JP2010086825A - 導電性基板の製造方法及びその方法により得られた導電性基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、銅ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成し、次いでこの導電層上に電解銅めっきを施す導電性基板の製造方法であって、前記印刷層の焼成処理を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに、該印刷層を晒すことにより行うことを特徴とする導電性基板の製造方法である。
【選択図】なし
Description
しかしながら、この方法では導電性材料として金属微粒子を用いるために、粒子間の界面での電気抵抗が問題であり、金属箔なみの導電性を達成するためには、金属微粒子を数百度の温度で燃結させることが必要である。ところが、数百度での温度での燃結を必要とすると、金属微粒子を分散させた塗料を塗布する基材が制限され、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチックフィルムからなる基材を用いることは困難となる。
このような、金属が超微粒子化するとその金属の融点よりも格段に低い温度で焼結する性質を利用して、金属微粒子の平均粒子径を1〜100nmに制御した低温焼結型導電性金属ペーストが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1で提案される低温焼結型導電性金属ペーストを構成する導電性媒体としての金属微粒子に加えて、より粒子径の大きな金属フィラーを用いたものであり、基板上に塗布、焼成した際、密着力が高く、比較的厚さを増した際にも、表面形状がなめらかで、また、低抵抗かつ微細な回路を形成できるとされている。
しかしながら、特許文献で提案される低温焼結型導電性金属ペーストを用いた場合であっても、焼成処理を通常180〜230℃の温度で60分程度は行っており、焼成時間が長く、必ずしも基材への損傷を完全に抑制することはできず、また、導電性についても必ずしも満足できるものではなかった。
導電性薄膜を厚くする方法として、基材上にスパッタリングにより銅スパッタ膜を設け、この上に電解銅めっき処理を施す方法が知られている。この方法では、下地層の銅スパッタ膜と電解銅めっき膜の密度差が小さく、高い信頼性が得られるが、パターニングのために、さらにフォトリソグラフィ及びエッチングなどの煩雑な工程が必要である。
また、基材上に設けられた銅ナノ粒子焼結膜に電解銅めっき処理を施す方法が知られている(特許文献2参照))。しかしながら、この場合、焼結膜とめっき層の密度が違うことにより、導電性が不十分となったり、焼結膜とめっき膜との界面で剥離するなどの問題があったり、めっき表面の平滑性が損なわれるという問題があった。
(1)基材上に、銅ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成し、次いでこの導電層上に銅めっきを施す導電性基板の製造方法であって、前記印刷層の焼成処理を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに、該印刷層を晒すことにより行うことを特徴とする導電性基板の製造方法、
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られたことを特徴とする導電性基板、及び
(3)上記(2)に記載の導電性基板を備えていることを特徴とする電子部材、
を提供するものである。
[導電性基板の製造方法]
本発明の導電性基板の製造方法は、基材上に、銅ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成し、次いでこの導電層上に銅めっきを施す導電性基板の製造方法であって、前記印刷層の焼成処理を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに、該印刷層を晒すことにより行うことを特徴とする。
本発明において用いる基材としては、導電性基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス基板、アルミナ、シリカなどのセラミックス基板等の無機材料を用いることができ、さらに高分子材料、紙などを用いることもできる。本発明においては、基材に直接、銅ナノ粒子分散液を印刷するので、従来のフォトレジスト等による方法では使用できなかった紙基材を用いることもできる。また、本発明では後に詳述するように、銅ナノ粒子が低温かつ短時間で焼結されて導電性薄膜が形成されるため、基材に損傷を与えることが少なく、高歪点ガラスなど耐熱性の高い特殊なガラスを使わなくてもよく、耐熱性の低い通常のソーダライムガラス等であっても使用することができる。さらには、プラスチックなどの高分子材料も基材とすることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
また、基材の表面には、易接着成分を成膜してもよいし、プラスチック基材を用いる場合には、その表面に酸化法や凹凸化法などの表面処理を施してもよい。
また、プラスチック基材に対する酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられる。また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
一方、プラスチック基材の場合には、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、導電層を形成する際に基材の変形が抑制され、形成される導電層の形状安定性の点で好適である。また、300μm以下であると巻き取り加工を連続して行う場合に、柔軟性の点で好適である。
本発明の製造方法において用いる銅ナノ粒子の調製方法としては種々の方法があるが、メカノケミカル法などによる銅粉を粉砕して得る物理的な方法;CVD法や蒸着法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法と呼ばれる方法で作製できる。
得られた銅ナノ粒子は、分散液とするために、該ナノ粒子にポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物やグラフト共重合高分子化合物のような保護剤、界面活性剤、銅と相互作用するようなチオール基やアミノ基、水酸基、カルボキシル基を有する化合物で被覆することが好ましい。また、合成法によっては、原料の熱分解物や銅酸化物が粒子表面を保護し、分散性に寄与する場合もある。熱分解法や化学還元法などの湿式法で作製した場合は、還元剤などがそのままナノ粒子の保護剤として作用することがある。
また、分散液の分散安定性を高めるために、ナノ粒子の表面処理を行ったり、高分子化合物、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
なお、本発明で用いる銅ナノ粒子は、表面が酸化されていてもよく、また内部まで酸化されていてもよい。
本発明において、銅ナノ粒子を含む塗布液は、銅ナノ粒子の分散液からなり、該分散液を構成し、銅ナノ粒子を分散させる分散媒としては、水及び/又は有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)などのエーテル類;ヘキサン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
また、本発明では、基材上に銅ナノ粒子を含む塗布液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いた手法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
本発明においては、まず、このようにして基材上に設けられたパターン状の印刷層を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)に晒すことにより焼成処理して、パターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成する。
なお、表面波プラズマの処理の前に、銅ナノ粒子印刷層に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、大気下または酸素を含む雰囲気下、200〜500℃程度の温度で10分から2時間程度加熱することが好ましい。この加熱により、有機物が酸化分解除去される。
<表面波プラズマの発生方法>
前記表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは2450MHzの高周波エネルギーを言うが、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲が許されている。
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記パターン状の印刷層を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、ち密かつ平滑な銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成することができる。表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式と比べて、面内で部分的に粒子の焼結が進行するなど、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常にち密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。さらに、プラスチック基材を用いる場合には、該基材のダメージが少なく、また電極やその他の層へのダメージも少ない。
このように、還元性気体の雰囲気下で、マイクロ波表面波プラズマを発生させ、前記パターン状印刷層を焼成処理することにより、銅粒子表面に存在する酸化物が還元除去されるので、本発明においては、銅ナノ粒子として、表面が酸化されている粒子や、内部まで酸化されている粒子を用いることができる。
なお、還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、微粒子表面に付着した有機物の除去には水素ガスが好ましい。
また、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
(1)上記の銅ナノ粒子焼結膜と、その上に設けられる後述の銅めっき膜との密度差がなく、両者は同質のものであり、導電性などの信頼性が高い配線が得られる。
(2)銅ナノ粒子焼結膜と銅めっき膜との界面での剥離が生じにくい。
(3)銅ナノ粒子焼結膜は平滑表面を有しており、したがって、その上に設けられる銅めっき膜の表面が平滑になる。
本発明においては、前述のようにして、基材上に形成されたパターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層の上に、銅めっきを施して導電性基板を製造する。銅めっきの方法としては、無電解銅めっき及び電解銅めっきのいずれも使用可能であるが、厚膜化のスピードの点で、電解銅めっきが好ましい。特に、本発明で形成される銅ナノ粒子焼結膜は低抵抗であるため、電解銅めっきによる厚膜化が容易である。
電解銅めっき法としては特に制限はなく、従来公知の銅めっき浴、例えば硫酸銅めっき浴、シアン化銅めっき浴、ピロリン酸銅めっき浴などを用いる方法を採用することができる。
以下、電解銅めっき浴として代表的な硫酸銅めっき浴の組成及びめっき条件について説明する。なお、めっき浴には、めっき膜を平滑にするためのレベリング剤、膜質を高めるための添加剤などを添加してもよい。
(1)組成
硫酸銅(CuSO4・5H2O):60〜80g/L
硫酸(H2SO4):180〜220g/L
塩素イオン :30〜70mg/L
(2)めっき条件
温度:25〜35℃
陰極電流密度:1〜4A/dm2
陽極電流密度:0.5〜2A/dm2
このようにして形成された銅めっき膜は、前述したように、銅ナノ粒子焼結膜との界面剥離が生じにくく、かつ表面が平滑であって、信頼性及び導電性の良好な配線が得られる。
本発明はまた、前述した本発明の製造方法により得られた導電性基板、及び該導電性基板を備えてなる電子部材をも提供する。
本発明の導電性基板は、前述した本発明の方法により製造されてなる、基材上に、マイクロ波表面波プラズマによる焼成によって形成された銅ナノ粒子焼結膜と、その上に密着性よく設けられた平滑面の電解銅めっき膜とからなるパターン状の導電層を有し、信頼性及び導電性の良好な基板である。
本発明の電子部材は、前述した本発明の導電性基板を備えた電子部材であって、例えばプリント配線板、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
(評価方法)
この例で得られた導電性基板について、以下の方法によって評価した。
1.表面抵抗
表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ社製「ロレスタGP」)を用いて、4探針法にて表面抵抗を測定し、膜厚から体積抵抗率を算出した。
2.走査型電子顕微鏡観察
(株)日立ハイテクノロジー製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」を用い、加速電圧1〜5kVで観察した。
平均1次粒子径が5nmの銅ナノ粒子トルエン分散液(アルバックマテリアル(株)製固形分30質量%)を、厚さ75μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200H」)に、インクジェット印刷法(FUJIFILM Dimatix社製 DMP−2831)によりパターン状に印刷した後、自然乾燥させた。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子社製)により処理を行った。プラズマ処理は、水素ガスを用い、水素導入圧力20Pa、水素流量100sccm、マイクロ波出力1000Wで、90秒間処理を実施した。
得られた銅ナノ粒子焼結膜について、膜厚を日立ハイテクノロジー製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」で観察したところ、300nmであった。体積抵抗率は6.5×10-6Ω・cmであった。目視にて基材の損傷などは確認されなかった。
次に硫酸銅めっき浴(硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、添加剤(トップルチナSF―M:奥野製薬工業社製):5mL、塩酸:0.125mL/L)を用い、温度:25℃、陰極電流密度:3Adm2、陽極電流密度:1.5Adm2の条件で、前記銅ナノ粒子焼結膜上に、電解銅めっき処理を施し、膜厚27μm(前記の走査型電子顕微鏡により測定)の電解銅めっき膜を形成することにより、導電性基板を作製した。
導電性基板の表面をSEMで観察したところ、平滑表面を有していた。また、導電性基板をミクロトームにより切断し、断面をSEMで観察したところ(図1参照)、銅ナノ粒子層とめっき層に密度の差はなく、境界は見られず均一な膜が得られた。
実施例1において、マイクロ波表面波プラズマによる焼成処理に代えて、電気炉(ネムス社製)を用いて焼成したこと以外は実施例1と同様にして銅ナノ粒子焼結膜を得た。焼成の具体的方法としては、水素4%、アルゴン96%の還元雰囲気下、10℃/minで300℃まで昇温後30分保持し、その後自然冷却した。
得られた銅ナノ粒子焼結膜について、日立ハイテクノロジー製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」で観察したところ、膜厚は300nmであった。また、体積抵抗率は9.0×10-6Ω・cmであった。目視にて基材の損傷などは確認されなかった。
その後の工程は実施例1と同様にして導電性基板を作製した。電解銅めっき後の膜厚は18μm(前記の走査型電子顕微鏡により測定)であった。また、導電性基板の表面をSEMで観察したところ、表面に凹凸や異常結晶などが成長している部分が見られ、平滑な表面は得られなかった。導電性基板をミクロトームにより切断し、断面をSEMで観察したところ、銅ナノ粒子層が多孔質になっており、めっき層との密度差があって界面が存在していた。
Claims (10)
- 基材上に、銅ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の銅ナノ粒子焼結膜からなる導電層を形成し、次いでこの導電層上に銅めっきを施す導電性基板の製造方法であって、印刷層の焼成処理を、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに、該印刷層を晒すことにより行うことを特徴とする導電性基板の製造方法。
- 前記銅めっきが電解銅めっきである請求項1に記載の導電性基板の製造方法。
- 銅めっき膜の厚みが10〜30μmである請求項1又は2に記載の導電性基板の製造方法。
- 表面波プラズマを還元性気体の雰囲気下で発生させる請求項1〜3のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 還元性気体の雰囲気が水素を含む気体雰囲気である請求項4に記載の導電性基板の製造方法。
- 銅ナノ粒子の平均1次粒子径が1〜100nmである請求項1〜5のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 基材がガラス基板及びセラミックス基板の中から選択される請求項1〜6のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 基材が融点200℃以上のプラスチックフィルムからなる請求項1〜6のいずれかに記載の導電性基板の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする導電性基板。
- 請求項9に記載の導電性基板を備えていることを特徴とする電子部材。
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