JP6828309B2 - 水性インク、インクカートリッジ、記録装置、及び記録方法 - Google Patents
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特許文献2には、「顔料と、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水とを少なくとも含んでなり、前記顔料が分散剤なしに水に分散および/または溶解が可能な顔料であり、かつ前記界面活性剤がアセチレングリコール骨格を有する界面活性剤である」インク組成物が開示されている。
水性媒体と、
顔料と、
体積平均粒径が前記顔料の体積平均粒径の2倍以下であり、熱可塑性樹脂および油溶性界面活性剤を含む樹脂粒子と、
を含有する水性インク。
前記油溶性界面活性剤が、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤である<1>に記載の水性インク。
前記アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が、下記一般式(1)である<2>に記載の水性インク。
前記熱可塑性樹脂が、酸価を有する熱可塑性樹脂である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インク。
前記熱可塑性樹脂が、少なくとも(メタ)アクリロイル骨格を有する単量体を重合した重合体である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の水性インク。
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の水性インクを吐出ヘッドから記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
<2>又は<3>に係る発明によれば、樹脂粒子に含まれる油溶性界面活性剤が、ポリオキシエチレンオレイルエーテルの界面活性剤である場合に比べ、耐擦過性に優れた画像が得られる水性インクが提供される。
本実施形態に係る水性インクは、水性媒体と、顔料と、樹脂粒子と、を含有する。
そして、樹脂粒子は、樹脂粒子の体積平均粒径が顔料の体積平均粒径の2倍以下であり、熱可塑性樹脂および油溶性界面活性剤を含む。
また、樹脂粒子が油溶性界面活性剤を含有することで、界面活性剤が樹脂粒子中から水相側に溶出することを抑制し得る。そして、樹脂粒子が油溶性界面活性剤を含んでいることにより、樹脂粒子が可塑効果を有する。それとともに、樹脂粒子の界面張力が低下するため、樹脂粒子どうしが互いに接触し易くなり、樹脂粒子相互の接着性が向上する。
その結果、上記構成を有する水性インクを用いて形成した画像中では、顔料への樹脂粒子の被覆性が高まることにより、顔料相互の接着性が向上する。また、樹脂粒子が油溶性界面活性剤を含んでいることにより、樹脂粒子相互の接着性が向上する。そのため、上記構成を有する水性インクを用いて形成した画像は、固着性が高まる。
以上の理由から、本実施形態に係る水性インクは、樹脂粒子の被覆性の向上による顔料相互の接着性と、油溶性界面活性剤による樹脂粒子の接着性の向上との効果を有するにより、画像の固着性が高まるため、耐擦過性に優れる画像が得られると推測される。
顔料としては、公知のあらゆる有機顔料及び無機顔料が挙げられる。顔料は、水性インクの色相に応じて、黒色顔料、シアン色顔料、マゼンタ色顔料、イエロー色顔料などを選択し又は組み合せて使用する。
シアン色顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22、60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色顔料としては、C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、112、122、123、146、168、177、184、202;C.I.Pigment Violet 19;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イエロー色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、128、129、138、151、154、180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。自己分散型顔料は、例えば、顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより得られる。
また、顔料としては、高分子化合物を顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料も挙げられる。
また、顔料としては、黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等も挙げられる。
また、顔料としては、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も挙げられる。
顔料の体積平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法によるもの(島津製作所社製SALD2200、堀場製作所製LB−500、日機装社製MT3300等)、遠心沈降方式、コールターカウンター、電子顕微鏡等の通常用いられている測定装置により測定することができる。
具体的には、固形分濃度20質量%に調整した顔料分散液を50質量倍の水で希釈し、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製、LB−500)を用い、25℃で測定を行う。そして、メジアン径をもって、顔料の体積平均粒径とする。
樹脂粒子は、熱可塑性樹脂と、油溶性界面活性剤とを含有する。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、スチレン骨格を有する単量体を重合した重合体、(メタ)アクリロイル骨格を有する単量体を重合した重合体、これらの骨格を有する単量体を共重合した重合体等のビニル樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。また、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」のいずれをも含む表現である。
酸価を有する熱可塑性樹脂は、酸価を持っていて水に溶解し難い樹脂であれば、特に制限されるものではない。酸価を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリロイル骨格を有する単量体を重合した重合体、ポリエステル樹脂等が挙げられ、少なくとも(メタ)アクリロイル骨格を有する単量体を重合した重合体を用いることが望ましい。
酸価が10mgKOH/g以上であると、転相乳化法によって、樹脂粒子の小径化を達成し易くなる。一方、酸価が100mgKOH/g以下であると、インクを作製して被印刷物に画像を形成したときに、形成された画像の耐水性の低下が抑制される。
なお、酸価は、酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出する。
酸価を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有する単量体(以下、「酸性基含有単量体」とも称する)と、酸性基含有単量体と共重合し得る他の単量体とを溶媒中で重合して得られる共重合体が挙げられる。
また、樹脂を重合した後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホン化した樹脂も挙げられる。
さらに、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノエチルアミド、(メタ)アクリル酸アミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチルアミド、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチルアミド、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて選択すればよい。例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類との重縮合体などが挙げられる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
油溶性界面活性剤は、HLBが10以下を示す界面活性剤である。油溶性界面活性剤はHLBが10以下(望ましくは3以上10以下、より望ましくは4以上9以下)の範囲であれば特に限定されない。
・HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
また、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、高級アルコール等の界面活性剤が挙げられる。
さらに、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等の高級アルコールのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤が挙げられる。
その他、構造は明確では無いがHLBが10以下の市販の油溶性界面活性剤も挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられる。
分岐状のアルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。
なお、R1およびR2は同一であっても、異なっていてもよい。
樹脂粒子は、予め樹脂粒子が水に分散された水分散液(エマルション)を作製して、水性インクに配合することがよい。樹脂粒子分散液としては、例えば、転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させた分散液が挙げられる。
転相乳化法を用いて樹脂粒子を作製する方法としては、例えば、分散すべき樹脂が溶解した疎水性有機溶剤溶液中に、油溶性界面活性剤を投入後、有機連続相(O相)を中和し、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法が挙げられる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm以上200nm以下の範囲がよく、15nm以上100nm以下の範囲が望ましい。20nm以上50nm以下の範囲がより望ましい。
また、イオン交換水で固形分濃度を25質量%に調整した樹脂粒子の分散液をスポイトで採取し、あらかじめ定められた温度に加温したガラス板に一滴滴下し、そのまま乾燥させる。この操作を40℃から100℃まで温度を変えて行い、透明な樹脂膜が形成できる温度を最低造膜温度とする。
水性媒体としては、水および水溶性有機溶剤が挙げられる。水性媒体は、水を主たる溶媒とすることがよい。水性媒体は、水溶性有機溶剤を含んでもいてよく、含んでもいなくてもよい。
なお、本実施形態において「主たる溶媒」とは、全溶媒のうち最も質量の多い溶媒を指す。
本実施形態に係る水性インクは、必要に応じて、その他添加剤を含んでいてもよい。その他添加剤としては、水溶性有機溶剤、浸透剤、粘度調整剤、pH調整剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。
水性インクのpHは、4以上10以下が望ましく、5以上9以下がより望ましい。本実施形態において水性インクのpHは、温度23±0.5℃、相対湿度55±5%RHの環境下で測定する。
本実施形態に係る水性インクを用いた被記録対象となる記録媒体としては、特に制限されず、公知のあらゆる記録媒体が挙げられる。
本実施形態に係るインクカートリッジは、本実施形態に係る水性インクを収容したカートリッジである。本実施形態に係るインクカートリッジは、例えば、インクジェット方式の記録装置に着脱可能な形態で提供される。
本実施形態に係る記録装置は、本実施形態に係る水性インクを収容し、該水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える。本実施形態に係る記録装置により、本実施形態に係る水性インクを吐出ヘッドから記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法が実現される。
また吐出ヘッド30としては、目的に応じて、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つの吐出ヘッドが搬送方向に沿ってアレイ状に配置されている形態、ブラック(K)に対応した一つの吐出ヘッド30を配置した形態、他の中間色を加えた4色以上のそれぞれに対応した4つ以上の吐出ヘッド30を配置した形態等が挙げられる。
なお、図1に示す記録装置12は、吐出ヘッド30によってインクの液滴を用紙Pの表面に直接吐出する方式であるが、これに限られず、例えば中間転写体にインクの液滴を吐出した後に、中間転写体上のインクの液滴を用紙Pに転写する方式であってもよい。
記録装置12では、乾燥装置を備えていない記録装置について説明したが、記録媒体上に吐出された水性インクを乾燥する乾燥装置を更に備えた記録装置でもあってもよい。
(合成例1)
スチレン(和光純薬工業社製品)790質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)150質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)60質量部および重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)20質量部をメチルエチルケトン428質量部に溶解させた。撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコをオイルバスにて80℃に加温し、窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記混合液を10質量部/分の速度で滴下し、重合を開始した。2時間後、重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)10質量部を投入し、さらに2時間後に重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)10質量部を投入し2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを加えて、固形分濃度50質量%に調整してスチレンアクリル樹脂溶液を得た。得られた溶液中のスチレンアクリル樹脂(樹脂1)のガラス転移温度を、示差走査熱量系(DSC)を用いて測定したところ、65℃であった。得られた樹脂1の分子量をGPCを用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25000であった。また、得られた樹脂1の酸価を測定したところ、20mgKOH/gであった。
スチレン(和光純薬工業社製品)670質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)38質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)292質量部および重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)20質量部をメチルエチルケトン428質量部に溶解させた。撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコをオイルバスにて80℃に加温し、窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記混合液を5質量部/分の速度で滴下し、重合を開始した。2時間後、重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)10質量部を投入し、さらに2時間後に重合開始剤(和光純薬工業社製、V−601)10質量部を投入し2時間反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを加えて、固形分濃度50質量%に調整してスチレンアクリル樹脂溶液を得た。得られた溶液中のスチレンアクリル樹脂(樹脂2)のガラス転移温度を、示差走査熱量系(DSC)を用いて測定したところ、54℃であった。得られた樹脂2の分子量をGPCを用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28000であった。また、得られた樹脂2の酸価を測定したところ、100mgKOH/gであった。
加熱乾燥した二口フラスコに、アジピン酸ジメチル72部、テレフタル酸ジメチル188部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物211部、エチレングリコール37部と、触媒としてテトラブトキシチタネート0.036部とを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち攪拌しながら昇温した後、160℃で約5時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し3時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸18部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し1時間保持することによりポリエステル樹脂(樹脂3)を合成した。
得られたポリエステル樹脂のガラス転移温度を、示差走査熱量系(DSC)を用いて測定したところ、56℃であった。得られたポリエステル樹脂3の分子量をGPCを用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は8000であった。また、得られた樹脂3の酸価を測定したところ、44mgKOH/gであった。
合成例1において、スチレン(和光純薬工業社製品)719質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)221質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)60質量部を、スチレン(和光純薬工業社製品)570質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)18質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)412質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、スチレンアクリル樹脂(樹脂4)を得た。得られた樹脂4の酸価を測定したところ、酸価140mgKOH/gであった。
合成例1において、スチレン(和光純薬工業社製品)719質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)221質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)60質量部を、スチレン(和光純薬工業社製品)730質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)140質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)130質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、スチレンアクリル樹脂(樹脂5)を得た。得られた樹脂5の酸価を測定したところ、酸価44mgKOH/gであった。
合成例1において、スチレン(和光純薬工業社製品)719質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)221質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)60質量部を、スチレン(和光純薬工業社製品)610質量部、ブチルアクリレート(和光純薬工業社製品)185質量部、β―CEA(ダイセル・サイテック社製)2質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、スチレンアクリル樹脂(樹脂6)を得た。得られた樹脂6の酸価を測定したところ、酸価70mgKOH/gであった。
−樹脂粒子01の作製−
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに上記合成例1で作製した固形分濃度50質量%のスチレンアクリル樹脂溶液400質量部を入れ、攪拌しながら40℃に加温した。ここにメチルエチルケトン300質量部加えて希釈した後、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール440、HLB8)を28質量部加え、均一に近い状態に混合した。樹脂溶液を攪拌しながら、10%のアンモニア水溶液25質量部を滴下した後、1000質量部のイオン交換水を加えて転相乳化した。その後、系内に窒素を送り込んでメチルエチルケトンおよび余分なアンモニアを除去した。このようにして、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子01を得た。粒子の平均粒径は26nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製と同様に、セパラブルフラスコに上記合成例1で作製した固形分濃度50質量%のスチレンアクリル樹脂溶液400質量部を入れ、攪拌しながら40℃に加温した。ここにメチルエチルケトン125質量部加えて希釈した後、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール440、HLB8)を28質量部加え、均一に近い状態に混合した。樹脂溶液を攪拌しながら、10%のアンモニア水溶液18質量部を滴下した後、1000質量部のイオン交換水を加えて転相乳化した。その後、系内に窒素を送り込んでメチルエチルケトンおよび余分なアンモニアを除去した。このようにしてアセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子02を得た。粒子の平均粒径は58nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに上記合成例2で作製した固形分濃度50質量%のスチレンアクリル樹脂溶液400質量部を入れ、攪拌しながら40℃に加温した。ここにメチルエチルケトン300質量部加えて希釈した後、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール440、HLB8)を28質量部加え、均一に近い状態に混合した。樹脂溶液を攪拌しながら、10%のアンモニア水溶液18質量部を滴下した後、1000質量部のイオン交換水を加えて転相乳化した。その後、系内に窒素を送り込んでメチルエチルケトンおよび余分なアンモニアを除去した。このようにしてアセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子03を得た。粒子の平均粒径は42nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(サーフィノール440)をポリオキシエチレンオレイルエーテルの界面活性剤(日油社製、ノニオン(登録商標)E205、HLB9)に変更した以外は同様な処理を行い、樹脂粒子04を得た。粒子の平均粒径は38nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに上記合成例3で作製した固形分濃度50質量%のポリエステル樹脂溶液400質量部を入れ、攪拌しながら40℃に加温した。ここにメチルエチルケトン300質量部加えて希釈した後、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤(花王社製、レオドールSP−P10、HLB6.7)を28質量部加え、均一に近い状態に混合した。樹脂溶液を攪拌しながら、10%のアンモニア水溶液18質量部を滴下した後、1000質量部のイオン交換水を加えて転相乳化した。その後、系内に窒素を送り込んでメチルエチルケトンおよび余分なアンモニアを除去した。このようにして、樹脂粒子05を得た。粒子の平均粒径は45nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、樹脂1を樹脂4に代えた以外は、同様な処理を行い、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子06を得た。粒子の平均粒径は40nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、樹脂1を樹脂5に代え、さらに、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(サーフィノール440)をソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤(花王社製、レオドールSP−P10)に代えた以外は、同様な処理を行い、樹脂粒子07を得た。粒子の平均粒径は45nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、樹脂1を樹脂6に代えた以外は、同様な処理を行い、樹脂粒子08を得た。粒子の平均粒径は26nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(サーフィノール440)をアセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(サーフィノール420、HLB4)に代えた以外は、同様な処理を行い、樹脂粒子09を得た。粒子の平均粒径は26nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、メチルエチルケトン300質量部をメチルエチルケトン100質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子11を得た。粒子の平均粒径は148nmであった。
であった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤28質量部をメチルエチルケトン28質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有されていない樹脂粒子12を得た。粒子の平均粒径は34nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
酸価10のスチレンアクリル樹脂(藤倉化成社製、FSR053)をメチルエチルケトンに溶解し固形分濃度50質量%に調整した。この樹脂溶液を用いて、樹脂粒子01の作製と同様な操作を行ったが、1000nm以上の粗大粒子となった。これを樹脂粒子13とした。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
なお、酸価を持たないスチレンアクリル樹脂(藤倉化成社製、FSR044)を上記の樹脂粒子13の作製と同様に処理したところ、粒子は得られなかった。
樹脂粒子01の作製において、メチルエチルケトン300質量部をメチルエチルケトン50質量部に変えた以外は全く同じ操作を行い、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子14を得た。粒子の平均粒径は68nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
樹脂粒子01の作製において、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール440、HLB8)を、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465、HLB13)に代えた以外は、同様な処理を行い、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が含有された樹脂粒子15を得た。粒子の平均粒径は90nmであった。また、既述の方法により最低造膜温度(MFT)を測定した結果を表1に示す。
−水性インクAの調製−
・樹脂粒子:上記で作製した各樹脂粒子01〜09、11〜14
・顔料:カーボンブラック分散液(山陽色素社製:平均粒径33nm、顔料濃度15%):33質量部
・水性溶剤(プロピレングリコール):15質量部
・水性溶剤(イソプレングリコール):10質量部
・イオン交換水:40質量部
上記材料を混合した後、5μmフィルターで濾過を行い、黒色の水性インクを得た。
−水性インクBの調製−
・樹脂粒子:樹脂粒子01
・顔料:インクAで使用したカーボンブラック分散液を遠心分離機(日立工機社製CS150FNX)にて分級した小径カーボンブラック分散液(平均粒径20nm、顔料濃度8%):62質量部
・水性溶剤(プロピレングリコール):15質量部
・水性溶剤(イソプレングリコール):10質量部
・イオン交換水:11質量部
上記材料を混合した後、5μmフィルターで濾過を行い、黒色の水性インクを得た。
−水性インクCの調製−
・樹脂粒子:樹脂粒子01
・顔料:Aqua−Black 162分散液(東海カーボン社製:平均粒径110nm、顔料濃度19%):26質量部
・水性溶剤(プロピレングリコール):15質量部
・水性溶剤(イソプレングリコール):10質量部
・イオン交換水:47質量部
上記材料を混合した後、5μmフィルターで濾過を行い、黒色の水性インクを得た。
−水性インクDの調製−
・樹脂粒子:樹脂粒子15
・顔料:カーボンブラック分散液(山陽色素社製:平均粒径33nm、顔料濃度15%):33質量部
・水性溶剤(プロピレングリコール):15質量部
・水性溶剤(イソプレングリコール):10質量部
・イオン交換水:40質量部
上記材料を混合した後、5μmフィルターで濾過を行い、黒色の水性インクを得た。
−水性インクEの調製−
・樹脂粒子:樹脂粒子12(油溶性界面活性剤無し)
・界面活性剤:サーフィノール440
・顔料:カーボンブラック分散液(山陽色素社製:平均粒径33nm、顔料濃度15%):33質量部
・水性溶剤(プロピレングリコール):15質量部
・水性溶剤(イソプレングリコール):10質量部
・イオン交換水:40質量部
上記材料を混合した後、5μmフィルターで濾過を行い、黒色の水性インクを得た。
[耐擦過性]
上記の水性インクの調製で得た各例の水性インクを塗工紙(王子製紙社製、「OKトップコート+」)上にワイヤーバー7番で塗布し、60℃で10分間乾燥させた。乾燥後、塗布面に普通紙(富士ゼロックス社製、C2紙)を当て、上方から20ニュートン/cm2で加圧しながら擦った。擦った部分の普通紙の方の光学濃度を測定し、以下の評価基準で評価を行った。Cまでを許容範囲とした。
−評価基準−
A:0.01以上0.015未満
B:0.015以上0.025未満
C:0.025以上0.03未満
D:0.03以上
上記操作と同様に乾燥させた塗膜に、イオン交換水を滴下し、滴下面を擦って顔料が転移するかどうかを目視判断した。Cまでを許容範囲とした。
B:転移が軽微。
C:転移はあるが塗膜の濃度は低下しない。滲みがあるが、文字の判読は可能。
D:転移が多く塗膜の濃度が低下する。滲みが著しく、文字の判読が困難。
・St/Ac:スチレンアクリル共重合体
・PES:ポリエステル樹脂
・S1:アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール440)
・S2:ポリオキシオレイルエーテル系界面活性剤(日油社製、ノニオン(登録商標)E205)
・S3:ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤(花王社製、レオドールSP−P10)
・S4:アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール420)
・S5:アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)
14 筐体
16 給紙容器
18 取り出しロール
20 搬送ローラ対
24 駆動ロール
26 従動ロール
28 搬送ベルト
30 吐出ヘッド
32 帯電ロール
34 剥離板
36 排出経路
38 排出ローラ対
40 排紙容器
P 用紙
Claims (8)
- 水性媒体と、
顔料と、
体積平均粒径が前記顔料の体積平均粒径の2倍以下であり、熱可塑性樹脂および油溶性界面活性剤を含む樹脂粒子と、
を含有し、
前記油溶性界面活性剤の含有量が、前記熱可塑性樹脂に対して3質量%以上30質量%以下である水性インク。 - 前記油溶性界面活性剤が、アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤である請求項1に記載の水性インク。
- 前記アセチレングリコール骨格を有する界面活性剤が、下記一般式(1)である請求項2に記載の水性インク。
(一般式(1)中、R1、R2は、各々独立に、水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。R3は、水素原子またはメチル基を表す。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。) - 前記熱可塑性樹脂が、酸価を有する熱可塑性樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記熱可塑性樹脂が、少なくとも(メタ)アクリロイル骨格を有する単量体を重合した重合体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水性インク。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水性インクを収容したインクカートリッジ。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水性インクを収容し、前記水性インクを記録媒体上に吐出する吐出ヘッドを備える記録装置。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水性インクを吐出ヘッドから記録媒体上に吐出する吐出工程を有する記録方法。
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