JP2004035718A - インクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以上であり、かつ、水と有機溶剤からなるインク溶媒中における水分散性樹脂等の樹脂と顔料よりなる固形分含有量が、1.0〜16重量%である。水分散性樹脂と自己分散型顔料の重量比率が、自己分散型顔料を1部に対して水分散性樹脂が0.2部以上5部以下である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット組成物及びインクジェット記録方法であり、特にインクジェット記録方式に適する顔料インク組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のインクジェット記録用インクとしては染料系インクが用いられてきたが、染料インクで記録された画像は耐水性・耐光性に問題のあることが指摘されてきた。そこで、染料に代えて顔料を用いるインクの開発が進められている。色材として顔料を使用することにより、染料インクに比較して耐光性・耐水性に優れた画像が得ることができる。顔料は水に不溶であるため水溶性インクにおいては顔料と分散剤とを併用することにより顔料をインク中に安定に分散させる方法が検討されてきた。しかしながら、界面活性剤を分散剤として多量に用いるとインクの表面張力が低下するため画像滲みが増大する、また、泡の発生によりインクが正確に吐出されなくなる等の問題が生じる。また、高分子分散剤を用いた場合、インク粘度が高くなりノズルの目詰まりが生じやすくなる、また、画像の光学濃度が低くなる等の問題がある。そこで、分散剤としての樹脂の種類についてあるいは添加剤等についていろいろな検討が成されてきた。特開昭56−28256号公報では、インクの流出性と滲みを改善するために,水不溶性樹脂エマルジョンを固形分換算で2〜18重量%含有してなる顔料インクが提案されている。特開平4−18462号公報では、記録物の耐磨耗性が優れ、且つ吐出安定性を確保するために,平均粒子径が50nm以下のマイクロエマルジョンの含有量が0.5〜10重量%の顔料インクが提案されている。。特開平4−332774号公報では、普通紙に対する滲みを改善し高印字品質を実現するために、平均粒子径が0.3〜1.2μmの顔料と樹脂エマルジョンとの固形分比が、1:0.1〜1:1の範囲にある顔料インクが提案されている。特開平6−212106号公報では、耐光性・耐水性・耐磨耗性に優れた顔料インクの長所を活かしつつ、顔料インクの短所である印字ムラを改善するため、顔料と樹脂エマルジョンからなるインク組成物に糖類あるいは水酸基が5個以上有するポリオールを含有させることが提案されている。樹脂エマルジョンを使用するインクは、水溶性樹脂を使用するインクに較べ、滲みが抑制しやすいこと及び、インクの粘度上昇が抑制できること等の利点のあることが、特開平8−132729号公報、特開2000−34432号公報に報告されている。しかしながら分散剤を使用するインクにおいては、インク特性を調整するために加える有機溶媒や添加剤等と分散剤との相互作用により顔料分散が不安定になりやすいため、使用できる溶媒・添加剤・分散剤の組合せが限定されてしまい被記録材への定着性が低いこと、分散剤による画像滲みや光学濃度の低下を招きやすいこと等の共通の課題があり回避することが難しい。
【0003】
そこで、分散剤を使用しないで、顔料を親水化処理する方法が検討された。
例えば、特公平1−49369号公報、特開平1−79278号公報、特開平6−128517号公報では、高分子重合体等のグラフト化により安定化させたカーボンブラックを含むインクが開示されている。特開平5−230410号公報では、アクリルアミド誘導体をグラフト重合させて表面修飾したカーボンブラックを分散させたインクが開示されている。USP5,571,311号明細書では、フェニル基やアルキル基を連結基としてカルボキシル基やスルホン基などの親水基をカーボンブラック表面に導入した親水化顔料とこれを用いたインクが開示されている。このように自己分散型顔料の作製方法の検討・開発が進められ、最近では、カーボンブラックだけでなくマゼンタ顔料や、シアン顔料、イエロー顔料など様々な有機顔料を表面修飾し、カルボキシル基やスルホン基等の親水官能基を表面に有する安定なカラーの自己分散型顔料が、色材メーカーを通じて容易に手に入れることができるようになった。このような自己分散型顔料を使用する顔料インクは従来の顔料インクでは不可欠であった分散剤を使用する必要がないため、ノズルの目詰まりや画像滲み・光学濃度の改善を図ることが可能であり、自己分散型顔料を使用するインク組成について様々な検討が成されているのが現状である。特開平11−181340号公報では、自己分散型顔料の数平均分子量と体積平均分子量を規定することによりインクジェット特性が改善されることを報告している。特開2000−169769号公報では、自己分散型顔料とアクリル樹脂を含有する顔料インクで画像形成することにより、また、特開2000−169772号公報では、自己分散型顔料とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとを併用することにより、顔料が記録紙の繊維内部に染み込むことを回避し光学濃度を改善することができると報告している。WO98/21,284では、自己分散型顔料と、グリコールエーテルと、水溶性エマルジョンと、水よりなるインク組成物が提案されており、滲みの改善に効果のあることが報告されている。従来の分散剤を使用する顔料インクではグリコールエーテルの添加により分散の安定性が崩れ顔料の凝集が観察されることも併せて報告されている。自己分散型顔料をインクに使用することにより顔料の凝集やノズルの目詰まりの発生が大幅に改善された。また、エマルジョンやグリコールエーテルを組合せることによりインクの乾燥性や画像滲みの改善も認められる。しかしながら、インクの吐出性や乾燥性、画像滲みの改善と、光学濃度およびインクの裏映り等の特性の改善を同時に且つ十分に図れていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、普通紙上で高い光学濃度を示し、滲み・混色のない高品質な画像を形成でき、裏映りがなく、吐出性の優れたインクジェット記録用顔料インクを提供するものである。従来の顔料系インクは固形分が多く粘度が高い等の理由から吐出性が良くないという問題点がある。また、従来の顔料系インクを用いて普通紙上に記録された画像は滲みやすくドットが広がり画質が粗くなったり、インクが交じり合い混色が生じ低質な画像しか得られないという問題点がある。WO98/21284では、自己分散型顔料にエマルジョンやグリコールエーテルを組合せることによりインクの吐出性や乾燥性、画像滲み・混色の改善を図ることが提案されている。しかしながら同時に、裏映りがなく高い光学濃度を示す等の課題を克服するには到っていないのが現状である。
【0005】
本発明は、普通紙上で滲み・混色・光学濃度・裏映り等の課題を同時に克服でき、吐出性に優れた顔料インクとなるインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定のインクジェットインク組成物からなるインクを用いてインクジェット記録することにより、インクの吐出性に優れ、普通紙上で滲み・混色・光学濃度・裏映り等の課題を同時に改善された画像を形成できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、前記水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以上であり、かつ、水と有機溶剤からなるインク溶媒中における水分散性樹脂等の樹脂と顔料よりなる固形分含有量が、1.0〜16重量%であるインクジェットインク組成物である。
【0008】
また、本発明は、前記水分散性樹脂と自己分散型顔料の重量比率が、自己分散型顔料を1部に対して水分散性樹脂が0.2部以上5部以下であるインクジェットインク組成物である。
【0009】
そして、本発明は、前記自己分散型顔料が、表面に親水性官能基を有する請求項1に記載のインクジェットインク組成物である。
【0010】
更に、本発明は、前記親水性官能基が、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合、及びそれらの塩等の群から選択される基である自己分散型インクジェットインク組成物である。
【0011】
また、本発明は、前記自己分散型顔料は、平均粒子径が200nm未満で、かつ、含有量が10重量%以下であるインクジェットインク組成物である。
【0012】
そして、本発明は、前記水分散性樹脂の平均粒子径が250nm未満であるインクジェットインク組成物である。
【0013】
更に、本発明は、前記水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、それらの混合の群から選択される樹脂であるインクジェットインク組成物である。
【0014】
また、本発明は、前記インク溶媒が、少なくとも一つのアルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%含有する水からなるインクジェットインク組成物である。
【0015】
そして、本発明は、前記アルキレングリコールアルキルエーテルが、ジプロピレングリコール−n−プロピレンエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの群から選択される少なくとも一つの多価アルコールアルキルエーテルであるインクジェットインク組成物である。
【0016】
更に、本発明は、上記のインクジェットインク組成物からなるインクを吐出して被記録材上に画像を形成するインクジェット記録方法である。
【0017】
また、本発明は、前記被記録材が、該被記録材の表層に基材の一部が露出している普通紙あるいはコート紙であるインクジェット記録方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明のインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法について、説明する。まず、自己分散型顔料を説明する。本発明のインクジェットインク組成物において、使用される顔料は、表面に親水性官能基を有し、分散剤を使用しないで自身で溶媒中に分散可能な自己分散型顔料が用いられる。顔料がその表面に有する親水性官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合、及びそれらの塩等が好ましい。
【0019】
自己分散型顔料の原料として用いられる黒色顔料としては、チャネルブラック法、ファーネスブラック法、ランプブラック法、アセチレンブラック法等の種々の方法によって製造されたカーボンブラックで、酸性カーボン、中性カーボン、塩基性カーボンのいずれもが使用できる。
【0020】
自己分散型顔料の原料として用いられるシアン色顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
自己分散型顔料の原料として用いられるマゼンタ色顔料としては、マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red5、C.I.Pigment Red7、C.I.Pigment Red12、C.I.Pigment・Red48、C.I.Pigment Red48:1、C.I.PigmentRed57、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red122、C.I.Pigment Red123、C.I.Pigment Red146、C.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Red184、C.I.Pigment Red202等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
自己分散型顔料の原料として用いられる黄色顔料としては、イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.PigmentYellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
上記の顔料にカルボキシル基やスルホン基を顔料表面に導入する方法としては、公知の酸化処理、スルホン化処理等の表面処理技術を利用する。また、芳香族アゾ化合物やアルキルアゾ化合物を顔料と反応させ、フェニル基やアルキル基を連結基としてカルボキシル基やスルホン基を顔料表面に導入する方法も公知として知られており使用することができる。その他、シラン化合物等のカップリング剤による処理、ポリマーグラフト化処理、プラズマ処理等の公知の方法、新たに開発した方法、それらの組合せによる方法など使用できる。また、市販の親水化処理自己分散型顔料も最近では多数でまわっており、それらを購入し使用することもできる。市販の親水化処理自己分散型顔料としては、キャボット社の Cab−o−jet 200,Cab−o−jet 300 オリエント化学工業社の BONJET BLACK CW−1,Microjet Black CW−1 等が挙げられる。
【0024】
上記の自己分散型顔料は、平均粒子径が200nm未満であることが好ましい。顔料の平均粒子径が200nm以上では、顔料の沈降が生じる場合が多くなりインクの保存安定性が低下する。また、顔料の凝集・沈降を防止することの観点から、インクの全重量に対して顔料の含有量は10重量%以下であることが好ましい。10重量%より高くなると顔料の凝集や沈降が生じインクの保存安定性および吐出性に問題が認められる。
【0025】
バインダーについて、説明する。本発明のインクジェットインク組成物には水分散性樹脂のバインダーが含まれる。本発明に使用される樹脂の種類としては、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、特に、市販のものとしては、東洋紡製のバイロナール(水分散性ポリエステル樹脂)、ジョンソンポリマー製のジョンクリル(エマルジョンタイプ(以下、「水分散性」と記す)あるいは水溶性のスチレン−アクリル系樹脂)、日本ペイント製のマイクロジェル(水分散性スチレン−アクリル系樹脂)、大日本インキ化学工業製のボンコート(水分散性スチレン−アクリル系樹脂)等が使用できる。
【0026】
バインダーとして水溶性樹脂を用いた場合、インクの粘度が高くなりやすくノズルの目詰まりが発生しやすいこと、また普通紙上でインクの乾燥性が低くドットが滲み易いこと、混色しやすいことなどが認められる。これに対し、水分散性樹脂を用いたインクでは、樹脂及び顔料の固形分含有量を調整することにより乾燥性に優れ普通紙表面での溶媒の流出を防ぎ、インクの混色や滲み及びインクの裏抜けを抑制できる効果がある。インク組成として、固形分含有量が16重量%を超えるとインクの粘度が高くなり吐出不良が生じる。また、1.0重量%より低くなるとインクの混や滲みが発生し画質低下を招く。
【0027】
また、水分散性樹脂の平均粒子径と自己分散型顔料の平均粒子径について調べたところ、顔料の平均粒子径と同じか、より大きい平均粒子径を有する樹脂と組合せて組成されたインクは、普通紙上に付着したインクのドット径の広がりを抑制でき、形状もきれいな円形となる効果を有することがわかった。樹脂の平均粒子径が小さくなると、吐出時にインクのドットが広がりやすく形状も円形が崩れやすくなり、及び樹脂の界面が多いため溶剤が紙面横方向に広がりやすくなるためである。しかしながら、樹脂の平均粒子径は250nmを超えるとインクの吐出性が極端に悪くなるため、樹脂の平均粒子径は250nmよりも小さいことが必要である。
【0028】
溶媒について、説明する。本発明で使用するインク溶媒は、水と、アルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%含有することが好ましい。アルキレングリコールアルキルエーテルの種類としては、ジプロピレングリコール−n−プロピレンエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの群から選択されることが好ましい。アルキレングリコールアルキルエーテルは、室温での蒸気圧がかなり低くインクの湿潤剤として働き、ノズルでの目詰まりや吐出性を改善する効果がある。また、樹脂及び顔料の含有量と併せてアルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%の範囲で溶媒に含有させることにより普通紙上でのインクの浸透性が高め、滲みや混色を抑制し、且つ裏抜けが生じないという効果を奏する。
【0029】
その他の有機溶媒について、説明する。本発明におけるインクジェットインク組成物には、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するため、また、溶解・分散安定性を向上させるため等の目的で、水溶性有機溶媒を複数混合して使用する。
【0030】
使用される水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコ−ル類、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の一価の低級アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリセロール、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は単独で用いても、複数混合して用いても良い。
【0031】
本発明のインクジェットインク組成物に用いられる水溶性有機溶剤の含有量は、インクの全重量に対して5〜50重量%が好ましい。
【0032】
界面活性剤について、説明する。本発明のインクジェットインク組成物には界面活性剤が含まれる。ここで用いる界面活性剤は顔料を分散するためのものではなく、インクがノズルよりスムースに吐出するように表面張力を調整したり、自己分散型顔料の分散安定性を補助したり、インクの溶媒が被記録材中を浸透する効果をインクに付与したりするためのものである。従って界面活性剤の添加量は大幅に少なくて良い。
【0033】
本発明のインクジェットインク組成物に用いられる界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。特に、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系界面活性剤、ポリオキシプロピレン系界面活性剤、ポリオキシ(エチレン−プロピレン)系ノニオン界面活性剤、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0034】
本発明のインクジェットインク組成物に用いられる界面活性剤の添加量は、インクの全重量に対して0.01〜3重量%が好ましい。
【0035】
その他のインク成分を説明する。その他のインク成分として、プロキセル等の防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤等の添加剤を含有させることも可能である。
【0036】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
顔料を説明する。使用した顔料は、黒色顔料としてカーボンブラックの一次凝集体表面にスルホン基が多数結合し、平均粒子径が約50nmの自己分散型カーボンブラック:C1、平均粒子径が約100nmの自己分散型カーボンブラック:C2、平均粒子径が約150nmの自己分散型カーボンブラック:C3、平均粒子径が200nmの自己分散型カーボンブラック:C4を使用した。比較のため、平均粒子径が約150nmで分散剤を用いて分散させる従来のカーボンブラック:C5を用意した。
【0037】
バインダーを説明する。バインダーは市販の樹脂を使用した。水分散性樹脂として、平均粒子径が約30nmの水分散性ポリエステル樹脂:P1、平均粒子径が約60nmの水分散性ポリエステル樹脂:P2、平均粒子径が約120nmの水分散性ポリエステル樹脂:P3、平均粒子径が約180nmの水分散性ポリエステル樹脂:P4、平均粒子径が約250nmの水分散性ポリエステル樹脂:P5、あるいは平均粒子径が約100nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1、平均粒子径が約200nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S2を使用した。比較検討のため、水溶性のスチレン−アクリル系樹脂:S3を使用した。
【0038】
界面活性剤を説明する。界面活性剤としては、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物ノニオン界面活性剤であるサーフィノール(エアープロダクツ製)、およびポリオキシエチレン系ノニオン界面活性剤であるタージトール(ユニオンカーバイド製)を使用した。
【0039】
インクセットを説明する。インクは、アシッドイエロー23を色材とする下記組成のイエロー染料インクと、上記の自己分散型カーボンブラックと水分散性ポリエステル樹脂あるいはスチレン−アクリル系エマルジョン樹脂をそれぞれ使用して調整した黒色顔料インクとをインクセットとし評価テストを行った。イエロー染料インク組成は、以下の通りである。
・アシッドイエロー23 ・・・3重量%
・ジエチレングリコール ・・・10重量%
・N−メチル−2−ピロリドン ・・・6重量%
・ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル ・・・8重量%
・タージトール(非イオン性界面活性剤) ・・・0.8重量%
・水 ・・・残余
【0040】
評価テストを説明する。評価テストには、発熱素子をインクの吐出エネルギー源として利用し、高集積高精細のノズルを有するヘッドを用いて高速印刷を行うことができるインクジェットプリンター(商品名:AJ−2000LE(シャープ製))を使用した。図2に示す組成で調整されたインクセットを評価用インクカートリッジに詰めて、それぞれ評価テストを行なった。インクの吐出条件は、黒顔料インクの液滴体積が24pl、カラーインクの液滴体積が12pl、吐出周波数12kHzであり、普通紙にイエロー、黒の100%ベタ、50%、30%、10%濃度の評価用カラーパッチ及び背景がイエローで黒のキャラクター(図1参照)を記録し、下記の評価項目に従い評価テストを行った。評価テストには、ゼロックス製4024紙、ハンマーミル製ボンド紙、シャープ製NM紙の3種類の普通紙を使用した。
【0041】
評価項目を説明する。
(a)滲み評価
上記の3種類の普通紙に、上記評価用カラーパッチを印刷し、ドット径及びドット形状を測定し、下記の基準で評価した。
◎…真球換算径に比べドット径が3.5倍以下にあり、形状もきれいな円形を示し、3種類の全ての被記録材において、エッジ部の滲み(凹凸)がほとんど認められない。
○…真球換算径に比べドット径が4倍以下にあり、形状もほぼ円形を示し、被記録材によってはわずかにエッジ部の滲み(凹凸)が認められるものの、許容範囲である。
△…真球換算径に比べドット径が4倍以上であり、形状も部分的に不定形を示し、被記録材によってはかなりエッジ部の滲み(凹凸)も認められ、許容困難。
×…真球換算径に比べドット径が5倍以上であり、形状も不定形を示し、3種類の全ての被記録材においてエッジ部の滲み(凹凸)が激しい。
−…評価できず
(b)混色(ブリード)評価
上記の3種類の普通紙に、上記評価用キャラクターを印刷し、背景のイエローとキャラクターの黒との混色を下記の基準で評価した。
◎…3種類の全ての被記録材において混色がほとんど認められない。
○…被記録材によってはわずかに混色が認められるものの、許容範囲である。
△…被記録材によってはかなり混色が認められ、許容困難。
×…3種類の全ての被記録材において激しく混色が見られる。
−…評価できず
(c)光学濃度評価
上記の3種類の光沢紙に、評価用カラーパッチを印刷し、100%ベタ部分を分光側色濃度計(エックスライト社製;エックスライト938)を使用して測定し、下記の基準で評価した。
○…全ての被記録材において比較的高い光学濃度を示し、許容範囲以上である。
×…被記録材および色によっては低い光学濃度を示し、許容困難である。
−…評価できず
(d)裏映り評価
上記の3種類の普通紙に、上記評価用カラーパッチ、キャラクターを印刷し裏側から観察し、インクの裏抜けの程度を下記の基準で評価した。
○…被記録材によっては僅かに裏抜けが認められるものの、許容範囲以上である。
×…被記録材によっては裏抜けがかなり認められ、許容困難である。
(e)吐出性試験
調整されたインクをすぐにインクカートリッジに詰め、10分間連続して印字した後、印字を停止し、40℃・25%RHの環境に72時間放置し、ノズルのクリーニング操作を行ってから印字し、下記の基準で評価した。
○…ノズルのクリーニング操作が3回以下で初期と同等の印字ができた。
△…ノズルのクリーニング操作が3回以上10回以下で初期と同等の印字ができた。
×…ノズルのクリーニング操作を10回行っても初期と同等の印字ができなかった。
(f)インクの保存安定性試験
試験用スクリュウ管瓶にインクを60cc入れ、−10℃と、50℃の環境下に1ヶ月間放置し沈降物の有無を調べた。
○…沈降物なし
×…沈降物あり
(g)総合評価
○…個別評価がすべて○以上である
△…個別評価に△が有るが×がない、又は、×があるがその数より多い数の○もある
×…個別評価に×があり、かつ、○がないか、×の数以下の数の○がある
【0042】
実施例及び比較例についての検討結果を以下に述べる。まず、検討結果1(実施例1〜4及び比較例1〜6)について、図2〜図5を用いて説明する。上記の自己分散型カーボンブラック:C3、分散剤を必要とする従来タイプのカーボンブラックC5と、平均粒子径が約180nmの水分散性ポリエステル樹脂:P4、平均粒子径が約200nmの水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S2および水溶性スチレン−アクリル系樹脂:S3を使用して下記組成にてインクを調整し、上記のアシッドイエロー23を色材とするイエロー染料インクと組合わせてインクセットとし、上記評価テストにより滲み、混色の評価およびインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。
【0043】
自己分散型カーボンブラックを色材とするインクは、顔料濃度20%で水分散している自己分散型カーボンブラック分散液を使用する。まず、カーボンブラック分散液を孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過し、このカーボンブラック分散液に下記に示すインク溶媒(組成)となるように水、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤等の順に加え40℃で2時間攪拌後、室温に戻し1日放置し、孔径0.9μmのメンブランフィルターにより濾過してインク調整した。黒顔料インク溶媒(インク組成)を以下に示す。
・カーボンブラック ・・・図2〜図5参照
・樹脂 ・・・図2〜図5参照
・ジエチレングリコール ・・・12重量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル・・・8重量%
・グリセリン ・・・10重量%
・1.5−ペンタンジオール ・・・5重量%
・サーフィノール(非イオン性界面活性剤) ・・・0.6重量%
・水 ・・・残余
【0044】
従来のカーボンブラック:C4を色材とするインクは、特に表面処理を施されていない平均粒子径が約150nmのカーボンブラック:20部と分散剤としてのスチレン−アクリル系樹脂:40部をロールミルに入れ1時間混練・分散し、水:100部、ポリエチレングリコール:100部加え、更に1時間混練・分散した後、孔径1.2μmのメンブランフィルターにより濾過しカーボンブラックの分散液とする。このカーボンブラック分散液に上記に示すインク溶媒(組成)となるように水、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤等の順に加え40℃で2時間攪拌後、室温に戻し1日放置し、孔径0.9μmのメンブランフィルターにより濾過してインク調整した。
【0045】
インク溶媒は上記に従うので色材と樹脂の組合せのみを図2〜図5に記載し、評価結果を図5に示す。分散性樹脂を使用したインク(実施例1〜4)は、すべての評価が良好で、総合評価が良かったが、水溶性樹脂を使用したインク(比較例1,2,5,6)は、分散性樹脂を使用したインク(実施例1〜4)に比べて滲みや混色が生じ画質が低下する。また、分散剤を必要とする従来タイプのカーボンブラックと分散性樹脂を使用したインク(比較例3、4)は、保存安定性と吐出性に問題が見られる。自己分散型顔料と分散性樹脂を使用したインクの特性が優れていることがわかった。
【0046】
検討結果2(実施例5〜13及び比較例7〜16)について、図6〜図9を用いて説明する。顔料と樹脂の平均粒子径の検討を行った。上記の平均粒子径が異なる自己分散型カーボンブラック:C1,C2,C3,C4と、平均粒子径が異なる水分散性ポリエステル樹脂:P1,P2,P3,P4,P5と、水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S1,S2を使用して下記組成にてインクを調整し、上記のアシッドイエロー23を色材とするイエロー染料インクと組合わせてインクセットとし、上記評価テストにより滲み、混色の評価およびインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。自己分散型カーボンブラックを色材とするインクの調整およびインク溶媒(組成)は検討結果1と同様である。以下、色材と樹脂の組合せのみを記載する。
【0047】
図6〜図9にインクの組成と評価結果を示す。樹脂の平均粒子径が顔料の平均粒子径と比べ同じか大きい場合(実施例5〜13)は、滲みや混色がほとんどない良好な結果が得られた。逆に樹脂の平均粒子径が顔料よりも小さくなると(比較例7〜9,11,12,14)滲みや混色が増加し画質の低下が認められた。また、比較例10,13に見られる様に樹脂の平均粒子径が約250nmになると吐出性が極端に悪くなる。顔料の平均粒子径が約200nmのカーボンブラックを使用したインク(比較例15,16)は保存安定性試験において顔料の沈降が認められ吐出性も良くない。以上の検討より、樹脂の平均粒子径が顔料の平均粒子径と比べ同じか大きいことが、普通紙上でインクのドット径の広がり・滲みを抑制するのに効果のあることがわかった。また、樹脂の平均粒子径は250nm未満であること、顔料の平均粒子径は200nm未満であることが、インクの保存安定性および吐出の点から必要であることがわかった。
【0048】
検討結果3(実施例14〜23及び比較例17〜25)について、図10を用いて説明する。顔料と樹脂の含有量及び固形分含有率について検討した。上記の自己分散型カーボンブラック:C2と、水分散性ポリエステル樹脂:P4、及び水分散性スチレン−アクリル系樹脂:S2を使用して下記組成にてインクを調整し、上記のアシッドイエロー23を色材とするイエロー染料インクと組合わせてインクセットとし、上記評価テストにより滲み、混色、光学濃度の評価およびインクの保存安定性と吐出性の試験を行った。自己分散型カーボンブラックを色材とするインクの調整およびインク溶媒(組成)は検討結果1と同様である。以下、色材と樹脂の組合せのみを記載する。
【0049】
図10にインクの組成と評価結果を示す。顔料と樹脂の含有量を併せた固形分含有率が1.0〜16(重量%)の範囲にある実施例14〜23で良好な結果が得られた。固形分含有率が1.0重量%よりも小さくなると比較例17,19に見られるように滲みや混色が生じ画質が低下する。固形分含有率が16重量%を超えると比較例23,24に見られるように吐出性が低下する。また、顔料の含有率が10重量%を超えると比較例25に見られるようにインクの保存安定性試験において顔料の凝集・沈降が生じ且つ吐出性も良くない。そして、自己分散型顔料に対する水分散性樹脂の含有比率が5部を超えると、比較例18,20,22に見られるように光学濃度が低くなり、同含有比率が0.2部より低くなると、比較例21に見られるように滲み・混色が生じる。
【0050】
以上の検討より、自己分散型顔料に対する水分散性樹脂の含有比率が0.2部以上5部以下の範囲で、顔料と樹脂の含有量を併せた固形分含有率が1.0〜16(重量%)の範囲にあることが好ましいことがわかった。
【0051】
検討結果4(実施例24〜35及び比較例26〜39)について、図11を用いて説明する。インクの溶媒としてアルキレングリコールアルキルエーテルの種類と含有量について検討した。上記の自己分散型カーボンブラック:C2と、水分散性ポリエステル樹脂:P3を使用して、アルキレングリコールアルキルエーテルの種類と含有量を変化させその他の成分は下記組成にて黒顔料インクを調整した。調整された黒顔料インクは、上記のアシッドイエロー23を色材とするイエロー染料インクと組合せてインクセットとし、上記評価テストにより滲み、混色、裏映りの評価およびインク吐出性の試験を行った。黒顔料インク組成を以下に示す。
・自己分散型カーボンブラック:C2(約100nm) ・・・2.5重量%
・水分散性ポリエステル樹脂:P3(約120nm) ・・・3.5重量%
・ジエチレングリコール ・・・12.0重量%
・アルキレングリコールアルキルエーテル ・・・任意(下記の実験値による)
・グリセリン ・・・10.0重量%
・1.5−ペンタンジオール ・・・5.0重量%
・サーフィノール(非イオン性界面活性剤) ・・・0.6重量%
・水 ・・・残余
【0052】
上記黒顔料インクの調整は検討結果1と同様に調整した。尚、検討したアルキレングリコールアルキルエーテルの種類と含有量のみを記載し評価結果と併せて図11に示す。
【0053】
上記の評価結果よりインク溶媒は、水と、アルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%含有することが好ましい。アルキレングリコールアルキルエーテルの種類としては、ジプロピレングリコール−n−プロピレンエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの群から選択されることが好ましい。アルキレングリコールアルキルエーテルは室温での蒸気圧がかなり低くインクの湿潤剤として働き、ノズルでの目詰まりや吐出性を改善する効果がある。また、樹脂及び顔料の含有量と併せて多価アルコールアルキルエーテルを5〜15重量%の範囲で溶媒に含有させることにより普通紙上でのインクの浸透性が高められ、滲みや混色を抑制し、且つ裏抜けが生じないという効果を奏することがわかった。
【0054】
これらの検討から本発明のインクは、少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェット用インクで、該樹脂の平均粒子径が該自己分散型顔料の平均粒子径以上で、水と有機溶剤からなるインク溶媒中に、顔料と樹脂よりなる固形分含有量が1.0〜16重量%であることにより、普通紙上でのインクの滲みや混色を抑制することができる。また、インク溶媒に、ジプロピレングリコール−n−プロピレンエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの群から選択されるアルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%の範囲で溶媒に含有させることにより、普通紙上でのインクの浸透性が高め、滲みや混色の無いより高画質な画像が形成でき、且つ裏抜けが生じないという効果を有する。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、普通紙上で滲み・混色・光学濃度・裏映り等の課題を同時に克服でき、吐出性に優れた顔料インクとなるインクジェットインク組成物及びインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例のインクジェットインク組成物の評価方法を説明する図。
【図2】実施例1〜4のインク組成を説明する図表。
【図3】比較例1、2のインク組成を説明する図表。
【図4】比較例3〜6のインク組成を説明する図表。
【図5】実施例1〜4及び比較例1〜6のインクの評価結果を説明する図表。
【図6】実施例5〜7及び比較例7のインク組成及び評価結果を説明する図表。
【図7】実施例8〜11及び比較例8〜10のインク組成及び評価結果を説明する図表。
【図8】実施例12、13及び比較例11〜14のインク組成及び評価結果を説明する図表。
【図9】比較例15、16のインク組成及び評価結果を説明する図表。
【図10】実施例14〜23及び比較例17〜25のインク組成及び評価結果を説明する図表。
【図11】実施例24〜35及び比較例26〜39のインク組成及び評価結果を説明する図表。
Claims (11)
- 少なくとも自己分散型顔料と、水分散性樹脂、有機溶剤、および水よりなるインクジェットインク組成物において、
前記水分散性樹脂の平均粒子径が自己分散型顔料の平均粒子径以上であり、かつ、水と有機溶剤からなるインク溶媒中における水分散性樹脂等の樹脂と顔料よりなる固形分含有量が、1.0〜16重量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物。 - 前記水分散性樹脂と自己分散型顔料の重量比率が、自己分散型顔料を1部に対して水分散性樹脂が0.2部以上5部以下である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記自己分散型顔料が、表面に親水性官能基を有する請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記親水性官能基が、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、またはアンモニウム基、あるいはそれらの混合、及びそれらの塩等の群から選択される基である請求項3に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記自己分散型顔料は、平均粒子径が200nm未満で、かつ、含有量が10重量%以下である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記水分散性樹脂の平均粒子径が250nm未満である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記水分散性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、それらの混合の群から選択される樹脂である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記インク溶媒が、少なくとも一つのアルキレングリコールアルキルエーテルを5〜15重量%含有する請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
- 前記アルキレングリコールアルキルエーテルが、ジプロピレングリコール−n−プロピレンエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの群から選択される少なくとも一つの多価アルコールアルキルエーテルである請求項8記載のインクジェットインク組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物からなるインクを吐出して被記録材上に画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が、該被記録材の表層に基材の一部が露出している普通紙あるいはコート紙である請求項10に記載のインクジェット記録方法。
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