JP2005272494A - 着色シリカ被膜形成用コーティング組成物 - Google Patents

着色シリカ被膜形成用コーティング組成物 Download PDF

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Takayoshi Sasaki
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Abstract

【課題】 樹脂バインダーを使用することなく、染料や顔料を基体に固定し、高い耐水性、耐久性、耐熱性等を備えた着色シリカ被膜形成用のコーティング組成物を提供する。
【解決手段】 アスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子及び染料や顔料からなる着色剤が、造膜形成要素として、水性媒体中に分散されてなるコーティング組成物を使用する。着色剤の少なくとも一部は、前記板状シリカ微粒子の表面に固定されており、比表面積は、好ましくは30〜500m2/gであり、当該コーティング組成物により、印字や画像を形成した場合、画像等が擦って剥離せず、耐水性があり、屋外での使用に耐える。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐にじみ性、耐水性、耐熱性、耐食性、耐薬品性及び耐候性に優れた、着色シリカ被膜を形成するためのコーティング組成物及び当該コーティング組成物により形成された着色シリカ被膜に関する。
従来、標識や画像形成のための、着色被膜(着色コーティング)形成用着色コーティング組成物においては、染料や顔料等の着色剤(色剤)を、造膜形成要素としての有機バインダーで、基体上に固定、結着する必要があった。特に環境上の配慮から、使用が強く推奨されている有機溶媒を使用しない水性コーティング組成物の場合、当該バインダーは、通常水溶性樹脂からなるものであるため、耐水性が低いという問題がある。
例えば、近年、インクジェット方式による印刷は、オフィスや家庭用における小型のプリンタ及び印刷紙を使用するものばかりでなく、産業用として、建築用壁面、屋外の宣伝広告看板、CAD、ポスター、道路標識、捺染等の用途に、大型のインクジェットプリンタ装置によるものが安価な上、品質が高いこともあり、急速に普及しつつある。
このような広範囲に使用されているインクジェットプリンタ用インク、特に水性インクとしては、着色剤として顔料と水性樹脂を水性媒体に分散させたいわゆる水性顔料インクが注目されている。顔料は、染料に比較して、耐候性、耐水性があるため、形成された画像は、基本的に耐水性や耐候性が向上する。しかしながら、顔料を基体に固着するバインダーが水溶性のものであるため、形成画像としては耐水性が乏しく、特に屋外で使用する場合、にじんだり、経時的に鮮明度が劣化するという問題があった。また、バインダーは有機樹脂よりなるものであるから、耐熱性や耐候性に関してはかならずしも充分でなかった。
さらにまた、顔料粒子は、染料のように基体である紙繊維に化学的に結合することはできないので、紙繊維の間に入って(落ち込んで)しまい、下地である記録紙の色を効果的に隠蔽することが困難になり、従ってまた、顔料粒子がこすれ落とされやすいという問題もある。
このため、コロイダルシリカの微粒子をインク中にフィラーとして分散させ、これを紙繊維の間に充填し、顔料粒子の抜けを防止することにより画像の光学濃度を高めることが試みられている(例えば、特許文献1〜特許文献3を参照。)。
また、あらかじめ、シリカ微粒子表面にシラノール基等を利用して顔料粒子や染料を固定化して着色シリカ粒子とし、水性のインクジェット用インク等による画像の光学濃度、耐水性、耐熱性等を向上させることも提案されている(特許文献4〜特許文献6を参照。)。
しかしながら、当該着色シリカ粒子を基体に固着するバインダーがやはり水溶性のものであるため、着色被膜(又は形成された画像)は耐水性が乏しく、耐熱性も充分ではなく、さらに擦った場合等に画像がかすれる等の問題が残っている。また、シリカ粒子の形状としては、通常コロイダルシリカ等球状のものであるため、当該シリカ粒子によっては、下地である記録紙を完全に隠蔽することは難しかった。
特開平9−227812号公報(特許請求の範囲(請求項1〜3)、〔0008〕〜〔0010〕) 特開2000−53901号公報(特許請求の範囲(請求項1〜2)、〔0007〕〜〔0008〕) 米国特許第5221332号明細書(第5欄60行〜第6欄8行) 米国特許第4566908号明細書(第1欄4行〜42行) 特許第3105511号明細書(特許請求の範囲(請求項1〜2)) 特開平2003−55591号公報(特許請求の範囲(請求項1〜6)、〔0025〕〜〔0034〕)
本発明の目的は、実質的に樹脂バインダーを使用することなく、顔料粒子等を基体に固定し、高い耐水性、耐久性、耐熱性等を備えた着色無機被膜、特に着色シリカ被膜形成用のコーティング組成物を提供することである。
本発明に従えば、以下の着色シリカ被膜形成用コーティング組成物及び着色シリカ被膜が提供される。
〔1〕
少なくとも、アスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子及び着色剤が、造膜形成要素として、水性媒体中に分散されてなることを特徴とする着色シリカ被膜形成用、または画像形成用コーティング組成物
〔2〕
着色剤の少なくとも一部が、前記板状シリカ微粒子の表面に固定されている〔1〕に記載のコーティング組成物。
〔3〕
着色剤が顔料である〔1〕又は〔2〕に記載のコーティング組成物。
〔4〕
前記板状シリカ微粒子の比表面積が30〜500m2/gである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコーティング組成物。
〔5〕
前記板状シリカ微粒子が、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のコーティング組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のコーティング組成物を基体上にコートして得られる着色シリカ被膜または当該着色シリカ被膜よりなる画像。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の着色シリカ被膜形成用または画像形成用のコーティング組成物(以下「本発明のコーティング組成物」または「本発明の組成物」という。)においては、造膜構成要素として、アスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子及び着色剤を、水性媒体中に分散させたものである。
(自己造膜性を有する板状シリカ微粒子)
本発明の最大の特徴は、まず基本的に、例えばインクジェット用水性インク組成物に配合するシリカ微粒子として、従来のごときコロイダルシリカ等に代わり、自己造膜性を有し、かつ、アスペクト比が10〜500、平均粒径が代表的には0.01〜5μmという特定の板状シリカを使用する点にある。
この場合、少なくとも自己造膜性を有し、かつ、形態が特定の板状シリカであれば、特に限定するものではないが、なかでも、本出願人により創出された、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される自己造膜性を有する板状の葉状シリカ2次粒子が最も好ましい。以下、当該板状シリカとして葉状シリカ2次粒子を代表例として説明する。
板状シリカのアスペクト比(板状粒子の厚みに対する長径の比)は、10〜500、好ましくは20〜300であり、また、平均粒径は0.001〜20μm、好ましくは0.001〜10μm、より好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.01〜5μm、最も好ましくは0.01〜2μmである。アスペクト比が10未満の場合は、形成される着色被膜や画像の隠蔽性が充分に得られないため好ましくない。また粒径がこの上限をあまり超える場合は、緻密な被膜を得るのが困難になり、さらに水性媒体中でのシリカ粒子の沈降速度が大きくなるので好ましくない。なお、板状粒子の厚さ及び長さは、特に断らないかぎり、その平均値を意味する。
また、板状シリカ粒子の比表面積は、少なくとも30〜500m2/g、好ましくは30〜300m2/g、さらに好ましくは30〜200m2/g、最も好ましくは50〜200m2/gのものである。比表面積がこれよりあまり大きいと、水性媒体中において凝集しやすくなり、充分な分散が困難になると同時に粒径も小さくなり、その造膜性も劣ってくる。
本発明における、板状粒子は、粒子が実質的に薄い板状の形態を有しているものであればよく、これがさらに、部分的又は全体的に曲がったり、ねじれたりしてもよい。
このような、葉状シリカ2次粒子からなる板状シリカ粒子は、後記する方法により得られるが、その形態に起因して大きな自己造膜性を有し、常温においても容易に強固なシリカ被膜を形成しうるものである。すなわち、ここにいう自己造膜性とは、当該板状粒子の15%程度の水分散液を金属表面やガラス等の基体上に塗布し、常温で乾燥すると、なんら被膜形成剤、造膜助剤またはバインダー等を使用することなしに硬化し、それ自体で強靱な被膜が形成されることを意味する(すなわち、当該板状シリカ粒子の純粋なスラリー自体が塗膜形成機能を有するのであり、また、当該スラリーは、被膜形成性コーティング組成物なのである。)。
この自己造膜性のメカニズムは、おそらく、その有する特異な鱗片状の形状のため、基材表面に塗布された塗膜が乾燥する過程で、鱗片状の粒子同士が基材に平行に重なって互いに係合することによるものと推察される。この板状シリカ粒子からなる被膜は、葉状シリカ粒子同士が基板に平行的に配向、積層して互いに係止された、極めて強固なものである。
当該水性媒体に分散した状態で当該板状シリカ粒子自体が染料や顔料により着色されていれば、当該コーティング組成物を塗布乾燥して着色被膜が形成され、当該着色被膜により画像等を形成することができる。
なお、着色被膜又は着色被膜による画像が、耐かすれ性を有する充分な硬さの塗膜であるためには、当該被膜の鉛筆硬度は、少なくとも1B以上、好ましくは1H以上、さらに好ましくは2H以上、最も好ましくは3H以上のものである。
本発明において「自己造膜性」とは、このような充分に硬い塗膜を形成することができる意味である。
これに対し、従来のインクジェット用インクにフィラーとして配合されているコロイダルシリカ粒子は、実質的にこのような自己造膜性はなく、有機樹脂のバインダーがなければ、強固な被膜を形成することはできない。
(葉状シリカ2次粒子の調製)
本発明で使用する板状シリカ粒子としては、上記した葉状シリカ2次粒子を用いることが好ましいが、これは、物質自体としては、所謂シリカ−X、シリカ−Yとして知られているものである。
葉状シリカ2次粒子は、本出願人が提案しているように、活性ケイ酸、シリカゾル、エアロジル、シリカヒドロゲル、シリカゲル(シリカキセロゲル)等を出発物質として、これらをアルカリ金属の存在下で水熱処理する方法により、まず、葉状シリカ2次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成されたシリカ3次凝集体粒子(3次粒子)を生成させ、次いで解砕処理を行うことによって、当該3次粒子を解砕し、葉状シリカ2次粒子を得るという方法により容易に調製することができる。
上記シリカヒドロゲル等の出発物質の水熱処理は、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱することにより行われ、シリカ3次凝集体粒子が得られるが、当該シリカ−Xやシリカ−Y等の単一相を短時間で得るため、温度範囲としては、好ましくは150〜220℃、さらに好ましくは160〜200℃が用いられる。また、必要な水熱処理の時間は、通常、3〜50時間、好ましくは、5〜40時間程度である。
水スラリー状で得られたシリカ3次凝集体粒子は、固液分離・水洗装置を用いて水洗・固液分離して、さらに水等の水性媒体でリパルプし、SiO2 濃度1〜30質量%の水性媒体のスラリーとし、これを湿式ビーズミルや湿式ボールミル等の湿式粉砕装置(解砕装置)に供給して、解砕処理して葉状シリカ2次粒子の水性媒体のスラリーを得ることができる。なお、湿式ビーズミルとしては、直径0.2〜1.0mmのアルミナ又はジルコニア等の媒体ビーズを用いることが望ましい。
かくして得られる葉状シリカ2次粒子の水性媒体のスラリー(水性媒体への分散体)は、その自己造膜性を確保するため、これを乾燥してその乾燥粒子とせず、水性媒体のスラリーのまま使用することが好ましい。葉状シリカ2次粒子のスラリー濃度は、通常、1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。なお、ここで水性媒体とは、水単独または水を主体としこれにメタノールやイソプロパノール等の水溶性有機溶媒が混合した水性媒体を意味するが、水がもっとも好ましい。
本発明で使用する、自己造膜性を有し、かつ、代表的にはアスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmという特定の板状シリカ微粒子は、上記のようにして調製することができるが、また、市販品として入手可能である(例えば、「サンラブリーLFS」(商品名、洞海化学工業社製)として、板状シリカ微粒子を水スラリーとしたものが入手できる。)。
本発明における葉状シリカ2次粒子の水性媒体のスラリーにおける、板状シリカ自体は、白色のものであり、これを種々の基体、例えば、金属、プラスチック、ガラス、紙、セラミックス、木材、セメント硬化体、石材、皮革などの基材表面に単独で塗布し乾燥あるいは加熱処理した場合には、顕著な自己造膜性を有し、強靭な白色の硬化塗膜を形成することができ、また、このスラリーで画像を描いて乾燥すれば、白色の画像を形成することができる。
なお、本発明における最も代表的な板状シリカ微粒子である、葉状シリカ2次粒子とは、その自己造膜性が損なわれない限り、一部もしくは大部分が薄片状1次粒子であってもよく、または一部に3次凝集体粒子が混合しているものであってもかまわない。本発明における葉状シリカ2次粒子とは、このようなものを意味する。
当該粒子の平均粒子径は、特に限定するものではないが、すでに述べたように、本発明で使用する場合は、通常0.001〜20μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは、0.01〜5μm、最も好ましくは0.01〜2μm程度である。
ここで、平均粒子径の測定方法として、レーザー回折/散乱式粒度測定装置(例えば、堀場製作所社製、LA−920型)、動的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LB−500型)、或いはコールターカウンター(例えば、コールターエレクトロニクス社製、MA−II型)等を粒子径の範囲に応じて適宜適用することにより測定される。
(コーティング組成物の調整)
本発明のコーティング組成物は、以上のごとくして調製した、代表的にはアスペクト比が10〜500、平均粒径が代表的には0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子の水性媒体分散液に、着色剤を添加して分散せしめることにより得られる。
すなわち、本発明において当該板状シリカ微粒子、例えば葉状シリカ2次粒子の水性媒体スラリーは、シリカ3次凝集体粒子をスラリー状態で解砕することによって得られるが、このスラリーに染料や顔料を着色剤として添加して十分混合し、当該着色剤の少なくとも一部を当該葉状シリカ2次粒子の表面に固定化せしめることにより得られる。
当該粉砕工程は、基本的に、シリカ3次凝集体粒子が解砕により劈開し、薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚層状に重なった葉状シリカ2次粒子が形成されるものであるが、当該積層構造のシリカ粒子の層間(面間)に、染料や顔料(以下「染料等」ということがある。)が入り込み、吸着、固定されると考えられる。特に、メカノケミカル的に劈開されて形成された当該2次粒子の表面は、新たに形成された切断表面を有するため、その表面の化学ポテンシャルは極めて高く、染料等の分子を強く吸着、固定すると考えられる。そしてさらに好ましくは、後に詳述するように、シリカ表面の活性シラノール基と反応しうる基を有する染料(塩基性染料)等を着色剤として使用することにより、よりシリカ粒子への固定が確実に行われる。なお、後述するごとく、このようにして染料等がシリカ微粒子表面に固定されることは、当該シリカの水スラリーに投入した染料等の上澄液中の濃度変化によって確認することができる。
(着色剤)
本発明において、使用する染料等としては、板状シリカ微粒子の水性媒体スラリー中に溶解、または分散し、当該板状シリカ微粒子表面とミクロな状態で接触しうるものであれば特に限定するものではなく、公知のものをいずれも選択して使用可能であり、例えば以下のものが好ましいものとして例示される。
(染料)
塩基性染料(カチオン性染料)、すなわち分子中に酸と化学的に反応しうる塩基性基(アミノ基、アルキルアミノ基など)を含有し、染料分子が水性媒体中でカチオンになるものとしては、例えばローダミンB等のローダミン系染料、マラカイトグリーン等のトリアリールメタン系染料、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン系染料、トルイレンレッド、サフランT等のアジン系染料、メチン系染料、アゾ系染料、アクリジンオレンジR等のアクリジン系染料、ガロシアニン等のオキサジン系染料、アントラキノン系染料、オーラミン等のジフェニルメタン系染料、スピロ系染料、メチレンブルー等のチアジン系染料、フルオラン系染料、ラクタム系染料が挙げられる。
塩基性染料をカラーインデックスナンバー(C.I.)で示すと、例えばC.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同13、同27;C.I.ベーシックブルー1、同3、同5、同7、同9、同24、同28;C.I.ベーシックバイオレット7、同14、同27等が挙げられる。
その他、酸性染料、直接染料、分散染料、反応染料も使用可能であり、
例えば酸性染料としては、C.I.アシッドブラック2、同7、同24、同26、同31、同52、同112、同168、同208;C.I.アシッドレッド1、同6、同8、同32、同51、同80、同87、同94、同115、同180、同254、同315;C.I.アシッドブルー9、同22、同40、同59、同93、同102、同117、同167、同229、同254;C.I.バイオレット49;C.I.アシッドオレンジ7、同19等が挙げられ、
直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同38、同51、同62、同71、同108、同146、同154;C.I.ダイレクトレッド1、同4、同13、同17、同28、同31、同62,同79、同83、同89、同227、同242;C.I.ダイレクトイエロー12、同24、同44、同86、同98、同130、同142;C.I.ダイレクトブルー6、同22、同71、同78、同86、同90、同106、同199;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトオレンジ34、同39、同46、同60等が挙げられ、
分散染料としては、C.I.ディスパースブラック1;C.I.ディスパースレッド349;C.I.ディスパースイエロー88;C.I.ディスパースブルー160等が挙げられ、
反応染料としては、C.I.リアクティブブラック1、同5、同13、同23、同34;C.I.リアクティブレッド3、同16、同23、同29、同33、同45、同55、同63、同85、同109、同112、同118、同128、同141、同177、同186、同195、同218;C.I.リアクティブイエロー2、同13、同18、同24、同37、同42、同58、同76、同81、同88、同93、同111、同132、同139、同142、同147、同151、同163;C.I.リアクティブブルー2、同5、同10、同14、同18、同25、同38、同49、同52、同63、同71、同74、同79、同89、同100、同105、同122、同147、同160、同169、同173、同176、同184、同198、同211、同217;C.I.リアクティブバイオレット1、同6、同24、同33、同38;C.I.リアクティブオレンジ5、同11、同12、同13、同16、同35、同46、同56、同62、同70、同74、同82、同87、同93、同99;C.I.リアクティブグリーン5、同8、同15、同19、同23;C.I.リアクティブブラウン2、同7、同8、同11、同16、同18、同24、同31、同33等が挙げられる。
(顔料)
一方顔料としては、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、パーマネントカーミン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、ピグメントスカーレット等のアゾ系顔料、縮合ポリアゾ系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドレノン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、アニリンブラック系顔料等の有機顔料;
酸化鉄黒、カーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等の黒色顔料;酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛等の白色顔料;カドミウムレッド、べんがら、鉛丹、モリブデンレッド等の赤色顔料;黄鉛、チタンイエロー、カドミウムイエロー、リサージ、酸化鉄イエロー等の黄色顔料;群青、紺青等の青色顔料;クロムグリーン、クロムオキサイドグリーン等の緑色顔料;モリブデートオレンジ等のオレンジ顔料等の無機顔料が挙げられる。
このうち塩基性顔料(カチオン性顔料)、すなわち分子中または粒子表面に酸と化学的に反応しうる塩基性基(アミノ基、アルキルアミノ基など)を含有し、当該顔料分子または粒子表面が水性媒体中でカチオンになるものとしては、これをカラーインデックスナンバー(C.I.)で示すと、例えば、C.I.ピグメントレッド122、同150、同171、同175、同177、同209;C.I.ピグメントイエロー11、同24、同108、同109、同110、同138、同139、同150、同151、同154、同167;C.I.ピグメントブルー16、同22、同66;C.I.ピグメントバイオレット19、同32;C.I.ピグメントオレンジ36等を挙げることができる。
その他有機顔料をカラーインデックスナンバー(C.I.)で示すと、
C.I.ピグメントレッド9、同49、同52,同53、同57、同97、同122、同149、同150、同168、同171、同175、同176、同177、同180、同192、同209、同215、同220、同228、同238、同254、同272;
C.I.ピグメントイエロー11、同12、同13、同14、同17、同20、同24、同74、同83、同86、同97、同98同108、同109、同110、同117、同120、同125、同128、同137、同138、同139、同147、同148、同150、同151、同153、同154、同166、同167、同168、同180、同185;
C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15、同15:1、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同22、同60、同64、同66;
C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同29、同30、同32、同37、同40、同50;
C.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71;C.I.ピグメントグリーン7、同36;C.I.ピグメントブラウン23、同25、同26等を例示することができる。
上記した染料や顔料のうち、特に耐候性や耐水性の観点からは、着色剤としては顔料を選択することが好ましく、また、より強固にシリカ微粒子に固定される点からは、塩基性染料や塩基性顔料が好ましく、特に塩基性顔料を選択することが最も好ましい。
(シラノール基による染料等の固定)
本発明においては、基本的には、葉状シリカ2次粒子等の板状シリカ微粒子が分散された水性媒体に添加された染料や顔料は、当該積層構造のシリカ粒子の層間に入り込み、吸着、固定、坦持されるものであり、通常は、この吸着による固定メカニズムのみにより、当該染料等は、葉状シリカ2次粒子に充分強固に固定されるものであると考えられる。
しかして、さらに好ましくは、染料等として塩基性染料等を選択使用することにより、シリカ表面の活性シラノール基と当該塩基性染料等とのイオン交換反応による化学結合の形成、及び/又は、負に帯電しているシラノール基(−SiO-)と正に帯電している顔料粒子等とのクーロン力による結合メカニズムにより、上記した塩基性基を有する塩基性染料や塩基性顔料のシリカ粒子への固定がより確実に行われると推定される。
本発明において使用する葉状シリカ2次粒子等の板状シリカ微粒子は、代表的には平均粒子径が0.01〜5μm、比表面積が30〜500m2 /gのものであるが、好ましくは、例えば当該粒子単位質量当たりの3000〜8000μmol/g程度のシラノール基の密度を有するものである。
本発明者らが検討したところによれば、当該シラノール基と塩基性染料等との物理的吸着による固定および/又は反応による結合は、比較的容易に進行するものであり、例えば、加熱手段及び撹拌手段を備えた反応容器中に、シリカ3次凝集体粒子の解砕により得られた葉状シリカ2次粒子の水性媒体分散液を装入し、そのスラリー濃度を0.1〜30質量%程度として、撹拌下に塩基性染料等を添加し、粒子を浮遊、懸濁せしめた状態に保持しながら、物理的吸着や反応等を進行させればよい。
なお、シリカ粒子の粒径が比較的大きい場合やスラリー濃度が高い場合、粒子を充分に浮遊、分散させるため、反応容器としては、撹拌槽タイプのものだけでなく、インターナルミキサー、ポニーミキサー、ロールミルのようなニーダー(捏和機)やV型、リボン型、二重円錐型混合機等の振とう機タイプのものを使用することも好ましい。
反応条件は、染料等の種類、葉状シリカ2次粒子の粒径、表面シラノール基の密度等によって変わりうるが、通常、反応温度は10〜80℃、好ましくは20〜50℃、反応時間は10〜360分、好ましくは20〜200分程度である。なお、塩基性染料等以外の通常の染料等を使用して、主として物理的吸着のみにより、葉状シリカ2次粒子等への固定・坦持が行われると考えられる場合においても、上記反応温度、反応時間にほぼ準じた条件で当該シリカ微粒子の水性媒体分散液中に染料等を装入し、操作を実施すればよい。
葉状シリカ2次粒子による染料等の反応または吸着による固定過程の進行は、上記反応容器中のスラリーを適宜サンプリングし、その上澄み液またはこれを濾過、遠心分離等固液分離した母液中に溶解または分散している染料等の濃度の時間的変化を経時的に測定することにより容易に確認できる。実際には、通常、上澄み液中の染料等の濃度が反応や吸着の進行につれて、顕著に低下することは、目視によっても充分に認められるものである。
本発明において、板状シリカ微粒子の水性媒体分散液に対して使用する染料等の使用量は、染料等の種類や色彩、所望の着色シリカ被膜の色濃度等により変わりうるが、通常、板状シリカ微粒子に対して、固形物基準で、1〜100質量%、好ましくは2〜50質量%、さらに好ましくは3〜30質量%程度である。
かくして調製された本発明の着色シリカ被膜形成用コーティング組成物は、アスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子と着色剤からなり、当該着色剤は少なくとも一部が、当該板状シリカ微粒子の表面に固定され、水性媒体中に分散されてなるものであり、見かけ上、当該シリカは当該着色剤で着色された着色シリカ粒子のスラリーとなっている。
本発明のコーティング組成物を、紙、ステンレス鋼、ガラス等の基体上に塗布して、乾燥すると、すでに述べたように、当該シリカ粒子は、自己造膜性を有する板状シリカ粒子であるため、互いに基体に平行的に配向した状態で積層されて密に重なりあう強固な被膜を、なんらバインダーを使用することなしに形成することができる。したがって、本発明における着色シリカ粒子を含むコーティング組成物からは、それ自体で、バインダーを含まない、着色シリカ被膜を容易に形成することができるのである。
かくして形成された着色シリカ被膜は、基本的に、従来常用される水溶性樹脂のバインダーを含有しておらず、シリカを主体とする無機被膜であり、特に好ましくは着色剤として顔料を使用することにより、耐にじみ性、耐水性、耐熱性、耐食性、耐薬品性及び耐候性に優れた、着色シリカコーティグを形成することができるのである。
(他の添加剤)
なお、本発明のコーティング組成物においては、通常のコーティング組成物において使用されている添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。かかる添加剤としては、例えば増粘剤、乳化剤、界面活性剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、抗菌剤、酸化防止剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、タルク、クレー、マイカ、ホワイトカーボン等を任意に使用可能である。また、本質的には不要であるが、少量のバインダー樹脂を併用することを排除するものではない。
(塗布手段)
本発明のコーティング組成物を基体に塗布する手段は特に限定するものではなく、通常の塗布方法が採用可能であり、例えば、刷毛塗り、ローラー塗り、バーコーター塗り、吹きつけ塗り、浸漬塗り等が任意に使用できる。
(インクジェット用インキ)
本発明の着色シリカ被膜形成用コーティング組成物は、インクジェットプリンタに適用される顔料インク等としても好適に使用することができる。この場合、着色された板状シリカ微粒子が、フィラーとしての作用、その板状の形状から用紙の目止め(裏うつり防止)の作用、さらには、実質的にシリカに固定されている顔料自体が板状の形態を有することになるので、高い被覆効果、すなわち下地や画像の隠蔽性を奏するとともに、水溶性樹脂バインダーを使用せずに顔料自体に基体への定着性が付与されるので、きわめて耐にじみ性、耐水性、耐熱性、耐候性のある着色被膜、さらには耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性、軟質塩化ビニル等の樹脂フィルムに接触させた場合の耐色移行性のある着色被膜により、画像やテキストを形成することができる。
なお、本発明の組成物を、インクジェットプリンタに適用する顔料インク等として使用する場合は、板状シリカ微粒子の粒径は、特に0.1〜0.2μm程度またはそれ以下のものを選択することが好ましい。この範囲の粒径のシリカ微粒子は、静置してもほとんど沈降しなくなり、均一分散状態を容易に保持できるので、特に好都合である。ちなみにインクジェットプリンタノズルから吐出されるインク粒径は10μm程度であり、当該シリカ微粒子の粒径は遙かに微小なものである。
(その他の用途例)
本発明のコーティング組成物は、屋外で使用する耐水性や耐候性の要求される交通標識や道路白線標識作成のためのトラフィック塗料として、また耐熱性の要求される加熱容器や加熱配管の表示等の形成用塗料としても好適に使用できる。なお、本発明の着色シリカ粒子を含むコーティング組成物は、着色性のフィラーとして、インクジェット用インキに配合したり、塗料の有機バインダーや顔料の代替として配合し着色と塗膜強度向上を同時に実現することが可能である。さらにまた、本発明のコーティング組成物を紙に塗布することにより、色彩のある受容層を形成することも可能である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
(試験片の作成)
まず、実施例、比較例において共通して適用する試験片の作成法について説明する。
市販のアルカリソーダ硝子板(1mm(厚み)×70×150mm)とセルロース濾紙(No.5C、150mm径)を用意し、塗布用組成物(着色シリカ被膜形成用コーティング組成物)を、バーコーター塗り法(JIS K5600)で、#40バーコーター(江藤機械社製)を用いて、ガラス板及びセルロース濾紙にそれぞれ塗布し、室温で24時間乾燥して試験片とした。塗布量は、それぞれ乾燥後の付着量を、約20g/m2となるように調整した。
(被膜評価試験法及び結果の評価)
本実施例で用いた耐水性及びその他の被膜物性の評価方法は、以下のとおりである。
(1) 耐水性: ガラス板の試験片をJIS K5600に記載された耐水性試験法に準拠し常温25Cで1時間浸漬せしめ、浸漬耐水性試験を行った。
試験後の試験片被膜からの色の溶出を比較評価するため、浸漬した水の着色を目視で評価し、全く着色の無い場合を◎、僅かに水の着色が確認されるものの被膜の変色(退色)がない場合を○、水の着色が確認されるものの被膜の変色は僅かな場合を△、明らかに水の着色が確認され被膜の退色が著しい場合を×と表記する。
(2) 被膜物性: ガラス板の試験片をJIS K5600に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験を行い、被膜物性を評価した。
(3) 色にじみ: 濾紙の試験片を用いて色素が基材に染み込んだか否かを外観で判断し、全くにじみの無い場合を○、ややにじみが発生するものの裏写りのない場合を△、裏へ浸透した場合を×と表記する。
〔実施例1〕
(カチオン性水性分散顔料1)
葉状シリカ2次粒子の水スラリー(洞海化学工業社製、サンラブリーLFS HN−050、平均粒径0.5μm、アスペクト比50、比表面積150m2/g、シラノール基4600μmol/g、固形分濃度14.7質量%、pH6.5)20gを、50mlガラス瓶に採取し、カチオン性水性分散顔料(三国色素社製、プラスレッドFGR、固形分濃度:33.7質量%)2.0gを、固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が80:20となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて毎分200回、30分間室温で振とうさせ、顔料配合スラリー状の着色被膜形成用コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離後の上澄み液についてはほとんど顔料による赤い着色は認められなかった。すなわち、投入した顔料は、実質的に葉状シリカ2次粒子に固定されていることが確認された。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法でガラス板及び濾紙に塗布し、赤色に着色されたシリカ被膜が形成された試験片とした。
当該試験片について、上記の被膜評価試験を行い、着色被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
シリカ:顔料の固形分比率(質量比)を90:10とした以外は実施例1と同一の顔料(カチオン性水性分散顔料1)を使用し、同様にして赤色被膜を形成した試験片を調製した。当該被膜の評価を行い結果を表1に示した。
〔実施例3〕
(黒色顔料1)
葉状シリカ2次粒子の水スラリー(洞海化学工業社製、サンラブリーLFS HN−050、平均粒径0.5μm、アスペクト比50、比表面積150m2/g、シラノール基4600μmol/g、固形分濃度14.7質量%、pH6.5)20gを、50mlガラス瓶に採取し、蒸留水9.2gと電気化学工業社製 カーボンブラック(デンカブラック、粒状品)0.33gを固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が90:10となるように加えて、振とう機(イワキ社製V−5シェーカー)を用いて室温にて毎分200回、60分間振とうさせ、黒色スラリー状の着色被膜形成用コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離後の上澄み液については、ほとんど顔料による黒色の着色は認められなかった。すなわち、投入したカーボンブラック顔料は、実質的に葉状シリカ2次粒子に固定されていることが確認された。
このコーティング組成物をガラス板及び濾紙に塗布し、黒色のシリカ被膜が形成された試験片とした。
当該試験片について、上記の被膜評価試験を行い、黒色着色被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
シリカ:顔料の固形分比を20%とした以外は、実施例3と同一の顔料(黒色顔料1)を使用して、同様に処理して試験片を調製し、得られた黒色着色被膜の評価を行い結果を表1に示した。
〔実施例5〕
(カチオン性水性染料1)
葉状シリカ2次粒子の水スラリー(洞海化学工業社製、サンラブリーLFS HN−050、平均粒径0.5μm、アスペクト比50、比表面積150m2/g、シラノール基4600μmol/g、固形分濃度14.7質量%、pH6.5)20gを、50mlガラス瓶に採取し、カチオン性水性染料(保土谷化学社製、アイゼンカラープリムラレッド4BH)0.15gを固形分比率(質量比)でシリカ:染料が100:5となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて、室温にて毎分200回、30分間振とうさせ、色素添加された赤系着色スラリー状の着色被膜形成用のコーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離後の上澄み液については染料による赤色の着色はほとんど認められなかった。すなわち、投入した染料は、実質的に葉状シリカ2次粒子に固定されていることが確認された。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法で処理し、赤色に着色されたシリカ被膜が形成された試験片を得た。
当該試験片に形成した塗膜断面の超薄切片をTEMで観察すると、葉状シリカ2次粒子が基材に平行に配向し、被膜中に積層している様子が観察された。
この試験片について、上記の被膜評価試験を行い、赤色染料の耐久性と色にじみ性を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例6〕
(カチオン性水性染料2)
着色染料としてアイゼンカラー、プリムラブルー6GLHを用いた以外は実施例1と同様に試験片を調製し、青色被膜の評価を行い結果を表1に示した。
〔実施例7〕
(カチオン性水性分散顔料2)
葉状シリカ2次粒子の水スラリー(洞海化学工業社製、サンラブリーLFS HN−020、平均粒径0.2μm、アスペクト比35、比表面積210m2/g、シラノール基5500μmol/g、固形分濃度13.1質量%、pH6.5)20gを、50mlガラス瓶に採取し、カチオン性水性分散顔料(三国色素社製、プラスレッドFGR、固形分濃度:33.7質量%)1.9gを、固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が80:20となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて毎分200回、30分間室温で振とうさせ、顔料配合スラリー状の着色被膜形成用コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離後の上澄み液については、ほとんど顔料による赤い着色は認められなかった。すなわち、投入した顔料は、実質的に葉状シリカ2次粒子に固定されていることが確認された。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法でガラス板及び濾紙に塗布し、赤色に着色されたシリカ被膜が形成された試験片とした。
当該試験片について、上記の被膜評価試験を行い、着色被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。結果を表1に示した。
〔実施例8〕
(カチオン性水性分散顔料2)
葉状シリカ2次粒子の水スラリー(洞海化学工業社製、サンラブリーLFS HN−010、平均粒径0.1μm、アスペクト比30、比表面積370m2/g、シラノール基7500μmol/g、固形分濃度8.2質量%、pH6.5)20gを、50mlガラス瓶に採取し、カチオン性水性分散顔料(三国色素社製、プラスレッドFGR、固形分濃度:33.7質量%)1.2gを、固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が80:20となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて毎分200回で30分間室温にて振とうさせ、顔料配合スラリー状の着色性コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離後の上澄み液についてはほとんど顔料による赤い着色は認められなかった。すなわち、投入した顔料は、実質的に葉状シリカ2次粒子に固定されていることが確認された。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法でガラス板及び濾紙に塗布し、赤色に着色されたシリカ被膜が形成された試験片とした。
当該試験片について、上記の被膜評価試験を行い、着色被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
実施例1の赤色顔料(カチオン性水性分散顔料1)を単独で塗布した試験片を調製し、被膜の評価を行い結果を表1に示した。耐水性試験では、水に浸漬直後から溶出が始まり、ほとんどの色素が溶出した。
当然のことながら、造膜性は全く認められず、鉛筆硬度や碁盤目剥離試験は行えなかった。
〔比較例2〕
実施例5の赤色染料(カチオン性水性染料)を水に溶解させて、染料単独で塗布した試験片を調製し、被膜の評価を行った結果を表1に示した。
耐水性試験では、水に浸漬直後から溶出が始まり、ほとんどの色素が溶出した。
〔比較例3〕
(カチオン性水性分散顔料3)
葉状シリカ2次粒子の水スラリーの代わりに、コロイダルシリカ(触媒化成工業社製、SI−30、平均粒径11nm、固形分濃度30.0質量%、pH9.2)20gを、50mlガラス瓶に採取し、カチオン性水性分散顔料(三国色素社製、プラスレッドFGR、固形分濃度:33.7質量%)2.0gを、固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が80:20となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて毎分200回、30分間室温で振とうさせ、顔料配合スラリー状の着色被膜形成用コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の遠心分離機を用いた固液分離を試みたが、分離は困難であり、透明の上澄み液を得ることはできなかった。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法でガラス板及び濾紙に塗布したところ、造膜性のない赤色に着色されたシリカ被膜が形成され、これを試験片とした。
この試験片について、上記の被膜評価試験を行い、被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。耐水性試験では、水に浸せきして2分後から溶出が始まり、ほとんどの顔料が溶出した。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
(カチオン性水性分散顔料4)
葉状シリカ2次粒子の水スラリーの代わりに、A型粉末シリカゲル(洞海化学工業社製、粉末ゲル、平均粒径10μm、固形分99%質量%以上、比表面積510m2/g)2gを、50mlガラス瓶に採取し、蒸留水18gを投入してスラリー化した。次に、カチオン性水性分散顔料(三国色素社製、プラスレッドFGR、固形分濃度:33.7質量%1.5g)を、固形分比率(質量比)でシリカ:顔料が80:20となるように加えて、振とう機(イワキ社製、V−5シェーカー)を用いて毎分200回、30分室温で間振とうさせ、顔料配合スラリー状の着色被膜形成用コーティング組成物を得た。なお、当該組成物(スラリー)の静置沈降後の上澄み液には、顔料が残留して赤色を帯びており、投入した顔料は、ほとんどシリカゲルに固定化されていないと思われる。
このスラリー状のコーティング組成物を、上記方法でガラス板及び濾紙に塗布すると、赤色に着色されたシリカ粉体の被膜層が形成され、これを試験片とした。ただし、当該被膜層は、本発明の実施例のような強固な被膜ではなく、容易に剥離、剥落するもので、ほとんど造膜性はないものである。
この試験片について、上記の被膜評価試験を行い、着色被膜の耐久性と色にじみ性を評価した。耐水性試験では、水に浸せきした直後から溶出が始まり、ほとんどの色素が溶出した。結果を表1に示した。
Figure 2005272494
*注)「<6B」は、被膜が6Bよりさらに鉛筆硬度が小さいことを示す。
上記表1に示されたように、本発明の着色シリカ被膜形成用コーティング組成物により形成された着色シリカ被膜は、なんら有機樹脂のバインダーを使用しないにかかわらず、硬度(被膜強度)、密着性、耐水性及び耐にじみ性に優れたものであることがわかる。このように、本発明の着色シリカ被膜においては、水溶性の染料又は顔料であっても当該シリカ被膜中に強く固定され、実質的に被膜より分離して溶出することがなくなるのである。
このように、当該コーティング組成物により、印字や画像を形成した場合、当該印字や画像は擦って剥離するようなものでなく、耐水性があり、屋外での使用に耐えるものであり、また、これをインクジェットプリンタに適用した場合、紙等に印字したものが、特に受容層を形成しない紙であっても、裏写りするものでないことを示している。
本発明のシリカ被膜形成用コーティング組成物によれば、なんら樹脂系のバインダーを含んでいないにかかわらず、硬度(被膜強度)、密着性、耐水性及び耐にじみ性に優れた着色被膜を形成することができるため、交通標識や道路白線標識作成のためのトラフィック塗料、耐熱性の要求される加熱容器や加熱配管の表示形成用塗料、さらには、産業用のインクジェット用インクとして、屋外における建築用壁面、広告看板等の用途に好適に使用することができるので、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。

Claims (6)

  1. 少なくとも、アスペクト比が10〜500、平均粒径が0.01〜5μmである自己造膜性を有する板状シリカ微粒子及び着色剤が、造膜形成要素として、水性媒体中に分散されてなることを特徴とする着色シリカ被膜形成用コーティング組成物。
  2. 着色剤の少なくとも一部が、前記板状シリカ微粒子の表面に固定されている請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 着色剤が顔料である請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記板状シリカ微粒子の比表面積が30〜500m2/gである請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
  5. 前記板状シリカ微粒子が、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子である請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物を基体上にコートして得られる着色シリカ被膜。
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