JP5063339B2 - ハードディスク基板用研磨液組成物、並びにこれを用いた研磨方法及びハードディスク基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハードディスク基板用研磨液組成物、並びにこれを用いた研磨方法及びハードディスク基板の製造方法に関する。
近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小径化のため、記録密度の向上が求められている。記録密度向上をするための一つの手段は、磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることである。ハードディスク基板などの磁気ディスク用基板の製造工程においても、磁気ヘッドの低浮上化を実現するため、研磨後の基板の表面粗さ及び微小うねりの低減など、研磨後の基板の表面品質の向上が求められている。最近では、前記表面品質の向上と生産性の向上との双方を達成するため、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨工程が採用されるようになっている。また、前記多段研磨工程の最後の工程である仕上げ研磨工程では、研磨後の基板の表面品質に重点を置いたコロイダルシリカを使用した仕上げ用研磨液が使用されることが多くなっている。一方、仕上げ研磨工程より前の研磨工程においては、生産性の観点から、研磨速度の速い比較的粒径の大きな砥粒、例えば酸化アルミニウム(アルミナ)などが使用されている。
しかしながら、アルミナを砥粒として使用した場合、研磨の際に基板へ砥粒が突き刺さりやすく、基板へ突き刺さった砥粒が仕上げ研磨工程でも除去されずに残留した場合には、テキスチャースクラッチとして製品の欠陥を引き起こす。また、砥粒の突き刺さりの程度が強いと仕上げ研磨工程で除去されても磁気特性の低下(シグナルノイズ比:SNRの低下)を引き起こす。研磨後の基板への砥粒の突き刺さりを低減することを目的とした研磨剤スラリーは知られているが(特許文献1)、さらに基板の表面品質の改善が可能な研磨液組成物が求められている。また、従来の水平磁気記録方式で採用されていたテキスチャー工程を経ることなく磁性層が形成される垂直磁気記録方式のハードディスク用基板であっても、テキスチャー工程がないことにより基板の研磨工程で発生したアルミナの突き刺さりが低減されず、SNR(シグナルノイズ比)の低下が顕著になることが予想される。
特開2007−168034号公報
本発明は、特定のα−アルミナを砥粒とし、生産性を損なうことなく、研磨後にアルミナの基板への突き刺さりを低減できるハードディスク基板用研磨液組成物、ハードディスク基板の製造方法、及び被研磨基板の研磨方法を提供する。
本発明のハードディスク基板用研磨液組成物は、α−アルミナと水とを含有し、α−アルミナのα結晶化率が20〜70%であり、前記α−アルミナのX線回折スペクトルにおけるα−アルミナ104面由来の回折角2θ(θはブラッグ角)領域35.1〜35.3°内のピークの半値幅が、0.23°以上であり、前記α−アルミナの比表面積が10〜40m2/gであり、前記α−アルミナの平均粒径が0.1〜0.5μmであるハードディスク基板用研磨液組成物である。また、本発明のハードディスク基板の製造方法は、本発明のハードディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記研磨する工程が粗研磨工程であるハードディスク基板の製造方法である。また、本発明の被研磨基板の研磨方法は、本発明のハードディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、前記被研磨基板がハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である研磨方法である。
本発明のハードディスク基板用研磨液組成物によれば、生産性を損なうことなく、アルミナの基板への突き刺さりが低減されて高記録密度に適したハードディスク基板を製造できるという効果が奏される。
本発明は、研磨液組成物の砥粒として特定のα結晶化率、比表面積、二次粒径、及び半値幅を有するα−アルミナを用いるとこにより、経済的な研磨速度を有しつつ、基板へのアルミナ粒子の突き刺さり(以下、単に突き刺さりということがある。)が顕著に低減するという知見に基づく。
即ち、本発明は、一つの態様として、α結晶化率が20〜70%のα−アルミナ(以下、低結晶化α−アルミナということがある。)と水とを含有し、前記α−アルミナのX線回折スペクトルにおけるα−アルミナ104面由来の回折角2θ(θはブラッグ角)領域35.1〜35.3°内のピークの半値幅が、0.23°以上であり、前記α−アルミナの平均粒径が0.1〜0.5μmであるハードディスク基板用研磨液組成物であるに関する。本発明のハードディスク基板用研磨液組成物(以下、本発明の研磨液組成物ともいう)を用いることにより、生産性を損なうことなく、アルミナの基板への突き刺さりが低減され優れた表面平滑性を示し、高記録密度に適したハードディスク基板が提供される。
本発明の研磨液組成物により、研磨速度の維持とアルミナの突き刺さりの低減とをともに達成できる機構についてはいまだ不明であるが以下のように推測している。まず、被研磨基板の研磨は後述の実施例記載の様に、定盤に備えられた研磨パッドで被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、前記定盤に圧力を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことなどにより行うことができる。α結晶化率を低減することで砥粒の硬度が低減され、かつ、砥粒の二次粒径の小径化及び砥粒切れ刃の小型化により研磨時の個々の砥粒・切れ刃への荷重が分散され突き刺さりが効果的に低減されると推測される。なお切れ刃はα−アルミナの結晶子サイズに関係があり、α−アルミナに起因するX線回折ピークの半値幅を比較的広くすることで小型化される。さらに、砥粒の比表面積を小さくしたことで一次粒径が大きくなり機械研磨力が維持されることで経済的な研磨速度が発現すると推測される。
本発明において、アルミナの「突き刺さり」とは、アルミナが基板に押し込まれて残留している状態を指す。この突き刺さりは、後述の実施例のように、シリカを砥粒として含有する研磨液組成物で基板表面をわずかに研磨して基板に付着した砥粒を除去した後、その基板表面を暗視野顕微鏡観察又は原子間力顕微鏡(AFM)若しくは走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって調べることができる。この基板への突き刺さりが低減されることにより基板の表面特性が向上し、SNRの低下抑制が可能となる。
[α−アルミナ]
本発明の研磨液組成物は、砥粒としてα−アルミナを含有する。本発明において、α−アルミナとは、X線回折により結晶中にα−アルミナ特有の構造が認められる結晶性アルミナ粒子の総称である。α−アルミナ特有の構造の有無は、例えば、X線回折スペクトルにおける2θ領域35.1〜35.3°(104面)、43.2〜43.4°(113面)、57.4〜57.6°(116面)などに頂点があるピークの有無により確認できる。なお、本願では特に指示しない限りα−アルミナに特有ピークというときは104面のピークを意味する。
本発明の研磨液組成物におけるα−アルミナのα結晶化率は、20〜70%である。本発明において、アルミナ粒子のα結晶化率とは、WA−1000(α結晶化率99.9%のα−アルミナ、昭和電工(株)製)を用いたX線回折法における2θ=35.1〜35.3°由来の104面のピーク面積を99.9%とした場合におけるα−アルミナ特有ピークの相対面積の数値をいう。前記α結晶化率は、研磨速度向上の観点からは、40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。また、突き刺さり低減の観点からは、α結晶化率は、65%以下が好ましく、64%以下がより好ましい。したがって、研磨速度の向上及び突き刺さり低減の観点から、α結晶化率は、40〜70%が好ましく、45〜65%がより好ましく、45〜64%がさらに好ましい。
本発明の研磨液組成物において、前記α−アルミナ特有ピークの半値幅は、0.23°以上であり、突き刺さり低減の観点から0.24°以上が好ましく、0.25°以上がより好ましい。α−アルミナ特有ピークの半値幅とは、前述したα−アルミナ特有ピークにおいて、その回折線ピーク強度の1/2の強度における回折線の幅のことを言う。この半値幅は、シェラー式に示されるように、α−アルミナの結晶子サイズと相関があり、結晶成長により結晶子サイズが大きくなると半値幅は狭くなる、すなわち、α結晶化率が大きくなると半値幅は狭くなる。
本発明の研磨液組成物におけるα−アルミナの比表面積は、研磨速度の向上及び突き刺さり低減の観点から、10〜40m2/gであり、好ましくは10〜35m2/g、より好ましくは10〜30m2/gである。前記比表面積は、不活性気体の低温低湿環境下でのアルミナ表面への吸着量から測定されるBET法にて測定されたものをいう。具体的には、島津製作所製比表面積測定装置フロソーブ2300などを用いて測定できる。
本発明の研磨液組成物におけるα−アルミナの平均粒径は、突き刺さり、うねり、及び表面粗さの低減の観点から、0.5μm以下であり、0.4μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。また、平均粒径は、研磨速度向上の観点から、0.1μm以上であり、0.15μm以上が好ましい。よって、α−アルミナの平均粒径は、0.1〜0.5μmであり、好ましくは0.15〜0.4μm、より好ましくは0.15〜0.3μmである。α−アルミナの平均粒径は、レーザー回折法による体積中位粒径として測定される。具体的には堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920で測定することができる。
研磨液組成物中のα−アルミナの含有量は、研磨速度向上及び突き刺さり低減の観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、さらにより好ましくは1重量%以上である。また、該含有量は、表面品質向上及び経済性の観点から、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下、さらにより好ましくは20重量%以下である。即ち、研磨液組成物中のα−アルミナの含有量は好ましくは0.05〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜25重量%、さらにより好ましくは1〜20重量%である。
研磨液組成物中の粗大粒子含有量は、突き刺さり低減の観点から好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.15重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下、さらにより好ましくは0.05重量%以下である。この粗大粒子とは、その粒径が、研磨液組成物に用いられるα−アルミナの平均粒径の2.5倍以上である粒子のことを言う。なお、前記粗大粒子は、一次粒子のみならず、一次粒子が凝集した二次粒子をも含むものとする。研磨液組成物中の前記粗大粒子の含有量の測定には、個数カウント方式(Sizing Particle Optical Sensing法)が使用される。具体的には、米国パーティクルサイジングシステムズ(Particle Sizing Systems)社製「アキュサイザー(Accusizer)780」によって、測定できる。
粗大粒子の含有量を制御する方法としては、特に限定はないが、研磨液組成物の製造の際あるいは製造後に、一般的な分散あるいは粒子除去方法を用いることができる。例えば、特定の二次粒子の平均粒径とすべく、湿式の循環式ビーズミルにより均一に解砕したアルミナ粒子スラリーを、更に、静置沈殿法や遠心分離装置等による沈降法、並びに濾過材による精密濾過等により粗大粒子を除去することによって製造することができる。粗大粒子の除去方法については、それぞれ単独で処理しても2種以上を組み合わせて処理しても良く、組み合わせの処理順序についても何ら制限はない。また、その処理条件や処理回数についても、適宜選択して使用することができる。
[中間アルミナ]
本発明の研磨液組成物は、基板のうねり低減の観点から、さらに中間アルミナを含有することが好ましい。本発明において、中間アルミナとは、α−アルミナ以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、及びこれらの混合物等を含む。中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。これら中間アルミナには上述したα−アルミナ特有ピークが見られない。研磨速度向上並びに突き刺さり及びうねり低減の観点からは、α−アルミナと中間アルミナを混合して使用することが好ましく、α−アルミナとθ−アルミナとを混合して使用することがより好ましい。
研磨液組成物中の前記α−アルミナと中間アルミナとの含有量比(α−アルミナ重量/中間アルミナ重量)は、研磨速度向上及び突き刺さり低減の観点から、90/10〜10/90が好ましく、80/20〜30/70がより好ましく、70/30〜50/50がさらに好ましい。
[その他の研磨材]
本発明の研磨液組成物は、さらにその他の研磨材を含有することができる。その他の研磨材としては、例えば、α−アルミナや中間アルミナを除く酸化アルミニウム類(例えば、アモルファスアルミナ)、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、マグネシアなどのアルミナ以外の金属酸化物類、ポリマーや、カーボンブラックなどの有機物砥粒が挙げられる。これらは単独でα−アルミナと併用してもいいし、複数の研磨材をα−アルミナと併用してもよい。これらその他研磨材の中でも突き刺さり低減及びうねりの低減の観点から、酸化アルミニウム類やシリカが好ましく、より好ましくはフュームドアルミナ、コロイダルシリカ、フュームドシリカであり、最も好ましくはコロイダルシリカである。
中間アルミナやその他の研磨材のBET法で測定された比表面積は、好ましくは30〜300m2/g、より好ましくは50〜200m2/gである。
[水]
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水又は超純水等が使用され得る。研磨液組成中の水の含有量は、研磨液組成物の取り扱い性(粘度)の観点から、60重量%以上が好ましく、70%重量%以上がより好ましく、75重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上がさらにより好ましい。また、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、99.9重量%以下が好ましく、99.5重量%以下がより好ましく、99重量%以下がさらに好ましい。即ち、研磨液組成物中の水の含有量は60〜99.9重量%が好ましく、70〜99.9重量%がより好ましく、75〜99.5重量%がさらに好ましく、80〜99重量%がさらにより好ましい。
[酸及び/又はその塩]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上並びに突き刺さり及びうねり低減の観点から、酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸としては、有機酸若しくは無機酸を単独、又はそれらを混合して使用することができる。本発明に用いられる酸としては、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下の酸である。ここで、pK1とは、第1酸解離定数(25℃)の逆数の対数値である。各化合物のpK1は、例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、p316〜325(日本化学会編)等に記載されている。
本発明に用いられる酸及び/又はその塩の具体例を以下に示す。無機酸としては硝酸、塩酸、過塩素酸、アミド硫酸等の一価の鉱酸と、硫酸、亜硫酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の多価鉱酸及びそれらの塩が挙げられる。また、有機酸としてはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、プロパン酸、ヒドロキシプロパン酸、酪酸、安息香酸、グリシン等のモノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の多価カルボン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、エチルリン酸、ブチルリン酸等のアルキルリン酸、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、多価酸及びそれらの塩が好ましく、より好ましくは多価鉱酸、多価カルボン酸、有機ホスホン酸及びそれらの塩、さらに好ましくは多価鉱酸、多価カルボン酸及びそれらの塩である。ここで多価酸とは分子内に2つ以上の、水素イオンを発生させ得る水素を持つ酸をいう。また、被研磨物の表面汚れ防止の観点からは、硝酸、硫酸、アルキルスルホン酸、多価カルボン酸及びそれらの塩が好ましい。
前記酸は単独で用いても良いが、2種以上を混合して使用することが好ましい。特に、Ni−Pメッキ基板のような金属表面を研磨する場合で、研磨中に被研磨物の金属イオンが溶出して研磨液組成物のpHが上昇し、高い研磨速度が得られないとき、pH変化を小さくするためにpK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することが好ましく、pK1が1.5以下の酸とpK1が2.5以上の酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。このような2種以上の酸を含有する場合、研磨速度向上及びうねり低減、かつ入手性を考慮すると、pK1が2.5未満の酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸や有機ホスホン酸を用いることが好ましい。一方、pK1が2.5以上の酸としては、同様な観点から、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸等の有機カルボン酸が好ましく、中でも、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。また、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、pK1が2.5以上の有機カルボン酸を使用する場合は、オキシカルボン酸と2価以上の多価カルボン酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。例えば、オキシカルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。従って、これらをそれぞれ1種以上組み合わせて使用することが好ましく、中でも、クエン酸と多価カルボン酸を組み合わせることが好ましい。
これらの酸の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、有機アミン等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、研磨速度向上、ロールオフ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
研磨液組成物中における酸及び/又はその塩の含有量は、研磨速度向上並びに突き刺さり及びうねり低減の観点から、好ましくは0.002重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上、さらにより好ましくは0.01重量%以上である。また、酸及び/又はその塩の含有量は、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下である。即ち、研磨液組成物中における酸の含有量は、好ましくは0.002〜20重量%、より好ましくは0.005〜15重量%、さらに好ましくは0.007〜10重量%、さらにより好ましくは0.01〜5重量%である。また、研磨速度向上の観点から、pK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸との重量比〔(pK1が2.5未満の酸)/(pK1が2.5以上の酸)〕は、9/1〜1/9が好ましく、7/1〜1/7がより好ましく、5/1〜1/5がさらに好ましい。
[酸化剤]
本発明の研磨液組成物は、研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化物、金属のペルオキソ酸若しくはその塩、又は酸素酸若しくはその塩等が挙げられる。酸化剤はその構造から無機系酸化剤と有機系酸化剤に大別される。無機系酸化剤としては、過酸化水素; 過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物; ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩; ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩; ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩; ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩; ペルオキソクロム酸ナトリウム、ペルオキソクロム酸カリウム等のペルオキソクロム酸塩; 過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩; 過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸ナトリウム、沃素酸カリウム等の含ハロゲン酸素酸塩; 及び塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸アルミニウム等の無機酸金属塩等が挙げられる。有機系酸化剤としては、過酢酸、過蟻酸、過安息香酸等の過カルボン酸類; t−ブチルパーオキサイト、クメンパーオキサイト等のパーオキサイト; 及びクエン酸鉄(III)等の有機酸鉄(III)塩等が挙げられる。これらの内、研磨速度の向上、入手性、及び水への溶解度等の取り扱い性の観点から、無機系酸化剤が好ましい。中でも、過酸化水素、ペルオキソホウ酸ナトリウム、沃素酸ナトリウム及び沃素酸カリウムが好ましい。また、これらの酸化剤は一種でもよいが、二種以上を混合して用いても良い。
酸化剤の研磨液組成物中の含有量は、研磨速度の向上、突き刺さり低減及びうねり低減の観点から、0.002重量%以上が好ましく、0.005重量%以上がより好ましく、0.007重量%以上がさらに好ましく、0.01重量%以上がさらにより好ましい。また、表面品質及び経済性の観点から、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましく、5重量%以下がさらにより好ましい。即ち、研磨液組成物中の酸化剤の含有量は、0.002〜20重量%が好ましく、0.005〜15重量%がより好ましく、0.007〜10重量%がさらに好ましく、0.01〜5重量%がさらにより好ましい。
[分子内にアミノ基及び/又はイミノ基を合計2つ以上有する有機窒素化合物]
本発明の研磨液組成物には、突き刺さりを低減する観点から、分子内にアミノ基及び/又はイミノ基を合計2つ以上有する有機窒素化合物を含有することが好ましい。分子内のアミノ基及びイミノ基の数としては、研磨速度向上、突き刺さり低減の観点から、2〜2000が好ましく、2〜1000がより好ましく、2〜50がさらに好ましい。具体的には、ポリアルキレンイミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビス(3−アミノプロピル)アミン、1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。前記ポリアルキレンイミン類とは、代表的には、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブタジエンイミン等が挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、シクロ構造のものが挙げられる。その数平均分子量としては、研磨速度向上、突き刺さり低減の観点から、150〜100000が好ましく、200〜30000がより好ましく、200〜10000がさらに好ましく、300〜2000がさらにより好ましい。これらの中でも、研磨速度向上、突き刺さり低減の観点から、ポリエチレンイミンが好ましい。
また、本発明の研磨液組成物中の前記有機窒素化合物の含有量としては、研磨速度向上及び突き刺さり低減の観点から、0.001〜0.5重量%が好ましく、0.001〜0.3重量%がより好ましく、0.001〜0.1重量%がさらに好ましい。
[研磨液組成物のpH]
本発明の研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及びうねり低減の観点と、加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点とから4未満が好ましく、0.1〜3.5がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜3であり、さらにより好ましくは1〜3である。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
[その他の成分]
また、本発明の研磨液組成物には、さらなる研磨速度の向上、突き刺さり低減、及びその他の目的に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。研磨液組成物中における前記他の成分の含有量は、経済性の観点から、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
さらに、本発明の研磨液組成物には、他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。研磨液組成物中におけるこれらの殺菌剤及び抗菌剤等の含有量は、機能を発揮する観点、並びに研磨性能への影響及び経済性の観点から、好ましくは0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002〜0.02重量%である。
[被研磨基板(研磨対象)]
本発明の研磨液組成物を用いて研磨を行う被研磨基板(研磨対象)としては、通常、ハードディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられる。前記被研磨基板の具体例としては、アルミニウム合金にNi−P合金をメッキした基板が代表的であるが、アルミニウム合金の代わりにガラスやグラッシュカーボンを使用し、これにNi−Pメッキを施した基板、あるいはNi−Pメッキの代わりに、各種金属化合物をメッキや蒸着により被覆した基板を挙げることができる。研磨後の基板におけるアルミナ突き刺さり低減の効果は、Ni−Pメッキが施された基板の場合に顕著である。また、同効果は、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に使用される被研磨基板の場合にも顕著である。
[研磨液組成物の調製方法]
本発明の研磨液組成物の調製方法は、何ら制限されず、例えば、アルミナ粒子、酸又はその塩、及び酸化剤を適当な水系媒体に混合することによって調製できる。前記アルミナ粒子及びシリカ粒子の分散は、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。本発明の研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、上述した範囲であるが、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。前記濃縮物は、使用前あるいは使用時に希釈して使用することができる。
[ハードディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、ハードディスク基板の製造方法に関する。本発明のハードディスク基板の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」と称することがある。)を有する。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨は、定盤に備えられた研磨パッドで被研磨基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、前記定盤に圧力を加えながら研磨パッドや被研磨基板を動かすことなどにより行うことができる。本発明の研磨液組成物は、そのまま使用してもよいし、前述した濃縮物であれば希釈して使用すればよい。前記濃縮物を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(砥粒の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。被研磨基板としては、上述のものを使用でき、前記研磨パッドは、特に制限されず、例えば、多孔質の有機高分子系の研磨布など従来公知のものを使用できる。本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、突き刺さり低減及び生産性(研磨速度)の観点から、1〜20kPaが好ましく、より好ましくは2〜15kPa、さらに好ましくは3〜10kPa、さらにより好ましくは4〜8kPaである。なお、前記研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力を意味する。前記研磨荷重の調整は、定盤や基板等への空気圧や重りの負荷によって行うことができる。また、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における本発明の研磨液組成物の供給速度は、低コストの面及び研磨速度の観点から、被研磨基板1cm2あたり0.01〜0.25mL/分が好ましく、より好ましくは0.025〜0.2mL/分、さらに好ましくは0.05〜0.16mL/分である。本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程におけるその他の研磨条件(研磨機の種類、研磨温度等)については特に限定はない。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨によれば、好ましくは、研磨速度を低下させることなく研磨後の基板における砥粒の突き刺さり及びうねりが低減される。したがって、本発明の製造方法によれば、高記録密度化に適したハードディスク基板を好ましくは提供できる。また、本発明の製造方法における「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」は、ポリッシング工程として特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。本発明の製造方法を用いて得られたハードディスク基板は、好ましくは、アルミナの突き刺さりが顕著に低減されて表面品位が向上していることから、例えば、高記録密度化に適したものである。また、本発明の製造方法は、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造にも適している。
本発明の製造方法は、その他の好ましい実施形態として、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式であって、最終工程である仕上げ研磨工程よりも前の工程、即ち粗研磨工程で、前述の「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」を行なうことを含むハードディスク基板の製造方法、という実施形態をとり得る。仕上げ研磨工程で使用する研磨液組成物においては、ハードディスク基板の表面品質の観点、例えば、うねりの低減、表面粗さの低減、スクラッチ等の表面欠陥の低減の観点から、砥粒の平均一次粒径(例えば、体積中位径)は0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることがさらに好ましく、0.03μm以下であることがさらにより好ましい。また、研磨速度向上の観点から、該平均一次粒径が0.005μm以上であることが好ましく、0.01μm以上であることがより好ましい。
仕上げ研磨工程で使用される研磨液組成物中の研磨粒子としては、フュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、表面粗さの低減、及びスクラッチ等表面欠陥の低減の観点から、コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒径(例えば、体積中位径)としては、0.005〜0.08μmが好ましく、0.005〜0.05μmがより好ましく、0.01〜0.03μmがさらに好ましい。
仕上げ研磨工程において、平均一次粒径が0.005〜0.1μmの研磨粒子を使用する場合、表面粗さの低減、アルミナ粒子の突き刺さりの低減の観点、及び生産性(研磨時間)の観点から、研磨量は、0.05〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.4μmがより好ましく、0.2〜0.4μmがさらに好ましい。仕上げ研磨を行なう際の他の条件(研磨機の種類、研磨温度、研磨速度、研磨液の供給量等)については特に限定はなく、研磨荷重としては、前記の「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」において例示される研磨荷重と同様であればよい。なお、研磨量は、後述の実施例のようにして求めることができる。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む被研磨基板の研磨方法であって、前記被研磨基板がハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、基板へのアルミナの突き刺さりが顕著に低減された基板を得ることができる。本発明の研磨方法における前記被研磨基板は、垂直磁気記録方式用ハードディスク基板の製造に用いる基板を含む。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、上述のとおりとすることができる。
1.α−アルミナの製造
ベーマイトを電気炉中で下記表1に示す温度・時間で焼成し、α−アルミナ及び中間アルミナを得て、これらを水に分散させ、固形分約50%のスラリーとした後、ビーズミルにて粉砕した。次に、硝酸を用いてpH3に調整した固形分10%のスラリーを均一撹拌後に3〜10時間静置する静置沈殿法を3〜5回繰り返して粗大粒子を除去し、下記表1の示すNo.1〜14のアルミナを得た。No.1〜3は、中間アルミナ、No.4〜14は、α−アルミナである。なお、α結晶化率、平均粒径、比表面積、粗大粒子量、及び半値幅は、以下のようにして測定した。
α結晶化率及び半値幅の測定
アルミナスラリー20gを105℃、5hr乾燥させ、得られた乾燥物を乳鉢で解砕して粉末X線回折用サンプルを得た。各サンプルを粉末X線回折法にて分析し104面におけるピーク面積を比較した。粉末X線回折法による測定条件は下記のとおりとした。
測定条件;
装置:(株)リガク製、粉末X線解析装置 RINT2500VC
X線発生電圧:40kV
放射線:Cu−Kα1線(λ=0.154050nm)
電流:120mA
Scan Speed:10度/min
測定ステップ:0.02度/min
α結晶化率(%)=αアルミナ特有ピーク面積÷WA−1000のピーク面積×100
また、各ピークの半値幅及び面積は、得られた粉末X線回折スペクトルから、粉末X線回折装置付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE(MDI社)を用いて算出した。上記ソフトによる算出処理は、上記ソフトの取扱説明書(Jade(Ver.5)ソフトウェア、取扱説明書 Manual No.MJ13133E02、理学電機株式会社)に基づいて算出した。
平均粒径の測定
以下の測定条件で二次粒子の粒径(D10、D50及びD90)を測定した。なお、D10、D50及びD90とは、小粒径側からの積算粒径分布(体積基準)がそれぞれ10%、50%及び90%となる粒径であり、このうち、D50を平均粒径とする。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
比表面積の測定
アルミナの比表面積は、BET法により測定した。具体的には、アルミナスラリーを105℃で乾燥させた後、メノウ乳鉢で粉砕し測定試料とした。次いで、島津製作所製比表面積測定装置フロソーブ2300により前処理として120℃で乾燥し、測定した。
粗大粒子量の測定
上記で測定した平均粒径よりも、2.5倍以上大きな粒径である粗大粒子量の測定は、下記装置及び条件で、個数カウント方式により行った。
測定機器:PSS社製 「アキュサイザー780APS」
Injection Loop Volume:1ml
Flow Rate:60mL/min
Data Collection Time:60sec
Number Channels:128
Figure 0005063339
2.研磨液組成物の調製
上記表1のα−アルミナ(No.4〜14のアルミナ)、中間アルミナ(No.1〜3のアルミナ)、添加剤及びイオン交換水を用い、表2に示す組成となるように配合、撹拌することで、下記表2の実施例1〜11及び比較例1〜8の研磨液組成物を調製した。
3.基板の研磨
調製した実施例1〜11及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いて、下記の研磨条件で被研磨基板を研磨した。
被研磨基板
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mm、「Zygo社製 NewView5032」を用いた測定におけるうねり(波長:0.5〜5mm)の振幅が1.6nmであった。
研磨条件
研磨試験機 :両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム(株)製)
研磨パッド :フジボウ(株)製 1P用研磨パッド 孔径45μm
定盤回転数 :50rpm
研磨荷重 :9.8kPa(設定値)
研磨液供給量 :100mL/min
研磨量(片面) :130mg
投入した基板の枚数:10枚
4.評価方法
研磨速度の評価
実施例1〜11及び比較例1〜8の研磨液組成物を用いたときの研磨速度は、以下の方法で評価した。まず、研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を重量減少量とし、それを研磨時間で割った値を重量減少速度とした。この重量減少速度を下記の式に導入し、研磨速度(μm/min)に変換した。その結果を下記表2に示す。
研磨速度(μm/min)=重量減少速度(g/min)/基板片面面積(mm2)/
Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積:6597mm2、Ni−Pメッキ密度:7.9g/cm3として算出)
アルミナ粒子の突き刺さりの評価
研磨後の基板を、以下の仕上げ用研磨液組成物を用いて研磨量が0.035μm±0.005μmとなるように研磨した後の基板表面を観察することにより、アルミナ粒子の突き刺さりを評価した。その結果を下記表2に示す。仕上げ用研磨液組成物の組成、研磨条件、研磨量の測定方法、突き刺さりの観察方法及び評価基準を以下に示す。
仕上げ用研磨液組成物;
コロイダルシリカスラリー(デュポン社製、一次粒子の平均粒径0.02μm)をシリカ粒子濃度として7重量%、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ソルーシアジャパン製)を有効分として2重量%、過酸化水素(旭電化製)を有効分として0.6重量%、及びイオン交換水を残分として含有する研磨液組成物を用いた。
研磨条件;
研磨試験機 :スピードファム(株)製、両面9B研磨機
研磨パッド :フジボウ(株)製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド
定盤回転数 :32.5r/min
研磨液組成物供給量 :100mL/min
研磨時間 :0.5〜1.5min(研磨量(片面)が0.035μm±0.005μmとなるように調整)
研磨荷重 :4.1kPa
投入した基板の枚数 :10枚
研磨量の測定方法;
研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、下記式に導入することにより、研磨量を求めた。
重量減少量(g)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}
研磨量(μm)=重量減少量(g)/基板片面面積(mm2)/2/Ni−Pメッキ密度(g/cm3)×106
(基板片面面積は、6597mm2、Ni−Pメッキ密度8.4g/cm3として算出)
突き刺さりの観察方法;
オリンパス光学製顕微鏡(本体BX60M、デジタルカメラDP70、対物レンズ200倍、中間レンズ2.5倍)を使用し、暗視野観察(視野550×420μm)により突き刺さった砥粒を輝点として検出し、その数を測定した。上記観察は、研磨後の10枚の基板から任意に2枚を選択し、基板の両面について中心から30mmの位置を90°ごとの各4点、計16点観察した。観察した画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込み、画像解析ソフトWinRoof(三谷商事)にて輝点数を求めた。そして、観察された輝点数の平均値を砥粒の突き刺さり数とした。
突き刺さり評価基準;
8:突き刺さり数が0〜100
7:突き刺さりが101〜300
6:突き刺さりが301〜500
5:突き刺さりが501〜800
4:突き刺さりが801〜1000
3:突き刺さりが1001〜1500
2:突き刺さりが1501〜2000
1:突き刺さりが2001以上
Figure 0005063339
上記表2に示される通り、実施例1〜11の研磨液組成物を用いた場合、比較例1〜8の研磨液組成物に比べ、研磨速度を維持したまま基板への砥粒の突き刺さりが顕著に低減されることが分かる。
本発明を用いることにより、例えば、高記録密度化に適したハードディスク基板を提供することができる。

Claims (7)

  1. α−アルミナと水とを含有するハードディスク基板用研磨液組成物であって、
    前記α−アルミナのα結晶化率が、20〜70%であり、
    前記α−アルミナのX線回折スペクトルにおけるα−アルミナ104面由来の回折角2θ領域35.1〜35.3°内のピークの半値幅が、0.23°以上であり、
    前記α−アルミナの比表面積が、10〜40m2/gであり、
    前記α−アルミナの二次粒子の平均粒径 50 が、0.1〜0.5μmである、ハードディスク基板用研磨液組成物。
  2. 前記α−アルミナのα結晶化率が、40〜70%であり、前記α−アルミナの比表面積が、10〜30m2/gである、請求項1記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  3. さらに、中間アルミナを含む、請求項1又は2記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  4. さらに、分子内に2以上のアミノ基及び/又はイミノ基を有する有機窒素化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  5. pHが4以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のハードディスク基板用研磨液組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むハードディスク基板の製造方法であって、前記研磨する工程が粗研磨工程である、ハードディスク基板の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む被研磨基板の研磨方法であって、前記被研磨基板がハードディスク基板の製造に用いる基板であり、前記研磨する工程が粗研磨工程である、研磨方法。
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