JP2011249335A - 金属配線 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の、真空装置を用いた形成方法に比べて簡便かつ安価に形成され、しかもインクジェット印刷方法によって形成されるもの比べて、断線等を生じることなしに、より細線化された金属配線を提供する。
【解決手段】Ag粒子、またはAgを50原子%以上含む合金粒子を含む分散液を塗布して塗膜を形成し、乾燥後にパターン形成したのち焼成して形成され、その縁部2における、基材の表面方向の、想定される外形線4からの凹入量の最大値と突出量の最大値との和が50nm以下、前記縁部2における、基材3の表面方向の、想定される外形線4と直交し、かつ金属配線1の厚み方向の断面のうち、前記厚み方向の外形線の、前記基材3の表面と接する部分の、前記基材3の表面との交差角度が70°以下で、かつ抵抗率が14μΩ・cm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面に形成される、金属薄膜からなり、所定の平面形状を有する金属配線に関するものである。
基材の表面に、金属薄膜からなり、所定の平面形状を有する金属配線を形成するために、従来は、前記表面に、スパッタリング法、真空蒸着法等の、真空装置を用いた気相めっきによって金属薄膜を形成した後、前記金属薄膜を、フォトリソグラフ法を利用したエッチングによって、所定の平面形状にパターン形成することが行われてきた。
前記形成方法では、金属配線の縁部を、前記フォトリソグラフ法によるマスクによって規定される、基材の表面方向の、想定される縁部の外形線に対応した、前記表面方向に不規則な凹凸のない、滑らかな線状に形成することができる。そのため、例えば、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイの分野において、配線として用いられる、線幅が数μmレベルといった微細な、一定幅の、直線状の金属配線の、両側の縁部を、いずれも、基材の表面方向に凹凸のないきれいな直線状として、前記金属配線を、縁部の凹凸による断線等を生じることなしに形成できるという利点がある。
しかし、真空装置を用いた、気相めっきによる金属薄膜の形成は、バッチ式で、1回の処理に長時間を要することから、生産性が著しく低い上、真空装置のイニシャルコスト、およびランニングコストが高くつくことから、金属配線を、生産性よく、コスト安価に製造できないという問題があった。
特に、近時、前記ディスプレイの分野においては、近年の、大画面化の要求に対応するために、基材サイズが、およそ2m角程度まで大型化しつつあることから、前記大型の基材の表面の全面に、膜厚の均一な金属薄膜を形成するためには、これまでに比べて、さらに大掛かりな真空装置が必要となり、前記真空装置のイニシャルコストやランニングコストが、これまでよりも大幅に増加する傾向にあった。
そこで、前記問題を解決するために、平均粒径が100nm以下といった微細な金属粒子を含むインクを用いて、インクジェット印刷方法によって、基材の表面に、所定の平面形状となるように、インクの膜をパターン形成して乾燥させた後、焼成して金属配線を形成することが提案された(例えば特許文献1参照)。
特開2003−317611号公報(請求項1、4、段落[0006]〜[0008]、段落[0030]〜[0032]、段落[0039]〜[0040]、段落[0062]〜[0065])
インクジェット印刷方法は、その実施のために使用されるインクジェット印刷装置のイニシャルコストおよびランニングコストを、真空装置に比べて大幅に低減できること、基材表面の、金属配線を形成する領域にのみ、選択的に、インクを供給して、金属配線の前駆体となるインクの膜を、所定の平面形状にパターン形成できること、形成するパターンを、インクジェット印刷装置に入力するデーターの変更のみによって、簡単に変更できること等の利点を有していることから、金属配線を、従来法に比べて、簡便かつ安価に形成できる形成方法として、注目を集めている。しかし、インクジェット印刷方法では、パターンの細線化が課題となっている。
すなわち、インクジェット印刷方法によって形成されるインクの膜の、基材の表面方向のパターンは、インクジェット印刷装置のノズルから吐出されるインク滴が、基材の表面に衝突して形成される、略円形のドットの集合体からなり、前記膜の縁部は、微視的に見ると、ドットの粒径に応じた凹凸になっていて、滑らかな線状とはならないため、前記インク膜のパターンを、前記凹凸によって断線を生じることなしに細線化するためには、ドットの粒径を、できるだけ小さくすることが求められる。そして、ドットの粒径は、インクジェット印刷装置のノズルから吐出されるインク滴の大きさに依存し、インク滴の大きさは、ノズルのサイズに依存しているため、ドットを微細化するためには、ノズルのサイズを、できる限り小さくする必要がある。
ところが、金属粒子を含むインクの、ノズルでの目詰まりを防止しながら、パターン形成に必要な量のインクを、前記ノズルから、所定の速度で吐出させることを考慮すると、ノズルのサイズを小さくできる範囲には限界があり、インクジェット印刷方法によって、縁部の凹凸による断線を生じることなしに、形成することが可能なパターンの最小幅にも限界がある。その限界は、約20μm程度であって、それ以上の細線化は難しいのが現状である。
本発明の目的は、従来の、真空装置を用いた形成方法に比べて簡便かつ安価に形成され、しかも、インクジェット印刷方法によって形成されるもの比べて、断線等を生じることなしに、より細線化された金属配線を提供することにある。
請求項1記載の発明は、金属粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥後、所定の平面形状にパターン形成したのち焼成して形成された金属配線であって、
前記金属粒子はAg粒子、またはAgを50原子%以上の割合で含む合金からなる合金粒子であり、
前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線からの、前記表面方向の凹入量の最大値と、突出量の最大値との和は50nm以下、
前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線と直交する方向で、かつ金属配線の厚み方向の断面のうち、前記縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、前記基材の表面と接する部分の、前記基材の表面との交差角度は70°以下で、かつ
金属配線の抵抗率は14μΩ・cm以下
であることを特徴とする金属配線である。
請求項1記載の発明においては、従来の、気相めっきによる金属薄膜に代えて、金属粒子を含む分散液を、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法等の塗布方法によって、基材の表面に塗布して乾燥させた塗膜を用いて金属配線を形成しており、前記塗布方法によれば、その実施のために使用する塗布装置のイニシャルコストおよびランニングコストを、気相めっきに使用する真空装置に比べて、大幅に低減することができる。したがって、請求項1記載の発明の形成方法によれば、真空装置を用いた形成方法に比べて簡便かつ安価に、金属配線を形成することが可能となる。
また請求項1記載の発明では、前記金属粒子として、導電性に優れたAgからなるAg粒子、または、Agを50原子%以上の割合で含む合金からなる合金粒子を用いているため、金属配線に、先に説明したディスプレイの配線等として使用するための良好な導電性を付与することができる。具体的には、金属配線の抵抗率を14μΩ・cm以下とすることができる。
また請求項1記載の発明によれば、前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線からの、前記表面方向の凹入量の最大値と、突出量の最大値との和(以下「凹凸総和量」と記載することがある)が50nm以下という、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されているため、金属配線を、断線等を生じることなしに、より細線化することが可能となる。なお、本発明では、前記凹凸総和量を、下記の方法で測定した値でもって、規定することとする。
すなわち、図1に示すように、形成した金属配線1の縁部2の、任意の直線部分の、基材3の表面方向の平面形状を、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1万倍で観察し、前記直線部分の、長さ12μmの範囲内で、前記表面方向の、想定される外形線4(図中に二点差線の直線で示す)から、表面方向の内方に凹入した全ての個所の、前記外形線4から直交方向への凹入量を測定して、その最大値Dinを求めると共に、前記外形線4から、表面方向の外方に凸出した全ての個所の、前記外形線4から直交方向への凸出量を測定して、その最大値Doutを求める。そして、前記凹入量の最大値Dinと、凸出量の最大値Doutとを加算して、前記凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求める。
また請求項1記載の発明によれば、前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線と直交する方向で、かつ金属配線の厚み方向の断面のうち、前記縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、前記基材の表面と接する部分の、前記基材の表面との交差角度が70°以下に設定されていることから、前記縁部の表面と、基材の表面とが、交差角度の補角である、120°以上の角度で、滑らかに連続することになる。
そのため、例えば、先に説明したディスプレイの分野において、直線状に形成した金属配線上に、絶縁層を介して、前記金属配線と交差する直線状の配線を積層する際に、前記配線が、交差部分で断線したりするのを防止することが可能となる。なお、本発明では、交差角度を、下記の方法で測定した値でもって、規定することとする。
すなわち、形成した金属配線1を、基材3ごと、前記金属配線1の縁部の任意の個所において、図1で説明した、基材3の表面方向の、想定される外形線4と直交する方向で、かつ金属配線1の厚み方向に、断面試料作成装置〔日本電子(株)製のクロスセクションポリッシャ(登録商標)等〕等を用いて切断して、図2に示す断面を露出させる。次いで、前記断面を、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1万倍で観察して、金属配線1の断面のうち、縁部2の、金属配線1の厚み方向の外形線5の、基材3の表面6との、接点7における交差角度θを測定する。
詳しくは、接点7における、外形線5の曲率半径の中心と、前記接点7とを結ぶ直線(図示せず)に対して直交し、かつ、接点7を通る接線8(図2中に二点差線の直線で示す)を求め、前記接線8と、基材3の表面6との、接点7における交差角度θを測定する。また、外形線5によって規定される、金属配線1の、縁部の表面と、基材3の表面6とのなす角度θは、前記交差角度θの補角として、θ=180°−θによって求めることができる。
本発明によれば、従来の、真空装置を用いた形成方法に比べて簡便かつ安価に形成され、しかも、インクジェット印刷方法によって形成されるもの比べて、断線等を生じることなしに、より細線化された金属配線を提供することができる。
図1は、本発明の金属配線の縁部の、平面形状を評価するための指標である凹凸総和量Dtotalを求める方法を示す平面図である。 図2は、本発明の金属配線の縁部の、断面形状を評価するための指標である交差角度θを求める方法を示す断面図である。 図3は、実施例2で形成した金属配線の縁部を、斜め上方から見た状態を示す、走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、比較例2で形成した金属配線の縁部を、斜め上方から見た状態を示す、走査型電子顕微鏡写真である。
本発明は、金属粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥後、所定の平面形状にパターン形成したのち焼成して形成された金属配線であって、
前記金属粒子はAg粒子、またはAgを50原子%以上の割合で含む合金からなる合金粒子であり、
前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線からの、前記表面方向の凹入量の最大値と、突出量の最大値との和は50nm以下、
前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線と直交する方向で、かつ金属配線の厚み方向の断面のうち、前記縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、前記基材の表面と接する部分の、前記基材の表面との交差角度は70°以下で、かつ
金属配線の抵抗率は14μΩ・cm以下
であることを特徴とする。
形成する金属配線を、ディスプレイの配線等として使用するためには、前記金属配線が、良好な導電性を有していることが好ましく、そのため本発明では、金属粒子として、導電性に優れたAgからなるAg粒子、または、Agを50原子%以上の割合で含む合金からなる合金粒子を用いる。
Agと共に、合金粒子を構成する他の金属としては、塗膜の焼成時の熱によって、合金粒子が、過剰に成長して、金属配線を形成する金属の結晶粒径が大きくなりすぎたり、金属配線にボイドが発生したりするのを抑制する効果や、金属配線が酸化されにくくする効果、あるいはAgが、いわゆるマイグレーションを生じるのを抑制する効果を有する、Au、Pt、Pd、Ru、Ir、Sn、Cu、Ni、Fe、Co、Ti、およびInからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属が好ましい。
Agと、前記金属との合金粒子における、Agの含有割合が50原子%以上であるのが好ましいのは、Agの含有割合が前記範囲未満では、前記Agによる、金属配線に、良好な導電性を付与する効果が得られないおそれがあるためである。また、合金粒子を構成する他の金属の種類にもよるが、乾燥後の塗膜がエッチングにしくい状態となって、例えば、塗膜をエッチングしてパターン形成する際に、エッチングで除去し切れなかった塗膜の残渣が、隣り合う金属配線間を短絡させるといった問題を生じるおそれもある。なお、Agと、他の金属とを併用することによる、先に説明した各種の効果を、より一層、バランスよく、有効に発現させることを考慮すると、合金粒子における、Agの含有割合は、前記範囲内でも90〜99.9原子%、特に98〜99.9原子%であるのが好ましい。
金属粒子は、含浸法と呼ばれる高温処理法や、液相還元法、気相法などの、従来公知の種々の方法によって製造することができる。このうち、液相還元法によって金属粒子を製造するためには、例えば、水に、金属粒子を形成する金属のイオンのもとになる水溶性の金属化合物と、分散剤とを溶解すると共に、還元剤を加えて、好ましくは、かく拌下、一定時間、金属のイオンを還元反応させればよい。
また、液相還元法によって合金粒子を製造するためには、前記合金粒子を形成する、少なくとも2種の金属のイオンのもとになる、2種以上の水溶性の金属化合物を併用すればよい。液相還元法によって製造される金属粒子は、形状が球状ないし粒状で揃っていると共に、粒度分布がシャープで、しかも、平均粒径Φが小さいという特徴を有している。
金属のイオンのもとになる、水溶性の金属化合物としては、例えば、Agの場合は、硝酸銀(I)〔AgNO〕、メタンスルホン酸銀〔CHSOAg〕等が挙げられ、Auの場合は、テトラクロロ金(III)酸四水和物〔HAuCl・4HO〕等が挙げられる。Ptの場合は、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO(NH)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(H[PtCl]・6HO)等が挙げられ、Pdの場合は、硝酸パラジウム(II)硝酸溶液〔Pd(NO)/HO〕、塩化パラジウム(II)溶液〔PdCl〕等が挙げられる。
Ruの場合は、硝酸ルテニウム(III)溶液〔Ru(NO)〕等が挙げられ、Irの場合は、塩化イリジウム(III)〔IrCl〕等が挙げられる。Snの場合は、塩化スズ(IV)五水和物〔SnCl・5HO〕等が挙げられ、Cuの場合は、硝酸銅(II)〔Cu(NO)〕、硫酸銅(II)五水和物〔CuSO・5HO〕等が挙げられ、Niの場合は、塩化ニッケル(II)六水和物〔NiCl・6HO〕、硝酸ニッケル(II)六水和物〔Ni(NO)・6HO〕等が挙げられる。
Feの場合は、硝酸鉄(III)六水和物、九水和物(Fe(NO・6HO、9HO)、塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)、硫酸鉄(II)七水和物(FeSO・7HO)、アセチルアセトン鉄(III)(Fe〔CH(COCH)等が挙げられる。Coの場合は、塩化コバルト(II)六水和物〔CoCl・6HO〕、硝酸コバルト(II)六水和物〔Co(NO・6HO〕等が挙げられ、Tiの場合は、塩化チタン(III)〔TiCl〕等が挙げられる。Inの場合は、塩化インジウム(III)四水和物〔InCl・4HO〕、硝酸インジウム(III)三水和物〔In(NO・3HO〕等が挙げられる。
還元剤としては、液相の反応系中で、金属のイオンを還元することで、金属粒子として析出させることができる種々の還元剤が、いずれも使用可能である。前記還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、遷移金属のイオン(三価のチタンイオン、二価のコバルトイオン等)が挙げられる。ただし、析出させる金属粒子の平均粒径Φをできるだけ小さくするためには、金属のイオンの還元、析出速度を遅くするのが有効であり、還元、析出速度を遅くするためには、できるだけ還元力の弱い還元剤を、選択して使用することが好ましい。
還元力の弱い還元剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールや、あるいはアスコルビン酸等が挙げられる他、エチレングリコール、グルタチオン、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等)、還元性糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオース等)、および糖アルコール類(ソルビトール等)等が挙げられ、中でも、還元性糖類や、その誘導体としての糖アルコール類が好ましい。
分散剤としては、分子量が2000〜30000の、室温において固体で、しかも、水に対して良好な溶解性を有すると共に、析出した金属粒子を、水中に良好に分散させることができる、種々の分散剤が、好適に使用される。前記分散剤は、反応系中で、析出した金属粒子の周囲を囲むように存在して、金属粒子の凝集を防止し、分散を維持する働きをする。
また、金属粒子を析出させた液相の反応系は、前記反応系から金属粒子を分離せずに、不純物のみを除去した状態で、金属粒子を含み、塗膜のもとになる分散液を調製するための出発原料として使用することができる。その際に、前記分散剤は、不純物の除去工程では殆ど除去されずに残存して、分散液中で、先に説明したように、金属粒子の凝集を防止し、分散を維持する働きをし続ける。
なお、分散剤の分子量が2000未満では、前記分散剤による、金属粒子の凝集を防止して、分散を維持する効果が十分に得られないおそれがある。そのため、金属粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布した後、先に説明した各工程を経て形成される金属配線を、膜質が平滑かつ緻密で、ボイド等を有しないものとすることができない場合を生じる。
また、分子量が30000を超える分散剤は、嵩が大きすぎるため、金属配線を形成する際の焼成工程において、金属粒子同士の焼結を阻害してボイドを生じさせたり、膜質の緻密さを低下させたりするおそれがあると共に、分散剤の分解残渣が、金属配線中に不純物として残存して、金属配線の導電性を低下させたりるおそれがある。
これに対し、分子量2000〜30000の分散剤は、金属粒子を、分散液中に、良好に分散させる機能に優れるだけでなく、嵩が大きすぎないため、焼成後の金属配線にボイドを生じさせたり、膜質の緻密さを低下させたりすることがない上、前記金属配線中に、その導電性を低下させる原因となる分解残渣を残存させることもない。
なお、分散剤は、金属配線を、先に説明したディスプレイ等の、エレクトロニクスの分野に用いる際に、その近傍に配置される電子部品等が劣化するのを防止することを考慮すると、硫黄、リン、ホウ素およびハロゲン原子を含まないことが好ましい。
これらの条件を満足する、好適な分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤や、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の、分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、あるいは、1分子中に、ポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の、極性基を有する高分子分散剤のうち、分子量が2000〜30000の範囲内であるものが挙げられる。分散剤は、水、または水溶性有機溶媒に溶解した溶液の状態で、反応系に添加することもできる。
金属粒子の平均粒径Φを調整するには、金属化合物、分散剤、還元剤の種類と配合割合とを調整すると共に、金属化合物を還元反応させる際に、かく拌速度、温度、時間、pH等を調整すればよい。例えば、反応系のpHは、できるだけ平均粒径Φの小さい金属粒子を形成することを考慮すると、7〜13であるのが好ましい。
反応系のpHを、前記範囲に調整するためには、pH調整剤が使用される。pH調整剤としては、形成される金属配線や、前記金属配線を、エレクトロニクス分野に用いる際に、その近傍に配置される電子部品等が劣化するのを防止することを考慮すると、アルカリ金属やアルカリ土類金属、塩素等のハロゲン元素、硫黄、リン、ホウ素等の不純物元素を含まない、硝酸やアンモニアが好ましい。
液相の反応系中に析出させた金属粒子は、ロ別、洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て、一旦、粉末状とした後、水と分散剤と、さらに必要に応じて、水溶性の有機溶媒とを所定の割合で配合して、金属粒子を含む、塗膜のもとになる分散液を調製してもよいが、先に説明したように、金属粒子を析出させた液相の反応系を出発原料として用いて、前記分散液を調製するのが好ましい。
すなわち、金属粒子を析出させた後の、前記金属粒子と、反応に使用した水とを含む液相の反応系から、限外ろ過、遠心分離、水洗、電気透析等の処理を行って、不純物を除去すると共に、必要に応じて、濃縮して水を除去するか、逆に水を加えることで、金属粒子の濃度を調整した後、さらに必要に応じて、水溶性の有機溶媒を、所定の割合で配合することによって、金属粒子を含む分散液が調製される。この方法では、金属粒子の凝集による、粗大で不定形な粒子の発生を防止して、より一層、緻密で、かつ均一な金属配線を形成することができる。
分散液における、水の含有割合は、金属粒子100重量部あたり、20〜400重量部であるのが好ましい。水の含有割合が、前記範囲未満では、水による、分散剤を十分に膨潤させて、分散剤で囲まれた金属粒子を、分散液中に、凝集を生じさせることなく、良好に分散させる効果が十分に得られないおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、分散液における、金属粒子の含有割合が少なくなって、基材の表面に、十分な厚みと密度とを有する塗膜、および金属配線を形成できないおそれがある。
水溶性の有機溶媒としては、水溶性である種々の有機溶媒が使用可能である。その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやそのエステル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。
水溶性の有機溶媒の含有割合は、金属粒子100重量部あたり、30〜900重量部であるのが好ましい。水溶性の有機溶媒の含有割合が、前記範囲未満では、前記有機溶媒を含有させたことによる、分散液の粘度や蒸気圧を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、過剰の有機溶媒によって、水による、分散剤を十分に膨潤させて、分散剤で囲まれた金属粒子を、分散液中に、凝集を生じさせることなく、良好に分散させる効果が阻害されるおそれがある。
分散剤の含有割合は、金属粒子100重量部あたり、3〜60重量部であるのが好ましい。分散剤の含有割合が、前記範囲未満では、前記分散剤を含有させたことによる、水を含む分散液中で、金属粒子の周囲を囲むように存在して、その凝集を防止する効果が十分に得られないおそれがある。また、前記範囲を超える場合には、焼成時に、過剰の分散剤が、金属粒子の焼結を阻害してボイドを生じさせたり、膜質の緻密さを低下させたりするおそれがあると共に、高分子分散剤の分解残渣が、金属配線中に不純物として残存して、金属配線の導電性を低下させたりるおそれがある。
分散液を、基材の表面に塗布して塗膜を形成するための塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、またはディップコート法が挙げられる。前記方法によれば、分散液を、基材の表面に、均一に塗布することができるため、その後の各工程を経て形成される金属配線の厚みを、より一層、均一化することができる。
基材の表面に形成した塗膜を乾燥させた後、乾燥後の塗膜をパターン形成するためのエッチング方法としては、金属配線の微細なパターンを、精度よく、しかも再現性よく形成することができる、フォトリソグラフ法を利用したエッチングが好適に採用される。
詳しくは、乾燥後の塗膜上に、感光性を有するレジスト層を積層し、前記レジスト層を露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した後、前記レジストマスクで覆われずに露出した塗膜を、選択的に、エッチングして除去することで、前記塗膜が、所定の平面形状にパターン形成される。レジストマスクで覆われずに露出した塗膜を、エッチング除去する方法としては、エッチング液を用いる液相法と、エッチングガスやイオンビームを用いる気相法とがあるが、本発明では、このいずれを採用してもよい。
パターン形成した塗膜を焼成して金属配線を形成するためには、前記塗膜中に含まれる、分散剤等の有機物を熱分解させると共に、金属粒子を焼結させることができる温度に加熱すればよい。焼成は、有機物を熱分解させるために、大気中で行ってもよいし、金属粒子の酸化を防止するために、大気中で焼成後に、還元性雰囲気中で、さらに焼成してもよい。焼成の温度は、前記焼成によって形成される金属配線を構成する金属の結晶粒径が大きくなりすぎたり、金属配線にボイドが発生したりするのを抑制するため、本発明では250〜550℃に限定される。前記範囲内でも250℃以上、350℃以下であるのが好ましい。
前記工程を経て形成される本発明の金属配線は、その縁部が、先に説明した凹凸総和量Dtotal≦50nmという、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成される。そのため、本発明によれば、例えば、ディスプレイの分野において、配線として用いられる、線幅が数 μmレベルといった微細な、一定幅の、直線状の金属配線を、断線等を生じることなしに、より細線化することが可能となる。
なお、凹凸総和量Dtotalは、金属配線の縁部を、さらに滑らかな線状に形成することを考慮すると、小さければ小さいほど好ましい。そして、凹凸総和量Dtotalを小さくするためには、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、できるだけ小さくするのが好ましい。しかし、平均結晶粒径Φを小さくするには、先に説明したように、分散液に含有させる金属粒子の平均粒径Φを小さくしたり、塗膜の乾燥条件を厳密に管理したりする必要があり、金属配線の生産性を低下させるおそれがある。そのため、金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotalは、前記範囲内でも、特に10〜40nmであるのが好ましい。
また、本発明の金属配線は、その縁部の、基材の表面との交差角度θ≦70°であって、前記縁部の表面と、基材の表面とが、120°以上の角度で、滑らかに連続する。そのため、本発明によれば、例えば、先に説明したディスプレイの分野において、直線状に形成した金属配線上に、絶縁層を介して、前記金属配線と交差する直線状の配線を積層する際に、前記配線が、交差部分で断線したりするのを防止することが可能となる。
しかし、交差角度θが小さすぎる場合には、例えば、一定幅の、直線状の金属配線において、縁部の、傾斜した表面の、幅方向に占める割合が増加して、前記金属配線の、全体としての膜厚が小さくなって、導電性が低下するおそれがある。そのため、金属配線の膜厚を十分に確保することと、先に説明した、縁部の表面と基材の表面とを、120°以上の角度で、滑らかに連続させることとを併せ、考慮すると、交差角度θ1は、前記範囲内でも、特に40〜60°であるのが好ましい。
さらに本発明の金属配線は、抵抗率が14μΩ・cm以下であって、導電性に優れている。
前記本発明の金属配線を、前記工程を経て形成するためには、例えば平均粒径ΦがΦ≦100nm以下、である金属粒子を含む分散液を基材の表面に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径ΦがΦ≦500の範囲を維持する条件で乾燥し、さらにエッチングによってパターン形成した塗膜を、250℃以上、550℃以下の温度で焼成するのが好ましい。
乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φが500nm以下であるのが好ましいのは、前記範囲を超える場合には、前記塗膜を、エッチングによってパターン形成した際に、パターンの縁部の、基材の表面方向の不規則な凹凸が大きくなって、その後の焼成によって形成される金属配線の縁部における、先に説明した凹凸総和量Dtotalが50nmを超えてしまい、前記縁部を、滑らかな線状に形成できないおそれがあるためである。
また、金属粒子の粒径が、金属配線の厚みに近づくため、前記金属配線の縁部の、厚み方向の形状が、個々の金属粒子の形状による影響を受けて、先に説明した交差角度θが70°を超えてしまい、前記縁部の表面と、基材の表面とを、120°以上の角度で、滑らかに連続させることができないおそれがあるためである。さらに、金属配線の、表面の平滑性が低下したり、金属配線が、内部にボイド等を有する粗な構造となったり、導電性が低下したり、膜厚が不均一になったり、基材への密着性が低下したりするおそれがあるためである。
これに対し、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φが500nm以下の範囲に維持されていれば、前記塗膜の、エッチングによってパターン形成される縁部の、基材の表面方向の凹凸を小さくして、その後の焼成によって形成される金属配線の縁部における、前記表面方向の凹凸総和量Dtotalを50nm以下として、前記縁部を、滑らかな線状に形成することができる。また、前記金属配線の縁部の、厚み方向の形状が、個々の金属粒子の形状による影響を受にくくなるため、前記交差角度θを70°以下として、前記縁部の表面と、基材の表面とを、120°以上の角度で、滑らかに連続させることもできる。
さらに、前記金属配線の、表面の平滑性を向上したり、金属配線を、内部にボイド等を有しない緻密な構造としたり、導電性を向上したり、膜厚を均一にしたり、基材への密着性を向上したりすることもできる。なお、これらの効果を、より一層、良好に発現させることを考慮すると、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φは、前記範囲内でも200nm以下、特に100nm以下であるのが好ましい。
また、分散液に含有させる金属粒子の平均粒径Φが100nm以下であるのが好ましいのは、前記範囲を超える場合には、たとえ、塗膜の乾燥条件をどのように設定しても、塗膜の乾燥時に、多数の金属粒子が融合することで、前記金属粒子が成長して、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φ≦500nmの範囲を維持できずに、前記範囲より大粒径化するおそれがあるためである。なお、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、前記範囲内でも、できるだけ小さくすることを考慮すると、分散液に含有させる金属粒子の平均粒径Φは、先に説明した100nm以下の範囲内でも、できるだけ小さくするのが好ましい。その下限については、特に限定されないが、実用上は1nm以上とするのが好ましい。
分散液に含有させる金属粒子の平均粒径Φは、本発明では、レーザードップラー法を応用した粒度分布測定装置を用いて測定される、前記金属粒子の一次粒子径の、粒度分布のピーク値でもって規定することとする。また、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φは、本発明では、走査型電子顕微鏡写真(倍率2万倍)に撮影された、実際の寸法が5×6.3μmの範囲内の結晶粒を画像処理して求めた平均結晶粒径でもって規定することとする。
先に説明したように、平均粒径ΦがΦ≦100nmである金属粒子を含む分散液を塗布して形成した塗膜を乾燥させて、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを500nm以下の範囲内に維持するためには、先に説明したように、塗膜を、できるだけ低温で乾燥させて、多数の金属粒子の融合による、前記金属粒子の成長を抑制することが肝要である。そのために、例えば、室温(5〜35℃)で、塗膜を自然乾燥、あるいは通風乾燥させることもできる。
但し、乾燥温度が低いほど、塗膜の乾燥に要する時間が長くなって、金属配線の生産性が低下するという問題を生じるため、金属配線の生産性と、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを500nm以下に維持することとを併せ考慮すると、塗膜は、50〜200℃に加熱して乾燥させるのが好ましい。すなわち、加熱の温度が前記範囲未満では、室温での乾燥と同様に、塗膜の乾燥に要する時間が長くなって、金属配線の生産性が低下するおそれがあり、前記範囲を超える場合には、多数の金属粒子の融合による、前記金属粒子の成長が促進されるため、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径ΦがΦ≦500nmの範囲を維持できずに、前記範囲より大粒径化するおそれがある。
これに対し、加熱の温度が前記範囲内であれば、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φ≦500nmの範囲を維持しながら、より短時間で、塗膜を乾燥させることができ、金属配線の生産性を向上することができる。なお、これらの効果を、より一層、良好に発現させることを考慮すると、加熱の温度は、前記範囲内でも180℃以下、特に150℃以下であるのが好ましい。
加熱による乾燥の時間は、加熱の温度によって異なるが、先に説明した50〜200℃の加熱では、10〜90分であるのが好ましい。乾燥の時間が前記範囲未満では、塗膜を、十分に乾燥させることができないおそれがあり、前記範囲を超える場合には、乾燥後の塗膜における平均結晶粒径ΦがΦ≦500nmの範囲を維持できずに、前記範囲より大粒径化するおそれがある。
〈実施例1〉
(Ag粒子の合成)
金属化合物としての硝酸銀(I)を純水に溶解させ、アンモニア水を加えて液のpHを11に調整し、次いで、高分子分散剤としてのポリアクリル酸(分子量5000)を加えて完全に溶解させた後、還元剤としてのアスコルビン酸を純水に溶解した溶液を添加して、液相の反応系を調製した。反応系における、各成分の濃度は、硝酸銀(I):25g/リットル、ポリアクリル酸:5g/リットル、アスコルビン酸:26g/リットルとした。
前記反応系を、かく拌速度500rpmでかく拌しながら、5℃で120分間、反応させて、Ag粒子をコロイド状に析出させ、次いで、遠心分離して、Ag粒子より軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、さらに、純水を加えて洗浄することで、遠心分離した上澄みに溶け込んだ水溶性の不純物を除去した後、Ag粒子の粒度分布を、レーザードップラー法を応用した粒度分布測定装置〔日機装(株)製のナノトラック(登録商標)粒度分布測定装置UPA−EX150〕を用いて測定したところ30nmの位置に鋭いピークが見られたことから、Ag粒子の平均粒径Φ=30nmとした。
(分散液の調製)
前記反応系を、ホットバスを用いて70℃に加熱して、Ag粒子の濃度が60重量%になるまで濃縮した後、エチルアルコールを加えてかく拌して、分散液を調製した。前記分散液における、各成分の含有割合は、Ag粒子100重量部あたり、水が45重量部、エチルアルコールが150重量部、ポリアクリル酸が20重量部であった。また、前記分散液における、Ag粒子の濃度は32重量%であった。
(塗膜の形成および塗膜)
前記分散液を、基材としての、5インチ角の無アルカリガラス基板の表面に、スピンコート法(基材の回転速度1000rpm)によって塗布して塗膜を形成し、次いで、前記塗膜を、100℃で10分間、加熱して乾燥させた。乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、走査型電子顕微鏡写真(倍率2万倍)に撮影された、実際の寸法が5×6.3μmの範囲内の結晶粒を画像処理して求めたところ30nmであった。
(パターン形成)
前記塗膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、前記塗膜上に、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した塗膜を、リン酸と硝酸と酢酸とを含有するAg用のエッチング液を用いて、30℃で60秒間、選択的に、エッチングして除去することで、前記塗膜を、所定の平面形状にパターン形成した。パターンは、線幅が5μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
パターン形成した塗膜の膜厚を、(株)東京精密製の表面粗さ形状測定機サーフコム(登録商標)130Aを用いて測定したところ、平均膜厚は0.2μmであった。また、塗膜の抵抗率を、抵抗率計〔(株)ダイアインスツルメンツ製のロレスタ(登録商標)GP MCP−T610〕を用いて測定したところ∞であって、導電性を有しないことが確認された。
(焼成および金属配線の特性)
パターン形成した塗膜を、大気中で、250℃に加熱して30分間、焼成して金属配線を形成した。形成した金属配線の厚みを、表面粗さ形状測定機〔(株)東京精密製のサーフコム(登録商標)130A〕を用いて測定したところ、平均膜厚は0.15μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ5μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の、任意の直線部分の、基材の表面方向の平面形状を、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1万倍で観察し、前記直線部分の、長さ12μmの範囲内で、先に説明した測定方法によって、前記縁部の、表面方向の、想定される外形線から、表面方向の内方に凹入した個所の、凹入量の最大値Dinと、前記外形線から、表面方向の外方に凸出した個所の、凸出量の最大値Doutを求め、前記両者を加算して、凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ30nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが確認された。
さらに、形成した金属配線を、基材ごと、前記金属配線の縁部の任意の個所において、基材の表面方向の、想定される外形線と直交する方向で、かつ金属配線の厚み方向に、日本電子(株)製のクロスセクションポリッシャ(登録商標)SM−09010を用いて切断して断面を露出させた。そして、前記断面を、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率1万倍で観察して、金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ40°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=140°で、滑らかに連続していることが確認された。
〈実施例2〉
(合金粒子の合成)
金属化合物としての硝酸銀(I)と硝酸パラジウム(II)硝酸溶液とを純水に溶解させ、アンモニア水を加えて液のpHを11に調整し、次いで、高分子分散剤としてのポリアクリル酸(分子量5000)を加えて完全に溶解させた後、還元剤としてのアスコルビン酸を純水に溶解した溶液を添加して、液相の反応系を調製した。反応系における、各成分の濃度は、硝酸銀(I):25/リットル、硝酸パラジウム(II)硝酸溶液:40/リットル、ポリアクリル酸:8/リットル、アスコルビン酸:26/リットルとした。また、AgとPdの配合比率(原子数比)は、Ag:Pd=90:10であった。
前記反応系を、かく拌速度500rpmでかく拌しながら、40℃で120分間、反応させて、AgとPdの合金からなる合金粒子をコロイド状に析出させ、次いで、遠心分離して、合金粒子より軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、さらに、純水を加えて洗浄することで、遠心分離した上澄みに溶け込んだ水溶性の不純物を除去した後、合金粒子の粒度分布を、先に説明した粒度分布測定装置を用いて測定したところ20nmの位置に鋭いピークが見られたことから、合金粒子の平均粒径Φ=20nmとした。
(分散液の調製)
前記反応系を、ホットバスを用いて70℃に加熱して、合金粒子の濃度が60重量%になるまで濃縮した後、2−プロパノールを加えてかく拌して、分散液を調製した。前記分散液における、各成分の含有割合は、合金粒子100重量部あたり、水が27重量部、2−プロパノールが200重量部、ポリアクリル酸が40重量部であった。また、前記分散液における、合金粒子の濃度は27重量%であった。
(塗膜の形成および塗膜)
前記分散液を、基材としての、5インチ角の無アルカリガラス基板の表面に、ディップコート法(基材の引き上げ速度4mm/s)によって塗布して塗膜を形成し、次いで、前記塗膜を、180℃で30分間、加熱して乾燥させた。乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、先に説明した測定装置を用いて測定したところ100nmであった。
(パターン形成)
前記塗膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、前記塗膜上に、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した塗膜を、リン酸と硝酸と酢酸とを含有するAg用のエッチング液を用いて、40℃で90秒間、選択的に、エッチングして除去することで、前記塗膜を、所定の平面形状にパターン形成した。パターンは、線幅が5μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
パターン形成した塗膜の膜厚を、先に説明した測定装置を用いて測定したところ、平均膜厚は0.4μmであった。また、塗膜の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ40μΩ・cmであった。
(焼成および金属配線の特性)
パターン形成した塗膜を、大気中で、400℃に加熱して30分間、焼成して金属配線を形成した。形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.3μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ14μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。また、金属配線の組成を、誘導結合高周波プラズマ発光分析装置〔(株)リガク製の商品名CIROS−120〕を用いて測定したところ、AgとPdの配合比率(原子数比)と等しい、Ag:Pd=90:10であることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ10nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが確認された。図3は、実施例2で形成した金属配線の縁部を、斜め上方から見た状態を示す、走査型電子顕微鏡写真である。図3からも、金属配線の縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが理解される。
さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ60°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=120°で、滑らかに連続していることが確認された。
〈実施例3〉
(合金粒子の合成)
金属化合物としての硝酸銀(I)と硝酸銅(II)とを純水に溶解させ、アンモニア水を加えて液のpHを12に調整し、次いで、高分子分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量30000)を加えて完全に溶解させた後、還元剤としてのアスコルビン酸を純水に溶解した溶液を添加して、液相の反応系を調製した。反応系における、各成分の濃度は、硝酸銀(I):10g/リットル、硝酸銅(II):0.008g/リットル、ポリビニルピロリドン:1.2g/リットル、アスコルビン酸:15g/リットルとした。また、AgとCuの配合比率(原子数比)は、Ag:Cu=99.5:0.5であった。
前記反応系を、かく拌速度500rpmでかく拌しながら、40℃で120分間、反応させて、AgとCuの合金からなる合金粒子をコロイド状に析出させ、次いで、遠心分離して、合金粒子より軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、さらに、純水を加えて洗浄することで、遠心分離した上澄みに溶け込んだ水溶性の不純物を除去した後、合金粒子の粒度分布を、先に説明した粒度分布測定装置を用いて測定したところ50nmの位置に鋭いピークが見られたことから、合金粒子の平均粒径Φ=50nmとした。
(分散液の調製)
前記反応系を、ホットバスを用いて70℃に加熱して、合金粒子の濃度が60重量%になるまで濃縮した後、エチルアルコールを加えてかく拌して、分散液を調製した。前記分散液における、各成分の含有割合は、合金粒子100重量部あたり、水が52重量部、エチルアルコールが833重量部、ポリビニルピロリドンが15重量部であった。また、前記分散液における、合金粒子の濃度は10重量%であった。
(塗膜の形成および塗膜)
前記分散液を、基材としての、5インチ角の無アルカリガラス基板の表面に、スプレーコート法(噴霧量3ml/min)によって塗布して塗膜を形成し、次いで、前記塗膜を、150℃で60分間、加熱して乾燥させた。乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、先に説明した測定装置を用いて測定したところ80nmであった。
(パターン形成)
前記塗膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、前記塗膜上に、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した塗膜に、Arイオンビームを、加速電圧300Vの条件で20分間、照射することで、前記塗膜を、選択的に、エッチング除去して、所定の平面形状にパターン形成した。パターンは、線幅が5μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
パターン形成した塗膜の膜厚を、先に説明した測定装置を用いて測定したところ、平均膜厚は0.2μmであった。また、塗膜の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ200μΩ・cmであった。
(焼成および金属配線の特性)
パターン形成した塗膜を、大気中で、350℃に加熱して60分間、焼成して金属配線を形成した。形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.15μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ2.5μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。また、金属配線の組成を、先に説明した誘導結合高周波プラズマ発光分析装置を用いて測定したところ、AgとCuの配合比率(原子数比)と等しい、Ag:Cu=99.5:0.5であることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ35nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが確認された。さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ40°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=140°で、滑らかに連続していることが確認された。
〈実施例4〉
(Ag粒子の合成)
金属化合物としての硝酸銀(I)を純水に溶解させ、アンモニア水を加えて液のpHを12に調整し、次いで、高分子分散剤としてのポリビニルアルコール(分子量2000)を加えて完全に溶解させた後、還元剤としてのアスコルビン酸を純水に溶解した溶液を添加して、液相の反応系を調製した。反応系における、各成分の濃度は、硝酸銀(I):50g/リットル、ポリビニルアルコール:8g/リットル、アスコルビン酸:52g/リットルとした。
前記反応系を、かく拌速度500rpmでかく拌しながら、40℃で120分間、反応させて、Ag粒子をコロイド状に析出させ、次いで、遠心分離して、Ag粒子より軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、さらに、純水を加えて洗浄することで、遠心分離した上澄みに溶け込んだ水溶性の不純物を除去した後、Ag粒子の粒度分布を、先に説明した粒度分布測定装置を用いて測定したところ80nmの位置に鋭いピークが見られたことから、Ag粒子の平均粒径Φ=80nmとした。
(分散液の調製)
前記反応系を、ホットバスを用いて70℃に加熱して、Ag粒子の濃度が60重量%になるまで濃縮した後、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを加えてかく拌して、分散液を調製した。前記分散液における、各成分の含有割合は、Ag粒子100重量部あたり、水が42重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが230重量部、ポリビニルアルコールが25重量部であった。また、前記分散液における、Ag粒子の濃度は25重量%であった。
(塗膜の形成および塗膜)
前記分散液を、基材としての、5インチ角の無アルカリガラス基板の表面に、ディップコート法(基材の引き上げ速度1mm/s)によって塗布して塗膜を形成し、次いで、前記塗膜を、130℃で90分間、加熱して乾燥させた。乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、先に説明した測定装置を用いて測定したところ80nmであった。
(パターン形成)
前記塗膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、前記塗膜上に、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した塗膜に、Arイオンビームを、加速電圧330Vの条件で5分間、照射することで、前記塗膜を、選択的に、エッチング除去して、所定の平面形状にパターン形成した。パターンは、線幅が3μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
パターン形成した塗膜の膜厚を、先に説明した測定装置を用いて測定したところ、平均膜厚は0.1μmであった。また、塗膜の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ350μΩ・cmであった。
(焼成および金属配線の特性)
パターン形成した塗膜を、大気中で、250℃に加熱して30分間、焼成して金属配線を形成した。形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.08μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ5μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ40nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが確認された。さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ50°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=130°で、滑らかに連続していることが確認された。
〈実施例5〉
(Ag粒子の合成)
金属化合物としての硝酸銀(I)を純水に溶解させ、アンモニア水を加えて液のpHを11に調整し、次いで、高分子分散剤としてのポリアクリル酸(分子量5000)を加えて完全に溶解させた後、還元剤としてのアスコルビン酸を純水に溶解した溶液を添加して、液相の反応系を調製した。反応系における、各成分の濃度は、硝酸銀(I):50g/リットル、ポリアクリル酸:16g/リットル、アスコルビン酸:52g/リットルとした。
前記反応系を、かく拌速度500rpmでかく拌しながら、5℃で120分間、反応させて、Ag粒子をコロイド状に析出させ、次いで、遠心分離して、Ag粒子より軽い不純物を除去する操作を繰り返し行い、さらに、純水を加えて洗浄することで、遠心分離した上澄みに溶け込んだ水溶性の不純物を除去した後、Ag粒子の粒度分布を、先に説明した粒度分布測定装置を用いて測定したところ30nmの位置に鋭いピークが見られたことから、Ag粒子の平均粒径Φ=30nmとした。
(分散液の調製)
前記反応系を、ホットバスを用いて70℃に加熱して、Ag粒子の濃度が60重量%になるまで濃縮した後、エチルアルコールを加えてかく拌して、分散液を調製した。前記分散液における、各成分の含有割合は、Ag粒子100重量部あたり、水が17重量部、エチルアルコールが133重量部、ポリアクリル酸が50重量部であった。また、前記分散液における、Ag粒子の濃度は33重量%であった。
(塗膜の形成および塗膜)
前記分散液を、基材としての、5インチ角の無アルカリガラス基板の表面に、スピンコート法(基材の回転速度1000rpm)によって塗布して塗膜を形成し、次いで、前記塗膜を、200℃で10分間、加熱して乾燥させた。乾燥後の塗膜における平均結晶粒径Φを、先に説明した測定装置を用いて測定したところ350nmであった。
(パターン形成)
前記塗膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、前記塗膜上に、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、塗膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した塗膜を、リン酸と硝酸と酢酸とを含有するAg用のエッチング液を用いて、30℃で60秒間、選択的に、エッチングして除去することで、前記塗膜を、所定の平面形状にパターン形成した。パターンは、線幅が20μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
パターン形成した塗膜の膜厚を、先に説明した測定装置を用いて測定したところ、平均膜厚は0.2μmであった。また、塗膜の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ20μΩ・cmであった。
(焼成および金属配線の特性)
パターン形成した塗膜を、大気中で、300℃に加熱して30分間、焼成して金属配線を形成した。形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.2μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ2μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ35nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸のない、滑らかな線状に形成されていることが確認された。さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ40°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=140°で、滑らかに連続していることが確認された。
〈比較例1〉
実施例1において、基材の表面に形成した塗膜を、パターン形成前に、250℃で30分間、焼成して金属被膜を形成した。形成した金属被膜を、走査型電子顕微鏡を用いて観察して、平均結晶粒径を求めたところ800nmであった。次に、前記金属被膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、金属被膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した金属被膜を、リン酸と硝酸と酢酸とを含有するAg用のエッチング液を用いて、30℃で60秒間、選択的に、エッチングして除去することで、前記金属被膜を、所定の平面形状にパターン形成して金属配線を形成した。パターンは、線幅が5μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.2μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ5μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ150nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸を有しており、滑らかな線状に形成されていないことが確認された。さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ90°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=90°の急角度で連続していることが確認された。
〈比較例2〉
実施例2において、基材の表面に形成した塗膜を、パターン形成前に、400℃で30分間、焼成して金属被膜を形成した。形成した金属被膜を、走査型電子顕微鏡を用いて観察して、平均結晶粒径を求めたところ600nmであった。次に、前記金属被膜の表面に、感光性のレジスト剤を塗布して硬化させることで、レジスト層を積層した後、露光し、現像して、金属被膜の、形成するパターンに対応した領域を覆うレジストマスクを形成した。次いで、レジストマスクで覆われずに露出した金属被膜を、リン酸と硝酸と酢酸とを含有するAg用のエッチング液を用いて、40℃で90秒間、選択的に、エッチングして除去することで、前記金属被膜を、所定の平面形状にパターン形成して金属配線を形成した。パターンは、線幅が5μmの直線を、複数本、平行に配列した形状とした。
形成した金属配線の厚みを、先に説明した表面粗さ形状測定機を用いて測定したところ、平均膜厚は0.4μmであった。また、形成した金属配線の抵抗率を、先に説明した抵抗率計を用いて測定したところ14μΩ・cmであって、導電性に優れることが確認された。
また、形成した金属配線の縁部の凹凸総和量Dtotal(=Din+Dout)を求めたところ100nmであって、前記金属配線は、その縁部が、大きな凹凸を有しており、滑らかな線状に形成されていないことが確認された。図4は、比較例2で形成した金属配線の縁部を、斜め上方から見た状態を示す、走査型電子顕微鏡写真である。図4からも、金属配線の縁部が、大きな凹凸を有しており、滑らかな線状に形成されていないことが理解される。
さらに、形成した金属配線を、基材ごと、先に説明したように切断して断面を露出させて、前記金属配線の断面のうち、縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、基材の表面との、接点における交差角度θを測定したところ80°であって、前記金属配線は、その縁部の表面と、基材の表面とが、θ=110°の急角度で連続していることが確認された。
以上の結果を、表1〜表3にまとめた。
1 金属配線
2 縁部
3 基材
4 外形線
5 外形線
6 表面
7 接点
8 接線

Claims (1)

  1. 金属粒子を含む分散液を、基材の表面に塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥後、所定の平面形状にパターン形成したのち焼成して形成された金属配線であって、
    前記金属粒子はAg粒子、またはAgを50原子%以上の割合で含む合金からなる合金粒子であり、
    前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線からの、前記表面方向の凹入量の最大値と、突出量の最大値との和は50nm以下、
    前記金属配線の縁部における、基材の表面方向の、想定される外形線と直交する方向で、かつ金属配線の厚み方向の断面のうち、前記縁部の、金属配線の厚み方向の外形線の、前記基材の表面と接する部分の、前記基材の表面との交差角度は70°以下で、かつ
    金属配線の抵抗率は14μΩ・cm以下
    であることを特徴とする金属配線。
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