JP2018204012A - インクジェット用水性インキ、及び印刷物の製造方法 - Google Patents

インクジェット用水性インキ、及び印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、様々な印刷基材対して、白抜けや混色滲みがなく、耐水性や耐擦過性にも優れる高品質な画像を得ることができ、かつ、デキャップ性や吐出安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することにある。また、上記課題を好適に解決するとともに、保存安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することにある。【解決手段】顔料、定着樹脂、有機溶剤、及び、水を含有するインクジェット用水性インキであって、前記定着樹脂が、AブロックとBブロックとからなるA−Bブロック重合体であり、前記Aブロックはアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含み、前記A−Bブロック重合体の酸価が5〜80mgKOH/gである、インクジェット用水性インキ。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用水性インキ、及び前記インクジェット用水性インキを用いた印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を印刷基材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ印刷基材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待されており、実際に溶剤インキやUVインキを用い、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック基材に対して印刷が可能な印刷機が市販されてきた。しかし近年、作業者や環境への負荷に対する対応といった点から、水性インキの需要が高まっている。
インクジェット用水性インキは、従来より、普通紙や写真光沢紙のような専用紙を印刷対象として開発が行われてきた。一方近年では、上記のように、インクジェット記録方式の用途拡大が期待されている中で、コート紙やアート紙のような塗工紙や、ポリ塩化ビニル、PET、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)のようなプラスチックフィルムに直接印刷するニーズが高まっている。普通紙や専用紙では、液滴を内部に吸収させることで描画を行うため、従来のインクジェット用水性インキを、上記の塗工紙やプラスチックフィルムへ印刷すると、インキが定着せず、著しく画像品質の劣る画像となってしまう。
上記問題の解決のため、本出願人は以前、特許文献1にて、特定の溶解性パラメータ値を有する有機溶剤を含むインクジェット用水性インキを提案した。しかしながら、前記特定の溶解性パラメータは、印刷基材中の可塑剤との親和性を考慮したものであり、当該水性インキを、可塑剤を含まない印刷基材に使用しても、画像品質の向上には至らない恐れがあった。
一方特許文献2には、コート紙への直接印刷を可能とすべく、アクリル系共重合樹脂を使用したインキが開示されている。この方法によれば、アクリル系共重合樹脂が印字後に成膜することで、吸水性の低い印刷基材へのインキの定着が可能となるうえ、印刷物の耐擦過性も向上する。しかしながらこのインキは、長期待機や間欠印刷の際に、インクジェットヘッド表面で乾燥増粘しやすく、デキャップ性や吐出安定性が悪化するといった不具合が懸念される。
また特許文献3には、ガラス転移温度が90℃以上である樹脂と、40℃以下である樹脂とを併用したインクジェット用インキが開示されている。しかしながら、ガラス転移温度が40℃以下である樹脂が、インクジェットヘッドノズルの界面に容易に固着し、デキャップ性の悪化を引き起こす可能性が高い。また、インキ中でガラス転移温度が40℃以下である樹脂同士が融着・凝集することによる、インキの保存安定性の悪化も懸念される。
以上のように、普通紙や光沢紙といった従来から使用されている印刷基材に加え、コート紙、アート紙、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム等の非浸透性基材に対しても、白抜けや混色滲みがなく、耐水性や耐擦過性にも優れる高品質な画像を得ることができ、かつ、デキャップ性や吐出安定性にも優れ、更に好ましくは保存安定性にも優れるインクジェット用水性インキは、これまでに存在しない現状であった。
特開2010−248357号公報 特開2011−094082号公報 特開2008−184547号公報
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、普通紙や光沢紙といった従来から使用されている印刷基材に加え、コート紙、アート紙、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム等の難吸収性基材に対しても、白抜けや混色滲みがなく、耐水性や耐擦過性にも優れる高品質な画像を得ることができ、かつ、デキャップ性や吐出安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することにある。また本発明の別の目的は、上記に加え、保存安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することにある。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、顔料、定着樹脂、有機溶剤、及び、水を含有するインクジェット用水性インキであって、前記定着樹脂が、それぞれ、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種である、AブロックとBブロックとからなり、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含み、前記Aブロックに含まれる構造単位の量が規定され、かつ、特定の酸価を有する、A−Bブロック重合体を含む、インクジェット用水性インキによって、上記の課題が解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、顔料、定着樹脂、有機溶剤、及び、水を含有するインクジェット用水性インキであって、
前記定着樹脂が、AブロックとBブロックとからなるA−Bブロック重合体であり、
前記Aブロックはアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含み、
前記Aブロックおよび前記Bブロックは、それぞれ独立に、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、およびスチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種からなるブロックであり、
前記Aブロックに含まれる構造単位の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%であり、
前記Aブロックに含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して85モル%以上であり、
前記A−Bブロック重合体の酸価が5〜80mgKOH/gである、インクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記Aブロックに含まれる、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記Aブロックに含まれる全構造単位に対して、40〜80重量%である、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記Bブロックのガラス転移温度(TgB)が、70〜110℃である、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記Bブロックが、炭素数8〜30のアルキル基を有する構造単位(P−2)及び/または芳香環を有する構造単位(P−3)を含む、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記Bブロックが、前記炭素数8〜30のアルキル基を有する構造単位(P−2)として、炭素数10〜30のアルキル基を有する構造単位を含む、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記Bブロックが、前記芳香環を有する構造単位(P−3)として、スチレン系構造単位を含む、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、前記有機溶剤が、グリコールエーテル及び/または炭素数3以上の1,2−アルカンジオールを含む、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、更に界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、ポリシロキサン系界面活性剤を含む、上記記載のインクジェット用水性インキに関する。
また本発明は、上記記載のインクジェット用水性インキを、基材上に印刷する印刷物の製造方法に関する。
また本発明は、上記印刷物の製造方法で製造された印刷物に関する。
本発明により、普通紙や光沢紙といった従来から使用されている印刷基材に加え、コート紙、アート紙、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム等の難吸収性基材に対しても、白抜けや混色滲みがなく、耐水性や耐擦過性にも優れる高品質な画像を得ることができ、かつ、デキャップ性や吐出安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することが可能となった。また、上記に加え、保存安定性にも優れるインクジェット用水性インキを提供することが可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明について説明する。
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)であるインクジェット用水性インキは、普通紙や光沢紙といった従来から使用されている印刷基材に加え、コート紙、アート紙、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム等の難吸収性基材に対しても、インクジェット記録方式の印刷を行うために好適に使用できる。以下、上記インキを構成する主要な成分について具体的に説明する。
(定着樹脂)
(A−Bブロック重合体)
本実施形態のインクジェット用水性インキで用いる定着樹脂は、AブロックとBブロックとからなり、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含む、A−Bブロック重合体を含む。前記Aブロック及び前記Bブロックは、それぞれ、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種である。また、前記Aブロックに含まれる構造単位のモル量は、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%であり、前記Aブロックに含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量は、前記A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して85モル%以上である。更に、前記A−Bブロック重合体の酸価は5〜80mgKOH/gである。アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の大部分を有するAブロックは親水性が強く、Bブロックは疎水性が強い。
前記A−Bブロック重合体により、上記課題が解決できる原理としては、以下が考えられる。ただし、下記原理は推論であり、何ら本発明を限定するものではない。まず、ブロック間で親水・疎水性の程度が異なるA−Bブロック重合体を用いることによって、水性インキ中でBブロックの分子鎖が自由に広がったり絡み合ったりすることがなくなり、半乾燥時の増粘を低く抑えることができる。また、半乾燥状態のインキは、Aブロックに起因した再溶解性に優れると考えられる。これにより、印刷ジョブ間の小休止や間欠吐出の際、一時的に使用されないインクジェットヘッドノズルの界面で、水や溶媒成分が揮発したとしても、吐出不良を起こりにくくでき、デキャップ性が良好となる。また、ノズル表面に半乾燥状態のインキが付着した場合であっても、ノズル詰まりやインキ液滴の飛行曲がりといった問題を起こすことなく、良好な吐出安定性を得ることができる。
更に、基材上に吐出・付着した後は、前記A−Bブロック重合体が、界面活性剤のように機能すると考えられる。すなわち、前記A−Bブロック重合体が気液界面に配向することで、隣接するインキ液滴同士の合一が抑制される。またインキの表面自由エネルギーが低下することで、基材に対する濡れ広がり性が向上する。これにより、白抜けや混色滲みのない高品質な画像を得ることができると考えられる。
一方、A−Bブロック重合体の構成によっては、水や溶媒成分が完全に揮発した後の画像において、耐水性や耐擦過性が悪化する恐れがある。本発明者らが鋭意検討した結果、Aブロックの大きさや、A−Bブロック重合体の酸価を好適な範囲とすることにより、デキャップ性、吐出安定性、画像品質を好適に維持しながら、画像の耐水性や耐擦過性の悪化を抑制できることを見出した。すなわち、Aブロックに含まれる構造単位のモル量を、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%とし、前記A−Bブロック重合体の酸価を5〜80mgKOH/gとすることで、Aブロックの親水性とBブロックの疎水性とのバランスが好適なものとなる。
以上のように、Aブロックに含まれる構造単位のモル量が規定され、かつ、特定の酸価を有するA−Bブロック重合体を含むインクジェット用水性インキによって、耐水性や耐擦過性に優れ、白抜けや混色滲みのない高品質な画像が得られるとともに、デキャップ性や吐出安定性を良化させることが可能となる。
(アニオン性官能基を有する構造単位(P−1))
アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を構成する単量体としては、従来公知の単量体を任意に使用できる。特に、カチオン性官能基を有さず、アニオン性官能基のみを有する単量体を選択することが好ましい。またアニオン性官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが例示でき、中でも、デキャップ性や吐出安定性が向上する点から、カルボキシル基を選択することが好ましい。
特に限定するものではないが、上記単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルオキシエチルコハク酸、メタクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリロイルオキシエチルフタル酸、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリロイルオキシイソ酪酸、メタクリロイルオキシイソ酪酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルオキシエチルホスホン酸、メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−(ホスホノオキシ)エチル(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸、スチレンスルホン酸、スチレンホスホン酸、等が挙げられる。なお本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を表す。
ある好ましい実施形態では、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)が有するアニオン性官能基は、カチオン性物質によって中和される。カチオン性物質によって中和することで、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の大部分を有するAブロックの親水性が向上する。前記カチオン性物質を例示すると、アンモニア、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン、等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、等のアルカノールアミン;ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、等の金属の水酸化物;等が挙げられる。上記の中でも、有機アミンやアルカノールアミンは、前記成分が印刷後に揮発することに起因すると考えられる、印刷物の耐水性の更なる向上が実現できるため、好ましく選択される。
(アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)以外の構造単位)
前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)以外の構造単位(以下、「その他の構造単位」ともいう)を構成する単量体も、従来公知のものから任意に選択できる。その他の構造単位は、大部分がBブロックに含まれる。そのため、前記Bブロックの疎水性を好適なものとする観点から、前記その他の構造単位を構成する単量体は、カチオン性官能基やアニオン性官能基を含まないことが好ましい。
特に限定するものではないが、上記単量体として、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アラキル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロトイル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、メリッシル(メタ)アクリレート、ドトリアコンタノイル(メタ)アクリレート、テトラトリアコンタノイル(メタ)アクリレート、ヘキサトリアコンタノイル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;
(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノブチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクチルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノフェニルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノドデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノヘキサデシルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクタデシルエーテル等のアルキレンオキサイド鎖含有(メタ)アクリル系単量体;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリル系単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;
ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジイソブテニルベンゼン等の多官能性スチレン系単量体;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリル系単量体;等が挙げられる。なお「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を表す。
本実施形態のインクジェット用水性インキでは、上記例示した単量体を用いて、従来公知のブロック重合体の製造方法により製造したA−Bブロック重合体を、いずれも好適に利用することができる。中でも、前記重合体の分子量分布を狭めることができ、その制御も容易である点から、リビングラジカル重合法で製造したA−Bブロック重合体を用いることが好ましい。なおリビングラジカル重合法には、NMP法、ATRP法、RAFT法、TERP法といった種々の方法があり、そのいずれを選択してもよい。
一般にインクジェット用水性インキに使用される定着樹脂として、エマルジョン、水溶性樹脂、及び両者の中間的形態であるハイドロゾルが知られている。本明細書において「エマルジョン」とは、乳化剤を樹脂粒子表面に吸着させ、分散媒中に分散させた形態を指す。また「ハイドロゾル」とは、樹脂中に存在する酸性及び/または塩基性の官能基が、中和された状態で分散媒中に存在している形態であり、粒子性を有する一方、その表面の少なくとも一部が膨潤及び溶解しているという特徴を有する。本実施形態のインクジェット用水性インキでは、A−Bブロック重合体として上記のいずれの形態であってもよい。
このうちエマルジョンやハイドロゾルは、水溶性樹脂と比較して高分子量であること、またインキ粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をインキ中に含有させられることから、印刷物の耐水性や耐擦過性を高めるのに適している。一実施形態において、エマルジョンやハイドロゾルの形態をとるA−Bブロック重合体を用いる場合、その体積平均粒子径(D50)は、10〜300nmであることが好ましく、20〜250nmであることがより好ましい。平均粒子径が10nm以上である場合、耐水性や耐擦過性に優れる印刷物となるうえ、インキ中でA−Bブロック重合体同士が融着を起こさず、保存安定性に優れるインキが得られる。また300nm以下である場合、インクジェットヘッドノズルでの詰まりを起こすことのない、吐出安定性に優れたインキが得られる。なお上記体積平均粒子径は、マイクロトラック・ベル社製のナノトラックUPA−EX150を用い、必要に応じて試料を水で希釈して測定した、メディアン径である。
上記の通り、本実施形態のインクジェット用水性インキで用いるA−Bブロック重合体は、エマルジョン、ハイドロゾル、水溶性樹脂のいずれの形態であってもよいが、ハイドロゾル、または、水溶性樹脂の形態であることが好ましい。一実施形態において、A−Bブロック重合体が、ハイドロゾルまたは水溶性樹脂である場合、以下に示す「ローディングインデックス値」が10以下であるものが好ましく用いられる。
「ローディングインデックス値」とは、試料であるA−Bブロック重合体の水溶液または分散液に、レーザー光を照射した時の散乱光総量から算出される値である。水溶性樹脂の場合は、A−Bブロック重合体全体が水に溶解し、またハイドロゾルの場合は、A−Bブロック重合体の表面が水に膨潤及び溶解している。そのため、前記レーザー光の樹脂表面での散乱が弱くなると考えられる。すなわち、ローディングインデックス値によって、水に対するA−Bブロック重合体の溶解性を判断できる。
「ローディングインデックス値」は、例えば、マイクロトラック・ベル社製のナノトラックUPA−EX150を用いて、以下の方法によって確認することができる。まず、25℃の環境下において、水を分散媒として、セットゼロ(バックグラウンド測定)を実施する。次に、上記装置のサンプルセル内に、固形分濃度が10重量%となるように調整した、A−Bブロック重合体の水溶液または分散液を投入する。前記水溶液または分散液の液面が静かになった後、サンプルローディングを実行して、表示されるローディングインデックス値を確認する。
ある好ましい実施形態において、インクジェット用水性インキ中の、A−Bブロック重合体の含有量は、不揮発分換算で、前記水性インキ全重量に対して1〜15重量%の範囲であり、2〜12.5重量%であることがより好ましく、3〜10重量%であることが特に好ましい。A−Bブロック重合体の含有量を上記範囲内に収めることで、デキャップ性や吐出安定性に優れるとともに、印刷物の耐水性や耐擦過性を好適なものにできる。
なお、本実施形態のインクジェットインキは、構成の異なるA−Bブロック重合体を2種類以上含んでいてもよい。
上記の通り、本実施形態のインクジェット用水性インキで用いるA−Bブロック重合体の酸価(AvP)は5〜80mgKOH/gであり、より好ましくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜60mgKOH/gである。前記酸価範囲に含まれるA−Bブロック重合体は、上記の通り、親水・疎水性のバランスに優れ、デキャップ性や吐出安定性と、画像の耐水性とを両立できる。
なお本明細書において、「酸価」とは、1gの試料中に含まれる酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH/g)を意味する。重合体や、後述する各ブロックの酸価は、前記重合体や各ブロックを構成する単量体の構成から算出してもよいし、実験的に測定してもよい。実験的に測定する方法を例示すると、京都電子工業社製の電位差自動滴定装置AT−710Sを用い、水酸化カリウムのエタノール溶液(0.1mol/L)で試料溶液を滴定する。滴定終了後、終点到達までに添加した前記エタノール溶液の量から、酸価を算出する。
ある好ましい実施形態において、A−Bブロック重合体のガラス転移温度(TgP)は60〜120℃であり、より好ましくは65〜110℃であり、特に好ましくは70〜105℃である。前記ガラス転移温度範囲に含まれるA−Bブロック重合体は、インキ中で融着を起こさないため、保存安定性に優れるインキを得ることができる。また、印刷物の強靭性に優れるため、好適な耐擦過性を有する印刷物を得ることができる。
なお、重合体や後述する各ブロックのガラス転移温度は、前記重合体や各ブロックを構成する単量体の構成から算出してもよいし、実験的に測定してもよい。ガラス転移温度を、前記重合体や各ブロックを構成する単量体の構成から算出する方法として、例えば、下記式(1)で表されるFOX式がある。
式(1):

1/Tg = Σ(Wn/Tgn)
上記式(1)において、Tgは、重合体や各ブロックのガラス転移温度(K)を表し、Wnは、前記重合体や各ブロックを構成する各構造単位の質量分率を表し、Tgnは、前記各構造単位のホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。前記Tgnは、例えばJ.Brandrupら編、「ポリマーハンドブック(第4版)」(Wiley社、1998年)記載の値を使用できる。
また、重合体や各ブロックのガラス転移温度を実験的に測定する方法を例示すると、島津製作所製の示差走査熱量計DSC−60PLUSを用い、試料量約10mg、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件にて熱分析を行う。測定終了後、得られたDSC曲線から、ガラス転移温度を読み取る。
ある実施形態において、A−Bブロック重合体の数平均分子量(MnP)は3,000〜30,000であることが好ましく、4,000〜28,000であることがより好ましく、5,000〜26,000であることが更に好ましい。数平均分子量が3,000以上であれば、耐水性や耐擦過性に優れた印刷物が得られ、30,000以下であれば、吐出安定性に優れたインキを得ることができる。
更に一実施形態において、前記A−Bブロック重合体は、前記数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.0〜2.5であることが好ましく、1.0〜2.0であることが特に好ましい。上記を満たすA−Bブロック重合体は、印刷物の耐水性や耐擦過性を悪化させる可能性がある、高分子量成分の割合が少なく、前記特性に優れた印刷物を得ることができる。また、保存安定性に悪影響を与える可能性のある、低分子量成分の割合も少ないことから、保存安定性に優れたインキを得ることができる。
なお、A−Bブロック重合体や後述する各ブロックの数平均分子量、重量平均分子量や、それらの比は、常法によって測定することができる。例えば、RI(屈折率)検出器と、東ソー社製のTSKgelカラムとを装備した、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製HLC−8220)を用いて測定することができる。展開溶媒にTHFを用い、数種のポリスチレン標準試料により作成した検量線を用いて、試料の有する分子量分布を算出・換算する。
(Aブロック)
上記の通り、Aブロックは、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を、A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して85モル%以上含有し、親水性を有する。なお、Aブロックの親水性とBブロックの疎水性とを明確に区別化し、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させる観点から、Aブロックに含まれる、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量は、A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましい。
また上記の通り、Aブロックに含まれる構造単位のモル量は、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%であり、好ましくは5〜20モル%、更に好ましくは5〜16モル%である。上記範囲に収めることで、インキのデキャップ性が良化するとともに、インキ液滴界面への配向機能が好適に発現することで、印刷物の白抜けや混色滲みを防止できる。
更にAブロックには、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)以外の構造単位が含まれていてもよい。その場合、Aブロックに含まれるアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の重量は、Aブロックに含まれる全構造単位の重量に対して40〜80重量%であることが好ましく、40〜75重量%であることがより好ましく、45〜70重量%であることが更に好ましい。Aブロックに含まれるアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の重量比が上記範囲内であれば、前記Aブロックが好適な親水性を有するため、半乾燥時の再溶解性に優れ、デキャップ性や吐出安定性が向上する。
Aブロックを構成する構造単位を構成する単量体として、上記に例示した化合物から1種、または2種以上が任意に選択できる。そのうち、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)としては、上記の観点からカルボキシル基を有する単量体が好ましく選択される。また、材料の入手が容易な点、合成時の反応性が良好である点、Aブロックの酸価やガラス転移温度を、後述の好適な範囲に収めることができる点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく選択される。
また、その他の構造単位を構成する単量体として、材料の入手が容易な点や、Aブロックのガラス転移温度や数平均分子量を、後述の好適な範囲に収めることができる点から、スチレン系単量体、炭素数8未満のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体、エチレンオキサイド鎖含有(メタ)アクリル系単量体から選択される1種以上を選択することが好ましい。中でも、合成時の反応性が良好である点、Aブロックのガラス転移温度を、後述の特に好適な範囲に収めることができる点から、炭素数4以下のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体が特に好ましく選択される。
ある好ましい実施形態において、Aブロックの酸価(AvA)は150〜600mgKOH/gであり、より好ましくは200〜530mgKOH/gであり、更に好ましくは250〜460mgKOH/gである。前記酸価範囲に含まれるAブロックは、特に好適な親水性を有しており、デキャップ性や吐出安定性を向上させることができる。なおAブロックの酸価は、上記に示した方法により、算出または測定できる。
またある好ましい実施形態において、Aブロックのガラス転移温度(TgA)は50〜120℃であり、より好ましくは60〜120℃であり、更に好ましくは70〜120℃である。Aブロックは親水性が強く、インキ中では、Bブロックを覆うように存在していると考えられる。ここで、前記ガラス転移温度範囲に含まれるAブロックは、好適な強靭性を有するため、インキ中でA−Bブロック重合体同士が融着することがなく、保存安定性や吐出安定性に優れるインキを得ることができる。なおAブロックのガラス転移温度は、上記に示した方法により、算出または測定できる。
またある実施形態において、Aブロックの数平均分子量(MnA)は350〜5,000であることが好ましく、400〜4,000であることがより好ましく、500〜3,000であることが特に好ましい。前記数平均分子量を有するAブロックを含むA−Bブロック重合体を用いたインキであれば、印刷物の耐水性や耐擦過性が向上するうえ、インキ液滴界面への配向機能が好適に発現することで、印刷物の白抜けや混色滲みを防止できる。なお、Aブロックの数平均分子量は、上記の方法により測定できる。
(Bブロック)
A−Bブロック重合体に含まれるBブロックは、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して15モル%以下であり、疎水性を有する。なおAブロックの親水性とBブロックの疎水性とを明確に区別化し、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させる観点から、Bブロックに含まれる、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量は、A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることが更に好ましい。なお、Bブロックに含まれる、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量は、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して0モル%であってもよい。また後述のように、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量が0モル%、すなわち、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を実質的に含まないことが好ましい。
Bブロックに、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)が含まれる場合、その重量は、Bブロックに含まれる全構造単位の重量に対して30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることが更に好ましい。Bブロックに含まれるアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の重量比が上記範囲内であれば、前記Bブロックが優れた疎水性を有するため、印刷物の耐水性や耐擦過性が向上する。更に、Aブロックの親水性とBブロックの疎水性とが明確に区別化でき、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させることができる。なお、Bブロックに含まれる、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)のモル量は、Bブロックに含まれる全構造単位の重量に対して0モル%であってもよい。また後述のように、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)が0モル%、すなわち、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を実質的に含まないことが好ましい。
また上記理由により、本実施形態であるインクジェット用水性インキに用いるA−Bブロック重合体は、特に、Bブロックがアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を実質的に含まないことが好ましい。なお、本明細書において「実質的に含まない」とは、対象となる材料を意図的に添加しないことを表すものであり、例えば、不純物や副生成物として含まれる当該材料の存在を排除するものではない。具体的には、Bブロックに非意図的に含まれるアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の量は、Bブロックに含まれる全構造単位の重量に対して5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
Bブロックを構成する構造単位を構成する単量体は、上記に例示した化合物から1種、または2種以上が任意に選択できる。そのうち、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)としては、材料の入手が容易な点や、Bブロックのガラス転移温度や数平均分子量を、後述の好適な範囲に収めることができる点から、カルボキシル基を有する単量体が好ましく選択され、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましく選択される。
また、その他の構造単位を構成する単量体としては、材料の入手が容易な点や、Bブロックの疎水性を好適なものにできる点、Bブロックのガラス転移温度や数平均分子量を、後述の好適な範囲に収めることができる点から、炭素数8〜30のアルキル基を有する単量体、及び/または、スチレン系単量体や芳香環含有(メタ)アクリル系単量体等の芳香環を有する単量体を含むことが好ましい。中でも、前記Bブロックが炭素数8〜30のアルキル基を有する単量体を含む場合、Bブロックの疎水性を特に好適なものとし、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させることができる点から、炭素数10〜30のアルキル基を有する単量体であることがより好ましく、炭素数12〜28のアルキル基を有する単量体であることが更に好ましく、炭素数18〜24のアルキル基を有する単量体であることが特に好ましい。また、前記Bブロックが芳香環を有する単量体を含む場合、合成時の反応性が良好である点や、Bブロックのガラス転移温度を特に好適なものとし、印刷物の耐水性や耐擦過性を向上できる点から、スチレン系単量体を含むことが好ましい。
なお、Bブロックがアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を実質的に含まない実施形態の場合、前記Bブロック自身もまたブロック構造であってもよい。
ある好ましい実施形態において、Bブロックの酸価(AvB)は0〜50mgKOH/gであり、より好ましくは0〜35mgKOH/gであり、更に好ましくは0〜20mgKOH/gである。前記酸価範囲に含まれるBブロックは、好適な疎水性を有しており、またAブロックの親水性とBブロックの疎水性とが明確に区別化できる状態となるため、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させることができる。また、印刷物の耐水性を向上することもできる。なおBブロックの酸価は、上記に示した方法により、算出または測定できる。
また、ある好ましい実施形態において、Bブロックのガラス転移温度(TgB)は70〜110℃であり、より好ましくは75〜110℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。上記ガラス転移温度範囲に含まれるBブロックの場合、印刷物の強靭性が向上することから、印刷物の耐擦過性を特に向上させることができる。なおBブロックのガラス転移温度は、上記に示した方法により、算出または測定できる。
また、ある実施形態において、Bブロックの数平均分子量(MnB)は2,650〜25,000であることが好ましく、3,500〜23,000であることがより好ましく、4,500〜21,000であることが更に好ましく、5,000〜20,000であることが特に好ましい。前記数平均分子量を有するBブロックを含むA−Bブロック重合体は、Aブロックの親水性とBブロックの疎水性とのバランスが好適なものとなる。そのため、当該A−Bブロック重合体を用いたインキでは、デキャップ性や吐出安定性と、画像の耐水性や耐擦過性とを両立できる。なお、Bブロックの数平均分子量は、例えば、A−Bブロック重合体の数平均分子量から、Aブロックの数平均分子量を減じることで算出できる。
また、ある実施形態において、Bブロックのアミン価は0〜10mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは0〜5mgKOH/gであり、更に好ましくは0〜2mgKOH/gである。前記アミン価を有するBブロックは、好適な疎水性を有し、またAブロックの親水性とBブロックの疎水性とが明確に区別化できる状態となるため、インキ液滴界面への配向機能を好適に発現させることができる。なおBブロックのアミン価は、前記Bブロックを構成する単量体の構成から算出してもよいし、JIS K 7237に定められた滴定法による測定によって求めてもよい。
(A−Bブロック重合体以外の定着樹脂)
本実施形態のインクジェット用水性インキは、A−Bブロック重合体の他に、定着樹脂として、従来公知の樹脂を含んでもよい。
ある実施形態では、A−Bブロック重合体以外の定着樹脂として、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種以上の重合体(以下、「その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂」ともいう)を含む。これらの樹脂は、A−Bブロック重合体との相溶性に優れる点から、好適に選択される。
一実施形態において、A−Bブロック重合体以外の定着樹脂として、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、その形態は水溶性樹脂であることが好ましい。A−Bブロック重合体の構成を有していない、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂が、エマルジョンやハイドロゾルの形態を有する場合と比較して、デキャップ性や吐出安定性を悪化させることなく、印刷物の耐水性、耐擦過性や、密着性等の特性を向上できるためである。
その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂として水溶性樹脂を用いる場合、その重量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下の範囲内であることが好ましく、20,000以上40,000以下の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000以上である場合、印刷物の耐擦過性や密着性を高めることが容易である点で好ましい。一方、重量平均分子量が50,000以下である場合、インクジェットヘッドからの吐出安定性の悪化を抑制できる。なお、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、上記の方法により測定できる。
また、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂として水溶性樹脂を選択する場合、前記水溶性樹脂の酸価も重要となる。一実施形態において、水溶性樹脂の酸価は1〜100mgKOH/gであることが好ましく、3〜80mgKOH/gであることがより好ましく、5〜60mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が1mgKOH/g以上の場合、水性インキ組成物が固化した後でも、再度溶解することが可能である。そのため、インクジェットヘッドノズル上での目詰まりの発生を抑制し、良好な吐出安定性を維持することができる。一方、酸価が100mgKOH/g以下の場合、印刷物の耐水性の低下を抑制することが容易となる。なお、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂の酸価は、上記の方法により算出または測定できる。
一実施形態において、A−Bブロック重合体と、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂とを併用する場合、A−Bブロック重合体の配合量に対する、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂の配合量は、30〜300重量%であることが好ましく、60〜200重量%であることが好ましい。上記範囲内に収めることで、両材料の相溶性が好適なものとなり、それぞれの機能が好適に発現される。
一方、別の好ましい実施形態では、A−Bブロック重合体以外の定着樹脂として、ポリオレフィンワックスエマルジョン(以下、「その他のワックスエマルジョン」ともいう)を含む。詳細な理由は不明であるが、これらの樹脂は、A−Bブロック重合体と併用しても、安定にインキ中に分散させることが可能であり、また、印刷物の耐擦過性を特段に向上できる点から、好適に選択される。更に、印刷基材としてポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン、発砲スチロール、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート等のプラスチック基材を用いる場合、前記基材に対する密着性にも優れる印刷物となる。
A−Bブロック重合体以外の定着樹脂として、その他のワックスエマルジョンを用いる場合、その体積平均粒子径(D50)は、10〜200nmであることが好ましく、20〜180nmであることがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、上記の機能を好適に発現させることが可能となる。また、インクジェットヘッドノズルでの詰まりを起こすことのない、吐出安定性に優れたインキが得られる。なお上記体積平均粒子径は、上記の方法により測定できる。
一実施形態において、A−Bブロック重合体と、その他のワックスエマルジョンとを併用する場合、A−Bブロック重合体の配合量に対する、その他のワックスエマルジョンの配合量は、10〜100重量%であることが好ましく、20〜80重量%であることが好ましい。上記範囲内に収めることで、それぞれの機能が好適に発現される。
またある実施形態では、A−Bブロック重合体と、その他の(スチレン−)(メタ)アクリル系樹脂と、その他のワックスエマルジョンとを併用してもよい。その場合、樹脂の総量に対する、A−Bブロック重合体の配合量は、20〜90重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることが好ましい。上記範囲内に収めることで、A−Bブロック重合体の機能を有効に発現させることができる。
(有機溶剤)
本実施形態のインクジェット用水性インキは、有機溶剤を含む。前記有機溶剤として、従来公知の化合物を自由に選択・使用できる。中でも、Fedor法によるSP値が10.0〜13.5(cal/cm31/2である有機溶剤(以下、「低SP値溶剤」ともいう)を選択することが好ましい。上記の通り、A−Bブロック重合体は、インキ中で、AブロックがBブロックを覆うように存在していると考えられる。一方で、低SP値溶剤は前記Aブロックとの親和性が高い。その結果、半乾燥状態のインキに対する再溶解性が良化し、吐出安定性に優れたインキを得ることができる。
更に、一般にSP値が小さい有機溶剤は、表面張力が小さい傾向にある。上記低SP値溶剤も、表面張力が小さいものが多く、印刷基材上で十分に濡れ広がり、白抜けの少ない画像品質を得ることが可能となる。また十分に濡れ広がることで、印刷基材上に着弾した後の液滴の面積が大きくなり、浸透や揮発による乾燥性の向上にも繋げることができ、結果として混色滲みを抑え、鮮明な印刷物を得ることができる。
なお、Fedor法によるSP値とは、具体的には下記式(2)により算出される値である。
式(2):

(SP値)=(ΣEcoh/ΣV)1/2
上記式(2)において、Ecohは、官能基ごとに定められた凝集エネルギーを表し、Vは、官能基ごとに定められたモル分子容を表す。なお前記EcohやVは、R.F.Fedors、「Polymer Engineering&Science」(第14巻、第2号、1974年、p.147−154)に記載されている。
また、低SP値溶剤の中でも、1気圧下における沸点が150〜250℃である有機溶剤を選択することが特に好ましく、180〜235℃である有機溶剤を選択することが極めて好ましい。前記沸点の有機溶剤を用いることで、デキャップ性や画像品質を向上できる。なお、1気圧下における沸点は、例えば熱分析装置を用い測定することができる。
一実施形態において、好ましく用いることができる低SP値溶剤を例示すると、メタノール(SP値11.8、沸点65℃)、エタノール(SP値11.4、沸点78℃)、1−プロパノール(SP値11.8、沸点97℃)、2−プロパノール(SP値11.0、沸点83℃)、1−ブタノール(SP値11.3、沸点117℃)、tert−ブタノール(SP値10.9、沸点82℃)、1−メトキシ−2−ブタノール(SP値10.9、沸点135℃)、2−メトキシ−1−ブタノール(SP値10.9、沸点146℃)、3−メトキシ−1−ブタノール(SP値10.9、沸点158℃)、3−メトキシ−1−ブタノール(SP値10.9、沸点158℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(SP値10.5、沸点174℃)、等の1価アルコール系溶剤;
1,2−プロパンジオール(SP値13.5、沸点188℃)、1,2−ブタンジオール(SP値12.7、沸点194℃)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(SP値12.7、沸点197℃)、1,2−ペンタンジオール(SP値12.2、沸点210℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(SP値12.9、沸点214℃)、1,2−ヘキサンジオール(SP値11.8、沸点223℃)、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(SP値13.3、沸点226℃)、1,2−ヘプタンジオール(SP値11.5、沸点227℃)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(SP値12.8、沸点230℃)、ジプロピレングリコール(SP値13.3、沸点230℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(SP値12.4、沸点244℃)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(SP値13.4、沸点249℃)、トリプロピレングリコール(SP値12.1、沸点273℃) 、テトラエチレングリコール(SP値12.8、沸点328℃)、等のジオール系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル(SP値12.0、沸点125℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値11.0、沸点142℃)、エチレングリコールモノアリルエーテル(SP値11.4、沸点159℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値10.7、沸点161℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値10.8、沸点171℃);ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値11.2、沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値10.9、沸点196℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(SP値10.6、沸点207℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(SP値10.4、沸点220℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値10.5、沸点231℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(SP値10.2、沸点259℃)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(SP値11.5、沸点302℃);トリエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.7、沸点249℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値10.3、沸点271℃)、等のエチレングリコールモノエーテル系溶剤;
プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.9、沸点121℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(SP値10.5、沸点150℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.4、沸点187℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.1、沸点242℃)、等のプロピレングリコールモノエーテル系溶剤;
2−ピロリドン(SP値12.6、沸点245℃)、N−メチルピロリドン(SP値10.1、沸点202℃)、等のピロリドン系溶剤;等が挙げられる。ただし上記記載のSP値の単位は、いずれも(cal/cm31/2であり、沸点は1気圧下における値である。また上記の通り、これら溶剤の中でも、1気圧下における沸点が150〜230℃であるものが特に好適に選択される。
また上記例示した化合物の中でも、親水性を有するAブロックとの親和性に優れる点から、水酸基を2個以上有する化合物を選択することが好ましく選択される。更にその中でも、1,2−アルカンジオールを選択することが特に好適である。1,2−アルカンジオールは親水性ユニットである水酸基と疎水性ユニットであるアルキル基とが局在化しており、水に対する親和性が高く、インキの保存安定性や吐出安定性が良化する一方で、インキの表面張力を好適な範囲まで低下させることができ、インキの濡れ広がり性を向上させ、白抜けのない、優れた画像品質を有する印刷物が作製可能と考えられる。
一実施形態において、上記低SP値溶剤の配合量は、インクジェット用水性インキ全量に対し、5〜50重量%であることが好ましく、10〜45重量%であることがより好ましく、15〜40重量%であることが特に好ましい。配合量を上記範囲に収めることで、白抜けや混色滲みを好適に抑えることが可能となり、印刷基材によらず、優れた画像品質を有する印刷物が得られる。
また、デキャップ性、吐出安定性や、印刷物の耐水性や耐擦過性が良化する観点から、前記低SP値溶剤の配合量を決定するにあたり、A−Bブロック重合体の配合量も考慮することが好ましい。一実施形態において、低SP値溶剤の配合量が、A−Bブロック重合体の配合量の2〜35倍量であることが好ましく、2.5〜17.5倍量であることがより好ましく、3〜12倍量であることが特に好ましい。
本実施形態のインクジェット用水性インキでは、上記例示した有機溶剤に加えて、インキ粘度の調整、吐出安定性の向上、印刷物の密着性付与等を目的として、他の有機溶剤を使用することも可能である。使用可能な他の溶剤として、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N−エチルピロリドン、ガンマブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等が例示できる。
一方で、印刷基材によらず、混色滲み等の優れた画像品質や耐擦過性を有する印刷物を得る観点から、1気圧下における沸点が270〜400℃である有機溶剤を、インキ全量に対し0〜5重量%含むことが好ましく、より好ましくは0〜3重量%であり、更に好ましくは0〜1重量%である。なお本明細書において「0重量%」とは、対象となる有機溶剤を含まないことを表す。また、前記「1気圧下における沸点が270〜400℃である有機溶剤」には、上記低SP値溶剤のうち、1気圧下における沸点が270〜400℃であるものも含まれる。
また、デキャップ性を特段に向上させる観点から、1気圧下における沸点が100〜150℃である有機溶剤を、インキ全量に対し0〜5重量%含むことが好ましく、より好ましくは0〜3重量%であり、更に好ましくは0〜1重量%である。なお、前記「1気圧下における沸点が100〜150℃である有機溶剤」には、上記低SP値溶剤のうち、1気圧下における沸点が100〜150℃であるものも含まれる。また水は、「1気圧下における沸点が100〜150℃である有機溶剤」には含まれない。
(顔料)
本実施形態のインクジェット用水性インキで使用できる顔料を以下に例示する。なお以下に例示する顔料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料として好適に使用できる無機顔料の一例として、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、及びコバルトバイオレット、等が挙げられる。
また有機顔料の一例として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
更に詳しく、カラーインデックスで例示すると、シアン顔料としてはC.I.Pigment Blue 1、2、3、15:1、15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64等が挙げられる。
またマゼンタ顔料としてはC.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、120、122、146、147、149、150、168、170、177、178、179、184、185、188、202、206、207、209、238、242、254、255、264、269、282、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、32、36、37、38、40、50等が挙げられる。
またイエロー顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
またブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40nm、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品として、例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGA330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex160IQ、Nipex170IQ、Nipex75、Printex85、Printex95、Printex90、Printex35、PrintexU(以上、エボニックデグサ製)等があり、いずれも好ましく使用することができる。
カーボンブラックのほかにも、本発明で使用することができるブラック顔料としては、例えば、アニリンブラック、ルモゲンブラック、アゾメチンアゾブラック等が挙げられる。また、上記のシアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料や、下記のブラウン顔料、オレンジ顔料等の有彩色顔料を複数使用し、ブラック顔料とすることもできる。
また、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック以外の顔料としてはC.I.Pigment Green 7、10、36、C.I.Pigment Brown 3、5、25、26、C.I.Pigment Orange 2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、62、63、64、71等が挙げられる。
顔料の含有率は、インキの全重量を基準として0.5重量%以上15重量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1重量%以上12重量%以下であり、更に好ましくは1.5重量%以上10重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以上8重量%以下である。0.5重量%以上とすることで、画像濃度や鮮明性に優れた印刷物が作製できる。また、顔料の含有率が15重量%以下であるインキは、インクジェットヘッドノズル表面で、インキが半乾燥状態になったとしても、過剰量の顔料が凝集を起こすことがない。そのため、上記A−Bブロック重合体と併用することで、吐出安定性に優れたインキとなる。
(顔料分散樹脂)
長期間のインキの安定性を維持するため、上記顔料はインキ中に分散して使用する。顔料の分散方法としては、酸化処理や樹脂被覆等により顔料を表面改質し、分散剤なしで分散させる方法や、界面活性剤や樹脂を分散剤として用いる方法がある。より安定なインキとするためには、分散剤を使用して顔料を分散させることが好ましく、分散剤として樹脂(以下、顔料分散樹脂と記載する)を用いることが特に好ましい。顔料分散樹脂を構成する単量体組成や分子量を調整することで、顔料吸着特性、電化反発特性、立体反発特性等を容易に制御でき、その結果、微細な顔料に対する分散安定性、吐出安定性、印刷物の光沢性や鮮明性を向上できるためである。
顔料分散樹脂にて分散を行う場合、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系重合体、マレイン酸系重合体、スチレン−マレイン酸系重合体、αオレフィン−マレイン酸系重合体、ウレタン系重合体、エステル系重合体等を使用することができる。中でも、(メタ)アクリル系重合体、及び/または、スチレン−(メタ)アクリル系重合体を使用することが好ましい。また、これら樹脂の構成についても特に制限はなく、例えば、ランダム重合体、ブロック重合体、櫛形重合体、星型重合体等の構造を有する樹脂を任意に用いることができる。
上記の通り、一実施形態において、インクジェット用水性インキは、顔料分散樹脂として、スチレン系ブロック重合体、(メタ)アクリル系ブロック重合体、スチレン−(メタ)アクリル系ブロック重合体から選択される1種以上を含む。その場合、前記顔料分散樹脂と、上記で説明した定着樹脂に含まれるA−Bブロック重合体とは、顔料に容易に吸着し、インキ中で前記顔料の分散状態を安定化できるかどうかによって区別される。具体的には、JIS K 5101−1−4:2004記載の方法を準用した下記方法によって、実験的に判別できる。
一次粒子径15〜25nm、窒素吸着比表面積120〜260m2/g、DBP吸収量(粒状)40〜80cm3/100gであるカーボンブラック20部と、樹脂10部と、水70部とをよく混合(プレミキシング)したのち、摩砕用ビーズである直径0.5mmのジルコニアビーズ1800部が充填された容積0.6Lのビーズミル(例えば、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」)を用い、2時間分散を行う。分散後、得られたカーボンブラック分散液の25℃における粘度を、E型粘度計(例えば、東機産業社製のELD型粘度計)を用いて測定したのち、前記カーボンブラック分散体を70℃の恒温機に1週間保存し、再度粘度を測定する。このとき、分散直後の分散液の粘度が100mPa・s以下であり、かつ、保存前後でのカーボンブラック分散体の粘度変化率の絶対値が10%以下であれば、当該樹脂は顔料分散樹脂であると判断する。
ある好ましい実施形態において、前記顔料分散樹脂は、炭素数8以上のアルキル基を有する。また、炭素数10〜36のアルキル鎖を有することがより好ましく、炭素数12〜30のアルキル鎖を有することが特に好ましく、炭素数18〜24のアルキル鎖を有することが最も好ましい。顔料分散樹脂が、炭素数8以上のアルキル基を有することによって、上記インキの分散安定性を高めることが容易である。また、分散安定性の向上に伴い、画像品質及び光沢の向上効果を更に高めることができる。なお、アルキル基を有する顔料分散樹脂を合成する方法の一例として、基本となる樹脂骨格におけるカルボン酸等の官能基に対して、アルキル基を有するアルコールやアミンを縮合させる方法や、樹脂合成時にアルキル基を有するモノマーを使用することでアルキル基を有する樹脂を合成する方法が挙げられる。
上記炭素数8以上のアルキル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。アルキル基の具体例として、オクチル基(C8)、2−エチルヘキシル基(C8)、ノニル基(C9)、デシル基(C10)、ラウリル基(C12)、ミリスチル基(C14)、セチル基(C16)、ステアリル基(C18)、アラキル基(C20)、ベヘニル基(C22)、リグノセリル基(C24)、セロトイル基(C26)、モンタニル基(C28)、メリッシル基(C30)、ドトリアコンタノイル基(C32)、テトラトリアコンタノイル基(C34)、及びヘキサトリアコンタノイル基(C36)等が挙げられる。これらのなかでも、直鎖のアルキル基が好ましい。
また、ある実施形態においては、上記顔料分散樹脂が芳香族基を有することが好ましい。芳香族基を導入することによって、顔料分散性を高め、分散安定性や、印刷物の光沢を向上できる。上記芳香族基の一例として、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、アニシル基等が挙げられる。なかでも、上記芳香族基は、フェニル基またはトリル基であることが好ましい。前記芳香族基を導入するために、顔料分散樹脂の合成時に利用できる単量体として、スチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
特に限定するものではないが、本発明の好ましい実施形態において、顔料分散樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸と、(ii)炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、更に必要に応じて、(iii)芳香族基を有する重合性モノマー化合物とを重合して得られる共重合体である。一実施形態において、上記共重合体を構成する全モノマー成分の全量を基準とした、(i)の配合量は、10〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。また一実施形態において、上記共重合体を構成する全モノマー成分の全量を基準とした、(ii)の配合量は、10〜70重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることが更に好ましい。更に一実施形態において、上記共重合体を構成する全モノマー成分の全量を基準とした、(iii)の配合量は、0〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることが更に好ましい。
上記顔料分散樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましい。上記分子量を5,000以上に調整することによって、水中で顔料を安定的に分散し、優れた分散安定性を有するインキを得ることができる。また、上記分子量を100,000以下にすることによって、吐出安定性に優れたインキとすることができる。より好ましくは分子量10,000〜50,000であり、更に好ましくは分子量15,000〜30,000である。
上記顔料分散樹脂の酸価は、100〜400mgKOH/gであることが好ましい。酸価が100mgKOH/g以上であれば、顔料分散樹脂が水に対して溶解しやすくなり、分散体の粘度を低く抑えることもできる。また、酸価が400mgKOH/g以下であれば、顔料分散樹脂間での相互作用を好適なものとし、インキの粘度を低く抑えることができる。このような観点から顔料分散樹脂の酸価は、より好ましくは100〜350mgKOH/gであり、更に好ましくは150〜300mgKOH/gである。
本発明で使用する顔料分散樹脂は、水への溶解度を向上させるために、前記顔料分散樹脂中の酸基が塩基で中和されていることが好ましい。上記塩基としては、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基やアンモニア水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。なかでも、有機塩基を使用した場合は、インキ乾燥時に塩基が揮発し、印刷物の耐水性が向上する傾向があるため好ましい。
顔料分散樹脂の含有量は、顔料に対して1〜50重量%であることが好ましい。顔料分散樹脂の比率を上記範囲に収めることで、顔料分散体やインキの粘度が低く保て、また分散性や保存安定性が向上する。顔料に対する顔料分散樹脂の含有量として、より好ましくは2〜45重量%、更に好ましくは3〜40重量%であり、最も好ましくは4〜35重量%である。
(界面活性剤)
一実施形態において、界面活性剤をインキに配合することも可能である。界面活性剤を使用することで高い濡れ広がり性を発揮し、白抜けのない、画像品質に優れる印刷物を得ることができる。
界面活性剤として、シリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、グリコールエーテル系界面活性剤等が知られており、いずれも好適に使用できる。中でもシリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤から選択される1種以上の材料を使用することが好ましく、シリコン系界面活性剤とアセチレン系界面活性剤とを、それぞれ1種以上用いることが特に好ましい。
シリコン系界面活性剤として、一般式(3)及び/または一般式(5)で表される化合物を用いることが好ましく、一般式(5)で表される化合物を選択することが特に好ましい。また一実施形態において、一般式(3)で表される化合物と、一般式(5)で表される化合物とを併用することも好適である。インキ中の界面活性剤の含有率としては0.1重量%以上5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上3重量%以下であり、更に好ましくは0.8重量%以上2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以上1.5%重量以下である。
一般式(3):
Figure 2018204012

一般式(3)中、pは0以上の整数、及びqは1以上の整数である。また、R1は下記一般式(4)で表される基であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基である。

一般式(4):
Figure 2018204012

一般式(4)中、mは1〜6の整数、nは0〜50の整数、oは0〜50の整数であり、n+oは1以上の整数である。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または(メタ)アクリル基である。
一般式(5):
Figure 2018204012

一般式(5)中、rは1〜80の整数を示す。また、R1は上記一般式(4)で示される基である。
上記一般式(3)で表される化合物は、吐出安定性の向上や、印刷物の白抜け抑制に有効である。市販品の例として、東レ・ダウコーニング社製のSF8428、FZ−2162、8032ADDITIVE、SH3749、FZ−77、L−7001、L−7002、FZ−2104、FZ−2110、F−2123、SH8400、SH3773M;ビックケミー社製のBYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349;エボニックデグサ社製のTegowet250、Tegowet260、Tegowet270、Tegowet280;信越化学工業社製のKF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643;日信化学工業社のシルフェイスSAGシリーズ等が挙げられる。
また、上記一般式(5)で表される化合物は、印刷物の混色滲みの抑制に有効である。市販品の例として、東レ・ダウコーニング社製のBY16−201、SF8427;ビックケミー社製のBYK−331、BYK−333、BYK−UV3500、エボニックデグサ社製のTegoglide410、Tegoglide432、Tegoglide435、Tegoglide440、Tegoglide450等が挙げられる。
一方アセチレン系界面活性剤としては、一般式(6)で表される化合物を使用することが好ましい。一般式(6)で表される化合物の市販品として、エアープロダクツ社製のサーフィノール104、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノールDF110D、ダイノール604、ダイノール607等が例示できる。また例えば、特開2002−356451号公報で開示された方法等を用いて合成した化合物を用いてもよい。
一般式(6):
Figure 2018204012

一般式(6)中、sは0〜3の整数であり、t+uは0〜20の整数である。またEtはエチレン基を表す。
(水)
一実施形態において、インキに含まれる水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。インキ全量に対する水の含有量は20重量%以上90重量%以下の範囲が好ましく、35重量%以上85重量%以下の範囲がより好ましく、50重量%以上80重量%以下の範囲が更に好ましい。
(その他の成分)
一実施形態において、インクジェットインキには、上記の成分の他に、必要に応じてpH調整剤を添加することができる。pH調整能を有する材料は、任意に選択することができる。塩基性化させる場合は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、等のアルカノールアミン;アンモニア;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などを使用することができる。また、酸性化させる場合は塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、リン酸、ホウ酸、フマル酸、マロン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸などを使用することができる。上記のpH調整剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤の配合量は、インクジェット用水性インキの全重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがより好ましく、0.2〜1.5重量%であることが最も好ましい。上記範囲内に調整することで、空気中の二酸化炭素の溶解などによるpH変化を防止できる。また、A−Bブロック重合体をカチオン性物質によって中和する実施形態の場合、前記カチオン性物質の作用を阻害することなく、インキのpH調整が可能となる。
一実施形態において、インクジェット用水性インキには、所望の物性値を持つインキとするために、上記成分のほかに、増粘剤、防腐剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜添加することができる。ある好ましい実施形態において、上記添加剤の配合量は、インキ全量に対して0.01重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以上3重量%以下であることが更に好ましい。
(インキの調製方法)
上記したような成分からなる本実施形態のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本実施形態のインキの調製方法は、これらに限定されるものではない。
(I.顔料分散液の調製)
顔料と、水と、必要に応じて顔料分散剤(例えば顔料分散樹脂)とを混合・撹拌(プレミキシング工程)したのち、必要に応じて後述の分散手段を用いて分散処理を行う(分散工程)。また必要に応じて、フィルタ等を用いた濾過処理、及び/または、遠心分離処理を行い、顔料分散液を得る。なお、一実施形態において、定着樹脂の少なくとも一部を、上記プレミキシング工程、及び/または、分散工程の際に添加してもよい。
なお、前記分散処理に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー等が挙げられ、中でもビーズミルが好ましく使用される。
本実施形態のインキはインクジェット用であるため、インクジェットヘッドノズルへの目詰まり防止の観点から、顔料の粒度分布を最適化することが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法として、上記濾過処理及び/または遠心分離処理を導入する方法のほかに、分散機の粉砕メディア径を小さくする方法、前記粉砕メディアの充填率を大きくする方法、分散処理時間を長くする方法、等が挙げられ、複数を組み合せてもよい。なおインキの粒度分布は、上記で説明した、エマルジョンやハイドロゾルの形態をとるA−Bブロック重合体の体積平均粒子径(D50)と同様にして測定できる。
(II.インキの調製)
次に、前記顔料分散液に、バインダー樹脂、有機溶剤、水、及び、上記で挙げた添加剤成分を適宜加え、よく撹拌する。その後、必要に応じて濾過処理を行うことで、本実施形態のインキとすることができる。
なお上記撹拌の際、混合物の均一化等を目的として、前記混合物を加熱してもよい。その際、混合物の液温は、A−Bブロック重合体のガラス転移温度以下とすることが好ましい。
また上記濾過処理の方法として、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過等が挙げられ、複数を組み合せてもよい。加圧濾過や減圧濾過においてフィルタを使用する場合、その孔径は0.3〜2.5μmであることが好ましい。
(インキ粘度)
本実施形態のインキは、25℃における粘度が1〜20mPa・sであることが好ましい。この範囲であればインクジェットヘッドからの良好な吐出性を保つことが容易となる。より好ましくは2〜15mPa・sであり、更に好ましくは3〜12mPa・sである。なお前記粘度は、東機産業社製のE型粘度計であるTVE−20Lを用い、25℃、回転数50rpmという条件で測定できる。
(インキセット)
本実施形態のインクジェット用水性インキは、単色で使用してもよいが、用途に合わせて複数の色を組み合わせたインキセットとして使用することもできる。色の組み合わせは特に限定されないが、一実施形態として、シアン、マゼンタ、及びイエローの3色を使用することでフルカラーの画像を得ることができる。また、上記インキセットにブラックインキを追加することによって、黒色感を向上させ、文字等の視認性を向上させることができる。更に、上記インキセットに対して、オレンジ、及びグリーン等の特色を追加することによって、色再現性を向上させることも可能である。更に、白色以外の印刷媒体に対して印刷を行う場合には、ホワイトインキを併用することによって、容易に鮮明な画像を得ることができる。
シアン、マゼンタ、イエローの組合せを含むインキセットとして本発明のインキセットを使用する場合、好ましい顔料の一例は、以下の通りである。シアン顔料として、C.I.Pigment Blue 15:3、15:4。マゼンタ顔料として、C.I.Pigment Red 122、150、202、209、269、282、C.I.Pigment Violet 19。イエロー顔料としてC.I.Pigment Yellow 12、13、14、74、120、150、155、185。上記から選ばれる顔料を組合せて使用することによって、高い色再現性を容易に得ることができる。
(印刷方法)
一般に、インクジェットインキを印刷する方法として、インクジェットヘッドのノズルからインキを吐出させ、印刷基材上にインキ液滴を付着させる方法が用いられる。前記インクジェットヘッドが搭載され、印刷に利用されるインクジェットプリンターは、印刷様式によって大きく2種類に分類される。一方は、ヘッドがインキを吐出しながら印刷基材上を往復する「シャトルスキャンタイプ」であり、もう一方は、インキを吐出するヘッドの位置が固定され、印刷基材が前記ヘッドの下部を通過する際にインキを吐出する「ラインパスタイプ」である。
ラインパスタイプは、シャトルスキャンタイプと比較して高速印刷が可能であり、オフセット印刷等の既存の高速印刷機の代替が期待できる。しかしながら、シャトルスキャンタイプで行われる「捨て打ち」ができず、また印刷絵柄によってはインキが長時間吐出されないノズルが発生するため、シャトルスキャンタイプに比べて、吐出不良が発生しやすい。このように、特にラインパスタイプのプリンターにおいて、印刷速度の高速化と吐出不良の抑制とのトレードオフの解消は重要課題となる。
一方、本実施形態のインクジェット用水性インキは、上記の通り、デキャップ性や吐出安定性に優れるとともに、印刷物の画像品質に優れる。そのため、本実施形態のインクジェット用水性インキは、ラインパスタイプのインクジェット印刷方法に対して、特に好適に使用することができる。
(印刷基材)
本実施形態のインクジェット用水性インキを用いることができる印刷基材は特に限定されるものではなく、当技術分野で代表的な公知の印刷媒体を使用することができる。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、及びインクジェット専用紙等の紙基材;ポポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリスチレン、発砲スチロール、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート等のプラスチック基材;ガラス基材;布帛基材等が挙げられる。これら印刷基材の表面は、滑らかであっても、凹凸が形成されたものであってもよい。また、透明、半透明、及び不透明のいずれであってもよい。更に、印刷媒体の形状も特に限定されることなく、例えば、フィルム状、シート状、板状の基材が例示できる。なお上記印刷基材として、2種以上の印刷媒体を互いに貼り合わせたものを使用してもよい。更に印字面の反対側に、剥離シート等で表面を保護した粘着層等の機能層を設けてもよいし、印字後に、印字面に粘着層等の機能層を設けてもよい。
なお、本実施形態のインクジェット用水性インキは、コート紙、アート紙、及びキャスト紙等の塗工紙基材や、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム、PEフィルム、ナイロンフィルムなどのプラスチック媒体に例示される、難吸収性基材への印刷に適したものである。難吸収性基材とは、水を吸収しない、もしくは吸収速度が遅い印刷基材のことであり、そのような吸水性が低い印刷媒体に従来の水性インキを使用して印刷を行った場合、画像の滲みが生じることが多い。しかし、本開示の定着樹脂を含むインクジェット用水性インキであれば、インキ液滴界面への配向による混色滲み抑制効果により、画像品質に優れた印刷物を得ることができる。すなわち、様々な印刷媒体に対して優れた画像品質を有するインクジェット用水性インキとなる。
なお、難吸収性基材であるかどうかは、ブリストー法(J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87)により測定した、水に対する吸収係数によって判別可能である。具体的には、熊谷理機工業社製自動走査吸液計と水とを使用し、接触時間100〜1000ミリ秒の間で得られた水の吸液量(ml/m2)と接触時間の平方根(msec1/2)の関係図から、最小二乗法により直線の勾配を算出し、これを吸収係数とする。一実施形態において、前記吸収係数が0〜0.6ml/m2msec1/2であるものを、難吸収性基材であると判断する。
一実施形態において、インクジェット用水性インキを、60°光沢度が40以上の印刷基材に使用することが好ましい。60°光沢度が40以上の印刷媒体を使用することによって、光沢感がある高品質の印刷物を容易に得ることができる。60°光沢度が40以上の印刷媒体の一例として、コート紙、アート紙、及びキャスト紙等の塗工紙、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、及びPPフィルムなどのプラスチック媒体が挙げられる。ここで、本明細書で記載する「60°光沢度」とは、JIS Z 8741に規定される測定方法に従って得た値である。
(コーティング処理)
一実施形態において、インクジェット用水性インキを、プラスチック基材に印刷した印刷物は、必要に応じて、印刷面をコーティング処理することができる。前記コーティング処理の具体例として、コーティング用組成物の塗工・印刷;ドライラミネート法、無溶剤ラミネート法、押出しラミネート法、ホットメルトラミネートなどによるラミネーションなどが挙げられ、いずれを選択してもよいし、両者を組み合わせても良い。
(前処理液)
また一実施形態において、前処理液によってインキ凝集層が形成された印刷基材に対して、インクジェット用水性インキを印刷する方法も好適に選択される。前記「インキ凝集層」とは、インキ中の顔料や定着樹脂といった固体成分を強制的に凝集させることができる層であり、インキ液滴間の滲みを防止し、印刷基材によらず、画像品質を特段に向上できる。
インキ凝集層を形成するために、前処理液には凝集剤成分が含まれる。前記凝集剤成分として、従来公知の材料を任意に用いることができる。中でも、本実施形態のインクジェット用水性インキに対する前処理液の場合は、前記インキ中のA−Bブロック重合体に含まれる、アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)との相互作用の速度や能力に優れる観点から、前記凝集剤成分として、多価金属イオンの塩を含むことが好ましい。
前記多価金属イオンの塩は、無機金属塩であっても、有機金属塩であっても、またはこれらの組合せであってもよく、多価金属イオンと当該多価金属イオンに結合する陰イオンから構成される金属塩であれば特に限定されない。また1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、多価金属イオンとして、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Al3+、Fe2+、Fe3+から選択される少なくとも1種を含むことが、顔料や定着樹脂などの固形成分との相互作用を起こしやすい点から好ましい。更に、上記の中でも、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Al3+から選択される多価金属イオンは、イオン化傾向が大きくインキ凝集層内で容易にイオン化するため、凝集効果が大きいという利点を有し、より好ましく用いられる。特に、Ca2+、Mg2+から選択される多価金属イオンは、イオン半径が小さくインキ凝集層内で移動しやすいことから、極めて好ましく選択される。
無機金属塩の具体例としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの無機金属塩の中でも、水への溶解度、及び、インキ中の固体成分との相互作用が効率よく、かつ素早く起こる点から、塩化物塩、硝酸塩が特に好ましい。
また有機金属塩の具体例として、例えば、パントテン酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、酢酸、乳酸などの有機酸の、カルシウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩、亜鉛塩などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの有機酸金属塩の中でも、水への溶解度、及び、上記インキ中の固体成分との相互作用の点から、乳酸及び/または酢酸のカルシウム塩がより好ましく選択される。
上記多価金属イオンの塩の含有量は、前処理液の全重量に対し、多価金属イオン含有量として、1〜20重量%であることが好ましく、1.5〜16重量%であることがより好ましく、2〜12重量%であることが更に好ましく、2.5〜8重量%であることが特に好ましい。金属イオンの含有量を上記範囲内に調整することで、上記の通り、混色滲みを抑制しながらも、印刷基材に対する前処理液の濡れ広がり性を確保することが容易である。なお、前処理液の全重量に対する多価金属イオンの含有量は、下記式(7)によって求められる。
式(7):

(多価金属イオンの含有量)(重量%)=WC×MM/MC
上記式(7)中、WCは、多価金属イオンの塩の、前処理液の全重量に対する含有量を表し、MMは、多価金属イオンの塩を構成する多価金属イオンのイオン量を表し、MCは、多価金属イオンの塩の分子量を表す。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の記載において、「部」、「%」及び「比率」とあるものは特に断らない限り重量基準である。
(シアン顔料分散液1の製造例)
混合容器に、顔料としてLIONOGEN BLUE FG−7358G(トーヨーカラー社製C.I.Pigment Blue 15:3)を20部、顔料分散樹脂として水溶性スチレンアクリル樹脂(スチレン:アクリル酸:ベヘニルメタクリレート=35:30:35(重量比)のランダム重合体、重量平均分子量:16,000、酸価:250mgKOH/g)の水性化溶液(不揮発分20%)を15部、及び水を65部、それぞれ投入したのち、ディスパーで十分に混合することで、予備分散処理を行った。なお、前記水溶性スチレンアクリル樹脂の水性化溶液は、特開2012−188581号明細書、製造例2記載の方法を利用して調製した。
次いで、予備分散処理を行った混合物について、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した(充填率80%)容積0.6Lのダイノーミルを用いて、本分散処理を行った。本分散処理ののち、混合物と等量の水を加えることで、顔料濃度が10%になるように調整し、シアン顔料分散液1とした。
(マゼンタ顔料分散液1の製造例)
顔料をFASTOGEN Super Magenta RTS(DIC社製C.I.Pigment Red 122)に変えた以外は、シアン顔料分散液1と同様の方法で、マゼンタ顔料分散液1(顔料濃度10%)を得た。
(イエロー顔料分散液1)
顔料をLIONOL YELLOW TT−1405G(C.I.PigmentYellow14、トーヨーカラー社製)に変えた以外は、シアン顔料分散液1と同様の方法で、イエロー顔料分散液1(顔料濃度10%)を得た。
(ブラック顔料分散液1)
顔料をPrinteX85(カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変えた以外は、シアン顔料分散液1と同様の方法で、ブラック顔料分散液1(顔料濃度10%)を得た。
その他、実施例では、キャボット社製自己分散型銅フタロシアニン顔料分散液であるCabojet250C(顔料濃度10%)、キャボット社製自己分散型マゼンタ顔料分散液であるCabojet265M(顔料濃度10%)、及び、キャボット社製自己分散型イエロー顔料分散液であるCabojet270Y(顔料濃度10%)、を、それぞれシアン顔料分散液2、マゼンタ顔料分散液2、イエロー顔料分散液2として使用した。また、キャボット社製自己分散型カーボンブラック分散液であるCabojet200(顔料濃度20%)を等量の水で希釈し、ブラック顔料分散液2(顔料濃度10%)として使用した。
(定着樹脂1の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌器を備えた反応容器に、トルエンを20部;重合性モノマーとして、メタクリル酸を7.5部と、メチルメタクリレートを7.5部;重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.9部;2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−イソ酪酸を3.6部;それぞれ投入した。反応容器内を窒素ガスで置換したのち、75℃に昇温し、3時間にわたって重合反応を行うことで、メタクリル酸とメチルメタクリレートとからなる共重合体(Aブロック)を得た。
なお、窒素ガスで置換する前の反応容器中の混合液と、重合反応後の混合液とを、ガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し、原料として使用した、メタクリル酸やメチルメタクリレートに由来する検出ピークを比較した。その結果、重合反応後の混合液では、メタクリル酸やメチルメタクリレートに由来するピークがほとんど観察されなかった。この結果から、投入した重合性モノマーのほぼ全てが重合したと考えられる。また、東ソー社製HLC−8120GPCを用いて測定した、上記Aブロックの重量平均分子量は約1,500、分子量分布幅は1.4であった。更に、Aブロックを構成する単量体の構成から算出した酸価は315.4mgKOH/g、上記式(1)を用いて算出したガラス転移温度は117.1℃であった。
上記重合反応の終了後、反応系を常温まで冷却したのち、反応容器に、トルエンを60部;重合性モノマーとして、メチルメタクリレートを60部と、ブチルメタクリレートを25部;それぞれ投入した。反応容器内を窒素ガスで置換したのち、75℃に昇温し、3時間にわたって重合反応を行うことで、前記Aブロックに、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートからなる共重合体(Bブロック)が付加したA−Bブロック重合体である、定着樹脂1を得た。
なお、上記Aブロックの場合と同様に、ガスクロマトグラフィー質量分析計で重合性モノマーに由来する検出ピークの比較を行った。その結果、投入したメチルメタクリレートやブチルメタクリレートのほぼ全てが重合し、Bブロックが形成されていると考えられることが確認された。また、Bブロックを構成する単量体の構成から算出した酸価は0mgKOH/g、上記式(1)を用いて算出したガラス転移温度は75.3℃であった。
その後、反応系を常温まで冷却したのち、反応容器に、ジメチルアミノエタノールを9.3部添加して中和した後、水を200部添加した。次いで、得られた溶液を加熱し、トルエンを水と共沸させてトルエンを留去したのち、固形分が30%になるように水で調整することで、定着樹脂1の水混合液(固形分30%)を得た。なお、東ソー社製HLC−8120GPCを用いて測定した、上記定着樹脂1の重量平均分子量は約10,000、分子量分布幅は1.6であった。また、Aブロックを構成する単量体の構成から算出した酸価は48.6mgKOH/g、上記式(1)を用いて算出したガラス転移温度は81.0℃であった。
(定着樹脂2〜50の製造例)
重合性モノマーの種類と量、及び、ジメチルアミノエタノールの量を、表1〜3記載の条件に変更する以外は、上記定着樹脂1の場合と同様にして、定着樹脂2〜50の水混合液(固形分30%)を得た。なお表1〜3には、定着樹脂1の場合と同様にして測定・算出した、Aブロック、Bブロック、及び、A−Bブロック重合体の、酸価、ガラス転移温度、数平均分子量を記載した。また、ガスクロマトグラフィー質量分析計による分析の結果、いずれの樹脂においても、投入した重合性モノマーのほぼ全てが重合したと考えられることが確認された。
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
上記表1〜3に記載された略語は、以下に示す通りである。
(アニオン性官能基を有する構造単位(P−1))
AA: アクリル酸
MAA: メタクリル酸
AOES: アクリロイルオキシエチルコハク酸
MOES: メタクリロイルオキシエチルコハク酸
MOEP: メタクリロイルオキシエチルフタル酸
MOEPh: メタクリロイルオキシエチルホスホン酸
(炭素数8未満のアルキル基を有する構造単位)
MMA: メチルメタクリレート
BMA: ブチルメタクリレート
(炭素数8〜30のアルキル基を有する構造単位(P−2))
2EHMA: 2−エチルヘキシルメタクリレート
LA: ラウリルアクリレート
LMA: ラウリルメタクリレート
STMA: ステアリルメタクリレート
VMA: ベヘニルメタクリレート
(芳香環を有する構造単位(P−3))
St: スチレン
BzMA: ベンジルメタクリレート
PEA: フェノキシエチルメタクリレート
(エチレンオキサイド基を有する構造単位)
PEGMA: メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート
(定着樹脂51の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌器を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱し、重合性モノマーとしてメタクリル酸7.5部、メチルメタクリレート67.5部、ブチルメタクリレート25.0部と、重合開始剤としてV−601(和光純薬製)9部との混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、更に110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.9部を添加し、更に110℃で1時間反応を続けた。
更に、上記反応系を常温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノールを9.3部添加して中和した後、水を100部添加して水性化した。次いで、得られた溶液を、100℃以上に加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去したのち、固形分が30%になるように調整することで、定着樹脂51の水性化溶液(固形分30%)を得た。なお、東ソー社製HLC−8120GPCを用いて測定した、上記定着樹脂51の重量平均分子量は約11,000、分子量分布幅は2.1であった。また、上記定着樹脂51を構成する単量体の構成から算出した酸価は48.6mgKOH/g、上記式(1)を用いて算出したガラス転移温度は81.0℃であった。
(インキ1C、1M、1Y、1Kの製造例)
シアン顔料分散液1を40.0部、定着樹脂1の水性化溶液(固形分30%)を25.0部(固形分換算で5.0部)、1,2−プロパンジオールを25.0部、1,2−ヘキサンジオールを5.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを5.0部、TEGOWET280を2.0部、混合容器にそれぞれ投入したのち、全体で100部になるように水を加えた。これら混合物をディスパーで十分に均一になるまで撹拌したのち、得られた混合物を、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過し、ヘッドつまりの原因となる粗大粒子を除去することによって、インキ1Cを得た。
また、上記シアン顔料分散液1に代えて、マゼンタ顔料分散液1、イエロー顔料分散液1、ブラック顔料分散液1を用いた以外は、上記インキ1Cの場合と同様にして、インキ1M、1Y、1Kを得た。
(インキ2〜81の製造例)
材料の種類や量を、表4〜8記載の条件に変更する以外は、上記インキ1Cの場合と同様にして、インキ2〜81(それぞれC、M、Y、Kの4色)を製造した。
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
なお、表4〜8に記載された略語は、以下に示す通りである。
(定着樹脂)
JDX6500:ジョンクリルJDX6500(アクリル水溶性樹脂の水溶液、BA SF社製、固形分29.5%、酸価74mgKOH/g、Tg65 ℃)
J734: ジョンクリル734(アクリルエマルジョン、BASF社製、固形 分42%、酸価87mgKOH/g、Tg30℃)
AQ515: AQUACER515(ポリエチレンワックスエマルジョン、BY K社製、固形分35%)
NZ1004: ハードレンNZ−1004(非塩素化ポリオレフィンエマルジョン 、東洋紡社製、固形分30%、酸価28mgKOH/g)
(低SP値溶剤)
MB: 3−メトキシ−1−ブタノール
1,2PD: 1,2−プロパンジオール
1,2BD: 1,2−ブタンジオール
1,2HexD: 1,2−ヘキサンジオール
3Me1,5PenD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール
TPG: トリプロピレングリコール
iPDG: ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル
BDG: ジエチレングリコールモノブチルエーテル
MPG: プロピレングリコールモノメチルエーテル
(その他の溶剤)
1,3BD: 1,3−ブタンジオール
DEG: ジエチレングリコール
Gly: グリセリン
(界面活性剤)
Tegowet280: 上記一般式(3)で表されるシロキサン系界面活性剤 、エボニックジャパン社製
BYK−333: 上記一般式(5)で表されるシロキサン系界面活性剤 、BYK社製
Tegoglide440: 上記一般式(5)で表されるシロキサン系界面活性剤 、エボニックジャパン社製
サーフィノール104: 上記一般式(6)で表されるアセチレンジオール系界 面活性剤、日信化学工業社製
サーフィノールDF110D:上記一般式(6)で表されるアセチレンジオール系界 面活性剤、日信化学工業社製
サーフィノール440: 上記一般式(6)には該当しないアセチレンジオール 系界面活性剤、日信化学工業社製
ただし表4〜8において、定着樹脂の配合量は、固形分換算値である。
(実施例1〜75、比較例1〜6)
作製したインキ1〜81を用いて以下の評価を行った。なお、評価結果を表9〜12に示す。
(評価1:インキのデキャップ性の評価)
京セラ社製ヘッド(KJ4B−QAモデル、設計解像度600×600dpi)を4個、印刷基材の搬送方向に並べて設置したインクジェット吐出装置を準備し、マゼンタインキ1M〜81Mを充填した。インキを充填したのち、ノズルチェックパターンを印刷した(ドロップボリューム:5pL)。全ノズルからインキが正確に吐出していることを確認した後、所定の時間インクジェット吐出装置を待機させ、再度ノズルチェックパターンを印刷した。このノズルチェックパターンを用いてノズル抜けの有無を確認することで、デキャップ性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、A〜C評価を実用可能領域とした。
A:3時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかった
B:2時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかったが、3時間待機させ た後に印刷すると、ノズル抜けが1本以上発生していた
C:1時間待機させた後に印刷してもノズル抜けが全くなかったが、2時間待機させ た後に印刷すると、ノズル抜けが1本以上発生していた
D:1時間待機させた後に印刷しても、ノズル抜けが見られた
(評価2:インキの吐出安定性の評価)
評価1で使用したインクジェット吐出装置にインキを充填したのち、ノズルチェックパターンを印刷した(ドロップボリューム:5pL)。全ノズルからインキが正確に吐出していることを確認した後、25℃の環境下で、印字率100%のベタ画像の印刷を所定時間続けたのち、再度ノズルチェックパターンを印刷した。このノズルチェックパターンを用いてノズル抜けの有無を確認することで、吐出安定性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、AA〜C評価を実用可能領域とした。
AA:3時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンでもノズル抜けが全くなかっ た
A:2時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンではノズル抜けが全くなかった が、3時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンでノズル抜けが見られた
B:1時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンではノズル抜けが全くなかった が、2時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンでノズル抜けが見られた
C:30分間印刷し続けた後のノズルチェックパターンではノズル抜けが全くなかっ たが、1時間印刷し続けた後のノズルチェックパターンでノズル抜けが見られた
D:30分間印刷し続けた後のノズルチェックパターンでノズル抜けが見られた
(評価3:印刷物の白抜けの評価)
評価1で使用したインクジェット吐出装置に、上流側から、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインキを充填した。また、印刷基材として王子製紙社製OKトップコート+(コート紙、坪量104.7g/m2)を準備した。
前記印刷基材を一定速度で搬送し、前記ヘッドの下部を通過させた。その際、周波数を20kHz、印刷解像度を600×600dpiとし、ドロップボリュームを変えて各ヘッドからインキを吐出させ、5cm×5cmの印字率100%ベタパッチが色ごとに隣接した画像を印刷した。印刷後、印刷物を70℃のエアオーブンに速やかに投入し、3分間乾燥させることで、ベタパッチ印刷物を得た。得られたベタパッチ印刷物における白抜け度合を、ルーペ及び目視で確認することで、印刷物の白抜けの評価を行った。なお上記ドロップボリュームは、10pLまたは12pLの2種類とした。
評価基準は下記のとおりであり、AA〜C評価を実用可能領域とした。なお表9〜12には、評価を行った4色のうち、最も結果の悪かった色の結果のみを示した。
AA:ドロップボリューム10pLの印刷物にて、ルーペ及び目視で白抜けが見られ なかった
A:ドロップボリューム10pLの印刷物では、ルーペでは白抜けが見られたが、目 視では白抜けが見られなかった。またドロップボリューム12pLの印刷物では 、ルーペ及び目視で白抜けが見られなかった
B:ドロップボリューム10pLの印刷物では、目視でも白抜けが見られたが、ドロ ップボリューム12pLの印刷物では、ルーペ及び目視で白抜けが見られなかっ た
C:ドロップボリューム12pLの印刷物では、ルーペでは白抜けが見られたが、目 視では白抜けが見られなかった
D:ドロップボリューム12pLの印刷物にて、目視でも白抜けが見られた
(評価4:印刷物の混色滲みの評価)
京セラ社製ヘッド(KJ4B−QAモデル、設計解像度600×600dpi)を2個、印刷基材の搬送方向に並べて設置したインクジェット吐出装置を準備し、上流側から、シアンインキとイエローインキとを充填した。また、印刷基材として王子製紙社製OKトップコート+(コート紙、坪量104.7g/m2)を準備した。
前記印刷基材を一定速度で搬送し、前記ヘッドの下部を通過させた。その際、周波数を20kHz、印刷解像度を600×600dpi、ドロップボリュームを5pLとし、上記各インキをそれぞれ同一の印字率で重ね印刷した、5cm×5cmの2次色パッチを印刷した。印刷後、70℃エアオーブンに速やかに投入し、3分間乾燥させることで、2次色パッチ印刷物を得た。印字率ごとに、混色滲みの有無を目視で確認することで、印刷物の混色滲みの評価を行った。なお上記2次色パッチの印字率は、50%(印字率25%同士を重ね印刷)、100%(印字率50%同士を重ね印刷)、150%(印字率75%同士を重ね印刷)、及び、200%(印字率100%同士を重ね印刷)の4種類とした。
評価基準は下記のとおりであり、AA〜C評価を実用可能領域とした。
AA:印字率200%の2次色パッチでも、混色滲みが見られなかった
A:印字率150%の2次色パッチでは混色滲みが見られなかったが、印字率200 %の2次色パッチでは混色滲みが見られた
B:印字率100%の2次色パッチでは混色滲みが見られなかったが、印字率150 %の2次色パッチでは混色滲みが見られた
C:印字率50%の2次色パッチでは混色滲みが見られなかったが、印字率100% の2次色パッチでは混色滲みが見られた
D:印字率50%の2次色パッチでも、混色滲みが見られた
(評価5:印刷物の耐水性の評価)
評価3で作成したベタパッチ印刷物を用い、印刷物のベタパッチ部分を、水に浸した綿棒で擦った時の状態を目視で観察することで、耐水性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、A〜C評価を実用可能領域とした。なお表9〜12には、評価を行った4色のうち、最も結果の悪かった色の結果のみを示した。
A:水を浸した綿棒で15回擦っても、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が 起こらなかった
B:水を浸した綿棒で10回擦っても、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が 起こらなかったが、15回擦ると、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が 見られた
C:水を浸した綿棒で5回擦っても、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が起 こらなかったが、10回擦ると、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が見 られた
D:水を浸した綿棒で5回強く擦ると、印刷物の剥がれや、綿棒へのインキの付着が 見られた
(評価6:印刷物の耐擦過性の評価)
評価3で作成したベタパッチ印刷物を用い、印刷物のベタパッチ部分を指で強く擦った時の状態を目視で観察することで、耐擦過性の評価を行った。評価基準は下記のとおりであり、AA〜C評価を実用可能領域とした。なお表9〜12には、評価を行った4色のうち、最も結果の悪かった色の結果のみを示した。
AA:指で30回強く擦っても、印刷物の剥がれや、基材の露出が起こらなかった
A:指で20回強く擦っても、印刷物の剥がれや、基材の露出が起こらなかったが、 30回擦ると、印刷物の剥がれや、基材の露出が見られた
B:指で15回強く擦っても、印刷物の剥がれや、基材の露出が起こらなかったが、 20回擦ると、印刷物の剥がれや、基材の露出が見られた
C:指で10回強く擦っても、印刷物の剥がれや、基材の露出が起こらなかったが、 15回擦ると、印刷物の剥がれや、基材の露出が見られた
D:指で10回強く擦ると、印刷物の剥がれや、基材の露出が見られた
(評価7:インキの保存安定性の評価)
インキ1〜81の各色について、マイクロトラック・ベル社製のナノトラックUPA−EX150を用いて、体積平均粒子径(D50)を測定した。このインキを密閉容器に入れ、70℃の恒温機に保存し、2週間経時促進させた後、再度上記装置を用いて粘度を測定し、経時前後でのインキの体積平均粒子径の変化を算出することで、インキの保存安定性を評価した。基準は下記のとおりであり、A〜C評価が実用可能領域である。なお表9〜12には、評価を行った4色のうち、最も結果の悪かった色の結果のみを示した。
A:体積平均粒子径の変化率が±10%未満であった
B:体積平均粒子径の変化率が±10%以上±20%未満であった
C:体積平均粒子径の変化率が±20%以上±30%未満であった
D:1週間保存後の粘度変化率が±30%以上であった
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
Figure 2018204012
表9〜12記載のように、本発明のインクジェット用水性インキは、コート紙のような難吸収性基材に対しても、白抜けや混色滲みがなく、耐水性や耐擦過性にも優れる高品質な画像を得ることができ、かつ、デキャップ性や吐出安定性にも優れ、更に、保存安定性にも優れる。
すなわち本発明は、顔料、定着樹脂、有機溶剤、及び、水を含有するインクジェット用水性インキであって、
前記定着樹脂が、AブロックとBブロックとからなるA−Bブロック重合体であり、
前記Aブロックはアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含み、
前記Aブロックおよび前記Bブロックは、それぞれ独立に、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、およびスチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種からなるブロックであり、
前記Aブロックに含まれる構造単位の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%であり、
前記Aブロックに含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して85モル%以上であり、
前記Aブロックに含まれる、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記Aブロックに含まれる全構造単位に対して、40〜80重量%であり、
前記A−Bブロック重合体の酸価が5〜80mgKOH/gである、インクジェット用水性インキ(ただし、前記Bブロックのガラス転移温度(TgB)が、70〜110℃である場合を除く)に関する。

Claims (10)

  1. 顔料、定着樹脂、有機溶剤、及び、水を含有するインクジェット用水性インキであって、
    前記定着樹脂が、AブロックとBブロックとからなるA−Bブロック重合体であり、
    前記Aブロックはアニオン性官能基を有する構造単位(P−1)を含み、
    前記Aブロックおよび前記Bブロックは、それぞれ独立に、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、およびスチレン−(メタ)アクリル系重合体から選択される1種からなるブロックであり、
    前記Aブロックに含まれる構造単位の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる構造単位の全モル量に対して5〜25モル%であり、
    前記Aブロックに含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記A−Bブロック重合体に含まれる前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の全モル量に対して85モル%以上であり、
    前記A−Bブロック重合体の酸価が5〜80mgKOH/gである、インクジェット用水性インキ。
  2. 前記Aブロックに含まれる、前記アニオン性官能基を有する構造単位(P−1)の含有量が、前記Aブロックに含まれる全構造単位に対して、40〜80重量%である、請求項1記載のインクジェット用水性インキ。
  3. 前記Bブロックのガラス転移温度(TgB)が、70〜110℃である、請求項1または2に記載のインクジェット用水性インキ。
  4. 前記Bブロックが、炭素数8〜30のアルキル基を有する構造単位(P−2)及び/または芳香環を有する構造単位(P−3)を含む、請求項1〜3いずれかに記載のインクジェット用水性インキ。
  5. 前記Bブロックが、前記炭素数8〜30のアルキル基を有する構造単位(P−2)として、炭素数10〜30のアルキル基を有する構造単位を含む、請求項4記載のインクジェット用水性インキ。
  6. 前記Bブロックが、前記芳香環を有する構造単位(P−3)として、スチレン系構造単位を含む、請求項4または5記載のインクジェット用水性インキ。
  7. 前記有機溶剤が、グリコールエーテル及び/または炭素数3以上の1,2−アルカンジオールを含む、請求項1〜6いずれかに記載のインクジェット用水性インキ。
  8. 更に界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、ポリシロキサン系界面活性剤を含む、請求項1〜7いずれかに記載のインクジェット用水性インキ。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載のインクジェット用水性インキを、基材上に印刷する印刷物の製造方法。
  10. 請求項9記載の印刷物の製造方法で製造された印刷物。
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