JP2014167872A - 導電膜の製造方法、配線基板 - Google Patents

導電膜の製造方法、配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた導電性を示すと共に、基材との密着性にも優れた導電膜を製造することができる導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基材上に、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、下層塗膜上に隣接して配置される還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を形成する塗膜形成工程と、多層塗膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を行い、酸化銅粒子を還元して銅を含有する導電膜を形成する還元工程とを備え、樹脂バインダーの質量Wと還元剤の質量Wとの質量比(WB/WR)が0.1〜10.0である、導電膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電膜の製造方法に係り、特に酸化銅粒子を含有する下層塗膜と還元剤を含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を介して導電膜を製造する方法に関する。
また、本発明は、上記方法で製造される導電膜を備える配線基板に関する。
基材上に金属膜を形成する方法として、金属酸化物粒子の分散体を印刷法により基材に塗布し、加熱処理または光照射処理して焼結させることによって金属膜や回路基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1においては、酸化銅ナノ粒子、および、所定の樹脂バインダーを含む金属酸化物微粒子分散体を基材上に塗布して、光焼結処理して導電性フィルムを製造する方法が開示されている。
特表2010−528428号公報
一方、近年、電子機器の小型化、高機能化の要求に対応するため、プリント配線板などにおいては配線のより一層の微細化および高集積化が進んでいる。それに伴って、基材と導電膜との密着性、および、導電膜の導電性のより一層の向上が要求されている。
本発明者らが、特許文献1に記載される方法に基づいて、導電膜の作製を試みたところ、得られた導電膜は基材との密着性、および、導電膜の導電性は昨今求められるレベルまで達しておらず、更なる改良が必要であった。
本発明は、上記実情に鑑みて、優れた導電性を示すと共に、基材との密着性にも優れた導電膜を製造することができる導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、下層塗膜上に隣接して配置される還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を用いて導電膜の製造を行うことにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 基材表面の少なくとも一部に、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、下層塗膜上に隣接して配置される、還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を形成する塗膜形成工程と、
多層塗膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を行い、酸化銅粒子を還元して銅を含有する導電膜を形成する還元工程とを備え、
樹脂バインダーの質量WBと還元剤の質量WRとの質量比(WB/WR)が0.1〜10.0である、導電膜の製造方法。
(2) 下層塗膜が、さらに金属銅粒子を含有する、(1)に記載の導電膜の製造方法。
(3) 多層塗膜の厚みが25μm以下である、(1)または(2)に記載の導電膜の製造方法。
(4) 下層塗膜中における酸化銅粒子および金属銅粒子の合計含有量が、下層塗膜全質量に対して、89質量%以上である、(2)または(3)に記載の導電膜の製造方法。
(5) 質量比(WB/WR)が0.5〜5.0である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
(6) 下層塗膜の厚みが15μm以下である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
(7) 還元剤が重量平均分子量10,000以上の有機ポリマーである、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
(8) 還元剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
(9) 酸化銅粒子が酸化銅(II)粒子である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
(10) (1)〜(9)のいずれかに1項に記載の導電膜の製造方法より製造される導電膜を備える配線基板。
本発明によれば、優れた導電性を示すと共に、基材との密着性にも優れた導電膜を製造することができる導電膜の製造方法を提供することができる。
本発明の導電膜の製造方法の好適態様における各工程を工程順に示す断面図である。 本発明の導電膜の製造方法の塗膜形成工程の他の態様を示す断面図である。 本発明の導電膜の製造方法の塗膜形成工程の他の態様を示す断面図である。
以下に、本発明の導電膜の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の特徴点は、加熱処理および/または光照射処理が施される導電膜の前駆体として、2種の塗膜を含む多層塗膜を使用している点が挙げられる。より具体的には、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、下層塗膜上に隣接して配置される還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を使用している点が挙げられる。還元剤を含む塗膜を酸化銅粒子を含む塗膜上にさらに設けることにより、酸化銅粒子に対する還元能力を維持したまま、酸化銅粒子を含む塗膜中から還元剤の使用量分の体積を減らすことにより、酸化銅粒子をより密にパッキングさせることができる。結果として、酸化銅の還元がより効率的に進行し、基材に対する密着性に優れ、かつ、導電性にも優れる導電膜を形成することができる。
本発明の導電膜の製造方法の好適態様は、基材上に多層塗膜を形成する塗膜形成工程と、酸化銅を還元して金属銅を含有する導電膜を形成する還元工程とを備える。
以下、図面を参照しつつ、各工程の手順について詳述する。
<塗膜形成工程>
塗膜形成工程は、基材表面の少なくとも一部に、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、下層塗膜上に隣接して配置される還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を形成する工程である。また、樹脂バインダーの質量WBと還元剤の質量WRとの質量比(WB/WR)が0.1〜10である。
本工程を実施することにより、基材10上に多層塗膜12が形成される。多層塗膜12は、下層塗膜14と上層塗膜16とを含む。なお、図1(A)においては、基材10の表面上の一部に多層塗膜12がパターン状に配置されているが、この態様には限定されず、図2に示すように、基材10の一方の主面の全面に多層塗膜12が設けられていてもよい。
まず、本工程で使用される材料(酸化銅粒子、樹脂バインダー、還元剤、基材など)について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(酸化銅粒子)
下層塗膜には、酸化銅粒子が含有される。酸化銅粒子は後述する還元工程により、導電膜中に含まれる金属銅へと変換される。
なお、本発明における「酸化銅」とは、酸化されていない銅を実質的に含まない化合物であり、具体的には、X線回折による結晶解析において、酸化銅由来のピークが検出され、かつ金属由来のピークが検出されない化合物のことを指す。銅を実質的に含まないとは、限定的ではないが、銅の含有量が酸化銅粒子に対して1質量%以下であることをいう。
酸化銅としては、酸化銅(I)または酸化銅(II)が好ましく、安価に入手可能であること、低抵抗であることから酸化銅(II)であることが更に好ましい。
酸化銅粒子の平均粒子径は特に制限されないが、500nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。下限も特に制限されないが、1nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。
平均粒子径が1nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、酸化銅粒子を含む組成物中で溶解することがなく、取扱い性に優れるため好ましい。また、500nm以下であれば、酸化銅粒子を含む組成物をインクジェット用インク組成物として用い、印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となり、金属銅への還元が十分となり、得られる導電膜の導電性が良好であるため好ましい。
なお、本発明における平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の酸化銅粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、酸化銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
酸化銅粒子としては、例えば、関東化学社製のCuOナノ粒子、シグマアルドリッチ社製のCuOナノ粒子等を好ましく使用することができる。
(樹脂バインダー)
下層塗膜には、樹脂バインダーが含有される。樹脂バインダーは基材との密着性の向上に寄与する。
樹脂バインダーの種類は特に制限されず、上記酸化銅粒子を分散させることができる公知の樹脂を使用することができる。例えば、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
より具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)が挙げられる。なかでも、後述する還元工程の際に、優れた還元剤としても機能する点から、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコールがより好ましい。
なお、樹脂バインダーは、後述する還元工程において分解して、揮発する材料であってもよい。また、樹脂バインダーは、後述する還元工程において還元剤として機能する樹脂を用いてもよい。
(還元剤)
上層塗膜には、還元剤が含有される。還元剤は、後述する還元工程の際に、下層塗膜に含まれる酸化銅粒子を還元する機能を有する。
還元剤は、後述する還元工程(加熱処理および/または光照射処理)の際に、酸化銅を還元し得るものであれば特に制限はなく、例えば、光照射または加熱により炭素や水素を発生して分解する素材を好ましく用いることができる。なかでも、酸化銅粒子に対して実質的に常温では還元性を有さないが還元工程(加熱処理および/または光照射処理)により還元性を発揮する還元剤(潜在性還元剤)であることが好ましい。
還元剤の好適態様としては、酸化銅粒子の還元がより効率的に進行する点から、有機ポリマーが挙げられ、特に、重量平均分子量10000以上の有機ポリマーが好ましい。なお、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、取扱い性の点から、250000以下が好ましい。
使用される還元剤の具体例としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)、ポリビニルアルコールなどの有機ポリマーや、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセリンなど炭素数20以下の多価アルコール化合物などが挙げられる。
なお、上記還元剤と樹脂バインダーとは同一の材料が使用されてもよい。
(その他の材料)
上述した酸化銅粒子、樹脂バインダー、還元剤以外にも、他の材料が多層塗膜には含まれていてもよい。
例えば、下層塗膜には、金属銅粒子が含まれていてもよい。金属銅粒子が所定量含まれることにより、密着性および導電性により優れる導電膜を形成できる。
金属銅粒子の平均粒子径は特に制限されないが、1nm〜10μmが好ましく、10nm〜5μmがより好ましく、50nm〜2μmがさらに好ましく、100nm〜1μmが特に好ましい。
平均粒子径が1nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、取扱い性に優れるため好ましい。また、10μm以下であれば、組成物をインクジェット用インク組成物やスクリーン印刷用ペースト組成物として用い、各種印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となり、好ましい。
なお、平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の金属銅粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、金属銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
金属銅粒子としては、例えば、湿式銅粉1020Y(平均粒子径0.36μm)、1030Y(平均粒子径0.52μm)、1050Y(平均粒子径0.75μm)、1100Y(平均粒子径1.18μm)三井金属鉱業社製等を好ましく使用することができる。
本工程で使用される基材としては、公知のものを用いることができる。基材に使用される材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。なかでも、樹脂基材が汎用性があり好ましい。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。これらの中でも、ガラスエポキシ基材、ポリエステル基材、ポリイミド基材、ポリエーテルイミド基材、紙基材、ガラス基材が好ましく使用される。
[塗膜形成工程の手順]
本工程において多層塗膜を形成する手順は特に制限されないが、基材上に下層塗膜を形成する下層塗膜形成工程を実施した後、下層塗膜上に上層塗膜を形成する上層塗膜形成工程を実施することが好ましい。以下では、この好適態様について詳述する。
(下層塗膜形成工程)
下層塗膜形成工程は、基材上に下層塗膜を形成する工程である。下層塗膜を形成する方法は特に制限されないが、下層塗膜の膜厚の制御がしやすい点から、酸化銅粒子および樹脂バインダーを含む下層塗膜形成用組成物を基材上に塗布して、下層塗膜を形成する方法が好ましい。他の方法としては、下層塗膜を別の基材上で作製して、形成されたフィルム状の下層塗膜を所望の基材上に貼り合わせる方法も挙げられる。
以下では、下層塗膜形成用組成物を使用する態様について詳述する。
下層塗膜形成用組成物に含有される酸化銅粒子および樹脂バインダーの定義は、上述の通りである。
また、下層塗膜形成用組成物に含まれる酸化銅粒子および樹脂バインダーの含有量は特に制限されないが、後述する下層塗膜中に含まれる酸化銅粒子および樹脂バインダーの含有量となるように調整される。
なお、下層塗膜に金属銅粒子を含有させたい場合は、下層塗膜形成用組成物中に金属銅粒子を含有させればよい。
下層塗膜形成用組成物には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒は、酸化銅粒子の分散媒として機能する。
溶媒の種類は特に制限されないが、例えば、水や、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル)、エステル類(例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル)などの有機溶媒などを使用することができる。なかでも、酸化銅粒子との相溶性がより優れる点から、水、1〜3価のヒドロキシル基を有する脂肪族アルコール、この脂肪族アルコール由来のアルキルエーテル、この脂肪族アルコール由来のアルキルエステル、またはこれらの混合物が好ましく用いられる。
下層塗膜形成用組成物を基材上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法などの塗布法が挙げられる。
塗布の形状は特に制限されず、基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
本工程においては、必要に応じて、下層塗膜形成用組成物を基材へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する還元工程において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電膜の導電性および導電膜と基材との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の方法としては、例えば、温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、40℃〜200℃で加熱処理を行うことが好ましく、50℃以上150℃未満で加熱処理を行なうことがより好ましく、70℃〜120℃で加熱処理を行うことがさらに好ましい。金属銅粒子を用いる場合は酸化を抑制するような条件が好ましく、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下がより好ましく、水素等の還元性ガス雰囲気下で乾燥することがさらに好ましい。
上記手順により形成された下層塗膜には、酸化銅粒子と樹脂バインダーとが含まれる。
酸化銅粒子の下層塗膜中における含有量は、下層塗膜全質量に対して、85質量%以上が好ましく、89質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、塗膜の成膜性の観点から、99.5質量%以下が好ましい。
なお、下層塗膜に金属銅粒子が含まれる場合、酸化銅粒子と金属銅粒子との合計含有量が、上記範囲であることが好ましい。
また、下層塗膜に金属銅粒子が含まれる場合、導電膜の導電性および密着性がより優れる点で、酸化銅粒子と金属銅粒子との質量比(酸化銅粒子の質量/金属銅粒子の質量)は0.15〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
樹脂バインダーの下層塗膜中における含有量は、下層塗膜全質量に対して、0.5質量%以上がさらに好ましく、2.5質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、導電膜の導電性の観点から、15質量%以下が好ましい。
下層塗膜の厚みは特に制限されず、形成される導電膜の厚みに合わせて適宜調整できるが、良好な導電性を確保する上で、0.3〜30μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。
(上層塗膜形成工程)
上層塗膜形成工程は、上記で形成された下層塗膜上に上層塗膜を形成する工程である。上層塗膜を形成する方法は特に制限されないが、上層塗膜の膜厚の制御がしやすい点から、還元剤を含む上層塗膜形成用組成物を基材上に塗布して、上層塗膜を形成する方法が好ましい。他の方法としては、上層塗膜を別の基材上で作製して、形成されたフィルム状の上層塗膜を下層塗膜上に貼り合わせる方法も挙げられる。
以下では、上層塗膜形成用組成物を使用する態様について詳述する。
上層塗膜形成用組成物に含有され還元剤の定義は、上述の通りである。
また、上層塗膜形成用組成物には、必要に応じて、上述した溶媒が含まれていてもよい。
また、上層塗膜形成用組成物の塗布方法は、上述した下層塗膜形成用組成物の塗布方法が挙げられる。
上記手順により形成された上層塗膜には、還元剤が含まれる。
還元剤の上層塗膜中における含有量は、上層塗膜全質量に対して、0.7質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、100質量%である。
上層塗膜の厚みは特に制限されず、形成される導電膜の厚みに合わせて適宜調整できるが、良好な導電性を確保する上で、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
なお、上層塗膜には、酸化銅粒子が実質的に含有されない。ここで、実質的とは、上層塗膜全質量に対して、酸化銅粒子の含有量が0.1質量%以下であることを意図する。
本工程においては、必要に応じて、上層塗膜形成用組成物を下層塗膜へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する還元工程において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電膜の導電性および導電膜と基材との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の条件は、上述した下層塗膜形成用組成物を塗布した後に実施してもよい乾燥処理と同様の条件が挙げられる。
(多層塗膜)
形成された多層塗膜の厚みは特に制限されないが、良好な導電性を確保する上で、0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
また、下層塗膜の厚み(TL)と上層塗膜の厚み(TU)との比(TL:TU)は特に制限されないが、導電膜の導電性および密着性がより良好な点で、1:1〜10:1が好ましい。
なお、下層塗膜に含有される樹脂バインダーの質量WBと、上層塗膜に含有される還元剤の質量WRとの質量比(WB/WR)は、0.1〜10である。なかでも、導電膜の導電性および密着性がより優れる点で、0.2〜5.0が好ましく、0.5〜5.0がより好ましく、0.5〜2.0がさらに好ましい。
質量比(WB/WR)が上記範囲外の場合、導電膜の導電性および/または密着性に劣る。
また、上記においては、多層塗膜が下層塗膜と上層塗膜との2層より構成される態様について詳述したが、多層塗膜は必要に応じて他の層を備えていてもよい。例えば、図3に示すように、基材と下層塗膜との間に、少なくとも還元剤が含有される還元剤含有下塗り塗膜18が配置されていてもよい。
なお、還元剤含有下塗り塗膜18に含有される還元剤の定義は、上層塗膜16に含有される還元剤の定義と同義であり、その形成方法も同じである。また、還元剤含有下塗り塗膜18中に含まれる還元剤の含有量も、上層塗膜16中に含まれる還元剤の含有量と同義である。
<還元工程>
還元工程は、上記塗膜形成工程で形成された多層塗膜に対して光照射処理および/または加熱焼成処理を行い、金属銅を含有する導電膜を形成する工程である。
本工程を実施することにより、図1(B)に示すように、多層塗膜中の酸化銅粒子が金属銅粒子に還元され、生成した金属銅粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して導電膜20を形成する。なお、導電膜20は所定のパターン状に形成されているが、この態様には限定されず、図2に示すように多層塗膜12を基材の一方の主面全面に設けた場合、基材の主面全面を覆う導電膜が形成される。
なお、光照射処理を実施した場合、酸化銅粒子が光を吸収し、熱に変換する光熱変換物質として働き、塗膜中に熱を伝達させる役割を果たしていると推測される。
加熱処理の条件は、使用される還元剤や溶媒の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は150〜300℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて多層塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで金属銅への還元および焼結が可能となり、長時間の加熱による基材の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、パルス光照射(例:Xeフラッシュランプによるパルス光照射)であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、多層塗膜の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
上記加熱処理および光照射処理を実施する雰囲気は特に制限されず、大気雰囲気下、不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
(導電膜)
上記工程を実施することにより、金属銅を含有する導電膜(金属銅膜)が得られる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な膜厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜の体積抵抗値は、導電特性の点から、300μΩ・cm以下が好ましく、100μΩ・cm以下がより好ましく、50μΩ・cm以下がさらに好ましい。
体積抵抗値は、導電膜の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に膜厚を乗算することで算出することができる。
導電膜は基材の主面の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、上記下層塗膜形成用組成物および上層塗膜形成用組成物をパターン状に基材に付与して多層塗膜パターンを形成して、上記加熱処理および/または光照射処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁層(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
絶縁膜の材料は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、または液晶樹脂を含有するものであることが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13などが挙げられる。
また、配線保護のために用いられる絶縁層の材料の一種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報や、特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により本発明にも適用することができる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、具体的には、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200G、などが挙げられる。
上記で得られた導電膜を有する基材(導電膜付き基材)は、種々の用途に使用することができる。例えば、プリント配線基板、TFT、FPC、RFIDなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(下層塗膜形成用組成物1の調製)
酸化銅粒子(シーアイ化成社製、NanoTek CuO、平均粒子径50nm)(70質量部)と、樹脂バインダーとしてポリビニルピロリドン(重量平均分子量220,000)(6質量部)と、水(24質量部)とを混合し、自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARE−310)で5分間処理することで下層塗膜形成用組成物1を得た。
(上層塗膜形成用組成物1の調製)
ポリビニルピロリドン(分子量:220,000)(35質量部)と、水(65質量部)を、自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARE−310)で5分間処理することで上層塗膜形成用組成物1を得た。
<実施例1>
PET基材(富士ゼロックス社製、PPC/レーザー用OHPフィルム GAAA5224、厚み:50μm、Tg:69℃)上に、スクリーン印刷機を用いて、下層塗膜形成用組成物1をストライプ状(L/S=1mm/1mm)に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで下層塗膜(厚み:15μm)を得た。その後、上層塗膜形成用組成物1を下層塗膜上(ストライプ状(L/S=1mm/1mm))に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで上層塗膜(厚み:3μm)を形成し、ストライプ状に配置された多層塗膜パターンを得た。
その後、多層塗膜に対して、パルス光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m2、パルス幅:2m秒)を行うことで導電膜を得た。
<密着性>
得られた導電膜にニチバン株式会社製セロハンテープ(幅24mm)を密着させてから剥がした。剥がした後の導電膜の外観を目視で観察して密着性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、実用上、A〜Cであることが求められる。
「A」:テープに導電膜の付着が見られず、導電膜と基材との界面での剥離も見られない。
「B」:テープに導電膜の付着がやや見られるが、導電膜と基材との界面での剥離は見られない。
「C」:テープに導電膜の付着がはっきり見られ、導電膜と基材との界面で剥離面積が5%未満の範囲で見られる。
「D」:テープに導電膜の付着がはっきり見られ、導電膜と基材との界面で剥離面積が5%以上50%未満の範囲で見られる。
「E」:テープに導電膜の付着がはっきり見られ、導電膜と基材との界面で剥離面積が50%以上の範囲で見られる。
なお、剥離面積(%)は、以下の式より求められる。
剥離面積(%):(導電膜が基材より剥がれた面積/セロハンテープが貼りあわされた領域における導電膜が基材と密着している面積)×100
<導電性>
得られた導電膜について、四探針法抵抗率計を用いて体積抵抗率を測定し、導電性を評価した。評価基準は以下のとおりである。なお、実用上、A〜Cであることが求められる。
「A」:体積抵抗率が50μΩ・cm未満
「B」:体積抵抗率が50μΩ・cm以上100μΩ・cm未満
「C」:体積抵抗率が100μΩ・cm以上300μΩ・cm未満
「D」:体積抵抗率が300μΩ・cm以上1000μΩ・cm未満
「E」:体積抵抗率が1000μΩ・cm以上
<実施例2>
PET基材(富士ゼロックス社製、PPC/レーザー用OHPフィルム GAAA5224、厚み:50μm、Tg:69℃)上に、スクリーン印刷機を用いて、上層塗膜形成用組成物1をストライプ状(L/S=1mm/1mm)に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで還元剤含有下塗り塗膜(厚み:3μm)を得た。その後、下層塗膜形成用組成物を還元剤含有下塗り塗膜上(ストライプ状(L/S=1mm/1mm))に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで下層塗膜(厚み:15μm)を得た。さらに、その後、上層塗膜形成用組成物を下層塗膜上(ストライプ状(L/S=1mm/1mm))に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで上層塗膜(厚み:3μm)を形成し、ストライプ状に配置された多層塗膜パターンを得た。
その後、多層塗膜に対して、パルス光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m2、パルス幅:2m秒)を行うことで導電膜を得た。
本実施例では、還元剤含有下塗り塗膜、下層塗膜、上層塗膜を備える多層塗膜を介して、導電膜が形成されている。
<実施例3〜7>
上層塗膜形成用組成物中におけるポリビニルピロリドン(以後、PVPとも称する)の含有量を表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<実施例8〜11>
上層塗膜の厚みを表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<実施例12〜19>
還元剤の種類を表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
なお、表1中、「PEO」はポリエチレンオキサイドを、「PVA」はポリビニルアルコールを意図する。
<実施例20>
下層塗膜形成用組成物中の樹脂バインダーの種類を表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<実施例21〜25>
下層塗膜および上層塗膜の厚みを表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<実施例26〜29>
下層形成用組成物にさらに金属銅粒子(三井金属鉱業社製、湿式銅粉1100Y、粒子径:1.18μm)を表1の記載の含有量に従って追加し、酸化銅粒子の含有量を調整した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<比較例1>
上層塗膜を設けなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<比較例2>
上層塗膜を設けなかった以外は、実施例20と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<比較例3〜4>
下層塗膜形成用組成物中の樹脂バインダーの含有量を表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を行った。
<比較例5>
PET基材(富士ゼロックス社製、PPC/レーザー用OHPフィルム GAAA5224、厚み:50μm、Tg:69℃)上に、スクリーン印刷機を用いて、上層塗膜形成用組成物1をストライプ状(L/S=1mm/1mm)に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで還元剤含有下塗り塗膜(厚み:3μm)を得た。その後、下層塗膜形成用組成物を還元剤含有下塗り塗膜上(ストライプ状(L/S=1mm/1mm))に塗布し、その後、100℃で10分間乾燥させることで下層塗膜(厚み:15μm)を得た。
その後、還元剤含有下塗り塗膜および下層塗膜を含む多層塗膜に対して、パルス光照射処理(Xenon社製光焼結装置Sinteron2000、照射エネルギー:5J/m2、パルス幅:2m秒)を行うことで導電膜を得た。
本比較例では、上層塗膜が含まれておらず、下層塗膜と基材との間に還元剤含有下塗り塗膜が配置されている。
表1中、下層塗膜形成用組成物欄に記載の含有量は、下層塗膜形成用組成物中における各成分の質量部を表す。
また、表1中、上層塗膜形成用組成物欄に記載の含有量は、上層塗膜形成用組成物中における各成分の質量%を表す。
なお、表1中の「下層塗膜中の樹脂バインダー質量/上層塗膜中の還元剤質量」は、下層塗膜中のバインダー質量および上層塗膜中の還元剤の質量から求められた。なお、各成分の比重(PVP:1.2、酸化銅粒子:6.31、金属銅粒子:8.94)を用いて、上層塗膜形成組成物および下層塗膜形成組成物中の各成分の質量比、および、各塗膜の膜厚からも求められる。
Figure 2014167872
表1に示すように、本発明の製造方法で得られた導電膜は、優れた導電性を示すと共に、密着性にも優れていた。
特に、実施例1〜11の比較から分かるように、樹脂バインダーの質量Wと還元剤の質量Wとの質量比(WB/WR)が0.5〜5.0の範囲であれば、密着性がより向上することが確認された。
また、実施例12〜16の比較から分かるように、還元剤として重量平均分子量10000以上の有機ポリマーを使用すると、導電膜の導電性および密着性がより向上することが確認された。
また、実施例1および実施例21〜25の比較から分かるように、多層塗膜の厚みが25μm以下の場合(または、下層塗膜の厚みが15μm以下の場合)、導電膜の密着性および導電性がより優れることが確認された。
また、実施例1および26〜29の比較から分かるように、酸化銅粒子と金属銅粒子との質量比(酸化銅粒子の質量/金属銅粒子の質量)が1.0〜3.0の範囲(実施例26および27に対応)において、導電膜の密着性および導電性がより優れることが確認された。
一方、上層塗膜がない比較例1および2においては、導電膜の密着性および導電性に劣っていた。
また、樹脂バインダーの質量Wと還元剤の質量Wとの質量比(W/W)が所定の範囲内にない比較例3および4においても、導電膜の密着性および導電性に劣っていた。
さらに、上層塗膜がなく、基材と下層塗膜との間に還元剤含有下塗り塗膜が設けられた比較例5においては、導電膜の導電性に劣っていた。
10 機材
12,120 多層塗膜
14 下層塗膜
16 上層塗膜
18 還元剤含有下塗り塗膜
20 導電膜

Claims (10)

  1. 基材表面の少なくとも一部に、酸化銅粒子および樹脂バインダーを少なくとも含有する下層塗膜と、前記下層塗膜上に隣接して配置される、還元剤を少なくとも含有する上層塗膜とを含む多層塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記多層塗膜に対して、加熱処理および/または光照射処理を行い、前記酸化銅粒子を還元して銅を含有する導電膜を形成する還元工程とを備え、
    前記樹脂バインダーの質量WBと前記還元剤の質量WRとの質量比(WB/WR)が0.1〜10.0である、導電膜の製造方法。
  2. 前記下層塗膜が、さらに金属銅粒子を含有する、請求項1に記載の導電膜の製造方法。
  3. 前記多層塗膜の厚みが25μm以下である、請求項1または2に記載の導電膜の製造方法。
  4. 前記下層塗膜中における前記酸化銅粒子および前記金属銅粒子の合計含有量が、下層塗膜全質量に対して、89質量%以上である、請求項2または3に記載の導電膜の製造方法。
  5. 前記質量比(WB/WR)が0.5〜5.0である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  6. 前記下層塗膜の厚みが15μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記還元剤が重量平均分子量10,000以上の有機ポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  8. 前記還元剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  9. 前記酸化銅粒子が酸化銅(II)粒子である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに1項に記載の導電膜の製造方法より製造される導電膜を備える配線基板。
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