以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第1実施形態)
[印刷システム1000を含むPOD印刷システム10000全体のシステム構成の説明]
本発明の第1実施形態は、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等のオフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。そこでまず、印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1のPOD印刷システム10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本実施形態の特徴の1つである。
なお、本実施形態では、この印刷システム1000が適用可能な印刷環境のことを、POD環境にも適しているがゆえに、POD印刷システム10000と呼ぶ。
図1のPOD印刷システム10000は、構成要素として、本実施形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ(これを、以下PC103、104と呼ぶ)を備える。また、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も備える。このように複数の装置がPOD印刷システム10000に用意されている。
印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置100及びシート処理装置200を備える。なお、印刷装置100の1例として、本実施形態では、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を備える複合機で説明するが、PC機能のみ或いはコピー機能のみの単一機能型の印刷装置であっても、良い。なお、複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、印刷システム1000が備えるシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、印刷システム1000が備える印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なデバイスであるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。
断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。ただし、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物を印刷装置100の排紙部からオペレータが取出し、かつ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、印刷システム1000自身が備えるシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後にオペレータによる介入作業を要する。
換言すると、印刷システム1000自身が備えるシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合には、印刷装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100からシート処理装置200に対しては、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給できるように構成されているからである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に、連結可能に構成している。このように、印刷システム1000自身が備えるシート処理装置200と印刷装置100は、互いに、物理的接続関係にあるからである。かつ、印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、CPUを具備し、データ通信可能に構成されている。このように印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、電気的接続関係にあるからである。
なお、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御する制御手段の1例として、本実施形態では、図2の印刷装置100内部のコントローラ205が統括制御を行う。なお、本実施形態では、これらシート処理装置のことを、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPOD印刷システム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は、全て、ネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置からネットワーク101を介して送信された印刷実行要求がなされた処理対象となるジョブの印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
また、例えば、ネットワーク通信により他の装置とのデータの送受を実行することで、PC103は、POD印刷システム10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。PC103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、POD印刷システム10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。かつ、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際に、PC103が、JDFなどの情報交換ツールを用いて、ポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を備えるPOD印刷システム10000における本実施形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本実施形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1] 以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容できるように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置とできるように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、104等)とデータ通信可能に電気的接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、印刷システム1000自身が備えるシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、上記の如く、シート処理装置200は、印刷装置100と物理的接続関係にあり、かつ、印刷装置100と電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義2] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、これらのシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかし、少なくとも、ネットワーク101を介して、PC103やPC104等の他装置とデータ通信可能な電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義3] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。なお、この定義に該当する装置を、本実施形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。ゆえに、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、このシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかも、ネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可な、電気的接続関係ではない、シート処理装置であるからである。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を備えるPOD印刷システム10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
例えば、断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理、等の様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む所望の製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
PC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。PC103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。かつ、POD印刷システム10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
なお、本実施形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。また、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を印刷システムに備える構成でも良い。
ここで、本実施形態の更なる着目点について説明しておく。図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、と、印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。シート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、直接的に、シート搬送路を介して、受容可能な装置である。かつ、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。この点は、上記インラインタイプのシート処理装置である点からも明白である。
ここで特筆すべきは、本実施形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、定義することも可能である点である。というのも、本実施形態では、シート処理装置200として、互いに独立筐体でかつ独立使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されているからである。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している。換言すると、図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列的に接続されている。本実施形態では、このように複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される、一連のシート処理装置200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本実施形態で取り扱っている。かつ、印刷システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。このような特徴点も具備している。なお、この構成については、図3等を用いて後述する。
[印刷システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図でもって説明する。なお、印刷システム1000が備える図2に示す各ユニットのうちのシート処理装置200(厳密にいえば、複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは、全て印刷装置100内部に具備している。換言すると、シート処理装置200は、印刷装置100に対して、着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、POD環境にて、必要なインラインフィニッシャを、必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。ゆえに、以下のような構成となっている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスクドライブ(以下、HDDと呼ぶ)209等の不揮発性メモリを備える。かつ、印刷装置100自身が備えるスキャナ部201から受付けたジョブデータをHDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を備える。かつ、PC103、104等の外部装置から通信部の1例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータをHDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を備える。このような複数の機能を具備したMPFタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
なお、換言すると、本実施形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本実施形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本実施形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を備える。また、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を備える。また、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なHDD209を備える。また、HDD209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を備える。また、印刷装置100は、印刷システム1000が備えるユーザインタフェース部の一例に該当する、表示部を有する操作部204も、備える。印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103や104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
印刷システム1000が備える制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、印刷システム1000が備える各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述する図22,29に示すフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本実施形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。また、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。
コントローラ205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本実施形態にて説明する各種の動作を印刷装置により実行させる。外部I/F部202を介して外部装置(103や104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F部202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。コントローラ205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。また、外部I/F部202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行可能にコントローラ205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、印刷システムが備える制御部の1例としてのコントローラ205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む、印刷システム1000のメカ構成について、図3等でもって説明する。
[印刷システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図でもって説明する。
なお、上述したように、印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。また、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限下のもと、本実施形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
ゆえに、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。かつ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、、、、、と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。なお、図1〜図3では、説明上、シート処理装置200の形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際の、メカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ部(以下制御部又はCPUと呼ぶ)205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。
図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。なお、本実施形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明する。なお、4DタイプのカラーMFP、白黒MFPも、本実施形態の印刷装置の一例であるが、ここでは説明を割愛する。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1ページ目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、走査ユニット302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。走査ユニット302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排出ローラ310によって機外へ排出される。一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313及び両面トレイ314を備える。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。コントローラ205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。かつ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様にしてシートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排出ローラ310を介して印刷装置内部から機外へとシートを排出させる。コントローラ205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。また、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズでかつ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚づつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
コントローラ205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。コントローラ205は、UI部を介してユーザから受付た印刷実行要求に基き、データ発生源からHDD209に記憶させたジョブの印刷データの印刷処理を、上記方法でもって、プリンタ部203により、実行させる。
なお、例えば、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。また、印刷実行要求をサーバコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然サーバコンピュータである。
また、コントローラ205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHDD209に記憶させ、かつ、先頭ページから順番にHDD209からジョブの印刷データを読み出して、シート上に印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。かつ、コントローラ205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排出ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着器308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作を排紙フラッパ309、反転ローラ312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御もコントローラ205は実行する。
次に、印刷システム1000が印刷装置100と共に備えるインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本実施形態の印刷システム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば、可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくとも、プリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば、印刷装置100が備える排出ローラ310を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を備えるシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
とはいうものの、本実施形態の効果を向上させる為の1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に印刷システム1000を構築可能に構成している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるがゆえに、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を利用しない(即ち、0台)場合でも、本実施形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
また、例えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
ただし、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるがゆえに、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、例えば、本発明はこのような構成に限定解釈されない。1例として、例えば、印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成や装置構成であっても、本発明に包含される。
なお、印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等は、後述する。
[印刷システム1000のUI部の1例に該当する操作部204の構成]
図4等を用いて、印刷システム1000の印刷装置100が備える印刷システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示部の一例としてのタッチパネル部401を、有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部において電源をON/OFFするためのスイッチ501を備える。スイッチ501の操作に応答し、コントローラ205は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止して、消費電力を抑えている状態)を選択的に切換るよう制御する。コントローラ205は、スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、テンキー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、かつ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付る為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、印刷システム1000が提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。タッチパネル部401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、コントローラ205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、タッチパネル部401にキー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。なお、図6は、印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)にタッチパネル部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示すタッチパネル部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置が備えるコピー機能の操作画面をタッチパネル部401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置が備えるファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面をタッチパネル部401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷装置が備えるボックス機能の操作画面をタッチパネル部401に表示させる。
なお、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。機能にて、コントローラ205は、例えば、複数のボックスのうちのユーザが所望のボックスをユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、コントローラ205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、ユーザにより選択されたボックスに対して、印刷装置のスキャナ部201から受付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。
また、外部I/F部202を介し受付た外部装置(例えばPC103や104等)からのジョブの文章データ等も、外部装置のユーザインタフェース部を介して指定された外部装置のユーザ指示に従い、ユーザが指定したボックスに、記憶可能にする。コントローラ205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、ユーザが所望の出力形態で、例えば、プリンタ部203により印刷させたり、ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御したりする。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、コントローラ205は、ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、タッチパネル部401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。また、コントローラ205は、図6のタッチパネル部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面をタッチパネル部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面をタッチパネル部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面をタッチパネル部401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、コントローラ205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかをユーザにより設定可能にする画面をタッチパネル部401に表示させる。また、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、コントローラ205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)をユーザにより設定可能にする画面をタッチパネル部401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、コントローラ205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードをユーザにより選択可能にする為の画面をタッチパネル部401に表示させる。また、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
また、コントローラ205は、タッチパネル部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させる為の表示を実行させる。また、コントローラ205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、表示欄607に、表示させる。また、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させる為の情報を、表示欄616に、表示させる。また、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させる為の情報や、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報を、表示欄610に、表示させる。このように、コントローラ205は、ユーザに通知すべき各種情報をタッチパネル部401に表示させる。
更に、コントローラ205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面をタッチパネル部401に表示させる。
ここで、本実施形態の更なる着目点の1例について述べておく。
コントローラ205は、処理対象となるジョブの為の設定として、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置200が備えるシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示をUI部により実行させる。この表示をUI部に実行させる為の指示自体をユーザから受付可能にする表示もUI部により実行させる。
この1例として、例えば、コントローラ205は、タッチパネル部401に図6のシート処理設定キー609を表示させる。このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、コントローラ205は、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を、タッチパネル部401に、実行させる。なお、この図7の表示に例示する「シート処理設定キー609」のことを、図19以降で例示では、「フィニッシングキー」とも呼ぶ。即ち、同じ機能ボタンを意味する。ゆえに、後述する説明では、「シート処理」のことを「フィニッシィング」とも呼ぶ。また、「パンチ処理」に関しても、POD環境では、様々なパンチ処理(印刷済みのシートに対する穿孔処理)を行うニーズが想定される。
そこで、図19以降の例示では、複数種類のパンチ処理に該当する、「2穴パンチ(シートの綴じ辺に該当するシート端部に2箇所穴をあける処理)「多穴パンチ(シートの端部に30穴等の多数の穴をあける処理)」を例示している。これらの処理は、上記構成に対応すべく、図8A〜図10Bに示す中綴じ製本機が備えるパンチユニットにより実行可能にするものとする。換言すると、これ以外の装置やユニットを用いて、これらのパンチ処理を実行可能に構成しても良い。ただし、上記例示の如く、インラインフィニッシャの定義に該当する装置を印刷システム1000にて利用を許可し、これに当しない装置は印刷システム1000での利用を禁ずるよう構成する。
例えば、本実施形態では、シート処理設定キー609がユーザにより押下された事に応答し、タッチパネル部401に図7の表示を実行させる。コントローラ205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
ただし、コントローラ205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、印刷システム1000が如何なるシート処理装置を備えるのか、その装備状況に応じて、決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、コントローラ205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
換言すると、印刷システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を印刷システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。例えば、コントローラ205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、シート処理の実行要求をユーザから受付けないように制御する。更に、換言すると、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を印刷システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示キーを、図7の表示にて、有効表示状態にするよう制御する。これにより、シート処理の実行要求をユーザから受付ける事を許可する。このような表示制御も、本実施形態にて、後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
また、このような制御を実行するうえで、コントローラ205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、印刷システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。また、シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、コントローラ205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が印刷装置100が接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基いて自動獲得する。このような構成を前提とし、コントローラ205は、獲得した情報に基いた表示内容でもって、図7の表示を、タッチパネル部401に実行させる。
なお、印刷システム1000は、PC103、104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。この1例として、本実施形態では、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、PC103や104のコンピュータの表示部に表示させている。ただし、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、PC103やPC104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、PCのCPUが実行する。
[本実施形態にて制御対象となる印刷システム1000の具体的システム構成例]
印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等のシステム構成に関し、図8A、8B等を用いて説明する。
本実施形態は、図1〜図3に示す印刷システム1000として、例えば、図8A、8Bのようなシステム構成となっている。
図8Aでは、印刷システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置200として、具備している。図8Aは、印刷システム1000が備える印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という、接続順序で、接続されている事を意味する。印刷システム1000が備える制御部の1例に該当するコントローラ205は、図8A、8Bのようなシステム構成からなる印刷システム1000を統括的に制御する。
本実施形態にて、大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
また、本実施形態の糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。また、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理も糊付け製本機により実行可能である。糊付け製本機は、少なくとも、くるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるがゆえに、くるみ製本機とも呼ぶ。
また、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本実施形態では、コントローラ205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、コントローラ205は、印刷システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 印刷システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備している事をコントローラ205により確認可能にする為の装置有無情報。このように、印刷システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2) 印刷システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備している事をコントローラ205により確認可能にする為のインラインシート処理装置の台数情報。このように、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、印刷システム1000が具備している事をコントローラ205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、印刷システム1000にて備えるインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4) 上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行可能な大容量スタッカである事をコントローラ205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置ある事をコントローラ205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、が、選択的に実行可能な中綴じ製本装置である事をコントローラ205により確認可能にする情報。換言すると、印刷システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類である事をコントローラ205により特定可能にする為の情報。このように、印刷システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にする為の情報が、これに該当する。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されている事をコントローラ205により確認可能にする為の情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の印刷システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)で示すが如くの、各種情報を、コントローラ205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HDD209に登録する。かつ、コントローラ205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として、利用する。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図8Aのようなシステム構成であるとする。このシステム構成にてコントローラ205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
例えば、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を印刷システムにて全て実行可能である。この事実は、コントローラ205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基いて、認識する。かつ、認識結果に基いて、コントローラ205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。かつ、コントローラ205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為にステイプル処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為にパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に折り処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為にくるみ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に天糊製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、UI部を介して処理対象ジョブの為に大量積載処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、要求に応答し、ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8Aのシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、コントローラ205は、印刷システム1000が備えるシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。かつ、本実施形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付け事に応答し、ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。かつ、そのプリント処理がなされたジョブのシートに対してジョブにて要するシート処理を印刷システム1000のシート処理装置により実行させる。
なおかつ、本実施形態の特徴点の1例として、コントローラ205は、以下のような制御も印刷システム1000にて実行する。
例えば、印刷システム1000が図8Aのようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。かつ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bでは、印刷システム1000全体の装置断面図を示している。かつ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図8Bに示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、夫々、備える構成である。
かつ、図8Bのシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取る機能を備える。かつ、前段装置から受取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を備える。
このように、本実施形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を備える。この構成も、本実施形態の特徴点の1例である。
以上のシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8A、8Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、個所からスタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図8BのA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、個所から糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブである場合、そのジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。シート処理としては、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が挙げられる。
この中綴じ製本ジョブを、図8A、8Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図8BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
なお、図8Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本実施形態の制御部の一例に該当するコントローラ205は、HDD209に記憶された印刷システム1000のシステム構成情報に基いたペーパハンドリング制御も、実行する。
なお、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。また、複数台のインラインフィニッシャを備える場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8A、8B等で説明したように、本実施形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。かつ、図8A、8B及び後述する図9A、9Bや図10A、10Bを対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に接続したり、外したり、自由な組合せで、印刷装置100に対して、取付可能に構成している。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。ただし、本実施形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
例えば、印刷システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、以下の構成要件を備える装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、かつ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を備えるシート処理装置。例えば、本実施形態では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示す、大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
なおかつ、本実施形態では、上記構成に当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として印刷システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能である反面、自装置によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段の装置へ渡すシート搬送機能を具備しないシート処理装置。例えば、本実施形態では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bや図10A、10Bのシステム構成で示す、中綴じ製本機が、これに該当する。ただし、このような装置に対しては制約事項を設けている。
例えば、上記の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8A、8Bの中綴じ製本機)を印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。ただし、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。ただし、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、印刷システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように印刷システムにて構成する事は禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう印刷システムが備える制御部は印刷システム1000を統括的に制御する。
この1例として、例えば、コントローラ205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。また、例えば、上述した構成が如く、複数台のシート処理装置の接続順番をUI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、コントローラ205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本実施形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本実施形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本実施形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、印刷システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
例えば、インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、POD印刷システム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。かつ、印刷システム1000は、システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
例えば、図8Aのシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の1例として、図9Aのようなシステム構成も構築可能に印刷システム1000を構成している。
図9Aのシステム構成は、図8Aのシステム構成と比較して、印刷システム1000が備える複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図9Bに示すような構成になる。
図9Bは、印刷システム1000の構成が図9Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。かつ、図9Bのシステム構成は、図9Aのシステム構成の内部構成に対応している。
図9Bのシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図9Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、プリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を備える。
しかも、図9A、9Bのシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、例えば、印刷システム1000の構成が、図9A、9Bに示す構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図9A、9Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図9BのA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、個所からスタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図9のシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図9BのA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、個所から糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
例えば、図9A、9Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブである場合、そのジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。シート処理としては、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が挙げられる。
この中綴じ製本ジョブを、図9A、9Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図9BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
なお、図9Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8A、8B、図9A、9Bに例示した如く、印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本実施形態で上述する効果を最大限に発揮する為の仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本実施形態では、図8A、8Bや図9A、9Bのようなシステム構成以外の構成も、印刷システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
例えば、図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台備えるシステム構成を説明した。本実施形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この1例として、図10Aのようなシステム構成も構築可能に印刷システム1000を構成している。
図10Aのシステム構成は、図8Aや図9Aのシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図10Bに示すような構成になる。
図10Bは、印刷システム1000の構成が図10Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。かつ、図10Bの装置構成は、図10Aの装置構成に対応している。
図10Bの装置内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図10Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、備える。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
例えば、印刷システム1000のシステム構成状況が、図10A、10Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、コントローラ205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図10A、10Bのシステム構成にて処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図10BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。かつ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図10Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図10Bのシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、個所からスタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図10Bの(ケース1)の制御例に該当する。
例えば、図10A、10Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理を要するジョブである場合、そのジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。シート処理としては、例えば、中綴じ製本、又は、パンチ処理、又は、断裁処理、又は、シフト排紙処理、又は、折り処理が挙げられる。
この中綴じ製本ジョブを、図10A、10Bのシステム構成に処理する場合、コントローラ205は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、図10BのA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。かつ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
なお、図10Bの排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本実施形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
ただし、コントローラ205は、図10A、10Bのシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(exくるみ製本処理or天糊製本処理)の実行要求をユーザから受付ける事を禁止する。
例えば、印刷システムが図10A、10Bのようなシステム構成状況である場合において、図7の表示をUI部に実行させる際には、キー707及びキー708の網掛け表示やグレーアウト表示になるよう制御する。換言すると、キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、印刷システム1000が図10A、10Bのようなシステム構成である場合には、コントローラ205は、糊付け製本処理を印刷システム1000にて実行する事を禁止する。
この、印刷システム1000が図10のシステム構成である場合にてコントローラ205により実行する制御が、図10Bの(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、コントローラ205は、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、印刷システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8A〜図10B等の説明からも明らかなように、印刷システム1000が備える制御部は、印刷システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を印刷システム1000にて実行する。
なお、何故、本実施形態にて印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
例えば、まず、なぜ、印刷システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置は、各々、独立筐体でかつ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の1例としては、例えば、印刷システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
換言すると、例えば、印刷システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別である事に対処する仕組みを提供する為である。
また、なぜ、印刷システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを、可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ、図8A、8Bや図9A、9Bに示すが如く、各インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、印刷システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
例えば、図1のPOD印刷システム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、ユーザマニュアルやガイドブック等、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8A、8Bのような接続順序で印刷システム1000を構築するよりも、図9A、9Bのような接続順序で印刷システム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行する為に必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的である事に起因する。
例えば、シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。また、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8A、8Bのシステム構成よりも図9A、9Bのシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。かつ、迅速に印刷物を取出すことができる。
換言すると、例えば、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図9A、9Bのシステム構成よりも図8A、8Bのシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。かつ、迅速に印刷物を取出すことができる。
このように、本実施形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような印刷システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8A〜図10Bで例示した印刷システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、各シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図11は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図11に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、エスケープパスである。1つは、スタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
なお、図11の大容量スタッカ及び後述する図12の糊付け製本機の各装置が備えるストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、本実施形態ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に備えるストレートパスは、装置が備える積載ユニットによるシートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。換言すると、シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
また、大容量スタッカ内部に備えるエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、エスケープパスに印刷物を搬送して、トレイから印刷物を取出可能にする。
なお、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカの不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2のシート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量スタッカからの情報に基き、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、大容量スタッカのセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を備える。
又更に、大容量スタッカ内部に備えるスタックパスは、装置が備える積載ユニットによるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、印刷システム1000が図8A〜図10Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、コントローラ205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブの為に、スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、この大容量スタッカが備えるスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図11のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。コントローラ205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を大容量スタッカによる実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、印刷システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。コントローラ205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図12は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図12に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、本身パスである。1つは、表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図12の糊付け製本装置内部に備えるストレートパス(スルーパス)は、装置が備える糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。換言すると、シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
なお、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2のシート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この糊付け製本機からの情報に基き、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。印刷システムの構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を備える。
また、図12の糊付け製本装置内部に備える本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、本実施形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。かつ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、本実施形態では「本身」と呼ぶ。かつ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するようコントローラ205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、例えば、コントローラ205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブの為に、糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、以下のように装置を制御する。
例えば、プリンタ部203で印刷されたシートを、図12の本身パスを介して、順次スタック部に蓄える。かつ、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、スタック部に蓄えたうえで、表紙パスを介して、ジョブにて要する表紙用のシートを、搬送させる。
なお、くるみ製本に関し、本実施形態の特徴点の1つに関連する事項が存在する。例えば、本実施形態にて糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも、圧倒的に多い。例えば、くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理する事を許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理と、その他のシート処理では、圧倒的に異なる。
このように、本実施形態では、コントローラ205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。かつ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且、後述する制御に関連する構成である。
なお、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図12に示すが如く、糊付け製本装置自身が備えるインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。また、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
また、上述したように、本実施形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。換言すると、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。本実施形態では、このような点についても、着目している。
糊付け製本機能1つをとっても分るように、本実施形態では、例えば、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した、印刷システム、製品の、実用化を目指す為の仕組みを採用している。換言すると、例えば、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。また、図8A〜図10Bに例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすが為の仕組みである。
ここで、特筆すべきは、例えば、本実施形態は、単に、上記のような新規の機能やシステム構成を備える事のみに留まらず、機能構成を採用する事で想定されうるユースケースやユーザニーズ等、対処すべき課題を事前に発見検討している点である。かつ、その課題に対する解決手法となる構成要件をも備える点が特徴点の1つに該当する。このように、本実施形態では、事務機メーカが新規市場の開拓参入するうえで、新規に搭載する機能やシステム構成に対する市場要望等を、課題として、事前に、発見検討し、その課題に対する解決手法をも念頭に入れた仕組みを構成として採用している。このような点も本実施形態の特徴的要件の1つに当たる。この具体的に構成要件の1例として、コントローラ205により本実施形態にて各種制御を実行している。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図13は、図8A〜図10Bに例示した、本実施形態にて、コントローラ205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の1例を示す。
中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。ただし、中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
なお、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2のシート処理装置200とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。印刷システムの構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この中綴じ製本装置のセンサの情報を、コントローラ205に通知する。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を備える。
また、例えば、図13に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、コントローラ205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
例えば、コントローラ205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブの為に、中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。なお、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(又は3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。また、例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。
また、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。サドルステッチによる製本処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
また、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。ゆえに、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイ又はサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
なお、インサータによる記録紙挿入処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
また、本実施形態では、1例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も備える。この説明を以下の行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。なお、トリマによる断裁処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
なお、例えば、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、コントローラ205は、UI部に図14の表示を実行させる。図14の表示を介して、コントローラ205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。また、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、あるいは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付け可能にする。
例えば、コントローラ205がUI部に実行させた図14の表示を介してユーザにより「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、コントローラ205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図15のような印刷体裁になるよう印刷システム1000の動作制御を行う。図15の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
また、例えば、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、コントローラ205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図16のような印刷体裁になるよう印刷システム1000を制御する。図16の1例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
また、印刷システム1000は、外部装置の一例に当たる情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、本実施形態の各種の処理や制御を実行する為のプログラムデータをWEB等のデータ供給源あるいは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103や104等)にて操作する場合、以下のように制御する。ただし、制御の主体はPCの制御部である。
例えば、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、印刷システム1000の印刷装置100を操作する為のプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、ホストコンピュータのCPUは、ホストコンピュータの表示部に、図17Aに示す印刷設定画面を表示させる。図17A、17Bは、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、図17A、17Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、ホストコンピュータのCPUは、印刷設定画面を、図17Bのような印刷設定画面に切り換えるよう表示部を制御する。
ホストコンピュータのCPUは、図17A、17Bの印刷設定画面上のシート処理設定項目を介して、印刷システム1000が備えるインラインタイプのシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
なお、ここでは、省略するが、ホストコンピュータを含む外部装置においては、図17A、17B以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本実施形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより、シート設定項目を介して所望のシート処理が選択され、図17A、17Bの画面に戻って、OKキーが押下されるとする。
これにより、ホストコンピュータのCPUは、印刷設定画面を介してユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリンタ部203によりプリントさせるべき一連のプリントデータとを、一つのジョブとして関連付ける。そしてそのジョブを、印刷システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信する。
コンピュータからのジョブを、印刷システム1000の外部I/F部202が受信する。これを受け、印刷システムのコントローラ205は、ホストコンピュータからのジョブを、ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて、処理するよう印刷システム1000を制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本実施形態で述べる各種の効果を得ることが出来、印刷システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本実施形態の印刷システム1000が備える制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
なお、図1〜図17Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に当たる。換言すると、例えば、本実施形態にて述べる各種制御は、構成を前提とした構成要件に当たる。
図1〜図17Bを用いて説明したように、本実施形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
例えば、その1例として、オフィス環境では想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
この1例として、例えば、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、例えば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本実施形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処できるように構成している。また、例えば、印刷システム1000の納入対象となるPOD環境で商売をなすPOD業者におけるビジネス形態に柔軟に対応可能に構成している。
この1例として、例えば、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置100に対して接続可能にし、かつ、各インラインシート処理装置毎に、独立筐体でかつ独立動作が可能に構成している。かつ、接続するシート処理装置も任意台数とし、印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
なお、本実施形態では印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。この1例として、例えば、本実施形態では、印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHDD209に登録できる構成を説明した。ゆえに、これを用いて例示する。
例えば、印刷システム1000のシステム構成として、図8A、8Bに示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず、POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8A、8Bの3台のシート処理装置を、図8A、8Bに示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。そのうえで、操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合に、コントローラ205は、キー操作に応答し、タッチパネル部401に、図18Aの表示を実行させる。
図18Aの表示は、印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にする為の表示である。コントローラ205は、図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。かつ、コントローラ205は、図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。
かつ、コントローラ205は、図18Aの表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台づつ、印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本実施形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。例えば、コントローラ205は、図18Aに示すが如く、「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。ただし、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」なるガイダンスを通知する。なお、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
なお、コントローラ205は、図18Aの設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台づつ決定可能にタッチパネル部401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成のもと、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図8A、8Bに示すシステム構成にする場合、図18Bの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Bの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8A、8Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
一方、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図9A、9Bに示すシステム構成にする場合、図18Cの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Cの表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図9A、9Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
更に一方、例えば、印刷システム1000のシステム構成を図10A、10Bに示すシステム構成にする場合、図18Dの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Dの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10A、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、コントローラ205が判断する。
また、図19に例示する本実施形態の印刷システム1000のシステム構成では、図13に例示した大容量スタッカを2台と中綴じ製本機の1台の計3台のインラインフィニッシャを接続したシステム構成例である。このシステム構成は、同一タイプのインラインフィニッシャとして、大容量スタッカを2台接続したシステム構成である。このように、本実施形態の印刷システムは、同じ種類のインラインフィニッシャを複数台接続可能に構成している。なお、図19に例示が如く、同じ種類のインラインフィニッシャを連続してカスケード接続する構成を、本実施形態では、タンデム接続とも呼ぶ。また、図19に例示のシステム構成は、印刷システムの納品先の印刷業者が大量積載を頻繁に行うような状況を想定している。このように、本実施形態では、大容量スタッカを複数台タンデム接続可能に構成している。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本実施形態の特徴点の1つに当たる。
図1〜図19を用いて上述した如く、印刷システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた、様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な、製品の実用化に向けての様々な仕組みを備える。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を備えるに留まらず、印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、印刷システム1000にて実行可能に構成している。
この1例として、例えば、印刷システムが備える制御部は、以下のような制御を印刷システム1000にて実行するよう制御している。
なお、以下の具体的制御を説明する前に、印刷システム1000の構成について補足しておく。
本実施形態の大容量スタッカ等の各種インラインフィニッシャは、夫々、装置毎に、用紙ジャムを除去したり、プリンタ部203で印刷がなされたジョブの印刷物を取出す為に、装置筐体前面に開閉動作が可能なドア(前ドア)を具備している。
また、本実施形態の大容量スタッカは、図13で示した如く、大容量の印刷物を積載可能な装置内部に配設されたスタックトレイ(単にスタッカ部とも呼ぶ)と、装置外部(機外上方部)に配設されたエスケープトレイ(サンプルトレイとも呼ぶ)を備える。コントローラ205は、本実施形態の大容量スタッカの機内に配設されるスタックトレイ、及び、機外に配設されるエスケープトレイに対して、本実施形態に例示が如くの各種判断条件に基き、処理対象のジョブの印刷物を、選択的に供給可能に制御する。大容量スタッカ等、中綴じ製本機以外の、本実施形態のインラインフィニッシャは、自装置の前段に位置する装置から受取った印刷物を、自装置内部のスルーパスを介して、自装置の後段に位置するインラインフィニッシャの装置内部へ、搬送する機能も備える。また、本実施形態の大容量スタッカは、装置内部のスタックトレイに積載された印刷物のシート積載量に応じて、トレイが自動的に下降可能に構成されている。また、印刷物の整合処理も可能に構成されている。
以上の構成は図13で説明したとおりだが、図20に示すが如く、大容量スタッカの前面にはオペレータによる開閉動作が可能なドア2002を備える。かつ、ドア2002をオープンさせる為の指示をオペレータが入力する為のスイッチ2001を装置筐体上部に具備している。この大容量スタッカにおける各種動作の制御は、大容量スタッカ自身が備える制御部(不図示)が、主体となり、行う。この制御部は、スイッチ2001からのオペレータによる手動入力命令に従い、このドア2002をオープンさせる。具体的には、ドア2002は閉じている状態の時に不図示の鍵により施錠状態としており、この鍵を開錠させて、ドア2002をオープンさせる。これにより、大容量スタッカのスタックトレイに積載済みの印刷物をオペレータにより取出可能に構成している。また、スイッチ2001からの操作だけでなく、印刷装置100のコントローラ205からの指示により、ドア2002を自動的にオープン可能に制御される。この際は、図2に示す装置内部の信号線を介して、ドアオープン信号を、コントローラ205から大容量スタッカの制御部に送信する。また、大容量スタッカのスタックトレイに積載された印刷物をオペレータにより取出作業を行う際に、ドア2002を開けて、オペレータによる取出作業が行われる。勿論、これらの主体制御も、印刷装置100が備えるコントローラ205が実行しても良い。
本実施形態では、印刷処理がなされたジョブの印刷物を大容量スタッカからオペレータにより取出す際には、印刷システム1000を、コントローラ205が主体となり、制御する。これにより、その大容量スタッカが備えるスタックトレイに対して、ジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブのシートが排紙されない。
換言すると、印刷システム1000は、シート処理装置におけるオペレータによる印刷処理がなされたジョブの印刷物の取出作業中には、シート処理装置内部のシート処理部に対して、ジョブに後続するジョブのシートが排紙されないよう制御する。
ただし、コントローラ205は、例えば、大容量スタッカが備えるスタックトレイにおける印刷物のオペレータによる取出作業中であっても、例えば以下に例示する動作は実行可能に制御する。
例えば、コントローラ205は、スタッカトレイに積載済の印刷物をオペレータが取出す間等、大容量スタッカのドア2002開閉中に、大容量スタッカのエスケープトレイに対して、後続ジョブの印刷物を排紙可能に、印刷システム1000を制御する。
また、コントローラ205は、所定の場合、その後続ジョブの印刷物を、その大容量スタッカ内部のスルーパスを介して、搬送可能に、印刷システム1000を、制御する。後続ジョブが、大容量スタッカのドア2002がオープン中に、その大容量スタッカによる積載処理が不要なジョブであって、かつ、その大容量スタッカの後段に接続されているインラインフィニッシャによるフィニッシングを要するジョブである場合である。
このように、コントローラ205は、ドア2002がオープンされている状態のままでも、上記例示が如くの印刷システム1000における動作の実行を許可する。
以上の各種動作を実行する為に、コントローラ205は、シート処理装置からのオペレータによるシートの取出対象となるジョブの後に印刷実行要求がなされた後続ジョブの印刷動作の開始を禁止したり、許可したりする。換言すると、コントローラ205は、後続ジョブの印刷動作の実行可否や印刷タイミングを、制御する。
以上のような構成も、印刷装置に対して物理的接続関係にありかつ電気的接続関係にあるインラインフィニッシャ固有の構成である。
以上のような構成を前提とし、印刷システム1000が備える制御部の一例にあたるコントローラ205は、以下に例示の制御を実行する。
なお、以下に例示の制御を説明する前に前提的な構成要件について更に補足しておく。
前提として、印刷システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を備える印刷装置100を備える。かつ、印刷システム1000は、印刷装置100に対して接続可能な、複数台のシート処理装置200a〜nを備える。これらのシート処理装置は、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシート(印刷物或いは印刷媒体とも呼ぶ)に対するシート処理(フィニッシング又は後処理とも呼ぶ)を実行可能である。そして装置毎に、自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータにより取出可能である。かつ、印刷システム1000は、印刷装置100のプリンタ部203から、これら複数のシート処理装置に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に、供給可能に構成している。
本実施形態の制御部の一例に相当するコントローラ205は、以上のような、POD市場を見据えたシステム構成となっている印刷システム1000にて、以下の制御を実行する。
印刷システム1000は、印刷媒体を給送する給送手段を備えた給送装置としての複数台の給紙装置(大容量給紙デッキ)を、印刷装置100にカスケード接続可能な構成している。また、印刷装置100に接続可能なシート処理装置は、本実施形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。図21では、給紙装置50は、一連の給紙装置群として、N台接続可能であるものとしている。かつ、1台目の給紙装置から順に、給紙装置50a、50b、・・・、と示し、N台目の給紙装置として、給紙装置50nと示している。それぞれの給紙装置は、印刷媒体を給送する給送手段と、複数の印刷媒体が重なった状態で搬送される重送の発生を検知する重送検知手段と、重送された印刷媒体を排出する重送排出手段と、を備える。これらの給紙装置によるシートの給送及び排出は、様々な設定内容に基づいて制御手段としてのコントローラ205によって制御される。
以下、説明を容易にするため、図22に示すような3台の給紙装置を備えた印刷システム1000について例示的に説明する。図2の印刷システム1000は、印刷装置100に給紙装置50a→給紙装置50b→給紙装置50cの順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図23に示すような構成になる。
図23は、印刷システム1000の構成が図22のシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。図23のシステム内部構成は、印刷装置100のプリンタ部203にシートを供給するために、各給紙装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図23に示すが如く、D点、E点、F点を介してプリンタ部203へ搬送可能なシート搬送路を備える。
[大容量給紙デッキの内部構成]
図24は、図22〜図23に例示した、大容量給紙デッキの内部構成断面図である。
大容量給紙デッキ内部は、シートの搬送経路として、大きく分けて、5つに分かれている。この1例として、図24に示すが如く、1つは、印刷装置100へ搬送経路であるバッファパス2405である。1つは、エスケープパス2401である。1つは、上縦パス2410である。1つは、下縦パス2409である。1つは、重連パス2412である。このように5つのシート搬送路が内部に設けられている。
なお、図24の大容量給紙デッキ内部に備える重連パス2412は、前段装置からシートを受け取る為の搬送路である。
大容量給紙デッキ内部に備える上縦パス2410は、上段カセットデッキ2403から給紙されたシートを搬送するための搬送路である。下縦パスは中段カセットデッキ2406及び下段カセットデッキ2408から給紙されたシートを搬送するための搬送路である。
大容量給紙デッキ内部に備えるストレートパス2407は、上縦パス2410及び下縦パス2409から受け取ったシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。また、シート処理装置以外から給紙されたシートを、重連パスを通して上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
また、大容量給紙デッキ内部に備えるエスケープパス2401は、上流の装置に搬送せずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置でジャムが起こった場合や重送検知手段としての重送検知センサ2411により重送が検知された場合に、エスケープパス2401にシートを搬送して、エスケープトレイ2402からシートを排出する。
なお、この大容量給紙デッキ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況や重送やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
また、本実施形態において、重送とは、印刷システム1000内のシート搬送路上を、印刷システム1000により処理対象となる2枚以上の印刷媒体(シート又は記録媒体とも呼ぶ)の少なくとも一部が重なった状態で搬送されることを意味する。
大容量給紙デッキ内部の不図示のCPUは、各センサからのシート検知情報を、コントローラ205とのデータ通信を行う為の信号線(図2の給紙装置50とコントローラ205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、コントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量給紙デッキからの情報に基づき、大容量給紙デッキ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。印刷システムにおいて、この給紙装置と印刷装置100の間に他の給紙装置がカスケード接続されている場合、その給紙装置のCPUを介して、この大容量給紙デッキのセンサの情報を、コントローラ205に通知する構成となっている。
図11のエスケープトレイ2402は、エスケープパス2401から搬送されたシート載置される積載ユニットである。このエスケープトレイ2402にはシート満載検知センサが設けられており、大容量給紙デッキ内部の不図示のCPUは、センサによる情報をコントローラ205に通知する。コントローラ205は、この大容量給紙デッキからの情報に基き、エスケープトレイ2402上のシートの積載情報を把握する。
大容量給紙デッキは、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとして、上段カセットデッキ2403、中段カセットデッキ2406、下段カセットデッキ2408(例えば、5000枚のシートを収納可能)を持つ。各々の給紙ユニットには、各種シートサイズでかつ各種マテリアルのシートを収納可能であり、エアヒータ機能及び捌きファン機能が設けられている。エアヒータ機能ではコントローラ205から通知されたシートのマテリアル情報及びカセット内の湿度を基にヒータを付けたり、捌きファン機能ではシートの吸着ファンの風量を調整する。
[エスケープトレイへの搬送経路]
次に、上段カセットデッキからエスケープトレイへのシートの搬送の流れについて図24、図25A〜D参照しながら説明する。
例えば、コントローラ205が、図7の表示のキー701のキー操作により、上段カセットデッキからの印刷処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、コントローラ205は、上段カセットデッキ2403からの給紙を制御する。上段カセットデッキ2403からにセットされているシート2501の最上部にあるシートが、上段デッキ引き抜きローラ2502により分離され、上縦パス2410に搬送される(図25A)。上縦パス2410に搬送されたシート2501が上縦パスローラ2503により搬送され、ストレートパス2407の入り口へと導かれる。ストレートパス2407に搬送されたシートは、重送状態であるかどうか否かを検出すために、重送検知センサ2411を用いて重送検出処理が実行される(図25B)。
この重送検出処理では、シート2501の厚みを測定し、その測定データを基にしてシート2501が重送しているかどうかを判定する。ここでは、重送検知センサ2411を基にシート2501の厚みを求めて重送を検知できる構成を採用したが、他の重送検知手段でもよい。ストレートパス2407上のシート2501はストレートパスローラ2504により搬送されエスケープパス2401とバッファパス2405の分岐点まで導かれる。重送検出処理の結果を基に、搬送されてきたシート2501が重送しているかどうかにより搬送先を決定する。シート2501が重送していたと判断された場合は、エスケープパス2401へ導かれる(図25C)。エスケープパス2401へ搬送されたシートはエスケープローラ2505によりエスケープトレイ2402の排出口まで導かれる(図25D)。エスケープトレイ2402の排出口に搬送されたシート2501はエスケープ排出ローラ2506によりエスケープトレイ2402に排出される。
例えば、図22のシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブについて、重送を検知した場合の処理について図24〜図30を用いて詳述する。
まず、印刷装置100の操作部204で、給紙装置50から出力先をユーザに設定させる。設定終了後に、コピースタートキーがONされたかどうかを判定する(S2601)。S2601では、コピースタートキーがONされるまで待機する。
コピースタートキーがONされたら、印刷システム1000のコントローラ205から給紙指示を出す。印刷システム1000のコントローラ205は、給紙装置50から給紙する(S2602)。給紙装置から給紙されたシートはプリンタ部203に搬送される。
搬送されてきたシートが重送状態であるか否かを検出するために、重送検知センサ2411を用いて重送検出処理が実行される(S2603)。この重送検出処理では、シートの厚さを測定し、その測定データをもとにしてシートが重送しているかどうかを判定する。ここでは、重送の判定は印刷システム1000のコントローラ205で行っても、不図示の給紙装置内のCPUで行ってもどちらでもよい。
の重送検出処理の結果、搬送されてきたシートが重送しているかどうかを確認する(S2604)。給紙装置50から給紙されるシートが重送していると確認されない場合、シートをプリンタ部203に搬送する(S2605)。
S2606で、設定されたジョブが終了し、シートがすべて排出されたかどうかが判定される。S2606で終了していなければ、S2601に戻り、S2606で終了していれば、一連の処理を終了する。
次に、S2604で、S2603の重送検出処理の結果をもとに、搬送されてきたシートが重送していると確認された場合、図27のフローチャートに示す処理に移る。なお、この重送が検知された場合、プリンタ部203の給紙カセット及び給紙装置50から給紙されるシートに対する給紙動作及び画像形成動作は中断されている。重送検出処理でシートが重送していると検出した検出結果を基にして、印刷システム1000のコントローラ205は、重送していると検出されたシートがエスケープトレイ2402に排出可能かどうかを判断する(S2701)。
S2701で、重送したシートがエスケープトレイ2402に排出可能であると判定された場合、重送枚数判定処理を実行する(S2702)。エスケープトレイ2402に排出不可能であると判断された場合、ジャム状態となり装置内を搬送中のシートをすべて取り除くように警告を操作部204に表示する(S2709)。
S504で操作部204に所定の表示をした後、ジャムしたシートがすべて取り除かれたかどうかを判定する(S2710)。S2710でジャム処理がすべて終了したと判定された場合、再開シーケンスへ移行する(S2711)。
S2702の重送枚数判定処理後、既に給紙済みのシートが存在するかどうか確認する(S2703)。既に給紙済みのシートが存在しない場合、重送新枚数判定処理の結果N枚であれば、重送したシートN枚をエスケープトレイ2402上に排出される(S2704)。給紙済みのシートが存在する場合、給紙済み枚数判定処理を実行する(S2706)。給紙済み枚数判定の処理の結果M枚であれば、重送したシートN枚及び給紙処理済みシートM枚をエスケープトレイに排出する(S2707)。なお、この排出されたシートはユーザに分かりやすくするためにシフトして排出されてもよい。エスケープトレイにシートを排出した後は、再開シーケンスへ移行する(S2705、S2705)。
さらに、再開シーケンス(以下、リカバリ処理)は、重送検知処理で重送していると検知されたシートをエスケープトレイに排出するとともに、他の給紙装置50から給紙された後続のシートをすべて排出する処理である。すなわち、重送が検知される直前のページまで遡り排出される。図28、図29を用いて重送時のページ処理について詳述する。
図28は、印刷システム1000にて複数枚のシートを搬送中に重送が発生した場合(ただし、重送発生に伴なうジャムの発生は無い場合)の搬送上のシートの一例を示したものである。シートが既にシート処理装置200にK枚排出されており、印刷システム1000にて搬送上に10枚のシートが存在する。シート2501a、シート2501bはシート処理装置200内部の搬送路にて搬送中のシートであり、プリンタ部203による印刷処理は行われている。シート2501cは印刷装置100内部の搬送路にて搬送中のシートであり、印刷処理は実行されていない。シート2501d及びシート2501eは給紙装置50内部の搬送路にて搬送中のシートである。シート2501fは3枚の紙が給紙装置50内の搬送路にて重送している状態のシートである。シート2501g、シート2501hは重送した状態のシートよりも後続の搬送路において搬送中のシートである。
本実施形態の重送時の重送シート排出処理では、図29のような制御を行う。シート2501a、シート5301bはシート処理装置200内部からジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501cはプリンタ部203にて印刷処理を実行し、ジョブが要求する排出先へ排出する。シート2501d及びシート2501eは印刷装置100内部に搬送し、印刷を実行しかつジョブが要求する排紙先へ排出する。シート2501fは3枚の紙は給紙装置50内のエスケープトレイに排出する。シート2501g、シート2501hは給紙装置50内のエスケープトレイに排出する。
このような重送シート排出処理を行うことによって、重送検知後のシートをエスケープトレイに排出することで重送する前の状態から新しくジョブを再現する。
重送シート排出処理によって排出されるシートがすべて終了したら、印刷装置100はシートの出力動作を再開するためのリカバリ処理行う(S3001)。
リカバリ処理について図30及び図63を用いて説明する。印刷システム1000のコントローラ205は、ジョブ中断設定があるかを判断する(S3001)。ジョブ中断設定の情報は、HDD209又はRAM208に保存されている。
図63に示すジョブ中断設定画面は、操作部204において、図34に示すキー3401〜3403が選択された場合に表示される。コントローラ205は、図63においてONボタン6301又はOFFボタン6302のいずれが選択されたかをHDD209又はRAMに保存する。
S3001で、ジョブ中断設定有りであると判定された場合、ジョブを中断するか再開するかを選択する警告画面を操作部204に表示する(S3003)。ジョブ中断設定がなされていない場合は、再開シーケンスへと移行する(S3002)。
S3003で操作部204に所定の表示をした後、ユーザがジョブ再開キーを押下したかどうかを判定する(S3004)。S3004でジョブ再開キーが選択された場合、再開シーケンスへ移行する(S3005)。ジョブ再開キーではなく中断キーが押された場合は、ジョブを終了させる。ここで、ジョブ再開のために残留シートが残っている場合、後続の給紙装置50の残留シートをすべてエスケープトレイ2402に排出する。リカバリ処理実行後、S2602のステップへと戻り、印刷ジョブを継続する。
なお、操作部204への表示のタイミングとして本実施形態ではリカバリ処理後の実施を例にとり説明したが、重送検知からジョブ開始までの間であれば、本処理の表示タイミングとしては限定されない。
以上のような制御を行うことにより、給紙装置50から給紙されたシートが重送した場合に、適切なリカバリ処理を実行することができ、動作を再開させることができる。
本実施形態における、重送シートの排出先指定方法と重送シート排出の動作について詳細に説明する。
図22において、印刷システム1000は大容量給紙デッキを3つ接続しており、給紙部だけの内部構造を示す図が図31である。大容量給紙デッキaから給紙されたシートについて重送は重送検知センサ3102aにおいて検知される。その際、排出するエスケープトレイとしてはエスケープトレイ3101a、エスケープトレイ3101b、エスケープトレイ3101cへの出力が可能である。
重送シート排出先の設定は、図32のキー3201を操作することにより開始される。キー3201を操作することにより、大容量給紙デッキa、大容量給紙デッキbいずれかの排紙先を設定するかを選択する画面(図33)が表示される。大容量給紙デッキcに関しては、図31のエスケープトレイ3101c以外に排出可能なエスケープトレイが存在しないため、排出設定を行うことはできない。キー3301を操作すると、どのエスケープトレイを排出対象トレイとするかを選択する画面(図34)が表示される。ここでトレイ1(キー3401)、トレイ2(キー3402)、トレイ3(キー3403)のいずれか1つ又は2つ或いは全部を選択することで、それぞれエスケープトレイ3101c、3101b、3101aのいずれに排出するかを決定する。
以降の説明においてトレイ1という場合は、図31のエスケープトレイ3101cを示し、トレイ2は、エスケープトレイ3101bを示し、トレイ3は、エスケープトレイ3101aを示す。キー3401、3402、3403の操作を行った結果、重送シート排出対象として選択されたトレイのキーは表示が色づけされ、排出対象トレイとしてが明示的に示される。どのエスケープトレイを選択したかの情報は、コントローラ205を通じて、RAM208又はHDD209に格納される。
重層された印刷媒体である重送シートを排出する制御について図35のフローチャートを用いて説明する。図26のジョブ実行制御において、S2604で重送検知した後、図35の処理を実行する。S3501ではRAM208又はHDD209上の情報を読み出し、エスケープトレイ3101cを示すキー3401が選択されたかを判定する。キー3401が選択されているならば、さらにS3502において、エスケープトレイ1に排紙が可能かどうかの判定を行う。エスケープトレイ1への排紙が可能な場合は、S3503において、排紙先をエスケープトレイ1に設定することをRAM208上に記憶する。S3501でエスケープトレイ1が排紙先として選択されていないか、又は、S3502においてエスケープトレイ1が排紙不可状態であると判定された場合は、次にS3511に進む。そして、キー3402が選択されて、エスケープトレイ2が排紙先として設定されているか判定する。更には、S3512において、排紙可能であるかを同様に判定する。
もしS3511でキー3402の選択が実行されていて、さらにS3512で排紙可能であると判定されれば、排紙先としてエスケープトレイ2に設定することを同様にRAM208上に格納する(S3513)。S3511及びS3512でエスケープトレイ2に排紙することができないと判定された場合は、S3514に進む。S3514では、エスケープトレイ3に対応するキー3403が選択されたか否かを判定し、キー3403が選択されている場合には、ステップS3515に進む。S3515において、同様にエスケープトレイ3に排紙が可能であるかを判定し、出力可能であれば、S3516においてエスケープトレイ3を排紙先に設定し、その情報をRAM208上に格納する。もし、いずれのトレイにも排紙が不可能であった場合はS3517において、ジョブを停止し、ジャム状態とした上で操作部に搬送部のシートを全て取り除くよう警告を表示する。搬送部のシートが全部除去されたことをS3518で検出した場合はS3519において、ジョブの再開処理を行う。
S3503、S3513、S3516において、いずれかのエスケープトレイが出力対象であることが決定された場合、S3504において、重送枚数判定処理を行う。S3505においてすでに給紙済みのシートがあるかどうかを判定し、給紙済みのシートがなければ、S3506において、RAM上に格納されている排紙先の情報を取得し、決定された排紙先へ重送紙の排紙を行い、S3507においてジョブの再開処理を行う。S3505において、すでに給紙済みのシートがあると判定された場合はS3508において、給紙済みシート枚数Mの判定を行う。ついで重送した枚数Nと給紙済みのシートMをまとめてRAM上に格納された排紙先の情報に従い排出し(S3509)、S3510において再開処理を行う。重送枚数の判定、給紙済みシートの枚数判定、リカバリ処理の内容は前述のものと同じであるため、説明は割愛する。
以上のように、本実施形態によれば、例えば、従来で想定したような課題に対処できる。また、例えば、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。また、例えば、極力、高い生産性でもってシステムを動作させたいといったニーズや、極力、オペレータの作業負荷を軽減したいといったニーズ等、POD等の印刷環境における実際の作業現場のニーズにも対処可能となる。すなわち、給紙装置内で重送が起こった場合の重送シートの排出先として複数のエスケープトレイを選択することが可能となり、システムの印刷継続性を向上させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態としての印刷システム1000の制御について図36乃至図38を用いて詳細に説明する。第1実施形態として説明した図35のフローチャートについては、大容量給紙デッキaで検知した重送シートの排出先について、給紙トレイの選択順序をエスケープトレイ1→エスケープトレイ2→エスケープトレイ3の順番で検索している。つまり、第1実施形態では、図34で排出先候補として選択したトレイの中から最も印刷装置に近い方(ここでは、大容量給紙デッキc)のエスケープトレイから優先的に使用する。これは、大容量給紙デッキaのみから給紙を行うと仮定した場合に、最も印刷継続性が高くなるという前提のためである。ところが、このシーケンスで制御すると、大容量給紙デッキcのエスケープトレイ3101cはシートが満載になる確率が上がってしまうことになる。エスケープトレイ3101cが満載の状態で大容量給紙デッキcから給紙するジョブが投入されれば、エスケープトレイフルにより、ジョブが停止してしまう確率があがってしまう。また、図35の制御では、重送シートをエスケープトレイに出力するまでのシート搬送パスが長くなる。
そこで本実施形態では、シート搬送パスを短くして生産性をより高めるという目的のもとで、検索順序を用紙の搬送パス長の短い順にエスケープトレイを選択する。なお、他の構成及び作用については、上記第1実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
図36はコピージョブ実行時のフローチャートである。図26のフローチャートと基本的には同じであるため、同じ処理については同じ符号を付して説明を省略する。
ここでは、重送発生後にS3604において、速度優先設定であるかの確認を行う。重送シート排出先設定画面(図34)において、キー3404が選択されると図38の画面を操作部204に表示する。ここでキー3801、又はキー3802のいずれかが選択される。デフォルトでは印刷継続性優先設定されており、選択された設定がわかるように明示的にキー3801の色を変更している。これに対し、キー3802が選択されると、印刷速度を優先する設定となり、その設定をRAM208又はHDD209に記憶する。キー3801とキー3802は排他的に操作可能であり、片方のキー操作を行うと、他方のキー操作は非実行状態となる。ここでどちらの操作が行われ、どちらの設定が選択されたかをRAM208又はHDD209上に記憶する。コントローラ205は、図34などの重送シート排出先設定画面を、操作部204に表示させ、その設定内容を、RAM208又はHDD209上に記憶することにより、重送排出先設定手段として機能する。
ステップS3604でRAM208又はHDD209上から情報を読み出し、印刷継続性優先設定となっていれば図35のS3501に進む。図35の制御の流れは既に第1実施形態で説明済みであるのでここでは割愛する。印刷速度優先の設定がされていれば、S3604から図37のステップS3701に進む。図37のフローチャートでも基本的な流れは図35と同じであるため、同じ処理については同じ符号を付して説明を省略する。排シート先検出順序がS3701、S3711、S3714において、エスケープトレイ3→エスケープトレイ2→エスケープトレイ1の順番で検索されることが印刷継続性優先設定とは異なる動作となる。
このように速度優先の設定ができる構成として、速度優先設定時に、トレイの優先選択順を変更すれば、よりユーザにとって使い勝手の良い印刷システムを提供できる。つまり、重送シートの搬送パスが短くなるように重送シートの排出先を設定することが可能となり、リカバリ処理までかかる時間を短縮することで、印刷システムの生産性を向上させることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態としての印刷システム1000の制御について図39〜42を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
検索順位設定を行うためには、操作部204のキーのユーザ設定から図32で図示されたキー3201の操作により開始される点は前述と変わりがなく、各給紙デッキの排出先設定からの動作が異なる。本実施形態においては、上述の実施形態と異なり、キー3301の操作後に図39のような画面を操作部204に表示する。画面表示後、キー3902、3903、3904のいずれかを操作し、重送シート排出対象トレイを決定する。この操作では、複数のトレイを選択することも単一のトレイを選択することも可能である。排シート対象となったトレイのキーは明示的に色分けして表示される。キー3902、3903、3904を操作した結果、重送シート排出対象となったトレイ数の情報は、RAM208又はHDD209上に格納される。排出トレイ選択後、キー3901を操作すると、検索順位設定画面(図40)を操作部204に表示する。
図40の画面では、トレイ1、トレイ2、トレイ3の3つのキーが表示されているが、このキー表示は前述したキー3902、3903、3904の何れを操作したかによって異なる。ここではキー3902、3903、3904を全て選択したものとして説明する。この表示順序は特定の法則にしたがって初期値として設定された優先度に応じて表示され、前述の印刷継続性優先設定の排紙順にしたがっている。しかし印刷速度優先の設定に従うか、対象エスケープトレイを選択した順序に表示してもよい。キー4003を選択し優先度を変更するトレイを選択した後、キー4004を選択することで、トレイ3の検索優先度を上げることができる。キー4005は、現在トレイ3の優先順位が最も低いため、選択することはできない。キー4004を選択した結果として、図41の画面がを操作部204に表示される。キー4101が選択された後、さらにキー4102が選択されると、トレイ3の優先順位がもっとも高くなる。検索順序としては、トレイ3から、次いでトレイ1、トレイ2の順番で検索優先順位が決定される。ここでキー4104を選択することで、検索優先順位の設定は終了し、トレイ検索の優先順位に関する情報がRAM208上又はHDD209上に蓄積される。なお、図39で、キー3902、3903、3904のうちの2つのみが選択されている場合には、図40にも、選択された2つのボタンのみを表示し、その優先順位を決める制御とする。図39で、キー3902、3903、3904のうちの1つのみが選択されている場合には、キー3901は選択不可能であり、図40も表示されない。
ジョブの実行制御は図26のフローチャートに従うが、重送検知後の処理が異なる。以下では重送検知後の重送シート排出制御について図42のフローチャートを用いて説明する。重送検知後、排出対象トレイの情報をRAM208又はHDD209より読み出し、最大何箇所に出力可能かを判別し、その数をXとし、RAM上に格納する(S4201)。その後、検索済みトレイ数として、YをRAM上に確保する(S4202)。S4203において、検索対象トレイ数Xと検索済みのトレイ数Yを比較し、XとYが等しい、或いはXよりYが大きければ検索が終了する。排シート先として選択されているエスケープトレイが全て使用できないため、S4212においてジャム警告表示を操作部204に行う。ジャム警告後の動作は前述のものと変わりが無いので説明は割愛する。
XがYより大きければ、Yの値を1インクリメントし、検索済みトレイ数をこの時点でカウントアップする(S4204)。S4205では、前述のキー4104を選択した際にRAM208又はHDD209上に格納された優先順位設定を参照し、第Y番目に優先するトレイ情報を取得する。次いでS4206において、第Y優先のエスケープトレイに出力可能であるかを判定する。出力不能であると判定された場合は、S4203まで戻り、順次優先順位を下げてトレイの検索を行い、排出可能なエスケープトレイが見つかるか、検索済みトレイの数と排シート対象となったトレイ数が等しくなるまで繰り返す。排出可能なエスケープトレイが見つかった場合はS4208に移行し、以後の処理は前述の図35のフローチャートの処理と等しいため説明は割愛する。
本実施形態により、排紙トレイに優先順位をつけて排紙先を決定することが可能となる。つまり、排出対象とするエスケープトレイに優先順位を設定することができ、優先順位に従った排紙先に排出することが可能となる。言い換えれば、給紙装置内で重送が発生した場合の出力先として、複数のエスケープトレイを選択することが可能となり、出力するエスケープトレイの選択順序に優先順位をつけることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態としての印刷システム1000の制御について図43〜図47を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
複数のジョブが投入可能な環境においては、印刷ジョブ1、印刷ジョブ2が同じ給紙装置を使用するようなケースがある。そのような環境下において、給紙装置内で重送を検知した場合に給紙装置の内部では、図43のような状態となる場合がある。4302aがジョブ1で使用されるシート群、4302bがジョブ2で使用されるシート群である。本実施形態は、給紙装置内に給紙されたシートが複数のジョブにまたがった場合に、ジョブ毎に排紙先を分けることを可能とする。以下、図23における給紙デッキaから印刷ジョブ1と印刷ジョブ2に対して給紙を行い印刷ジョブ1の用紙について重送を検知した場合の例を説明する。
ジョブ毎の排紙トレイを分ける設定は、操作部204に表示されるユーザ設定によって設定を行う。操作部204に表示される、図34の画面からキー3404を操作すると図44の画面が表示される。さらにキー4401を選択することでジョブ毎に排出先を切り替える設定がONになり、逆にキー4402を選択することでジョブ毎に排出先を切り替える設定はOFFになる。キー4401又はキー4402は排他的に選択可能となる。キー4401、4402が選択された結果は、RAM208上、又はHDD209上に記憶する。キー3401、キー3402、キー3403を操作した結果、選択した排出対象のトレイについても同様にRAM208上、又はHDD209上に記憶する。
ジョブ実行制御は図45のフローチャートに従う。図45において、基本的な処理については、図26と変わらないが、重送検知後、図46のフローチャートに処理が移る。重送検知後、まずRAM上の情報を読み出して、前述のキー4401が選択されたかどうかの判別を行う(S4601)。もしキー4401が選択されていれば、ジョブ毎にエスケープトレイを切り替える設定になっていると判別する。もしキー4401が選択されておらず、ジョブ毎のトレイ切替設定になっていない場合は、印刷継続性優先設定か、印刷速度優先設定かに応じて図35のS3501又は図37のS3701に進み、通常の重送紙排出処理を行う。
一方、ジョブ毎排紙先切替設定がONの場合、給紙済みジョブ数の取得を行う(S4602)。給紙済みジョブの数をXし、Xが1かどうかの判定を行う(S4603)。Xが1の場合、つまり現在給紙デッキ内部に存在する重送シートとして排出されるべきシートが全て1つのジョブに対する給紙である場合は図35のS3501に進み通常の重送シート排出処理を行う。
次いで、排紙先決定ジョブ数Yを0として初期化する(S4604)。そしてXとYが同じ値、つまり給紙済みのジョブ全てに対して出力する排出トレイを決定するまでの間、以下の処理を繰り返す(S4605)。まず、未処理の給紙済みジョブの情報を1件RAM上から読み出し、そのジョブに対する排出先を排出対象となっているトレイに設定する。そのジョブについては処理済みとし、さらにここで設定したエスケープトレイは使用済みである設定し、その情報をRAM208上に蓄積する(S4606)。S4607で、処理済みジョブ数Yを1増加する。ここで未使用の排紙対象トレイがあればさらにS4605に戻り、次のジョブについて排出先の設定を行う(S4608)。もし未使用の排出対象トレイが無くなりさらに未処理給紙済みジョブがあれば(S4609)、排出可能なエスケープトレイの候補数が給紙済みのジョブ数より多いため、ジョブ毎の分割出力ができないということになり、にて通常の排紙処理を行う。
ここでは処理継続のため、通常の排出処理に戻ることにしたが、これ以降処理するジョブは全て特定のトレイに出力するか、ジョブを停止状態にすることとしてもよい。上記処理を繰り返し、全ての給紙済みジョブに関して出力先が決定した後、図47のフローチャートに進み排出処理を行う。
排出処理について図47を用いて説明する。ますS4701において重送シートの枚数Nを取得する。さらにS4702において処理済みシート枚数を0として初期化する。次いで給紙済みシートが給紙装置内に存在するかどうかのチェックを行う(S4703)。給紙済みシートがあれば給紙済みシートの枚数Mを取得(S4704)し、存在しなければM=0として(S4705)処理を継続する。以後、処理済シート枚数が重送シート枚数より小さい場合に、以下の処理を繰り返す(S4706)。まず処理対象の先頭の給紙済みシートに対するジョブ情報をRAM上から読み出して取得する(S4707)。ついで取得したジョブ情報から排紙トレイ情報を識別し、設定された排出先に排出する(S4708)。排出した重送シート枚数分だけ処理済み枚数をカウントアップし、S4706に戻る。これを処理済シート枚数と重送シートとして処理する枚数分繰り返すことで排出処理は完了する。
以上のような第4実施形態により、印刷ジョブ毎に重送シートを異なる排出先に排出することが可能となる。つまり、給紙装置内で重送が発生した場合の出力先として複数のエスケープトレイが選択可能となり、ジョブ単位での排出先の仕分けが可能となる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態としての印刷システム1000の制御について図48〜図51を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
本実施形態では操作部204に表示される画面(図48及び図49)からサイズ別の出力先設定を行う。操作部204に表示される図34の画面でキー3404が選択されると、まず図48の画面が操作部204に表示される。ここでキー4801が選択されると、さらに操作部204に図49の画面が表示される。用紙サイズのリスト4901から、1つの用紙サイズを選択し、キー4902〜4904のいずれかを選択することで、各エスケープトレイに排出する用紙サイズを選択する。この画面上に表示される、排出対象のエスケープトレイは、キー3401、3402、3403のいずれが選択されたかにより変化する。また、エスケープトレイ3にA4サイズを排出する設定を行った上で、画面34上でキー3401を選択し、排出対象外とした場合は、4901のリスト上にA4サイズの設定は戻り、未設定状態に戻る。ここで4905〜4907は各トレイに出力する用紙サイズのリストであり、キー4902〜4904の選択結果はここに反映される。設定後、キー4908を選択することで、サイズ別出力トレイ指定情報はRAM208上又は、HDD209上に蓄積される。
ジョブ制御の実行フローは図50に従う。フロー自体は図26の処理と同様であるが、重送検知後の処理が図51のフローチャートのように変わる。重送検知後の処理について、図51のフローチャートを用いて説明する。まず、用紙サイズ別に出力設定されていないシートを排紙するトレイを決定する(S5101)。このトレイの選び方としては、搬送パスの近い順が設定されるが、最も用紙サイズ別の出力数が少ないトレイとしてもよい。ついで、未出力のシートが存在する間、以下の処理を繰り返す(S5102)。まず、給紙済みの未出力重送シートの先頭のシートの情報を取得する(S5103)。取得したシートの情報からサイズ情報を読み出し、サイズ情報で取得したシートのサイズが前述した用紙サイズ別に出力先が登録されているかどうかを、RAM208上から情報を取得して調べる(S5104)。もしサイズ別出力設定されていれば、シートの出力先を指定されたトレイに設定する(S5105)。もし設定されていなければ、指定なしサイズの出力先に設定する(S5106)。指定された出力先に出力可能であるかをチェックし(S5107)、出力可能であればS5108においてシートを出力する。もし出力不可状態であれば、S5109において、操作部204上にジャム警告を表示し、ジャム処理完了(S5110)まで待ち、ジャム処理完了後に再開処理を行う(S5111)。以上の処理を繰り返し、全重送シートを出力完了後、S5112において再開処理を行う。再開処理の内容については、前述と変わりが無いため、説明を省略する。
本実施形態により、サイズ別に重送シートの排出先を設定することができる。つまり、給紙装置内で重送が発生した場合に、用紙サイズに応じて出力するエスケープトレイを変更することが可能となる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態としての印刷システム1000の制御について図52〜図54を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第5の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
メディアタイプ別の出力先設定は、操作部204に表示されるユーザ設定によって設定を行う。操作部204に表示される、図34の画面からキー3404を選択すると図48の画面が操作部204に表示される。ここでキー4802が選択されると、さらに操作部204に図52の画面が表示される。ここでメディアタイプリスト5201上で出力したいメディアタイプを選択し、キー5202を選択すれば、エスケープトレイ1出力対象リスト5205に登録される。もしキー5203が選択されるとエスケープトレイ2出力対象リストに登録され、キー5204が選択されると、エスケープトレイ3出力対象リストに登録される。登録後、キー5208を選択することで、設定情報がRAM208又はHDD209に登録される。
ジョブの制御フローについては、図53のフローチャートに従い、S5304にて重送検知後の動作が図54となる。重送シート検出後の排出動作について図54のフローチャートを用いて詳述する。まず指定なしメディアの排出先を一意に設定する(S5401)。この際の選択順序としては、もっとも搬送パスの短くなるエスケープトレイを選択するが、特定トレイを指定するか、メディア別の登録数が少ないトレイを選択するなどの基準により選択してもよい。その後、未出力のシートが給紙装置内部に存在する間、以下の動作を継続する(S5402)。まず先頭の未出力シートの情報を取得する(S5403)。そのシート情報よりメディアタイプを判別し、各エスケープトレイ出力対象リストをRAM上より読み出し、もしメディアタイプ別出力設定されているかどうかを照合する(S5404)。もしメディア別出力設定されていれば先頭シートの出力先を出力対象トレイに設定する(S5405)。それ以外の場合は指定なしメディア出力先に設定する(S5406)。次に先頭シートの出力先として設定されたトレイが排出可能かどうかのチェックを行い(S5407)排出可能であれば先頭のシートを排出し(S5408)、次のシートを処理する。もし出力不可状態であれば、S5409において、操作部204上にジャム警告を表示し、ジャム処理完了(S5410)まで待ち、ジャム処理完了後に再開処理を行う(S5411)。以上の処理を繰り返し、全重送シートを出力完了後、S5112において再開処理を行う。再開処理の内容については、前述と変わりが無いため、説明を省略する。以上の処理を未出力シートが存在する間継続し、未出力シートが無くなったらS5412で再開処理を行う。
本実施形態により、メディアタイプ別に重送シートの排出先を設定することができる。つまり、給紙装置内で重送が発生した場合の出力先として、複数のエスケープトレイが選択可能となり、特にメディアタイプに応じてエスケープトレイを変更することが可能となる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態としての印刷システム1000の制御について図55を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第5実施形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
第5及び第6実施形態で述べた、サイズ別及びメディアタイプ別の出力設定は同時に設定することも可能であり、その際の動作として、出力先判定時に優先順位をつけることも可能である。優先順位設定は、操作部204に表示される図48の画面上で行われる。キー4804若しくは4805が選択され、優先順位を変更したい場合にはキー4806、4807が選択され、優先順位を決定する。優先順位決定はキー4803が選択されると完了し、その時点での設定をRAM208上、又はHDD209上に記憶する。
重送検知後の動作について図55のフローチャートを用いて詳述する。まず用紙サイズ別設定及びメディアタイプ別設定が存在するか否かを確認する(S5501、S5502、S5509)。もしこの時点で両方とも設定がなければ、通常の排出処理を行う。もしどちらか片方のみが設定されていれば、用紙サイズ別出力(S5507)及びメディアタイプ別出力を行う(S5514)。サイズ別出力設定及びタイプ別出力設定が同時に設定されていれば、給紙済みのシート情報を取得する(S5503)。全シート情報から複数のメディアタイプが給紙されていて(S5504)、さらに複数の用紙サイズ給紙されていれば(S5505)、前述の優先順位情報をRAM上から読み出す(S5506)。優先順位が用紙サイズ別設定優先であれば、S5507にて用紙サイズ別排出を実行する。メディアタイプ別設定優先であれば、S5508にてメディアタイプ別排出を実行する。S5504において、複数の用紙タイプが給紙されていない場合はS5511にて複数の用紙サイズが給紙されているかを調べる。重送シートとして給紙済みの用紙が単一サイズでありかつ単一のメディアタイプである場合は、S5513において通常の排出処理を行う。もし複数の用紙サイズのみが給紙されていれば、S5512において用紙サイズ別排出を実行する。用紙サイズ別排出、メディアタイプ別排出の詳細はそれぞれ第4及び第5実施形態ですでに説明済みであるので、説明は省略する。
本実施形態によれば、第5実施形態と第6実施形態の効果を同時に得ることができる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態としての印刷システム1000の制御について図56〜図62を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1実施形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
印刷システム1000では、複数の給紙装置に同じ用紙がセットされている場合に、用紙サイズ「自動」として投入された印刷ジョブについては、APS(オートペーパーセレクト)動作を行う。このAPS動作は、投入された印刷データに対して、最も適切なシートを給紙装置にセットされているシートの中より選択する機能である。つまり、この場合、コントローラ205は、実行指示を受けた印刷ジョブに対して最適な印刷媒体を自動的に検索する検索手段として機能する。
通常、このAPS動作は生産性向上のため、用紙の搬送パスが短い給紙装置を優先して使用する。しかしながら、給紙装置の特性により、重送が起こりやすい給紙装置がもっとも搬送経路が短い条件に合致した場合においては、重送シートの排出にかかる時間が増えてしまい、結果的に生産性が低下することが懸念される。一方、印刷装置から遠い給紙装置は、複数のエスケープトレイを使用することが可能である。そのため、給紙に使用される給紙装置自体のエスケープトレイがトレイフル状態になっても、下流の給紙装置のエスケープトレイに出力が可能となり、エスケープトレイフルによるジョブの中断が発生しにくくなる。結果として、生産性の向上が見込める。本実施形態では、重送シートの排出先設定に応じて、給紙装置を切り替える印刷システムについて以下に述べる。
重送シートの排出設定に応じて給紙デッキを切り替えるためには、操作部204上に表示される、ユーザ設定画面(図56)上において、キー5601を押下することにより、設定を行う。キー5601押下後、図57の画面が表示される。キー5701、キー5702の操作のいずれかを行い、「印刷速度優先モード」か、「印刷継続性優先モード」かを選択する。この2つのモードは排他的に選択可能であり、選択されているモードのキーは明示的に色を変えて表示させる。モード選択後、キー5708が押下された時点で選択されていたモードがRAM208上に情報として蓄積される。
ジョブ制御動作は、図58のフローチャートに従う。S2601において、コピースタートキーが押下されるまで待ち、コピースタートキー押下後、S5802において、使用する給紙装置の決定処理を行う。
使用する給紙装置の決定処理は図59のフローチャートに従う。まず接続されている全給紙装置情報を取得する(S5901)。この給紙装置情報には、各給紙装置から給紙可能なシートのサイズ、シートのメディアタイプ、各給紙装置に出力先として設定されているエスケープトレイの情報などを含む。次に、取得した給紙装置の情報を参照し、最適な用紙が存在するかどうかを検索する(S5902)。もし全ての給紙装置に最適なサイズがなければ、最適用紙なしの警告を操作部204上に表示する(画面例:図60)。その後、警告画面上で中止キーが押下された場合はジョブの実行をキャンセルする(S5910、S5912)。この時点で画像形成が行われていれば、画像データを破棄する。
中止キーが押下されなければ、給紙装置の状態が変化したかを調べ(S5911)、給紙装置の状態が変化していれば、最適用紙がセットされたかの検索を再度行う(S5902)。もし変化していなければ中止キーが押下されるまで待機する。
もし1つ以上の給紙装置に最適用紙がセットされていた場合は、S5903において、RAM上の情報を参照し、印刷速度優先モードが選択されているかどうかのチェックを行う。もし印刷速度優先モードに設定されていた場合は、もっとも搬送パスの短くなる給紙装置を選択する(S5906)。
もし印刷継続性優先モードに設定されていた場合は、さらに給紙装置情報を参照し、最適用紙を給紙することが可能な給紙装置中で最も多く出力トレイの候補が設定された給紙装置を選択する(S5904)。複数の給紙装置がこれに該当する場合(S5905)には、該当する給紙装置の中から最も搬送パスの短い給紙装置を選択する(S5907)。複数の該当する給紙装置がなければ、S5908において最も多く出力トレイの候補が設定された給紙装置を選択する(S5908)。
以降のジョブの制御手順や、重送シートの排出制御については、すでに説明済みであるので、ここでは説明を割愛する。
[重送検知回数を考慮した給紙装置選択]
上で述べた印刷システムにおいては、印刷システムの印刷継続性をもっとも高くするための給紙装置選択について述べたが、頻繁に重送が起こるトレイがあった場合においても、他の給紙装置と区別せずに使用していた。重送が発生すると、重送シートの排出及びリカバリ処理を実行するため、印刷速度がわずかながら低下してしまう。もし重送が頻繁に起こる給紙装置からの給紙を継続すると、印刷システムの生産性が落ちてしまうため、好ましくない。このような場合には、重送シートを給紙する給紙装置をなるべく選択しないことで生産性を保つことができる。この前提として、コントローラ205は、重送が発生した発生回数を給紙装置ごとにカウントしている。
重送回数に連動した給紙装置選択を行う場合は、ユーザ設定画面(図57)上のキー5703を行うことで設定することができる。キー5703及び5704は排他的に選択可能であり、5705は自動給紙装置選択の際に、優先順位を落とす重送回数の閾値を表示する。この閾値は、キー5706又はキー5707を操作することで、増減が可能である。キー5708が選択されると、RAM上に重送回数連動給紙装置選択を行う点、とその閾値を記憶する。
ジョブ実行の制御を図61のフローチャートを用いて説明する。S2601において、コピースタートキーが押下されるまで待ち、コピースタートキー押下後、S6102において、給紙装置の重送回数初期化を行う。その後、S6103で給紙を行う給紙装置を決定し、印刷ジョブを実行する。もし重送が発生したら(S2604)、S6109にて重送が発生した給紙装置の重送回数を1増加させ、重送シートの排出処理を行う。
使用給紙装置の決定処理について図62のフローチャートを用いて説明する。全給紙装置の情報取得後(S6201)、重送回数オーバーの給紙装置があるかの判定を行う(S6202)。もし重送回数オーバーの給紙装置があった場合は、給紙装置の情報を参照し、重送回数の閾値をオーバーした給紙装置にのみ、最適用紙があるかを調べる。もし重送回数オーバーした給紙装置にのみ最適用紙があるならば、その給紙装置を選択する。もし他の給紙装置からでも給紙可能なようであれば、重送回数オーバーの給紙装置を給紙不可状態に一時的に設定する(S6204)。S6205では、給紙可能な給紙装置のみを検索対象とし、以降の処理も全て検索対象は給紙可能な給紙装置のみを対象とする。これ以降の給紙選択処理は、すでに説明したものと同等であるので、説明は割愛する。
本実施形態により、重送シート排出設定と連動させて給紙装置を自動的に選択することが可能となる。つまり、重送シートの排出設定にしたがって、ユーザの設定に応じて給紙装置を自動的に切り替えて生産性を向上させることができる。また、重送回数によって、給紙装置を自動的に切り替えることが可能となる。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態としての印刷システム1000の制御について図64〜図66を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
第8実施形態においては、ユーザに重送シートの排紙先の設定にAPS動作を連動させて生産性を重視するか、速度を重視するかの切替を行う例を示した。しかしながら、大規模な印刷システムにおいては、印刷ジョブの実行速度よりも印刷ジョブが停止せずに印刷を継続することを優先する。そのため、重送シートの排紙先設定をAPS動作に反映させるかどうかのみをユーザ操作によって選択し、APS動作の動作モードについては、常に印刷継続性を優先したAPSを行うことも考えられる。そのような場合について以下に図を用いて詳述する。
重送シート排出設定に応じて給紙装置を切り替える設定を行うためには、操作部204上に表示される、ユーザ設定画面(図32)より、キー3201を選択する。キー3201を選択すると、重送シート排出先設定画面(図64)が表示され、そこでキー6401を押下することにより、図65の画面が表示される。ここでキー6501が選択された場合は、重送シート排出設定に応じて給紙装置を切り替える設定がOFFになり、逆に、キー6502が選択された場合は重送シート排出設定に応じて給紙装置を切り替える設定がONになる。キー6501及び6502は排他的に動作する。設定後、キー6503を押下することにより、キー6501又はキー6502のいずれが選択されたかの情報がRAM上に蓄積される。
ジョブ実行の制御については第8実施形態と同様である。そこで、差分である、使用給紙装置の決定処理(S5802)のみ説明する。使用給紙装置の決定処理は、図66のフローチャートに従う。まず、RAM上から、キー6501又は6502のいずれが選択されたかを取得する(S6601)。キー6501が選択されていた場合は、オペレータから指示された給紙源を給紙部として使用する(S6609)。キー6502が選択されていた場合は、接続されている給紙装置の情報をRAM上から取得し、各給紙装置にセットされているシートの情報を全て取得する。取得した情報から、印刷ジョブを実行するために利用可能な給紙部が複数あるかどうかを判別する(S6602)。利用可能な給紙部が複数存在しなければ、一意に決定される、利用可能な給紙装置の給紙部を給紙源として選択する(S6608)。
給紙源となりうる選択候補の給紙部が複数存在する場合は、ステップS6602からステップS6603に進み、その複数の給紙部に、複数の排出先を選択可能に構成された給紙装置(上流側給紙装置)の給紙部が含まれているか否かを判定する。本実施形態では、給紙装置50a、50bは、複数の排出先に重送シートを排出できる構成となっているので、ここでいう上流側給紙装置に該当する。一方、給紙装置50cや、印刷装置100本体内の給紙部は、ここでいう上流側給紙装置には該当しない。上流側給紙装置の給紙部が含まれていればステップS6604に進み、含まれていなければステップS6607に進む。ステップS6607では、複数の給紙源の選択候補の内、上流側の給紙装置の給紙部以外の、搬送系路が最も短い給紙源に該当する給紙装置の給紙部を処理対象のジョブの給紙源として自動選択して印刷処理を開始させる。
一方、ステップS6604では、重送排出先についての設定が予めオペレータによりなされているか否かをRAM等を参照して判定する。オペレータによる設定がなされていない場合には、ステップS6607に進む。オペレータによる設定がなされている場合には、ステップS6605に進み、上流側給紙装置に発生対象の重送紙の排出先が複数設定されているかを判定する。複数設定されていなければステップS6607に進む。複数設定されていれば、ステップS6606に進み、上流側給紙装置の給紙部を処理対象のジョブの給紙源として自動選択して印刷処理を開始させる。
本実施形態によれば、ユーザに設定を意識させることなく、APSと重送シート排出設定を連動させて、給紙装置を選択することが可能となり、印刷システムの印刷継続性を向上させることができる。つまり、ユーザの重送シート排出設定に応じてAPS動作を最適化することができ、生産性を向上させることができる。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態としての印刷システム1000の制御について図67〜図68を用いて詳細に説明する。印刷システム1000の構成及び基本的な制御などは第1の実施の形態と同様であるので、異なる箇所についてのみ説明する。
第8及び第9実施形態においては、重送シート排出先の設定に応じてAPS動作の切替を行う例について示した。APSと似た動作として、用紙無し時に自動的に給紙部を切り替える、ACC(オートカセットチェンジ)がある。ACC動作もAPS動作同様、通常の設定ではシートの搬送経路が最も短くなる給紙部を優先して選択する。しかしながら、印刷の継続性を向上させる点では、搬送経路よりも重送シートのハンドリングを要因としたジョブの中断が発生する可能性が下がるように優先順位を変えた方がより継続性が向上する場合もある。以下では、重送シート排出設定に応じてACC動作で選択される給紙部を変更する例について詳述する。
ACC動作と重送シート排出設定を連動させる設定は、第9実施形態と同様に、ユーザ設定画面、図65より、キー6501、キー6502のいずれが選択されたかにより設定を行う。キー6501が選択された場合は、ACC動作との連動は行わない。
ジョブの実行制御について、図67のフローチャートを用いて説明する。まず、S2601において、コピースタートキーが押下されるまで待ち、スタートキー押下後、S6702において、使用給紙装置を決定する。使用給紙装置決定後、S2603において給紙処理を開始する。給紙動作を行った結果、用紙無しが発生しなければ、第8実施形態の場合と同様の動作を行う。もし給紙源として選択した給紙部において、用紙なしが発生した場合には、S6709において、自動カセット選択処理を行う。
自動カセット選択処理について、図68を用いて詳述する。まず、RAM上から、キー6501及び6502のいずれが選択されているかの情報を取得する。キー6501が選択されていれば、RAM上から給紙装置の情報を取得し、処理中のジョブに対して給紙可能な給紙部が存在するかを調べる(S6807)。もし給紙可能な給紙部が存在すれば、最も搬送経路の短くなる給紙部を給紙源として設定する(S6808)。もしS66807において他に給紙可能な給紙部が存在しない場合、はS6809において用紙なし警告(図69)を表示し、S6810において、一旦ジョブを停止させる。中断されたジョブについては、オペレータによってキー群6902からいずれかのキーを押下することにより、別の給紙部が指定された場合は、指定された給紙部を給紙源として設定する(S6811,S6812)。もしS6811において、印刷要求ジョブに対して給紙部がオペレータによって指定されなかった場合は、S6813においてジョブがキャンセルされたかどうかを判定する。ジョブキャンセルの操作はキー6901によって実行される。ジョブキャンセルが実行されていれば、S6814において、投入されたジョブについてキャンセル処理を行う。
ジョブキャンセルが実行されていなければ、S6811の処理に戻り、オペレータの指示を確認し、給紙部が指定されるかキャンセルされるまで、ジョブの中断状態を保持する。もしS6801において、キー6502が選択されていれば、S6802において、全給紙装置の情報を取得し、実行中のジョブに対してシートを給紙することが可能な給紙部が複数存在するかどうかを調べる。もし複数の給紙部が候補として存在した場合は、複数の給紙部が複数の給紙装置をまたがって存在しているかを調べる(S6803)。給紙源として複数の給紙部が選択可能で無い場合は、S6807の処理を実行する。もし複数の給紙装置に給紙可能な給紙部が存在しているならば(S6803)、S6804において、重送シート排出先の設定がオペレータによって行われているかを判別する。もし重送シート排出先の設定がオペレータによって行われていた場合は、上流側の給紙装置について、複数の排出先に排出可能なように設定されているかを調べる(S6805)。もし標準で選択されるべき給紙部の重送シート排出先候補数に比較して、搬送パスが長くなる、上流の給紙部の重送シート排出先候補数の方が多ければ、上流の給紙装置の給紙部を給紙源として設定する(S6806)。S6803、S6804、S6805において条件が不適格であった場合は、すべて通常のACC処理としてS6808において最も搬送経路の短くなる給紙部を給紙源として選択する。自動カセット選択処理実行後、ジョブ制御手順S6703に戻り、選択された給紙部から給紙を行う。印刷ジョブは継続して実行可能となる。残りのジョブ制御手順については、第9実施形態においてすでに説明済みなので、省略する。
本実施形態によれば、ユーザに設定を意識させることなく、重送シートの排出設定に応じてACC処理において、最適な給紙部を選択することが可能となる。つまり、ユーザの重送シート排出設定に応じてACC動作を最適化することが可能であり、用紙なしエラー発生時にも生産性の低下を防ぐことができる。
(他の実施形態)
以上、第1乃至第10実施形態においては、給紙装置ごとの排紙先設定ジョブ単位での排紙先の切替、用紙サイズごとの排出先設定、用紙タイプごとの排出先設定及び、排出先に応じたAPS処理の最適化、ACC処理の最適化について説明した。上記実施形態はそれぞれ単独で構成することも可能であるが、複数の実施形態を組み合わせて印刷システム1000を構成することも可能であり、各実施形態同士をどのように組み合わせるかについては特に制限しない。
このように、第1〜第10実施形態のそれぞれ及びその組合せに因れば、従来で想定したようなPOD環境で想定されうるユースケースやニーズに対処可能な、便利でかつ柔軟な印刷環境が構築でき、製品実用化に向けての様々な仕組みが提供可能となる。
[その他のしくみ]
本実施形態における図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。なお、この場合に、各操作画面を含む本発明の実施形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させる為のデータを外部からインストールし、ホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインターフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、本実施形態では、図17AのUI画面による構成でもって、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
実施形態を実現するソフトウェアを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
したがって、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
その他、コンピュータのブラウザを用いてインターネットサイトに接続し、サイトからプログラムそのもの、若しくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できる。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体をシステムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、本発明の実施形態では、印刷装置100内部のコントローラ205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
以上、本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。