JP2004035716A - インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Hiroaki Nakaya
中彌 浩明
Masanori Kinomoto
木ノ元 正紀
Takanori Kamoto
加本 貴則
Hiromi Nakatsu
中津 裕美
Seita Suzuki
鈴木 清太
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Abstract

【課題】多孔質な被覆層を有する光沢紙上に、光沢性・光学濃度を高く保ち、乾燥性・定着性の課題が克服でき、耐光性・耐水性に優れたインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以下であり、かつ、インク組成物全体に対する自己分散型顔料の含有量をA(重量%)、インク組成物全体に対する水分散性樹脂の含有量をB(重量%)として、下記(1)式及び(2)式を満たす。
0.25×A≦B≦4.0×A ・・・(1)
A+B≦20.0       ・・・(2)
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法であり、インクを吐出して被記録材上に画像を形成するインクジェット記録方式に適する顔料インク組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のインクジェット記録用インクとしては染料系インクが用いられてきたが、染料インクで記録された画像は耐水性・耐光性に問題のあることが指摘されてきた。そこで、染料に代えて顔料を用いるインクの開発が進められている。色材として顔料を使用することにより、染料インクに比較して耐光性・耐水性に優れた画像が得ることができる。顔料は水に不溶であるため水溶性インクにおいては顔料と分散剤とを併用することにより顔料をインク中に安定に分散させる方法が検討されてきた。しかしながら、界面活性剤を分散剤として多量に用いるとインクの表面張力が低下するため画像滲みが増大する、また、泡の発生によりインクが正確に吐出されなくなる等の問題が生じる。また、高分子分散剤を用いた場合、インク粘度が高くなりノズルの目詰まりが生じやすくなる、また、画像の光学濃度が低くなる等の問題がある。そこで、分散剤としての樹脂の種類についてあるいは添加剤等についていろいろな検討が成されてきた。特開昭56−28256号公報では、インクの流出性と滲みを改善するために,水不溶性樹脂エマルジョンを固形分換算で2〜18重量%含有してなる顔料インクが提案されている。特開平4−18462号公報では、記録物の耐磨耗性が優れ、且つ吐出安定性を確保するために,平均粒子径が50nm以下のマイクロエマルジョンの含有量が0.5〜10重量%の顔料インクが提案されている。特開平4−332774号公報では、普通紙に対する滲みを改善し高印字品質を実現するために、平均粒子径が0.3〜1.2μmの顔料と樹脂エマルジョンとの固形分比が、1:0.1〜1:1の範囲にある顔料インクが提案されている。特開平6−212106号公報では、耐光性・耐水性・耐磨耗性に優れた顔料インクの長所を活かしつつ、顔料インクの短所である印字ムラを改善するため、顔料と樹脂エマルジョンからなるインク組成物に糖類あるいは水酸基が5個以上有するポリオールを含有させることが提案されている。樹脂エマルジョンを使用するインクは、水溶性樹脂を使用するインクに較べ、滲みが抑制しやすいこと及び、インクの粘度上昇が抑制できること等の利点のあることが、特開平8−132729号、特開2000−34432号公報に報告されている。しかしながら分散剤を使用するインクにおいては、インク特性を調整するために加える有機溶媒や添加剤等と分散剤との相互作用により顔料分散が不安定になりやすいため、使用できる溶媒・添加剤・分散剤の組合せが限定されてしまい画像滲みや光学濃度の低下を招きやすいことが課題であり回避が困難である。また、顔料を分散剤にて分散させるためには、一般にロールミル、ボールミルやホモジナイザーなどの機械的分散機器を使用し顔料の凝集をほぐし、さらに界面活性剤やポリマー等の分散剤を加え混合し、均質な組成物としてから有機溶剤等の溶媒を加え、粗大粒子や異物の除去のため遠心分離機やフィルター濾過の工程を必要とするため非常に手間がかかると共に機械的な手法のため沈降や目詰りの原因となる凝集体や異物がインクに残留する可能性が高い等の問題点もある。
【0003】
そこで、分散剤を使用しないで、顔料を親水化処理する方法が検討された。例えば、特公平1−49369号公報、特開平1−79278号公報、特開平6−128517号公報では、高分子重合体等のグラフト化により安定化させたカーボンブラックを含むインクが開示されている。特開平5−230410号公報では、アクリルアミド誘導体をグラフト重合させて表面修飾したカーボンブラックを分散させたインクが開示されている。USP5571311号明細書では、フェニル基やアルキル基を連結基としてカルボキシル基やスルホン基などの親水基をカーボンブラック表面に導入した親水化顔料とこれを用いたインクが開示されている。このように自己分散型顔料の作製方法の検討・開発が進められ、最近では、カーボンブラックだけでなくマゼンタ顔料や、シアン顔料、イエロー顔料など様々な有機顔料を表面修飾し、カルボキシル基やスルホン基等の親水官能基を表面に有する安定なカラーの自己分散型顔料が、色材メーカーを通じて容易に手に入れることができるようになった。このような自己分散型顔料を使用する顔料インクは従来の顔料インクでは不可欠であった分散剤を使用する必要がないため、ノズルの目詰まりや画像滲み・光学濃度の改善を図ることが可能であり、自己分散型顔料を使用するインク組成について様々な検討が成されているのが現状である。特開平11−181340号公報では、自己分散型顔料の数平均分子量と体積平均分子量を規定することによりインクジェット特性が改善されることを報告している。特開2000−169769号公報では、自己分散型顔料とアクリル樹脂を含有する顔料インクで画像形成することにより、また、特開2000−169772号公報では、自己分散型顔料とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、顔料が記録紙の繊維内部に染み込むことを回避し光学濃度を改善することができると報告している。自己分散型顔料をインクに使用することによりノズルの目詰まりの発生が大幅に改善された。また、画像滲みや光学濃度の改善も認められる。しかしながら、画像滲みや光学濃度の改善と、乾燥性および定着性の改善を同時に且つ十分に図れていないのが現状であり、特にインクジェット記録用光沢紙に対する顔料インクの特性は乾燥性・定着性に問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光沢紙上で良好な画像を形成できるインクジェット記録用顔料インクに関するものである。従来の顔料系インクを用いて記録された画像は光沢紙上で乾燥性・定着性に問題が見られる。光沢紙には、インクの付着により表面被覆層が膨潤するタイプと、インクの溶媒が被覆層から基材へと浸透し色材が表面に定着する空隙タイプとがある。我々は、顔料・バインダーを含む多孔質構造でかつ表面光沢を有する被覆層を基材上に備えた空隙タイプの光沢紙上で、光沢性・光学濃度を高く保ち、乾燥性・定着性に優れたインクの開発を目指し検討を行った。本発明では、多孔質な被覆層を有する光沢紙上に、光沢性・光学濃度を高く保ち、乾燥性・定着性の課題が克服でき、耐光性・耐水性に優れたインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を提供することが目的である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるインクジェット記録用インクは、(a)含有率が1重量%以上の自己分散型顔料、(b)水分散性樹脂、(c)有機溶剤、(d)水、の成分を含んでなり、その水分散性樹脂はガラス転移点(Tg)が50℃以下、好ましくは25℃以下であり、上記樹脂の平均粒子径が上記自己分散型顔料の平均粒子径以下で、インクに対する該自己分散型顔料の含有量をA(重量%)、インクに対する該水分散性樹脂の含有量をB(重量%)とするとき、下記の(1)、(2)式を満たすことを特徴とする。
0.25×A≦B≦4.0×A ・・・(1)
A+B≦20.0       ・・・(2)
なお、A(重量%)は、
1.0≦A≦10.0
であることが好ましい。すなわち、顔料・バインダーを含む多孔質構造でかつ表面光沢を有する被覆層を備えた光沢紙上での画像形成において、色材としてアニオン性官能基を有する自己分散型顔料を、バインダーとしてガラス転移点(Tg)が50℃以下、好ましくは25℃以下であり、上記顔料の平均粒子径と同等か、より小さい平均粒子径を有する水分散性樹脂を使用し、上記顔料と上記樹脂の含有量をコントロールすることにより調整されたインクを用いてインクジェット記録することにより、光沢性・光学濃度を保ちながら乾燥性・定着性が同時に改善できることを見出した。
【0006】
本発明は、少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、前記水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以下であり、かつ、インク組成物全体に対する自己分散型顔料の含有量をA(重量%)、インク組成物全体に対する水分散性樹脂の含有量をB(重量%)として、下記(1)式及び(2)式を満たすインクジェットインク組成物である。
0.25×A≦B≦4.0×A ・・・(1)
A+B≦20.0       ・・・(2)
【0007】
また、本発明は、前記自己分散型顔料の含有量A(重量%)が、
1.0≦A≦10.0
であるインクジェットインク組成物である。
【0008】
そして、本発明は、前記自己分散型顔料が、その表面に親水性官能基を有するインクジェットインク組成物である。
【0009】
更に、本発明は、前記親水性官能基が、その表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合及びそれらの塩等の群から選択された基であるインクジェットインク組成物である。
【0010】
また、本発明は、前記自己分散型顔料は、平均粒子径が200nm以下であるインクジェットインク組成物である。
【0011】
そして、本発明は、前記水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン‐アクリル系樹脂、それらの混合の群から選択された樹脂であるインクジェットインク組成物である。
【0012】
更に、本発明は、前記水分散性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃以下であるインクジェットインク組成物である。
【0013】
また、本発明は、上記のインクジェットインク組成物にて調整されたインクを吐出して被記録材上に画像を形成するインクジェット記録方法である。
【0014】
そして、本発明は、前記被記録材が、顔料・バインダーを含む多孔質構造で、かつ、表面光沢を有する被覆層を基材上に備えた被記録材であるインクジェット記録方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
まず、自己分散型顔料について、説明する。本発明のインクジェット記録用インクにおいて、使用される顔料は、表面に親水性官能基を有し、分散剤を使用しないで自身で溶媒中に分散可能な自己分散型顔料が用いられる。顔料がその表面に有する親水性官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合、及びそれらの塩等が、親水性官能基として好ましい。
【0016】
自己分散型顔料の原料として用いられる黒色顔料としては、チャネルブラック法、ファーネスブラック法、ランプブラック法、アセチレンブラック法等の種々の方法によって製造されたカーボンブラックで、酸性カーボン、中性カーボン、塩基性カーボンのいずれもが使用できる。
【0017】
自己分散型顔料の原料として用いられるシアン色顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
自己分散型顔料の原料として用いられるマゼンタ色顔料としては、マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red5、C.I.PigmentRed7、C.I.Pigment Red12、C.I.Pigment・Red48、C.I.Pigment Red48:1、C.I.PigmentRed57、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red122、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red146、C.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Red184、C.I.Pigment Red202等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
自己分散型顔料の原料として用いられる黄色顔料としては、イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.PigmentYellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.PigmentYellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記の顔料にカルボキシル基やスルホン基を顔料表面に導入する方法としては、公知の酸化処理、スルホン化処理等の表面処理技術を利用する。また、芳香族アゾ化合物やアルキルアゾ化合物を顔料と反応させ、フェニル基やアルキル基を連結基としてカルボキシル基やスルホン基を顔料表面に導入する方法も公知として知られており使用することができる。その他、シラン化合物等のカップリング剤による処理、ポリマーグラフト化処理、プラズマ処理等の公知の方法、新たに開発した方法、それらの組合せによる方法など使用できる。また、市販の親水化処理自己分散型顔料も最近では多数でまわっており、それらを購入し使用することもできる。市販の親水化処理自己分散型顔料としては、キャボット社の Cab−o−jet 200,Cab−o−jet 300 オリエント化学工業社の BONJET BLACK CW−1,Microjet Black CW−1 等が挙げられる。
【0021】
上記の自己分散型顔料は、平均粒子径が30nm以上200nm以下であることが好ましい。顔料の平均粒子径が200nmを超える場合、顔料の沈降が生じる場合が多くなりインクの保存安定性が低下する。また、30nm未満では被記録材の表面に顔料が沈みこみ滲みが発生し光学濃度が低下する。また、粒子間の凝集も生じやすく安定な分散が困難となる傾向が認められる。本発明の記録用インクに用いられる顔料は、十分な光学濃度が得られること及び顔料の凝集・沈降を防止することの観点から、インクの全重量に対して1.0〜10.0重量%であることが好ましい。1.0重量%未満となると十分な光学濃度が得られない。また、10.0重量%より高くなると顔料の凝集や沈降が生じインクの保存安定性および吐出性に問題が認められる。
【0022】
バインダーについて説明する。本発明の記録用インクには水分散性樹脂のバインダーが含まれる。本発明に使用される水分散性樹脂はインク中で分散及び/或いはエマルジョンを形成できればどのような種類のものでも良い。樹脂の種類としては、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特に、市販のものとしては、東洋紡製のバイロナール(水分散性ポリエステル樹脂)、ジョンソンポリマー製のジョンクリル(水分散性あるいは水溶性のスチレン−アクリル系樹脂)、日本ペイント製のマイクロジェル(水分散性スチレン−アクリル系樹脂)、大日本インキ化学工業製のボンコート(水分散性スチレン−アクリル系樹脂)等が使用できる。
【0023】
上記の樹脂の平均粒子径は顔料の平均粒子径以下であることが必要である。樹脂の平均粒子径が顔料の平均粒子径よりも大きいと、光沢紙表面に定着した樹脂が散乱に寄与し光沢性を低下させると共に顔料の光反射を妨げ光学濃度を低下させる原因となる。
【0024】
バインダーとして水溶性樹脂を用いた場合、顔料濃度を増加させても光学濃度が増加しない傾向が認められ顔料の光学濃度を十分に引き出すことができない。また、インクの粘度が高くなりやすくノズルの目詰まりが発生しやすいこと、インクジェット用光沢紙上でインクの乾燥性が低いことなどが認められる。これに対し水分散性樹脂を用いたインクでは、顔料濃度を増加させることにより光学濃度が高く、目詰まりの生じないインクが容易に得られる。また、樹脂の平均粒子径と、樹脂及び顔料の含有量を調整することにより、インクの乾燥性が良好で、顔料の定着性も十分なインクが得られることを見出した。
【0025】
水分散性樹脂の含有量は顔料の含有量の4分の1以上であることが定着性の面から必要である。水分散性樹脂の含有量が顔料の含有量の4分の1未満である場合、光沢紙上での顔料の定着性が極端に低下する。増加しすぎると顔料の光学濃度の低下を引き起こす原因となる。このため、顔料と樹脂を含むインクを次の点に注意して調整する。樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以下で、インクに対する該自己分散型顔料の含有量(wt%)をA、インクに対する該水分散性樹脂の含有量(wt%)をBとするとき、下記の(1)式及び(2)式を満たすように調整する。
0.25×A≦B≦4.0×A ・・・(1)
A+B≦20.0       ・・・(2)
【0026】
すなわち、顔料・バインダーを含む多孔質構造でかつ表面光沢を有する被覆層を備えた光沢紙上での画像形成において、色材としてアニオン性官能基を有する自己分散型顔料を、バインダーとしてガラス転移点(Tg)が50℃以下、好ましくは25℃以下であり、顔料の平均粒子径以下の平均粒子径を有する水分散性樹脂を使用し顔料と樹脂の含有量をコントロールして調整されたインクを用いてインクジェット記録することにより、空隙タイプの光沢紙表面の多孔質部に上記インクの比較的細かく柔らかい固形樹脂と溶剤が入り込み、溶剤の浸透後に樹脂が定着し且つ顔料はその樹脂に定着するため、光沢性・光学濃度を保ちながら乾燥性・定着性が同時に改善できる。
【0027】
界面活性剤について説明する。本発明の記録用インクには界面活性剤が含まれる。ここで用いる界面活性剤は顔料を分散するためのものではなく、インクがノズルよりスムースに吐出するように表面張力を調整したり、自己分散型顔料の分散安定性を補助したり、インクの溶媒が被記録材中を浸透する効果をインクに付与したりするためのものである。従って界面活性剤の添加量は大幅に少なくて良い。
【0028】
本発明の記録用インクに用いられる界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。特に、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系界面活性剤、ポリオキシプロピレン系界面活性剤、ポリオキシ(エチレン−プロピレン)系ノニオン界面活性剤、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0029】
本発明の記録用インクに用いられる界面活性剤の添加量は、インクの全重量に対して0.01〜3重量%が好ましい。
【0030】
水溶性有機溶媒について説明する。本発明におけるインクには、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、溶解・分散安定性を向上させるため等の目的で、水溶性有機溶媒を複数混合して使用する。
【0031】
使用される水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコ−ル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエ−テル、ジプロピレングリコールモノブチルエ−テル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリセロール、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は単独で用いても、複数混合して用いても良い。
【0032】
本発明の記録用インクに用いられる水溶性有機溶剤の含有量は、インクの全重量に対して20〜60重量%が好ましい。
【0033】
その他のインク成分について説明する。その他のインク成分としてインクの浸透性を増加させる目的で一価・二価の低級アルコールを添加することもある。アルコールの種類としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらは単独でも、複数混合して用いても良い。含有量はインクの全重量に対して1〜8重量%が好ましい。
【0034】
また、プロキセル等の防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤等の添加剤を含有させることも可能である。
【0035】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
まず、顔料について説明する。使用した顔料は、黒色顔料としてカーボンブラックの一次凝集体表面にフェニル基を連結基としてカルボキシル基が多数結合し、平均粒子径が約100nmである自己分散型カーボンブラック:C1を使用した。比較のため、平均粒子径が150nmである自己分散型カーボンブラック:C2、平均粒子径が200nmである自己分散型カーボンブラック:C3、平均粒子径が約150nmで、分散剤を用いて分散させる従来のカーボンブラック:Ccを用意した。
【0036】
カラー顔料としては、シアン顔料:C.I.Pigment Blue−15を、マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122を、イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 73を、それぞれスルホン化ピリジン塩や三酸化硫黄等のスルホン化剤とともに加熱・表面処理を施して、顔料の一次凝集体表面にスルホン基を多数結合した自己分散型顔料を使用した。各顔料の平均粒子径は90〜100nmである。
【0037】
バインダーについて説明する。バインダーは市販の樹脂を使用した。水分散性樹脂として、ガラス転移点が25℃で平均粒子径が60nmの水分散性ポリエステル樹脂:P1、ガラス転移点が25℃で平均粒子径が約120nmの水分散性ポリエステル樹脂:P2、ガラス転移点が25℃で平均粒子径が約180nmの水分散性ポリエステル樹脂:P3、ガラス転移点が52℃で平均粒子径が60nmの水分散性ポリエステル樹脂:P4、あるいはガラス転移点が40℃で平均粒子径が90nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1、ガラス転移点が40℃で平均粒子径が160nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S2、ガラス転移点が55℃で平均粒子径が3とを90nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S3、水溶性のスチレン−アクリル系樹脂:Saを使用した。
【0038】
界面活性剤について説明する。界面活性剤としては、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物ノニオン界面活性剤であるサーフィノール(エアープロダクツ製)、およびポリオキシエチレン系ノニオン界面活性剤であるタージトール(ユニオンカーバイド製)を使用した。
【0039】
光沢紙について説明する。フォト光沢紙(シャープ製)、PM写真用紙<光沢>(EPSON製)、フォトライクQP紙(コニカ製)の3種類の光沢紙を評価に用いた。共に被覆層が、顔料、バインダーを含む多孔質構造で表面光沢を有する被覆層を備えた空隙タイプの光沢紙である。
【0040】
評価テストについて説明する。評価テストには、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用し、高集積高精細のノズルを有するヘッドを用いて高速印刷を行うことができるインクジェットプリンター(商品名:AJ−2000LE(シャープ製))を使用した。図1に示す組成で調整されたインクセットを評価用インクカートリッジに詰めて、それぞれ評価テストを行なった。インクの吐出条件は、黒顔料インクの液滴体積が24pl、カラーインクの液滴体積が12pl、吐出周波数12kHzであり、上記の3種類の光沢紙に、シアン、マゼンタ、イエロー、黒の100%(ベタ)〜10%(ドット密度)の評価用カラーパッチ、画像およびキャラクターを記録し下記の評価項目に従い評価テストを行った。
【0041】
評価項目について説明する。
(a)乾燥性評価
上記の3種類の光沢紙に、評価用カラーパッチを印刷し、印刷画像の上から普通紙を重ね、さらにその上から100g/cmの加重をかけ、重ねた普通紙にインクが転写されなくなるまでの乾燥時間を測定し、下記の基準で評価した。
○…15秒未満
△…15〜30秒未満
×…30秒以上
(b)定着性評価
上記の3種類の光沢紙に、カラー画像およびキャラクターを印刷し、24時間後、消しゴムで一定回数擦り、カラー画像およびキャラクターの剥れ方を、を下記の基準で評価した。
◎…擦り跡が識別できないか、ごくわずかに擦り跡が認められる。
○…わずかに擦り跡が認められるが許容範囲。
△…擦り跡が認められ、許容困難。
×…剥れ方が激しい。
(c)光学濃度評価
上記の3種類の光沢紙に、評価用カラーパッチを印刷し、100%ベタ部分を分光側色濃度計(エックスライト社製;エックスライト938)を使用して測定し、下記の基準で評価した。
◎…全ての被記録材において高い光学濃度を示し、色再現範囲も広い範囲を示す。
○…全ての被記録材において比較的高い光学濃度を示し、色再現範囲も比較的広い範囲を示す(許容範囲)。
△…被記録材および色によっては低い光学濃度を示し、色再現範囲も広い範囲とはいえない(許容困難)。
×…3種類の被記録材において各色とも相対的に低い光学濃度しか示さず、色再現範囲も狭い。
(d)光沢性評価
上記の3種類の光沢紙に、評価用カラーパッチ、カラー画像を印刷し印刷部分の光沢性を目視により下記の基準で評価した。
◎…全ての被記録材において高い光沢性を示す。
○……全ての被記録材において各色とも比較的高い光沢性を示す(許容範囲)。
△…被記録材および色によっては光沢性の低下が認められる。(許容困難)
×…3種類の被記録材において各色とも相対的に低い光沢性しか示さない。
(e)インクの保存安定性試験
試験用スクリュウ管瓶にインクを60cc入れ、−10℃と、50℃の環境下に1ヶ月間放置し沈降物の有無を調べた。
○…沈降物なし
×…沈降物あり
(f)吐出性試験
調整されたインクをすぐにインクカートリッジに詰め、10分間連続して印字した後、印字を停止し、40℃・25%RHの環境に72時間放置し、ノズルのクリーニング操作を行ってから印字し、下記の基準で評価した。
○・・・ノズルのクリーニング操作が3回以下で初期と同等の印字ができた。
△・・・ノズルのクリーニング操作が3回以上10回以下で初期と同等の印字ができた。
×・・・ノズルのクリーニング操作を10回行っても初期と同等の印字ができなかった。
【0042】
以下、実施例及び比較例についての検討結果を説明する。まず、検討結果1(実施例1〜4及び比較例1〜4)について、図1〜図3を用いて説明する。上記の自己分散型カーボンブラック:C2,分散剤を必要とする従来タイプのカーボンブラックC4と、上記の水分散性ポリエステル樹脂:P1、水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1、水溶性スチレン−アクリル系樹脂:S3を使用して下記組成にてインクを調整し、上記の評価テストに従って乾燥性、定着性の評価およびインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。
【0043】
自己分散型カーボンブラックを色材とするインクは、顔料濃度20%で水分散している自己分散型カーボンブラック分散液を使用する。まず、カーボンブラック分散液を孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過し、このカーボンブラック分散液に下記に示すインク溶媒(組成)となるように水、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤等の順に加え40℃で2時間攪拌後、室温に戻し1日放置し、孔径0.9μmのメンブランフィルターにより濾過してインク調整した。黒顔料インク溶媒(インク組成)は、以下の通りである。
・カーボンブラック           ・・・図1参照
・水分散性樹脂             ・・・図1参照
・ジエチレングリコール         ・・・12重量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・8重量%
・グリセリン              ・・・10重量%
・1.5−ペンタンジオール        ・・・5重量%
・サーフィノール(非イオン性界面活性剤) ・・・0.6重量%
・水                   ・・・残余
【0044】
比較例のカーボンブラック:Ccを色材とするインクは、特に表面処理を施されていない平均粒子径が約150nmのカーボンブラック:20部と分散剤としての水溶性スチレン−アクリル系樹脂:40部をロールミルに入れ1時間混練・分散し、水:100部、ポリエチレングリコール:100部加え、更に1時間混練・分散した後、孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過しカーボンブラックの分散液とする。このカーボンブラック分散液に図2に示すインク溶媒(組成)となるように水、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤等の順に加え40℃で2時間攪拌後、室温に戻し1日放置し、孔径0.9μmのメンブランフィルターにより濾過してインク調整した。
【0045】
実施例1〜4及び比較例1〜4におけるインク溶媒は上記に従うので色材と樹脂の組合せのみを図1〜図3に記載する。
【0046】
このようにして調整されたインクの評価結果を図3に示す。自己分散型カーボンブラック及び分散性樹脂を使用したインク(実施例1〜4)は、乾燥性、定着性、保存安定性及び吐出性のすべてに良好であった。水溶性樹脂を使用したインク(比較例1,2)は、乾燥性、定着性に問題が見られた。また、分散剤を必要とする従来タイプのカーボンブラックを使用したインク(比較例3,4)は、保存安定性及び吐出性に問題が見られた。自己分散型顔料と分散性樹脂を使用したインク(実施例1〜4)の特性が優れていることがわかった。
【0047】
検討結果2(実施例5〜9及び比較例5〜11)について、図4〜図6を用いて説明する。ここでは、インクにおける顔料と樹脂の平均粒子径の影響を検討する。上記の平均粒子径が異なる自己分散型カーボンブラック:C1,C2,C3と、平均粒子径が異なる水分散性ポリエステル樹脂:P1,P2,P3と、水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1,S2とを使用してインクを調整し、上記の評価テストに従って光学濃度、光沢性の評価およびインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。自己分散型カーボンブラックを色材とするインクの調整およびインク溶媒(組成)は、検討結果1と同様である。色材と樹脂の組合せを図4〜図6に記載する。
【0048】
インクの評価結果を図6に示す。樹脂の平均粒子径が顔料の平均粒子径よりも小さいか同じ場合(実施例5〜9)は、乾燥性、定着性、光沢性、保存安定性及び吐出性のすべてに良好な結果が得られた。逆に樹脂の平均粒子径が顔料よりも大きくなると(比較例5〜9)、被記録材表面に付着した樹脂の凹凸の影響が大きくなり定着性、光沢性が低下する傾向が認められた。また、顔料の平均粒子径が200nmのカーボンブラックを使用したインク(比較例10,11)は保存安定性試験において顔料の沈降が認められ、且つ吐出不良を生じる。顔料の平均粒子径よりも平均粒子径が小さい樹脂を使用するインク(実施例5〜9)の特性が優れていることがわかった。
【0049】
検討結果3(実施例5、6、10、11及び比較例12〜15)について、図7〜図9を用いて説明する。ここでは、樹脂のガラス転移点の影響を検討する。上記の自己分散型カーボンブラック:C1と、ガラス転移点が異なる水分散性ポリエステル樹脂:P1,P4、および水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1,S2を使用してインクを調整し、上記の評価テストに従って評価を行った。自己分散型カーボンブラックを色材とするインクの調整およびインク溶媒(組成)は検討結果1と同様である。色材と樹脂の組合せを図7〜図9に記載する。
【0050】
インクの評価結果を図9に示す。ガラス転移点(Tg)が50℃以下の樹脂を使用したインク(実施例5,6,10,11)は、乾燥性、定着性、光学濃度及び光沢性のすべてに良好であった。ガラス転移点(Tg)が50℃以上の樹脂を使用したインク(比較例12〜15)では、定着性に問題が認められる。樹脂は顔料のバインダーとして働き、ガラス転移点(Tg)が50℃以下、好ましくは25℃以下の樹脂を使用したインク(実施例5,6,10,11)は、定着性に良好な結果が得られることがわかった。
【0051】
検討結果4(実施例12、13及び比較例16、17)について、図10及び図11を用いて説明する。顔料含有率の上限と下限について検討するため、上記の自己分散型カーボンブラック:C1と、水分散性ポリエステル樹脂:P1を使用してインクを調整し、上記の評価テストに従って光学濃度の評価とインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。自己分散型カーボンブラックを色材とするインクの調整およびインク溶媒(組成)は検討結果1と同様である。色材と樹脂の組合せを図10及び図11に記載する。
【0052】
インクの評価結果を図11に示す。顔料を1.0重量%以上10.0重量%以下含有するインク(実施例12、13)は、光学濃度、保存安定性及び吐出性のすべてに良好であった。比較例16に見られるように顔料が1.0重量%未満となると、十分な光学濃度が得られない。また、比較例17に見られるように顔料が10重量%より多くなると、顔料の凝集や沈降が生じインクの保存安定性および吐出性に問題が認められる。顔料を1.0重量%以上10.0重量%以下含有するインク(実施例12、13)の特性が優れていることがわかった。
【0053】
検討結果5(実施例13〜23及び比較例16〜23)について、図12〜22を用いて説明する。顔料の含有率と樹脂の含有率について検討する。まず、樹脂として水分散性ポリエステル樹脂の場合(実施例13〜20及び比較例16〜21)について、図12〜19を用いて説明する。顔料の含有率と樹脂の含有率について検討する。上記の自己分散型カーボンブラック:C1と、自己分散型シアン顔料:C.I.Pigment Blue−15、自己分散型マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122、自己分散型イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 73と、水分散性ポリエステル樹脂:P1とを使用して図示の組成にてインクセットを調整し、上記の評価テストに従って評価した。自己分散型顔料を色材とするインクの調整は検討結果1と同様である。使用した組成を図12〜図19に示す。
【0054】
このようにして調整されたインクの評価結果を図14、図17及び図19に示す。顔料と樹脂の含有率の比(B/A)が0.25以上4.0以下のインクセット(実施例13〜20)は、乾燥性、定着性、光学濃度、光沢性、保存安定性及び吐出性のすべてに良好であった。上記含有率の比が0.25未満のインクセット(比較例16、18、20)は、定着性が不良であった。上記含有率の比が4.0を超えるインクセット(比較例17、19)は、乾燥性及び光学濃度に問題が生じた。顔料と樹脂の含有率の比が0.25以上4.0以下のインクセット(実施例13〜20)の特性が優れていることがわかった。
【0055】
顔料の含有率と樹脂の含有率について、樹脂が水分散性スチレン−アクリル系樹脂の場合(実施例21〜20及び比較例22、23)を、図20〜22を用いて説明する。上記の自己分散型カーボンブラック:C1と、自己分散型シアン顔料:C.I.Pigment Blue−15、自己分散型マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122、自己分散型イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 73と、水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1とを使用してインクセットを調整し、上記の評価テストに従って評価した。自己分散型顔料を色材とするインクの調整は検討結果1と同様である。このようにして調整されたインクの評価結果を図22に示す。
【0056】
上記の評価結果から明らかな様に、樹脂の含有量は顔料の含有量の4分の1(0.25倍)以上であることが定着性の面から必要である。樹脂の含有量が顔料の含有量の4分の1未満である場合、光沢紙上での顔料の定着性が極端に低下する。増加しすぎると顔料の光学濃度及び乾燥性の低下を引き起こす原因となる。また、インク中の固形分である顔料と樹脂の含有量の和が20重量%を超えると比較例21に見られる様に、インクの吐出性に問題が認められる。
【0057】
上記の検討より、自己分散型顔料と水分散性樹脂を含むインクを次の点に注意して調整する。樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以下で、インクに対する自己分散型顔料の含有量をA(%)、インクに対する水分散性樹脂の含有量をB(%)とするとき、下記の(1)、(2)、(3)式を満たすように調整するのが好ましい。
0.25×A≦B≦4.0×A  ・・・(1)
A+B≦20.0        ・・・(2)
1.0≦A≦10.0      ・・・(3)
【0058】
また、顔料・バインダーを含む多孔質構造でかつ表面光沢を有する被覆層を備えた光沢紙上での画像形成において、色材として自己分散型顔料を、バインダーとしてガラス転移点(Tg)が50℃以下、好ましくは25℃以下であり、上記顔料の平均粒子径よりも小さいか平均粒子径を有する水分散性樹脂を使用し、上記(1)、(2)式、更に好ましくは(3)式を満たすように顔料と樹脂の含有量を調整されたインクを用いてインクジェット記録することにより、高い光沢性・光学濃度を保ちながら乾燥性・定着性が同時に改善できる。
【0059】
また、本発明の顔料インクを用いて光沢紙上にインクジェット記録することにより、高い光沢性・光学濃度を保ちながら乾燥性・定着性に優れ、且つ耐水性・耐光性を兼ね備えた特性を有する画像が容易に得られる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔質な被覆層を有する光沢紙上に、光沢性・光学濃度を高く保ち、乾燥性・定着性の課題が克服でき、耐光性・耐水性に優れたインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4のインク組成を説明する図表。
【図2】比較例1〜4のインク組成を説明する図表。
【図3】実施例1〜4及び比較例1〜4のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図4】実施例5〜9のインク組成を説明する図表。
【図5】比較例5〜11のインク組成を説明する図表。
【図6】実施例5〜9及び比較例5〜11のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図7】実施例5、6、10、11のインク組成を説明する図表。
【図8】比較例12〜15のインク組成を説明する図表。
【図9】実施例5、6、10、11及び比較例12〜15のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図10】実施例12、13及び比較例16、17のインク組成を説明する図表。
【図11】実施例12、13及び比較例16、17のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図12】実施例13〜15のインク組成を説明する図表。
【図13】比較例16、17のインク組成を説明する図表。
【図14】実施例13〜15及び比較例16、17のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図15】実施例16〜18のインク組成を説明する図表。
【図16】比較例18、19のインク組成を説明する図表。
【図17】実施例16〜18及び比較例18、19のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図18】実施例19、20及び比較例20、21のインク組成を説明する図表。
【図19】実施例19、20及び比較例20、21のインク組成の評価結果を説明する図表。
【図20】実施例21〜23のインク組成を説明する図表。
【図21】比較例22、23のインク組成を説明する図表。
【図22】実施例21〜23及び比較例22、23のインク組成の評価結果を説明する図表。

Claims (9)

  1. 少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、
    前記水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以下であり、かつ、インク組成物全体に対する自己分散型顔料の含有量をA(重量%)、インク組成物全体に対する水分散性樹脂の含有量をB(重量%)として、下記(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とするインクジェットインク組成物。
    0.25×A≦B≦4.0×A ・・・(1)
    A+B≦20.0       ・・・(2)
  2. 前記自己分散型顔料の含有量A(重量%)が、
    1.0≦A≦10.0
    である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記自己分散型顔料が、その表面に親水性官能基を有する請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記親水性官能基が、その表面に、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合及びそれらの塩等の群から選択された基である請求項3に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記自己分散型顔料は、平均粒子径が200nm以下である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン‐アクリル系樹脂、それらの混合の群から選択された樹脂である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記水分散性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃以下である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物にて調整されたインクを吐出して被記録材上に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 前記被記録材が、顔料・バインダーを含む多孔質構造で、かつ、表面光沢を有する被覆層を基材上に備えた被記録材である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
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