JP4458731B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インクに関し、高濃度記録が可能でありながらベタ均一性に優れ、かつ耐擦性、耐マーカー性および耐水性に優れたインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、記録時の騒音の発生が少なく多色画像を高速で得ることができるという利点を有している。
【0003】
従来のインクジェット記録用のインクとしては、各種水溶性染料を水もしくは水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されていた。しかしながら、 染料系インクによる記録画像は、耐光性および耐水性などの堅牢性が充分ではなかった。
【0004】
そこで、着色材として顔料を分散させた顔料系インクが開発されている。しかし、染料系インクの場合には、染料が被記録材に染着することにより発色するため、被記録材の表面状態が画像濃度に与える影響は小さいが、顔料系インクの場合には、顔料が被記録材の表面に凝集し、固着することにより発色するため、被記録材の表面状態が画像濃度に与える影響は大きい。
【0005】
そのため顔料系インクは、被記録材の種類によっては、画像濃度が著しく劣化し、画像品位が損なわれる。特に、コピー用紙およびボンド紙などの普通紙は、インクジェット専用紙と異なり、紙の表面状態が一様でないので、顔料系インクの画像濃度が低下してしまう。
【0006】
そこで、これらの顔料系インクは、画像濃度の低下を改善するために、濃度の高い染料などを添加するという技術が提案されている。たとえば、特開平4−57861号公報には、カーボンブラックと染料とを含む水性黒色インクが記載されており、このインクによれば、駆動条件の変動や長時間の使用でも常に安定した吐出を行うことができ、記録画像の堅牢性に優れるとともに記録画像の濃度が高いという利点を有する。
【0007】
また、光学濃度を高く得る別のアプローチとして、粒子径の大きな顔料を使用する技術が提案されている。たとえば、特開2000−204305号公報には、紙上インク中に0.5μm以上の粒子径を有する粒子が存在することにより、光学濃度の上昇が大きくなることを見出し、さらに0.5μm以上の粒子数が6×104 〜6×105 個/μl、かつ、5μm以上の粒子数が50個/μl以下であれば、安定した吐出が可能であると記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の染料を添加した水性黒色インクの場合、水溶性染料が使用されているため、顔料分散系を不安定なものにし、最悪の場合には分散系を壊してしまうことが懸念される。また水溶性染料を用いることで、完全な耐水性の記録物は得られず、耐水性が劣るという不都合が生じる。
【0009】
また、上記従来の粒子径の大きな顔料を使用するインクの場合、光学濃度が高くなる反面、色ムラが発生したり、耐擦性や耐マーカー性などが劣るという不都合が発生する。
【0010】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、普通紙を含むあらゆる紙において、高濃度記録が可能でありながらベタ均一性に優れ、かつ耐擦性、耐マーカー性および耐水性に優れたインクジェット記録用インクを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のインクジェット記録用インクは、顔料を分散させてなるインクジェット記録用インクであって、動的光散乱法により測定される粒子径分布において異なるピークを有する2種類の顔料が用いられてなり、粒子径分布のピーク部が150nm以上300nm以下でかつ平均粒径が100nm以上150nm以下の顔料と、粒子径分布のピーク部が65nm以上75nm以下でかつ平均粒径が40nm以上55nm以下の顔料とが、重量比で1:1〜1:5の範囲で混合されたものである。これにより、高濃度記録が可能でありながらベタ均一性に優れ、かつ耐擦性、耐マーカー性および耐水性に優れる。
【0012】
本発明のインクジェット記録用インクは、粒子径分布の一方のピーク部が150nm以上であり、かつ他方のピーク部が80nm以下である。粒子径分布のピーク部の粒子径値が150nm以上の顔料を用いることで高濃度記録が可能で、さらに粒子径分布のピーク部の粒子径値が80nm以下の顔料を用いることにより高濃度記録が可能でありながらベタ均一性が確保できる。また、粒子径分布のピーク部の粒子径値が80nm以下の顔料は紙の繊維間の空隙に入り込むことにより、耐擦性および耐マーカー性が向上する。
【0013】
本発明のインクジェット記録用インクは、平均粒子径が100nm以上の顔料と、平均粒子径が60nm以下の顔料とが、重量比で1:1〜1:5の範囲で混合されたものである。この範囲で、印刷濃度、均一性、耐擦性および耐マーカー性にバランスよく優れる。
【0014】
本発明のインクジェット記録用インクは、顔料の粒子径分布において、2つのピーク部の粒子径値がともに300nm以下である。この範囲内で分散安定性が優れる。
【0015】
本発明のインクジェット記録用インクは、全重量に対して1〜20重量%の範囲で顔料が含有されたものである。含有量が1重量%以下では濃度が確保できず、20重量%以上になるとインク組成物の粘度特性に構造粘性が生じ、吐出安定性が確保できない。上記範囲の含有量で、印刷濃度、吐出安定性が優れる。
【0016】
本発明のインクジェット記録用インクに使用することができる顔料としては、特に限定はないが、たとえば以下に示す顔料が好適に使用される。
【0017】
ブラックインクに使用される顔料としては、インクジェット用インク組成物に従来から使用されているカーボンブラックを使用することができる。具体的には、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラックおよびチャンネルブラックなどを挙げることができる。
【0018】
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.PigmentBlue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、56、60および63などを挙げることができる。
【0019】
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.PigmentRed 1、2、3、5、7、17、22、23、31、38、48:2(Ba)、48:2(Ca)、48:3(Sr)、48:4(Mn)、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209および219などを挙げることができる。
【0020】
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138および153などが挙げられる。これら顔料は、顔料のぬれ性を向上させるために、表面処理などを施してもよい。
【0021】
前記の顔料以外にも、たとえば、アニリンブラック(C.I.PigmentBlack1)などの黒色有機顔料、C.I.Pigment Orange1、2、5、7、13、14、15、16、34、36、38、C.I.Pigment Violet 1、2、19、32、C.I.Pigment Green 1、4、36およびC.I.Pigment Brown 3、5、25、26などを用いることもできる。
【0022】
前記インクジェット記録用インクに使用する顔料の含有量は、印字物に要求される色目、濃度、あるいは好ましいインク物性を満たすために決定されるものであって、顔料の比重や嵩密度によって異なり、 特に限定されるものではないが、 インク組成物全重量に対して、l〜20重量%が好ましく、1〜15重量%の範囲で使用することがより好ましい。顔料含有量が1重量%未満になると印字濃度を確保することができなくなることがあり、20重量%を超えるとインク組成物の粘度特性に構造粘性が生じ、吐出安定性を確保することができなくなることがある。
【0023】
前記インクジェット記録用インクに使用される分散剤は、アルカリ可溶型の水溶性樹脂であって、重量平均分子量は1000〜30000が好ましく、より好ましくは3000〜15000の範囲である。具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステルなどの疎水性単量体、 またはアクリル酸、 アクリル酸誘導体、 マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体からなる群から選ばれる2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体、あるいはランダム共重合体、またはこれらの塩などが挙げられる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶のアルカリ可溶型樹脂である。さらに、親水性単量体からなるホモポリマーおよびそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物などの水溶性樹脂も使用することができる。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場合の方が、分散液の低粘度化が可能であり、分散も容易である。
【0024】
これらの分散剤の使用量は、インクジェット記録用インク全量に対して、0.1〜5重量%の範囲で使用することが好ましい。樹脂分散剤の含有量が0.1重量%未満になるとインク組成物を放置した場合の経時的な顔料の分散安定性が悪化することがあり、5重量%を超えるとインク組成物が乾燥した場合に必要となる再分散性を得ることができないことがある。
【0025】
前記分散剤の溶解性を向上させ、長期保存安定性を得るためには、分散剤中の塩をイオン解離させやすいように、 インク全体を中性またはアルカリ性に調整することが好ましく、pHが7〜10の範囲で使用することが好ましい。
【0026】
pH調整剤としては、たとえばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの各種有機アミンおよび水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物等の無機塩基が挙げられる。
【0027】
最適な塩基種は、選択した顔料および分散剤の種類によって異なるが、不揮発性で安定であって、かつ保水性の高いものが好ましい。用いる塩基の量は基本的には分散剤の酸価から計算される量から、それを中和するに必要な塩基量として用いられる。顔料の分散性の向上、インクのpH調整、記録性能の調整および保湿性の向上などの目的で、酸の当量を上回る量の塩基を用いてもよい。
【0028】
上記に挙げた本発明で使用するインクの態様は、分散剤によってカーボンブラック等の顔料をインク中に均一に分散させたものであるが、本発明で使用できるインクはこれに限定されない。すなわち、本発明においては、表面活性基を酸化処理するか、その他の表面処理を施したもので、分散剤が不要のタイプのカーボンブラックも好適に使用できる。上記に挙げたような処理を施したカーボンブラックの表面はカルボキシル基やスルホン酸基がリッチになっているため、分散剤を使用しなくても、インク中に自己分散し得る。そのようなカーボンブラックとしては、例えば、表面にスルホン基が結合され、分散剤なしで水に分散させることのできるカーボンブラック(例えば、商品名:キャボジェット(CAB−O−JET)200、キャボット(CABOT)社製)や、表面にカルボキシル基が結合され、分散剤なしで水に分散させることのできるカーボンブラック(例えば、商品名:キャボジェット(CAB−O−JET)300、キャボット(CABOT)社製、および商品名:BONJET BLACK CW−1、オリエント化学社製)等を挙げることができる。
【0029】
前記インクジェット記録用インクに用いられる水性媒体は、水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いるのが好ましい.水溶性有機溶剤としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンおよび1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0030】
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、 ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0031】
前記インクジェット記録用インクの沸騰による泡の力を利用したバブルジェット方式を採用する場合は、 インクジェット記録用インクの吐出の安定性を得るために、 エタノール、イソプロピルアコール、または多価アルコールの低級アルキルエーテル類を添加することが効果的である。これらの溶剤を添加することによってインクジェット記録用インクの薄膜抵抗体上での発泡をより安定に行うことができる。
【0032】
前記インクジェット記録用インク中の前記水溶性有機溶剤の含有量は、インク全重量の5〜60重量%の範囲であり、好ましくは10〜50重量%の範囲である。含有量を前記範囲にすることにより、顔料インクの吐出安定性を確保することができる。水溶性有機溶剤の含有量が多すぎると乾燥不良になることがある。
【0033】
また、前記インクジェット記録用インクは、前記の成分のほかに必要に応じて所望の物性値を持つ記録液とするために、界面活性剤、消泡剤および防腐剤などを添力してもよい。
【0034】
さらに、ノズルの乾燥防止剤として尿素、チオ尿素、エチレン尿素またはそれらの誘導体を添加してもよい。
【0035】
界面活性剤としては、具体的には、アニオン界面活性剤として、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリルおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびアルキルアリールエーテルリン酸塩などがある。
【0036】
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩およびイミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシンおよびイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0038】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシェチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシドおよびポリオキシエチレンアルキルアミンなどを使用することができる。
【0039】
消泡剤の具体例としては、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0040】
防カビ、防腐、防錆剤の具体例としては、安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンジゾチアゾリン−3−オンおよび3,4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0041】
前記インクジェット記録用インクの諸物性は、適宜制御することができるが、本発明の好ましい態様によれば、インクジェット記録用インクの粘度は、25mPa・秒以下、好ましくは10mPa・秒以下(25℃)である。粘度がこの範囲内にあると、インクジェット記録用インクを吐出ヘッドから安定に吐出させることができる。またインクジェット記録用インクの表面張力は適宜制御することができるが、20〜50mN/m(25℃)の範囲であることが好ましい。
【0042】
前記インクジェット記録用インクの調製方法としては、水性媒体中に顔料と分散剤とを同時に添加し、分散処理を行うことによって製造することができる。分散処理としては、特に限定されるものではないが、たとえば最初に分散剤とアルカリ中和剤(pH調整剤)および溶解助剤を水性媒体で均一な溶液にし、次に前記溶液中に顔料を添加して分散剤成分の振とうを図るプレミキシングを行い、さらに分散機により分散を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の分散液を得る。最後に、この分散液に前記の各成分を加え、撹伴してインクとする。分散機は一般に使用される分散機ならいかなるものでもよいが、たとえばボールミル、ロールミルおよびサンドミルなどが挙げられる。
【0043】
本発明の実施形態におけるインクジェット記録用インクは、各色のインクジェット記録用インクそれぞれについて、分散した顔料の粒子径分布を測定した場合、ピークが2つ存在する顔料インクで構成されている。
【0044】
所望の粒子径分布を有する顔料は、分散機の粉砕メディアのサイズを適宜選択することによって調整することができる。また粉砕メディアの充填率を大きくしたり、粉砕処理時間を長くすることによっても所望の粒子径分布を有する顔料が得られる。さらに顔料を粉砕後、フィルターや遠心分離機を用いて、所望の粒子径分布を有する顔料に分級してもよい。または、これらの方法を組合せることによっても所望の粒子径分布を有する顔料を調整することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(各色顔料分散液の調製)
(a)ブラック分散液1の調製
スチレンーアクリル酸共重合体樹脂 4重量部
(重量平均分子量=7500;酸価=200)
トリエタノールアミン 2.7重量部
イソプロピルアルコール 0.4重量部
イオン交換水 72.9重量部
上記成分を70℃の加温下で完全に溶解させた。
【0046】
次に、カーボンブラック(MA100;三菱化学(株)製)20重量部を前記溶液に加え、プレミキシングを行った後、ボールミル(フリッチュ社製)でカーボンブラックの粒子径分布のピーク部の粒子径値が150nm(平均粒子径130nm)になるまで分散を行い(ジルコニウムビーズ充填率=50%;メディア径=0.5mm) 、0.6μmのフイルターを通し、ブラック分散液1を得た。なお、粒子径測定にはマイクロトラックUPA(日機装社製)を使用した。
(b)ブラック分散液2の調製
上記ブラック分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、カーボンブラックの粒子径分布のピーク部の粒子径値が75nm(平均粒子径50nm)のブラック分散液2を得た。
(c)シアン分散液1の調製
スチレンーアクリル酸共重合体樹脂 4重量部
(重量平均分子量=7500;酸価=200)
トリエタノールアミン 2.7重量部
イソプロピルアルコール 0.4重量部
イオン交換水 72.9重量部
上記成分を70℃の加温下で完全に溶解させた。
【0047】
次に、フタロシアニン系青色顔料(リオノールブルーFG−7330;東洋インキ(株)製)20重量部を前記溶液に加え、プレミキシングを行った後、ボールミル(フリッチュ社製)でフタロシアニン系青色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が200nm(平均粒子径150nm)になるまで分散を行い(ジルコニウムビーズ充填率=50%;メディア径=0.5mm) 、0.6μmのフィルターを通し、シアン分散液1を得た。
(d)シアン分散液2の調製
上記シアン分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、フタロシアニン系青色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が65nm(平均粒子径40nm)のシアン分散液2を得た。
(e)シアン分散液3の調製
上記シアン分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、フタロシアニン系青色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が100nm(平均粒子径80nm)のシアン分散液3を得た。
(f)マゼンタ分散液1の調製
スチレンーアクリル酸共重合体樹脂 4重量部
(重量平均分子量=7500;酸価=200)
トリエタノールアミン 2.7重量部
イソプロピルアルコール 0.4重量部
イオン交換水 72.9重量部
上記成分を70℃の加温下で完全に溶解させた。
【0048】
次に、キナクリドン系赤色顔料(ファストゲンスーパーマゼンタRE−O3;大日本インキ化学(株)製)20重量部を前記溶液に加え、プレミキシングを行った後、ボールミル(フリッチュ社製)でキナクリドン系赤色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が180nm(平均粒子径150nm)になるまで分散を行い(ジルコニウムビーズ充填率=50%:メディア径=0.5mm) 、0.6μmのフィルターを通し、マゼンタ分散液1を得た。
(g)マゼンタ分散液2の調製
上記マゼンタ分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、キナクリドン系赤色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が65nm(平均粒子径45nm)のマゼンタ分散液2を得た。
(h)イエロー分散液1の調製
スチレンーアクリル酸共重合体樹脂 4重量部
(重量平均分子量=7500;酸価=200)
トリエタノールアミン 2.7重量部
イソプロピルアルコール 0.4重量部
イオン交換水 72.9重量部
上記成分を70℃の加温下で完全に溶解させた。
【0049】
次に、ジスアゾ系黄色顔料(シムラファストイエロー4306;大日本インキ化学(株)製)20重量部を前記溶液に加え、プレミキシングを行った後、ボールミル(フリッチュ社製)でジスアゾ系黄色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が160nm(平均粒子径100nm)になるまで分散を行い(ジルコニウムビーズ充填率=50%;メディア径=0.5mm) 、0.6μmのフィルターを通し、イエロー分散液1を得た。
(i)イエロー分散液2の調製
上記イエロー分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、ジスアゾ系黄色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が75nm(平均粒子径55nm)のイエロー分散液2を得た。
(j)イエロー分散液3の調製
上記イエロー分散液1の調製時と同一組成、同一条件で分散を行い、ジスアゾ系黄色顔料の粒子径分布のピーク部の粒子径値が90nm(平均粒子径90nm)のイエロー分散液3を得た。
(実施例1 )
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0050】
前記ブラック分散液1 15重量部
前記ブラック分散液2 15重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
(実施例2)
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0051】
前記シアン分散液1 5重量部
前記シアン分散液2 25重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
(実施例3)
以下の成分をカロえることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0052】
前記マゼンタ分散液1 10重量部
前記マゼンタ分散液2 20重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
(実施例4)
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0053】
前記イエロー分散液1 7.5重量部
前記イエロー分散液2 22.5重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
【0056】
(比較例1)
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0057】
前記ブラック分散液1 30重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
(比較例2)
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0058】
前記ブラック分散液2 30重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重量部
(比較例3)
以下の成分を加えることによりインクジェット記録用インクを調製した。
【0059】
前記イエロー分散液3 30重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 10重量部
ポリエチレングリコール#400 5重量部
2−ピロリドン 10重量部
イオン交換水 35重童部
前記のようにして得られた各色インクジェット記録用インクを用いて、PPC用紙(シャープ(株)社製)に記録を行った。インクジェット記録装置は、インクジェットプリンターAJ2000(シャープ(株)製)の改造機を使用した。
【0060】
記録画像の評価は以下の方法で行った。結果を表1に示す。
(評価1)画像濃度
各色のインクジェット記録用インクを用いて2cm×2cmのベタ画像を形成し、1時間放置後、ベタ画像の中心の記録濃度を、X−Rite938(日本平版機材(株)製分光測色濃度計)にて測定し、ブラックに関しては、濃度が1.3以上のものを:○、濃度が1.2以上1.3未満のものを:△、濃度が1.2未満のものを:×で表した。カラーに関しては、濃度が0.65以上のものを:○、濃度が0.60以上0.65未満のものを:△、濃度が0.60未満のものを:×で表した。
(評価2)ベタ均一性
各色のインクジェット記録用インクを用いて2cm×2cmのベタ画像を形成し、1時間放置後、ベタ画像の中心および四隅の計5点の記録濃度を、X−Rite938(日本平版機材(株)製分光測色濃度計)にて測定し、その数値の最大値と最小値との差が、0.05未満の場合は:○、0.05以上0.1未満の場合は:△、0.1以上の場合は:×とした。
(評価3)耐擦性
各色のインクジェット記録用インクを用いて2cm×2cmのベタ画像を形成し、1時間放置後、指および消しゴムで擦り、指、消しゴムおよび紙が、汚れなければ:○、汚れれば:×とした。
(評価4)耐マーカー性
各色のインクジェット記録用インクを用いて文字を印刷し、1時間放置後、マーカーペンで印刷した文字を擦り、にじみがなければ:○、にじみがあれば:×とした。
【0061】
【表1】
Figure 0004458731
表1の実施例1〜より、顔料を分散させてなるインクジェット記録用インクにおいて、本発明に係るインクを用いた場合は、高濃度記録が可能でありながらベタ均一性に優れ、かつ耐擦性および耐マーカー性に優れた画像を得ることが判った。
【0062】
これに対して、比較例1、2および3の単一の粒子径分布の顔料のみを用いた場合は、高濃度記録、ベタ均一性、耐擦性および耐マーカー性の全てを満足するような画像は得られなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、普通紙を含むあらゆる紙において、高濃度記録が可能でありながらベタ均一性に優れ、かつ耐擦性、耐マーカー性および耐水性に優れたインクジェット記録用インクを提供することができる。

Claims (2)

  1. 顔料を分散させてなるインクジェット記録用インクであって、
    動的光散乱法により測定される粒子径分布において異なるピークを有する2種類の顔料が用いられてなり、
    粒子径分布のピーク部が150nm以上300nm以下でかつ平均粒径が100nm以上150nm以下の顔料と、
    粒子径分布のピーク部が65nm以上75nm以下でかつ平均粒径が40nm以上55nm以下の顔料とが、
    重量比で1:1〜1:5の範囲で混合されたことを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 全重量に対して1〜20重量%の範囲で顔料が含有された請求項1記載のインクジェット記録用インク。
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