JP2008038090A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】普通紙等に印字した際に、印字濃度に優れたインクジェット記録用水系インク、そのインクに用いられる水分散体を提供する。
【解決手段】着色剤、及び複数の一次粒子が連結されてなる金属酸化物二次粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体であって、金属酸化物がシリカ、酸化チタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録用水系インク、及び該水系インクに使用するインクジェット記録用水分散体に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特許文献1には、保存安定性、特に長期保存安定性と印字画像の耐水性を同時に満足することを目的として、顔料、水溶性有機溶剤、及び50〜90重量%のスチレンモノマーと酸基を有するモノマー成分からなる共重合樹脂を含有し,顔料に対して0.01〜10重量%の無機酸化物微粒子を含有する水性顔料分散液が開示されている。
また、特許文献2には、鮮明性が良好で、且つ高品位な印字が可能であり、印字記録物が十分な耐水性および耐光性を有するものとして、顔料およびコロイダルシリカを含む水性インクジェット用記録液が開示されている。
更に、特許文献3には、記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、また得られた耐擦性に優れた画像を得ることを目的として、顔料、無機酸化物コロイド、アルカリ金属水酸化物、および水性溶媒を含有するインクジェット記録用インク組成物が開示されている。
また、特許文献4には、高いインクの吸収性を有し、高品位の画像形成を可能にするものとして、平均粒子径10〜50nmの球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が水中に分散されてなるシリカゾルと水性樹脂を含有するインクジェット記録におけるインク受容層用コーティング組成物が開示されている。
しかし、上記特許文献に開示された水系インクでは、普通紙に印字した際の印字濃度が未だ十分ではなかった。
特開2004−91590号公報 特開平9-227812号公報 特開平11−12516号公報 国際公開第00/15552号パンフレット
本発明は、普通紙等に印字した際に、印字濃度に優れたインクジェット記録用水系インク、及びそのインクに用いられるインクジェット記録用水分散体に関する。
本発明は、着色剤、及び複数の一次粒子が連結されてなる金属酸化物二次粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体であって、金属酸化物がシリカ、酸化チタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水分散体、及び前記水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクに関する。
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクにより、普通紙等に印字する際に、高い印字濃度を達成することができる。
(複数の一次粒子が連結されてなる金属酸化物二次粒子)(以下、単に金属酸化物二次粒子という)
本発明に用いられる金属酸化物はシリカ(酸化珪素)、酸化チタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上である。これらの中では分散安定性の点からシリカが好ましい。
本発明において、金属酸化物二次粒子は、印字濃度を向上させる観点から用いられる。金属酸化物二次粒子を構成する「一次粒子」とは、「金属酸化物一次粒子」のことであり、金属酸化物二次粒子の構成単位となる接合前の金属酸化物微粒子のことである。金属酸化物微粒子には、通常、コロイダル粒子を用いる。その形状については特に制限はなく、球状であっても、細長状であってもよい。
金属酸化物二次粒子は、金属酸化物一次粒子同士が連続して複数連結したものである。「連結」とは、化学結合により連続して複数結合することであり、例えばシリカの場合はシロキサン結合等を意味する。金属酸化物二次粒子を製造する際には、金属酸化物一次粒子同士を結合するのに介在させる物資として他の金属酸化物を用いてもよい。このような金属としては、Ba,Ca,Mg等の2価の金属やAl等の3価の金属などが挙げられる。
金属酸化物一次粒子同士が接合した接合部位は、形成された金属酸化物二次粒子において、その部位がくびれを有する場合であっても有さない場合であってもよく、これは製造方法に依存して、いずれの形態も達成し得る。上記くびれを有する場合は、上記数珠状の金属酸化物粒子となり、これは複数の一次粒子が数珠状、ダンベル状、ネックレス状等に連結されたものを含み、くびれを有さない場合は、細長形状の金属酸化物粒子となる。
上記数珠状金属酸化物粒子の接合部のくびれの形状あるいは程度については、特に制限はなく、くびれがようやく認識できる程度のものから大きなくびれを有するもの、例えば糸状の接合部を有するものまで、いずれも包含する。また、くびれの形状についても、その断面が半円などの部分円状、台形状、その他四角形等のものをいずれも制限なく包含することができる。本発明においては、印字濃度等の点から、複数の一次粒子が数珠状に連結してなる数珠状金属酸化物粒子、複数の一次粒子が細長形状に連結してなる細長形状金属酸化物粒子いずれも好ましく用いられる。
金属酸化物二次粒子の形状は、直線状に伸びた形状であっても、二次元的、もしくは三次元的に湾曲した形状であってもよい。また線状であっても分岐したものであってもよい。
本発明において、「複数の一次粒子」とは、2以上の金属酸化物一次粒子を指し、印字濃度の観点から、好ましくは2〜100の金属酸化物一次粒子であり、更に好ましくは5〜50の金属酸化物一次粒子である。
上記金属酸化物二次粒子の形状、金属酸化物二次粒子を構成する一次粒子の形状、数等については、電子顕微鏡等の方法により確認することができる。数については、電子顕微鏡写真で観測される50個の金属酸化物二次粒子を構成する一次粒子数の平均値として求めることができる。
金属酸化物二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、印字濃度の観点から、好ましくは1〜100nm、更に好ましくは5〜80nmであり、電子顕微鏡写真で観測される50個の金属酸化物一次粒子の平均直径で表わされる。具体的には、後述する実施例記載の方法により測定することができる。
一次粒子の平均直径は、金属酸化物二次粒子が細長形状である場合、電子顕微鏡写真における、金属酸化物二次粒子の任意の50箇所で測定した太さ(直径)の平均値として求めることができ、金属酸化物二次粒子がくびれを有し数珠状である場合、電子顕微鏡写真における、50個の各数珠の直径の平均値として求めることができる。各数珠に長径と短径がある場合、即ち各数珠が細長状である場合は、短径を測定する。
また、金属酸化物二次粒子の平均粒子径は、印字濃度の観点から、好ましくは40〜300nm、より好ましくは40〜200nm、更に好ましくは60〜200nmである。この平均粒子径は動的光散乱法によって測定することができ、具体的には、後述する実施例記載の方法により測定することができる。
金属酸化物がシリカである場合、シリカ二次粒子は、国際公開第00/15552号パンフレットの請求の範囲第2項、及びそれに関する明細書の開示部分に記載の方法、特許2803134号公報、特許2926915公報の請求項2及びそれに関する明細書の開示部分に記載の方法、等、あるいはこれに準じて製造することができる。
本発明に使用することができる上記シリカ二次粒子の具体例としては、日産化学工業株式会社製の「スノーテックス−OUP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、同「スノーテックス−UP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、同「スノーテックスPS−M」(平均二次粒子径:80〜150nm)、同「スノーテックスPS−MO」(平均二次粒子径:80〜150nm)、同「スノーテックスPS−S」(平均二次粒子径:80〜120nm)、同「スノーテックスPS−SO」(平均二次粒子径:80〜120nm)、「IPA−ST−UP」(平均二次粒子径:40〜100nm)、扶桑化学工業株式会社製の「クォートロンPL−7」(平均二次粒子径:130nm)等が挙げられる。
酸化チタン二次粒子の具体例としては、触媒化成 PW−6030(93nm)、酸化セリウム二次粒子の具体例としては、多木化学 ニードラールP−10(49nm)等が挙げられる。
上記金属酸化物二次粒子は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられる金属酸化物二次粒子は、インク成分としてノズルから記録紙上に吐出された際、記録紙の紙繊維に引っ掛かることで、記録紙の内部に浸透し難く、これによりインクに用いられている着色剤の記録紙内部への浸透が抑制され、印字濃度が向上すると考えられる。
本発明においては、上記金属酸化物二次粒子を分散体に添加する場合は、その形態については特に制限はないが、通常はゾル形態である。
(着色剤)
本発明のインクジェット記録用水分散体に用いられる着色剤としては、耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、近年要求が強い高耐候性等を発現させるため、顔料を用いることが好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー等を用いて、インク中で安定に分散させて使用できる。特に染料は、金属酸化物二次粒子による印字濃度の観点から、水不溶性ポリマー粒子中に含有させて使用することが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料を用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180; C.I.ピグメント・レッド 48, 57:1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202; C.I.ピグメント・バイオレット19, 23; C.I.ピグメントブルー15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, 60;及びC.I.ピグメント・グリーン7, 36からなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料はその種類に特に制限はなく、水不溶性ポリマー粒子中に含有させる場合は、水不溶性ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、水不溶性ポリマーの製造時に使用する有機溶媒に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
分散染料としては、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、及びC.I.ディスパーズ・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
着色剤が顔料である場合、顔料の平均一次粒子径は、顔料の分散性、印字濃度、プリンターのノズルの目詰まり防止の観点から、40〜180nmが好ましく、50〜170nmが更に好ましく、70〜140nmが特に好ましい。
顔料の平均一次粒子径は、透過電子顕微鏡を用いて測定することができ、具体的には日本電子株式会社の透過電子顕微鏡の画像解析で500個測定し、平均を算出した数平均粒子径で表わすことができる。なお、顔料に長径と短径がある場合は、長径を用いて算出する。
顔料の中でも、自己分散型顔料は印字濃度、分散安定性等の観点から好ましい。自己分散型顔料は、アニオン性親水基又はカチオン性親水基である塩生成基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。
ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基等が挙げられる。
アニオン性親水基としては、顔料粒子を水系媒体に安定に分散しうる程度に十分に親水性が高いものであれば、任意のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO31)、リン酸基(−PO31 2)、−SO2NH2、−SO2NHCOR1又はそれらの解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3 - 1)等が挙げられる。
上記式中、M1は、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム基;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基;モノメタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウムである。
1は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
これらのアニオン性親水基の中では、分散安定性の点から、特にカルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO31)が好ましい。
カチオン性親水基としては、アンモニウム基、アミノ基等が挙げられる。自己分散型顔料に用いられる顔料としては特に制限はなく、前述の無機顔料及び有機顔料が挙げられるが、これらの中では、分散安定性の観点から、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。
アニオン性親水基又はカチオン性親水基の存在比は、特に限定されるものではないが、自己分散型顔料1g当たり50〜5,000μmol/gが好ましく、100〜3,000μmol/gがより好ましい。
自己分散型顔料の平均粒子径は、該分散体の安定性の観点から、40〜300nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。なお、自己分散型顔料の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができ、具体的には実施例記載の方法で行う。
自己分散型顔料(カーボンブラック)としては、CAB−O−JET 200、同300(キャボット社製)やBONJET CW−1、同CW−2(オリヱント化学工業株式会社製)、東海カーボン株式会社のAqua−Black 162(カルボキシ基として約800μmol/g)等が市販品として挙げられる。
自己分散型顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(水分散体/水系インク)
着色剤と金属酸化物二次粒子とを含有してなる、本発明の水分散体の製造においては、前記各成分はいかなる順序で混合してもよい。本発明の水分散体は、上記金属酸化物二次粒子とともに、本発明の効果を損なわない範囲において、金属酸化物一次粒子を含有してもよい。
本発明のインクジェット記録用水分散体及び水系インク中の各成分の含有量は以下のとおりである。
金属酸化物二次粒子の含有量は、印字濃度を高め、良好な分散安定性を付与する観点から、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜4重量%である。
着色剤の含有量は、印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは4〜8重量である。
着色剤と金属酸化物二次粒子の含有比率[(着色剤/金属酸化物二次粒子)重量比]は、金属酸化物二次粒子による印字濃度向上効果を発揮させ、水分散体、水系インク中での良好な分散安定性を得るために、好ましくは0.1〜20であり、より好ましくは0.5〜10、更に好ましくは2〜5である。
顔料と金属酸化物二次粒子の平均粒径比率(顔料の平均粒径/金属酸化物二次粒の平均粒径)は、金属酸化物二次粒子による印字濃度向上効果を発揮させ、水分散体、水系インク中での良好な分散安定性を得るために、好ましくは1/5〜5/1であり、より好ましくは1/3〜3/1である。
本発明の水分散体は、そのまま水を主溶媒とする水系インクとして用いてもよいが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
本発明の水分散体は、水を主溶媒とする水系インクであり、 本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては30〜65mN/m、さらに好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、23〜50mN/mであり、好ましくは23〜45mN/m、より好ましくは23〜40mN/m、更に好ましくは23〜30mN/mである。
本発明の水分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、1〜12mPa・sが好ましく、1〜9mPa・sが更に好ましく、2〜6mPa・sがより好ましく、2〜5mPa・sが特に好ましい。
本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましく、2.5〜6mPa・sが特に好ましい。
(印字濃度向上方法)
本発明の印字濃度向上方法においては、本発明の水系インクをインクジェット記録に用いることにより、印字物の印字濃度を向上することができる。その際、被印字体は限定されず、一般に入手可能な普通紙、専用紙をいずれも使用できるが、金属酸化物微粒子による本発明の効果を発揮させる観点から、普通紙を用いることが好ましい。
本発明の印字濃度向上方法は、本発明の水系インクを用いるものであれば、いずれのインクジェット記録方法にも適用できるが、特に本発明の水系インクを普通紙で、高印字速度のプリンターに用いる場合に適しており、例えば、好ましくは3〜30枚/分、更に好ましくは5〜30枚/分、特に好ましくは10〜30枚/分の印字速度で印刷する場合に好適である。尚、前記印字速度は電子情報技術産業協会(JEITA)が提供する標準パターン(J6)(A4サイズ)を使用し、プリンターの印字モードを高速(ファイン)で印字した場合とする。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
実施例1〜3及び比較例1、2
以下のインク組成成分を、全体で100重量部になるように25℃で混合、撹拌して分散液を調製し、この分散液を0.8ミクロンのフィルターによって濾過し、水系インクを得た。
(インク組成)
・自己分散カーボンブラック水分散体(オリエント化学工業株式会社製、商品名:BONJET CW−2、固形分15%、平均粒子径:150nm)
顔料固形分として7重量部
・シリカ二次粒子(表1に示す) 固形分として2重量部
・グリセリン 5重量部
・2−ピロリドン 5重量部
・イソプロピルアルコール 2重量部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製) 1重量部
・水 残量
なお、比較例1では、シリカ粒子のかわりに水を添加した。
得られた水系インクの(1)吐出性、(2)印字濃度を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
(1)吐出性
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:PM−930C)を用い、高品位専用紙(キヤノン株式会社製)に、ファインモード(高速印字モード)でベタ印字し、乾燥させた後、下記の基準により、目視で評価した。
〔評価基準〕
○:よれ、ぬけがない
△:よれがある
×:よれ、ぬけがある
ここで、「よれ」とは、吐出していないノズルはないが、細い白い筋が入る場合をいい、「ぬけ」とは、吐出していないノズルがあり、太い白い筋が入る場合をいう。
(2)印字濃度
前記プリンターを用い、PPC用再生紙(日本加工製紙株式会社製)にベタ印字し、室温にて24時間自然乾燥させた後、その光学濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD918)で測定した。
〔評価基準〕
○:印字濃度1.45以上
△:印字濃度1.40以上1.45未満
×:印字濃度1.40未満
なお、金属酸化物(シリカ)一次粒子の平均粒子径、複数の一次粒子が連結されてなる金属酸化物(シリカ)二次粒子の平均粒子径、及び自己分散型顔料の平均粒子径は以下の方法で測定した。
(3)金属酸化物(シリカ)一次粒子の平均粒子径
日本電子製透過電子顕微鏡JEM2100FXで撮影した写真において、目視で50個の一次粒子の粒子径を測定し、それらを平均した値を平均粒子径とした。
(4)金属酸化物(シリカ)二次粒子と自己分散型顔料の平均粒子径の測定方法
平均粒子径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
Figure 2008038090

Claims (9)

  1. 着色剤、及び複数の一次粒子が連結されてなる金属酸化物二次粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体であって、金属酸化物がシリカ、酸化チタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる1種以上である、インクジェット記録用水分散体。
  2. 金属酸化物二次粒子が、数珠状又は細長形状である、請求項1記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. 着色剤が自己分散型顔料である、請求項1又は2に記載の水分散体。
  4. 動的光散乱法によって測定して得られた、前記金属酸化物二次粒子の平均粒子径が40〜300nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の水分散体。
  5. 前記金属酸化物二次粒子の含有量が0.1〜15重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の水分散体。
  6. 着色剤と前記金属酸化物二次粒子との含有比率(着色剤/金属酸化物二次粒子)が重量比で0.1〜20である、請求項1〜5のいずれかに記載の水分散体。
  7. 金属酸化物がシリカである、請求項1〜6のいずれかに記載の水分散体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  9. 請求項8記載の水系インクをインクジェット記録に用いる、印字濃度向上方法。
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