JP5484782B2 - 研磨材スラリーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミナとシリカとを含有する研磨材スラリーの製造方法、該方法により得られる研磨材スラリー、及び該研磨材スラリーを含む研磨液キット等に関する。
コンピューターの急速な普及やデジタル放送の開始等に伴い、ハードディスクドライブの高容量・小径化が求められている。例えば、ハードディスクドライブに使用されるメモリーハードディスクの記録密度を上げる方法として、磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが提案されている。しかしながら、ヘッドの低浮上化に対応するためには、ハードディスク基板の表面の表面粗さなどを低減する必要がある。かかる要求を満たすために、アルミナやシリカを混合した混合研磨材を用いた研磨液組成物(特許文献1及び2)が知られている。
特開2005−186269号公報 特開2006−518549号公報(対応米国特許第6896591号)
しかしながら、アルミナ・シリカの混合研磨材を含む研磨液組成物は、長期の保存によりケーキングや研磨材の粒径変化などが発生し、保存安定性に問題がある。また、そのような研磨液組成物を使用した研磨では、研磨速度が十分に発現されないことがある。そのため、必要な研磨量を確保するために研磨時間を長くすることや、研磨速度を維持するために研磨液組成物の希釈率を下げて使用時の研磨液組成物の濃度を高くすること等が必要となり、結果として、コスト増加、生産性低下などをまねくという問題がある。
本発明は、研磨材のケーキング及び粒径変化を抑制しうる研磨材スラリーの製造方法を提供する。
本発明は、工程(1):アルミナと水と電位調整剤とを混合し、アルミナのゼータ(表面)電位が48mV以下であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下であるアルミナスラリーを得る工程、及び、工程(2):工程(1)で得られたアルミナスラリーとシリカとを混合してアルミナとシリカとを含有する研磨材スラリーを得る工程、を有する研磨材スラリーの製造方法に関する。
本発明は、その他の態様として、アルミナスラリーとシリカとを混合して得られうるアルミナとシリカの研磨材スラリーであって、前記アルミナスラリーにおけるアルミナのゼータ(表面)電位が48mV以下であり、かつアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下である、アルミナとシリカの研磨材スラリーに関する。さらにその他の態様として、本発明は、酸を含む添加剤液と本発明の研磨材スラリーとをそれぞれ別々の容器に収納された状態で含む研磨液キットに関する。
また、本発明は、その他の態様として、本発明の研磨材スラリーの製造方法により研磨材スラリーを調製する工程、及び、前記研磨材スラリーから調製された研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板が垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造方法、及び、被研磨基板の研磨方法に関する。
本発明によれば、好ましくは、研磨材のケーキング及び粒径の変化が抑制された研磨材スラリーを製造でき、かつ、研磨速度を維持できる研磨液組成物を製造できる。
研磨材(砥粒)としてアルミナとシリカとを含む研磨液組成物は、一般に、まず、アルミナとシリカとを含む研磨材スラリーを製造し、この研磨材スラリーと、酸、酸化剤、水等とを混合して研磨液組成物を得るという一連の工程により製造される。本発明者は、前記研磨材スラリーを製造する段階において、とりわけ、工業的なスケールで製造する場合に、従来の方法であると研磨材のケーキングや粒径変化が生じ、そのような研磨液組成物を使用すると研磨速度が低下するケースが多いことを見出した。このようなケーキングや粒径変化の発生は、ラボで行うスケールでは見出すことが困難な事象である。
本発明者は、前述した粒径変化が主にシリカ粒子同士のホモ凝集に起因し、研磨速度の低下がアルミナとシリカとのヘテロ凝集に起因すること見出した。そして、本発明は、これらの凝集が、アルミナスラリーとシリカとを混合する前にアルミナスラリーを所定の条件にすることで回避でき、それによりケーキングの発生及び研磨速度の低下も抑制できる、という知見に基づく。
すなわち、本発明は、工程(1):アルミナと水と電位調整剤とを混合し、アルミナのゼータ(表面)電位が48mV以下であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下であるアルミナスラリーを得る工程、及び、工程(2):工程(1)で得られたアルミナスラリーとシリカとを混合してアルミナとシリカとを含有する研磨材スラリーを得る工程、を有する研磨材スラリーの製造方法(以下、「本発明の研磨材スラリー製造方法」ともいう)に関する。
本発明の研磨材スラリー製造方法によれば、好ましくは、研磨材のケーキング及び粒径変化が抑制された研磨材スラリーを製造でき、かつ、この研磨材スラリーを用いれば研磨速度の低下が抑制された研磨液組成物を製造できる。よって、本発明の研磨材スラリー製造方法によれば、好ましくは、保存安定性に優れた研磨材スラリーを製造でき、かつ、研磨の再現性に優れる研磨液組成物を製造でき、ひいては研磨工程の経済性を向上できる。
[アルミナ]
本明細書において「アルミナスラリー」とは、少なくともアルミナを含むスラリーをいい、好ましくは、少なくともアルミナ粒子を含むものをいう。本発明の研磨材スラリー製造方法の工程(1)で使用するアルミナがスラリー状である場合、保存安定性の観点から、酸化剤を実質的に含有しないものが好ましい。
本発明に用いられるアルミナとしては、突き刺さり低減、うねり低減、表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナが好ましく、基板の表面性状及びうねり低減の観点からは、中間アルミナ及びアモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナの総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと、中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナとを混合して使用することが好ましく、α−アルミナと中間アルミナとを混合して使用することがより好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがさらにより好ましい。また、アルミナ粒子中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、20〜100重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、20〜75重量%がさらに好ましい。本発明において、アルミナ中のα−アルミナの含有量は、WA−1000(昭和電工(株)製 アルミナ粒子)の104面のピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナの対応ピーク面積を相対比較することにより求める。
本発明に用いられるアルミナの二次粒子の体積中位粒径は、レーザー光回折法による測定で得られるものであって、突き刺さり、うねり、及び表面粗さの低減の観点から、0.8μm以下であり、0.6μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.4μm以下がさらに好ましい。また、前記体積中位粒径は、研磨速度向上の観点から、0.1μm以上であり、0.15μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.25μm以上がさらに好ましい。よって、前記体積中位粒径は、0.1〜0.8μmであり、好ましくは0.15〜0.6μm、より好ましくは0.2〜0.5μm、さらに好ましくは0.25〜0.4μmである。中でも、レーザー光回折法により測定したα−アルミナの二次粒子の体積中位粒径は、突き刺さり低減、うねり低減及び表面粗さ低減の観点、並びに研磨速度向上の観点から、好ましくは0.1〜0.8μm、より好ましくは0.15〜0.6μm、さらに好ましくは0.2〜0.5μm、さらに好ましくは0.25〜0.4μmである。
アルミナの一次粒子の体積中位粒径は、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.4μmがより好ましく、0.03〜0.3μmがさらに好ましく、0.05〜0.2μmがさらにより好ましい。中でも、α−アルミナの一次粒子の体積中位粒径、研磨速度向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、0.05〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.4μmがより好ましく、0.05〜0.3μmがさらに好ましく、0.07〜0.2μmがさらにより好ましい。アルミナの一次粒子の体積中位粒径は、走査型電子顕微鏡(好適には3000〜30000倍)又は透過型電子顕微鏡(好適には10000〜300000倍)の写真を画像解析することにより求めることができる。具体的には、拡大写真等を用い、個々の一次粒子の最大長を少なくとも200個の粒子について測定し、該長さを直径とする球の体積を算出し、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径(D50)を一次粒子の体積中位粒径とする。
[電位調整剤]
本明細書において「電位調整剤」とは、アルミナのゼータ電位(表面電位)を調整するために使用する化合物であって、好ましくは、アルミナスラリー中のアルミナのゼータ電位を調整するために使用する化合物をいう。電位調整剤は、一般に、pHが大きいほどゼータ電位が小さくなること、或いは、イオン強度が大きいほどゼータ電位が小さくなることなどを利用して適宜選択され得る。本発明において電位調整剤として使用されるものは、ケーキング及び粒径変化抑制の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点から、α位にヒドロキシ基を有するカルボン酸であるα−ヒドロキシカルボン酸が好ましく、多価カルボン酸であるα−ヒドロキシカルボン酸がより好ましい。本発明における電位調整剤は、具体的には、ケーキング及び粒径変化抑制の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点から、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酪酸、乳酸、及びグリコール酸が好ましく、クエン酸及び酒石酸がより好ましい。
[ゼータ電位]
本明細書において、ゼータ電位(表面電位)は、アルミナのものをいう。また、本明細書において、ゼータ電位の値は、電気音響法によって測定されるものをいう。ゼータ電位は、具体的には、後述の実施例に記載のとおりに測定できる。
[シリカ]
本発明に用いられるシリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられ、中でも、より高度な平滑性を必要とする高記録密度メモリー磁気ディスク用基板の研磨用途に適しているという観点から、コロイダルシリカが好ましい。なお、コロイダルシリカは、例えば、ケイ酸水溶液から生成させる製法により得ることができる。工程(2)で使用するシリカがスラリー状である場合、保存安定性の観点から、過酸化物のような酸化剤を実質的に含有しないものが好ましい。
シリカの一次粒子の体積中位粒径(体積基準における平均粒径(D50)ともいう。)は、アルミナの突き刺さり低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは15〜100nm、さらに好ましくは20〜80nm、さらにより好ましくは、40〜80nmである。また、シリカの個数基準における粒径の標準偏差は、アルミナの突き刺さり低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは11〜35nm、より好ましくは15〜30nm、さらに好ましくは18〜25nmである。
シリカの一次粒子の体積中位粒径及び個数基準の粒径の標準偏差は、以下の方法により求めることができる。即ち、シリカ粒子を日本電子製透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト「WinROOF」(販売元:三谷商事)を用いて1000個以上のシリカ粒子データについて1個1個のシリカ粒子の円相当径を求め、それを直径とし、表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて、個数基準の粒径の標準偏差(標本標準偏差)を得る。また、前記表計算ソフト「EXCEL」にて、粒子直径から粒子体積に換算して得られるシリカの粒径分布データに基づき、全粒子中における、ある粒径の粒子の割合(体積基準%)を小粒径側からの累積頻度として表し、累積体積頻度(%)を得る。得られたシリカの粒径及び累積体積頻度データに基づき、粒径に対して累積体積頻度をプロットすることにより、粒径対累積体積頻度グラフが得られる。前記グラフにおいて、小粒径側からの累積体積頻度が50%となる粒径をシリカの体積中位粒径とする。
シリカの粒径分布を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、シリカがコロイダルシリカの場合、その製造段階における粒子の発生及び成長過程で新たな核となる粒子を加えることにより最終製品に粒径分布を持たせる方法、異なる粒径分布を有する2つ以上のシリカを混合する方法等で達成することが可能であるが、調整の簡便さから、異なる粒径分布を有する2種以上のシリカを混合して調整することが好ましい。
[研磨材スラリーの製造方法]
本発明の研磨材スラリー製造方法は、少なくとも工程(1)及び工程(2)を含む製造方法である。
[工程(1)]
工程(1)は、アルミナと水と電位調整剤とを混合し、アルミナのゼータ(表面)電位が48mV以下であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下であるアルミナスラリーを得る工程である。スラリーの調製は、アルミナと水とを混合して原料アルミナスラリーを調製した後に電位調整剤を混合してもよく、水と電位調整剤を混合した後にアルミナを混合してもよい。なお、アルミナスラリーの調製に使用する水として、蒸留水、イオン交換水又は超純水等が使用できる。
工程(1)で調製されるアルミナスラリーにおけるアルミナのゼータ電位は、ケーキング及び粒径変化抑制の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点、とりわけ、アルミナとシリカとの凝集を抑制する点から、48mV以下であり、好ましくは−100〜45mV、より好ましくは−100〜40mVである。なお、ゼータ電位の測定方法は前述及び実施例に記載のとおりである。
ゼータ電位は、前述の電位調整剤により調節できる。アルミナスラリーにおける電位調整剤の含有量は、使用するアルミナの種類、濃度等により適宜選択されるが、研磨速度低下抑制の観点から0.01〜5.0重量%の範囲で使用されることが好ましい。
前記工程(1)で得られるアルミナスラリーにおけるアルミナの含有量は、後述する研磨材スラリーにおけるアルミナ濃度及び混合するシリカ(シリカスラリー)の体積から適宜設定でき、ケーキング及び粒径変化防止の観点から、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは3〜30重量%、さらにより好ましくは3〜20重量%である。
また、前記工程(1)で得られるアルミナスラリーのpHは、ケーキング及び粒径変化防止の観点から、好ましくは1.0〜9.0、より好ましくは1.5〜9.0、さらに好ましくは1.5〜8.5、さらにより好ましくは1.5〜8.0である。
工程(1)で調製されるアルミナスラリーにおけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計の含有量は、ケーキング及び粒径変化抑制の観点、生産性向上の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点、とりわけ、シリカ同士のホモ凝集を抑制する点から、250ppm以下であり、好ましくは0.001〜200ppm、より好ましくは0.01〜150ppm、さらに好ましくは0.01〜100ppm、さらにより好ましくは0.01〜75ppmである。アルミナスラリー中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計の含有量は、例えば、原子吸光法によって測定されるものを言う。前記含有量は、具体的には、後述の実施例に記載のとおりに測定できる。
工程(1)は、その一実施形態として、アルミナと水と電位調整剤との混合物におけるアルミナのゼータ(表面)電位を測定すること、及び、前記混合物におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を測定することの少なくとも一方を含んでもよい。これらの測定を含むことにより、アルミナスラリーが工程(1)の条件を満たしているかどうかの確認ができ、ケーキング及び粒径変化抑制並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制のための品質管理ができるという効果を奏し得る。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で得られたアルミナスラリーとシリカとを混合してアルミナとシリカとを含有する研磨材スラリーを得る工程である。研磨材スラリーは、例えば、アルミナスラリーとシリカとを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、シリカは、濃縮されたスラリー状であることが好ましいが、水等で希釈してから混合されてもよい。また、その他の実施態様として、研磨材スラリーを濃縮物として調製してもよい。
[工程(3)]
本発明の研磨材スラリー製造方法は、さらに、工程(3)として、工程(2)で得られた研磨材スラリーのpHを6.5〜9.5に調整する工程を含むことが好ましい。これにより、シリカの保存安定性が向上するという効果が奏されうる。工程(3)で調整されるpHの範囲としては、保存安定性の点から、6.5〜9.5が好ましく、6.5〜9.0がより好ましい。pH調整剤としては、無機酸、有機酸及びそれらの塩が挙げられ、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、クエン酸ナトリウム塩、クエン酸カリウム塩などが挙げられる。
[研磨材スラリー]
本発明は、その他の態様において、アルミナスラリーとシリカとを混合して得られうるアルミナとシリカの研磨材スラリーであって、前記アルミナスラリーにおけるアルミナのゼータ(表面)電位が48mV以下であり、前記アルミナスラリーにおけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下であるアルミナとシリカの研磨材スラリー(以下、「本発明の研磨材スラリー」ともいう)に関する。本発明の研磨材スラリーは、好ましくは、前述した本発明の研磨材スラリー製造方法によって製造される。したがって、本発明の研磨材スラリーにおけるアルミナ、シリカ、電位調整剤、並びにアルミナスラリーのゼータ電位、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量等については前述のとおりである。
研磨材スラリーにおけるアルミナの含有量は、ケーキング及び粒径変化抑制の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは2〜20重量%、さらにより好ましくは2〜10重量%である。
研磨材スラリーにおけるシリカの含有量は、ケーキング及び粒径変化抑制の観点並びに研磨液組成物における研磨速度低下抑制の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜35重量%、さらにより好ましくは20〜30重量%である。
研磨材スラリー中におけるアルミナとシリカの重量比(アルミナ重量/シリカ重量)は、アルミナの突き刺さり低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、60/40〜5/95の範囲であることが好ましく、50/50〜10/90の範囲であることがより好ましく、40/60〜15/85の範囲であることがさらに好ましい。
研磨材スラリーのpHは、シリカの保存安定性の向上の観点から、6.5〜9.5の範囲であることが好ましく、6.5〜9.0の範囲であることがより好ましい。
[研磨液キット]
本発明は、その他の態様において、研磨液組成物を製造するためのキットであって、酸を含む添加剤液と本発明の研磨材スラリーとをそれぞれ別々の容器に収納された状態で含む研磨液組成物製造用キット(以下、「本発明の研磨液キット」ともいう)に関する。なお、本発明において、「研磨液組成物」とは研磨材、水、及び酸を含む組成物をいい、「本発明の研磨液組成物」は、後述するとおり、本発明の研磨材スラリー、水、及び酸を含む。本発明の研磨液組成物は、好ましくは、本発明の研磨材スラリー、酸を含む添加剤液、及び水を混合し、さらに必要に応じて酸化剤を混合することにより製造することができる。
それゆえ、本発明の研磨液キットは、さらに、後述の酸化剤を含みうる。酸化剤は、前記添加剤液に含まれてもよく、別個独立の容器に収納されていてもよい。本発明の研磨液キットは、さらに、説明書を含んでもよく、前記説明書は、本発明の研磨液キットの使用方法、及び/又は、本発明の研磨液組成物を調製するための説明を含んでもよい。
[添加剤液]
本発明の研磨液キットに含まれる添加剤液は、酸及び/又はその塩を含有する。酸及び/又はその塩は、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
[酸及び/又はその塩]
添加剤液に用いられる酸及び/又はその塩の具体例を以下に示す。無機酸としては硝酸、塩酸、過塩素酸、アミド硫酸等の一価の鉱酸と、硫酸、亜硫酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の多価鉱酸及びそれらの塩が挙げられる。また、有機酸としてはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、プロパン酸、ヒドロキシプロパン酸、酪酸、安息香酸、グリシン等のモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の多価カルボン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、エチルリン酸、ブチルリン酸等のアルキルリン酸、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、多価酸及びそれらの塩が好ましく、より好ましくは多価鉱酸、多価カルボン酸、有機ホスホン酸及びそれらの塩、さらに好ましくは多価鉱酸、多価カルボン酸及びそれらの塩である。ここで多価酸とは分子内に2つ以上の、水素イオンを発生させ得る水素を持つ酸をいう。また、被研磨物の表面汚れ防止の観点からは、硝酸、硫酸、アルキルスルホン酸、多価カルボン酸及びそれらの塩が好ましい。
前記酸は単独で用いても良いが、2種以上を混合して使用することが好ましい。特に、Ni−Pメッキ基板のような金属表面を研磨する場合で、研磨中に被研磨物の金属イオンが溶出して研磨液組成物のpHが上昇し、高い研磨速度が得られないとき、pH変化を小さくするためにpK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することが好ましく、pK1が1.5以下の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。このような2種以上の酸を含有する場合、研磨速度向上及びうねり低減、かつ入手性を考慮すると、pK1が2.5未満の酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸や有機ホスホン酸を用いることが好ましい。一方、pK1が2.5以上の酸としては、同様な観点から、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸等の有機カルボン酸が好ましく、中でも、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。また、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、pK1が2.5以上の有機カルボン酸を使用する場合は、オキシカルボン酸と2価以上の多価カルボン酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。例えば、オキシカルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。従って、これらをそれぞれ1種以上組み合わせて使用することが好ましく、中でも、クエン酸と多価カルボン酸を組み合わせることが好ましい。
前述の酸の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、有機アミン等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上、ロールオフ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
添加剤液中における酸及び/又はその塩の含有量は、研磨速度向上及びうねり低減、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%、さらにより好ましくは5〜15重量%である。
添加剤液は、研磨後の基板のロールオフ低減の観点から、下記ロールオフ低減剤を含有することが好ましい。ロールオフ低減剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビット脂肪酸エステルポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアリールエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、イソプレンスルホン酸若しくはその塩、ポリオキシエチレンエーテル、アルキル硫酸若しくはその塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸若しくはその塩、ヒドロキシアルキルセルロース、又は下記の共重合体を挙げることができる。これらの中でも研磨後の基板のロールオフ低減の観点から、下記共重合体がより好ましい。
[共重合体]
前記添加剤液は、ロールオフ低減の観点から、下記式(I)で表される構成単位と20℃の水100gに対する溶解度が2g以下の疎水性モノマーに由来する構成単位とを有する共重合体及び/又はその塩を含有することが好ましい。
Figure 0005484782
前記式(I)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、メチル基が好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4であり、より好ましくはメチル基である。また、前記式(I)において、AOは、オキシエチレン基を含む炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜3のオキシアルキレン基である。(AO)nにおけるオキシエチレン基の占める割合は、80モル%以上であり、より好ましくは100モル%である。前記式(I)におけるAOの全平均付加モル数であるnは、ロールオフの抑制及び研磨液組成物の泡立ち抑制、並びに、共重合体の分散性向上の観点から、9〜250の数が好ましく、より好ましくは90〜150の数である。また、前記式(I)におけるpは、0又は1であり、ロールオフの抑制及び研磨液組成物の泡立ち抑制等の観点から、pは、1が好ましい。
前記疎水性モノマーは、20℃の水100gに対する溶解度が2g以下、すなわち水難溶性を示す。前記疎水性モノマーの20℃の水100gに対する溶解度は、ロールオフ抑制及び研磨液組成物の泡立ち抑制の観点から、0〜1gが好ましく、0〜0.1gがより好ましい。前記疎水性モノマーとしては、例えば、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、ポリエチレングリコールアクリレート系モノマーを除くポリアルキレングリコールアクリレート系モノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系モノマーを除くポリアルキレングリコールメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー、アルキルメタクリルアミド系モノマー等が挙げられる。
前記疎水性モノマーに由来する構成単位は、ロールオフ低減の観点から、下記式(II)〜(IV)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位であることが好ましく、化合物の安定性の観点から、下記式(IV)で表される構成単位であることがより好ましい。
Figure 0005484782
前記式(II)において、R3は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、Xは、酸素原子又はNH基であることが好ましい。R4は、ロールオフ抑制の観点から、炭素数1〜30のアルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、ロールオフを抑制し、研磨液組成物の泡立ちを抑制する観点から、炭素数12〜18のアルキル基が好ましい。
前記式(III)において、R5は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R6は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましい。(AO)mにおけるオキシプロピレン基及びオキシブチレン基の占める割合は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%である。前記式(III)のAOの全平均付加モル数であるmは、ロールオフ抑制及び共重合体分散性向上の観点から、好ましくは3〜150の数であり、より好ましくは13〜20の数である。
前記式(IV)において、R7は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R8は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。式(IV)で表される構成単位を形成するためのモノマーの具体例としては、スチレン(St)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類が挙げられ、スチレンが好ましい。
前記共重合体における式(I)で表される構成単位(親水性構成単位)と前記疎水性モノマーに由来する構成単位(疎水性構成単位)との重量比(親水性構成単位の重量/疎水性構成単位の重量)は、ロールオフ低減及び分散性向上の観点から、25/75〜97.5/2.5が好ましく、より好ましくは65/35〜85/15である。なお、前記共重合体における各構成単位の重量比は、共重合体を1重量%含む重水素置換ジメチルスルホキシド溶液を、プロトン核磁気共鳴スペクトルを用いて測定することにより算出できる。
前記共重合体及び/又はその塩の重量平均分子量は、ロールオフ低減及び分散性向上の観点から、5000〜50万が好ましく、より好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは2万〜45万、さらにより好ましくは6万〜45万、さらにより好ましくは6万〜40万、さらにより好ましくは9万〜40万である。
添加剤液中における前記共重合体及び/又はその塩の含有量は、ロールオフ低減及び分散性向上の観点から、好ましくは0.0001〜5.0重量%、より好ましくは0.0005〜3.0重量%、さらに好ましくは0.001〜2.5重量%、さらにより好ましくは0.01〜1.0重量%である。
[研磨液組成物及びその製造方法]
本発明は、その他の態様において、本発明の研磨材スラリー、水、及び酸を含む研磨液組成物に関する。本発明の研磨液組成物は、好ましくは、本発明の研磨材スラリー、前述の添加剤液、及び水を混合し、さらに必要に応じて酸化剤を混合することにより得られる。各成分の混合方法は特に限定されず、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、後述する範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
研磨液組成物中におけるアルミナの含有量は、研磨速度向上及び突き刺さり低減の観点及び、表面品質向上及び経済性の観点から、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、さらにより好ましくは1〜10重量%である。
研磨液組成物中におけるシリカの含有量は、アルミナの突き刺さりの低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点、表面品質向上及び経済性の観点から、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜25重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、さらにより好ましくは1.5〜15重量%である。
研磨液組成物中におけるアルミナとシリカの重量比(アルミナ重量/シリカ重量)は、アルミナの突き刺さり低減、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは80/20〜5/95の範囲、より好ましくは70/30〜10/90の範囲、さらに好ましくは50/50〜15/85の範囲である。
研磨液組成物の調製には、蒸留水、イオン交換水又は超純水等の水が使用され得る。研磨液組成中の水の含有量は、研磨液組成物の取り扱い性(粘度)の観点から、好ましくは55重量%以上、より好ましくは75%重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上、さらにより好ましくは90重量%以上である。
研磨液組成物中における酸及び/又はその塩の含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%、さらにより好ましくは0.5〜5重量%である。また、研磨速度向上の観点から、pK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸との重量比〔(pK1が2.5未満の酸)/(pK1が2.5以上の酸)〕は、9/1〜1/9が好ましく、7/1〜1/7がより好ましく、5/1〜1/5がさらに好ましい。
[酸化剤]
研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましく、過酸化水素がより好ましい。なお、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
研磨液組成物中の酸化剤の含有量は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及び表面汚れ低減の観点から、及びロールオフ低減及び表面品質の観点から、0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜5重量%がより好ましく、0.5〜3重量%がさらに好ましく、0.8〜1.5重量%がさらにより好ましい。
研磨液組成物は、前述のロールオフ低減剤を含有することが好ましい。研磨液組成物中の前記ロールオフ低減剤の含有量は、研磨液組成物の泡立ち抑制、ロールオフ抑制の観点から、好ましくは0.001〜3重量%、より好ましくは0.003〜2重量%、さらに好ましくは0.005〜1重量%である。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及びうねり低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜5であり、さらにより好ましくは1〜5、さらにより好ましくは1〜4、さらにより好ましくは1〜3.5である。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
[その他の成分]
また、本発明の研磨液組成物には、さらなる研磨速度の向上、突き刺さり低減、うねりの低減、及びその他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、コロイダル酸化チタン等の金属酸化物砥粒、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
さらに、本発明の研磨液組成物には、他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。研磨液組成物中におけるこれらの殺菌剤及び抗菌剤等の含有量は、機能を発揮する観点、並びに研磨性能への影響及び経済性の観点から、好ましくは0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002〜0.02重量%である。
[被研磨基板(研磨対象)]
本発明の研磨液組成物を用いて研磨を行う被研磨基板(研磨対象)としては、通常、ハードディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられる。前記被研磨基板の具体例としては、アルミニウム合金にNi−P合金をメッキした基板及びガラス基板が代表的であるが、アルミニウム合金の代わりにガラスやグラッシュカーボンを使用し、これにNi−Pメッキを施した基板、あるいはNi−Pメッキの代わりに、各種金属化合物をメッキや蒸着により被覆した基板を挙げることができる。研磨後の基板におけるアルミナ突き刺さり低減の効果は、Ni−Pメッキが施された基板の場合に顕著であり、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に使用される被研磨基板の場合により顕著である。
[ハードディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造方法であって、本発明の研磨材スラリー製造方法により研磨材スラリーを調製する工程、及び、前記研磨材スラリーから調製された研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板が垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造方法に関する。
前記被研磨基板を研磨する工程は、本発明の研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」と称することがある。)であることが好ましい。本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程においては、研磨パッドで被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことなどにより、被研磨基板の研磨が行われうる。本発明の研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、濃縮物であれば希釈して使用すればよい。前記濃縮物を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(砥粒の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。被研磨基板としては、前述のものを使用できる。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、突き刺さり低減、うねり低減、及びロールオフ低減の観点から、好ましくは50kPa以下、より好ましくは25kPa以下、さらに好ましくは15kPa以下である。また、前記研磨荷重は、生産性(研磨速度)の観点から、好ましくは3kPa以上、より好ましくは5kPa以上、さらに好ましくは7kPa以上である。したがって、前記研磨荷重は、3〜50kPaが好ましく、より好ましくは5〜25kPa、さらに好ましくは7〜15kPaである。なお、前記研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、低コストの面から、被研磨基板1cm2あたり0.25mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.2mL/分以下であり、さらに好ましくは0.16mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度をさらに向上できることから、被研磨基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上、さらに好ましくは0.05mL/分以上である。したがって、前記供給速度は、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/分が好ましく、より好ましくは0.025〜0.2mL/分、さらに好ましくは0.05〜0.16mL/分である。本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程におけるその他の研磨条件(研磨機の種類、研磨温度等)については特に限定はない。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨によれば、好ましくは、研磨速度を低下させることなく研磨後の基板における砥粒の突き刺さり及びうねりが低減される。したがって、本発明の製造方法によれば、高記録密度化に適したハードディスク基板を好ましくは提供できる。また、本発明の製造方法における「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」は、ポリッシング工程として特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。本発明の製造方法を用いて得られたハードディスク基板は、好ましくは、アルミナの突き刺さりが顕著に低減されて表面品位が向上していることから、例えば、高記録密度化に適したものであり、とりわけ、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に適している。
本発明の垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造方法は、さらにその他の実施形態として、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式であることが好ましく、最終工程である仕上げ研磨工程よりも前の工程、即ち粗研磨工程で、前述の「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」を行なうことが好ましい。仕上げ研磨工程で使用する研磨液組成物においては、ハードディスク基板の表面品質の観点、例えば、うねりの低減、表面粗さの低減、スクラッチ等の表面欠陥の低減の観点から、砥粒の一次粒子の平均粒径(例えば、体積中位径)は0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることがさらに好ましく、0.03μm以下であることがさらにより好ましい。また、研磨速度向上の観点から、該平均粒径が0.005μm以上であることが好ましく、0.01μm以上であることがより好ましい。
仕上げ研磨工程で使用される研磨液組成物中の研磨粒子としては、フュームドシリカ砥粒、コロイダルシリカ砥粒等が挙げられ、表面粗さの低減、及びスクラッチ等表面欠陥の低減の観点から、コロイダルシリカ砥粒が好ましい。コロイダルシリカ砥粒の一次粒子の平均粒径(例えば、体積中位径)としては、0.005〜0.08μmが好ましく、0.005〜0.05μmがより好ましく、0.01〜0.03μmがさらに好ましい。
仕上げ研磨工程において、一次粒子の平均粒径が0.005〜0.1μmの研磨粒子を使用する場合、表面粗さの低減、アルミナ粒子の突き刺さりの低減の観点、及び生産性(研磨時間)の観点から、研磨量は、0.05〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.4μmがより好ましく、0.2〜0.4μmがさらに好ましい。仕上げ研磨を行なう際の他の条件(研磨機の種類、研磨温度、研磨速度、研磨液の供給量等)については特に限定はなく、研磨荷重としては、前記の「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」において例示される研磨荷重と同様であればよい。なお、研磨量は、後述の実施例のようにして求めることができる。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様において、被研磨基板の研磨方法であって、本発明の研磨材スラリー製造方法により研磨材スラリーを調製する工程、及び、前記研磨材スラリーから調製された研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板が垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、被研磨基板の研磨方法に関する。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、前述のとおりとすることができる。
1.研磨材スラリーの調製(実施例1〜4、比較例5〜16)
[アルミナスラリーの調製]
まず、α−アルミナ(二次粒子の体積中位粒径:0.3μm)及びθ−アルミナ(二次粒子の体積中位粒径:0.16μm)と、水と、下記表1に記載の電位調整剤を用いてアルミナスラリーを調製した。使用した電位調整剤のアルミナスラリーにおける濃度(重量%)を下記表1に示す。また、調製したアルミナスラリーにおけるアルミナ粒子のゼータ電位及びアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計の含有量を下記条件で測定した結果も下記表1に示す。
〔ゼータ電位の測定方法〕
アルミナスラリー中のアルミナのゼータ電位は、ゼータ電位測定機(Colloidal Dynamics社製、Zeta probe、non polarシステム)を用いて測定する。イオン交換水でバックグラウンド(Background)測定を行い、音響速度(sound speed)が1500前後の数値を示すことを確認する。その後アルミナスラリー200〜300gを測定用カップに注ぎ、測定条件を設定する(Total numberを3、delay betweenを1、測定器の回転数を200rpm)。続いて、Back ground correctionにチェックをいれ、Particle and solventを入力する。(Particle:Al2O3(alumina alpha)、濃度:14%、solvent:water)全ての設定を済ませ、サンプル測定を行う。
〔アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量の測定方法〕
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量は、原子吸光分光光度計(SpectrAA220P、バリアン社製)で測定する。アルミナスラリー0.2gをヒーター上で加熱炭化後、硫酸を適量加えヒーターで完全に灰化し、原子吸光分光光度計(ランプ電流:10mA、波長:Na=589.0、スリット幅:0.4mm、フレーム:アセチレン−空気)にて測定する。
[研磨材スラリーの調製]
つぎに、前記アルミナスラリーとコロイダルシリカ(粒径0.03μm)とを混合した。さらに水酸化ナトリウム水溶液及びクエン酸三ナトリウム水溶液でpH調整することで研磨材スラリーを調製した(実施例1〜4、比較例5〜16)。調製された研磨材スラリーのアルミナ含有量は7重量%であり、コロイダルシリカの含有量は20重量%であり、pHは7.5であった。
2.研磨材スラリーの調製(比較例1〜4)
〔比較例1〕
電位調整剤を使用しない他は実施例1と同様にしてアルミナスラリーを調製し、研磨材スラリーを調製した(比較例1)。
〔比較例2及び4〕
電位調整剤を使用しない他は実施例1と同様にしてアルミナスラリーを調製し、これとコロイダルシリカ(粒径0.03μm)とを混合した。この混合液に下記表1に示す電位調整剤を添加し、その後、水酸化ナトリウム水溶液及びクエン酸三ナトリウム水溶液でpH調整することで研磨材スラリーを調製した(比較例2及び4)。
〔比較例3〕
電位調整剤を使用しない他は実施例1と同様にしてアルミナスラリーを調製した。一方で、コロイダルシリカ(粒径0.03μm)と下記表1に示す電位調整剤とを混合しシリカスラリーを調製した。前記アルミナスラリーと前記シリカスラリーを混合し、水酸化ナトリウム水溶液及びクエン酸三ナトリウム水溶液でpH調整することで研磨材スラリーを調製した(比較例3)。
比較例1〜4において調製したアルミナスラリーにおけるアルミナ粒子のゼータ電位及びアルカリ金属とアルカリ土類金属の合計の含有量は、前述の条件で測定した。その結果を下記表1に示す。また、得られた比較例1〜4の研磨材スラリーは、実施例1と同様に、アルミナ含有量は7重量%であり、コロイダルシリカの含有量は20重量%であり、pHは7.5であった。
3.研磨液組成物の調製
[添加剤液の調製]
研磨液組成物の調製に用いる添加剤液を以下の組成で調製した。
硫酸:6.27%(98%品)、クエン酸:7.83%、水:残部
[研磨液組成物の調製]
実施例1〜4及び比較例1〜16の研磨材スラリーを体積比率で1.0、添加剤液を体積比率で0.5、過酸化水素水(35%品)を体積比率で0.3、水を体積比率で6.35撹拌混合し、研磨液組成物を調製した(実施例1〜4、比較例1〜16)。
4.基板の研磨
調製した実施例1〜4及び比較例1〜16の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で前記基板を研磨した。
[被研磨基板]
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mm、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定におけるうねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機 :両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム(株)製)
研磨パッド :ウレタン製研磨パッド 厚み1.04mm、平均開孔径43μm(FILWEL製)
定盤回転数 :45rpm
研磨荷重 :12.3kPa(設定値)
研磨液供給量 :100mL/min(0.076mL/(cm2・min))
研磨量(片面) :130mg
投入した基板の枚数:10枚
5.研磨材スラリー及び研磨液組成物の評価
研磨材スラリーの評価は、下記条件でのケーキング観察、及び、研磨材粒子の粒径測定の2点でおこなった。また、研磨液組成物の評価は、研磨速度を測定することで行った。これらの結果を下記表1に示す。
[研磨材スラリーのケーキングの評価]
調製後の研磨材スラリーを、100mlのポリ容器に1週間、室温で保管した後、ポリ容器をゆっくりと上下さかさまにして静置する。3分後、ポリ容器の蓋をあけ、ポリ容器に付着していないスラリーを採取した。この採取したスラリーを用いてケーキングを評価した。評価の基準は、採取したスラリーが、元の重量の90%以上あるものはケーキングがA、ないものはケーキングがBとした。
[研磨材スラリーの二次粒子の粒径の測定]
以下の測定条件で二次粒子の粒径(D10、D50及びD90)を測定した。なお、D10、D50及びD90とは、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒径であり、このうち、D50を体積中位粒径とする。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
[研磨液組成物を使用した研磨速度の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜16で得られた研磨液組成物を用いたときの研磨速度は、以下の方法で評価した。まず、研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
Figure 0005484782
上記表1に示すとおり、実施例1〜4では、比較例1〜16と比較して、研磨材スラリーのケーキング及び粒径変化が抑制され、かつ、研磨液組成物における研磨速度が維持されていた。
本発明によれば、例えば、高記録密度化ハードディスク基板の製造に適した研磨液組成物を提供できる。

Claims (10)

  1. 工程(1):アルミナと水と電位調整剤とを混合し、アルミナのゼータ(表面)電位が30.8mV以上38.9mV以下であり、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下であるアルミナスラリーを得る工程、及び、
    工程(2):工程(1)で得られたアルミナスラリーとシリカとを混合してアルミナとシリカとを含有する研磨材スラリーを得る工程、を有する、研磨材スラリーの製造方法。
  2. 工程(1)における前記電位調整剤がα−ヒドロキシカルボン酸を含有する、請求項1記載の研磨材スラリーの製造方法。
  3. アルミナがα−アルミナ及び中間アルミナを含有し、シリカがコロイダルシリカを含有する、請求項1又は2に記載の研磨材スラリーの製造方法。
  4. 工程(1)が、アルミナと水と電位調整剤との混合物におけるアルミナのゼータ(表面)電位を測定すること、及び/又は、前記混合物におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を測定することを含む、請求項1から3のいずれかに記載の研磨材スラリーの製造方法。
  5. 工程(3):工程(2)で得られた研磨材スラリーのpHを6.5〜9.5に調整する工程、をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の研磨材スラリーの製造方法。
  6. 工程(1)における前記電位調整剤がクエン酸、酒石酸、又はグリコール酸である、請求項1から5のいずれかに記載の研磨材スラリーの製造方法。
  7. アルミナスラリーとシリカとを混合して得られうるアルミナとシリカの研磨材スラリーであって、前記アルミナスラリーにおけるアルミナのゼータ(表面)電位が30.8mV以上38.9mV以下であり、前記アルミナスラリーにおけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が250ppm以下である、アルミナとシリカの研磨材スラリー。
  8. 酸を含む添加剤液と請求項7記載の研磨材スラリーとを、それぞれ別々の容器に収納された状態で含む、研磨液組成物製造用キット。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の研磨材スラリーの製造方法により研磨材スラリーを調製する工程、及び、前記研磨材スラリーから調製された研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板が垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造方法。
  10. 請求項1から6のいずれかに記載の研磨材スラリーの製造方法により研磨材スラリーを調製する工程、及び、前記研磨材スラリーから調整された研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板が垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、被研磨基板の研磨方法。
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