以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[印刷システム1000を含む印刷環境10000全体のシステム構成の説明]
本実施形態は、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等のオフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。ゆえに、ここでは、印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1の印刷環境10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本実施形態の特徴の1つである。
なお、本実施形態では、この印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、POD環境にも適しているがゆえに、POD印刷システム10000と呼ぶ。
図1のPOD印刷システム10000は、構成要素として、本実施形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ103、クライアントコンピュータ104(これを、以下PCと呼ぶ)を具備する。また、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPOD印刷システム10000に用意されている。
印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置100及びシート処理装置200を具備する。なお、印刷装置100の1例として、本実施形態では、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を具備する複合機で説明するが、PC機能のみ或いはコピー機能のみの単一機能型の印刷装置であっても、良い。なお、この複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なデバイスであるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。
断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。ただし、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物をこの印刷装置100の排紙部からオペレータが取り出し、かつ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後にオペレータによる介入作業を要する。
換言すると、印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合には、印刷装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100からシート処理装置200に対しては、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給できるように構成されているからである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に、連結可能に構成している。このように、印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200と印刷装置100は、互いに、物理的接続関係にあるからである。かつ、印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、CPUを具備し、データ通信可能に構成されている。このように印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、電気的接続関係にあるからである。
なお、本実施形態では、本印刷システムが具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。この1例として、ここでは、図2の印刷装置100内部のコントローラ205が統括制御を行う。なお、本実施形態では、これらシート処理装置のことを、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPOD印刷システム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は、全て、ネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置からネットワーク101を介して送信された印刷実行要求がなされた処理対象となるジョブの印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
また、例えば、ネットワーク通信により他の装置とのデータの送受を実行することで、サーバPC103は、POD印刷システム10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。サーバPC103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、POD印刷システム10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。かつ、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際に、サーバ103が、JDFなどの情報交換ツールを用いて、ポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPOD印刷システム10000における本実施形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本実施形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1] 以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容できるように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置とできるように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、104等)とデータ通信可能に電気的接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、上記の如く、シート処理装置200は、印刷装置100と物理的接続関係にあり、かつ、印刷装置100と電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義2] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、これらのシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかし、少なくとも、ネットワーク101を介して、PC103やPC104等の他装置とデータ通信可能な電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義3] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。ゆえに、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、このシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかも、ネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可な、電気的接続関係ではない、シート処理装置であるからである。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備するPOD印刷システム10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
例えば、断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理、等の様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む所望の製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。かつ、POD印刷システム10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
なお、本実施形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。また、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
ここで、本実施形態の更なる着目点について説明しておく。図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、と、この印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。シート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、直接的に、シート搬送路を介して、受容可能な装置である。かつ、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。この点は、上記インラインタイプのシート処理装置である点からも明白である。
ここで特筆すべきは、本実施形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として、定義することも可能である点である。というのも、本実施形態では、シート処理装置200として、互いに独立筐体でかつ独立使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されているからである。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している構成である。換言すると、図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列的に接続されている。ここでは、このように複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される、一連のシート処理装置群200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本実施形態で取り扱っている。かつ、印刷システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。このような特徴点も具備している。なお、この構成については、図3等を用いて後述する。
[印刷システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図でもって説明する。ここでは、印刷システム1000が具備する図2に示す各ユニットのうちのシート処理装置200(厳密にいえば、複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは、全て印刷装置100内部に具備している。換言すると、シート処理装置200は、印刷装置100に対して、着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、POD環境にて、必要なインラインフィニッシャを、必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。ゆえに、以下のような構成となっている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスクドライブ209(以下、HDDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。かつ、印刷装置100自身が具備するスキャナ部201から受け付けたジョブデータを、HDD209を介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。かつ、PC103、104等の外部装置から通信部の1例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受け付けたジョブデータを、HDD209を介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を具備する。このような複数の機能を具備したMPFタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
なお、換言すると、本実施形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本実施形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本実施形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を具備する。また、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を具備する。また、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受け付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なHDD209を具備する。またHDD209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を具備する。また、印刷装置100は、印刷システム1000が具備するユーザインタフェース部の一例に該当する、表示部を有する操作部204も、具備する。印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103や104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述する図22,29に示すフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本実施形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。また、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。
コントローラ205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本実施形態にて説明する各種の動作を印刷装置100により実行させる。外部I/F202を介して外部装置(103や104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。コントローラ205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。また、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行可能にコントローラ205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の1例としてのコントローラ205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む、印刷システム1000のメカ構成について、図3等でもって説明する。
[印刷システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図でもって説明する。
なお、上述したように、印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。また、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限下のもと、本実施形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
ゆえに、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。かつ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、、、、、と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。なお、図1〜図3では、説明上、シート処理装置200の形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際の、メカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ(以下制御部又はCPUと呼ぶ)205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。
図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。なお、本実施形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明する。なお、4DタイプのカラーMFP、白黒MFPも、本実施形態の印刷装置の一例であるが、ここでは説明を割愛する。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、
転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313及び両面トレイ314を具備する。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。コントローラ205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。かつ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、シートをスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様にしてシートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へとシートを排出させる。コントローラ205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を印刷装置100により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。また、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズでかつ各種のマテリアルのシートを、これらの給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排紙ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
コントローラ205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。コントローラ205は、UI部を介してユーザから受け付た印刷実行要求に基き、データ発生源からHDD209に記憶させたジョブの印刷データの印刷処理を、上記方法でもって、プリンタ部203により、実行させる。
なお、例えば、印刷実行要求を操作部204から受け付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。また、印刷実行要求をホストコンピュータから受け付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
また、コントローラ205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHDD209に記憶させ、かつ、先頭ページから順番にHDD209からそのジョブの印刷データを読み出して、シート上にその印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。かつ、コントローラ205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着器308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作を排紙フラッパ309、排紙ローラ312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御もコントローラ205は実行する。
次に、印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本実施形態の印刷システム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば、可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくとも、プリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば、印刷装置100が具備する排紙ローラ310を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を具備するシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
とはいうものの、本実施形態の効果を向上させる為の1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に印刷システム1000を構築可能に構成している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるがゆえに、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を全く利用しない(即ち、0台)場合でも、本実施形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
また、例えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
ただし、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるがゆえに、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、例えば、本発明はこのような構成に限定解釈されない。1例として、例えば、印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成でも装置構成でもあっても、本発明に包含される。
なお、印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等は、後述する。
[印刷システム1000のUI部の1例に該当する操作部204の構成]
図4等を用いて、印刷システム1000の印刷装置100が具備する印刷システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル401を、有する。
図5に示すように、キー入力部402は、電源スイッチ501を具備する。この電源スイッチ501の操作に応答し、コントローラ205は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止して、消費電力を抑えている状態)とを切換る。コントローラ205は、この電源スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置100に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受け付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、テンキー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、かつ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受け付る為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。このタッチパネル401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。タッチパネル401は、操作者からの各種設定を受け付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、コントローラ205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従う。そして、タッチパネル401にそのキー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。なお、図6は、印刷装置100の状態がスタンバイモード時(印刷装置100により処理すべきジョブが無い状態)にタッチパネル401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示すタッチパネル401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置100が具備するコピー機能の操作画面をタッチパネル401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置100が具備するファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面をタッチパネル401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置100が具備するボックス機能の操作画面をタッチパネル401に表示させる。
なお、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。当該機能にて、コントローラ205は、例えば、複数のボックスのうち、ユーザが所望のボックスを、ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、コントローラ205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、ユーザにより選択されたボックスに対して、印刷装置100のスキャナ部201から受け付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。
また、外部I/F部202を介し受け付た外部装置(例えばホストコンピュータ103や104等)からのジョブの文章データ等も、外部装置のユーザインタフェース部を介して指定されたユーザ指示に従い、ユーザが指定したボックスに、記憶可能にする。また、コントローラ205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、所望の出力形態で、例えば、プリンタ部203により印刷させたり、ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御したりする。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、コントローラ205は、ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、タッチパネル401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。また、コントローラ205は、図6のタッチパネル401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面をタッチパネル401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面をタッチパネル401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面をタッチパネル401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかをユーザにより設定可能にする画面をタッチパネル401に表示させる。また、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、コントローラ205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)をこのユーザにより設定可能にする画面をタッチパネル401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、コントローラ205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードをこのユーザにより選択可能にする為の画面をタッチパネル401に表示させる。また、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
また、図6を参照し、コントローラ205は、タッチパネル401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、印刷装置100にて発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させる為の表示を実行させる。また、コントローラ205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、表示欄607に、表示させる。また、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させる為の情報を、表示欄616に、表示させる。また、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させる為の情報や、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報を、表示欄610に、表示させる。このように、コントローラ205は、ユーザに通知すべき各種情報をタッチパネル401に表示させる。
更に、コントローラ205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、印刷装置100により印刷中のジョブの印刷を停止させ、このユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面をタッチパネル401に表示させる。
ここで、本実施形態の更なる着目点の1例について述べておく。
コントローラ205は、処理対象となるジョブの為の設定として、印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200が具備するシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示をUI部により実行させる。この表示をこのUI部に実行させる為の指示自体をユーザから受付可能にする表示もこのUI部により実行させる。
この1例として、例えば、コントローラ205は、タッチパネル401に図6のシート処理設定キー609を表示させる。このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、コントローラ205は、印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を、タッチパネル401に、実行させる。なお、この図7の表示に例示する「シート処理設定キー609」のことを、図19以降で例示では、「フィニッシングキー」とも呼ぶ。即ち、同じ機能ボタンを意味する。ゆえに、後述する説明では、「シート処理」のことを「フィニッシィング」とも呼ぶ。また、「パンチ処理」に関しても、POD環境では、様々なパンチ処理(印刷済みのシートに対する穿孔処理)を行うニーズが想定される。
そこで、図19以降の例示では、複数種類のパンチ処理に該当する、「2穴パンチ(シートの綴じ辺に該当するシート端部に2箇所穴をあける処理)「多穴パンチ(シートの端部に30穴等の多数の穴をあける処理)」を例示している。これらの処理は、上記構成に対応すべく、図8A〜図10Bに示す中綴じ製本機が具備するパンチユニットにより実行可能にするものとする。換言すると、これ以外の装置やユニットを用いて、これらのパンチ処理を実行可能に構成しても良い。ただし、上記例示の如く、インラインフィニッシャの定義に該当する装置を印刷システム1000にて利用を許可し、これに該当しない装置は印刷システム1000での利用を禁ずるよう構成する。
例えば、ここでは、シート処理設定キー609がユーザにより押下されたことに応答し、タッチパネル401に図7の表示を実行させる。コントローラ205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
ただし、コントローラ205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、印刷システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて、決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受け付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、コントローラ205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
換言すると、印刷システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を印刷システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。例えば、コントローラ205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受け付けないように制御する。更に、換言すると、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を印刷システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示キーを、図7の表示にて、有効表示状態にするよう制御する。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受け付けることを許可する。このような表示制御も、本実施形態にて、後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
また、このような制御を実行するうえで、コントローラ205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、印刷システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。また、このシート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、コントローラ205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が、印刷装置100が接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基いて自動獲得する。このような構成を前提とし、コントローラ205は、当該獲得した情報に基いた表示内容でもって、図7の表示を、タッチパネル401に実行させる。
なお、印刷システム1000は、PC103、104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、このジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となるこの外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。この1例として、ここでは、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、PC103や104のコンピュータの表示部に表示させている。ただし、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、外部装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、PC103やPC104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、そのPCのCPUが実行する。
[本実施形態にて制御対象となる印刷システム1000の具体的システム構成例]
本実施形態の特徴点に関し、印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等のシステム構成に関し、図8A、8B等を用いて説明する。
本実施形態は、図1〜図3に示す印刷システム1000として、例えば、図8A、8Bのようなシステム構成を構築可能に構成している。
図8Aのシステム構成例は、印刷システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置群200として、具備していることを意味する。尚かつ、図8Aの構成例は、印刷システム1000が具備する印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という、接続順序で、接続されていることを意味する。印刷システム1000が具備する制御部の1例に該当するコントローラ205は、図8A、8Bのようなシステム構成からなる印刷システム1000を統括的に制御する。
ここで、大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
また、糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを、表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。また、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理もこの糊付け製本機により実行可能である。この糊付け製本機は、少なくとも、くるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるがゆえに、くるみ製本機とも呼ぶ。
また、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本実施形態では、コントローラ205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、コントローラ205は、印刷システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 印刷システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備していることをコントローラ205により確認可能にする為の装置有無情報。このように、印刷システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2) 印刷システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備していることをコントローラ205により確認可能にする為のインラインシート処理装置の台数情報。このように、印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、印刷システム1000が具備していることをコントローラ205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、印刷システム1000にて具備するインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4) 上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行可能な大容量スタッカであることをコントローラ205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置あることをコントローラ205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、が、選択的に実行可能な中綴じ製本装置であることをコントローラ205により確認可能にする情報。換言すると、本システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類であることをコントローラ205により特定可能にする為の情報。このように、印刷システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にする為の情報が、これに該当する。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されていることをコントローラ205により確認可能にする為の情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の本システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)で示すが如くの、各種情報を、コントローラ205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HDD209に登録する。かつ、コントローラ205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として、利用する。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図8Aのようなシステム構成であるとする。このシステム構成にてコントローラ205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
例えば、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能である。この事実は、コントローラ205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基いて、認識する。かつ、当該認識結果に基いて、コントローラ205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。かつ、このコントローラ205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、このUI部を介して処理対象ジョブの為にステイプル処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為にパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に折り処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為にくるみ製本処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、そのジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に天糊製本処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に大量積載処理の実行要求をユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、当該要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8Aのシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、コントローラ205は、印刷システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。かつ、本実施形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受け付けたことに応答し、ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。かつ、そのプリント処理がなされたジョブのシートに対してジョブにて要するシート処理を印刷システム1000のシート処理装置により実行させる。
尚かつ、本実施形態の特徴点の1例として、コントローラ205は、以下のような制御も印刷システム1000にて実行する。
例えば、印刷システム1000が図8Aのようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。かつ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bでは、印刷システム1000全体の装置断面図を示している。かつ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図8Bに示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、夫々、具備する構成である。
かつ、図8Bのシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受け取る機能を具備する。かつ、前段装置から受け取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
このように、本実施形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を具備する。この構成も、本実施形態の特徴点の1例である。
以上が如くのシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8A、8Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、その個所からスタッカジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図8BのA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、その個所から糊付け製本ジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
更に、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。シート処理としては、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が挙げられる。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたそのジョブのシートを、図8BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
なお、図8Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、シート処理毎に排紙先を異ならせる構成であることに起因する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本実施形態の制御部の一例に該当するコントローラ205は、HDD209に記憶された印刷システム1000のシステム構成情報に基いたペーパハンドリング制御も、実行する。
なお、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。また、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8A、8B等で説明したように、本実施形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。かつ、図8A、8B及び後述する図9A、9Bや図10A、10Bを対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に接続したり、外したり、自由な組合せで、印刷装置100に対して、取付可能に構成している。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。ただし、本実施形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
例えば、印刷システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、以下の構成要件を具備する装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、かつ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備するシート処理装置。例えば、ここでは、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示す、大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
尚かつ、本実施形態では、上記構成に該当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として印刷システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能である反面、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段の装置へ渡すシート搬送機能を具備しない、シート処理装置。例えば、ここでは、図8A、8Bや後述する図9A、9Bや図10A、10Bのシステム構成で示す、中綴じ製本機が、これに該当する。ただし、このような装置に対しては制約事項を設けている。
例えば、上記の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8A、8Bの中綴じ製本機)を印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。ただし、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。ただし、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、印刷システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように本システムにて構成する事は禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう本システムが具備する制御部は印刷システム1000を統括的に制御する。
この1例として、例えば、コントローラ205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。また、例えば、上述した構成が如く、複数台のシート処理装置の接続順番を、UI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、コントローラ205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本実施形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本実施形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本実施形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、印刷システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
例えば、インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、POD印刷システム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。かつ、印刷システム1000は、当該システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
例えば、図8Aのシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の1例として、図9Aのようなシステム構成も構築可能に印刷システム1000を構成している。
図9Aのシステム構成は、図8Aのシステム構成と比較して、印刷システム1000が具備する複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図9Bに示すような構成になる。
図9Bは、印刷システム1000の構成が図9Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。かつ、図9Bのシステム構成は、図9Aのシステム構成の内部構成に対応している。
図9Bのシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図9Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、プリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
しかも、図9A、9Bのシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図9A、9Bに示すシステム構成である場合、上記方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図9A、9Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図9BのA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、その個所からそのスタッカジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図9のシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたそのジョブのシートを、図9BのA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、その個所からその糊付け製本ジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。シート処理とは、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理である。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたそのジョブのシートを、図9BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
なお、図9Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、シート処理毎に排紙先を異ならせる構成であることに起因する。
以上の、印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8A、8B、図9A、9Bに例示した如く、印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本実施形態で上述する効果を最大限に発揮する為の仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本実施形態では、図8A、8Bや図9A、9Bのようなシステム構成以外の構成も、印刷システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
例えば、図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台具備するシステム構成を説明した。本実施形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この1例として、図10Aのようなシステム構成も構築可能に印刷システム1000を構成している。図10Aのシステム構成は、図8Aや図9Aのシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図10Bに示すような構成になる。
図10Bは、印刷システム1000の構成が図10Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。かつ、図10Bの装置構成は、図10Aの装置構成に対応している。
図10Bの装置内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図10Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、具備する。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
この構成を前提として、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図10A、10Bに示すシステム構成の場合、上記方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図10A、10Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたそのジョブのシートを、図10BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図10Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図10Bのシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、その個所からそのスタッカジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図10Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブとする。シート処理としては、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が挙げられる。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図10A、10Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図10BのA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
なお、図10Bの排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、シート処理毎に排紙先を異ならせる構成であることに起因する。
以上の、印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
ただし、コントローラ205は、図10A、10Bのシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(exくるみ製本処理or天糊製本処理)の実行要求をユーザから受け付けることを禁止する。
例えば、本印刷システムが図10A、10Bのようなシステム構成状況である場合において、図7の表示をUI部に実行させる際には、キー707及びキー708が網掛け表示やグレーアウト表示になるよう制御する。換言すると、キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、印刷システム1000が図10A、10Bのようなシステム構成である場合には、コントローラ205は、糊付け製本処理を印刷システム1000にて実行することを禁止する。この、印刷システム1000が図10のシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する制御が、図10Bの(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、コントローラ205は、印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、印刷システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8A〜図10B等の説明からも明らかなように、印刷システム1000が具備する制御部は、印刷システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を印刷システム1000にて実行する。
なお、何故、本実施形態にて印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
例えば、まず、なぜ、印刷システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置は、各々、独立筐体でかつ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の1例としては、例えば、印刷システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
換言すると、例えば、本システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別であることに対処する仕組みを提供する為である。
また、なぜ、印刷システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを、可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ、図8A、8Bや図9A、9Bに示すが如く、インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、印刷システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
例えば、図1のPOD印刷システム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、ユーザマニュアルやガイドブック等、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8A、8Bのような接続順序で印刷システム1000を構築するよりも、図9A、9Bのような接続順序で印刷システム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行する為に必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的であることに起因する。
例えば、シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。また、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8A、8Bのシステム構成よりも図9A、9Bのシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。かつ、迅速に印刷物を取出すことができる。
換言すると、例えば、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図9A、9Bのシステム構成よりも図8A、8Bのシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。かつ、迅速に印刷物を取出すことができる。
このように、本実施形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような印刷システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8A〜図10Bで例示した印刷システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図11は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図11に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、エスケープパスである。1つは、スタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
なお、図11の大容量スタッカ及び後述する図12の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受け取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、ここではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、印刷装置100が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
また、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取り出しを簡略化するべく、エスケープパスに印刷物を搬送して、そのトレイから印刷物を取出可能にする。
なお、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカのCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量スタッカからの情報に基き、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。なお、印刷システム1000の構成として、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この大容量スタッカのセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また更に、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、該装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、印刷システム1000が図8A〜図10Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、コントローラ205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図11のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。コントローラ205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによる実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、印刷システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。コントローラ205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図12は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
当該糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図12に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、本身パスである。1つは、表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図12の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、該装置が具備する糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
なお、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この糊付け製本機からの情報に基き、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。なお、印刷システム1000の構成として、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、図12の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、本実施形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。かつ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、ここでは「本身」と呼ぶ。かつ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するようコントローラ205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、例えば、コントローラ205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、以下のように当該装置を制御する。
例えば、プリンタ部203で印刷されたシートを、図12の本身パスを介して、順次スタック部に蓄える。かつ、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、該スタック部に蓄えたうえで、表紙パスを介して、該ジョブにて要する表紙用のシートを、搬送させる。
なお、くるみ製本に関し、本実施形態の特徴点の1つに関連する事項が存在する。例えば、ここにて糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、当該糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも、圧倒的に多い。例えば、くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理することを許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理と、その他のシート処理では、圧倒的に異なる。
このように、本実施形態では、コントローラ205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。かつ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして全く新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且、後述する制御に関連する構成である。
なお、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図12に示すが如く、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。また、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、当該表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
また、上述したように、本実施形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。換言すると、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは全く構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。本実施形態では、このような点についても、着目している。
このように、本実施形態では、例えば、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の全く新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した、印刷システム、製品の、実用化を目指す為の仕組みを採用している。換言すると、例えば、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では全く未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。また、図8A〜図10Bに例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすが為の仕組みである。
ここで、特筆すべきは、例えば、本実施形態は、単に、上記のような新規の機能やシステム構成を具備する事のみに留まらず、当該機能構成を採用する事で想定されうるユースケースやユーザニーズ等、対処すべき課題を事前に発見検討している点である。かつ、その課題に対する解決手法となる構成要件をも具備する点が特徴点の1つに該当する。このように、本実施形態では、事務機メーカが新規市場の開拓参入するうえで、新規に搭載する機能やシステム構成に対する市場要望等を、課題として、事前に、発見検討し、その課題に対する解決手法をも念頭に入れた仕組みを構成として採用している。このような点も本実施形態の特徴的要件の1つに該当する。この具体的に構成要件の1例として、コントローラ205により本実施形態にて各種制御を実行している。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図13は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の1例を示す。
当該中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。ただし、当該中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
なお、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。なお、印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この中綴じ製本装置のセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、例えば、図13に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、コントローラ205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
例えば、コントローラ205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。なお、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、該記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を当該装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(又は3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。そして、その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。また、例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。そして、その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。
また、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。当該サドルステッチによる製本処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
また、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。ゆえに、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイ又はサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
なお、当該インサータによる記録紙挿入処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
また、本実施形態では、1例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も具備する。この説明を以下の行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。なお、当該トリマによる断裁処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
なお、例えば、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、コントローラ205は、UI部に図14の表示を実行させる。図14の表示を介して、コントローラ205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。また、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、あるいは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付可能にする。
例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図14の表示を介してユーザにより「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、コントローラ205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図15のような印刷体裁になるよう本システム100の動作制御を行う。図15の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
また、例えば、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、コントローラ205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図16のような印刷体裁になるよう印刷システム1000を制御する。図16の1例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
また、印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、本実施形態の各種の処理や制御を実行する為のプログラムデータをWEB等のデータ供給源あるいは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103や104等)にて操作する場合、以下のように制御する。ただし、制御の主体はPCの制御部である。
例えば、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、印刷システム1000の印刷装置100を操作する為のプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、ホストコンピュータのCPUは、ホストコンピュータの表示部に、図17Aに示す印刷設定画面を表示させる。図17A、17Bは、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、図17A、17Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図17Bのような印刷設定画面に切り換えるようタッチパネルを制御する。
ホストコンピュータのCPUは、図17A、17Bの画面上において、仕上げキー1701といったシート処理の設定項目を介し、インラインタイプのシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
なお、ここでは、省略するが、ホストコンピュータを含む外部装置においては、図17A、17B以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本実施形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより、設定項目を介して所望のシート処理が選択され、図17A、17Bの画面に戻って、OKキーが押下されるとする。
これを受け、ホストコンピュータのCPUは、印刷設定画面を介してユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリンタ部203によりプリントさせるべき一連のプリントデータとを、一つのジョブとして関連付ける。そして、印刷システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信する。
印刷システム1000の外部I/F部202がホストコンピュータからジョブを受信すると、これを受け、コントローラ205は、ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて、そのジョブを処理するよう印刷システム1000を制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本実施形態で述べる各種の効果を得ることが出来、印刷システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本実施形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
なお、図1〜図17Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本実施形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
図1〜図17Bを用いた上述の如く、本実施形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
例えば、その1例として、オフィス環境では全く想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
この1例として、例えば、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、例えば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本実施形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処できるように構成している。また、例えば、印刷システム1000の納入対象となるPOD環境で商売をなすPOD業者におけるビジネス形態に柔軟に対応可能に構成している。
この1例として、例えば、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置100に対して接続可能にし、かつ、インラインシート処理装置毎に、独立筐体でかつ独立動作が可能に構成している。かつ、接続するシート処理装置も任意台数とし、印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
なお、本実施形態では印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。この1例として、例えば、本実施形態では、印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHDD209に登録できる構成を説明した。ゆえに、これを用いて例示する。
例えば、印刷システム1000のシステム構成として、図8A、8Bに示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず、該POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8A、8Bの3台のシート処理装置を、図8A、8Bに示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。そのうえで、操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合に、コントローラ205は、当該キー操作に応答し、タッチパネル401に、図18Aの表示を実行させる。
図18Aの表示は、印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にする為の表示である。コントローラ205は、図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。かつ、コントローラ205は、図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。
かつ、コントローラ205は、図18Aの表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台ずつ、本印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本実施形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。例えば、コントローラ205は、図18Aに示すが如く、「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。ただし、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」なるガイダンスを通知する。なお、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
なお、コントローラ205は、図18Aの設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台ずつ決定可能にタッチパネル401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成のもと、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図8A、8Bに示すシステム構成にする場合、図18Bの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Bの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8A、8Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
一方、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図9A、9Bに示すシステム構成にする場合、図18Cの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Cの表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図9A、9Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
更に一方、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図10A、10Bに示すシステム構成にする場合、図18Dの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Dの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10A、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
また、図19に例示する本実施形態の印刷システム1000のシステム構成では、図13に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。このシステム構成は、同一タイプのインラインフィニッシャとして、大容量スタッカを2台接続したシステム構成である。このように、本実施形態の印刷システムは、同じ種類のインラインフィニッシャを複数台接続可能に構成している。なお、図19に例示が如く、同じ種類のインラインフィニッシャを連続してカスケード接続する構成を、本実施形態では、タンデム接続とも呼ぶ。また、図19に例示のシステム構成は、本システムの納品先の印刷業者が大量積載を頻繁に行うような状況を想定している。このように、本実施形態では、大容量スタッカを複数台タンデム接続可能に構成している。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本実施形態の特徴点の1つに該当する。
以上の図1〜図19を用いて上述した如く、印刷システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた、様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な、製品の実用化に向けての様々な仕組みを具備する。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を具備するに留まらず、印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、印刷システム1000にて実行可能に構成している。
この1例として、例えば、本印刷システムが具備する制御部は、以下のような制御を印刷システム1000にて実行するよう制御している。
なお、以下の具体的制御を説明する前に、印刷システム1000の構成について補足しておく。
本実施形態の大容量スタッカ等の各種インラインフィニッシャは、夫々、装置毎に、用紙ジャムを除去したり、プリンタ部203で印刷がなされたジョブの印刷物(印刷媒体とも呼ぶ)を取出す為に、装置筐体前面に開閉動作が可能なドア(前ドア)を備えている。
本実施形態の大容量スタッカは、例えば、図13の内部構成で例示した如く、大容量の印刷物を積載可能な、装置内部に配設されたスタックトレイ(単にスタッカ部とも呼ぶ)を備える。そしてまた、装置外部(機外上方部)に配設されたエスケープトレイ(サンプルトレイとも呼ぶ)を備える。コントローラ205は、大容量スタッカの機内に配設されるスタックトレイ、及び、機外に配設されるエスケープトレイの、これら各トレイに対して、本実施形態の各種判断条件に基き、処理対象のジョブの印刷物を、選択的に供給可能に制御する。また、大容量スタッカ等、中綴じ製本機以外のインラインフィニッシャは、自装置の前段に位置する装置から受取った印刷物を、自装置内部のスルーパスを介して、自装置の後段に位置するインラインフィニッシャの装置内部へ、搬送する機能も具備する。また、本実施形態の大容量スタッカは、装置内部のスタックトレイに積載された印刷物のシート積載量に応じて、このスタックトレイが自動的に下降可能に構成されている。また、印刷物の整合処理も可能に構成されている。
以上の構成は図13で説明したとおりだが、図20の装置概観例に示すが如く、大容量スタッカの前面にはオペレータによる開閉動作が可能な前ドア2002を具備する。かつ、前ドア2002をオープンさせる為の指示をオペレータが入力する為のスイッチ2001を装置筐体上部に具備している。この大容量スタッカにおける各種動作の制御は、当該大容量スタッカ自身が具備する制御部(不図示)が、主体となり、行う。この制御部は、スイッチ2001からのオペレータによる手動入力命令に従い、この前ドア2002をオープンさせる。具体的には、前ドア2002は閉じている状態の時に不図示の鍵により施錠状態としており、この鍵を開錠させて、前ドア2002をオープンさせる。これにより、大容量スタッカのスタックトレイに積載済みの印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。また、スイッチ2001からの操作だけでなく、印刷装置100のコントローラ205からの指示により、前ドア2002を自動的にオープン可能に制御される。この際は、図2に示す装置内部の信号線を介して、ドアオープン信号を、コントローラ205から大容量スタッカの制御部に送信する。また、大容量スタッカのスタックトレイに積載された印刷物をオペレータにより取出作業を行う際に、前ドア2002を開けて、オペレータによる取出作業が行われる。勿論、これらの主体制御も、印刷装置100が具備するコントローラ205が実行しても良い。
ここでは、ジョブの印刷物を大容量スタッカから取出す際に、その大容量スタッカのスタックトレイに、そのジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブのシートが排紙されないよう、コントローラ205が主体となり、印刷システム1000を制御している。
換言すると、印刷システム1000は、シート処理装置におけるオペレータによる印刷処理がなされたジョブの印刷物の取出作業中には、当該シート処理装置内部のシート処理部に対して、当該ジョブに後続するジョブのシートが排紙されないよう制御する。
ただし、コントローラ205は、例えば、大容量スタッカが具備するスタックトレイにおける印刷物のオペレータによる取出作業中であっても、例えば以下に例示する動作は実行可能に制御する。
例えばコントローラ205は、スタッカトレイに積載済の印刷物のオペレータによる取出作業中等、大容量スタッカの前ドア2002開閉状態中、その大容量スタッカのエスケープトレイに対し、後続ジョブの印刷物を排紙可能に、印刷システム1000を制御する。
また、大容量スタッカの前ドア2002がオープン状態中に、大容量スタッカによる積載が不要で、かつ、後段のインラインフィニッシャによるフィニッシングを要する、後続ジョブの印刷物が発生する場合がある。この場合、コントローラ205は、この後続ジョブの印刷物を、大容量スタッカのスルーパスを介して搬送可能に、印刷システム1000を、制御する。
このように、コントローラ205は、前ドア2002がオープンされている状態のままでも、上記例示が如くの印刷システム1000における動作の実行を許可する。
以上の各種動作を実行する為に、コントローラ205は、シート処理装置からのオペレータによるシートの取出対象となるジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブの印刷動作の開始を禁止したり、許可したりする。換言すると、コントローラ205は、当該後続ジョブの印刷動作の実行可否や印刷タイミングを、制御する。
以上のような構成も、印刷装置に対して物理的接続関係にありかつ電気的接続関係にあるインラインフィニッシャ固有の構成である。
以上のような構成を前提とし、印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ205は、以下に例示の制御を実行する。
なお、以下に例示の制御を説明する前に前提的な構成要件について更に補足しておく。
前提として、印刷システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を具備する印刷装置100を具備する。かつ、印刷システム1000は、複数台のシート処理装置200a〜nを具備する。シート処理装置200a〜nは、印刷装置100に対して接続可能な、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシート(印刷物或いは印刷媒体とも呼ぶ)に対するシート処理(フィニッシング又は後処理とも呼ぶ)を実行可能である。これらのシート処理装置は、各装置毎に、自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。かつ、印刷システム1000は、印刷装置100のプリンタ部203から、これら複数のシート処理装置に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に、供給可能に構成している。
本実施形態の制御部の一例に相当するコントローラ205は、以上のような、POD市場を見据えたシステム構成となっている印刷システム1000にて、以下に例示が如くの制御を実行する。
印刷システム1000は、複数台のシート給紙装置を、印刷装置100にカスケード接続可能な構成している。また、印刷装置100に接続可能なシート給紙装置は、本実施形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。図21では、大容量給紙装置50は、N台のシート給紙装置群で構成されている。かつ、1台目のシート給紙装置から順に、シート給紙装置50a、50b、、、、、と示し、N台目のシート給紙装置として、シート給紙装置50nと示している。なお、図21では、説明上、シート給紙装置50a〜nの形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
図22のシステム構成は、図10Aのシステム構成と比較して、印刷システム1000に具備するシート給紙装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100に大容量給紙デッキa→大容量給紙デッキbの順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図23に示すような構成になる。
図23は、印刷システム1000の構成が図21のシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。かつ、図22のシステム構成は、図23のシステム構成の内部構成に対応している。
図23のシステム内部構成は、印刷装置100のプリンタ部203にシートを供給するために、各シート給紙装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図23に示すが如く、D点、E点を介してプリンタ部203へ搬送可能なシート搬送路を具備する。
[大容量給紙デッキの内部構成]
図24は、図22〜図23に例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、大容量給紙デッキの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量給紙デッキ内部には、シートの搬送経路として、大きく分けて、5つに分かれている。この1例として、図24に示すが如く、1つは、印刷装置100へ搬送経路であるバッファパス2405である。1つは、エスケープパス2401である。1つは、上縦パス2410である。1つは、下縦パス2409である。1つは、重連パス2412である。このように5つのシート搬送路が内部に設けられている。
なお、図24の大容量給紙デッキ内部に具備する重連パス2412は、前段装置からシートを受け取る為の搬送路である。
大容量給紙デッキ内部に具備する上縦パス2410は、上段カセットデッキ2403から給紙されたシートを搬送するための搬送路である。下縦パスは中段カセットデッキ2406及び下段カセットデッキ2408から給紙されたシートを搬送するための搬送路である。
大容量給紙デッキ内部に具備するストレートパス2407は、上縦パス2410及び下縦パス2409から受け取ったシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。また、当該シート処理装置以外から給紙されたシートを、重連パスを通して上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
また、大容量給紙デッキ内部に具備するエスケープパス2401は、上流の装置に搬送せずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置でジャムが起こった場合や重送検知センサ2411により重送が検知された場合に、エスケープパス2401にシートを搬送して、エスケープトレイ2402からシートを排出する。
なお、この大容量給紙デッキ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況や重送やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
また、本実施形態で記載の重送とは、システム100内のシート搬送路上を、印刷システム1000により処理対象となる2枚以上の印刷媒体(シート乃至記録媒体とも呼ぶ)の少なくとも一部が重なった状態で搬送されることを意味する。
大容量給紙デッキ内部のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート給紙装置50とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量給紙デッキからの情報に基き、大容量給紙デッキ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。このシート給紙装置装置と印刷装置100の間に他のシート給紙装置がカスケード接続されている場合、そのシート給紙装置のCPUを介して、この大容量給紙デッキのセンサの情報を、コントローラ205に通知する構成となっている。
図11のエスケープトレイ2402は、エスケープパス2401から搬送されたシート載置される積載ユニットである。このエスケープトレイ2402にはシート満載検知センサが設けられており、大容量給紙デッキ内部の不図示のCPUは、センサによる情報をコントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量給紙デッキからの情報に基き、エスケープトレイ2402上のシートの積載情報を把握する。
大容量給紙デッキは、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとして、上段カセットデッキ2403、中段カセットデッキ2406、下段カセットデッキ2408(例えば、5000枚のシートを収納可能)を持つ。各々の給紙ユニットには、各種シートサイズでかつ各種マテリアルのシートを収納可能であり、エアヒータ機能及び捌きファン機能が設けられている。エアヒータ機能ではコントローラ205から通知されたシートのマテリアル情報及びカセット内の湿度を基にヒータを付けたり、捌きファン機能ではシートの吸着ファンの風量を調整する。
[エスケープトレイへの搬送経路]
次に、上段カセットデッキからエスケープトレイへのシートの搬送の流れについて図24、図25A〜D参照しながら説明する。
例えば、コントローラ205が、図7の表示のキー701のキー操作により、上段カセットデッキからの印刷処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受け付けたとする。この場合、コントローラ205は、上段カセットデッキ2403からの給紙を制御する。上段カセットデッキ2403からにセットされているシート2501の最上部にあるシートが、上段デッキ引き抜きローラ2502により分離され、上縦パス2410に搬送される(図25A)。上縦パス2410に搬送されたシート2501が上縦パスローラ2503により搬送され、ストレートパス2407の入り口へと導かれる。ストレートパス2407に搬送されたシートは、重送状態であるかどうか否かを検出すために、重送検知センサ2411を用いて重送検出処理が実行される(図25B)。
この重送検出処理では、シート2501の厚みを測定し、その測定データを基にしてシート2501が重送しているかどうかを判定する。ここでは、重送検知センサ2411を基にシート2501の厚みを求めて重送を検知できる構成を採用したが、他の重送検知手段でもよい。ストレートパス2407上のシート2501はストレートパスローラ2504により搬送されエスケープパス2401とバッファパス2405の分岐点まで導かれる。重送検出処理の結果を基に、搬送されてきたシート2501が重送しているかどうかにより搬送先を決定する。シート2501が重送していたと判断された場合は、エスケープパス2401へ導かれる(図25C)。エスケープパス2401へ搬送されたシートはエスケープローラ2504によりエスケープトレイ2402の排出口まで導かれる(図25D)。エスケープトレイ2402の排出口に搬送されたシート2501はエスケープ排出ローラ2506によりエスケープトレイ2402に排出される。
例えば、図22のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受け付けた処理対象のジョブが、重送した場合の処理について図24〜図30を用いて詳述する。
まず、印刷装置100の操作部204で、シート給紙装置部50から出力先をユーザに設定させる。設定終了後に、コピースタートキーがONされたかどうかを判定する(S2601)。S2601では、コピースタートキーがONされるまで待機する。
コピースタートキーがONされたら、印刷システム1000のコントローラ205から給紙指示を出す。印刷システム1000のコントローラ205は、シート給紙装置50から給紙する(S2602)。S154では、大容量給紙装置から給紙されたシートはプリンタ部203に搬送される。
S155によって搬送されてきたシートが重送状態であるか否かを検出するために、重送検知センサ2411を用いて重送検出処理が実行される(S2603)。この重送検出処理では、シートの厚さを測定し、その測定データをもとにしてシートが重送しているかどうかを判定する。ここでは、重送の判定は印刷システム1000のコントローラ205で行っても、不図示の大容量給紙装置内のCPUで行ってもどちらでもよい。
S156の重送検出処理の結果、搬送されてきたシートが重送しているかどうかを確認する(S2604)。S157で、大容量給紙装置50から給紙されるシートが重送していると確認されない場合、シートをプリンタ部203に搬送する(S2605)。
プリンタ部300からシート処理装置200にシートを排紙する。
S2606で、設定されたジョブが終了し、シートがすべて排出されたかどうかが判定される。S2606で終了していなければ、S2601に戻り、S26061で終了していれば、一連の処理を終了する。
次に、S2604で、S2603の重送検出処理の結果をもとに、搬送されてきたシートが重送していると確認された場合の処理を以下に説明する。なお、この重送が検知された場合、プリンタ部203の給紙カセット及び大容量給紙装置50から給紙されるシートに対する給紙動作及び画像形成動作は中断されている。重送検出処理でシートが重送していると検出した検出結果を基にして、印刷システム1000のコントローラ205は、重送していると検出されたシートがエスケープトレイ2402に排出可能かどうかを判断する。(S2701)。
S2701で、重送したシートがエスケープトレイ2402に排出可能であると判定された場合、重送枚数判定処理を実行する(S2702)。エスケープトレイ2402に排出不可能であると判断された場合、ジャム状態となり装置内を搬送中のシートをすべて取り除くように警告を操作部204に表示する(S2709)。
S504で操作部204に所定の表示をした後、ジャムしたシートがすべて取り除かれたかどうかを判定する(S2710)。S2710でジャム処理がすべて終了したと判定された場合、再開シーケンスへ移行する(S2711)。
S2702の重送枚数判定処理後、既に給紙済みのシートが存在するかどうか確認する。(S2703)既に給紙済みのシートが存在しない場合、重送新枚数判定処理の結果N枚であれば、重送したシートN枚をエスケープトレイ2402上に排出される。(S2704)給紙済みのシートが存在する場合、給紙済み枚数判定処理を実行する。(S2706)給紙済み枚数判定の処理の結果M枚であれば、重送したシートN枚及び給紙処理済みシートM枚をエスケープトレイに排出する。(S2707)なお、この排出されたシートはユーザに分かりやすくするためにシフトして排出されてもよい。エスケープトレイにシートを排出した後は、再開シーケンスへ移行する。(S2705、S2705)
さらに、再開シーケンス(以下、リカバリ処理)がコントローラ205の指示に基づいて実行される(S203)。このリカバリ処理は、重送検知処理で重送していると検知されたシートをエスケープトレイ2402に排出するとともに、他の大容量給紙装置50から給紙された後続のシートをすべて排出する処理である。すなわち、重送が検知される直前のページまで遡り排出される。図28、図29を用いて重送時のページ処理について詳述する。
図28は、印刷システム1000にて複数枚のシートを搬送中に重送が発生した場合(ただし、重送発生に伴なうジャムの発生は無い場合)の搬送上のシートの一例を示したものである。シートが既にインラインフィニッシャにK枚排出されており、印刷システム1000にて搬送上に10枚のシートが存在する。シート2501a、シート2501bはインラインフィニッシャ内部の搬送路にて搬送中のシートであり、プリンタ部203による印刷処理は行われている。シート2501cは印刷装置100内部の搬送路にて搬送中のシートであり、印刷処理は実行されていない。シート2501d及びシート2501eは大容量デッキ50内部の搬送路にて搬送中のシートである。シート2501fは3枚の紙が大容量デッキ50内の搬送路にて重送している状態のシートである。シート2501g、シート2501hは重送した状態のシートよりも後続の搬送路において搬送中のシートである。
本実施形の重送時のページ処理では、リカバリ処理において図29のような制御を行う。シート2501a、シート2501bはインラインフィニッシャ内部からジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501cはプリンタ部203にて印刷処理を実行し、ジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501d及びシート2501eは印刷装置100内部に搬送し、印刷を実行しかつジョブが要求する排紙先へ排出する。シート2501fは3枚の紙は大容量デッキ50内のエスケープトレイに排出する。シート2501g、シート2501hは大容量デッキ50内のエスケープトレイに排出する。
このようなリカバリ処理を行うことによって、重送を検知後のシートをエスケープトレイに排出することで重送する前の状態から新しくジョブを再現する。
リカバリ処理によって排出されるシートがすべて終了したら、印刷装置100はシートの出力動作を再開するための準備を行う(S3001)。そして、その準備ができると、S2602のステップに戻る。
S3001の処理が終わると、重送したシートが再びプリンタ部203から出力するようにプリンタ部203の動作を再開し、通常の印刷処理が実行される。
以上のような制御を行うことにより、大容量給紙装置50から給紙されたシートが重送した場合に、適切なリカバリ処理を実行することができ、動作を再開させることができる。
以上のような第1実施形態によれば、大容量給紙装置50でシートが重送した場合に、適切なリカバリ処理を実行することができる。
[第2実施形態]
印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1実施形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
以下に、図21〜図25の構成図及び図26のフローチャート、操作部204の表示画面を示す図を用いて、第2実施形態における重送検知処理について説明する。
S157で、S156の重送検出処理の結果をもとに、搬送されてきたシートが重送していると確認された場合の処理を以下に説明する。なお、この重送が検知された場合、プリンタ部203の給紙カセット及び大容量給紙装置50から給紙されるシートに対する給紙動作及び画像形成動作は中断されている。重送検出処理でシートが重送していると検出した検出結果を基にして、印刷システム1000のコントローラ205は、重送していると検出されたシートがエスケープトレイ2402に排出可能かどうかを判断する。(S3101)。
S3101で、重送したシートがエスケープトレイ2402に排出可能であると判定された場合、重送枚数判定処理を実行する(S3102)。エスケープトレイ2402に排出不可能であると判断された場合、ジャム状態となり装置内を搬送中のシートをすべて取り除くように警告を操作部204に表示する(S3111)。なお、この警告表示されている間、プリンタ部203の給紙カセット及び大容量給紙装置50から給紙されるシートに対する給紙動作及び画像形成動作は中断されている。
S3111で操作部204に所定の表示をした後、ジャムしたシートがすべて取り除かれたかどうかを判定する(S3112)。S3112でジャム処理がすべて終了したと判定された場合、再開シーケンスへ移行する(S3113)。
S3102の重送枚数判定処理後、既に給紙済みのシートが存在するかどうか確認する。(S3103)既に給紙済みのシートが存在しない場合、重送新枚数判定処理の結果N枚であれば、重送したシートN枚をエスケープトレイ2402上に排出される。(S3104)給紙済みのシートが存在する場合、給紙済み枚数判定処理を実行する。(S3106)給紙済み判定処理後、給紙済みのシートが印刷可能であるかどうか確認する。(S3107)同じマテリアルでサイズが同じ場合、ジョブ切り替え時などページの番号を入れ替えても問題ない場合に適合する。印刷可能でない場合は、給紙済給紙済み枚数判定の処理の結果M枚であれば、重送したシートN枚及び給紙処理済みシートM枚をエスケープトレイに排出する。(S3108)エスケープトレイにシートを排出した後は、リカバリ処理へ移行する。(S3105、S3109、S3110)
さらに、リカバリ処理がコントローラ205の指示に基づいて実行される(S3001)。図32を用いて重送時のページ処理について詳述する。
本実施系の重送時のページ処理では、図28の例においては、図32のようなリカバリ制御を行う。シート2501a、シート2501bはインラインフィニッシャ内部からジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501cはプリンタ部203にて印刷処理を実行し、ジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501d及びシート2501eは印刷装置100内部に搬送し、印刷を実行しかつジョブが要求する排紙先へ排出する。シート2501fは3枚の紙は大容量デッキ内のエスケープトレイに排出する。シート2501g、シート2501hはシート2501fがエスケープトレイへの排出後、印刷装置100内部に搬送し、印刷を実行しかつジョブが要求する排出先へ排出する(重送したK+5、K+6の替わりに印刷処理を実行する)。このようなリカバリ処理を行うことによって、重送を検知したシートのみをエスケープトレイに排出することで、重送後の新しいジョブを再現することなくジョブを再開できる。
リカバリ処理によって排出されるシートがすべて終了したら、印刷装置100はシートの出力動作を再開するための準備を行う(S3001)。そして、その準備ができると、S2602のステップに戻る。
S3001の処理が終わると、重送したシートが再びプリンタ部203から出力するようにプリンタ部203の動作を再開し、通常の印刷処理が実行される。
以上のような制御を行うことにより、大容量給紙装置50から給紙されたシートが重送した場合に、適切なリカバリ処理を実行することができ、動作を再開させることができる。
以上のような第2実施形態によれば、大容量給紙装置50でシートが重送した場合に、適切なリカバリ処理を実行することができる。
[第3実施形態]
印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1実施形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
以下に、図21〜図25の装置の構成図及び図26のフローチャート、操作部154の表示画面を示す図を用いて、第3実施形態におけるリカバリ処理について説明する。
本実施の形態では、印刷システム1000内において重送が検知された後のリカバリ処理に特徴を持つ。リカバリ処理において、印刷システム1000のコントローラ205は、ジョブ中断設定があるかを判断する。(S3301)ジョブ中断設定の情報は、HDD209又はRAM208に保存されている。
ジョブ中断設定は操作部204のキーのユーザ設定から、図34に図示する設定3401により行われる。コントローラ205は、ユーザにより選択された図中のON3501又はOFF3502の情報をHDD209又はRAMに保存する。
S3301で、ジョブ中断設定有りであると判定された場合、ジョブを中断するか再開するか選択するよう警告を操作部204に表示する(S3303)。ジョブ中断設定がなされていない場合は、再開シーケンスへと移行する(S3302)。
S3303で操作部204に所定の表示をした後、ユーザがジョブ再開キーを押下したかどうかを判定する(S3304)。S3304でジョブ再開キーが選択された場合、再開シーケンスへ移行する(S3305)。ジョブ再開キーではなく中断キーが押された場合は、ジョブを終了させる。ここで、第2の実施形態のようにジョブ再開のために残留シートが残っている場合、後続の大容量給紙装置50の残留シートをすべてエスケープトレイ2402に排出する。
なお、操作部204への表示のタイミングとして本実施の形態ではリカバリ処理後の実施を例にとり説明したが、重送検知からジョブ開始までの間であれば、本処理の表示タイミングとしては限定されない。
以上のような第3実施形態によれば、大容量給紙装置50でシートが重送した場合に、リカバリするかどうかをユーザが選択することができる。
[第4実施形態]
印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1実施形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
以下に、図21〜図25の装置の構成図及び図26のフローチャート、操作部204の表示画面を示す図を用いて、第4実施形態におけるリカバリ処理について説明する。
本実施の形態では、印刷システム1000内において重送が検知された後のリカバリ処理に特徴を持つ。リカバリ処理において、印刷システム1000のコントローラ205は、重送を検知後、重送検知の情報をHDD209又はRAM208に保存する。(S3601)。
重送検知情報を保存後、再開シーケンスへと移行する(S3602)。
ユーザは図6参照のシステムモニタキー617により、重送の状況を確認可能である。コントローラ205は、システムモニターキーが押下された場合、印刷装置100内に存在するジョブの状態をタッチパネル401に表示させる。ここで、コントローラ205はHDD209又はRAM208に保存された情報をもとに、図37に示される重送したかどうか判別可能な情報3701を操作部204に表示させる。
重送検知検知情報は、印刷装置100の操作部204への表示だけでなく、ネットワークを介して外部からも取得可能である。そのため、ネットワークを介しての外部アプリケーションや機器からも情報を取得及び表示を行うことができる。
以上のような第4実施形態によれば、大容量給紙装置50でシートが重送した場合に、重送した情報をユーザが確認することができる。
[第5実施形態]
これまで述べた実施の形態では、重送発生に伴う用紙ジャムは印刷システム1000にて発生していないことをコントローラ205が確認したうえで、実行対象となる制御の1例である。
本実施形態では、このような重送が印刷システム1000にて発生した際に該重送発生に伴ない当該重送発生と共に発生対象となる当該重送とは異なる印刷中断要因にも対処可能にコントローラ205が印刷システム1000を制御する。
この重送とは異なる種類の印刷中断要因とは、例えば非重送対象の印刷媒体の印刷システム1000のシート搬送路におけるジャムがこれに包含される。より具体例で説明すると、大容量給紙装置の給紙部から印刷装置内部に向かって処理対象のジョブの印刷処理にて要する印刷媒体を連続給送中に重送が該給紙装置側の搬送路上で発生した。この際に既に該給紙装置内部から印刷装置100の内部へ非重送対象の印刷媒体が供給済みの状況が存在しうる。この状況の場合、印刷装置100内部の搬送路及びインラインフィニッシャ内部の搬送路を含む、大容量給紙装置以降の下流側の装置内部のシート搬送路上にて非重送対象の印刷媒体のジャムが発生しうる。このように、印刷システム1000の大容量給紙装置側で重送が発生したのみならず、この重送の発生が原因で非重送対象の印刷媒体のジャムも印刷システム1000にて該重送の発生と同時に発生するケースが存在し得る。本実施形態では、このケースに対応した制御をコントローラ205が実行可能に構成している。
また、上述の制御例では、大容量給紙装置から複数の印刷媒体を連続給送することで処理対象のジョブの印刷動作を印刷システム1000にて連続運転させている最中に印刷システム1000の該大容量給紙装置内部で重送が発生した。この場合に、コントローラ205は、重送対象の印刷媒体を大容量給紙装置の機外のエスケープトレイへ自動排出させつづける。これにより、コントローラ205は、非重送対象の印刷媒体を用いた印刷処理を、該重送の発生後にオペレータによる介入作業無しに自動的に印刷システム1000にて継続可能に印刷システム1000を制御する。この構成の場合にて、重送対象の印刷媒体が大容量給紙装置の機外の同一のエスケープトレイに何枚も自動排出され続けるケースが発生しうる。この場合、該エスケープトレイが重送対象の印刷媒体で満載になるという重送対象の印刷媒体の積載オーバ(トレイフル)が発生しうる。このように、印刷システム1000の大容量給紙装置側で重送が発生したのみならず、この重送の発生が原因で重送対象の印刷媒体の排出先エラー(トレイフル)も印刷システム1000にて該重送の発生に伴ない発生するケースが存在し得る。本実施形態では、このケースに対応した制御をコントローラ205が実行可能に構成している。
以上の構成を考慮すると、先に例示の本実施形態が具備する構成要件に係る複数種類の制御例は、以下の制御例1、2に夫々対応した制御を実行可能に構成していることを意味する。
(制御例1)処理対象のジョブにて印刷実行中に印刷システム1000にて重送発生をコントローラ205が確認した。かつ、この重送発生に伴う当該重送とは異なる種類の印刷中断要因(例えば、用紙ジャム、トレイフル)は未発生であることをコントローラ205が確認した。かつ、自動再開させる設定(重送後ジョブ中断設定OFFとする図35の表示のキー3502が選択済)であることをコントローラ205が確認した。これら3つの条件を満足するケースにおける制御例。
(制御例2)処理対象のジョブにて印刷実行中に印刷システム1000にて重送発生をコントローラ205が確認した。しかし、重送発生に伴う用紙ジャムといった重送とは異なる種類の印刷中断要因は印刷システム1000にて該重送発生と共に発生しなかったことをコントローラ205が確認した。かつ、自動再開は禁止させる(重送後ジョブ中断設定ONとする図35の表示のキー3501が選択済)ことをコントローラ205が確認した。これらの条件を満足するケースにおける制御例。 本実施形態の構成は、上記構成に加えて更に以下の構成も具備するように構成している点も大きな特徴点の1例でもある。ここでは、コントローラ205により以下の制御も実行可能に構成している構成例として、以下に記す制御例3と4を用いて説明する。
(制御例3)処理対象のジョブにて印刷実行中に印刷システム1000にて重送発生をコントローラ205が確認した。かつ、この重送発生に伴い用紙ジャムといった重送とは異なる種類の印刷中断要因も該重送と共に印刷システム1000にて発生したことをコントローラ205が確認した。かつ、自動再開させる設定(重送後ジョブ中断設定OFFとする図35の表示のキー3502が選択済)であることをコントローラ205が確認した。これら3つの条件を満足するケースにおける制御例。
(制御例4)処理対象のジョブにて印刷実行中に印刷システム1000にて重送発生をコントローラ205が確認した。かつ、更に、この重送発生に伴い用紙ジャムといった重送とは異なる種類の印刷中断要因も該重送と共に印刷システム1000にて発生したことをコントローラ205が確認した。かつ、自動再開禁止させる設定(重送後ジョブ中断設定ONとする図35の表示のキー3501が選択済)であることをコントローラ205が確認した。これら3つの条件を満足するケースにおける制御例。
以下に、図21〜図25の装置の構成図及び図26、図39のフローチャート、操作部204の表示画面を示す図を用いて、第5実施形態における制御例1、2、3、4について説明する。
本実施の形態では重送発生後に特徴を持つ。すなわち、図26に代表されるようなシーケンスにおいて重送を検知しコントローラ205が判断した後の制御例である。図26のS2604で重送が確認された以後の制御のフローチャートを図39に示す。
S2604の重送検出処理の結果、搬送されてきたシートの印刷中断要因を確認する(S3801)。重送検知センサ2411によりジョブが中断した場合にも、重送したシートがジャム状態になりエスケープトレイに排出が不可能な場合がある。或いは、給排紙したシートが重送はしてないがジャム状態になっている場合もある。更には、重送したシートを排出するエスケープトレイが満載になっている場合もある。このように、重送でジョブ中断した場合にも、他の印刷中断要因でもジョブが中断しているかどうかを確認する。
ここでは、S3801で、大容量給紙装置50から給紙されるシートが重送しジャム状態になる場合を例にとるが、印刷システム1000にて発生する重送以外の印刷中断要因であれば限定しない。大容量給紙装置500から給紙されるシートがジャムになっていた場合、コントローラ205はジャム状態となり装置内を搬送中のシートをすべて取り除くような警告を操作部204に図40を表示する(S3802)。
操作部204に表示される画面は重送とは異なる要因で中断したことを示すものである。なお、この警告表示されている間、プリンタ部203の給紙カセット及び大容量給紙装置50から給紙されるシートに対する給紙動作及び画像形成動作は中断されている。ユーザによるジャム処理が終了した場合(S3803)、重送によるジョブ中断設定有りかどうかを確認する(S3804)。
ジョブ中断設定は、第3実施形態で説明したジョブを中断するか再開するかに対する選択画面を表示させる項目である。ジョブ中断設定が設定されていた場合、コントローラ205はジョブ再開を行うかどうかの警告を操作部204に表示する(S3806)。操作部204にはジョブ中断が重送によるものであることと、印刷中断要因が重送以外にもあったことを明示す。図40はジョブ中断設定有りでジャム処理後にS3806でジョブ中断設定があったとコントローラ205で判断された場合に操作部204に表示される画面である。図40では、重送が検知された後に重送に伴なう用紙ジャムも発生したことを示している。
キー4001でジョブ再開が押下された場合、第1実施形態、第2実施形態で説明したような自動的に印刷動作が再開させ、通常の印刷シーケンスへに戻る(S3808、制御例3に該当)。キー4002で中止が押下された場合は印刷動作を終了する(制御例4に該当)。また、ジョブ中断設定がなされていない場合は、第1実施形態、第2実施形態で説明したような自動的に印刷動作が再開させ、通常の印刷シーケンスへに戻る(S3805)。
次にS3801で、重送とは異なる印刷中断要因がなかった場合の処理を以下に説明する。コントローラ205により、重送によるジョブ停止が確認され、印刷中断要因が他になかった場合に該当する。コントローラ205は重送によるジョブ中断設定有りかどうかを確認する(S3809)。ジョブ中断設定は、前述と同じ第3実施形態で説明した項目である。ジョブ中断設定が設定されていた場合、コントローラ205はジョブ再開を行うかどうかの警告を操作部204に表示する(S3811)。操作部204にはジョブ中断が重送によるものであることを示す。S3811で表示される画面とS3806で表示される画面は、重送以外の印刷中断要因の有無により異なるものとなる。図41はS3809でジョブ中断設定があったとコントローラ205で判断された場合に操作部204に表示される画面である。4101でジョブ再開が押下された場合、第1実施形態、第2実施形態で説明したような自動的に印刷動作が再開させ、通常の印刷シーケンスへに戻る(S3813、制御例1に該当)。4102で中止が押下された場合は印刷動作を終了する(制御例2に該当)。また、ジョブ中断設定がなされていない場合は、第1実施形態、第2実施形態で説明したような自動的に印刷動作が再開させ、通常の印刷シーケンスへに戻る(S3810)。
この第5の実施形態の構成は、制御例1に対応する重送に係る第1制御と、制御例2に対応する重送に係る第2制御と、制御例3に対応する重送に係る第3制御と、制御例4に対応する重送に係る第4制御の、これら4種類の制御を行なう。特に、これら4種類の制御を、互いに独立かつ区別した状態で、夫々、選択的に、印刷システム1000にて実行可能にコントローラ205が印刷システム1000を制御する構成であることを意味する。
以上の例示が如くの本実施形態の印刷システム1000による奏することが可能な効果以下に例示する。
例えば、従来で想定したような課題に対処できる。また、例えば、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。また、例えば、極力、高い生産性でもってシステムを動作させたいといったニーズや、極力、オペレータの作業負荷を軽減したいといったニーズ等、POD等の印刷環境における実際の作業現場のニーズにも対処可能となる。特に、以下のようなPOD環境等の印刷環境を考慮した、重送に係る様々なユースケースやユーザニーズに対して、高い生産性でかつ高い操作性で対処可能な印刷システムやジョブ処理方法や記憶媒体やコンピュータプログラムや印刷装置が提供可能になる。例えば、印刷システム1000にて印刷実行中に重送発生対象の未完了ジョブの適切なリカバリ処理を、オペレータ操作により誤操作や誤まった判断といったトラブル無しに、高い生産性でかつ高い操作性でもって、実行可能な印刷環境が構築可能となる。 このように、従来で想定したようなPOD環境で想定されうるユースケースやニーズに対処可能な便利でかつ柔軟な印刷環境が構築可能となり、製品実用化に向けての様々な仕組みが提供可能となる。
以上各種の構成を例示したが、少なくとも本実施形態の構成として、少なくとも以下のように構成されたものであるものは全て本実施形態に包含される。ただし、これらのうちの少なくとも1つのみに対応する構成でも、複数に対応する構成でも本実施形態に包含される。
大前提として、印刷システム1000は、コントローラ205による制御のもと、以下の処理を行なう。つまり、複数の印刷媒体が重なった状態で搬送される重送の発生を検知する重送検知ユニットにより検知対象となる印刷媒体を、印刷装置100の処理対象となるジョブに要する印刷媒体として利用可能に構成した印刷システムである。
この構成を前提に、重送が印刷システム1000にて発生した場合、コントローラ205は、重送対象の印刷媒体を、印刷未完了のジョブに要する印刷媒体の排出先に出力せずにそのジョブのリカバリ動作を実行可能に印刷システム1000を制御する。
更に、本実施形態の印刷システム1000は以下のように構成されている。
コントローラ205は、重送の発生に先立ち第1のオペレータ要求が本実施形態のUI部を介して入力可能に本実施形態のUI部(例えば操作部204等実施の形態で記載の各種UI部)を制御する。本実施形態にて、この第1のオペレータ要求は、図35に示す表示画面にてキー3502により入力対象となる要求に対応する。このキー3502による要求(指示)は、換言すると、重送発生後にジョブを中断させることを禁止させるオペレータの明示的な要求(指示)に該当する。この図35に示す表示画面にてキー3501により入力対象となる要求(指示)は、重送発生後にジョブを中断させるオペレータの明示的な要求(指示)に該当する。本実施形態にてコントローラ205は、キー3502がデフォルトで選択状態となるように印刷システム1000を制御する。キー3501が選択された場合は、コントローラ205は、第1のオペレータ要求は未入力であると判断する。これらキー3501とキー3502は互いに排他関係となるように何れか一方のみ選択可能な択一的な選択肢として構成したものである。
以上の構成を前提に、印刷システム1000の大容量給紙装置における重送の発生に先立ち該第1のオペレータ要求が入力済であることを、該重送発生に先立ち事前にキー3502が選択済であることに基づいて、コントローラ205により判断可能にする。この場合、コントローラ205は、重送対象の印刷媒体を印刷未完了のジョブにて要する印刷媒体の排出先に出力せずに印刷未完了のジョブのリカバリ動作を、重送発生後に第2のオペレータ要求の入力無しに印刷システム1000にて実行することを、許可する。
かつ、この前提のもと、印刷システム1000の大容量給紙デッキにおける重送の発生に先立ち第1のオペレータ要求が未入力であることを、事前にキー3502ではなくキー3501が選択済であることに基づいて、コントローラ205により判断可能にする。かつ、コントローラ205は、重送の発生に先立ち第1のオペレータ要求がUI部を介して未入力である場合に、印刷未完了のジョブのリカバリ動作を、重送発生後に第2のオペレータ要求の入力無しに印刷システム1000にて実行させることを禁止する。
上記印刷未完了のジョブのリカバリ動作として、例えばコントローラ205は、重送の発生時点にて印刷システム1000にて印刷実行中のジョブの印刷動作を重送対象の印刷媒体とは異なる非重送対象の印刷媒体を用いて印刷システム1000にて継続させる。
以上の構成を前提に、例えば、このリカバリ動作を印刷システム1000にて実行させる場合に、コントローラ205は、重送対象の印刷媒体を、印刷装置100のプリンタ部203へ搬送することを禁止する。そして、重送対象の印刷媒体に後続する印刷媒体を、前記リカバリ動作が実行対象のジョブにて要する印刷媒体として、印刷装置100のプリンタ部203へ搬送させる。
例えば、リカバリ動作を印刷システム1000にて実行させる場合に、コントローラ205は、ジョブの印刷動作を印刷システム1000にて継続させる。その際、印刷装置100のプリンタ部203へ印刷媒体を搬送する搬送路とは区別された特定の搬送路を介して重送対象の印刷媒体が搬送された後に印刷装置100へ供給された非重送対象の印刷媒体を用いる。
また例えば、印刷装置100へ印刷媒体を供給する給送装置が具備する特定の排紙先へ重送対象の印刷媒体を給送装置により搬送させた後に、給送装置により印刷装置100へ供給させた非重送対象の印刷媒体を用いる。
なお、この給送装置の1例として、本実施形態では、印刷装置100の上流側に接続可能な図24に例示が如くの、重送対象の印刷媒体を保持可能なエスケープトレイを具備する大容量給紙装置(例えば大容量給紙装置50)を例示している。
更に、コントローラ205は、サーバPC103や印刷装置100以外の印刷装置や、ニアラインフィニッシャといった外部装置からの、重送発生を含む印刷システム1000のステータス情報の取得に係る要求を、ネットワークを介して受付可能にする。かつ、この要求を受け付けたことに応じて、コントローラ205は、その要求もとの外部装置へ、重送に係る情報を含むステータス情報を印刷装置100から送信させるよう制御する。
また、以上の構成を前提に更に、本実施形態にてコントローラ205は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209のデータの印刷処理を印刷装置100により実行可能に制御する。かつ、コントローラ205は、HDD209に印刷データが投入済みの、これら印刷実行要求がなされた複数のジョブのうち重送が発生した際に印刷実行中のジョブに該当するジョブの情報を、他のジョブの情報とは区別した状態で、ユーザインタフェースに表示させる。
1例として、図37の表示に示すが如く、印刷完了したジョブの中で印刷動作中に重送発生対象のジョブをオペレータにより特定可能にする識別情報として、該当するジョブのステータスライン上に、「※」を付与するようタッチパネル401を制御する。本実施形態にてコントローラ205は、印刷動作中に重送が発生することなく印刷動作を完遂できたジョブに該当するジョブ情報欄には図37の表示にて「※」を付与しないようタッチパネル401を制御する。これにより、印刷開始から印刷完了迄の期間中に重送が発生しなかった対象のジョブをオペレータにより特定可能にする。と同時に、これとは区別して、印刷開始から印刷完了迄の期間中に重送が発生した対象のジョブをオペレータにより特定可能にする。このような機能を具備している。
以上の構成に加え、コントローラ205は、重送の発生に伴って他の種類の印刷中断要因が印刷システム1000で発生しない場合に、重送発生後にオペレータによる介入操作無しに印刷未完了のジョブのリカバリ動作を印刷システム1000が実行することを許可する。 一方、重送の発生に伴って他の種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて発生しない場合に、コントローラ205は、重送発生後にオペレータによる介入操作無しに印刷未完了のジョブのリカバリ動作を印刷システム1000にて実行させることを禁止する。このような構成要件も更に具備している。
以上の構成に加え、コントローラ205は、重送の発生に伴って他の種類の印刷中断要因が印刷システム1000に発生した場合、印刷中断要因に係る情報をオペレータに通知可能にしたガイダンス表示を、重送の発生後に、本実施形態のUI部により、実行させる。この1例として、コントローラ205は、図39の表示を操作部204により実行可能に制御する。この構成を前提に、コントローラ205は、重送の発生に伴い印刷中断要因が発生しなかった場合に、前記ガイダンス表示を重送の発生後に前記本実施形態のUI部により実行させることを禁止する。このような構成要件も更に具備している。
以上の構成に加え、コントローラ205は、重送の発生に伴って他の種類の印刷中断要因に係る情報をオペレータに通知可能にした第1の表示を、ユーザインタフェース部により実行させた後にUI部により第2の表示を実行させる。この第1の表示は、図39の表示の如く、例えば、重送発生に伴い印刷システム1000にて発生対象となる非重送対象の印刷媒体のジャムの発生をオペレータに通知可能に構成した表示である。しかも、この第1の表示とは、その印刷中断要因のオペレータによる解除手順をオペレータに通知可能に構成した表示でもある。このようにオペレータの作業効率を向上可能にするという効果を更に向上させる効果を得るための仕組みを本実施形態は具備している。
一方、この第2の表示は、例えば、キー4001を具備した図40の表示、或いは、キー4101を具備した図41の表示が該当する。この表示2とは、換言すると、印刷システム1000における重送発生に伴い印刷動作を中断させた対象の未完了ジョブのリカバリ動作を重送発生後に実行させる指示をオペレータが明示的に入力可能に構成された操作指示部を具備した表示である。
この構成を前提に、第1の表示がUI部により実行された後にUI部により実行させる第2の表示を介してリカバリ動作に係るオペレータ要求が入力されたことを、キー4001又はキー4101の入力に基づき、コントローラ205により判断可能にする。かつ、このケースに該当する場合に、コントローラ205は、印刷未完了のジョブのリカバリ動作を印刷システム1000にて実行させる。
更に、重送の発生に伴い重送とは異なる種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて発生しなかった場合には、コントローラ205は、第1の表示をUI部により実行させること無しに第2の表示を介してオペレータ要求を入力可能にする。
このような構成要件を具備することで、極力無駄な処理を印刷システム1000にて削減するという効果を得る。かつ、オペレータに対する必要以上の情報提示を抑える効果や、余計な情報通知したがためにオペレータの誤操作の発生やオペレータに対する余計な負担を抑える効果等を得る。本実施形態に記載の他の効果を得ながら、これらの効果を本実施形態の構成により享受可能となるという更なる効果の向上が可能となる。これを実現するための仕組みとして上記構成を具備している。
なお、これら上述した各種制御の一部の構成要件は換言すると、本実施形態の印刷システム1000は以下のように構成されていること意味する。
コントローラ205は、重送の発生に先立ち前記リカバリ動作に係る特定のオペレータ要求が前記本実施形態のUI部を介して入力済みであるか否かに係る第1の判断情報を取得する。例えば、印刷システム1000にて処理対象のジョブの印刷要求をオペレータから受け付ける前に、事前に、印刷システム1000に対する機器設定として、図35の表示のキー3502が選択済みであるか否かの情報をコントローラ205が操作部204から取得する。かつ、コントローラ205は、重送の発生に伴い重送とは異なる種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて発生したか否かに係る第2の判断情報を取得する。この情報は、印刷装置100のプリンタ部203や印刷システム1000が具備するインラインフィニッシャや印刷システム1000が具備する大容量給紙装置が夫々具備するセンサユニットからの各種センサ情報によりコントローラ205が取得する情報である。
これら第1の判断情報と第2の判断情報を取得したコントローラ205は、これらの少なくとも2種類の情報に基づいて、印刷未完了のジョブのリカバリ動作を重送発生後に印刷システム1000にて自動的に実行させることを禁止する。例えば、処理対象のジョブの印刷動作中に印刷システム1000の大容量給紙装置から給送させた印刷媒体の重送が発生したことを確認したら、コントローラ205は、ただちに、重送対象の複数枚の印刷媒体の全てを大容量給紙装置のエスケープトレイに排出させる。かつ、その後、オペレータによる介入操作無しに、コントローラ205は、同一の大容量給送装置から再給送させた非重送対象の印刷媒体を用いて印刷動作を自動的に継続可能にする。ここで介入操作とは、例えば、操作部204からのオペレータ操作やオペレータによる印刷媒体の確認や除去といったオペレータによる介入作業が含まれる。このように、コントローラ205は、印刷動作中に重送発生対象のジョブの処理を可能な限り中断させずに自動的に継続(再開)可能に印刷システム1000を制御する。重送発生時の処置をオペレータが事前に決める指示としては、図35の表示のキー3501の選択により、重送発生の際には重送発生対象のジョブを中断させる指示(自動リカバリ動作を禁止する指示)がある。この指示がオペレータにより明示的に入力済みである場合には、コントローラ205は、このような、印刷実行中に重送が発生した重送発生対象のジョブの重送リカバリ動作を自動的に重送発生後に印刷システム1000に実行させることは、禁止する。
また、かりに図35の表示のキー3501はオペレータにより事前に未選択状態でありキー3502が選択状態下にて印刷システム1000にて重送が発生した場合がある。例えば、重送の発生が原因で、重送対象の印刷媒体よりも先行して既に大容量給紙装置から給送済みの非重送対象の印刷媒体のジャム等のエラーが、印刷システム1000の下流側の装置内部のシート搬送路にて発生したとする。このシート搬送路としては例えば、印刷装置100内部のシート搬送路や、更に後段のインラインフィニッシャ内部のシート搬送路がある。
このケースの場合は、キー3502が選択状態下であっても、コントローラ205は、当該重送の発生後にオペレータによる介入作業無しに自動的に当該重送対象のジョブのリカバリ動作を印刷システム1000に実行させることを、禁止する。このケースの場合、コントローラ205は、まず、重送発生対象のジョブでありかつ重送発生に発生に伴い該重送とは異なる種類の印刷中断要因が発生した対象のジョブの印刷動作を、その重送の発生直後に一時停止(中断)させるよう印刷システム1000を制御する。
ただし、このジョブの中断を実行させるまえに、少なくとも、当該重送対象の印刷媒体は例えば上記大容量給紙装置のエスケープトレイへ全て排出させるようコントローラ205は印刷システム1000を制御する。このジョブの中断動作を実行させるのと同時に、コントローラ205は、その重送とは異なる種類の印刷中断要因が発生した旨をオペレータに通知する表示や、その中断要因のオペレータによる解除方法をオペレータに通知する表示を、本実施形態のUI部に実行させる。この例として、例えば図39の表示をコントローラ205は操作部204により実行させる。その後、重送とは異なる種類の印刷中断要因が印刷システム1000により解除されたことを印刷システム1000の各種センサからの情報を基にコントローラ205は判断する。すると、コントローラ205は、その時点で、重送が発生しかつ重送とは異なる種類の印刷中断要因も発生した対象の重送ジョブのリカバリ動作を印刷システム1000に実行させる。
この制御を実行する場合、例えば、中断要因の解除を確認したら、コントローラ205は、図40の表示や図41の表示といった、ジョブのリカバリ動作をオペレータが重送発生後に明示的に入力可能にする表示を、UI部により実行させない。その代わりに、中断要因の解除に応じて自動的にそのジョブのリカバリ動作を実行させる。このように、コントローラ205は、印刷実行中に重送発生対象の未完了のジョブについて、2つのタイプに分けて、処理する。つまり、重送は発生したが重送以外の種類の印刷中断要因は未発生の第1タイプの未完了ジョブと、重送も発生しかつ該重送以外の種類の印刷中断要因も発生した第2タイプの未完了ジョブとで、互いに区別した制御を、印刷システム1000にて実行する。このようなきめこまやかな制御を実現することで、本実施形態の記載の効果が更に向上可能となるという効果となる。
この構成を更にかいつまんで説明すると、少なからず本実施形態にて以下に例示の構成を具備していることを意味する。
例えば、重送の発生に先立ち重送リカバリ動作に係る特定のオペレータ要求がUI部を介して入力済で(図35のキー3502が選択)、かつ重送の発生に伴い重送とは異なる種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて未発生の、第1のケースが存在する。コントローラ205は、この第1のケース用の上記重送対象の未完了ジョブのリカバリ制御を実行する。この制御の1例として本実施形態では上述の(制御例1)の構成を開示している。
重送の発生に先立ち重送特定のオペレータ要求がUI部を介して未入力(図35のキー3502ではなくキー3501が選択)で、かつ、重送の発生に伴い重送とは異なる種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて発生しなかった、第2ケースも、存在する。コントローラ205は、この第2のケース用の上記重送対象の未完了ジョブのリカバリ制御を実行する。この制御の1例として本実施形態では上述の(制御例2)の構成を開示している。
かつ、重送の発生に先立ち特定のオペレータ要求がユーザインタフェース部を介して入力済みで(図35の表示のキー3502が選択された場合)、かつ、重送の発生に伴い他の種類の印刷中断要因が印刷システム1000にて発生した、第3のケースも存在する。コントローラ205は、この第3のケース用の上記重送対象の未完了ジョブのリカバリ制御を実行する。この制御の1例として本実施形態では上述の(制御例3)の構成を開示している。
かつ、重送の発生に先立ち重送特定のオペレータ要求がユーザインタフェース部を介して未入力(図35のキー3502ではなくキー3501が選択)で、かつ、重送の発生に伴い印刷中断要因が印刷システム1000にて発生した、第4のケースも存在する。コントローラ205は、この第4のケース用の上記重送対象の未完了ジョブのリカバリ制御を実行する。この制御の1例として本実施形態では上述の(制御例4)の構成を開示している。
これらの構成を前提に、コントローラ205は、上記4つのケースの各ケース毎に、印刷未完了のジョブのリカバリ動作の印刷システム1000における実行許可条件をそれぞれ異ならせるように、印刷システム1000を制御する。
以上のようなきめ細やかな構成を具備することで、実施の形態にて記載の効果を更なる向上が図れるという効果が得られる。
なお、上記の各構成に加えて更に以下の構成要件も本実施形態にて印刷システム1000は具備する。
大前提として、印刷システム1000は、例えば図24の大容量給紙装置50といった特定種類の給紙装置に収容された印刷媒体を、印刷装置100に供給する。そして更に、複数種類の後処理装置(図8A〜図10Bに例示の各種インラインフィニッシャなど)の各装置が夫々具備する複数の出力先(図8B、図9B、図10Bの説明参照)へ、供給する。この時、処理対象のジョブに対して上記本実施形態のUI部を介して設定されたオペレータからのジョブの処理条件に基いて、選択的に供給可能である。
この構成においてコントローラ205は、印刷システム1000のシステム構成状況に基づいて上述の印刷実行中に重送発生対象の未完了ジョブのリカバリ動作の印刷システム1000における実行可否(許可、禁止)を決定する。例えば、印刷システム1000のシステム構成が図8Bや図9Bや図10Bのシステム構成であることを、冒頭で説明済のHDD209にて保持される構成情報に基づいて、コントローラ205が確認した。図24のように、大容量給紙装置が印刷装置100の上流側に接続されていない場合、コントローラ205は、上記印刷実行中に重送発生対象の未完了ジョブのリカバリ動作を実行することを禁止する。図23のように大容量給紙装置が印刷装置100の上流側に接続されている場合、コントローラ205は、印刷実行中に重送発生対象の未完了ジョブのリカバリ動作を実行することを許可する。
このようなきめ細やかな更なる構成を具備することで、実施の形態にて記載の効果を更なる向上が図れるという効果が得られる。
なお、本実施形態の印刷システム1000は以下に例示が如くの構成に対応した構成である。以下の構成は上述した全ての構成のどの構成にも共通している構成である。
コントローラ205は、処理対象となるジョブの印刷実行要求及び該ジョブの処理条件を、印刷装置100自身が具備する本実施形態のUI部の表示部を介して、オペレータから受付可能にする。本実施形態では、このようなジョブにて上記重送発生時の制御を実行可能に構成している。なお、コントローラ205は、処理対象となるジョブの印刷実行要求及び該ジョブの処理条件を、印刷装置100に対してデータ送信可能なPC103が備えるUI部の表示部を介して、オペレータから受付可能にする。このような外部からのジョブに対しても上記重送発生時の制御を実行可能に構成している。
このようなきめ細やかな更なる構成も更に具備することで、実施の形態にて記載の効果を更なる向上が図れるという効果が得られる。
[その他のしくみ]
本実施形態における図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。なお、この場合に、各操作画面を含む本実施形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させる為のデータを外部からインストールし、該ホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインターフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、ここでは、図17のUI画面による構成でもって、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
以上のように、実施形態の機能を実現するソフトウェアを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)がそのソフトウェアを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
したがって、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのものをダウンロードする方法がある。若しくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化して記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定のユーザに対し、インターネットを介して暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化プログラムを実行してインストールさせてもよい。
また、コンピュータがプログラムコードを実行することにより、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって実施形態の機能が実現される場合も含まれるい。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、本実施形態では、印刷装置100内部のコントローラ205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。