JP4420461B2 - 記録方法、インクカートリッジ及び画像形成方法 - Google Patents
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(1)インク中に分散状態で存在している顔料を、記録媒体表面で強制的に凝集させる場合には、インク滴の体積に比較して、記録媒体表面を色材で被覆することのできる面積(いわゆる、エリアファクター)が十分でない場合がある。従って、同じ画像濃度を得るために必要となるインクの付与量が多くなるという課題。
(2)インクの浸透性を高める場合には、当該インクは記録媒体の表面ばかりでなく、記録媒体の厚み方向へも浸透してしまい、記録媒体の表面近傍に高濃度で色材を分布させることができず、高画像濃度を達成できないという課題。
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有することを特徴とする。
相対的に高濃度の記録を行う際には第1の水性インクを用い、相対的に低濃度の記録を行う際には第2の水性インクを用い、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)及び貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有することを特徴とする。
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)及び貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有し、
且つ、ブリストウ法によって求められる、前記複数の水溶性有機溶剤各々のKa値のうち最大のKa値を示す水溶性有機溶剤が前記貧溶媒であり、
且つ、前記貧溶媒が、前記良溶媒よりも先行して記録媒体に浸透し、記録媒体表面側での前記良溶媒中の前記顔料の凝集を補助することを特徴とする。
前記インクが、相対的に高濃度の記録を行う際に用いる第1の水性インク、及び、相対的に低濃度の記録を行う際に用いる第2の水性インク、を含み、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有する
ことを特徴とする。
本発明にかかる第1の水性インクは、少なくとも、水、水不溶性色材、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記複数の水溶性有機溶剤が、前記水不溶性色材に対する良溶媒及び貧溶媒であり、且つ、水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であることを特徴とする。かかる第1の水性インク中においては、水、水不溶性色材に対する良溶媒及び貧溶媒を含む複数の水溶性有機溶剤、水不溶性色材は所定の比率で混合され、水不溶性色材の分散安定性が保たれている。
ここで、本発明にかかる第1の水性インクによる画像形成のメカニズムについて例を挙げて説明する。本発明にかかる第1の水性インクが、記録媒体、特に普通紙上に印字された場合には、以下に述べるような理由によって、非常に優れた画像濃度及び印字品位をもたらすことが可能になると考えられる。
本発明にかかる第2の水性インクは、少なくとも、水、水不溶性色材、水溶性有機溶剤を含有し、前記水溶性有機溶剤が、前記水不溶性色材に対する良溶媒であり、且つ、第1の水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計(質量%)をA、貧溶媒の含有量の合計(質量%)をBとしたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有することを特徴とする。
ここで、本発明にかかる第2の水性インクによる画像形成のメカニズムについて図14及び図15を用いて説明する。
上記したような想定メカニズムの下で、本発明に用いる良溶媒及び貧溶媒は、水不溶性色材の分散状態を良好に維持できるか否か、即ち、水不溶性色材、又は、水不溶性色材及びその分散に寄与する物質(後述する分散剤や界面活性剤等)との関係において決定される。従って、本発明にかかるインクの調製にあたって、良溶媒と貧溶媒とを選択する場合には、使用する水不溶性色材の分散状態の安定度を観察し、その結果から求めることが好ましい。そして本発明者らは、本発明の効果をもたらす良溶媒と貧溶媒との判定の基準を、本発明の効果との関連の下で種々検討した結果、下記のような判定方法が有効であることを見出した。
・貧溶媒:上記において、粒径(A)が粒径(B)よりも大きい場合、当該判定対象の水溶性有機溶剤を貧溶媒として定義した。
・良溶媒:粒径(A)と粒径(B)と同じか、或いは粒径(A)が粒径(B)よりも減少した場合、当該判定対象の水溶性有機溶剤を良溶媒として定義した。
本発明においては、第1の水性インクに含まれる、種類の異なる複数の水溶性有機溶剤の各々のKa値を比較したときに、Ka値が最大の水溶性有機溶剤が貧溶媒ある場合、上記で述べた画像形成のメカニズムが効果的に発現するために好ましい。
[第1の水性インクと第2の水性インクの関係]
上記のことから、本発明の第1の水性インクと第2の水性インクにおいて、各インクに含有されている水不溶性色材に対する貧溶媒、良溶媒の比率を上記のように規定することで、画像濃度が相対的に高い部分では、少ないインク液滴量であっても十分に大きなエリアファクターを有し、且つ画像濃度の高い画像が得られ、ハイライト部等の画像濃度が相対的に低い部分では、粒状性が低減した画像を形成することが可能となる。
本発明の最大の特徴は、上記で述べたように、水性インク中の水不溶性色材に対する良溶媒及び貧溶媒の量的関係により、記録媒体上でのインクの滲み率を変化させた第1の水性インク及び第2の水性インクを用い、画像の濃度に応じて前記水性インクを使い分けることにある。
本発明にかかる水性インクを構成する水性媒体について説明する。前記水性媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である。本発明においては、先に述べた方法で、水溶性有機溶剤を、当該顔料に対する良溶媒と貧溶媒とに判別する。そして、かかる判定結果を踏まえて、水性インクにおいて少なくとも良溶媒と貧溶媒とが混在し、且つ、各水溶性有機溶剤の含有量が本発明で規定する範囲内となるように、水溶性有機溶剤を選択して適宜に配合し、インクを調製することが必要となる。又、本発明においては、水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値となるように水溶性有機溶剤の含有量を調整することが必要である。
本発明にかかる水性インクを構成する水不溶性色材について説明する。本発明の水性インクを構成する水不溶性色材は、その分散方式にかかわらず、何れのものも用いることができる。中でも特に、顔料を用いることが好ましい。顔料は、具体的には、例えば、分散剤や界面活性剤を用いる、いわゆる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、界面活性剤分散タイプの顔料であってもよいし、顔料自体の分散性を高めて、分散剤等を用いることなく分散可能とした、マイクロカプセル型顔料や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した、いわゆる自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)や、更には、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合している改質された顔料(ポリマー結合型自己分散顔料)等を用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
本発明にかかる水性インクに用いることのできる顔料は特に限定されず、下記に挙げるようなものを何れも用いることができる。又、1の水性インク中に、必要に応じて複数種の顔料を併用することもできる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185等
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71等
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272等
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50等
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等
C.I.ピグメントグリーン7、36等
C.I.ピグメントブラウン23、25、26等
(樹脂分散型顔料)
本発明にかかる水性インクに用いることのできる水不溶性色材は、上記で述べたように、分散剤を用いる樹脂分散型顔料を使用することができる。この場合には、上記に列挙したような疎水性の顔料を分散させるための界面活性剤、樹脂分散剤等の化合物が必要となる。
本発明にかかる水性インクに用いることのできる水不溶性色材は、上記で述べたように、水不溶性色材を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化してなるマイクロカプセル型顔料を使用することができる。水不溶性色材を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法は、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法等が挙げられる。具体的には、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法、酸析法、転相乳化法等が挙げられる。
本発明にかかる水性インクに用いることのできる水不溶性色材は、上記で述べたように、顔料自体の分散性を高め、分散剤等を用いることなく分散可能とした自己分散型顔料を使用することができる。自己分散型顔料は、親水性基が顔料粒子表面に直接若しくは他の原子団を介して化学的に結合しているものが好ましい。例えば、顔料粒子表面に導入された親水性基が、−COOM1、−SO3M1及び−PO3H(M1)2(式中のM1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。)からなる群から選ばれるもの等を好適に用いることができる。更に、上記他の原子団が、炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基又は置換若しくは未置換のナフチレン基であるもの等を好適に用いることができる。その他にも、カーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、水中オゾン処理でカーボンブラックを酸化する方法、オゾン処理を施した後に酸化剤により湿式酸化し、カーボンブラック表面を改質する方法等によって得られる、表面酸化処理タイプの自己分散型顔料も好適に用いることができる。
本発明にかかる水性インクに用いることのできる水不溶性色材は、上記で述べたように、顔料自体の分散性を高め、分散剤等を用いることなく分散可能としたポリマー結合型自己分散型顔料を使用することができる。前記ポリマー結合型自己分散顔料は、顔料の表面に、直接若しくは他の原子団を介して化学的に結合されている官能基と、イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体と、の反応物を含むものを用いることが好ましい。これは、表面を改質する場合に用いる共重合体の形成材料であるイオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合比率を適宜に変化させることができ、これによって改質された顔料の親水性を適宜に調整できるためである。又、使用するイオン性モノマー及び疎水性モノマーの種類や、両者の組み合わせを適宜に変化させることができるため、顔料表面に様々な特性を付与することもできる。
ポリマー結合型自己分散顔料の官能基は、顔料表面に、直接若しくは他の原子団を介して化学的に結合している。前記官能基は、後述する共重合体との反応によって有機基を構成するためのものであり、官能基の種類は、前記共重合体が担持する官能基との関連において選択される。官能基と共重合体との反応は、当該顔料が水性媒体に分散されるものであることを考慮すると、加水分解等を生じることのない結合、例えばアミド結合等を生じる反応とすることが好ましい。このためには、官能基をアミノ基とし、共重合体にカルボキシル基を担持させることで、共重合体を顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。又は、官能基をカルボキシル基とし、共重合体にアミノ基を担持させることでも、前記と同様に、共重合体を顔料粒子表面にアミド結合を介して導入することができる。
イオン性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体は、例えば、アニオン性を有するアニオン性の共重合体、或いはカチオン性を有するカチオン性の共重合体が好ましい。
・第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応で、アミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基(APSES)を付加する工程。
・第2工程;APSES処理をしたカーボンブラックに、ポリエチレンイミンやペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を付加する工程。
・第3工程;疎水性モノマーとカルボキシル基を有するイオン性モノマーとの共重合体をつける工程。
・第1工程;カーボンブラックにジアゾニウム反応でアミノフェニル(2−スルホエチル)スルホン基(APSES)を付加する工程。
・第2工程;疎水性モノマーとカチオン性モノマーとの共重合体をつける工程。
本発明にかかる水性インクは、保湿性維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の保湿性固形分をインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の、保湿性固形分の水性インクにおけるの含有量は、一般には、インク全質量に対して0.1質量%〜20.0質量%、更には3.0質量%〜10.0質量%の範囲が好ましい。
上記構造式(1)中、Rは炭素数8〜21の直鎖又は分岐のアルキル基、nは5〜40の整数であることが好ましい。又、R及び/又はnの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することもできる。
上記で説明したような構成成分からなる、本発明で使用する水性インクは、インクジェット記録ヘッドから良好に吐出できる特性を有することが好ましい。インクジェット記録ヘッドからの吐出性という観点からは、インクの特性が、例えば、その粘度を1〜15mPa・s、表面張力を25mN/m(dyne/cm)以上、更には、粘度を1〜5mPa・s、表面張力を25〜50mN/m(dyne/cm)とすることが好ましい。
本発明で使用する反応液は、インク中の水不溶性色材の分散状態を不安定化若しくは凝集させる反応性成分を含有する。前記反応性成分は、水性媒体中で水不溶性色材が親水性基の作用によって分散又は溶解されているインクと、前記反応液が記録媒体上で接触した際に、該水不溶性色材の分散安定性を低下させ、水不溶性色材を凝集させる。尚、本発明における、インク中の色材の分散状態が不安定化されることとは、インクと反応液を混合した際に、凝集やゲル化といった状態が引き起こされることを指す。尚、本発明においては第1の水性インク及び第2の水性インクは、必要に応じて反応液を付与していない記録媒体に対して用いても、反応液が付与された記録媒体に対して用いてもよい。
多価金属イオンは、具体的には、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+及びBa2+等の二価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+等の三価の金属イオンが挙げられる。前記の多価金属イオンを反応液中に含有させる方法には、反応液中に多価金属の塩を添加する方法が挙げられる。前記塩とは、上記に挙げた多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンで構成される金属塩のことであるが、水に可溶であることを要する。塩を形成するための好ましい陰イオンは、例えば、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -、SO4 2-、CO3 2-、CH3COO-及びHCOO-等が挙げられる。勿論、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、水性インクと反応液の反応性や着色性、更には、反応液の取り扱いの容易さ等の点から、多価金属イオンは、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Al3+及びY3+が好ましく、更には、Ca2+が特に好ましい。又、陰イオンは、溶解性等の点から、NO3 -が特に好ましい。
反応液を記録媒体に付与する方法には、ローラーコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法等の塗布方法が挙げられる。又、インクと同様にインクジェット記録方法を用い、インクが付着する画像形成領域及び画像形成領域の近傍のみに反応液を選択的に付着せしめる付与方法も可能である。本発明者らが、反応液の記録媒体への付与方法を検討した結果、ローラーコーティング法が最も優れているという見解に至った。これは、反応液の付与量が少ない場合においても、記録媒体表層部近傍における反応性成分の分布状態が他の手段よりも均一であり、更に、インク付与後のベタ部のムラ、更には裏抜け性等の画質が優れているためである。
反応液の記録媒体への浸透性は、ブリストウ法によって求められるKa値で、1.3mL・m-2・msec-1/2以上6.0mL・m-2・msec-1/2以下であることが好ましく、更には、3.0mL・m-2・msec-1/2より大きく6.0mL・m-2・msec-1/2以下であることが好ましい。又、反応液の塗布量は、0.5g/m2以上5g/m2以下であることが好ましく、更には、2.0g/m2より大きく3.0g/m2以下であることが好ましい。
以下、本発明にかかる画像形成方法について具体例を挙げて説明する。本発明にかかる画像形成方法は、少なくとも、水と、水不溶性色材と、前記水不溶性色材に対する良溶媒と、前記水不溶性色材に対する貧溶媒を含有した第1の水性インクを用いて相対的に高濃度記録を行う第1のモードと、水性インク中の良溶媒全量をA(質量%)と貧溶媒全量をB(質量%)としたときに、B/Aが第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であって、且つ第1の水性インクと同一色相を有する第2の水性インクを用いて相対的に低濃度記録を行う第2のモードを有することを特徴としている。
本発明にかかる第1の水性インク及び第2の水性インクは、これ以外のインクと組み合わせたインクセットとして用いてもよい。尚、インクセットは、インクが複数組み合わされてなるものであれば、下記に挙げる何れの形態のものであってもよい。例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクがそれぞれ収納されたタンクが一体となった構造のインクタンク又はそのヘッド付きインクタンクで構成されるインクセット、若しくはシアンインク、マゼンタインク、イエローインクがそれぞれ収納されたタンクが一体となった構造のインクタンク又はそのヘッド付きインクタンクで構成されるインクセット、若しくは、上記したようなインクが収納されたそれぞれ個別のインクタンクが記録装置に脱着可能に構成されている構造のインクセット、等が挙げられる。勿論、本発明においてはこれらの上記形態に限らず、どのような変形の形態であってもよい。
次に、本発明に好適なインクジェット記録装置の一例について以下に説明する。
(ブラック顔料分散液1の調製)
比表面積が210m2/gでDBP吸油量が74ml/100gであるカーボンブラック10部と、酸価が200で重量平均分子量が10,000であるスチレン−アクリル酸共重合体を10質量%水酸化ナトリウムで中和したものの水溶液20部、イオン交換水70部を混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散させた。得られた分散液を遠心分離処理することで粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、樹脂分散型顔料1を調製した。更に、上記で得られた樹脂分散型顔料1に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、ブラック顔料分散液1を得た。
比表面積が230m2/gでDBP吸油量が70ml/100gであるカーボンブラック10g、p−アミノ−N−安息香酸3.41g、水72gをよく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下して70℃で撹拌した。数分後、5gの水に1.07gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を充分に水洗し、90℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラック2を調製した。更に、上記で得られた自己分散型カーボンブラック2に水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面にフェニル基を介して親水性基が導入されてなり、アニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラック2が水中に分散された状態のブラック顔料分散液2を得た。
上記顔料分散液中の顔料に対して、良溶媒又は貧溶媒として作用する水溶性有機溶剤を選択するために以下の実験を行った。まず、上記顔料分散液1及び2の固形分濃度10質量%水溶液を調製し、これと各水溶性有機溶剤を用いて、以下の配合比にて良溶媒・貧溶媒の判定用分散液A、判定用水分散液Bを調製した。
・各顔料分散液の固形分濃度10質量%水溶液:50部
・表1に記載の各水溶性有機溶剤:50部
(判定用水分散液B)
・各顔料分散液の固形分濃度10質量%水溶液:50部
・純水:50部
(判定方法)
次に、上記のようにして調製した良溶媒・貧溶媒の判定用分散液A10gを、透明なガラス製フタつきサンプルビンに入れ、蓋をした後、充分撹拌し、これを60℃のオーブン内に48時間静置した。その後、オーブンから取り出した分散液を測定用サンプルとして、当該分散液中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000;大塚電子製)を用いて測定した。60℃、48時間保存後の判定用分散液A中の顔料の平均粒径(希釈せずに測定した顔料の平均粒径)とした。一方、判定用水分散液Bは加温保存を行わずに、上記と同様に、当該分散液中の顔料の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザーを用いて測定した。そして、判定用分散液A及び判定用水分散液B中の顔料の平均粒径が、判定用分散液Aの方が判定用水分散液Bより大きくなる水溶性有機溶剤を貧溶媒と判定し、判定用分散液Aの平均粒径が、判定用水分散液Bと同等又はそれ以下になる水溶性有機溶剤を良溶媒と判定した。
まず、各水溶性有機溶剤のKa値測定を行うにあたり、下記に示す組成を有する染料濃度0.5質量%の染料水溶液を調製した。かかる染料水溶液を使用するのは、無色透明の試料を着色することにより可視化して、Ka値の測定を容易にするためである。
・水溶性染料C.I.ダイレクトブルー199:0.5部
・純水:99.5部
次いで、この0.5質量%染料水溶液と、測定対象の各水溶性有機溶剤により、下記に示す組成を有する着色された水溶性有機溶剤の20%水溶液をそれぞれ調製した。
・上記0.5質量%染料水溶液:80部
・表1に記載の水溶性有機溶剤:20部
上記で調製した各水溶性有機溶剤の20質量%水溶液を測定用の試料として、動的浸透性試験装置(商品名:動的浸透性試験装置S;東洋精機製作所製)を用い、ブリストウ法により各水溶性有機溶剤の20質量%水溶液のKa値をそれぞれ求めた。
上記のようにして測定した、インクに使用しうる水溶性有機溶剤について、ブラック顔料分散液1及び2に対して良溶媒であるか貧溶媒であるかを判定した結果と、各水溶性有機溶剤の20質量%水溶液におけるKa値の測定結果を表1に示した。尚、表中の、○、×はそれぞれ良溶媒、貧溶媒を表す。
下記表2に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過を行い、ブラックインクBK1〜BK9を調製した。
上記で調製した各BKインクを、下記表3に示すように組み合わせて用い、実施例1、2、5、参考例1、3、4、6〜9、及び比較例1〜4の記録物を作製した。尚、記録物の作製には、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させる、オンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF900(キヤノン製)を用いた。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
記録媒体は、下記のコピー用紙を、温度23℃、湿度40%の環境で24時間放置したものを用いた。
・PPC用紙PB Paper(キヤノン製)
・PPC用紙SC250C(キヤノン製)
・PPC用紙4200(ゼロックス製)
・PPC用紙4024(ゼロックス製)
・スーパーホワイトペーパーSW−101(キヤノン製)
・HP Bright White IJ Paper(ヒューレットパッカード製)
(実施例1)
実施例1においては、BK1とBK6とを組み合わせて用いて記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK1、フォトシアンインクの位置にBK6を装着し、dutyを10%duty刻みで100%dutyまで変化させた5cm×5cmのベタ画像の印字を行った。尚、20%duty以下の場合はBK6、30%duty以上70%duty以下の場合はBK6及びBK1、80%duty以上の場合はBK1、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
実施例2においては、BK2とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK2、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK6、30%duty以上70%duty以下の場合はBK6及びBK2、80%duty以上の場合はBK2、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例3においては、BK3とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK3、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK6、30%duty以上70%duty以下の場合はBK6及びBK3、80%duty以上の場合はBK3、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例4においては、BK4とBK7とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK4、フォトシアンインクの位置にBK7を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK7、30%duty以上70%duty以下の場合はBK7及びBK4、80%duty以上の場合はBK4、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
実施例5においては、BK2とBK7とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK2、フォトシアンインクの位置にBK7を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK7、30%duty以上70%duty以下の場合はBK7及びBK2、80%duty以上の場合はBK2、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例6においては、BK8とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK8、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK6、30%duty以上70%duty以下の場合はBK6及びBK8、80%duty以上の場合はBK8、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例7においては、BK4とBK10とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK4、フォトシアンインクの位置にBK10を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK10、30%duty以上70%duty以下の場合はBK10及びBK4、80%duty以上の場合はBK4、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例8においては、BK11とBK12とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK11、フォトシアンインクの位置にBK12を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK12、30%duty以上70%duty以下の場合はBK12及びBK11、80%duty以上の場合はBK11、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例9においては、BK11とBK13とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK11、フォトシアンインクの位置にBK13を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK13、30%duty以上70%duty以下の場合はBK13及びBK11、80%duty以上の場合はBK11、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
参考例1においては、BK2を用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置及びフォトシアンインクの位置のそれぞれにBK2を装着した。尚、全てのdutyにおいて、BK2のインクを用いて印字を行った。
比較例1においては、BK2とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK2、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK2、30%duty以上70%duty以下の場合はBK2及びBK6、80%duty以上の場合はBK6、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
比較例2においては、BK6を用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置及びフォトシアンインクの位置のそれぞれにBK6を装着した。尚、全てのdutyにおいて、BK6のインクを用いて印字を行った。
比較例3においては、BK3とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK3、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK3、30%duty以上70%duty以下の場合はBK3及びBK6、80%duty以上の場合はBK6、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
比較例4においては、BK2とBK9とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK9、フォトシアンインクの位置にBK2を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK2、30%duty以上70%duty以下の場合はBK2及びBK9、80%duty以上の場合はBK9、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
1.画像濃度
上記で得られた実施例1、2、5、参考例1、3、4、6〜9、及び比較例1〜4のそれぞれの記録物を1日放置した後、100%duty部分の画像濃度を測定した。画像濃度の測定には、反射濃度計(商品名:マクベスRD−918;マクベス製)を用いた。画像濃度の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:すべての紙で十分な画像濃度が得られる。
上記で得られた実施例1、2、5、参考例1、3、4、6〜9、及び比較例1〜4のそれぞれの記録物を1日放置した後、ハイライト部(10%duty及び20%duty部分)の粒状性を目視で観察して評価を行った。粒状性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表4に示す。
AA:すべての紙で粒状性が全く感じられない。
上記で得られた実施例1、2、5、参考例1、3、4、6〜9、及び比較例1〜4のそれぞれの記録物を1日放置した後、画像の階調性を目視で観察した。その結果、実施例1、2、5、参考例3、4、6〜9の画像は、参考例1及び比較例1〜4の画像と比較して、階調表現が良好であった。特に、第1の水性インクに含有されている貧溶媒と良溶媒の比率(B/A)と第2の水性インクに含有されている貧溶媒と良溶媒の比率(B/A)の差が大きい参考例3及び実施例5の画像の階調性は特に優れていた。
BK1〜BK10の各インクをそれぞれショット瓶に入れて密栓し、60℃のオーブンで2週間保存した後にインクの状態を観察した。保存安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表5に示す。
(反応液の調製)
下記に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1μmのミクロフィルター(製品名:FR100、富士フィルム製)にて加圧濾過を行い(加圧条件:0.4MPa)、反応液を調製した。
・硝酸マグネシウム(6水和物):9.0質量%
・トリメチロールプロパン:15.0質量%
・グリセリン:5.0質量%
・ジエチレングリコール:5.0質量%
・アセチレノールEH:1.0質量%
(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物;川研ファインケミカル製)
・純水:65.0質量%
(記録物の作製)
上記で調製した各BKインクを、下記表6に示すように組み合わせて用い、実施例8及び比較例5の記録物を作製した。尚、記録物の作製には、記録信号に応じて熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させる、オンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF900(キヤノン製)を、図1で示す、反応液を塗布ローラーにより記録媒体に付与する機構を有するように改造したものを用いた。具体的には、反応液を記録媒体に付与し、反応液が記録媒体に定着した後に、各インクを記録媒体に付与して画像を形成した。尚、反応液は、塗布量が2.4g/m2になるように、ローラーの速度及びローラーの記録媒体への接触圧を調整した。
・用紙の種類:普通紙
・印刷品質:標準
・色調整:自動
記録媒体は、下記のコピー用紙を、温度23℃、湿度40%の環境で24時間放置したものを用いた。
・PPC用紙PB Paper(キヤノン製)
・PPC用紙SC250C(キヤノン製)
・PPC用紙4200(ゼロックス製)
・PPC用紙4024(ゼロックス製)
・スーパーホワイトペーパーSW−101(キヤノン製)
・HP Bright White IJ Paper(ヒューレットパッカード製)
(実施例8)
実施例8においては、BK2とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK2、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK6、30%duty以上70%duty以下の場合はBK6及びBK2、80%duty以上の場合はBK2、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
比較例5においては、BK2とBK6とを組み合わせて用いて上記と同様に記録物を作製した。上記記録装置のブラックインクの位置にBK2、フォトシアンインクの位置にBK6を装着した。尚、20%duty以下の場合はBK2、30%duty以上70%duty以下の場合はBK2及びBK6、80%duty以上の場合はBK6、の各インクを用いて印字を行うように、印字信号を設定した。
上記で得られた実施例8及び比較例5の記録物について、上記と同様にして画像濃度、粒状性及び階調性の評価を行った。
2:キャリッジ
3:排紙ローラー
4:拍車
5:排紙トレイ
6:塗布ローラー
7:主搬送ローラー
8:ピンチローラー
9:ガイド軸
10:給紙ローラー
11:プラテン
12:中間ローラー
13:供給ローラー
14:フロート
15:反応液
16:給紙カセット
17:給紙トレイ
18:スプリング
19:記録媒体(記録紙)
20:注入口
21:残量表示窓
22:補充タンク
23:注入機具
27:ペーパーガイド
40:袋
42:栓
44:吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
901:記録ヘッド
1300:記録媒体
1301:インク滴
1302:ドット外周
1303:ドット中心部
1304:水不溶性色材
1305:ドット
1306:水溶性有機溶剤及び水
1307:貧溶媒
Claims (13)
- 相対的に高濃度の記録を行う際には第1の水性インクを用い、相対的に低濃度の記録を行う際には第2の水性インクを用いる記録方法において、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有する
ことを特徴とする記録方法。 - 前記第1の水性インクにおいて、
第1の水性インク全質量に対する、前記良溶媒の含有量の合計(質量%)をA1、前記貧溶媒の含有量の合計(質量%)をB1としたときに、A1:B1の比率が、A1:B1=10:5以上10:30以下であり、
且つ、ブリストウ法によって求められる、前記複数の水溶性有機溶剤の各々のKa値のうち最大のKa値を示す水溶性有機溶剤が前記貧溶媒である請求項1に記載の記録方法。 - 前記第2の水性インクにおいて、
第2の水性インク全質量に対する、前記良溶媒の含有量の合計(質量%)をA2、前記貧溶媒の含有量の合計(質量%)をB2としたときに、A2:B2の比率が、A2:B2=10:5より少ない範囲である請求項1又は2に記載の記録方法。 - 前記第1の水性インクにおいて、
第1の水性インク全質量に対する、前記貧溶媒の含有量の合計(質量%)が、インク全質量に対して4質量%以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の記録方法。 - 前記第1の水性インクにおいて、
前記顔料が、有機顔料又はカーボンブラックである請求項1〜4の何れか1項に記載の記録方法。 - (i)顔料を含有する水性インクを記録媒体に付与する工程、(ii)該水性インクと接触することによって該水性インク中の顔料の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液を記録媒体に付与する工程、を有する記録方法において、
相対的に高濃度の記録を行う際には第1の水性インクを用い、相対的に低濃度の記録を行う際には第2の水性インクを用い、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)及び貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有する
ことを特徴とする記録方法。 - 相対的に高濃度の記録を行う際には第1の水性インクを用い、相対的に低濃度の記録を行う際には第2の水性インクを用いる記録方法において、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)及び貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有し、
且つ、ブリストウ法によって求められる、前記複数の水溶性有機溶剤各々のKa値のうち最大のKa値を示す水溶性有機溶剤が前記貧溶媒であり、
且つ、前記貧溶媒が、前記良溶媒よりも先行して記録媒体に浸透し、記録媒体表面側での前記良溶媒中の前記顔料の凝集を補助することを特徴とする記録方法。 - 前記水性インクが、インクジェット用である請求項1〜8の何れか1項に記載の記録方法。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、
前記インクが、相対的に高濃度の記録を行う際に用いる第1の水性インク、及び、相対的に低濃度の記録を行う際に用いる第2の水性インク、を含み、
前記第1の水性インクが、少なくとも、水、顔料、複数の水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料がその粒子表面に親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している顔料であり、
前記第2の水性インクが、少なくとも、水、顔料、水溶性有機溶剤を含有し、前記顔料が樹脂分散剤により分散された顔料であり、
前記複数の水溶性有機溶剤が、前記顔料に対する良溶媒及び前記顔料に対する貧溶媒を含み、
水性インク全質量に対する、良溶媒の含有量の合計をA(質量%)、貧溶媒の含有量の合計をB(質量%)としたときに、前記第2の水性インクにおけるB/Aが、第1の水性インクにおけるB/Aよりも小さい値であり、
且つ、前記第2の水性インクが、前記第1の水性インクと同一の色相を有する
ことを特徴とするインクカートリッジ。 - ブラックインクと少なくとも1色のカラーインクとを用いて記録媒体にインクジェット記録方式で記録を行う画像形成方法において、ブラックインクに請求項9に記載の水性インクを用い、且つ、前記ブラックインクによって形成される画像と、カラーインクによって形成される画像とが隣接してなる画像を形成する際に、ブラックインクを付与する走査を行って画像を形成した後、該画像が形成された領域にカラーインクを付与する走査を行うことを特徴とする画像形成方法。
- ブラックインクを付与する走査を行った後、少なくとも1走査分、間を空けた後にカラーインクを付与する走査を行う請求項11に記載の画像形成方法。
- ブラックインクを吐出させるための吐出口列と、カラーインクを吐出させるための吐出口列が副走査方向にずれて配置されている記録ヘッドを用いてインクの付与を行う請求項11又は12に記載の画像形成方法。
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