JP5140967B2 - 顔料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、分散性、流動性、保存安定性に優れた顔料組成物に関する。
一般に、顔料組成物を製造する場合、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。
例えば、微細な粒子からなる顔料を含む顔料組成物は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。さらに顔料組成物の展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じる。また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
そこで一般的には分散状態を良好に保つために分散剤が利用されている。分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。分散剤は被分散物である顔料の表面状態に合わせ種々のものが使用されているが、塩基性に偏った表面を有する顔料には酸性の分散剤が使用されるのが一般的である。この場合、酸性官能基が顔料の吸着部位となる。酸性の官能基としてカルボン酸を有する分散剤は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに記載されている。
しかし、これらはある程度の分散能力は持ち合わせるが、低粘度で安定な分散体をつくるには顔料組成物に含まれる分散剤の量を多くする必要があった。しかし、使用量を多くすることは、インキ、塗料等への展開を考える上で、塗膜の耐性が落ちる場合があるなど好ましいものではなかった。
一方で、顔料を母体骨格として側鎖に酸性基や塩基性基を置換基として有するシナジストを顔料組成物に混合する方法が、特許文献5、特許文献6および特許文献7等に提案されている。しかし、これだけでは必ずしも満足な効果が得られず、上記のような酸性基や塩基性基を置換基として有するシナジストに対して、さらにその対イオンを有する分散剤を使用することが提案されている(特許文献8、9)。ここで、シナジストとは顔料を形成する色素の化学構造に似た構造を有し、顔料に対してπ―π相互作用で強固に吸着し、シナジストが含有するイオン性官能基によって顔料の表面を酸性もしくは塩基性にして、対イオンを有する分散剤もしくは顔料担体の効果を大きくするものである。
特許文献8には、塩基性基を置換基として有するシナジストと、リン酸基を有する分散剤とを含む顔料組成物の例示がある。リン酸基を有する分散剤は塩基性基を置換基として有するシナジストとの併用である程度の顔料分散能力を有するが、保存安定性が悪い場合や、リン酸由来の欠点、例えば耐熱性の低さ、耐薬品性の低さ、相溶性の悪さなどで問題を生じる場合があった。これは、スルホン酸を有する分散剤も同様である。このようなリン酸基や、スルホン酸基を有する分散剤を用いた顔料組成物は、応用するインキや塗料などへの展開性に乏しく、一方、従来のカルボン酸を用いた分散剤と塩基性基を置換基として有するシナジストとの組合せた顔料組成物では、耐熱性、耐薬品性、相溶性の点については問題がないが、粘度が高い、安定性が悪い、顔料微分散化不良など、問題があるものであった。
特開昭61−61623号公報 特開平1−141968号公報 特開平2−219866号公報 特開平11−439842号公報 特開昭63−305137号公報 特開平1−247468号公報 特開平3−26767号公報 特開昭63−248864号公報 特開平9−176511号公報
本発明は、分散性、流動性、及び保存安定性に優れる顔料組成物の提供を目的とする。
顔料と、
塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体および塩基性基を有するトリアジン誘導体の群から選ばれる少なくとも一種の塩基性基を有するシナジスト(Y)と、
分散剤(S)とを含んでなる顔料組成物であって、
該分散剤(S)が、下記一般式(5)で示される片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2若しくは片末端に水酸基を有するビニル重合体と、トリカルボン酸無水物若しくはテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られたものであることを特徴とする顔料組成物であって、
該ビニル重合体が、n−ブチルメタクリレートおよびベンジルメタクリレートの合計100重量部に対し2−メルカプトエタノールを5重量部用いて重合したビニル重合体である顔料組成物
一般式(5):


〔一般式(5)中、
1 は、炭素原子数1〜18、酸素原子数0〜6、および水素原子数3〜37の1価の末端基であり、
2 は、−O−であり、
1 は、−OH、または−NH 2 であり、
1 は、−R 11 O−で示される繰り返し単位であり、
2 は、−C(=O)R 12 O−で示される繰り返し単位であり、
3 は、−C(=O)R 13 C(=O)−OR 14 O−で示される繰り返し単位であり、
11 はエチレン基またはプロピレン基であり、
12 はテトラメチレン基またはペンタメチレン基またはメチル基で置換されたペンタメチレン基であり、
13 はエチレン基であり、
14 は、−CH(R 15 )−CH(R 16 )−で示され、
15 とR 16 は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が2−エチルへキシルオキシメチレン基であって、
17 は、前記R 11 、−C(=O)R 12 −、又は−C(=O)R 13 C(=O)−OR 14 −であり、
m1は0〜21の整数であり、m2は0〜13の整数であり、m3は0であり、但しm1+m2+m3は5〜21であり、
一般式(5)における前記繰り返し単位G 1 〜G 3 の配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(5)で表される重合体において、基X 2 と基R 17 との間に繰り返し単位G 1 〜G 3 が任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G 1 〜G 3
、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕に関する。
また、本発明は、塩基性基を有するシナジスト(Y)の塩基性基が、下記一般式(1)、下記一般式(2)、下記一般式(3)および下記一般式(4)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
〔一般式(1)〜一般式(4)において、
Jは、それぞれ独立に、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表し、
fは、1〜10の整数を表し、
1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基であるか、又はR1とR2と式中の窒素原子とが一緒になって、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含み、置換されていてもよい複素環残基を表し、
3は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
Kは、−NR8−Z−NR9−又は直接結合を表し、
8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
Zは、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、
Wは、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表し、そして
Qは、水酸基、アルコキシル基、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表す。〕
また、本発明は、片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)が、下記一般式(5)で示されることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
た、本発明は、Y1が、炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、Y1が、エチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、Y1が、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有することを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、上記顔料組成物をワニスに分散せしめてなる顔料分散体に関する。
特定の分散剤と特定のシナジストとを用いることにより、分散性、流動性、及び保存安定性に優れる顔料分散体を提供することができた。
本発明による顔料組成物は、顔料と塩基性基を有するシナジスト(Y)(以降、塩基性シナジスト(Y)と称する場合あり)と分散剤(S)とを含み、該塩基性シナジスト(Y)は顔料の表面に吸着し中性〜塩基性ではない顔料でも表面を塩基性にせしめることができる。一方、分散剤(S)は、カルボキシル基を2個又は3個を有する特定の構造を有しており、この構造と前記塩基性シナジスト(Y)(顔料表面に存在する)の塩基性基とが静電的相互作用をし、また分散剤(S)に存在する重合体部が分散媒である溶剤に親和し、顔料を分散媒中に安定に存在させることができる。
本発明の顔料組成物に使用できる顔料としては、インク等に使用される種々のものが挙げられる。有機顔料としては、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、例えば、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15,15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36、ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、ピグメントオレンジ13,36,37,38,43,51,55,59,61,64,71,74等が挙げられる。
また、本発明の顔料組成物には、二酸化チタン、酸化鉄、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、シリカなどの金属酸化物、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料も使用することができる。
本発明の顔料組成物は、前記例示した顔料に限らず、微粉末状のものであればどのようなものを使用しても構わない。

本発明の顔料分散体に含有させることのできる塩基性シナジスト(Y)は、「塩基性基を有する顔料誘導体」、「塩基性基を有するアントラキノン誘導体」、「塩基性基を有するアクリドン誘導体」、及び「塩基性基を有するトリアジン誘導体」からなる群から選ぶことができる。
塩基性基としては、前記一般式(1)、前記一般式(2)、前記一般式(3)、及び前記一般式(4)で示される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を挙げることができる。
前記一般式(1)〜前記一般式(4)において、
Jは、前記一般式(1)及び前記一般式(4)においてそれぞれ独立に、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表し、
fは、1〜10の整数を表し、
1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基であるか、又はR1とR2と式中の窒素原子とが一緒になって、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含み、置換されていてもよい複素環残基を表し、
3は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
Kは、−NR8−Z−NR9−又は直接結合を表し、
8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
Zは、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、
Wは、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表し、そして
Qは、水酸基、アルコキシル基、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表す。
前記一般式(1)で示される置換基として好ましい形態は、Jが−SO2−または−CO−であり、fが1〜5(さらに好ましくは2〜4)であり、R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基であるか、R1とR2と式中の窒素原子とが一緒になってモルホリンを形成している場合である。
前記一般式(2)で示される置換基として好ましい形態は、R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基である場合である。
前記一般式(3)で示される置換基として好ましい形態は、Jが−CH2NHCOCH2−であり、R3がメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基またはiso−ブチル基であり、R4〜R7が水素原子の場合である。
前記一般式(4)で示される置換基として好ましい形態は、Jが直接結合または−SO2−であり、Kが直接結合または−NH−Z−NH−であり、Zがフェニレン基であり、Qが水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であり、Wが前記一般式(1)で示される置換基であり、該W中のJが−SO2−または−CO−であり、該W中のfが1〜5(さらに好ましくは2〜4)であり、該W中のR1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基である場合である。
前記一般式(1)〜前記一般式(4)で示される置換基を形成するために使用されるアミン化合物としては、例えば、2級もしくは3級モノアミン、ジアミン、環状アミン、カルボキシル基含有環状アミン、水酸基含有環状アミン、あるいは環状ジアミンを挙げることができる。具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチル−ラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチル−ヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
「塩基性基を有する顔料誘導体」を構成する顔料部分」は、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素等の有機色素から誘導される。また、「塩基性基を有するアントラキノン誘導体」又は「塩基性基を有するアクリドン誘導体」は、アントラキノン環又はアクリドン環上に、前記塩基性基の他に、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、又はメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基又は塩素等のハロゲン等の置換基を有していてもよい。
また、「塩基性基を有するトリアジン誘導体」を構成するトリアジン部分は、前記塩基性基の他に、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、フェニル基(例えば、アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい)、及びフェニルアミノ基(例えば、アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。好ましいトリアジン部分は、1,3,5−トリアジンから誘導される。
本発明で用いる「塩基性基を有する顔料誘導体」、「塩基性基を有するアントラキノン誘導体」、及び「塩基性基を有するアクリドン誘導体」は、種々の合成経路で、公知の方法で合成することができる。例えば、有機色素、アントラキノン若しくはアクリドンに、下記式(7)〜下記式(10)で示される置換基を導入した後、これらの置換基と反応して前記一般式(1)〜前記一般式(4)で示される置換基を形成することのできるアミン化合物、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン又は4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得ることができる。
式(7):−SO2Cl
式(8):−COCl
式(9):−CH2NHCOCH2Cl
式(10):−CH2Cl
また、有機色素がアゾ系色素である場合は、前記一般式(1)〜前記一般式(4)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分(例えば、ジアゾ基を有する化合物)又はカップリング成分(例えば、アセトアミド基を有する化合物)に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系顔料誘導体を製造することもできる。
本発明で用いる「塩基性基を有するトリアジン誘導体」は、種々の合成経路で、公知の方法で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素原子に、前記一般式(1)〜前記一般式(4)で示される置換基を形成するアミン化合物、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素原子と種々のアミン化合物又はアルコール化合物等を反応させることによって得られる。
本発明の顔料組成物において、塩基性シナジストの配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜30重量部、最も好ましくは5〜25重量部である。顔料100重量部に対し塩基性シナジストが1重量部未満であると分散性が悪くなる場合があり、50重量部を超えると耐熱性、及び/又は耐光性が悪くなる場合がある。
本発明の分散剤(S)は、片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)と、トリカルボン酸無水物若しくはテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得ることができる。
片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)の好ましい形態としては、まず前記一般式(5)で示されるものが挙げられる。
前記一般式(5)は、Y1が炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
また別の形態として、前記一般式(5)の中でY1がエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。この場合、分散剤(S)に活性エネルギー線硬化性を付与することができる。
また、前記一般式(5)の中で、m2が3〜15の整数であることが、顔料分散体の低粘度化及び保存安定性の観点から好ましい。
また、前記一般式(5)の中で、m2=0、m3=0の場合、Y1は炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であるか、もしくはエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。
前記一般式(5)で示される片末端に水酸基を有する重合体(POH)は、公知の方法で製造することができ、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、ジカルボン酸無水物、及びエポキシドの群から選択される環状化合物を開環重合して容易に得られる。
モノアルコールとしては、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物でも構わない。例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、パラクミルフェノキシエチルアルコールなどの芳香環含有モノアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどが挙げられる。
モノアルコールとしてエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールを使用してもよい。この場合、生成される分散剤(S)に、活性エネルギー線硬化性能を付与することができる。
前記のエチレン性不飽和二重結合を有する基の例としては、ビニル基、又は(メタ)アクリロイル基(なおここで、以降「(メタ)アクリロイル」または「(メタ)アクリレート」と表記する場合には、それぞれ「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」または「メタアクリレート及び/又はアクリレート」を示すものとする。)が挙げられるが、好ましいのは(メタ)アクリロイル基である。これら二重結合を有する基の種類は、一種類でもよいし、複数種類でもよい。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールとしては、エチレン性不飽和二重結合を1個、2個、及び3個以上含む化合物を用いることができる。エチレン性不飽和二重結合の数が1個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(なお、「(メタ)アクリレート」と表記する場合には、アクリレート及び/又はメタクリレートを示すものとする。以下同じ。)、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が2個のモノアルコールとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。エチレン性不飽和二重結合の数が3個のモノアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合の数が5個のモノアルコールとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられる。
このうち、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートは、それぞれ、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物として得られるので、生成される分散剤の分子量を制御するためにはHPLC(高速液体クロマトグラフィ)法や水酸基価の測定によりモノアルコール体の比率を決定する必要がある。モノアルコール体の数とG1〜G3を形成する原料の比率により、分散剤の分子量が決まるからである。
前記のモノアルコールのうち、エチレン性不飽和二重結合の数が2個以上のものは、硬化性の点で活性エネルギー線硬化型顔料組成物に用いる場合に好ましい。
1級モノアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、3−ペンチルアミン、1−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1−ノニルアミン、イソノニルアミン、1−デシルアミン、1−ドデシルアミン、1−ミリスチルアミン、セチルアミン、1−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、2−オクチルデシルアミン、2−オクチルドデシルアミン、2−ヘキシルデシルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族1級モノアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン、3−イソブチロキシプロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ミリスチロキシプロピルアミンなどのアルコキシアルキル1級モノアミン、ベンジルアミンなどの芳香族1級モノアミンが挙げられる。2級モノアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−1−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−1−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−1−ペンチルアミン、ジイソペンチルアミン、ジ−1−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−(4−メチル−2−ペンチル)アミン、ジ−1−ヘプチルアミン、ジ−1−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−1−ノニルアミン、ジイソノニルアミン、ジ−1−デシルアミン、ジ−1−ドデシルアミン、ジ−1−ミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジ−1−ステアリルアミン、ジイソステアリルアミン、ジ−(2−オクチルデシル)アミン、ジ−(2−オクチルドデシル)アミン、ジ−(2−ヘキシルデシル)アミン、N−メチルエチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルイソブチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ピペラジン、アルキル置換ピペラジンなどの脂肪族2級モノアミンが挙げられる。
モノチオールとしては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、1−プロピルチオール、イソプロピルチオール、1−ブチルチオール、イソブチルチオール、tert−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、イソペンチルチオール、3−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、シクロヘキシルチオール、4−メチル−2−ペンチルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオール、イソオクチルチオール、2−エチルヘキシルチオール、1−ノニルチオール、イソノニルチオール、1−デシルチオール、1−ドデシルチオール、1−ミリスチルチオール、セチルチオール、1−ステアリルチオール、イソステアリルチオール、2−オクチルデシルチオール、2−オクチルドデシルチオール、2−ヘキシルデシルチオール、ベヘニルチオール、オレイルチオールなどの脂肪族モノチオール、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシルなどのメルカプトプロピオン酸アルキルエステルが挙げられる。
本発明で言うモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物は、前記例示に限定されることなく、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。
ここで、モノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、又はモノチオールのそれぞれ水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基を除いた部分が、前記一般式(5)におけるY1を構成する。
前記例示したモノアルコール、1級モノアミン、2級モノアミン、及びモノチオールの群から選択される化合物を開始剤として、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物を開環重合して、前記一般式(5)で示される重合体のうちZ1が−OHのものを製造することができる。但し、ジカルボン酸無水物とエポキシドとは必ず同時に用いられ、交互に重合させる。
ここで、アルキレンオキサイド、ラクトン、ラクチド、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せからなる群から選択される環状化合物の反応順序は、どのようなものでもよく、例えば、一段階目として前記開始剤にアルキレンオキサイドを重合した後、二段階目にラクトンを重合し、更に三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合することもできる。この例では、二段階目にラクトンを重合するときの開始剤は、一段階目に重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体となる。また、三段階目にジカルボン酸無水物とエポキシドとを交互に重合するときの開始剤は、二段階目までに重合されている片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体とラクトン重合体のブロック共重合体となる。本発明の製造方法では、以降に説明する前記一般式(5)で示される重合体を製造する場合の開始剤として、このような前記一般式(5)で示される重合体のうちZ1が−OHのものも含む。また、同様に後述する前記一般式(5)で示される重合体のうちZ1が−NH2であるものや、前記一般式(6)で示される重合体も開始剤となりうる。
前記の環状化合物の反応順序は、一段階目のアルキレンオキサイド、二段階目のラクトン、三段階目のジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せに限定されず、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せを任意の順序で、それぞれ1ないし複数回に亘って実施することができる。あるいは、アルキレンオキサイド、ラクトン(及び/又はラクチド)、及びジカルボン酸無水物とエポキシドとの組合せについて、全ての開環重合を実施せずに、それらの内から、任意の環状化合物を選択して、開環重合を実施することもできる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。開始剤1モルに対するアルキレンオキサイドの重合モル数は、0〜100が好ましい。
アルキレンオキサイドの重合は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で、加圧状態で行うことができる。モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを重合して得られる片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体は市販されており、例えば、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズなどがあり、前記一般式(5)で示される重合体のうちZ1が−OHでG1〜G3の繰り返し単位のうちG1のみを有するものとして本発明の分散剤(S)の原料にそのまま使用することもできる。市販品を具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500Bなどがある。
ここで、アルキレンオキサイドのアルキレン基が、前記一般式(5)における繰り返し単位G1中のR11を構成する。
ラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトン、が挙げられ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
本発明の製造方法において、ラクトンは、前記例示に限定されることなく用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。2種類以上を併用して用いることで結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
ラクチドとしては、下記一般式(11)で示されるものが好ましい(グリコリドを含む)。
一般式(11):
〔一般式(11)中、
31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜20のアルキル基であり、
33及びR34は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、並びに飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭素原子数1〜9の低級アルキル基である。〕
本発明の分散剤(S)の原料として、特に好適なラクチドはラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)及びグリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)である。又、本発明の分散剤(S)の原料として前記ラクトン又はラクチドのうち、ラクトンが用いられるのが好ましい。
ラクトン及び/又はラクチドの開環重合は、公知方法、例えば、脱水管、コンデンサーを接続した反応器に、開始剤、ラクトン及び/又はラクチド、及び重合触媒を仕込み、窒素気流下で行うことができる。低沸点のモノアルコールを用いる場合には、オートクレーブを用いて加圧下で反応させることができる。また、モノアルコールにエチレン性不飽和二重結合を有するものを使用する場合は、重合禁止剤を添加し、乾燥空気流下で反応を行うことが好ましい。
開始剤1モルに対するラクトン及び/又はラクチドの重合モル数は、1〜60モルの範囲が好ましく、更には2〜20モルが好ましく、最も好ましくは3〜15モルである。
重合触媒としては、公知のものを制限なく使用することができるが、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨードなどの四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨードなどの四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィンなどのリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラートなどのアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛などの亜鉛化合物等が挙げられる。触媒の使用量は0.1ppm〜3000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。触媒量が3000ppmを超えると、樹脂の着色が激しくなる場合がある。逆に、触媒の使用量が0.1ppm未満ではラクトン及び/又はラクチドの開環重合速度が極めて遅くなるので好ましくない。
ラクトン及び/又はラクチドの重合温度は100℃〜220℃、好ましくは、110℃〜210℃の範囲で行う。反応温度が100℃未満では反応速度がきわめて遅く、220℃を超えるとラクトン及び/又はラクチドの付加反応以外の副反応、たとえばラクトン付加体のラクトンモノマーへの解重合、環状のラクトンダイマーやトリマーの生成等が起こりやすい。
ここで、ラクトン又はラクチドのエステル基以外の部分が、前記一般式(5)における繰り返し単位G2中のR12を構成する。
ジカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、及びクロレンデック酸無水物などが挙げられる。
エポキシドとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、2,4−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、3−メチル−ジブロモフェニルグリシジルエーテル(ただし、ブロモの置換位置は任意である)、アリルグリシジルエーテル、エトキシフェニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルフタルイミド、及びスチレンオキシドなどが挙げられる。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとは開始剤に対して同時に使用され、交互に反応する。このとき、開始剤の水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、又はチオール基に対して、まずジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応してカルボキシル基を生じ、次いでこのカルボキシル基にエポキシドのエポキシ基が反応して水酸基を生じる。更に、この水酸基にジカルボン酸無水物の酸無水物基が反応するというように、以下、順次、前記と同様の反応を進行させることができる。開始剤1モルに対するジカルボン酸無水物及びエポキシドの重合モル数はそれぞれ0〜30モルが好ましい。また、ジカルボン酸無水物とエポキシドとの反応比率([D]/[E])は、
0.8≦[D]/[E]≦1.0
([D]はジカルボン酸無水物のモル数であり、[E]はエポキシドのモル数である)
であることが好ましい。0.8未満であるとエポキシドが残り好ましくなく、1.0を超えると、片末端に水酸基を有する重合体が得られず、片末端にカルボキシル基を有する重合体ができるので好ましくない。
ジカルボン酸無水物とエポキシドとの交互重合は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは、60℃〜150℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満となる場合や180℃を超える場合では反応速度がきわめて遅い。
ここで、ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物基以外の部分が前記一般式(5における繰り返し単位G3中のR13を構成し、エポキシドの環状エーテルを形成する酸素原子以外の部分が前記一般式(5)における繰り返し単位G3中のR14を構成する。
一方、前記一般式(5)で示される片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)も、公知の方法で製造することができ、例えば、モノアルコールを開始剤としてアルキレンオキサイドを開環重合して、片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体を生成し、その水酸基を還元アミノ化することによって得られる。
片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体の製造方法に関しては前記したとおりであり、この条件や原料についても前記の説明のとおりである。この片末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体を前駆体として用い、例えば、アンモニア、水素及び触媒の存在下に、圧力5〜30MPa、170〜250℃の高温条件で、0.15〜2時間反応することで得られる。このように、水酸基を還元アミノ化することで、片末端に1級アミノ基を有するアルキレンオキサイド重合体が得られる。還元アミノ化する触媒としては、ラネーニッケル/アルミニウム触媒が好ましい。
片末端に1級アミノ基を有するポリエーテル重合体は、市販されており、例えば、三井化学ファイン社又はハンツマンコーポレーションより、ジェファーミン、又はサーフォナミンの商品名で市販されており、これらは前記一般式(5)で示される重合体のうちZ1が−NH2でG1〜G3の繰り返し単位のうちG1のみを有するものとして本発明の分散剤(S)の原料にそのまま使用することもできる。市販品を具体的に例示すると、ジェファーミンXTJ−475、XTJ−436、XTJ−505、XTJ−506、XTJ−507、M−2070、サーフォナミンB−60、L−100、B−200、L−207、L−300、B−30、B−100などがある。
前記一般式(5)で示される重合体を製造するときに、エチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコール、ジカルボン酸無水物、又はエポキシドを使用する場合は、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、フェノチアジン等が好ましく、これらを単独若しくは併用で0.01%〜6%、好ましくは、0.05%〜1.0%の範囲で用いる。
片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)の好ましい別の1つの構造として、前記一般式(6)で示される重合体を挙げることもできる。前記一般式(6)で示される重合体はエチレン性不飽和単量体を重合せしめたビニル系重合体である。
前記一般式(6)で示される重合体の繰り返し単位の部分、すなわち、{−〔C(R21)(R23)−C(R22)(R24)〕n−}は、相互に同一のものからなる(ホモポリマー)であっても、異なるものからなる(コポリマー)でもよい。前記一般式(6)で示される重合体の好ましい形態は、R21及びR22が、いずれか一方が水素原子、他の一方がメチル基であり、R23及びR24は、いずれか一方が水素原子、他の一方が−C(=O)−O−(CH23CH3及び/又は−C(=O)−O−CH2−Ar(Arは芳香族基)であり、X4が−S−CH2CH2−の場合である。
前記一般式(6)中のY2、すなわち、ビニル重合体の重合停止基は、通常のエチレン性不飽和単量体の重合を通常の方法で実施した場合に導入される任意の公知重合停止基であり、当業者には自明である。具体的には、例えば、重合開始剤由来の基、連鎖移動剤由来の基、溶剤由来の基、又はエチレン性不飽和単量体由来の基であることができる。Y2がこれらのいずれの化学構造を有していても、本発明の分散剤は、重合停止基Y2の影響を受けずに、その効果を発揮することができる。
前記一般式(6)で示される重合体のうちZ2が−OHのものは、公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基とチオール基とを有する化合物とエチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。
分子内に水酸基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3−ブタノールなどが挙げられる。
好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
前記一般式(6)で示される重合体のうちZ2が−NH2のものは、公知の方法で製造することができ、 例えば、1級アミノ基とチオール基とを有する化合物若しくは1級アミノ基と水酸基とを有する化合物と、エチレン性不飽和単量体とを混合して加熱することで得ることができる。
1級アミノ基とチオール基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタンチオール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−3−メルカプト−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−チアゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。このうち、好ましくは2−アミノエタンチオールを使用する場合である。
分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、又は4−アミノブタノールなどが挙げられる。
前記のうち、分子内に1級アミノ基とチオール基とを有する化合物は、連鎖移動定数が高く重合体製造後に未反応物として残りにくいため分子内に1級アミノ基と水酸基とを有する化合物よりも好ましい。
好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の1級アミノ基とチオール基とを有する化合物を用い、塊状重合又は溶液重合を行う。
チオール基はエチレン性不飽和単量体を重合するためのラジカル発生基となるため、該重合には必ずしも別の重合開始剤は必要ではないが、使用することもできる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和単量体としては、アクリル単量体とアクリル単量体以外の単量体とが挙げられる。アクリル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、およびアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。
また、前記アクリル単量体以外の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類が挙げられる。アクリル単量体以外の前記単量体を、前記アクリル単量体と併用することもできる。
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を単独で用いるか、もしくは前記単量体と併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプラロラクトン付加アクリル酸、ε−カプラロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などから1種又は2種以上を選択することができる。
前記一般式(6)で示される重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
使用する溶剤量はエチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、分散剤の製品の一部として使用することもできる。
次に、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)又は重合体(PNH2)」とトリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物とを反応させる工程について説明する。
前記の「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」の水酸基、又は前記の「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)」の1級アミノ基と、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物の無水物基とを反応させることによって、本発明の分散剤(S)を得ることができる。
トリカルボン酸無水物としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、又は芳香族トリカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
トリカルボン酸無水物を使用する場合、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物が好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は多環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,5,6−テトラカルボキシシクロヘキサン二無水物、2,3,5,6−テトラカルボキシノルボルナン二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、M−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物などを挙げることができる。
テトラカルボン酸二無水物を使用する場合、上記のうち芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
本発明で使用されるトリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物は、前記に例示した化合物に限らず、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。本発明に好ましく使用されるものは、顔料分散体又は各種インクの低粘度化の観点から芳香族トリカルボン酸無水物若しくは芳香族テトラカルボン酸二無水物である。更には、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、トリメリット酸無水物が好ましい。
重合体(POH)の水酸基又は重合体(PNH2)の1級アミノ基のモル数を<H>、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物のカルボン酸無水物基のモル数を<N>としたとき、反応比率は0.5<<H>/<N><1.2が好ましく、更に好ましくは0.7<<H>/<N><1.1、最も好ましくは<H>/<N>=1の場合である。<H>/<N><1で反応させる場合は、残存する酸無水物を必要量の水で加水分解して使用してもよい。
重合体(POH)又は重合体(PNH2)と、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物との反応には触媒を用いてもかまわない。触媒としては、例えば、3級アミン系化合物が使用でき、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
重合体(POH)又は重合体(PNH2)と、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物との反応は無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま分散剤の製品の一部として使用することもできる。
重合体(POH)又は重合体(PNH2)と、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物との反応温度は、「片末端に水酸基を有する重合体(POH)」を使用する場合は好ましくは80℃〜180℃、より好ましくは90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃未満では反応速度が遅く、180℃を超えると反応して開環した酸無水物が、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。また、「片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2)」を使用する場合は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10℃〜100℃の範囲で行う。0℃未満では反応が進まない場合があり、150℃を超えるとイミド化する場合があり好ましくない。
本発明の顔料組成物において、塩基性基を有するシナジスト(Y)の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜30重量部、最も好ましくは5〜25重量部である。顔料100重量部に対し塩基性基を有するシナジスト(Y)が1重量部未満であると分散性が悪くなる場合があり、50重量部を超えると耐熱性、耐光性が悪くなる場合がある。また、分散剤(S)の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは0.1〜100重量部、更に好ましくは0.5〜75重量部、最も好ましくは1.0〜50重量部である。顔料100重量部に対し分散剤(S)が0.1重量部未満であると分散性が悪くなる場合があり、100重量部を超えるとこれも分散性が悪くなる場合がある。
本発明の顔料組成物は、必要により各種溶剤、樹脂、添加剤等を混合して、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより、顔料組成物をワニスに分散せしめてなる顔料分散体を調製することができる。顔料、塩基性基を有するシナジスト(Y)、分散剤(S)、その他の樹脂、添加剤は、すべての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料(P)と塩基性基を有するシナジスト(Y)とのみ、あるいは、塩基性基を有するシナジスト(Y)と分散剤(S)とのみ、あるいは、顔料と塩基性基を有するシナジスト(Y)と分散剤(S)とのみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。
また、横型サンドミル、 縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散、または顔料(P)への塩基性基を有するシナジスト(Y)および/または分散剤(S)の処理を行ってもよい。また、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、 ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が本発明の分散体を製造するために利用できる。本発明の顔料分散体に用いることができる各種溶剤としては、有機溶剤、水等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型組成物に用いる場合、活性エネルギー線硬化性の液状モノマーや液状オリゴマーを溶剤代わりの媒体として用いても良い。
また、本発明の顔料分散体に用いることができる樹脂の例としては、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン変性マレイン酸、 ポリアミド樹脂、塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
本発明の顔料分散体は、非水系、水系、または無溶剤系の塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、インキジェットインキ、カラーフィルタ用インキ、デジタルペーパー用インキ、プラスチック着色剤等に利用できる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
[分散剤(S)の製造例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0
.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここに無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し分散剤(S1)を得た。得られた分散剤の酸価は49mgKOH/gであった。
[分散剤(S)の製造例2〜7]
分散剤(S)の製造例1と同様の装置、および触媒、反応操作にて、モノアルコール、アルキレンオキサイド重合体、ラクトン、テトラカルボン酸二無水物を表1にあるような組成で反応させて各分散剤を得た。

※水酸基価:65.8mgKOH/g(ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)
表1中の略称
メトキシPEG400・・・片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(分子量400、水酸基価:140mgKOH/g)
ブレンマーPP−500・・・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製:商品名ブレンマーPP−500、水酸基価:95.1mgKOH/g)
PMA・・・ピロメリット酸二無水物
BPDA・・・3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BPAF・・・9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物
NPDA・・・2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
TMEG・・・エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル(新日本理化株式会社製:商品名リカシッドTMEG−100)
TMA・・・トリメリット酸無水物
DMBA・・・ジメチルベンジルアミン
ただし、 分散剤(S)の製造例3、5、6に関しては、反応容器内を窒素ガスで置換するのではなく、乾燥空気で置換した。また、分散剤(S)の製造例6における水は、テトラカルボン酸二無水物と片末端に水酸基を有する重合体の水酸基との反応終了後に添加して、残存する酸無水物を加水分解したものである。
[分散剤(S)の製造例8]
実施例1と同様の反応容器に、ジェファーミンXTJ−506(三井化学ファイン株式会社製:片末端メトキシ化ポリオキシエチレンポリオキシプレピレンアミン、数平均分子量1000、アミン価56mgKOH/g)350.0部、およびエチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル(新日本理化株式会社製:商品名リカシッドTMEG−100)71.8部を加えて50℃で3時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し分散剤(S8)を得た。得られた分散剤の酸価は49mgKOH/gであった。
[分散剤(S)の製造例9]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、および触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した。この後、無水コハク酸33.6部、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル62.5部、およびN,N−ジメチルベンジルアミン2.0部を加え80℃で8時間反応させた。
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物28.8部を追加し100℃で5時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフアミド化していることを確認し反応を終了し分散剤(S9)を得た。得られた分散剤の酸価は40mgKOH/gであった。
[分散剤(S)の製造例10]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、および攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部、ベンジルメタクリレート100部および2−メルカプトエタノール10部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
上記反応生成物にピロメリット酸二無水物14.0部、シクロヘキサノン95.9部、および触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、130℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し、シクロヘキサノン128部を加え反応を終了し分散剤(S10)を得た。得られた分散剤の固形分は50重量%、酸価は27mgKOH/gであった。
[比較分散剤1]
Disperbyk−111(BYK Chemie社製 リン酸含有分散剤)
[比較分散剤2]
ソルスパーズ41000(アビシア社製 リン酸含有分散剤)
[比較分散剤3の製造例]
オキシ塩化リン26.6部を70部のテトラヒドロフランに溶解し、反応容器に入れ、−50℃まで冷却した。2−ヒドロキシエチルメタクリレートにε−カプロラクトンを4モル付加した化合物(プラクセルFM4:ダイセル化学工業製)100部とトリエチルアミン16.7部とハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部をテトラヒドロフラン150部に溶解し、滴下ロートに入れた。乾燥窒素ガスを吹き込みながら、オキシ塩化リン溶液を攪拌し、前記溶液を滴下した。滴下中は−45〜−50℃に保 ち、滴下終了後1時間−45℃に保った。その後、0℃まで昇温し、水15部とトリエチルアミン37.9部を100部のテトラヒドロフランに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、15時間氷冷下攪拌し、P−Cl結合の加水分解を完了させた。その後析出したトリエチルアンモニウムクロリドをろ別し、テトラヒドロフランを30℃以下の温度で減圧除去した。得られた固体を0.3N塩酸水溶液で洗浄した。次にトルエンで数回洗浄した後、室温にて減圧乾燥し、比較分散剤3を得た。
[塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例1]
色素成分である銅フタロシアニン50部をクロロスルホン化した後、アミン成分であるN,N−ジメチルアミノプロピルアミン14部と反応させて塩基性基を有するシナジスト(Y1)62部を得た。
塩基性基を有するシナジスト(Y1)
CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
[塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例2]
色素成分である銅フタロシアニン50部をクロロメチル化した後、アミン成分であるジブチルアミン40部と反応させて塩基性基を有するシナジスト(Y2)95部を得た。
塩基性基を有するシナジスト(Y2)
CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
[塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例3]
色素成分であるキナクリドン50部をクロロアセトアミドメチル化した後、アミン成分であるN−メチルピペラジン40部と反応させて塩基性基を有するシナジスト(Y3)103部を得た。
塩基性基を有するシナジスト(Y3)
[塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例4]
色素成分としてジフェニルジケトピロロピロールを、アミン成分としてN−アミノプロピルモルホリンを使用し、製造例1と同様の方法により、塩基性基を有するシナジスト(Y4)を得た。
塩基性基を有するシナジスト(Y4)
[塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例5〜10]
上記塩基性基を有するシナジスト(Y)の製造例1〜4と同様の方法により、下記に示す顔料誘導体、アントラキノン誘導体、アクリドン誘導体またはトリアジン誘導体を得た。
塩基性基を有するシナジスト(Y5)


塩基性基を有するシナジスト(Y6)



塩基性基を有するシナジスト(Y7)


上記のように塩基性基を有するシナジストの製造例1〜10と同様の方法で、顔料成分、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンと、アミン成分を反応することにより、またはアミン成分を有する化合物をカップリング反応して色素を合成することにより、本発明を構成する種々の塩基性基を有するシナジスト(Y)を製造することができる。
顔料としてPigment Blue 15:3を9部、塩基性基を有するシナジスト(Y1)を1部、分散剤(S1)を1部、アルキッド樹脂(日立化成社製「フタルキッド133−60」)29部、メラミン樹脂(日立化成社製「メラン20」)10部、シンナー(シクロヘキサノン/キシレン/n−ブタノール=6/2/2(重量比)からなる混合溶剤)50部を、マヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ250部を分散メディアとして仕込み、ペイントシェイカーにて本分散を行い、顔料分散体を得た。
得られた塗料の粘度をB型粘度計で測定し、粘度およびTI値(=6rpmでの粘度÷60rpmでの粘度)で分散体の性能を評価した。6rpmでの粘度は300mPa・s、60rpmでの粘度は270mPa・sで、TI値は1.11であった。また、得られた顔料組成物を50℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、経時前後での顔料分散体の粘度変化について測定した。6rpmでの粘度は290mPa・sで変化率は−3%であった。
実施例2〜16
実施例1と同様にして、表2に示す配合比(重量比)により、それぞれ顔料分散体を得た。また、実施例1と同様の方法で評価した(粘度は低いほど良好、TI値は1に近いほど良好)。50℃1週間保存前後の粘度の変化率が±10%以内なら○、±10%を越えたら×とした。結果を表3に示す。
比較例1〜20
実施例1と同様にして、表4に示す配合比(重量比)により、それぞれ顔料分散体を得た。また、実施例1と同様の方法で評価した(粘度は低いほど良好、TI値は1に近いほど良好)。50℃1週間保存前後の粘度の変化率が±10%以内なら○、±10%を越えたら×とした。結果を表5に示す。
Pigment Blue 15:3を使用した実施例1〜7および21では、分散剤として(S1)〜(S6)、(S10)の7点を用いているが、粘度も低く、粘度安定性も良好であることがわかる。一方で分散剤(S)を使用していない比較例1では粘度が高く、塩基性基を有するシナジスト(Y)も分散剤(S)も使用していない比較例2や、塩基性基を有するシナジスト(Y)を使用していない比較例3ではペイントシェイカーで分散時に高粘度化してビーズとの分離が不可能であった。また、実施例1の分散剤(S1)の代わりにリン酸エステル系の比較分散剤1を用いた比較例4は分散剤がない比較例1と比べて低粘度化されているが、粘度安定性が悪かった。他の顔料を用いた実施例8〜20、比較例5〜20においても、本発明の顔料分散体の優位性が明らかである。
また、実施例1、実施例8、実施例9、実施例11、実施例12、比較例4、比較例8、比較例12、比較例14、および比較例15で得られた顔料分散体をそれぞれアルミ板にバーコーター#5で塗工して、180℃で1時間焼き付けた後、濃度5%の食塩水に24時間漬けたところ、比較例の塗工物のみ塗膜のブリスターを生じた。

Claims (7)

  1. 顔料と、
    塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体および塩基性基を有するトリアジン誘導体の群から選ばれる少なくとも一種の塩基性基を有するシナジスト(Y)と、
    分散剤(S)とを含んでなる顔料組成物であって、
    該分散剤(S)が、下記一般式(5)で示される片末端に水酸基を有する重合体(POH)若しくは片末端に1級アミノ基を有する重合体(PNH2若しくは片末端に水酸基を有するビニル重合体と、トリカルボン酸無水物若しくはテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られたものであることを特徴とする顔料組成物であって、
    該ビニル重合体が、n−ブチルメタクリレートおよびベンジルメタクリレートの合計100重量部に対し2−メルカプトエタノールを5重量部用いて重合したビニル重合体である顔料組成物
    一般式(5):


    〔一般式(5)中、
    1 は、炭素原子数1〜18、酸素原子数0〜6、および水素原子数3〜37の1価の末端基であり、
    2 は、−O−であり、
    1 は、−OH、または−NH 2 であり、
    1 は、−R 11 O−で示される繰り返し単位であり、
    2 は、−C(=O)R 12 O−で示される繰り返し単位であり、
    3 は、−C(=O)R 13 C(=O)−OR 14 O−で示される繰り返し単位であり、
    11 はエチレン基またはプロピレン基であり、
    12 はテトラメチレン基またはペンタメチレン基またはメチル基で置換されたペンタメチレン基であり、
    13 はエチレン基であり、
    14 は、−CH(R 15 )−CH(R 16 )−で示され、
    15 とR 16 は、どちらか一方が水素原子であり、もう一方が2−エチルへキシルオキシメチレン基であって、
    17 は、前記R 11 、−C(=O)R 12 −、又は−C(=O)R 13 C(=O)−OR 14 −であり、
    m1は0〜21の整数であり、m2は0〜13の整数であり、m3は0であり、但しm1+m2+m3は5〜21であり、
    一般式(5)における前記繰り返し単位G 1 〜G 3 の配置は、その順序を限定するものではなく、一般式(5)で表される重合体において、基X 2 と基R 17 との間に繰り返し単位G 1 〜G 3 が任意の順序で含まれていることを示し、更に、それらの繰り返し単位G 1 〜G 3
    、それぞれランダム型又はブロック型のどちらでもよい。〕
  2. 塩基性基を有するシナジスト(Y)の塩基性基が、下記一般式(1)、下記一般式(2)、下記一般式(3)および下記一般式(4)で示される群から選ばれる少なくとも1つのものであることを特徴とする請求項1記載の顔料組成物。

    〔一般式(1)〜一般式(4)において、
    Jは、それぞれ独立に、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−、又は直接結合を表し、
    fは、1〜10の整数を表し、
    1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基であるか、又はR1とR2と式中の窒素原子とが一緒になって、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を含み、置換されていてもよい複素環残基を表し、
    3は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置
    換されていてもよいフェニル基を表し、
    4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、Kは、−NR8−Z−NR9−又は直接結合を表し、
    8、及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいフェニル基を表し、
    Zは、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基を表し、
    Wは、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表し、そして
    Qは、水酸基、アルコキシル基、前記一般式(1)で示される置換基、又は前記一般式(3)で示される置換基を表す。〕
  3. 1が、炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の顔料組成物。
  4. 1が、エチレン性不飽和二重結合を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料組
    成物。
  5. 1が、エチレン性不飽和二重結合を二個以上有することを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料組成物。
  6. トリカルボン酸無水物若しくはテトラカルボン酸二無水物が、芳香族トリカルボン酸無水物若しくは芳香族テトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項1ないしいずれか記載の顔料組成物。
  7. 請求項1ないしいずれか記載の顔料組成物をワニスに分散せしめてなる顔料分散体。
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