JP2008132168A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

【課題】ボールのスピン量をより多く得られるゴルフクラブヘッドを提供すること。
【解決手段】フェース面と、前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、前記フェース面に形成された複数の細溝と、を備え、前記複数の細溝の配列方向と前記スコアライン溝とがなす角度が、前記スコアライン溝のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明はゴルフクラブヘッドに関するものである。

ゴルフクラブヘッドのフェース面には、マーキングライン、スコアライン或いはフェースライン溝と呼ばれる溝（本書においてはスコアライン溝と称する。）が複数形成されている。スコアライン溝はボールのスピン量に影響する。アイアン型のゴルフクラブヘッド、とりわけウェッジ型のゴルフクラブヘッドの場合には、ボールのスピン量が増大するように、この溝が形成されることが望ましい。また、ボールのスピン量はフェース面の表面粗さも影響する。特許文献１にはフェース面にスコアライン溝とは別に複数の細溝を形成したゴルフクラブヘッドが開示されている。

特許第３０００９２１号公報

ここで、サンドウエッジ、アプローチウエッジ等のウエッジ型のゴルフクラブヘッドの場合には、フェース面をターゲット方向に直角に向ける場合、開く場合、閉じる場合がある。例えば、ボールを高く上げる場合には、通常、フェース面を開いてゴルフクラブを使用する。また、ボールを転がす場合には、通常、フェース面を閉じてゴルフクラブを使用する。フェース面をターゲット方向に直角に向ける場合及び開く場合には、ボールのスピン量がより多いことが望ましく、特に、フェースを開く場合にはボールのスピン量が多いことが望ましい。

従って、本発明の目的は、ボールのスピン量をより多く得られるゴルフクラブヘッドを提供することにある。

本発明によれば、フェース面と、前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、前記フェース面に形成された複数の細溝と、を備え、前記複数の細溝の配列方向と前記スコアライン溝とがなす角度が、前記スコアライン溝のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。

本発明のゴルフクラブヘッドでは、前記複数の細溝を設けたことにより、ボールと前記フェース面との摩擦力を向上し、ボールのスピン量をより多く得られる。また、前記複数の細溝の配列方向と前記スコアライン溝とがなす角度を、前記スコアライン溝のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下としたことにより、前記フェース面を開いてゴルフクラブを使用する場合に、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

また、本発明によれば、フェース面と、前記フェース面に形成された複数の細溝と、を備えたゴルフクラブヘッドであって、前記ゴルフクラブヘッドを規定のライ角及びロフト角で水平面上に設置した場合に、前記複数の細溝の配列方向と、前記フェース面と平行な水平方向とがなす角度が、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。

本発明のゴルフクラブヘッドでは、前記複数の細溝を設けたことにより、ボールと前記フェース面との摩擦力を向上し、ボールのスピン量をより多く得られる。また、前記複数の細溝の配列方向と、前記フェース面と平行な水平方向とがなす角度を、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下としたことにより、前記フェース面を開いてゴルフクラブを使用する場合に、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

以上述べた通り、本発明によれば、ボールのスピン量をより多く得られるゴルフクラブヘッドを提供することができる。

図１は本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドＡの外観図である。同図の例はアイアン型のゴルフクラブヘッドに本発明を適用した例を示す。本発明はボールのスピン量が多いことが要求されるゴルフクラブヘッドに好適であり、特にサンドウェッジ、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ等のウェッジ型のゴルフクラブヘッドに好適である。しかし、本発明はウッド型やユーティリティー型のゴルフクラブヘッドにも適用できる。

ゴルフクラブヘッドＡは、そのフェース面１０に複数のスコアライン溝２０が形成されている。フェース面１０はゴルフボールの打撃面である。本実施形態の場合、各々のスコアライン溝２０はトウ−ヒール方向に延在した直線状の溝であり、各々のスコアライン溝２０の配設間隔（ピッチ）は等間隔（等ピッチ）であり、互いに平行に形成されている。

図２はスコアライン溝２０近傍の、その長手方向（トウ−ヒール方向）に直交する方向の断面図である。本実施形態において、スコアライン溝２０の断面形状は、その長手方向の両端部を除き、同じである。また、各々のスコアライン溝２０の断面形状は同じであり、台形状をなしている。

図１及び図２を参照して、フェース面１０には複数の細溝３０が形成されている。細溝３０はその断面積がスコアライン溝２０の断面積よりも小さい溝であり、本実施形態の場合、著しく小さく形成されている。本実施形態の場合、各々の細溝３０は円弧線状をなしており、互いに重ならないように形成されている。また、本実施形態の場合、各々の細溝３０は、同じ半径の円の円弧である。

図１において、矢印ｄ０は複数の細溝３０の配列方向を示している。本実施形態の場合、上記の通り、各々の細溝３０は同じ半径の円の円弧である。配列方向ｄ０は各々の細溝３０の円弧の円の中心を通る方向として定義される。配列方向ｄ０と、スコアライン溝２０の長手方向とがなす角度θ０は、スコアライン溝２０のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下である。図１に示した細溝３０の場合、角度θ０は約４５度である。

角度θ０は配列方向ｄ０とスコアライン溝２０との関係以外の方法で規定することもできる。図９は角度θ０の他の規定方法の説明図である。同図の例において角度θ０は、ゴルフクラブヘッドをその規定のライ角及びロフト角で水平面ＨＳ上に設置した場合に、細溝の配列方向ｄ０と、フェース面と平行な水平方向ＨＬとがなす角度として規定される。

図９の例の場合も、角度θ０はゴルフクラブヘッドのトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下である。図９の例の角度θの規定方法は、例えば、スコアライン溝を設けないゴルフクラブヘッド、或いは、スコアライン溝が変則的に設けられたゴルフクラブヘッドにおける細溝の配列方向を規定する場合に活用できる。

細溝３０はミーリング加工による切削跡として形成することができる。ミーリング加工は例えばフライス盤を用いて行なうことができる。図３はフライス盤を用いた細溝３０の加工方法を示す図である。フライス盤は鉛直軸Ｚ回りに回転駆動されるスピンドル２を有し、スピンドル２の下端には切削工具（エンドミル）１が取り付けられている。細溝３０が未加工のゴルフクラブヘッドＡはフェース面１０を水平にして冶具３を介してフライス盤に固定される。切削工具１の刃部１ａは、鉛直軸Ｚから距離ｒｔだけ離間している。距離ｒｔは細溝３０の円弧の円の半径となる。

図４は細溝３０のミーリング加工時の切削工具１の移動軌跡を示す平面視図である。切削工具１とゴルフクラブヘッドＡとの相対移動方向（水平方向）は、細溝３０の配列方向ｄ０と一致する。切削工具１をゴルフクラブヘッドＡに対して、相対的に、配列方向ｄ０に移動しながら、フェース面１０を切削工具１で切削することにより、複数の細溝３０が形成される。各々の細溝３０の円弧の円の中心、すなわち、鉛直軸Ｚの位置は配列方向ｄ０を通過する。従って、配列方向ｄ０は各々の細溝３０の円弧の円の中心を通る方向となる。切削工具１によるフェース面１０の切り込み深さ、切削工具１の相対移動速度により、細溝３０の深さ及び幅、ピッチが調節される。

次に、細溝３０の効果について説明する。本実施形態では複数の細溝３０を設けたことにより、フェース面１０を鏡面加工とした場合と比べて、その表面粗さ粗くなる。フェース面１０の表面粗さが粗くなることで、ボールとフェース面１０との摩擦力が向上し、ボールにスピンがかかり易くなる。フェース面１０の表面粗さが粗い程ボールにスピンがかかり易くなるが、ボールに傷がつきやすくなる。

従って、フェース面１０のうち、細溝３０を形成した部分の表面粗さは、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることが望ましい。また、最大高さ（Ｒｙ）で言えば２５μｍ以下であることが望ましい。フェース面１０の表面粗さをこの数値範囲内とすれば、公式競技用のゴルフクラブヘッドのフェース面の表面粗さに関する規定も満たされる。

次に、本実施形態では、複数の細溝３０の配列方向ｄ０とスコアライン溝２０とがなす角度θ０を、４０度以上７０度以下としたことにより、フェース面１０を開いてゴルフクラブヘッドＡを装着したゴルフクラブを使用する場合に、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。これを図５（Ａ）及び（Ｂ）を参照して説明する。

図５（Ａ）はフェース面１０をターゲット方向に直角に向けた場合を示し、図５（Ｂ）はフェース面１０を開いた場合を示している。なお、図５（Ａ）及び図５（Ｂ）において細溝３０は図示省略されている。また、図５（Ａ）及び図５（Ｂ）において、矢印は打撃時のフェース面１０に対するボールの相対移動方向を示す。

上述した通り、本実施形態では、複数の細溝３０を設けたことにより、フェース面１０の表面粗さ粗くなり、図５（Ａ）及び（Ｂ）のいずれの場合においてもボールにスピンがかかり易くなる。図５（ｂ）に示すように、フェース面１０を開いた場合には、打撃時にボールはスコアライン溝２０を斜めに横切るようにしてフェース面１０上を摺動することになる。

本実施形態では、複数の細溝３０の配列方向ｄ０とスコアライン溝２０とがなす角度θ０を４０度以上７０度以下としたことにより、図５（ｂ）に示すように、フェース面１０を開いた場合に、ボールが摺動する細溝３０の数がより多くなる。換言すれば、ボールの相対移動方向と細溝３０との角度が直角に近くなる。従って、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

なお、本実施形態では細溝３０の形状を円弧線状としたが直線状としてもよい。図６は本発明の他の実施形態に係るゴルフクラブヘッドＢの外観図である。ゴルフクラブヘッドＢは複数の細溝４０が直線状をなしている点以外はゴルフクラブヘッドＡと同じである。

複数の細溝４０は互いに平行に形成されている。本実施形態のように、複数の細溝４０を直線状とした場合、その配列方向ｄ０'は各々の細溝４０と直交する方向として定義される。配列方向ｄ０'と、スコアライン溝２０の長手方向とがなす角度θ０'は、スコアライン溝２０のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下である。

このように、細溝４０を直線状とした構成の場合も、ボールにスピンがかかり易くなり、特に、フェース面１０を開いた場合にボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

図７は本発明の実施例１及び２と、比較例１乃至７とで、ボールのスピン量を測定した実験の結果を示す。実施例１及び２並びに比較例１乃至７はいずれもロフト角が５６度のサンドウエッジであり、そのゴルフクラブヘッドとして図１に示した円弧状の細溝３０を有するゴルフクラブヘッドを用いた。実施例１及び２並びに比較例１乃至７のいずれにおいても、細溝３０は半径（図３のｒｔ）が３７．５ｍｍの切削工具を用いてミーリング加工により形成した。

図７において「θ０」は図１に示したθ０であり、細溝３０の配列方向ｄ０とスコアライン溝２０とがなす角度である。「Ｒａ」はフェース面１０のうち、細溝３０を形成した部分の表面粗さ（算術平均粗さ）の実測値である。

図７において「スピン量」はボールのスピン量を示す。ボールのスピン量はボールの表面にマークを予め付したおき、インパクト時のボールをビデオカメラで撮影してマークの位置の変化により算出したものである。

実験は、実施例１及び２並びに比較例１乃至７のゴルフクラブを用いて、３人の試験者がラフから４０ヤード先の目標を狙ってボールを打つことにより行なった。３人の試験者は、フェース面１０を目標方向に直角とした場合、フェース面１０を開いた場合で、それぞれ５球ずつボールを打った。なお、フェース面１０を開く角度は試験者の自由とした。

図７の「スピン量」のうち、「ノーマル」はフェース面１０を目標方向に直角とした場合のボールのスピン量の平均値、「オープン」はフェース面１０を開いた場合のボールのスピン量の平均値である。

図８（Ａ）は図７の実験結果を「スピン量」−「Ｒａ」の関係でグラフ化したものである。「ノーマル」の場合、「オープン」の場合のいずれの場合でも、フェース面１０の表面粗さが粗い程、ボールのスピン量が増加していることが分かる。また、「Ｒａ」が４μｍ近傍からプロット線の傾きが大きくなり、スピン量が特に増加していることから、フェース面１０の表面粗さ「Ｒａ」は４μｍ以上であることが望ましいと言える。但し、上述した通り、フェース面１０の表面粗さが粗い程、ボールに傷がつきやすくなることや、公式競技用のゴルフクラブヘッドのフェース面の表面粗さに関する規定を考慮すると、フェース面１０の表面粗さ「Ｒａ」は４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることが望ましいと言える。

図８（Ｂ）は実施例１及び２と比較例５乃至７について、図７の実験結果を「スピン量」−「θ０」の関係でグラフ化した図である。なお、実施例１及び２と比較例５乃至７はフェース面１０の表面粗さが同じである（Ｒａ：４．４μｍ）。

「ノーマル」の場合、「オープン」の場合のいずれの場合でも、θ０が０度から５５度近傍まではスピン量が増加し、５５度近傍を超えるとスピン量が低下していることが分かる。５５度近傍を中心としてθ０が３０度程度〜８０度程度の範囲では、「オープン」の場合に７０００ｒｐｍ以上のスピン量が得られており、θ０が４０度以上７０度以下であると「オープン」の場合のボールのスピン量を十分に得られると言える。

本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドＡの外観図である。 スコアライン溝２０近傍の、その長手方向（トウ−ヒール方向）に直交する方向の断面図である。 フライス盤を用いた細溝３０の加工方法を示す図である。 細溝３０のミーリング加工時の切削工具１の移動軌跡を示す平面視図である。 （Ａ）はフェース面１０をターゲット方向に直角に向けた場合を示す図であり、（Ｂ）はフェース面１０を開いた場合を示す図である。 本発明の他の実施形態に係るゴルフクラブヘッドＢの外観図である。 本発明の実施例１及び２と、比較例１乃至７とで、ボールのスピン量を測定した実験の結果を示す図である。 （Ａ）は図７の実験結果を「スピン量」−「Ｒａ」の関係でグラフ化した図、（Ｂ）は図７の実験結果を「スピン量」−「θ０」の関係でグラフ化した図である。 角度θ０の他の規定方法の説明図である。

符号の説明

Ａ、Ｂ ゴルフクラブヘッド
１０ フェース面
２０ スコアライン溝
３０ 細溝

Claims (5)

1. フェース面と、
   前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、
   前記フェース面に形成された複数の細溝と、を備え、
   前記複数の細溝の配列方向と前記スコアライン溝とがなす角度が、前記スコアライン溝のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 各々の前記細溝が円弧線状をなし、
   前記配列方向が、各々の前記細溝の前記円弧の円の中心を通る方向であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 前記複数の細溝は、ミーリング加工により形成されたことを特徴とする請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 前記フェース面の前記細溝を形成した部分の表面粗さが、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
5. フェース面と、
   前記フェース面に形成された複数の細溝と、
   を備えたゴルフクラブヘッドであって、
   前記ゴルフクラブヘッドを規定のライ角及びロフト角で水平面上に設置した場合に、前記複数の細溝の配列方向と、前記フェース面と平行な水平方向とがなす角度が、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。

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