JP6164483B2 - インクジェット記録用インク、並びに該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録物の製造方法、インクジェット記録装置、およびインク記録物 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方式は、熱により発生する泡や、ピエゾや静電等を利用して発生させた圧力で少量のインクを飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて素早く乾燥させること、あるいは記録媒体に浸透させることにより画像を形成する方式であり、パーソナルおよび産業用のプリンタや印刷まで用途が拡大してきている。
また、OA用プリンタの高画質化技術の向上に伴って、顔料インクにおいても記録媒体として普通紙でも染料インクと同等の画像濃度が要求されている。しかし、顔料インクは、記録媒体として普通紙を使用する場合、紙中へ浸透することにより紙表面の顔料濃度が低くなり、画像濃度が低くなるという問題が生じている。
例えば、特許文献1には、水溶性の多価金属塩を含有してなる紙への記録に用いられるインクが開示されている。このとき、このインクは、(a)顔料と、(b)界面活性能を持たず、分子量が150以上10,000以下であり、かつ、その分子構造中におけるリン酸を基本骨格とする官能基とホスホン酸を基本骨格とする官能基から選択される官能基由来のリンの含有率((P量/分子量)×100)が1.4以上である化合物を少なくとも1種含有してなり、(b)化合物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として1.5質量%以上10.0質量%以下であることを特徴としている。
すなわち、特許文献1の方法において、高い画像濃度とインクとしての顔料の分散安定性の両立は達成できていない。
すなわち、本発明は、高い画像濃度が得られ、インクとしての顔料の分散安定性、吐出安定性が良好な、インクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
しかし普通紙の場合、含まれる多価金属塩は一般的に難水溶性の炭酸カルシウムであり、インクへ溶出するカルシウムイオン量は少ない。そのため式(1)の構造単位を含むだけでは、普通紙において充分な画像濃度を得ることが出来ない。
上記を解決する方法の一つとして、ホスホン酸基を含む共重合体の式(1)の構成比率を高くすることが考えられる。しかし式(1)の構成比率を高くすると、ホスホン酸基同士の相互作用が強くなるためか共重合体のゲル化が起こりインクの保存安定性低下を引き起こす。従って従来のホスホン酸基を含む共重合体の式(1)構成比率は20質量%未満にせざるを得なかった。
また、共重合体のゲル化が発生しにくくなり、式(1)の構成比率を高くすることが出来、更に多価金属イオン(特にカルシウムイオン)との反応性を向上できた。
従って、本発明のインクでは、水溶性多価金属塩が少ない一般的な普通紙においても高い画像濃度を得ることが可能になった。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本実施形態のインクジェット記録用インク(以下、「インク」と称することがある。)は、水と、水溶性溶剤と、顔料と、普通紙中の多価金属イオン(特にカルシウムイオン)と反応して凝集が起こる共重合体とを少なくとも含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有して成る。
本発明に係るインクジェット記録用インクは、前記共重合体が普通紙などの記録媒体上に着弾した際に普通紙中に含まれる多価金属イオンと反応して凝集を起こし、インクの紙中への浸透が抑制されて高い画像濃度を得ることができる。
なお、多価金属イオンと反応して凝集が起こる共重合体とは前述のとおり、前記式(1)で表される構造単位と、前記式(2)で表される構造単位とを少なくとも有する共重合体である。
本発明で使用されるホスホン酸基を含む共重合体は、インクジェット記録用インクが普通紙などの記録媒体上に着弾した際に普通紙中に含まれる多価金属イオン(特にカルシウムイオン)と反応して凝集する特性を有するものである。この機能により、インクが紙中に浸透するのが抑制されて高い画像濃度を得ることができる。
本発明においては、前記ホスホン酸基を含む共重合体を顔料分散剤又は添加剤として使用することができるが、特に顔料分散剤として用いることにより、更に高画像濃度及び保存安定性、吐出安定性が良好なインクを提供することができる。
前記一般式(1)中のM+はプロトン、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンを表すが、塩基により中和されることによりイオン化されていることが好ましい。
中和に用いる塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、などのアルカリ金属水酸化物等の無機アルカリ;モノ、ジ或いはトリメチルアミン、モノ、ジ或いはトリエチルアミン等のアルキルアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)等のアルコールアミン類;コリン、モルホリン、N−メチルモノホルリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の環状アミン;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化有機アンモニウム、などが挙げられる。
これらの中でも、インクの保存安定性、吐出安定性の点から、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどの有機アミンが好ましい。
尚、前記中和処理して得られたホスホン酸基を含む共重合体におけるホスホン酸基の中和率は、本発明においては、下記の方法により求めた値を中和率と定義する。
式(3)で表される化合物をモノマー1とすると、
中和率X(%)=(添加した塩基のモル数×塩基の陽イオンの価数)
÷(共重合体に含有するモノマー1のモル数×4)×100
添加した塩基のモル数=塩基の添加量Yg÷塩基の分子量
共重合体に含有するモノマー1のモル数
=モノマー1の仕込み量Zg÷モノマー1の分子量
従って、中和率X%を得るために必要な塩基の量は
塩基の添加量Yg=中和率X(%)×(モノマー1の仕込み量Zg×4)
×塩基の分子量÷(塩基の陽イオン価数×100×モノマー1の分子量)
となる。
前記その他のモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、などが挙げられる。
例えば、四口フラスコに温度計、攪拌機、窒素導入管を設置し、溶媒と下記一般式(3)で表されるモノマーと、下記一般式(4)で表されるモノマーとを、必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤を加え、常温〜150℃にて重合できる。
ホスホン酸基を含む共重合体の粘度の調整は、分子量を変えることで可能であり、重合時のモノマー濃度、重合開始剤量、重合温度、重合時間を変えればよい。
ラジカル重合開始剤としては、一般に用いられているものなら使用可能で、具体的には、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。分子量の制御がしやすく、分解温度の低い有機過酸化物やアゾ系化合物が好ましく、特にアゾ系化合物がより好ましい。重合開始剤の使用量は、重合性単量体の総質量に対して、1〜10質量%が好ましい。
また、ホスホン酸基を含む共重合体の分子量を調整するために、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール等の連鎖移動剤を重合系に適量添加してもよい。
好ましい重合温度は50〜150℃であり、好ましい重合時間は3〜48時間である。
中和剤の添加方法としては、例えば、上記の製造方法により得られたホスホン酸基を含む共重合体と中和剤を溶液中で混合する方法が挙げられる。前記ホスホン酸基を含む共重合体を有機溶剤または水に溶かし、その溶液に直接中和剤を添加するか、中和剤を有機溶剤または水に溶かした溶液を添加、撹拌する。その後、溶媒を除去することで塩基で中和されたホスホン酸基を含む共重合体が得られる。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈殿、溶媒留去等の従来公知の方法により、生成したホスホン酸基を含む共重合体を単離することができる。また、再沈殿を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマーや低分子量成分を除去してホスホン酸基を含む共重合体を精製することができる。
尚、本発明においては、ホスホン酸基の一部または全部が中和された共重合体もホスホン酸基を含む共重合体と称する。
式(4)で表されるモノマーの例としては、下記(式4−1)〜(式4−2)のモノマーが挙げられる。
前記共重合体において、一般式(2)で表される構造単位のR3がメチル基であることが好ましく、式(4)で表されるモノマーとしては、(式4−2)で表されるモノマーが好ましい。
また、上記効果を損なわない範囲で、後に記載する分散剤を共重合体と併用してもよい。
本発明で使用される水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。
水の含有量は、インク総量に対して20〜60質量%が好ましい。
本発明で使用される水溶性溶剤は、インク組成物において、保湿効果の付与による吐出安定化の向上に必要である。含有量は、インク総量に対して10〜50質量%が好ましい。前記含有量が10質量%未満であると、インクが水分蒸発し易くなり、インクジェット記録装置内のインク供給系でインクの水分蒸発により増粘インク詰まり等が生じることがある。前記含有量が50質量%より多いと、インクジェット記録装置内では増粘インク詰まりは発生しにくくなるが、インクを所望の粘度にするために顔料や樹脂等の固形分の減量が必要なことがあり、その場合記録物の画像濃度が低下することがある。
これらの水溶性溶剤は、単独または2種類以上混合して使用することができる。上記の中でも、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコールおよび/またはグリセリンを含むことが水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れた効果が得られる。特にグリセリンを含むことが好ましい。
本発明で用いられる顔料の前記記録用インクにおける含有量は、0.1質量%以上、20.0質量%以下が好ましい。顔料の体積平均粒子径(D50)は、150nm以下が好ましい。
ここで、前記顔料の体積平均粒子径(D50)は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したものである。
これらの顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、および有機顔料のいずれであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50m2/g〜300m2/g、DBP吸油量が40ml/100g〜150ml/100g、揮発分が0.5%〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとして市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
なお、イエロー顔料として、ピグメントイエロー74、マゼンタ顔料として、ピグメントレッド122、ピグメントバイオレッド19、シアン顔料として、ピグメントブルー15:3を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
更に本発明で使用される顔料は、分散剤等の界面活性剤や樹脂で被覆したグラフト処理やカプセル化処理した物を使用することも可能であるが、本発明におけるホスホン酸基を含む共重合体を分散剤に使用した方がより好ましい。
また効果を損なわない範囲で上述した顔料を併用してもよい。
本発明のインクジェット記録用インクの組成分に用いられるその他の成分としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができる。その他の成分としては、例えば、分散剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記分散剤としては、本発明のホスホン酸基を含む共重合体が好ましいが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤や高分子型の分散剤も挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤等が例示される。
前記pH調整剤としては、調合されるインクジェット用インクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11、好ましくはpHを9〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。前記pHが8.5未満および11を超えるとインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。8.5未満の時には、インク保管中にインクpHが低下して高分子微粒子が粒子径の増大により凝集することがある。
前記pHは、例えば、pHメータHM−30R(TOA−DKK社製)により測定することができる。
前記水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えて、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
前記水分散性樹脂の具体例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
この中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子およびフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
ここで、前記水分散性樹脂の体積平均粒子径(D50)は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したものである。
また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。前記水分散性樹脂を添加する場合、前記インクジェット用インクにおける含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
本実施形態のインクジェット用インクは、水、水溶性溶剤、顔料、及びホスホン酸基を含む共重合体、更に必要に応じて他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
前記インクジェット用インクの25℃での粘度は3mPa・s〜20mPa・sが好ましい。前記インク粘度が3mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。
前記粘度は、例えば、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記インクジェット用インクの表面張力としては、25℃で、40mN/m以下が好ましい。前記表面張力が、40mN/mを超えると、記録用メディア上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
本発明のインクカートリッジは、本発明のインクジェット記録用インクを容器中に収容するものであり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を構成することもできる。
前記容器としては、その形状、構造、大きさ、材質に特に制限無く、目的に応じて適宜選択できる。例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルムなどで形成されたインク袋を少なくとも有するものなどが好適に挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット記録用インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクを用いたインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
本発明のインクジェット記録物の製造方法は、本発明のインクジェット記録用インクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含む。
前記インク飛翔手段は、前記本発明のインクジェット用インクに、刺激を印加し、該インクジェット用インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、装置本体101の前面112の一端部側には、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなったインクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ200から前記インクが供給されて補充される。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられる。
なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。すなわち、本発明のインク記録物は、本発明のインクジェット記録用インクにより記録された画像を記録媒体(記録メディア)上に有してなる。
前記記録メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙および印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。前記普通紙は安価である点で有利である。また、前記印刷用塗工紙は光沢紙に比べ比較的安価でしかも平滑な光沢ある画像を与える点で有利である。しかし、画像濃度が低く乾燥性も悪く一般にインクジェット用には使用する上で好ましくなかった。
例えば、MyPaper(株式会社リコー製普通紙)のCaイオン量は4.3×10-4[g/g]である。
すなわち、本発明のインクにより、普通紙および印刷用塗工紙においても、画像濃度、乾燥性が向上し使用可能となった。
本発明のインク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
即ち、紙を2.5cm(±0.5cm)×3.5cm(±0.5cm)四方の紙片に裁断する。裁断した紙片16gを25℃の高純水200g中に40時間浸漬する。紙片を浸漬した後の高純水(浸漬液)を0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)でろ過して紙粉等の異物を除去した後、浸漬液に含まれるCaイオンをICP発光分光分析装置によって定量する。ここで得られたCaイオン濃度[ppm]に、高純水の重量である200gを掛け、更に浸漬させた紙の重量である16gで除して、紙から溶出してくるCaイオン量[g/g]を算出する。
(1)少なくとも水と、水溶性溶剤と、顔料と、ホスホン酸基を含む共重合体と、を含有するインクジェット記録用インクであって、
前記ホスホン酸基を含む共重合体が、下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
(2)前記ホスホン酸基を含む共重合体における一般式(1)で表される構造単位の含有率が10質量%〜60質量%であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用インク。
(3)前記ホスホン酸基を含む共重合体の固形分10質量%水溶液の粘度が1.5〜30.0mPa・sであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録用インク。
(4)前記ホスホン酸基を含む共重合体の一般式(2)で表される構造単位のR3がメチル基であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
(5)前記ホスホン酸基を含む共重合体の一般式(1)で表される構造単位のM+が有機アンモニウムイオンであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
(6)少なくとも水と、水溶性溶剤と、顔料と、ホスホン酸基を含む共重合体と、を含有するインクジェット記録用インクであって、
前記ホスホン酸基を含む共重合体が下記一般式(3)で表されるモノマーと、下記一般式(4)で表されるモノマーとを少なくとも出発物質として合成されることを特徴とするインクジェット記録用インク。
(7)前記水溶性溶剤として少なくともグリセリンを含むことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
(8)前記ホスホン酸基を含む共重合体を分散剤とすることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
(10)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録物の製造方法。
(11)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
(12)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を記録媒体上に有してなることを特徴とするインク記録物。
なお、例中で用いられた%は質量基準である。
また、以下の略号は次の化合物を意味する。
AEDPA ;1−アクリロキシエタン−1,1−ジホスホン酸;式3−1
MAEDPA;1−メタクリロキシエタン−1,1−ジホスホン酸;式3−2
GLA;グリセリンアクリレート;式4−1
GLM;グリセリンメタクリレート;(ブレンマーGLM:日油株式会社);式4-2
AIBN;アゾビスイソブチロニトリル
合成された共重合体の粘度測定は回転粘度計(RE500L型粘度計・コーンプレートタイプ、東機産業株式会社製)を用いて行った。具体的な操作を以下に示す。温度25℃にて、共重合体の固形分10質量%の水溶液を1.1mL採取し粘度計のサンプルカップに入れた。サンプルカップを粘度計本体取り付けて1分間静置した後、サンプルに合わせて回転数を調整して粘度計のローターを回転し、1分後の値を読み取った。
(共重合体1の作製)
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体1の水溶液とした。得られた共重合体1の水溶液の粘度は10.7mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和率が50%になるように中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体2の水溶液とした。得られた共重合体2の水溶液の粘度は5.1mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLA;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体3の水溶液とした。得られた共重合体3の水溶液の粘度は11.3mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化カリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体4の水溶液とした。得られた共重合体4の水溶液の粘度は10.8mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化リチウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体5の水溶液とした。得られた共重合体5の水溶液の粘度は10.9mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものをモノエタノールアミン(EA)で中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体6の水溶液とした。得られた共重合体6の水溶液の粘度は10.3mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものをジメチルエタノールアミン(DMEA)で中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体7の水溶液とした。得られた共重合体7の水溶液の粘度は10.6mPa・sであった。
AEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体8の水溶液とした。得られた共重合体8の水溶液の粘度は9.6mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;21.0g、エタノール;170.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和率が40%になるように中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体9の水溶液とした。得られた共重合体9の水溶液の粘度は2.4mPa・sであった。
MAEDPA;4.0g、GLM;16.0g、エタノール;380.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;4.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体10の水溶液とした。得られた共重合体10の水溶液の粘度は1.5mPa・sであった。
MAEDPA;4.6g、GLM;41.4、エタノール;154.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体11の水溶液とした。得られた共重合体11の水溶液の粘度は30.0mPa・sであった。
MAEDPA;9.0g、GLM;6.0g、エタノール;285.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;3.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体12の水溶液とした。得られた共重合体12の水溶液の粘度は1.5mPa・sであった。
MAEDPA;27.6g、GLM;18.4g、エタノール;154.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体13の水溶液とした。得られた共重合体13の水溶液の粘度は30.0mPa・sであった。
MAEDPA;6.4g、GLM;25.6g、エタノール;768.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;8.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体14の水溶液とした。得られた共重合体14の水溶液の粘度は1.3mPa・sはであった。
MAEDPA;5.0g、GLM;45.0g、エタノール;150.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体15の水溶液とした。得られた共重合体15の水溶液の粘度は30.8mPa・sであった。
MAEDPA;7.2g、GLM;4.8g、エタノール;288.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;3.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体16の水溶液とした。得られた共重合体16の水溶液の粘度は1.4mPa・sであった。
MAEDPA;30.0g、GLM;20.0g、エタノール;150.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体17の水溶液とした。得られた共重合体17の水溶液の粘度は33.9mPa・sであった。
MAEDPA;1.6g、GLM;30.4g、エタノール;768.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;8.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体18の水溶液とした。得られた共重合体18の水溶液の粘度は1.3mPa・sであった。
MAEDPA;2.5g、GLM;47.5g、エタノール;150.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体19の水溶液とした。得られた共重合体19の水溶液の粘度は33.6mPa・sであった。
MAEDPA;9.6g、GLM;2.4g、エタノール;288.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;3.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体20の水溶液とした。得られた共重合体20の水溶液の粘度は1.2mPa・sであった。
MAEDPA;40.0g、GLM;10.0g、エタノール;150.0gを4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、65℃でAIBN;2.0gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを共重合体21の水溶液とした。得られた共重合体21の水溶液の粘度は34.8mPa・sであった。
合成例の共重合体を表1に示す。
(調製例1)
−顔料分散体1の作製−
下記処方(1)にて、下記カーボンブラック顔料、共重合体および純水の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)で周速10m/sで10分間循環分散してブラック顔料分散体を得た。
処方(1)
・カーボンブラック顔料 NIPEX150 16質量部
(degussa社製:ガスブラック)
・共重合体1の水溶液(固形分10.0質量%) 40質量部
・純水 44質量部
−顔料分散体2の作製−
調製例1の処方を処方(2)とした以外は調製例1と同様にして顔料分散体2を得た。
処方(2)
・カーボンブラック顔料 NIPEX150 16質量部
(degussa社製:ガスブラック)
・共重合体1の水溶液(固形分10.0質量%) 20質量部
・純水 64質量部
−顔料分散体3の作製−
調製例1の処方を処方(3)とした以外は調製例1と同様にして顔料分散体3を得た。
処方(3)
・カーボンブラック顔料 NIPEX150 16質量部
(degussa社製:ガスブラック)
・共重合体1の水溶液(固形分10.0質量%) 80質量部
・純水 4質量部
−顔料分散体4の作製−
調製例1の処方を処方(4)とした以外は調製例1と同様にして顔料分散体4を得た。
処方(4)
・カーボンブラック顔料 NIPEX150 16質量部
(degussa社製:ガスブラック)
・共重合体1の水溶液を固形分20.0質量%とした水溶液 80質量部
・純水 4質量部
−顔料分散体5の作製−
調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントブルー15:3に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体5を得た。
−顔料分散体6の作製−
調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントレッド122に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体6を得た。
−顔料分散体7の作製−
調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体7を得た。
−顔料分散体8〜13の作製−
調製例1の共重合体1の水溶液を共重合体2〜7の水溶液に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体8〜13を得た。
−顔料分散体14の作製−
調製例1の共重合体1の水溶液を共重合体8の水溶液に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体14を得た。
−顔料分散体15の作製−
調製例14のカーボンブラック顔料をピグメントブルー15:3に変えた点以外は調製例14同様にして顔料分散体15を得た。
−顔料分散体16の作製−
調製例14のカーボンブラック顔料をピグメントレッド122に変えた点以外は調製例14と同様にして顔料分散体16を得た。
−顔料分散体17の作製−
調製例14のカーボンブラック顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は調製例14と同様にして顔料分散体17を得た。
−顔料分散体18〜30の作製−
調製例1の共重合体1の水溶液を共重合体9〜21の水溶液に変えた点以外は調製例1と同様にして顔料分散体18〜30を得た。
(比較共重合体1の作製)
水500g及び過硫酸アニモニウム15gと、マレイン酸100g、スチレン100g、水500g及び過硫酸アニモニウム15gを、4つ口フラスコに入れて攪拌し、均一溶液とした。この溶液に30分間窒素を吹き込んだ後、80〜90℃でAIBN;2gを加えて5時間以上重合反応させた。重合液をエバポレーターにより脱溶媒した粘調物を水に希釈しながらおよそ10質量%に濃度調整したものを水酸化ナトリウムで中和し、3日間透析膜精製し、精製後10質量%に正確に濃度調整したものを比較共重合体1の水溶液とした。得られた比較共重合体1の水溶液の粘度は、13.5mPa・sであった。
比較共重合体1の作製におけるマレイン酸、スチレンを、MAEDPA、スチレンとした点以外は、比較共重合体1の作製と同様にして比較共重合体2の水溶液を得た。得られた比較共重合体2の水溶液の粘度は、14.4mPa・sであった。
比較共重合体1の作製におけるマレイン酸、スチレンを、マレイン酸、GLMとした点以外は、比較共重合体1の作製と同様にして比較共重合体3の水溶液を得た。得られた比較共重合体3の水溶液の粘度は、14.1mPa・sであった。
(比較調製例1)
−比較顔料分散体1の作製−
調製例1の共重合体1の水溶液を比較共重合体1の水溶液に変えた点以外は調製例1と同様にして比較顔料分散体1を得た。
−比較顔料分散体2の作製−
比較調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントブルー15:3に変えた点以外は比較調製例1同様にして比較顔料分散体2を得た。
−比較顔料分散体3の作製−
比較調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントレッド122に変えた点以外は比較調製例1と同様にして比較顔料分散体3を得た。
−比較顔料分散体4の作製−
比較調製例1のカーボンブラック顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は比較調製例1と同様にして比較顔料分散体4を得た。
−比較顔料分散体5の作製−
比較調製例1の比較共重合体1の水溶液を比較共重合体2の水溶液に変えた点以外は比較調製例1と同様にして比較顔料分散体5を得た。
−比較顔料分散体5の作製−
比較調製例1の比較共重合体1の水溶液を比較共重合体3の水溶液に変えた点以外は比較調製例1と同様にして比較顔料分散体6を得た。
<インクジェット用インクの製造方法>
(実施例1)
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例1の顔料分散体1(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 10.5質量部
実施例1において、顔料分散体1を顔料分散体2〜4に変えた点以外は同様にして実施例2〜4のインクを得た。
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例1の顔料分散体1(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン:
(昭和高分子株式会社製、ポリゾールROY6312)6.0質量部
・純水 4.5質量部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例5の顔料分散体5(顔料濃度16質量%) 40.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0質量部
・フッ素系界面活性剤(KF−643) 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 19.5質量部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例6の顔料分散体6(顔料濃度16質量%) 40.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0質量部
・フッ素系界面活性剤(KF−643) 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 19.5質量部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例7の顔料分散体7(顔料濃度16質量%) 40.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0質量部
・フッ素系界面活性剤(KF−643) 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 19.5質量部
実施例1において、顔料分散体1を顔料分散体8〜14に変えた点以外は同様にして実施例9〜15のインクを得た。
実施例5〜8において、顔料分散体1、5〜7を顔料分散体14〜17に変えた点以外は同様にして実施例16〜19のインクを得た。
実施例1において、顔料分散体1を顔料分散体18〜30に変えた点以外は同様にして実施例20〜32のインクを得た。
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例1の顔料分散体1(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・1,3−ブタンジオール 35.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 10.5質量部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例13の顔料分散体13(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・1,3−ブタンジオール 35.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 10.5質量部
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクを作製した。
・調製例14の顔料分散体14(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・1,3−ブタンジオール 35.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・FS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 10.5質量部
−共重合体の添加によるインクジェット記録用インクの作製−
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクジェット記録用インクを作製した。
・比較調製例1の比較顔料分散体1(顔料濃度16質量%) 50.0質量部
・共重合体1 0.5質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 1.0質量部
・ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(FS−300、Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 10.0質量部
−共重合体の添加によるインクジェット記録用インクの作製−
実施例36の共重合体1の量を0.5質量部から2.0質量部に代え、純水の量を10.0質量部から8.5質量部に代えた以外は、実施例36と同様にして、実施例37のインクジェット記録用インクを得た。
−共重合体の添加によるインクジェット記録用インクの作製−
実施例36の共重合体1の量を0.5質量部から5.0質量部に代え、純水の量を10.0質量部から5.5質量部に代えた以外は、実施例36と同様にして、実施例38のインクジェット記録用インクを得た。
−共重合体の添加によるインクジェット記録用インクの作製−
実施例36の共重合体1の量を0.5質量部から10.0質量部に代え、純水の量を10.0質量部から0.5質量部に代えた以外は、実施例36と同様にして、実施例39のインクジェット記録用インクを得た。
−共重合体の添加によるインクの作製−
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インクジェット記録用インクを作製した。
・顔料分散体の比較調製例2の比較顔料分散体2(顔料濃度16質量%)
40.0質量部
・共重合体1 2.0質量部
・1,3−ブタンジオール 15.0質量部
・グリセリン 20.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0質量部
・ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(FS−300、Dupont社製、成分40質量%) 2.5質量部
・純水 17.5質量部
−共重合体の添加によるインクの作製−
実施例40の顔料分散体を比較顔料分散体2から比較顔料分散体3に代えた以外は、実施例40と同様にして、実施例41のインクジェット記録用インクを得た。
−共重合体の添加によるインクの作製−
実施例40の顔料分散体を比較顔料分散体2から比較顔料分散体4に代えた以外は、実施例40と同様にして、実施例42のインクジェット記録用インクを得た。
実施例1において、顔料分散体1を比較顔料分散体1に変えた点以外は同様にして比較例1のインクを得た。
実施例6において、顔料分散体5を比較顔料分散体2に変えた点以外は同様にして比較例2のインクを得た。
実施例7において、顔料分散体6を比較顔料分散体3に変えた点以外は同様にして比較例3のインクを得た。
実施例8において、顔料分散体7を比較顔料分散体4に変えた点以外は同様にして比較例4のインクを得た。
実施例1において、顔料分散体1を比較顔料分散体5に変えた点以外は同様にして比較例5のインクを得た。
実施例1において、顔料分散体1を比較顔料分散体6に変えた点以外は同様にして比較例6のインクを得た。
23℃50%RH環境下で、インクジェットプリンター(リコー製IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64pointのJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートをMyPaper(株式会社リコー製)に打ち出し、印字面の前記記号部をX−Rite938にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、JIS X 0208(1997),2223は、外形が正四方形であって、記号全面がインクにより塗りつぶされている記号である。
印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
AA :ブラック:1.25以上
マゼンタ:1.00以上
シアン :1.00以上
イエロー:0.85以上
A :ブラック:1.20以上1.25未満
マゼンタ:0.95以上1.00未満
シアン :0.95以上1.00未満
イエロー:0.80以上0.85未満
B :ブラック:1.15以上1.20未満
マゼンタ:0.90以上0.95未満
シアン :0.90以上0.95未満
イエロー:0.75以上0.80未満
C :ブラック:1.10以上1.15未満
マゼンタ:0.85以上0.90未満
シアン :0.85以上0.90未満
イエロー:0.70以上0.75未満
D :ブラック:1.10未満
マゼンタ:0.85未満
シアン :0.85未満
イエロー:0.70未満
各インクをインクカートリッジに充填して60℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化を下記基準により評価した。
粘度測定は回転粘度計(RE500L型粘度計・コーンプレートタイプ、東機産業株式会社製)を用いて行った。具体的な操作を以下に示す。温度25℃にて、インクを1.1mL採取し粘度計のサンプルカップに入れる。サンプルカップを粘度計本体取り付けて1分間静置した後、粘度計のローターを回転し、1分後の値を読み取る。尚、ローターの回転数はサンプルに合せて調整する。
[評価基準]
AA:粘度の変化が±3%未満
A :粘度の変化が±3%以上±6%未満
B :粘度の変化が±6%以上±10%未満
C :粘度の変化が±10%以上±20%未満
D :粘度の変化が20%以上
吐出安定性については、印刷物を印刷した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを50℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって、下記評価基準に従い評価した。
[評価基準]
AA:クリーニング無しで印刷できた。
A :1〜3回の動作により回復した。
B :4〜5回の動作により回復した。
C :6〜10回の動作により回復した。
D :10回以上の動作によっても回復がみられなかった。
実施例1〜42と比較例1〜6との比較で、本発明のインクは、画像濃度が高く、保存安定性、吐出安定性に優れていることがわかる。
更に実施例どうしの比較から以下のことがわかる。
実施例1と9、20の比較から一般式(1)の中和率が違っても効果が得られ、中和率が高い方が保存安定性、又は吐出安定性の点で優れる。
実施例1、5〜8と15〜19の比較から一般式(1)のR1がメチル基でも水素のいずれであっても同様の効果が得られる。
実施例1と10の比較から一般式(2)のR3がメチル基であると保存安定性の点で優れる。
実施例1、11〜14から一般式(1)の中和塩の種類によらず効果が得られ、有機アミンが吐出安定性の点で優れる。
実施例1〜24と25〜28との比較から、一般式(1)の比率が10〜60質量%、ホスホン酸基を含む共重合体の固形分10質量%水溶液の粘度が1.5〜30.0mPa・sにおいて画像濃度、保存安定性、吐出安定性の点で優れている。
実施例25〜28と29〜32との比較から、一般式(1)の比率が10〜60質量%で、画像濃度の点で優れる。
実施例1、6〜8、及び15、17〜19の比較から顔料の色によらず同様の効果が得られる。
実施例1と5、15と16よりインクの処方によらず同様の効果が得られる。
実施例1、14、15と33、34、35との比較からグリセリンを含有すると吐出安定性が優れることがわかる。
すなわち、本発明は、インクの保存安定性が良好で、しかも乾燥性が良好であり普通紙や印刷用塗工紙で高い画像濃度が得られ、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができる。本発明のインク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用できる。インクジェット記録方式による記録装置としては、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などが適用できる。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (12)
- 前記ホスホン酸基を含む共重合体における一般式(1)で表される構造単位の含有率が10質量%〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記ホスホン酸基を含む共重合体の固形分10質量%水溶液の粘度が1.5〜30.0mPa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記ホスホン酸基を含む共重合体の一般式(2)で表される構造単位のR3がメチル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 前記ホスホン酸基を含む共重合体の一般式(1)で表される構造単位のM+が有機アンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 前記水溶性溶剤として少なくともグリセリンを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 前記ホスホン酸基を含む共重合体を分散剤とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにインク飛翔手段を介して刺激を印加し、記録ヘッドから該インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを記録ヘッドから飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用インクにより記録された画像を記録媒体上に有してなることを特徴とするインク記録物。
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