以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
[本印刷システム1000を含む印刷環境10000全体のシステム構成の説明]
本形態は、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等のオフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。故に、ここでは、本印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1の印刷環境10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本形態の特徴の1つである。
尚、本形態では、この本印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、POD環境にも適しているが故に、PODシステム10000と呼ぶ。
図1のPODシステム10000は、構成要素として、本形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ103、クライアントコンピュータ104(これを、以下PCと呼ぶ)を具備する。又、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPODシステム10000に用意されている。
本印刷システム1000は、構成要素として、印刷装置本体100及びシート処理装置200を具備する。尚、印刷装置100の1例として、本形態では、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を具備する複合機で説明するが、PC機能のみ或いはコピー機能のみの単一機能型の印刷装置であっても、良い。尚、該複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、本印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、本印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なデバイスであるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行可能に構成されている。断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行可能に構成されている。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行可能に構成されている。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。但し、これらのシート処理装置で各種シート処理を実行させるには、印刷装置100で印刷されたジョブの印刷物を該印刷装置100の排紙部からオペレータが取出し、且つ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200以外のシート処理装置を利用する場合には、印刷装置100による印刷処理後にオペレータによる介入作業を要する。
換言すると、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷されたジョブにて要するシート処理を実行させる場合には、該装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100からシート処理装置200に対しては、印刷装置100で印刷されたシートを、直接、供給出来るように構成されているからである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に、連結可能に構成している。このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200と印刷装置100は、互いに、物理的接続関係にあるからである。且つ、本印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、CPUを具備し、データ通信可能に構成されている。このように印刷装置100とシート処理装置200は、互いに、電気的接続関係にあるからである。
尚、本形態では、本印刷システムが具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。この1例として、本例では、図2の印刷装置100内部のコントローラ部205が統括制御を行う。尚、本形態では、これらシート処理装置の事を、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPODシステム10000における、これら複数の装置のうちの、中綴じ製本機110以外の装置は、全て、ネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置からネットワーク101を介して送信された印刷実行要求がなされた処理対象となるジョブの印刷データを、印刷装置100により印刷させる。
又、例えば、ネットワーク通信により他の装置とのデータの送受を実行することで、サーバPC103は、本POD環境10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。該PC103は、オペレータから受付たジョブの指示に基づいて、本環境10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。且つ、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。この際に、サーバ103が、JDFなどの情報交換ツールを用いて、ポストプレス内部でのコマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPOD環境10000における本形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1] 以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容出来るように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置と出来るように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、104等)とデータ通信可能に電気的接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、上記の如く、シート処理装置200は、印刷装置100と物理的接続関係にあり、且つ、印刷装置100と電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義2] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。 尚、この定義に該当する装置を、本形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、これらのシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかし、少なくとも、ネットワーク101を介して、PC103やPC104等の他装置とデータ通信可能な電気的接続関係にあるシート処理装置であるからである。
[定義3] 前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。尚、尚、この定義に該当する装置を、本形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。故に、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。何故なら、このシート処理装置は、印刷装置100と物理的接続関係には無い。しかも、ネットワーク101にも接続不可で、他装置とデータ通信不可な、電気的接続関係ではない、シート処理装置であるからである。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備する本POD環境10000にて、様々なシート処理を実行可能に構成している。
例えば、断裁処理、中綴じ製本処理、くるみ製本処理、シートの折処理、穴あけ処理、封入処理、帳合処理、等の様々なシート加工処理を、印刷装置100により印刷処理されたジョブの印刷媒体に対して実行可能に構成している。このように、エンドユーザ(顧客)が望む所望の製本印刷体裁でもってシート加工を実行可能に構成されている。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。且つ、本環境10000にて処理すべき多数のジョブの各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
尚、本形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
ここで、本形態の更なる着目点について説明しておく。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、該印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。このシート処理装置200は、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシートを、直接的に、シート搬送路を介して、受容可能な装置である。且つ、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたジョブのシートに対して実行するシート処理装置である。この点は、上記インラインタイプのシート処理装置である点からも明白である。
ここで特筆すべきは、本形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として、定義することも可能である点である。というのも、本形態では、シート処理装置200として、互いに独立筐体で且つ独立使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されているからである。この1例として、図1に示す、印刷システム1000は印刷装置100と3台のシート処理装置とを具備している構成である事を意味している。換言すると、図1の印刷システム1000は、3台のシート処理装置が印刷装置100に直列的に接続されている。本例では、このように複数台のシート処理装置を印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される、一連のシート処理装置群200に包含される、複数台のシート処理装置は、全て、インラインフィニッシャとして、本形態で取扱っている。且つ、本システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。このような特徴点も具備している。尚、 この構成については、図3等を用いて後述する。
[本システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、本印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図でもって説明する。尚本例では、本印刷システム1000が具備する図2に示す各ユニットのうちのシート処理装置200(厳密にいえば複数台のインラインタイプのシート処理装置で構成可能な一連のシート処理装置群)以外のユニットは、全て印刷装置100内部に具備している。換言すると、シート処理装置200は、本印刷装置100に対して、着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。これにより、POD環境にて、必要なインラインフィニッシャを、必要な台数分、提供可能にする等の効果を図っている。故に、以下のような構成となっている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスク209(以下、HDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。且つ、印刷装置100自身が具備するスキャナ部201から受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。且つ、PC103、104等の外部装置から通信部の1例に該当する外部I/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を具備する。このような複数の機能を具備したMPFタイプの印刷装置(画像形成装置とも呼ぶ)である。
尚、換言すると、本形態の印刷装置は、カラープリント可能な印刷装置でも、モノクロプリント可能な印刷装置でも、本形態で述べる各種制御を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本形態の印刷装置100は、原稿画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理するスキャナ部201を具備する。又、ファクシミリ、ネットワーク接続機器、外部専用装置と画像データなどを送受する外部I/F部202を具備する。又、スキャナ部201及び外部I/F部202の何れかから受付けた複数の印刷対象となるジョブの画像データを記憶可能なハードディスク209を具備する。又、ハードィスク209に記憶された印刷対象のジョブのデータの印刷処理を印刷媒体に対して実行するプリンタ部203を具備する。又、本印刷装置100は、本印刷システム1000が具備するユーザインタフェース部の一例に該当する、表示部を有する操作部204も、具備する。本印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103や104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、本印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述する図29に示すフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む本形態にて要する各種の制御プログラムが記憶されている。又、ROM207には、図示しているユーザインタフェース画面(以下、UI画面と呼ぶ)を含む、操作部204の表示部に各種のUI画面を表示させる為の表示制御プログラムも記憶されている。制御部205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本形態にて説明する各種の動作を本印刷装置により実行させる。外部I/F202を介して外部装置(103や104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等もROM207に記憶されている。これらは、ソフトウェアによって処理される。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりコントローラ205を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。制御部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、該HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。又、外部I/F202を介して外部装置へ送信できるようにも制御する。このようにHDD209に格納した処理対象のジョブのデータの各種の出力処理を実行可能に制御部205により制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の1例としての制御部205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。この説明も含む、本印刷システム1000のメカ構成について、図3等でもって説明する。
[本システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、本印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図でもって説明する。
尚、上述したように、本印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。又、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限下のもと、本形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
故に、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。且つ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b、、、、、と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。尚、図1〜図3では、説明上、シート処理装置200の形状が、図のような形状となっているが、しかし、本来の概観は、後述するような構成となっている。
まず、これらインラインタイプのシート処理装置200によるシート処理を実行する前の工程に該当する印刷装置100における印刷処理を実行する際の、メカ構成を説明する。主に、図2のコントローラ部(以下制御部又はCPUと呼ぶ)205が印刷装置100に実行させる、プリンタ部203の内部からシート処理装置200の内部へ印刷処理がなされたジョブのシートを供給する時点迄のペーパハンドリング動作等を説明する。
図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。尚、本形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明する。尚、4DタイプのカラーMFP、白黒MFPも、本形態の印刷装置の一例であるが、ここでは説明を割愛する。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ302によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。
4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。
一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を具備する。反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。
そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。且つ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、該シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、該シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。
そして、先述したプロセスと同様にして該シートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へと該シートを排出させる。制御部205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を本印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。又、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズで且つ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。
給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。
送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
制御部205は、以上のような印刷プロセスを経て、印刷対象となるジョブを処理する。
制御部205は、UI部を介してユーザから受付た印刷実行要求に基き、データ発生源からHD209に記憶させた該ジョブの印刷データの印刷処理を、上記方法でもって、プリンタ部203により、実行させる。
尚、例えば、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。又、印刷実行要求をホストコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
又、制御部205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHD209に記憶させ、且つ、先頭ページから順番にHD209から該ジョブの印刷データを読み出して、シート上に該印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。且つ、制御部205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着部308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作をユニット309、312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御も制御部205は実行する。
次に、本印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
本形態のシステム1000は、図3に示すが如く、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのシート処理装置を合計n台としている。この台数は、例えば、可能な限り何台でも設置可能に構成しても良い。しかし、少なくとも、プリンタ部203により印刷がなされたシートをオペレータによる介入作業無しに機内のシート処理部へ供給可能な構成のシート処理装置の利用を要する。換言すると、例えば、印刷装置100が具備する排紙ローラ309を経てプリンタ部203内部から排出される印刷媒体を機内で搬送可能なシート搬送路(紙パス)を具備するシート処理装置の利用を要する。このような制約事項は遵守するように構成されている。
とはいうものの、本形態の効果を向上させる為の1つの仕組みとして、このような制約事項を遵守した範囲内では、柔軟に本印刷システム1000を構築可能に構成している。
例えば、インラインタイプのシート処理装置を3台接続したり、5台接続したり、接続数も任意とする。勿論、オフラインタイプのシート処理装置の利用効率を向上させるが故に、インラインタイプのシート処理装置は不要と管理者が判断するようなPOD環境も想定している。例えば、インラインタイプのシート処理装置を全く利用しない(即ち、0台)場合でも、本形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
又、例えば、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も、管理者等の特定ユーザにより、制約の範囲内で、任意に、変更、決定可能に構成している。
但し、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるが故に、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、例えば、本発明はこのような構成に限定解釈されない。1例として、例えば、本印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、如何なるシステム構成でも装置構成でもあっても、本発明に包含される。
尚、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に、何台、接続できるのか等は、後述する。
[本システム1000のUI部の1例に該当する操作部204の構成]
図4等を用いて、本システム1000の印刷装置100が具備する本システム1000におけるユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を、有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部電源スイッチ501を具備する。該スイッチ501のユーザ操作に応答し、制御部205はスタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(ネットワーク印刷やファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止し、消費電力を抑えている状態)を選択的に切換るよう制御する。制御部205は、該スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、キー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、且つ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付る為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。該タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。当該ユニット401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、制御部205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、該表示部401に該キー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。尚、図6は、本印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)に表示部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示す表示部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するコピー機能の操作画面を表示部401に表示させる。送信タブ602がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面を表示部401に表示させる。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するボックス機能の操作画面を表示部401に表示させる。
尚、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けているユーザ毎に区別して利用可能な複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。当該機能にて、制御部205は、例えば、複数のボックスのうちのユーザが所望のボックスを該ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、制御部205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、該ユーザにより選択されたボックスに対して、本印刷装置のスキャナ201から受付けたジョブの文書データを記憶可能にHDD209を制御する。又、外部I/F部202を介し受付た外部装置(例えばホストコンピュータ103や104等)からのジョブの文章データ等も、該外部装置のユーザインタフェース部を介して指定された該外部装置のユーザ指示に従い、該ユーザが指定したボックスに、記憶可能にする。又、制御部205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い、該ユーザが所望の出力形態で、例えば、プリンタ部203により印刷させたり、該ユーザの所望の外部装置に送信可能に外部I/F部202を制御する。
このよう各種のボックス操作をユーザにより実行可能にすべく、制御部205は、該ボックスタブ603のユーザ押下に応答し、表示部401にボックス機能の操作画面を表示可能に制御する。又、制御部205は、図6の表示部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面を表示部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面を表示部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面を表示部401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、制御部205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかを該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。又、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、制御部205は、印刷対象のジョブの印刷処理に要する給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示させる。キー612のユーザ押下に応答し、制御部205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードを該ユーザにより選択可能にする為の画面を表示部401に表示させる。又、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
又、図6を参照し、制御部205は、表示部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、本印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態をユーザに確認させる為の表示を実行させる。又、制御部205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、表示欄607に、表示させる。又、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードをユーザに確認させる為の情報を、表示欄616に、表示させる。又、処理対象となるジョブの印刷部数をユーザに確認させる為の情報や、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報を、表示欄610に、表示させる。このように、制御部205は、ユーザに通知すべき各種情報を表示部401に表示させる。
更に、制御部205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、本印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、該ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面を表示部401に表示させる。
ここで、本形態の更なる着目点の1例について述べておく。
制御部205は、処理対象となるジョブの為の設定として、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200が具備するシート処理部によるシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示をUI部により実行させる。この表示を該UI部に実行させる為の指示自体をユーザから受付可能にする表示も該UI部により実行させる。
この1例として、例えば、制御部205は、表示部401に図6の表示キー609を表示させる。このシート処理設定キー609がユーザ押下されたとする。この場合、制御部205は、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補の中からユーザが所望のシート処理をユーザ自身により特定可能にする表示を、表示部401に、実行させる。
例えば、本例では、キー609がユーザにより押下された事に応答し、表示部401に図7の表示を実行させる。制御部205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してインラインシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
但し、制御部205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、本システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて、決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、制御部205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。この理由は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を利用することで、これら9種類のシート処理を選択的に実行可能であるからである。
換言すると、本システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、図7の表示にて選択候補の対象外となるよう、UI部を制御する。例えば、くるみ製本処理及び天糊製本処理を選択的に実行可能な1台のシート処理装置を本システム1000が具備していない場合、或いは、故障している場合等は、キー707及びキー708は選択無効状態となるよう制御する。例えば、制御部205は、グレーアウト表示な網掛け表示を実行させる。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付けないように制御する。更に、換言すると、上記9種類の候補以外の異なるシート処理を実行可能なシート処理装置を本システム1000が具備している場合は、そのシート処理の実行要求をユーザから受付可能にする為の表示キーを、図7の表示にて、有効表示状態にするよう制御する。これにより、当該シート処理の実行要求をユーザから受付ける事を許可する。このような表示制御も、本形態にて、後述するジョブ処理制御と共に実行可能に構成することで、ユーザの誤操作を防止可能にしている。
又、このような制御を実行するうえで、制御部205は、如何なるシート処理装置が、シート処理装置200として、本システム1000が具備しているかを特定するシステム構成情報を獲得する。又、該シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も、上記制御の際に利用する。これらの情報を、制御部205は、例えば、UI部を介してユーザがマニュアル入力する事で獲得するか、シート処理装置200が印刷装置100が接続された際に、装置自身が信号線を介して出力する信号に基いて自動獲得する。このような構成を前提とし、制御部205は、当該獲得した情報に基いた表示内容でもって、図7の表示を、表示部401に実行させる。
尚、本システム1000は、PC103、104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、該ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる該外部装置の表示部に図7の表示と同等機能の表示を実行させるよう制御する。この1例として、本例では、後述するような、プリンタドライバの設定画面を、PC103や104のコンピュータの表示部に表示させている。但し、このように外部装置のUIに表示を実行させる場合には、該装置の制御部が上記制御を実行する。例えば、PC103やPC104の表示部に後述するプリンタドライバUI画面を表示させる場合には、制御の主体は、該PCのCPUが実行する。
[本形態にて制御対象となる本印刷システム1000の具体的システム構成例]
本形態の特徴点の1例に関連し、本印刷システム1000が、印刷装置100に対して、如何様なシート処理を実行可能な如何様なインラインタイプのシート処理装置を、如何様に何台接続できるのか等のシステム構成に関し、図8A、8B等を用いて説明する。
本形態は、図1〜図3に示すシステム1000として、例えば、図8A、8Bのようなシステム構成を構築可能に構成している。
図8Aのシステム構成例は、本システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、合計3台のインラインタイプのシート処理装置を、一連のシート処理装置群200として、具備している事を意味する。尚且つ、図8Aの構成例は、本システム1000が具備する印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機という、接続順序で、接続されている事を意味する。本システム1000が具備する制御部の1例に該当する制御部205は、図8A、8Bのようなシステム構成からなる本印刷システム1000を統括的に制御する。
本例にて、大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
又、本例の糊付け製本機は、プリンタ部203で印刷された1束分のシートを表紙をつけて製本するにあたりシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。又、表紙をつけずに糊付け製本するシート処理に該当する天糊製本処理も該糊付け製本機により実行可能である。該糊付け製本機は、少なくとも、くるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるが故に、くるみ製本機とも呼ぶ。
又、中綴じ製本機は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本形態では、制御部205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、制御部205は、本システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 本システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備している事を制御部205により確認可能にする為の装置有無情報。このように、本システム1000がインラインタイプのシート処理装置を具備しているか否かを制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報2) 本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備している事を制御部205により確認可能にする為のインラインシート処理装置の台数情報。このように、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の台数を制御部により特定可能にする情報がこれに該当する。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、本システム1000が具備している事を制御部205により特定可能にするインラインシート処理装置の種類情報。このように、本システム1000にて具備するインラインシート処理装置の種類を制御部により確認可能にする情報がこれに該当する。
(情報4) 上記3台のうち、1台は、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行可能な大容量スタッカである事を制御部205により確認可能にする情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートの糊付け製本処理(くるみ製本処理、及び/又は、天糊製本処理)を実行可能な糊付け製本装置ある事を制御部205により確認可能にする装置能力情報。うち1台は、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、が、選択的に実行可能な中綴じ製本装置である事を制御部205により確認可能にする情報。換言すると、本システムにて実行可能なシート処理は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類である事を制御部205により特定可能にする為の情報。このように、本システム1000のインラインタイプのシート処理装置にて実行可能なシート処理の能力情報を制御部により確認可能にする為の情報が、これに該当する。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されている事を制御部205により確認可能にする為の情報。このように、複数台のインラインフィニッシャが接続されている場合に、これらシート処理装置の本システムにおける接続順序情報が、これに該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)で示すが如くの、各種情報を、制御部205が各種制御にて要するシステム構成情報として、HD209に登録する。且つ、制御部205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として、利用する。
以上の構成を前提とし、例えば、本印刷システム1000のシステム構成状況が、図8Aのようなシステム構成であるとする。このシステム構成にて制御部205が、どのような制御を実行するか、以下に例示する。
例えば、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能である。この事実は、制御部205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基いて、認識する。且つ、当該認識結果に基いて、制御部205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。且つ、該制御部205は以下のようなユーザ操作に応答した制御を実行する。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー701のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にステイプル処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するステイプル処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー702のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にパンチ処理(シートの穴あけ処理)の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対するパンチ処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー703のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー704のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に断裁処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの断裁処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー705のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に中綴じ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの中綴じ製本処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー706のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に折り処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの折り処理(例えば、Z折りと呼ばれるシート処理)を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー707のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為にくるみ製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートのくるみ製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー708のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に天糊製本処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの天糊製本処理を、図8Aのシート処理装置200bに該当する糊付け製本機により実行させる。
一方、例えば、制御部205がUI部に実行させた図7の表示におけるキー709のユーザ押下により、該UI部を介して処理対象ジョブの為に大量積載処理の実行要求をユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、当該要求に応答し、該ジョブにて印刷処理がなされたシートの大量積載処理を、図8Aのシート処理装置200aに該当する大容量スタッカにより実行させる。
以上の如く、制御部205は、本システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能な種類のシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望の種類のシート処理の実行要求を、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に制御する。且つ、本形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付け事に応答し、該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。且つ、そのプリント処理がなされた該ジョブのシートに対して該ジョブにて要するシート処理を本システム1000のシート処理装置により実行させる。
尚且つ、本形態の特徴点の1例として、制御部205は、以下のような制御も本システム1000にて実行する。
例えば、システム1000が図8Aのようなシステム構成であるとする。換言すると、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bでは、システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、図8Bに示すが如く、各シート処理装置は、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、夫々、具備する構成である。
且つ、図8Bのシート処理装置200aや200b等、各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取る機能を具備する。且つ、該前段装置から受取ったシートを、自装置よりも後ろ接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
このように、本形態の印刷システム1000は、処理対象のジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理を実行するシート処理装置が前段の装置から後段の装置へと処理対象となるジョブのシートを搬送する機能を具備する。この構成も、本形態の特徴点の1例である。
以上が如くのシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を当該システム1000の為に実行する。ここでは、システム1000の構成が図8A、8Bに示すシステム構成である事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御例として、図8Bの(ケース1)と称する制御例、及び、図8Bの(ケース2)と称する制御例、及び、図8Bの(ケース3)と称する制御例、を、それぞれ、順番に説明する。
まず、システム1000の構成が図8A、8Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図8Bの(ケース1)の制御例について、説明する。例えば、システム1000の構成が図8A、8Bのシステム構成である場合において、ユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合において当該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、図8Bのシステムにおける、該大容量スタッカの後段に位置する、インラインフィニッシャ)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
次に、システム1000の構成が図8A、8Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図8Bの(ケース2)の制御例について、説明する。例えば、システム1000の構成が図8A、8Bのシステム構成である場合において、ユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合において当該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば、図8Bのシステムにおける、該糊付け製本機の後段に位置する、インラインフィニッシャ)へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図8Bの排紙先Yにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図8Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
次に、システム1000の構成が図8A、8Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図8Bの(ケース3)の制御例について、説明する。例えば、システム1000の構成が図8A、8Bに示すシステム構成である場合においてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理(例えば、中綴じ製本、又はパンチ処理、又は断裁処理、又はシフト排紙処理、又は折り処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合において当該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図8Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図8Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の如く、本形態の制御部の一例に該当する制御部205は、HD209に記憶された本システム1000のシステム構成情報に基いたペーパハンドリング制御も、実行する。
尚、このシステム構成情報に該当する情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。又、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、これに該当する。
図1〜図3、図8A、8B等で説明したように、本形態の印刷システム1000は、印刷装置100に対して、複数台のインラインタイプのシート処理装置を接続可能に構成している。且つ、図8A、8B及び後述する図9A、9Bや図10A、10Bを対比参照しても明白なように、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置は、それぞれ独立に接続したり、外したり、自由な組合せで印刷装置100に対して、取付可能に構成している。また、これら複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序も、物理的に接続できれば、自由に組み合わせることができる。但し、本形態では、これらのシステムに構成に関し、制約事項も設けている。
例えば、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する装置は、以下の構成要件を具備する装置としている。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能であり、且つ、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段装置へ渡すシート搬送機能を具備するシート処理装置。例えば、本例では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示す、大容量スタッカ及び糊付け製本機が、これに該当する。
尚且つ、本形態では、上記構成に該当しないシート処理装置も、インラインタイプのシート処理装置として本システム1000にて利用を許可している。例えば、以下の要件を満たす装置がこれに該当する。
自装置にて実行可能なシート処理を要するジョブのシートに対するシート処理を自装置自身で実行可能である反面、自装置自身によるシート処理を要さないジョブのシートを前段の装置から受け取り後段の装置へ渡すシート搬送機能を具備しないシート処理装置。例えば、本例では、図8A、8Bや後述する図9A、9Bや図10A、10Bのシステム構成で示す、中綴じ製本機が、これに該当する。但し、このような装置に対しては制約事項を設けている。
例えば、上記の如く、後段装置へのシート搬送機能が無い構成のインラインフィニッシャ(例えば図8A、8Bの中綴じ製本機)を本印刷システム1000にて利用する場合には、この装置の利用台数を1台のみとする。但し、これ以外のタイプのインラインフィニッシャを同時に利用することは許可する。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、大容量スタッカや糊付け製本機を、中綴じ製本機と併用して利用することは許可する。但し、このように、複数台のシート処理装置をカスケード接続して利用する場合、上記後段装置へのシート搬送機能を具備しないインラインタイプのシート処理装置は、シート搬送方向最下流に位置するように設置させる。
例えば、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成で示すが如く、中綴じ製本機は、システム1000にて1番最後に接続するように構成する。換言すると、図8A、8Bや後述する図9A、9Bのシステム構成とは異なるシステム構成として、大容量スタッカと糊付け製本機との間に上記中綴じ製本機を接続するように本システムにて構成する事は禁止する。
以上のような制約事項を遵守した範囲内での運用を行うよう本システムが具備する制御部は本システム1000を統括的に制御する。
この1例として、例えば、制御部205は、上記制約に違反するような接続順序でインラインタイプのシート処理装置が接続された場合には、UI部に警告表示を実行させる。又、例えば、上述した構成が如く、複数台のシート処理装置の接続順番をUI部を介してユーザ自身により入力させる構成の場合に、制御部205は、上記制約に違反するようなユーザ設定は無効にするよう制御する。例えば、不適正な接続の設定を阻止するべくグレーアウト表示や網掛け表示を実行させる。
以上のような構成を採用することで、本形態のような構成を採用する場合にて、ユーザ誤操作や装置誤動作等の発生を未然防止できる。即ち、本形態で述べている効果が更に向上する。
このような構成を前提とし、本形態では、上記制約事項を遵守する範囲内において、本システム1000のシステム構成を柔軟に構築可能に構成する。
例えば、インラインタイプのシート処理装置の接続順序や接続台数を、上記制約事項を遵守した範囲内で、PODシステム10000のオペレータにより任意に決定変更可能に構成する。且つ、本システム1000は、当該システム構成状況に応じた制御を実行する。この一例を以下に示す。
例えば、図8Aのシステム構成における複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序を変更したシステム構成の1例として、図9Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図9Aのシステム構成は、図8Aのシステム構成と比較して、本システム1000が具備する複数台のインラインシート処理装置の接続順序が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→糊付け製本機→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順で接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図9Bに示すような構成になる。
図9Bは、印刷システム1000の構成が図9Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示す。且つ、図9Bのシステム構成は、図9Aのシステム構成の内部構成に対応している。
図9Bのシステム内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図9Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、プリンタ部203からのシートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
しかも、図9A、9Bのシステム構成も、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を本印刷装置100にカスケード接続している。
以上の構成を前提とし、例えば印刷システム1000のシステム構成状況が、図9A、9Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は以下に例示する制御を実行する。ここでは、システム1000の構成が図9A、9Bに示すシステム構成である事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御例として、図9Bの(ケース1)と称する制御例、及び、図9Bの(ケース2)と称する制御例、及び、図9Bの(ケース3)と称する制御例、を、それぞれ、順番に説明する。
まず、システム1000の構成が図9A、9Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図9Bの(ケース1)の制御例について、説明する。例えば、システム1000の構成が図9A、9Bに示すシステム構成である場合にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、システム1000が図9A、9Bに示すシステム構成である場合において当該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、図9Bのシステムにおける、該大容量スタッカの後段に位置する、インラインフィニッシャ)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Yにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Yにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Yの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース1)の制御例に該当する。
次に、システム1000の構成が図9A、9Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図9Bの(ケース2)の制御例について、説明する。例えば、システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合においてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は、天糊製本処理)を要するジョブであるとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブを、システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点を通過させて、糊付け製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この糊付け製本機によるシート処理(exくるみ製本処理、又は、天糊製本処理)がなされた糊付け製本ジョブの印刷結果を、他装置(例えば、図9Bのシステムにおける、該糊付け製本機の後段に位置する、インラインフィニッシャ)へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図9Bの排紙先Xにホールドされた糊付け製本ジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図9Bのシート搬送方向最下流の排紙先Zにシートを搬送して、該個所から該糊付け製本ジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
次に、システム1000の構成が図9A、9Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図9Bの(ケース3)の制御例について、説明する。例えば、システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合においてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理(例えば、中綴じ製本、又はパンチ処理、又は断裁処理、又はシフト排紙処理、又は折り処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図9BのA点及びB点及びC点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図9Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Zにて、保持させる。
尚、図9Bの排紙先Zは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース3)の制御例に該当する。
以上の図8A、8B、図9A、9Bに例示した如く、本印刷システム1000は、インラインシート処理装置として利用を許可する複数台のシート処理装置の接続順序を、上記制約事項の範囲内で、柔軟に、組換え変更可能に構成している。このように、本形態で上述する効果を最大限に発揮する為の仕組みを多数盛り込んでいる。
この観点で、本形態では、図8A、8Bや図9A、9Bのようなシステム構成以外の構成も、本システム1000にて、適宜、構築可能に構成している。この一例を以下に説明する。
例えば、図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成では、インラインタイプのシート処理装置を3台具備するシステム構成を説明した。本形態では、インラインタイプのシート処理装置の台数を上記のような制約事項を遵守した範囲内で任意にユーザが決定可能に構成している。
この1例として、図10Aのようなシステム構成も構築可能に本印刷システム1000を構成している。
図10Aのシステム構成は、図8Aや図9Aのシステム構成とはシート処理装置の接続台数が異なる。具体的には、印刷システム1000が、印刷装置100→大容量スタッカ→中綴じ製本機の順序で、2台接続されている。この場合のシステム構成内部の状況は、図10Bに示すような構成になる。
図10Bは、印刷システム1000の構成が図10Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体のシステム構成断面図を示す。且つ、図10Bの装置構成は、図10Aの装置構成に対応している。
図10Bの装置内部構成も、先のシステム構成例と同様に、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートを、各シート処理装置内部へ供給可能に構成されている。具体的には、図10Bに示すが如く、装置内部におけるA点、B点、を介して、シートを搬送可能な、シート搬送路を、具備する。しかも、上記制限事項を遵守したシステム構成となっている。例えば、上述したように、中綴じ製本機は、シート搬送方向最下流になるよう、各シート処理装置を接続している。
このような構成を前提とし、例えば印刷システム1000のシステム構成状況が図10A、10Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して制御部205は以下に例示する制御を実行する。ここでは、システム1000の構成が図10A、10Bに示すシステム構成である事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御例として、図10Bの(ケース1)と称する制御例、及び、図10Bの(ケース2)と称する制御例、及び、図10Bの(禁則制御)と称する制御例、を、それぞれ、順番に説明する。
まず、システム1000の構成が図10A、10Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図10Bの(ケース1)の制御例について、説明する。例えば、システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。且つ、この大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば、図10Bのシステムにおける、該大容量スタッカの後段に位置する、インラインフィニッシャ)へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xにて、保持させる。
この図10Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所から直接、オペレータにより取出可能に構成している。換言すると、わざわざ、図10Bのシート搬送方向最下流の排紙先Yにシートを搬送して、該個所から該スタッカジョブの印刷物を取出すといった、一連の装置動作やオペレータ操作を、不要に構成する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図10Bの(ケース1)の制御例に該当する。
次に、システム1000の構成が図10A、10Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図10Bの(ケース2)の制御例について、説明する。例えば、システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理(例えば、中綴じ製本、又はパンチ処理、又は断裁処理、又はシフト排紙処理、又は折り処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブを、システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて該システム1000にて処理するケースを説明する。このケースの場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図10BのA点及びB点を通過させて、中綴じ製本機によるシート処理を実行させる。且つ、この中綴じ製本機による上記シート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷結果を、他装置へ搬送させずに、そのまま、図10Bに示す中綴じ製本装置の排紙先Yにて、保持させる。
尚、図10Bの排紙先Yは複数の排紙先候補がある。これは、後述の図13の説明のように、本形態の中綴じ製本機は、複数種類のシート処理を実行可能であり、各シート処理毎に排紙先を異ならせる構成である事に起因する。
以上の、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図9Bの(ケース2)の制御例に該当する。
但し、制御部205は、図10A、10Bのシステム構成の場合は、糊付け製本機が実行可能なシート処理(exくるみ製本処理or天糊製本処理)の実行要求をユーザから受付ける事を禁止する。この制御が、システム1000の構成が図10A、10Bに例示するシステム構成に該当する事を条件に制御部205がシステム1000の為に実行する制御に該当する、図10Bの(禁則制御)である。この10Bの(禁則制御)の更なる詳細な具体例を以下に例示する。
例えば、本印刷システムが図10A、10Bのようなシステム構成状況である場合において、図7の表示をUI部に実行させる際には、表示キー707及び表示キー708の網掛け表示やグレーアウト表示になるよう制御部205によりUI部を制御する。換言すると、制御部205は、該キー707、708のユーザ操作を無効状態にする。
以上の如く、本システム1000が図10A、10Bのようなシステム構成である場合には、制御部205は、糊付け製本処理を本システム1000にて実行する事を禁止する。
この、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する制御が、図10Bの(禁則制御)に該当する。
以上の説明の如く、制御部205は、本印刷システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置の接続台数に応じた各種制御を実行する。換言すると、システム1000にて実行可能なシート処理の種類に応じた各種制御を実行する。
以上、図8A〜図10B等の説明からも明らかなように、本印刷システム1000が具備する制御部は、本システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を本システム1000にて実行する。
尚、何故、本形態にて本印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成しているか、この理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
例えば、まず、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置は、各々、独立筐体で且つ印刷装置に対して着脱可能に構成しているかの理由を述べる。
この理由の1例としては、例えば、本システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
換言すると、例えば、本システムの利用環境を想定してみると、上記9種類のシート処理の全てをインラインシート処理装置で実現したい等のニーズが予想される。一方、特定のシート処理のみインラインシート処理装置で実現した等のニーズも可能性としてはある。このように、納品先となる各POD業者毎にニーズも千差万別である事に対処する仕組みを提供する為である。
又、なぜ、本システム1000にて利用を許可するインラインタイプのシート処理装置の接続順序を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを、可能に構成しているかの理由を述べる。この理由は、なぜ、図8A、8Bや図9A、9Bに示すが如く、各インラインシート処理装置毎に印刷物をオペレータにより取出可能な排紙先を設けているのかの理由でもある。
この理由の一例としては、本印刷システム1000にて要求される複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が、本システム1000の利用者の利便性が向上すると考えるからである。
例えば、図1のPODシステム10000を保有するPOD業者では、顧客より依頼される印刷形態のニーズが、ユーザマニュアルやガイドブック等、くるみ製本処理を要する印刷ジョブが比較的多い傾向にあるとする。このような利用環境の場合、図8A、8Bのような接続順序でシステム1000を構築するよりも、図9A、9Bのような接続順序でシステム1000を構築する方が利便性がある。
換言すると、印刷装置100に対して、より近い個所に、糊付け製本機を接続した方が使い勝手が良い。これは、くるみ製本ジョブにて要するくるみ製本処理を実行する為に必要な装置内部におけるシートの搬送距離を短い方が効果的である事に起因する。
例えば、シート搬送距離がながければ長いほど、そのジョブの最終成果物である印刷物の完成に要する時間が長くなる。又、シート搬送距離が長ければ長いほど、シート搬送動作中における装置内部でのジャム発生率が、高くなる可能性が予想される。このような理由によるものである。
即ち、くるみ製本ジョブがユーザニーズとして多いようなPOD業者の場合には、図8A、8Bのシステム構成よりも図9A、9Bのシステム構成を採用する方が、くるみ製本ジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
換言すると、例えば、上記業者とは別のPOD業者では、シートの大量積載を要するジョブの方が多い傾向にあるとする。この場合には、図9A、9Bのシステム構成よりも図8A、8Bのシステム構成の方が、スタッカジョブの印刷物を作成するうえで必要なシート搬送距離が短くなる。且つ、迅速に印刷物を取出すことが出来る。
このように、本形態は、如何に、効率よく、利用環境に適した柔軟なシステム形態で、本印刷システム1000にて複数のジョブの生産性を向上させるかに着目している。その上で、このような本システム1000を利用するユーザからの立場にたった利便性を追求した多数の仕組みを提供可能に構成している。
次に、図8A〜図10Bで例示した本システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、各シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図11は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量スタッカ内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図11に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、エスケープパスである。1つは、スタックパスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
尚、図11の大容量スタッカ及び後述する図12の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、本例ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
又、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、後続のシート処理装置が接続されていない場合に、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、当該エスケープパスに印刷物を搬送して、該トレイから印刷物を取出可能にする。
尚、この大容量スタッカ内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
大容量スタッカの不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、制御部205に通知する。制御部205は、この大容量スタッカからの情報に基き、大容量スタッカ内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成としてこのシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介してこの大容量スタッカのセンサの情報を制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又更に、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、該装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、本システム1000が図8A〜図10Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、制御部205が、例えば図7の表示のキー709のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該スタッカにて実行可能なシートの積載処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙する。
図11のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。制御部205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによる実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。制御部205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図12は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
当該糊付け製本装置内部には、印刷装置100からのシートの搬送経路として、大きく分けて、3つに分かれている。この1例として、図12に示すが如く、1つは、ストレートパスである。1つは、本身パスである。1つは、表紙パスである。このように3つのシート搬送路が内部に設けられている。
図12の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、該装置が具備する糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。換言すると、当該シート処理装置自身によるシート処理が要求されていないジョブのシートを、上流の装置から下流の装置へと搬送する為のユニットである。
尚、この糊付け製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
糊付け製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を介して、制御部205に通知する。制御部205は、この糊付け製本機からの情報に基き、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を、制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又、図12の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、本形態では、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203で実行させる。且つ、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分として利用可能にする。このように、くるみ製本にて本文(中身)部分に該当する印刷データが印刷された本文部分のシート束を、本例では「本身」と呼ぶ。且つ、この本身を表紙用の1枚のシートでくるむ処理を、くるみ製本処理にて実行する。この表紙としてのシートを、表紙パスを介して搬送する。他方、本身となる、プリンタ部203でプリントした印刷用紙は、本身パスへ搬送するよう制御部205が各種シートの搬送制御を実行する。
このような構成のもと、例えば、制御部205が、例えば図7の表示のキー707のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該糊付け製本機にて実行可能なくるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、以下のように当該装置を制御する。
例えば、プリンタ部203で印刷されたシートを、図12の本身パスを介して、順次スタック部に蓄える。且つ、処理対象となるジョブの1冊分のシートにて要する本文データが印刷されたシートを、全ページ、該スタック部に蓄えたうえで、表紙パスを介して、該ジョブにて要する表紙用のシートを、搬送させる。
尚、くるみ製本に関し、本形態の特徴点の1つに関連する事項が存在する。例えば、本例にて糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理では、1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数が、当該糊付け製本処理とは異なる種類のシート処理にて1束分のシート束として処理可能なシート処理枚数よりも、圧倒的に多い。例えば、くるみ製本処理にて1束分の本文用のシート束として最大200枚まで処理を許容する。一方、ステイプル処理等は、最大20枚、中綴じ製本では最大15枚まで、1束分のシート処理として印刷用紙を処理する事を許可する。このように、1束分のシート束としてシート処理を許可する印刷用紙の許容枚数は、糊付け製本処理と、その他のシート処理では、圧倒的に異なる。
このように、本形態では、制御部205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理を実行可能に構成している。且つ、オフィス環境では要求すらされなかったインラインタイプのシート処理装置により実行可能なフィニッシィングとして全く新規のフィニッシィングを提供可能に構成している。換言すると、POD環境を想定した仕組みの1つであり、且、後述する制御に関連する構成である。
尚、くるみ製本にて、表紙用のシートとして、図12に示すが如く、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送対象となる、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートを利用可能に構成している。又、印刷装置100自身により表紙用の画像を印刷させたシートも利用可能に構成している。これら何れかのシートを表紙用のシートとして、表紙パスへ搬送させる。そして、スタック部の下方部分にて、当該表紙用のシートの搬送を一時停止させる。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。例えば、糊付け部は、所定量の糊を本身の下部に塗布して、十分に糊が行き渡ったところで、本身の糊付けされた部分を表紙の中央部にあてがい、包み込むように結合させる。結合に当たっては、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身は、ガイドに添って、回転台の上に滑り落ちる。その後、ガイドは、表紙にくるまれた本身を回転台の上に倒すように移動する。
回転台の上に寝た表紙にくるまれた本身を、幅寄せ部で位置合わせを行って、まず、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れる。
バスケット部で十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
又、上述したように、本形態にて、インラインタイプのシート処理装置により実行可能に構成した糊付け製本処理は、上記構成に示すが如く、他の種類のシート処理と比較して、処理工程が多く準備すべき前構成も多い。換言すると、ステイプルや中綴じ製本のようなオフィス環境にて頻繁に利用されうるシート処理とは全く構成も異なり、要求されたシート処理を完結されるのに要する処理時間も、他のフィニッシィングに比べ、長くなる事が予想される。本形態では、このような点についても、着目している。
このように、糊付け製本機能1つをとっても分るように、本形態では例えば、オフィス環境のみ留まらず、POD環境等の全く新しい印刷環境でも充分に通用する、利便性や生産性を追求した、印刷システム、製品の、実用化を目指す為の仕組みを採用している。換言すると例えば、くるみ製本機能や大量積載機能等、オフィス環境では全く未対処であった新機能をPOD環境でも活用可能に構成要件として具備している。又、図8A〜図10Bに例示するが如く、印刷装置に対して、インラインタイプのシート処理装置を複数台接続可能にしたシステム構成自体についても、上記目的を果たすが為の仕組みである。ここで、特筆すべきは、例えば、本形態は、単に、上記のような新規の機能やシステム構成を具備する事のみに留まらず、当該機能構成を採用する事で想定されうるユースケースやユーザニーズ等、対処すべき課題を事前に発見検討している点である。且つ、その課題に対する解決手法となる構成要件をも具備する点が特徴点の1つに該当する。このように、本形態では、事務機メーカが新規市場の開拓参入するうえで、新規に搭載する機能やシステム構成に対する市場要望等を、課題として、事前に、発見検討し、その課題に対する解決手法をも念頭に入れた仕組みを構成として採用している。このような点も本形態の特徴的要件の1つに該当する。この具体的に構成要件の1例として、制御部205により本形態にて各種制御を実行している。
[中綴じ製本装置の内部構成]
図13は、図8A〜図10Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、中綴じ製本機の内部構成断面図の1例を示す。
当該中綴じ製本装置内部には、印刷装置100からのシートに対してステイプル処理や断裁処理やパンチ処理や折り処理がシフト排紙処理等を選択的に実行可能にするための各種ユニットを具備している。但し、当該中綴じ製本機は、上記制約事項で述べたように、後段装置へのシート搬送機能の役目を果たすスルーパスを具備しない。
尚、この中綴じ製本機内部のシート搬送路にはシートの搬送状況やジャムを検知するのに要する複数のシート検知センサが設けられている。
中綴じ製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この中綴じ製本機からの情報に基き、中綴じ製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムのシステム構成として、このシート処理装置装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この中綴じ製本装置のセンサの情報を、制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又、例えば、図13に示すが如く、サンプルトレイ、スタックトレイ及び、ブックレットトレイが設けられており、制御部205は、ジョブの種類や排出される記録紙の枚数に応じて利用するユニットを切り替えるよう制御する。
例えば、制御部205が、図7の表示のキー701のキー操作により、処理対象のジョブの為に、当該中綴じ製本機にて実行可能なステイプル処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、プリンタ部203からのシートを、スタックトレイ側へ搬送するよう制御する。尚、この際、記録紙がスタックトレイに排出される前に、記録紙をジョブ毎に中綴じ製本部の内部の処理トレイに順次蓄えておき、該処理トレイ上にてステープラにてバインドして、その上で、スタックトレイへ、該記録紙束を束排出する。このような方法でプリンタ部203にて印刷されたシートに対するステイプル処理を当該装置により実行させる。
その他、紙をZ字状に折るためのZ折り機、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャがあり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してZ折り処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してZ折り機により折り処理を実行させる。その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。又、例えば、出力すべきジョブに対する記録紙処理に関する設定としてユーザにより操作部を介してパンチ処理設定がなされた場合には、そのジョブの記録紙に対してパンチャによるパンチ処理を実行させる。その上で、機内を通過させて、スタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイに排紙するよう制御する。
又、サドルステッチャ部は、記録紙の中央部分を2ヶ所バインドした後に、記録紙の中央部分をローラに噛ませることにより記録紙を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する中綴じ製本処理を行う。
サドルステッチャ部で製本された記録紙は、ブックレットトレイに排出される。当該サドルステッチによる製本処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
又、インサータはインサートトレイにセットされた記録紙をプリンタへ通さずにスタックトレイ及びサンプルトレイ等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによって中綴じ製本部に送り込まれる記録紙(プリンタ部で印刷された記録紙)と記録紙の間にインサータにセットされた記録紙をインサート(中差し)することができる。インサータのインサートトレイにはユーザによりフェイスアップの状態でセットされるものとし、ピックアップローラにより最上部の記録紙から順に給送する。故に、インサータからの記録紙はそのままスタックトレイまたはサンプルトレイへ搬送することによりフェイスダウン状態で排出される。サドルステッチャへ送るときには、一度パンチャ側へ送り込んだ後スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
尚、当該インサータによる記録紙挿入処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
又、本形態では、1例として、中綴じ製本装置内部に断裁部(トリマ部)も具備する。この説明を以下の行う。
中綴じ製本部においてブックレット(中綴じの小冊子)となった出力は、このトリマに入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部にて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部に格納される。尚、当該トリマによる断裁処理等の記録紙処理動作の実行可否も、上述の如く、出力すべきジョブに対してユーザにより設定された記録紙処理設定に基づく。
このように、中綴じ製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に中綴じ製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する中綴じ製本処理を実行する中綴じ製本ユニットを具備している。
尚、例えば、図7の表示のキー705によりユーザから中綴じ製本が選択された場合、制御部205は、UI部に図14の表示を実行させる。当該図14の表示を介して、制御部205は、中綴じ製本の詳細設定をユーザから受付可能に制御する。例えば、ステイプル針を用いて実際にシート中央付近に対する中綴じ処理を実行するか否かを決定可能にする。又、分割製本、中綴じ位置の変更、断裁の有無、あるいは、断裁幅の変更などの設定もユーザから受付け可能にする。
例えば、制御部205がUI部に実行させた図14の表示を介してユーザにより「中綴じ製本する」と「断裁する」が設定されたとする。この場合、制御部205は、中綴じ製本印刷結果として処理対象のジョブが図15のような印刷体裁になるよう本システム100の動作制御を行う。図15の中綴じ製本印刷結果に示すが如く、サドルステッチが打たれて、小口側の断裁がなされる。また、サドルステッチの位置や断裁面の位置を予め設定しておけば、所望の位置に変更することができる。
又、例えば、図7の表示のキー707によりユーザからくるみ製本処理の実行要求がなされた場合、制御部205は、くるみ製本印刷結果として、処理対象のジョブが図16のような印刷体裁になるよう本システム1000を制御する。図16の1例に示すが如く、くるみ製本の場合の印刷物は、断裁面A、B及び、Cに関して、それぞれ断裁幅を設定することができる。
又、本印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから本印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、本実施形態の各種の処理や制御を実行する為のプログラムデータをWEB等のデータ供給源あるいは特定の記憶媒体からダウンロードしたホストコンピュータ(図1のPC103や104等)にて操作する場合、以下のように制御する。但し、制御の主体はPCの制御部である。
例えば、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、本システム1000の印刷装置100を操作する為のプリンタドライバの起動指示がなされたとする。これを受け、該ホストコンピュータのCPUは、当該ホストコンピュータの表示部に、図17Aに示す印刷設定画面を表示させる。図17A、17Bは、本実施形態にて制御対象となる、ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、当該図17A、17Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されたとする。すると、該ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図17Bのような印刷設定画面に切り換えるよう表示部を制御する。
そして、該ホストコンピュータのCPUは、図17A、17Bの印刷設定画面上のシート処理設定項目1701を介して、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
尚、ここでは、省略するが、該ホストコンピュータを含む外部装置においては、図17A、17B以外の画面として、本実施形態で詳述した各種の表示画面を介して入力可能な指示と同等の指示を入力可能にするための表示画面を表示させるように構成している。換言すると、本形態で述べる各種の処理や制御と同等の処理や制御を外部装置側にて実行可能に構成されている。
そして、ユーザにより、設定項目1701を介して所望のシート処理が選択され、図17A、17Bの画面に戻って、OKキーが押下されるとする。
これを受け、ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を介してユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリント部203によりプリントさせるべき一連のプリントデータとを、一つのジョブとして関連付けて、本システム1000に対して、ネットワーク101を介して送信する。
そして、該コンピュータからのジョブを、本システム1000の外部I/F部202が受信すると、これを受け、本システムの制御部205は、当該ホストコンピュータからのジョブを、該ホストコンピュータにてユーザにより設定された処理要件に基づいて、処理するよう本システム1000を制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本形態で述べる各種の効果を得ることが出来、本システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
尚、図1〜図17Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
図1〜図17Bを用いた上述の如く、本形態の印刷システム1000は、オフィス環境に留まらず、POD環境にも適した印刷環境を構築可能に構成している。
例えば、その1例として、オフィス環境では全く想定されえないPOD環境にて想定されうるユースケースやユーザニーズに対処可能な仕組みを採用している。
この1例として、例えば、POD環境では顧客から様々な印刷形態をPOD業者が受注可能に構成している。
具体例を挙げるならば、例えば、上記の如く、糊付け製本処理や大量積載処理等、オフィス環境ではユーザニーズとして要求されえないフィニッシィングをインラインシート処理装置により実現可能に構成している。換言すると、本形態は、ステイプル等のオフィス環境にて要求されうるニーズ以外のユーザニーズにもPOD環境を考慮して対処出来るように構成している。又、例えば、本印刷システム1000の納入対象となるPOD環境で商売をなすPOD業者におけるビジネス形態に柔軟に対応可能に構成している。この1例として、例えば、上記の如く、複数台のインラインシート処理装置を印刷装置1000に対して接続可能にし、且つ、各インラインシート処理装置毎に、独立筐体で且つ独立動作が可能に構成している。且つ、接続するシート処理装置も任意台数とし、本印刷システム1000にて柔軟にインラインシート処理装置の増設や変更等を可能にシステムを構成している。
尚、本形態では本印刷システム1000の利用者の操作性にも充分配慮した設計となっている。この1例として、例えば、本形態では、本印刷システム1000のシステム構成を、オペレータ自らが手動でHD209に登録できる構成を説明した。故に、これを用いて例示する。
例えば、本印刷システム1000のシステム構成として、図8A、8Bに示すシステム構成をPOD業者にて構築したいと望んだとする。この場合、まず、該POD業者のオペレータにより、印刷装置100と共に購入した図8A、8Bの3台のシート処理装置を、図8A、8Bに示す接続順序で、印刷装置に接続してもらう。そのうえで、操作部204のユーザモードキー505を押下してもらう。この場合に、制御部205は、当該キー操作に応答し、表示部401に、図18Aの表示を実行させる。
図18Aの表示は、本印刷システム1000のシステム構成情報を、オペレータ自身によりマニュアル入力可能にする為の表示である。制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続すべきインラインタイプのシート処理装置の種類をオペレータにより決定可能にする。且つ、制御部205は、当該図18A〜18Dの表示を介して、印刷装置100に接続する複数台のインラインタイプのシート処理装置の接続順序をオペレータにより決定可能にする。且つ、制御部205は、図18Aの表示の各設定項目毎に設けた「詳細設定」キーがオペレータにより押下されたら、不図示の画面を表示させる。この画面で、1台ずつ、本印刷システムにて利用するシート処理装置を特定可能にする。しかも、本形態は、上述したように制約事項を遵守してもらっている故、この情報もガイダンス情報としてオペレータに通知する。例えば、制御部205は、図18Aに示すが如く、「印刷装置に接続する、シート処理装置の種類と接続順序を登録して下さい。最大5台まで接続できます。但し、中綴じ製本機は接続する装置の1番最後に接続して下さい。」なるガイダンスを通知する。尚、ここでは、インラインシート処理装置の接続台数を最大5台までとしているが、特にこれに限定しなくても良い。
尚、制御部205は、図18Aの設定項目の上から順番に、利用するシート処理装置を1台ずつ決定可能に表示部401を制御するが、この設定項目の上から順番に設定する設定順序自体が、実際の装置の接続順序として判断する。
上記構成のもと、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図8A、8Bに示すシステム構成にする場合、図18Bの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Bの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒糊付け製本機⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図8A、8Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図9A、9Bに示すシステム構成にする場合、図18Cの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Cの表示のように、設定項目の上から順番に「糊付け製本機⇒大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図9A、9Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
更に一方、例えば、本印刷システム1000のシステム構成を図10A、10Bに示すシステム構成にする場合、図18Dの表示のように、各シート処理装置の種類と、接続順番を登録してもらう。具体的には、図18Dの表示のように、設定項目の上から順番に「大容量スタッカ⇒中綴じ製本機」となるよう設定してもらう。この設定順序が、図10A、10Bに示すが如く、実際の接続順序として、制御部205が判断する。
このように、実際の現場のユースケースを想定した利便性を向上させるUI制御自体も本形態の特徴点の1つに該当する。
以上の図1〜図18Dを用いて上述した如く、本システム1000は、オフィス環境とはユースケースやユーザニーズも異なるPOD環境等をも見据えた様々なユースケースやユーザニーズにも柔軟に対処可能な製品の実用化に向けての様々な仕組みを具備する。
しかも、単に、上記のような新規な機能及び新規な構成を具備するに留まらず、本印刷システム1000の効果を最大限に発揮すべく、以下のような各種制御を、本システム1000にて実行可能に構成している。
この1例として、例えば、本印刷システムが具備する制御部は、以下のような制御を本印刷システム1000にて実行するよう制御している。
当該制御は、本システム1000にて受付対象となる複数のジョブを、どのように、高い生産性で処理するのかの、具体的解決手法に該当する構成要件である。
換言すると、POD環境にも効果を発揮すべく、印刷体裁に関る様々なユーザニーズに対処し、多種多様なシート処理の実行要求がなされる複数のジョブを受付可能にした、本システムにて、如何に複数のジョブを効率よく処理するかの、制御例である。以下、順を追って説明する。
例えば、本印刷システム1000の制御部が、複数のジョブの印刷実行要求を、UI部を介して、ユーザから受付けたとする。
この1例として、例えば、UI部の一例に該当する操作部204を介して、印刷開始要求をユーザから受付た場合に、制御部205が、コピーモードのジョブ或いはボックスモードのジョブの印刷データの印刷実行要求がなされたと判断する。
尚、コピーモードのジョブの場合はスタートキー503の押下に伴い、スキャナ部201から処理対象となる複数頁からなる一連の印刷データをHD209に記憶させ、該HD209から該印刷データを頁順に読み出してプリンタ部203により印刷処理を実行させる。
他方、ボックスモードの場合には、予め、スキャナ部201或いは外部I/F部202から処理対象となる複数頁からなる一連の印刷データを入力させておき、且つ、HD209に、予め、当該データを保存させておく。故に、該モードの印刷開始要求が操作部204を介してユーザから受付けた場合、印刷データの入力処理は既に完了済みの為、制御部205は、HD209から印刷データを読み出してプリンタ部203により印刷させる工程から、処理を開始させる。
又、上記方法とは異なる方法でも、印刷実行要求を受付可能に構成している。
例えば、UI部の別例に該当する本印刷装置100のプリンタドライバのデータがインストールされているPC103やPC104に示すが情報処理装置の表示部に表示させた図17A、17Bの表示のOKキーが押下されたとする。この場合、当該装置から印刷対象となるジョブの印刷データを、外部I/F部202を介して受付けたことで、印刷実行要求ありと制御部205が判断する。当該外部装置からのデータもHD209を介してプリンタ部203により印刷させる。
上記構成を前提とし、本形態では、印刷装置100自身が具備するUI部を介してユーザから印刷実行要求がなされたジョブの処理を本システム1000により実行可能に構成する。且つ、図17A、17Bの例示の如く外部装置のUI部を介してユーザから印刷実行要求がなされたジョブの処理も本システム1000により実行可能に構成する。且つ、これら各データ入力経路から入力される複数のジョブの印刷データを、HD209を介して、プリンタ部203により印刷可能にする。このような動作を行うべく制御部205は本システム1000を制御する。
以上の如く、複数のジョブを受付可能に構成した本システム1000では、各ジョブ毎に、プリンタ部203により印刷がなされた該ジョブのシートに対するシート処理の実行要求を、各ジョブ毎に、UI部を介して、印刷実行要求と共に、受付可能に構成する。
この1例として、印刷装置100自身の操作部204を介して印刷実行要求をユーザから受付ける際に、制御部205が、該操作部204に図7の表示を実行させる。且つ、該図7の表示を介して、該ジョブの為の設定として、印刷がなされたシートに対して実行すべきシート処理の種類を選択可能に、制御部205により制御する。且つ、該図7の表示を介して所望の種類のシート処理がユーザにより選択されたうえで印刷開始要求を、該操作部204を介してユーザから受付け可能にする。
又、別例として、図17A、17Bに例示した如く、外部装置のUI部を介して印刷実行要求をユーザから受付ける際に、該外部装置の制御部が、該UI部に図17A、17Bの表示を実行させる。且つ、該図17A、17Bの表示を介して、該ジョブの為の設定として、印刷がなされたシートに対して実行すべきシート処理の種類を選択可能に、該制御部により制御する。且つ、該図17A、17Bの表示を介して所望の種類のシート処理がユーザにより選択されたうえで印刷開始要求を、該UI部を介してユーザから受付可能にする。
尚、上記どちらの操作フローでも、上記シート処理に関する設定以外に、印刷処理にて実行すべき印刷処理の処理条件を特定する為の各種印刷処理条件を受付可能にする。例えば、印刷部数や用紙サイズや印刷レイアウトや倍率等、シート処理を実行する前に要する印刷処理にて必要な印刷条件パラメータの設定を受付可能にする。この条件に従った印刷処理を、処理対象すべき印刷データに対して、実行する。このように、処理対処となるジョブにて要する印刷処理を、制御部205が、その受付けた印刷処理条件に従って、プリンタ部203により実行させる。
以上のような方法で、制御部205は、夫々、印刷実行要求と共にユーザにより選択されたシート処理の実行要求がなされた、複数のジョブを、順次、印刷装置100により受付けるようよう制御する。且つ、それら複数のジョブの各ジョブのデータ(印刷データ自体及び印刷処理に関る印刷処理条件、シート処理に関るフィニッシィングの設定条件等)を、HD209により、保持させる。そして、既に他のジョブをプリンタ部203により印刷実行中の場合には、他のジョブの印刷を待機し、先行のジョブの処理が済んだら、適宜、印刷待ち状態の後続のジョブの印刷データを、HD209から読み出して、プリンタ部203によりプリントさせる。且つ、印刷処理を実行させたうえで、そのジョブにて要するユーザから指定された種類のシート処理をインラインタイプのシート処理装置200により実行させる。このようなジョブ制御を制御部205が実行する。
以上のような方法で、制御部205が、複数のジョブの処理要求を受付けとする。且つ、ここでは、互いに、個別に、シート処理の実行要求がなされた4個のジョブを受付けたとする。
尚、ここで説明する制御例は、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成状況である場合において制御部205が実行する制御例に該当する。
尚且つ、上記4つのジョブのうち、上述の何れかのUI部を介して、最初に印刷実行要求を受付けたジョブを、「ジョブA」とする。且つ、このジョブAにて印刷処理がなされたシートに対してシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類は、「くるみ製本処理」であるとする。ここでは、この、印刷処理がなされたうえでくるみ製本処理を要する当該ジョブAを、「くるみ製本ジョブA」と呼ぶ。
且つ、このジョブAの直後にUI部を介して印刷実行要求を受付けたジョブを、「ジョブB」とする。且つ、このジョブBにて印刷処理がなされたシートに対してシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類は、ジョブAと同様に、「くるみ製本処理」であるとする。ここでは、この、印刷処理がなされたうえでくるみ製本処理を要するジョブBを、「くるみ製本ジョブB」と呼ぶ。
且つ、このジョブBの直後にUI部を介して印刷実行要求を受付けたジョブを、「ジョブC」とする。且つ、このジョブCにて印刷処理がなされたシートに対してシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類は、ジョブAやBとは異なり、「積載処理(スタック)」であるとする。ここでは、この、印刷処理がなされたうえでシートの大量積載処理を要するジョブCを、「スタッカジョブC」と呼ぶ。
且つ、このジョブCの直後にUI部を介して印刷実行要求を受付けたジョブを、「ジョブD」とする。且つ、このジョブDにて印刷処理がなされたシートに対してシート処理装置200により実行させるべきシート処理の種類は、ジョブA〜Cとは異なり、「中綴じ製本処理」であるとする。ここでは、この、印刷処理がなされたうえで中綴じ製本処理を要するジョブDを、「中綴じ製本ジョブD」と呼ぶ。
上記構成のもと、本システム1000のシステム構成が図8A、8Bのシステム構成の場合、制御部205は、上記各ジョブのシート処理として、夫々以下のシート処理装置により実行させるよう制御する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にて「くるみ製本ジョブA」を処理する場合、制御部205は、プリンタ部203により印刷がなされた該ジョブAのシートのくるみ製本処理を、図8A、8Bの2番目のインラインフィニッシャに該当する「くるみ製本機」により実行させる。且つ、このジョブAの印刷物(最終成果物)を、図8Bのシステム構成におけるくるみ製本機の排紙先Yにて、スタックさせる。且つ、この図8Bの排紙先Yから該ジョブAの印刷物をオペレータにより取出可能にする。
又、図8A、8Bのシステム構成にて「くるみ製本ジョブB」を処理する場合も、制御部205は、プリンタ部203により印刷がなされた該ジョブBのシートのくるみ製本処理を、図8A、8Bの2番目のインラインフィニッシャに該当する「くるみ製本機」により実行させる。且つ、このジョブBの印刷物(最終成果物)を、図8Bのシステム構成におけるくるみ製本機の排紙先Yにて、スタックさせる。且つ、この図8Bの排紙先Yから該ジョブBの印刷物をオペレータにより取出可能にする。
一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にて「スタッカジョブC」を処理する場合、制御部205は、プリンタ部203により印刷がなされた該ジョブCのシートの積載処理を、図8A、8Bの1番目のインラインフィニッシャに該当する「大容量スタッカ」により実行させる。且つ、このジョブCの印刷物(最終成果物)を、図8Bのシステム構成における大領容量スタッカの排紙先Xにて、スタックさせる。且つ、この図8Bの排紙先Xから該ジョブCの印刷物をオペレータにより取出可能にする。
更に一方、例えば、図8A、8Bのシステム構成にて「中綴じ製本ジョブD」を処理する場合、制御部205は、プリンタ部203により印刷がなされた該ジョブDのシートの中綴じ製本処理を、図8A、8Bの3番目のインラインフィニッシャに該当する「中綴じ製本機」により実行させる。且つ、このジョブDの印刷物(最終成果物)を、図8Bのシステム構成における中綴じ製本機の排紙先Zにて、スタックさせる。且つ、この図8Bの排紙先Zから該ジョブDの印刷物をオペレータにより取出可能にする。
以上のように、本システムが具備する複数台のシート処理装置にて実行すべきシート処理を、各ジョブ毎に、実行するよう、本システムが具備する制御部が、本システム1000を統括的に制御する。
以上の如くの構成要件を前提とし、例えば、本システム1000が具備する制御部は、本システム1000にて処理対象すべく複数のジョブの各ジョブの処理状況をユーザにより確認可能にする為の表示を、UI部により、実行させる。
例えば、上記4個のジョブを受付けたうえで、制御部205が表示部401に実行させた図6の表示のキー617が押下されたとする。これを受け、制御部205は、上記のような処理条件がなされ且つ上記のような順番で印刷実行要求がなされた上記ジョブA〜ジョブDの各ジョブ毎の進捗状況を示す表示を、UI部に実行させる。この1例として、例えば、制御部205は、図19や図20や図22〜図25及び図28にて例示のジョブ処理状況画面の表示を、表示部401に実行させる。
図19の画面1900や図20の画面2000にて例示のジョブ処理状況画面の表示に例示するが如く、制御部205は、ジョブA〜ジョブDの処理順番を明示し、且つ、各ジョブは如何なる種類のシート処理を実行するかを、該UI部を介してユーザにより通知可能にUI部を制御する。
この、図19や図20や図22〜図25及び図28にて例示のジョブ処理状況画面が具備する表示項目「数字」は、本システム1000にて処理対象となる複数のジョブの処理順序をオペレータに通知する為の表示構成要素である。且つ、この、図19や図20や図22〜図25及び図28にて例示のジョブ処理状況画面が具備する表示項目「種類」は、PDLジョブやコピージョブといったジョブの種類をオペレータに通知する為の表示構成要素である。又、これらの表示項目以外にも、「ジョブの名称」、「印刷に利用する用紙のサイズ」、「印刷対象となるデータのページ数」、「ジョブの状況(ステータス)」等の情報も、この、図19や図20や図22〜図25及び図28にて例示のジョブ処理状況画面が具備する表示構成要素の1つとして、表示させる。図19の画面1900の表示は、制御部205が、「ジョブA⇒ジョブB⇒ジョブC⇒ジョブD」の順序で、各ジョブを本システム1000にて処理することをオペレータに通知するよう表示部401を制御している例に該当する。
より詳細に説明すると、「くるみ製本ジョブA」は、200ページからなる一連の印刷データをA4サイズのシートに印刷処理を実行するジョブである。「くるみ製本ジョブB」も、200ページからなる一連の印刷データをA4サイズのシートに印刷処理を実行するジョブである。「スタッカジョブC」は、800ページからなる一連の印刷データをA3サイズのシートに印刷処理を実行するジョブである。「中綴じ製本ジョブD」は、60ページからなる一連の印刷データをA4サイズのシートに印刷処理を実行するジョブである。
尚、ジョブA、ジョブBは、共に、くるみ製本処理を要するジョブである。このくるみ製本処理を実行する場合に、本身となる印刷データは両面印刷で処理する事が出来る。故に、このジョブAやジョブBにて、1束分の製本処理を実行するうえで必要な本文用の印刷用紙の枚数は、200頁÷2=100枚とする。
一方、ジョブCは、片面印刷設定がなされているものとする。故に、ジョブCにて1束分のシートの処理を実行するうえで必要な印刷用紙の枚数は、800頁÷1=800枚とする。換言すると、このジョブCは800枚という大量のシートを積載する必要があるジョブに該当する。このようなシートの大量積載処理を要するジョブでも本システム1000にて処理可能にすべく、大容量スタッカをインラインフィニッシャとして利用可能にしたシステム構成である点も、本形態の1つの特徴点でもある。
更に、一方、ジョブDは中綴じ製本印刷ジョブなので、1枚のシートの表裏に4ページ分の画像をレイアウトする。故に、ジョブDにて1束分のシートの処理を実行するうえで必要な印刷用紙の枚数は、60頁÷4=15枚とする。
但し、ジョブA、ジョブBは、くるみ製本処理である。故に、1束分のシート処理には1冊分の本文用のシートに表紙用の1枚分のシートの枚数が加算される。換言すると、厳密には、ジョブA、ジョブBは、1冊分のシート束として、本文用の印刷用紙100枚+表紙用の1枚のシート=101枚のシートを要する。
上記のように、制御部205は、ジョブA〜ジョブDを、UI部からのオペレータの印刷開始要求に即したジョブの受付順序どおりに、本システム1000にて処理させる事も許可している。
しかし、本形態では、POD環境等を想定し、本印刷システム1000にて処理すべく複数のジョブの生産性を極力向上させる制御を本システム1000にて実行可能に構成している。ここで、本形態にて特に重要な特徴点の1つについて説明する。
例えば、上記の如く、本システム1000のシステム構成が図8A、8Bに示すが如くのシステム構成である場合において、本システム1000のジョブ処理状況が、図19の表示画面1900に示すが如くの状況下であるとする。
換言すると、例えば、図19の表示例では、ジョブAが、図8A、8Bのシステム構成における2番目のインラインシート処理装置に該当するくるみ製本機によりくるみ製本処理を実行中である状況を意味する。且つ、ジョブB、ジョブC、ジョブDは、ジョブAの処理が本システム1000にて実行中である事に起因して、印刷待ち状態である。本形態では、ここで、1つの特筆すべき点に、着目している。
例示すると、例えば、事務機メーカが市場競争を展開する主たる市場に該当するオフィス環境では、ステイプル処理等、単純なシート処理が実行可能な構成であれば、充分に、その要求に満足出来る製品仕様と考える。
しかし、本形態は、オフィス環境のみならずPOD環境という、今までとはユースケースもユーザニーズも全く異なる新規市場に対しても適用可能な製品実用化を目指すが故の構成を具備している。例えば、上述の、糊付け製本処理に該当するくるみ製本処理も、この1例に該当する。
このくるみ製本処理は、POD環境にて要求されうる様々な印刷形態に対処すべく本システムにて実行可能にした機能に該当する。換言すると、オフィス環境ではサポートする必然性がない機能である。この新規機能をサポートする製品の仕様検討をしてみると、例えば、以下に例示するような検討事項があり、このような点にも着目している。
例えば、ステイプル等のフィニッシィングを要するジョブの処理を完結されるのに必要な処理時間よりも、くるみ製本処理を要するジョブの処理を完結するのに要する処理時間が、非常に長くなる傾向にある点である。この理由は、例えば、以下のような要因が想定される。
例えば、ステイプル処理を要するジョブは、そのジョブの印刷処理がなされたシートに対してステイプル処理を実行する為に必要な作業は、1束分のシートが全て揃うまで待つ作業、及びそれらの1束分のシートを整合してステイプル針でステイプルする作業、程度である。換言すると、例えば、オフィス環境でサポートしているフィニッシィングは、フィニッシィングすること自体、然程、複雑でもなく、処理時間もあまり長くない。しかし、例えば、オフィス環境では全く未対応の新規フィニッシィング機能に該当するくるみ製本処理では、印刷処理自体がプリンタ部203により済んでいても、くるみ製本処理を実行するうえで、処理時間が長くなる可能性が予想される。
この理由は、例えば、前述の通り、くるみ製本処理を行うには、多数の前準備を要する事や、複雑な後処理動作が加わることとがあるからと考える。例えば、プリントされた記録紙をくるみ製本機内部で蓄えてから後処理を施すという動作が必要である点が理由であると考える。又、例えば、製本時に糊付け処理に要する糊を溶かしたり、逆に、乾かしたりするといった、他のフィニッシィングには無い処理工程が、くるみ製本処理にて必要である点等が理由と考える。
又、例えば、上記ジョブAやジョブBと、ジョブDの処理枚数を比較しても分るように、くるみ製本処理では、1束として、処理可能な枚数が、他のフィニッシィングに比べ、圧倒的に多い枚数まで許容している点もこの要因と考える。
例えば、本システム1000では、本形態にて1冊分のシート束としてステイプル処理の実行を許容する印刷枚数を最大20枚としている。又、1冊分のシート束として中綴じ製本処理の実行を許容する印刷枚数は最大15枚としている。これに対して、くるみ製本処理に関しては、1冊分のシート束としてくるみ製本処理の実行を許容する印刷枚数は、最大200枚としている。これは、POD環境で顧客から、くるみ製本処理にて要求される最終成果物が、製本のマニュアルやガイドブック等のニーズが想定される事に着目しているが故の仕様である。換言すると、1冊分のシートとして構成される本文の印刷枚数のボリュームがくるみ製本処理の場合には非常に多くなる傾向にある事を想定している。
故に、以上のようなPOD環境をも想定したくるみ製本処理を本システムにて実行可能に構成した場合に、くるみ製本処理を要するジョブの処理を完結するまで、時間がかかる可能性がある。換言すると、くるみ製本ジョブに後続するジョブ等が印刷を待機する時間が長くなるケースが想定される。更に、換言すると、POD環境にも対処できる製品実用化を図るが為に新規な構成や新規なフィニッシングを単純に採用しただけでは、複数のジョブの生産性に影響がでる事が発生しうる。
そこで、本形態では、このような状況がおこること自体をも未然に防止可能にした構成としている。換言すると、本形態では、このようにPOD環境等の新規市場への製品実用化を目指すうえで、新規機能に該当するフィニッシィングをインラインシート処理装置にて実現可能に構成したが為に、起こりうる新たな課題に着目している。更に換言すると、従前のオフィス環境では発生し得ない課題に対して対処した構成となっている。これを図19等を用いて説明する。
例えば、本印刷システム1000が図8A、8Bに示すが如くのシステム構成にて、図19の表示に示すが如くの順番どおりにジョブA〜ジョブDを処理するとする。この場合、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理が図8A、8Bの糊付け製本機により完結したうえで、ジョブBの印刷処理をプリンタ部203により印刷させることになる。且つ、このジョブBの印刷処理並びにくるみ製本処理が完了した後に、ジョブCの印刷処理をプリンタ部203により開始させることになる。且つ、ジョブCの印刷処理並びに大量積載処理を完了した後に、ジョブDの印刷処理を開始させることになる。
本形態では、このようにジョブの受付け順序どおりに複数のジョブを処理可能にする事も可能に構成しているが、当該制御以外の制御を実行可能に構成している。
この1例として、本形態では、本システム1000のシステム構成情報や受付けた複数のジョブの各ジョブにて要求されるシート処理の種類に関する情報等の判断情報に基いた制御を実行可能に構成している。
具体例を挙げると、複数のジョブのうちの特定のジョブにて要するシート処理動作をシート処理装置200により実行させている最中に当該動作に並行し、そのジョブに後続するジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行可能に制御している。
例えば、図8A、8Bに示す印刷システム1000のシステム構成は、くるみ製本機よりも手前に(シート搬送方向上流側に)大容量スタッカが接続されたシステム構成である。このシステム構成に着目すると、ジョブAやジョブBにて要するくるみ製本処理のために、印刷装置100が受付けた全てのジョブを待たせる必要は無い。
換言すると、本形態のシステム構成は、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、「くるみ製本ジョブA」のくるみ製本処理が実行中であっても、「スタッカジョブC」にて要するシート処理を並行動作可能に構成している。更に換言すると、ジョブAのくるみ製本処理をくるみ製本機により実行させている最中に、大容量スタッカによるジョブCの印刷データが印刷されたシートの積載処理を大容量スタッカにより実行させても、お互い干渉せずにペーパハンドリング動作が実行可能に構成している。
そこで本形態では、上記の如くのシステム構成を前提とし、以下に例示するが如くシステム構成情報や各ジョブにて要するシート処理の種類に応じて、複数のジョブを受付順序どおりに処理せずに、処理順番を変更して処理できるよう、システムを制御している。
例えば、制御部205は、図19の表示画面1900に示すが如くの順序でジョブA〜ジョブDを処理させずに、図20の表示画面2000に示すが如くの順序で、ジョブA〜ジョブDを処理するように制御する。具体的には、図20の表示画面2000に示すが如く、制御部205は、4つのジョブの中で3番目に印刷実行要求を受付けた「スタッカジョブC」の印刷順序を、2番目に印刷実行要求を受付けた「くるみ製本ジョブB」よりも印刷順序を繰り上げる。
上記の如く、本形態では、複数のジョブの印刷順序を本システム1000の制御部により変更可能に構成する。
ここで、特筆すべきは、本形態の構成は、単に、印刷システム1000が受付けた複数のジョブの印刷順序を変更する構成ではない点にある。具体的には、あるジョブにて印刷処理がなされたうえで要するシート処理動作と、別のジョブにて要するプリント処理動作とを、同時並行動作させる点にある。且つ、当該並行動作の実行可否を、本システムのシステム構成及び各ジョブにて要するシート処理の種類によって、制御部が、決定する点にある。
上記制御例で例示するならば、上記図20の表示画面2000に示すが如く順番でジョブA〜ジョブDを処理するのみならず、次のように制御している。
例えば制御部205は、ジョブAにて印刷処理がなされた後に該ジョブAにて要する「くるみ製本機によるくるみ製本処理」をシステム1000にて実行させている最中に、「大容量スタッカによる積載処理」を要するジョブCの印刷処理をプリンタ部203により開始させる。
換言すると、制御部205は、図8A、8Bのシステム構成の2番目のシート処理装置によるジョブAにて要するシート処理動作に並行し、図8A、8Bのシステム構成の1番目のシート処理装置によるシート処理を要するジョブCの印刷動作を、プリンタ部203により実行させる。
当然上記制御の如く、ジョブAのシート処理の実行中にジョブCの印刷処理を開始させる方が、図19の表示に示すが如くの処理順番及び処理手順どおりに処理するよりも、ジョブA〜Dの最終成果物をシステム1000にて得るためのトータルの時間を短縮できる。
換言すると、あるジョブのシート処理の完了をまってから後続ジョブの印刷を開始させるといったシステム構成よりも、本形態のシステム構成の方が、各ジョブにて発生しうる印刷待機時間を全体的に短縮可能となる。即ち、システム全体からみた、複数のジョブの生産性の向上が図れる。
以上が如く、本システム1000が具備する制御部は、処理すべきジョブを本印刷システムが受付けた場合に、このジョブ(先行ジョブと呼ぶ)にて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。且つ、この先行ジョブにて要する印刷処理がプリンタ部203によりなされうえで、この先行ジョブにて要するシート処理を、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200により実行させる。且つ、該先行ジョブのシステム1000による処理中に、別のジョブ(以下、後続ジョブと呼ぶ)の印刷実行要求を、本システム1000にて受付可能にする。
上記構成を前提とし、本形態の制御部は、本システム1000のシステム構成情報、及び、上記先行ジョブにて要するシート処理の種類、及び、上記後続ジョブにて要するシート処理の種類に基いて、これらの複数のジョブを次のように、制御する。
例えば、制御部205は、先行ジョブにて要するシート処理をシステム1000のインラインタイプのシート処理装置により実行中であっても、後続ジョブにて要する印刷処理をシステム1000のプリンタ部203により開始実行させる事を許可する。このような構成を採用することで、本形態で述べる効果を奏する。
しかも、本形態は、このような制御を実行する上で、制御部は、本システム1000が如何なるシステム構成であるのかを規定したシステム構成情報をメモリから読出し、これを確認する。且つ、その構成に対応する複数のルールを規定したルール管理データも、当該メモリから読出する。且つ、このルール管理データで規定されるルールに従って、上記の如く、先行ジョブのシート処理動作と後続ジョブのプリント動作を同時並行することを許可したり、禁止したり、するよう本システム1000を制御する。
この1例として、例えば、本システム1000では、図21に例示するような管理データをHD209に予め登録している。
図21は、本印刷システム1000が図8A、8Bに示すが如くのシステム構成である場合にて本印刷システム1000により処理対象となる複数のジョブの処理方法を制御部が決定するうえで、当該制御部が利用する管理テーブルデータ群2100である。
この管理データ群2100は、1例として、予めHD209に登録させる情報群である。且つ、当該管理データ群2100に包含されるデータ群2101は、本システム1000がどのようなシステム構成であるかを制御部が特定可能にするシステム構成情報群である。
この情報2101の情報は、以下の2つの何れか方法により、制御部205が生成する。
例えば、図18A〜18Dの表示で例示したが如く、本システム1000にインラインシート処理装置の設置や増設をオペレータが行う際に、UI部を介して、オペレータによりシステム構成情報を入力させる。この情報を、操作部204から制御部205にデータ通信を行う図2に示す信号線を介して、制御部205が獲得する。且つ、このオペレータによりマニュアル入力されたシステム構成情報に基いたデータを、システム構成情報2101として、制御部205が、HD209に生成格納させる。
上記以外の方法としては、例えば、オペレータがマニュアル入力することなく、接続されるインラインシート処理装置の制御部から自動的に制御部がシート処理装置の情報を獲得する。この場合に、インラインフィニッシャ特有の構成を活用する。
例えば、本印刷装置100にインラインタイプのシート処理装置が物理的に接続されたとする。この際、当該シート処理装置と印刷装置は電気的にも接続されることになる。具体的には、図2に示す、シート処理装置と制御部205とでデータ通信を行う信号線が接続される事で、情報交換が電気的に可能になる。この構成を利用する。1例として、例えば、インラインタイプのシート処理装置が印刷装置100に接続されたとする。当該接続に応じて、制御部205が、オペレータのマニュアル入力無しに、上記システム構成情報を生成するうえで必要な情報を、シート処理装置200から、該信号線を介して、自動的に獲得する。且つ、この自動取得した情報に基いて、システム構成情報2101を制御部205が生成する。
以上の構成を前提とし、管理データ群2100には、本印刷システム1000のシステム構成情報2101以外に、複数のジョブを処理するにあたり本システム1000にて複数のルールを規定するジョブ処理ルール規定情報2102も、該情報2101と関連づけて、HD209に登録させている。
この図21のジョブ処理ルール規定情報2102は、以下の何れかの方法で生成する。
例えば、制御部205が、図21のシステム構成情報2101を参照する。且つ、複数のジョブを処理するうえでのルールを該制御部205自身が決定する。且つ、この決定内容を反映した情報群として、制御部205は、当該ルール規定情報2102を、上記システム構成情報2101と関連付けて、HD209に記憶させる。
或いは、上記システム構成情報2101毎に予め決定されているルール規定情報として、予め作成しているプログラムデータとして、上記情報2101と対になり、当該ルール規定情報2102を、HDD209に、登録させる。
以上のような構成を採用する。但し、後者の方法では、本システム1000にて想定されうるすべてのシステム構成分、予め、ルールを規定しておき、それに対応したルールを複数予めメモリに用意しておく必要がある。故に、システム1000の運用状況等を加味して、何れかの方法を柔軟に選択可能に構成しても良い。換言すると、本形態の制御部が以下に例示する制御を実行可能な構成であれば、如何なるデータ生成方法、管理方法であっても良い。
以上構成のもと、図21に示す管理テーブル群2100は、以下に示す情報が、制御部205による制御を行ううで利用する管理情報として、制御部205により読出参照可能にプログラムコード化されている。この情報は、上記の如く、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合の管理情報群である。
管理テーブル2100のシステム情報2101には、本システム1000のシステム構成情報に該当する複数の情報が記述されている。この1例として本例では、(情報1)〜(情報5)を具備する。これらの情報が、図8A、8Bの説明で既に上述済みの(情報1)〜(情報5)に該当する情報である。そして、図8A、8Bのシステム構成の場合、以下のような情報が当該情報として管理される。
まず、1番目の情報として、「本印刷システム1000は、印刷装置100に対して、インラインシート装置200が接続されている事を示す情報」である。この情報が、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合である場合に、制御部が、複数のジョブを処理するうえで利用対象となる、図21のシステム構成情報2101の(情報1)に該当する。
次に、2番目の情報として、「本システム1000におけるインラインシート処理装置の台数は3台である事を示す情報」である。この情報が、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合である場合に、制御部が、複数のジョブを処理するうえで利用対象となる、図21のシステム構成情報2101の(情報2)に該当する。
次に、3番目の情報として、「本システム1000にて接続対象のインラインシート処理装置の種類は、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機である事を示す情報」である。この情報が、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合である場合に、制御部が、複数のジョブを処理するうえで利用対象となる、図21のシステム構成情報2101の(情報3)に該当する。
次に、4番目の情報として、「本システム1000にて実行可能なシート処理の種類は、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り、くるみ製本、天糊製本、大量積載の、合計9種類である事を示す情報」である。この情報が、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合である場合に、制御部が、複数のジョブを処理するうえで利用対象となる、図21のシステム構成情報2101の(情報4)に該当する。
次に、5番目の情報として、「本システム1000における3台のインラインシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機の順番で、接続されている事を示す情報」である。この情報が、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合である場合に、制御部が、複数のジョブを処理するうえで利用対象となる、図21のシステム構成情報2101の(情報5)に該当する。
以上の(情報1)〜(情報5)を含んだ図21のシステム構成情報2101に基いて定義されているジョブルール規定データ2102に応じて、本システム1000の制御部が、以下に例示する制御を実行する。換言すると、以下の制御は、本印刷システム1000のシステム構成が図8A、8Bに示すシステム構成である場合に、実行する制御例に該当する。
本印刷システム1000は、印刷装置100の操作部204及びPC103や104等の外部装置の操作部を介してユーザからシート処理の実行要求と共に印刷実行要求がなされた複数のジョブを受付可能に構成している。
換言すると、本システムの制御部は、あるジョブの処理要求を受付けた後にこれとは別のジョブの処理要求を、随時、受付可能に本印刷システム1000を制御する。
これにより、例えば、処理対象となるジョブの印刷実行要求を本システム1000が受付けた際に、その時点よりも前のタイミングにおいて既に印刷実行要求がなされたジョブを該システム1000が受付済である状況が発生する。そこで、このような状況を想定し、以下に例示の制御では、既に印刷実行要求が受付け済みのジョブを「先行ジョブ」と呼ぶ。一方、この先行ジョブの後に印刷実行要求がなされたジョブを「後続ジョブ」と呼ぶ。図21のジョブルール規定データ2101には、少なくとも以下の9つのルールが規定されている。
本システム1000の制御部は、印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、以下に例示が如くの、9つのルールに順じた制御を実行する。以下順番に説明する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール1]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を中綴じ製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール1のデータを参照し、このルール1で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事は禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、先行ジョブの中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に該中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール1で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール2]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが、「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を中綴じ製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール2のデータを参照し、このルール2で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を許可する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、先行ジョブの中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、許可する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール2で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール3]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが、「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を中綴じ製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール3のデータを参照し、このルール3で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を許可する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合にて、先行ジョブの中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、許可する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール3で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール4]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を糊付け製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール4のデータを参照し、このルール4で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bに示すシステムである場合、先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール4で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール5]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を糊付け製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール5のデータを参照し、このルール5で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に該糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール5で規定された制御例に該当する。
尚、制御部205は、図18A〜18D、図19の説明にて例示した「くるみ製本ジョブA」と「くるみ製本ジョブB」を、この図21のルール5に従って、処理している。
具体的には、先行ジョブに該当する「くるみ製本ジョブA」の糊付け製本機によるくるみ製本処理中に後続ジョブに該当する「くるみ製本ジョブB」の印刷実行要求を図8A、8Bのシステム構成である印刷システム1000にて受付けた場合がこれに該当する。
上記ケースの場合、制御部205は、当該図21のルール5に従い、「くるみ製本ジョブA」の糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理中に「くるみ製本ジョブB」の印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を、禁止する。且つ、制御部205は、当該ジョブBの印刷データをHD209に全頁保存させておき、このジョブBの印刷開始を待機させる。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール6]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付け済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を糊付け製本機により実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール6のデータを参照し、このルール6で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を許可する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて、先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、許可する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール6で規定された制御例に該当する。
尚、制御部205は、図18A〜18D、図19の説明で例示した「くるみ製本ジョブA」と「スタッカジョブC」を、この図21のルール6に従って、処理している。
具体的には、先行ジョブに該当する「くるみ製本ジョブA」の糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理中に、後続ジョブに該当する「スタッカジョブC」の印刷実行要求を図8A、8Bのシステム構成である印刷システム1000にて受付けた場合がこれに該当する。
上記ケースの場合、制御部205は、当該図21のルール6に従い、「くるみ製本ジョブA」の糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理中に「スタッカジョブC」の印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を、許可する。即ち、制御部205は、当該ジョブBの印刷処理は待機状態のまま、このジョブCの印刷データをHD209から読み出して、このジョブCの印刷をプリンタ部203による開始実行させる。且つ、該制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理をくるみ製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)で完結させる動作に並行して以下に例示する動作を実行させる。
例えば、図8Bを参照し、制御部205は、印刷システム1000にてジョブAのシートのくるみ製本処理をくるみ製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)で実行させている最中に、プリンタ部203で印刷させたジョブCの印刷済シートを、図8BのA点を介し、随時、大容量スタッカ内部に搬送させる。且つ、制御部205は、上記ジョブAのくるみ製本機(図8A、8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理中に、大容量スタッカ(図8A、8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるジョブCのシートの積載処理も実行させる。
このように、本システム1000の制御部は、先行ジョブのシート処理動作に並行して後続ジョブの印刷動作を実行可能にするのみならず、後続ジョブのシート処理動作をも、先行ジョブのシート処理動作に並行して、実行可能に本システム1000を制御する。
上記例示が如くの制御を採用することで、複数ジョブの生産性を更に一層向上可能にする。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール7]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を大容量スタッカにより実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール7のデータを参照し、このルール7で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203によりにより開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール7で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール8]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を大容量スタッカにより実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を、図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール8のデータを参照し、このルール8で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203によりにより開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール8で規定された制御例に該当する。
[本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合におけるルール9]
図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000にて受付済みの先行ジョブが「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」であるとする。制御部205が、この先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、この先行ジョブに要するシート処理を大容量スタッカにより実行中であるとする。
この状況の際に、後続ジョブとして「プリンタ部203による印刷がなされたシートに対する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」の印刷実行要求を図8A、8Bのシステム構成からなる本印刷システム1000の印刷装置100が受付けたとする。
この場合、制御部205は、図21のジョブルール規定データ2101のルール9のデータを参照し、この図21のルール9で規定している決定事項に従った制御を実行する。
具体的には、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に該大量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、禁止する。
この制御部205が実行する制御が、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合において実行される制御であり、且つ、図21のルール9で規定された制御例に該当する。
以上の9つの例示が如くの、複数のジョブの処理動作を、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成状況である場合において、本システム1000の制御部が、図21の管理データ群2100をHD209から読み出し参照して、実行する。
尚、本形態では、極力生産性を向上させる為の仕組みとして、図21の9つのルールにおいて、特定のルールに関しては、特別ルールを設けている。この一例として、図21にて例示したルール4である。
図21のルール4は、上述したが如く、先行ジョブのシート処理動作に並行して上記後続ジョブの印刷動作をプリンタ部203により実行する事を禁止するルールである。具体例を挙げると、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合に、先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理の実行中に、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203によりにより開始させる事を、禁止する。
しかし、この図21のルール4は以下の条件を満足する場合において特別ルールを規定している。ここでは、図18A〜18Dや図19の説明で例示した「くるみ製本ジョブA」と「中綴じ製本ジョブD」を用いて説明する。
例えばシステム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて、先行ジョブに該当する「くるみ製本ジョブA」のくるみ製本処理に必要なシート(上記例では、本文100枚+表紙1枚=合計101枚)の全てが、図8Bの糊付け製本機内部の糊付け部に全て揃ったとする(この糊付け部等の、当該糊付け製本機の内部構造は、図12及びその説明参照)。換言すると、この状況は、ジョブAのくるみ製本処理にて必要な最後のシートに該当する表紙用のシートを、図8Bの糊付け製本機内部のストレートパス(スルーパスとも呼ぶ)を通過させた後の状況に該当する(このストレートパス等、当該糊付け製本機の内部構造は、図12及びその説明参照)。この場合、図8Bの糊付け製本機内部のストレートパスは先行ジョブAから開放される。故に、本形態では、システム1000の制御部205により、以下に例示する制御も実行可能にする。
例えばシステム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて、くるみ製本処理を行うが為にくるみ製本ジョブAのシートに占有されていた図8Bの糊付け製本機内部のストレートパス(このストレートパス等、当該糊付け製本機の内部構造は、図12及びその説明参照)が、該ジョブAのシートのストレートパスでの搬送工程が終了した事に応じて、利用可能になったとする。
この、くるみ製本ジョブAの糊付け製本機内部におけるシートの処理状況に基いて、制御部205は、当該くるみ製本ジョブAのくるみ製本処理を糊付け製本機(図8A、8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)により実行中であっても、該ジョブAの後続ジョブに該当する中綴じ製本ジョブDの印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。
且つ、その後、制御部205は、上記図8Bの糊付け製本機内部のストレートパスがジョブAのシートから開放された後で且つジョブAのくるみ製本処理を糊付け製本機で実行させている最中に、プリンタ部203で印刷させたジョブDの印刷済シートを、図8BのA点、B点、C点を介し、随時、中綴じ製本機内部へ搬送させる。且つ、その後、制御部205は、該ジョブAの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理の実行中に、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)内部にてジョブDのシートの中綴じ製本処理も実行させる。
このように、制御部205は、この、システム1000が図8Bのシステム構成である事を条件に実行する上記図21のルール4の特別ルールの制御により、ジョブAの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本処理と、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)による中綴じ製本処理を要するジョブDのプリンタ部203による印刷処理とを、同時並行動作させる。この場合、制御部205は、このジョブAとジョブDのシステム1000における実際のジョブ処理状況を反映した表示内容となるように、ジョブ処理状況画面の表示内容も制御する。。この1例として、制御部205は、該図21のルール4の特別ルールに基づいたジョブAとジョブDの当該並行動作を反映した表示内容のジョブ処理状況画面として、図22に示す表示を、表示部401により実行させる。このように各処理状況を詳細且つ正確にオペレータに把握させることで、上記本形態の効果を更に向上可能にする。
尚、本形態では、上記図21のルール4における特別ルールと同等の特別ルールを、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合において、図21のルール7とルール8に対しても規定可能に構成している。以下に例示する。
例えば、図21のルール7の特別ルールから説明する。先行ジョブの大容量スタッカによる積載処理にて要するシートの全てを、図8Bの大容量スタッカ内部のストレートパス(スルーパス)からスタックパスへ搬送させたとする(このストレートパスやスタックパス等、当該大容量スタッカの内部構造は、図11及びその説明参照)。且つ、現在、この図8Bの大容量スタッカ内部のスタックトレイにて先行ジョブのシートの処理中であるとする(このスタックトレイ等、当該大容量スタッカの内部構造は、図11及びその説明参照)。この場合、以下のように制御する。
例えば、この図21のルール7の特別ルールに基づき、制御部205は、該大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)内部のストレートパスが先行ジョブのシートから開放された後で且つ該先行ジョブのシート処理を大容量スタッカで実行させている最中に、以下に例示する2つの動作を許可する。これら2つの動作は、1つの後続ジョブにて実行を許可する動作である。まず1つは、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事である。もう1つは、プリンタ部203で印刷させた該後続ジョブの印刷済シートを、図8BのA点、B点、C点を介し、随時、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)内部へ搬送させる事である。且つ、制御部205は、該先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理中に、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)内部にて後続ジョブのシートの処理を実行可能にする。
これを図19で例示したジョブCとジョブDで説明すれば、以下のように制御する。
例えば、制御部205は、上記図21のルール7の特別ルールに従い、上記大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)のストレートパスがジョブCのシートから開放された後で且つジョブCのシート積載処理を該スタッカで実行させている最中に、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)による中綴じ製本処理を要する「中綴じ製本ジョブD」の印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。
且つ、この図21のルール7の特別ルールに従い、制御部は、上記大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)のストレートパスがジョブCのシートから開放された後で且つジョブCのシート積載処理を該スタッカで実行させている最中に、プリンタ部203で印刷させたジョブDの印刷済シートを、図8BのA点、B点、C点を介し、随時、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)内部へ搬送させる。且つ、上記ジョブCの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)による積載処理中に、中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)内部にてジョブDのシートの中綴じ製本処理も実行させる。
且つ制御部205は、上記図21のルール7の特別ルールの制御により、ジョブCの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシートの積載処理と、中綴じ製本処理を要するジョブDのプリンタ部203による印刷処理を同時並行動作させる場合は、この状況に対応するジョブ状況の表示も実行させる。この1例として、図23に示す表示を、表示部401により実行させる。このように各処理状況を詳細に把握させることで上記効果を更に向上可能にする。
上記の如く、本形態では、上記例示の特別ルールを、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合において、図21のルール7の為に設ける構成にも、対応可能に構成している。
次に、図21のルール8の特別ルールを以下に例示する。
例えば、先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)による積載処理にて要するシートの全てを、図8Bの大容量スタッカ内部のストレートパス(スルーパス)からスタックパスへ搬送させたとする(このストレートパスやスタックパス等、当該大容量スタッカの内部構造は、図11及びその説明参照)。且つ、現在、この図8Bの大容量スタッカのスタックトレイにて先行ジョブのシートの処理中であるとする(このスタックトレイ等、当該大容量スタッカの内部構造は、図11及びその説明参照)。この場合、以下のように制御する。
例えば、この図21のルール8の特別ルールに基づき、制御部205は、該大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)内部のストレートパスが先行ジョブのシートから開放された後で且つ該先行ジョブのシート処理を大容量スタッカで実行させている最中に、以下に例示する2つの動作を許可する。これら2つの動作は、1つの後続ジョブにて実行を許可する動作である。まず、1つは、糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事である。もう1つは、プリンタ部203で印刷させた該後続ジョブの印刷済シートを、図8BのA点、B点を介し、随時、糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)内部へ搬送させる事である。且つ、制御部205は、該先行ジョブの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理中に、糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)内部にて後続ジョブのシートの処理を実行可能にする。
これを図19で例示したジョブCとジョブBで説明すれば、以下のように制御する。
例えば、制御部205は、上記図21のルール8の特別ルールに従い、上記大容量スタッカのストレートパスがジョブCのシートから開放された後で且つジョブCのシート積載処理を該スタッカで実行させている最中に、糊付け製本機によるくるみ製本処理を要する「くるみ製本ジョブB」の印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。
且つ、この図21のルール8の特別ルールに従い、制御部は、上記大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)のストレートパスがジョブCのシートから開放された後で且つジョブCのシート積載処理を該スタッカで実行させている最中に、プリンタ部203で印刷させたジョブBの印刷済シートを、図8BのA点、B点を介し、随時、糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)内部へ搬送させる。且つ、上記ジョブCの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)による積載処理中に、糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)内部にてジョブBのシートのくるみ製本処理も実行させる。
且つ制御部205は、上記図21のルール8の特別ルールの制御により、ジョブCの大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシートの積載処理と、くるみ製本処理を要するジョブDのプリンタ部203による印刷処理を同時並行動作させる場合は、この状況に対応するジョブ状況の表示も実行させる。この1例として、図24に示す表示を、表示部401により実行させる。このように各処理状況を詳細に把握させることで上記効果を更に向上可能にする。
本形態は、上記例示の特別ルールを、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合において、図21のルール8の為に設ける構成にも、対応可能に構成している。
以上の図21のルール4、7、8の夫々の為の3種類の特別ルールで例示したが如く、よりきめ細やかな詳細ルールに即した制御運用を実行可能にすることで、本形態の効果を最大限に発揮することも可能に構成している。特に図21のルール4、7、8で例示のケースは、プリンタ部203内部から印刷物の排紙先へと印刷物を搬送する為のシステム1000内部のシート搬送路に係る制御として、制御部205は、先行ジョブと後続ジョブともに途中まで同じ共通の搬送路上を介して印刷物の搬送動作を実行させる。且つ、制御部205は、途中から先行ジョブの印刷物の搬送先と後続ジョブの印刷物の搬送先を異ならせるようにシステム1000内部のシート搬送動作を制御する。これを前提とし、この共通の搬送路上から先行ジョブだけが利用する搬送路側へ先行ジョブの印刷物を導入させた直後に、制御部205は、後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる。これにより、制御部205は、先に説明した図21のルール4、7、8の夫々の特別ルールに従った上述の各制御を実行している。
尚、本形態のシステム1000は、図21のルール2とルール6の2つのルールを応用して、上記図19で例示したジョブAの印刷開始前に、ジョブA〜Dの処理順序を変更するよう本形態にて制御する。これにより、図19のジョブA〜ジョブDを、図25の表示どおりの処理順序且つ処理タイミングで、処理可能に構成している。
換言すると、例えば、制御部205は、システム1000が図8A、8Bのシステム構成である事を条件に、図19で例示した上記ジョブA〜ジョブDを以下のように制御する。
例えば、制御部205は、上記4つのジョブのうちの、4番目に印刷実行要求を受付けた「中綴じ製本ジョブD」を1番最初にプリンタ部203により印刷させる。且つ、制御部205は、このジョブDのシートに対する中綴じ製本機(図8Bの3番目のインラインフィニッシャに相当)による中綴じ製本動作中に、1番目に印刷実行要求を受付けたジョブに該当する「くるみ製本ジョブA」の印刷処理を、プリンタ部203により、開始させる。且つ、制御部205は、このジョブAのシートに対する糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)によるくるみ製本動作中に、3番目に印刷実行要求を受付けたジョブに該当する「スタッカジョブC」の印刷処理を、プリンタ部203により、開始させる。そして、制御部205は、2番目に印刷実行要求を受付けた「くるみ製本ジョブB」を1番最後にプリンタ部203により印刷させる。尚、最大限に生産性を向上させるには、この最後のジョブBの処理に際し、上記図21のルール8の特別ルールを適用すればよい。例えば、このジョブBの印刷処理は、上記図21のルール8の特別ルールに従い、ジョブCのシートによる大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)内部のストレートパスが占有が解除され次第、プリンタ部203により開始させるように、制御部205はシステム1000を制御する。又、この例では、ジョブA、ジョブB、ジョブC、ジョブDという受付順序で印刷装置100が印刷実行要求を受付けたこれら4つのジョブの処理順序を、制御部205は、図21の管理データ群2100の情報を利用することで、ジョブD、ジョブA、ジョブC、ジョブBという処理順序に変更した。且つ、この図21の管理データ群2100の情報を利用することで、制御部205は、当該処理順序が変更対象の4つのジョブの各ジョブにて要する複数種類の動作を、上記のように、システム1000にて並行動作させた。このように、HD209内の図21の管理データ群2100の情報を利用することで、制御部205は、複数のジョブの処理順序の変更と各ジョブにて要する複数種類の動作の並行動作とを制御する。この場合でも、制御部205は、これら複数のジョブの変更後の処理順序が如何なる順序であり、且つ、これらのジョブに関して如何なる並行動作が実行されているのかをオペレータにより識別可能に構成したジョブ処理状況画面の表示を、表示部401により、実行可能にする。この1例が、図25に示すジョブ処理状況画面の表示である。図25の表示に示すが如く、制御部205は、ジョブA〜ジョブDの変更後の処理順序を反映した表示内容であり、且つ、如何なる並行動作が各ジョブの為に実行されているのかを明示的に表現した、ジョブ処理状況画面を、表示部401により表示させる。この制御は換言すると、制御部205は、ジョブA〜Dの状況を示すジョブ処理状況画面の表示内容を、図19の表示内容から図25の表示内容に切換る(更新する)ように表示部401を制御することを意味する。
上記例示の制御の如く、3台のインラインフィニッシャが接続されている場合で且つ、互いに夫々、別々のインラインフィニッシャによるシート処理を要する3個のジョブを受付け場合、制御部205は、図21の管理テーブルのルールを駆使してこれらのジョブを処理するよう制御する。これにより、制御部205は、上記の各種並行動作もシステム1000により実行可能にする。
即ち、制御部205は、以下に例示する3つの動作を、各ジョブの為に、同時に(並行して)実行可能にシステム1000を制御する。
(動作1) 印刷装置100に対する接続順序が3番目のインラインシート処理装置によるシート処理動作。この動作は、このシート処理を要するジョブのシートに対して実行する動作である。
(動作2) 印刷装置100に対する接続順序が2番目のインラインシート処理装置によるシート処理動作。この動作は、このシート処理を要するジョブのシートに対して実行する動作である。
(動作3) 印刷装置100に対する接続順序が1番目のインラインシート処理装置によるシート処理動作を要するジョブの為のプリンタ部203によるプリント動作。
以上のように複数のシート処理動作と1つのプリント動作を含む少なくとも3つの独立した動作を本システム1000にて同時に実行可能に構成することで、本形態の効果を更に向上させる事も可能である。
尚、本形態では、上記制御が如く、印刷開始が禁止対象の印刷待ち状態の後続ジョブの印刷処理を、先行ジョブのシート処理が完了した後に、随時、プリンタ部203により開始実行可能に、制御部205により、本システム1000を制御する。
又、本例にて、中綴じ製本機によるシート処理は以下に例示する処理がこれに該当する。(1)ステイプル処理、(2)パンチ処理、(3)断裁処理、(4)シフト排紙、(5)中綴じ製本処理、(6)折り処理。この(1)〜(6)の何れかに該当する種類のシート処理が、中綴じ製本機によるシート処理に該当する。
又、本例にて、糊付け製本機によるシート処理は以下に例示する処理がこれに該当する。(1)くるみ製本処理、(2)天糊製本処理。この(1)又は(2)の何れかに該当する種類のシート処理が、糊付け製本機によるシート処理に該当する。
又、本例にて、大容量スタッカによるシート処理は以下に例示する処理がこれに該当する。(1)シートの積載処理(大量積載処理を含む)この(1)に該当する種類のシート処理が、大容量スタッカによるシート処理に該当する。
上記の理由は、図1〜図17Bにて例示した如く、各シート処理装置にて実行可能なシート処理に対応させているからである。換言すると、図1〜図17Bで説明した各シート処理装置とは異なるシート処理が実行可能なシート処理装置を、インラインタイプのシート処理装置で利用する場合でも、上記ルールは適用可能である。
又、本形態で、先行ジョブや後続ジョブの各ジョブのステータスの確認を制御部205が行うにあたり、以下に例示する各ユニットから取得する情報を制御部205が利用する。
例えば、本印刷システム1000内部(図8A〜図10B参照)の印刷媒体の搬送経路に該当する複数のシート搬送路上の各シート搬送路上に設置している複数のセンサからの情報を利用する。且つ、プリンタ部203により現在何枚印刷を行ったかを特定する為のソフトカウンタからの情報も利用する。これらに加え、入力されたジョブのページ情報及び印刷設定情報も利用する。これらの情報により、制御部205は、先行ジョブがシート処理中であるか否か等の確認を行う。この具体例を図19で例示した「くるみ製本ジョブA」を用いて説明する。
まず、制御部205は、くるみ製本ジョブAのページ数を以下のような方法で獲得する。例えば、当該ジョブがリーダ部201からのジョブであるならば、スキャナ部201のADFの原稿検知センサの情報を用いる。例えば、ジョブAの原稿として読取るべき原稿が全てADFから読取部へと搬送された時点で、このジョブAの原稿枚数が確定する。換言すると、ジョブAの最終原稿を読取った時点で、ジョブAのページ数が確定する。
又、一方、ジョブAが、外部装置からのデータであるならば、当該外部装置からのジョブAの印刷データのHD209への記憶処理により獲得する情報を利用する。例えば、PC103や104からのデータはPDL形式の印刷データとして外部I/F202により受信する。且つ、当該PLDデータを、1ページずつ、ビットマップ画像データに展開処理したうえで随時HD209に記憶させる。この一連の記憶処理を、外部装置から受信すべき印刷データがなくなるまで継続して実行する。そして、受信すべき印刷データがなくなった時点で、該ジョブAのページ数が確定する。換言すると、HD209に何ページ分のビットマップ画像データを格納したかを特定することでページ数を確定する。
図19の例では、上記のような方法で、ジョブAが200ページである事を制御部205が確認した例である。且つ、制御部205は、ジョブAの処理状況を確認するにあたり、ジョブAに対してユーザにより設定された印刷条件の情報も利用する。
例えば、ジョブAは、本文部分(本身)は両面印刷させる設定がなされているくるみ製本ジョブである。故に、本文1束分のシートとして利用すべき印刷用紙の枚数は、200頁÷2面=100枚である。且つ、これに表紙を加えて、トータル101枚である。このような方法で、制御部205は、ジョブA自体の情報を獲得する。
尚且つ、制御部205は、このジョブAのシートの搬送状況も確認する。ここでは、図8Bのシステム構成で例示する。例えば、制御部205は、プリンタ部203でHD209からジョブAの1頁目を読み出した時点で、印刷枚数のカウントを上記カウンタにより開始させる。且つ、制御部205は、図8BのA点、B点、C点等の前段装置と後段装置とのシート搬送路を接続する連結部分近傍に各装置毎に個別に具備するセンサからの情報により、シートの搬送状況を特定する。例えば、上記印刷枚数のカウントを開始してから、100枚のシートが、印刷装置100の排出ローラ310(図3参照)、図8BのA点、B点を、通過したとする。この100枚目のシートが糊付け製本機内部からB点に抜けた時点で、B点付近に設置されている糊付け製本機のセンサからこの情報を確認する。且つ、ジョブAの最後のシート、即ち、101枚目に該当する1枚の表紙用のシートの搬送状況も、図12のインサータパスに設けたセンサから獲得する。このような方法で、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理にて要するシートの全てがくるみ製本機内部に導入されたと判断する。換言すると、ジョブAの印刷処理にて要する印刷用紙の全てが、印刷装置100内部からシート処理装置へ搬送されたと判断する。このような判断を下した場合に、制御部205は、くるみ製本ジョブAは、プリンタ部203による印刷は済んで現在シート処理装置でシート処理中である等の確認を行う。
以上のような方法で、制御部205は、印刷装置100により処理対象となる複数のジョブの、各ジョブ毎に、印刷装置100による印刷処理の実行中であるかの確認や、シート処理装置によるシート処理動作中であるかの確認等、ジョブの進捗状況を確認する。
尚、上記方法を以外の方法を採用しても勿論本形態の適用可能である。換言すると、例えば、図21や後述の図26や図27の情報や後述のフローチャートの処理に従った制御を印刷システム1000の構成に応じて実行可能な構成ならば、如何なる方法で、ジョブの処理状況を確認する構成であっても、本発明に全て包含される。
又、本システム1000が具備する制御部が実行する後述のフローチャートでは、上記図21で例示した管理テーブル群2100の情報を利用している。
但し、当然、図8A、8Bのシステム構成とは異なるシステム構成では、上記図21の管理テーブル群2100に記述されたプログラムどおりの制御は、実行しない。そのシステム構成に対応した、システム構成情報及びジョブルール規定データをHD209から読み出して、その情報に基いた処理を、後述するフローチャートに適用するよう、構成している。
例えば、もし仮に、本印刷システム1000の構成が、図8A、8Bのシステム構成ではなく、図9A、9Bのシステム構成である場合、制御部205は、図26に例示するが如くの管理テーブル群2600のデータを、予め、HD209に事前登録させておく。且つ、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置による処理対象となるジョブの受付けに応じて、該制御部205は、この図26の情報に基いた制御を実行する。
この図9A、9Bのシステム構成に対応した図26の管理テーブル2600にて規定したルールと該ルールに従った制御は、上記図8A、8Bや図21での説明を参照すれば明白なので、この詳細の説明は割愛する。少なくとも以下に例示の制御を、本システム1000が図9A、9Bのシステム構成の場合にて、制御部が、図26の管理データ2600の情報に基いて、実行できれば良い。
例えば、システム1000が図9A、9Bに示すシステム構成である場合に該印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール1に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール4に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール5に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール6に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」あり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする(図26のルール7に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」あり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」であるとする(図26のルール9に該当)。
上記図26のルール1、4、5、6、7、9の何れかのケースに該当する場合には、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作に並行して後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷動作を実行する事を禁止する。換言すると、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作の実行中に後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷処理を開始する事を、禁ずる。
一方、システム1000が図9Bのシステム構成である場合において上記図26のルール1、4、5、6、7、9の何れにも該当しないケースとして、例えば、以下の状況であるとする。
例えば、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール2に該当)。
或いは図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」とする(図26のルール3に該当)。
或いは、図9A、9Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」あり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「糊付け製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする(図26のルール8に該当)。
上記図26のルール2、3、8の何れかのケースに該当する場合には、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作に並行して後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷動作を実行する事を許可する。換言すると、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作の実行中に後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷処理を開始する事を、許可する。
以上のような制御を、本システム1000が図9A、9Bのシステム構成である場合に実行可能に構成している。
次に、もし仮に本印刷システム1000の構成が、図8A、8Bや図9A、9Bのシステム構成ではなく、図10A、10Bのシステム構成である場合には、図27に例示するが如くの管理テーブル群2700のデータを、予め、HD209に登録させておく。且つ、この情報を、図10A、10Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置が処理対象となるジョブを受付けた場合に、制御部205により利用可能に構成する。
この図10A、10Bのシステム構成に対応した図27の管理テーブル2700にて規定したルールと該ルールに従った制御は、上記図8A、9Bや図21での説明を参照すれば明白なので、この詳細の説明は割愛する。少なくとも以下に例示の制御を、本システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合に、図27の管理データ2700の情報に基いて実行可能に制御部205によりシステム1000を制御する。
例えば図10A、10Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置1000により受付けた先行ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」とする(図27のルール1に該当)。
或いは、図10A、10Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」あり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であるとする(図27のルール3に該当)。
或いは、図10A、10Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」あり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」であるとする(図27のルール4に該当)。
上記図27のルール1、3、4の何れかのケースに該当する場合には、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作に並行して後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷動作を実行する事を、禁止する。換言すると、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作の実行中に後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷処理を開始する事を、禁ずる。
一方、システム1000が図10Bのシステム構成である場合にて、上記図27のルール1、3、4の何れにも該当しないケースとして、例えば、以下の状況であるとする。
例えば、図10A、10Bのシステム構成からなる印刷システム1000の印刷装置100により受付けた先行ジョブが「中綴じ製本機によるシート処理を要するジョブ」であり、且つ、この先行ジョブの後に印刷装置100により受付けた後続ジョブが「大容量スタッカによるシート処理を要するジョブ」とする(図27のルール2に該当)。
上記図27のルール2のケースに該当する場合には、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作に並行して後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷動作を実行する事を、許可する。換言すると、制御部205は、先行ジョブのシステム1000のインラインフィニッシャによるシート処理動作の実行中に後続ジョブのシステム1000の印刷装置100による印刷処理を開始する事を、許可する。
以上のような制御を、本システム1000が図10A、10Bのシステム構成である場合に実行可能に構成している。
以上のように、本印刷システム1000のシステム構成状況が変化する毎に、本形態にて例示の複数のジョブの生産性を向上させる為の各制御を切り換え可能に構成する。これにより、更に本形態の効果が向上可能となる。
以上の説明が如く、本形態では、ジョブの順序を切り換えたり、ジョブプロモート(ジョブの順位を上げる)を実行可能にするのみならず、複数のジョブの上記複数種類の動作を同時並行可能にシステム1000を動作させるように、制御部205はシステム1000を制御する。
本形態のシステム1000は、以下のような更に特別な制御も実行可能に構成している。
例えば、先行ジョブのシート処理をシステム1000のインラインフィニッシャにより実行中に、該ジョブのシートのジャムが当該インラインフィニッシャにより発生したとする。このように、先行ジョブにて要するシート処理を実行するシステム1000のインラインフィニッシャにて該先行ジョブのシート処理の中断要因が発生したとする。このような状況の場合でも、当該先行ジョブのシート処理の中断要因発生対象のインラインフィニッシャよりもシート搬送方向上流側に存在する他のインラインフィニッシャによるシート処理を要するジョブが、後続ジョブとして存在する場合には、上記先行ジョブのシート処理の中断要因が未解除の状態のままでも、当該後続ジョブにて要する印刷処理及びシート処理(フィニッシング)をシステム1000にて実行可能に制御する。
この1例として、本システム1000のシステム構成が図8A、8Bのシステム構成の場合で例示する。
例えば、先行ジョブの印刷装置100によるプリント処理は終了したうえで糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)内部にて該ジョブのシートのジャムやエラーが発生したとする。このエラーの具体例としては、糊付け製本装置内部の排紙先(図8Bの排紙先Yに相当)における印刷物の積載オーバが包含される。又、糊付け製本装置の糊付け処理に必要な糊部材が無くなった場合(糊無しエラー)がこれに包含される。又、断裁ユニットによる断裁処理により発生した断裁屑が満杯になった場合(断裁屑エラー)がこれに包含される。そして、システム1000の現在の状態が、この先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)におけるエラー発生中であるとする。換言すると、システム1000の状況が、この先行ジョブの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)におけるエラーが未解除状態期間中であるとする。この状況下においても、制御部205は、該エラー発生中の糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)よりも上流側に位置する大容量スタッカ(図8Bの1番目のインラインフィニッシャに相当)によるシート処理を要する後続ジョブが、印刷装置100のHD209に存在するか否かを確認する。この確認をした結果、先行ジョブに係るエラーが発生状態下にある図8Bの糊付け製本機よりも上流側に位置する図8Bの大容量スタッカによる積載処理を要する後続ジョブが、HD209に存在すると、制御部205が判断したとする。この判断を下した場合、現在先行ジョブに係るエラーが図8Bの糊付け製本機にて発生中であっても(即ち、先行ジョブに係わるインラインフィニッシャにおけるエラーがオペレータにより未解除状態であっても)、制御部205は、この後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事を、許可する。尚且つ、上記先行ジョブの糊付け製本機におけるエラー発生中であっても(即ち、先行ジョブに係わるインラインフィニッシャにおけるエラーがオペレータにより未解除状態であっても)、制御部205は、この後続ジョブにて要する印刷処理がなされたうえで当該後続ジョブにて要するシート処理(この例では、積載処理)を図8Bの大容量スタッカにより実行させる事も、許可する。
この制御に関して、より具体的を挙げて説明する。ここでは、図19にて例示の「くるみ製本ジョブA」、該ジョブAの後に印刷装置100が印刷実行要求を受付けた「くるみ製本ジョブB」、該ジョブBの後に印刷装置100が印刷実行要求を受付けた「スタッカジョブC」、該ジョブCの後に印刷装置100が印刷実行要求を受付けた「中綴じ製本ジョブD」を、用いて説明する。
まず、制御部205は、1番目に印刷実行要求を受付けたジョブAにて要する印刷処理を印刷装置100により実行させる。このジョブAにて要する印刷処理がなされた事を受けて制御部205は、当該印刷処理がなされたジョブAの印刷媒体に対するくるみ製本処理を図8Bの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)により開始させる。すると、その後、該ジョブAにて要するくるみ製本処理を図8Bの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)により実行中に当該ジョブAのくるみ製本処理の中断要因が図8Bの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)にて発生した事を、制御部205が、該図8Bの糊付け製本機(図8Bの2番目のインラインフィニッシャに相当)のCPUからのステータス情報を基に、確認したとする。このジョブAのくるみ製本処理の中断要因は、例えば、図8Bの糊付け製本機内部のインサータパス(図12参照)における「ジョブAの本文用のシート束をくるむ為のカバーシートのジャム」が、これに該当する。又、例えば、図8Bの糊付け製本機内部のストレートパス及び本身パス及びスタック部の何れかの箇所(図12参照)における「ジョブAの本文用のシートのジャム」が、これに該当する。又、例えば、図8Bの糊付け製本機にて「糊無しエラー」や「断裁屑満載エラー」や「トレイフルエラー」等、ジョブAのくるみ製本処理を完了させる為に必要な処理が実行不可能な要因が、これに該当する。この例では、図8Bの糊付け製本機内部のインサータパスにおける「ジョブAの本文用のシート束をくるむ為のカバーシートのジャム」が発生した旨を示す通知を図8Bの糊付け製本機から内部の信号線を介して受信した事を条件に制御部205が、当該ジョブAのくるみ製本処理の中断要因の発生を確認したとする。するとこれを受け、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理を直ちに一時停止させる(中断状態にする)ように図8Bの糊付け製本機を制御する。と同時に、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理の中断要因の解除がオペレータによりなされたか否かの監視を開始する。且つ、このジョブAのくるみ製本処理の中断要因の解除がオペレータによりなされる迄の期間中は少なくとも該ジョブAのくるみ製本処理の中断状態は維持するように制御部205はシステム1000を制御する。この例では、「図8Bの糊付け製本機内部のインサータパス(図12参照)におけるジョブAのくるみ製本用のカバーシートのジャムの除去」が、このジョブAのくるみ製本処理の中断要因の解除に該当する。ここで、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理の中断状態を維持したままで、このジョブAの後に印刷実行要求を受付けたジョブB、C、Dの各ジョブにて要するフィニッシングの種類を夫々確認し、且つ、図21の管理データ群2100の情報の確認を行う。これらの情報に基づいて制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理の中断状態を維持したままでシステム1000にて印刷開始許可対象のジョブをHD209から検索する。この例では、ジョブAのくるみ製本処理を実行対象の図8Bの糊付け製本機よりも上流側のインラインフィニッシャによるシート処理を要する後続ジョブが存在するか、印刷待ち状態のジョブの1番最初のジョブから順番に制御部205は検索する。たとえば、まず、ジョブBは、「ジョブAのくるみ製本処理を実行対象の図8Bの糊付け製本機よりも上流側のインラインフィニッシャによるシート処理を要する後続ジョブ」に該当しない。故に、制御部205は、このジョブBを「ジョブAのくるみ製本処理の中断状態を維持したままで印刷処理を開始することは禁止すべきジョブ」であると判断する。この判断結果に基づき、制御部205は、このジョブBの印刷開始は禁止し、現状どおり、印刷待機状態を維持するように制御する。次いで、制御部205は、ジョブCのチェックを行う。この例では、ジョブCは、「ジョブAのくるみ製本処理を実行対象の図8Bの糊付け製本機よりも上流側のインラインフィニッシャによるシート処理を要する後続ジョブ」に該当する。故に、制御部205は、このジョブCを「ジョブAのくるみ製本処理の中断状態を維持したままで印刷処理を開始許可対象のジョブ」であると判断する。この判断結果に基づき、制御部205は、ジョブAのくるみ製本処理の中断状態を維持したままで該ジョブCの印刷処理を開始することを、許可する。この例では、ジョブAのくるみ製本処理の中断要因がオペレータにより未解除の状況下のまま、制御部205は、該ジョブCの印刷処理を印刷装置100により開始させる。且つ、制御部205は、該ジョブCの印刷処理が済み次第、引き続き、このジョブCの印刷物の大量積載処理を、ジョブAのくるみ製本処理の中断要因がオペレータにより未解除の状態期間中に、図8Bの大容量スタッカにより実行させる。このように、制御部205は、先行ジョブのインラインフィニッシャにおけるフィニッシングの中断要因に影響を受けない後続ジョブの印刷処理とフィニシングを、たとえ先行ジョブのフィニッシングの中断要因がシステム1000にてオペレータにより未解除の状況のままでも、実行可能に制御する。
以上のような制御を、図21の管理データ2100やシステムにおける各装置からのステータス情報に基いて、制御部205により実行可能にする。当然、制御部205は、上記制御に対応するジョブ状況をUI部に表示可能にする。この1例として、制御部205は、上記制御を実行した場合は、表示部401に、図28に示す表示を実行可能にする。即ち、上記例にて、ジョブAのカバーシートのジャムが図8Bの糊付け製本機にて発生期間中に、ジョブBとジョブDは印刷待機状態を維持させたままで、制御部205は、ジョブCの印刷処理を開始させた。故に、制御部205は、このジョブAのエラー情報を含むジョブA〜ジョブDの各ジョブの現在状況とこれら4つのジョブの処理順序を忠実に反映するよう表示部401を制御する。この制御は換言すると、制御部205は、ジョブA〜Dの状況を示すジョブ処理状況画面の表示内容を、図19の表示内容から図28の表示内容に切換る(更新する)ように表示部401を制御することを意味する。尚、ジョブCの処理を開始してから完了する迄の期間中に、ジョブAのくるみ製本処理の中断要因に相当する「ジョブAのカバーシートのジャム」がオペレータにより除去された旨を示す情報を、図8Bの糊付け製本機から制御部205が受信したとする。するとこれを受け、ジョブCの処理完了直後にジョブAのくるみ製本処理を再開させるように制御部205はシステム1000を制御する。且つ、ジョブAの為に再開されたジョブAのくるみ製本処理が完了し次第、ジョブB、ジョブDの処理を、順次、実行するように制御部205はシステム1000を制御する。また、このジョブBとジョブDの処理を実行する際にも、図21のルール4の特別ルールを適用して、ジョブBとジョブDの並行動作を既述の制御例の如く実行可能に制御部205はシステム1000を制御する。これにより可能な限り生産性を更に向上可能にする。
このような制御も採用することで、本形態の効果が更に向上可能となる。
尚、図8A〜図10B及び図21及び図26並びに図27を用いて例示した制御例の如く、本印刷システム1000の制御部が実行する上記制御は、換言すると、以下に例示が如くの制御を実行する事を意味する。
例えば、制御部205は、印刷システム1000のシステム構成が図8A、8Bに示すシステム構成である事に応じて、図21の管理データ2100を、HD209により作成保持させ、且つ、該データ2100を上記制御に利用する。又例えば、制御部205は、印刷システム1000のシステム構成が図9A、9Bに示すシステム構成である事に応じて、図26の管理データ2600を、HD209により作成保持させ、且つ、該データ2600を上記制御に利用する。又例えば、制御部205は、印刷システム1000のシステム構成が図10A、10Bに示すシステム構成である事に応じて、図27の管理データ2700を、HD209により作成保持させ、且つ、該データ2700を上記制御に利用する。
このように、印刷システム1000のシステム構成として構築可能なシステム構成毎に上記制御に利用する管理データを区別している。
この点を具体例で換言すると、例えば、制御部205により上記制御の利用候補となる、図21のシステム構成情報2101と、図26のシステム構成情報2601と、図27のシステム構成情報2701とは、互いに内容が異なる。且つ、制御部205により該制御の利用候補となる、図21のジョブルール規定データ2102と、図26のジョブルール規定データ2602と、図27のジョブルール規定データ2702とは、互いに規定するルールの内容も異なる。これらは、印刷システム1000のシステム構成に基いた内容を記述したプログラムデータである。
上記のような構成を前提とし、印刷システム1000の制御部は、印刷システム1000のシステム構成と印刷システム1000が受付けた処理対象の複数のジョブの情報に基いて、該複数のジョブの各種動作を制御する。この1例として、本形態では、例えば、制御部205が、以下に例示が如くの制御を実行する。
尚、先の制御例では、先行ジョブと後続ジョブを定義した。故に、以下に例示の制御例でも、これを用いて、例示する。又、以下の制御例は、先行ジョブ自身の情報及び後続ジョブ自身の情報及び上記システム構成情報及びジョブルール規定データの少なくとも何れかを含むジョブ制御に要する判断材料情報に基いて制御部205が実行する制御である。
上述の各構成要件を前提とし、例えば、先行ジョブと後続ジョブが、上述で例示した本形態のメモリで管理しているジョブルール規定データで規定する特定の条件を満たしているとする。この場合、制御部205は、先行ジョブにて要する先行ジョブの印刷データのプリンタ部203による印刷処理がなされた後に該先行ジョブにて要するシート処理の実行中に、以下に例示の処理を実行する事を許可する。
例えば、制御部205は、当該先行ジョブにて要するシート処理の実行中に、該後続ジョブにて要する後続ジョブの印刷データの印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を、許可する。
一方、例えば、先行ジョブと後続ジョブが上記ジョブルール規定データで規定する特定の条件を満たしていないとする。この場合、制御部205は、当該先行ジョブにて要するシート処理の実行中に、該後続ジョブにて要する後続ジョブの印刷データの印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を、禁止する。
本形態のシステム1000は、以上に例示が如くの一連の選択的制御を実行可能に構成されている。更に、この一連の制御を換言すると、本システム1000の制御部は、以下に例示の制御を実行する事を意味する。
例えば、上記先行ジョブが、該ジョブのデータの印刷処理と該印刷処理で該先行ジョブのデータが印刷されたシートに対する上記ジョブルール規定データで規定した特定種類のシート処理とを、要する、ジョブであるとする。この場合、制御部205は、上記ジョブルール規定データで規定するルールに基き、該先行ジョブにて要する上記シート処理の実行中に上記後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行可能に制御する。
この一連の制御を更に詳細に例示すると、例えば、制御部205が、以下に例示が如くの制御を実行する。
例えば、上記先行ジョブが、上記先行ジョブの印刷データの印刷処理がなされた後に、上記ジョブルール規定データで規定する、ある特定の種類のシート処理を要するジョブであるとする。以下、このケースを条件1と定義し、且つ、この先行ジョブにて要する特定種類のシート処理の事を、シート処理Aと称す。
尚且つ、該後続ジョブが、該後続ジョブのデータの印刷処理がなされた後に上記シート処理Aを要さずに、該シート処理Aは別の上記ジョブルール規定データで規定する特定の種類のシート処理を要するジョブであるとする。以下、このケースを条件2と定義し、この後続ジョブにて要する特定種類のシート処理をシート処理Bと称す。
上記例示がケースの如く、条件1と条件2の両方を満たしていると制御部205が判断したとする。この場合、制御部205は、該先行ジョブにて要するシート処理Aの実行中に、印刷後にシート処理Bを要する該後続ジョブにて要する印刷処理を、プリンタ部203により、開始実行可能に、制御する。
この先行ジョブと後続ジョブの処理方法に関する制御を詳述すると、制御部205は、まず、該先行ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。この印刷処理に際し、制御部205は、該先行ジョブの印刷データをHD209に記憶させる。且つ、該先行ジョブの印刷データをHD209から読み出させ、且つ、該印刷データを、該先行ジョブに対してユーザにより設定された印刷処理条件でもって、プリンタ部203により印刷させる。制御部205は、この先行ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させたら、先行ジョブにて要する印刷処理がプリンタ部203で完了するのを待つ。そして、この先行ジョブにて要する印刷処理が完了した事に応じて、制御部205は、先行ジョブにて要するシート処理Aをシステム1000のシート処理装置200により開始実行させる。
この際、制御部205は、UI部を介しユーザ要求がなされたシート処理Aを、先行ジョブの印刷データが印刷されたシートに対して、該シート処理Aが実行可能なシステム1000のインラインフィニッシャにより、実行させる。この先行ジョブのシート処理Aをシステム1000のインラインフィニッシャにより開始させた事に応じ、制御部205は、印刷後にシート処理Bが必要な上記後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。即ち、制御部205は、該インラインフィニッシャによる先行ジョブのシート処理Aの実行中に、後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。これにより、先行ジョブの印刷処理後に要するシート処理動作と、後続ジョブの印刷動作とを、同時並行動作可能に制御する。尚且つ、制御部205は、該先行ジョブのシート処理Aがなされた印刷物(最終成果物)を、該シート処理Aを実行可能なインラインフィニッシャ自身が具備する排紙先に、排紙保持させる。これにより、先行ジョブの全ての処理が完結する。尚且つ、制御部205は、後続ジョブの印刷処理に際し、該後続ジョブの印刷データをHD209に記憶させる。
且つ、該後続ジョブの印刷データをHD209から読み出させ、且つ、該印刷データを、該後続ジョブに対してユーザにより設定された印刷処理条件でもって、プリンタ部203により印刷させる。制御部205は、この後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させたら、該後続ジョブにて要する印刷処理がプリンタ部203で完了するのを待つ。そして、この後続ジョブにて要する印刷処理が完了した事に応じて、制御部205は、該後続ジョブにて要するシート処理Bをシステム1000のシート処理装置200により開始実行させる。この際、制御部205は、UI部を介しユーザ要求がなされたシート処理Bを、後続ジョブの印刷データが印刷されたシートに対して、該シート処理Bが実行可能なシステム1000のインラインフィニッシャにより、実行させる。後続ジョブのシート処理Bがなされた印刷物(最終成果物)は、該シート処理Bを実行可能なインラインフィニッシャ自身が具備する排紙先に、排紙保持させる。これにより、後続ジョブの全ての処理が完結する。
以上の一連の制御は、換言すると、以下の3つの動作を同時並行可能にする制御である。
(動作X) 先行ジョブの印刷処理がなされたうえで該先行ジョブにて要する特定種類のシート処理を実行可能なインラインフィニッシャによる、該先行ジョブにて要する該シート処理の実行動作。
(動作Y) プリンタ部203による、印刷処理がなされたうえで特定種類のシート処理を要する後続ジョブにて要する該印刷処理の実行動作。
(動作Z) 後続ジョブの印刷処理がなされたうえで該後続ジョブにて要する該特定種類のシート処理を実行可能なインラインフィニッシャによる、該後続ジョブにて要する該シート処理の実行動作。
尚、動作Zは、動作Xと同時並行動作しない場合もある。例えば、動作Xに並行して動作Yを開始させた結果、動作Yが終了する前に、動作Xが終了した場合である。但し、いずれにしても、制御部205は、動作Xに並行して動作Yを開始実行させる。
以上に例示が如くの一連の制御を、条件1と条件2の両方を満足する場合に、本システム1000の制御部が実行する。
換言すると、本システム1000の制御部は、上記条件1と条件2の両方を満足する場合には、上記動作Xに並行して動作Yを実行する事、或いは、動作Xに並行して動作Y及び動作Zを実行する事を、許可する。
但し、条件1と条件2の両方を満たしていない場合には、上記一連の制御の実行は禁止し、以下に例示の制御を実行する。
例えば、上記シート処理Aを要する先行ジョブの後に受付けた後続ジョブにて、印刷処理がなされたうえで該後続ジョブにて要するシート処理が、上記シート処理Bではなく、先行ジョブと同じ種類のシート処理Aであるとする(以下、条件3と称す)。当該ケースを換言すると、先行ジョブは条件1を満たすが、後続ジョブは条件2を満たさずに、条件3であるとする。この場合、以下に例示が如くの制御を実行する。
例えば、制御部205は、該先行ジョブにて要するシート処理Aの実行中に、印刷後にシート処理Aを要する該後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事は禁止する。この場合、制御部205は、先行ジョブの印刷処理、及び、先行ジョブのシート処理Aの終了を待つ。そのうえで、後続ジョブの印刷処理を開始させる。且つ、後続ジョブの印刷が終了したうで、後続ジョブにて要するシート処理Aを、シート処理Aを実行可能なインラインフィニッシャにより、実行させる。このようなスケジューリングでもって、先行ジョブと後続ジョブを処理する。
上記例示が如く、本システム1000の制御部は、上記条件1と条件2の両方を満足していない場合には、上記動作Xに並行して動作Yを実行する事、或いは、動作Xに並行して動作Y及び動作Zを実行する事を、禁止する。
本形態のシステム1000は、以上に例示が如くの一連の選択的制御を実行可能に構成されている。更に、この一連の制御を換言すると、本システム1000の制御部は、以下に例示の制御を実行する事を意味する。
例えば、1台又は複数台のインラインフィニッシャをシステム1000が具備している状況において、上記先行ジョブにて印刷処理がなされたうえで要するシート処理を実行させるインラインフィニッシャをXとする。以下、このインラインフィニッシャをフィニッシャXと称し、当該ケースを、条件Xと称す。
この条件Xのケースにおいて、上記後続ジョブで印刷処理がなされたうえで要するシート処理を実行させるインラインフィニッシャが、上記インラインフィニッシャXではないとする。例えば、上記後続ジョブにて印刷処理がなされたうえで要するシート処理を実行させるインラインフィニッシャが、インラインフィニッシャXの前段にカスケード接続された他のインラインフィニッシャであるとする。以下、このインラインフィニッシャを、フィニッシャYと称し、当該ケースを、条件Yと称す。
上記例示が如く、条件Xと条件Yの両方を満足するとする。この場合、制御部205は、先行ジョブにて要するフィニッシャXによるシート処理の実行中に、フィニッシャYによるシート処理が印刷後に必要な後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる。この制御を上記制御例で換言して説明すると、本形態の制御部は、条件Xと条件Yの両方を満足する場合には、上記動作Xに並行して動作Yを実行する事、或いは、動作Xに並行して動作Y及び動作Zを実行する事を、許可する。
一方、上記条件Xと条件Yの両方を満足しないとする。例えば、上記後続ジョブにて印刷処理がなされたうえで要するシート処理を実行させるインラインフィニッシャが、先行ジョブと同じインラインフィニッシャXであるとする。以下、当該ケースを、条件Zと称す。
このケースは、換言すると、条件Xで且つ条件Zの場合である。この場合、制御部205は、先行ジョブにて要するフィニッシャXによるシート処理の実行中に、フィニッシャXによるシート処理が印刷後に必要な後続ジョブの印刷処理をプリンタ部203により開始させる事は、禁止する。
即ち、上記制御例で換言すると、条件Xと条件Yの両方を満足していない場合には、本形態の制御部は、上記動作Xに並行して動作Yを実行する事、或いは、動作Xに並行して動作Y及び動作Zを実行する事を、禁止する。
このように本形態のシステム1000は、以上で換言して説明した例示が如くの一連の選択的制御を、実行可能に構成されている。
この、図21、図26、図27等で例示したシステム構成情報やジョブルール規定データや処理すべきジョブ自体の情報に基いて制御部が実行する、これら各種制御を、図29を用いた以下に例示の制御でもって、更に詳述する。
[本印刷システム1000にて複数のジョブを処理する際に制御部が実行するジョブ制御に関するフローチャートの説明]
図1〜図28で説明した本印刷システムの制御部が実行する各種制御のうちの、本印刷システム1000により複数のジョブをどのように処理させるかに関る制御について、図29のフローチャートを用いて、説明する。
本形態では、1例として、当該処理を、本印刷装置100が具備する制御部205が、実行する。又、制御部205が、本形態の各種処理及び制御を実行する為のコンピュータ読取可能なプログラムデータが記憶された図2のROM207から該フローチャートの処理を実行する為のプログラムデータを読出実行することで、当該処理が実行される。
まず、図29のステップS101にて、制御部205は、印刷実行要求がなされたジョブを印刷装置100が受付けたか否かを確認する。
ここでは、例えば、本形態のUI部の一例に該当する印刷装置100自身が具備する操作部204を介してユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、制御部205が、操作部204のスタートキー503のユーザ操作に基き、判断する。又、例えば、図17A、17Bで例示したが如く、本形態のUI部の別例に該当する外部装置の操作部を介してユーザから印刷実行要求を受付けたか否かを、制御部205により判断する。
尚、制御部205は、印刷実行要求がなされてスキャナ部201又は外部I/F部202を介して入力された処理対象となるジョブの印刷データを、全て、HD209に記憶させ、且つ、HD209から読み出してプリンタ部203により印刷させる。又、制御部205は、そのジョブの処理条件データも該印刷データに対応づけてHD209に記憶させる。この処理条件データには、印刷時の用紙サイズや印刷倍率や印刷レイアウトや片面/両面印刷設定等に関する処理条件データが含まれる。且つ、当然、当該ジョブにて印刷対象となるシートに対して如何なる種類のシート処理を実行させるのかを特定する為のシート処理の種類に関する情報も、当該処理条件データの中に含まれている。
図29のステップS101の処理は、印刷要求がなされたジョブを受付けるまで繰り返す。換言すると、印刷要求がなされたジョブを印刷装置100が受付けた場合は、制御部205は、図29のステップS101からステップS102へ処理を移行する。
印刷実行要求がなされたジョブを受付けた場合、ステップS102にて、制御部205は、当該受付けたジョブ以外に、印刷装置100を含む本印刷システム1000により既に処理中のジョブが存在するか否かを確認する。例えば、HD209に印刷データの記憶動作を行っているジョブや、プリンタ部203により印刷中のジョブや、HD209で印刷待機中のジョブや、シート処理装置200によりシート処理中のジョブが存在するかを確認する。
ステップS102にて既に処理中のジョブが存在しない事を確認した場合、制御部205は、ステップS102からステップS103に処理を進める。ステップS103にて、制御部205は、先のステップS101で受付けた当該ジョブの印刷データの印刷処理を該ジョブの処理条件に従ってプリンタ部203により実行させる。且つ、制御部205は、ステップS103にて当該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させたうえで、ステップS104の処理へ移行する。且つ、ステップS104にて、制御部205は、該ジョブの処理条件で指定されている該ジョブにて要するシート処理をステップS103にて印刷処理がなされた該ジョブのシートに対して、該ジョブの処理条件により特定されるシート処理装置により実行させる。この1例として、本システム1000のシステム構成が図8A、8Bのシステム構成ならば、次に例示するようなシート処理をインラインシート処理装置200により実行させる。例えば、該ジョブにて要求されたシート処理の種類が積載処理ならば、制御部205は、当該ジョブにてプリント処理がなされたシートの積載処理を図8A、8Bの大容量スタッカにより実行させる。一方、該ジョブが、くるみ製本処理又は天糊製本処理等の糊付け製本処理が要求されたジョブならば、該ジョブにて印刷処理がなされたシートに対する糊付け製本処理を図8A、8Bの糊付け製本機により実行させる。一方、ステイプル、パンチ、断裁、シフト排紙、中綴じ製本、折り等のシート処理が要求されたジョブならば、図8A、8Bの中綴じ製本機により該ジョブにて要するシート処理を実行させる。尚、このように各種フィニッシィングを本システム1000にて実行させる際にも、図21、図26、図27で例示した管理テーブルのシステム構成情報を制御部205は利用する。
先のステップS102にて既に処理中のジョブが存在する事を確認した場合は、制御部205は、ステップS102からステップS105に処理を進める。尚、本例では、先に説明した各種制御に対応させるべく、「既に処理中のジョブ」の事を「先行ジョブ」と呼ぶ。換言すると、ステップS105側の処理へ移行した場合、ステップS101で受付けた処理対象の上記ジョブは「後続ジョブ」に該当する。
ステップS105では、既に処理中の該先行ジョブは本印刷システム1000にてシート処理動作中であるか否かを特定する為の先行ジョブの現時点における処理状況を、制御部205により、確認する。例えば、制御部205は、HD209へのデータ記憶動作状況やプリンタ部203により印刷動作状況や本システム1000が具備する印刷装置及び各シート処理装置内部におけるシート搬送状況を確認する。このような方法で、制御部205は、先行ジョブが本印刷システム1000が具備するシート処理装置によるシート処理動作中であるか否かを確認する。尚、この確認の為に、制御部205は、上述の如く、先行ジョブ自体のジョブ情報をチェックする。又、本印刷システム1000が具備する印刷装置内部のシート搬送路及び各シート処理装置内部のシート搬送路に複数箇所設置されている複数のシート検知センサからの情報もチェックする。
ステップS105にて、先行ジョブの現在の処理状況が、本システム1000が具備するシート処理装置によるシート処理動作中ではない場合、制御部205は、ステップS105からステップS106へ処理を移行する。この状況の1例として、例えば、先行ジョブの現在の処理状況が印刷装置100のプリンタ部203による印刷実行中である場合、制御部205は、ステップS105からS106へ処理を移行する。
ステップS106にて、制御部205は、先のステップS101で受付けた上記後続ジョブの印刷動作を待機させる。換言すると、ステップS106では、該後続ジョブを印刷待ち状態にする。具体的には、制御部205は、該後続ジョブの印刷データを全頁HD209に保持させて、先行ジョブの処理が完了するまで、該後続ジョブの印刷を待機させる。
一方、ステップS105にて、先行ジョブの現在の処理状況が、本システム1000が具備するシート処理装置によるシート処理動作中である場合、制御部205は、ステップS105からステップS107へ処理を移行する。例えば、先行ジョブの現在の処理状況が、プリンタ部203による該先行ジョブにて要する印刷処理がなされたうえで、該ジョブのシートをシート処理装置200内部にて現在処理中である場合が、当該ケースに該当する。又、図19で例示した、「くるみ製本ジョブA」を「先行ジョブ」とし、且つ、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて、当該ケースを例示すると、以下の状況が該当する。例えば、くるみ製本ジョブAの印刷処理がプリンタ部203によりなされたうえで当該ジョブAのシートに対するくるみ製本処理を図8A、8Bの糊付け製本機が具備する糊付けユニットにより実行中である場合が、当該ケースに該当する。このような状況の場合に、制御部205は、ステップS105からステップS107へ処理を移行する。
ステップS107にて、制御部205は、本印刷システム1000が具備する印刷装置100に対して接続対象となるインラインタイプのシート処理装置200に係わる情報を含んだ印刷システム1000のシステム構成情報を、確認する。本例では、先の制御例にて例示した図21や図26や図27の管理テーブルのシステム構成情報を、このステップS107にて、制御部205が、HD209から読み出して、本印刷システム1000のシステム構成を確認する。例えば、本システムが図8A、8Bのシステム構成の場合にて、制御部205は、HD209に記憶されている図21の管理テーブル2100のシステム構成情報2101に含まれる(情報1)〜(情報5)を確認する。この情報をもとに、図8A、8Bのシステム構成からなる印刷システム1000が、どのようなインラインフィニッシャが、どのような、接続順序で、何台、印刷装100に対して、接続されているか等のシステム構成を、制御部205が、確認する。尚、このシステム構成情報に関するその他の説明は、先に例示した説明どおりなので、ここでは、割愛する。
ステップS107にて本印刷システム1000のシステム構成を確認後、制御部205は、ステップS108にて、上記先行ジョブにて要するシート処理動作の情報を確認する。
この1例として、例えば、ステップS108にて、制御部205は、本印刷システム1000が具備するインラインシート処理装置により現在シート処理動作が実行中の先行ジョブが、如何なる種類のシート処理を要するジョブであるか否の確認を行う。
この確認を行うにあたり、制御部205は、該先行ジョブの印刷データと共にHD209に保存した該先行ジョブの処理条件データを参照する。且つ、制御部205は、この処理条件データに含まれているシート処理の設定情報をもとに、当該先行ジョブが、如何なる種類のシート処理の設定がなされたジョブであるかを特定する。
換言すると、先行ジョブが、印刷装置100が具備する操作部204を介してユーザから印刷実行要求を受付けたジョブであるならば、図7の表示700を介して如何なる種類のシート処理の設定がなされたかを、ステップS108にて、確認する。一方、先行ジョブが、外部装置の操作部を介してユーザから印刷実行要求を受付けたジョブであるならば、図17Bの表示の設定項目1702を介して如何なる種類のシート処理の設定がなされたかを、ステップS108にて、確認する。
尚且つ、制御部205は、この方法と同様の方法で、上記処理対象となる後続ジョブが、如何なる種類のシート処理を要するジョブであるか否かの確認を、このステップS107にて、行う。
制御部205は、上記先行ジョブにて要するシート処理の種類と、上記後続ジョブにて要するシート処理の種類を、ステップS108にて、確認したうえで、ステップS1089へ処理を移行する。且つ、このステップS109にて、制御部205は、上記先行ジョブのシート処理動作と上記後続ジョブの印刷動作との並行動作が本印刷システム1000にて実行可能であるか否かの確認を行う。
以上のステップS107〜ステップS109にて制御部205が実行される一連の確認処理が、先の図21、図26、図27の管理テーブルを用いて説明した制御例に該当する。
例えば、HD209に図21の管理テーブル2100が記憶されている場合における具体例でもって説明すると、制御部205は、ステップS107にて、図21の管理テーブルのシステム構成情報2101を確認する。この図21のシステム構成情報2101を確認することで、制御部205は、本印刷システム1000のシステム構成が、図8A、8Bに示すシステム構成である事を特定する。且つ、制御部205は、ステップS108にて、図21の管理テーブルのジョブルール規定データ2102を確認する。且つ、制御部205は、先行ジョブにて要するシート処理の種類と後続ジョブにて要するシート処理の種類とに基いて、ジョブルール規定データ2102で規定される複数のルールのうちの、どのルールを適用するかを特定する。且つ、図21のジョブルール規定データ2102内の適用ルールを決定したら、制御部205は、そのルールの決定事項に従い、後続ジョブの本印刷システム1000における動作を制御する。
換言すると、図8A、8Bのシステム構成からなる印刷システム1000にて図21のジョブルール規定データ2102のルール1、4、5、7、8、9の何れかに該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でNO判定を下す。一方、図21のジョブルール規定データ2102のルール2、3、6の何れかに該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でYES判定を下す。
このような方法で、図26や図27の制御例の場合でも、ステップS107〜ステップS109の処理を行う。
1例として、例えば、HD209の管理データのシステム構成情報が図26のシステム構成情報2601に対応する場合、制御部205は、本印刷システム1000のシステム構成は図9A、9Bのシステム構成であると判断する。且つ、図26のジョブルール規定データ2602のルール1、4、5、6、7、9の何れかに該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でNO判定を下す。一方、図26のジョブルール規定データ2602のルール2、3、8の何れかに該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でYES判定を下す。
又、例えば、HD209の管理データのシステム構成情報が図27のシステム構成情報2701に対応する場合、制御部205は、本印刷システム1000のシステム構成は図10のシステム構成であると判断する。且つ、図27のジョブルール規定データ2702のルール1、3、4の何れかに該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でNO判定を下す。一方、図27のジョブルール規定データ2702のルール2に該当すると判断した場合、制御部205は、ステップS109の判断でYES判定を下す。
以上のような方法で、制御部205は、先行ジョブのシート処理動作と後続ジョブの印刷動作との並行動作が本印刷システム1000にて実行可能か否かの判断を、ステップS109にて、行う。且つ、以上のような確認処理を経て、ステップS109の判断にてNO判定を下した場合、制御部205は、ステップS109からステップS113へ処理を移行する。
ステップS113にて、制御部205は、本システム1000が具備するインラインシート処理装置による先行ジョブのシート処理動作に並行して、後続ジョブのプリンタ部203により印刷動作を実行する事を禁止する。且つ、ステップS114にて、当該後続ジョブを印刷待ち状態のジョブとして取り扱う。換言すると、制御部205は、先のステップS106と同様の処理を、ステップS114にて実行する。
他方、ステップS109の判断にてYES判定を下した場合、制御部205は、ステップS109からステップS106へ処理を移行する。
ステップS106にて、制御部205は、本システム1000が具備するインラインシート処理装置による先行ジョブのシート処理動作に並行して、後続ジョブのプリンタ部203により印刷動作を実行する事を許可する。換言すると、制御部205は、本システム1000が具備するインラインシート処理装置による先行ジョブのシート処理の実行中に、後続ジョブのプリンタ部203により印刷処理を開始実行させる事を許可する。
ステップS111にて、制御部205は、本システム1000が具備するインラインシート処理装置による先行ジョブのシート処理動作に並行して、後続ジョブのプリンタ部203により印刷動作を実際に開始実行させる。且つ、制御部205は、当該後続ジョブの印刷処理がプリンタ部203によりステップS111にてなされたうえで、ステップS112の処理に移行する。且つ、ステップS112にて、制御部205は、当該印刷処理がなされた後続ジョブのシートに対するシート処理を、本印刷システム1000が具備する、当該後続ジョブにて要するシート処理が実行可能なインラインシート処理装置により、実行させる。
以上の如くの一連の処理を制御部205により実行可能にする。即ち、例えば、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成の場合には、図8B及び図21等を用いて例示した各種制御例に対応する制御を、制御部205が、本システム1000にて実行可能にする。又、例えば、本印刷システム1000が図9A、9Bのシステム構成の場合には、図9B及び図26等を用いて例示した各種制御例に対応する制御を、制御部205が、本システム1000にて実行可能にする。又、例えば、本印刷システム1000が図10A、10Bのシステム構成の場合には、図10B及び図27等を用いて例示した各種制御例に対応する制御を、制御部205が、本システム1000にて実行可能にする。尚、当然、本印刷システム1000は、図8A〜図10Bで例示するシステム構成以外の構成も構築可能である。この場合には、そのシステム構成に応じたルールで図29のフローチャートの処理を制御部205が実行する。即ち、如何なるシステム構成であっても、図29のフローチャートの処理は適用可能である。
以上のように構成することで、本形態で述べている効果を奏する。
尚、本形態は、上述したように様々な仕組みを採用する事で、本形態の印刷システム1000にて得られる効果を最大限に発揮可能に構成している。この更なる一例を以下に例示する。
例えば、上述した各種制御には、本印刷システム1000で処理すべき複数のジョブを、本印刷システム1000特有のインラインフィニッシャを駆使して、如何に、生産性を向上させて、処理するかの、具体的解決手法に該当する制御が盛り込まれている。換言すると、例えば、POD環境でも充分に効果を発揮可能に構成した仕組みでもある。本形態では、例えば、上述したように、POD環境のみに配慮した製品実用化を目指すのみならず、オフィス環境にも配慮した仕組みを採用している。この1例として、以下に例示の制御を本システム1000にて実行可能に構成している。
例えば、図29のフローチャートのS105〜S114で実行する一連の処理や図21や図26や図27のルールに基いたジョブ制御は、複数のジョブの生産性を最大限に向上させる制御とも呼べる。そこで、ここでは、1例としてこのような制御を本システム1000にて実行させるモードを「ハイプロダクテビティ(高速モードとも呼ぶ))モード」と定義する。一方、図18A〜18Dで例示したが如く、ジョブA〜ジョブDをユーザからの印刷実行要求の受付順序どおりに順番に処理する制御を、「ノーマルモード(標準モードとも呼ぶ)」と定義する。
このような構成を前提とし、以下に例示の制御例では、これら2つのモードを、本印刷システム1000のオペレータにより、本形態が提供するUI部を介して、選択可能に構成している。
1例として、例えば、UI部の1例に該当する印刷装置100の操作部204のユーザモードキー505がユーザにより押下されたとする。当該操作に応答し、制御部205は、当該操作部204の表示部401に図30の表示3000を実行させる。この図30の表示の表示キー3001の操作により、「標準モード」と「高速モード」のどちらのモードで、本印刷システム1000を動作させるかを、ユーザ自身により、決定させる。
例えば、上記キー3001のユーザ操作により、「先行ジョブのフィニッシィング中に後続ジョブの印刷を許可する」が「OFF」にされたとする。この場合、制御部205は、当該印刷システム1000の動作モードを標準モードにする。
上記例示が如く、図30の表示を介して標準モードが選択された場合、図29のフローチャートにて、以下のような処理フローを実行するよう、制御部205により、制御する。
例えば、上記「標準モード」が設定されている場合にて、図29のステップS102のでYES判定を下したならば、制御部205は、ステップS107側の処理へ移行せずに、ステップS106の処理へ移行するよう制御する。即ち、本システム1000のインラインフィニッシャによる先行ジョブのシート処理が、実行中の場合でも、実行中ではない場合でも、S102でYES判定を下したならば、S105の処理はスキップして、S106の処理へ移行するよう制御する。
換言すると、先行ジョブにて要するシート処理が印刷システムにて実行中であり且つ後続ジョブにて要するシート処理が該先行ジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理であっても、標準モードの場合には、制御部205は、以下のように制御する。
例えば、後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させずに、先行ジョブにて要するシート処理を含む先行ジョブの全ての処理が完了後に、当該後続ジョブにて要する印刷処理を、プリンタ部203により開始実行させる。
一方、「高速モード」が設定された場合にて、並列処理が可能な場合は、極力、前倒しでプリント起動をかける事が可能となる。これにより、より高いパフォーマンスで印刷装置の稼働率が向上可能となる。
換言すると、例えば、上記操作部204の表示部401に実行させた図30の表示を介し、「高速モード」がユーザにより選択された場合、制御部205は、図29のフローチャートにて、以下のような処理フローを実行するよう制御する。
例えば、当該「高速モード」が設定されている場合には、先行するジョブがシート処理の実行動作中であるか否かの判断を要する。例えば、S102でYES判定ならば、S107以降の処理に以降させる。
換言すると、先行ジョブにて要するシート処理が印刷システムにて実行中であり且つ後続ジョブにて要するシート処理が該先行ジョブにて要するシート処理とは異なるシート処理である場合に、以下のように制御する。
例えば、該先行ジョブにて要するシート処理を実行中に、該後続ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる。
このように構成することで、本印刷システム1000をオフィス環境で利用するならば、標準モードで使用し、POD環境で利用するならば、高速モードで使用するといった、システムの利用環境に対応した柔軟な印刷環境が構築可能となる。即ち、本形態で述べている効果が更に向上するという効果を奏することが出来る。
この「ハイプロダクテビティモード(高速モード)」と、「ノーマルモード(標準モード)」の各モードにて、複数のジョブを、どのようなタイミングで、本システム1000により、処理させるかのタイミングチャートの1例に該当する例を、図31に示す。
例えば、制御部205は、本印刷システム1000の動作モードが「標準モード」の場合、図31の「標準モードのシーケンス」に示すが如くの順番で且つタイミングでもって、複数のジョブA〜Dを、本システム1000にて処理させるよう制御する。
一方、例えば、制御部205は、本印刷システム1000の動作モードが「高速モード」の場合、図31の「高速モードのシーケンス」に示すが如くの順番で且つタイミングでもって、複数のジョブA〜Dを、本システム1000にて処理させるよう制御する。
これにより、例えば、複雑でないシーケンシャルなジョブのハンドリングを本印刷システム1000の管理者が要求した場合は「標準モード」を選択すれば、当該ニーズにも対処可能となる。
例えば、図31の「標準モードのシーケンス」では、「プリント(先行ジョブの印刷)」→「後処理(インラインフィニッシャによるシート処理)」→「次ジョブのプリント(後続ジョブの印刷)」といった具合に、シーケンシャルに動作可能となる。このような制御を利用すれば、例えば、ジャムやエラーが本印刷システム1000にて発生したとしても、画印刷装置100及びシート処理装置200内部には、現在処理中の1つのジョブのシートが搬送されている程度に留める事が出来る。即ち、POD環境の現場のオペレータ等の印刷システムの操作の熟練度が高いユーザでなくとも、簡単にリカバリ処理を施す事ができる。換言すると、操作に不慣れなユーザが不適正な操作等を行う事を未然に防止可能となる。
以上のように構成することで、本形態の効果が更に一層向上可能となるという効果を奏する。
以上、図1〜図31で詳細に述べた実施形態における構成要件が如く構成することで、例えば、以下のような効果を奏す事が可能となる。
例えば、従来で想定したような問題に対処できる。特に、例えば、オフィス環境に留まらずPOD環境にも適応可能な使い勝手の良い便利な印刷環境が構築可能となる。又、例えば、印刷装置の仕様に起因するPOD環境にて発生しうるオペレータの介入作業を、極力、減らす仕組みが提供可能となる。且つ、作業者の作業負荷を低減し、効率的な作業の実現が可能となる。そして、このように様々な状況や利用環境を想定し、様々なユーザからの様々なニーズにも、極力、柔軟に対応可能な仕組みが提供可能となる。そして、従来で想定したようなPOD環境で想定されるユースケースやニーズに対処可能な便利で且つ柔軟な印刷環境を構築するうえで、システムにて印刷処理対象となる複数のジョブの生産性が低下する等の問題も生じることを極力抑え、複数のジョブの生産性を極力向上させることが可能となる。このように製品実用化に向けての様々な仕組みを提供可能となる。更に、以下のような状況にも対処でき、以下のような効果も奏す事が出来る。
例えば、現在のオフィス環境にて適用される印刷装置のユースケースを想定すると、PCやリーダから受付けた複数のジョブを印刷装置で処理するにあたり、複数のジョブを受付けた順序どおりに、印刷装置で処理する仕組みが採用されている。この理由は、オフィス環境では、複数のユーザが1台の印刷装置を共有し、各ジョブは、夫々、オフィスに点在する異なるユーザである事に起因すると考える。この状況下では、ジョブの処理順番を勝手に変えると、各ジョブ毎に印刷物を受取るユーザが、だれの所有物が把握できなくなる。又、他の人に優先して印刷したりするとトラブルの原因にもなりうる。
一方、POD(プリントオンデマンド)環境では、印刷装置により処理対象となるジョブを直接受取るユーザは、POD環境にて従事する専用オペレータである事が想定される。換言すると、印刷を依頼するユーザは顧客であり、最終成果物としての印刷物を顧客に納品するのは、顧客から報酬を得るPOD環境に従事するオペレータである。このように、POD環境では、ジョブの依頼者と該ジョブを印刷システムにて操作するユーザは異なる環境が予想される。このようなPOD環境では、印刷システムにて処理すべき大量のジョブを、クライアントからの指定に基いた期限どおりに、いかに効率的に裁くかが重要視される事が予想される。換言すると、POD環境では、印刷システムにて受付けたジョブは、該印刷装置を操作するPOD環境の現場のオペレータの管理下にある事が予想される。故に、このオペレータの裁量で、ジョブの期限に応じて、順序を入れ替えてもとりわけ問題は生じないと考える。逆に、印刷装置の稼働率を上げて、効率的に運用した方がトータルコストの低減をもたらし、POD環境で商売を行う経営者を喜ばせる結果にもつながると考える。
そこで、上記のように、本実施形態の印刷システムにて上記実施形態で述べたように構成することで、このような状況にも対処可能となる。即ち、上述した効果が更に一層向上可能となる。
又、POD環境を想定してみると、印刷装置に、紙搬送系やソフトウェアに寄るシーケンス処理が、画像形成装置に直接つながる後処理装置(インラインフィニッシャ)が今後採用されることも予想される。特に、POD環境では、様々な顧客ニーズに応えるために、様々なインラインフィニッシャを接続するケースが今後発生する事が可能性としてある。換言すると、印刷装置に対して電気的にも物理的にも接続された互いに異なる複数種類のシート処理を実行可能なシート処理装置(上述では、インラインフィニッシャと呼んでいる)が採用される可能性がある。
尚且つ、多品種のインラインフィニッシャの登場や、付け替えて利用するのでなく、全部を接続して(カスケード接続して)おいて、ジョブの種類に応じて、処理を切り替える利用方法等も今後採用される可能性がある。換言すると、上記のインラインフィニッシャは、択一的に選択されていたり、紙処理としてシーケンシャルに接続されたりする構成ではない構成がPOD環境にて採用される可能性があると考える。例えば、POD環境では、様々な顧客ニーズに応えるために、複数のインラインフィニッシャがカスケードに接続されるシステム構成が今後製品実用化される可能性がある。また同時に、このようなシート処理装置の1台をあるときは、何も処理せずに後続のシート処理装置へ紙搬送するといった構成を採用する可能性もある。このようにシート処理を実行する機能のみならず後段のシート処理装置へ印刷装置からのシートを供給する役目を果たすシート処理装置がPOD環境等に適したデジタルプリンティングシステムにて採用される可能性も検討すべきである。
そこで、本形態では、このような状況にも対処した構成となっている。具体的には、上記のような互いに異なるシート処理を実行可能な印刷装置に電気的且つ物理的に接続可能な複数台のシート処理装置(本形態では、インラインフィニッシャとも呼ぶ)を印刷システムにて具備する。且つ、当該システム構成を前提とし、これらのインラインフィニッシャを利用可能な場合に、これらの装置を利用して、複数のジョブを処理するよう、本システムの制御部が、本システムを制御する。且つ、該制御部により、処理対象となるジョブの処理順序を上記のように受付け順序とは異なる順序で並べ替えたりするよう制御する。この1例として、本形態では、印刷装置100の制御部205が、図8A〜図10Bの各システム構成にて図8B〜図10B等を用いて例示した各種制御を実行する。
上記の如く構成することで、同時にいくつかのシート処理装置を利用した効率的な印刷環境の運用や、システム全体からみた複数のジョブのスループットの向上が図れる。このようなジョブマネジメントを、POD環境の効率的な運用として、実行可能になる。
本形態は、このような状況にも対処可能な製品の実用化も図れるという効果も奏する。その為にも、本印刷システムの制御部は、上記の本実施形態で述べた制御を実行する。このように本実施形態ではPOD環境にて想定されうる様々なユースケースやニーズに対処可能に構成している。
ここで、上記各種述べた本印刷システムが具備する制御部により本印刷システムにて処理対象となる複数のジョブの処理方法について、以下に換言して説明する。ここでは、本印刷システム1000の制御部の1例に該当する、印刷装置100の制御部205により、以下のジョブ処理制御を実行する制御例でもって説明する。
まず、制御部205が制御する本形態の印刷システム1000は、上記の如く、複数のジョブのデータを記憶可能なハードディスク209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を具備する印刷装置100を具備する。
尚且つ、本印刷システム1000は、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なシート処理部を具備するシート処理装置を、1台のみならず、複数台利用可能に構成されている。且つ、該プリンタ部からのシートを、該複数台のシート処理装置の各シート処理部へ、選択的に、供給可能に構成している。
且つ、本印刷システム1000にてインラインフィニッシャとして利用対象となるこれらのシート処理装置は、自装置自身によるシート処理の実行要求がなされたジョブのシートに対して自装置が具備する機能のシート処理を実行する。且つ、これらのシート処理装置は、自装置よりもシート搬送方向下流側の後段に位置するシート処理装置にてシート処理の実行対象となるジョブのシートを、前段装置から受け取って後段装置へと渡す、シート搬送機能を、具備する。且つ、これらのシート処理装置は、自装置でシート処理がなされたジョブの印刷結果物を、他のシート処理装置へ渡さずに、自装置自身が具備するシート保持部によって保持させ且つ、その保持部から該印刷物をユーザにより取出可能に構成されている。
制御部205は、上記のようなシステム構成の本印刷システム1000に対して、図1〜図3、図8A〜図10Bで例示したような各種制御を実行する。
このような構成要件を具備する印刷システム1000にて、制御部205は以下に例示するような制御を実行する。
例えば、コンピュータ等の外部の情報処理装置のユーザインタフェース部(以下、UI部と称す)、或いは、印刷装置自身が具備するユーザインタフェース部を介して、ユーザから印刷実行要求と共に所望のシート処理の実行要求を受付け可能に制御する。且つ、処理要求がなされたリーダ部やホストコンピュータからの、複数のジョブの印刷データ(PDLデータやスキャンデータ)を、印刷装置100のハードディスク209に順次記憶させる。
このような構成を前提とし、本形態の印刷システム1000は、互いに、印刷装置が具備するプリンタ部による印刷処理を要し且つ該印刷処理により印刷がなされたシートに対するシート処理を要する、複数個のジョブを、受付可能に構成されている。
例えば、該複数個のジョブの1例として、制御部が、あるジョブ(以下、ジョブAと称する)の処理要求を受付けたとする。且つ、該ジョブAの後に別のジョブの処理要求を受付けたとする(以下、このジョブをジョブBと称する)。当該状況の場合にて、制御部205は、該ジョブAにて要するシート処理が本印刷システム1000にて実行中である場合に、該ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行可能に制御する。換言すると、制御部205は、ジョブA及びジョブBを含む複数のジョブを受付けた場合で、且つ、該ジョブAにて要するシート処理が印刷システム1000にて実行中である場合に、以下の例示が如くの制御を実行する。例えば、制御部205は、該ジョブAにて要するシート処理に並行してジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事を許可する。
一方、該ジョブA及びジョブBを含む複数のジョブを受付けた場合で、且つ、該ジョブAにて要するシート処理が本印刷システム1000にて実行中ではない場合には、該ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事は禁止する。尚、この状況の1例として、印刷装置100が具備するハードディスク209に記憶されたジョブAの印刷データをプリンタ部203で印刷実行中である場合が、これに該当する。
上記構成を換言すると、本システム1000は、互いに、プリンタ部203により印刷処理がなされたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なシート処理部を具備する装置として、シート処理装置Aとシート処理装置Bを具備する。このように複数のシート処理装置を具備している。且つ、これらの装置へプリンタ部からシートを供給可能に構成している。
このような構成のもと、制御部205は、上記複数のシート処理装置に関わる情報に基いて、該ジョブA及びジョブBを含む印刷装置100により処理対象となる複数ジョブの印刷実行のタイミングを制御する。具体例を挙げるならば以下に例示が如くの制御を実行する。
尚、このシート処理装置Aの1例として、本例では、糊付け製本装置を例示している。この装置は、プリント部203による印刷処理がなされたジョブの1束分のシートを表紙用のシートをつけて製本するにあたり該ジョブのシートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能な糊付け製本部を具備する装置である。
又、シート処理装置Aとは異なるシート処理が実行可能なシート処理装置Bの1例として、本例では、大容量スタッカを例示している。この装置は、上記プリンタ部により印刷処理がなされた複数のジョブの複数のシートを大量積載可能な積載部(例えば、印刷されたシートを5000枚積載可能な積載部)を具備する装置である。
上記構成にて例えば、処理対象となるジョブAが、該プリンタ部による印刷処理がなされたうえでシート処理装置Aが具備するくるみ製本部によるくるみ製本処理を要する種類(タイプ)のジョブに該当するジョブである事を、制御部205が、確認したとする。ここでは、この、くるみ製本装置によるくるみ製本処理を要するタイプのジョブを、第1タイプのジョブと呼ぶ。且つ、ジョブAの後に受付けた上記ジョブBが、プリンタ部203による印刷処理がなされたうえでシート処理装置Bが具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要する種類(タイプ)のジョブに該当するジョブであると、制御部205が、確認したとする。ここでは、この、大容量スタッカ装置によるシートの積載処理を要するタイプのジョブを第2タイプのジョブと呼ぶ。
上記ケースに該当する場合に、制御部205は、該ジョブAにて要するくるみ製本処理が該シート処理装置Aのくるみ製本ユニットにより完了する前に、ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行可能に本システム1000を制御する。
換言すると、当該ケースは、処理対象となるジョブAが、プリンタ部による印刷処理がなされたうえでシート処理装置Aが具備するシート処理部によるシート処理を要する第1タイプのジョブに該当するジョブである。且つ、当該ケースは、該該ジョブAの後に印刷装置が受付けたジョブBが、該プリンタ部による印刷処理がなされたうえでシート処理装置Bが具備するシート処理部によるシート処理を要する第2タイプのジョブに該当するジョブである。
このケース(条件)の場合に、該制御部は、該シート処理装置Aが具備するシート処理部によるジョブAにて要するシート処理の完了前にジョブBにて要する印刷処理を該プリンタ部により開始することを許可する。
但し、上記ジョブAが、第2タイプのジョブに該当するジョブではなく該第1タイプのジョブに該当するジョブであり、且つ、上記ジョブBが、該第2タイプのジョブに該当するジョブではなく該第1タイプのジョブに該当するジョブであるとする。
このケース(条件)の場合、該制御部は、シート処理装置Aが具備するシート処理部よるジョブAにて要するシート処理の完了前にジョブBにて要する印刷処理を上記プリンタ部より開始することは禁止する。
ここまでの制御を、換言すると、上記制御部は、以下のように本システムを制御する。
例えば、制御部205は、本印刷システム1000にて複数台のシート処理装置が利用可能な場合に、ジョブAにて要するシート処理が本印刷システムにて実行中に上記ジョブBにて要する印刷処理を上記プリンタ部により実行することを許可する。この1例として、制御部205は、図8A〜図10B、図21、図26、図27で例示した制御を実行する。
一方、制御部205は、印刷システム1000にて複数台のシート処理装置が利用不可の場合に、ジョブAにて要するシート処理が本印刷システム1000にて実行中にジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事を禁止する。例えば、本印刷システム1000が具備する印刷装置100に対するインラインシート処理装置の接続台数が、0台又は1台の状況の場合が、このケースに該当する。
更に、上記制御を換言すると、制御部205は、以下のように本システム1000を制御する。
例えば、印刷システム1000にて複数種類のシート処理が実行可能な場合に、ジョブAにて要するシート処理が本印刷システムにて実行中に上記ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行することを許可する。この1例として、制御部205は、図8A〜図10B、図21、図26、図27で例示した制御を実行する。
但し、該制御部は、本印刷システムにて複数種類のシート処理が実行不可能場合に、上記ジョブAにて要するシート処理が本印刷システムにて実行中に上記ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事は禁止する。例えば、図7で例示した制御例が如く9種類のシート処理の中から選択的にユーザにより指定された種類のシート処理が実行出来ずに、1種類しかシート処理を実行出来ないような場合が、当該ケースに該当する。
更に、上記制御を換言すると、制御部205は、以下のように本システム1000を制御する。
尚、本システム1000は、プリンタ部203による印刷がなされたジョブで要するくるみ製本処理をシート処理装置Aのくるみ製本部にて実行するにあたり、該ジョブの印刷データが印刷済のシートを、シート処理装置Bを経由して、該くるみ製本部へ供給可能に構成している。換言すると、シート処理装置Bで積載処理を要するジョブは、該シート処理装置Aを利用しないし、該装置へのシート給送処理も必要ないジョブに該当する。
このような本システムの装置構成状況を特定する判断情報をHDDから読出し参照することで、該制御部は、次のように上記ジョブを処理する。
例えば、処理対象のなるジョブBが、シート処理装置Aによるシート処理を要せず且つシート処理装置Bによるシート処理を要するジョブに該当するジョブであるとする。このケースに該当する場合、該制御部205は、ジョブAにて要するシート処理が本印刷システム1000にて実行中にジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203で実行する事を許可する。
但し、処理対象のなるジョブBが、シート処理装置Aによるシート処理を要するジョブに該当するジョブである場合は、ジョブAにて要するシート処理が本システムにて実行中にジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行することを禁止する。
この「本システムの装置構成状況を特定する判断情報」として、該制御部により読出参照される情報として、例えば、以下の情報が不揮発性メモリの一例である上記HDDに格納されている。
(1) 本システムが具備する印刷装置からのシートを処理可能なシート処理装置を本システムが具備するか否かを特定するシート処理装置の接続有無情報。
(2) 本システムがシート処理装置を具備する場合に、如何なるシート処理を実行可能なシート処理装置を具備しているかに関するシート処理装置の能力情報。
(3) 本システムが複数台のシート処理装置を具備している場合、どのような順番で、これらのシート処理装置を接続しているかを特定するカスケード接続状況特定情報。
このような情報を制御部205は本システム1000における複数のジョブの制御にて要する判断情報として、処理対象となるジョブ自体の情報と共に、これを利用する。そして、上記の制御を実行する。
本形態にて先に例示した構成では、制御部205は、図21や図26や図27で例示した制御例でもって、これを実現している。
しかも、上記制御を前提とし、制御部205は、以下に例示が如くの制御も本印刷システム1000にて実行可能にしている。
例えば、上記ジョブA、ジョブBの他に処理対象となるジョブを印刷装置100が受付けたとする。ここでは、このジョブをジョブCと称する。この状況の場合で且つ、該ジョブCが所定の条件を満たすジョブに該当するジョブである場合には、上記ジョブBの印刷処理の実行は禁止した状態まま、次のように制御する。
例えば、制御部205は、当該ケースの場合に、ジョブAにて要するシート処理が本印刷システムにて実行中にてジョブCにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行可能にする。尚、ジョブCが所定の条件を満たすジョブである場合とは、例えば、このケースの場合、「ジョブCがくるみ製本機によるくるみ製本処理が不要なジョブであり、且つ、印刷処理がなされたうえでシート処理装置Bによるシート積載処理を要するジョブである事」が、このケースに該当する。
このように本形態の制御部205は、本印刷システムの装置構成情報や、本印刷システムにて処理対象となる複数のジョブの各ジョブにて要するシート処理に関する情報が記憶された、本印刷システムが具備するメモリの情報を上記制御に利用する。
上記制御で換言すると、これらの情報は、上記ジョブAにて要するシート処理の実行に並行してジョブBにて印刷処理を実行するかの実行可否を決定するのに要する情報である。この情報に基いて、上記先行ジョブAにて要するシート処理の実行に並行して後続ジョブBにて印刷処理を実行することを許可したり、禁止したり制御する。且つ、ジョブBの印刷処理をジョブAのシート処理に並行して実行する事を禁止しても、該情報に基いて、上記の如くジョブCを制御する。
即ち、該制御部は、ジョブBに更に後続する該ジョブCの印刷処理を、該ジョブAのシート処理の実行中に、プリンタ部により実行する事を、該情報に基いて許可したり禁止したり制御する。
尚、上記制御例では、「ジョブCが、くるみ製本機によるくるみ製本処理が不要なジョブであり、且つ、印刷処理がなされたうえでシート処理装置Bによるシート積載処理を要するジョブである」場合に該当する。このケースの場合、該制御部は、ジョブBに更に後続する該ジョブCの印刷処理を、該ジョブAのシート処理の実行中に、プリンタ部により実行する事を許可する。
一方、当該ケースに該当しないとする。例えば、「ジョブCは、シート処理装置Bによる積載処理は不要なジョブであり、且つ、くるみ製本機によるくるみ製本処理を要するジョブである」とする。このケースの場合、該制御部は、ジョブBに更に後続する該ジョブCの印刷処理を、該ジョブAのシート処理の実行中に、プリンタ部により実行させる事を禁止する。
このように、印刷装置に、順次、後続ジョブが投入される毎に、先行ジョブの情報及びシステム構成情報等に基いて、上記制御を実行する。換言すると、該制御部は、以下のように複数のジョブを制御する。
例えば、上記ジョブAが、くるみ製本機で製本中に、ジョブAの直後に受付けたジョブBが、同じくるみ製本機へのジョブならば、ジョブBの印刷はプリント待ちとする。この状況下にて、該ジョブBの直後に受付けたジョブCが、その手前のスタッカによる積載処理を要するジョブならば、該ジョブCの印刷起動をかける。且つ、該ジョブCの直後に受付けたジョブDが、その奥の中綴じ製本機へのジョブならば、ストレートパスが空くのを待って、ジョブDの印刷起動をかける。
このように、ジョブBの印刷は待機したまま、ジョブAのくるみ製本処理が完了する前に、ジョブC、ジョブDと、次々に後続ジョブを処理するよう制御する。
このように、先行ジョブにて要するシート処理の進捗状況に関る情報、後続ジョブで要すシート処理の情報に基き、先行ジョブのシート処理の実行中下にて、特定の後続ジョブは印刷待機させたままの状態で、別の後続ジョブの追越印刷を実行可能にする。このような制御を、上記制御部が実行することで、上記効果が更に向上可能となる。
上記の如く構成することで、上記各種効果を奏することが出来る。尚、本形態では、上述したように、複数のジョブをハンドリングするための様々な制御を実行している。これらの制御を全て実行可能に構成することで、上述した効果を含む様々な効果の全てを奏することができるようになっている。しかし、本発明は、これらの全ての制御を必ず実行するものだけに限定されない。何故なら、本実施形態の各種制御のうちの、少なくとも何れかジョブ処理方法に係わる制御を実行できるようになれば、従来技術で想定している装置やシステムよりも、優れたものになる。又、使い勝手も向上し、効果も得られる。故に、本実施形態で述べている様々なジョブ処理に関係する制御のうちの、少なくとも何れか1つの制御を実行できるものならば、本発明に該当する。
尚、付言しておくと、上記制御部は、処理対象となるジョブの印刷実行要求及び該ジョブにて要するシート処理の実行要求を、該印刷装置自身が具備するユーザインタフェース部の表示部を介して、ユーザから受付可能にする。
且つ、該制御部は、処理対象となるジョブの印刷実行要求及び該ジョブにて要するシート処理の実行要求を、該印刷装置に対してデータ送信可能なコンピュータが具備するユーザインタフェース部の表示部を介して、ユーザから受付可能にする。尚且つ、該制御部は、印刷対象となるデータがリーダ部を介して該HDDに記憶されたジョブにて要する印刷処理を、該ジョブに先行して印刷処理が実行済みの先行ジョブのシート処理に並行して、該プリンタ部により実行可能にする。且つ、該制御部は、該印刷装置に印刷データを送信可能なPCのユーザ操作によるプリンタドライバの起動指示により該PCの表示部に表示可能な印刷設定画面を介して、シート処理の実行要求を、受付可能にする。且つ、該画面を介してシート処理の実行要求がなされたジョブにて要する印刷処理を、該ジョブに先行して印刷処理済みの先行ジョブのシート処理に並行して、該プリンタ部により実行可能にする。例えば、本形態にて表示制御対象となるこのUI画面の1例として、上記の如く、図17A、17BのようなプリンタドライバのUI画面を利用可能に構成する。このように外部ジョブで処理可能にすることで、本システムの利用効率を更に向上可能となる。即ち、上記効果が更に向上可能となる。
又、制御部205は、プリンタ部203で印刷されたジョブのシートに対するシート処理として、以下に列挙するシート処理の少なくとも何れかを含む複数種類のシート処理を本印刷システムが具備するシート処理装置により実行可能に制御している。(1)ステイプル処理、(2)パンチ処理、(3)くるみ製本処理、(4)天糊製本処理、(5)中綴じ製本処理、(6)シートの大量積載処理、(7)断裁処理。これら以外の種類のシート処理も実行可能に構成し(上記制御例ではこれ以外も含め合計9種類で例示した)、上記ジョブ制御を実行可能に構成すれば、上記効果を更に向上させる事も可能である。
又、制御部205は、図30を用いて例示した如く、UI部を介して標準モードの実行要求をユーザから受付けた場合に、上述のジョブA、Bを以下のように処理する。
例えば、ジョブAにて要するシート処理が印刷システム1000にて実行中であり且つジョブBにて要するシート処理が該ジョブAにて要するシート処理とは異なるシート処理であっても、該ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させない。且つ、ジョブAにて要する該シート処理の実行後に、ジョブBにて要する該印刷処理を、プリンタ部203により、実行可能にする。
一方、制御部205は、図30で例示した制御例の如く、UI部を介して高速モードの実行要求をユーザから受付けた場合に、上述のジョブA、Bを含む複数のジョブを以下のように処理する。
例えば、ジョブAにて要するシート処理が印刷システム1000にて実行中であり且つジョブBにて要するシート処理が該ジョブAにて要するシート処理とは異なるシート処理である場合に、次のように処理する。ジョブAのシート処理を実行中に、該シート処理動作に並行して、ジョブBの印刷処理を、プリンタ部203により、開始実行させる。
このような選択制御を本システム1000にて制御部205が実行することで、POD環境では上記高速モードを利用し、オフィス環境では標準モードで利用するといった、利用環境に即した柔軟な運用を行える。即ち、本形態で述べる効果がさらに向上可能となるという効果を奏する。
又、上記制御部205は、本形態にて提供するUI部に対して、以下のような表示制御も実行する。
例えば、本システム1000にて処理対象となる複数のジョブの処理状況を示す表示をリスト形式でUI部に表示させるにあたり、制御部205は、以下に例示するが如くの表示制御を実行する。
例えば、シート処理が実行中のジョブは、シート処理が実行中である事をユーザにより確認可能にする。且つ、印刷処理が実行中のジョブは、印刷処理が実行中である事をユーザにより確認可能にする。このような表示形態でもって、該複数のジョブの処理条件を示す表示を、該UI部により実行させるよう制御部205により制御する。この1例として、先の実施形態にて、制御部205は、図19、20、図22〜図25、図28のような各表示を、ユーザからの要求に応答して、UI部により、実行させている。
このような構成により、複数のジョブを如何に短期間で処理するかが重要視されるPOD環境等の印刷環境にてオペレータの操作性が向上可能となる。即ち、本形態で述べる効果がさらに向上可能となるという効果を奏する。
又、制御部205は、上記ジョブA及びジョブBを含む複数のジョブを処理するにあたり、以下のような制御も実行可能にしている。
例えば、UI部を介してユーザから受付けたシステム1000が具備する複数台のシート処理装置が如何なる順番で前記印刷装置に接続されているかを制御部205が特定するのに要するシステム構成情報を、UI部を介して、ユーザ自身により入力可能にする。且つ、制御部205は、当該情報に基いて、上記の如く、ジョブAにて要するシート処理に並行してジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203で実行させるか否かを決定する。
又、制御部205は、上記ジョブA及びジョブBを含む複数のジョブを処理するにあたり、以下のような制御も実行可能にしている。
例えば、シート処理装置が印刷装置100に接続された際に、システム1000が具備する複数台のシート処理装置が如何なる順番で印刷装置100に接続されているかを制御部205が特定するのに要すシステム構成情報を、該シート処理装置から獲得する。且つ、制御部205が、該シート処理装置から獲得した該情報に基いて、上記の如く、ジョブAにて要するシート処理に並行してジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203で実行させるか否かを決定する。
以上のように構成することで、本システムにて誤作動が発生することなく、上記効果を奏する事ができる等の運用面から見た効果が更に向上可能となるという効果を奏する。即ち、本形態で述べる効果がさらに向上可能となるという効果を奏する。
又、制御部205は、上記ジョブA及びジョブBを含む複数のジョブを処理するにあたり、以下のような制御も実行可能にしている。
例えば、図1のPOD環境10000で定義したように、本印刷環境10000では、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシート処理を、インラインタイプのシート処理装置(図1のシート処理装置200に相当)により実行可能に構成している。且つ、本印刷環境10000では、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシート処理を、ニアラインタイプのシート処理装置(図1のシート処理装置107、108、109に相当)により実行可能に構成している。且つ、本印刷環境10000では、印刷装置100で印刷がなされたジョブのシート処理を、オフラインタイプのシート処理装置(図1のシート処理装置110に相当)により実行可能に構成している。このような構成のもと、上記ジョブAとBが、両方とも、上記インラインタイプのシート処理装置によるシート処理を要するジョブに該当するジョブである場合に、制御部205は、以下のように制御する。例えば、上記の如く、ジョブAにて要するシート処理に並行してジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行可能にする。このように構成することで、インラインタイプのシート処理装置の利用効率が向上可能となる。即ち、本形態で述べる効果がさらに向上可能となるという効果を奏する。
尚、上記制御部205は、以下のような制御も、実行する。
例えば、上記各種制御例を換言すると、制御部205は、上記ジョブAとジョブBの制御を実行するにあたり、以下の判断材料を用いている。
(判断材料1) シート処理装置200の情報。1例としては、例えば、本システム1000はシート処理装置200を具備しているかを制御部205が特定する為の情報である。又、例えば、システム1000がシート処理装置200を具備している場合、如何なる種類のシート処理を実行可能なシート処理装置が何台存在するのかを制御部205が特定する為の情報である。又、例えば、複数台のシート処理装置をシステム1000が具備している場合は、これらのシート処理装置が如何なる順番で印刷装置100に接続されているかを制御部205が特定する為の情報である。このようなシステム1000装置構成情報が、判断材料1である。
(判断材料2) ジョブAにて要するシート処理の種類を特定する情報。
(判断材料3) ジョブAの処理状況(HD209へのデータ記憶中か、プリンタ部203による印刷実行中か、シート処理装置200によるシート処理中か等のジョブ進捗状況)を特定する情報。
(判断材料4) ジョブBにて要するシート処理の種類を特定する情報。
制御部205は、上記のような判断材料情報情報に基いて、上記ジョブA及びジョブBの為に、の少なくとも、以下の何れかの制御を実行する。
(制御1) 上記ジョブAにて要するシート処理の実行中にジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を禁止する。
(制御2) 上記ジョブAにて要する上記シート処理の実行中に上記ジョブBにて要する上記印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を許可する。
このような構成を前提とし、制御部205は、上記制御1を実行する場合でも、上記制御2を実行する場合でも、上記ジョブBの後に印刷実行要求を受付けた他のジョブ(例えば、上記ジョブC)の印刷データを全ページ上記HD209に記憶する事を許可する。
換言すると、制御部205は、上記制御1を実行する場合、以下のようにジョブA、ジョブB、ジョブCを処理するよう本システム1000を制御する。
例えば、ジョブAにて要するシート処理をシート処理装置200により実行中に、ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。この最中に、ジョブCの印刷データを全ページHD209へ記憶させる。
このように、制御部205は、制御1を実行する場合において、(1)ジョブAのシート処理動作と(2)ジョブBの印刷データのプリント動作と(3)ジョブCの印刷データの記憶動作を、同時に(並行して)実行するよう、本システム1000を制御する。
一方、制御部205が、上記制御2を実行する場合、以下のようにジョブA、ジョブB、ジョブCを処理するよう本システム1000を制御する。
例えば、ジョブAにて要するシート処理をシート処理装置200により実行中に、ジョブBにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる事は禁止する。但し、ジョブBの印刷データは全ページHD209に記憶させておく。尚且つ、ジョブCの印刷データも全ページHD209へ随時記憶させる。
このように制御部205は、制御2を実行する場合において、ジョブBの印刷データのプリント動作は実行させないが、(1)ジョブAのシート処理動作と(2)ジョブCの印刷データの記憶動作を同時に(並行して)実行可能に本システム1000を制御する。
尚、ジョブCの印刷処理は、ジョブBの印刷処理がプリンタ部203で完了したうえで、適宜実行させる。しかも、その際に、ジョブBとジョブCに対しても上記と同様の制御を制御部205が実行する。
換言すると、例えば、ジョブAのシート処理が完了後に、制御部205は、ジョブBにて要するシート処理装置200によるシート処理の動作中にジョブCにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事を許可する。或いは、ジョブBにて要するシート処理装置200によるシート処理の動作中にジョブCにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事を禁止する。又、この際に利用する判断材料として、制御部205は、上記判断材料1以外に以下の判断材料を利用する。
(判断材料A) ジョブBにて要するシート処理の種類を特定する情報。
(判断材料B) ジョブBの処理状況(HD209へのデータ記憶中か、プリンタ部203による印刷実行中か、シート処理装置200によるシート処理中か等のジョブ進捗状況)を特定する情報。
(判断材料C) ジョブCにて要するシート処理の種類を特定する情報。
このように、印刷実行要求及びシート処理実行要求がなされた新たなジョブを印刷装置100が受付ける毎に、随時、上記制御を制御部205が実行する。これにより、複数のジョブの全ての処理を完了するのに要する時間を極力減らす事を可能にする。即ち、複数のジョブの生産性が更に向上する。即ち、上記効果が更に向上可能となる。
尚、上記制御を、応用することで、以下のような制御も実行可能に構成している。
例えば、本システム1000が、図8A、8Bのシステム構成である場合に、上記ジョブAは、大容量スタッカによるシートの大量積載処理を要するジョブであるとする。且つ、上記ジョブBは、糊付け製本機による糊付け製本処理を要するジョブであるとする。且つ、これらのジョブの印刷実行要求の受付順序が、ジョブA、ジョブBの順番であるとする。換言すると、制御部205が、ジョブAの印刷データをHD209に記憶させた後に、ジョブBの印刷データをHD209に記憶させたとする。このジョブA、ジョブBは、印刷処理を実行すべきジョブである。しかし、このジョブAとジョブBの両印刷ジョブの印刷実行要求を受付た時点にて、既に、ジョブAやジョブB以外の他のジョブがプリンタ部203にて印刷中であるとする。この場合、制御部205は、ジョブA、ジョブBともに、印刷待ち状態となるよう、HDD209にて印刷を待機させる。
この状況下で、先のジョブが完了後、ジョブA、ジョブBを順番どおり処理させる場合、ジョブAの印刷処理がなされたうえでジョブAにて要するシートの大量積載処理中に、ジョブBの印刷処理をプリンタ部203により実行させる事を禁止する。この制御を実行する理由は、ジョブAにて要するシート処理を実行すべき装置の前段にジョブBにて要するシート処理を実行すべきシート処理装置が存在する事に起因する。換言すると、図18A〜18Dのルール8に従った制御例である。
但し、上記ような状況の場合にて、上記制御を実行せずに、以下に例示が如くの制御を実行しても良い。
例えば、制御部205は、ジョブAとジョブBのプリンタ部203による印刷順序を変更する。即ち、「ジョブA⇒ジョブB」という印刷順序を、「ジョブB⇒ジョブA」という印刷順序に変更する。且つ、制御部205は、ジョブBにて要する前記くるみ製本機によるくるみ製本処理の実行中に該ジョブAにて要する印刷処理をプリント部203により実行させるよう、制御する。何故、この制御を実行するのかの理由は、上記状況は、既に他のジョブが印刷実行中であり、ジョブA、ジョブBともに印刷開始前の状態である。換言すると、上記タイミングでもって、印刷順序を変更すれば、先行ジョブのシート処理中に後続ジョブの印刷処理を実行する事を禁止しないで済む。即ち、複数の印刷待ちジョブの処理順序を変更することで、先行ジョブのシート処理中に後続ジョブの印刷処理を実行可能に制御する。このように、他の印刷ジョブが存在するが為に複数のジョブが印刷待ち状態となっている状況を利用して、この期間中にジョブの処理順序を変更することで、上記制御を採用可能に構成しても良い。これにより、ジョブA、ジョブBの順番で処理したが為に、処理が一時停滞するという現象を発生させることなく、先行ジョブのシート処理動作と後続ジョブの印刷動作との並行動作を実行できる期間を、極力、多くすることが出来る。即ち、上記効果が更に向上する。換言すると、上記構成を採用する事で、以下の制御を実行可能にする。
例えば、図8A、8Bや図9A、9B等に例示した如く、本印刷システムにて3台以上のシート処理装置を具備している場合に、システム最下流に位置するシート処理装置により実行可能なシート処理を要するジョブ(以下、ジョブXと称する)にて要するシート処理動作を実行させる。且つ、当該動作中に、システム最下流から二番目に位置するシート処理装置により実行可能なシート処理を要するジョブ(以下、ジョブYと称する)にて要するシート処理動作を実行させる。且つ、当該動作中に、システム最下流から3番目に位置するシート処理装置により実行可能なシート処理を要するジョブ(以下、ジョブZと称する)にて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。このような2種類のシート処理動作と、プリント動作の合計3つの動作を、本印刷システム1000にて、同時に(並行して)、実行するよう制御部により制御する。
例えば、この制御を実行するにあたり、本システム1000が具備するシステム構成が図8A、8Bである場合、以下のように制御する。
例えば、制御部205は、図8A、8Bのシステムの3番目のシート処理装置に該当する中綴じ製本機による中綴じ製本処理を要するジョブXにて要する中綴じ製本処理を該中綴じ製本機により実行させる。当該動作の実行中に、図8A、8Bのシステムの2番目のシート処理装置に該当するくるみ製本機によるくるみ製本処理を要するジョブYにて要するくるみ製本処理を該くるみ製本機により実行させる。且つ、当該動作の実行中に、図8A、8Bのシステムの3番目のシート処理装置に該当する大容量スタッカによるシート処理を要するジョブZにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始させる。このように、図8A、8Bのシステム構成にて、3つの動作を同時並行に実行するよう本システムを制御する。
又、上記制御を実行するにあたり、本システム1000が具備するシステム構成が図9A、9Bである場合、以下のように制御する。
例えば、制御部205は、図9A、9Bのシステムの3番目のシート処理装置に該当する中綴じ製本機による中綴じ製本処理を要するジョブXにて要する中綴じ製本処理を該中綴じ製本機により実行させる。当該動作の実行中に、図9A、9Bのシステムの2番目のシート処理装置に該当する大容量スタッカによるシートの積載処理を要するジョブYにて要するシートの積載処理を該大容量スタッカにより実行させる。且つ、当該動作の実行中に、図9A、9Bのシステムの3番目のシート処理装置に該当するくるみ製本機によるくるみ製本処理を要するジョブZにて要する印刷処理をプリンタ部203により開始させる。このように、図9A、9Bのシステム構成にて、3つの動作を同時並行に実行するよう本システムを制御する。
又、上記図8A〜図10Bで例示した各種制御例では、複数台のインラインフィニッシャが互いに異なる種類のシート処理を実行するシート処理装置同士であった。しかし、これに限定されない。例えば、印刷装置100に大容量スタッカ2台をカスケード接続するといったシステム構成でも良い。このように本実施形態は、本印刷システム1000のシステム構成の1例として、同じ種類のシート処理を実行可能なインラインタイプのシート処理装置を複数台接続したシステム構成も許可する。このような構成においても、図29等で例示した制御例を実行可能に構成する。例えば、先行ジョブが、印刷装置100に対する接続順序がシート搬送方向上流側から数えて2番目のシート処理装置(以下、この装置を、図3等の例示に従い、シート処理装置200bとする)によるシート処理を要する、ジョブであるとする。他方、後続ジョブが、印刷装置100に対する接続順序がシート搬送方向上流側から数えて1番目のシート処理装置(以下、この装置を、図3等の例示に従い、シート処理装置200aとする)によるシート処理を要する、ジョブであるとする。このようなケースで、且つ、先行ジョブにて要する印刷処理がプリンタ部203により実行されたうえで、現在、シート処理装置200bにより該先行ジョブのシート処理動作中であるとする。この場合に、制御部205は、該先行ジョブのシート処理装置200bによるシート処理動作の実行中に、シート処理装置200aによるシート処理を要する上記後続ジョブの為の印刷処理をプリンタ部203により開始実行させる事を許可する。これにより、例えば、同じシート処理を実行可能なインラインフィニッシャを複数台カスケード接続したシステム構成からなる本印刷システム1000を要求するようなPOD業者に対しても上記効果を提供可能となる。
このように各種制御を本印刷システム1000にて実行可能に構成することで、上述した本形態の効果が更に一層向上可能となるという効果を奏する事も可能となる。尚、上記図1〜31を用いて説明した本形態の各種制御を実行する制御部205は、本形態では印刷装置100内部に内蔵されている。しかし、この制御部205が実行する本形態に開示する制御の全ての制御又は一部の制御を、印刷装置100以外の装置(例えば、インラインフィニッシャやサーバPC103)に内蔵される制御ユニットが、実行するように、本システム1000を構成しても良い。
以上、図1〜図31で例示した制御を実行可能にした本印刷システム1000は、本形態の狙う効果を奏す為の様々な仕組みを具備する。
[その他の実施形態]
本実施形態における図に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータ(例えば、PC103やPC104)により遂行されていてもよい。尚、この場合に、各操作画面を含む本形態で述べた操作画面と同様の操作画面を表示させる為のデータを外部からインストールし、該ホストコンピュータの表示部に上記各種のユーザインターフェース画面を提供可能に構成する。この一例として、本例では、図17A、17BのUI画面による構成でもって、これを説明している。このような構成の場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。