以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[本印刷システム1000を含む印刷環境10000全体のシステム構成の説明]
本形態は、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等のオフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。そこで、本印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1の印刷環境10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本形態の特徴の1つである。
尚、本形態では、この本印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、POD環境にも適しているが故に、PODシステム10000と呼ぶ。
図1のPODシステム10000は、構成要素として、本形態の印刷システム1000、サーバ103、クライアント104を具備する。サーバ103、クライアント104は、パーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータである。また、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPODシステム10000に用意されている。
本印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置本体100及びシート処理装置200を具備する。尚、印刷装置100の一例として、本形態では、コピー機能及びプリント機能など複数の機能を具備する複合機を説明するが、コピー機能のみ或いはプリント機能のみの単一機能型の印刷装置であっても良い。また、複合機のことをMFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、くるみ製本機108、断裁機109、中綴じ製本機110を本印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。つまり、これらは、本印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なデバイスである。紙折り機107は、例えば印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束を単位に、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。
但し、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物を該印刷装置100の排紙部からオペレータが取出し、且つ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後に、オペレータによる介入作業を要する。
換言すると、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合は、装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。これは、印刷装置100からシート処理装置200へ、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給できるように構成されているからである。
具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路がシート処理装置200内部のシート搬送路に連結可能に構成されている。このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200と印刷装置100とは、互いに物理的接続関係にある。そして、印刷装置100とシート処理装置200とは、互いにCPUを具備し、データ通信可能に構成されている。即ち、印刷装置100とシート処理装置200とは、互いに電気的接続関係にある。
尚、本形態では、本印刷システムが具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。一例として、本例では、図2の印刷装置100内部のコントローラ部205が統括制御を行う。尚、本形態では、これらシート処理装置のことを、後処理装置、或いはポストプレスと呼ぶ。
図1のPODシステム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は全てネットワーク101に接続され、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
サーバ103、クライアント104などの外部装置の一例に相当する、例えばPCからネットワーク101を介して送信された印刷実行要求がなされた処理対象となるジョブの印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
また、ネットワーク通信により他の装置とデータ送受を実行することで、サーバ103は本POD環境10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの全工程を統括管理するコンピュータとして機能する。サーバ103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、本環境10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。且つ、エンドユーザ(この例では、印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際、サーバ103がJDFなどの情報交換ツールを用いてポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPOD環境10000における本形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1] 以下に列挙の(条件1)及び(条件2)の両方を満たす装置をシート処理装置を「インラインフィニッシャ」と定義する。また、この定義に該当する装置を本形態では「インラインタイプのシート処理装置」とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容できるように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置とできるように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的に接続されていること、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(サーバ103、クライアント104など)とデータ通信可能に電気的に接続されていることである。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを(条件2)に合致するものとする。
即ち、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。つまり、上述のように、シート処理装置200は、印刷装置100と物理的接続関係にあり、且つ印刷装置100と電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義2] 前項に掲げる(条件1)及び(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を「ニアラインフィニッシャ」と定義する。また、この定義に該当する装置を本形態では「ニアラインタイプのシート処理装置」とも呼ぶ。
紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、くるみ製本機108、断裁機109、中綴じ製本機110は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。これらのシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無いが、少なくともネットワーク101を介してサーバ103やクライアント104などの他装置とデータ通信可能な電気的接続関係にある。
[定義3] 前項に掲げる(条件1)及び(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。また、この定義に該当する装置を本形態では、「オフラインタイプのシート処理装置」とも呼ぶ。
紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。そのため、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。このシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係がなく、しかもネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可な電気的接続関係もない。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備する本POD環境10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理などの様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にもステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機或いは帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況をネットワーク101経由で把握する。且つ、本環境10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
尚、本形態は、上述した複数のシート処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能に構成しても良く、複数種類のシート処理を1台のシート処理装置が実行可能に構成しても良い。また、複数のシート処理装置のうちの何れかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
ここで、本形態の更なる着目点について説明しておく。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。このシート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを直接的にシート搬送路を介して受容可能な装置である。且つ、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。この点は、上述のインラインタイプのシート処理装置である点からも明白である。
ここで特筆すべきは、本形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として定義することも可能である点である。即ち、本形態では、シート処理装置200として互いに独立筐体で、且つ独立使用可能な複数台のシート処理装置を印刷装置100に連結して利用可能に構成している。一例として、図1に示す印刷システム1000は、印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している構成であることを意味している。換言すると、図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列的に接続されている。
本例では、このように、複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される一連のシート処理装置群200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本形態で取り扱っている。且つ、本システム1000の制御部の一例に該当する図2のコントローラ部205が印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下に示す実施形態で説明する各種制御を実行する。このような特徴点も具備している。尚、この構成については、図3などを用いて、更に後述する。
[本システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、本印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図でもって説明する。尚、本例では、本印刷システム1000が具備する図2の各ユニットのうちシート処理装置200(厳密に言えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは、全て印刷装置100内部に具備している。換言すると、シート処理装置200は、本印刷装置100に対して着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、POD環境にて必要なインラインフィニッシャを必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。故に、以下のような構成となっている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスク209(以下、HDDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。且つ、印刷装置100自身が具備するスキャナ部201から受付けたジョブデータを該HDDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。且つ、サーバ103、クライアント104などの外部装置から通信部の一例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを該HDDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能を具備する。このような複数の機能を具備したMPFタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
尚、換言すると、本形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を具備する。また、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を具備する。また、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受け付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なハードディスク209を具備する。また、ハードディスク209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を具備する。
また、本印刷装置100は、本印刷システム1000が具備するユーザインタフェース部の一例に該当する、表示部を有する操作部204も具備する。本印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、サーバ103やクライアント104などの外部装置の表示部及びキーボードやマウスがこれに該当する。
本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いはCPU)205は、本印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作を統括的に制御する。ROM207には、後述する図23、図25に示すフローチャートの各種処理等を実行するためのプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。また、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種UI画面を表示させるための表示制御プログラムも記憶されている。
制御部205は、ROM207のプログラムを読み出して実行することで、本形態にて説明する各種動作を印刷装置により実行させる。外部I/F202を介してサーバ103やクライアント104から受信したPDL(ページ記述言語)データを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行するためのプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。制御部205は、スキャナ部201や外部I/F部202などの各種入力ユニットから入力された処理対象となるジョブのデータを、HDD209を介してプリンタ部203でプリント可能に制御する。また、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このように、HDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行可能に制御部205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEGなどの各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データを圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成の下、本印刷システムが具備する制御部の一例としての制御部205が、図1の如くインラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む本印刷システム1000のメカ構成について、図3などを用いて説明する。
[本システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、本印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成を説明するための図を用いて説明する。
尚、上述したように、本印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。また、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は特定の制限の下、本形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。且つ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、…と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。
尚、図1〜図3では、説明の都合上、シート処理装置200の形状が図のような形状となっているが、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際のメカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ部205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ、印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。以下、コントローラ部205は、制御部又はCPUとも呼ぶ。
図3に示す符号301〜322のうち、301は図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322は図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。本形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明するが、4DタイプのカラーMFPや、白黒MFPも本形態の印刷装置の一例である。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。
一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を具備する。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。且つ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、該シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、該シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、上述したプロセスと同様にして該シートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へと該シートを排出させる。制御部205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を本印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。また、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズで且つ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
制御部205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。
制御部205は、UI部を介してユーザから受付けた印刷実行要求に基づきデータ発生源からHDD209に記憶させた該ジョブの印刷データの印刷処理を、上述の方法でもってプリンタ部203により実行させる。
尚、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、例えばスキャナ部201を意味する。また、印刷実行要求をホストコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
また、制御部205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHDD209に記憶させ、且つ、先頭ページから順番にHDD209から該ジョブの印刷データを読み出して、シート上に該印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。且つ、制御部205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。そのため、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着部308からのシートの表裏を反転させるためのスイッチバック動作をユニット309、312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処するためのペーパハンドリング制御も制御部205は実行する。
次に、本印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本形態のシステム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくともプリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば印刷装置100が具備する排紙ローラ309を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を具備するシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
しかし、本形態の効果を向上させるための1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に本印刷システム1000を構築可能に構成している。
具体的には、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるために、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を利用しない(即ち、0台)場合でも、本形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
また、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
但し、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるが故に、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、本発明はこのような構成に限定解釈されない。一例として、本印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成でも装置構成でもあっても、本発明に包含される。
尚、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのかについては、後述する。
[本システム1000のUI部の一例に該当する操作部204の構成]
ここで、本システム1000の印刷装置100が具備する本システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204を、図4などを用いて説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部電源スイッチ501を具備する。このスイッチ501のユーザ操作に応答して、制御部205は、スタンバイモードとスリープモードとを選択的に切換るよう制御する。尚、スタンバイモードは通常動作状態であり、スリープモードはネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止し、消費電力を抑えている状態である。
制御部205は、このスイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にするためのキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にするためのキーである。クリアキー507は、キー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、且つ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付けるためのキーである。ユーザモードキー505は、ユーザ毎のシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal
Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有する。当該ユニット401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。
ここで、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、制御部205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、該表示部401に該キー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。尚、図6は、本印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)に表示部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示す表示部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、制御部205は本印刷装置が具備するコピー機能の操作画面を表示部401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、制御部205は本印刷装置が具備するファックスやE−mail送信など、データ送信(Send)機能の操作画面を表示部401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、制御部205は本印刷装置が具備するボックス機能の操作画面を表示部401に表示させる。
尚、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。当該機能にて、制御部205は、例えば複数のボックスのうちのユーザが所望のボックスを該ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、制御部205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、該ユーザにより選択されたボックスに対して、本印刷装置のスキャナ201から受付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。また、外部I/F部202を介して受付けた外部装置からのジョブの文章データ等も、該外部装置のユーザインタフェース部を介して指定された該外部装置のユーザ指示に従い、該ユーザが指定したボックスに、記憶可能にする。また、制御部205はボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、該ユーザが所望の出力形態で、例えばプリンタ部203により印刷させたり、該ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御する。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、制御部205は該ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、表示部401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。また、制御部205は、図6の表示部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面を表示部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知するための表示画面を表示部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、或いは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面を表示部401に表示させるためのキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、制御部205は印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかを該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。また、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、制御部205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、制御部205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードを該ユーザにより選択可能にするための画面を表示部401に表示させる。また、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
また、図6を参照し、制御部205は、表示部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、本印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させるための表示を実行させる。また、制御部205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させるための情報を、表示欄607に表示させる。また、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させるための情報を表示欄616に表示させる。また、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させるための情報やプリント動作中で何枚目を印刷中かをユーザに確認させるための情報を表示欄610に表示させる。このように、制御部205はユーザに通知すべき各種情報を表示部401に表示させる。
更に、制御部205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、本印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、該ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面を表示部401に表示させる。
ここで、本形態の更なる着目点の一例について説明する。制御部205は、処理対象となるジョブのための設定として、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200が具備するシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にするための表示をUI部により実行させる。この表示を該UI部に実行させるための指示自体をユーザから受付可能にする表示も該UI部により実行させる。
一例として、制御部205は、表示部401に例えば図6のシート処理設定キー609を表示させる。そして、このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、制御部205は本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を表示部401に実行させる。
尚、この図7の表示に例示する「シート処理設定キー609」のことを、図19以降の例示では、「フィニッシングキー」とも呼ぶ。即ち、同じ機能ボタンを意味する。故に、後述する説明では、「シート処理」のことを「フィニッシィング」とも呼ぶ。また、「パンチ処理」に関しても、POD環境では、様々なパンチ処理(印刷済みのシートに対する穿孔処理)を行うニーズが想定される。
そこで、図19以降の例示では、複数種類のパンチ処理に該当する「2穴パンチ(シートの綴じ辺に該当するシート端部に2箇所穴をあける処理)」、「多穴パンチ(シートの端部に30穴等の多数の穴をあける処理)」を例示している。これらの処理は、上記構成に対応すべく、図8A〜図10Bに示す中綴じ製本機が具備するパンチユニットにより実行可能にするものとする。換言すると、これ以外の装置やユニットを用いてこれらのパンチ処理を実行可能に構成しても良い。但し、上記例示の如く、インラインフィニッシャの定義に該当する装置を本システム1000にて利用を許可し、これに該当しない装置は本システム1000での利用を禁ずるよう構成する。
本例では、キー609がユーザにより押下されたことに応答し、表示部401に例えば図7の表示を実行させる。制御部205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してインラインシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
但し、制御部205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、本システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて、決定する。図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の一例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、制御部205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
換言すると、本システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を本システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。制御部205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付けないように制御する。更に、換言すると、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を本システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にするための表示キーを図7の表示にて有効表示状態にするよう制御する。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付ける事を許可する。このような表示制御も、本形態にて後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
また、このような制御を実行するうえで、制御部205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、本システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。また、該シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、制御部205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が印刷装置100が接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基づき自動獲得する。このような構成を前提とし、制御部205は、当該獲得した情報に基づく表示内容でもって、図7の表示を、表示部401に実行させる。
尚、本システム1000は、PCなどの外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及び該ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように、外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる該外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。一例として、本例では、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、サーバ103やクライアント104の表示部に表示させている。
但し、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、該装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、サーバ103やクライアント104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、PCのCPUが実行する。
[本形態にて制御対象となる本印刷システム1000の具体的システム構成例]
本形態の特徴点の一例に関連し、本印刷システム1000が印刷装置100に対して如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を如何様に何台接続できるのか等のシステム構成に関し、図8A、8B等を用いて説明する。
本形態は、図1〜図3に示すシステム1000として、例えば図8A、8Bのようなシステム構成を構築可能に構成している。
図8Aのシステム構成例は、本システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置群200として、具備している事を意味する。尚且つ、図8Aの構成例は、本システム1000が具備する印刷装置100に対して大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という接続順序で接続されていることを意味する。本システム1000が具備する制御部の一例に該当する制御部205は、図8A、8Bのようなシステム構成からなる本印刷システム1000を統括的に制御する。
本例にて、大容量スタッカ(シート積載装置)は、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
また、本例の糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。また、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理も該糊付け製本機により実行可能である。該糊付け製本機は、少なくとも、くるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるが故に、くるみ製本機とも呼ぶ。
また、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対してステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理を選択的に実行可能なシート処理装置である。
本形態では、制御部205がこれらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を各種制御に要する管理情報として特定のメモリに登録させる。例えば、制御部205は、本システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報をHDD209に登録させておく。
(情報1)本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置を具備していることを制御部205により確認可能にするための装置有無情報。このように、本システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2)本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備していることを制御部205により確認可能にするためのインラインシート処理装置の台数情報。このように、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3)大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を本システム1000が具備していることを制御部205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、本システム1000にて具備するインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4)上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行可能な大容量スタッカであることを制御部205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置であることを制御部205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対してステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理が選択的に実行可能な中綴じ製本装置であることを制御部205により確認可能にする情報。換言すると、本システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類であることを制御部205により特定可能にするための情報。このように、本システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にするための情報が、これに該当する。
(情報5)上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されていることを制御部205により確認可能にするための情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の本システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
上記(情報1)〜(情報5)に示す各種情報を制御部205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HDD209に登録する。且つ、制御部205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として利用する。
以上の構成を前提とし、例えば本印刷システム1000のシステム構成状況が、図8Aのようなシステム構成であるとする。このシステム構成にて制御部205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
本システム1000が、例えば図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能である。この事実は、制御部205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基づき認識する。且つ、当該認識結果に基づき、制御部205が図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようにUI部を制御する。且つ、制御部205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのためにステイプル処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのためにパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのために断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのためにシフト排紙処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートのシフト排紙処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのために中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのために折り処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのためにくるみ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのために天糊製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
また、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブのために大量積載処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8Aのシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、制御部205は、本システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。且つ、本形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付けことに応答し、該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。且つ、そのプリント処理がなされた該ジョブのシートに対して該ジョブにて要するシート処理を本システム1000のシート処理装置により実行させる。
尚且つ、本形態の特徴点の一例として、制御部205は、以下のような制御も本システム1000にて実行する。
システム1000が、例えば図8Aのようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bでは、システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図8Bに示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、夫々、具備する構成である。
且つ、図8Bのシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取る機能を具備する。且つ、該前段装置から受取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
このように、本形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を具備する。この構成も、本形態の特徴点の一例である。
以上が如くのシステム構成を前提とし、印刷システム1000が、例えば図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上述のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(例えば、積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8A、8Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(例えば、積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送し、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば、後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送し、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
更に、一方、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここで、シート処理は、例えば中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理であり、またジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点及びC点を通過させて中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図8Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成であることに起因する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本形態の制御部の一例に該当する制御部205は、HDD209に記憶された本システム1000のシステム構成情報に基づくペーパハンドリング制御も、実行する。
尚、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。また、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8A、8B等で説明したように、本形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。且つ、図8A、8B及び後述する図9A、9Bや図10A、10Bを対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に、自由な組合せで、印刷装置100に対して、接続又は取り外し可能に構成している。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。但し、本形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、例えば以下の構成要件を具備する装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、且つ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備するシート処理装置。本例では、例えば図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示す大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
尚且つ、本形態では、上記構成に該当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として本システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能である反面、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備しないシート処理装置。本例では、例えば図8A、8Bや後述する図9A、9Bや図10A、10Bのシステム構成で示す中綴じ製本機が、これに該当する。但し、このような装置に対しては制約事項を設けている。
上述の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8A、8Bの中綴じ製本機)を本印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。但し、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。但し、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように本システムにて構成することは禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう本システムが具備する制御部は本システム1000を統括的に制御する。
この一例として、例えば制御部205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。また、上述した構成の如く、複数台のシート処理装置の接続順番をUI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、制御部205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、本システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、PODシステム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。且つ、本システム1000は、当該システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
図8Aのシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の一例として、例えば図9Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図9Aのシステム構成は、図8Aのシステム構成と比較して、本システム1000が具備する複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図9Bに示すような構成になる。
図9Bは、印刷システム1000の構成が図9Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。且つ、図9Bのシステム構成は、図9Aのシステム構成の内部構成に対応している。
図9Bのシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図9Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介してプリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
しかも、図9A、9Bのシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を本印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、印刷システム1000のシステム構成状況が、例えば図9A、9Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は以下に例示する制御を実行する。
図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、例えば印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図9A、9Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(例えば、積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9のシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース1)の制御例に該当する。
また、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば、後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
更に、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここで、シート処理は、例えば中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理であり、ジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点及びC点を通過させ、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図9Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8A、8B、図9A、9Bに例示した如く、本印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本形態で上述する効果を最大限に発揮するための仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本形態では、図8A、8Bや図9A、9Bのようなシステム構成以外の構成も、本システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台具備するシステム構成を説明した。本形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この一例として、図10Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図10Aのシステム構成は、図8Aや図9Aのシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図10Bに示すような構成になる。
図10Bは、印刷システム1000の構成が図10Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。且つ、図10Bの装置構成は、図10Aの装置構成に対応している。
図10Bの装置内部構成も先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図10Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介してシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。上述したように、中綴じ製本機は、例えばシート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
このような構成を前提として、印刷システム1000のシステム構成状況が、例えば図10A、10Bに示すシステム構成である。この場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(例えば、積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図10A、10Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(例えば、積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図10Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図10Bのシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図10Bの(ケース1)の制御例に該当する。
また、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブであるとする。ここで、シート処理は、例えば中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理であり、ジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、図10A、10Bのシステム構成に処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
尚、図10Bの排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成であることに起因する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
但し、制御部205は、図10A、10Bのシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)の実行要求をユーザから受付けることを禁止する。
本印刷システムが、例えば図10A、10Bのようなシステム構成状況である場合に、図7の表示をUI部に実行させる際は、表示キー707及び表示キー708の網掛け表示やグレーアウト表示になるように制御する。換言すると、該キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、本システム1000が図10A、10Bのようなシステム構成である場合には、制御部205は、糊付け製本処理を本システム1000にて実行することを禁止する。
この、本印刷システム1000が図10のシステム構成である場合にて制御部205により実行する制御が、図10Bの(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、制御部205は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8A〜図10B等の説明からも明らかなように、本印刷システム1000が具備する制御部は、本システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を本システム1000にて実行する。
尚、何故、本形態にて本印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の一例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
まず、なぜ本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置が、各々、独立筐体で且つ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の一例としては、例えば本システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
換言すると、例えば、本システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別である事に対処する仕組みを提供するためである。
また、なぜ本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ図8A、8Bや図9A、9Bに示すが如く、各インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、本印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、本システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
図1のPODシステム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、例えばユーザマニュアルやガイドブックなど、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8A、8Bのような接続順序でシステム1000を構築するよりも、図9A、9Bのような接続順序でシステム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行するために必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的であることに起因する。
シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。また、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8A、8Bのシステム構成よりも図9A、9Bのシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことができる。
換言すると、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図9A、9Bのシステム構成よりも図8A、8Bのシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことができる。
このように、本形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、本印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような本システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8A〜図10Bで例示した本システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、各シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図11は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、大容量スタッカ(シート積載装置)の内部構成断面図の一例を示す。
当該大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この一例として、図11に示すが如く、1つはストレートパスである。1つはエスケープパスである。1つはスタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
尚、図11の大容量スタッカ及び後述する図12の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡すための機能を果たすがために、本例ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡すためのシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送するためのユニットである。
また、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、当該エスケープパスに印刷物を搬送して、該トレイから印刷物を取出可能にする。
尚、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカの不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行うための信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して制御部205に通知する。制御部205は、この大容量スタッカからの情報に基づき、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、印刷システムは、シート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して大容量スタッカのセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
更に、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニット(積載部)によるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、該装置により実行させるためのシート搬送路である。
本システム1000が図8A〜図10Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、制御部205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブのために、当該スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図11のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニット(積載部)である。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。制御部205は、このスタックトレイを用いて処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによる実行させるように制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(或いは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。制御部205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図12は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の一例を示す。
当該糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この一例として、図12に示すが如く、1つはストレートパスである。1つは本身パスである。1つは表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図12の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、該装置が具備する糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡すための機能を果たすシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを上流の装置から下流の装置へと搬送するためのユニットである。
尚、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行うための信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して制御部205に通知する。制御部205は、この糊付け製本機からの情報に基づき、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムは、シート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、シート処理装置のCPUを介してこの糊付け製本装置のセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、図12の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成するためのシート搬送路である。
本形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。且つ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、本例では「本身」と呼ぶ。且つ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するよう制御部205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、制御部205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブのために当該糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、以下のように当該装置を制御する。
プリンタ部203で印刷されたシートを、図12の本身パスを介して順次スタック部に蓄える。且つ、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、該スタック部に蓄えた上で、表紙パスを介して該ジョブにて要する表紙用のシートを搬送させる。
尚、くるみ製本に関し、本形態の特徴点の1つに関連する事項が存在する。本例にて糊付け製本処理の一例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、当該糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも圧倒的に多い。くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として、例えば最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理することを許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理とその他のシート処理では圧倒的に異なる。
このように、本形態では、制御部205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。且つ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且、後述する制御に関連する構成である。
尚、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図12に示すが如く、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。また、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、当該表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
また、上述したように、本形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。換言すると、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。本形態では、このような点についても、着目している。
このように、糊付け製本機能1つをとっても分るように、本形態では、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した印刷システム、製品の実用化を目指すための仕組みを採用している。換言すると、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。また、図8A〜図10Bに例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすがための仕組みである。
ここで、特筆すべきは、本形態が、単に上述のような新規の機能やシステム構成を具備することのみに留まらず、当該機能構成を採用することで想定されうる使用状況や要求など対処すべき課題を事前に発見検討している点である。且つ、その課題に対する解決手法となる構成要件をも具備する点が特徴点の1つに該当する。このように、本形態では、事務機メーカーが新規市場の開拓参入するうえで、新規に搭載する機能やシステム構成に対する市場要望等を課題として、事前に発見検討し、その課題に対する解決手法をも念頭に入れた仕組みを構成として採用している。このような点も本形態の特徴的要件の1つに該当する。この具体的に構成要件の一例として、制御部205により本形態にて各種制御を実行している。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図13は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の一例を示す。
当該中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。但し、当該中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
尚、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行うための信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して制御部205に通知する。制御部205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムは、シート処理装置装置と印刷装置100との間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、シート処理装置のCPUを介してこの中綴じ製本装置のセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
また、例えば図13に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、制御部205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
制御部205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブのために、当該中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。尚、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、該記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を当該装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(又は3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対するシート処理に関する設定として、ユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。その上で、機内を通過させ、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するように制御する。また、出力すべきジョブに対するシート処理に関する設定として、例えばユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。その上で、機内を通過させ、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するように制御する。
また、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。当該サドルステッチによる製本処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
また、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。故に、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイ又はサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
尚、当該インサータによる記録紙挿入処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
また、本形態では、一例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も具備する。この説明を以下の行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。尚、当該トリマによる断裁処理等のシート処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定されたシート処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
尚、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、制御部205は、UI部に図14の表示を実行させる。当該図14の表示を介して制御部205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。また、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、或いは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付け可能にする。
制御部205がUI部に実行させた図14の表示を介してユーザにより、「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、制御部205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図15のような印刷体裁になるよう本システム100の動作制御を行う。図15の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
また、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、制御部205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図16のような印刷体裁になるよう本システム1000を制御する。図16の一例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
また、本印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから本印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
本実施形態の各種の処理や制御を実行するためのプログラムデータをWEB等のデータ供給源或いは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103や104等)にて操作する場合、以下のように制御する。但し、制御の主体はPCの制御部である。
ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、例えば本システム1000の印刷装置100を操作するためのプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、該ホストコンピュータのCPUは、当該ホストコンピュータの表示部に、図17Aに示す印刷設定画面を表示させる。図17A、17Bは、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、当該図17A、17Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、該ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図17Bのような印刷設定画面に切り替えるよう表示部を制御する。
そして、CPUは、図17A、17Bの印刷設定画面上のシート処理設定項目1701を介して本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
尚、ここでは、省略するが、該ホストコンピュータを含む外部装置においては、図17A、17B以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより設定項目1701を介して所望のシート処理が選択され、図17A、17Bの画面に戻り、OKキーが押下される。これを受け、CPUは、ユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドとプリント部203でプリントさせるべき一連のプリントデータとを一つのジョブとして関連付けて本システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信する。
そして、該コンピュータからのジョブを、本システム1000の外部I/F部202が受信すると、これを受け、本システムの制御部205は、当該ホストコンピュータからのジョブを処理するように本システム1000を制御する。尚、この処理は、該ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて行われる。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本形態で述べる各種の効果を得ることができ、本システム1000の利用効率を更に向上させることができる。
本形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
尚、図1〜図17Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
図1〜図17Bを用いた上述の如く、本形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
一例として、オフィス環境では想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
また、一例として、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処できるように構成している。また、本印刷システム1000の納入対象となるPOD環境で商売をなすPOD業者におけるビジネス形態に柔軟に対応可能に構成している。
一例として、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置1000に対して接続可能にし、且つ、各インラインシート処理装置毎に、独立筐体で且つ独立動作が可能に構成している。且つ、接続するシート処理装置も任意台数とし、本印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
尚、本形態では、本印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。一例として、本形態では、本印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHDD209に登録できる構成を説明した。故に、これを用いて例示する。
本印刷システム1000のシステム構成として、例えば図8A、8Bに示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず該POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8A、8Bの3台のシート処理装置を、図8A、8Bに示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。その上で操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合、制御部205は、当該キー操作に応答し、表示部401に、図18Aの表示を実行させる。
図18Aの表示は、本印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にするための表示である。制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。且つ、制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。
且つ、制御部205は、図18Aの表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台ずつ、本印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。制御部205は、図18Aに示すが如く、例えば「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。但し、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」なるガイダンスを通知する。尚、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
尚、制御部205は、図18Aの設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台ずつ決定可能に表示部401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成の下、本印刷システム1000のシステム構成を、例えば図8A、8Bに示すシステム構成にする場合、図18Bの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Bの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8A、8Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
また、本印刷システム1000のシステム構成を、例えば図9A、9Bに示すシステム構成にする場合、図18Cの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Cの表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図9A、9Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
更に、本印刷システム1000のシステム構成を、例えば図10A、10Bに示すシステム構成にする場合、図18Dの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Dの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10A、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
また、図19に例示する本形態の印刷システム1000のシステム構成では、図13に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。このシステム構成は、同一タイプのインラインフィニッシャとして、大容量スタッカを2台接続したシステム構成である。このように、本形態の印刷システムは、同じ種類のインラインフィニッシャを複数台接続可能に構成している。
尚、図19に例示が如く、同じ種類のインラインフィニッシャを連続してカスケード接続する構成を、本形態では、タンデム接続とも呼ぶ。また、図19に例示のシステム構成は、本システムの納品先の印刷業者が大量積載を頻繁に行うような状況を想定している。このように、本形態では、大容量スタッカを複数台タンデム接続可能に構成している。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本形態の特徴点の1つに該当する。
以上の図1〜図19を用いて上述した如く、本システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた、様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な製品の実用化に向けての様々な仕組みを具備する。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を具備するに留まらず、本印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、本システム1000にて実行可能に構成している。
この一例として、本印刷システムが具備する制御部は、以下のような制御を本印刷システム1000にて実行するよう制御している。
尚、以下の具体的制御を説明する前に、本印刷システム1000の構成について補足しておく。
本形態の大容量スタッカ等の各種インラインフィニッシャは、夫々、各装置毎に、用紙ジャムの除去やプリンタ部203で印刷がなされたジョブの印刷物(印刷媒体とも呼ぶ)の取出しのため、装置筐体前面に開閉動作が可能なドア(前ドア)を具備している。
また、本形態の大容量スタッカは、例えば図13の内部構成で例示した如く、大容量の印刷物を積載可能な装置内部に配設されたスタックトレイと、装置外部(機外上方部)に配設されたエスケープトレイを具備する。尚、上述のスタックトレイは、単にスタッカ部とも呼ぶ。また、エスケープトレイはサンプルトレイとも呼ぶ。
制御部205は、本形態の大容量スタッカの機内に配設される上記スタックトレイ及び機外に配設されるエスケープトレイの、これら各トレイに対して、本形態に例示が如くの各種判断条件に基づき、処理対象のジョブの印刷物を選択的に供給可能に制御する。また、大容量スタッカ等、中綴じ製本機以外の、本形態のインラインフィニッシャは自装置の前段に位置する装置から受取った印刷物を自装置内部のスルーパスを介して自装置の後段に位置するインラインフィニッシャの装置内部へ搬送する機能も具備する。また、本形態の大容量スタッカは、装置内部のスタックトレイに積載された印刷物のシート積載量に応じて、該トレイが自動的に下降可能に構成されている。また、印刷物の整合処理も可能に構成されている。
以上の構成は図13で説明した通りだが、図20の装置概観例に示すが如く、大容量スタッカの前面にはオペレータによる開閉動作が可能な前ドア2002を具備する。且つ、当該ドア2002をオープンさせるための指示をオペレータが入力するためのスイッチ2001を装置筐体上部に具備している。この大容量スタッカにおける各種動作の制御は、当該大容量スタッカ自身が具備する制御部(不図示)が主体となって行う。この制御部は、スイッチ2001からのオペレータによる手動入力命令に従い、このドア2002をオープンさせる。具体的には、当該ドア2002は閉じている状態の時に不図示の鍵により施錠状態としており、この鍵を開錠させてドア2002をオープンさせる。これにより、大容量スタッカのスタックトレイに積載済みの印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。また、スイッチ2001からの操作だけでなく、印刷装置100の制御部205からの指示により、当該ドア2001を自動的にオープン可能に制御される。この際は、図2に示す装置内部の信号線を介して当該ドアオープン信号を制御部205から大容量スタッカの制御部205に送信する。また、大容量スタッカのスタックトレイに積載された印刷物をオペレータにより取出作業を行う際に、ドア2002を開けてオペレータによる取出作業が行われる。勿論、これらの主体制御も、印刷装置100が具備する制御部205が実行しても良い。
本形態では、印刷処理がなされたジョブの印刷物を該大容量スタッカからオペレータにより取出す際には、その大容量スタッカが具備するスタックトレイに対して、当該ジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブのシートが排紙されないように制御する。この制御は、本印刷システム1000を制御部205が主体となって行われる。
換言すると、本形態の印刷システム1000は、シート処理装置におけるオペレータによる印刷処理がなされたジョブの印刷物の取出作業中に当該シート処理装置内部のシート処理部に対して、当該ジョブに後続するジョブのシートが排紙されないよう制御する。
但し、制御部205は、例えば大容量スタッカが具備するスタックトレイにおける印刷物のオペレータによる取出作業中であっても、以下に例示する動作は実行可能に制御する。
制御部205は、スタッカトレイに積載済の印刷物のオペレータによる取出作業中等、大容量スタッカの前ドア2001開閉状態中に、その大容量スタッカのエスケープトレイに対して、後続ジョブの印刷物を排紙可能に、システム1000を制御する。
また、制御部205は、既述の如く大容量スタッカの前ドア2001がオープンされたままの状態期間中に、後続ジョブの印刷物をその大容量スタッカ内部のスルーパスを介して搬送可能にシステム1000を制御する。ここで後続ジョブは、その大容量スタッカによる積載処理が不要なジョブに該当し、且つその大容量スタッカの後段に接続されているインラインフィニッシャによるフィニッシングを要するジョブに該当する。
このように、制御部205は、ドア2002がオープンされている状態のままでも、上記例示が如くのシステム1000における動作の実行を許可する。
以上の各種動作を実行するために、制御部205は、シート処理装置からのオペレータによるシートの取出対象となるジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブの印刷動作の開始を禁止したり、許可したりする。換言すると、制御部205は、当該後続ジョブの印刷動作の実行可否や印刷タイミングを、制御する。
以上のような構成も、印刷装置に対して物理的接続関係にあり且つ電気的接続関係にあるインラインフィニッシャ固有の構成である。
以上のような構成を前提とし、本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当する制御部205は、以下に例示の制御を実行する。
尚、以下に例示の制御を説明する前に前提的な構成要件について更に補足しておく。
前提として、本システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を具備する印刷装置100を具備する。且つ、該システム1000は、印刷装置100に対して接続可能な、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシートに対するシート処理を実行可能な複数台のシート処理装置200a〜nを具備する。尚、印刷がなされたジョブのシートを印刷物或いは印刷媒体とも呼ぶ。また、シート処理をフィニッシング又は後処理とも呼ぶ。
これらのシート処理装置は、各装置毎に自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。且つ、本システム1000は、該印刷装置100のプリンタ部203から、これら複数のシート処理装置に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に、供給可能に構成している。
本形態の制御部の一例に相当する制御部205は、以上のような、POD市場を見据えたシステム構成となっている印刷システム1000にて、以下に例示が如くの制御を実行する。
[例1]
ここで、本実施例における大量プリントに備えた排紙処理装置の印刷制御について説明する。印刷装置1000は2つ以上の排紙処理装置が備えられた印刷装置であって、ここでは図10Aであり、大容量スタッカ200aと中綴じ製本機200bが接続された構成を例とする。
印刷装置1000のコントローラ部205は、ジョブの印刷中か否かに係わらず、操作部204のユーザモードキー505が押下されたとき、複数の排紙処理装置が接続された構成で操作部204に図21Aの操作画面2100を表示させるように制御する。図21Aの操作画面2100において、2101は印刷装置の動作設定を行うキーであり、動作設定項目の名称2102と動作設定項目の設定値2103が表示される。ここで、閉じるキー2104が押下されると、コントローラ部205は閉じるキー2104が押下されたことを検知し、図21Aの画面2100を閉じ、図6に例示したコピー操作画面を表示する。
次に、ユーザが図21Aに例示する操作画面のスタッカ出力時の退避出力キー2105を押下すると、コントローラ部205は退避出力キー2105が押下されたことを検知し、図22に例示するスタッカ出力時の退避出力画面2201を表示する。ここで、ユーザはON2202又はOFF2203を選択することができる。そしてユーザがON2202又はOFF2203を選択したのち、OKキー2204を押下すると、コントローラ部205は選択されたON又はOFFの設定をRAM208或いはHDD209に書き込み、スタッカ出力時の退避出力がONかOFFかを保持する。更に、コントローラ部205はスタッカ出力時の退避出力画面2201を閉じ、図21Aに示す共通使用設定の操作画面2100を表示する。このときコントローラ部205は、RAM208或いはHDD209に書き込み、保持したスタッカ出力時の退避出力がONかOFFかの値を操作画面2100の動作設定項目の設定値2103に表示する。
一方、スタッカ出力時の退避出力画面2201で、ユーザがキャンセルキー2205を押下した場合は、コントローラ部205は、キャンセルキー2205が押下されたことを検知し、スタッカ出力時の退避出力画面2201を閉じる。そして、図21Aに示す共通使用設定の操作画面2100を表示する。このときコントローラ部205は、ON又はOFFの設定をRAM208或いはHDD209に書き込むことはしない。
次に、スタッカ出力時の退避出力設定がON又はOFFの場合に、印刷装置1000のスタックトレイを切り替えるコントローラ部205の制御を、図23を用いて説明する。
ユーザから印刷ジョブが投入されると、コントローラ部205はS2301で、RAM208或いはHDD209に用意されている出力先情報に基づき、このジョブの出力物を大容量スタッカ200aのスタックトレイに出力するか否かを判断する。尚、PDLプリントでは印刷ジョブのデータに含まれる指示に従っても良く、コピーではジョブ実行時に操作画面より設定される排紙先指定でも良い。
S2301で、コントローラ部205が、大容量スタッカ200aのスタックトレイに出力しないと判断した場合は、S2302で、コントローラ部205は印刷ジョブを処理し、印刷物を大容量スタッカ200aのスタックトレイでない出力先に出力する。
一方、S2301でコントローラ部205が印刷物を大容量スタッカ200aのスタックトレイに出力すると判断した場合、S2303で、コントローラ部205は印刷ジョブを処理し、印刷物を大容量スタッカ200aのスタックトレイに出力を行う。次に、S2304でコントローラ部205は大容量スタッカ200aのスタックトレイに出力を続けつつ、外部I/F202を介して大容量スタッカ200aと通信を行い、大容量スタッカ200aのスタックトレイへの出力物が満載となったか否かを監視する。
コントローラ部205はS2304で、大容量スタッカ200aのスタックトレイへの出力物の満載を検知するまで、S2303における印刷ジョブの処理、印刷物の出力動作を続ける。そして、S2304で、コントローラ部205は、大容量スタッカ200aのスタックトレイにおける出力物が満載であることを検出すると、S2305へ制御を進める。
S2305では、操作画面2201で設定されたスタッカ出力時の退避出力設定がONかOFFかをRAM208或いはHDD209に保持した値に従って判断する。ここで、コントローラ部205は、スタッカ出力時の退避出力設定がONであると判断した場合、S2306で、印刷ジョブの印刷物の出力先を大容量スタッカ200aのスタックトレイ以外とする。この場合、コントローラ部205は印刷物を大容量スタッカ200aのエスケープトレイ又は200bの中綴じ製本機の何れかのトレイに出力させる。
次に、S2307で、コントローラ部205は、大容量スタッカ200aのエスケープトレイ又は200bの中綴じ製本機の何れかのトレイに出力中に、大容量スタッカ200aのスタックトレイの満載状態が解除された否かをチェックする。ユーザによるドリーの交換などによって大容量スタッカ200aのスタックトレイの満載状態が解除されたことを検知すると、S2303で、コントローラ部205は印刷ジョブの出力先を再び大容量スタッカ200aのスタックトレイに戻す。
一方、S2305で、コントローラ部205はスタッカ出力時の退避出力設定がOFFであると判断した場合、S2308で、印刷ジョブの印刷物の出力を停止する。そして、S2309で、コントローラ部205は大容量スタッカ200aのスタックトレイがユーザによるドリーの交換などによって満載でなくなるのを待つ。その後、満載が解除されたことを検出すると、S2303で、コントローラ部205は再び大容量スタッカ200aのスタックトレイへの印刷ジョブの出力を再開する。そして、印刷ジョブが終了するまで同様の処理を続ける。
[例2]
次に、本実施例における大量プリントに備えた排紙処理装置の印刷制御について、他の例を説明する。ここで印刷装置1000は、2つ以上の大容量スタッカが備えられた印刷装置であり、図19の大容量スタッカ200a(第1のシート積載装置)、大容量スタッカ200b(第2のシート積載装置)、中綴じ製本機200cが接続された構成とする。
まず、コピー機能を例とした操作画面例を説明する。コントローラ部205は、コピー時に図7に示したシート処理種類の選択画面700を表示し、このとき大容量積載処理キー709が押下されたことを検出したときに図24Aに例示する操作画面2400を表示する。この操作画面2400には、排紙先を設定する排紙先キー2401とタンデム出力の設定をするタンデムキー2402がある。ここでタンデム出力とは、印刷ジョブの出力の際に大容量スタッカ200aと大容量スタッカ200bの両方のスタックトレイを印刷物の出力先とする出力である。また、図24Aに示す例では、タンデム出力がオフ、即ちタンデムキー2402がOFFで、排紙先キー2401でスタック部a(第1の積載部)を選択した場合の画面である。
このように、本システムは、「処理対象の同一ジョブの印刷物の出力先として、互いに同一種類の後処理を実行可能な複数台の大容量スタッカの各装置の各排紙先を利用可能にする、タンデム出力機能」を具備している。
尚、本実施例では、タンデム出力に利用を許可する大容量スタッカの台数を2台としているが、3台でも4台でも、2台以上の大容量スタッカを利用可能に構成しても良い。
このように、本実施例は、タンデム出力機能に最大2台の大容量スタッカを利用可能に構成するケースを包含する。且つ、タンデム出力機能に3台以上の大容量スタッカを利用可能に構成するケースも包含する。
しかし、特筆すべきは、既述の如く、タンデム出力機能に要する大容量スタッカの数は問わないが、これらどちらのケースにおいても、少なくとも図8〜図10や図19に例示の如くのシステム構成を構築可能にする。
即ち、本システムのシステム構成として、タンデム出力機能に要する少なくとも2台の大容量スタッカと共に、当該大容量スタッカ以外の種類のインラインフィニッシャも印刷装置100にカスケード接続することを許可する。
例えば、図19の例が如く、タンデム出力機能にて利用対象の2台の大容量スタッカと中綴じ製本機の計3台(種類で言えば、大容量スタッカと中綴じ製本機の2種類)のインラインフィニッシャを具備した構成を構築可能にする。
この仕組みは、図8〜図10等を用いて既述した如く、特定の制限を遵守する範囲内でシステム構成を柔軟に構築可能にする効果を維持した状態で、タンデム機能に対処可能となるという効果を図るための仕組みでもある。
コントローラ部205は、排紙先キー2401が押されたことを判断すると、図24Bに例示するようにプルダウンメニューを表示する。このプルダウンメニューには印刷装置1000の構成における排紙トレイが示される。スタック部a(第1の積載部)2403は大容量スタッカ200a(第1のシート積載装置)のスタックトレイを表し、スタック部b(第2の積載部)2404は大容量スタッカ200b(第2のシート積載装置)のスタックトレイを表す。排紙トレイa2405は中綴じ製本機200cのサンプルトレイ、排紙トレイb2406は中綴じ製本機200cのスタックトレイを表す。
一方、コントローラ部205はタンデムキー2402が選択されたことを検出すると、図24Cに例示する操作画面を操作部401に表示する。このタンデムキーはチェックがあるとタンデム設定=ON、チェックがないとタンデム設定=OFFとなるトグルキーとなっている。
コントローラ部205は、図24A〜図24CにおいてOKキー2407が押下されたことを検出すると、設定された排紙先、タンデムの各設定をRAM208或いはHDD209に書き込み、保持する。また、コントローラ部205は図24A〜図24Cにおいて設定取り消しキー2408が押下されたことを検出すると、図24A〜図24Cで選択された排紙先、タンデムの各設定をRAM208或いはHDD209に書き込まない。
尚、コントローラ部205はOKキー2407か、設定取り消しキー2408の何れかのキーが押下されても、図24A〜図24Cの大容量積載処理設定画面2400を閉じ、シート処理種類の選択画面700の表示にする。
次に、大容量積載処理設定と印刷装置1000のスタックトレイを切り替えるコントローラ部205の制御を、図25を用いて説明する。
コントローラ部205は、S2501で印刷ジョブ開始時に大容量積載処理設定2400でなされた排紙先設定をRAM208或いはHDD209から読み出し、印刷ジョブの出力物の排紙先に決定する。そして、S2502でコントローラ部205は印刷ジョブを処理し、出力物をS2501で決定した排紙先に出力する。また同時に、コントローラ部205は印刷ジョブの出力を続けつつ、外部I/F202を介して出力先の排紙処理装置と通信を行い、印刷ジョブの処理の実行中に出力物の排紙先が満載となったか否かを判断する。コントローラ部205が出力物の排紙先が満載となったこと検出した場合、S2503で満載となった時点での出力物の排紙先を判断する。ここでは、大容量スタッカ200aのスタックトレイ、大容量スタッカ200bのスタックトレイ、中綴じ製本機200cのサンプルトレイもしくはスタックトレイの何れかを判断する。
S2503で、コントローラ部205が満載となった時点での出力物の排紙先が中綴じ製本機200cのサンプルトレイもしくはスタックトレイであると判断した場合、コントローラ部205はS2504で印刷ジョブの出力動作を停止(中断)する。そして、コントローラ部205はS2505で、ユーザによって満載となったトレイの出力物が取り除かれるなどされて、トレイの出力物の満載状態が解除されるのを待つ。コントローラ部205は、トレイの出力物の満載状態が解除されると、S2506で、再び印刷ジョブの出力を再開する。
一方、S2503で、コントローラ部205は印刷ジョブの処理の実行中に満載となった時点での出力物の排紙先が大容量スタッカ200aのスタックトレイであると判断した場合、S2507へ制御を進める。S2507では、容量積載処理設定2400でなされたタンデム設定をRAM208或いはHDD209から読み出し、タンデム設定がONかOFFかを判断する。ここで、コントローラ部205がタンデム設定=OFFと判断した場合は中綴じ製本機200cのトレイへの出力と同様に、S2504で印刷ジョブの出力を停止(中断)する(第1の処理)。そして、S2505で満載状態が解除されるのを待ち、満載状態が解除されると、S2506で再び印刷ジョブの出力を再開する。
S2507で、コントローラ部205がタンデム設定=ONと判断した場合は、S2508で印刷ジョブの出力先を大容量スタッカ200bのスタックトレイに切り替え、印刷ジョブの出力を継続する(第2の処理)。そして、S2509で、コントローラ部205が大容量スタッカ200a,200bの何れのスタックトレイも満載状態状態であることを検出すると、S2510で印刷ジョブの出力を停止する。その後、S2511で、コントローラ部205は、大容量スタッカ200a,200bの何れのスタックトレイの満載状態が解除されるのを待つ。そして、何れのスタックトレイの満載状態が解除されると、S2512で満載状態が解除されたスタックトレイを排紙先とし、印刷ジョブの出力を再開する。そして、印刷ジョブが終了するまで同様の処理を続ける。
尚、S2503で、満載となった時点での出力物の排紙先が大容量スタッカ200bのスタックトレイであると、コントローラ部205が判断した場合、S2508〜S2511と同様の処理が行われる。但し、S2508の処理はコントローラ部205が印刷ジョブの出力先を大容量スタッカ200aのスタックトレイに切り替える処理である。
また、ジョブ毎に排紙先の設定とタンデム出力の設定とを行うことで、大量プリントに備えた排紙処理装置の印刷を制御することができる。更に、投入されたジョブの排紙先の設定がされていない場合は、ユーザモードの設定においても同様に大量プリントに備えた排紙処理装置の印刷を制御することができる。
印刷装置1000のコントローラ部205は、ジョブの印刷中か否かに係わらず、操作部204のユーザモードキー505が押下されたとき、複数の排紙処理装置が接続された構成で操作部204に図21Bの操作画面2106を表示させるように制御する。
図21Bの操作画面2106において、排紙先指定キー2107を押下すると、コントローラ部205は排紙先指定キー2107が押下されたことを検知し、図21Cに例示する排紙先指定画面2110を表示する。ここで、ユーザは投入される時点で排紙先を指定していないジョブの優先排紙先を予め選択することができる。そしてユーザが優先排紙先キー2111〜2115の何れかを選択した後、OKキー2117を押下すると、コントローラ部205は選択された優先排紙先をRAM208或いはHDD209に書き込み、優先排紙先の設定を保持する。更に、コントローラ部205は排紙先指定画面2110を閉じ、図21Bに示す共通使用設定の操作画面2106を表示する。
このとき、コントローラ部205は、図21Cで指定され、RAM208或いはHDD209に書き込み、保持した優先排紙先の値を操作画面2106の動作設定項目の設定値2109に表示する。また、コントローラ部205は保持された優先排紙先の値が大容量スタッカである場合には、操作画面2106の排紙先自動切替(タンデム)キーの選択を可能とする。一方、大容量スタッカ以外の値が保持されている場合には、排紙先自動切替(タンデム)キーの選択はできないようにする。
次に、図21Bの操作画面2106において、優先排紙先の設定が大容量スタッカで、排紙先自動切替キー2108が押下されると、コントローラ部205は図21Dに例示する排紙先自動切替画面2118を表示する。ここで、ユーザは排紙先自動切替(タンデム)を「する」、「しない」を選択することができる。そして、ユーザが「する」キー2119、もしくは「しない」キー2120を選択した後、OKキー2122を押下すると、コントローラ部205は排紙先自動切替(タンデム)の設定をRAM208或いはHDD209に書き込み、保持する。
これ以降は、ジョブ毎に排紙先とタンデムの設定をした後の大容量積載処理設定と印刷装置1000のスタックトレイを切り替えるコントローラ部205の制御と同様に制御が行われる。
ここで、当該タンデム出力機能にて制御部205が如何なる制御を実行するのか、具体例をもって説明する。
例えば、制御部205が、本システム1000のシステム構成が、図19に例示のシステム構成である事を確認したとする。この場合、インラフィニッシャとして、少なくとも大容量スタッカ200aと200bの2台の大容量スタッカを具備している。故に、当該例示の如く、システム1000が少なくとも2台の大容量スタッカを具備していることを条件に、制御部205はタンデム出力機能の利用を許可するよう制御する。
換言すると、もし、本システム1000のシステム構成にて大容量スタッカが1台しかないケース、及び大容量スタッカが0台のケースの、これら両ケースの何れかである場合、これを条件に、制御部205はタンデム出力機能の利用を禁止するよう制御する。
既述の構成を前提に、制御部205が、例えば本形態のUI部を介して処理対象のジョブの印刷処理条件の設定として、タンデム出力機能を利用するための指示を、キー2119を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該処理対象のジョブを「タンデム機能の利用を要するジョブ」と認識する。
一方、制御部205が、例えば本形態のUI部を介して処理対象のジョブの印刷処理条件の設定として、タンデム出力機能を利用しないための指示を、キー2120を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該処理対象のジョブを「タンデム機能の利用を禁止するジョブ」と認識する。
既述の如く、本形態では、ユーザが処理対象のジョブの印刷処理条件の設定をUI部にて行う際に、上記タンデム機能の利用指示を入力可能にする構成とする。
更に、タンデム機能の利用指示が設定された場合には、複数台の大容量スタッカのどの大容量スタッカの排紙先に、該処理対象のジョブの印刷物を、最初に出力するのかを上記設定と共にあわせて設定可能に制御部205により制御する。
尚、この設定は、例えばタンデム機能により複数台の大容量スタッカを利用する指示がなされた場合でも、そのジョブの印刷物の全ての印刷物の出力が、1台の大容量スタッカだけで済むケースを想定したものである。
勿論、この設定は、1つのジョブの印刷物の出力に複数台の大容量スタッカの排紙先を利用するような大量枚数のジョブを処理する場合に、まず、どの大容量スタッカを最初に利用するのかをユーザにより明示的に決定可能に構成するためのものでもある。
この仕組みは、処理対象のジョブにて要する印刷物の枚数をユーザが一々把握勘定していなくても、そのジョブの印刷処理を開始可能に制御するための仕組みの一例でもある。換言すると、万が一、1台の大容量スタッカでは出力完了できない場合を想定して、予め上記設定により、複数台の大容量スタッカの中から1台の大容量スタッカの排紙先を指定可能にした仕組みでもある。
尚、1台の大容量スタッカでは出力完了できない場合としては、次のような場合が該当する。処理対象となるジョブの印刷開始要求をユーザから受付け、実際に、そのジョブの印刷を開始した結果、1台の大容量スタッカにて印刷物の満載状態が発生すること無く、その大容量スタッカにそのジョブの印刷物の排紙が完了する場合である。
また、本形態の大容量スタッカは、1台の大容量スタッカの装置内部の排紙先に、最大5000枚の印刷物を同時に積載可能に構成している。もし、この排紙先に1枚も印刷物が積載されていない状況で、処理対象のジョブの印刷物を出力する場合、5000枚までこのジョブの印刷物を出力可能である。
故に、大容量スタッカに1枚も印刷物が積載されていない状況で印刷実行要求がなされた場合、そのジョブが印刷動作の完了に要する印刷物の枚数が5000枚以下であるならば、この1台の大容量スタッカの排紙先だけで、該ジョブの処理が完遂できる。
本形態では、このような場合も、タンデム出力機能の利用指示をユーザから受ける際に、事前に、大容量スタッカ200aと200bの何れか一方の大容量スタッカをユーザにより設定させる。以下(制御例1)、(制御例2)と称して、2つ具体例を挙げる。
(制御例1)
処理対象のジョブ(以下、ジョブAと称す)のために、例えばUI部を介してユーザからタンデム出力機能の利用指示を制御部205が受付けたとする。且つ、このタンデム出力機能の利用指示がなされたジョブAの印刷物の出力先として真っ先に利用すべきスタッカとして、2台のスタッカのうちのスタッカ200aが、ユーザによりUI部を介して指定されたとする。そのうえで、該ジョブAの印刷実行要求をUI部を介して制御部205が受付けたとする。
この場合、制御部205は、当該ジョブAの印刷実行要求の受付けを契機に、このジョブAの印刷をシステム1000に開始させる。但し、この場合、既述の設定が該ジョブAのためにユーザによりなされている。
故に、制御部205は、スタッカ200aの排紙先に、このジョブAの1枚目の印刷物を出力させる。且つ、制御部205は、このジョブAの2枚目以降の印刷物もその大容量スタッカ200aに出力させ、該ジョブAの出力を該ジョブAの処理完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200aの排紙先が印刷物で満載になるまで当該ジョブAの印刷物を当該スタッカ200aの排紙先へ出力させ続ける。
そして、もし、そのスタッカ200aが満載になる前にこのジョブAの印刷が完了したら、制御部205は、当該ジョブAの処理を終了させる。
(制御例2)
処理対象のジョブ(以下、ジョブBと称す)のために、例えばUI部を介してユーザからタンデム出力機能の利用指示を制御部205が受付けたとする。且つ、このタンデム出力機能の利用指示がなされたジョブBの印刷物の出力先として真っ先に利用すべきスタッカとして、2台のスタッカのうちのスタッカ200bが、ユーザによりUI部を介して指定されたとする。そのうえで、該ジョブBの印刷実行要求をUI部を介して制御部205が受付けたとする。
この場合、制御部205は、当該ジョブBの印刷実行要求の受付けを契機に、このジョブBの印刷をシステム1000に開始させる。但し、この場合、既述の設定が該ジョブBのためにユーザによりなされている。
故に、制御部205は、スタッカ200bの排紙先に、このジョブBの1枚目の印刷物を出力させる。且つ、制御部205は、このジョブBの2枚目以降の印刷物もその大容量スタッカ200bに出力させ、該ジョブBの出力を該ジョブBの処理完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200bの排紙先が印刷物で満載になるまで当該ジョブBの印刷物を当該スタッカ200bの排紙先へ出力させ続ける。
そして、もし、そのスタッカ200bが満載になる前にこのジョブBの印刷が完了したら、制御部205は、当該ジョブBの処理を終了させる。
上述した(制御例1)と(制御例2)は、システム1000が少なくとも2台の大容量スタッカを具備したシステム構成であることを条件に制御部205がタンデム出力機能の利用を許可した場合の制御である。且つ、これらの制御例は、該タンデム出力機能の実行要求をユーザから処理対象のジョブのために受付けた場合に実行対象となる制御である。且つ、これらの制御例は、そのジョブの印刷物を全て1台の大容量スタッカに出力完了できる場合における制御である。
既述の構成に加え、更に本形態では以下の構成も具備している。
印刷物の出力先として大容量スタッカがユーザにより指定されたジョブが、例えば印刷動作の完了に5000枚を越える枚数分の印刷用紙を要するジョブであるとする。この場合、1台の大容量スタッカの排紙先だけでは該ジョブの処理は完遂できない。本形態では、このような場合にも、タンデム出力機能の利用指示をユーザから受ける際に、事前に、大容量スタッカ200aと200bの何れか一方の大容量スタッカをユーザにより設定させる。以下、(制御例3)、(制御例4)と称して、2つ具体例を挙げる。
(制御例3)
処理対象のジョブ(以下、ジョブCと称す)のために、例えばUI部を介してユーザからタンデム出力機能の利用指示を制御部205が受付けたとする。且つ、このタンデム出力機能の利用指示がなされたジョブCの印刷物の出力先として真っ先に利用すべきスタッカとして、2台のスタッカのうちのスタッカ200aが、ユーザによりUI部を介して指定されたとする。そのうえで、該ジョブCの印刷実行要求をUI部を介して制御部205が受付けたとする。
この場合、制御部205は、該ジョブCの印刷実行要求の受付を契機に、このジョブCの印刷をシステム1000に開始させる。但し、この場合、既述の設定が該ジョブCのためにユーザによりなされている。
故に、制御部205は、スタッカ200aの排紙先に、このジョブCの1枚目の印刷物を出力させる。且つ、制御部205は、このジョブCの2枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200aに出力させ、該ジョブCの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200aの排紙先が印刷物で満載になるまで当該ジョブの印刷物を当該スタッカ200aの排紙先へ出力させ続ける。
その後、このジョブCの印刷物の出力が全て完了しないうちに、スタッカ200aが満載になったとする。例えば、このジョブCの5000枚目の印刷物を出力した時点にてスタッカaが満載になったとする。すると、制御部205は、当該ジョブCの印刷中にスタッカ200aが満載状態になったことを契機に、以下に例示の各確認を行う。
制御部205は、現在処理中のジョブCが「タンデム出力機能の利用要求するキー2119押下によりユーザによりなされたジョブ」であることを確認する。且つ、制御部205は、このジョブCの印刷が完了しないうちにスタッカ200aが満載状態になったことを確認する。且つ、現在、スタッカ200bは印刷物で満載状態にあるか否かの確認を行う。換言すると、本システム1000の現在の状況(即ち、現在、このジョブCの5000枚目の印刷物を出力した時点で、且つ、スタッカaが満載状態の状況)は、スタッカbへの印刷物の出力が可能な状態であるか否かの確認を行う。
制御部205は、これらの条件を全て満足することを条件に、このジョブCの印刷物の出力先をスタッカ200aからスタッカ200b(図19参照)へ切り替えるようシステム1000を制御する。
具体的には、制御部205は、スタッカ200aの満載時点にて出力した頁に該当する5000枚目の印刷物の直後の頁に相当する当該ジョブCの5001枚目の印刷物を、スタッカ200bへ出力させる。且つ、制御部205は、このジョブCの5002枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200bに出力させ、当該ジョブの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200bの排紙先が印刷物で満載になるまで、当該ジョブCの印刷物を当該スタッカ200bの排紙先へ出力させ続ける。
そして、もし、このジョブCの印刷物の出力が全て完了しないうちに、スタッカ200bも、印刷物で満載になったとする。例えば、このジョブCの10000枚目の印刷物を出力した時点にてスタッカ200bが満載になったとする。すると、制御部205は、当該ジョブCの印刷中にスタッカ200bも満載状態になったことを契機に、以下に例示の各確認を行う。
まず、制御部205は、当該ジョブは「タンデム出力機能の利用要求がキー2119押下によりユーザによりなされたジョブ」であることを再度確認する。且つ、このジョブの印刷が完了しないうちにスタッカ200bが満載状態になったことを確認する。且つ、現在、スタッカ200aは印刷物で満載状態にあるか否かの確認を行う。
換言すると、本システム1000の現在の状況(即ち、現在、このジョブCの10000枚目の印刷物を出力した時点で、且つ、スタッカ200bが満載状態の状況)は、スタッカ200aへの印刷物の出力が可能な状態であるか否かの確認を行う。例えば、スタッカ200bへのジョブCの印刷物の出力中に、オペレータがスタッカ200aからジョブCの印刷物を除去したがために、スタッカ200aが空き状態となる。その結果、ジョブCのスタッカ200aへの出力が可能となる。このような状況が、上述したケースに相当する。
制御部205は、これらの条件を全て満足することを条件に、このジョブCの印刷物の出力先をスタッカ200bからスタッカ200aへ切り替えるようにシステム1000を制御する(図19参照)。
具体的には、制御部205は、スタッカ200bの満載時点にて出力した頁に該当する10000枚目の印刷物の直後の頁に相当する当該ジョブCの10001枚目の印刷物を、スタッカ200aへ出力させる。且つ、制御部205は、このジョブCの10002枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200aに出力させ、当該ジョブの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200aの排紙先が印刷物で満載になるまで、当該ジョブCの印刷物を当該スタッカ200aの排紙先へ出力させ続ける。
尚、もし、このジョブCの10000枚目の印刷物を出力したことでスタッカ200bが満載状態になった上記状況にて、スタッカ200aへの印刷物の出力が不可能な状態である場合とする。例えば、このジョブCの10000枚目の印刷物を出力した時点で、スタッカ200aもスタッカ200bも、共に、満載状態である状況が、当該状況の一例に該当する(図19参照)。
この状況の場合、制御部205は、このジョブCの印刷を一時ストップさせる。且つ、制御部205は、スタッカ200a及びスタッカ200bの少なくとも何れかのスタッカが印刷出力可能な状態になるまで、当該ジョブCの印刷の一時停止状態を維持するようシステム1000を制御する。
換言すると、システム1000が図19に例示のシステム構成で且つ、タンデム出力機能の利用を要するジョブCの印刷中に、スタッカ200aもスタッカ200bも共に満載状態になったとする。
この場合、制御部205は、たとえ、図19に例示の3台目のインラインフィニッシャに相当する中綴じ製本機の出力先への出力が可能であっても、当該ジョブCの印刷動作を続行させることは禁止するよう制御する。
この仕組みは、当該ジョブCの印刷物が大容量スタッカ以外の種類のインラインフィニッシャに出力されることに起因して印刷物がどこに排出されたかユーザが識別困難になる等の問題発生を事前に防止可能となる効果を図るための仕組みの一例でもある。且つ、この仕組みは、ジョブC以外のジョブの印刷が大容量スタッカを含む複数種類のインラインフィニッシャに跨ってジョブCの印刷物が出力されてしまうことに起因して、ジョブC以外の他のジョブの印刷を完遂できない等の問題発生を事前に防止可能となる。
制御部205は、以上のような動作を繰り返し実行可能にすることで、当該ジョブCの印刷を完遂させる。
即ち、システム1000が図19のシステム構成であり、且つ、タンデム出力機能の利用を要する当該ジョブCの最初の出力先としてユーザがスタッカ200bではなくスタッカ200aを選択したことを条件とする。そして、以下のような順番でスタッカ200aとスタッカ200bを繰り返し交互に当該ジョブCの為に利用可能に制御する。
(ジョブCの印刷物の出力する際の出力先の利用順序)
手順1:図19のスタッカ200aに対するジョブCの印刷物の出力
手順2:ジョブC出力中にスタッカ200aが満載になり次第、図19のスタッカ200bに対するジョブCの印刷物の出力
手順3:ジョブC出力中にスタッカ200bが満載になり次第、手順1に戻る。以降、ジョブCの出力が完了するまで、この動作を繰り返し実行するようシステム1000を制御する。
(制御例4)
処理対象のジョブ(以下、ジョブDと称す)のために、例えばUI部を介してユーザからタンデム出力機能の利用指示を制御部205が受付けたとする。且つ、このタンデム出力機能の利用指示がなされたジョブDの印刷物の出力先として真っ先に利用すべきスタッカとして、2台のスタッカのうちのスタッカ200b、ユーザによりUI部を介して指定されたとする。そのうえで、該ジョブDの印刷実行要求をUI部を介して制御部205が受付けたとする。
この場合、制御部205は、該ジョブDの印刷実行要求の受付けを契機に、このジョブDの印刷をシステム1000に開始させる。但し、この場合、既述の設定が該ジョブDのためにユーザによりなされている。
故に、制御部205は、スタッカ200bの排紙先に、このジョブDの1枚目の印刷物を出力させる。且つ、制御部205は、このジョブDの2枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200bに出力させ、該ジョブDの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200bの排紙先が印刷物で満載になるまで、当該ジョブの印刷物を当該スタッカ200bの排紙先へ出力させ続ける。
その後、このジョブDの印刷物の出力が全て完了しないうちに、スタッカ200bが満載になったとする。例えば、このジョブDの5000枚目の印刷物を出力した時点にてスタッカbが満載になったとする。すると、制御部205は、当該ジョブDの印刷中にスタッカ200bが満載状態になったことを契機に、以下に例示の各確認を行う。
制御部205は、現在処理中のジョブDは「タンデム出力機能の利用要求がキー2119押下によりユーザによりなされたジョブ」であることを確認する。且つ、制御部205は、このジョブDの印刷が完了しないうちにスタッカ200bが満載状態になったことを確認する。且つ、現在、スタッカ200aは印刷物で満載状態にあるか否かの確認を行う。換言すると、本システム1000の現在の状況(即ち、現在、このジョブDの5000枚目の印刷物を出力した時点で、且つ、スタッカ200bが満載状態の状況)は、スタッカ200aへの印刷物の出力が可能な状態であるか否かの確認を行う。
制御部205は、これらの条件を全て満足することを条件に、このジョブDの印刷物の出力先をスタッカ200bからスタッカ200a(図19参照)へ切り替えるようシステム1000を制御する。
具体的には、制御部205は、スタッカ200bの満載時点にて出力した頁に該当する5000枚目の印刷物の直後の頁に相当する当該ジョブDの5001枚目の印刷物を、スタッカ200aへ出力させる。且つ、制御部205は、このジョブDの5002枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200bに出力させ、当該ジョブの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200aの排紙先が印刷物で満載になるまで、当該ジョブDの印刷物を当該スタッカ200aの排紙先へ出力させ続ける。
そして、もし、このジョブDの印刷物の出力が全て完了しないうちに、スタッカ200aも印刷物で満載になったとする。例えば、このジョブDの10000枚目の印刷物を出力した時点にてスタッカ200aが満載になったとする。すると、制御部205は、当該ジョブDの印刷中にスタッカ200aも満載状態になったことを契機に、以下に例示の各確認を行う。
まず、制御部205は、当該ジョブは「タンデム出力機能の利用要求するキー2119押下によりユーザによりなされたジョブ」であることを再度確認する。且つ、このジョブの印刷が完了しないうちにスタッカ200aが満載状態になったことを確認する。且つ、現在、スタッカ200bは印刷物で満載状態にあるか否かの確認を行う。換言すると、本システム1000の現在の状況(即ち、現在、このジョブDの10000枚目の印刷物を出力した時点で、且つ、スタッカaが満載状態の状況)は、スタッカ200bへの印刷物の出力が可能な状態であるか否かの確認を行う。例えば、スタッカ200aへジョブDの印刷物を出力中に、オペレータがスタッカ200bからジョブDの印刷物を除去したために、スタッカ200bが空き状態となる。その結果、ジョブDのスタッカ200bへの出力が可能となる。このような状況が、当該ケースに相当する。
制御部205は、これらの条件を全て満足することを条件に、このジョブDの印刷物の出力先をスタッカ200aからスタッカ200bへ切り替えるようシステム1000を制御する(図19参照)。
具体的には、制御部205は、スタッカ200aの満載時点にて出力した頁に該当する10000枚目の印刷物の直後の頁に相当する当該ジョブDの10001枚目の印刷物を、スタッカ200bへ出力させる。且つ、制御部205は、このジョブDの10002枚目以降の印刷物も、その大容量スタッカ200bに出力させ、当該ジョブの出力を、該ジョブ完遂目指して継続させる。且つ、制御部205は、そのスタッカ200bの排紙先が印刷物で満載になるまで、当該ジョブDの印刷物を当該スタッカ200bの排紙先へ出力させ続ける。
尚、もし、このジョブDの10000枚目の印刷物を出力したことによりスタッカ200aが満載状態になった上記状況にてスタッカ200bへの印刷物の出力が不可能な状態である場合とする。例えば、このジョブDの10000枚目の印刷物を出力した時点で、スタッカ200bもスタッカ200bも、共に、満載状態である状況が、当該状況の一例に該当する(図19参照)。
この状況の場合、制御部205は、このジョブDの印刷を、一時ストップさせる。且つ、制御部205は、スタッカ200b及びスタッカ200aの少なくとも何れかのスタッカが印刷出力可能な状態になるまで、当該ジョブDの印刷の一時停止状態を維持するようシステム1000を制御する。
換言すると、システム1000が図19に例示のシステム構成で且つ、タンデム出力機能の利用を要するジョブDの印刷中に、スタッカ200bもスタッカ200aも共に満載状態になったとする。
この場合、制御部205は、たとえ、図19に例示の3台目のインラインフィニッシャに相当する中綴じ製本機の出力先への出力が可能であっても、当該ジョブDの印刷動作を続行させることは、禁止するよう制御する。
この仕組みは、当該ジョブDの印刷物が大容量スタッカ以外の種類のインラインフィニッシャに出力されることに起因して印刷物がどこに排出されたか、ユーザが識別困難になる等の問題発生を事前に防止可能とする効果を図るための仕組みの一例でもある。且つ、ジョブD以外のジョブの印刷が大容量スタッカを含む複数種類のインラインフィニッシャに跨ってジョブDの印刷物が出力されてしまうことに起因し、ジョブD以外の他のジョブの印刷を完遂できない等の問題発生を事前に防止可能となる。
制御部205は、以上のような動作を繰り返し実行可能にすることで、当該ジョブDの印刷を完遂させる。
即ち、システム1000が図19のシステム構成で、且つ、タンデム出力機能の利用を要する当該ジョブDの最初の出力先としてユーザがスタッカ200aではなく、スタッカ200bを選択したことを条件とする。そして、以下のような順番で、スタッカ200bとスタッカ200aを繰り返し交互に当該ジョブDのために利用可能に制御する。
(ジョブDの印刷物の出力する際の出力先の利用順序)
手順1:図19のスタッカ200bに対するジョブDの印刷物の出力
手順2:ジョブD出力中にスタッカ200bが満載になり次第、図19のスタッカ200aに対するジョブDの印刷物の出力
手順3:ジョブD出力中にスタッカ200aが満載になり次第、手順1に戻る。これ以降、ジョブDの出力が完了するまで、この動作を繰り返し実行するようシステム1000を制御する。
上述した(制御例3)と(制御例4)は、システム1000が少なくとも2台の大容量スタッカを具備したシステム構成であることを条件に制御部205がタンデム出力機能の利用を許可した場合の制御である。且つ、これらの制御例は、該タンデム出力機能の実行要求をユーザから処理対象のジョブのために受付けた場合に実行対象となる制御である。且つ、これらの制御例は、そのジョブの印刷物の全てを1台の大容量スタッカにて出力不可能な場合のケースにおける制御である。
尚、システム1000が図19に例示のシステム構成である。且つ、処理対象のジョブが、5000枚以上の印刷用紙を要するジョブである。且つ、該ジョブの排紙先としてユーザが指定した排紙先は、大容量スタッカである。これら3条件を満足している場合でも、もし、当該ユーザが、上記キー2120を介して当該ジョブのためにタンデム出力機能の利用を禁止する指示がなされたとする。
この場合、制御部205は、図19に例示のシステム構成にて、当該ジョブ(以下、ジョブEと称す)の印刷物の出力先は当該ユーザが指定した1台のスタッカのみを利用するよう制御する。
換言すると、当該ケースの場合、制御部205は、上記(制御例3)や(制御例4)にて既述した上述の動作を当該ジョブEのためにシステム1000にて実行することは、禁止するように、制御する。
この「上述の動作」とは、「大容量スタッカ以外の種類のインラインフィニッシャの出力先を利用することは禁止した状態で、2台の大容量スタッカを交互に繰返利用することで、処理対象のジョブの印刷を完了させる一連の動作」を意味する。
且つ、この場合、制御部205は、図19に例示のシステムにて当該ユーザが指定した方の大容量スタッカにジョブEの印刷物を出力させる。且つ、このジョブEの出力途中で、そのスタッカが満載になったとする。この場合、制御部205は、たとえ、一方のスタッカや図19に例示の三番目のインラインフィニッシャに相当する中綴じ製本機の出力先へ印刷物を出力可能な状態であっても当該ジョブEの印刷は待機状態にさせる(一時停止状態とする)。この場合、制御部205は、そのユーザが指定したスタッカの出力先への出力が再度実行可能な状態になるまで、当該ジョブEの印刷の一時停止状態を維持するようシステム1000を制御する。且つ、例えばそのスタッカの印刷物がユーザにより取り除かれたことに起因して、再度、利用可能な状況になったことを契機に、制御部205は、当該ジョブEの印刷を再開させる。且つ、当該スタッカへのジョブEの印刷物への出力を再実行させる。
このように、処理対象のジョブが「タンデム出力機能の利用の禁止を要するジョブ」であるとする。この場合、制御部205は、このジョブのために「大容量スタッカとは異なる種類のインラインフィニッシャの出力先を利用することは禁止した状態で、2台の大容量スタッカを交互に繰返利用する。そして、処理対象のジョブの印刷を完了させる一連の動作」をシステム1000にて実行させることは、禁止する。
このように、各種本形態の効果を向上させる仕組みが種々搭載されている点も本形態の大きな特徴点の1つでもある。
尚、上記ジョブA〜ジョブEを用いた制御例の如く、タンデム出力制御をジョブ単位で個別に実行可能に構成するのみならず、印刷装置の初期設定としてジョブ毎に制御を切り替えずに機器単位で、既述の如くのタンデム出力制御を実行可能に構成しても良い。
[例3]
次に、例1、例2で示した大量プリントに備えた排紙処理装置の印刷制御について更に別の制御方法を説明する。
例1におけるスタッカ出力時の退避出力=OFF時、また例2において大容量スタッカのスタックトレイが満載の場合、コントローラ部205は満載状態が解除されるまで印刷ジョブの出力を停止する制御を行うが、以下に他の例を説明する。
例1でスタッカ出力時の退避出力=OFF時、又は例2で大容量スタッカのスタックトレイが満載になったことをコントローラ部205が検知した時点で、コントローラ部205は図26を例とする操作画面2600を操作部401にポップアップ表示する。つまり、例1のS2304で満載検知時、例2のS2507でタンデム=OFF判断時、或いはS2509で満載検知時に、操作画面2600を操作部401にポップアップ表示する。操作画面2600には、容量スタッカのスタックトレイが満載のため、印刷ジョブの出力が停止された旨を表示するメッセージ2601が表示される。また、その後の処理手順を指示する別の排紙先を選択キー2602もある。
コントローラ部205は、操作画面2600で、別の排紙先を選択キー2602が押下されたことを検知すると、図27に例示する排紙先選択画面2700を表示する。排紙先選択画面2700では、ユーザがスタックトレイ以外の排紙先を選択できるようになっている。ここでは、図10Aにおける構成を例とし、大容量スタッカ200aのエスケープトレイ−A2701、200bの中綴じ製本機のサンプルトレイ−B2702、スタックトレイ−C2703が表示される。
コントローラ部205は、排紙先選択画面2700で他の排紙先として2701、2702、2703の何れかが選択されたこと(再開指示)を検知すると、排紙先選択画面2700を閉じる。これと同時に、印刷ジョブの出力先を排紙先選択画面2700で選択された排紙先に切り替え、停止していた印刷ジョブの出力を再開する。
また、コントローラ部205は排紙先選択画面2700の戻るキー2704が押下されたことを検知すると、操作画面2600に表示を戻す。更に、コントローラ部205は操作画面2600の閉じるキー2603が押下されたことを検知すると、コントローラ部205は操作画面2600を閉じ、大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されるのを待つ。
尚、大容量スタッカのスタックトレイが満載になった時点を操作画面2600のポップアップ表示時点としたが、印刷ジョブの出力を停止する前、つまり大容量スタッカのスタックトレイが満載になりそうになった時点でも良い。この場合、コントローラ部205は、大容量スタッカのスタックトレイが満載になりそうになった時点で操作画面2600をポップアップ表示する。容量スタッカのスタックトレイが満載になる前に、ユーザにより別の排紙先が選択された場合には、コントローラ部は量スタッカのスタックトレイが満載になったときに印刷ジョブの出力を停止せず、排紙先を切り替えて出力を継続する処理を行う。
尚、操作画面2600は、別の排紙先を選択するか、スタックトレイの満載状態を解除し再びスタックトレイに出力するか、ユーザが判断し易いように印刷ジョブの残りの出力枚数(残りのページ数)を表示2604しても良い。
また、操作画面2600に、別のジョブをプリントするキー2605を設け、ユーザがスタックトレイの用紙を取り出し別の空きドリーをセットする間、他のジョブを出力するように構成しても良い。この場合、コントローラ部205は、別のジョブをプリントするキー2605が押下されたことを検出すると、印刷待ちのジョブの中から排紙先が大容量スタッカのスタックトレイ以外のジョブを検索する。そして、該当した排紙先が大容量スタッカのスタックトレイ以外のジョブの印刷出力を行う。
更に、コントローラ部205が排紙先選択画面2700を表示する際に、印刷待ちのジョブの排紙先を確認し、印刷待ちのジョブの排紙先以外の排紙先のみを別の排紙先として選択できるように構成しても良い。
[例4]
例1、例3において大容量スタッカのスタックトレイへの出力が満載となり、別の排紙先に出力中、大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたときの別の処理例について説明する。
コントローラ部205は、大容量スタッカのスタックトレイへの出力が満載となり、別の排紙先に出力中、以下の何れかの時点で、図28を例とするスタッカ出力準備完了画面2800を表示する。
・例1のS2307で、大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたことを検知した時点
・例3のS2507で、タンデム=OFFを判断後、大容量スタッカのスタックトレイが満載のため、別の排紙先に出力中に大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたことを検知した時点
・例3のS2509で、満載検知し、別の排紙先に出力中に大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたことを検知した時点。
但し、例2のように、本システムが図19の例示の如く、2台の大容量スタッカを具備し、タンデム設定=ONの場合は、スタッカ出力準備完了画面2800を表示するのではなく、そのまま別の大容量スタッカのスタックトレイに出力し続けても良い。
このスタッカ出力準備完了画面2800には、スタッカに戻すキー2801と、そのままトレイキー2802キーがある。
コントローラ部205は、ユーザによりスタッカに戻すキー2801が押下されたことを検知したとき、スタッカ出力準備完了画面2800を閉じると共に印刷ジョブの排紙先を大容量スタッカのスタックトレイに切り替え、印刷ジョブを出力する。
また、コントローラ部205は、ユーザによりそのままトレイキー2802が押下されたことを検知したとき、スタッカ出力準備完了画面2800を閉じるだけで、印刷ジョブの排紙先を大容量スタッカのスタックトレイに切り替えることをしない。
尚、スタッカ出力準備完了画面2800には、スタックトレイの満載状態が解除された際に、印刷ジョブのトータル出力枚数、プリント済み枚数を表示しても良い。これにより、ユーザが大容量スタッカのスタックトレイに出力を戻すか、大容量スタッカのスタックトレイでない別の排紙先にそのまま出力をするかを判断し易くなる。
[例5]
例1、例3において大容量スタッカのスタックトレイへの出力が満載となり、別の排紙先に出力中、大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたときの例4とは別の処理例について説明する。
コントローラ部205は、大容量スタッカのスタックトレイへの出力が満載となり、別の排紙先に出力中、大容量スタッカのスタックトレイの満載状態が解除されたことを検知すると、印刷ジョブの残り出力枚数を判断する。そして、コントローラ部205はRAM208或いはHDD209に保持されている大容量スタッカのスタックトレイに出力を戻す枚数よりも印刷ジョブの残り出力枚数が多いと判断すると、大容量スタッカのスタックトレイに印刷ジョブの出力先を戻す。
一方、コントローラ部205は大容量スタッカのスタックトレイに出力を戻す枚数よりも印刷ジョブの残り出力枚数が少ないと判断すると、大容量スタッカのスタックトレイに印刷ジョブの出力先を戻さずに、別の排紙先への出力を継続する。
この大容量スタッカのスタックトレイに出力を戻す枚数は、ユーザモードから設定しても良いし、ジョブと共に指示しても構わない。
以上説明した本実施形態の印刷システム1000により奏することが可能な効果を以下に例示する。
従来で想定したような課題に対処できる。また、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。また、極力、高い生産性でもってシステムを動作させたいといったニーズや、極力、オペレータの作業負荷を軽減したいといったニーズ等、POD等の印刷環境における実際の作業現場のニーズにも対処可能となり、特に以下のような効果を奏する。
排紙トレイを空にする場合、大容量スタッカでは、スタックトレイの用紙を取り出し、空きドリーをセットするまでの間に、次のような動作を行う必要があり、中綴じ製本機のトレイから出力用紙を取り除くよりも手間がかかり、結果時間が長く掛かる。ここで動作は、スタックトレイのリフトダウン〜ドアオープン〜ドリー取り出し〜空きドリーセット〜ドアクローズ〜リフトアップの動作である。本実施例によれば、大容量スタッカのスタックトレイの用紙取り出し中も印刷動作を継続することができるので、生産性が向上する。
また、複数の大容量スタッカを有する環境では、ユーザのドリーの保有台数や各大容量スタッカ毎に後処理先を決めるなどしているかにより、1つの印刷ジョブを1つの大容量スタッカのスタックトレイだけを使用して出力する。或いは、1つの印刷ジョブを複数の大容量スタッカのスタックトレイを使用して切り替えることができるになる。この切り替えができることにより、ユーザ環境に応じた複数の大容量スタッカの使い方に柔軟に対応できる。更に1つの印刷ジョブを複数の大容量スタッカのスタックトレイを使用して出力する場合は、オペレータによるドリー交換の手間が省け、生産性向上だけでなく操作性向上を図ることができる。
更には、大容量スタッカのスタックトレイ満載時に、どの排紙トレイに退避出力させるかを、ユーザによって指示できるようにしたため、退避出力した出力物がどこにでているのかユーザが分からなくなってしまうことがない。また退避出力中に空きドリーがセットされた場合に、退避先に出力を継続するか、大容量スタッカのスタックトレイに出力を戻すのかを選択できるようにしたことで、闇雲に多くの出力先を使ってしまうことが防げる。こうした、ユーザによる選択動作をさせるにあたり、印刷ジョブの残り枚数などの出力状況を適宜表示することで、ユーザが生産性、操作性を損なわない判断をくだせるようにもすることができる。
このように、従来で想定したようなPOD環境で想定されうるユースケースやニーズに対処可能な便利で且つ柔軟な印刷環境が構築可能となり、製品実用化に向けての様々な仕組みが提供可能となる。
[その他のしくみ]
本実施形態における図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。尚、この場合、各操作画面を含む本形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させるためのデータを外部からインストールし、そのホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインターフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、本例では、図17のUI画面による構成で、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROM、フラッシュメモリ、FD等の記憶媒体により、或いはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、そのホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやFTPサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより、暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードをコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込む。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システム或いは装置に読み出すことで、そのシステム或いは装置が本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)および変更が可能である。例えば、本形態では、印刷装置100内部の制御部205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。