JP2014186952A - 被覆銅粒子の製造方法、導電膜形成用組成物の製造方法、導電膜の製造方法 - Google Patents

被覆銅粒子の製造方法、導電膜形成用組成物の製造方法、導電膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた導電性を示す導電膜の形成に使用される被覆銅粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】塩基性官能基を有し、酸化銅膜14を溶解する性質を有する高分子と、銅粒子12とを溶液中で混合し、銅粒子が、高分子と銅イオンとを含む高分子銅錯体16で被覆された被覆銅粒子を得る工程Aと、溶液中に残存する高分子を除去して、被覆銅粒子を取り出す工程Bとを備え、工程Aおよび工程Bが、酸素濃度1%以下の雰囲気にて行われる、被覆銅粒子の製造方法。前記高分子が、ポリアリルアミンおよびポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【選択図】図1

Description

本発明は、被覆銅粒子の製造方法に係り、低酸素濃度下にて所定の処理を実施することを特徴とする被覆銅粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、製造された被覆銅粒子を用いる導電膜形成用組成物の製造方法、および、導電膜の製造方法に関する。
基材上に金属膜を形成する方法として、金属粒子の分散体を印刷法により基材に塗布し、加熱処理または光照射処理して焼結させることによって金属膜や回路基板における配線等の電気的導通部位を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線作製法に比べて、簡便・省エネ・省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1においては、金属粒子を、酸化膜を溶解する性質を有するキレート化剤と溶剤から構成される溶液に浸漬して得られる材料を含む導電性ペーストが開示されている。なお、キレート剤としては、例えば、アントラニル酸が使用されている。
また、特許文献2においては、「微細な金属粉末および/または非金属粉末および水溶性有機ポリマー化合物からなる結合剤および水溶性有機溶剤からなる、焼き付け層を製造するためのペースト」が開示されており、有機ポリマー化合物としてポリエチレンイミンを使用する旨が開示されている。
なお、特許文献2の実施例欄を参照すると、使用されている金属粉末としては銀粉末が具体的に開示されている。また、ペーストの調製の雰囲気についての具体的な記載はなく、通常の大気下で実施されている。
特許3273015号公報 特許3805503号公報
一方、近年、電子機器の小型化、高機能化の要求に対応するため、プリント配線板などにおいては配線の導電性のより一層の向上が求められている。特に、配線材料としては、コストおよび導電性の点から、銅を使用することが望まれている。
本発明者らが、特許文献1および2の実施例欄の記載を参照して、銅粒子を含むペーストを用いて導電膜の作製を試みたところ、得られた導電膜の導電性は必ずしも昨今求められるレベルまで達しておらず、更なる改良が必要であった。
本発明は、上記実情に鑑みて、優れた導電性を示す導電膜の形成に使用される被覆銅粒子の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、被覆銅粒子を含む導電膜形成用組成物の製造方法、および、導電膜の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、低酸素濃度下にて所定の処理を実施して製造される被覆銅粒子を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
(1) 塩基性官能基を有し、酸化銅膜を溶解する性質を有する高分子と、銅粒子とを溶液中で混合し、銅粒子が高分子と銅イオンとを含む高分子銅錯体で被覆された被覆銅粒子を得る工程Aと、
溶液中に残存する高分子を除去して、被覆銅粒子を取り出す工程Bとを備え、
工程Aおよび工程Bが、酸素濃度1%以下の雰囲気にて行われる、被覆銅粒子の製造方法。
(2) 塩基性官能基が、含窒素塩基性官能基である、(1)に記載の被覆銅粒子の製造方法。
(3) 高分子が、ポリアリルアミンおよびポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つである、(1)または(2)に記載の被覆銅粒子の製造方法。
(4) 高分子が、重量平均分子量が10000以上のポリエチレンイミンである、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の被覆銅粒子の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法より製造される被覆銅粒子と、熱可塑性ポリマーと、溶媒とを、酸素濃度1%以下の雰囲気下にて混合して、導電膜形成用組成物を製造する工程を有する、導電膜形成用組成物の製造方法。
(6) 熱可塑性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、および、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つである、(5)に記載の導電膜形成用組成物の製造方法。
(7) 被覆銅粒子と熱可塑性ポリマーとの質量比(熱可塑性ポリマーの質量/被覆銅粒子の質量)が0.1〜10である、(5)または(6)に記載の導電膜形成用組成物の製造方法。
(8) (5)〜(7)のいずれか1つに記載の製造方法より製造される導電膜形成用組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
塗膜に対して加熱処理および/または光照射処理を行い、導電膜を形成する工程とを備える、導電膜の製造方法。
本発明によれば、優れた導電性を示す導電膜の形成に使用される被覆銅粒子の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、被覆銅粒子を含む導電膜形成用組成物の製造方法、および、導電膜の製造方法を提供することもできる。
(A)は、銅粒子の模式的断面図である。(B)は、被覆銅粒子の模式的断面図である。
以下に、本発明の被覆銅粒子の製造方法、導電膜形成用組成物の製造方法、および、導電膜の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
上述したように、本発明の特徴点は、被覆銅粒子を製造する際に、低酸素濃度下にて所定の処理を実施する点が挙げられる。金属銅は、一般的に酸化されやすい。そのため、銅粒子の表面には薄い酸化銅膜が形成されている場合が多い。このような酸化銅膜は導電特性が金属銅と比較して劣るために、このような酸化銅膜を含む銅粒子を用いて導電膜を製造すると、得られる導電膜の導電性も劣る。
そこで、本発明では、まず、所定の官能基を有し、酸化銅膜を溶解する性質を有する高分子と、銅粒子とを混合することにより、銅粒子表面上の酸化銅膜を溶解除去させる。その際、高分子は、酸化銅膜から溶出した銅イオンと官能基を介して連結して高分子銅錯体を形成すると共に、官能基を介して銅粒子表面上を被覆する。つまり、銅イオンと高分子とからなる高分子銅錯体で被覆された被覆銅粒子が形成される。その後、溶液中に遊離している高分子と、被覆銅粒子とを分離して、被覆銅粒子を回収する。本発明では、一連の処理を酸素濃度が1%以下の雰囲気下で実施することにより、被覆銅粒子中の銅粒子の表面が再び酸化されることが抑制され、結果として導電特性に優れた導電膜を製造することができる。
<被覆銅粒子の製造方法>
以下では、まず、被覆銅粒子の製造方法で使用される各種成分(銅粒子、高分子、溶媒など)について詳述し、その後、製造方法の手順について詳述する。
(銅粒子(金属銅粒子))
銅粒子は、金属銅より構成される。なお、上述したように、銅は酸化されやすいため、通常、銅粒子の表面には酸化銅膜(自然酸化膜)がある。
銅粒子の形状は特に制限されず、球状、楕円体状、ロッド状、ワイヤ状、板状、樹木状などが挙げられる。なかでも、樹木状が好ましい。
銅粒子の平均粒子径は特に制限されないが、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、1nm以上が好ましい。
平均粒子径が1nm以上であれば、粒子表面の活性が高くなりすぎず、後述する導電膜形成用組成物中で溶解することがなく、取扱い性に優れるため好ましい。また、10μm以下であれば、銅粒子に対する高分子銅錯体の被覆量を多くすることができると共に、導電膜形成用組成物をインクジェット用インク組成物やスクリーン印刷用ペースト組成物として用い、各種印刷法により配線等のパターン形成を行うことが容易となり、組成物を導体化する際に、得られる導電膜の導電性が良好であるため好ましい。
なお、平均粒子径は、平均一次粒径のことを指す。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察または走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、少なくとも50個以上の銅粒子の粒子径(直径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、観察図中、金属銅粒子または酸化銅粒子の形状が真円状でない場合、長径を直径として測定する。
銅粒子としては、例えば、Copper, powder particle size 3 microm 99.7%(Aldrich社製)を好ましく使用することができる。
(高分子)
使用される高分子は、塩基性官能基を有し、酸化銅膜を溶解する性質を有する。上述したように、本高分子は、上記銅粒子の表面にある薄い酸化銅膜(自然酸化膜)を溶解除去する役割を有すると共に、塩基性官能基を介して溶出する銅イオンおよび銅粒子表面と連結する。なお、酸化銅膜を溶解する性質とは、本高分子と酸化銅膜とが接触すると、酸化銅膜が銅イオンへと溶解(分解)する性質を意図する。
高分子中の塩基性官能基の種類は特に制限されず、高分子が酸化銅膜を溶解する性質を有する基であればよい。例えば、アミノ基、ピリジン、ピリミジンなどの含窒素塩基性官能が好ましく挙げられる。
なお、本明細書において、アミノ基とは、1〜3級のアミノ基を含む概念である。1級アミノ基とは−NH2、2級アミノ基とは−NH−、3級アミノ基とは−N<で表される基を意図する。
塩基性官能基は、銅イオンと連結(配位)する機能を有すると共に、銅粒子に対しても連結(配位)する機能を有する。
高分子の種類は特に制限されず、なかでも、本発明の効果(導電膜の導電性)が優れる点で、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンが好ましく、重量平均分子量が10000以上のポリエチレンイミンがより好ましい。
高分子の重量平均分子量は特に制限されないが、本発明の効果(導電膜の導電性)が優れる点で、1000以上が好ましく、10000以上が好ましく、また、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。
(溶媒)
溶液中で使用される溶媒の種類は特に制限されないが、例えば、水や、アルコール類、エーテル類、エステル類などの有機溶媒などを使用することができる。なかでも、高分子の溶解性に優れる点から、水、1〜3価のヒドロキシル基を有する脂肪族アルコール、この脂肪族アルコール由来のアルキルエーテル、この脂肪族アルコール由来のアルキルエステル、またはこれらの混合物が好ましく用いられる。
溶媒として、水を用いる場合には、イオン交換水のレベルの純度を有するものが好ましい。
1〜3価のヒドロキシル基を有する脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、グリシドール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、カルビトール、エチルカルビトール、n−ブチルカルビトール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
なかでも、1〜3価のヒドロキシル基を有する炭素数1〜6の脂肪族アルコールは、沸点が高すぎず導電膜形成後に残存しにくいことから好ましく、具体的には、メタノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコールがより好ましい。
エーテル類としては、上記アルコール由来のアルキルエーテルが挙げられ、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が例示される。なかでも、1〜3価のヒドロキシル基を有する炭素数1〜4の脂肪族アルコール由来の炭素数2〜8のアルキルエーテルが好ましく、具体的には、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランがより好ましい。
エステル類としては、上記アルコール由来のアルキルエステルが挙げられ、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が例示される。なかでも、1〜3価のヒドロキシル基を有する炭素数1〜4の脂肪族アルコール由来の炭素数2〜8のアルキルエステルが好ましく、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチルがより好ましい。
上記溶媒の中でも、沸点が高すぎないことから、特に水を主溶媒として用いることが好ましい。主溶媒とは、溶媒の中で含有率が最も多い溶媒である。
(製造方法の手順)
被覆銅粒子の製造方法は、上述した、塩基性官能基を有し、酸化銅膜を溶解する性質を有する高分子(以後、単に「高分子」とも称する)と、銅粒子とを溶液中で混合する工程Aと、被覆銅粒子を取り出す工程Bとを備える。
上記工程Aおよび工程Bは、それぞれ酸素濃度1%以下の雰囲気にて行われる。なかでも、酸素濃度0.1%以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。上記範囲内であれば、被覆銅粒子中の銅粒子表面の酸化が抑制され、結果として、導電膜の導電性がより優れる。
酸素濃度が1%超の場合、導電膜の導電性に劣る。
なお、酸素以外の気体の種類は特に制限されないが、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)が使用されることが好ましい。
以下、各工程の手順について詳述する。
(工程A)
工程Aは、高分子と銅粒子とを溶液中で混合する工程である。
混合の方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、溶媒に高分子および銅粒子を加えた後、超音波法(例えば、超音波ホモジナイザーによる処理)、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法などの公知の手段にて攪拌する方法が挙げられる。
混合時間は特に制限されず、使用される材料の種類に応じて最適な時間が選択されるが、生産性および本発明の効果のバランスの点から、5〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
高分子と銅粒子との混合比率(高分子の質量/銅粒子の質量)は特に制限されないが、所望の被覆銅粒子を効率よく製造できる点で、0.01〜0.5が好ましく、0.03〜0.3がより好ましく、0.05〜0.2がさらに好ましい。
溶液中における銅粒子の濃度は特に制限されないが、所望の被覆銅粒子を効率よく製造できる点で、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
上記処理を実施することにより、高分子と銅イオンとを含む高分子銅錯体で被覆された被覆銅粒子が製造される。被覆銅粒子が得られるメカニズムに関して、図1を参照しつつ、以下に詳述する。なお、図1は説明を容易にするための模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。
まず、図1(A)に示すように、銅粒子10は、内部にコア銅粒子12と、表面に配置された薄い酸化銅膜14とを有する。ここで、コア銅粒子12とは、酸化銅を含まない銅粒子を意図する。この銅粒子10と高分子とを混合すると、酸化銅膜14が溶解され、銅イオンが溶液中に溶出する。溶液中の高分子は、溶出した銅イオンと塩基性官能基を介して連結すると共に、コア銅粒子12の表面と塩基性官能基を介して連結する。その結果、図1(B)に示すように、コア銅粒子12と、コア銅粒子12を被覆する、高分子と銅イオンとからなる高分子銅錯体の膜(高分子銅錯体膜16)とを有する被覆銅粒子18が形成される。
高分子銅錯体膜16が形成されたか否かは、UV吸収スペクトルなどにより銅錯体由来のピークが存在することで確認される。
(工程B)
工程Bは、溶液中に残存する高分子(以後、残存高分子とも称する)を除去して、被覆銅粒子を取り出す工程である。言い換えれば、工程Aで得られた溶液から、被覆銅粒子を単離する工程である。本工程により、溶液中に遊離する残存高分子を除去することにより、後述する導電膜形成用組成物に残存高分子が含まれることを抑制することができる。残存高分子が導電膜形成用組成物中に多量に含まれると、導電膜形成時の加熱処理や光照射処理の際に残存高分子が分解して、導電膜のクラックを引き起こし、導電膜の導電特性の劣化につながる。
工程Bの方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、工程Aで得られた溶液を濾過することにより、被覆銅粒子を回収する方法や、遠心分離により被覆銅粒子を回収する方法などが挙げられる。なお、濾過の方法としては、限外濾過、ゲル濾過、フィルター濾過など各種濾過が使用される。
残存高分子を除去した後、必要に応じて、乾燥処理(好ましくは、減圧乾燥処理)を施してもよい。乾燥処理を施すことにより、残存する溶媒を除去することができる。
上記工程Aおよび工程Bを経て得られる被覆銅粒子は、上述したように、銅粒子と、銅粒子の表面上に配置された、高分子と銅イオンとからなる高分子銅錯体とを含む。
被覆銅粒子中に含まれる高分子の含有量は特に制限されないが、被覆銅粒子の全質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、導電膜の導電特性がより優れる。
なお、被覆銅粒子中には、酸化銅膜は実質的に含まれないことが好ましい。なお、実質的に含まれないとは、酸化銅の含有量が、被覆銅粒子全量に対して、0.01質量%以下であることを意図する。
被覆銅粒子は、導電膜の製造に好適使用される。以下に、被覆銅粒子を用いた導電膜形成用組成物の製造方法、および、導電膜の製造方法について詳述する。
<導電膜形成用組成物の製造方法>
本発明の導電膜形成用組成物の製造方法は、上記被覆銅粒子と、熱可塑性ポリマーと、溶媒とを、酸素濃度1%以下の雰囲気下にて混合して、導電膜形成用組成物を製造する工程を有する。上述した被覆銅粒子の製造方法と同様に、上記工程においては、各種成分を混合する際に、酸素濃度1%以下の雰囲気下にて処理を実施する。結果として、被覆銅粒子中の銅粒子の酸化を抑制でき、導電特性に優れた導電膜を形成することができる。
まず、本製造方法で使用される被覆銅粒子以外の成分(熱可塑性ポリマー、溶媒)について詳述して、その後、本工程の手順について詳述する。
(熱可塑性ポリマー)
熱可塑性ポリマーは、導電膜形成の際に塗膜中のバインダーとして機能する。
熱可塑性ポリマーの種類は特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどのアクリル系モノマーの重合体または共重合体)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレングリコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどを挙げることができる。なかでも、導電膜の導電特性がより優れる点から、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、または、ポリエチレンオキシドが好ましく、ポリビニルピロリドンがより好ましい。
熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、導電膜の導電特性がより優れる点から、1,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることがより好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、GPC法(溶媒:N−メチルピロリドン)により得られたポリスチレン換算値である。
(溶媒)
本工程で使用される溶媒の種類は特に制限されず、例えば、上記被覆銅粒子の製造の際に使用される溶媒などが挙げられる。
(製造方法の手順)
本工程では、上記被覆銅粒子と高分子と溶媒とを、酸素濃度1%以下の雰囲気で混合する。
本工程は、酸素濃度1%以下の雰囲気にて行われる。なかでも、酸素濃度0.1%以下が好ましく、100ppm以下がより好ましい。上記範囲内であれば、被覆銅粒子中の銅粒子表面の酸化が抑制され、結果として、導電膜の導電性がより優れる。
酸素濃度が1%超の場合、導電膜の導電性に劣る。
なお、酸素以外の気体の種類は特に制限されないが、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)が使用されることが好ましい。
混合の方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、溶媒に熱可塑性ポリマーおよび被覆銅粒子を加えた後、超音波法(例えば、超音波ホモジナイザーによる処理)、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法などの公知の手段により成分を分散させることによって、組成物を得ることができる。
混合時間は特に制限されず、使用される材料の種類に応じて最適な時間が選択されるが、生産性および本発明の効果のバランスの点から、5〜120分間が好ましく、10〜60分間がより好ましい。
熱可塑性ポリマーと被覆銅粒子との混合比率(熱可塑性ポリマーの質量/被覆銅粒子の質量)は特に制限されないが、導電膜の導電性がより優れる点で、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
被覆銅粒子と溶媒との混合比率(溶媒の質量/被覆銅粒子の質量)は特に制限されないが、導電膜の導電性がより優れる点で、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
上記工程を経て得られる導電膜形成用組成物の粘度は、インクジェット、スクリーン印刷等の印刷用途に適するような粘度に調整させることが好ましい。インクジェット吐出を行う場合、1〜50cPが好ましく、1〜40cPがより好ましい。スクリーン印刷を行う場合は、1000〜100000cPが好ましく、10000〜80000cPがより好ましい。
導電膜形成用組成物には、上記被覆銅粒子、熱可塑性ポリマーおよび溶媒以外にも他の成分が含まれていてもよい。
例えば、導電膜形成用組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、被覆銅粒子の分散性を向上させる役割を果たす。界面活性剤の種類は特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤は、1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。
<導電膜の製造方法>
本発明の導電膜の製造方法は、上述した導電膜形成用組成物を用いて基材上に塗膜を形成する工程(以後、適宜塗膜形成工程とも称する)と、加熱処理および/または光照射処理を施して導電膜を得る工程(以後、導電膜形成工程とも称する)とを有する。以下に、それぞれの工程について詳述する。
(塗膜形成工程)
本工程は、上述した導電膜形成用組成物を基材上に付与して、塗膜を形成する工程である。本工程により加熱処理または光照射処理が施される前の前駆体膜が得られる。
使用される導電膜形成用組成物については、上述の通りである。
本工程で使用される基材としては、公知のものを用いることができる。基材に使用される材料としては、例えば、樹脂、紙、ガラス、シリコン系半導体、化合物半導体、金属酸化物、金属窒化物、木材、またはこれらの複合物が挙げられる。
より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材;非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール、段ボール等の紙基材;ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材;アモルファスシリコン、ポリシリコン等のシリコン系半導体基材;CdS、CdTe、GaAs等の化合物半導体基材;銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材;アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、酸化インジウム、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ネサ(酸化錫)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛、窒化アルミニウム基材、炭化ケイ素等のその他無機基材;紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、紙−ポリエステル樹脂等の紙−樹脂複合物、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス布−ポリイミド系樹脂、ガラス布−フッ素樹脂等のガラス−樹脂複合物等の複合基材等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂基材、ポリエーテルイミド樹脂基材、紙基材、ガラス基材が好ましく使用される。
導電膜形成用組成物を基材上に付与する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法などの塗布法が挙げられる。
塗布の形状は特に制限されず、基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
基材上への導電膜形成用組成物の塗布量としては、所望する導電膜の膜厚に応じて適宜調整すればよいが、通常、塗膜の膜厚は0.01〜5000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましい。
本工程においては、必要に応じて、導電膜形成用組成物を基材へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する導電膜形成工程において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、導電膜の導電性および導電膜と基材との密着性の点で好ましい。
乾燥処理の方法としては温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、40℃〜200℃で加熱処理を行うことが好ましく、50℃以上150℃未満で加熱処理を行なうことがより好ましく、70℃〜120℃で加熱処理を行うことがさらに好ましい。金属銅粒子を用いる場合は酸化を抑制するような条件が好ましく、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下がより好ましく、水素等の還元性ガス雰囲気下で乾燥することがさらに好ましい。
(導電膜形成工程)
本工程は、上記塗膜形成工程で形成された塗膜に対して加熱処理および/または光照射処理を行い、金属銅を含有する導電膜を形成する工程である。
加熱処理および/または光照射処理を行うことにより、被覆銅粒子中の銅イオンが金属銅に還元され、銅粒子と共に、金属銅を構成する。より具体的には、被覆銅粒子中の銅イオンから生成した金属銅は、銅粒子間をつなぐ(融着する)機能を果たす。そのため、銅粒子同士が互いに融着してグレインを形成し、さらにグレイン同士が接着・融着して導電膜(金属銅膜)を形成する。
なお、光照射処理を実施した場合、銅粒子が光を吸収し、熱に変換する光熱変換物質として働き、塗膜中に熱を伝達させる役割を果たしていると推測される。
加熱処理の条件は、使用される熱可塑性ポリマーや溶媒の種類によって適宜最適な条件が選択される。なかでも、短時間で、導電性により優れる導電膜を形成することができる点で、加熱温度は100〜400℃が好ましく、150〜250℃がより好ましく、また、加熱時間は5〜120分が好ましく、10〜60分がより好ましい。
なお、加熱手段は特に制限されず、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
本発明では、比較的低温の加熱処理により導電膜の形成が可能であり、従って、プロセスコストが安いという利点を有する。
光照射処理は、上述した加熱処理とは異なり、室温にて塗膜が付与された部分に対して光を短時間照射することで焼結が可能となり、長時間の加熱による基材の劣化が起こらず、導電膜の基材との密着性がより良好となる。
光照射処理で使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
具体的な態様としては、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
光照射は、フラッシュランプによる光照射が好ましく、フラッシュランプによるパルス光照射であることがより好ましい。高エネルギーのパルス光の照射は、塗膜を付与した部分の表面を、極めて短い時間で集中して加熱することができるため、基材への熱の影響を極めて小さくすることができる。
パルス光の照射エネルギーとしては、1〜100J/cm2が好ましく、1〜30J/cm2がより好ましく、パルス幅としては1μ秒〜100m秒が好ましく、10μ秒〜10m秒がより好ましい。パルス光の照射時間は、1〜100m秒が好ましく、1〜50m秒がより好ましく、1〜20m秒が更に好ましい。
上記加熱処理および光照射処理は、単独で実施してもよく、両者を同時に実施してもよい。また、一方の処理を施した後、さらに他方の処理を施してもよい。
上記加熱処理および光照射処理を実施する雰囲気は不活性雰囲気下、または還元性雰囲気下などが好ましい雰囲気として挙げられる。なお、不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、また、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。
(導電膜)
上記工程を実施することにより、金属銅を含有する導電膜(金属銅膜)が得られる。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な膜厚が調整される。なかでも、プリント配線基板用途の点からは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚みを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜の体積抵抗値は、導電特性の点から、5×10-4Ωcm未満が好ましく、1×10-4Ωcm未満がより好ましい。
体積抵抗値は、導電膜の表面抵抗値を四探針法にて測定後、得られた表面抵抗値に膜厚を乗算することで算出することができる。
導電膜は基材の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、上記導電膜形成用組成物をパターン状に基材に付与して、上記加熱処理および/または光照射処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁層(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
上記で得られた導電膜を有する基材(導電膜付き基材)は、種々の用途に使用することができる。例えば、プリント配線基板、TFT、FPC、RFIDなどが挙げられる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(被覆銅粒子の製造)
グローブボックス(UNICO社製、UN−1000L)中、酸素濃度50ppmの雰囲気下にて、銅粒子(Aldrich社製、3μm)1.0gに対して、水2ml、ポリアリルアミン(Nittobo Medical Co製、Mw=3000)60mgを添加しバイアル瓶に密閉した後、自転公転ミキサー(THINKY社製、泡とり錬太郎ARE−310)で2000rpm、5分間攪拌した。その後ろ別し、室温で減圧乾燥し被覆銅粒子1を得た。高分子銅錯体の生成は、調製時の上澄み液のUV吸収スペクトルにて270nm付近に極大のピークが出現したことにより確認した。
(導電膜形成用組成物の製造、および、導電膜の製造)
グローブボックス中、酸素濃度50ppmの雰囲気下にて、上記方法で得た被覆銅粒子1(1.0g)、および、ポリビニルピロリドンK90(和光純薬製)10mgを水1.0mlに加え、泡とり錬太郎にて2000rpm、10分間攪拌して導電膜形成用組成物を調製した。
その後、導電膜形成用組成物を石英基板上にキャストし、卓上型ランプ加熱装置MILA5000(ULVAC理工製)でアルゴン雰囲気下、400℃にて30分焼結し、四探針法抵抗率計を用いて体積抵抗を測定し導電性を評価した。
(被覆量測定)
上記の方法で調製した被覆銅粒子を、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA6200 EXSTER6000、エスアイアイナノテクノロジー社)により窒素雰囲気下、室温から500℃まで10℃/minの昇温速度でスキャンし重量減少から被覆量を測定した。なお、被覆量は、被覆銅粒子中の高分子量を意図する。
(実施例2)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリアリルアミン(Mw=15000)に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆銅粒子および導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(実施例3)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリエチレンイミン(和光純薬製、Mw=1800)に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆銅粒子および導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(実施例4)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリエチレンイミン(和光純薬製、Mw=10000)に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆銅粒子および導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(実施例5)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリエチレンイミン(東京化成製、Mw=70000)に変更した以外は、実施例1と同様にして被覆銅粒子および導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(比較例1)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をアントラニル酸(和光純薬製)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(比較例2)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をエチレンジアミン(和光純薬製)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。銅錯体の生成は、実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
(比較例3)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリメタクリル酸メチル(関東化学製、Mw=15000)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成を確認するためにUV吸収スペクトル測定を行ったが、配位子と銅原子間の電子移動に起因する紫外域の吸収ピークは確認できなかった。
なお、ポリメタクリル酸メチルは、本発明の高分子には該当しない。
(比較例4)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリビニルピロリドン(Aldrich製、Mw=29000)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成を確認するためにUV吸収スペクトル測定を行ったが、比較例3と同様に錯体由来の吸収ピークは確認できなかった。
なお、ポリビニルピロリドンは、本発明の高分子には該当しない。
(比較例5)
実施例1のポリアリルアミン(Mw=3000)をポリアクリル酸(和光純薬製、Mw=25000)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電膜形成用組成物を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
なお、ポリアクリル酸は、本発明の高分子には該当しない。
(比較例6)
グローブボックス中、酸素濃度50ppmの雰囲気下にて、銅粒子(Aldrich社製、3μm)1.0gに対して水2ml、ポリエチレンイミン(和光純薬製、Mw=10000)60mgを添加し、自転公転ミキサー(THINKY社製、泡とり錬太郎ARE−310)にて2000rpm、5分間攪拌した後、水を減圧留去しさらに室温で減圧乾燥して高分子銅錯体被覆銅粒子を得た。その後実施例1と同様に導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
なお、上記比較例6では、ろ別処理を行っていない。つまり、上述した工程Bを実施していない。
(比較例7)
大気中(酸素濃度20%)で実施例4と同様に、被覆銅粒子を調製し、導電膜を作製して導電性を評価した。高分子銅錯体の生成は実施例1と同様にUV吸収スペクトルにより確認した。
各実施例および比較例の結果を、以下表1にまとめて示す。
なお、表1中の「導電性」(導電膜の導電性)の評価基準は以下の通りである。なお、実用上、CまたはDであることが好ましい。
「A」:1×10-4Ωcm未満
「B」:1×10-4Ωcm以上5×10-4Ωcm未満
「C」:5×10-4Ωcm以上1×10-3Ωcm未満
「D」:1×10-3Ωcm以上
表1に示すように、本発明の製造方法より製造される被覆銅粒子を使用した場合、得られる導電膜は導電特性に優れていた。特に、実施例2,4および5から分かるように、重量平均分子量10000以上のポリエチレンイミンを使用するとより優れた効果が得られることが確認された。
一方、特許文献1に開示されるアントラニル酸を使用した比較例1や、低分子化合物を使用した比較例2や、酸化銅膜を溶解する性質がない高分子を用いた比較例3〜5では、導電膜の導電性に劣っていた。
また、工程Bを実施していない比較例6でも、導電膜の導電性に劣っていた。
また、特許文献2に示すような大気下にて処理を行った比較例7でも、導電膜の導電性に劣っていた。
10 銅粒子
12 コア銅粒子
14 酸化銅膜
16 高分子銅錯体膜
18 被覆銅粒子

Claims (8)

  1. 塩基性官能基を有し、酸化銅膜を溶解する性質を有する高分子と、銅粒子とを溶液中で混合し、前記銅粒子が前記高分子と銅イオンとを含む高分子銅錯体で被覆された被覆銅粒子を得る工程Aと、
    前記溶液中に残存する前記高分子を除去して、前記被覆銅粒子を取り出す工程Bとを備え、
    前記工程Aおよび前記工程Bが、酸素濃度1%以下の雰囲気にて行われる、被覆銅粒子の製造方法。
  2. 前記塩基性官能基が、含窒素塩基性官能基である、請求項1に記載の被覆銅粒子の製造方法。
  3. 前記高分子が、ポリアリルアミンおよびポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の被覆銅粒子の製造方法。
  4. 前記高分子が、重量平均分子量が10000以上のポリエチレンイミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆銅粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法より製造される被覆銅粒子と、熱可塑性ポリマーと、溶媒とを、酸素濃度1%以下の雰囲気下にて混合して、導電膜形成用組成物を製造する工程を有する、導電膜形成用組成物の製造方法。
  6. 前記熱可塑性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、および、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の導電膜形成用組成物の製造方法。
  7. 前記被覆銅粒子と前記熱可塑性ポリマーとの質量比(熱可塑性ポリマーの質量/被覆銅粒子の質量)が0.1〜10である、請求項5または6に記載の導電膜形成用組成物の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法より製造される導電膜形成用組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に対して加熱処理および/または光照射処理を行い、導電膜を形成する工程とを備える、導電膜の製造方法。
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