JP2004247572A - 微細配線パターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐熱性に優れ、可撓性フィルムの転写シート表面に剥離層を形成し、この表面に、スクリーン印刷またはインクジェット印刷により金属ナノ粒子分散液で微細な配線パターンを描画し、加熱焼成して、金属ナノ粒子の焼結体からなる微細な配線パターンを作製した上で、一方、被転写基板上には接着層を塗布形成し、この被転写基板に転写シートを貼り合わせ、圧着・加熱して、被転写基板上に微細な配線パターンを転写することで、微細な配線パターンを有するプリント配線基板とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に金属焼結体型導電体層からなる微細な配線パターンを形成する方法に関し、より具体的には、転写シート上に、金属ナノ粒子、または金属酸化物ナノ粒子の分散液を利用して、超ファインなパターン描画後、金属酸化物ナノ粒子に対しては還元処理を施し、金属ナノ粒子に変換した後、描画層中の金属ナノ粒子を焼成して、低インピーダンスでかつ極めて微細な金属焼結体型配線パターンを形成した上で、微細な配線パターンを基板上に転写する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属ナノ粒子を利用して、超ファインな配線パターンを形成する方法は、例えば、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を用いる際には、既に方法論が確立されている。具体的には、金ナノ粒子あるいは銀ナノ粒子を含む、超ファイン印刷用分散液を利用した極めて微細な回路パターンの描画と、その後、金属ナノ粒子相互の焼結を施すことにより、得られる焼結体型配線層において、最小配線幅および配線間スペースが50μm程度において、体積固有抵抗率が1×10−5Ω・cm以下の配線形成が可能となっている。
【0003】
具体的には、プリント配線基板において、基板上に導電性金属ペーストを用いて、配線パターンの描画を行い、得られる導電性金属ペースト塗布層に加熱処理を施し、目的とする配線パターンの導電層形成を行う手法が広く利用されてきている。この配線パターンの描画方法としては、スクリーン印刷、すなわち、目的のパターンの塗布開口部を設けたメタル・スクリーン・マスクを型として、所望の塗布膜厚に導電性金属ペーストを塗布する方法が主流である。また、近年のインクジェット印刷における描画分解能・精度の格段の向上に伴い、インクジェット装置を用いて、導電性金属ペースト・インクを直接、基板上に噴射し、目的とする配線パターンを描画する方法も開発され、その描画精度に関しては、少なくとも、従来のスクリーン印刷法と遜色の無い、しばしば、遥かに高精度印刷に適する水準に達している。
【0004】
現状においても、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法のいずれの方法を利用する場合にも、描画に用いる導電性金属ペーストとして、金属ナノ粒子を導電性媒体とする分散液を適用することで、最小の配線幅および配線間スペースが50μmの微細なパターンに対して、一定の再現性が得られるようになっている。インクジェット印刷法においては、描画される塗布層の厚さは、基板上に噴射される分散液液滴量に依存するので、仮に、描画される基板表面が平坦な平面でなく、緩やかな曲がりを有する曲面であっても、得られる塗布層の厚さに実質的な影響を及ぼさない。一方、スクリーン印刷法では、描画される塗布層の厚さは、メタル・スクリーン・マスク面と、描画される基板表面との間隔に依存する、スクリーン・メッシュを透過する液量を反映するため、原則、描画される基板表面は平坦な平面である必要がある。特に、微細な配線パターンを形成する際に、描画される基板表面に微細な凸凹である、曲面であると、スクリーン印刷法を利用すると、塗布層厚さの不均一さ、それに由来する線幅の不均一さが生じる要因ともなる。
【0005】
そもそも、スクリーン印刷法自体は、スクリーン・メッシュを透過する導電性金属ペースト液は、当初、メッシュの開口に対応する、規則的に緻密な間隔で配列されるドット・マトリックスとして塗布され、その後、基板表面上で、ペースト液が濡れ広がり、近接するドット間で連結され、全体的に均一化、平坦化がなされ、最終的に、目的のパターン形状の二次元的な塗布層を構成するものである。従って、描画されるパターン形状の配線幅および配線間スペースが微細になるにつれ、微細な配線の輪郭線には、メッシュの開口間隔に起因する線の歪み、また、利用する分散液に含有される分散溶媒と、基板表面の濡れ特性に由来する、滲み出し現象、あるいは、パターン端部において、局所的に分散液の微細な押し出し部の表出が生じると、「ひげ」状の分散液の突出を引き起こし、場合によっては、隣接する回路間での絶縁特性の低下、回路配線の抵抗値のバラツキを起こす懸念が増す。
【0006】
スクリーン印刷法も、種々の改善がなされた結果、配線幅および配線間スペースが50μm程度であれば、形成される最細の回路においても、回線の断線、隣接した回路間の短絡といった巨視的な欠陥は皆無となっているものの、用いる基板の平面性、ならびに、導電性金属ペーストの分散溶媒との濡れ性によっては、上述する線輪郭の滲み、歪み、あるいは「ひげ」のような微視的なバラツキは、ある頻度で見出されている。今後、更なる配線パターンの微細化が要望されており、その際には、従来の基板表面に、直接スクリーン印刷法によって、微細なパターン描画を行う手法では、作製される微細な配線パターンの品質、インピーダンス特性の高い再現性を達成する上で、原理的な制約ともなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明するように、平面性に優れるプリント基板上に、スクリーン印刷、インクジェット印刷などを利用して、微細な配線パターンを直接形成する際、平均粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を用いることで、描画される微細なパターンにおける描画精度は格段に向上し、加えて、塗布層に含まれる、金属ナノ粒子、あるいは、還元処理によって、金属酸化物ナノ粒子が変換された金属ナノ粒子について、比較的に低温で焼成処理を施すことで、金属ナノ粒子相互間で、緻密な焼結体を形成することが可能であり、かかる緻密な焼結体層を導電体層とする、良電導性の極めて微細な配線パターンの形成が可能となっている。
【0008】
しかしながら、描画対象の基板表面に微細な凸凹がある場合、あるいは、曲面である際には、スクリーン印刷法の適用可能な範囲に限界があり、最小配線幅および配線間スペースが50μmを下回ると、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を利用しても、その本来の微細な描画性能を十分に発揮できなくなる。さらには、例え、基板自体は、高い平面性を示すものであっても、その基板材質によっては、分散液に用いる分散溶媒の濡れ広がり性に起因して、十分に微細な描画性能が達成できない場合もある。加えて、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を利用し、比較的に低温で焼成処理を施すことで緻密な焼結体層を高い再現性で作製することは可能ではあるものの、基板自体の材質によっては、かかる低温焼成処理に要する加熱温度、例えば、300℃程度の温度であっても、耐熱性が不足する場合もある。
【0009】
また、電子機器類における、導電性ペーストを利用して作製されるプリント配線基板の利用用途の広がり、特には、用いる配線パターンの一層の微細化、あるいは、基板材質自体、柔軟性を有し、折り曲げ可能な基材の応用、曲面状の状態で実装されるプリント配線基板としての応用が進められており、これら多様化する基板材質に対しても、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を利用して形成される、緻密な焼結体層を導電体層とする微細な配線パターンを高い再現性で作製する方法の開発が望まれている。また、耐熱性にやや難があり、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子から緻密な焼結体層を形成する焼成処理工程における加熱処理に伴い、基材自体の品質劣化の懸念がある際にも、かかる基板材質の基板上に、前記の緻密な焼結体層からなる微細な配線パターンを形成するプリント配線基板を簡便に製造する方法の開発も望まれている。
【0010】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、基板表面が高い平面性を有するか否か、あるいは、溶媒に対する濡れ特性には依存せず、また、基板材質自体の耐熱性にやや難を有する場合であっても、これら多様化する基板材質、表面形態にも対応しつつ、基板上に、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を利用して形成される、緻密な焼結体層を導電体層とする微細な配線パターンを高い再現性、高い生産性で作製可能な方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液を利用して、スクリーン印刷法により、最小配線幅および配線間スペースが50μmを下回る、例えば、20μm程度の極めて微細なパターンの描画を行う際にも、その描画を行う対象物の表面が、高い平面性を有する状態とされ、さらには、この表面に対する分散液中の分散溶媒の濡れ特性が適正な範囲であれば、十分にかかる微細なパターンに必要な、繊細な描画精度と高い再現性とを達成できることを見出した。また、スクリーン印刷法に代えて、インクジェット印刷法を適用する際にも、描画を行う対象物の表面が、高い平面性を有する状態とされ、さらには、この表面に対する分散液中の分散溶媒の濡れ特性が適正な範囲であれば、十分に目標とする微細なパターンに必要な、繊細な描画精度と高い再現性とを達成できることを見出した。加えて、前記の微細なパターンで描画された、金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液塗布層に関して、描画を行う対象物が十分に高い耐熱性を有する材料で構成されている場合、金属酸化物ナノ粒子には還元処理を施し、金属ナノ粒子に変換した上で、かかる塗布層中に含まれる金属ナノ粒子を加熱して緻密な焼結体層を形成する焼成処理することが可能であり、熱劣化を被っていない対象物表面上に、緻密な焼結体層からなる、所望の微細なパターンを有する均一膜厚の良導電性の導電体薄膜層を、高い再現性、生産性で形成することが可能であることを確認した。
【0012】
本発明者らは、これらの知見に基づき、描画を行う対象物として、優れた耐熱性を示し、且つ、平滑な表面形状を有する均一な厚さのフィルム、例えば、ポリイミドフィルムを利用した上で、そのフィルム表面に耐熱性に優れ、利用する分散液の分散溶媒による濡れ性が適正な範囲となる樹脂の塗布皮膜層を設け、この樹脂の塗布皮膜層を表面に設けるポリイミドフィルム自体を、高い平面性を示す架台表面に平坦に保持して、表面に微細なパターンの金属ナノ粒子または金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状の分散液塗布層の描画、その後、焼成処理して、緻密な焼結体層からなる、所望の微細なパターンを有する均一膜厚の良導電性の導電体薄膜層を、高い生産性、再現性で得ることが可能であることを確認した。また、かかるポリイミドフィルム自体は可撓性を示すフィルム材であることを利用して、ポリイミドフィルムの表面上に作製される、微細なパターンの緻密な焼結体層を、例えば、折り曲げ可能な基材で構成されている基板や曲面状の状態を示す基板の表面に重ね合わせて均一に圧着させて、転写させることで、目的の基板表面に、予め作製された微細なパターンの緻密な焼結体層を転写、固着されたプリント配線基板とすることが可能であることを見出した。加えて、この転写、固着工程では、被転写体の基板表面に予め接着層を塗布形成しておき、焼結体層の転写、固着は、この接着層を介して、加熱・圧着させることで行い、その際、ポリイミドフィルムなどの転写シートからの剥離は、表面に設けてある樹脂塗布皮膜層を剥離層として利用することで、簡便な剥離をも可能とすることをも見出した。以上の知見に加えて、本発明者らは、この転写法を利用して、目的の基板表面に、予め作製された微細なパターンの緻密な焼結体層を形成するので、目的の基板自体は、仮に、耐熱性にやや難を有するものであっても、転写工程、その後の実装工程における加熱処理に問題のない程度の耐熱性を有する限り、実質的な障害とならず、多様化する基板材質、表面形態にも対応しつつ、緻密な焼結体層からなる、所望の微細なパターンを有する均一膜厚の良導電性の導電体薄膜層を、高い再現性、生産性で形成することが可能であることを確認して、本発明を完成するに到った。
【0013】
すなわち、本発明にかかる微細配線パターンの形成方法は、
基板上に金属超微粒子相互の焼結体層からなる、良導電性の微細な配線パターンを形成する方法であって、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いて、前記微細な配線パターンの塗布層を転写シート上に描画する工程と、
該塗布層が、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含む際には、表面に金属酸化物被覆層を有する超微粒子粒子に対して、表面の金属酸化物を還元する処理を施して、金属超微粒子へと変換する工程を更に設け、
転写シート上に描画されている前記塗布層中に含まれる、金属超微粒子に対して焼成処理を行って、該金属超微粒子相互の焼結体層を形成する工程と、
前記転写シート上に形成される、該金属超微粒子相互の焼結体層からなる微細な配線パターン層を、300℃を超えない温度に加熱および/または加圧しつつ、被転写材である前記基板上の所定位置に押し付け・転写を行う工程とを有し、
前記分散液中に含有される金属超微粒子表面は、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記焼成処理における加熱を施す際、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する前記化合物の金属超微粒子表面からの解離がなされて、金属超微粒子相互の表面接触が達成される、あるいは、
前記還元処理によって、表面を被覆する金属酸化物被覆層の除去がなされ、変換された金属超微粒子相互の表面接触が達成されることを特徴とする微細配線パターンの形成方法である。その際、前記金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いて、前記微細な配線パターンの塗布層を転写シート上に描画する工程において、
該微細な配線パターンの描画は、スクリーン印刷法またはインクジェット印刷法によってなされることが好ましい。
【0014】
本発明にかかる微細配線パターンの形成方法においては、
前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液が、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムの金属超微粒子のいずれか一つを分散質として含有する分散液である場合、より好適に実施できる。あるいは、前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液が、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのいずれかの一種の金属からなる、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を分散質として含有する分散液である場合にも、より好適に実施できる。同様に、前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液が、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金型金属超微粒子を分散質として含有する場合にも、より好適に実施できる。
【0015】
加えて、本発明にかかる微細配線パターンの形成方法においては、
該微細な配線パターンの描画に、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いる際、
描画された該微細な配線パターンの塗布層中に含まれる、表面に当該金属酸化物被覆層を有する超微粒子に対して、表面の金属酸化物を還元する処理を施す工程と、さらに、還元処理を受けた超微粒子の焼成を行って、金属超微粒子の焼結体層を形成する工程とを、同一の工程内で実施し、
同一工程内で実施される、前記還元処理と焼成処理は、加熱温度を300℃以下に選択して、
還元性気体の存在下、生起されるプラズマ雰囲気内に、塗布層中に含まれる、該表面に当該金属酸化物被覆層を有する超微粒子を曝すことにより行うことが望ましい。
【0016】
さらには、前記転写工程において、
被転写材である前記基板表面と、転写された微細な配線パターン層との間に、接着層を設け、該接着層により、転写された微細な配線パターン層の固着を行うことが好ましい。なお、前記転写工程において、
300℃を超えない温度に加熱し、同時に、50気圧を超えない加圧する条件下で、押し付け・転写を行うことがより好ましい。
【0017】
一方、本発明にかかる微細配線パターンの形成方法においては、
転写シートとして、少なくとも、前記焼成処理における加熱温度において、耐熱性を有する、可撓性を示す材料からなるフィルムを用いることが好ましい。例えば、かかる転写シートとして、ポリイミドフィルムを用いることができる。また、本発明においては、前記微細な配線パターンの塗布層を描画する、転写シートの表面に、予め剥離層を形成し、
該転写シート上から、被転写材である前記基板上への転写に際して、該剥離層における剥離によって、転写シート上の微細な配線パターン層の離脱が達成される形態とすることが、更に好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる微細配線パターンの形成方法に関して、より詳しく説明する。
【0019】
本発明にかかる微細配線パターンの形成方法においては、微細配線パターンとする導電体層は、耐熱性に優れた材料で構成される転写シート上で、目的の微細なパターンに描画されている、金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液塗布層に対して、かかる金属超微粒子相互に焼成処理を施すことで、焼結体に変換したものを利用している。その際、利用する金属超微粒子を含有する分散液中において、平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択する金属ナノ粒子を均一な分散状態で保持するため、この金属超微粒子表面には、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上を被覆させた、表面被覆分子層を設けた状態として、金属超微粒子が表面を直接接触させて、融着した集合粒子塊を形成することを回避している。一方、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子は、この金属酸化物被覆層の存在が、金属超微粒子が表面を直接接触させて、融着した集合粒子塊を形成する現象を防止する機能を果たしている。従って、これら表面被覆分子層を有する金属超微粒子、または表面に金属酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液塗布層において、含まれる分散溶媒の蒸散が進むと、金属超微粒子は、緻密な積層構造を採り、最密充填状態に類する状態に、より確実になる。この効果に伴い、加熱処理して、表面の被覆分子層を除くと、かかる金属超微粒子相互は、比較的に低温でも焼成処理を施すことができ、得られる緻密な焼結体は、優れた電気伝導性を示すものとできる。なお、表面に金属酸化物被覆層を有する金属超微粒子に関しては、例えば、後述する還元処理を施すことで、表面の金属酸化物被覆層を本来の金属まで還元すると、変換される金属超微粒子は、最密充填状態に類する状態となっているので、同様に、比較的に低温でも焼成処理を施すことができ、得られる緻密な焼結体は、優れた電気伝導性を示すものとできる。
【0020】
本発明では、前記の焼成処理、ならびに、表面に金属酸化物被覆層を有する金属超微粒子に対する還元処理は、いずれも、転写シート上において実施するので、これらの工程で利用する加熱温度において、十分な耐熱性を示す材料で構成される転写シートを利用することが望ましい。具体的には、焼成処理工程、あるいは還元処理工程における加熱温度は、300℃を超えない範囲に選択することが好ましく、従って、この加熱上限温度の300℃においても、十分な耐熱性を示す材料で構成される転写シート、例えば、ポリイミドフィルム、液晶高分子フィルム(LCP)など、高い耐熱性を示すポリマー材料で構成されるフィルム材を利用することがより好ましい。一方、転写シート上から、その後、転写工程で、得られる緻密な金属焼結体層を剥離する際、良好な剥離性を付与するため、転写シートの表面には、300℃を超えない温度に加熱および/または加圧しつつ、転写する条件において、剥離層として機能する皮膜層を予め設けることが好ましい。この剥離層として機能する皮膜層は、かかる転写条件では、形成された金属焼結体層との間で容易に剥離が生じることが必要であり、例えば、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂の塗布皮膜を利用することができる。
【0021】
転写シート自体は、厚さが均一であって、高い耐熱性に加えて、可撓性を示す材料からなるフィルムであることが望ましく、その表面に前述する剥離層として機能する樹脂皮膜層を均一な膜厚で形成した上で、この剥離層用の樹脂皮膜層上に、金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液塗布層を目的の微細なパターンで描画する。この描画工程では、転写シート自体は、可撓性を示す材料からなる厚さが均一なフィルムであっても、高い平面性を有する架台表面に保持、固定した状態で、例えば、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法で微細なパターンの描画を行うので、実質的に、高い平面性を有する基板表面において達成される、微細な描画精度と全く遜色の無い、高い精度と再現性を達成できる。例えば、配線幅および配線間スペースが共に5〜50μmの微細配線を簡便に形成することができる。なお、この微細なパターン描画には、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法の他にも、オフセット印刷法やインプリント法を適用することも可能である。
【0022】
なお、実際には、剥離層用の樹脂皮膜層に対する、分散液中の分散溶媒の濡れ性が、線輪郭の滲み、歪みに影響を及ぼすので、剥離層用の樹脂材料は、分散液中の分散溶媒に応じて、適正な濡れ性を達成できるものを選択することが望ましい。多くの場合、本発明で利用する分散液中の分散溶媒は、炭化水素系溶媒であり、また、比較的に沸点が高いものであるので、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂を利用すると、適正な濡れ性を達成できる。また、剥離層用の樹脂材料は、焼成処理工程、あるいは還元処理工程における加熱温度に曝された後、剥離層として機能する必要があり、かかる加熱温度において、実質的な熱劣化を生じない耐熱性を有することも必要であり、その観点でも、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂を利用することが好ましい。
【0023】
本発明で使用する、金属超微粒子、または表面に金属酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液においては、前記の剥離層用樹脂皮膜層に対して、適当な濡れ性を示すとともに、表面被覆層を有する金属超微粒子に対しても、所望の分散特性を達成可能な分散溶媒が利用される。これらの要件を満足する分散溶媒として、例えば、室温付近では容易に蒸散することのない、比較的に高沸点な非極性溶剤あるいは低極性溶剤、例えば、テルピネオール、ミネラルスピリット、キシレン、トルエン、テトラデカン、ドデカンなどが好適に用いられる。
【0024】
また、利用する金属超微粒子を含有する分散液中において、平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択する金属ナノ粒子を均一な分散状態で保持するため、この金属超微粒子表面には、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上を被覆させるが、この分散性を維持する被覆分子層用の化合物としては、末端にアミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基(−OH)、スルファニル基(−SH)を、あるいは、分子内にエーテル(−O−)、スルフィド(−S−)を有する有機化合物であり、用いる分散溶媒との親和性にも優れたものを用いることが好ましい。なお、これら分散剤は、金属ナノ粒子表面を被覆する分子層を形成して、分散性を向上させるものの、最終的に、焼成工程において、金属ナノ粒子相互が表面を接触させる際に、その妨げとは成らないことが好ましい。すなわち、例えば、200℃以上に加熱する際、金属ナノ粒子表面から容易に離脱し、最終的には、蒸散・除去可能である沸点範囲のものが好ましい。
【0025】
利用可能なアミノ基を有する化合物の代表として、アルキルアミンを挙げることができる。なお、かかるアルキルアミンは、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上となるものが好ましい。ただし、低温焼結処理を行う際には、速やかに、金属超微粒子表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、その蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、かかる配位的な結合を形成する上では、第一級アミン型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級アミン型、ならびに、第三級アミン型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジアミン型、1,3−ジアミン型など、近接する二以上のアミノ基が結合に関与する化合物も利用可能である。また、ポリオキシアルキレンアミンを用いることもできる。その他、末端のアミノ基以外に、親水性の末端基、例えば、水酸基を有するヒドロキシアミン、例えば、エタノールアミンなどを利用することもできる。
【0026】
また、利用可能なスルファニル基(−SH)を有する化合物の代表として、アルカンチオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンチオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、好ましくは100℃以上となるものが好ましい。ただし、低温焼結処理を行う際には、速やかに、金属超微粒子表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、アルカンチオールとして、そのアルキル基は、C4〜C20が用いられ、さらに好ましくはC8〜C18の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にスルファニル基(−SH)を有するものが用いられる。例えば、前記C8〜C18の範囲のアルカンチオールは、熱的な安定性もあり、また、その蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。一般に、第一級チオール型のものがより高い結合能を示し好ましいが、第二級チオール型、ならびに、第三級チオール型の化合物も利用可能である。また、1,2−ジチオール型などの、二以上のスルファニル基(−SH)が結合に関与するものも、利用可能である。
【0027】
また、利用可能なヒドロキシ基を有する化合物の代表として、アルカンジオールを挙げることができる。なお、かかるアルカンジオールも、金属元素と配位的な結合を形成した状態で、通常の保管環境、具体的には、40℃に達しない範囲では、脱離しないものが好適であり、沸点が60℃以上の範囲、通常、100℃以下の範囲となるものが好ましい。ただし、低温焼結処理を行う際には、速やかに、金属超微粒子表面から離脱することが可能であることが必要であり、少なくとも、沸点が300℃を超えない範囲、通常、250℃以下の範囲となるものが好ましい。例えば、1,2−ジオール型などの、二以上のヒドロキシ基が結合に関与するものなどが、より好適に利用可能である。
【0028】
一方、本発明が目標とする微細な配線パターンは、最小配線幅および配線間スペースが共に5〜50μmの微細なパターンであり、それを構成する緻密な金属焼結体層の膜厚は、前記最小配線幅に応じて選択される。すなわち、最小配線幅を5〜50μmの範囲とする際、目標とする緻密な金属焼結体層の平均膜厚は、この最小配線幅の1/10〜1/2の範囲、多くの場合、1μm〜20μmの範囲を目標とする。しかも、前記の平均膜厚において、その膜厚の高い制御性、再現性を達成する上では、利用する金属超微粒子の平均粒子径は、大きくとも目標平均膜厚の1/5以下、通常、1/10以下、例えば、2〜10nmの範囲に選択することがより好ましい。
【0029】
この本発明が目標とする微細な配線パターンにおいて、導電体層に利用される金属超微粒子の焼結体において、その全体の導電性(抵抗)を主に支配するものは、金属超微粒子間相互の良好な電気的接触を達成させる、各金属微粒子同士が相互に接触する面における抵抗であり、個々の金属微粒子自体の導電性は、副次的な要素である。そのため、平均粒子径が100nm以下であり、清浄な金属表面を露呈する金属超微粒子においては、ナノサイズ効果により、微粒子表面での金属原子の表面拡散、移動が比較的に低温でも活発に進行する現象を利用して、低温焼結処理を施す間に、金属微粒子同士の表面で緻密な融着・焼結を完成させている。すなわち、平均粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子、例えば、平均粒子径5〜20nmの範囲の金属ナノ粒子とした際、300℃以下の温度において、効率的に低温焼結処理が進行する限り、利用する金属元素は特に限定されるものではない。一方、作製される微細な配線パターンは、プリント配線基板において、種々の電子部品を実装する際の回路配線として利用するため、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのいずれかを選択することが好ましい。同様に、金属超微粒子に代えて、表面に金属酸化物被覆層を有する金属超微粒子に対して、還元処理を施し、金属超微粒子に変換して利用する形態でも、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのいずれかの一種の金属からなる、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を選択することが好ましい。場合によっては、単一金属元素からなる金属超微粒子に代えて、二種以上の金属種を含む合金材料で構成される金属超微粒子の利用も可能であり、その際、かかる合金金属超微粒子では、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金型金属超微粒子を用いることが可能である。
【0030】
一方、利用する該金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液は、採用する描画手法に応じて、それぞれ適合する液粘度を有するものに、調製することが望ましい。例えば、微細配線パターンの描画にスクリーン印刷法を利用する際には、該ナノ粒子を含有する分散液は、その液粘度を、50〜200Pa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。一方、インクジェット印刷法を利用する際には、液粘度を、5〜30 mPa・s(25℃)の範囲に選択することが望ましい。該ナノ粒子を含有する分散液の液粘度は、用いるナノ粒子の平均粒子径、分散濃度、用いている分散溶媒の種類に依存して決まり、前記の三種の因子を適宜選択して、目的とする液粘度に調節することができる。
【0031】
なお、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法のいずれを利用する場合であっても、描画される微細パターンの最小配線幅に対して、描画される分散液塗布層の平均厚さは、最小配線幅の1/5〜1/1の範囲に選択する必要がある。従って、最終的に得られる緻密な金属焼結体層の平均膜厚は、塗布層中に含有される分散溶媒の蒸散、焼結に伴う凝集・収縮を考慮すると、最小配線幅の1/10〜1/2の範囲に選択することがより合理的である。
【0032】
本発明では、予め、高い平面性を有する状態で表面を保持・固定してある転写シート上に、スクリーン印刷またはインクジェット印刷により、微細な配線パターンを描画するので、その作業性は高いものとなる。その後、焼成処理によって、緻密な金属焼結体層とした上で、予め、表面に接着層を塗布形成してある被転写基板上に、転写シートを位置合わせして貼り合わせ、加熱および/または加圧することにより、転写シート上の緻密な金属焼結体層を被転写基板上に転写する。この転写工程では、加熱および/または加圧を施すことで、表面に塗布形成されている接着層と、金属焼結体層との接着を介して、被転写基板上に、微細なパターンの緻密な金属焼結体層からなる導電体層の形成がなされる。この転写工程における、加熱および/または加圧条件は、少なくとも、加熱温度は、少なくとも、100℃以上、例えば、150℃以上、300℃を超えない温度とし、好ましくは、250℃を超えない温度に加熱し、同時に、少なくとも1気圧以上、例えば、2気圧以上、50気圧を超えない範囲、好ましくは、10気圧を超えない範囲に加圧する条件下で、押し付け・転写を行う。なお、接着層としては、エポキシ系樹脂などを利用することができる。
【0033】
前記の転写条件を利用することで、被転写基板が、その基板材質自体の耐熱性にやや難を有し、300℃程度の加熱には不向きな場合であっても、予め、高温の加熱処理を要する工程は、転写シート上で実施されているため、微細なパターンの緻密な金属焼結体層からなる導電体層を有するプリント配線基板を簡便に、また、高い作業性、再現性で作製することが可能となる。例えば、利用可能な微細なパターンは、配線幅および配線間スペースが共に5〜50μmの微細な配線パターンとなり、その際、形成可能な、緻密な金属焼結体層からなる導電体層の厚さは、1μm〜20μmの範囲、好ましくは、2〜20μmの範囲に選択でき、また、その際、緻密な金属焼結体層の比抵抗値も、少なくとも、5×10−6Ω・cm以下と、低抵抗の配線として利用可能な範囲となる。
【0034】
さらには、本発明においては、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液塗布層において、形成された微細パターンを損なうことなく、金属酸化物を金属へと還元する処理を施し、金属ナノ粒子を生成する還元処理、その後の焼成処理を実施する必要があるので、かかる還元処理は、下記する手法を採用することができる。
【0035】
先ず、描画された金属酸化物ナノ粒子からなる塗布層に対して、金属酸化物を金属へと還元する処理を施し、金属ナノ粒子を生成する還元処理も、用いる転写シート材料の耐熱性に適合する温度、例えば、ポリイミドフィルムなどにおいては、100〜300℃の範囲に選択する処理温度において、所望の還元反応が進行することが望ましい。この還元処理は、例えば、分散液中に還元剤を予め添加しておき、かかる分散液を基板上に塗布して加熱すると、添加されている還元剤の作用によって、表面から金属酸化物を金属へと還元する処理を利用することもできる。この手法を利用する場合、分散液中に配合される還元剤としては、水素化ホウ素誘導体などの水素化剤が利用されるが、十分な還元反応を達成し、再現性よく、金属ナノ粒子へと還元を果すには、金属酸化物ナノ粒子の量に対応させて、予め、必要量の還元剤を分散液中に配合する必要がある。加えて、水素化剤による還元反応で生じる副生成物、あるいは残余する未反応の水素化剤の量が多くなると、これらを洗浄・除去する工程を付加する必要がある。これらの点を考慮すると、必要量の還元剤を分散液中に配合することに代えて、金属酸化物ナノ粒子からなる塗布層を描画した後、気相から還元性反応種を供給しつつ、還元を行う方法を利用することがより好ましい。
【0036】
この気相より還元性反応種を供給しつつ、還元を行う方法の一例として、還元性気体の存在下、生起されるプラズマ雰囲気内に、塗布層中に含まれる、該ナノ粒子を曝すことにより、還元を行う手法が利用できる。
【0037】
このナノ粒子の表面に存在する金属酸化物被覆層を還元する工程では、加熱温度を、300℃以下に選択して、還元性気体の存在下、生起されるプラズマ雰囲気内に、塗布層中に含まれる、該ナノ粒子を曝すことにより、予めプラズマを生起した雰囲気中において、還元性気体に由来する活性な反応種へと変換した上で、ナノ粒子表面の金属酸化物被覆層に作用させることで、加熱温度が300℃以下と低温であっても、表面の金属酸化物の還元反応が速やかに進行できる。一旦、表面に生成した、非酸化状態の金属原子と、その内部に存在する金属酸化物分子との固相反応により、内部の金属酸化物は非酸化状態の金属原子に変換され、代わって表面に金属酸化物が生成されるが、この表面に生成された金属酸化物は、気相から継続して供給される還元性気体に由来する活性な反応種の還元作用によって、非酸化状態の金属原子まで還元される。前記に一連の反応サイクルが繰り返される結果、当初は、ナノ粒子の深部まで達していた金属酸化物被覆層は徐々に減少して、最終的には、ナノ粒子全体が、目的とする金属ナノ粒子に復する。
【0038】
具体的なプラズマ還元処理の工程では、まず、高い平面性を有する支持体表面上に平坦に保持した状態で、転写シートを装置内に設置した後、装置内を予め150Pa以下に減圧し、系内に残存する空気を除去する。次いで、ガス導入口より、不活性ガスと還元性気体の混合気体を一定流量で供給して、還元性気体の存在下、プラズマを生起し、かかるプラズマ雰囲気内で、還元処理を行う。例えば、不活性ガスと還元性気体の混合気体の流量は、1〜1000ml/min(正規状態換算流量)に調整し、排気系の圧力調整機能により、装置内の内圧を、プラズマの生起と維持に適する圧力、例えば、1〜120,000Paの範囲に調節する。なお、前記装置内の内圧は、利用する高周波電力の周波数、電力量、ならびに、ガス組成、流量に応じて、プラズマの生起と維持に適する圧力を選択することが望ましい。具体的には、種々のプラズマCVD法、例えば、減圧プラズマCVD法において、そのプラズマ状態の安定性に利する条件を参照して、条件を設定することが好ましい。
【0039】
一方、プラズマの生起は、例えば、周波数:13.56 MHzなどのプラズマCVD法において汎用される、高周波電力を電極に印加し、その電力量を100〜5000Wの範囲に設定し、所望のプラズマ密度を維持することが望ましい。その際、水素、アンモニアなどの還元性気体を希釈する不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが利用できる。例えば、ヘリウム、アルゴンは、上述する条件において、プラズマの生起と維持に寄与する利点をも有する。なお、不活性ガスと還元性気体との混合比率(体積比)は、50:50〜99.9:0.1の範囲に、好ましくは、80:20〜99:1の範囲に選択する。プラズマ雰囲気中では、プラズマに起因する温度上昇があるが、処理装置内に設置される転写シート自体は、300℃以下、すなわち、20℃〜300℃の範囲に維持されるように、温度の設定・調節を行う。前記の設定温度、プラズマ発生条件にも依存するものの、プラズマ処理の時間は、1秒間〜1時間、好ましくは、1分間〜20分間の範囲に選択することが可能である。具体的には、ナノ粒子表面を覆う金属酸化物被膜層の厚さ、ならびに、その還元に要する時間を考慮した上で、設定温度、プラズマ発生条件を適宜選択する。このプラズマ処理により、ナノ粒子表面を覆う金属酸化物被膜層の還元が終了した後、清浄化された金属表面を接触するナノ粒子相互で、還元雰囲気下、低温焼結が進行して、界面に酸化物皮膜の介在の無い、焼結体層の形成が可能となる。具体的には、前記プラズマ処理条件では、処理装置内に設置される転写シート自体は、300℃以下、すなわち、20℃〜300℃の範囲に維持した状態として、還元が終了した後、清浄化された金属表面を接触するナノ粒子は、還元雰囲気下、プラズマ照射を継続することで、局所的に照射されるプラズマ粒子のエネルギー供給がなされ、その熱的エネルギーを利用する低温焼結が進行する。従って、還元処理として、上述するプラズマを利用する還元手法を利用し、同時に、低温焼結の進行を行う工程とすることがより好ましい。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの実施例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
【0041】
(実施例1)
先ず、転写シートであるポリイミドフィルム上に、スクリーン印刷法を利用して、下記する手順で、銀ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを作製する。
【0042】
該スクリーン印刷に利用する、ペースト状銀ナノ粒子分散液は、以下の手順で調製した。市販されている銀ナノ粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトシルバー 真空冶金(株))、具体的には、平均粒径5nmの銀ナノ粒子100質量部当たり、その表面被覆層に利用するアルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)15質量部、分散溶媒に利用する有機溶剤として、ターピネオール75質量部を含有する銀ナノ粒子分散液(25℃の液粘度30 mPa・s)に対して、濃縮処理を施し、有機溶剤ならびに該有機溶剤中に溶解する余剰な被覆剤とを一部除去する。この濃縮処理を施す結果、液粘度が増大して、前記表面被覆層を保持する銀ナノ粒子を含むペースト状の分散液(導電性金属ペースト)に調製される。なお、調製された導電性金属インクの液粘度は、80Pa・s(25℃)であった。
【0043】
次いで、転写シートに用いる、ポリイミドフィルムの配線パターン形成用表面上に、剥離層として利用するシリコーン樹脂を予め均一に塗布する。この剥離層用のシリコーン樹脂塗布済の表面上に、前記導電性金属ペーストを用いて、ステンレス#500メッシュのスクリーン版を利用して、目標線幅がライン/スペース=25/25μmの直線パターンを、塗布時の平均膜厚10μmで、スクリーン印刷方式により印刷した。印刷後、ポリイミドフィルム上の導電性金属ペースト塗布層に対して、250℃40分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを形成した。
【0044】
得られた、転写シート上の微細配線パターンは、ポリイミドフィルムをセラミック基板上に重ね合わせ、250℃、10気圧の加熱、加圧条件で押し付け処理することにより、セラミック基板上に配線パターンを転写した。なお、被転写基板として用いる、セラミック基板の転写領域表面には、転写される配線パターン層用接着層として、熱硬化性エポキシ樹脂の塗布層が皮膜厚さ0.5μmで形成されている。また、セラミック基板上への転写終了時点における、微細配線パターンの平均膜厚は、5μmであり、その比抵抗値(体積抵抗率)は3.5×10−6Ω・cmと良好な抵抗値を示した。
【0045】
(実施例2)
先ず、転写シートであるポリイミドフィルム上に、インクジェット印刷法を利用して、下記する手順で、銀ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを作製する。
【0046】
このインクジェット印刷に利用する、銀ナノ粒子分散液は、以下の手順で調製した。市販されている銀ナノ粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトシルバー、真空冶金(株))、具体的には、平均粒径5nmの銀ナノ粒子100質量部当たり、その表面被覆層に利用するアルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)15質量部、分散溶媒に利用する有機溶剤として、ターピネオール75質量部を含有する銀ナノ粒子分散液(25℃の液粘度30 mPa・s)に対して、濃縮処理を施し、有機溶剤ならびに該有機溶剤中に溶解する余剰な被覆剤とを一部除去する。この濃縮処理を施す結果、インクジェット印刷に適合する液粘度を示す、前記表面被覆層を保持する銀ナノ粒子を含む分散液(導電性金属インク)に調製される。また、前記濃縮処理における攪拌操作で混入する微細な気泡を除去するため、メッシュサイズ:0.5μmのポリテトラエチレンフィルターを用いてろ過し、脱泡処理を施した。また、余剰な被覆剤の除去後、インクジェット方式の塗布により適する分散溶媒、テトラデカンを適量添加して、液粘度の調整を行った。なお、液粘度調整によって、この脱泡処理済み導電性金属インクの液粘度を、10 mPa・s(25℃)とした。
【0047】
次いで、インクジェット方式のプリント・ヘッドのインクカートリッジに、脱気泡処理済みの導電性金属インクを充填した。一方、転写シートに用いる、ポリイミドフィルムの配線パターン形成用表面上に、剥離層として利用するシリコーン樹脂を予め均一に塗布する。この剥離層用のシリコーン樹脂塗布済の表面上に、前記導電性金属インクを用いて、目標線幅が20μmの直線パターンを、塗布時の平均膜厚5μmで、インクジェット印刷方式により印刷した。印刷後、ポリイミドフィルム上の導電性金属インク塗布層に対して、230℃60分の熱処理を施し、含まれる銀ナノ粒子相互の焼成処理を行って、銀ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを形成した。
【0048】
得られた、転写シート上の微細配線パターンは、ポリイミドフィルムをセラミック基板上に重ね合わせ、250℃、10気圧の加熱、加圧条件で押し付け処理することにより、セラミック基板上に配線パターンを転写した。なお、被転写基板として用いる、セラミック基板の転写領域表面には、転写される配線パターン層用接着層として、熱硬化性エポキシ樹脂の塗布層が皮膜厚さ0.5μmで形成されている。また、セラミック基板上への転写終了時点における、微細配線パターンの平均膜厚は、1μmであり、その比抵抗値(体積抵抗率)は3.0×10−6Ω・cmと良好な抵抗値を示した。
【0049】
(実施例3)
先ず、転写シートであるポリイミドフィルム上に、スクリーン印刷法を利用して、下記する手順で、銅ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを作製する。
【0050】
該スクリーン印刷に利用する、ペースト状酸化銅ナノ粒子分散液は、以下の手順で調製した。市販されている酸化銅ナノ粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子パーフェクトカッパー 真空冶金(株))、具体的には、平均粒径5nmの酸化銅ナノ粒子100質量部当たり、その表面被覆層に利用するアルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)15質量部、分散溶媒に利用する有機溶剤として、ターピネオール75質量部を含有する銀ナノ粒子分散液(25℃の液粘度30 mPa・s)に対して、濃縮処理を施し、有機溶剤ならびに該有機溶剤中に溶解する余剰な被覆剤とを一部除去する。この濃縮処理を施す結果、液粘度が増大して、前記表面被覆層を保持する酸化銅ナノ粒子を含むペースト状の分散液(酸化銅ペースト)に調製される。なお、調製された分散液インクの液粘度は、100Pa・s(25℃)であった。
【0051】
次いで、転写シートに用いる、ポリイミドフィルムの配線パターン形成用表面上に、剥離層として利用するシリコーン樹脂を予め均一に塗布する。この剥離層用のシリコーン樹脂塗布済の表面上に、前記酸化銅ペーストを用いて、ステンレス#500メッシュのスクリーン版を利用して、目標線幅がライン/スペース=25/25μmの直線パターンを、塗布時の平均膜厚10μmで、スクリーン印刷方式により印刷した。
【0052】
印刷後、ポリイミドフィルム上の酸化銅ペースト塗布層に対して、下記する条件で、還元処理を施し、銅ナノ粒子に変換するとともに、銅ナノ粒子粒子相互の焼成処理をも同時に進め、銅ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを形成した。この酸化銅ペースト塗布層を印刷したポリイミドフィルムを、平板電極型プラズマ処理装置に入れ、排気系により、プラズマ処理装置内圧を10Paに減圧した。前記減圧後、装置内にガス導入口からアルゴンガス:水素ガス=95:5(体積比)の混合気体を流量100ml/min(正規状態換算流量)で供給し、平板電極間に、高周波電力(周波数:13.56 MHz)500Wを印加して、150℃にて5分間のプラズマ処理を行った。このプラズマ処理時、装置の内圧は、約30〜40Paに保持した。
【0053】
前記還元性気体として、水素を含有する混合気体において、生起されたプラズマ雰囲気中で処理する結果、微細な配線パターン中の酸化銅ナノ粒子は、プラズマ還元を受け、一旦銅ナノ粒子に復する。さらに、塗布層中に含有される分散溶媒の蒸散、また、銅ナノ粒子表面を被覆するドデシルアミンの表面保護分子層が除去され、同時に、塗布層内部までプラズマ還元処理が達成され、塗布層全体にわたって、銅ナノ粒子相互が緻密に接触する状態が達成される。この状態で低温加熱を施すことで、表面に酸化皮膜の存在しない銅ナノ粒子相互の低温焼結が進行して、全体として、銅の焼結体型配線層が形成された。
【0054】
得られた、転写シート上の微細配線パターンは、ポリイミドフィルムをセラミック基板上に重ね合わせ、250℃、10気圧の加熱、加圧条件で押し付け処理することにより、セラミック基板上に配線パターンを転写した。なお、被転写基板として用いる、セラミック基板の転写領域表面には、転写される配線パターン層用接着層として、熱硬化性エポキシ樹脂の塗布層が皮膜厚さ0.5μmで形成されている。また、セラミック基板上への転写終了時点における、微細配線パターンの平均膜厚は、2μmであり、その比抵抗値(体積抵抗率)は4.9×10−6Ω・cmと良好な抵抗値を示した。
【0055】
(実施例4)
先ず、転写シートであるポリイミドフィルム上に、スクリーン印刷法を利用して、下記する手順で、金と銀との合金型ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを作製する。
【0056】
該スクリーン印刷に利用する、ペースト状金−銀合金型ナノ粒子分散液は、以下の手順で調製した。硝酸銀15gおよび塩化金酸20.5gを蒸留水100mlに溶解した後、80℃に加熱しつつ、この溶液にジエタノールアミン100gを添加する。次いで、8時間攪拌を継続して、反応を進め、湿式還元反応で生成する金−銀合金型微粒子を含む、黒色の分散液を得た。この分散液にアセトンを加え、残余するジエタノールアミンを除去し、一方、合金型微粒子を沈澱させる。このアセトン洗浄操作を3回繰り返し、残余する原料など、不要物、不純物の除去を行った。この湿式還元反応で得られる合金型微粒子の平均粒子径は、9nmであった。
【0057】
作製された金−銀合金型ナノ粒子100質量部当たり、その表面被覆層に利用するアルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、沸点248℃)15質量部、分散溶媒に利用する有機溶剤として、ターピネオール75質量部を含有する合金型ナノ粒子分散液(25℃の液粘度30 mPa・s)に、一旦調製した。この合金型ナノ粒子分散液に対して、濃縮処理を施し、有機溶剤ならびに該有機溶剤中に溶解する余剰な被覆剤とを一部除去する。この濃縮処理を施す結果、液粘度が増大して、前記表面被覆層を保持する合金型ナノ粒子を含むペースト状の分散液(導電性合金ペースト)に調製される。なお、調製された導電性合金インクの液粘度は、70Pa・s(25℃)であった。
【0058】
次いで、転写シートに用いる、ポリイミドフィルムの配線パターン形成用表面上に、剥離層として利用するシリコーン樹脂を予め均一に塗布する。この剥離層用のシリコーン樹脂塗布済の表面上に、前記導電性合金ペーストを用いて、ステンレス#500メッシュのスクリーン版を利用して、目標線幅がライン/スペース=25/25μmの直線パターンを、塗布時の平均膜厚5μmで、スクリーン印刷方式により印刷した。印刷後、ポリイミドフィルム上の導電性金属ペースト塗布層に対して、250℃40分の熱処理を施し、含まれる金−銀合金型ナノ粒子相互の焼成処理を行って、合金型ナノ粒子の焼結体層からなる微細配線パターンを形成した。
【0059】
得られた、転写シート上の微細配線パターンは、ポリイミドフィルムをセラミック基板上に重ね合わせ、250℃、10気圧の加熱、加圧条件で押し付け処理することにより、セラミック基板上に配線パターンを転写した。なお、被転写基板として用いる、セラミック基板の転写領域表面には、転写される配線パターン層用接着層として、熱硬化性エポキシ樹脂の塗布層が皮膜厚さ0.5μmで形成されている。また、セラミック基板上への転写終了時点における、微細配線パターンの平均膜厚は、2μmであり、その比抵抗値(体積抵抗率)は5.0×10−6Ω・cmと良好な抵抗値を示した。
【0060】
【発明の効果】
本発明にかかる微細配線パターンの形成方法では、ナノ粒子を含む分散液を用いることに伴い、スクリーン印刷またはインクジェット印刷において、微細なパターンの優れた描画性能が達成できる利点を最大限に活用するため、表面に剥離層を形成した上で、高い平面性を有する架台面上に保持、固定されている転写シート上に、目的の微細なパターンに、金属ナノ粒子を含む分散液塗布層を高い精度、再現性で描画する。描画された微細なパターンの塗布層について、耐熱性を有する転写シート上において、加熱焼成を施すことで、予め、金属ナノ粒子の緻密な焼結体層からなる微細配線パターンを高い生産性、再現性、微細なパターン精度で作製することが可能となる。その後、表面に接着層を塗布形成した、被転写基板上に、位置合わせをした上で転写シートを貼り合せし、加熱、圧着することで、可撓性を示す転写シート上の金属ナノ粒子の緻密な焼結体層からなる微細配線パターンを、被転写基板表面に接着層を介して転写することで、プリント配線基板を簡便に作製することができる。予め焼成処理を完了した焼結体層からなる微細配線パターンを転写する手法を採用するので、基板自体の材質は、焼成処理を実施する上では、耐熱性にやや難を有するものであっても、転写工程における加熱、圧着処理、ならびに、実装作業でのハンダ付けなどの加熱には十分な耐熱性を有するものであれば、金属ナノ粒子の緻密な焼結体層からなる微細配線パターンを有するプリント配線基板に作製することが可能となる。さらには、基板自体、折り曲げ可能な基材や、表面が曲面状をしているものであっても、微細なパターンの描画は、転写シート上でなされるので、高い生産性を有するスクリーン印刷を利用することを可能とする。従って、多様化する基板に対応しつつ、最小配線幅および配線間スペースが共に5〜50μmの微細な配線パターンを簡便に形成することができ、また、得られる微細な配線パターン自体、その比抵抗値は5.0×10−6Ω・cm以下の低抵抗な配線とすることが可能である。
Claims (11)
- 基板上に金属超微粒子相互の焼結体層からなる、良導電性の微細な配線パターンを形成する方法であって、
平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いて、前記微細な配線パターンの塗布層を転写シート上に描画する工程と、
該塗布層が、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含む際には、表面に金属酸化物被覆層を有する超微粒子粒子に対して、表面の金属酸化物を還元する処理を施して、金属超微粒子へと変換する工程を更に設け、
転写シート上に描画されている前記塗布層中に含まれる、金属超微粒子に対して焼成処理を行って、該金属超微粒子相互の焼結体層を形成する工程と、
前記転写シート上に形成される、該金属超微粒子相互の焼結体層からなる微細な配線パターン層を、300℃を超えない温度に加熱および/または加圧しつつ、被転写材である前記基板上の所定位置に押し付け・転写を行う工程とを有し、
前記分散液中に含有される金属超微粒子表面は、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されており、
前記焼成処理における加熱を施す際、該金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する前記化合物の金属超微粒子表面からの解離がなされて、金属超微粒子相互の表面接触が達成される、あるいは、
前記還元処理によって、表面を被覆する金属酸化物被覆層の除去がなされ、変換された金属超微粒子相互の表面接触が達成されることを特徴とする微細配線パターンの形成方法。 - 前記金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いて、前記微細な配線パターンの塗布層を転写シート上に描画する工程において、
該微細な配線パターンの描画は、スクリーン印刷法またはインクジェット印刷法によってなされることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムの金属超微粒子のいずれか一つを分散質として含有する分散液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのいずれかの一種の金属からなる、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を分散質として含有する分散液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記微細な配線パターンの描画に用いる分散液は、
金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムのうちから選択される二種以上の金属からなる合金型金属超微粒子を分散質として含有する分散液であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 該微細な配線パターンの描画に、表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いる際、
描画された該微細な配線パターンの塗布層中に含まれる、表面に当該金属酸化物被覆層を有する超微粒子に対して、表面の金属酸化物を還元する処理を施す工程と、さらに、還元処理を受けた超微粒子の焼成を行って、金属超微粒子の焼結体層を形成する工程とを、同一の工程内で実施し、
同一工程内で実施される、前記還元処理と焼成処理は、加熱温度を300℃以下に選択して、
還元性気体の存在下、生起されるプラズマ雰囲気内に、塗布層中に含まれる、該表面に当該金属酸化物被覆層を有する超微粒子を曝すことにより行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記転写工程において、
被転写材である前記基板表面と、転写された微細な配線パターン層との間に、接着層を設け、該接着層により、転写された微細な配線パターン層の固着を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 - 前記転写工程において、
300℃を超えない温度に加熱し、同時に、50気圧を超えない加圧する条件下で、押し付け・転写を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 - 転写シートとして、
少なくとも、前記焼成処理における加熱温度において、耐熱性を有する、可撓性を示す材料からなるフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 - 転写シートとして、ポリイミドフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記微細な配線パターンの塗布層を描画する、転写シートの表面に予め剥離層を形成し、
該転写シート上から、被転写材である前記基板上への転写に際して、該剥離層における剥離によって、転写シート上の微細な配線パターン層の離脱が達成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
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