JP6016066B2 - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法、当該記録方法を利用したインクジェット記録装置、並びに当該記録方法又は当該記録装置によって得られる記録物に関する。
従来、インクジェット記録方式を用いた印刷方法は、インクの小滴を飛翔させて紙などの被記録媒体上に付着させることにより行う。近年のインクジェット記録方式技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷が用いられていた高精細な画像記録(画像印刷)の分野にもインクジェット記録方式を用いた印刷方法が利用されている。特に、普通紙やインクジェット記録用専用紙(例えば光沢紙)等のインク吸収性の被記録媒体に対して高品質な画像が得られるインクについて、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1は、黒インクと、黒インクよりも記録媒体への浸透性が大きなシアン、マゼンタ、及びイエローのカラーインクを各々ノズルから吐出して記録媒体上に大きさが可変のインクドットのパターンを形成して階調カラー記録を行うとき、黒色ドットを形成する際に、黒色ドットが当該黒色ドットに隣接する位置にある黒色以外の色のドットと少なくとも一部が重なる場合には、コンポジットブラックにより形成し、それ以外の場合には黒インクで形成するインクジェット記録方法を開示している。また、当該記録方法により、黒色とカラーとの色境界部分におけるブリードを低減することができる旨も開示している(特許文献1の明細書段落0025〜0035)。
特開平11−320922号公報
しかしながら、特許文献1が開示するインクジェット記録方法は、ブラックインク由来の黒色領域とカラーインク由来のカラー領域との間で、光沢ムラが発生するという問題が生じる。そのため、画像の品質を向上することが求められている。
そこで、本発明は、黒色領域とカラー領域との間における光沢ムラの発生を防止できるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。光沢ムラの原因を検討したところ、ブラックとカラーとの間の光沢度差が光沢ムラの原因となっていることを見出した。特にブラックインク、より詳しくはブラック顔料の光沢度が高い。そこで、当該ブラック顔料よりも光沢度の低いカラー顔料をブラック顔料と共にインクに含有させて、ブラック色を調整したブラックインク(以下、当該ブラックインクを「調色ブラックインク」という。)の黒色画像を形成すること、並びに、カラーインクの組み合わせから黒色画像を形成することに想到した。これにより、黒色画像はカラーインクを用いて形成されるので、色ごとの光沢度差、特に黒色画像及びカラーインク由来のカラー画像の間の光沢度差を小さくし、光沢ムラを改善できることを知見した。
そこで、本願発明者らはさらに鋭意検討を重ねた。その結果、上記のような黒色画像のパターンに加えて、各インクの60°光沢度及び被記録媒体における被記録面の60°光沢度をそれぞれ所定のものとすることにより、上記課題が(顕著に)生じることを見出し、本発明を完成した。なお、上記のインクの60°光沢度は、被記録媒体に記録した画像の光沢度から求めることができる。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
(A)一種以上のブラック顔料からなる顔料を含有するブラックインク、
(B)一種以上のブラック顔料及び一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有する調色ブラックインク、並びに
(C)一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインク、
からなる群より選択される一種以上のインクを用いるインクジェット記録方法であって、
JIS Z 8741に準じて測定されたインクの60°光沢度が、前記(A)のブラックインク、前記(B)の調色ブラックインク、前記(C)のカラーインクの順に高く、かつ、
JIS Z 8741に準じて測定された被記録媒体における被記録面の60°光沢度が40以上であり、
下記の(1)又は(2)のうち少なくともいずれかの要件を満たす、インクジェット記録方法。
(1)少なくとも複数種の前記(C)のカラーインクを用いて黒色画像を形成し、前記(C)のカラーインクを用いてカラー画像を形成する。
(2)前記(B)の調色ブラックインクを用いて黒色画像を形成し、かつ、前記(C)のカラーインクを用いてカラー画像を形成する。
[2]
前記(1)の要件及び前記(2)の要件を満たす、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
少なくとも前記(2)の要件を満たし、かつ、前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記カラー顔料は、シアン顔料を含む、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記カラー顔料は、シアン顔料を含む、[2]に記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記ブラック顔料の総質量及び前記カラー顔料の総質量の比(前者:後者)が、1:1〜1:0.2である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[6]
少なくとも前記(1)の要件を満たし、かつ、前記黒色画像は、前記(A)のブラックインク又は前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかを更に用いて形成される、[1]、[3]、[4]、又は[5]に記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記黒色画像は、前記(A)のブラックインク又は前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかを更に用いて形成される、[2]に記載のインクジェット記録方法。
[8]
前記(A)のブラックインク及び前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかと前記(C)のカラーインクとを用いて被記録媒体の被記録面に形成された画像における、前記ブラック顔料の存在量と前記カラー顔料の存在量との質量比(前者:後者)が、1:1〜1:0.2である、[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味する。
本明細書において、単に「ブラックインク」というときは、後述する(A)のブラックインク及び(B)の調色ブラックインクを含む、ブラックインク一般を意味するものとする。また、以下では、ブラックをK、シアンをC、マゼンタをM、イエローをYと称することもある。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、次の(A)、(B)、及び(C)からなる群より選択される一種以上のインクを、所定の被記録媒体に向けて吐出し付着させて画像を形成するものである。上記(A)のインクは、一種以上のブラック顔料からなる顔料を含有するブラックインクである。上記(B)のインクは、一種以上のブラック顔料及び一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有する調色ブラックインクである。上記(C)のインクは、一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインクである。
加えて、当該インクジェット記録方法は、JIS Z 8741に準じて測定されたインクの60°光沢度が、上記(A)のブラックインク、上記(B)の調色ブラックインク、上記(C)のカラーインクの順に高く、JIS Z 8741に準じて測定された被記録媒体における被記録面の60°光沢度が40以上であり、かつ、次の(1)又は(2)のうち少なくともいずれかの要件を満たすものである。当該(1)の要件は、少なくとも複数種の上記(C)のカラーインクを組み合わせて用いて黒色画像を形成し、かつ、上記(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なるカラー画像を形成するものである。当該(2)の要件は、上記(B)の調色ブラックインクを用いて画像を形成し、かつ、上記(C)のカラーインクを用いて当該画像とは異なる画像を形成するものである。
なお、本明細書における「複数種の(C)のカラーインクを用いる」とは、結果的に黒色画像を形成できればよいため、一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインクを複数種用いることだけでなく、二種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインクを一種用いることも含む。これらの中でも、カラーインクの使用量によって画像の色彩を変化させることができ、これにより広範な黒の色味の画像(黒色画像)における再現性が優れたものとなるため、一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインクを複数種(複数色)用いることが好ましい。
上述の(1)又は(2)のうち少なくともいずれかの要件を満たすことで、黒色画像の光沢度を低減し、カラー画像との光沢度差(光沢ムラ)を低減させることができる。
本実施形態は、プリントヘッドのノズルから吐出されるインクの種類と形成される黒色画像との関係(第一の特徴)、各インクの60°光沢度(第二の特徴)、及び被記録媒体における被記録面の60°光沢度(第三の特徴)において特徴を有する。
まず、上記第一の特徴について説明する。画像を形成するためにプリントヘッドのノズルから吐出され得るインクとして、上述した(A)のブラックインク、(B)の調色ブラックインク、及び(C)のカラーインクが挙げられる。
ここで、上記(A)のブラックインクに含まれる顔料は一種以上のブラック顔料であり、本明細書では(A)のブラックインクを「単色ブラック」と称することもある。また、上記(B)の調色ブラックインクに含まれる顔料は一種以上のブラック顔料及び一種以上(一色以上)のカラー顔料を使用したインクである。
なお、上記の(A)〜(C)の各インクは、記載された顔料以外の顔料を実質的に含まない。ここで、本明細書における「実質的に含まない」とは、添加する意義を十分に発揮する量以上含有させないことを意味し、特に言及のない限り、定量的に言えば、インクの総質量(100質量%)に対して、1.0質量%以上含まないことが好ましく、0.5質量%以上含まないことがより好ましく、0.1質量%以上含まないことがさらに好ましい。
本実施形態におけるカラーインクは、ブラックインクを除く有色インクを意味する。当該カラーインクの色としては、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、グリーン、オレンジ、レッド、ブルー、ライトマゼンタ、ライトシアンなどが挙げられる。これらの中でも、所望の色相を再現することができるため、シアン、マゼンタ、及びイエローのうち一以上が好ましく、シアン及びマゼンタとシアン及びイエローとのうちいずれかがより好ましく、シアン、マゼンタ、及びイエローがさらに好ましい。
なお、上記(C)のカラーインクがシアン、マゼンタ、及びイエロー等のカラーインクを使用して黒を再現している場合、本明細書では「コンポジットブラック」と称するものとする。なお、当該コンポジットブラックは、(C)のカラーインクと、(A)又は(B)の(調色)ブラックインクとを併用してもよい。
上記第一の特徴は、上記の(1)又は(2)の要件のうち少なくともいずれかを満たすことである。インクの種類と形成される黒色画像との関係で言えば、上記の(1)又は(2)の要件は次のように言うことができる。
(1)少なくとも複数種の(C)のカラーインクを備えこれらのインクを用いて一の黒色画像を形成し(コンポジットブラックのモード)、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なるカラー画像を形成する。
(2)(B)の調色ブラックインクを用いて一以上の黒色画像を形成し、かつ、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なる一以上のカラー画像を形成する。
上記の(A)、(B)、及び(C)のうち、本実施形態におけるインクの組み合わせ及び形成される画像パターンとして、下記の(I)〜(V)が挙げられる。
(I)複数種の上記(C)のカラーインクを組み合わせて一の黒色画像を形成し、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なる一以上のカラー画像を形成する。
(II)上記(B)の調色ブラックインク及び上記(C)のカラーインクを組み合わせて、一の黒色画像を形成し、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なる一以上のカラー画像を形成する。
(III)上記(A)のブラックインク及び上記(C)のカラーインクを組み合わせて、一の黒色画像を形成し、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なる一以上のカラー画像を形成する。
(IV)上記(A)のブラックインク、上記(B)の調色ブラックインク、及び上記(C)のカラーインクを組み合わせて、一の黒色画像を形成し、(C)のカラーインクを用いて当該黒色画像とは異なる一以上のカラー画像を形成する。
上記(I)は上記(1)の要件に合致する。上記(II)〜(IV)は上記(1)の要件に該当し、かつ、上記(A)のブラックインク又は上記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかを更に用いるものである。また、上記の(I)〜(IV)はコンポジットブラックのモードを有することとなる。
(V)上記(B)の調色ブラックインクから一以上の黒色画像を形成し、上記(C)のカラーインクから一以上のカラー画像を形成する。当該黒色画像と当該カラー画像とは互いの縁部で接していてもよい。
上記(V)は、上記(2)の要件に合致する。
(I)〜(IV)の中でも、黒色画像の再現性に優れるため、(A)のブラックインク又は(B)の調色ブラックインクを併用する(II)又は(III)が好ましく、光沢ムラの発生を効果的に防止できるため、上記(B)の調色ブラックインクと上記(C)のカラーインクとを用いる(II)がより好ましい。
これらのうち、上記(II)、(IV)、及び(V)についてさらに説明する。黒の色味をより良好とするため、(B)の調色ブラックインクは、少なくともシアン顔料を含有することが好ましく、少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料を含有することがより好ましく、少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料を含有し且つイエロー顔料を実質的に含有しないことがさらに好ましい。これにより調色ブラックインクを一層無彩色のブラックインクに近づけることができる。なお、ここでの「実質的に含有しない」とは、定量的に言えば、インクの総質量(100質量%)に対する含有量が、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.005質量%以下である。
また、上記(1)の要件についてさらに説明する。当該(1)の要件はコンポジットブラックのモードを有するものである。これにより、上記(C)のカラーインクによって画像を形成し、複数種の上記(C)のカラーインクによってコンポジットブラックの画像を形成した場合に、両画像間の光沢ムラを低減することができる。
上記第一の特徴は、上記の(1)及び(2)の要件を共に満たすことが好ましい。画像濃度が淡い領域(グレー領域)はコンポジットブラックを用い、かつ、画像濃度が濃い領域はブラックインク又は調色ブラックインクを単独で用いて画像を形成することにより、黒色画像の階調記録を行う場合がある。この場合に、ブラックインクが上記(B)の調色ブラックインクであれば、ブラックインクの光沢度を低減させているので、階調記録をした場合の黒色画像同士の間における光沢ムラも抑えることができる。
上述の(1)及び(2)の要件を共に満たす場合、少なくとも上記(B)の調色ブラックインクと上記(C)のカラーインクとを備え、上記(B)の調色ブラックインクを用いて黒色画像を形成し、かつ、上記(A)のブラックインク又は(B)の調色ブラックインクと上記(C)のカラーインクとを用いて、上記の黒色画像とは異なるコンポジットブラックの画像が形成されることがより好ましい。これにより、黒色画像の再現性がより良好となる。
また、上述の場合において、(B)の調色ブラックインクに含まれるカラー顔料は、少なくともシアン顔料であることが好ましく、少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料であることがより好ましく、少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料であり且つイエロー顔料を実質的に含まないことがさらに好ましい。これにより、(B)の調色ブラックインクを無彩色のブラックインクに一層近づけることができる。
上記(B)の調色ブラックインクにおいて、ブラック顔料の総質量及びカラー顔料の総質量の比(前者:後者)が、1:1〜1:0.2であることが好ましく、1:1〜1:0.4であることがより好ましい。当該比が上記範囲内であると、光沢ムラの発生を一層効果的に防止することができる。
なお、本実施形態における各インクは、上記で挙げた好ましいインクの組み合わせだけでなく、上記の(A)、(B)、及び(C)のいずれかのインクを2種以上備えてもよく、さらに別のインクを備えてもよい。当該別のインクとしては、本発明の目的を損なわない範囲で従来公知のインクを用いることができる。
また、上記第二の特徴として、JIS Z 8741に準じて測定された記録媒体上のインクの60°光沢度が、上記(A)のブラックインク、上記(B)の調色ブラックインク、上記(C)のカラーインクの順に高い。以下、当該インクの光沢度について説明する。なお、上記の(A)のブラックインク又は(B)の調色ブラックインクのうち一方のみ備える場合には、備えられるブラックインクの光沢度が上記(C)のカラーインクの光沢度よりも高いと好ましい。
インクの光沢度は、添加剤や分散剤が同一であれば、顔料種及び平均粒子径によって変化する。カーボンブラック等のブラック顔料は、黄系にシフトしており(即ち、L***色空間においてb*値が正の値を有する。)、青系の色味が弱い。そのため、顔料としてブラック顔料を含有するブラックインク(例えば上記(A)のブラックインク)は、青系の色味を強くすることが求められる場合がある。
そこで、上記(B)の調色ブラックインクに含まれるカラー顔料が少なくともシアン顔料を含むか、又は、コンポジットブラックの画像を記録する際に上記(A)のブラックインクと共に上記(C)のカラーインクとして少なくともシアンインクを用いることが好ましい。これにより、ブラックインクの青系の色味をある程度強くして、所望の色相にある程度近づけることができる。
なお、上記の好ましい場合、上述した(2)の要件を少なくとも満たすか、又は(1)及び(2)の要件を共に満たすことが好ましい。
上記ブラックインクの青系の色味を十分強くして、所望の色相である厳密な黒とするため、上記(B)の調色ブラックインクに含まれるカラー顔料が少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料を含むか、又は、コンポジットブラックの画像を記録する際に上記(A)のブラックインクと共に、上記(C)のカラーインクとして少なくともシアンインク及びマゼンタインクを用いるか、のいずれかが好ましい。これにより、ブラックインクを一層無彩色に近づけることができる。さらに、上記(B)の調色ブラックインクにおいて、カラー顔料が少なくともシアン顔料及びマゼンタ顔料を含むことが好ましく、イエロー顔料を実質的に含まないことが好ましい。
(B)の調色ブラックインクの好ましい態様は上記のとおりであるが、コンポジットブラックの画像を記録する際には、黒色のバランスを整えて良好な黒色画像とするため、シアンインク及びマゼンタインクだけでなく、イエローインクも含めた3色を少なくとも用いることが好ましい。
また、カラー顔料の種類によらず、光沢度の低い顔料を添加すれば、光沢ムラは改善する傾向にある。なお、体積基準の平均粒子径(以下、単に「平均粒子径」ともいう。)が大きな樹脂をインクに添加した場合、当該インクに含まれる顔料が記録媒体上で密に配列しづらくなり、光沢度は低下する傾向にある。よって、上記(A)のブラックインク又は(B)の調色ブラックインクには、顔料の平均粒子径よりも大きい平均粒子径を有する樹脂を添加することが好ましい。
なお、本明細書における「JIS Z 8741に準じて測定されるインクの60°光沢度」は、後述の実施例で行った方法で測定することができる。
以下、本実施形態における各インクに含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。なお、上記の(A)、(B)、及び(C)の各インクが含有する各成分は、種類及びその物性並びに含有量などの点で、互いに独立して選定される。また、上記の(A)、(B)、及び(C)のうちいずれかのインクが複数種存在する場合についても、上記と同様、それぞれのインクに含まれる各成分の種類及びその物性並びに含有量などは、互いに独立して選定される。さらに言えば、ブラック顔料の種類は、上記の(A)及び(B)の各インク間で同一であってもよく異なっていてもよく、中でも同一であることが好ましい。また、カラー顔料の種類も、上記の(B)及び(C)の各インク間で同一であってもよく異なっていてもよく、中でも同一であることが好ましい。
〔顔料〕
本実施形態におけるインクに含まれる顔料は、水に不溶又は難溶であるだけでなく光やガス等に対しても退色しにくい性質を有する。そのため、顔料を用いたインクにより記録された記録物は、光沢ムラが生じず、耐水性、耐ガス性、及び耐光性に優れると共に、保存安定性も良好となる。
まず、上記(A)及び(B)の調色ブラックインクに含まれるブラック顔料としては、カーボンブラック等が挙げられる。
上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
上記(A)及び(B)の調色ブラックインクは、互いに独立して、上記のカーボンブラックを選択することができる。
上記(A)及び(B)の調色ブラックインクにそれぞれ含まれるカーボンブラックは、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記カーボンブラックの含有量は、所望の発色を得るために適宜設定できるため、上記(A)のブラックインクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜5質量%が好ましい。
また、上記(B)の調色ブラックインク及び上記(C)のカラーインクに含まれるカラー顔料としては、以下に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料(ジスアゾ系、モノアゾ系など)が挙げられる。カラー顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料(シアン顔料)としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントブルー15:3及び15:4のうち少なくともいずれかが好ましい。
マゼンタインクに使用される顔料(マゼンタ顔料)としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種以上が好ましく、C.I.ピグメントレッド122がより好ましい。
イエローインクに使用される顔料(イエロー顔料)としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。中でもC.I.ピグメントイエロー74、155、及び213からなる群から選択される一種以上が好ましく、C.I.ピグメントイエロー155がより好ましい。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
これらの中でも、上記(B)の調色ブラックインクに含まれるカラー顔料と、上記(C)のカラーインクに含まれるカラー顔料と、は互いに独立して、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料からなる群より選択される一種以上の顔料を含むことが好ましい。この場合、上述のように、ブラックインクの青系の色味を十分強くし、所望の色味に近づけることができる。これらのうち、所望の色味が得られ、インクジェットインクとして使いやすい、シアン顔料としてはフタロシアニン顔料が好ましく、マゼンタ顔料としてはキナクリドン顔料が好ましく、イエロー顔料としてはアゾ系顔料が好ましい。
特に、上記(B)の調色ブラックインクに顔料としてブラック顔料及びカラー顔料が含まれる場合、これらの顔料の総含有量は、当該インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜5質量%が好ましい。当該総含有量が上記範囲内であると、所望の発色が得られ、インクの安定性が優れたものとなる。また、上記の場合に、ブラック顔料の含有量と、カラー顔料の総含有量と、の質量比(前者:後者)は、1:1〜1:0.2が好ましい。これによって、画像間の光沢ムラを一層低減することができる。さらに、上記の場合に、カラー顔料の含有量の質量比(前者:後者)は、1:1〜1:0.1が好ましい。当該質量比が上記範囲内であると、ブラックインクの色味を良好な黒色(厳密な黒)に近づけることができる。なお、上述のカラー顔料は、好ましくは少なくともシアン顔料であり、より好ましくはシアン顔料及びマゼンダ顔料である。
以上で説明してきた、無機顔料であるカーボンブラック及びカラー顔料は、いずれも、発色性が良好であって、比重が小さいため分散時に沈降しにくいという有利な効果を発揮する。
また、上記のカーボンブラックやカラー顔料の平均粒子径は、ノズルにおける目詰まりを抑制することができ、かつ、吐出安定性が一層良好となるため、250nm以下であることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。
ここで、本明細書における平均粒子径は、体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
〔樹脂〕
本実施形態におけるインクは、樹脂、好ましくはバインダー性能を有する樹脂(以下、「バインダー樹脂」と言う。)を含有してもよい。当該バインダー樹脂は、インクジェット記録において被記録媒体が加熱される際、樹脂被膜を形成することで、インクを被記録媒体上に十分定着させて記録物の耐擦性を良好にする効果を発揮する。そのため、バインダー樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記の効果によりバインダー樹脂を含有するインクを用いて記録された記録物は、インク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体上で、耐擦性が一層優れたものとなる。
また、バインダー樹脂はインク中にエマルジョン状態で含有される。バインダー樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
バインダー樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
上記のバインダー樹脂としては、公知の材料及び製造方法により得られるものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd)製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASF社製)等が挙げられる。
上記のバインダー樹脂は、特に限定されないが、例えば、以下に示す調製方法により得ることができ、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。当該調製方法としては、所望の樹脂を構成する成分の単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(乳化重合)する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去する方法、及び樹脂を非水溶性有機溶剤に溶解させて得られる溶液を分散剤と共に水溶液中に混合する方法が挙げられる。
バインダー樹脂をエマルジョン状態に分散する際に使用可能な分散剤としては、特に制限されないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩などのアニオン性界面活性剤、並びにポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダー樹脂の平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5〜400nmの範囲であり、より好ましくは20〜300nmの範囲である。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、インクの定着性が良好となることから画像の耐擦性が良好なものとなるため、40℃以上が好ましく、40〜150℃がより好ましく、60〜150℃がさらに好ましい。
なお、本明細書におけるTgは、JIS K 7121に基づき、DSC曲線から求めることができる。
各インクに含まれ得るバインダー樹脂の含有量(固形分換算)は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜5質量%の範囲が好ましく、0.5〜1.5質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、耐擦性が一層優れたものとなる。
〔界面活性剤〕
本実施形態におけるインクは、界面活性剤を含んでもよい。当該界面活性剤として、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はカルシウムとの塩)、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフテン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸モノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸カリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸ジエタノールアミン、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリコン系、アセチレングリコール系、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(アセチレングリコールアルコールエチレンオキサイド)、フッ素系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びプロピルエタノールアミドが挙げられる。ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、光沢ムラや滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。
上記ノニオン界面活性剤の中ではシリコン系界面活性剤が好ましく、シリコン系界面活性剤の中ではポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社(Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.)製)が挙げられる。
上記の界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記の界面活性剤の含有量は、インクの保存安定性及び吐出安定性がより良好なものとなるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜3質量%の範囲であるとよい。
〔保湿剤(湿潤剤)〕
本実施形態におけるインクは、保湿剤(湿潤剤)を含んでもよい。当該保湿剤としては、一般にインクに用いられるものであれば特に制限されることなく使用できる。沸点が、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上の高沸点保湿剤を用いる。沸点が上記範囲内である場合、インクに保水性と湿潤性を付与することができる。
高沸点保湿剤として、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、数平均分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールが挙げられる。
インクに高沸点保湿剤を添加することにより、開放状態、即ち、室温でインクが空気に触れている状態で放置しても、流動性と再分散性とを長時間維持できるインクジェット記録用インクを得ることができる。さらに、このようなインクは、インクジェットプリンターを用いての印字中又は印字中断後の再起動時に、ノズルの目詰まりが生じにくくなるため、ノズルからの優れた吐出安定性を有するインクが得られる。
上記保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記保湿剤の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、1〜15質量%であるとよい。
〔水〕
本実施形態におけるインクは、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録において被記録媒体が加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
なお、水の含有量は特に制限されることなく、必要に応じて適宜決めればよいが、例えば20〜95質量%であるとよい。
〔有機溶剤〕
本実施形態におけるインクは、溶媒として有機溶剤をさらに含んでもよく、中でも揮発性の水溶性有機溶剤をさらに含むことが好ましい。当該溶媒としては、上記純水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒が好ましい。
上記水溶性有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、及びtert−ペンタノール等のアルコール類又はグリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及び1,1,3,3−テトラメチル尿素が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水溶性有機溶剤の含有量は特に制限されることなく、必要に応じて適宜決めればよいが、例えば1〜50質量%であるとよい。
〔その他の成分〕
本実施形態におけるインクは、上記の成分に加えて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、及びキレート化剤などをさらに含んでもよい。
〔インクの製造方法〕
本実施形態におけるインクは、上述の成分(材料)を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過などを行い、不純物を除去することにより得ることができる。ここで、顔料は、あらかじめ溶媒中に均一に分散させた状態に調製してから混合することが、取り扱いが簡便になるため好ましい。
各材料の混合方法としては、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法として、例えば、遠心濾過やフィルター濾過などを必要に応じて行うことができる。
〔被記録媒体〕
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記で説明したインクの組み合わせを、被記録媒体に向けて吐出し付着させて画像を形成するものである。当該被記録媒体としては、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体が好ましい。
本明細書において、「インク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
上記第三の特徴として、JIS Z 8741に準じて測定された上記所定の被記録媒体における被記録面の60°光沢度が40以上であり、好ましくは40〜110であり、より好ましくは50〜110である。被記録面の60°光沢度が上記範囲内であると、本発明が解決すべき課題が顕著に生じるため、本実施形態は顕著に大きな効果をもたらすことができる。詳細は定かでないが、次のように推察される。顔料を含むインクが写真用紙などに記録される場合、顔料を被記録面に残しつつインクは急速に浸透する。一方、顔料を含むインクがインク非吸収性の被記録媒体に記録される場合、インクが被記録面に長期間残留する。このような被記録媒体におけるインクの吸収性の差異に起因して、写真用紙などに記録する場合は画像間の光沢差が生じにくい一方、インク非吸収性の被記録媒体に記録する場合は顔料特性、樹脂、及び溶剤組成の影響を受けて画像間の光沢差が生じやすいものと推察される。そして、その光沢差による差異は、光沢度が高い被記録媒体の場合、顕著に認識できるものと推察される。なお、以上の推察は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
なお、本明細書における「JIS Z 8741に準じて測定された上記所定の被記録媒体における被記録面の60°光沢度」は、後述の実施例で行った方法で測定することができる。
インク非吸収性の被記録媒体として、以下に限定されないが、例えば、インクジェット記録用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものが挙げられる。当該プラスチックとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。インク低吸収性の被記録媒体として、以下に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、及びマット紙などの印刷本紙が挙げられる。
以下、本実施形態のインクジェット記録方法の一例を工程ごとに詳細に説明する。
〔吐出工程〕
本実施形態のインクジェット記録方法は吐出工程を含む。当該吐出工程は、インクジェット記録方式で、上述の被記録媒体上にインクの液滴を吐出して、画像を形成するものである。吐出の方法としては、従来公知の方式を使用でき、中でも圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドを用いた記録方法)を用いると優れた記録を行うことができる。
〔乾燥工程〕
本実施形態のインクジェット記録方法は乾燥工程を含んでもよい。当該乾燥工程は、被記録媒体上に吐出されて付着したインク(画像)を乾燥するものである。本工程により、被記録媒体上に吐出されたインク中に含まれる水分などが速やかに蒸発飛散して、インクの層、即ち画像が形成される。これにより、被記録媒体上において、インク乾燥物が強固に定着した、光沢ムラを一層効果的に防止できる、高品質な画像を短時間で得ることができる。
ここで、乾燥工程は、吐出工程と並行して行ってもよく、吐出工程後に行ってもよい。換言すれば、記録前、記録中、及び記録終了後のうち少なくともいずれかにおいて、被記録媒体が加熱されればよい。中でも、記録前又は記録中に被記録媒体が加熱されることは、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上に光沢ムラが少ない高品質な画像を形成することができるため、好ましいと言える。
上記加熱の方法としては、以下に限定されないが、例えば、インクジェット記録装置に備えられたヒーター、インクジェット記録装置に備えられた温風機構、及びインクジェット記録装置に接続された恒温槽などの乾燥機構を用いる手段が挙げられる。そして、これらの手段は、1種単独又は2種以上を組み合わせて利用することができる。
上記乾燥工程における、インクが接触する被記録媒体の被記録面(表面)の温度は、被記録媒体の材質にもよるが、40〜120℃が好ましい。当該温度が40℃以上であると、インク中の液媒体の蒸発飛散を効果的に促進することができる。一方で、当該温度が120℃以下であると、被記録媒体の変形を防止したり、被記録媒体の加熱冷却の際に画像の収縮などを防止したりすることができる。
このように、本実施形態によれば、黒色領域とカラー領域との境界部分における光沢ムラの発生を効果的に防止できるインクジェット記録方法を提供することができる。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置に係る。当該インクジェット記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を利用するものである。
[記録物]
本発明の一実施形態に係る記録物は、上記実施形態のインクジェット記録方法又は上記実施形態のインクジェット記録装置を利用することにより得られるものである。当該記録物は、光沢ムラが見られず画質に優れたものとなる。なお、カラー画像と黒色画像との60°光沢差は50以内が好ましく、より好ましくは30以内である。
上記(A)のブラックインク及び上記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかと上記(C)のカラーインクとを用いて、上記記録物(被記録媒体)の被記録面に形成された画像における、ブラック顔料とカラー顔料の存在量の質量比(前者:後者)は、1:0.1〜0.1:1であることが好ましく、1:1〜1:0.2であることがより好ましい。当該質量比が上記範囲内であると、黒色画像の色味を著しく損なわずに光沢ムラを一層低減することができる。なお、カラー顔料は、ブラックインクにも含まれている場合は、当該ブラックインク由来のカラー顔料をも含む。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[使用材料]
下記の実施例及び比較例において使用した材料は、以下の通りである。
〔顔料〕
・C.I.ピグメントブラック7(平均粒子径80nm、以下では「PBk7」と略記した。)
・C.I.ピグメントブルー15:3(平均粒子径100nm、以下では「PB15:3」と略記した。)
・C.I.ピグメントレッド122(平均粒子径120nm、以下では「PR122」と略記した。)
・C.I.ピグメントイエロー155(平均粒子径200nm、以下では「PY155」と略記した。)
〔樹脂〕
・スチレン−アクリル酸ポリマー(Tg85℃、平均粒子径140nm、以下では「St/AA」と略記した。)
〔界面活性剤〕
・BYK348(シリコン系界面活性剤、BYK社製商品名)
〔保湿剤〕
・プロピレングリコール(以下では「PG」と略記した。)
〔有機溶剤〕
・1,2−ヘキサンジオール(以下では「1,2−HD」と略記した。)
・2−ピロリドン(以下では「2−Py」と略記した。)
〔水〕
・純水
〔被記録媒体〕
・被記録媒体1(IJ40−10R(住友スリーエム社製)、被記録面の60°光沢度39)
・被記録媒体2(写真用紙<光沢>(KA4100PSKR)〔商品名〕、セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製、被記録面の60°光沢度86)
なお、各被記録媒体における被記録面の60°光沢度は、後述するインクの60°光沢度の測定と同様、JIS Z 8741:1997(標題:鏡面光沢度―測定方法、規格概要:鉱工業製品の巨視的にみて平滑な表面の鏡面光沢度を測定する方法について規定、対応国際規格:ISO 2813:1994,ISO 7668:1986)に準じて測定した。なお、上述に記載した光沢度は5回測定を行った平均値である。
[インクの調製]
下記表1に示す組成で、ブラックインク1〜3、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、及びイエローインク(Y)を調製した。各インクは、各成分を容器に入れてマグネチックスターラーで2時間撹拌混合した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過してゴミや粗大粒子などの不純物を除去することにより調製した。なお、表1中の数値の単位は、質量%である。
[インクの60°光沢度の測定]
日本工業規格(JIS) Z 8741:1997(標題「鏡面光沢度―測定方法」、対応国際規格ISO2813:1994(MOD))に準じ、光沢計 GlossMeter VGP5000(日本電色工業社製製品名)を用いて、インクの60°光沢度を測定した。結果を下記表1に示す。
なお、ブラックインク1及び2は上述の(B)の調色ブラックインクに相当し、ブラックインク13は上述の(A)のブラックインクに相当する。
上記表1より、インクの60°光沢度は、ブラックインク3、次いでブラックインク1及び2、次いでC,M,及びYの各カラーインクの順に、高い値を有することを知見した。被記録媒体へのインクの付与条件(吐出条件)及び付与量(吐出量)は全て同一である。
[実施例1〜6、比較例1,2]
実施例1〜6及び比較例2については、下記表2に示すインクを組み合わせた。
プリンターPX−H6000(セイコーエプソン社製製品名)を使用した。上記、調整した各インクをプリンターに充填し、720×1440dpiの解像度、1ドット14ngのドット重量で、13mg/inch2で市販の被記録媒体に対して以下のように画像形成を行った。
実施例1〜5、8及び比較例2については、表2に記載のブラックインクと所定のカラーインク(表2に記載の「CB画像に用いるカラーインク」)を併用しコンポジットブラック画像を形成し、シアンインクを用いてシアン画像とをベタ印刷した。実施例6については、表2に記載の所定のカラーインクのみを用いてコンポジットブラック画像とシアンインクを用いてシアン画像とをベタ印刷した。実施例7と比較例1はブラックインクのみを用いて画像を形成し、シアンインクを用いてシアン画像を形成した。得られた各記録物を80℃で10分間乾燥させた。
〔ブラック顔料及びカラー顔料の存在比の測定〕
被記録媒体の被記録面における、ブラック顔料の存在量を1としたときのカラー顔料の存在量の比を求めた。具体的には、各実施例及び各比較例で得られた記録物において付与したインクの量及び当該インクに含まれる顔料の量から、被記録媒体上における存在量を算出した。なお、実施例6、7及び比較例1についてはコンポジットブラック画像中の顔料の存在量比の算出を行っていない。
なお、算出の結果は、下記表2中「K顔料の存在量1に対するカラー顔料の存在量比」の項目に記載した。
〔光沢ムラの評価〕
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表2に示す。
○:黒色画像領域とカラー画像領域との光沢度差がほぼ目立たない。
△:黒色画像領域とカラー画像領域との光沢度差が少し目立つ。
×:黒色画像領域とカラー画像領域との光沢度差が極めて目立つ。
上記表2より、インクの60°光沢度が、(A)のブラックインク、(B)の調色ブラックインク、(C)のカラーインクの順に高く、かつ、被記録面の60°光沢度が40以上であるという条件の下、(1)の要件、即ち複数種の所定の(C)のカラーインクとを用いて、画像を形成し、所定の(C)のカラーインクを用いて前記画像とは異なる画像を形成する(実施例1〜6及び8)、又は、(2)の要件、即ち所定の(B)の調色ブラックインクを用いて画像を形成し、かつ、所定の(C)のカラーインクを用いて前記画像とは異なる画像を形成する(実施例7)、のうち一方を満たすインクジェット記録方法は、そうでないインクジェット記録方法(各比較例)に比して、黒色領域とカラー領域との境界部分における光沢ムラの発生を十分防止できることが分かった。
以下、上記表2の結果を考察するが、当該考察の内容は推測を含むため、本発明の範囲が以下の内容によって制限されることはない。
実施例3及び4の記録物は、黒の色味があまり良好でないことを知見した。その理由は、厳密な黒に近い色味を再現可能なC、M、及びYの各カラーインクからなるコンポジットブラックが不完全であるためと推測される。つまり、実施例3ではYインクを使用せず、実施例4ではMインクを使用していないため、コンポジットブラックが黒を十分に再現できておらず、黒の色味が若干劣るものと推測される。実施例6については黒色画像の濃度が実施例1等と比較して劣る傾向にあり、コンポジットブラック画像は、ブラックインクを併用した方が良好な画像となることが分かった。
また、実施例6は、無彩色の黒を呈する上記(A)に相当するブラックインク3と、C、M、及びYの各カラーインクからなるコンポジットブラックと、からそれぞれ画像を形成し、記録物を得たものである。したがって、当該記録物においては、インクの混色、即ちK顔料及びカラー顔料を含有するブラックインクによる混色が生じていない。このように、混色が生じないことに起因して、実施例6は光沢ムラが若干発生したものと推測される。

Claims (9)

  1. (A)一種以上のブラック顔料からなる顔料を含有するブラックインク、
    (B)一種以上のブラック顔料及び一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有する調色ブラックインク、並びに
    (C)一種以上のカラー顔料からなる顔料を含有するカラーインク、
    からなる群より選択される一種以上のインクを用いるインクジェット記録方法であって、
    JIS Z 8741に準じて測定されたインクの60°光沢度が、前記(A)のブラックインク、前記(B)の調色ブラックインク、前記(C)のカラーインクの順に高く、かつ、
    JIS Z 8741に準じて測定された被記録媒体における被記録面の60°光沢度が40以上であり、
    下記の(1)又は(2)のうち少なくともいずれかの要件を満たす、インクジェット記録方法。
    (1)少なくとも複数種の前記(C)のカラーインクを用いて黒色画像を形成し、前記(C)のカラーインクを用いてカラー画像を形成する。
    (2)前記(B)の調色ブラックインクを用いて黒色画像を形成し、かつ、前記(C)のカラーインクを用いてカラー画像を形成する。
  2. 前記(1)の要件及び前記(2)の要件を満たす、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 少なくとも前記(2)の要件を満たし、かつ、前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記カラー顔料は、シアン顔料を含む、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記カラー顔料は、シアン顔料を含む、請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記(B)の調色ブラックインクに含まれる前記ブラック顔料の総質量及び前記カラー顔料の総質量の比(前者:後者)が、1:1〜1:0.2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 少なくとも前記(1)の要件を満たし、かつ、前記黒色画像は、前記(A)のブラックインク又は前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかを更に用いて形成される、請求項1、3、4、又は5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記黒色画像は、前記(A)のブラックインク又は前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかを更に用いて形成される、請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記(A)のブラックインク及び前記(B)の調色ブラックインクのうち少なくともいずれかと前記(C)のカラーインクとを用いて被記録媒体の被記録面に形成された画像における、前記ブラック顔料の存在量と前記カラー顔料の存在量との質量比(前者:後者)が、1:1〜1:0.2である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置。
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