JP7338222B2 - ポリオレフィン樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、再生炭素繊維を含有するポリオレフィン樹脂組成物ならびにそれを用いた成形体に関する。
炭素繊維(以下、CFと称することがある)によって強化されたプラスチック(以下、CFRPと称することがある)は軽量で高強度なことから、スポーツ用品や航空機部品、産業用品等様々な分野で使用されており、今後も市場規模が拡大していくと予想されている。中でも成形加工が容易で軽量であることからポリオレフィン樹脂のCFRPの需要が伸びている。一方でCFRPはその処理方法が課題となっており、炭素繊維は通常では不燃材料であるためCFRP廃材は破砕後、埋め立て処分されてきた。特に安全性を考慮し歩留りが高く廃材量が多い航空機分野ではCFRP廃材の再利用が望まれている。
近年では、CFRP廃材から樹脂を分解して得られた再生炭素繊維(以下、r-CFと称することがある)が開発されており注目を集めている。しかし、再生炭素繊維はプラスチックとの相溶性に乏しいため樹脂に練り込もうとしても押出が安定せず、再生繊維によって強化されたプラスチック(以下、r-CFRPと称することがある)の開発は困難であった。プラスチックの中でもポリオレフィン樹脂は特に再生炭素繊維との相溶性が悪いことが知られている。
再生炭素繊維のポリオレフィン樹脂への相溶性が悪い原因として再生炭素繊維の表面状態が挙げられる。一般的に炭素繊維はサイジング剤で処理されているため材料の飛散が少なく、ポリオレフィン樹脂への相溶性が向上している。例えば、特許文献1ではエポキシ基、カルボキシル基等の官能基を複数有する多官能化合物で処理された炭素繊維を用いたポリプロピレン樹脂組成物が、特許文献2ではエポキシ樹脂で処理された炭素繊維を用いたポリプロピレン樹脂組成物が報告されている。しかし、再生炭素繊維はリサイクルの過程でサイジング剤が消失してしまうためこれらの手法を用いることができない。
また、特許文献3には再生炭素繊維塊を水溶性バインダー樹脂の水溶液で濡らし、塊を解砕後乾燥しプラスチックに練り込む技術が公開されている。しかし、この方法は乾燥設備が必要であり水の除去が不十分であると、後の押出工程に影響が出るという問題があった。
特開2013-166921号公報 特開2014-108990号公報 特開2015-81262号公報
本発明は再生炭素繊維を用いた場合でも、生産性に優れ、強度に優れた強化ポリオレフィン樹脂組成物および成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)と塩基性基を有する分散剤(C)とを含み、前記再生炭素繊維(A)の平均繊維長は0.05~15.0mmであり、ポリオレフィン樹脂組成物100質量%中、前記再生炭素繊維(A)の配合量は1~50質量%であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物であることを特徴とする。
また、本発明の実施態様は、前記塩基性基を有する分散剤(C)が、アミン部位、アンモニウム部位、およびアミド部位からなる群より選ばれるいずれかの構造を有していることを特徴とする。
また、本発明の実施態様は、前記ポリオレフィン樹脂(B)がポロプロピレン樹脂を含むことを特徴とする。
また、本発明の実施態様は前記ポリオレフィン樹脂組成物より成形されてなる成形体に関する。
本発明により、再生炭素繊維を用いた場合でも、生産性に優れ、強度に優れた強化ポリオレフィン樹脂組成物および成形体を提供することが可能となった。
以下、本発明について詳細に説明する。
《ポリオレフィン樹脂組成物》
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)と塩基性基を有する分散剤(C)とを含む。また、再生炭素繊維(A)の平均繊維長は0.05~15.0mmであり、ポリオレフィン樹脂組成物100質量%中、再生炭素繊維(A)の配合量は1~50質量%である。
<再生炭素繊維(A)>
再生炭素繊維とは、廃材CFRPを焼却処理や加熱水蒸気処理することで得られる炭素繊維である。通常、CFRPに用いられる炭素繊維はサイジング剤により処理されており、炭素繊維同士の素線化を抑制し、樹脂に分散させる際に炭素繊維が飛散することを防止する手段がとられている。また、サイジング剤により樹脂との相溶性が向上するためCFRPの衝撃強度は未処理炭素繊維を使用する場合よりも高い。
しかし、再生炭素繊維は焼却処理や加熱水蒸気処理の工程で、サイジング剤が消失し、再生炭素繊維表面が無垢の状態で存在するため、樹脂への分散性や相溶性が悪く、押出加工時に樹脂に練り込むことができなかった再生炭素繊維が押出機先端に堆積し、ストランドが安定しない等CFRPの生産性に問題がある、また、衝撃強度が十分なCFRP成形体を得るのが難しい。
本発明における再生炭素繊維(A)は、平均繊維長が0.05~15.0mmであれば特に制限されるものではなく、CFRP廃材を焼却処理や加熱水蒸気処理することで得られた再生炭素繊維を使用することが出来る。平均繊維長がこの範囲内にあることで、飛散性や加工時の繊維破壊が起きにくく、成形体の生産性及び得られたプラスチックの強度が優れたものとできる。平均繊維長は、より好ましくは、0.1~5.0mmである。
尚、再生炭素繊維(A)の繊維長は、光学顕微鏡「デジタル顕微鏡VHX‐100」(キーエンス社製)等を用いて倍率100倍の視野で観察し、視野の中に観察される50本の炭素繊維の繊維長の平均値をとることで算出することが出来る。
再生炭素繊維(A)の具体例としては、CARBISO MFシリーズ(平均繊維長0.08~0.1mm)、CARBISO Cシリーズ(平均繊維長3~10mm)、CARBISO CTシリーズ(平均繊維長6~12mm)等が挙げられる。
再生炭素繊維(A)の配合量は、機械物性と加工性を両立できることからポリオレフィン樹脂組成物100質量%中、1~50質量%であり、5~40質量%であることが好ましく、より好ましくは20~40質量%である。
<ポリオレフィン樹脂(B)>
続いてポリオレフィン樹脂(B)について説明する。
本発明におけるポリオレフィン樹脂(B)は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンモノマーの重合体であり、ブロック、ランダムコポリマーまたはターポリマーであっても構わない。具体的には、ポリオレフィンワックス、ポリオレフィンエラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)のようなα-オレフィン類の重合体である。r-CFRPの強度が高まることからポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、加工性の観点からJIS(日本工業規格)にK7210-1:2014おけるMFR(メルトフローレート、溶融粘度ともいう)が、0.1~100g/10分が好ましく1~50g/10分が更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ノバテックLL UJ790(日本ポリエチレン社製、LLDPE、MFR:45g/10分)、サンテックLD M2270(旭化成社製、LDPE樹脂、MFR:7g/10分)、ノバテックHD HJ590N(日本ポリエチレン社製、HDPE、MFR:40g/10分)、プライムPP J108(プライムポリマー社製、PP、MFR:45g/10分)等が挙げられる。
<塩基性基を有する分散剤(C)>
本発明における塩基性基を有する分散剤(C)は、再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)との相溶性を高める役割を担っている。再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)の相溶性が向上することで得られるCFRPの衝撃強度が向上する。本発明における塩基性基を有する分散剤(C)は、塩基性を示す部位を有しているものであれば特に制限されるものではなく、塩基性を示す部位としては例えば、アミン部位、イミン部位、アンモニウム部位、アミド部位、イミド部位、ウレタン結合部位等が挙げられる。これらの塩基性基を有する分散剤(C)は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)両方との相溶性が高いことから、CFRPの衝撃強度をより向上させることが可能となるため、塩基性基を有する分散剤(C)は、アミン部位、アンモニウム部位、またはアミド部位を有することが好ましく、アミン部位を有することが更に好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂(B)を加工する際や、得られたCFRPを成形する際の減量が少ないことから、塩基性基を有する分散剤(C)の融点は80℃以上であることが好ましく、80~160℃であることがより好ましい。尚、本発明における融点は融点測定機ATM-01(アイリス社製)等を用いて測定することが出来る。
塩基性基を有する分散剤(C)の数平均分子量は、ブリードの観点から400以上が好ましく、1,000~5,000がより好ましい。尚、本発明における数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)により測定された値である。
アミン部位を有する分散剤としては例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等のジアルキルアミノ部位等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン樹脂(B)との相溶性が高いことから、CFRPの衝撃強度をより向上させることが可能となるため、アミン部位はヒンダードアミン部位であることが好ましい。
ヒンダードアミン部位とは、ピペリジン環上の2位および6位に各々2個づつ(計4個)の炭化水素基を有する構造を持つ分散剤であり、ポリオレフィン樹脂(B)との相溶性が高いことから2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン誘導体であることがより好ましく、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体であることが更に好ましい。
ヒンダードアミン部位を有する分散剤の具体例としては、キマソーブ944FDL(BASF社製、数平均分子量2,000~3,100、融点100~135℃)、キマソーブ2020FDL(BASF社製、数平均分子量2,600~3,400、融点130~136℃)、チヌビン770DF(BASF社製、分子量481、融点81~85℃)等が挙げられる。
前記アンモニウム部位を有する分散剤としては例えば、例えば、パルミチルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
前記アンモニウム部位を有する分散剤の具体例としては、BYK-P9902(BYK-Chemie社製、ポリカルボン酸ポリマーアルキルアンモニウム塩)等が挙げられる。
前記アミド部位を有する分散剤としては例えば、ステアリン酸モノアミド等の脂肪酸モノアミドやエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。
前記アミド部位を有する分散剤の具体例としては、アルフローS-10(日油社製、ステアリン酸モノアミド)やアルフローH50T(日油社製、エチレンビスステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
塩基性基を有する分散剤(C)の配合量は、機械物性がより優れる点から、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して0.1~5質量部が好ましく、0.5~3質量部がより好ましい。
<ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法>
ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(B)が溶融する温度で再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)と塩基性基を有する分散剤(C)とを混練することで得られる。具体的には、例えば再生炭素繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、塩基性基を有する分散剤(C)と、更に必要に応じて各種添加剤や着色剤を加え、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状の樹脂組成物とすることが出来る。混練力が強く、その後の成形加工が容易なことから、二軸押出機にてペレット状とすることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物は、成形時に成形樹脂で希釈して使用するマスターバッチや、ポリオレフィン樹脂(B)に再生炭素繊維(A)を必要量配合し、成形樹脂で希釈せずにそのまま成形するコンパウンド等とすることができる。
マスターバッチ100質量%中の再生炭素繊維(A)の配合量は、30~50質量%であり、35~45質量%がより好ましい。再生炭素繊維(A)の配合量が上記範囲であることでマスターバッチの生産性がより向上できる。
また、成形する時の成形樹脂は、上述したポリオレフィン樹脂(B)に例示したものを用いることができ、相溶性に優れることから再生炭素繊維(A)の分散に用いたポリオレフィン樹脂(B)と同じポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、再生炭素繊維(A)の分散性に優れるため、マスターバッチのような高濃度の樹脂組成物とした場合も、成形体を安定して成形することが出来る。
また、コンパウンド100質量%中の再生炭素繊維(A)の配合量は、1~30質量%であり、10~30質量%がより好ましい。再生炭素繊維(A)の配合量が上記範囲であることでコンパウンドの生産性と成形性を両立することが出来る。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物等の難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤などを含有させることができる。
《成形体》
成形体は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物より成形されてなり、成形方法は特に制限されるものではなく、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形等によって得ることが出来る。本発明のポリオレフィン樹脂組成物は強度と成形性に優れるため、複雑な形状を有する自動車部品等の射出成形体の成形に適している。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中、部および%は、特に断りがない場合は、それぞれ、質量部および質量%を表す。
なお、表中に数値が記載されていない項目は、含有していないことを表す。
まず、着色樹脂組成物に使用した材料を以下に列挙する。
<再生炭素繊維(A)>
A-1:CARBISO MF(ELG Carbon Fibre社製、平均繊維長0.1mm、以下「MF」と称することがある)
A-2:CARBISO C(ELG Carbon Fibre社製、平均繊維長3mm、以下「C」と称することがある)
A-3:CARBISO CT(ELG Carbon Fibre社製、平均繊維長12mm、以下「CT」と称することがあるELG社製)
<ポリオレフィン樹脂(B)>
B-1:プライムPP J108(プライムポリマー社製、PP、MFR 45g/10分、以下「J108」と称することがある)
B-2:ノバテックLL UJ790(日本ポリエチレン社製、LLDPE、MFR 45g/10分、以下「UJ790」と称することがある)
B-3:サンテックLD M2270(旭化成社製、LDPE、MFR 7g/10分、以下「M2270」と称することがある)
B-4:ノバテックHD HJ590N(日本ポリエチレン社製、HDPE、MFR40g/10分、以下「HJ590N」と称することがある)
<塩基性基を有する分散剤(C)>
C-1:キマソーブ944FDL(BASF社製、ヒンダードアミン部位を有する分散剤、分子量2,000~3,100、融点100~135℃、以下「944FDL」と称することがある)
C-2:アルフローH-50T(日油社製、アミド部位を有する分散剤、分子量593、融点140~145℃、以下「H-50T」と称することがある)
C-3:アルフローS-10(日油社製、アミン部位を有する分散剤、分子量283、融点100~105℃、以下「S-10」と称することがある。)
<その他分散剤(C’)>
C’-1:ダイワックスMソ(大日化学工業社製、ステアリン酸マグネシウム、分子量591、融点133~141℃、以下「Mソ」と称することがある)
<ポリオレフィン樹脂組成物の製造と評価>
(実施例1)
(熱可塑性樹脂組成物の製造)
再生炭素繊維(A)として(A-1)30質量部、ポリオレフィン樹脂(B)として(B-1)69質量部、塩基性基を有する分散剤(C)として(C-1)1質量部をスーパーミキサー(カワタ社製)にて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて220℃で押出し、造粒してポリオレフィン樹脂組成物(D-1)を得た。
(実施例2~9)
表1に示す材料と配合量(質量部)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂組成物をそれぞれ得た。
ただし、実施例7および8は参考例である。
(比較例1)
再生炭素繊維(A)として(A-1)30質量部、ポリオレフィン樹脂(B)として(B-1)70質量部をスーパーミキサー(カワタ社製)にて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて220℃で押出し、造粒してポリオレフィン樹脂組成物(E-1)を得た。
(比較例2)
再生炭素繊維(A)として(A-1)40質量部、ポリオレフィン樹脂(B)として(B-1)60質量部をスーパーミキサー(カワタ社製)にて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて220℃で押出したが、造粒することが出来ずポリオレフィン樹脂組成物(E-2)を得ることが出来なかった。
(比較例3)
再生炭素繊維(A)として(A-1)60質量部、ポリオレフィン樹脂(B)として(B-1)37質量部、分散剤として(C-1)3質量部をスーパーミキサー(カワタ社製)にて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて220℃で押出し、造粒してポリオレフィン樹脂組成物(E-3)を得た。
(比較例4)
再生炭素繊維(A)として(A-1)30質量部、ポリオレフィン樹脂(B)として(B-1)69質量部、分散剤として(C’-1)1質量部をスーパーミキサー(カワタ社製)にて混合し、二軸押出機(日本製鋼所社製)にて220℃で押出し、造粒してポリオレフィン樹脂組成物(E-4)を得た。
<生産性の評価>
再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)の混合物を押出加工する際の押出機先端のダイスへの堆積物の有無について評価した。
堆積物が観測されなければ生産性が特に良好として「〇」、押出加工に影響はないが堆積物が観測されれば生産性が良好として「△」、押出加工に影響が出るほどの堆積物が観測されれば生産性が不良として「×」とした。
<成形体の製造>
(実施例10)
ポリオレフィン樹脂組成物(D-1)100質量部を射出成形機(東芝機械社製)にて成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
(実施例11~17)
表2に示す材料と配合量(質量部)にそれぞれ変更した以外は、実施例10と同様の方法で、射出成形により多目的試験片をそれぞれ得た。
ただし、実施例16および17は参考例である。
(実施例18)
ポリオレフィン樹脂組成物(D-9)75質量部と、ポリオレフィン樹脂(B-1)15質量部とを混合した後、射出成形機(東芝機械社製)にて成形し縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
(比較例5)
ポリオレフィン樹脂組成物(E-1)100質量部を射出成形機(日精樹脂工業社製)にて成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
(比較例6)
ポリオレフィン樹脂組成物(E-3)50質量部と、ポリオレフィン樹脂(B-1)50質量部とを混合した後、射出成形機(東芝機械社製)にて成形し縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
(比較例7)
ポリオレフィン樹脂組成物(E-4)100質量部を射出成形機(日精樹脂工業社製)にて成形し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの多目的試験片を得た。
<曲げ弾性率及びシャルピー衝撃強度測定>
得られた多目的試験片を用いてJIS K7171:2016に従い、曲げ弾性率及び、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度を測定した。測定値の値が高いほど、強度に優れている。
曲げ弾性率は、10000MPa以上が良好であり、15000MPa以上であると、更に優れているといえる。シャルピー衝撃強度は、5.0kJ/m以上であることが良好であり、7.0kJ/m以上であると、更に優れているといえる。
これらの範囲にあることで、自動車部品等の高い強度が求められる用途に、より好適に用いることができる。
Figure 0007338222000001
Figure 0007338222000002
表1より、本実施例のポリオレフィン樹脂組成物は、再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)と塩基性基を有する分散剤(C)とを含み、前記再生炭素繊維(A)の平均繊維長は0.05~15.0mmであり、ポリオレフィン樹脂組成物100質量%中、前記再生炭素繊維(A)の配合量が1~50質量%であることにより、生産性に優れていることがわかる。
また、表2から、本発明のポリオレフィン樹脂組成物から形成してなる成形体は、曲げ弾性率及びシャルピー衝撃強度測定が高く、再生炭素繊維を使用しているにも関わらず、衝撃強度に優れていることがわかる。


Claims (3)

  1. 再生炭素繊維(A)とポリオレフィン樹脂(B)と塩基性基を有する分散剤(C)とを
    含み、
    前記再生炭素繊維(A)の平均繊維長は0.05~15.0mmであり、
    前記塩基性基を有する分散剤(C)は、ヒンダードアミン部位を有し、かつ数平均分子量400~5,000であり、
    ポリオレフィン樹脂組成物100質量%中、前記再生炭素繊維(A)の配合量は1~50質量%であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂(B)がポリプロピレン樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載されたポリオレフィン樹脂組成物より成形されてなる成形体。
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