JP4844112B2 - 印刷抵抗体、印刷インク及び配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷抵抗体、印刷インク及び配線板に関する。
従来、多層印刷配線板は、エッチングにより回路を形成した片面印刷配線板又は両面印刷配線板をガラス織布プリプレグ等の接着層を介して複数枚プレス積層した積層体を準備し、これにドリル、レーザー等により孔開けし、さらにめっき等により各導電層同士を電気的に接続する工程を経て製造されている。
近年、多層印刷配線板の製造方法に関して、特許文献1に記載されているようなインクジェット印刷法による配線パターンの形成方法や、特許文献2に記載されているようなオフセット印刷法による印刷配線板の製造方法が提案されている。また、特許文献3では、導体層と孔が形成されている絶縁層とを基材上に印刷法で形成することにより多層印刷配線板を製造する方法が提案されてる。
これらの印刷法による製造方法の場合、プレス設備やめっき設備などの大規模な設備を用いずに多層印刷配線板を製造することが可能である。また、導体インクや絶縁体インクを必要な箇所にのみ印刷することができるため、材料の使用効率が非常に高いという利点もある。
ところで、近年の電子機器の小型化・軽量化に伴い、配線板の薄型化・高密度化が進んでいる。また、特に情報通信分野や情報処理分野の電子機器においては高機能化の要求が強く、高機能化のための部品を搭載するための十分な実装面積を確保する必要性が高まっている。そして、実装面積を確保してこれに対応するために、表面実装部品の微小化、端子の狭ピッチ化や基板のファインパターン化、部品を基板表面に高密度に実装するSMT(表面実装技術)化、さらにはそれらを高度化したAdvanced SMT化等が検討されてきた。
しかし、電子機器の高機能化に対応するために、能動素子(チップ部品)の部品の点数が増加している。これに伴い、電気的調整を行う受動素子部品(キャパシタ、インダクタ、レジスタ)の部品点数も増加しており、これら受動素子部品の実装面積が半分以上を占める場合もある。このことが、電子機器の小型化、高機能化の障害となっていた。
そこで、受動素子の機能を基板に内蔵する技術について検討されている。この技術によれば、小型化の他、従来表面実装部品と配線板間の電気的接続に使用されていたはんだ接合部が無くなり信頼性が向上すること、回路設計の自由度が増すこと、内蔵化により受動素子を効果的な位置に形成できることにより配線長が短縮でき結果として寄生容量が低減され電気特性が向上すること、また、表面実装の必要がなくなることから低コスト化が図れること等の効果が期待されている。
そのため、受動素子の機能を基板内部に形成するための受動素子形成材料が開発されている。例えば、受動素子内蔵用の抵抗体として、比較的抵抗の高い金属をめっきした材料が用いられてきた(特許文献4、5)。また、これとは別に、インクジェット印刷法により、めっきやエッチングなどの工程を経ずに抵抗体を形成する方法が提案されている(非特許文献1)。
特開2003−80694号広報 特開平11−58921号広報 特開2003−110242号広報 特公昭57−3234号公報 米国特許第3808576号明細書 「機器の小型化の限界をインクジェットで吹き飛ばす」、日経エレクトロニクス、2002年、6/17号、p.67−78
しかしながら、インクジェット印刷法やオフセット印刷法等の印刷法で形成された印刷抵抗体は、従来、その表面の任意の位置に接触する電極を形成させて抵抗体素子を形成させることができない場合があった。
そこで、本発明は、表面の任意の位置に接触する電極を形成した場合であっても抵抗体素子を形成することが可能で、インクジェット印刷法やオフセット印刷法等の印刷法により形成可能な印刷抵抗体を提供することを目的とする。
本発明の印刷抵抗体は、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である樹脂と、体積固有抵抗率が1×10Ω・cm以下である導電性粒子と、を含有し、表面の平均面粗さが2nm以上3000nm以下であり、表面の中心線平均粗さが1.5nmを超えているものである。
この印刷抵抗体は、その表面の粗さを上記特定範囲のものとしたことにより、表面の任意の位置に電極を形成した場合であっても抵抗体素子を形成することが可能で、インクジェット印刷法やオフセット印刷法等の印刷法により形成可能なものとなった。
導電性粒子の割合は、印刷抵抗体100体積部に対して10〜80体積部であることが好ましい。
導電性粒子は、金、銀、白金、銅、グラファイト、導電性カーボン及びカーボンブラックからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
上記樹脂は、熱硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。この場合熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂及びその硬化剤を含むことが好ましい。そして、エポキシ樹脂はフェノール類とアルデヒド類との縮合物のグリシジルエーテル化物であることが好ましく、硬化剤はフェノール類とアルデヒド類との縮合物であることが好ましい。
本発明の印刷抵抗体は、インクジェット印刷法により印刷インクの膜を形成する工程と、当該膜を加熱して印刷抵抗体を形成させる工程と、を備える方法により形成されるものであることが好ましい。
本発明の印刷インクは、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である熱可塑性樹脂又は硬化後に体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上となる熱硬化性樹脂と、体積固有抵抗率が1×10Ω・cm以下である導電性粒子と、を含有し、インクジェット印刷法により印刷インクの膜を形成する工程と、当該膜を加熱して印刷抵抗体を形成させる工程と、を備える方法によって上記本発明の印刷抵抗体を形成させるために用いられるものである。
本発明の印刷インクによれば、印刷法により良好な印字性で印刷することが可能であり、微細化された印刷抵抗膜を容易に形成させることができる。
本発明の印刷インクは、25℃における粘度が100mPa・s以下であることが好ましい。これにより印字性が更に向上する。
印刷インクにおいて、溶剤が25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である低蒸気圧溶剤を含むことが好ましい。これにより印字性が更に向上する。
印刷インクにおいては、導電性粒子がその平均分散粒径が500nm以下となるように分散していることが好ましい。また、導電性粒子がその最大分散粒径が2μm以下となるように分散していることが好ましい。
本発明の配線板は、上記本発明の印刷抵抗体を有する抵抗体素子を備える。
本発明によれば、印刷法により形成される印刷抵抗体であって、印刷抵抗体上の任意の部分に接触する1対の電極を印刷法等により形成したときに、電極間において抵抗体として適した抵抗値が得られる印刷抵抗体が提供される。また、本発明の印刷抵抗体によれば、はんだを使用せずに又は少ない使用量で受動素子一体型基板等の配線板を容易に形成することが可能になり、環境負荷の低減も図られる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明による配線板の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った端面図である。図1、2に示す配線板1は、板状の基材3と、これの一方面上に設けられた抵抗体素子5と、を備えている。抵抗体素子5は、1対の電極を形成している電極12,12と、これら電極12,12を電気的に接続するように形成されている印刷抵抗体11と、を有している。
印刷抵抗体11は、インクジェット印刷法やオフセット印刷法等の印刷法によって形成される抵抗体膜である。印刷抵抗体11は、その主面において、表面の平均面粗さが2nm以上3000nm以下であり、表面の中心線平均粗さが1.5nmを超えている。印刷抵抗体11の厚さは特に制限はないが、典型的には200〜500000nmである。
印刷抵抗体11の表面の平均面粗さが2nm未満であると、印刷抵抗体11と電極12との間の導通を確保することが困難となる。また、平均面粗さが3000nmを超えると、印刷抵抗体に接触するように印刷法等により電極12を形成させる場合に断線などの問題が発生する。印刷抵抗体11は、平均面粗さが2nm以上100nm以下であることがより好ましい。
印刷抵抗体11の表面の中心線平均粗さが1.5nm以下である場合も、印刷抵抗体11と電極12との間の導通を確保することが困難となる。ここで、印刷抵抗体11の表面の中心線平均粗さが1.5nmを超えているとは、印刷抵抗体11の表面の面内方向における中心線平均粗さの最小値が1.5nmを超えていることを意味する。印刷抵抗体11の表面について複数(例えば10個)の異なる面内方向における中心線平均粗さを測定することにより、その表面の中心線平均粗さが1.5nmを超えていることを確認することができる。印刷抵抗体11の表面の中心線平均粗さは1.5nmを超えて100nm以下であることがより好ましい。
印刷抵抗体11の表面は、例えば、特定範囲の平均分散粒径及び最大分散粒径となるように導電性粒子が分散し、導電性粒子の含有量が特定範囲内にある後述の印刷インクを用いて印刷抵抗体を形成させることにより、上記のような平均面粗さ及び中心線平均粗さとすることができる。
印刷抵抗体11は、絶縁性の樹脂と、当該樹脂中に分散している導電性粒子とを含有する複合材料である。導電性粒子の体積固有抵抗率は1×10Ω・cm以下である。導電性粒子の体積固有抵抗率が1×10Ω・cmよりも大きいと、絶縁性の樹脂と複合化したときに抵抗を効率よく低下させることが難しい。
印刷抵抗体11は、導電性粒子を印刷抵抗体100体積部に対して10〜80体積部含有することが好ましく、10〜70体積部含有することがより好ましい。導電性粒子の割合が10体積部未満であると、印刷抵抗体11を所望の体積固有抵抗率とすることが困難となる傾向にある。また、この割合が80体積部より大きいと、樹脂不足により印刷抵抗体11の強度が低下するなどの問題が発生する。
導電性粒子は、金、銀、白金、銅及びそれらの合金、グラファイト並びにカーボンブラックから選ばれる1種以上の材料を含んでいることが好ましい。
導電性粒子の一次粒子径は100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。一次粒子径が小さいほど印刷抵抗体11を形成するための印刷インク中における導電性粒子の分散粒径が微小され、印刷インクがインクジェット吐出性に優れるものとなる。その結果、印刷抵抗体11の抵抗値の安定性が高められる。
印刷抵抗体11を構成する絶縁性の樹脂としては、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上の電気絶縁性を示し、上記導電性粒子のバインダ樹脂として機能する樹脂であれば、特に制限はない。この樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン変性ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、BTレジン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂等が好適に用いられる。これらは単独で又は二種類以上を組合わせて用いられる。
樹脂としては、絶縁信頼性、接続信頼性、耐熱性の観点から、熱硬化性樹脂の硬化物であることが好ましく、特に、エポキシ樹脂及びその硬化剤を含む熱硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、またはフェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール類とホルムアルデヒドやサリチルアルデヒドなどのアルデヒド類の縮合物のグリシジルエーテル化物、その他、二官能フェノール類のグリシジルエーテル化物、二官能アルコールのグリシジルエーテル化物、ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物、及びそれらの水素添加物、ハロゲン化物などがある。これらの中でも、耐熱性や接続信頼性の観点からフェノール類とアルデヒド類の縮合物のグリシジルエーテル化物が好ましい。これらのエポキシ樹脂の分子量はどのようなものでもよく、また何種類かを併用することができる。
エポキシ樹脂とともに用いられる硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミドなどのアミン類、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸などの酸無水物、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェイルイミダゾリウムトリメリテイト、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類、及びイミノ基がアクリロニトリル、フェニレンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルイソシアネート、メラミンアクリレートなどでマスクされたイミダゾール類、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ポリビニルフェノールなどのフェノール類、及びフェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール類とホルムアルデヒドやサリチルアルデヒドなどのアルデヒド類との縮合物及びこれらのハロゲン化物などがある。これらの中でも、耐熱性や接続信頼性の観点から、フェノール類とアルデヒド類の縮合物が好ましい。これらの化合物の分子量はどのようなものでも良く、また何種類かを併用することができる。
硬化剤のエポキシ樹脂に対する割合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して水酸基当量が0.5〜2.0当量となるような範囲内にあることが好ましい。硬化剤がジシアンジアミドである場合、その量はエポキシ樹脂100質量部に対して2〜5質量部の範囲が好ましい。
熱硬化性樹脂は硬化促進剤を含んでいてもよい。エポキシ樹脂と組合わせることのできる硬化促進剤としては、上記イミダゾール類、マスクされたイミダゾール類、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等がある。
硬化促進剤のエポキシ樹脂に対する割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.001〜15質量部の範囲が好ましく、0.01〜10質量部の範囲がより好ましい。効果促進剤の量が、0.001質量部未満であると硬化不足を生じ易く、15質量部を超えると、作製した複合材料液のポットライフの低下を引き起こす傾向にある。
印刷抵抗体11は、例えば、印刷インクを基材3上に印刷して当該印刷インクの膜を形成し、この膜から加熱により溶剤を除去する方法により、形成させることができる。樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、溶剤の除去とともに樹脂を硬化させる。印刷抵抗体11を形成させるための加熱の条件は、当業者には理解されるように、溶剤が十分に除去され、樹脂が熱硬化性樹脂である場合にはその硬化が十分に進行するように、樹脂や溶剤の種類等に応じて適宜調整された条件とすればよい。
印刷インクを印刷する方法としては、インクジェット印刷法又はオフセット印刷法が好ましく、このうちインクジェット印刷法が特に好ましい。本発明の液状組成物は、これら印刷法により印刷されたときに、印字性等の点で従来技術に対する有利な効果が特に顕著に奏される。
印刷インクは、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である熱可塑性樹脂又は硬化後に体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上となる熱硬化性樹脂と、体積固有抵抗率が1×10Ω・cm以下である導電性粒子とが、溶剤中に分散又は溶解している液状組成物である。
印刷インク中の溶剤は、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である低蒸気圧溶剤を含むことが好ましい。これにより、印刷インクの印字性が特に良好なものとなる。低蒸気圧溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノンがある。
印刷インク中の溶剤は、上記上記低蒸気圧溶剤と、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa以上である高蒸気圧溶剤とを混合したものであってもよい。ただし、高蒸気圧溶剤は揮発性が高くインクジェット印刷時のノズル詰まりの原因となり易いため、その割合を60%以下、好ましくは50%以下、更に好ましくは40%以下とすることが好ましい。溶剤の組成比の範囲をこのようにすることで、印刷時の印刷インクの減粘と印刷後の印刷インクの流動とを抑制することができる。
印刷インクにおける導電性粒子の分散粒径は、印字性や抵抗値の発現安定性に影響を与える。このため、印刷インクにおいて、導電性粒子の平均分散粒径は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。この平均分散粒径は小さいほど好ましいが、通常その下限は5nm程度である。また、導電性粒子の最大分散粒径は2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。この最大分散粒径は小さいほど好ましいが、通常その下限は20nm程度である。
平均分散粒径が500nmを超えていたり、最大分散粒径が2μmを超えていたりすると、例えばインクジェット印刷法で印刷インクを吐出したときにインクジェットヘッドノズルの目詰まり等が発生し、安定して印刷することが困難となる傾向なる。また、オフセット印刷法などに使用すると印刷物にかすれ等が発生し易くなる可能性がある。
ここで、平均分散粒径及び最大分散粒径は粒子のブラウン運動による動的光散乱法に基づいて、光子相関法により測定される。平均分散粒径及び最大分散粒径の測定は、例えば、ベックマンコールター社製「サブミクロン粒子アナライザーN5型」(商品名)を用いて行うことができる。
導電粒子と溶剤等との混合物の状態で、らいかい機、3本ロールミル、ビーズミル、サンドミル等の分散器を単独または組み合わせて混練することにより、導電性粒子の平均分散粒径及び最大分散粒径を低減させて上記特定範囲内のものとすることができる。あるいは、超音波発振器を備えた装置によって導電性粒子を分散させることもできる。分散後、印刷インク中に気泡が発生した場合は、減圧下への放置、減圧下での攪拌脱泡等によりその気泡を除去することが好ましい。
印刷インクに分散剤を加えてもよい。これにより、導電性粒子の最大分散粒径や平均分散粒径をより容易に低減することができ、さらに、導電性粒子の分散安定性を向上させることができる。分散剤としては、導電性粒子を所望の粒径に分散させることが可能なものであれば、特に制限なく用いられる。
また、最大分散粒径を2μm以下とするために、印刷インクを開口径2μm以下のフィルターでろ過してもよい。これにより、歩留まり向上が期待できる。
印刷インクは、以上の成分の他、必要に応じて従来公知のカップリング剤、イオン捕捉剤、粘度調整剤、無機絶縁粒子等を含有していてもよい。
配線板1において、導電体膜12は、銅等の導電体で形成されている膜である。導電体膜12は、印刷法等の方法により形成させることができる。
基材3としては、紙フェノール絶縁板、ガラス/ビスマレイミド絶縁板、ガラス/ポリイミド絶縁板等の絶縁基板や、フレキシブル配線板等に用いられるポリイミド、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルム、更にはガラス基材が好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例の印刷抵抗体の平均面粗さ及び中心線平均粗さは、セイコーインスツル株式会社製卓上小型プローブ顕微鏡「Nanopics2100」(商品名)を用いて測定した。抵抗値はケースレーインスツルメンツ株式会社製デジタルソース・メータ2400型を用いて測定した。また、印刷インク粘度及び導電性粒子の平均分散粒径は、それぞれエーアンドディー社製音叉型振動式粘度計及びベックマンコールター社製サブミクロン粒子アナライザーN5を用いて測定した。
(実施例1)
ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂「N−865」(商品名、大日本インキ化学工業株式会社)6.6g、ビスフェノールAノボラック樹脂「VH−4170」(商品名、大日本インキ化学工業株式会社)3.6g、2−エチルー4−メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社)0.01g及び一次粒子径17nmのカーボンブラック17.4gをγ―ブチロラクトン(25℃における蒸気圧2.3×10Pa)72.4gに加えた。その後ビーズミルで1時間混練して、粘度が30mPa・sであり、カーボンブラックの平均分散粒径が200nm、最大分散粒径が450nmである印刷インクを得た。
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート828」(商品名、ジャパンエポキシレジン株式会社)13.5g、ジシアンジアミド0.7g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.13g、一次粒子系22nmのカーボンブラック25.7及び分散剤を、γ―ブチロラクトン33.0g及びメチルイソブチルケトン27gの混合溶媒に加えた。その後ビーズミルで1時間混練し、粘度が8mPa・sであり、カーボンブラックの平均分散粒径150nm、最大分散粒径500nmである印刷インクを得た。
(比較例1)
「N−865」10.6g、「VH−4170」5.8g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.11g及び一次粒子径17nmのカーボンブラック11.2gをγ―ブチロラクトン72.4gに溶解又は分散して、粘度が20mPa・sであり、カーボンブラックの平均分散粒子径が150nm、最大分散粒径が300nmである印刷インクを得た。
(比較例2)
「N−865」8.1g、「VH−4170」4.4g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08g及び一次粒子径17nmのカーボンブラック15.1gをγーブチロラクトン72.4gに溶解又は分散した。その後ビーズミルで1時間攪拌して、粘度が25mPa・sであり、平均分散粒子径が200nm、最大粒径が480nmである印刷インクを得た。
(比較例3)
「N−865」6.6g、「VH−4170」3.6g、2−エチルー4−メチルイミダゾール0.01g及び一次粒子径17nmのカーボンブラック17.4gをメチルエチルケトン(25℃における蒸気圧1.2×104Pa)72.4gに加えた。その後ビーズミルで1時間混練し、粘度が10mPa・sであり、カーボンブラックの平均分散粒径が200nm、最大分散粒径が450nmである印刷インクを得た。
(比較例4)
「N−865」6.6g、「VH−4170」3.6g、2−エチルー4−メチルイミダゾール0.01g及び一次粒子径90nmのカーボンブラック17.4gをγ―ブチロラクトン72.4gに加えた。その後ビーズミルで1時間混練し、粘度が30mPa・sであり、カーボンブラックの平均分散粒径が650nm、最大分散粒径が3000nmである印刷インクを得た。
(印刷抵抗体及び電極の作製)
上記実施例又は比較例で調製した印刷インクを使用して、主面が幅20mm、奥行き10mmで、厚みが0.05mmになるように、インクジェット装置を用いてガラス板上に印刷抵抗体を形成させた。そして、印刷抵抗体の表面に2本のAg電極(上部電極)を印刷法により形成させた。また、印刷抵抗体の裏面側の抵抗値を測定するために、予め2本のAg電極(下部電極)を形成させたガラス板上に上記と同様に印刷抵抗体を形成させた。いずれの電極も電極間距離が10mmとなるようにした。
(表面粗さ測定)
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた印刷抵抗体のガラス板と反対側の主面の表面粗さを測定した。実施例1〜2の印刷抵抗体の表面は、平均面粗さが2nm以上3000nm以下であり、中心線平均粗さは何れの面内方向においても1.5nmを超えていた。比較例1の印刷抵抗体は平均面粗さが2nm未満であり、その表面に中心線平均粗さが1.2nmとなる面内方向が存在していた。比較例2の印刷抵抗体は平均面粗さが2nm以上3000nm以下であり、その表面に中心線平均粗さが1.1nmとなる面内方向が存在していた。比較例3、4の場合、印刷インクの印刷時にインクジェットヘッドに目詰まりを生じたため、印刷抵抗体を作製できなかった。結果を表1に示す。
(抵抗値測定)
実施例1〜2及び比較例1〜2の印刷抵抗体の抵抗値を測定した。測定は印刷抵抗体の表面(上部電極、ガラス板と反対側)及び裏面(下部電極、ガラス板側)のそれぞれについて行った。実施例1〜2の印刷抵抗体の抵抗値は表面及び裏面のいずれにおいても300Ωであったのに対して、比較例1〜2の印刷抵抗体は裏面の抵抗が300Ωであったものの、表面では測定不能であり、抵抗体として正常に機能しないものであった。
Figure 0004844112
本発明によれば、インクジェット印刷法やオフセット印刷法などの印刷法により抵抗体を形成することができ、任意の位置に電極を形成させた場合に正常に機能する抵抗体素子を形成可能な印刷抵抗体を得ることができる。
本発明による配線板の一実施形態を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿った端面図である。
符号の説明
1…配線板、3…基材、5…抵抗体素子、11…印刷抵抗体、12…電極。

Claims (11)

  1. 体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である樹脂と、
    体積固有抵抗率が1×10Ω・cm以下である導電性粒子と、
    を含有し、
    表面の平均面粗さが2nm以上3000nm以下であり、
    表面の中心線平均粗さが1.5nmを超えて100nm以下である、印刷抵抗体であって、
    当該印刷抵抗体の任意の部分に接触する電極を印刷法により形成するための、印刷抵抗体。
  2. 前記導電性粒子を印刷抵抗体100体積部に対して10〜80体積部含有する、請求項1記載の印刷抵抗体。
  3. 前記導電性粒子が金、銀、白金、銅、グラファイト、導電性カーボン及びカーボンブラックからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2記載の印刷抵抗体。
  4. 前記樹脂が熱硬化性樹脂の硬化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷抵抗体。
  5. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂及びその硬化剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷抵抗体。
  6. 前記エポキシ樹脂がフェノール類とアルデヒド類との縮合物のグリシジルエーテル化物である、請求項5記載の印刷抵抗体。
  7. 前記硬化剤がフェノール類とアルデヒド類との縮合物である、請求項5又は6記載の印刷抵抗体。
  8. インクジェット印刷法により印刷インクの膜を形成する工程と、
    当該膜を加熱して印刷抵抗体を形成させる工程と、
    を備える方法により形成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷抵抗体。
  9. 体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である熱可塑性樹脂又は硬化後に体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上となる熱硬化性樹脂と、
    体積固有抵抗率が1×10Ω・cm以下である導電性粒子と、
    溶剤と、
    を含有し、
    インクジェット印刷法により印刷インクの膜を形成する工程と、
    当該膜を加熱して印刷抵抗体を形成させる工程と、
    を備える方法によって請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷抵抗体を形成させるために用いられる、印刷インク。
  10. 25℃における粘度が100mPa・s以下である、請求項9記載の印刷インク。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷抵抗体を有する抵抗体素子を備える配線板。
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