈降させ上澄み液を得た。上澄み液を15ml採取し、0.02mol/lの過塩素酸ジオキサン溶液にて残存したn−ヘキシルアミンを電位差滴定装置により逆滴定した。ブランクを測定し、定量してアミン吸着能が得られた。
本発明で言うカップスタック型カーボンナノチューブは、底の無いカップ形状をなす炭素網層が数個〜数百個積み重ねた構造をもつ炭素繊維であり、市販品を入手することができる。カップスタック型カーボンナノチューブの粒子サイズは、直径が約10nm〜1μm、長さが約50nm〜500μmである。カップスタック型カーボンナノチューブは、底の無いカップ形状をなす炭素網層が数個〜数百個を積み重ねた構造をもつ炭素繊維のため、カーボンナノチューブの側面には繊維状の端部が多く存在するため、硝酸や硫酸などの強酸での洗浄において、単層、2層又は多層構造のカーボンナノチューブに比べて、より多くの酸性を呈する官能基が存在することが期待され、本発明の分散体に特に好ましく使用できる。
本発明において、前述のアミン吸着能測定法により得られる炭素繊維のアミン吸着能が、20〜700μmol/gであることが重要である。アミン吸着能が20μmol/gより小さいと3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)との相互作用が小さくなり、分散安定性が劣る。また700μmol/gより大きいと3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)との相互作用が大きくなりすぎて、分散が困難となる。好ましくは、アミン吸着能が50〜500μmol/gであり、より好ましくは70〜400μmol/gである。
カップスタック型カーボンナノチューブは、広義の意味で、カーボンナノチューブに含まれる。本発明においても、特に、カップスタック型カーボンナノチューブに特徴的な場合に、カップスタック型カーボンナノチューブの文言を使う。
本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、および「アクリロイルオキシ及び/又はメタクロイルオキシ」を表すものとする。
《芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)》
本発明で用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)は、数平均分子量が500〜30,000であることが好ましい。500未満であっても、30,000を超えても分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
また、本発明で用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)は、酸価が10〜200mgKOH/gであることが好ましい。
本発明で用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)は、その分子内に芳香族カルボキシル基を有するものである。その製造方法には、酸基を有する重合体(C)に芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)を反応させる製造方法1挙げられる。料分散性の観点から、樹脂(A)中の芳香族カルボキシル基の個数をより制御し易い製造方法1により作られたものが好ましい。

〈重合体(C)〉
本発明に用いられる芳香族カルボキシル基を有する樹脂の前駆体として使用する水酸基を有する重合体(C)としては、片末端に水酸基を有する重合体(C1)と、側鎖に水酸基を有する重合体(C2)とに分けられる。更に、片末端に水酸基を有する重合体(C1)として、片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)が好ましい。
〔片末端に水酸基を有する重合体(C1)〕
まず、片末端に水酸基を有する重合体(C1)について説明する。本発明に用いる片末端に水酸基を有する重合体(C1)としては、片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(C1−1)と、片末端に水酸基を有するビニル系重合体(C1−2)とが挙げられる。
[ポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(C1−1)]
片末端に水酸基を有するポリエステル及び/又はポリエーテル系重合体(C1−1)としては、例えば、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、モノアルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物とを開環重合して容易に得られる。
モノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。例示すると、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、又はオレイルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;
ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコール等の芳香環を有するモノアルコール類;あるいは、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、又はテトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
1級モノアミンとしては、例えば、
メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、3−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ノニルアミン、イソノニルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ミリスチルアミン、セチルアミン、1−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、2−オクチルデシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、2−ヘキシルデシルアミン、ベヘニルアミン、又はオレイルアミン等の脂肪族1級モノアミン類;
3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−イソブチロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、又は3−ミリスチロキシプロピルアミン等のアルコキシアルキル1級モノアミン類;あるいは、
ベンジルアミン等の芳香族1級モノアミンが挙げられる。
2級モノアミンとしては、例えば、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−1−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(4−メチル−2−ペンチル)アミン、ジ−1−ヘプチルアミン、ジ−1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−1−ノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−1−デシルアミン、ジ−1−ドデシルアミン、ジ−1−ミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジ−1−ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ−(2−オクチルデシル)アミン、ジ−(2−オクチルドデシル)アミン、ジ−(2−ヘキシルデシル)アミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ピペラジン、又はアルキル置換ピペラジン等の脂肪族2級モノアミン類が挙げられる。
モノチオールとしては、例えば、
メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール、又はオレイルチオール等の脂肪族モノチオール類;あるいは、
チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、又はメルカプトプロピオン酸トリデシル等のメルカプトプロピオン酸アルキルエステル類が挙げられる。
モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールからなる群から選ばれる化合物は、前記例示に限定されることなく、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、又、単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。
ここで、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選ばれる環状化合物の反応順序は、どのようなものでもよく、例えば、一段階目として、前記開始剤にアルキレンオキサイドを重合した後、二段階目にラクトンを重合し、更に三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合することもできる。この例では、二段階目にラクトンを重合するときの開始剤は、一段階目に重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体となる。又、三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合するときの開始剤は、二段階目までに重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体とラクトン重合体のブロック共重合体となる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、又は1,3−ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらを、単独あるいは2種以上併用して用いることができる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式は、ランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。開始剤1モルに対するアルキレンオキサイドの重合モル数は、0〜100が好ましい。
アルキレンオキサイドの重合は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で、加圧状態で行うことができる。モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを重合して得られる片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体は市販されており、例えば、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズ等がある。市販品を具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500B等がある。
ラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトン、が挙げられ、この内、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、又はアルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
ラクトンは、前記例示に限定されることなく用いることができ、又単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。2種類以上を併用して用いることで結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
ラクチドとしては、具体的にはラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、グリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)を示すことができる。本発明においては、前記のラクトン又はラクチドのうち、ラクトンが用いられることが好ましい。
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器に、開始剤、ラクトン及び/又はラクチド、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。又、モノアルコールにエチレン性不飽和二重結合を有するものを使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
ラクトン及び/又はラクチドの重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、
テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、又はベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩;
テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、又はテトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩;
トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;
酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、又は安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩;
ナトリウムアルコラート、又はカリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラート;
三級アミン類;
有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、又は有機チタネート化合物等の有機金属化合物;あるいは、
塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなる場合がある。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン及び/又はラクチドの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
ラクトン及び/又はラクチドの重合温度は100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、たとえばラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
ジカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、又はクロレンデック酸無水物等が挙げられる。
エポキシドとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、2,4−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、3−メチル−ジブロモフェニルグリシジルエーテル(ただし、ブロモの置換位置は任意である)、アリルグリシジルエーテル、エトキシフェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルフタルイミド、又はスチレンオキシド等が挙げられる。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとは開始剤に対して同時に使用され、交互に反応する。このとき、開始剤の水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基に対して、まずジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応してカルボキシル基を生じ、次いでこのカルボキシル基にエポキシドのエポキシ基が反応して水酸基を生じる。更に、この水酸基にジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応するというように、以下、順次、前記と同様の反応を進行させることができる。開始剤1モルに対するジカルボン酸無水物及びエポキシドの重合モル数はそれぞれ0〜30モルが好ましい。又、ジカルボン酸無水物とエポキシドとの反応比率([D]/[E])は、
0.8≦[D]/[E]≦1.0
([D]はジカルボン酸無水物のモル数であり、[E]はエポキシドのモル数である)であることが好ましい。0.8未満であるとエポキシドが残り好ましくなく、1.0を超えると、片末端に水酸基を有する重合体が得られず、片末端にカルボキシル基を有する重合体ができるので好ましくない。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとの交互重合は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは、60℃〜150℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満となる場合や180℃を超える場合では反応速度がきわめて遅い。
[片末端に水酸基を有するビニル系重合体(C1−2)]
片末端に水酸基を有するビニル系重合体は、例えば1分子内に水酸基とチオール基を有する化合物と、エチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。
1分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物としては、例えばメルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、または、2−メルカプト−3−ブタノール等が挙げられる。
片末端に2つの水酸基を持有するものは、水酸基2つとチオール基1つとを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。この場合に片末端に水酸基を有する重合体(C)の中でも、もっとも好ましい形態である片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)となる。
分子内に水酸基2つとチオール基1つとを有する化合物としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。水酸基とチオール基を有する化合物が、1重量部未満では、分子量が大きくなり、分散体の粘度が高くなり好ましくない場合がある。30重量部を超えると、分子量が小さくなり、溶媒親和性のビニル重合体部分による立体反発効果が少なくなるため好ましくない場合がある。
チオール基はエチレン性不飽和単量体を重合するためのラジカル発生基となるため、該重合には必ずしも別の重合開始剤は必要ではないが、使用することもできる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。
重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和単量体としては、アクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが挙げられる。アクリル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、あるいは、(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
又、前記アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、スチレン、又はα−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、あるいは、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。アクリル単量体以外の前記単量体を、前記アクリル単量体と併用することもできる。
又、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を単独で用いるか、若しくは前記単量体と併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプラロラクトン付加アクリル酸、ε−カプラロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、又はクロトン酸等が挙げられ、1種又は2種以上を選択することができる。
片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
〔側鎖に水酸基を有する重合体(C2)〕
本発明に用いられる側鎖に水酸基を有する重合体(C2)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得ることができる。水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、
水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(若しくは3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(若しくは3若しくは4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、又はエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは、
水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、又はN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、
水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは、
水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、又は2−(若しくは3−若しくは4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル等が挙げられる。
又、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を2つ有する単量体も挙げられる。更に、エポキシ基等の環状エーテル基を有するエチレン系不飽和単量体に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を反応させたものや、あるいは(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に、単官能エポキシ化合物等の単官能環状エーテル化合物を反応させたもの等も挙げられる。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明したアクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが挙げられ、任意に使用することができる。
重合開始剤としては、例えば、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明したアゾ系化合物、又は有機過酸化物を用いることができる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
重合溶剤としては、例えば、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明した溶剤を同じ様に用いることができる。
《水酸基含有重合体と酸無水物の反応》
次に、片末端に水酸基を有する重合体(C1)又は側鎖に水酸基を有する重合体(C2)とトリカルボン酸無水物(D1)及び/又はテトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させる工程について説明する。
前記の片末端に水酸基を有する重合体(C1)又は側鎖に水酸基を有する重合体(C2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)の無水物基とを反応させることによって、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)を得ることができる。
芳香族トリカルボン酸無水物(D1)としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等を挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、M−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、又は9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物等を挙げることができる。
本発明で使用される芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)は、前記に例示した化合物に限らず、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわないが、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)との反応には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、例えば、3級アミン系化合物が使用でき、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、又は1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)との反応は無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま樹脂(A)の製品の一部として使用することもできる。使用する溶剤は、特に限定はないが、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明した溶剤を同じ様に用いることができる。
重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)との反応温度は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは60℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、180℃を超えると反応して開環した酸無水物が、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合が
ある。
《3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)》
3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)は、アミン価が50〜500mgKOH/gであることが好ましく、更には、100〜400mgKOH/gが好ましく、200〜350mgKOH/gがもっとも好ましい。アミン価が50mgKOH/g未満であっても、400mgKOH/gを超えても分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
3級アミノ基を有するビニル系樹脂の数平均分子量は、500〜30,000が好ましい。500未満であっても、30,000を越えても分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
3級アミノ基を有するビニル系樹脂は、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体と必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体を重合せしめて得ることができる。
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、又はN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類;あるいは、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、又はN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
これらのうち、N,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類が好ましく、更には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明したアクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが挙げられ、任意に使用することができる。
重合開始剤としては、例えば、前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程で説明したアゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
前記片末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する工程と同様に、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではなく、用途、コストなどから任意に選択することができる。重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
使用する溶剤量はエチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、樹脂(B)の製品の一部として使用することもできる。
《配合比率》
本発明の分散体において、炭素繊維と、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(A)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)との配合比率は、炭素繊維100重量部に対して、芳香族カルボキシル基を有する分散剤(A)が5〜200重量部、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)が1〜40重量部、であることが好ましく、更には、顔料100重量部に対して、芳香族カルボキシル基を有する分散剤が10〜100重量部、3級アミノ基を有するビニル系樹脂が2〜20重量部であることが好ましい。
《分散方法》
分散媒に、炭素繊維を分散させる工程としては、特に限定はなく、公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、ビーズミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法等のメディアレス分散法等が挙げられる。このうち、分散安定性等の点から、好ましくは超音波分散法又はビーズミル分散法である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
また、Mn及びMwは、それぞれ、数平均分子量及び重量平均分子量を意味する。
《芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の平均分子量》
芳香族カルボキシル基を有する樹脂のMn及びMwは、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
《芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の酸価》
顔料担体の樹脂として用いたアクリル樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
《3級アミノ基を有するビニル系樹脂の平均分子量》
塩基性樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC−8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER−AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
《3級アミノ基を有するビニル系樹脂のアミン価》
塩基性樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
《製造例》
〈芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の製造例1〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここに無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。酸価および数平均分子量(Mn)を測定し、固形分当たりの酸価49mgKOH/g、数平均分子量(Mn)2,500であった。プロピレングリコールモノメチエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を得た。
〈芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の製造例2〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート28部、ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量が3,800であり、一分子中の酸基の平均個数3.5個である中間体を得た。該中間体を固形分で100部、トリメリット酸無水物5.1部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数が1個、固形分当たりの酸価30mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,000である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−2)を得た。
〈芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の製造例3〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート100部、n−ブチルアクリレート100部、プロピレングリコールモノメチエーテルアセテート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物30部、メトキシプロピルアセテート190部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認し反応を終了した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、固形分当たりの酸価42mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,100である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−3)を得た。
〈芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の分散剤の製造例4〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート80部、エチルアクリレート120部、メトキシプロピルアセテート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させた。90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整し、固形分当たりの酸価44mgKOH/g、数平均分子量(Mn)5,200である芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−4)を得た。
〈3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)の製造例5〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート200部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が345mgKOH/g、数平均分子量2,500(Mn)の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−1)を得た。
〈3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)の製造例6〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート180部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が315mgKOH/g、数平均分子量(Mn)3000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−2)を得た。
〈3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)の製造例7〉
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート170部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。ピロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して固形分を40%に調整した。このようにして、固形分当たりのアミン価が303mgKOH/g、酸価が65mgKOH/g、数平均分子量(Mn)4,000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−3)を得た。
(比較製造例1)<(比較)樹脂溶液(E−1〜E−4)の製造>
市販の分散剤であるDISPERBYK−167(アミン価を有するブロック共重合物)、DISPERBYK−2001(酸価とアミン価を有するブロック共重合物)、BYK−9076(酸価とアミン価を有する高分子重合体)、BYK−111(リン酸基を有する共重合体)(以上ビックケミー・ジャパン社製)を表1で示した配合比でPGMAcで希釈し、固形分40%の(比較)樹脂溶液(E−1〜E−4)を得た。
<比較樹脂溶液(E−1〜E−4)>
Figure 0005482525
本発明では、炭素繊維としてカーボンナノチューブ(F)を用いた。実施例中に用いたカーボンナノチューブのアミン吸着量を前述の測定方法にて測定し、それぞれカーボンナノチューブ(F−1)129μmol/g、カーボンナノチューブ(F−2)177μmol/g、カーボンナノチューブ(F−3)242μmol/gであった。
<実施例1>
70ccガラス瓶に、製造例1にて合成した芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を1.50部、製造例5にて合成した3級アミノ基を有するビニル系樹脂溶液(B−1)を0.38部、カーボンナノチューブ(F−1)を0.75部、溶剤(メチルエチルケトン)27.37部を配合し、2mmφジルコニアビーズ70部を加えスキャンデックスで3時間分散し、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<実施例2〜8>
実施例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)、カーボンナノチューブ(F)をそれぞれ表2で示した樹脂溶液およびカーボンナノチューブに変更した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<実施例1〜8>
Figure 0005482525
<比較例1>
70ccガラス瓶に、製造例1にて合成した芳香族カルボキシル基を有する樹脂溶液(A−1)を1.88部、カーボンナノチューブ(F−1)を0.75部、溶剤(メチルエチルケトン)27.37部を配合し、2mmφジルコニアビーズ70部を加えスキャンデックスで3時間分散し、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<比較例2〜7>
比較例1で用いた樹脂溶液(A−1)の代わりに、表3で示した樹脂溶液に変更した以外は比較例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<比較例1〜7>
Figure 0005482525
<比較例8>
実施例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)と3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)の代わりに、表4に示した酸価を有する樹脂とアミン価を有する樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<比較例8>
Figure 0005482525
<比較例9〜10>
比較例1で用いた芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)の代わりに、表5に示した酸価とアミン価を両方有する樹脂に変更した以外は比較例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散組成物を調製した。
<比較例9〜10>
Figure 0005482525
表2〜5中の略称(有機溶剤)は以下に示すとおりである。
・MEK:メチルエチルケトン
<カーボンナノチューブ分散組成物の評価>
本発明のカーボンナノチューブ分散組成物の分散状態の評価は、溶剤中で分散したカーボンナノチューブ分散組成物の分散状態(沈殿の有無、粘度、経時安定性)で行った。
・ 初期粘度:カーボンナノチューブ分散組成物を、分散後室温で1日静置後、25℃に調整し、E型粘度計RE−80(東機産業社製)にて測定した。
・ 沈殿の有無:目視で沈殿の有無を確認し、全く沈殿の無いものを○、僅かに沈殿が見られるものを△、沈殿の多いものを×とした。
・ 経時安定性:カーボンナノチューブ分散組成物を、40℃1ヶ月経時保存した後、上記と同様にして、沈殿の有無、経時粘度を測定した。経時粘度については、初期粘度からの変化が10%以内を◎、10〜30%以内を○、それ以上の変化または増粘して粘度が測定不能になった場合を×とした。
<カーボンナノチューブ分散組成物の評価結果>
カーボンナノチューブ分散組成物の評価結果を、表6に示した。
<評価結果>
Figure 0005482525

Claims (7)

  1. 炭素繊維と、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)とを、有機溶媒に分散してなる分散体であって、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(A)が、水酸基を有する重合体(C)と、芳香族トリカルボン酸無水物(D1)及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物(D2)とを反応させてなる樹脂である分散体。
  2. 炭素繊維がカーボンナノチューブ、カップスタッキング型カーボンナノチューブである請求項1記載の分散体
  3. 水酸基を有する重合体(C)が、片末端に水酸基を有する重合体(C1)である請求項1または2記載の分散体
  4. 片末端に水酸基を有する重合体(C1)が、片末端に2つの水酸基を有する重合体(C3)である請求項記載の分散体
  5. 水酸基を有する重合体(C)が、側鎖に水酸基を有する重合体(C2)である請求項1または2記載の分散体
  6. 3級アミノ基を有するビニル系樹脂(B)のアミン価が、50〜500mgKOH/gである請求項1〜いずれか記載の分散体
  7. 炭素繊維のアミン吸着能が、20〜700μmol/gである請求項1〜いずれか記載の分散体
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