JP6557456B2 - 水性インクジェット用インキ - Google Patents

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Description

本発明は、一般の印刷媒体、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの光沢度の高い基材への印刷適性に優れ、高い品質の画像を得ることが可能なインクジェット用インキ組成物に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、溶剤インキやUVインキによる非吸収性の印刷媒体(PVC、PETなどのプラスチック基材)に対しても印刷が可能な印刷機が実際に市販されてきた。しかし、近年、環境面への対応といった点から水性インキの需要が高まっている。
インクジェット用の水性インキとしては特許文献1、2、3のように印刷対象を普通紙や写真光沢紙のような専用紙としたインキの開発が古くからなされている。一方では近年インクジェット記録方式の用途拡大が期待されており、コート紙のような塗工紙や屋外広告などに使用されるような非吸収性の印刷媒体への直接印刷のニーズが高まっている。従来のインキは紙へ液滴を吸収させて描画を行うため、吸水性の低い印刷媒体へ印刷すると画像が滲んでしまい使用することができなかった。
特許文献4では結晶性糖アルコールを使用することで、コート紙への直接印刷を滲みなく行うことが可能なインキの提示をしている。この方法では糖アルコールが印字後に結晶化することでインキの流動性を下げ、画像の滲みを抑えている。しかし、この方法では糖アルコールが塗膜中に残留するため、アルコールなどによる糖アルコールの溶解が原因での塗膜劣化といった不具合が懸念される。
特許第4764562号公報 特許第4595281号公報 特開2008−247941号公報 特開2011−178980号公報
本発明の目的は、一般の印刷媒体、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの光沢度の高い基材への印刷適性に優れ、高い品質の画像を得ることが可能なインクジェット用インキ組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、少なくとも顔料、顔料分散樹脂、有機溶剤、水、および界面活性剤を含有し、
前記有機溶剤として少なくとも(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤と(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤とを含み、
前記顔料分散樹脂が、炭素数8以上のアルキル鎖を有し、
前記顔料分散樹脂の酸価が、100〜400mgKOH/gであり、
前記界面活性剤が、ポリシロキサン系界面活性剤であり、
前記(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤が、エタノール、および、2−プロパノールからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤が、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、および、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記溶剤(A)と前記溶剤(B)との含有比(重量比)が、溶剤(A):溶剤(B)=1:3〜3:1であることを特徴とする水性インクジェット用インキに関する
また、本発明は、インキ中に含まれる前記(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤、および、(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤の合計含有率が10〜45重量%であることを特徴とする上記水性インクジェット用インキに関する。
また、本発明は、上記水性インクジェット用インキを用いて印刷を行うインクジェット印刷方法であって、印刷媒体を30〜70℃に加温しながら、インキ液滴を印刷媒体に付着させることを特徴とするインクジェット印刷方法に関する。
また、本発明は、前記印刷媒体の60°光沢度が40以上であることを特徴とする上記インクジェット印刷方法に関する。
本発明により、一般の印刷媒体、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの光沢度の高い基材への印刷適性に優れ、高い品質の画像を得ることが可能なインクジェット用インキ組成物を提供することが可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明について説明する。
本発明のインクジェット用水性インキは、一般の印刷媒体、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの光沢度の高い基材に対してインクジェット記録方式の印刷を行なうために好適に使用できる、水性のインキ組成物である。水性インキは、顔料と、顔料分散樹脂と、有機溶剤と、水とを含有し、上記有機溶剤は、少なくとも、(A)沸点が50℃以上、100℃以下である水溶性の有機溶剤と、(B)沸点が200℃以上、280℃以下であり、かつ表面張力が20mN/m以上、30mN/m以下である有機溶剤とを組合せて構成される。以下、上記インキを構成する主要な成分について具体的に説明する。
(有機溶剤)
本発明では、少なくとも2種の特定の有機溶剤を組合せて使用する。第1の溶剤は、(A)沸点が50℃以上、100℃以下である水溶性の有機溶剤である(以下、「溶剤A」と称す)。第2の溶剤は、(B)沸点が200℃以上、280℃以下であり、かつ表面張力が20mN/m以上、30mN/m以下である、有機溶剤である(以下、「溶剤B」と称す)。本発明では、少なくとも、上記特定の溶剤AとBとの2種を組合せることによって、吐出性、乾燥性、印刷品質、及び光沢といった所望とする特性を高いレベルで得ることが可能となる。これは以下の様な原理によるものであると考えられる。まず、低沸点の溶剤Aの使用によって、インキ滴が印刷媒体に着弾した後の乾燥を速めることができる。乾燥時にはインキ中の溶剤A及び水が揮発する一方で、高沸点の溶剤Bはインキ滴中に残留することになる。溶剤Bは表面張力が低いため、印刷媒体に対して濡れ広がり、ベタ印刷部では均一な塗膜が形成され、高い光沢の印刷物が形成される。インキ滴中の溶剤Bの濃度が高くなった場合であっても、顔料分散樹脂が顔料凝集を防止することで、均一な塗膜が形成されると考えられる。また、インキ中の溶剤A及び水が、直ちに乾燥するため、インキ滴の粘度が高くなり、他色のインキと接液した場合にも混色が起こり難くなる。これに対し、溶剤Aを含まず乾燥が遅いインキでは、印刷媒体にインキが着弾した後も非常に低粘度であるため、他色のインキと容易に混色し、また滲みが発生し易く、印刷品質が低下することになる。
インキ中の溶剤A及び溶剤Bの含有率は、溶剤A及び溶剤Bの合計含有率が、インキの全重量を基準として、10〜45重量%であることが好ましい。合計含有率が5重量%以上であれば、印刷媒体に対して十分な濡れ性を確保することができ、印刷媒体の種類に影響されず高い印刷品質の画像を得ることができる。また、合計含有率が45重量%以下であれば、十分なインキの保存安定性を確保することができる。溶剤A及びBの合計含有率は、インキの全重量を基準として、より好ましくは15〜30重量%であり、さらに好ましくは18〜26重量%であり、最も好ましくは20〜24重量%である。また、上記溶剤A及び上記溶剤Bの含有量は、それぞれ独立して、5〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは8〜20重量%であり、さらに好ましくは10〜15重量%である。
溶剤Aと溶剤Bとの含有比(重量比)は、溶剤A:溶剤B=1:5〜5:1が好ましく、より好ましくは溶剤A:溶剤B=1:4〜4:1であり、さらに好ましくは溶剤A:溶剤B=1:3〜3:1であり、最も好ましくは溶剤A:溶剤B=1:2〜2:1である。上記範囲内であれば印刷物の乾燥性、ベタ部の埋まり、滲みを両立することが容易となる。
上記溶剤Aは、沸点が50℃以上、100℃以下である水溶性の有機溶剤であれば、どのような溶剤でも使用可能である。特に限定するものではないが、上記溶剤Aとして、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、等が挙げられる。これらの中でもアルコール系溶剤が好ましい。また、吐出性、乾燥性の面からエタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがより好ましく、エタノールが最も好ましい。
上記溶剤Bは、沸点が200℃以上、280℃以下であり、かつ表面張力が20mN/m以上、30mN/m以下である有機溶剤であれば、どのような溶剤でも使用可能である。ここで、上記「表面張力」とは、25℃の条件下にてウィルヘルミー法(プレート法、垂直板法)によって測定された値を意味する。具体的には、高精度表面張力計DY−700(協和界面科学社製)などの装置を用いて測定することができる。特に限定するものではないが、溶剤Bとして、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールジメチルエーテル、等が挙げられる。これらの中でも、アルカンジオール系溶剤、及び/又は末端の炭素鎖の炭素数が3以上のグリコールエーテル系溶剤が好ましい。より好ましくは、アルカンジオール系溶剤であり、さら好ましくは1,2−ヘキサンジオールである。
インキ中の有機溶剤として、上記2種の溶剤A及びBに加えて、粘度の調整、又は吐出性の改良を目的として、他の溶剤を使用することも可能である。使用可能な他の溶剤としては、グリセリン、両末端ジオール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、及びN,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド等が挙げられる。
(顔料)
本発明で使用可能な顔料を以下に例示する。以下に例示する顔料は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。顔料の含有量は、インキの全重量を基準として、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜7重量%である。
本発明では、顔料として、無機顔料、及び有機顔料のいずれも使用できる。無機顔料の一例として、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、及びコバルトバイオレット、等が挙げられる。
有機顔料の一例として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料、等が挙げられる。
更に詳しくは、シアン顔料としてはC.I.Pigment Blue 1、2、3、15:1、15:3、15:4、15:6、16、21、22、60、64等が挙げられる。
マゼンタ顔料としてはC.I.Pigment Red 5、7、9、12、31、48、49、52、53、57、97、112、120、122、146、147、149、150、168、170、177、178、179、184、188、202、206、207、209、238、242、254、255、264、269、282、C.I.Pigment Violet 19、23、29、30、32、36、37、38、40、50等が挙げられる。
イエロー顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213等が挙げられる。
ブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40nm、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGA330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex160IQ、Nipex170IQ、Nipex75、Printex85、Printex95、Printex90、Printex35、PrintexU(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック以外の顔料としてはC.I.Pigment Green 7、10、36、C.I.Pigment Brown 3、5、25、26、C.I.Pigment Orange 2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、62、63、64、71等が挙げられる。
顔料の含有率としてはインキの全重量を基準として0.1重量%以上15重量%以下が好ましい。より好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。1重量%以上8重量%以下が好ましく、2重量%以上6重量%以下がより好ましい。
(顔料分散樹脂)
上記顔料は顔料分散樹脂によりインキ中に分散して使用する。顔料の分散方法には、顔料を酸化処理等により表面改質し分散剤なしで顔料を分散させる方法や、界面活性剤を使用して顔料を分散させる方法があるが、本発明では印刷物の光沢を向上させ、より吐出性の安定なインキとするために顔料分散樹脂を使用して顔料を分散する。
顔料分散樹脂にて分散を行う場合には例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、αオレフィンマレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂等を使用することができる。なかでもアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂を使用することが好ましい。
ここで、本明細書に記載する「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1つを重合して得られる構造単位を含む重合体を意味する。一実施形態において、上記「アクリル樹脂」は、炭素数1以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られる構造部位を有する重合体であってよい。このような実施形態において、重合体は、炭素数8以上のアルキル基を有することが好ましく、炭素数10以上のアルキル鎖を有することがより好ましい。上記重合体は、炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、又は上記エステルと、(メタ)アクリル酸等の他の重合性モノマー化合物との共重合体であってもよい。いずれの実施形態においても、上記重合体が、炭素数8以上のアルキル基を有することによって、上記インキの分散安定性を高めることが容易である。また、分散安定性の向上に伴い、印刷品質及び光沢の向上効果をさらに高めることができる。したがって、一実施形態において、顔料分散樹脂は、炭素数8以上のアルキル基を有することが好ましい。
上記炭素数8以上のアルキル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。アルキル基の具体例として、オクチル基(C8)、2−エチルヘキシル基(C8)、ノニル基(C9)、デシル基(C10)、ラウリル基(C12)、ミリスチル基(C14)、セチル基(C16)、ステアリル基(C18)、アラキル基(C20)、ベヘニル基(C22)、リグノセリル基(C24)、セロトイル基(C26)、モンタニル基(C28)、メリッシル基(C30)、ドトリアコンタノイル基(C32)、テトラトリアコンタノイル基(C34)、及びヘキサトリアコンタノイル基(C36)等が挙げられる。これらのなかでも、直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数10以上の直鎖のアルキル基がより好ましい。顔料分散樹脂として使用する上記重合体が炭素数8以上のアルキル基を有する場合、印刷品質及び印刷物の光沢を向上することが容易である。また、炭素数10以上のアルキル基を有する場合には、吐出安定性の向上効果が得られる。一方、上記重合体におけるアルキル基が、あまりにも長鎖となると、インクの吐出安定性が悪化する場合がある。そのため、上記アルキル基の炭素数は、好ましくは12〜30であり、より好ましくは18〜24である。
上記顔料分散樹脂の酸価は、50〜400mgKOH/gであることが好ましい。酸価が50mgKOH/gよりも小さいと、上記顔料分散樹脂が水に対して溶解し難くなるため、上記インキの粘度が高くなり、吐出に影響が出る場合がある。また、酸価が400mgKOH/gよりも大きい場合であっても、上記樹脂間での相互作用が強まり、上記インクの粘度が高くなる場合がある。このような観点から顔料分散樹脂の酸価は、より好ましくは100〜350mgKOH/gであり、さらに好ましくは150〜300mgKOH/gである。
上記顔料分散樹脂の重量平均分子量は、5000〜100000であることが好ましい。上記分子量を5000以上に調整することによって、優れた分散安定性を容易に得ることができる。また、上記分子量を100000以下にすることによって、吐出への影響を容易に抑制することができる。より好ましくは分子量10000〜50000であり、さらに好ましくは分子量15000〜30000である。
上記顔料分散樹脂は芳香族基を有することが好ましい。重合体に上記芳香族基を導入することによって、顔料分散性を高め、分散安定性、光沢を向上させることが容易となる。上記芳香族基の一例として、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、アニシル基等が挙げられる。なかでも、上記芳香族基は、フェニル基又はトリル基であることが好ましい。より具体的には、上記顔料分散樹脂は芳香族基を有するアクリル樹脂が好ましく、本明細書では「スチレンアクリル樹脂」と記載する。「スチレンアクリル樹脂」は、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとを重合して得られる構造単位を含む重合体を意味する。上記スチレン誘導体の一例として、メチルスチレン、及びビニルナフタレン等が挙げられる。
特に限定するものではないが、本発明の好ましい実施形態において、顔料分散樹脂は、(i)(メタ)アクリル酸と、(ii)炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、さらに必要に応じて、(iii)芳香族基を有する重合性モノマー化合物とを重合して得られる共重合体である。一実施形態において、上記共重合体を構成する各モノマー成分の配合率は、全モノマー成分の全量を基準として、(i)が10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、(ii)が10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%、及び(iii)が0〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
本発明で使用する顔料分散樹脂は、水への溶解度を向上させるために、分散樹脂中の酸基が塩基で中和されていることが好ましい。上記塩基としては、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基やアンモニア水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。なかでも、有機塩基を使用した場合は、インキ乾燥時に塩基が揮発し、印刷物の耐水性が向上する傾向があるため好ましい。
顔料と顔料分散樹脂の重量比率は2/1以上100/1以下であることが好ましい。顔料分散樹脂の重量比率が2/1以上であるとインキの粘度を低く抑えることが容易である。また、100/1以下であると分散安定性が良化し、インキの安定性を向上させることが容易である。顔料と顔料分散樹脂の重量比率としてより好ましくは4/1以上50/1以下、更に好ましくは5/1以上25/1以下であり、最も好ましくは10/1以上20/1以下である。
(界面活性剤)
本発明では界面活性剤をインキに配合することも可能である。界面活性剤を使用することで高い濡れ広がり性を発揮し、良質な画像を得ることができる。
界面活性剤としてはシリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、グリコールエーテル系界面活性剤等が使用できる。中でもシリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤を使用することが好ましく、より好ましくはシリコン系界面活性剤である。
シリコン系界面活性剤としては一般式1〜3で表される化合物を使用することが好ましい。より好ましくは一般式2または一般式3で表される化合物であり、更に好ましくは一般式2で表される化合物である。インキ中の界面活性剤の含有率としては0.1重量%以上5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上3重量%以下であり、更に好ましくは0.8重量%以上2重量%以下であり、最も好ましくは1重量%以上1.5%重量以下である。
[一般式1]
Figure 0006557456
(式中aは1〜500の整数、bは0〜10の整数。R1はアルキル基、またはアリール基を示す。R2は下記(A)、(B)、(C)、(D)の内の何れかの置換基で示され、R2の内、少なくとも一つは(A)を含む。)
(A)
Figure 0006557456
(cは1〜20の整数であり、dは0〜50の整数であり、eは0〜50の整数である。R3は水素原子またはアルキル基を示し、R4は水素原子、アルキル基、アシル基の何れかを示す。)
(B)
Figure 0006557456
(fは2〜20の整数である。R5は水素原子、アルキル基、アシル基、ジメチルプロピル骨格を有するエーテル基の何れかを示す。)
(C)
Figure 0006557456
(gは2〜6の整数であり、hは0〜20の整数であり、iは1〜50の整数であり、jは0〜10の整数であり、kは0〜10の整数である。R6は水素原子、アルキル基、アシル基の何れかを示す。)
(D)
アルキル基、またはアリール基である。
一般式1で表される化合物の市販品としてはエボニックデグサ社製のTegotwin4000やTegotwin4100等が挙げられる。
[一般式2]
Figure 0006557456
(式中lは10〜80の整数を示す。R7は下記(E)の置換基で示される。)
(E)
Figure 0006557456
(mは1〜6の整数、nは0〜50の整数、oは0〜50の整数であり、n+oは1以上の整数で示される。R8は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、または(メタ)アクリル基である。)
一般式2で表される化合物の市販品の例としては、東レ・ダウコーニング社製のBY16−201、SF8427、ビックケミー社製のBYK−331、BYK−333、BYK−UV3500、エボニックデグサ社製のTegoglide410、Tegoglide432、Tegoglide435、Tegoglide440、Tegoglide450等が挙げられる。
[一般式3]
Figure 0006557456
(pおよびqは1以上の整数であり、p+qは3〜50の整数で示される。R9は下記(E)の置換基で示され、R10は炭素数1〜6のアルキル基で示される。)
(F)
Figure 0006557456
(rは1〜6の整数、sは0〜50の整数、tは0〜50の整数であり、s+tは1以上の整数で示される。R11は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、または(メタ)アクリル基である。)
一般式3で表される化合物の市販品の例としては、東レ・ダウコーニング社製のSF8428、FZ−2162、8032ADDITIVE、SH3749、FZ−77、L−7001、L−7002、FZ−2104、FZ−2110、F−2123、SH8400、SH3773M、ビックケミー社製のBYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、エボニックデグサ社製のTegowet250、Tegowet260、Tegowet270、Tegowet280、信越化学工業社製のKF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643等が挙げられる。
アセチレン系界面活性剤としては一般式4で表される化合物を使用することが好ましい。一般式4で表される化合物の市販品としてはエアープロダクツ社製のサーフィノール104、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等が挙げられる。
[一般式4]
Figure 0006557456
(式中uおよびvはそれぞれ独立に0〜50の整数を示す。)
(バインダー樹脂)
本発明の水性インキは、印刷物の耐性を高めるために、上記インキに対してバインダー樹脂をさらに添加することができる。水性インキのバインダー樹脂としては、大別して、水溶性樹脂、及び樹脂微粒子が知られている。一般に、上記樹脂微粒子は上記水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現することができる。また、上記樹脂微粒子はインキ粘度を低くすることができ、インキ中に多量に配合することができることから、印刷物の耐性を高めるのに適している。上記樹脂微粒子の種類として、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。インキの安定性、印刷物の耐性の面を考慮すると、アクリル樹脂の樹脂微粒子を使用することが好ましい。
バインダー樹脂のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで、耐擦性、及び耐薬品性等の耐性を向上させることが容易である。そのため、バインダー樹脂のTgは、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の範囲とするのがよい。Tgが50℃よりも高い場合、十分な耐性が得られ、実用にて印刷物からインキ塗膜が剥がれる不具合を抑制することが容易である。また、Tgが120℃よりも低い場合、塗膜が硬くなり難く、印刷物を折り曲げた際に、印刷面にワレ及びヒビ等が生じる不具合を抑制することが容易である。
上記インキ中の上記バインダー樹脂の含有率は、上記インキの全重量を基準として、固形分で2重量%以上30重量%以下の範囲であり、好ましくは3重量%以上20重量%以下の範囲であり、より好ましくは6重量%以上15重量%以下の範囲である。
(水)
本発明の水性インクジェットインキに含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水のインキ組成中における含有率は20重量%以上90重量%以下の範囲が好ましく、40重量%以上85重量%以下の範囲がより好ましく、60重量%以上80重量%以下の範囲が更に好ましい。
(その他の成分)
本発明のインキは上記成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤等の添加剤を適宜添加することができる。これらの添加剤の添加量としては、インキの全重量に対して0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以上3重量%以下である。
(インキ粘度)
本発明のインキは粘度1〜20mPa・sであることが好ましい。この範囲であればインクジェットヘッドからの良好な吐出性を保つことが容易となる。より好ましくは2〜15mPa・sであり、更に好ましくは3〜12mPa・sである。
(インキセット)
本発明のインキは、単色で使用してもよいが、用途に合わせて複数の色を組み合わせたインキセットとして使用することもできる。色の組み合わせは、特に限定されないが、一実施形態として、シアン、マゼンタ、及びイエローの3色を含むインキセットが挙げられる。インキセットを上記3色から構成することによって、フルカラーの画像を得ることができる。また、上記インキセットにブラックインキを追加することによって、黒色感を向上させ、文字等の視認性を向上させることができる。さらに、上記インキセットに対して、オレンジ、及びグリーン等の色を追加することによって、色再現性を向上させることも可能である。白色以外の印刷媒体に対して印刷を行う場合には、ホワイトインキを併用することによって、容易に鮮明な画像を得ることができる。
シアン、マゼンタ、イエローの組合せを含むインキセットとして本発明のインキセットを使用する場合、好ましい顔料の一例は、以下のとおりである。シアン顔料として、C.I.Pigment Blue 15:3、15:4。マゼンタ顔料として、C.I.Pigment Red 122、150、202、209、269、C.I.Pigment Violet 19。イエロー顔料としてC.I.Pigment Yellow 74、120、150、155、185。これらから選ばれる顔料を組合せて使用することによって、高い色再現性を容易に得ることができる。
(印刷方法)
本発明のインキセットでは印刷工程に先立ち、予め印刷媒体にインキ受容層等の機能層を設けることなく、印刷媒体に直接印刷を行うことによって、高品質の印刷物を得ることができる。印刷工程では印刷媒体を室温以上に加温しながら実施することが好ましい。上記加温は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜65℃、さらに好ましくは40〜60℃の範囲である。30℃以上の温度で加温を実施することによって、上記水性インキのインキ滴が印刷媒体へ着弾した後、直ちに、印刷面が乾燥するため、インキの色間での滲みの発生を容易に抑制することができる。さらに、滲みが抑制されることによって、より高い品質の印刷物を得ることが容易になる。また、70℃以下の温度で加温を実施することによって、インクジェットヘッドも加温され、ノズル周辺のインキが乾燥して吐出不能となる不具合を抑制することが容易となる。
上記印刷媒体は特に限定されるものではなく、当技術分野で代表的な公知の印刷媒体を使用することができる。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、及びインクジェット専用紙等の紙媒体が挙げられる。また、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、及びPPフィルム等のプラスチック媒体が挙げられる。これら印刷媒体の表面は、滑らかであっても、凹凸が形成されたものであってもよい。また、印刷媒体は、透明、半透明、及び不透明のいずれであってもよい。さらに、印刷媒体の形状は、特に限定されることなく、シート形状の基材であっても板状の基材であってもよい。上記印刷媒体は、単独で使用しても、2種以上の印刷媒体を互いに貼り合わせて使用してもよい。上記印刷媒体に対して、印字面の反対側に、剥離シート等で表面を保護した粘着層等の機能層を設けてもよい。又は、印字後に、上記印刷媒体の印字面に上記粘着層等の機能層を設けてもよい。
本発明では、60°光沢度が40以上の印刷媒体を使用することが好ましい。60°光沢度が40以上の印刷媒体を使用して印刷を行うことによって、光沢感がある高品質の印刷物を容易に得ることができる。60°光沢度が40以上の印刷媒体の一例として、コート紙、アート紙、及びキャスト紙等の塗工紙、並びにポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、及びPPフィルムなどのプラスチック媒体が挙げられる。ここで、本明細書で記載する「60°光沢度」とは、「JIS Z 8741」に規定される測定方法に従って得た値である。
本発明では特にコート紙、アート紙、及びキャスト紙等の塗工紙、並びにポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、及びPPフィルムなどのプラスチック媒体への印刷に適したものである。このような印刷媒体は、一般的な紙媒体よりも吸水性が低い。そのため、そのような吸水性が低い印刷媒体に従来の水性インキを使用して印刷を行った場合、画像の滲みが生じることが多い。しかし、本発明によれば画像の滲みが抑制されることで、高品質の印刷物を容易に得ることができる。すなわち、本発明によれば、様々な印刷媒体に対して優れた印刷適性を有するインクジェット用水性インキが提供されるため、印刷媒体を限定することなく、様々な印刷媒体に対して高品質の印刷物を容易に形成することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限りそれぞれ「重量部」、「重量%」を表す。
(顔料分散樹脂Aの製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱し、重合モノマーであるブチルメタクリレート70部、アクリル酸30部、および重合開始剤であるV−601(和光純薬製)6部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、分散樹脂Aの溶液を得た。さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和し、水を100部添加し、水性化した。その後、100℃以上に加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去し、固形分が50%になるように調整した。これより、顔料分散樹脂Aの固形分50%の水性化溶液を得た。
(顔料分散樹脂B〜Eの製造例)
重合モノマーとして表1記載のモノマーを使用する以外は顔料分散樹脂Aと同様の操作にて顔料分散樹脂B〜Eの固形分50%の水溶化液を得た。
表1に記載された略語は、以下の通りである。
BMA:ブチルメタクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
VA:ベヘニルアクリレート
St:スチレン
AA:アクリル酸
(顔料分散液Aの製造例)
顔料としてピグメントブルー15:3を20部、顔料分散樹脂Aの水性化溶液を12部、水68部を混合し、ディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散液A(Cyan)を得た。ピグメントブルー15:3をピグメントレッド122に変更し、同様の操作にて顔料分散液A(Magenta)を得た。ピグメントブルー15:3をピグメントイエロー120に変更し、同様の操作にて顔料分散液A(Yellow)を得た。ピグメントブルー15:3をピグメントブラック7に変更し、同様の操作にて顔料分散液A(Black)を得た。
(顔料分散液B〜Eの製造例)
顔料分散樹脂として顔料分散樹脂B〜Eを使用する以外は顔料分散液Aと同様の操作にて顔料分散を行い、顔料分散液B〜Eを得た。
Figure 0006557456
(実施例1)
顔料分散液A(Cyan)を20部、メタノール10部、1,2−ヘキサンジオール10部、残りを水としてインキ全体が100部になるように調整し、これをディスパーで十分に均一になるまで攪拌した。その後、メンブランフィルターで濾過を行い、ヘッドつまりの原因となる粗大粒子を除去し本発明のインクジェット用シアンインキを作成した。同様にして、顔料分散液A(Magenta, Yellow, Black)を用いてマゼンタインキ、イエローインキ、ブラックインキを作成した。
作成したインキを、VersaCAMM VS−540(ローランドディー・ジー社製インクジェットプリンタ)に充填し、印刷を行った。印刷は印刷媒体としてポリ塩化ビニルシートを用い、印刷媒体を40℃に加温しながら行った。使用したインキ、印刷条件、得られた印刷物に対して、以下のように各種特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(吐出性)
上記プリンタにて印字幅1mのベタ印字を行い、濃色インキ、淡色インキ共に印字長1m毎にノズルチェックパターンを印字してノズル抜け本数をカウントし、その本数で評価を行った。
A:印字長5mでノズル抜けなし
B:印字長2〜4mでノズル抜けなし
C:印字長1mでノズル抜け10本以下
D:印字長1mでノズル抜け11本以上
(乾燥性)
上記プリンタにて印刷パス数を変化させ、印字率100%のベタ印刷を行った。それぞれの印刷物のモットリングの発生を観察し、乾燥性の評価を行った。
A:印刷パス数を4パスとして印刷したときにモットリングが発生しない
B:印刷パス数を8パスとして印刷したときにモットリングが発生しない
C:印刷パス数を16パスとして印刷したときにモットリングが発生しない
D:印刷パス数を16パスとして印刷したときでもモットリングが発生する
(印刷品質評価)
上記プリンタにて単色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のベタ部(印字率100%)、二次色(レッド、グリーン、ブルー)のベタ部(印字率200%)の境界が互いに接するように印刷を行った。この印刷物の境界部分の滲み、ベタ部の白抜けを観察し、印刷品質の評価を行った。評価基準は以下のとおりとした。
A:二次色同士の境界で滲みが見られず、単色ベタ部の白抜けが見られない
B:二次色と単色の境界では滲みが見られず、単色ベタ部の白抜けが見られない
C:単色同士の境界では滲みが見られず、単色ベタ部の白抜けが見られない
D:単色同士の境界で滲みが見られた、または、単色ベタ部の白抜けが見られた。
(光沢)
乾燥性評価にてモットリングが発生しなかった条件の印刷物の60°光沢度を測定し、評価を行った。なお、乾燥性評価にて印刷パス数を32パスとしてもモットリングが発生した場合(評価E)には光沢を評価していない。
A:光沢度70以上
B:光沢度50以上70未満
C:光沢度30以上50未満
D:光沢度30未満
(実施例2〜28、比較例1〜14)
表2、表3記載の原料を用いて実施例1と同様にしてインキの作成を行い、インキの評価を行った。結果を表2、表3に示す。
Figure 0006557456
Figure 0006557456
表2、表3に記載された略語は、以下の通りである。
MeOH:メタノール(沸点65℃)
EtOH:エタノール(沸点78℃)
iPrOH:2−プロパノール(沸点82℃)
DMEG:エチレングリコールジメチルエーテル(沸点85℃)
HexD:1,2−ヘキサンジオール(沸点224℃、表面張力26mN/m)
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、表面張力28mN/m)
DPNP:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点212℃、表面張力28mN/m)
BEG:エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃、表面張力26mN/m)
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点187℃、表面張力29mN/m)
DPG:ジプロピレングリコール(沸点232℃、表面張力32mN/m)
MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃、表面張力36mN/m)
活性剤:TegoGlide 440(エポニックデグサ社製、シリコン系活性剤)
樹脂微粒子:アクリルエマルジョン(固形分40%、樹脂Tg80℃)
実施例では溶剤Aおよび溶剤Bを使用することで、何れの評価も良好な結果を示している。溶剤Aの中では特にエタノール、2−プロパノールが良好であり、溶剤Bの中では1,2−ヘキサンジオールが良好な結果を示した(実施例1〜6)。実施例7〜13にあるとおり、溶剤含有率、比率によらず良好な結果を得ることが可能であるが、特に溶剤Aと溶剤Bの合計含有率が15〜30%であるときに良好な結果を示した。分散剤を長鎖のアルキル鎖を有するものへ変更したところ、吐出性、印刷品質の向上が見られた。また、更に分散剤へ芳香環基を導入したところ、印刷物の光沢も向上した(実施例14〜25)。
一方、比較例では溶剤Aおよび溶剤Bを含まないため、良好な結果を得ることができていない。例えば、比較例3〜10のように溶剤A、溶剤B以外の組み合わせでは吐出性、乾燥性、印刷品質、光沢を満足する結果が得られていない。また、分散樹脂を変更しても十分な結果は得られなかった(比較例11〜14)。
上記の結果からわかるように、溶剤Aおよび溶剤Bを使用する本発明で示された組成とすることで、吐出性、乾燥性、印刷品質、光沢を高いレベルで満たすインキを得ることができた。

Claims (4)

  1. 少なくとも顔料、顔料分散樹脂、有機溶剤、水、および界面活性剤を含有し、
    前記有機溶剤として少なくとも(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤と(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤とを含み、
    前記顔料分散樹脂が、炭素数8以上のアルキル鎖を有し、
    前記顔料分散樹脂の酸価が、100〜400mgKOH/gであり、
    前記界面活性剤が、ポリシロキサン系界面活性剤であり、
    前記(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤が、エタノール、および、2−プロパノールからなる群より選ばれる1種以上であり、
    前記(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤が、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、および、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であり、
    前記溶剤(A)と前記溶剤(B)との含有比(重量比)が、溶剤(A):溶剤(B)=1:3〜3:1であることを特徴とする水性インクジェット用インキ。
  2. インキ中に含まれる前記(A)沸点が50℃以上100℃以下である水溶性の有機溶剤、および、(B)沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤の合計含有率が10〜45重量%であることを特徴とする請求項1記載の水性インクジェット用インキ。
  3. 請求項1または2記載の水性インクジェット用インキを用いて印刷を行うインクジェット印刷方法であって、印刷媒体を30〜70℃に加温しながら、インキ液滴を印刷媒体に付着させることを特徴とするインクジェット印刷方法。
  4. 前記印刷媒体の60°光沢度が40以上であることを特徴とする請求項記載のインクジェット印刷方法。
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