JP7340430B2 - インク、インクジェット記録方法及び記録メディア - Google Patents
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Description
ブラックインクは、文字を含む記録画像の印刷に、最も多用されるインクである。また、その記録画像には、高い印刷濃度が求められている。インクジェットインクが含有する着色剤は、水溶性の染料と、水不溶性の染料若しくは顔料に大別される。これらのうち、後者の着色剤を含有する水性インクは、着色剤がインク中に溶解せず、分散している分散インクである。ブラックインクに使用する水不溶性の着色剤としては、カーボンブラックが汎用されている。記録メディアとして紙を使用する産業用途のインクジェット印刷においてはアート紙、コート紙等の、インク受容層を有さない塗工紙のような記録メディアが、通常は使用される。インク受容層を有さない記録メディアは、インク受容層を有する記録メディアと比較して、吸収できるインクの量が少ない。この理由から、インク受容層を有さない記録メディアにおいて印刷濃度を向上することが難しく、これが大きな問題となっている。印刷濃度は、インク中の着色剤の含有量を多くすることにより、ある程度向上させることができる。しかし、水不溶性の着色剤を含有する分散インクにおいて、固形分である着色剤の含有量の増加は、インクの分散安定性を低下させる要因となる。このため、水不溶性の着色剤を含有し、且つ、着色剤の含有量が同じであっても、より高い印刷濃度を有する分散インクが強く求められている。
特許文献1~3には、カーボンブラックを含有するインクが開示されている。
1)
水、カーボンブラック、分散剤、有機溶剤、及び樹脂を含有するインクであって、
上記カーボンブラックのBET比表面積が80m2/g以上であり、
上記の有機溶剤がC5-C8アルカンジオールであり、
上記の樹脂は分散剤とは異なる化合物であり、且つ、その酸価が0mgKOH/gより大きく100mgKOH/g未満であるインク。
2)
粘度調整剤をさらに含有する、上記1)に記載のインク。
3)
界面活性剤をさらに含有する、上記1)又は2)に記載のインク。
4)
上記1)~3)のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
5)
上記1)~4)のいずれか一項に記載のインクが付着した、記録メディア。
6)
上記1)~3)のいずれか一項に記載のインクを含有するインクタンク。
7)
上記6)に記載のインクタンクを有するインクジェットプリンタ。
また、本明細書中、含有量を記載するときは、特に断りの無い限りインクの総質量に対する含有量を意味する。
上記カーボンブラックは、BET比表面積が通常80m2/g以上、好ましくは85m2/g以上、より好ましくは90m2/g以上である。そのようなカーボンブラックを用いることにより、高い印刷濃度を得ることができる。そのようなカーボンブラックであれば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等のいずれであっても使用できる。
カーボンブラックは、BET比表面積が大きくなればなるほど、印刷濃度が高くなる傾向がある。このため、BET比表面積の上限は、特に制限されない。しかしながら、BET比表面積を増大させ続けても、印刷濃度は途中で頭打ちとなり、印刷濃度が永久に増加することはない。印刷濃度が頭打ちとなるときのBET比表面積は通常300m2/g以下、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。このため、最適なカーボンブラックのBET比表面積の上限はその程度で十分である。
上記のカーボンブラックの具体例としては、例えば、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のPRINTEX 60、85、75、50L、alpha、P、55、FP、F alpha、L、HIBLACK 30、30L、40L、45LB、NEROX 505(97)、510、600、605(123)、SPECIAL BLACK 550、4、4A;三菱ケミカル株式会社製のMA77、MA7、MA8、MA100、MA100R、MA100S、MCF88、MA600、#1000、1000N、750B、650B、52、47、45、45L、44、40、BIRLA CARBON社製のRaven 2350 Ultra、2000、1300 Ultra、1255、1250、1200、1190 Ultra、1185 Ultra、1180、1170、1100 Ultra、FC1等が挙げられる。なお、括弧内の数値は、実施例で使用したカーボンブラックを抜粋し、そのBET比表面積(単位はm2/g)を記載した。
なお、上記カーボンブラックは、化学的に表面を修飾したカーボンブラック、すなわち自己分散性のカーボンブラックを含まない。
上記の分散剤としては特に制限されず、公知の分散剤が使用できる。分散剤は、カーボンブラックをインク中に分散する目的で使用する。分散剤としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等の、遊離の形で酸性を示す官能基を有する分散剤が好ましい。それらの中ではスチレン、(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から選択されるモノマー(好ましくは、2種類以上のモノマー、より好ましくは2~6種類のモノマー、より好ましくは2~4種類のモノマー、さらに好ましくは2~3種類のモノマー)から構成される重合体が好ましい。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む意味で使用し、(メタ)アクリル酸等も同様である。
(メタ)アクリレートとしてはアルキル(メタ)アクリレート、及びアリールアルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーが好ましく、アルキルメタクリレート、及びアリールアルキルメタクリレートから選択されるモノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしてはC1-C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C1-C4アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートから選択されるアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、n-ブチルメタクリレートが特に好ましい。
アリールアルキル(メタ)アクリレートとしてはC6-C10アリールC1-C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C6-C10アリールC1-C4アルキルメタクリレートがより好ましく、フェニルC1-C4アルキルメタクリレートがさらに好ましく、ベンジルメタクリレートが特に好ましい。
上記の重合体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーからなる重合体;及び、スチレン-(メタ)アクリル系の重合体から選択される重合体が好ましい。
Aブロックはアリールアルキル(メタ)アクリレートで構成されるのが好ましく、(メタ)アクリル酸を含むことができる。このときの(メタ)アクリル酸の含有量は、アリールアルキル(メタ)アクリレートに対して通常0~5モル%、好ましくは0~3モル%、より好ましくは0~1モル%、さらに好ましくは0~0.1モル%である。
Bブロックはアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から構成される共重合体が好ましい。
上記A-Bブロックポリマーとしては、水不溶性ポリマーが好ましい。本明細書において水不溶性ポリマーとは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下を意味する。溶解度の下限は0gを含む。そのようなA-Bブロックポリマーとしては、例えば、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するリビングラジカル重合法により得られるA-Bブロックポリマーが挙げられる。
上記の分散剤は、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するA-Bブロックポリマーと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。また、A-Bブロックポリマーの製造方法等についても同様である。
分散剤を使用するとき、カーボンブラックの総質量に対する分散剤の総質量の比は通常0.1~1.0、好ましくは0.1~0.6、より好ましくは0.2~0.5である。
上記の有機溶剤は、C5-C8アルカンジオールである。ジオールの置換位置は特に限定されないが、1,2-ジオールが好ましい。その具体例としては、例えば、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、2-メチル-1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、(S)-4-メチル-1,2-ペンタンジオール等が挙げられる。
ジオールの置換位置としては、アルカン部分が直鎖のときは1,2-ジオールが好ましい。また、アルカン部分が分岐鎖のときは1,2-ジオール、及び、1,3-ジオールから選択される置換位置が好ましく、1,3-ジオールがさらに好ましい。分岐鎖のC5-C8アルカンジオールとしては、上記の他に2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等も挙げられる。
上記の樹脂は、分散剤とは異なる化合物である。「分散剤とは異なる化合物」とは、例えば、分散剤が特定のモノマーからなるA-Bブロックポリマーであるとき、同じモノマーから構成されるランダムコポリマー、A-B-Aブロックポリマー等は、分散剤とは異なる化合物であることから、樹脂として使用できることを意味する。また、分散剤が特定のモノマーからなるA-Bブロックポリマーであるとき、樹脂もまたA-Bブロックポリマーであったとしても、モノマーの種類が異なるポリマー、モノマーの比率が異なるポリマー等は、やはり分散剤とは異なる化合物であり、樹脂として使用できる。すなわち、分散剤として上記した化合物であっても、分散剤として使用した化合物以外の化合物は、樹脂として使用することができる。
樹脂としてはランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のいずれの形態も使用することができる。
樹脂の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル共重合体、ポリスチレン、(メタ)アクリルアミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリウレタン系、ポリエチレン系、酢酸ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/エチレン共重合体、ポリブタジエン系、エポキシ系、シリコーン系等から選択される樹脂;及び、これらの共重合樹脂が挙げられる。
上記の樹脂は市販品として、又は公知の方法により合成することにより得ることができる。その一例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデン等のモノマーの単独重合、又は、共重合により合成する方法が挙げられる。
上記の樹脂は酸価を有する。樹脂の酸価は通常0mgKOH/gより大きく100mgKOH/g未満、好ましくは1mgKOH/g~90mgKOH/g、より好ましくは3mgKOH/g~80mgKOH/g、さらに好ましくは6mgKOH/g~70mgKOH/g、場合により好ましくは10mgKOH/g~70mgKOH/g、特に好ましくは13mgKOH/g~65mgKOH/gである。
上記の樹脂は水溶液、又は、水系エマルションとして使用することができる。これらの中では水系の樹脂エマルションとして使用するのが好ましい。
合成により得られる樹脂としては、例えば、国際公開2015/147192号ガゼットの調製例3~5として開示された樹脂エマルションが挙げられる。
樹脂の市販品としては、例えば、BASF社製のジョンクリル PDX-7430(30)、PDX-7145(32)、PDX-7326(38)、537J(40)、780(46)、7610(50)、352J(51)、352D(51)、775(55)、PDX-7341(51)、74J(51)、7100(51)、390(54)、PDX-7511(54)、7641(60)、PDX-7700(60)、7600(60)、538J(61)、PDX-7538(62)、PDX-7643(64)、PDX-6102B(65)、PDX-6124(65)等が挙げられる。なお、括弧内の数値は酸価を示し、単位は「mgKOH/g」である。
樹脂の酸価は公知の方法、例えば滴定法により測定することができる。また、製造メーカーのカタログに酸価が記載されているときは、その数値を採用することもできる。
上記インクは、粘度調整剤をさらに含有することができる。産業用インクジェットプリンタは、搭載するプリンタヘッド(インクを吐出するヘッド)の仕様に基づき、通常は、吐出できるインクの粘度範囲が決まっている。このため、インクに粘度調整剤を加え、その粘度を適正な範囲に調整することができる。
粘度調整剤としては、インクの粘度を調整できる物質であれば特に制限されず、公知の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、イソプロピルジグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、N-メチル-2-ピロリドン、1,2-ブタンジオール、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、2-ピロリドン、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、青木油脂工業製のグリセレス-3、グリセレス-20等が挙げられる。
水溶性有機溶剤の総含有量は通常0%~55%、好ましくは5%~40%、より好ましくは10%~30%程度である。
上記インクは、界面活性剤をさらに含有することができる。産業用インクジェットプリンタの印刷速度は、通常可変である。このため、印刷速度に基づき、インクの表面張力を適正に調整することが好ましい。インクの表面張力は、界面活性剤をインクに加えることにより、調整することができる。
界面活性剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、及びフッ素系の各界面活性剤が挙げられ、これらの中から1種類以上を選択して使用することができる。これらの中ではノニオン、及びシリコーン系から選択される界面活性剤が好ましく;ノニオン、及びシリコーン系の中からシリコーン系を少なくとも1種類以上選択するのがより好ましく;シリコーン系の中から選択される、1種類以上の界面活性剤がさらに好ましい。
これらの中では、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
その一例としてはカーボンブラックの分散液を調製し、その分散液に有機溶剤、及び必要に応じて各種のインク調製剤を加えて混和する方法が挙げられる。
分散液の調製方法としては、例えば、2-ブタノン等の有機溶剤に分散剤を溶解し、中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液にカーボンブラックを加えて分散処理を行い、液を得る。このようにして得られた液から有機溶剤と、一部の水を減圧留去することにより、カーボンブラックを含有する分散液を得ることができる。
分散処理は、例えば、上記の分散剤の溶液若しくは乳化液と、カーボンブラックとをサンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等に入れて、分散を行う。サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm~3mm程度のビーズを使用することができる。ビーズの充填率、分散時間、及びカーボンブラックの含有量等を調整することにより、分散処理の効率を調整することができる。
上記のようにして得られた分散液は、濾過及び/又は遠心分離をすることにより、含有する粒子の粒子径の大きさを、一定の範囲に揃えることができる。
インク受容層を有する紙としては、インクジェット専用紙が挙げられる。
インク難吸収性の記録メディアとしては、例えば普通紙;グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられる記録メディア;微塗工紙、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等の塗工紙が挙げられる。
インク非吸収性の記録メディアとしては塩化ビニルシート、高分子シート、ガラス、ゴム等が挙げられる。
これらの中では、インク受容層を有さないインク難吸収性の記録メディアが好ましい。
インク受容層は、例えば、記録メディアにカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;又は多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法等により設けることができる。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維が挙げられる。
セルロース繊維としては、綿、木綿、レーヨン、トリアセテート、ジアセテート等の繊維が挙げられる。
ポリアミド繊維としては、ナイロン繊維等が挙げられる。
天然繊維としては、絹、羊毛等が挙げられる。
上記インクを含有するインクタンク、及び、当該インクタンクを含有するインクジェットプリンタも、本発明の範囲に含まれる。
上記インクジェット記録方法は、必要に応じてイエロー、ブルー、レッド、グリーン、バイオレット、及びオレンジの各顔料、若しくは染料から選択される着色剤を含有するインクと併用し、フルカラー記録をすることもできる。
産業用インクジェットプリンタは、印刷速度を高速にする目的で、ラインヘッド型のインクジェットプリンタの構成で、シングルパスでの印刷も好ましく行われる。上記インクにより、そのような印刷条件においても、着色剤の含有量が同じであっても黒色の印刷濃度、特にインク受容層を有さない記録メディアに付着させたとき、又は記録したときの黒色の印刷濃度が高い印刷画像を得ることができる。
また、上記した全ての事項等について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、及び、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
また、インクの保存安定性と共に、分散液中のカーボンブラック微粒子の分散状態を安定化することができる。
また、上記のインクで記録された画像はモットリング現象を生じることがなく、ベタ埋まりが良好である。
また、上記のインクで記録された画像はにじみがなく、耐擦過性も優れる。
顔料固形分の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS-70を用いて、乾燥重量法により求めた。なお、実施例中の顔料固形分とは、乾燥重量法により求めた測定値から、顔料固形分のみの含有量を算出した換算値である。
国際公開2013/115071号ガゼットの「[合成例3]ブロック共重合体Aの合成」に従い、重量平均分子量が24,300、PDIが1.49の分散剤138gを得た。得られた分散剤は、A-Bブロックポリマーであり、Aブロックを構成するモノマーはベンジルメタクリレート、Bブロックを構成するモノマーはメタクリル酸、及びブチルメタクリレートの2種類である。
国際公開2015/147192号ガゼットの「[調製例3]ポリマーエマルション2の調製」に従い、酸価が13mgKOH/g、固形分が25%の樹脂エマルションを得た。得られた樹脂エマルションを、樹脂1とする。
合成例1で得た分散剤(6部)を、2-ブタノン(15部)に溶解し、液を得た。この液に0.45部の水酸化ナトリウムをイオン交換水(60部)に溶解させた液を加え、1時間攪拌することにより乳化液を調製した。この乳化液、及びNEROX 605(20部)をサンドグラインダーに入れ、1500rpmで10時間分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水(100部)を滴下した後、ADVANTEC社製のガラスファイバーフィルター GA-100で濾過することにより、濾液を得た。得られた濾液をエバポレータに入れ、2-ブタノン、及び水の一部を減圧留去し、顔料濃度が12重量%になるようにイオン交換水を添加して分散液を得た。得られた分散液に1,2-ヘキサンジオール(5部)、AE609(3部)、プロピレングリコール(20部)、BYK-349(0.5部)、トリエタノールアミン(0.5部)、プロキセル GXL(s)、及び水を加えて総量100部とした液をおおよそ1時間撹拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、実施例1のインクを得た。インクの調製は、インク中のカーボンブラックの含有量が5%となるように行った。
下記表1に示す組成に代える以外は実施例1と同様にして各実施例、及び各比較例のインクを調製した。各インク中のカーボンブラックの含有量は、いずれも同じ5%となるように調整した。
N305:NEROX 305(BET比表面積78m2/gのカーボンブラック)。
N505:NEROX 505。
N605:NEROX 605。
Dp1:合成例1で得た分散剤1。
1,2-HD:1,2-ヘキサンジオール。
1,2-OD:1,2-オクタンジオール。
1,2-PD:1,2-ペンタンジオール。
樹脂1:上記の合成例2で得た樹脂エマルション。
PDX-7538:ジョンクリル PDX-7538。
PDX-7611:ジョンクリル PDX-7611(酸価145mgKOH/g)。
PG:プロピレングリコール。
BYK:BYK-349。
TEA:トリエタノールアミン。
GXL(s):プロキセル GXL(s)。
水:イオン交換水。
[印刷濃度試験]
インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX-205)を使用して、OKトップコート(王子製紙株式会社製)に実施例、及び比較例の各インクの100%Duty画像をベタ印刷した。得られた画像を室温で24時間乾燥することにより、試験片を得た。得られた試験片のベタ画像をX-rite社製の濃度計、eXact Advanceにて測色した。測色条件は、濃度基準にISOステータスT、視野角2°、光源D50である。印刷濃度の測色値を、上記表1に示す。印刷濃度は数値が大きい方が、印刷濃度がより高いことを意味する。
これらの結果から、本発明の特定の構成とすることにより、カーボンブラックの含有量が同じであっても、黒色の印刷濃度が高い画像が得られることが確認された。
下記表2に示す組成に代える以外は実施例1と同様にして各比較例のインクを調製した。各インク中のカーボンブラックの含有量は、いずれも同じ5%となるように調整した。
1,2-BD:1,2-ブタンジオール。
1,9-ND:1,9-ノナンジオール。
1,2-ヘキサンジオール(5部)の代わりに、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(5部)を使用する以外は上記の実施例1と同様にして、実施例6のインクを調製した。実施例6のインクを使用して、上記と同様に[印刷濃度試験]を実施した。このインクの印刷濃度は、1.83であった。
Claims (7)
- 水、カーボンブラック、分散剤、有機溶剤、及び樹脂を含有するインクであって、
上記カーボンブラックのBET比表面積が80m2/g以上であり、
上記分散剤の酸価が90~130mgKOH/gであり、
上記の有機溶剤がC5-C8アルカンジオールであり、
上記の樹脂は分散剤とは異なる化合物であり、且つ、その酸価が0mgKOH/gより大きく100mgKOH/g未満であり、少なくともメタクリル酸メチルを含有するモノマーを重合することにより得られる重合体である、インク。 - 粘度調整剤をさらに含有する、請求項1に記載のインク。
- 界面活性剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載のインク。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のインクの液滴を、インクジェットプリンタから吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のインクが付着した、記録メディア。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のインクを含有するインクタンク。
- 請求項6に記載のインクタンクを有するインクジェットプリンタ。
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